JP2010024171A - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

カルボニル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アリルエステル化合物から、一段でカルボニル化合物を効率良く製造できる方法を提供する。
【解決手段】特定のアリルエステル化合物を、第8〜第12族の遷移金属元素を含む2種以上の遷移金属錯体触媒の存在下、水と反応させてカルボニル化合物(b)を製造する方法。過剰量の水の添加を必要とせず、反応収率の向上を達成することが可能であるので、本発明は工業的に極めて有用である。その際、遷移金属元素を含む、2種以上の遷移金属錯体触媒を用いることで、1種の遷移金属錯体触媒を用いた場合よりも、より迅速に反応が進行する。
Figure 2010024171

【選択図】なし

Description

本発明は、カルボニル化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、アリルエステル化合物の加水分解を少量の水により不可逆的に進行させて一段反応で実施可能なカルボニル化合物の製造方法に関するものである。
カルボニル化合物の中でも、特にアルデヒド類は工業的に大規模に製造される重要な化合物群であり、それらを製造するにあたり、原料としてオレフィンを用いたヒドロホルミル化反応が主に用いられる。しかしながら、ヒドロホルミル化反応では、毒性の高いオキソガスを使用する必要があるため、より安全にアルデヒド類を製造する方法が求められてきた。
オレフィンのヒドロホルミル化反応以外のアルデヒド類の製造方法として、例えば、非特許文献1には、鉄錯体触媒を用いてアリルアルコールを異性化して、アルデヒド、ケトン等、カルボニル化合物を合成する反応が開示されている。また、非特許文献2には、ロジウム錯体触媒を用いた、アリルアルコール異性化による光学活性アルデヒド合成反応が開示されている。これらの例においては、原料としてアリルアルコールが用いられる。
このアルデヒド類の原料となるアリルアルコールを得るための一つの方法として、酸触媒によるアリルエステル化合物の加水分解反応を利用したアリルアルコールの合成が知られている。
一方、非特許文献3には、パラジウム塩を用いてビニルエステル類、ビニルエーテル類を加水分解することによりアルデヒド類を得る反応が開示されている。
J.Org.Chem.1967.32.2356. J.Org.Chem.2001.66.8177. Org.Lett.2004.6.509.
しかしながら、非特許文献1,2に開示された、酸触媒によるアリルエステルの加水分解反応を利用したアリルアルコールの合成では逆反応による化学平衡が存在するため、効率よく加水分解を行うために多量の水を添加することが必要となる問題があった。また、有機化学品と水との分離は小規模であれば大きな問題とはならないが、通常蒸留分離が採用される大規模製造法では、水と有機物との分離に多量のエネルギーが必要であり、さらにアリルアルコールのようなヒドロキシ基を有する親水性の化合物は、水との分離が困難であるという問題があった。
また、非特許文献3に開示された、逆反応無く、加水分解することによりアルデヒド類を得る反応は、パラジウム塩を用いてビニルエステル類、ビニルエーテル類を加水分解するものであり、アリルエステル化合物の加水分解を不可逆的に進行させてアルデヒド類を得るものではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アリルエステル化合物の加水分解を少量の水により不可逆的に進行させて一段反応で実施可能なカルボニル化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アリルエステル化合物からアルデヒド類、ケトン類を一段反応で合成できれば逆反応を回避でき、少量の水の存在下で効率よく反応が進行すると考え検討を行った。アリルエステルの加水分解によるアリルアルコール合成反応には逆反応による化学平衡が存在するのに対し、アリルエステル化合物を加水分解と異性化反応を組み合わせて、一段反応でアルデヒド、ケトンなどのカルボニル化合物へと変換できれば逆反応が存在しないと考えられるためである。
その結果、本発明者らは、特定の遷移金属錯体の共存下、アリルエステル化合物と水とを反応させることで、不可逆的にアリルエステル化合物からアルデヒド類、ケトン類などのカルボニル化合物を製造できることを見出した。その際、遷移金属元素を含む、2種以上の遷移金属錯体触媒を用いることで、1種の遷移金属錯体触媒を用いた場合よりも、より迅速に反応が進行することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、下記の<1>から<7>の発明に係るものである。
<1> 下記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物を、第8〜第12族の遷移金属元素を含む2種以上の遷移金属錯体触媒の存在下、水と反応させ、下記一般式(b)で表されるカルボニル化合物を製造するカルボニル化合物の製造方法。
Figure 2010024171

(一般式(a)中、Ra〜Rcはそれぞれ独立して置換基を有してもよい水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれ、Rdは置換基を有してもよい水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表し、Reは置換基を有してもよいアルキル基、又はアリール基を表す。また、Ra〜Reが有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれるいずれかの基である。)
Figure 2010024171

(一般式(b)中、Ra〜Rdは、それぞれ一般式(a)におけるRa〜Rdと同義である。)
<2> 前記一般式(a)及び(b)中、Rdが水素原子である前記<1>に記載のカルボニル化合物の製造方法。
<3> 前記遷移金属錯体触媒の少なくとも1種がルテニウム錯体触媒である前記<1>または<2>記載のカルボニル化合物の製造方法。
<4> 前記遷移金属錯体触媒が、リン配位子を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
<5> 前記リン配位子が複座のホスフィン類である前記<4>に記載のカルボニル化合物の製造方法。
<6> 前記遷移金属錯体触媒が、共役ジエン類またはそのアニオン体を配位子として含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の製造方法において、更にpKaが4よりも小さい酸の共役塩基を存在させるカルボニル化合物の製造方法。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、アリルエステル化合物と水との反応により、一段反応でアルデヒド類などのカルボニル化合物を高い収率で製造できるため、工業的に極めて有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。以下、その詳細について説明する。
本発明は、上記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物を、第8〜第12族の遷移金属元素を含む2種以上の遷移金属錯体触媒の存在下、水と反応させ、上記一般式(b)で表されるカルボニル化合物を製造するカルボニル化合物の製造方法に係るものである。
本発明において、原料とする上記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物は、単独で用いても数種類の混合物として用いても良いが、生成物の分離が困難となり、複雑なプロセスとなってしまうため、単独で用いることが好ましい。
上記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物の具体例としては、酢酸アリル、酢酸クロチル、酢酸−2−シクロペンテニル、5−メチル−3−アセトキシシクロヘキセン、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3−ヘキセン、酢酸−1−フェニル−1−ブテン−3−イル、酢酸−1−シクロヘキシル−2−ブテン、酢酸−2−ヘキセニル、2−ドデセニルアルコール、蟻酸ゲラニル、酢酸ゲラニル、酢酸−3−フェニル−2−プロペン、9−フェノキシ−7−ノネン−3−オン酸メチル、酢酸−3−ブテン−2−イル、イソブチル酸−2,4−ヘキサジエニル、酢酸プレニル、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−3−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2,3−ジメチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロヘキセン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロペンテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロヘプテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロオクテン、マロン酸ジアリルエステル、テレフタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、1−アセトキシ−2−ヘキセン、安息香酸アリルなどを挙げることができる。なお、これらのアリルエステル化合物はシス、トランスのいずれの異性体も使用することができる。
上記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物のうち、好ましいものとしては酢酸エステル類または安息香酸エステル類であって、Rdは水素原子であるアリルエステル化合物である。その具体例としては、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−3−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、酢酸アリル、酢酸クロチル、1−アセトキシ−2−ヘキセン、安息香酸アリル等が挙げられる。この中でも特に好ましくは、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、酢酸アリル、酢酸クロチル、1−アセトキシ−2−ヘキセン、安息香酸アリルである。
また、本発明により製造される上記一般式(b)で表される生成物のカルボニル化合物は、上記一般式(a)で表されるアリルエステル化合物と水とが反応して生成した化合物である。
すなわち、一般式(b)で表されるカルボニル化合物は、上記具体例で示した一般式(a)で表されるアリルエステル化合物と水とが反応して生成した化合物であり、好ましくは、4−アセトキシブタナール、4−ヒドロキシブタナール、1−アセトキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−アセトキシ−3−メチル−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、1−アセトキシ−2−メチル−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブタノン、プロパナール、ブタナール、ヘキサナール等が挙げられ、特に好ましくは、4−アセトキシブタナール、4−ヒドロキシブタナール、1−アセトキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、プロパナール、ブタナール、ヘキサナールである。
次に、本発明で使用される、第8〜第12族(IUPAC無機化学命名法改訂版(1998)による)の遷移金属元素を含む遷移金属錯体触媒(以下、単に「遷移金属錯体触媒」と称す。)について説明する。
遷移金属錯体触媒としては、一般式(a)で表されるアリルエステル化合物に対する加水分解触媒活性を有する、第8〜12族の遷移金属錯体であれば、特に限定されないが、錯体の中心原子である遷移金属元素として、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀を含むものが好ましく、特にルテニウム、パラジウム、金を含むものが好ましい。
本発明の製造方法において、上記遷移金属錯体触媒は、2種以上を組み合わせて使用する必要がある。上記遷移金属錯体触媒を2種以上組み合わせて使用することで、単独で使用した際には得ることができない反応効率を得ることができる。なお、上記錯体触媒の中心原子である遷移金属元素の組み合わせは、特に限定されないが、ルテニウムとパラジウムとの組み合わせを含むことが特に望ましい。
また、上記遷移金属錯体触媒は、それぞれが少なくとも1モル%以上含まれればよく、錯体触媒が2種の場合には、モル比として1:99〜99:1の範囲で自由に選択することができる。
詳細な触媒調整方法は後述するが、前記遷移金属錯体触媒は、次の遷移金属元素を含む原料を使用して、錯体触媒調製の常法に従い調整することができる。
前記遷移金属錯体触媒に含まれる遷移金属元素の原料としては、第8〜12族の遷移金属、第8〜12族の遷移金属化合物のいずれもが挙げられ、その具体的な遷移金属化合物の形態としては、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ハライド塩、有機塩、無機塩、アセチルアセトナト化合物、アルケン配位化合物、アミン配位化合物、ピリジン配位化合物、一酸化炭素配位化合物、ホスフィン配位化合物、ホスファイト配位化合物などが挙げられる。なお、遷移金属化合物の形態は特に制限されず、単量体、二量体及び/又は多量体であってもよい。
例えば、ルテニウムを含む遷移金属錯体触媒(以下、「ルテニウム錯体触媒」と称す。)の調製には、ルテニウム金属、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、テトラ(トリメチルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドデカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム、テトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム、トリス(アセトニトリル)シクロペンタジエニルルテニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(アセトニトリル)(トリフェニルホスフィン)シクロペンタジエニルルテニウムヘキサフルオロホスフェートなどを用いることができ、特に塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、テトラキス(ジメチルスルホキシド)ジクロロルテニウム、トリス(アセトニトリル)シクロペンタジエニルルテニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(アエトニトリル)(トリフェニルホスフィン)シクロペンタジエニルルテニウムヘキサフルオロホスフェートが好適に使用される。
また、パラジウムを含む遷移金属錯体触媒(以下、「パラジウム錯体触媒」と称す。)の調製には、パラジウム金属、塩化パラジウム、酸化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセトルアセトナト、臭化パラジウム、ジクロロ(1,5−オクタジエン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、アリルパラジウムクロライドダイマーなど用いることができ、特に塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセトルアセトナト、ジククロビス(アセトニトリル)パラジウムが好適に使用される。
上記遷移金属錯体触媒に含まれる配位子としては、単座配位子、複座配位子のいずれでもよく、その種類も特に限定されないが、反応速度の向上や触媒の安定化の観点からは、リンを配位原子とする配位子(以下、「リン配位子」と称す。)が好適であり、具体例としては、ホスフィン類、ホスファイト類、ホスホロアミダイト類など種々のリン化合物が挙げられる。この中でも、好ましくはホスフィン類であり、特に複座のホスフィン類が好ましい。また、これらのリン配位子は、単一で用いても、数種類の混合物で用いてもよい。
通常、使用可能なリン配位子としては、次の式(1)で表されるリン配位子が挙げられる。

PX123・・・・・・・・(1)

(式中X1〜X3は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(環状アルキル基も含む)、アリール基、アルコキシ基、アリールアルコキシ基、ヒドロキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。なお、前記置換基は、リンを含有してもよい。)
また、上記式(1)で表されるリン配位子のなかでも、好適な例として、X1〜X3がそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数6〜50のアリール基、炭素数1〜50のアルコキシ基、炭素数7〜50のアリールアルコキシ基、炭素数6〜50のアリーロキシ基、炭素数7〜50のアルキルアリーロキシ基から選ばれる単座または複座のリン配位子が挙げられる。
また、一般式(1)で示されるリン化合物のうち、好ましいものとしてはトリアリールホスフィン、ジアリールホスフィン、モノアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、2座アリール置換ホスフィンが挙げられる。
その具体例を示すと、トリフェニルホスフィン(以下、「PPh3」と表記することもある。)、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルイソプロピルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジメチルホスフィノエタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、BINAP等が挙げられる。
特に好ましくはトリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン等である。
これらのリン配位子の量は、該遷移金属錯体触媒に含まれる遷移金属元素の合計量に対する比率(モル比)として、0.1〜1000の値を採用することができ、好ましい量として0.5〜200であり、より好ましい量として0.5〜20である。
なお、リン配位子の量が少なすぎた場合には、反応速度の向上効果が得られず、また多すぎた場合には触媒コスト増大のため、プロセスの競争力が低下する。
さらに、本発明で用いる遷移金属錯体触媒は、共役ジエン類またはそのアニオン体を配位子として含有することが好ましい。
具体的な共役ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン(以下、「Cp」と表記することもある。)、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられ、好ましくは、ブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエンである。
また、具体的な配位子としての共役ジエン類のアニオン体としては、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、上記の共役ジエン類のアニオン体などが挙げられる。
なお、これらの配位子としての共役ジエン類またはそのアニオン体は、置換基を有していてもよい。
また、本発明で使用する遷移金属錯体触媒は、pKaが4より小さい酸の共役塩基を用いて、カチオン性錯体の形で反応に用いることもできる。前記共役塩基を用いて、カチオン性錯体とすることで、活性の向上、触媒の安定化など幾つかの点において効果的である。
pKaが4よりも小さい酸の共役塩基としては、触媒調製中または反応系中においてかかる共役塩基を形成するものであれば良く、その供給形態としてはpKaが4より小さいブレンステッド酸あるいはその各種の塩などが用いられる。
具体的には硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸等のブレンステッド酸もしくはこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩等があげられる。
また、上記の酸の共役塩基が反応系で生成すると考えられる酸誘導体の形で添加してもよい。例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で反応系に添加しても同様の効果が期待される。
なお、pKaが4よりも小さい酸、その酸誘導体あるいはその塩の使用量は、該遷移金属錯体触媒に含まれる遷移金属元素の合計量に対する比率(モル比)として、0〜1000、好ましくは0〜100、特に好ましくは0〜10の範囲である。
本発明で使用される遷移金属錯体触媒は、上述した遷移金属元素を含む原料、配位子となる化合物を使用して、錯体触媒調製の常法に従い調整することができる。
本発明のカルボニル化合物の製造方法における原料となる、上記一般式(a)で表せるアリルエステル化合物及び水と共に、錯体触媒の前駆体を反応開始前に混合し、反応系内で遷移金属錯体触を合成してもよいが、あらかじめ遷移金属錯体触媒を反応系の外で合成して用いてもよい。なお、反応系外で遷移金属錯体触媒を合成すると、錯体触媒の前駆体から効率よく純度が高い遷移金属錯体触媒を得ることができる。
反応系外での遷移金属錯体触媒の合成法としては、上述の遷移金属錯体触媒の原料を溶媒中あるいは溶媒非存在下で攪拌することにより合成することができる。
合成時の温度は、0℃〜300℃、好ましくは20℃〜200℃であり、合成時の圧力は、0〜1.0MPa/G、好ましくは0〜0.5MPa/G、であり、通常、常圧(0MPa/G)であり、合成時間は、0〜24時間、好ましくは0〜10時間である。
なお、上述のルテニウム錯体触媒原料から、作製可能なルテニウム錯体触媒の例としては、[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6、[RuCp(PPh32(CH3CN)]PF6、[RuCpP(p-CF3643)(CH3CN)2]PF6、[RuCp(PCy3)(CH3CN)2]PF6、[RuCp(CH3CN)3]PF6などが挙げられ、この中でも[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6が高活性であるため好ましく用いられる。
以下、本発明の製造方法について具体的に説明する。
上述のように、本発明は、上記の一般式(a)で表されるアリルエステル化合物を、第8〜第12族の遷移金属元素を含む2種以上の遷移金属錯体触媒の存在下、水と反応させ、一般式(b)で表されるカルボニル化合物を製造する方法である。
本発明は、通常液相中で行われ、溶媒の存在下、又は非存在下のいずれでも実施可能である。
本発明を実施する際の反応方式として、攪拌型の完全混合反応器やプラグフロー型の反応器を用いて、連続方式、半連続方式または回分方式のいずれでも行うことができる。反応器内の気相部は、溶媒、原料化合物、反応生成物、反応副生物、触媒分解物等に由来する蒸気以外は、アルゴンや窒素等の不活性ガスで形成されていることが望ましい。特に空気の漏れ込み等による酸素の混入が触媒劣化、即ちホスフィン化合物等のリン配位子の酸化消失の原因となるため、その量を極力低減させることが望ましい。
本発明の製造方法では水の添加が必須であるが、水の添加量は、通常、原料である上記の一般式(a)で表されるアリルエステル化合物のモル量に対して0.1〜1000倍、好ましくは0.5〜100倍、最も好ましくは1〜10倍である。水の添加量が多すぎる場合には触媒劣化の原因となる上、更に反応後の生成物である上記の一般式(b)で表されるカルボニル化合物の分離が困難となる。また水の添加量が少なすぎた場合には反応速度の低下、カルボニル化合物の収率の低下を引き起こす。
また、溶媒を使用する場合、好ましい溶媒として、触媒及び原料のアリルエステル化合物を溶解するものであれば使用可能であり特に限定はされない。具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等のアルコール類、ジグライム、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジアリルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン、ジ(n−オクチル)フタレイト等のエステル類、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、反応で生成する副生物そのもの、またはアリルエステル化合物そのもの、生成物であるカルボニル化合物そのもの、アリルエステル化合物の脱離基に由来する化合物等が挙げられる。特に好ましくは、テトラヒドロフランなどのエーテル類、異性化反応で生成する副生物そのもの、または原料であるアリルエステル化合物そのもの、生成物であるカルボニル化合物そのものである。溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、原料であるアリルエステル化合物の合計重量に対して0.1〜100重量倍、好ましくは0.2〜50重量倍、最も好ましくは1〜10重量倍である。溶媒量が多すぎる場合には反応速度が低下し、溶媒添加量が少なすぎた場合には触媒の溶解、水とアリルエステル化合物の混合が困難となる。
上述の2種以上の遷移金属錯体触媒を、上記アリルエステル化合物及び水を含む反応液(以下、「反応系」と称す。)に共存させることで、上記アリルエステル化合物の不可逆的型の加水分解反応が進行し、上記カルボニル化合物を得ることができる。
反応液中の遷移金属錯体触媒の濃度は、含まれる遷移金属の濃度で表現して、通常、0.00001−100モル/L、好ましくは0.0001−10モル/Lである。触媒濃度が高すぎると触媒コスト増大により工業的に使用不可能となる。また、低すぎると反応時間が長時間必要となることから著しく巨大な反応器が必要となり、工業的に使用不可能となる。また、上述の通り、上記遷移金属錯体触媒は、反応系にそれぞれが少なくとも1モル%以上含まれればよい。
さらに、上述の通り、遷移金属錯体触媒は、あらかじめ反応系の外で合成しても、原料となるアリルエステル化合物及び水と共に、遷移金属錯体触媒の前駆体を反応開始前に反応系に混合して合成してもよいが、後者の場合、遷移金属錯体触媒の前駆体となる、遷移金属化合物、リン化合物など配位子の原料となる物質を反応系に存在させる方法は特に限定されるものではなく、添加した遷移金属化合物や配位子原料化合物が、反応系において目的とする形態になればよい。
例えば、リン化合物としてホスフィン類を使用する場合では、反応系中で酢酸などのカルボン酸と形成するホスフォニウム化合物の形態でも同効果が得られる。ホスフィン類、ホスフォニウム化合物いずれの形態で反応液に添加してもよい。
なお、本発明を実施する温度は、通常20〜200℃であり、好ましくは40〜180℃、特に好ましくは60℃〜150℃である。反応温度が高すぎると、高圧条件となるだけでなく、錯体触媒のメタル化による劣化が進行し、活性の消失が進行する。また反応温度が低すぎた場合には、反応速度が低下し、長大な反応器が必要となってしまう。
また、本発明では、反応系の加圧は本質的には必要とされていないが、反応状況によっては加圧してもよい。ただ、加圧する場合でも、触媒系が極めて高活性であることから通常、1気圧〜数気圧程度でよい。
反応時間は反応基質濃度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが、数分から100時間で反応は完結する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、安息香酸アリル、酢酸アリル、アリルシクロヘキサノエート、アリルシクロペンタネート、プロパナール、安息香酸の分析は内部標準法によるガスクロマトグラフィーにより行った。その際、内部標準としてジエチレングリコールジメチルエーテル(ジクライム)を使用した。また、ルテニウム錯体触媒である、[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6は、[RuCp(CH3CN)3]PF6とPPh3とを、混合することで作製した。
使用した試薬、分析装置は次の通りである。
「試薬」
・安息香酸アリル(東京化成社製)
・酢酸アリル(アルドリッチ社製)
・1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン(アルドリッチ社製)
・テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)
・1,2−ジメトキシエタン(DME)(和光純薬工業社製)
・[RuCp(CH3CN)3]PF6(Strem社製)
・PPh3(アルドリッチ社製)
・ジクライム(東京化成社製)
・PdCl2(CH3CN)2(実験化学講座第4版18巻392頁の記載の方法に準じて合成)
・アリルシクロヘキサノエート(シクロヘキサン酸と臭化アリルより合成)
「分析装置」
・ガスクロマトグラフィー(アジレントテクノロジー社製、型番:GC−6850)
実施例1
[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6:4.3mg、PdCl2(CH3CN)2:2.6mg、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン:4.3mg、 安息香酸アリル:162mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで85℃に昇温し、85℃で加熱攪拌を20分行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は81%であり、安息香酸アリルの転化率は98%であった。
実施例2
[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6:4.3mg、PdCl2(CH3CN)2:2.6mg、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン:4.3mg、酢酸アリル:100mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで85℃に昇温し、85℃で加熱攪拌を30分行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は81%であり、酢酸アリルの転化率は100%であった。
実施例3
[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6:4.3mg、PdCl2(CH3CN)2:2.6mg、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン:4.3mg、アリルシクロヘキサノエート:168mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで85℃に昇温し、85℃で加熱攪拌を24.5時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は79%であり、アリルシクロヘキサノエートの転化率は94%であった。
実施例4
[RuCp(CH3CN)3]PF6:8.7mg、PdCl2(CH3CN)2:5.2mg、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン:9.0mg、ヘキサン酸アリル:156mg、脱塩水:36mg、DME:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで85℃に昇温し、85℃で加熱攪拌を1時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は90%であり、ヘキサン酸アリルの転化率は100%であった。
実施例5
[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6:6.5mg、AuCl(PPh3):4.9mg、安息香酸アリル:162mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで85℃に昇温し、85℃で加熱攪拌を1時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は79%であり、安息香酸アリルの転化率は99%であった。
比較例1
[RuCp(PPh3)(CH3CN)2]PF6:6.6mg、安息香酸アリル:163mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、オイルバスで80℃に昇温し、80℃で加熱攪拌を1時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールが収率52%であった。安息香酸アリルの転化率は99%であった。
比較例2
RuCl(Cp)(PPh32:7.3mg、NH4PF6:8.2mg、安息香酸アリル:163mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、アルミヒーターで80℃に昇温し、80℃で加熱攪拌を1時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、プロパナールの収率は38%であった。また、安息香酸アリルの転化率は95%であった。
比較例3
Ru3(CO)12:6.4mg、1−アセトキシ−2−ヘキセン:142mg、NH4PF6:8.2mg、脱塩水:36mg、テトラヒドロフラン:1.0mLをガラス製フラスコ内で混合し、アルミヒーターで80℃に昇温し、80℃で加熱攪拌を24時間行なった。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、ヘキサナールの収率は11%であった。1−アセトキシ−2−ヘキセンの転化率は43%であった。
本発明により、アリルエステル化合物を加水分解してカルボニル化合物を製造するにあたり、過剰量の水の添加を必要とせず、反応収率の向上を達成することが可能であるので、本発明は工業的に極めて有用である。

Claims (7)

  1. 一般式(a)で表されるアリルエステル化合物を、第8〜第12族の遷移金属元素を含む2種以上の遷移金属錯体触媒の存在下、水と反応させ、一般式(b)で表されるカルボニル化合物を製造することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
    Figure 2010024171

    (一般式(a)中、Ra〜Rcはそれぞれ独立して置換基を有してもよい水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれ、Rdは置換基を有してもよい水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表し、Reは置換基を有してもよいアルキル基、又はアリール基を表す。また、Ra〜Reが有していてもよい置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれるいずれかの基である。)
    Figure 2010024171

    (一般式(b)中、Ra〜Rdは、それぞれ一般式(a)におけるRa〜Rdと同義である。)
  2. 前記一般式(a)及び(b)中、Rdが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  3. 前記遷移金属錯体触媒の少なくとも1種がルテニウム錯体触媒であることを特徴とする請求項1または2記載のカルボニル化合物の製造方法。
  4. 前記遷移金属錯体触媒が、リン配位子を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
  5. 前記リン配位子が複座のホスフィン類であることを特徴とする請求項4に記載のカルボニル化合物の製造方法。
  6. 前記遷移金属錯体触媒が、共役ジエン類またはそのアニオン体を配位子として含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の製造方法において、更にpKaが4よりも小さい酸の共役塩基を存在させることを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009539781A (ja) * 2006-06-08 2009-11-19 上海交通大学 C2−対称の面性キラリティーだけをもつルテノセンビスホスフィン配位子及びその合成方法

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