JP2010022295A - 霊芝エキスの製造方法、該方法により製造された霊芝エキス、及び該霊芝エキスの使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造設備及び処理工程にかかる費用を削減し、簡単且つ短時間に、所望の機能性成分を含む良質な霊芝エキスを抽出することの可能な霊芝エキスの製造方法を提供する。
【解決手段】 炭素原子数2〜10の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩から選択された1種類以上の有機酸塩を含む水溶液に霊芝子実体を浸漬することにより霊芝エキスの抽出を行う霊芝エキスの製造方法が得られた。この製造方法によると、抗酸化性に優れた霊芝エキスが優れた抽出効率により得られる。
【選択図】 図2
【解決手段】 炭素原子数2〜10の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩から選択された1種類以上の有機酸塩を含む水溶液に霊芝子実体を浸漬することにより霊芝エキスの抽出を行う霊芝エキスの製造方法が得られた。この製造方法によると、抗酸化性に優れた霊芝エキスが優れた抽出効率により得られる。
【選択図】 図2
Description
本発明は霊芝エキスの製造方法、これにより得られた霊芝エキス、及び霊芝エキスの化粧料成分としての使用方法に関する。
シイタケ、エノキタケ、シメジ類等の菌茸類は古くから食物として知られているが、近年ではその薬理効果が注目を集めている。特に、健康食品、医薬、化粧品産業を初めとする各種分野においては、菌茸類の各成分の具体的な作用やその応用についての研究が進められている。
このような菌茸類のうち、サルノコシカケ科に属する霊芝(レイシ)についても、各種の優れた効果が報告されている。具体的には、霊芝がβ−グルカンなどの多糖類やガノデリン酸などのトリテルペン類などの成分を含み、抗腫瘍作用、免疫増強作用、抗炎症作用、代謝促進作用等の種々の作用を有することがわかっている。
菌茸類の有効成分を抽出するためには、従来より、熱水のみを用いた抽出方法、アルコールやクロロホルム等の有機溶媒を用いた抽出方法等が用いられている。
特許文献1には、まず霊芝子実体の粉砕物に熱水を加えて水溶性多糖類等の水溶性成分を抽出した後、更に抽出残渣に含水アルコールを加えてガノデリン酸等の含水アルコール可溶化成分を抽出する方法が記載されている。
更に、特許文献2では、霊芝をクエン酸等の有機酸の低温水溶液に浸漬して3ヶ月以上放置する霊芝エキスの低温抽出方法が提案されている。この方法によると揮発性成分や油脂成分の放出を回避することができる旨が記載されている。特許文献2においては、霊芝エキスから抽出に用いた有機酸を除去することなく、更に水、砂糖、ビタミンCを添加して3ヶ月以上放置し、ブランデー等の酒類を添加した上で飲料液とされる。
菌茸類の抽出方法としては、上記の他に、酵素処理方法、及びアルカリ抽出方法等があり、各種の抽出方法を多段階に組み合わせて用いることも一般的に行われている。
従来より用いられている上述の熱水抽出では、霊芝エキスのうち主に水溶性成分のみが得られる。一方、アルコール等の有機溶媒を用いた抽出方法では主に脂溶性成分のみが抽出される。すなわち、いずれの方法においても水溶性成分、及び脂溶性成分の双方を、一度で得ることは困難である。
更に、特許文献1に記載された抽出方法では、熱水による抽出工程と、含水アルコールによる抽出工程が順次行われるため、水溶性成分と脂溶性成分の双方を抽出することは可能である。しかしながら、この方法では異なる溶媒による二回の抽出方法を行うため、工程で所望の成分を全て抽出する方法と比較すれば、抽出時間が長く、装置及び処理が複雑である。
また、特許文献1の方法では、熱水による抽出工程、及び有機溶媒による抽出工程のいずれにおいても、抽出効率が満足とは言い難い。更に、一般には含水アルコールが抽出物に残存することは望ましくはなく、含水アルコールを完全に除去するための困難を伴う。
他方、特許文献2の抽出方法では、低温抽出によるため、抽出時間が長いにもかかわらず各工程における霊芝の各成分の抽出濃度には限界がある。更に、この抽出方法では、有機酸、水、砂糖、ビタミンC等の混合物中に霊芝エキスが抽出され、同混合物に更にブランデー、ホワイトリカー、日本酒、梅酒、果実酒等の酒類を添加して飲料とされる。従って、特許文献2の抽出方法では霊芝抽出物から抽出に用いた添加剤等を除去する必要性はなく、仮に添加剤の除去を試みたとしても全ての成分の除去には困難が予想される。
更に、酵素処理方法では、酵素自体が高価である上、熱や外界の微生物等の影響を受けない状態で酵素を用いるための管理が困難である。また、酵素処理方法により抽出される成分は使用する酵素の種類よって偏ったものとなる。更に、エキス抽出後の後処理ないし酵素の除去も容易ではない。
この他、アルカリ抽出方法では一般に水酸化ナトリウム等の強アルカリが用いられ、抽出エキスにアルカリが高濃度で残留する。アルカリを中和することも検討されているが、中和処理の他、生じた塩の除去という作業が更に必要となる。また、アルカリ抽出方法でも、抽出成分の種類は限られている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、製造設備及び処理工程にかかる費用を削減し、簡単且つ短時間に、所望の機能性成分を含む良質な霊芝エキスを抽出することの可能な霊芝エキスの製造方法、これにより得られた霊芝エキス、及び霊芝エキスの使用方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者等は、炭素原子数2〜10の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩から選択された1種類以上の有機酸塩を含む水溶液に霊芝子実体を浸漬することにより、霊芝エキスの抽出を行うことを特徴とする霊芝エキスの製造方法を見出した。
本発明の上記製造方法によると、霊芝に含まれる所望の水溶性成分及び脂溶性成分の双方が良好に抽出される。すなわち、多種類の成分が高濃度で短時間に抽出されるという、抽出効率の飛躍的な向上が達成される。
本発明の製造方法では、前記水溶液が、有機酸塩と水とのみから構成されることが好ましい。
抽出に用いる水溶液が水と有機酸塩とから構成され、これ以外の成分が実質的に添加されないことにより、霊芝に含まれる各種の成分が更に効果的に水溶液中に取り込まれるようになる。また、付加的な試薬を用いないことにより、抽出操作後の精製処理を単純化することができる。
本発明の有機酸塩は、カルボン酸塩であると好ましく、特にヒドロキシル基を有するモノ−、ジ−、又はトリカルボン酸であると好ましい。
種々の有機酸塩の中でもカルボン酸塩を用いると、霊芝の抽出が特にエキスの抽出量の面で良好に行われる。
また、有機酸塩はナトリウム塩であることが好ましい。
有機酸ナトリウム塩は、溶解性や粘性が適度なため、水溶液の調製や取り扱いが容易である。更に、有機酸ナトリウム塩の水溶液を用いることにより霊芝エキス抽出の処理効率及び抽出効率が向上する。
更に、本発明の方法において用いられる有機酸塩は、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酒石酸ナトリウムであることが好ましい。
上記炭素数の有機酸の塩を用いると霊芝エキスの抽出効率が向上すると共に、得られた霊芝エキスから脱塩する作業が容易となる。
更に、本発明の製造方法に用いられる水溶液に含まれる水は、蒸留水、純水、又は超純水、特に超純水であると好ましい。
抽出用の水溶液の大部分を占める水に不純物が含まれないことにより、霊芝成分が水分子間に取り込まれる効率が向上し、結果として優れた効率にて霊芝が抽出される。
更に、本発明の製造方法に使用される水溶液における有機酸塩の含有率は水溶液全体の質量に対して0.01質量%〜15質量%であると好ましい。
有機酸塩の水溶液は、有機酸塩の濃度が低い場合にも優れた抽出効果を示すため、溶質である有機酸塩の使用量が少なく経済的である。また、このような低濃度の有機酸ナトリウム塩を用いることにより、抽出された霊芝エキスからの脱塩が容易となる。更に、有機酸塩水溶液の濃度を調節することにより霊芝エキスの脱塩を行わずに、直接各用途に適用することもできる。
更に、本発明の製造方法では、抽出温度が35〜100℃、抽出時間が1時間〜8時間であると好ましい。
このような抽出条件を用いることにより、抽出操作が効率化され、十分な霊芝に含まれる各成分をそれぞれ高濃度で抽出可能とされる。
本発明の抽出は、単一工程で行われることが好ましい。
すなわち、本願発明では有機酸塩の水溶液を用いることにより上述のように霊芝の所望の成分が高効率で抽出されるために、これ以外の抽出工程を特に組み合わせる必要はなく、使用装置と操作が単純化される。
更に、本発明の水溶液による抽出を行った後、抽出残渣を乾燥させ、該残渣を本発明の有機酸塩水溶液に浸漬させることにより二回目の抽出を行うことも可能である。
従来の方法によると、二回目の抽出では抽出が可能であったとしてもごく僅かに過ぎなかったが、本願発明の方法によると、二回目の抽出によっても多量の抽出物が得られる。
更に、本発明の水溶液により得られた霊芝エキスを、酢酸エチル又はクロロホルム等の有機溶媒で再抽出(以下、「逆抽出」という)してもよい。
これにより、霊芝エキスのうちの脂溶性画分を選択的に抽出することができる。
また、霊芝には赤芝あるいは紫芝等の種々の種類があり、種類に応じて成分及び含有量が異なるため、使用目的によって適宜選択使用される。また、栽培条件により、同一の胞子から形状の異なる霊芝、例えば傘形の霊芝及び鹿角霊芝等が得られるが、霊芝の形状の相違はエキスの抽出効率や粉砕処理等に何ら影響を与えるものではない。
本発明では、上記製造方法により得られた霊芝エキスが提供される。
本発明の方法により得られた霊芝エキスは、優れた抗酸化性を有するため、食品・飲料、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び化学等の各分野において多目的に使用される。
本発明の霊芝エキスは弱酸性であること、及び霊芝に由来する天然成分以外を実質的に含まない状態まで精製可能であることにより、各分野において簡単かつ安全に使用される。
更に、本発明では、本発明の霊芝エキスを化粧料の機能性成分、特に抗酸化成分として用いる方法が提供される。
すなわち、本発明の霊芝エキスは優れた抗酸化性を有するため、化粧料に添加することにより美白効果を得ることができる。また、本発明の霊芝エキスは天然由来の材料である上に、弱酸性であるため、直接皮膚等に用いる化粧料において安全であり、皮膚を良好に保護する。また、本発明の霊芝エキスは化粧料中での相溶性も良好であり、化粧料の他の構成成分の各美容効果を損なうことなく維持することが可能である。
霊芝子実体を有機酸塩の水溶液に浸漬して霊芝エキスを抽出する本発明の霊芝エキスの製造方法では、霊芝に含まれる所望の水溶性成分及び脂溶性成分の双方が良好に抽出される。また、抽出に使用した有機酸塩は、得られた霊芝エキスから容易に除去可能である。
更に、本発明の製造方法により得られた霊芝エキスは抗酸化性等の優れた作用及び物性を有し、化粧料組成物、健康食品、及び医薬等に安全に適用される。
本発明の霊芝エキスの製造方法は、霊芝子実体を有機酸塩の水溶液に浸漬することにより行われる。
抽出用の水溶液としては、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜6の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩を、水に対して添加した水溶液を用いる。本発明で用いる水溶液では、上記有機酸の塩を単独で用いても、又は2種類以上用いてもよい。
本発明で用いる有機酸塩としては、カルボン酸、アスコルビン酸及びその誘導体及びヒドロキシ酸の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等、好ましくはモノ−、ジ−、及びトリ−カルボン酸塩及びアスコルビン酸有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、特に好ましくはジ−、及びトリ−カルボン酸有機酸のナトリウム塩が用いられる。このうち、ヒドロキシル基を有するカルボン酸(ヒドロキシ酸)、特に1〜5個のヒドロキシル基を有するモノ−、ジ−、及びトリ−カルボン酸が特に好ましい。
特に好ましい有機酸塩の具体例としては、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、特にクエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、特にコハク酸二ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、特にL−リンゴ酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明の霊芝エキスの製造方法によると、有機酸塩の水溶液を用いることにより、霊芝に含まれる水溶性成分及び脂溶性成分を含む多種の成分が一度に抽出される。すなわち、本発明の方法では複数種類の抽出方法を組み合わせることなく、多種類の成分が高濃度で一度に得られる。
例えば、水、又は塩化ナトリウム水溶液を抽出用の水溶液として用いた霊芝エキスを抽出した場合に対し、本発明により有機酸塩を用いて行った霊芝エキスの抽出は、抽出率が約20%〜約200%向上する。
特に、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸アンモニウムを用いた場合には、純水の場合に比較して、36〜164%の範囲で抽出率(四回抽出を行った平均値)が向上すること(各抽出における最大の抽出率は特許文献1を従来比として193%)が確認されている。
特に、リンゴ酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムにおける抽出では、純水の場合に比較して90%以上(約2倍)の抽出率の向上が達成される。
なお、上述の「抽出率(%)」とは以下のように算出したものである。
抽出率(%)=(抽出量(g)/霊芝1g)×100
抽出量(g)= 抽出エキス固形分総量(g)− 抽出に用いた溶質質量(0.5g)(有機酸塩、塩化ナトリウム)
但し、水のみの抽出を行った場合は、抽出量(g)=抽出エキス固形分総量(g)とした。
抽出量(g)= 抽出エキス固形分総量(g)− 抽出に用いた溶質質量(0.5g)(有機酸塩、塩化ナトリウム)
但し、水のみの抽出を行った場合は、抽出量(g)=抽出エキス固形分総量(g)とした。
ここで「抽出エキス固形分総量」とは、抽出後、エキスを凍結乾燥固化したもので、抽出溶液の溶質質量が含まれている固体総量を意味する。
また、本発明では、水溶液における有機酸塩の含有率を0.01質量%〜30質量% 好ましくは0.01〜15質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、極めて好ましくは0.5質量%〜1.5質量%の範囲とする。
有機酸塩の水溶液を調製するにあたっては、上述した各有機酸または有機酸無水物の金属塩または有機酸金属塩の水和物が使用可能である。無水物や水和物を添加することにより得られた有機酸塩の水溶液は、水溶液中では有機酸塩を直接水に溶解した場合と同一の分子状態を示す。
このため、本発明では上記無水物、水和物を用いて得られた水溶液の濃度を示す場合、有機酸塩が直接水に添加された場合の割合に換算した値を用いて水溶液中の有機酸塩含有率として記載する。
本発明の抽出方法では、特に0.5質量%〜1.5質量%程度の低濃度の有機酸塩水溶液を用いることによっても、上述の優れた抽出率が得られる。
また、このような低濃度の有機酸塩水溶液を用いた場合には、抽出処理により得られた霊芝エキス中の残留する有機酸塩の質量が僅かとされるため、その後に脱塩処理を行う場合にも容易である。従って、本発明の方法によると優れた抽出率と優れた脱塩効率という二重の利益を得ることができる。
本発明の製造方法では、前記水溶液が、有機酸塩と水のみから構成されることが好ましい。但し、実際上は、有機酸塩と水以外の成分が不純物として水溶液中に含まれる可能性が高い。
抽出に用いる水溶液が水と有機酸塩とから構成され、これ以外の成分が実質的に添加されないことにより、霊芝に含まれる抗酸化成分が更に効果的に水溶液中に取り込まれるようになる。また、付加的な試薬を用いないことにより、抽出操作とその後の精製処理を単純化することができる。但し、使用目的によっては本発明の抽出用の水溶液に抽出効率に影響を与えない範囲の他の添加剤を用いることも可能である。
また、有機酸塩はナトリウム塩であることが好ましい。
有機酸ナトリウム塩は、霊芝エキスの抽出に有効であるのみならず、溶解性や粘性が適度であるため、水溶液の調製と抽出における取り扱いが容易である。
更に、本発明の製造方法に用いられる水は純水、蒸留水又は超純水、特に超純水であると好ましい。
抽出用の水溶液の大部分を占める水に不純物が含まれないことにより、霊芝成分が水分子間に取り込まれる効率が向上し、結果として優れた霊芝抽出効率が達成される。特に超純水を用いる場合には、霊芝成分の水分子間の取り込み効率が極めて向上し、好ましい。
尚、超純水とは、気体などの微粒子も含め、いかなる不純物もほとんど含まない、理論純水に限りなく近い高純度の水のことである。明確な定義や国際規格はないが、産業界では純度の一般的な指標として用いられる電気伝導率(25 ℃)が0.06 μS/cm以下、電気抵抗率(25 ℃)が15 MΩ・cm以上を超純水と呼んでいる(参考文献:Truman S.Light,Temperature dependence and measurement of resistivity of pure water. Analytical Chemistry, 56, 1138−1142(1984))。これに準じ、本発明においても電気伝導率及び電気抵抗率が上記値にある高純度の水を、超純水と呼ぶ。また、一般的な理解と同様に、本発明においても電気伝導率(25 ℃)が1.0 μS/cm以下、1.0〜10 μS/cmの水をそれぞれ純水、蒸留水と言う。
また、本発明の霊芝エキスの抽出は、有機酸塩の水溶液による浸漬による単一工程で行うことができる。本発明によると、上述のように、脂溶性及び水溶性の各成分が一緒に抽出可能である。有機酸塩の水溶液による浸漬以外の種類の抽出工程を特に組み合わせなくても最適な抽出が行われるため、使用装置と操作が単純化される。
霊芝エキスの抽出は、抽出用の水溶液を35℃〜100℃、好ましくは 40℃〜100℃として、これに霊芝を1〜8時間、好ましくは1〜3時間浸漬することにより、通常の熱水抽出装置等を用いて行う。
比較的高温の抽出では短時間で有効成分を得ることができる。例えば90℃以上では1〜2時間の抽出により有効成分を多量に含む霊芝エキスが得られる。
霊芝エキスが得られた後は、例えば吸引濾過等の手法を用いて残渣を除去する。抽出物である霊芝エキスは液体のまま用いることもできるが、濃縮、乾固等により固体状抽出物としてもよい。
また、上記抽出工程では、冷却管付の熱水抽出装置を用いると有効物質の蒸発を防ぐことが可能となる。更に、抽出物を固化する際には冷凍乾燥法(フリーズドライ)を用いると、霊芝エキス成分の分解や変質を防ぎ、高品質の抽出物を得ることが可能となる。
本発明の有機酸塩の水溶液により抽出された霊芝エキスには通常有機酸塩が残留するため、脱塩処理をすることも可能である。脱塩は、従来より公知の種々の方法で行われるが、透析膜(透析チューブ)、例えばSpectrum社製、Spectrum/Por(登録商標)、又は電気透析装置、例えば旭化成・サンアクティス社製、マイクロアシライザーS1等を用いた透析法により行うことが可能である。
このような脱塩処理を行うことにより、本発明の霊芝エキスの有機酸塩残留濃度を0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満への脱塩が行われる。
低分子量の有機酸塩、特に炭素数2〜10、好ましくは2〜6の有機酸塩を用いると、脱塩の効率が向上する。すなわち、霊芝エキスには、β−グルカンや、トリテルペン類、例えばガノデリン酸及びガノデロールという高分子成分が多く含まれるため、低分子量の有機酸塩が容易に脱塩され好ましい。
良好な抽出と脱塩という双方の観点から、リンゴ酸ナトリウムが特に好ましく用いられる。
また、本発明の霊芝エキスは、その後の使用分野及び使用目的によっては脱塩を行わずにそのまま用いることもできる。これは、有機酸塩自体が弱酸性ないし弱アルカリ性の範囲の不活性の材料であるため、霊芝エキスに特に影響を与えるものではないためである。また、本発明の霊芝エキスは弱酸性であるため、中性〜弱塩基性の有機酸塩、例えばリンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等(pH:約6.0〜9.0)が脱塩されずに残存している場合には、霊芝エキスと有機酸塩との混合物のpHは5.5前後となる。このpHレベルは一般には人の肌(表皮)には好適なレベルであり、弱酸性に調製する必要のある組成物、例えば化粧料に添加する場合には、脱塩を行わずに直接使用することがより有利な場合もある。
更に、本発明の製造方法により霊芝の抽出を行い、この残渣を乾燥させた状態で本願発明の抽出方法で再度抽出すると(二回目抽出)、一回目の抽出効率が優れているにも係らず、更に多量の霊芝エキスが抽出される。本発明において二回目抽出における抽出量は、抽出温度や使用する有機酸塩の種類によっても変化するが、一回目の抽出量の約50%を超える量で得られる。
これに対し、水、又は塩化ナトリウム水溶液を用いて抽出を行った後の抽出残渣を、再度水又は塩化ナトリウム水溶液で抽出しても、二回目の抽出では、追加的に得られる霊芝エキスの量はごく僅かに過ぎない。具体例として、例えば特開平9−56362号に、霊芝の熱水抽出(沸点、1時間)を行い、霊芝エキスを抽出率6.97%で得た後、得られた抽出残渣を50体積%濃度エチルアルコールで抽出(沸点、1時間)した場合(二回目抽出)、抽出率は2.57%に過ぎないことが示されている。
このような二回目抽出の優れた効率も、本発明の有機酸塩溶液の優れた特徴であり、一回目の抽出では得られなかった霊芝エキスの成分を獲得することが可能である。また、霊芝エキスの製造にあたり、残渣を再度の抽出に直接利用できるため、抽出操作の速度を上げることが可能となる。特に工業規模での製造には、原材料費や高速化の点で有効である。
尚、二回目抽出においては、一回目の抽出と同じ有機酸塩水溶液を用いることができる。この他、本発明の有機酸塩水溶液を用いる限り、一回目の抽出と二回目の抽出を異なる種類の有機酸塩または異なる濃度の有機酸塩水溶液とすることも可能である。
更に、本発明では上記方法により得られた霊芝エキス(抽出物)を、更に酢酸エチルで抽出することができる(逆抽出)。これにより、霊芝エキスのうち、特に優れた抗酸化性を有する主に脂溶性の画分が抽出される。
逆抽出により得られた霊芝エキスからは、例えば、ガノデリン酸H(分子量572、LCMS分析による)が検出されている。
後述の実施例に示したように、本発明の霊芝エキスは公知の霊芝エキスよりも優れた抗酸化作用を有するため、公知の霊芝エキスとは異なる組成を有することが推測される。
本発明の方法により得られた霊芝エキスは、優れた抗酸化性を有するため、食品・飲料、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び化学等の各分野において多目的に使用される。特に、化粧品分野において、抗酸化性、抗炎症性、抗アレルギー活性、接触性皮膚炎予防作用、及び受動的皮膚過敏反応阻害等を与えるための添加剤としての使用が有効である。
本発明の霊芝エキスは弱酸性であること、及び霊芝に由来する有効成分以外をほぼ含まない状態で得られることにより、各分野において簡単かつ安全に使用される。
更に、本発明では、霊芝エキスを抗酸化成分及び抗炎症成分として化粧料組成物の調製を行うことができる。また、食品及び飲料における適用では、特に美白効果を得るための、いわゆる美容飲料等に添加することもできる。
更に、本発明では、霊芝エキスを抗酸化成分及び抗炎症成分として化粧料組成物の調製を行うことができる。また、食品及び飲料における適用では、特に美白効果を得るための、いわゆる美容飲料等に添加することもできる。
化粧料組成物の例としては、クリーム、ローション、ジェル、乳液等の基礎化粧品の他、ファンデーション、口紅などに処方することもできる。更に本発明の霊芝エキスは、石鹸、シャンプーなどへも配合可能である。
本願発明の霊芝エキスは、化粧料の種類に応じ、化粧料の総質量に対して約0.01〜約10質量%の範囲で添加すると、抗酸化作用が得られる。
本発明の霊芝エキスは天然由来の材料である上に、弱酸性であるため、直接皮膚等に用いる化粧料において安心に使用可能であり、優れた保護効果が発揮される。また、本発明の霊芝エキスは化粧料の各構成成分との相溶性も良好であり、化粧料組成物の他の構成成分の美容効果、例えば保湿性、延展性、抗紫外線効果など維持することが可能である。
本発明の有機酸塩の水溶液による抽出機構は未だ完全には明らかにされていないが、有機酸を塩として用いることにより、いわゆる塩溶効果に類似した効果が得られ、霊芝に含まれる各成分が水溶液中に効率的に溶出するものとも考えられる。しかしながら、本発明の有機酸塩水溶液を用いた抽出方法によると、NaCl等の塩の水溶液を用いて霊芝エキスを得る場合よりも顕著に優れた抽出率が達成されている。
また、弱塩基性溶質、例えば希水酸化ナトリウム水溶液などを用いた場合には抽出効率が上昇することが報告されている。本願発明の有機酸塩は必ずしも弱塩基性には限定されず、弱酸性の水溶液でも十分な抽出効率を上げることができる。すなわち、本願発明の有機酸塩の水溶液を用いた抽出方法は、有機酸の誘導体であることに起因する溶離効果と、一種の塩であることに起因するいわゆる塩溶効果との相乗効果により優れた抽出効果を発揮するものと推察される。
そして、本願発明の霊芝エキスの1gあたり抗酸化作用および抗炎症作用は、アルコール抽出や、塩化ナトリウム水溶液による抽出等の公知の方法により得られた霊芝エキスを1g当たり用いた場合よりも優れていることが示されている。
本願発明の製造方法は、霊芝以外の菌茸類、例えばシイタケ、マッシュルームの他、植物一般、例えば茶葉、スピルリナ等の抽出方法にも広く応用可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例にて用いた「%」は、特に断りのない限り、質量を基準とするものである。
1.抽出効率の比較
[実施例1〜3]
有機酸塩0.5gを含む超純水の水溶液50mLをビーカーに用意し、これに1mmに粉砕した霊芝の子実体1g(乾燥状態)を浸漬した。
有機酸塩0.5gを含む超純水の水溶液50mLをビーカーに用意し、これに1mmに粉砕した霊芝の子実体1g(乾燥状態)を浸漬した。
上記ビーカーを90℃〜95℃のウォーターバス(いすゞ製作所製、TYPE RW−12S)に3時間保持した後、ビーカーを湯浴から取り出し室温に冷却した後、内容物の吸引濾過を行った。これにより得られた濾液(霊芝エキス)を濃縮、乾固した。
使用した抽出用水溶液、得られたエキスの抽出量、抽出率、総回収率、目視観察によるエキスの色を、それぞれ表1に示す。
[比較例1及び2]
有機酸塩(0.5g)の水溶液に代えて、溶質を含まない超純水、または0.5gの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いた以外、全ての条件を同一にして、実施例1〜3の操作を行った。
有機酸塩(0.5g)の水溶液に代えて、溶質を含まない超純水、または0.5gの塩化ナトリウムを含む水溶液を用いた以外、全ての条件を同一にして、実施例1〜3の操作を行った。
これにより得られた霊芝エキスの抽出量、抽出率、総回収率、目視観察によるエキスの色を、それぞれ表1に示す。
抽出量(g)a=抽出エキス固形分総量(g)−抽出に用いた水溶液の溶質質量(0.5g)
(超純水のみの抽出の場合:抽出量(g)=抽出エキス固形分総量(g))
抽出率(%)b=(抽出量(g)/霊芝粉砕物1g)×100
総回収率(%)c={(抽出量(g)+残渣乾燥質量/霊芝1g)}×100
(超純水のみの抽出の場合:抽出量(g)=抽出エキス固形分総量(g))
抽出率(%)b=(抽出量(g)/霊芝粉砕物1g)×100
総回収率(%)c={(抽出量(g)+残渣乾燥質量/霊芝1g)}×100
上記表より、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム(実施例1〜3)の水溶液の抽出では、水、塩化ナトリウム(比較例1、2)を用いた場合よりも、抽出効率が大幅に向上していることがわかる。
また、本発明による実施例1〜3により得られた霊芝エキスは、比較例1〜3の霊芝エキスに比較して褐色の色合いが強く、濃厚な霊芝エキスであった。
[実施例4]
本実施例では、霊芝エキスの回収率の向上を目的として、冷却管付熱水抽出装置を用いた実験を行った。
本実施例では、霊芝エキスの回収率の向上を目的として、冷却管付熱水抽出装置を用いた実験を行った。
1mmに粉砕した霊芝の子実体1g(乾燥品)を、冷却管付フラスコ中、超純水50mL中にリンゴ酸ナトリウム(PH:6.82−6.85)0.5gを含む水溶液に浸漬し、90〜95℃の恒温槽中で1時間抽出した。
抽出後、内容物を室温程度に冷却し、アドバンテック社製No.2濾紙を用いて吸引濾過し、濾液と抽出残渣とに分け、それぞれの分量を算出した。
ビーカー内容物の吸引濾過を行い、得られた濾液(霊芝エキス)を凍結乾燥により固体とした。一方、残渣も乾燥させた。
上述の乾燥後の残渣を用いて再度同様の抽出を繰り返した(二回目抽出)。
使用した抽出用水溶液、得られたエキスの抽出量(凍結乾燥固体質量として)、抽出率、総回収率を、それぞれ表2に示す。
[実施例5〜11]
リンゴ酸ナトリウムを、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、グルコン酸カリウムに変更した以外は全ての条件を同一にして、実施例4と同様の操作を行った(実施例5〜11)。
リンゴ酸ナトリウムを、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、グルコン酸カリウムに変更した以外は全ての条件を同一にして、実施例4と同様の操作を行った(実施例5〜11)。
使用した抽出用水溶液、得られたエキスの抽出量(凍結乾燥固体質量として)、抽出率、総回収率を、それぞれ表2に示す。
[比較例3〜4]
リンゴ酸ナトリウム水溶液に代えて、溶質を含まない超純水、及びリンゴ酸50mLの水溶液を用いた以外は全ての条件を同一にして、実施例4の操作を繰り返した。
リンゴ酸ナトリウム水溶液に代えて、溶質を含まない超純水、及びリンゴ酸50mLの水溶液を用いた以外は全ての条件を同一にして、実施例4の操作を繰り返した。
使用した抽出用水溶液、得られたエキスの抽出量(凍結乾燥固体質量として)、抽出率、総回収率を、それぞれ表2に示す。
上記表より、リンゴ酸による霊芝の抽出では、1回目抽出率及び2回目抽出率がそれぞれ、10.41%、2.34%、総計抽出率(1回目抽出と2回目抽出の合計抽出率)が12.74%と、リンゴ酸ナトリウムの場合に比べて半分以下の抽出量となり、純水のみによる抽出の場合に比べて僅かに多い程度であった。すなわち、本願発明の霊芝エキスの製造方法によると霊芝の抽出効率が大幅に向上していることがわかる。
また、上記の総回収率もそれぞれ90%を上回るため、データの信頼性は高いと考えられる。尚、100%の回収率が得られない理由は、霊芝に残留していた水分や揮発成分の逸散等の影響によるものと考えられる。
なお、上記各実施例では、有機酸塩水溶液の調製に下記の有機酸塩の水和物を用いた。各実施例では下記の水和物の分子量から逆算して、0.5gの有機酸塩を含む50mLの水溶液が得られるように水和物を秤量して用いた。
リンゴ酸ナトリウム1/2水和物(分子量187.06)、
酒石酸ナトリウム2水和物(分子量230.08)、
クエン酸三ナトリウム2水和物(分子量294.14)
酒石酸ナトリウム2水和物(分子量230.08)、
クエン酸三ナトリウム2水和物(分子量294.14)
2.抽出エキスの性能の比較
以下のサンプルを調製した。
以下のサンプルを調製した。
[サンプル1]
上記実施例4により得られた霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。
上記実施例4により得られた霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。
[サンプル2]
上記実施例4により得られた霊芝エキスを、Spectrum社製、Spectrum/Por(登録商標)透析チューブ(分子分画量:10000)を用いて3日間水流下に透析を行った。透析後の霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。透析後のリンゴ酸ナトリウム濃度は0.2%未満であった。
上記実施例4により得られた霊芝エキスを、Spectrum社製、Spectrum/Por(登録商標)透析チューブ(分子分画量:10000)を用いて3日間水流下に透析を行った。透析後の霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。透析後のリンゴ酸ナトリウム濃度は0.2%未満であった。
[サンプル3]
実施例4と同様な方法(25倍スケール)で得られた霊芝エキス750gを750mLの酢酸エチルで二回抽出し(逆抽出)、ろ過した後、溶媒を留去した。これにより、淡黄色ないし橙色の固体物質が得られた(エタノール可溶)。得られた固体物質を0.15質量%のエタノール溶液とした。
実施例4と同様な方法(25倍スケール)で得られた霊芝エキス750gを750mLの酢酸エチルで二回抽出し(逆抽出)、ろ過した後、溶媒を留去した。これにより、淡黄色ないし橙色の固体物質が得られた(エタノール可溶)。得られた固体物質を0.15質量%のエタノール溶液とした。
[比較サンプルA]
比較例3の熱超純水抽出による霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。
比較例3の熱超純水抽出による霊芝エキスを乾固させて秤量し、0.15%の水溶液とした。
[比較サンプルB]
市販の霊芝エキス(0.075%水溶液)を用いた。
市販の霊芝エキス(0.075%水溶液)を用いた。
[比較サンプルC]
1%リンゴ酸ナトリウム水溶液を得た。
1%リンゴ酸ナトリウム水溶液を得た。
2−1:DPPHラジカル消去活性による抗酸化性評価
各サンプルの抗酸化性を評価するにあたり、サンプル1、サンプル2、比較サンプルA、及び比較サンプルBの各400μLに対し、それぞれ1mLの蒸留水を加えて希釈した。希釈後のサンプルに、それぞれ600μLのDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)溶液(500μMエタノール溶液)を添加し、攪拌後、37℃にて15分反応させた。
各サンプルの抗酸化性を評価するにあたり、サンプル1、サンプル2、比較サンプルA、及び比較サンプルBの各400μLに対し、それぞれ1mLの蒸留水を加えて希釈した。希釈後のサンプルに、それぞれ600μLのDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)溶液(500μMエタノール溶液)を添加し、攪拌後、37℃にて15分反応させた。
比較サンプルC(リンゴ酸ナトリウム水溶液)は上記DPPHブランク溶液と同様の濃紫色を維持した。すなわち、比較サンプルC自体は抗酸化性を有さないことが確認された。
これに対して、希釈後のサンプル1、2はDPPHラジカルの紫色を速やかに消去し、補色の黄色に変化した。すなわち、サンプル1、2はいずれも抗酸化性を有している。尚、DPPHラジカル退色後のサンプル1はサンプル2よりも、黄色の色合いがやや濃く現れた。
また、比較サンプルAは橙色となり、サンプル1及び2に比較すると紫色が残存する結果となった。
比較サンプルCが紫色を維持したことにより、サンプル1及び2の抗酸化性において、リンゴ酸ナトリウム自体の抗酸化性の寄与がないものと考えられる。
更に、サンプル1、サンプル3、比較サンプルA及びBの吸光度を、温度コントローラユニット(CPS−240A)付島津製分光光度計(UV−2200)により、517nmにて30分間測定した。
測定データに基づき、下記計算式に準じて抗酸化性の評価をした。コントロール(control)としては蒸留水を用いた。
%Inha=100(ΔAbssample−ΔAbscontrol)/ΔAbssample(1)
%AOAb=100(ksample−kcontrol)/ksample (2)
(上記式中、ΔAbsは0秒と900秒(15分)の吸光度の差を、kは速度定数を示す。k値は、k=ln[(Abs0/Abst)/t]としてプロットして得られる擬一次直線の傾きとして算出される(k値はいずれも計算上算出しているが、個々の値は明細書に記載無し)。tは時間(秒)、Abs0は反応開始時すなわち0秒の吸光度、Abstはt秒後の吸光度、lnは自然対数を表す。)
%Inha=100(ΔAbssample−ΔAbscontrol)/ΔAbssample(1)
%AOAb=100(ksample−kcontrol)/ksample (2)
(上記式中、ΔAbsは0秒と900秒(15分)の吸光度の差を、kは速度定数を示す。k値は、k=ln[(Abs0/Abst)/t]としてプロットして得られる擬一次直線の傾きとして算出される(k値はいずれも計算上算出しているが、個々の値は明細書に記載無し)。tは時間(秒)、Abs0は反応開始時すなわち0秒の吸光度、Abstはt秒後の吸光度、lnは自然対数を表す。)
結果を下記の表3に示す。
また、上記測定により得られた吸光度(Abs)(517nmにて測定)
の経時変化を図1に示す。尚、図1には、抗酸価性評価試験を行う場合にポジティブコントロールとして通常用いられるビタミンE(100μM、200μM)及びビタミンC(100μM、250μM)の吸光度経時変化を併記する。
の経時変化を図1に示す。尚、図1には、抗酸価性評価試験を行う場合にポジティブコントロールとして通常用いられるビタミンE(100μM、200μM)及びビタミンC(100μM、250μM)の吸光度経時変化を併記する。
図1より、本発明のサンプル1及び3が、抗酸化性においてきわめて優れていることがわかる。
2−2:β−カロテン退色法による抗酸化性評価
スクリューキャップ付の石英セルに、20μLのTween40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン)溶液(1g/10mLクロロホルム)、β−カロテン溶液10μ(1g/10mLクロロホルム)及びリノール酸溶液(1g/10mLクロロホルム)を順次添加し、クロロホルムを完全に減圧留去した。得られた混合液に、蒸留水2.2mLと、100μLのサンプル(サンプル1、サンプル3、比較サンプルA又は比較サンプルB)とを添加して、攪拌した。
スクリューキャップ付の石英セルに、20μLのTween40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン)溶液(1g/10mLクロロホルム)、β−カロテン溶液10μ(1g/10mLクロロホルム)及びリノール酸溶液(1g/10mLクロロホルム)を順次添加し、クロロホルムを完全に減圧留去した。得られた混合液に、蒸留水2.2mLと、100μLのサンプル(サンプル1、サンプル3、比較サンプルA又は比較サンプルB)とを添加して、攪拌した。
各サンプルの吸光度を、温度コントローラユニット(CPS−240A)付島津製分光光度計(UV−2200)により、460nmにて60分間測定した。
測定データに基づき、下記計算式に準じて抗酸化性の評価をした。コントロール(control)としてはポジティブコントロールのビタミンE(500μM)を用いた。
%Inhc=100(ΔAbscontrol−ΔAbssample)/ΔAbscontrol(3)
%AOAd=100(kcontrol−ksample)/kcontrol (4)
(上記式中、ΔAbsは0秒と1800秒(30分)の吸光度の差を、kは速度定数を示す。k値は、k=ln[(Abs0/Abst)/t]としてプロットして得られる擬一次直線の傾きとして算出される(k値はいずれも計算上算出しているが、個々の値は明細書に記載無し)。tは時間(秒)、Abs0は反応開始時すなわち0秒の吸光度、Abstはt秒後の吸光度、lnは自然対数を表す。)
%Inhc=100(ΔAbscontrol−ΔAbssample)/ΔAbscontrol(3)
%AOAd=100(kcontrol−ksample)/kcontrol (4)
(上記式中、ΔAbsは0秒と1800秒(30分)の吸光度の差を、kは速度定数を示す。k値は、k=ln[(Abs0/Abst)/t]としてプロットして得られる擬一次直線の傾きとして算出される(k値はいずれも計算上算出しているが、個々の値は明細書に記載無し)。tは時間(秒)、Abs0は反応開始時すなわち0秒の吸光度、Abstはt秒後の吸光度、lnは自然対数を表す。)
結果を表3に示す。
表3より、本発明のサンプル1は、いずれの試験においても比較サンプルに対して優れた抗酸化性を有することがわかる。
また、β−カロテン退色法では、本発明のサンプル1及び3は、ポジティブコントロールのビタミンEに匹敵する高い値を示した。
また、サンプル1の比較サンプルBに対するDPPHラジカル法による抗酸化性を、上記式(1)及び(2)準じて求めたところ、以下の結果が得られた。
%Inha= 100(ΔAbsサンプル1−ΔAbs比較サンプルB)/ΔAbsサンプル1=61.4
%AOAb=100(kサンプル1−k比較サンプルB)/kサンプル1=58.3
%AOAb=100(kサンプル1−k比較サンプルB)/kサンプル1=58.3
同様に、サンプル1の比較サンプルBに対するβ−カロテン退色法による抗酸化性を、上記式(3)及び(4)準じて求めたところ、以下の結果が得られた。
%Inhc=100(ΔAbs比較サンプルB−ΔAbsサンプル1)/ΔAbs比較サンプルB=40.6
%AOAd=100(k比較サンプルB−kサンプル1)/k比較サンプルB=50.0
すなわち、図1より、本発明のサンプル1は、従来の霊芝エキスより得られたサンプルに対して抗酸化性能が50%前後向上していることがわかる。
%AOAd=100(k比較サンプルB−kサンプル1)/k比較サンプルB=50.0
すなわち、図1より、本発明のサンプル1は、従来の霊芝エキスより得られたサンプルに対して抗酸化性能が50%前後向上していることがわかる。
更に、サンプル1、サンプル3、比較サンプルB及びコントロールについて上記β−カロテン退色法により得られた吸光度(Abs)(460nmにて測定)の経時変化を図2に示す。尚、図2においても、ポジティブコントロールとして通常用いられるビタミンE(500μM)及びビタミンC(1000μM)の吸光度経時変化を併記する。
図2より、本発明のサンプル1及び3が、抗酸化性において50%前後の向上が見られ、きわめて優れていることがわかる。
Claims (14)
- 炭素原子数2〜10の有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩から選択された1種類以上の有機酸塩を含む水溶液に霊芝子実体を浸漬することにより霊芝エキスの抽出を行うことを特徴とする霊芝エキスの製造方法。
- 前記水溶液が、水と有機酸塩のみから構成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記有機酸がカルボン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記有機酸がヒドロキシル基を有するモノ−、ジ−、又はトリカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記有機酸塩がナトリウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記有機酸塩が、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酒石酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記水溶液に用いられる水が、蒸留水、純水、又は超純水であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記水溶液における前記有機酸塩の含有率が0.01質量%〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記抽出を、35℃〜100℃、1時間〜8時間で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記抽出が単一工程にて行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記抽出の後、抽出残渣を乾燥させ、該残渣を前記水溶液に浸漬させることにより二回目の抽出を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記抽出により得られた抽出液を、更に酢酸エチル又はクロロホルムで再抽出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法により得られた霊芝エキス。
- 請求項13に記載の霊芝エキスを化粧料成分として用いることを特徴とする使用方法。
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KR20210152265A (ko) * | 2020-06-08 | 2021-12-15 | 주식회사 천연스토리 | 버섯을 이용한 엽산의 추출 방법 및 이로부터 추출된 엽산을 포함하는 식품 조성물 |
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2008
- 2008-07-22 JP JP2008188712A patent/JP2010022295A/ja active Pending
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