JP3078702U - 農業土壌覆いマルチシート - Google Patents

農業土壌覆いマルチシート

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JP3078702U JP2000009569U JP2000009569U JP3078702U JP 3078702 U JP3078702 U JP 3078702U JP 2000009569 U JP2000009569 U JP 2000009569U JP 2000009569 U JP2000009569 U JP 2000009569U JP 3078702 U JP3078702 U JP 3078702U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 果実畑、林業地などにおいて使用するところ
の、雑草の生育抑制につながる遮光性とし、雨水を適度
にカットし、太陽光がぎらぎらと鏡面反射するグラリン
グ欠陥なしに太陽光線を上部に反射させて、樹木などの
光合成を助けると共に果実の糖度を上げ、着色などを良
くするためなどの複合目的に沿う農業土壌覆いマルチシ
ートを案出する。 【解決手段】 上部層から順に、布状繊維集合体層、鏡
面反射性の箔状金属層、合成樹脂フィルム層からなる積
層シートにして、該布状繊維集合体の単位面積当り質量
を特定することで鏡面光沢度を下げ、人の目に害になる
ぎらぎら光るグラリング現象を抑制し、果物などの糖度
向上などに寄与する太陽エネルギの反射性が、箔状金属
の直接反射の場合に比較して大きくは下がることのな
い、また該箔状金属層の遮光性によってシート下の雑草
生育を防止効果のある、多機能構造の農業用土壌覆いマ
ルチシートを案出した。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
果実畑、林業地などにおいて雨水を適度にカットし、太陽光線を上部に反射さ せて樹木などの光合成を助け、雑草の生育を防ぐなどの多目的の土壌覆いシート に属す考案である。
【0002】
【従来の技術】
従前の土壌覆いシートは合成樹脂フィルムを用いたもの、織物や不織布を用い たもの、あるいはその両者を合体したものに大別できる。土壌覆いシートの機能 目的は、遮光して陽光を絶って雑草の生育を阻止すること、農土への雨水を抑制 して植物の根を丈夫にすると共に、太陽光線を上部に反射させて樹木などの光合 成を助けて果物の糖度などを上げること、通気性によって農土中の炭酸ガスなど を適度に気散させ蒸れないようにするなどである。
【0003】 合成樹脂フィルムに分類される土壌覆いシートは、土壌の雨水の抑制、雑草生 育防止などのために使われているが、光の遮蔽性が不十分なので雑草生育防止の 機能は低く、また樹木などの光合成を助ける機能である太陽光線を上部に反射さ せる機能は殆どない。フィルム自体が透水性が全くないので適度な透水性を与え るため穿孔群を設けなければならないので、強度、耐久性並びに耐候性に問題が あった。
【0004】 不織布や編織布に分類される土壌覆いシートは、繊維集合体であるため一般に 透水性が高く雨水の抑制が不十分であり、遮光性は合成樹脂フィルム同様に不十 分なので雑草生育防止の機能は低く、表面が拡散反射性であるのに加えて半透明 であるのでシート下の土の色の影響で白度が低くなって上方への太陽光の反射性 が低い。ゆえに、太陽光線を上部に反射させる機能は補足的なものでる。
【0005】 透水性が低い不織布の例としては、PE(ポリエチレン)樹脂などのフラッシ ュスパン不織布が農業土壌覆いシートとして用いられている。フラッシュスパン 不織布はPFなどの熱溶融性(熱可塑性)合成樹脂を高温でガスと共に綿菓子の 如く細い繊維状に噴出させて堆積し圧縮して作るので、中厚手の紙の如き硬い不 織布である。繊維が細く繊維集合体構造が緻密であるため透水性が不良で、農業 土壌覆いシートとして用いると、雨水の抑制機能はあるものの、敷設凹部に雨水 が溜まり、繊維集合体のポーラスな構造と相まって苔などが生育し、上を歩行す る農作業者が滑って転ぶ事故が多発している。また、遮光性が殆どないので雑草 生育防止の機能は低い。また、表面が拡散反射性であるのに加えて半透明である のでシート下の土の色の影響で白度が低くなるのと相まって、上方への太陽光の 反射性が低い。さらに中厚手の紙の様に硬くゴアゴアしていて敷設や撤去時など の作業性がよくない。
【0006】 フィルムと、不織布や編織布など繊維集合体とを合体したシートは、雨水の抑 制機能はカバーされるが、フィルムならびに不織布や編織布などの繊維集合体と も遮光性が低いので合体したものも低く、雑草生育防止の機能はそれぞれの単独 のもの同様に低い。また、表面が拡散反射性であるのに加えて半透明であるので シート下の土の色の影響で白度が低くなって上方への太陽光の反射性が低い。
【0007】 これらシートに太陽光線を積極的に反射させるために、アルミ箔などの鏡面反 射材を外層に貼付したシートがある。これらのシートの目的は太陽光線を上部に 鏡面反射させて樹木の光合成を助けると共に、果実の下部を太陽光線に当て、直 接太陽光が当たる上部に加え、果実下部を含めて果実全体の着色などを良くする ためのものである。
【0008】 外層に鏡面反射材をもつシートは反射性高いので、その機能としては十分であ るが、太陽光線は照度101x程度と極めて高いため、高輝度の反射光線が農 業作業者や近傍の第三者の視野の一部に入ると他の部分が見えなくなり、不快感 や盲目感などのグレアと呼ばれる現象を惹起する。かようなグラリング(gla ring)欠陥といわれている太陽光がぎらぎらと鏡面反射する欠陥は、作業者 や近傍の住民や道路などを利用する第三者にグレアとして嫌われ、撤去しなけれ ばならない事態にもなる。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
果樹木などの農土に敷設する農業土壌覆いマルチシートの多様な複合機能を掲 げると次の如くまとめられる。 (A)農土への雨水の適度な抑制と太陽光線の上方反射によって、光合成を助け 糖度などを向上させる。 (B)遮光することで陽光を遮断しシート下の雑草の生育を阻止する。 (C)農土から炭酸ガスなどの気散し、農土の蒸れを防止することによる樹勢を 増進させる。
【0010】 上記(A)については、市場価値の評価基準である果実などの等級は、従前は 形や色相など外見によって付けられていた。しかしながら計測技術の発達と相ま って実質的価値である糖度などが加えられるようになった。最近では糖度は柑橘 類、林檎、とまとなどの果実や野菜の価値を表す一つの指標となっている。かよ うなことから、果実類の糖度を上げることは果実の栽培業者にとって重要な課題 となっている。
【0011】 果実などの糖度を上げるために細胞改造、土壌改良、肥料の工夫などが行われ ているが、土壌の水分のコントロールならびに光合成を促進するために太陽光を 十分浴びせることも重要な要因である。多雨の年は果実の甘味が低いといわれて いるように、土壌に過度な水分を与えないことが糖度を上げることになり、合わ せて太陽光を十分浴びせることが重要な課題となる。
【0012】 上記(B)については、シート下に雑草は生育しないようにするには、遮光性 を完全にすることに尽きる。上記(C)については、適度な通気性を付与するこ とである。 以上述べたように、農業覆いマルチシートは果実畑などにおいて使用するとこ ろの、雨水を適度にカットし、太陽光がぎらぎらと鏡面反射するグラリング欠陥 なしに太陽光線を上部に反射させて、樹木などの光合成を助けると共に果実の糖 度を上げ、着色などを良し、雑草の生育抑制につながる遮光性でるなどの複合目 的に沿うような農業土壌覆いマルチシートがないのが実状である。
【0013】 つまり、果実類の栽培に当たって、土壌の水分を適度にコントロールすると共 に、グラリング欠陥なしにソフトな上方反射によって太陽光を下部から十分浴び せることで糖度をあげ、収穫期の均一発色に寄与し、遮光性で農土への陽光を遮 断して雑草の生育防止機能があって、さらに適度な通気性がある多機能な農業土 壌覆いマルチシートの提供が望まれているところである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
考案者等はかかる要望に鑑み鋭意検討の結果以下の考案に至ったものである。 すなわち、合成樹脂フィルムに鏡面箔状金属が接合されていて、かつ微小穿孔 群を有し、該箔状金属側に鏡面反射を和らげるための布状繊維集合体が接合され ていていることを特徴とする農業土壌覆いマルチシートの考案である。
【0015】 また、微小穿孔群において、穿孔形状が縫い目様穿孔形であって、その長辺が 0.15mm以上である微小穿孔群を有することを特徴とする農業土壌覆いマル チシートである。
【0016】 さらに、布状繊維集合体の単位面積当り質量が25〜70g/mであること を特徴とする農業土壌覆いマルチシートである。加えて、表面の鏡面光沢度が6 0〜30%であることを特徴とする農業土壌覆いマルチシートである。さらに、 鏡面箔状金属接合フィルムがアルミ・メタライジング・フィルムであることを特 徴とする農業土壌覆いマルチシートである。また、布状繊維集合体がポリエステ ル繊維の不織布であることを特徴とする農業土壌覆いマルチシートである。
【0017】 さらに、農業土壌覆いマルチシートにおいて、幅方向の片側あるいは両側部に おいて外端から内側50〜100mm程度の部分が、該マルチシートの厚さの2 倍以上であることを特徴とする農業土壌覆いマルチシートである。
【0018】 本考案の適用によって、果実類などの栽培に当たって雑草の生育を防止し、土 壌の水分を適度にコントロールすると共にグラリング欠陥なしに上方反射によっ て太陽光を十分浴びせることができ、しかして糖度の高い果実や野菜を作ること に貢献できる。
【0019】
【考案の実施の形態】
図1は本考案を説明するための農業土壌覆いマルチシートの断面拡大略図であ る。構造を明確にするために誇張して描いており、各部材の寸法比などは実体と 異なる。1は農業土壌つまり農土を示す。2は鏡面箔状金属、3は合成樹脂フィ ルムを示す。4は布状繊維集合体で、5はこの繊維集合体4と鏡面箔状金属2と を接合している接合層である。
【0020】 図1の2、3については、合成樹脂フィルムの表面を金属化したメタライジン グ・フィルムを用いることができる。鏡面反射性のメタライジング・フィルムは 、基本的には金属を分子レベルの状態でフィルム表面に接合積層する方法で、小 量の金属で薄く効率よく鏡面を形成できる。メタライジング・フィルムの断面形 状は鏡面箔状金属と合成樹脂フィルムとが一体化していて、片面が金属箔状面2 、反対面が合成樹脂フィルム面3で、金属箔状層が極く薄いのがその特徴である 。メタライジング・フィルムの製法を大別すると真空蒸着、メッキおよびスパッ タリングの三法があり、基本的にはその何れも用いることができる。しかしなが ら安価であることからアルミ真空蒸着フィルムがこの用途に適する。
【0021】 鏡面箔状金属2に金属箔そのものを用いる場合には、アルミ箔、銅箔、合金箔 など箔状にすることができ、箔にして鏡面反射性にすることができる、つまり高 い鏡面光沢度が得られれる金属であれば如何なる金属箔でもよい。厚さは如何な る厚さでもよい。しかしながら鏡面反射性がよいこと、安価であることなどから アルミ箔がこの用途に適する。金属箔そのものを用いる場合には、金属箔と合成 樹脂フィルムとを、2、3のように一体化するために接着法あるいは溶着性合成 樹脂とのラミネート法などで接合し、図1には図示してないが接合層がある形に なる。
【0022】 鏡面箔状金属2の金属側の鏡面光沢度はJIS Z 8741に準拠した測定 法で、着色繊維集合体の例でいえば、10%程度であるのに対し、艶消しアルミ 板が50%以上なのでこの程度以上であれば本考案に適用できるが、高ければ高 いほどよく、80%程度以上が好ましい。
【0023】 メタライジン・グフィルム層、あるいは鏡面箔状金属と合成樹脂フィルム接合 層である2、3は、透水性と通気性が必要である。合成樹脂フィルムは透水性と 通気性がないので穿孔(穿った孔)群が必要であり、この場合の穿孔群の状態は 基本的には適当に小さくてほぼ一様に分散していればよい。穿孔形としては、郵 便切手シートに見られる切離し用の穿孔列の如く、紙の一部を微小円形状などに 除去して孔穿した「切手シート様穿孔形」の穿孔群でもよいし、領収書やメモ用 紙の切離し用の穿孔列に見られるような、紙の一部を除去せずに単に刃で短い切 込みを入れた列「縫い目様穿孔形」(縫目のような切込み列)の穿孔群でもよい 。
【0024】 前者穿孔形と後者穿孔形との比較実験の結果では、切手シート様形穿孔群の場 合に比較して、縫い目様穿孔形の穿孔群の場合は、同じ穿孔率(全面積に対する 合計穿孔面積の百分率)の場合に、水分は比較的通りやすいが、透気性が制限さ れることが分かった。かような機能によって農土に対する透水と透気をバランス のとれた状態に維持できることが分かった。
【0025】 考案者等は孔を穿つ方法として、帯状貼り刃を用いる方法が本考案に適する一 つの孔穿方式であることを見いだした。この方式の一例を記せば、幅5mmの鋼 製の帯上に、長手方向にピッチ5mmで、長手方向の刃の長さ0.3mm、刃の 幅方向の断面が鋭角三角形で高さ0.7mm、刃の幅方向の根元幅が0.1mm の突起状の刃の列を設けた帯状貼り刃を、刃が外側に向くようにロールに捲き付 けて、微小な刃の群を備えたロールとし、このロールに、鏡面箔状金属接合の合 成樹脂フィルムあるいはメタライジング・フィルムを層に含むシートを接圧走行 させることによって、「縫い目様穿孔」による微小穿孔群を設ける方法を案出し た。
【0026】 上記例では略長方形の穿孔形が得られ、刃の形状から短辺が大凡0.1mm、 長辺が大凡0.3mmの縫い目様穿孔形の微小穿孔群となり、この微小穿孔形は 長方形で、縦横比約3で、穿孔面積は一個当たり0.03mm程度となる。縫 い目様穿孔形で構成する微小穿孔群の特徴は、雨水などの水分は比較的通りやす いが、空気の透気性が制限されることである。シートの一部を微小に除去して穿 孔した切手シート様穿孔形は、その部分のシート材を除去してしまった孔である の対し、縫い目様穿孔形は切り込みを入れるだけの孔なので、水が存在するとき に毛細管現象で孔が塞がれるため空気が通り難くなることが分かった。その条件 は縫い目様穿孔形において、実験の結果、穿孔の長手方向の穿孔の長さは大0. 15mm以上であることが分かった。
【0027】 穿孔群の密度の調整については、帯状貼り刃の仕様が定まれば、これをロール に捲く螺旋ピッチを変えることによって微小穿孔群の任意の密度がとれ、極めて 合理的である。穿孔形状、穿孔数密度ならびに穿孔率は透水性や透気性に深く関 係するが、透水性や透気性は本考案を適用する地方、地域、地勢、気候、気象の 年間予測、土壌構成や成分など、また適用する栽培果物や農作物種類によって異 なるので一概には定めらない。むしろ、穿孔形状、穿孔密数度ならびに穿孔率な どが任意に容易に作り得ることの方が重要である。穿孔数密度と穿孔率の目安は 上記の例の場合、前者が160,000個/m程度から1,600個/m程 度、後者は0.5〜0.005%程度である。
【0028】 布状繊維集合体については、不織布、編物、織物の何れでもよく、繊維形態は ステープル状でも、フィラメント状であってもよい。繊維の繊度は任意であるが 、単位面積当りの質量を40g/m程度以下と小さくしなければならないので 、3dt(デシテックス)程度以下が望ましい。繊維の種類は綿などの天然繊維 、レーヨンなどの再生セルロース繊維、アセテートなどの半合成繊維、PET( ポリエステル)繊維などの合成繊維の何れでもよい。また、農業用であるのでポ リ乳酸系繊維、ポリサクシネート系繊維などの、バクテリアの力で水や炭酸ガス に分解する生分解性繊維は本考案に特に適合する。不織布については、原液や樹 脂から直接作るスパンボンド不織布やフラッシュスパン不織布、繊維から作る接 着法不織布、ニードルパンチ不織布など如何なる不織布でも適用できる。
【0029】 鏡面反射性メタライジング・フィルムの金属側表面に、各種の布状繊維集合体 をPE樹脂ラミネート法で接合して、鏡面光沢度と布状繊維集合体の種類、単位 面積当り質量の検討を行った。メタライジング・フィルムとしては、厚さ12μ mで光沢度94%のアルミ蒸着PET樹脂フィルムを用いた。PEラミネートは 、溶融押出機のT−ダイから膜状に押出した溶融状態のPE樹脂に、アルミ・メ タライジング・フィルム(PE側にアルミ面)と、布状繊維集合体とを両側から 圧着してシートとした。 PE膜の計算上の厚さは15μmであった。
【0030】 試料の内容を表1に掲げる。試料は、(1)アルミ・メタライジング・PFT (ポリエステル)樹脂フィルムのみ、これに加えてその表面に接合した布状繊維 集合体の種類を示すと、(2)〜(4)はPET繊維のスパンボンド法による不 織布で、構成単繊維の繊度はそれぞれ平均0.56dt、1.11dt、1.6 7dtの3種。編織布の例としては、(5)N(ナイロン)繊維のトリコット、 (6)PET繊維のトリコット、(7)N繊維の織物、(8)Co(綿)織物の 計8種である。(2)〜(4)については単位面積当りの質量についての要因検 討を加え、それぞれ(2)は6種、(3)は5種、(4)は5種試作した。
【0031】
【表1】
【0032】 表1に掲げた試料について、布状繊維集合体の単位面積当り質量と、布状繊維 集合体側の鏡面光沢度との関係を検討した。測定法はJIS Z 8741(4 5°法)に準拠し、光沢計はスガ試験機製HA−G型を使用した。図2にこの結 果をグラフにしたものを掲げる。よこ軸は繊維集合体の単位面積当り質量(g/ m)、たて軸は鏡面光沢度(%)である。図2によると、不織布においては構 成繊度にかかわらず、編織布についてもその種類にかかわらず、各繊維集合体の 単位面積当たりの質量と鏡面反射率とは、質量が大凡20〜90g/mの範囲 においては何れの繊維集合体もほぼ直線上に乗り、反比例関係にあることが分か った。
【0033】 ぎらぎら光るグラリング現象については、不快なグレア現象が起こるか否かの 官能検査を行った。晴天日の午前の太陽直下に鏡を置き、太陽反射光が目に入る 評価者の位置(グラリング観察位置)を定めた。次いで先の鏡の場所に表1の各 試料をセットし、試料上に名刺を置き、先の評果者の位置で名刺の文字が読める か否かで評価した。(1)のアルミ・メタライジング・フィルム単独の場合には 文字は全く読めなかった。グレア現象の起こらない範囲は、その境界は定かでな いが鏡面光沢度で60%以下程度であることが分かった。この結果と布状繊維集 合体の単位面積当り質量の関係でいうと大凡25g/m程度以上であることが 分かった。
【0034】 次に、実際のみかん果樹園で各種農業土壌覆いマルチシートを使用した評価を 行った。表2にこの評価に用いた試作マルチシート〜の8種の内容を掲げる 。 シートは表1の評価で用いたアルミ・メタライジング・PETフィルム単独 、シート〜については、同フィルムに表1の評価の場合と同様なPEラミネ ート法で、表1の(2)に示したPET繊維の平均繊度0.56dtで、 おの おの20、25、40、55、70、90g/mの質量の不織布をつくり、ア ルミ側の面に接合して作った。はアルミ・メタライジング・PETフィルムを 用いずに、代わりに厚さ20μmの透明なPET樹脂フィルムの上に質量90g /mの同不織布を接合したシートである。さらに〜を、貼り刃ロールに接 圧走行させる孔穿工程にかけ、短辺約0.1mm、長辺約0.3mmの長方形の 縫い目様穿孔形の微小穿孔群を設けた。微小穿孔群の密度は80,000個/m 、穿孔率は0.25%であった。
【0035】
【表2】
【0036】 果樹の種類は温州(静岡みかん)木とし、15地区の果樹園を選定し、そのお のおのの果樹園にマルチシート敷設なしのみかんの木と、その木の近傍に、例年 収穫量、樹齢、地力、日照条件などの近似している木の8本を選定し、シート 、、、、、、、の8種の試作マルチシートを敷設した。
【0037】 肥料などその後の手入れはできるだけ同様にし、シートなし、シート敷設間の 特性による差だけが現れるように常に心がけておいた。評価項目としては、収穫 までの期間はシート下の雑草の生育性、グラリング欠陥は太陽の高さとの関係な どデータ化し記録した。収穫期に至り収穫したみかんについての果物としての評 価は、糖度と収穫時の色づき具合の2項目とした。
【0038】 みかんの味は糖分、有機酸、アミノ酸、無機質、フレーバーなど各種成分の複 雑な組み合わせによって決まる。また味に直接関係のないビタミンCなどがある 。 うち昨今、糖分を表す糖度は果物の重要な評価の一つとなってきていて、この 値が高いと商品価値が高いとされる。糖度とは果物質量中の糖分の含有質量を% (百分率)で表した数値で、屈折計や比重計で測定する方法もあるが、今回は直 接測定できる糖度計を用いた。計器は増田理化学工業製デジタル糖度計SR−4 00を用いた。また、みかんの色の主成分はカロチノイドという色素で、日光に 当たることがこの成分生成の一つの要素であり、均一な色づきも果物の主要な評 価となる。
【0039】 これらの結果を表3にまとめて示す。グラリング性については作業者や近傍第 三者がぎらぎらした感じの不快感を受けたか否かの生育期全期の評価である。収 穫期の色の均一性については、シートなしの木の例年の収穫期が平均的にみて 実の上部が黄味がかった時期であり、この時期に合せて観察した結果である。シ ート下雑草の生育性については、殆ど生育なく除去作業に手間があまりかからな かった場合を良好として評価した。なお、評価の基準は表3の下の欄外に掲げた 。
【0040】
【表3】
【0041】 糖度については、果樹園15場所ごとにシート敷設なしの木と、各シート敷 設〜の木の収穫みかんについて、木ごとに無作為に選んだ50個について糖 度を測定しその平均値を、表3の糖度の欄の各シート欄の上段に果樹園1〜15 につき個別に示し、その平均値を右端に示した。またシート敷設なしの木と、 シート敷設〜の木の各々について、各果樹園ごとの糖度の差Δをシート種ご とに求め、
【0042】 しかして、推測統計法のt−分布理論からΔの平均値に「差がない」と仮定し 、各シートのt−量を計算した。この自由度においてt−分布表の値より該t− 量値の方が大きい場合には「差がない」という仮説を捨てられる。かかる場合「 シート敷設なし」と、各シートごとに「シート敷設あり」との間に危険率5%で 糖度に差が 値に*印がなく、その上段に×印を付したものは糖度に差が認められなかったシ ートである。また糖度の差がどの程度の値なのかについては、母集団平均値の推 定法により計算し、95%の信頼限界で下欄の()内に糖度のΔの平均値範囲を 示した。
【0043】 表3によると、シートなしに比較して、シート〜について糖度が高いこと を示した。鏡面反射性のアルミ・メタライシング・フィルム上の不織布、つまり 布状繊維集合体の特定の単位面積当たり質量、つまり70g/m以下程度まで は、不織布なし、つまり外層がアルミ・メタライジング・フィルムであるシート とほぼ同様の糖度であることが分かった。
【0044】 グラリング性についてはシート〜が良好で鏡面反射性のアルミ・メタライ シング・フィルム上の不織布、つまり布状繊維集合体の特定の単位面積当たり質 量以上、つまり質量25g/m程度からグラリング欠陥が解消されることが分 かった。
【0045】 シート下雑草の生育性についてはシート〜が良好であるという結果であっ た。〜が鏡面箔状金属接合のPET樹脂フィルムを使っているシートである のに対し、シートは鏡面箔状金属が接合されていないこと以外は同様にPET 樹脂フィルムを使っているのに、についてはシート下雑草の生育性が不良、つ まり雑草が生育したということは、シート雑草の生育を阻止したのは鏡面箔状金 属の効果、つまりその高い遮光性にあることが明白になった。
【0046】 糖度とグラリング性との関係から、シート〜が良好、この評価に収穫時の 色づき性、シート下の雑草生育性の関係を加えて、糖度、収穫果の色の均一性、 グラリング性、シート下雑草の生育性の4評価項目とも全て満足するシート種は 、、、、の4種であった。よって、表3より布状繊維集合体の質量の範 囲は大凡25〜70/m、図2より鏡面光沢度でいえば大凡60〜30%とい う結果であった。
【0047】 また、別な評価として、グラリング防止法として、表1記載と同様に箔状アル ミ上に、表1(6)編布の貼付、(8)織物の貼付、また、鏡面反射性の銅箔を 使用して不織布を貼布したマルチシートを作って同様な評価を実施してみたとこ ろ、雑草は生育し難にくく、できた果物の糖度の向上もみられた。前者効果が表 3のシート〜を構成する鏡面箔状金属と同様の遮光性の効果であり、後者効 果が表3のシート〜で発揮されたと同様の鏡面反射性の高い金属箔の使用の 効果であることが分かった。
【0048】 金属表面を布状繊維集合体で覆って、鏡面光沢度で30%程度でも果物の糖度 や色付き均一性に奇与することが分かったが、かように低い鏡面反射性でも糖度 向上などの効果があることに関する考察を行った結果は次の如くである。 鏡面光沢度は波長400〜700nm程度の可視光線のみについての値である が、実際には可視光線のうち、鏡面反射以外の拡散反射分が存在していて、これ が木の下から反射するし、繊維集合体に隠れている箔部分の、鏡面反射としては 捕捉されない法線角度の再反射光線も存在する。また、箔状金属があるために紫 外線や赤外線の反射の放射分も存在するので、グラリングを抑えるために、適宜 範囲の布状繊維集合体で覆って人の目に見える鏡面光沢度を下げても、糖度向上 やカロチン生成などに奇与する太陽エネルギ全体の反射による放射は大きくは下 がらないためであると考えられる。
【0049】 また、一般に農業覆いマルチシートの製品規格は、幅1m、1.5m、2mな どのロール巻き状で製品としている。本考案の農業覆いマルチシートの製品にお いては幅方向の両側の耳端は切り放し端でもよい。しかしながら、シートの耳部 をペグ、ピンなどで農土に止める場合など耳部が頑丈であることを要する場合に は、耳端を幅50〜100mm程度内側に折曲げて、折曲げ部の内側を接着剤な どで接着や縫合などの方法で接合し、厚さをシート地の大凡2倍以上にして補強 してもよい。
【0050】 また、不織布、織物、軟質合成樹脂などの別の帯状物を接着、縫合して同様に 2倍以上の厚さにし補強してもよい。また、かかる補強法は敷設法によっては幅 方向片側の耳端だけの適用でもよいし、両側の耳端に適用してももよい。かよう にすると、ペグ、ピンなどで土壌に止めた所が頑丈になるので、農業土壌覆いマ ルチシートが風雨時などに飛ばされたり、破壊したりすることがなくなる効果が あった。
【0051】
【考案の効果】
本考案は上記の通り構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0052】 (1)鏡面反射性の箔状金属表面を、布状繊維集合体で覆って人の目に害になる 可視光線の鏡面光沢度を下げることによって、ぎらぎら光るグラリング欠陥を抑 制しても、果物やトマトなどの野菜の糖度向上や、柑橘類のカロチンや林檎のペ クチン生成などに寄与する太陽エネルギ全体の反射による放射を大きくは下げな い構造の農業土壌覆いマルチシートの考案である。よって、グラリング欠陥の問 題で鏡面反射性のメタライジング・フィルムや金属箔が農業用土壌覆いシートの 部材として使い難かった点が解消され、果実栽培などの農業面での生産性への寄 与が大きい。 (2)層を構成しているメタライジング・フィルムなどの箔状金属のほぼ完全な 遮光性によって、シート下の雑草の生育を防止し、除草作業が殆ど不要になる。 (3)本考案の適用によって、雨水の適度なカット、通気性のコントロール、な らびに太陽光線を上部に反射させること、またシート下の雑草の生育を阻止する 遮光性などの複合した効果が得られる。特に雨水の適度なカットならびに太陽光 線をグラリング欠陥なしに上部に反射させる機能によって、光合成を助け収穫果 物の糖度や色づきを良好にする効果が得られる。 (4)本考案農業土壌覆いマルチシートは、穿孔群を有するのでその透水性から 敷設凹部に雨水が溜まらず、従って苔などが発生せず、作業者が滑るなどの危険 がない。 (5)本考案の農業土壌覆いマルチシートは、ソフトで薄くて軽量なので、敷設 や撤去の作業性が極めてよい。 以上、本考案は農業用ばかりでなく、林業、公園の樹木、街路樹などにも適用 でき、農林業の発展に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の農業土壌覆いマルチシートの断面拡
大略図
【図2】 布状繊維集合体の質量と鏡面光沢度との関係
【符号の説明】
1 農土 2 鏡面箔状金属 3 合成樹脂フィルム 4 布状繊維集合体 5 接合層

Claims (7)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂フィルムに鏡面箔状金属が接合
    されていて、かつ微小穿孔群を有し、該箔状金属側に鏡
    面反射を和らげるための布状繊維集合体が接合されてい
    ていることを特徴とする農業土壌覆いマルチシート。
  2. 【請求項2】 微小穿孔群において、穿孔形状が縫い目
    様穿孔形であって、その長辺が0.15mm以上である
    微小穿孔群を有することを特徴とする請求項1に記載す
    る農業土壌覆いマルチシート。
  3. 【請求項3】 布状繊維集合体の単位面積当り質量が2
    5〜70g/mであることを特徴とする請求項1に記
    載する農業土壌覆いマルチシート。
  4. 【請求項4】 表面の鏡面光沢度が60〜30%である
    ことを特徴とする請求項1に記載する農業土壌覆いマル
    チシート。
  5. 【請求項5】 鏡面箔状金属接合フィルムがアルミ・メ
    タライジング・フィルムであることを特徴とする請求項
    1、2に記載する農業土壌覆いマルチシート。
  6. 【請求項6】 布状繊維集合体がポリエステル繊維の不
    織布であることを特徴とする請求項1、2に記載する農
    業土壌覆いマルチシート。
  7. 【請求項7】 農業土壌覆いマルチシートにおいて、幅
    方向の片側あるいは両側部において外端から内側50〜
    100mm程度の部分が、該マルチシートの厚さの2倍
    以上である請求項5、6に記載することを特徴とする請
    求項5、6に記載する農業土壌覆いマルチシート。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010029111A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Futamura Chemical Co Ltd 温室用保温シート
JP2012029572A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Daiwa House Industry Co Ltd 定植面の構造
JP2017189120A (ja) * 2016-04-11 2017-10-19 大日本印刷株式会社 農業用チューブ
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JP2020068704A (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 ユニチカ株式会社 農業用光反射シート

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