JP2010024532A - マグネトロンスパッタ装置、成膜方法、及び光学部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アーキングの抑制とクリーニング頻度の低減により、欠点の少ない膜を生産性よく製造する。
【解決手段】陽極部(30)の内部又はその近傍に補正磁気回路(32)を設け、ターゲット(18)を貫通する磁力線の一部が防着板(27)を迂回して陽極部(30)の一部を貫通する磁界を形成する。防着板(27)は、補正磁気回路(32)単独の磁力線が陽極部(30)表面の法線と最も平行に近くなる点のうち、該法線方向の前記陽極の一部を貫通する磁界の貫通位置に近い方の点における法線の方向(48)とのなす角度が10度以下の着膜側表面(27A)を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明はマグネトロンスパッタ装置及びこれを用いた成膜方法に係り、特に、光学フィルター等の光学部品の製造に好適な成膜技術に関する。
近年、光学部品は高精細化が進み、欠点のない高品質光学フィルターが要求されている。光学フィルターの製造方法は従来、蒸着法が一般的であったが反応性スパッタを用いて高速に成膜する技術が進んだことにより、ターゲット材料をその長手方向に長くすることで、処理する基板の大きさと数を増やすことが可能な反応性マグネトロンスパッタ法を利用した成膜方法が使われ始めている。
しかしながら、大型のターゲットを用いる反応性マグネトロンスパッタ法によりSiO2やAl2O3といった絶縁材料を成膜する場合、アーキングと呼ばれる異常放電の発生や、陽極部が絶縁膜に覆われることによる膜厚分布とエロージョン(侵食)形状の変動、さらには、放電が維持できなくなるといった問題が生じ、長期にわたる連続生産が困難である。
かかる課題に対し、絶縁膜を反応性スパッタリングにより成膜するときに生じるアーキングの問題を抑制するために単一のターゲットに、1〜500kHzの中周波数の電圧を印加するDCパルススパッタ法や、2つのターゲットに1〜500kHzの交流電圧を印加することでターゲット表面や真空槽壁に堆積した絶縁材料へのチャージアップを抑制するACスパッタ法が提案されている(非特許文献1)。
W.D. Sproul a,D.J. Christie b, D.C. Carterb;"Control of reactive sputtering processes"; Thin Solid Films 491 (2005) 1-17
W.D. Sproul a,D.J. Christie b, D.C. Carterb;"Control of reactive sputtering processes"; Thin Solid Films 491 (2005) 1-17
しかしながら、単一のターゲットに中周波数の電圧を印加するDCパルススパッタ方法は、陽極に絶縁膜が付着していない状態ではアーキングが抑制されるものの、陽極に絶縁膜が生成されると放電空間のプラズマポテンシャルが上がり、陰極近傍のみならず陽極近傍においてもアーキングが発生する現象が発生する他、陽極が完全に絶縁物に覆われると陽極が消失し長期の放電を行うことは難しい。
一方、ACスパッタ法は2つのターゲットを陽極と陰極を交互に入れ替えることで、電極となるターゲットのエロージョン部には絶縁膜が厚く堆積しないため、大型のターゲットであっても長期にわたり大きなアーキングの頻度と陽極の消失が抑制される。
しかし、ターゲットの非エロージョン部(非侵食部)には絶縁膜が付着することから、陽極と膜との間で電位差が生じ、非エロージョンとターゲット上でアーキングが発生するほか、絶縁膜の付着量に依存して、空間的、時間的にインピーダンスに変動が生じエロージョン形状、膜厚分布が変動するといった問題が生じることから生産性が低下する要因となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、大型のターゲットにも適用でき、ターゲットや周辺部材の清掃をせずに長期間にわたりアーキングを抑制し、欠点の少ない膜を生産性よく製造することができるマグネトロンスパッタ装置及びこれを用いた成膜方法並びに光学部品の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るマグネトロンスパッタ装置は、ターゲット上に磁界を形成する磁気回路と、前記ターゲットに少なくとも一時的に負の電圧を印加する電源と、少なくとも前記電源に接続される陽極部への着膜を防止する機能を有する防着機構と、を備えるマグネトロンスパッタ装置であって、前記陽極部の内部又はその近傍に補正磁気回路が設けられ、当該補正磁気回路と前記磁気回路により形成される磁力線の中で、前記ターゲットを貫通する磁力線の一部が前記防着機構を迂回して前記陽極部の一部を貫通することを特徴とする。
本発明によれば、ターゲット上にプラズマを閉じ込めるマグネトロン放電用の磁気回路による磁力線の一部が、陽極部に配置された補正磁気回路から発生する磁力線と繋がって防着機構を迂回する磁力線が形成され、該磁力線に沿って電子を陽極に効率よく流入させることができる。
また、防着機構によって陽極部への着膜を抑制することができるため、アーキングの頻度を大幅に低減でき、クリーニング頻度を抑えることができる。
本発明の一態様として、前記補正磁気回路単独で形成される磁力線を補正磁力線と定め、当該補正磁力線が前記陽極面を貫通する点における前記陽極面の法線と前記補正磁力線が、平行または最も平行に近くなる点の前記陽極法線の方向を「陽極部補正磁界方向」と定義するとき、前記防着機構が、陽極部補正磁界方向と略平行な着膜側表面をすくなくとも一つ備えるマグネトロンスパッタ装置を提供する。
防着機構は、陽極部補正磁界方向と略平行な面(膜が付着するカバー面となる着膜側表面)を有していることが望ましい。特に、陽極部補正磁界方向とのなす角度が0度(平行)であることが好ましい。本発明における実用的な効果を得る観点から「略平行」の許容範囲として、陽極部補正磁界方向となす角度が±10度の範囲内とする。
本発明の他の態様として、前記補正磁気回路と前記磁気回路とによって形成される磁界の前記着膜側表面と平行な磁界成分の絶対値が50G以上であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
本発明の他の態様として、前記ターゲットの形状が矩形であり、当該矩形ターゲットの裏面側に前記磁気回路が配置されることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
かかる矩形ターゲットを用いる場合において、さらに、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲットに接する面に平行な線と、前記防着機構の前記着膜側表面のなす角度が10度以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
また、矩形ターゲットを用いる他の態様として、前記防着機構の前記着膜側表面は、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲットに接する面に平行な線と一致する位置又はこれよりも前記磁気回路側の位置に配置されていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
本発明はターゲットの大型化に対応でき、例えば、ターゲットの侵食部の表面積が0.06m2以上の大型のターゲットを用いることができる。
本発明のさらに他の態様として、前記ターゲットの形状が円筒形であり、当該円筒ターゲットの内側に前記磁気回路が配置されることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
かかる円筒ターゲットを用いる場合において、さらに、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接線と、前記防着機構の前記着膜側表面のなす角度が10度以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
また、円筒ターゲットを用いる他の態様として、前記防着機構の前記着膜側表面は、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接線と一致する位置又はこれよりも前記磁気回路側の位置に配置されていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置を提供する。
本発明のマグネトロンスパッタ装置に用いる前記電源として、DCパルス電源を用いることができる。
また、本発明のマグネトロンスパッタ装置を用いてスパッタリングを行うことにより、基板上に膜を形成することを特徴とする成膜方法を提供する。成膜すべき膜の種類に応じてターゲットの材料や導入するガスの種類が選択される。
さらに、本発明の成膜方法を用いて誘電体膜を形成することを特徴とする光学部品の製造方法を提供する。本発明を用いることにより、高品質の光学多層膜を高い生産性で大量に生産することができる。
本発明によれば、アーキングを抑制し欠点の少ない高品質の薄膜を形成することができ、かつクリーニング頻度を押させることができる。また、補正磁気回路の導入により陽極への電子の流入を均一化できるため、装置を大型化することが可能になり、スループットの向上に寄与することができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
<第1の実施形態:マグネトロンスパッタ装置の説明>
図1は本発明の実施形態に係る矩形型マグネトロンスパッタ装置の断面図である。このマグネトロンスパッタ装置10は、真空排気用の排気口12とガス導入口14を有する真空槽16の中に、ターゲット18、磁気回路20、防着機構26、陽極部30及び補正磁気回路32を備えて構成される。
図1は本発明の実施形態に係る矩形型マグネトロンスパッタ装置の断面図である。このマグネトロンスパッタ装置10は、真空排気用の排気口12とガス導入口14を有する真空槽16の中に、ターゲット18、磁気回路20、防着機構26、陽極部30及び補正磁気回路32を備えて構成される。
本発明の防着機構の機能はターゲット18からスパッタリングにより飛翔するスパッタ粒子が陽極部30に付着するのを防ぐことを主たる目的としているが、電位の遮蔽、膜厚分布の補正、ガスの供給など、複数の機能を兼ね備えていても良い。
ガス導入口14からは希ガス(例えばアルゴン)と反応性ガス(例えば、酸素)が導入される。ターゲット18の形態は特に限定されないが、本実施形態では、長手方向が500mm、幅方向が135mmの矩形ターゲットを用いる。
ターゲット18の裏面側にはマグネトロン放電用の磁気回路20が配置される。磁気回路20は、中央磁石20Aのターゲット18側表面がS極、左右両側の外周磁石20Bのターゲット18側表面はN極となっており、ターゲット18の侵食面18A側(図1の上面側)にトンネル型の磁力線による磁界を形成する(図2参照)。
磁気回路20の中央磁石20Aと外周磁石20Bの磁極は、逆の極性であっても良く、外側磁石20Aのターゲット18側表面がN極、左右両側の外周磁石20Bのターゲット側表面がS極であっても良い。その場合、補正磁気回路32の極性も反転される。
補正磁気回路32は磁石32Aと隣接するヨークと呼ばれる磁性体33を有していてもよい。ヨークの機能は磁場の形状を所望の形に整えることである。
ターゲット18を保持しているターゲット保持部34には不図示の冷却機構が設けられており、該ターゲット18にはDCパルス電源36の陰極が接続される。DCパルス電源36には、例えば、Advanced Energy社製 PinnacleTM Plus+ 10kWを用いることができる。
ターゲット18及びその保持部34を含む陰極部40の外側には、防着機構26を介して陽極部30が配置される。図1において陽極部30は、磁気回路20の対称軸CL(図1においてターゲット18の中心線と同軸)に対して、左右対称位置に配置されているが、陽極部30および補正磁気回路32は対称軸CLに対して非対称な配置であっても機能する。各陽極部30は、真空槽16から電気的に浮遊させた状態で不図示の支持部材に固定され、それぞれDCパルス電源36の陽極が接続される。
防着機構26は、主としてターゲット18からスパッタリングにより飛翔するターゲット材(スパッタ粒子)が陽極部30に付着するのを防ぐための手段であり、陽極部30と陰極部40の間に配置される。
本例の防着機構26は、陽極部30の上方、すなわち、ターゲット18の侵食面18A(図1における上側に露出する表面)側を覆う第1防着板27と、陽極部30の陰極部磁石回路側の側面部分を覆う第2防着板28とを略T字形に組み合わせて構成されている。
また、この防着機構26とターゲット保持部34との間には絶縁シート44が配置されている。
陽極部30は、ターゲット18の侵食面18Aよりも低い位置(磁気回路20側)に配置されている。この陽極部30の上方を覆う第1防着板27の上面(スパッタリングによって膜が付着することになる着膜側表面27A)は、ターゲット面と平行であり、ターゲット18の侵食面18Aと同じ高さ、若しくは、これよりも低い位置に配置されている。
すなわち、図1において、磁気回路20の対称軸CLと、ターゲット18の侵食面18Aとが交差する点P0を通り、当該ターゲット18の表面と平行な線Lsを「ターゲット面基準線」と呼ぶことにすると、第1防着板27の着膜側表面27Aは、ターゲット表面基準線Lsと一致する位置か、若しくはこれよりも下側(磁気回路20側)の位置に配置される。
なお、本例では、第1防着板27の着膜側表面27Aとターゲット表面基準線Lsとのなす角度が0度(平行)である場合を例示しているが、両者のなす角度は10度以下の範囲で許容される。
補正磁気回路32は、陽極と陰極を貫通しかつ第1防着板27を迂回する磁界(図2の符号46)を形成するために、陽極部30付近に配設される。
本例では、陽極部30の中に補正磁気回路32が配置されているが、陽極部30の近傍に配置する態様も可能である。
図3は陽極部30と補正磁気回路32の関係を示した断面図(陽極部の長手方向に垂直な切断面による断面図)である。なお、図3は図1中の左側に配置した陽極部30を示している。図1の右側に配置される陽極部30については、図3と同様の構造であり、図3の左右反転した鏡映の図面となる。
図3に示したように、補正磁気回路32を内包する陽極部30の断面形状は矩形であり、補正磁気回路32は、S極が左側面30Aに向き、N極が右側面30Bに向くように補正磁石が横向きに配置され、N極と隣接してヨークと呼ばれる磁性体33が配置されている。図3に示した磁力線は、当該補正磁気回路32単独で形成される磁界を示すものである。
補正磁気回路32は、図3の陽極部30の左側面30A部に図1で説明した第1防着板27を迂回する磁界(図2の符号46)が主に貫通するように配置されている。これは図1で説明した防着機構26が図3の陽極部30の左側面30A部を開放する構造であり、当該左側面30Aが電子の主要な流入面となるためである。
図3において、陽極部30の左側面、右側面、上面、下面の各表面の法線(各法線方向を矢印A〜Dで示した)と補正磁気回路32単独による磁力線とが平行または最も平行に近くなる点、P1とP2の法線の方向(矢印A)を太線矢印(符号48)で示す。この太線矢印(符号48)で示した方向は、便宜上、「陽極部30の補正磁気回路32から生じる電場と磁場とが平行になる方向」、或いは「補正磁気回路32により形成される磁場と陽極部30の表面法線が平行になる方向」と表現する場合があるが、より簡潔に「陽極部補正磁界方向」という用語を用いる。
図1,図2に示したように、少なくとも一つの補正磁気回路32により形成される磁場と陽極部30の表面法線が平行になる方向(符号48の太線矢印が示す陽極部補正磁界方向)と、第1防着板27の着膜側表面27Aとが平行になるように構成された陽極部30にDCパルス電源36の陽極が接続される。陽極磁界方向は複数存在することがあるが、その中の少なくとも一つの陽極磁界方向と防着機構の着膜表面が略平行となればよい。特に、図1で説明した第1防着板を迂回し陽極部を貫通する磁力線と陽極部表面の交点に近い点に存在する陽極部磁界方向と着膜表面とが略平行になることが好ましい。
また、真空槽16内には、被成膜基材となる基板50が配置される。本例では、ターゲット18と対向する位置に基板50を固定しているが、装置構成によっては、基板50とターゲット18が正対しない態様や基板50とターゲット18が相対的に移動する態様(回転型、インライン型、カルーセル型など)も可能である。
成膜時には、真空槽16内に希ガス(例えば、Ar)を導入してターゲット18に電力を投入することでターゲット18上のプラズマを発生させ、該プラズマ中のアルゴンイオン(Ar+)のエネルギーでターゲット材料の粒子を飛翔させ基板50に付着させる。このとき真空槽16内の反応ガス(例えば、O2)と反応して酸化膜が基板50上に形成される。目的とする膜の種類に応じて、ターゲット材料とガスの種類が選択される。
さらに、本実施形態ではターゲット材料もしくは反応ガスを起源とする波長のプラズマの発光量を制御量として測定し、反応ガスを操作量として制御する不図示の成膜速度制御手段が備え付けられており、これにより成膜速度を高速かつ一定に管理することができる。
<成膜工程の例:SiO2膜の成膜方法>
次に、図1で説明したマグネトロンスパッタ装置10において多結晶Siターゲットを用いて、SiO2膜を成膜する工程の一例ついて説明する。
次に、図1で説明したマグネトロンスパッタ装置10において多結晶Siターゲットを用いて、SiO2膜を成膜する工程の一例ついて説明する。
まず、真空槽16は不図示の減圧ポンプによって排気され、所望の到達真空度まで排気される。その後、マグネトロンスパッタで放電可能な圧力に調整するため、Arガスを導入し真空槽16内を加圧し、圧力が安定したことを確認した後に、多結晶Siをターゲット材としたターゲット18を含む陰極部40に電力を供給する。
次に、酸化膜を得るために酸素を導入する。酸素の導入に際しては、前記成膜速度制御手段により、あらかじめ成膜速度と膜質とプラズマ発光量の関係(相関)を取得し、所望の膜質と成膜速度の得られるプラズマ発光量を設定値として、前記成膜速度制御手段に入力する。その入力値にあわせて、酸素流量が決定され酸化膜を生成することができる。
このとき遷移モードと呼ばれる動作領域の一部と反応モードと呼ばれる動作領域で透明なSiO2膜がターゲット18と真空槽16壁の一部と基材50に生成される。
<本実施形態による作用効果について>
絶縁材料であるSiO2膜が、ターゲット18と真空槽16の一部と基材50に生成されると、プラズマにさらされた膜は帯電し電界を形成する。一般に、陰極部や陽極部に絶縁膜が形成されると、膜表面と電極部の電位差が大きくなり、アーキングが発生しやすくなる。
絶縁材料であるSiO2膜が、ターゲット18と真空槽16の一部と基材50に生成されると、プラズマにさらされた膜は帯電し電界を形成する。一般に、陰極部や陽極部に絶縁膜が形成されると、膜表面と電極部の電位差が大きくなり、アーキングが発生しやすくなる。
特に、真空槽壁を電源の陽極部とする従来公知のマグネトロンスパッタリングでは常に陽極部に絶縁膜が生成される上に、その付着量分布により絶縁膜と導電性のある箇所の境界が生じアーキングが発生しやすくなる。
これに対し、本発明の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置10による成膜装置では、陽極部30を真空槽16から電気的に浮遊した部材に固定しており、当該陽極部30の上部を防着機構26で覆っているため、スパッタ材料から飛翔する粒子による陽極部30への着膜が抑制される。これにより、陽極が絶縁されることを防止できるとともに、アーキングを起こしやすくする電界の生成を抑制することができる。
しかしながら、陽極部30の周囲を防着機構26で覆うことにより着膜を防止するのと同時に、電子が陽極部30に流入するのも防いでしまい、放電を正常に維持できなくなる。
また、真空槽から電気的に浮遊させた陽極部(特に、長尺の陽極棒)を備えた成膜装置において、電子流入箇所に偏りが発生したときに生じる問題として、不均一なエロージョンや膜厚分布の異常などが知られている他(P. Sieck; Efect of Anode Location on Deposition Profiles for Long Rotatable Magnetrons; Society of Vacuum Coaters37th Annual Technical Conference Proceedings (1994)233-236、以下「参考文献1」という。)、電圧の異常な変動や陽極の損傷になども生じる可能性が高くなる。
かかる課題に対して、本実施形態では、陰極から発生する電子が防着機構26を迂回して陽極に効率よく流入するような磁界を形成するように補正磁気回路32を配置する(図2参照)。これにより、上記の課題を解決する。
電子は磁力線に沿って移動する性質を持つため、陰極近傍に配置された磁気回路20による磁力線が、陽極付近に配置された補正磁気回路32(補正磁石)から発生する磁力線とつながっており、かつ防着機構26と磁力線ができるだけ交わらず、できるだけ平行になるように陽極付近に補正磁気回路32を配置した(図1,図2参照)。
また、防着機構26はターゲット18の侵食面18A側と陰極部磁石回路側に配置され(第1防着板27及び第2防着板28)、第1防着板27をターゲット18の侵食面18Aに対してできるだけ平行(略平行)にすることにより防着機構26と陽極部30に付着する膜材料の量が軽減される。
ここでいう「略平行」の範囲は、厳密に平行である場合に限定されず、本発明の作用効果が得られる許容範囲を含むものであり、例えば、平行を0度とした場合に±10度以内を許容範囲とする。
補正磁気回路32と防着機構26の配置関係と放電安定性に関する実験結果を表1に示す。ここでは、第1防着板27と陽極部補正磁界方向(符号48方向)とのなす角、及び第1防着板の着膜表面27Aにおいて、着膜側表面27Aに平行な方向の磁場の大きさの最小値を可変パラメータとして条件を変えたときの放電安定性を評価したものである。
[表1]中の「○」は放電が安定していることを示し、「×」は放電が不安定であることを示している。[表1]に示したように、第1防着板27と陽極部補正磁界方向(符号48方向)とのなす角の許容範囲は0度〜10度であり、第1防着板27上における第1防着板の着膜表面27Aにおいて、着膜側表面27Aに平行な方向の磁場の大きさの最小値は50G以上であることが望ましい。磁界方向が着膜側表面27Aに平行な方向であるだけでなく、ターゲットの長手方向に垂直な方向の磁場の大きさの最小値が50G以上であることがさらに望ましい。
本実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置は、アーキングが従来のDCパルスによるマグネトロンスパッタ装置に比べて、100分の1〜10000分の1以下の頻度に抑制でき、アーキングやチャンバー内部(真空槽16内部)に付着した膜の落下を由来とする欠点を大幅に減らすことができる。
また、従来、比較的大きなターゲットを有するマグネトロンスパッタ装置において遷移領域で高速に成膜を行うと、そのターゲット面積の大きさと着膜量の多さから、アーキングが多発し絶縁性の低い化合物を生成するよりも短い周期でクリーニングの周期を実施する必要があったが、本実施形態による成膜装置では、アーキングを長期間にわたって抑制できるためクリーニングの間隔を長くすることが可能になる。
<従来の成膜装置との比較>
次に、本発明を適用した成膜装置と、従来の成膜装置の具体的な比較例を示す。
次に、本発明を適用した成膜装置と、従来の成膜装置の具体的な比較例を示す。
図4は、図1に示した本実施形態の装置から陽極部30と補正磁気回路32を取り外し、DCパルス電源5の陽極を真空槽16とアースに接続した構成のマグネトロンスパッタ装置(比較例1)である。この比較例1における磁力線の様子を図5に示す。
図1の本実施形態に係るマグネトロン成膜装置と図4の比較例1に係るマグネトロン成膜装置でそれぞれ[表2]の成膜条件で放電を行い、酸素流量と電圧の特性(図6)と、30分間に発生したアーキングの頻度(図7)をDCパルス電源に内蔵されたアーキング検知機能を使って測定した。
図6に酸素流量と放電電圧の特性を示す。図6中●点と実線は、本発明によるマグネトロンスパッタ装置(図1)の特性であり、×点と点線は比較例1に係るマグネトロンスパッタ装置(図4)の特性である。
図6に示すように、2つの放電特性はほぼ一致しており、本発明によるマグネトロンスパッタ装置が、比較例1に係るマグネトロンスパッタ装置と放電インピーダンスの点で差がなく、防着機構26を配置しても陽極が正常に機能していることを示している。
図7には放電電圧と30分間に発生したアーキングの頻度の関係を示す。●点と実線は本発明によるマグネトロンスパッタ装置(図1)の特性であり、×点と点線は比較例1に係るマグネトロンスパッタ装置(図4)の特性である。
図7のように、各点でのアーキング頻度は100分の1〜10000分の1以下に抑制されている。
次に陽極部30に配置した補正磁気回路32の効果を確認するための比較例について説明する。
図8は図1に示した本実施形態の成膜装置から陽極部30の補正磁気回路32を取り外した構成のマグネトロンスパッタ装置(比較例2)である。このようなスパッタ装置は、「隠れ陽極(hidden anode)」などと呼ばれるマグネトロンスパッタ装置として知られている(H. BartzschU, P. Frach, K. Goedicke; Anode effects on energetic particle bombardment of the substrate in pulsed magnetron sputtering; Surface and Coatings Technology 132(2000) 244-250 、以下「参考文献2」という。)。
図8に示す比較例2に係る装置の陽極部30’と、図1に示した本実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置10の陽極部30にそれぞれアルミ箔を巻き、[表3]に示す成膜条件で60分間放電を行った。
図9は、比較例2に係るマグネトロンスパッタ装置(図8)におけるターゲット及び陽極部30’の要部平面図である。なお、図8では便宜上、防着機構26を省略して描いている。図示のように、矩形ターゲット18の両側に、当該ターゲット18と略同等の長さの陽極棒31(陽極部30’を構成する棒状の部材)が平行に配置される。
図8中二点鎖線円で囲んだ部分が陽極棒31におけるアルミ箔の溶解箇所を示している。このように、比較例2に係るマグネトロンスパッタ装置(図8)では、陽極棒31のコーナー部のみでアルミ箔が溶解しており、電子が陽極棒の直線部に流入しておらず、コーナー部だけに流入していることがわかる。
この電子が陽極部に均一に流入しない現象は、長手方向に長い円筒形や矩形のマグネトロンスパッタリング装置で発生し、直線部とコーナー部でインピーダンスが異なることにより生じ、異常な膜厚分布やエロージョンを引き起こすことが知られている(参考文献1)。
これに対し、本発明の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置(図1)では、磁力線が集中する陽極面の長手方向に均一にアルミ箔の溶解が見られた。
これは、図1のマグネトロンスパッタ装置10では、電子が陽極部30の長手方向に対して均一に流入していたのに対し、比較例2に係るマグネトロンスパッタ装置では電子が不均一に陽極に流入していること示している。
本発明の実施形態によれば、電子が陽極部の全体にわたって均一に流入することにより、ターゲット18を大型化するときに顕在化する大型化陽極への熱負荷や、直線部とコーナー部で不均一なエロージョンや膜厚分布を改善することができる。
次に、放電電流波形を比較する。
本発明の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置(図1)と、比較例2に係るマグネトロンスパッタ装置(図8)によって、それぞれ[表3]の条件で放電したときの陰極の電流波形をオシロスコープで測定した結果を図10、図11に示す。
図10,図11の横軸(時間軸)の全範囲は0.005秒であり、250周期分に相当する波形である。
図10に示した本発明の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置(図1)の波形は、電流の振幅がほぼ一定に保たれているのに対し、図11に示した比較例2に係るマグネトロンスパッタ装置(図8)の波形は電流の振幅が大きく変動していることがわかる。
この現象(放電電流が大きく変動する現象)は、次の要因で発生する。すなわち、電子が陽極部に流入し難いと、空間のプラズマポテンシャルが上がることで電子を陽極に流入させることができるが、陽極部に電子が流入すると、プラズマポテンシャルが低下するため、再び電子が陽極部に流入し難くなる。これが連続して発生することにより、インピーダンスの変動が発生している。このインピーダンス変動は、プラズマの発光制御の不具合やアーキングの発生の要因になるため好ましくない。
以上に説明したように本発明の実施形態によれば、陽極部へのスパッタ材料の着膜を防着機構26により抑制し、補正磁界によりカソード近傍で発生した電子を陽極部に流入しやすくすることにより、アーキングを抑制し、欠点の少ない薄膜を生成し、かつクリーニングの頻度を抑えることができる。
また、補正磁気回路32の導入によって陽極への電子の流入を均一化することにより、装置を大型化することが可能になる。その結果、スループットの向上に寄与することができる。
本発明を適用した成膜装置を用いてSi,Al,Nb,Ta,Ti,Zn,Hfを主たる成分としたターゲットを用いて酸素ガス、窒素ガスをチャンバー内に導入し高屈折率材料と低屈折率材料を積層し、所望の光学特性をもつ多層膜(光学部品)を生産することができる。
特に、SiO2やAl2O3などの絶縁性の高い膜を成膜する際には異物欠点の少ない膜を安定的に長期にわたって成膜することが可能になる。
本発明の実施に際して、具体的な形態は様々な変形が可能である。補正磁気回路の構成や配置、防着板の形態、陽極部の配置など、具体的な装置形態に対応して様々な設計が可能である。以下、いくつかの変形例について説明する。
また、上記各実施形態では、基板50とターゲット18を対向配置した構成を示したが、両者が相対的に移動する形態のもの、基板50を搬送しながら成膜を行うものなど、様々な方式がある。基板の搬送系に関しては、カルーセル型、インライン型、静止型、回転型など、いずれのタイプにも適用できる。
カソードの形状については、上述した矩形型平板に限らず、円柱(円筒)型のものにも適用できる。特に、本願発明は、ターゲットの長手方向への大型化(長尺化)に対応できる技術であることから、矩形や円柱型に好適に適用できる。
本発明は、基板に形成する膜の種類は、アーキングが特に問題となる高絶縁体SiO2やAl2O3の成膜に好適である。誘電体、導電体の成膜についても同技術を適用できる。
ターゲット材料については、SiO2やAl2O3に代表される高絶縁体の
使用する電源については、DCパルス電源を好適に適用できる。ただし、これに代えて、DC電源やAC電源を用いる態様も可能である。
使用する電源については、DCパルス電源を好適に適用できる。ただし、これに代えて、DC電源やAC電源を用いる態様も可能である。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図12〜図18に本発明の他の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置の構成を示す。これらの図面において、図1に示した構成と同一又は類似する部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
<第2の実施形態>
図12は第2の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置210の構成図である。図1と比較した相違点を説明すると、図12に示した形態における補正磁気回路232は、図12の上下方向にS極同士を対向配置した構成である。かかる磁石配置により、図1と同様の符号48で示す陽極部補正磁界方向を実現している。
図12は第2の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置210の構成図である。図1と比較した相違点を説明すると、図12に示した形態における補正磁気回路232は、図12の上下方向にS極同士を対向配置した構成である。かかる磁石配置により、図1と同様の符号48で示す陽極部補正磁界方向を実現している。
<第3の実施形態>
図13は第3の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置310の構成図である。図1と比較した相違点を説明すると、図13に示した形態における補正磁気回路332は、図13の左右方向にS極同士を対向配置した構成である。かかる磁石配置により、図13の上向き方向の陽極部補正磁界方向(符号48)を実現している。また、防着機構326の第1防着板327は、陽極部補正磁界方向に延設されている。
図13は第3の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置310の構成図である。図1と比較した相違点を説明すると、図13に示した形態における補正磁気回路332は、図13の左右方向にS極同士を対向配置した構成である。かかる磁石配置により、図13の上向き方向の陽極部補正磁界方向(符号48)を実現している。また、防着機構326の第1防着板327は、陽極部補正磁界方向に延設されている。
<第4の実施形態>
図14は第4の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置410の構成図である。この形態は、図13の補正磁気回路332に代えて、上向きがS極となる補正磁気回路432を採用したものであり、他の構成は図13と同様である。
図14は第4の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置410の構成図である。この形態は、図13の補正磁気回路332に代えて、上向きがS極となる補正磁気回路432を採用したものであり、他の構成は図13と同様である。
<第5の実施形態>
図15は第5の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置510の構成図である。この形態は、陽極部30をターゲット面基準線Lsよりも上側(基板50側)に配置した例である。この場合、第1防着板527は、陽極部30の下側を覆うように配置される。
図15は第5の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置510の構成図である。この形態は、陽極部30をターゲット面基準線Lsよりも上側(基板50側)に配置した例である。この場合、第1防着板527は、陽極部30の下側を覆うように配置される。
<第6の実施形態>
図16は第6の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置610の構成図である。この形態は、図15と比較して磁気回路20の構成と、補正磁気回路32の構成(補正磁石の向き)を変更したものである。
図16は第6の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置610の構成図である。この形態は、図15と比較して磁気回路20の構成と、補正磁気回路32の構成(補正磁石の向き)を変更したものである。
<第7の実施形態>
図17は第7の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置710の構成図である。この形態は、陽極部30をターゲット面基準線Lsよりも上側(基板50側)に配置するとともに、陽極部補正磁界方向(符号48)が同図の下向きとなるように構成したものである。この場合、第1防着板727は、陽極部30のターゲット18側の側面部分を覆うように配置される。
図17は第7の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置710の構成図である。この形態は、陽極部30をターゲット面基準線Lsよりも上側(基板50側)に配置するとともに、陽極部補正磁界方向(符号48)が同図の下向きとなるように構成したものである。この場合、第1防着板727は、陽極部30のターゲット18側の側面部分を覆うように配置される。
<第8の実施形態>
図18は第8の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置810の構成図である。この形態は、図1で説明した矩形平板のターゲット18に代えて、円筒ターゲット818を用いたものである。磁気回路20は円筒ターゲット818の内部に配設される。円筒ターゲット818を採用した場合、磁気回路20の対称軸CLと円筒ターゲット818の侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接線(図の二点鎖線で示した線)をターゲット面基準線Lsとする。
図18は第8の実施形態に係るマグネトロンスパッタ装置810の構成図である。この形態は、図1で説明した矩形平板のターゲット18に代えて、円筒ターゲット818を用いたものである。磁気回路20は円筒ターゲット818の内部に配設される。円筒ターゲット818を採用した場合、磁気回路20の対称軸CLと円筒ターゲット818の侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接線(図の二点鎖線で示した線)をターゲット面基準線Lsとする。
この線よりも下側(磁気回路20側)に第1防着板27の着膜側表面27Aを配置することが望ましい。
10…スパッタリング成膜装置、12…排気口、14…ガス導入口、16…真空槽、18…ターゲット、18A…侵食面(侵食側表面)、20…磁気回路、20A…中央磁石、20B…外周磁石、26…防着機構、27…第1防着板、27A…着膜側表面、28…第2防着板、30…陽極部、30’…陽極部、30A…左側面、30B…右側面、31…陽極棒、32…補正磁気回路、33…磁性体(ヨーク)、34…ターゲット保持部34、36…DCパルス電源、40…陰極部、44…絶縁シート、48…陽極部補正磁界方向、50…基板、110,210,310,410,510,610,710,810…マグネトロンスパッタ装置、232…補正磁気回路、326…防着機構、327,527,727…第1防着板、332,432…補正磁気回路
Claims (13)
- ターゲット上に磁界を形成する磁気回路と、前記ターゲットに少なくとも一時的に負の電圧を印加する電源と、少なくとも前記電源に接続される陽極部への着膜を防止する機能を有する防着機構と、を備えるマグネトロンスパッタ装置であって、
前記陽極部の内部又はその近傍に補正磁気回路が設けられ、当該補正磁気回路と前記磁気回路により形成される磁力線の中で、前記ターゲットを貫通する磁力線の一部が前記防着機構を迂回して前記陽極部の一部を貫通することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。 - 前記補正磁気回路単独で形成される磁力線を補正磁力線と定め、前記補正磁力線が前記陽極面を貫通する点における前記陽極面の法線と、前記補正磁力線とが、平行または最も平行に近くなる点の前記陽極面の法線の方向を「陽極部補正磁界方向」と定義するとき、前記防着機構が、前記陽極部補正磁界方向と略平行な着膜側表面を少なくとも一つ有する請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記防着機構は、前記陽極部補正磁界方向とのなす角度が10度以下の前記着膜側表面を少なくとも一つ有する請求項2に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記補正磁気回路と前記磁気回路によって形成される磁界の前記着膜側表面と平行な磁界成分の絶対値が、前記着膜側表面上で50G以上である請求項1〜3のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記ターゲットの形状が長辺と短辺とを有する矩形であり、当該矩形ターゲットの裏面側に前記磁気回路が配置される請求項1〜4のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲットに接する平面と、前記防着機構の前記着膜側表面のなす角度が10度以下である請求項5に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記防着機構の前記着膜側表面は、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲットに接する面に平行な線と一致する位置、またはこれよりも前記磁気回路側の位置に配置されている請求項5又は6に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記ターゲットの形状が円筒形であり、当該円筒ターゲットの内側に前記磁気回路が配置される請求項1〜4のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接平面と、前記防着機構の前記着膜側表面のなす角度が10度以下である請求項8に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記防着機構の前記着膜側表面は、前記ターゲットの長手方向に垂直な断面における前記磁気回路の対称軸と前記ターゲットの侵食側表面とが交差する点における当該ターゲット表面の接線と一致する位置又はこれよりも前記磁気回路側の位置に配置されている請求項8又は9に記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 前記電源はDCパルス電源である請求項1〜10のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のマグネトロンスパッタ装置を用いてスパッタリングを行うことにより、基板上に膜を形成することを特徴とする成膜方法。
- 請求項12に記載の成膜方法を用いて誘電体膜を形成することを特徴とする光学部品の製造方法。
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