JP2010025329A - 遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、狭隘な設置箇所での配設をも可能とするために、内層、編組、外層でなるそのアウターチューブが、究極の屈曲でも層間剥離を生じないようにする。
【解決手段】 レリースワイヤのアウターチューブは、内層と、編組が埋配設された外層との相互を一体融合させて、層間剥離を生じないようにした内層及び外層の両者共を、ポリオレフィン樹脂材料とすることにある。
【選択図】図1

Description

本発明は、浴槽、洗面器、及び手洗い器の排水栓の開閉を遠隔操作する遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤに関するものである。
浴槽、洗面器、及び手洗い器の遠隔操作式排水栓装置は、自転車の変速機構、及びモータボートの操舵機構等のような可撓性である一般のコントロールケーブルとは相違し、このコントロールケーブルが、コアコイルの押し引き作用でアウターチューブに引張り力、押圧力を受けるものであるのに対し、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤでは、そのアウターチューブがコアコイルによる引き作用のない、押し作用だけを受けるものであって、よって、レリースワイヤのアウターチューブは、先ず、伸び変形を抑止するものであればよいことになる。
しかも、一般のコントロールケーブルが僅かに可撓すればよいのに対し、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、狭隘な設置箇所に配設することを余儀無くされる関係上、極度に屈曲し、そのアウターチューブがそれに応じ得られるものでなければならないことになる。
且つ、その上、設置雰囲気上、熱作用を受けてもそれに耐え得られるものである等の諸条件に付いても対応できることが望まれている。
兎に角、極度な屈曲に対処できることが、最も必要不可欠であるが、従来の排水栓開閉を遠隔操作する遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤにおいては、アウターチューブが樹脂製内層の外周に高熱伝導率の金属線材からなる編組を巻装し、この外周を包み込む外層とでなる三層構造を成し、外層の成形時の加熱により内層に熱伝導がされ、それを軟化させ、編組を喰い込み係着するようにしたものである。
また、金属線材からなる編組を二重コイルばねからなるようにしたものもあるが、それにしても、これは、アウターチューブがコアコイルによる押し作用で生じる伸び変形を、一応は、阻止しようとするものである(特許文献1)。
特開2002−147430
遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、狭隘な設置箇所に配設することを余儀無くされる関係上、極度な屈曲をし、先ずは、それに応じ得られるものでなければならない。
それにしても、内層、該内層に加熱によって喰い込み係着する編組、及び外層からなる三層構造のアウターチューブ(特許文献1)は、一応、内層に喰い込んだ編組で、屈曲時での層間剥離防止に寄与するものの、現実には極度な屈曲に対応し得るものであるかが疑わしく、そして、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウターチューブには均衡のとれない内部応力が保有され、その屈曲に対する本質的機能、及び効果が求められるにも係わらず望めなく、実質的とはいえず、アウターチューブが編組によって層間剥離を生じることになり、レリースワイヤの究極の目的である屈曲を担うための根本的な解決策となっていない。
まして、二重コイルばねからなる編組にあっては、伸び変形を阻止し、アウターチューブの剛性は高められても、これによってかえって屈曲しにくくなり、全く不都合である。
遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤにおいては、アウターチューブがコアコイルによる引き作用のない、押し作用のみのものであることと、狭隘な設置箇所での屈曲によるアウターチューブへの影響に注目し、それがアウターチューブの伸び変形を抑止、低減し、究極の屈曲にも耐え得れるようにすることに鑑み、それの解決手段として、内層、編組、そして外層とでなる構造が、そのそれぞれの構造特性、及びそれに相応する材料を選択することであり、結局のところ、寧ろ、レリースワイヤにおいては、狭隘な設置箇所での屈曲が必要不可欠であるので、これに対応できるレリースワイヤが検討されることになる。
そこで、本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、結局、アウターチューブの伸びを少なくして、屈曲を大きくできるものが求められ、それには、内層と、金属線材でなる編組と、外層とでなるアウターチューブが、それに相応する伸びの少ない特性の材料を選択し、内層の外周面と編組を埋配設させた外層の内周面とを一体融合して、これら相互の層間剥離が生じないようにすることを目的とする。
課題を解決する手段
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、コアコイルを挿通摺動するアウターチューブが内層と外層との互いを融合した積層体でなり、内層と比べて比較的に柔らかい外層のその外層内には編組が埋配設されているものである。
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウターチューブの内層外周面と外層内周面との間が一体融合されて、層間剥離を生じないように内層及び外層の両者共が、ポリオレフィン樹脂材料であるものである。
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウタ−チューブが、内層をHDPE(高密度ポリエチレン)とし、外層をLDPE(低密度ポリエチレン)とし、該LDPEの外層内には編組が埋配設されるものである。
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウタ−チューブが、内層をHDPE(高密度ポリエチレン)とし、該内層外周面にLDPE(低密度ポリエチレン)のフィルムを積層、一体融合し、該フィルムの外周面にはSUSの編組を巻装し、この編組外周面には前記フィルムと同一材料のLDPE(低密度ポリエチレン)の被包体を被包し、編組の網目を透過して前記フィルムに該被包体を一体融合させて、フィルムと被包体とがLDPEの同一材料であるが故に、編組が埋配設された一体の外層となし、その上で、該外層と内層との相互が層間剥離を起さないように融合したものである。
発明の効果
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウターチューブが内層と外層との互いを融合した積層体でなり、内層と比べれば比較的に柔らかい外層のその外層内には編組が埋配設されたものであるので、埋配設による編組での層間剥離を起すことなく、まして、融合する内層と外層間での層間剥離も生じなく、究極の屈曲を可能とする。
本発明の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウターチューブにおける内層と外層とにポリオレフィン樹脂材料を用い、両者が共に同質材料とされる故に、内層外周面と外層内周面とが一層確実な一体融合をし、この一体融合で、確実に層間剥離を阻止でき、レリースワイヤの曲げ、及び伸びに対する妥当で適切なアウターチューブを得ることができる。
更に、HDPEの内層、LDPEの外層とすること、及び外層内に埋配設する編組とによって、高い永久伸び発生強度(引張ってものびない)、高いクリープ特性(引張り荷重が加った状態でも伸びない)が得られると共に、低い熱膨張(アウターチューブの長手方向の熱膨張、収縮が殆どない)であるので、温水を取扱う、浴槽、洗面器に最適切のものとすることができる。
また、外層を、どちらかというと、柔らかく、低融点のものにすることによって、その加工がしやすくし、その上、外層内にSUSの編組を埋配設し易く、且つ安価にできる。
発明を実施するための形態
遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤは、アウターチューブaにコアコイルbが挿通されたものであって、図1に示す如く、アウターチューブaが内層1と外層2との相互を一体融合させた積層体とし、内層1と比べると、比較的に軟らかい外層2のその外層内には編組3が埋配設されているものである。
遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤが狭隘な設置箇所にも配設され、究極の屈曲を強いられても、前記の如く、錆びないSUSの編組3が外層2内に埋配設され、該外層2の内周面と内層1の外周面とが融合されているので、層間剥離は免れる。更に、内層1と外層2との間で一層の層間剥離を全く回避できるようにするには、両者間の融合を確実化することにあり、それには、内層1及び外層2の樹脂材料が同系列のものに選択されることにある。
また、アウターチューブaは、引張りに対して伸びにくい、破断しにくい、更に、屈曲によっての亀裂を生じにくい合成樹脂材料が選択されることにある。
これら条件に適うアウターチューブの合成樹脂材料としてはポリオレフィン樹脂材料がある。
ポリオレフィン樹脂材料は、汎用樹脂でありながら、壊れにくく(破断強度が大きい)、比較的硬く、無毒性、低汚染性の性質を持っていて、水より比重が低い唯一の合成樹脂材料である。特に、その中でもポリエチレン樹脂は、密度と分子量との変化で性質が変えられるので、アウターチューブaの内層1と外層2とに同じ樹脂材料であるポリエチレン樹脂材料を採用し、内層1と外層2とが同じポリエチレン樹脂材料であるが故に、それによるよりよい融合ができ、層間剥離が起り得ないものとなる。
その上、ポリエチレン樹脂材料は密度の相違で性質が変えられるので、コアコイルを挿通摺動させるために硬めが望まれる内層1には、高密度で、どちらかというと硬いHDPE(高密度ポリエチレン)が用いられ、屈曲し易く、屈曲による亀裂を生じない軟らかめが望まれる外層2には、低密度で、どちらかというと軟らかいLDPE(低密度ポリエチレン)が用いられる。よって、内層1と外層2とは、同一ポリエチレン樹脂材料による確実な融合をし、また、同一ポリエチレン樹脂材料であるにもかかわらず、性質の異なるHDPE、LDPEが用いられることによって、異なる特性を充たすことができる。
アウターチューブaは、図2A、図2B、図2C、及び図2Dで示す如く、内層をHDPEとし、チューブが形成される(図2A)。該内層外周面にはLDPEのフィルム2aを積層し、内層1と一体融合させる(図2B)。その上で、該フィルム外周面にSUSの編組3を巻装して、該編組をフィルム2aに食い込む状態にする(図2C)。この編組3外周面には、前記フィルムと同一材料であるLDPEの被包体2bを被包し、編組の網目を透過して該被包体を前記フィルムに一体融合させ、編組が埋配設された外層2を形成する。このような外層2では、埋配設された編組3による層間剥離を起さない。
図3において、▲1▼内層材料:HDPE、外層材料:ナイロン系、内層と外層間に配設した編組材料:SUS304、▲2▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、内層と外層間に配設した編組材料:SUS304、▲3▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、外層内に埋配設された編組材料:SUS304の各アウターチューブに200mm幅で印を付し、先端部を針金で固定し、プッシュプルゲージの付いた昇降型引張機で、各アウターチューブを9.8N(1kgf)の単位で引張っていき、指定荷重で引張中、各アウターチューブの伸び量を測定し、各々のアウターチューブの(i)伸び発生時と、(ii)永久伸びが発生する引張荷重強度とを検証する。
尚、永久伸びの有無の判断は、引張解除(無荷重)24時間放置後に伸びが元に戻らないかどうかで判断することにする。
▲1▼内層材料:HDPE、外層材料:ナイロン系、内層と外層間に配設した編組材料SUS304でなるアウターチューブより、▲2▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、内層と外層間に配設した編組材料SUS304でなるアウターチューブは、永久伸び発生する引張荷重強度が大きく、また、これらより▲3▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、外層内に埋配設した編組材料SUS304でなるアウターチューブは、更に永久伸び発生する引張荷重強度が大きく、結局は、永久伸び発生する引張荷重強度はより大きい▲3▼のアウターチューブが引張強度の高いことが判ることになる。
よって、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤにおける伸びがより少ない望ましいアウターチューブを供することができる。
次に、図4において、▲1▼内層材料:HDPE,外層材料:ナイロン系、外層と内層間に配設した編組材料SUS304、▲2▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、外層と内層間に配設した編組材料SUS304、▲3▼内層材料:HDPE、外層材料:LDPE、外層内に埋配設した編組材料SUS304の各アウターチューブを100mmで切断し、各アウターチューブ内にコアコイルを通し、90度、180度の曲げR冶具で各アウターチューブをその指定の曲げ90度、又は曲げ180度の屈曲にまげる。そして、アウターチューブから飛び出しているコアコイルをプッシュプルゲージで押し、コアコイルを1.0N(1/9.8kgf)以上での押力でなければ困難とする場合は、それは、アウターチューブが屈曲で層間剥離を生じ、破損したものと見做し、そこで、プッシュプルゲージでの押しによる押力が1.0N(1/9.8kgf)を超える屈曲は不合格とし、各アウターチューブの限界曲げRを検証する。
▲1▼内層材料をHDPE、外層材料をナイロン系とし、内層と外層間にSUS304の編組を配設したアウターチューブのレリースワイヤは、曲げ90度に対しての曲げR冶具が8までしか小さくできず、また、曲げ180度に対しては、曲げR冶具が11以下になると不合格となる。
しかし、▲2▼内層材料をHDPE、外層材料をLDPEとし、内層と外層間にSUS304の編組を配設したアウターチューブのレリースワイヤは、曲げ90度に対しての曲げR冶具が2までも合格でき、また、曲げ180度に対しては、曲げR冶具が5まで可能とし、合格している。
更に、▲3▼内層材料をHDPE、外層材料をLDPEとし、該外層内にSUS304の編組を埋配設したアウターチューブのレリースワイヤは、曲げ90度に対しての曲げR冶具が2まで合格でき、曲げ180度に対しての曲げ冶具が4までを可能とし、合格させることができるものである。
したがって、内層材料をHDPE、外層材料をLDPEとし、外層内にSUS304を埋配設したアウターチューブによるレリースワイヤは、狭隘である究極の屈曲に対しても対応できるものとなる。
レリースワイヤの断面図である。 アウターチューブの内層成形過程の状態図である。 アウターチューブの内層外周面にフィルムを積層した状態図である。 アウターチューブの内層外周面に積層したフィルムに編組を巻装した状態図である。 アウターチューブの外層被包体を被包した状態図である。 レリースワイヤの引張強度試験結果図である。 レリースワイヤの限界曲げ強度試験結果図である。
符号の説明
a アウターチューブ
b コアコイル
1 内層
2 外層
2a フィルム
2b 被包体
3 編組

Claims (4)

  1. コアコイルを挿通摺動するアウターチューブが内層と外層との互いを融合した積層体でなり、内層と比べて比較的に軟らかい外層のその外層内には編組が埋配設されていることを特徴とする遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ。
  2. アウターチューブの内層外周面と外層内周面との間が一体融合されて、層間剥離を生じないように内層及び外層の両者共が、ポリオレフィン樹脂材料であることを特徴とする請求項1記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ。
  3. アウターチューブが、内層をHDPE(高密度ポリエチレン)とし、外層をLDPE(低密度ポリエチレン)とし、該LDPEの外層内には編組が埋配設されることを特徴とする請求項2記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ。
  4. アウターチューブが、内層をHDPEとし、該内層外周面にLDPEのフィルムを積層、一体融合し、該フィルムの外周面にはSUSの編組を巻装し、この編組外周面には前記フィルムと同一材料のLDPEの被包体を被包し、編組の網目を透過して前記フィルムに該被包体を一体融合させて、フィルムと被包帯とがLDPEの同一材料であるが故に、編組が埋配設された一体の外層をなし、その上で、該外層と内層との相互が層間剥離を起させないように融合したことを特徴とする請求項1記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ。
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