JP2010022185A - 同期機 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率が良いスリップリングレスの同期機を提供すること。
【解決手段】ロータコア4の外周にはd軸方向に界磁極部8が、q軸方向にトランス磁路部9が突設され、界磁極部8には界磁コイル7が、トランス磁路部9には二次コイル6が巻装されている。二次コイル6に誘導された高周波電圧は、図略の整流回路により整流されて界磁コイル7に通電される。本発明のモータは、ロータが界時コイルをもつにもかかわらず、非接触給電であるため信頼性に優れる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自己励磁型同期機の改良に関する。
従来、同期機として、ロータが界磁束発生用の永久磁石をもつ永久磁石型同期機(PMSM)や、ロータが界磁束発生用の界磁コイル型同期機(FCSM)や、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)が知られている。PMSMは、界磁束形成用の電力損失が無いため高効率であるが、その代わりに高速回転時の減磁制御の必要性、永久磁石の耐遠心力性能や耐振動性を確保する必要性、及び、小型化のために生産地が限られ耐熱性に劣る高価な希土類磁石を必要とする非経済性という問題を有している。界磁コイル型同期機は、界磁電流調整ことにより出力制御が容易であるという利点を有している。しかしながら、界磁コイル型同期機は、界磁コイルへの給電のためのスリップリングとブラシとのペアからなる接触型給電機構を必要とする欠点があった。SynRMは、リラクタンストルクのみを利用するため、トルクの大きさに限界があり、かつ、そのための励磁電流(d軸電流)損失が大きいという問題があった。
その他、ロータに三相の高調波巻線と全波整流器と界磁巻線とを設け、電機子電流の第2高調波成分により高調波巻線に誘導される電圧を整流器により整流して界磁巻線に界磁電流を供給する自己励磁型同期機(ブラシなし同期機)が知られている(特許文献1)。しかしながら、自己励磁型同期機は、トルクリップルが大きいという欠点を有している。
ステータコイルに高周波電流を重畳させることによりティース・トルクリップルを補償する同期機もたとえば下記の特許文献2に提案されている。
特開平07−7900号公報 特開2002−10686号公報
(発明の目的)
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、トルクリップルが少なく、大トルクを発生可能な自己励磁型同期機を提供することをその目的としている。
(発明の要約)
上記課題を解決するために発明された自己励磁型同期機に関する複数の独立発明が下記に説明される。
各独立発明の自己励磁型同期機は、回転磁界形成のための複数の相巻線からなるステータコイルがステータコアに巻装される。ステータの周面に小電磁ギャップを隔てて対面しつつ回転するロータは、互いに所定の電気角ピッチ離れて設けられてステータコアに界磁束を流す複数の界磁極部を有するロータコアと、界磁極部に巻装されて界磁束を形成する界磁コイルと、ロータコアに巻装されて電磁誘導により二次電圧を発電する二次コイルと、二次電圧を整流して形成した界磁電流を界磁コイルに通電する整流回路と、ステータを通じて二次コイルに非接触給電するとともにステータコイルと交流電流を授受するモータ回路とを備える。
整流回路としては、周知のダイオード全波整流回路が好適であるが、それに限定されるものではない。モータとしての使用において、モータとしての使用において、モータ回路は、ステータコイルに交流電流を通電するインバータを含む。発電機としての使用において、モータ回路は、ステータコイルの発電電圧を整流する整流器を含む。更に、モータ回路は、二次コイルに電磁誘導により交流電圧を誘導するための一次励磁電流をステータに給電する回路機能を有する。この回路機能は、直流電流又は交流電流をステータに給電する特別の給電回路により構成されることができるが、インバータにより代行されることも可能である。
(第1発明)
第1発明の自己励磁型同期機において、二次コイルは、界磁極部に対して電気角略π/2離れてステータに向けて突出するロータコアのトランス磁路部に巻回され、モータ回路は、界磁電流を形成するために磁極部の回転座標位置をd軸とする時、q軸上の高周波電流であるq軸高周波電流成分Iqacをステータコイルに通電することをその特徴としている。
このようにすれば、効率よく、界磁電流を発生させることができる。ステータコイルに流すq軸電流の基本波電流成分Iqdcに、この基本波電流成分Iqdcよりも高い周波数をもつq軸高周波電流成分Iqacを重畳させると、q軸高周波電流成分Iqacによりq軸高調波磁束Φqacがトルク磁路部に流れ、二次コイルにq軸高周波電流成分Iqacと同相の二次電圧が誘導される。この二次電圧が整流されて界磁電流として界磁コイルに供給される。すなわち、トルク発生用のq軸電流の基本波成分Iqdcがモータのトルク電流成分となり、q軸高周波電流成分Iqacが、界磁束発生のためのエネルギーとなる。
この同期機は、界磁極部に対して周方向に電気角略π/2離れてステータに向けて突出するトランス磁路部を有し、このトランス磁路部に巻かれた二次コイルに誘導される交流電圧を整流した界磁電流を界磁極部に巻かれた界磁コイルに通電する。これにより、誘導モータに比べてロータの界磁束を形成するための電力消費を大幅に減らすことができるとともに、トルク制御も容易となる。また、永久磁石型同期機の先に述べた欠点を解決することができる。更に、ロータリートランスや2組のスリップリング・ブラシ対を採用する等の構造の複雑化も回避することができる。
更に説明すると、ステータコイルから電磁誘導により交流電力を受け取るトランス磁路部及びそれに巻かれた二次コイルのペアが、界磁電流が流れてロータに界磁束を形成し、トルク発生の主要素となる界磁極部及びそれに巻かれた界磁コイルのペアに対して、周方向へ略電気角π/2だけにずれている。なお、ここで言う「略π/2」とは、界磁極部に
対して、電気角75度以上105度以下を言うものとする。これにより、界磁極部に作用する界磁束の変動を抑制してそれによるトルクリップルを減らすことができ、モータの効率も改善することができる。
好適態様において、トランス磁路部は、互いに電気角略π離れて少なくとも偶数個形成される。好適態様において、界磁コイルと並列接続されて整流回路が出力する整流電圧を平滑化する平滑回路が設けられ。好適態様において、整流回路により整流された電圧を定電圧化する定電圧回路が設けられ、この定電圧回路(電圧変動制限回路)が出力する定電圧(電圧変動制限電圧)が界磁コイルに印加される。好適態様において、界磁コイルと直列に定電流回路(電流変動規制回路)設けられ、この定電流回路が出力する定電流(電流変動規制電流)が界磁コイルに通電される。好適には電流バイパス回路が界磁コイルと並列に設けられ、この電流バイパス回路は、界磁コイルの電流又は電圧降下とその平均電流又は平均電圧と差に応じてバイパス電流を調整することにより、界磁コイルに流れる電流又は界磁コイルの電圧効果を安定化させるフィードバック制御を行う。好適態様において、整流回路の一対の出力端子間にフライホイルダイオードが並列接続される。好適態様において、フライホイルダイオードを定電圧ダイオードとされる。
好適態様において、整流回路が出力する整流電流を阻止する向きに界磁コイルと並列接続されるダイオード(フライホイルダイオード)を有し、このダイオードはロータに固定される。好適態様において、フライホイルダイオードを定電圧ダイオードとされる。これにより、整流回路の出力電圧が低下した場合でも界磁コイルの磁気エネルギーによる界磁電流がこのダイオードを流れるため、界磁電流のリップルを減らすことができる。
好適態様において、整流回路が出力する整流電流のリップルを阻止するために、整流回路は、チョークコイルを通じて界磁コイルに給電する。チョークコイルは、ロータコアをその磁路の一部とする。これにより、整流回路から界磁コイルに印加される界磁電流のリップルをチョークコイルの磁気エネルギー吸収、放出により減らすことができる。なお、このチョークコイルは、界磁コイルと一体に界磁極部に巻くことができる。
好適態様において、ステータコアは、電気角π/2当たり複数のティースを有し、ロータが所定回転数で回転する際に前記ティースの存在により発生する周期的なq軸磁気抵抗の変化によるトルクのリップルに対して、整流回路が前記界磁コイルに出力する整流電圧のリップルが逆位相となる前記q軸高周波電流成分Iqacを発生させるモータ回路を有する。このようにすれば、ティースに起因するトルクリップルを抑制することができる。
好適態様において、モータ回路は、ステータコイルの各相巻線にそれぞれ交流相電圧を印加するインバータからなり、q軸高周波電流成分Iqacは、このインバータを構成する各スイッチング素子のスイッチング動作により形成される。すなわち、インバータは、正弦波電流(又は正弦波電圧)をPWM(パルス幅変調)やPAM(パルス振幅変調)により形成したり、ロータ回転に同期する略矩形波電流(又は略矩形並電圧)を発生させたり、あるいは2相変調等により正弦波と矩形波が混在する電圧又は電流を発生させたりする。いずれの場合も、インバータなどのモータ回路を構成するパワースイッチング素子の断続が行われる。このパワースイッチング素子は、高調波電流成分を発生させる。これは、上記したモータ駆動回路のパワースイッチング素子のスイッチングにより発生する高調波電流は、界磁電流発生用の電源として用いることができる。つまり、従来、有効に用いられていなかったパワースイッチング素子のスイッチングに伴う高調波電流は、本発明では界磁束の形成のために有効利用できることが理解される。
好適態様において、q軸高周波電流成分Iqacは、インバータを構成する複数のスイッチング素子のPWMキャリア周波数でのスイッチングによりq軸電流の基本波電流成分Iqdcに重畳するPWMキャリヤ周波数の電流成分を含む。これにより、PWMによりステータコイルに重畳する高調波電流を界磁束形成のために有効利用することができる。
好適態様において、q軸高周波電流成分Iqacは、基本波電流成分Iqdcの奇数倍高調波電流成分からなる。基本波電流成分Iqdcの形成のために、もしくは、矩形波状の各相電圧の形成のために、インバータをスイッチング動作させると、インバータのパワースイッチング素子の断続に伴って3倍波や5倍波のような奇数倍高調波電流成分が強く発生する。これらの奇数倍高調波電流成分は、そのまま界磁束発生用の電流として有効利用することができる。
好適態様において、ステータコアは、電気角π/2当たり複数のティースを有し、q軸高周波電流成分Iqacは、前記ロータが所定回転数で回転する際に前記ティースの存在により発生する周期的なq軸磁気抵抗の変化による前記q軸電流の基本波成分Iqdcの変調により形成される。すなわち、ロータ回転中におけるティースの周方向への一定ピッチの配置は、q軸電流の基本波成分Iq1を発生させる電源としてのモータ駆動回路からみれば負荷としての磁気抵抗の周期変動となる。これは、単にq軸電流の基本波成分Iq1を流すための直流q軸電圧Vddcをステータコイルに印加するだけで、実際にはq軸電流の基本波成分Iq1にこの磁気抵抗の周期変動によるq軸高周波電流成分Iqacが重畳することを意味する。したがって、ティースによるq軸高周波電流成分Iqacを界
磁電流形成のために利用できることを意味する。
好適態様において、界磁極部の径方向直角向きの磁路断面積は、トランス磁路部の径方向直角向きの磁路断面積よりも大きくされる。このようにすれば、界磁回路の磁気抵抗を低減できるため、界磁束を増大することができ、トルクを増大することができる。このモータは一種の界磁コイル式同期モータとして動作する。
好適態様において、前記ステータコイルのd軸インダクタンスは、前記ステータコイルのq軸インダクタンスよりも大きくされ、ステータコイルに通電される基本波電流成分Iqdcのq軸電流成分の他にステータコイルに通電される基本波電流成分Iqdcのd軸電流が通電され、その結果として発生するリラクタンストルクと界磁束トルクとの合計が界磁束トルクを上回る位相角の前記基本波電流成分Iqdcを前記ステータコイルに通電するモータ駆動回路を有する。
この態様では、界磁束とq軸電流の基本波成分Iqdcとによる界磁束トルクの他に、いわゆるリラクタンストルクも発生させて利用することができる。すなわち、たとえばLqをLdよりも小さく設定するなどして、インダクタンスの差(Ld−Lq)を大きくし、d軸電流の基本波成分Iddcを通電することにより、(Ld−Lq)・Iq・Idに比例するリラクタンストルクを界磁束トルクに併せて利用することができる。なお、q軸インダクタンスLqをd軸インダクタンスLdよりも小さくするため、トルク磁路部に巻かれた二次コイルとq軸高周波電流成分Iqacとの間の電磁結合度が低下し、q軸高周波電流成分Iqacが増大する欠点があるため、q軸インダクタンスLqの減少は調整されるべきである。
好適態様において、界磁極部の磁路断面積は、トランス磁路部の磁路断面積よりも大きい。このようにすれば、界磁束が流れる磁気回路の磁気抵抗を減らすことができるため、界磁電流当たりの界磁束量を増大することができ、トルクをアップすることができる。
好適態様において、界磁極部は、ロータコアに埋設された永久磁石と、界磁極部の一部として永久磁石に周方向に隣接するバイパス磁路部とを有し、永久磁石が発生する磁束である磁石界磁束の一部は、界磁極部のステータ対向面から前記ステータに向けて流れて有効磁石磁束を構成し、磁石界磁束の他の一部は、バイパス磁路部を通じて永久磁石を磁気的に短絡する漏れ磁石磁束を構成し、界磁コイルが発生する磁束である電流界磁束は、主としてバイパス磁路部を漏れ磁石磁束を打ち消す向きに流れて界磁極部のステータ対向面からステータに流れる。このようにすれば、ステータ電流に重畳する高周波電流成分を低減して銅損及び鉄損を低減することができる。
すなわち、この態様では、永久磁石が発生する磁石磁束と、界磁コイルに流す界磁電流が発生する電流磁束との両方を用いて界磁束を発生する。電流磁束が高磁気抵抗の永久磁石をバイパスする界磁極部を永久磁石に隣接して設けられているため、電流磁束は小さい磁気抵抗の磁気回路をなすバイパス磁路部を通じてステータコイルと鎖交する。単位界磁電流当たり多くの電流磁束を形成することができる。これにより、永久磁石を持たない場合よりも界磁束を形成するための電力を減らすことができる。この態様によると、界磁束としての磁石磁束をスーテタコイルに流す永久磁石と、この永久磁石の磁石磁束をステータコイルを経由することなく流すバイパス磁路とをロータに設けることにより、増磁と減磁とを実施することができる。このモータは、バイパス磁路をもつIPMと考えることができる。
好適態様において、界磁極部は、厚さ方向がd軸方向となる姿勢にてd軸に配置され、バイパス磁路部は、周方向において永久磁石と界磁コイルとの間に位置して永久磁石の周方向両側にそれぞれ配置される。これにより、良好にバイパス磁路部を配置することができる。なお、バイパス磁路部の磁路断面積は、電流磁束が0の場合でも漏れ磁石磁束によるバイパス磁路部の磁気飽和により必要量の磁石磁束をステータ対向面からステータコイル側に放出される大きさとされる必要がある。
好適な態様において、バイパス磁路部の主要部分は、d軸方向へ突出して界磁極部のステータ対向面に連なり、永久磁石は、周方向においてバイパス磁路部と界磁コイルとの間に位置してバイパス磁路部の周方向両側にそれぞれ配置され、バイパス磁路部の周方向両側の2つの永久磁石は、中間のバイパス磁路部に連なる界磁極部のステータ対向周面を同一向きに磁化する。これにより、良好にバイパス磁路部を配置することができる。なお、バイパス磁路部の磁路断面積は、電流磁束が0の場合でも漏れ磁石磁束によるバイパス磁路部の磁気飽和により必要量の磁石磁束をステータ対向面からステータコイル側に放出される大きさとされる必要がある。
上記した界磁コイル・磁石併用同期機においても、リラクタンストルクを利用することができる。すなわち、q軸インダクタンスよりもd軸インダクタンスが大きい例では、このインダクタンス差を利用してリラクタンストルク((Ld−Lq)・Id・Iq)を界磁束トルク(Φf・Iqdc)に加えて利用することができる。また、同様に、d軸磁路に永久磁石を有するため、q軸インダクタンスよりもd軸インダクタンスが小さい例でも、このインダクタンス差を利用してリラクタンストルク((Ld−Lq)・Id・Iq)を、界磁束トルク((Φf+Φm)・Iqdc)に加えて利用することができる。Φmは磁石磁束である。
好適な態様において、モータ回路は、ステータコイルにd軸電流を通電することにより、界磁束又は永久磁石磁束とq軸電流との積に比例するトルクである界磁束トルク(Φf・Iqdc又はΦm・Iqdc又はΦf+(Φf+Φm)・Iqdc)をd軸電流通電によるリラクタンストルク((Ld−Lq)・Id・Iq)により変化させる。この変化はトルク増加方向又はトルク減少方向に利用できる。
好適な態様において、界磁極部は、埋設されてステータコアに磁石磁束を与える永久磁石を有する。このようにすれば、界磁電流による界磁束である電流磁束に加えて磁石磁束を利用することができるので、少ない界磁電流により大きなトルクを発生することができる。更に、界磁電流の調節により界磁束を制御してトルクを容易に調節することができる。
好適な態様において、永久磁石は、径方向へ延在して永久磁石の磁束を短絡するバイパス磁路部を有する。このようにすれば、界磁電流の調節による界磁束変化量を増大することができ、トルク調節が容易となる。好適な態様において、界磁極部は、厚さ方向がd軸方向となる姿勢にてd軸に配置され、バイパス磁路部は、周方向において前記永久磁石と界磁コイルとの間に位置して永久磁石の周方向両側にそれぞれ配置される。好適な態様において、バイパス磁路部の主要部分は、d軸方向へ突出して界磁極部のステータ対向面に連なり、永久磁石は、周方向においてバイパス磁路部と前記界磁コイルとの間に位置してバイパス磁路部の周方向両側にそれぞれ配置され、バイパス磁路部の周方向両側の2つの永久磁石は、中間のバイパス磁路部に連なる界磁極部のステータ対向周面を同一向きに磁化する。
(第2発明)
第2発明の自己励磁型同期機は、界磁極部に固定されてステータコアに磁石磁束を与える永久磁石を有することをその特徴としている。すなわち、この発明によれば、自己励磁型少ない界磁電流により大きなトルクを発生することができる。更に、界磁電流の調節により界磁束を制御してトルクを容易に調節することができる。たとえば、大トルクが要求
される場合に界磁電流による磁束である電流磁束を、ステータに流れる磁石磁束を強化する増磁動作と、高速回転時に界磁電流による磁束である電流磁束をステータに流れる磁石磁束を減らす減磁動作とを行う。これにより、広い速度範囲にわたって、トルクを増大することができる。従来、磁石磁束の制御(たとえばいわゆる減磁)を自己励磁方式で給電される構造の界磁コイルにより実施することについては従来知られていなかった。
好適態様において、永久磁石は界磁極部に埋設され、界磁極部は、径方向へ延在して永久磁石の磁束を短絡するバイパス磁路部を有する。このようにすれば、このバイパス磁路が界磁電流により形成される電流磁束の通路とすることができるため、界磁電流による界磁束制御が容易となり、必要電力も低減することができる。
好適態様において、ステータコイルのd軸インダクタンスは、ステータコイルのq軸インダクタンスよりも小さくされ、モータ回路は、ステータコイルにd軸電流を通電することにより、永久磁石及び界磁電流により形成される界磁束とq軸電流とによる界磁束トルクに加えてリラクタンストルクを発生させる。このようにすれば、電流磁束と磁石磁束とからなる界磁束によるトルクに加えて、リラクタンストルクを利用することができるため、モータのトルクを向上することができる。
好適態様において、モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に界磁電流を制御して界磁極部からステータコアに流れる磁束を減少させることにより、ステータコイルの逆起電力を抑制する高速時減磁動作を行う。このようにすれば、低速回転時には強力な永久磁石により少ない又は0の界磁電流損失によりトルクを発生でき、高速回転時には磁石磁束によりステータコイルに生じる大きな逆起電圧を界磁電流により抑制することができるので、ステータコイルに十分なトルク電流すなわちq軸電流を流してトルク低下を抑止することができる。
好適態様において、ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が所定値未満となるようにステータコイルの複数の相巻線とは別にステータのスロットに巻装される直流コイルを有し、モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に直流コイルに通電する直流電流を制御することにより高速時減磁動作を行う。このようにすれば、少ない電力にて大きな界磁束を発生することができ、界磁電流の制御も容易となる。また、直流コイルに誘導される誘導電圧が増大して、直流電源に電流が逆流するのを防止することができる。
好適態様において、直流コイルは、ステータコイルよりも小さい断面積を有してステータコイルよりもステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている。このようにすれば、この直流コイルが少ない電力で大きな磁束を二次コイルに与えるため、界磁電流非接触給電のためにステータに供給する電力を低減することができる。
好適態様において、モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合にステータコイルの複数の相巻線に通電する直流電流を制御することにより高速時減磁動作を行う。これにより、既述したように、高速回転時にステータコイルの電流を減らす逆起電圧を容易に抑制することができるので、ステータコイルに十分なトルク電流すなわちq軸電流を流してトルク低下を抑止することができる。
好適態様において、モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に、ステータコイルの逆起電力を減少させるためのd軸直流電流Iddcをステータコイルに通電する第2の高速時減磁動作を更に行う。このようにすれば、ステータコイルのd軸電流により更にロータの界磁束を低減することができるため、一層高いロータ回転数までステータコイルに十分な量の電流を給電することができる。
(第3発明)
第3発明の自己励磁型同期機は、ロータコアが、界磁極部の回転座標位置をd軸とする場合に、q軸磁気抵抗よりも小さいd軸磁気抵抗を有し、モータ回路は、ステータコイルにd軸電流とq軸電流とを流して、リラクタンストルクと界磁束トルクとの両方を発生することをその特徴としている。すなわち、この態様は、自己励磁型同期機のd軸インダクタンスが大きいことを利用するものであり、ステータコイルにd軸電流を通電してリラクタンストルクを発生させる。つまり、いわゆるシンクロナスリラクタンスモータのリラクタンストルクと、界磁コイル式同期モータの界磁束トルクとの両方を発生させることができるため、小型で発生トルクが大きいモータを磁石無しに実現することができる。
従来、d軸電流通電によりシンクロナスリラクタンストルクを発生するシンクロナスリラクタンスモータにおいて、自己励磁方式で給電される構造の界磁コイルが形成する界磁束トルクを併用することは従来知られていなかった。
(第4発明)
第4発明の自己励磁型同期機は、ロータコアに巻装されて界磁コイルよりも大きなインダクタンスをもつチョークコイルを有し、整流回路は、チョークコイルを通じて界磁コイルに整流電圧を印加することをその特徴としている。このようにすれば、界磁コイルに電流リップルが小さい界磁電流を給電することができる。また、チョークコイルがロータコアの良好な磁気特性を利用するため、その小型軽量化を図ることができる。
好適態様において、界磁コイルは、ロータコア又はロータコアと一体に形成されるとともに、ステータとは鎖交しない磁路に巻装されることにより、界磁コイルのインダクタンスのうちステータコイルと鎖交しない漏れインダクタンスは、鎖交する有効インダクタンスより大きく形成されてチョークコイルを構成する。つまり、この態様のチョークコイルは、界磁コイルの漏れインダクタンスを増大させて、チョークコイルとしての機能を与える。このようにすれば、チョークコイルの作製が容易となり、そのインダクタンス(すなわちチョークコイルの漏れインダクタンス)の増大も容易である。
非常に好適には、界磁コイルの漏れインダクタンスは、界磁コイルのロータの端面から突出するいわゆるコイルエンド部分を軟磁性コアで囲むことにより、容易に実現することができる。これにより、ステータコイルと電磁結合しないチョークコイルの漏れインダクタンスを容易に実現することができる。
(第5発明)
第5発明の自己励磁型同期機は、ステータコイルの電流により自己に誘起される誘導交流電圧の総和が所定値未満となるようにステータコイルとは別にステータコアのスロットに分布巻き又は集中巻きされた直流コイルを有し、モータ回路は、回転時に直流コイルに直流電流を通電して二次コイルに交流電圧を誘導させることをその特徴としている。すなわち、このようにすれば、少ない電力にて大きな界磁束を発生することができ、界磁電流の制御も容易となる。また、直流コイルに誘導される誘導電圧が増大して、直流電源に電流が逆流するのを防止することができる。
好適態様において、この自己励磁型同期機は、発電機としてのみ使用される。ステータの直流コイルへの直流電流の給電では、モータ起動ができないが、発電機ではモータ起動は問題とならないため、直流コイル給電による界磁電流供給方式の回路構成及び制御の容易性を十分に利用することができる。
好適態様において、モータ回路は、所定値未満の低速回転動作を行う際にステータコイルに交流電流を通電して二次コイルに交流電圧を誘導させる。このようにすれば、低速回転時のみ、ステータコイルに供給する交流電流により界磁電流を発生させるため、電力損失を減らしつつ直流コイルを利用することができる。
好適態様において、直流コイルは、ステータコイルよりも小さい断面積を有してステータコイルよりもステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている。このようにすれば、この直流コイルが少ない電力で大きな磁束を二次コイルに与えるため、界磁電流非接触給電のためにステータに供給する電力を低減することができる。
(第6発明)
第6発明の自己励磁型同期機は、ロータコアは、互いに電気角πづつ順次はなれた第1〜第4の界磁極部を有し、二次コイルは、第1、第2の界磁極部の間と、第3、第4界磁極部の間との間に巻回され、モータ回路は、ステータコアから前記ロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成することをその特徴としている。すなわち、二次コイル6
の往き導体と帰り導体とは、電気角2π離れてロータ2に全節巻きされている。このようにすれば、二次コイルは、ステータコイルの電気角2π単位の磁束量の差の変化により誘導電圧を発生することができる。この発明では、ステータが発生する電気角4π当たり界磁電流形成用の磁束総計は0となるため、トルクリップルや磁気振動を大幅に低減することができる。
好適な態様において、ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が理論的に0となるようにステータコイルとは別にステータコアのスロットに巻装された直流コイルを有し、モータ回路は、回転時に直流コイルに直流電流を通電してステータコアからロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成する。すなわち、この態様では、ステータに巻いた直流コイルにより、電気角2πごとの磁束差を形成する。これにより、トルクリップルを良好に低減することができる。
好適態様において、直流コイルは、ステータコイルよりも小さい断面積を有してステータコイルよりもステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている。これにより、直流コイルの抵抗損失を逓減することができる。
好適態様において、ステータコイルは、互いに電気角2π離れた第1ステータコイルと第2ステータコイルとを有し、モータ回路は、第1ステータコイルと第2ステータコイルとに互いに逆位相の交流電流又は逆向きの直流電流を通電することにより二次コイルに交流電圧を誘導する。これにより、トルクリップルを低減することができる。
(第7発明)
第7発明の自己励磁型同期機は、ステータコイルは、互いに電気角2π離れた第1ステータコイルと第2ステータコイルとを有し、モータ回路は、第1ステータコイルと第2ステータコイルとに互いに逆位相の交流電流成分又は互いに逆向きの直流電流を通電することにより、二次コイルに交流電圧を誘導することをその特徴としている。このようにすれば、
第1ステータコイルと鎖交する界磁束のトルクリップルと、第2ステータコイルと鎖交する界磁束のトルクリップルとを逆位相とすることができるため、トルクリップルを低減することができる。
更に詳しく説明する。
第1ステータコイルにq軸高周波電流成分Iqacと、q軸基本波電流成分Iqdcとが流れ、第2ステータコイルにq軸高周波電流成分−Iqacとq軸基本波電流成分Iqdcとが流れているとする。第1ステータコイルには、界磁束をΦfとする。第1ステータコイルのq軸電流は、Iqac+Iqdcであるので、トルクT1は、Φf(Iqac+Iqdc)+(Ld−Lq)・Id・(Iqac+Iqdc)となる。同じく、第2ステータコイルのq軸電流は、−Iqac+Iqdcであるので、トルクT2は、Φf(Iqac−Iqdc)+(Ld−Lq)・Id・(−Iqac+Iqdc)となる。結局、総合トルクΣT=T1+T2は、2Φf・Iqdc+2(Ld−Lq)・Id・Iqdcとなり、全体としてのトルクリップルはキャンセルされる。
次に、第1ステータコイルにq軸高周波電流成分Iqacとd軸高周波電流成分成分Idacとd軸基本波電流成分Iddcとq軸基本波電流成分Iqdcとが流れ、第2ステータコイルにはq軸基本波電流成分Iqdcとd軸高周波電流成分成分−Idacとd軸基本波電流成分Iddcとq軸基本波電流成分Iqdcとが流れているとする。第1ステータコイルには、界磁束をΦfとする。第1ステータコイルの電流によるトルクT1は、Φf(Iqac+Iqdc)+(Ld−Lq)・(Idac+Iddc)・(Iqac+Iqdc)となる。同じく、第2ステータコイルの電流によるトルクT2は、Φf(Iqac−Iqdc)+(Ld−Lq)・(−Idac+Iddc)・(−Iqac+Iqdc)となる。上記と同じく全体としてのトルクリップルを大幅に低減できる。
好適態様において、ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が理論的に0となるようにステータコイルとは別にステータコアのスロットに巻装された直流コイルを有し、モータ回路は、回転時に直流コイルに直流電流を通電してステータコアからロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成する。これにより、界磁電流給電を容易とすることができる。
(第8発明)
第8発明の自己励磁型同期機は、モータ回路は、ロータの回転角速度ω0に同期する角速度をもつ同期ステータ電流Isと、ロータの回転角速度ω0よりも所定の角速度Δωだけ大きな角速度をもつ誘導ステータ電流Iiとをステータコイルに通電し、整流回路は、誘導ステータ電流Iiにより誘導される角速度Δωの二次電流を整流して界磁コイルに通電することをその特徴としている。このようにすれば、二次コイルに誘導電圧を発生するためにステータコイルに通電される角速度ω0+Δωの電流により誘導モータのトルクを発生することができるため、誘導トルクと界磁コイル式同期モータの界磁束トルクとを利用して高効率で大トルクのモータを磁石無しに実現することができる。
好適態様において、整流回路は、ダイオード全波整流回路と、ダイオード全波整流回路の整流電圧を平滑するチョークコイルとを有する。これにより、トルクリップルを低減することができる。
好適態様において、モータ回路は、滑り度s(=Δω/ω0)を0.05〜0.5の範囲に設定する。これにより、誘導トルクを低減することなく、二次コイルに十分な電力を伝送することができる。
好適態様において、モータ回路は、誘導ステータ電流Iiの角速度又は電流量を制御して界磁電流を調整する。これにより、モータ回転数ともートルクを容易に制御することができる。
(第9発明)
第9発明の自己励磁型同期機は、モータ回路は、略台形波形の交流電流をステータコイルの前記相巻線に通電するともに、略台形波形の立ち上がり波形及び立ち下がり波形の傾斜率を変化させて略台形波形の交流電流に含まれる高調波電流成分の量を調整することにより、界磁電流を調整することをその特徴としている。このようにすれば、トルクリップルを低減しつつ界磁電流を形成することができる。
好適態様において、モータ回路は、ステータコイルに通電する交流電流の基本波成分の第3高調波成分の大きさを調整することにより、界磁電流を調整する。これにより、容易に、ステータコイルに界磁電流形成用の交流電流を通電することができる。
実施形態1、2の同期機の模式径方向断面図である。 図1の同期機を駆動するモータ駆動回路の一例と示すブロック回路図である 。 図2のモータ制御回路の一例を示すブロック回路図である。 界磁回路の一例を示す回路図である。 実施形態3の界磁回路を示す回路図である。 実施例4の界磁回路を示す回路図である。図6(A)はその一態様を示し、図6(B)は変形例を示す。 実施形態5の界磁コイル・磁石併用型同期機の模式径方向断面図である。 実施形態6の同期機の模式部分軸方向断面図である。 実施形態7の3相全波整流回路を兼ねるインバータを示す回路図である。 実施形態8の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態9の界磁コイル・磁石併用型同期機の模式径方向断面図である。 実施形態10の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態11の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態12の同期機の電流波形図である。 実施形態13、15の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態14、16の直流電流制御回路を示す回路図である。 実施形態14、16の同期機の回路図である。 実施形態14、16の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態17の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態18の同期機の模式径方向断面図である。 実施形態18の同期機の回路図である。 実施形態18の変形態様を示す回路図である。 実施形態18の直流電流制御回路を示す回路図である。 実施形態19の同期機の回路図である。 実施形態20のチョークコイル配置を示す模式軸方向断面図である。 実施形態20の変形態様を示す模式軸方向断面図である。 実施形態21を示す回路図である。 実施形態22を示す回路図である。
本発明の好適態様を以下の実施例により具体的に説明する。以下、インナーロータ型ラジアルギャップ型式の自己励磁型同期機を例として説明する。その他の公知の各種形式のモータや発電機に本発明を適用してもよいことはもちろんである。たとえば、アウターロータ型ラジアルギャップ形式やアキシャルギャップ形式やリニアモータ形式など公知の種々のスーテタ・ロータ構造を採用できることができる。また、この同期機は、電動機、発電機、発電電動機として用いることができる。
(実施例1)
実施例1を図1を参照して説明する。図1は自己励磁型同期機のロータ構造の一例を示す模式径方向断面図である。
(全体構造)
この自己励磁型同期機は、簡単に言えばステータ側から電磁誘導により界磁電流通電用の電力が給電されるブラシレス界磁コイル型同期機である。1は模式図示されたステータであり、図略のステータコア内周面に周方向一定ピッチで形成された多数のスロットに図略のステータコイルを集中巻き乃至分布巻きしてなる。ステータコイルは、3相の相巻線を星形又はΔ接続してなる。2はロータであり、回転軸3に嵌着、固定されている。ロータ2は、電磁鋼板を積層してなる2極のロータコア4と、ロータコア4のスロット5に巻かれた二次コイル6と界磁コイル7とからなる。8はロータコア4の外周面に設けられて互いに逆方向に径方向外側へ突出する一対の界磁極部であり、9はロータコア4の外周面
に設けられて互いに逆方向に径方向外側へ突出する一対のトランス磁路部である。一対の界磁極部8は、一対のトランス磁路部9に対して90度(電気角π/2)離れて配置されている。ただし、図1は2極ロータを図示しているが、ロータが更に多数の界磁極部8及び更に多数のトランス磁路部9をもつことは当然可能である。
界磁極部8の周方向幅は、トランス磁路部9の周方向幅よりも広く形成されている。これにより、界磁極部8を通過して電磁ギャップ(拡大図示されている)10を通じてステータ1と界磁束を授受する磁気回路(界磁束磁気回路)の磁気抵抗を減らして、界磁電流当たりの界磁束量を増大させることができる。つまり、界磁極部8の周方向中心がd軸であるため、d軸インダクタンスは、q軸インダクタンスよりも大きく形成されている。
11はスロット5の開口部に設けられた樹脂部であり、二次コイル6及び界磁コイル7の固定を行う。二次コイル6は一対のトランス磁路部9に巻かれている。電気角π離れた2つの二次コイル6は、互いに直列に接続されて、電機子電流のq軸電流の高周波成分であるq軸高周波電流成分Iqacと鎖交する。界磁コイル7は、一対の界磁極部8にそれぞれ巻かれている。界磁コイル7は、一つの界磁極部8の外周面部をN極に磁化し、もう一つの界磁極部8の外周面部をS極に磁化している(図1を参照されたい)。
(モータ駆動回路)
図1を参照して、この同期機のモータ動作を説明する。なお、モータを発電機動作させることができることは周知事項である。以下、界磁極部8はd軸方向に延在し、トランス磁路部9はq軸方向に延在しているものとして説明する。
ステータコイルには、通常の同期機と同じく、ロータ2の回転と同期して回転する同期電流が通電される。この同期電流は、ロータ2の角速度の回転座標系上では、q軸電流の基本波成分Iqdcと、d軸電流の基本波成分Iddcとのベクトル和となる。ステータコイルには更に、上記同期電流に重畳して同期電流より周波数が高い高周波波電流が通電される。なお、この高調波電流の周波数は本質的には同期電流のそれと異なっていればよく、同期電流より周波数が低くてもよく、ロータ2が回転中においては直流電流でもよい。
この実施形態では、この高周波電流Iacをロータ2の回転と同期して回転させる。言い換えれば、高周波電流Iacを、上記回線座標系上で回転する電流と見なす。したがって、この高周波電流Iacの回線座標系上の角速度は、静止座標系上の角速度から回転座標系の角速度を差し引いた値となる。
この高周波電流Iacは、q軸高調波電流成分Iqacと、d軸高周波電流成分Idacとのベクトル和となる。この実施形態では、d軸高周波電流成分Idacは0とすることにより、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスとの差を利用するリラクタンストルクを利用しない。このため、d軸電流の基本波成分Iddcも0とされる。電流界磁束トルク、すなわち、界磁電流により形成された界磁束によるトルクは次のようになる。
T=Φi×(Iqdc+Iqac)
ここで、Φiは、電流界磁束、Iqdcはステータコイルの電流のq軸直流成分である。この実施例では、トルクリップルΔTはΦi×Iqacとなる。このトルクリップルの影響は、q軸高周波電流成分Iqacの周波数を大きく設定することにより軽減することができる。
ステータ電流(電機子電流)を形成するモータ駆動回路の例を図2を参照して説明する。ただし、この回路の説明では、ステータ電流Iとして、q軸電流の基本波成分Iqdcとq軸高周波電流成分Iqacとだけを用いる場合を説明する。VBはバッテリ電圧である。
20は図1に示す同期機、21はステータコイルである。ステータコイル21は、U相巻線22、V相巻線23、W相巻線24をもち、3相星形接続されている。25はロータの回転角を検出する回転角検出器、26、27は相電流を検出する電流センサである。28は3相のインバータ、29は3相インバータ28をベクトル制御するためのモータ制御回路である。インバータ28及びモータ制御回路29は本発明で言うモータ回路を構成し
ている。
モータ制御回路29は、外部から入力されるトルク指令Stに基づいて3相インバータ28の各パワースイッチング素子をスイッチング制御して同期機20をトルク指令Stに相当するトルクを発生させる。3相インバータ28及びモータ制御回路29の回路構成は、q軸高周波電流成分Iqacの重畳の点を除けば通常のベクトル制御型同期機のモータ駆動回路と同じであるため、これ以上の説明は省略する。また、q軸電流の基本波成分Iqdcへのq軸高周波電流成分Iqacの重畳自体も、q軸電流の基本波成分Iqdcの指令値にq軸高周波電流成分Iqacの指令値を加算するだけであるため、これ以上の説明を省略する。必要であれば、同期電流へそれと同期回転する高周波電流成分の重畳技術の一例を開示する上記特許文献2を参照されたい。
モータ制御回路29の回路構成例を図3を参照して説明する。
モータ制御回路29は、回転角検出器25から回転角情報Sn’を受け取り、電流センサ26、27からの信号に基づいて3相電流Iu’、Iv’、Iw’を発生させる。回路291はこれらの情報からq軸電流の基本波成分Iqdcの検出値Iqdc’を算出する。また、回路292は、トルク指令Stに基づいてq軸電流の基本波成分Iqdcの指令値とq軸高周波電流成分Iqacの指令値とを算出し、回路293は、q軸高周波電流成分Iqacの指令値Iqdcと検出値Iqdc’との差ΔIqdcを算出する。回路294は、ΔIqdcに基づいてq軸電圧の基本波成分Vqdcを算出し、回路295は、q軸高周波電流成分Iqacに基づいてq軸電圧の高周波成分Vqacを算出し、回路296はそれらを加算してq軸電圧とする。
トルクは、上記式に記載した通り、電流界磁束Φiとq軸基本波電流成分Iqdcとの積により決定される。損失低減のためにΦiをできるだけ大きくすることが好適である。この実施形態では、q軸高周波電流成分Iqacはq軸高周波電流成分Iqacの第3高調波としたが、周波数は適宜選択可能である。必要な電流界磁束Φiを得るためのq軸高周波電流成分Iqacとの関係は予め記憶するマップ又は算出式により求めることができるが、上記したようになるべくΦiを大きくすることが好適である。
このq軸電圧は、回路297にて3相電圧指令値Vu、Vv、Vwに変換され、回路298は、3相電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいてインバータ28の各パワースイッチング素子をスイッチング素子制御する制御信号を形成する。なお、上記した回路は、q軸電流の基本波成分Iqdcの検出値がその指令値に収束させるフィードバック制御であるが、オープン制御としてもよい。
更に説明すると、q軸電流の基本波成分の検出値Iqdc’と指令値Iqdcとの差ΔIqdcに応じたq軸ベクトル電圧Vqdcに、q軸高周波電流成分Iqacに対応するq軸高周波電圧成分Vqacを加えた値を静止座標変換すればよい。回転数の検出値は図略のECUに送られ、ECUはそれが目標値となるように、トルク指令Stを決定してモータ制御回路29に送信する。これにより、ステータコイル21には、ロータと同期回転するq軸電流の基本波成分Iqdcとq軸高周波電流成分Iqacとが通電される。なお
、上記実施例では、高周波電流成分をq軸を中心として回転させたが、この回転は必須事項ではない。
また、上記した制御では、正弦波のステータコイル電流を採用したが、ブラシレスDCモータのように矩形波電圧を採用してもよい。ただし、この場合においても、好適には、q軸高周波電流成分Iqacが流れるようにしておくことが好適である。
この実施形態によれば、q軸方向に突出するトランス磁路部9に巻装した二次コイル6にq軸高周波電流成分Iqacを鎖交させるので、d軸高周波電流成分Idacによる無駄なトルクを減らすことができ、その結果としてトルクリップルを低減することができる。また、ロータ2がトランス磁路部9をもつので、ステータコイル21からロータ2の二次コイル6に効率よく交流電力を伝送することができる。
ロータコイルに高周波電力を送電してd軸磁束を調整するこの実施例の自己励磁方式は、d軸電流Idによりd軸磁束Φdを調整(通常は減磁)する通常のたとえばIPMに対して次の利点をもつ。
すなわち、d軸電流Idの調整は、ステータコイルにd軸ステータ電圧Vdを印加することにより行われるが、q軸ステータ電圧をVqとすると、電源電圧VはVq+jVdであるため、d軸ステータ電圧Vdの増大には限界がある。d軸インピーダンスをZdとすると、d軸電流IdはVd/Zdとなる。Zdのほとんどはステータコイルのd軸インダクタンスであり、軸電流Idの大幅な増大は困難である。これに対して、仮に一定の直流電流を流すものと仮定すれば、界磁コイル7は抵抗とみなすことができ、そのインピーダンスは非常に小さい。つまり、低圧電源でも容易にΦdを調整することができる。また、Φd調整による発電制御も容易である。更に、トルク制御は、q軸電流の基本波成分Iqdcの調整の他、q軸高周波電流成分Iqacの調整によっても行うことができる。
(界磁回路)
界磁束を形成する界磁回路について図4を参照して説明する。この界磁回路は、二次コイル6と全波整流器30と界磁コイル7とからなり、ロータ2に固定乃至巻装されている。全波整流器30はたとえば回転軸3に固定されたダイオード31〜34により構成されている。
全波整流器30は、二次コイル6の誘導電圧を全波整流する。q軸上にてステータ1に向けて突出するトランス磁路部9に巻装された二次コイル6は、ステータコイルのq軸高周波電流成分Iqacにより形成されるq軸高周波磁束Φqacと高効率に鎖交して誘導電圧を発生する。全波整流器30により全波整流された直流電圧は、界磁コイル7に印加される。Loは界磁コイル7の漏れインダクタンス、rは界磁コイル7の抵抗、Lfは界磁コイル7の有効な自己インダクタンスすなわちステータコイルと鎖交する界磁束を形成するインダクタンスである。つまり、ステータコイルのq軸高周波電流成分Iqacは、二次コイル6に誘導電圧を発生させ、この誘導電圧は、全波整流されて界磁コイル7に界磁電流を流す。なお、全波整流器30の代わりに半波整流器を用いても良い。q軸高周波電流成分Iqacの静止周波数は鉄損及び磁気騒音などを考慮して適宜決定される。
(トルクリップルの低減)
界磁束により発生するトルクである界磁束トルクは、界磁束とq軸電流の基本波成分Iqdcとの積となるため、全波整流器30が出力する整流電圧のリップルにより生じる界磁束Φfのリップルは界磁束トルクのリップルを生じさせる。この問題を改善するには、q軸高周波電流成分Iqacの周波数を高くする。これにより、界磁束トルクのリップルを高周波として問題を軽減することができる。また、q軸高周波電流成分Iqacとして
、界磁束Φfのリップルと逆位相の成分を混入することにより、それらの積のうちの低周波帯域成分を低減することができる。また、界磁極部8から見た磁気抵抗は、ステータ1のステータコアのティースとスロットとの周期配列に起因して周期的に変動する。そこで、この磁気抵抗の周期変化を打ち消すティーストルクリップルキャンセル用高周波電流成分をq軸高周波電流成分Iqacに加えることができる。ただし、このティーストルクリップルキャンセル用高周波電流成分は、回転角の関数となるが、回転数が低い場合には比較的低周波数となる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、ブラシレスの界磁コイル式同期機を説明した。この同期機は、図1に示すように、界磁極部8がトランス磁路部9よりも大きい周方向幅をもつため、d軸インダクタンスがq軸インダクタンスよりも大きい。言い換えれば、d軸磁気抵抗は、q軸インダクタンスよりも小さい。
このため、図1の同期機にd軸基本波電流成分Iddcを通電することにより、正のリラクタンストルクを発生することができる。つまり、d軸基本波電流成分Iddcを通電することにより、図1の同期機は、シンクロナスリラクタンスモータとしてのリラクタンストルクと、界磁コイル式同期機としての電流磁束トルクとの両方を同時に発生することができる。このため、これら二つのトルクの合計が電流磁束トルクを上回る位相角範囲で
d軸基本波電流成分Iddcを通電することにより、トルクを増大することが可能となる。ただし、図1では、トランス磁路部9の存在により、(Ld−Lq)の増大が難しいため、リラクタンストルクは比較的小さい。
つまり、この実施形態の同期機のトルクΣTは、Tf+(Lq−Ld)・q軸電流の基本波成分(実効値)Iqdc・d軸電流の基本波成分(実効値)Iddcとなる。界磁束トルクTfは、界磁束Φf・q軸電流の基本波成分Iqdcである。図1において、q軸インダクタンスLqは、トランス磁路部9を通過するインダクタンスであり、d軸インダクタンスLdは界磁極部8を通過するインダクタンスである。後者の方が磁路と直角の断面積が大きいため、更に正確には電磁ギャップ10と対面する面積が大きいため、その磁
気抵抗が小さい。インダクタンスは、磁気抵抗に反比例するためLdがLqよりも大きくなる。ただし、LqとLdとの関係は、通常のIPMとは逆となるため、この実施例では、d軸電流の基本波成分Iddcとq軸電流の基本波成分Iqdcとのベクトル和である同期電流の位相角θは通常のIPMとは逆方向に振られるべきである。
(実施形態3)
図4に説明した界磁回路の他の態様である実施形態3を図5を参照して説明する。図5は、図4において、チョークコイル31と平滑コンデンサ32とからなる平滑回路及びフライホイルダイオード33を追加したものである。ただし、平滑コンデンサ32とフライホイルダイオード33とを省略したり、平滑コンデンサ32とフライホイルダイオード33とのどちらか一方を選択して使用することも可能である。平滑コンデンサ32とフライ
ホイルダイオード33とのどちらか一方を選択して使用する場合、平滑コンデンサ32のロータ固定には耐遠心力の点で問題があるのに比べて、フライホイルダイオード33は遙かに固定が簡単となる。
全波整流器30から出力される整流電圧はリップル電圧成分をもつ。チョークコイル31、又は、チョークコイル31と平滑コンデンサ32とからなる平滑回路は、この電圧リップルを良好に減少させる。全波整流器30の出力電圧が低下すると、それによる電流低下を防止するために、チョークコイル31は磁気エネルギーを放出する。したがって、この実施形態によれば、界磁コイル7に通電される界磁電流のリップルによるトルク変動を大幅に低減することができる。
この実施形態では、チョークコイルの磁気回路としてロータコアを簡単に利用することができる。ロータコアを用いた具体的なチョークコイルの具体的な作製例が後で説明される。
また、フライホイルダイオード33は界磁コイル7の電流を維持しようとするため、簡単に界磁コイル7の電流リップルを低減することができる。
チョークコイル31として、界磁コイル7の漏れインダクタンスを利用することもできる。
(実施形態4)
界磁回路の他の実施例を図6(A)、図6(B)を参照して説明する。図6(A)、図6(B)は、大型化するためロータへの設置が容易でないコンデンサを用いることなく、界磁コイル7の電流を安定化するための回路を示す。
図6(A)は、図5において、平滑コンデンサ32とフライホイルダイオード33とを省略し、その代わりに、チョークコイル31と電流分岐回路とフライホイルダイオード38とを追加したものである。
この電流分岐回路は、電圧制御回路35,トランジスタ36及び電流制限抵抗37をもつ。電圧制御回路35は、抵抗rとインダクタンスLとで等価される界磁コイル7の高電位側の端子電圧Vsをモニタし、この端子電圧Vsと、内蔵の積分回路の積分電圧Vinとを比較する。この積分回路は、界磁コイル7の端子電圧を積分し、それを積分電圧Vinとして出力する。電圧制御回路35に内蔵された比較器は、端子電圧Vsが積分電圧Vinより大きい時にトランジスタ36をオンする。比較器は、端子電圧Vsが積分電圧Vinより小さい時にトランジスタ36をオフする。これにより、界磁コイル7に過大な電圧が印加されるのが防止される。
次に、二次コイル6に誘導された二次電圧が低下すると、チョークコイル31は、電源となって電流を維持しようとする。電源としてのチョークコイル31から見て二次コイル6は負荷インピーダンスとなるため、その電圧降下が二次コイル6の誘導電圧と相殺して全波整流器30の出力電圧が小さくなり、全波整流器30の出力電流(図6Aに実線で示す)が低下する。これにより、フライホイルダイオード38がオンし、界磁コイル7の電流低下が小さくなる。また、フライホイルダイオード38の電流(図6(A)に破線で示す)は、二次コイル6の電流を減らすため、二次コイル6の励磁により、チョークコイル31のエネルギーがステータコイル側に伝送されるのを減らすことができる。
(変形態様)
図6(A)5の変形態様を図6(B)を参照して説明する。
図6(B)は、図6(A)において、電流分岐回路を構成する回路素子35〜37を省略し、その代わりに図5に示すフライホイルダイオード33に相当するフライホイルダイオード39を追加したものである。
二次コイル6に誘導された二次電圧が低下すると、チョークコイル31が電源となって電流を維持しようとする。電源としてのチョークコイル31から見て二次コイル6は負荷インピーダンスとなるため、その電圧降下が二次コイル6の誘導電圧と相殺して全波整流器30の出力電圧が小さくなり、全波整流器30の出力電流(図6Bに実線で示す)が低下する。これにより、フライホイルダイオード38がオンし、界磁コイル7の電流低下が小さくなる。また、フライホイルダイオード38の電流(図6(B)に破線で示す)は、二次コイル6の電流を減らすため、二次コイル6の励磁により、チョークコイル31のエネルギーがステータコイル側に伝送されるのを減らすことができる。
更に、フライホイルダイオード39は、チョークコイル31の出力電流の低下に応じて界磁コイル7の電流を増大させる。
(変形態様)
図6(B)において、チョークコイル31及びフライホイルダイオード38を省略しても良い。この場合、全波整流回路の出力電流が減少しても、界磁コイル7の電流は上記した理由によりフライホイルダイオード39を通じての環流により維持される。
(変形態様)
図5、図6(A)、(B)において、フライホイルダイオード38、39を定電圧ダイオードに変更してもよい。このようにすれば、全波整流回路の出力電圧が高くなれば、この定電圧ダイオードがオンするため、チョークコイル31を通じて界磁コイル7に流れる電流の増大を抑制することができる。
(実施形態5)
実施例5の自己励磁型同期機を図7を参照して説明する。図7はこの同期機のロータの径方向模式断面図である。
この実施形態は、図1の同期機のロータに永久磁石51〜54を更に追加した例を示す。永久磁石51〜54は、図1のロータ2のスロット5内に隣接してロータコア4に設けられた4つの磁石収容溝50に軸方向に挿入されている。磁石収容溝50は、d軸に延在する界磁極部8の両側に設けられて、q軸と平行に凹設されている。永久磁石51、52は、N極となる界磁極部8の両側に配置されてそれぞれ軸方向に延在している。永久磁石51、52は、N極となる界磁極部8の外周面部である界磁極面をN極とする向きに磁化されている。永久磁石53、54は、S極となる界磁極部8の両側に配置されてそれぞれ軸方向に延在している。永久磁石53、54は、S極となる界磁極部8の外周面部である界磁極面をS極とする向きに磁化されている。なお、磁石収容溝50の代わりに、全周がロータコア4に囲まれる磁石収容孔を採用してもよい。これは、磁石収容孔とした場合、永久磁石5の磁石磁束の漏れが大きくなるが、この界磁コイル・磁石併用型同期機では、界磁コイル電流によりそれを有効利用するからである。
81は界磁極部8の鍔部であり、鍔部81の外周面部が界磁極面となっている。2つの界磁極部8の根元部82は永久磁石51〜54よりも径方向内側にて、トランス磁路部9の根元部92を通じて互いにつながっており、いわゆるヨークを構成している。91は、トランス磁路部9の鍔部である。これら鍔部81、91は、電磁ギャップを通じてのステータとの磁気抵抗を低減するために、スロット5側に張り出している。
83は、上記永久磁石を収容する磁石収容溝50とスロット5との間のロータコア4の部分であり、この明細書では磁石磁束磁路部と称する。磁石磁束磁路部83は、径方向外側に向かうにつれて先細となる径方向断面形状を有している。スロット5と磁石収容溝50との間に設けられたこの磁石磁束磁路部83は、この実施形態では重要な役割をもつ。
この界磁コイル・磁石併用型同期機の動作を以下に説明する。明らかに、永久磁石51〜54が発生する磁石磁束Φmを無視した場合、このロータ2の動作は、図1の同期機と同じである。この実施例では、界磁極部8と上記永久磁石とが周方向に隣接するため、磁石磁束Φmの一部は界磁極部8内を逆方向に流れて漏れ磁石磁束Φmrとなる。磁石収容孔を用いると、磁石収容孔の外周面近傍においても漏れ磁石磁束Φmrは更に増大する。
q軸高周波電流成分Iqacを0とした場合、界磁極部8は、ステータに磁石磁束Φm−漏れ磁石磁束Φmrの量の界磁束を与える。この段階で、q軸高周波電流成分Iqacを流して界磁コイル7を増磁すると、界磁コイル7に流れる界磁電流に比例して、ステータコイルに流れる界磁束が増大する。最大の界磁束は、界磁極部8の最も断面積が狭い部分が界磁束によりほぼ磁気飽和するレベルである。この時、上記永久磁石が発生する磁石磁束Φmはすべてステータコイルに向かうことがわかる。したがって、図1と比べると、界磁極部8の鍔部81の磁束密度が永久磁石51〜54の分だけ、言い換えれば鍔部81の周方向張り出し部分だけ、界磁束量が増大することがわかる。
この界磁コイル・磁石併用型同期機の重要な利点は、永久磁石に悪影響を与えることなく、界磁コイル7に流れる界磁電流を減らすことにより、界磁束量を減らすことができる点にある。また、必要に応じて、界磁コイル7への通電により、漏れ磁石磁束Φmrと反対方向に界磁極部8を磁化することにより、漏れ磁石磁束Φmrの約2倍の量の界磁束量だけ界磁束を増大することができる。
図7に示すロータ2について更に説明する。このロータ2の界磁極部8は、ロータ2に埋設された永久磁石51〜54と、永久磁石51、52に挟まれて永久磁石51、52に周方向に隣接するN極側のバイパス磁路部と、永久磁石53、54に挟まれて永久磁石53、54に周方向に隣接するS極側のバイパス磁路部とをもつ。永久磁石51、52は厚さ方向がd軸方向となる姿勢にてN極向きに配置され、永久磁石53、54は厚さ方向がd軸方向となる姿勢にてS極向きに配置されている。バイパス磁路部は、d軸方向へ延在して界磁極部8のステータ対向面に連なり、これらの永久磁石の磁束の一部を短絡する。
N極側のバイパス磁路部は、符号を省略されているが、界磁極部8の鍔部81と根元部82との間の径方向中間位置にて径方向に延在する柱部であり、永久磁石51、52の間に存在する界磁極部である。同じく、S極側のバイパス磁路部も、符号を省略されているが、鍔部81と根元部82との間の径方向中間位置にて径方向に延在する柱部であり、永
久磁石53、54の間に存在する界磁極部である。永久磁石51〜54の磁束の一部は、バイパス磁路部により短絡されて漏れ磁石磁束Φmrとなる。
すなわち、この実施形態では、永久磁石が発生する磁石磁束と、界磁コイルに流す界磁電流が発生する電流磁束との両方を用いて界磁束を発生する。電流磁束が高磁気抵抗の永久磁石をバイパスする界磁極部を永久磁石に隣接して設けられているため、電流磁束は小さい磁気抵抗の磁気回路をなすバイパス磁路部を通じてステータコイルと鎖交する。これにより、この実施例によれば、単位界磁電流当たり多くの界磁束を発生することができるので、永久磁石を持たない場合よりも界磁束を形成するための電力を減らすことができる。
(実施形態6)
実施例6の自己励磁型同期機を図8を参照して説明する。図8はこの同期機の軸方向模式断面図である。図8は、図5で説明した全波整流器30を構成するダイオード31〜34の固定態様を説明するための図である。
図8において、61はハウジング、62、63は回転軸3を支持する軸受けである。回転軸3に嵌着され固定されたロータコア4の両端面には遠心冷却風を形成するための翼部64、65をもつ冷却板66が固定されている。冷却板66は輪板形状に形成されており、界磁極部8又はトランス磁路部9に隣接するその外周部は略直角に切り曲げられて、翼部64、65となっている。スロット5内おいて、二次コイル6と界磁コイル7との間に軸方向へ貫通する冷却風流路を構成し、翼部64、65が形成した風がこの方向に流れるようにしてもよい。
リア側の冷却板66にはダイオード31〜34が固定されている。もちろん、ダイオード31〜34をロータコア4の端面に直接固定しても良い。このようにすれば、遠心冷却風との接触冷却により冷却される翼部65がダイオード31〜34を良好に冷却する。形成する。つまり、良好に冷却される翼部65がダイオード31〜34のヒートシンクとなるため、ダイオード31〜34は更に良好に冷却されることができる。なお、ダイオード
31〜34の代わりにトランジスタを用いて同期整流形式の整流器を採用しても良い。また、二次コイルを2つ用いれば、2つのダイオードにより全波整流することもできる。
(実施形態7)
実施例7の自己励磁型同期機の発電動作について図9を参照して以下に説明する。図9において、70は発電電動機(又は発電機)、80は全波整流器を兼ねる3相のインバータである。インバータ80は、それぞれMOSトランジスタからなる各相の上アーム素子81〜83及び下アーム素子84〜86を有している。
この実施形態では、インバータ80は、発電時に各MOSトランジスタの寄生ダイオードを通じて3相全波整流を行う。もちろん、同期整流をおこなってもよい。発電電動機70から出力される発電電流は、本質的に−q軸電流の基本波成分Iqdcとなる。
界磁電流を発電電動機70に与えるには、MOSトランジスタからなる各相の上アーム素子81〜83及び下アーム素子84〜86をスイッチングしてq軸高周波電流成分Iqacを与えることにより行う。高速回転時には、インバータ80のダイオードによる3相全波整流時に生じるリップル電流は、q軸高周波電流成分Iqacの一部を構成するため、必要に応じて、外部から発電電動機に与えるq軸高周波電流成分Iqacを減らすことができる。
なお、発電機として用いる場合には、ステータコイルの各相巻線が発電する各相電圧の位相を検出することにより、比較的簡単に回転角を検出することができる。また、モータとして用いる場合でも、従来より種々、センサレス回転角検出方式が提案されており、それを利用することができる。
その他、ステータコイルに重畳されるロータと同期回転する高周波電流成分のロータに対する位相角を調整することにより、インダクタンス変化を検出してロータ位相角を検出することもできる。すなわち、このロータと同期回転する高周波電圧と高周波電流とからインピーダンスがわかる。このインピーダンス(ほぼインダクタンス)は、高周波磁束が、界磁極部8やトランス磁路部9を貫通する位置にて大きくなるため、それを検出することにより高精度に判別することができる。
(実施形態8)
実施例8の自己励磁型同期機のロータ構造を図10を参照して以下に説明する。この実施形態は、図7において永久磁石52、54を省略し、永久磁石51、53をd軸位置に配置し、バイパス磁路部84を永久磁石51、53の周方向両側に隣接配置したものである。このようにしても、図7と同様の効果を奏することができる。
(実施形態9)
実施例9の自己励磁型同期機のロータ構造を図11を参照して以下に説明する。図11は、図7において、トランス磁路部9、二次コイル6、整流回路、界磁コイル7を省略した点に特徴がある。界磁束すなわちd軸磁束は、d軸電流をステータコイルに流すことにより形成される。この同期機は、d軸インダクタンスがq軸インダクタンスよりも大きくなるため、以下、突極型IPMと呼ぶものとする。d軸電流によりd軸磁束を形成するこの実施形態でも、図7で説明したと同じ増磁、減磁効果を奏することができる。トルクを稼ぐ場合に界磁束増加向きにd軸電流を通電し、高速回転時に界磁束を減らしてトルクを確保する場合には、界磁束増加向きにd軸電流を通電し、ステータ電流を通常の減磁向きに通電すればよい。このようにすれば、トルク増大時には、d軸電流又はq軸高周波電流成分Iqacの少なくとも一方により発生するd軸磁束(電流磁束とも言う)とそれと同方向で漏れ磁束が無い磁石磁束との和である界磁束をステータコイルに流すことができ、高速回転時には磁石磁束を減らす向きにd軸電流により発生するd軸磁束(電流磁束)を発生させることにより、磁石磁束からこの電流磁束との差である界磁束をステータコイルに流していわゆる減磁制御を実施することができる。
(実施形態10)
実施例10の自己励磁型同期機のロータ構造を図12を参照して以下に説明する。図12は、図10において、トランス磁路部9、二次コイル6、整流回路、界磁コイル7を省略した点に特徴がある。界磁束すなわちd軸磁束は、d軸電流をステータコイルに流すことにより形成される。このようにしても、図7、図10と同様の効果を奏することができる。
図11、図12に示すロータ構造においてもその磁気突極構造を利用してリラクタンストルクを利用することができる。すなわち、このロータコアは、q軸インダクタンスよりもd軸インダクタンスが大きいので、このインダクタンス差を利用してリラクタンストルク((Ld−Lq)・Id・Iq)を界磁束トルク(Φf・Iqdc)に加えて利用することができる。なお、Φfは界磁束、Iqdcはq軸電流Iqの直流成分である。ただし、リラクタンストルクを用いる場合、バイパス磁路部が低磁気抵抗となっていることが好ましい。
(実施形態11)
実施例11の自己励磁型同期機を図13を参照して説明する。図13はこの同期機のロータの径方向模式断面図である。この実施形態は、図7に示す自己励磁型同期機において、永久磁石51〜54の配置を変更した点をその特徴としている。その他の点は、図7と同じである。
永久磁石51〜54は、図7と比べて斜めに配置されている。これにより、永久磁石51、52の間の周方向距離が径方向内側で狭く、径方向外側で広くなっている。同じく、永久磁石53、54の間の周方向距離が径方向内側で狭く、径方向外側で広くなっている。すなわち、バイパス磁路部の両側の一対の永久磁石を斜めに配置することにより、バイパス磁路部の磁気飽和を促進することができる。更に、図13では、トランス磁路部9の周方向幅が上記バイパス磁路部よりも大きくされ、これにより、従来の埋め込み磁石式同期モータ(IPM)と同じく、q軸インダクタンスを大きく、d軸インダクタンスを小さくすることができる。
これにより、従来のIPMと同じく、磁石磁束トルクとリラクタンストルクとを利用することができる。更に、トランス磁路部9に流れるq軸高周波電流成分Iqacにより二次コイル6に誘導される誘導電圧を整流して界磁コイル7に印加することにより、d軸からステータに流れる界磁束を調整することができる。整流回路から界磁コイル7に通電される界磁電流の向きにより、永久磁石51〜54の磁束である磁石磁束のうちステータに
流れる分を増加する増磁動作と、永久磁石51〜54の磁束である磁石磁束のうちステータに流れる分を減少する減磁動作とのどちらかが選択可能である。また、整流回路の通電方向を切り替える切り替え回路を設けることにより、増磁動作と減磁動作とを切り替えることもできる。なお、永久磁石51〜54は界磁極部8の表面に貼り付けても良い。この
場合、界磁極部8の表面の一部はバイパス磁路部として永久磁石51〜54を貼り付けずに軟磁性の部分を露出させることが好適である。
(高速時減磁動作)
この実施形態では、整流回路から界磁コイル7への通電により、減磁動作が行われる。すなわち、回転数が所定値を超えて高速回転となるとき、q軸高周波電流成分Iqacを増大させて、界磁極部8からステータに流れる界磁束が減らされる。これにより、ステータコイルの逆起電圧を減らして高速回転状態でもトルクを発生させるいわゆる減磁制御を行うことができる。その結果、従来のIPMの問題点であった高速時の減磁のためのd軸電流を減らして効率を向上することができる。上記制御動作自体は当業者であればいままでの説明に基づいて容易に設計することができる。
(第2高速時減磁動作)
この実施形態では、回転数が所定の第1しきい値を超えて高速回転となるときq軸高周波電流成分Iqacを増大させて、界磁極部8からステータに流れる界磁束が減らす第1の高速時減磁動作を行う。更に、回転数が第1しきい値より高い所定の第2のしきい値を超えて高速回転となるときステータ電流のd軸電流を逆方向に増大して従来のIPMと同様に減磁を行う。このようにすれば、高い回転数までステータコイル21の逆起電圧を抑制してステータコイル21にq軸電流を通電できるので、車両走行用モータのように使用回転数範囲が広いモータに好適に用いることができる。上記制御動作自体は当業者であればいままでの説明に基づいて容易に設計することができる。
(高速時減磁動作と低速時増磁動作との併用)
この実施形態では、回転数が上記第1しきい値より小さい所定の第3しきい値より低い低速回転状態となる時、d軸電流成分を界磁束増大方向に流す。これにより、低速時において、界磁極部8からステータに流れる磁束を増大させることができる。上記制御動作自体は当業者であればいままでの説明に基づいて容易に設計することができる。このようにすれば、低速時の大トルク発生を少ない磁石量で行うことができるため、高速時の減磁を容易とすることができる。上記したバイパス磁路部を設けることにより、界磁極部8の磁束変化を容易化することができる。
言い換えると、大トルクでの運転期間に、界磁束を増大するためのd軸電流を通電することによりあるいは界磁束を増大するための前記高周波電流を通電することにより、界磁束量を増大することができる。更にそのうえ、高速での運転期間に、界磁束を減少するためのd軸電流を通電することによりあるいは界磁束を減少するための前記高周波電流を通電することにより、界磁束量を減少することができる。なお、界磁束を減少するための前記高周波電流を通電は、たとえば、整流回路の整流向きを逆転させればよい。このようにすれば、全運転時間において発生確率が少ない大トルク期間と高速回転期間とにのみ、d軸電流又は高周波電流を流せばよいため、界磁束発生に必要な電力を減らすことができる。
結局、この実施例で説明した界磁コイル・磁石併用同期機においては、図1で説明したリラクタンストルク((Ld−Lq)・Id・Iq)利用の界磁コイル型同期機とおなじく、リラクタンストルクと界磁コイルによる界磁束トルク(Φf・Iqdc)に加えて永久磁石51〜54による磁石トルク(Φm・Iqdc)を更に利用することができる。なお、Φfは界磁束、Iqdcはq軸電流Iqの直流成分、Φmは有効な磁石磁束量である。また、図7に示すロータ構造がq軸インダクタンスよりも大きいd軸インダクタンスをもつのに比べて、図8のロータ構造は、q軸インダクタンスよりも小さいd軸インダクタンスをもつので、IPMと同様のd軸電流制御を行うことができる利点もある。ただし、リラクタンストルクを用いる場合、ある程度の界磁電流による磁束をバイパス磁路部に流してバイパス磁路部の磁気飽和を解消し、その磁気抵抗を減らしておくことが好ましい。
(実施形態12)
実施例12の自己励磁型同期機を図14を参照して説明する。
この実施形態は、ステータ電流の高周波電流成分をステータコイル21に通電するために、ステータ電流の各相の相電流の波形を台形化する点にその特徴がある。すなわち、各相の相電流に含まれる第3高調波が増大するにつれて、相電流の波形は正弦波から台形波に近くなってゆく。たとえば高速回転時にはこの第3高調波の周波数が十分大きくなるため、ステータコイル21と二次コイル6との間の電力伝送効率が向上し、二次コイル6の誘導電圧が増大する。したがって、高速減磁動作において、ステータ電流を正弦波波形から台形波波形に変更することにより、減磁を強化することができる。もちろん、更に第5高調波を利用しても良い。
また、相電流の波形を正弦波から台形波に変更すると、通常の同期機ではトルク自体も増大できるため高速減磁動作において更に好ましい。なお、相電流波形を台形にすることは、相電流波形の立ち上がり波形及び立ち下がり波形の傾斜率を急峻にすることであり、相電流波形の立ち上がり期間及び立ち下がり期間のPWMデューティの増加率又は減少率を増大させればよい。このような、相電流の波形を正弦波から台形波に変更する制御は、インバータ回路のPWM制御により容易に行うことができることが周知であるため、これ以上の説明は省略する。図14(A)はU相電流波形を台形波形とした状態を示し、図14(B)はそれを更に急峻な台形波形とした状態を示す。
その他、インバータの各パワースイッチング素子のPWMスイッチングにより正弦波波形又は矩形波波形の3相電圧を発生させる場合、かならず奇数次数の高調波電流成分が派生するので、このインバータのPWMスイッチングにより付随的に発生する奇数次高調波電流を利用して界磁電流を発生させても良い。
台形波の相電流波形以外に、矩形波電流を用いることにより、奇数倍の高調波電流成分を更に多く発生させてもよい。ここで言う矩形波電流は上記した台形波形の特殊例である。なお、上記した各高調波電流や重畳高周波電流は、二次コイル6と鎖交する高周波磁束を形成すればよく、q軸高周波電流成分Iqacでなくても、界磁電流を発生させることができる。
(実施形態13)
実施例13の自己励磁型同期機を図15を参照して説明する。図15は、いままで説明した自己励磁型同期機のロータとペアで用いられるステータの好適構造例を示す部分径方向断面図である。図15において、12はステータ1のティース、13はステータ1のスロットである。スロット13には、ステータコイル21とともに、直流コイル14が波巻きに巻装されている。直流コイル14は、一個ではなく、複数個巻かれていても良く、集
中巻きにより巻かれていても良い。波巻きを採用する場合、直流コイル14の往き導体と帰り導体との間の周方向ピッチは、種々選択することができる。たとえば、1ターンすなわちは、巻装されている。なお、ここで言う往き導体とはスロット13を一端側から他端側に直流電流が流れるスロット内導体を意味し、ここで言う帰り導体とはスロット13を他端側から一端側に直流電流が流れるスロット内導体を意味する。
このようにすれば、高速時減磁動作時には、ロータ2の二次コイル6は、高速で回転しているため、この直流コイル14に直流電流を通電することにより、二次コイル6に交流電力を誘導することができる。この時の二次コイル6が消費する交流電力は、ロータ2の運動エネルギーが負担し、直流コイル14は負担しない。これにより、永久磁石51〜54によりステータコイル21に生じる誘導起電圧を低減するいわゆる高速時減磁動作において、簡単に二次コイル6に交流電力を供給することができる。この直流電流は、図16に示す簡単な直流電流制御回路15のトランジスタ16のPWMスイッチングにより簡単に調整することができる。ただし、この二次コイル6の誘導電圧はロータ2が高速回転していないと小さくなるという問題がある。しかし、界磁コイル7による電流磁束を高速時減磁動作にのみ用いる場合、低速回転時に界磁コイル7に界磁電流を流す必要がないため、好都合である。
なお、この直流コイル14による界磁電流形成において、重要なことは、電磁誘導により、ステータコイル21の交流電圧に応じた交流電圧が直流コイル14に誘導されることである。しかし、この問題は、すべてのスロット13又は所定のスロット13に収容された直流コイル14の各導体に作用するステータコイル21からの誘導電圧の合計が所定値未満、好適には理論的に0となるように、直流コイル14の巻き方を工夫することにより簡単に解決される。たとえば、直流コイル14の往き導体が奇数スロットに、帰り導体が偶数スロットに収容されるように直流コイル14を波巻きすれば、ステータコイル21からの誘導電圧は理論的に0となる。その他、電気技術者では容易に誘導電圧が理論的に0となる直流コイル14の巻き方を決定することができるので、これ以上の説明は省略する。
なお、直流コイル14は、直流電流を通電するだけであるため、ステータコイル21よりも小さい断面積の絶縁被覆線をステータコイル21よりも多数回を巻くことが好適である。これにより、小さい直流電流により大きな高速時減磁動作のために二次コイル6と鎖交する磁束を形成することが可能となる。
(実施形態14)
実施例14の自己励磁型同期機を図17を参照して説明する。図17は、3相の相巻線22〜24が集中巻きされたステータ1を示す。この実施形態は、ステータコイル21の3相の相電流に直流電流を加算することにより、高速時減磁動作時に二次コイル6に誘導電圧を発生させる点にその特徴がある。図17を参照して更に詳しく説明する。直流電流IdcがU相の相巻線22に流入し、半分の直流電流IdcがV相の相巻線23、W相の相巻線24からそれぞれ流出する。このようにすると、図18は、集中巻きされたステータコイル21を例としてこの直流電流による磁束を説明する図である。U相のティース12は直流磁束Φdcをロータに流し、V相、W相のティース12と半分の直流磁束Φdcを吸い込む。結局、この直流電流は、電気角2πピッチで不均一に空間分布する電流磁界を形成する。したがって、高速時減磁動作時に、誘導電圧が二次コイル6に誘導される。ステータコイル21に上記のように直流電流を通電することは容易であるため、簡単に自己励磁型同期機を用いた高速時減磁動作を実現することができる。ただし、ステータコイル21のターン数は既述した直流コイル14のそれよりも少ないため、相対的に抵抗損失は増大する。しかし、この実施形態では、高速時減磁動作以外においては用いない直流コイル14を省略することができるため、スロット13に収容することができるステータコイル21の導体量を増大できる利点がある。
(実施形態15)
実施例15の自己励磁型同期機を図15、図16を参照して説明する。この実施形態は、実施形態13で説明した直流コイル14を発電機の界磁電流形成のために用いる点をその特徴とする。図15の直流コイル14が形成する磁界は、ロータ2が静止している場合には二次コイル6に誘導電圧を発生しないため、停止するロータ2は界磁束を発生することはできず、モータとして起動することができない。
けれども、発電機は機械的駆動源により回転を与えられるため、モータ回路は、自己励磁型同期機を停止状態から起動する必要はない。この点を利用して、この実施形態は、図15、図16に示す直流コイル14を発電機動作のみを行う自己励磁型同期機に用いたものである。このようにすると、非常に簡素に自己励磁型同期機を用いた発電機の界磁電流制御を行うことができる。
(実施形態16)
実施例16の自己励磁型同期機を図17、図18を参照して説明する。この実施形態は、実施形態14で説明した直流コイル14を発電機の界磁電流形成のために用いる点をその特徴とする。図17のステータコイル21に直流電流を通電することにより形成される磁界は、ロータ2が静止している場合には二次コイル6に誘導電圧を発生しないため、停止するロータ2は界磁束を発生することはできず、モータとして起動することができない。
けれども、発電機は機械的駆動源により回転を与えられるため、モータ回路は、自己励磁型同期機を停止状態から起動する必要はない。この点を利用して、この実施形態は、図17、図18に示す自己励磁型同期機からなる発電機のステータコイル21に実施形態14と同様に直流電流を流す。このようにすれば、ロータ2が回転しているため、その二次
コイル6に誘導電圧が生じて界磁電流が形成される。この直流電流の簡単な制御により、界磁電流を容易に調整することができ、ステータコイル21の発電電圧を容易に調整することができる。つまり、自己励磁型同期機を発電機として用いる場合に限り、ステータ1への直流電流の通電による界磁電流制御が容易に実現する。
(実施形態17)
実施例17の自己励磁型同期機を図19を参照して説明する。図19は、自己励磁型同期機のロータ2の径方向模式断面図である。この実施形態は、自己励磁型同期機の二次コイル6の巻回方式にその特徴がある。
ロータ2は、回転軸3に嵌着、固定されている。ロータ2は、電磁鋼板を積層してなる4極のロータコア4と、ロータコア4のスロット5に巻かれた二次コイル6と4個の界磁コイル7A〜7Dとからなる。8A〜8Dはロータコア4の外周面に設けられて90度ごとに径方向外側へ突出する4つの界磁極部である。界磁コイル7Aは界磁極部8Aに、界磁コイル7Bは界磁極部8Bに、界磁コイル7Cは界磁極部8Cに、界磁コイル7Dは界磁極部8Dに巻かれている。界磁コイル7A〜7Dは直列接続されて図略の整流回路から界磁電流が給電される。これにより、界磁極部8A、8CはN極に、界磁コイル7B、7DはS極に磁化される。なお、この実施形態のロータ2は今まで説明したトランス磁路部を有していない点に留意されたい。二次コイル6は、界磁極部8A、8Dの間のスロット13Aと、界磁極部8B、8Cの間のスロット13Bにフルピッチ(全節)巻きされている。図19のロータ2の外周面は、電気角4πの周方向幅を有している。
この実施形態では、図略のステータコアの第1の電気角2πの領域におけるステータ磁束の合計と、第2の電気角2πの領域におけるステータ磁束の合計との間には差が形成される。この差をステータ磁束差と言う。このステータ磁束差は、既述した発電機使用や高速時減磁使用では直流磁束の差でもよい。ただし、起動を要するモータとしての使用を前提とする場合には、このステータ磁束差は交番磁束である必要がある。このようなステータ磁束差の形成方法については後述するものとする。
以下、動作を説明する。上記ステータ磁束差に相当する磁束は、全節巻きされた二次コイル6と鎖交する。したがって、このステータ磁束差が変化すると、二次コイル6には二次電圧が誘導され、この二次電圧が図略の整流回路により整流されて界磁コイル7A〜7Dに給電される。これにより、このモータは、界磁コイル式同期モータとして回転することができる。また、図19から明らかなように、トランス磁路部をもたないこのロータ2のq軸インダクタンスは非常に小さいため、大きなインダクタンス差(Ld−Lq)を実現することができるため、大きなリラクタンストルクを発生することができる。当然、界磁極部8A〜8Dに永久磁石を設けて磁石トルクを更に発生させても良い。発電機動作又は高速時減磁動作を行う場合には、ロータ2の回転が前提となるため、上記したステータ磁束差は直流磁束差でもかまわないことは、いままで説明した通りである。
(変形態様)
図19では、二次コイル6は、電気角2πピッチでロータ2にフルピッチワインディングにより巻かれた。これにより、二次コイル6に流れる電流が、電気角4πにわたって巻かれるステータコイル21に与える影響は0となるため、それによるトルクリップルが低減される。
なお、二次コイル6を、電気角3πピッチでロータ2にフルピッチワインディングにより巻いてもよい。これは、ロータ2が6つの界磁極部8をもつ場合に有効である。これにより、二次コイル6に流れる電流が、電気角6πにわたって巻かれるステータコイル21に与える影響は0となるため、それによるトルクリップルが低減される。
同じく、二次コイル6を、電気角4πピッチでロータ2にフルピッチワインディングにより巻いてもよい。これは、ロータ2が8つの界磁極部8をもつ場合に有効である。これにより、二次コイル6に流れる電流が、電気角8πにわたって巻かれるステータコイル21に与える影響は0となるため、それによるトルクリップルが低減される。
(実施形態18)
実施例18の自己励磁型同期機を図20、図21を参照して説明する。図20は、インナーロータ型のステータの径方向模式断面図である。この実施形態は、実施形態17で説明したステータ磁束差を発生するためのステータコイル21の構成を示す。なお、この実施形態のステータ磁束差は、実施形態17以外にも利用可能である。
実施形態17では、電気角4π以上に分布し、電気角4πにわたって磁束すると0となる磁束分布であるステータ磁束差を利用した全節巻き二次コイル6について説明した。この場合、このステータ磁束差の発生と、それによるトルクリップルの低減とが重要な課題となる。この実施形態は、この課題解決を目的とする。
具体的に説明すると、この実施形態のステータ1は、2つのステータコイル1A、1Bをもつ。ステータコイル1A、1Bは、それぞれステータ1のスロット(図略)を電気角2πを占有している。ステータコイル1Aとステータコイル1Bとは回転対称に配置される。結局、ステータコイル1A、1Bからなるステータコイルは電気角4πにわたって配置されている。
図21は、ステータコイル1A、1Bの等価回路を示す。ステータコイル1A、1Bは、それぞれ3相星形接続され、ステータコイル1Aは3相のインバータ28Aから3相交流電流(図略)を給電され、ステータコイル1Bは3相のインバータ28Bから3相交流電流(図略)を給電されている。この3相交流電流は従来の同期モータのそれと同じであるため、説明を省略する。ステータコイル1A、1Bの中性点は接続されている。
更に、インバータ28Aは交流励磁電流Iacをステータコイル1Aの各相巻線2001、2002、2003に給電し、インバータ28Bは交流励磁電流Iacをステータコイル1Bの各相巻線2004、2005、2006から吸収している。なお、相巻線2001、2004はU相の相巻線、2002、2005はV相の相巻線、2003、2006はW相の相巻線である。各相巻線2001〜2006は、ステータコアのティースに集中巻きされているが、分布巻きしてもよい。つまり、インバータ28Bは、インバータ28Aが出力する交流励磁電流Iacと逆位相の交流電流−Iacをステータコイル1Bに給電している。この結果、ステータコアには、上記3相交流電流による磁束の電気角4πを電気角2πとする交流磁束が形成される。この交流磁束は、たとえば図19に示す全節巻きの二次コイル6に誘導電圧を発生させる。結局、この二次コイル6の誘導電圧が整流されて界磁コイル7に界磁電流として通電され、ロータ2の4極の界磁極部8が磁化され
る。なお、インバータ28A、28Bが通常の3相交流電流と上記交流電流との和を通電するモータ回路制御はいままでの説明及び公知技術に基づいて当業者が容易に設計することができる事項であるため、これ以上の説明は省略する。
この実施形態の利点は、ステータコイル1Aの交流電流がロータに与える影響と、ステータコイル1Bの交流電流がロータに与える影響とが逆位相となるため、トルクリップルが大幅に低減される点にある。なお、図21において、ステータコイル1Aの各相巻線2001〜2003には等しい大きさの交流励磁電流Iacが給電され、ステータコイル1Bの各相巻線2004〜2006には等しい大きさの交流励磁電流−Iacが給電されたが、これに限定されるものではない。たとえば、相巻線2001に通電される交流電流の半分の交流電流を相巻線2002、2003に通電し、相巻線2004に通電される交流電流の半分の交流電流を相巻線2005、2006に通電してもよい。
(変形態様)
変形態様を図22を参照して説明する。この変形態様は、図21において、U相の相巻線2001、2004にだけ交流励磁電流Iacを通電し、V、W相の相巻線2002、2003、2005、2006には交流励磁電流Iacを通電しない態様を示す。
この態様の利点は、インバータを簡素化できる点にある。また、電気角4π分のステータコイルの交流励磁電流Iacによる磁界の総和が0となるため、トルクリップルを低減することができる。
図22に示すインバータ28は、4つのハーフインバータをもつ。第1のハーフインバータはU相の相巻線2001に給電し、第2のハーフインバータはU相の相巻線2002に給電し、第3のハーフインバータはV相の相巻線2002、2005に給電し、第4のハーフインバータはW相の相巻線2003、2006に給電する。なお、第3、第4のハーフインバータは、第1、第2のハーフインバータの2倍の電流容量をもつ。
第1のハーフインバータはU相の相巻線2001に通常のU相交流電流に加えて交流励磁電流Iacを通電する。第2のハーフインバータはU相の相巻線2004に通常のU相交流電流に加えて交流励磁電流−Iacを通電する。第3のハーフインバータは通常のV相交流電流だけを給電し、第4のハーフインバータは通常のW相交流電流だけを給電する。このようにすれば、図21に示す回路構成と同じく、図19の二次コイル6に二次電圧を誘導することができる。
(変形態様)
以上の説明では、電気角2πはなれた2つの相巻線に交流励磁電流Iacを互いに逆向きに通電することを説明した。この交流励磁電流Iacとしては、種々の形態の交流電流成分を利用することができる。
たとえば、二つのインバータ28A、28BのPWMキャリヤ信号の位相を180度ずらせる。これにより、これら2つのインバータ28A、28BのPWM変調により相電流に重畳する高調波電流成分は逆位相となり、上記交流励磁電流Iacを構成することができる。また、交流励磁電流Iacとして既述した矩形波波形又は台形波波形の相電流に含まれる奇数高調波電流成分を用いても良い。もちろん、インバータ28A、28Bが出力する通常の3相交流電流とは別の所定周波数の交流電流を用いても良い。各相巻線に重畳する交流励磁電流の位相又は周波数を別々としてもかまわない。
その他、交流励磁電流Iacの代わりに直流電流を用いても良い。ただし、第1のステータコイル21A又はU相の相巻線U1に重畳する直流電流がロータに与える磁束の向きと、第2のステータコイル21B又はU相の相巻線U2に重畳する直流電流がロータに与える磁束の向きとは反対とされる。このためには、第1のステータコイル21A又はU相の相巻線U1に重畳する直流電流と、第2のステータコイル21B又はU相の相巻線U2に重畳する直流電流とは反対向きであり、好適には振幅は等しくされる。
このようにすれば、たとえば同期機の発電機動作及び高速時減磁動作において、ロータ2への界磁電流通電を少ないトルクリップルで行うことができる。これは、電気角4π分のステータコイルの直流電流による磁界の総和が0となるためである。
ただし、ステータはロータに直流磁界を与えるため、この変形態様は、モータの起動及び低速運転には適していない。しかし、既述したように、発電機動作及び高速時減磁動作においては、界磁電流制御が容易となり、好適である。その他、自己励磁型同期機をなんらかの方法により起動した後、この直流電流制御により界磁電流制御を行うことも可能で
ある。
その他、ステータコイルに交流励磁電流Iac又は直流電流を重畳する代わりに、ステータコイルとは別にステータに巻かれた既述の直流コイル14に直流電流を給電してもよい。この場合には、ステータコイル21及びインバータ28はそれぞれ一つとすることができる。図23にこの場合の電流制御回路を示す。ステータ1には直流コイル14E、14Fが巻かれる。直流コイル14Eと直流コイル14Fとは、周方向に電気角2π離れて巻かれている。トランジスタ16をPWM制御することにより、直流電流の大きさは調整される。なお、直流コイル14Eがロータにあたえる直流磁界の向きと、直流コイル14Fがロータに与える直流磁界の向きとは反対となるように、直流コイル14E、14Fはステータに巻かれる。
このようにすれば、たとえば同期機の発電機動作及び高速時減磁動作において、ロータ2への界磁電流通電を少ないトルクリップルで行うことができる。これは、電気角4π分のステータコイルの直流電流による磁界の総和が0となるためである。
ただし、ステータはロータに直流磁界を与えるため、この変形態様は、モータの起動及び低速運転には適していない。しかし、既述したように、発電機動作及び高速時減磁動作においては、界磁電流制御が容易となり、好適である。その他、自己励磁型同期機をなんらかの方法により起動した後、この直流電流制御により界磁電流制御を行うことも可能で
ある。
(変形態様)
以上説明した電気角2πピッチで巻かれる二次コイル6は、たとえばランデル構造のロータでは、互いに周方向へ隣接する各爪極の間の隙間のうち、偶数番目の隙間に波巻きにて二次コイル6の導体を順次巻回すればよい。
(実施形態19)
実施例19の自己励磁型同期機を図24を参照して説明する。この実施形態は、いままで説明した自己励磁型同期機の二次コイル6を巻線型誘導モータの二次コイルとしても動作させることにより、無駄な電力損失を低減してトルクアップを図る点をその特徴としている。
図24は、この実施形態の自己励磁型同期機の要部ブロック回路図である。図24は、3相インバータを駆動制御するためモータ回路のU相分を示している。1000は3相のインバータを駆動するためのモータコントローラ、1001はアナログ加算回路、1002は3相のインバータのU相ハーフインバータへ制御信号を出力するU相インバータ駆動回路である。なお、3相のインバータは、周知のようにU、V、Wの3つのハーフインバータからなる。
モータコントローラ1000は、自己励磁型同期機を同期モータとして作動させるための電流指令であるU相電流指令Iu1と、自己励磁型同期機を誘導モータとして作動させるための電流指令であるU相電流指令Iu2とを出力し、これら2つの電流指令は、アナログ加算回路1001により加算されてU相インバータ駆動回路1002に出力される。U相インバータ駆動回路1002は、入力された電流指令を対応するデユーティのPWM信号にデッドタイムを加えて、U相ハーフインバータの上アームのスイッチング素子の制御電極に印加する。ほぼ反対位相のPWM信号がU相ハーフインバータの上アームのスイッチング素子の制御電極に印加する。
この実施形態におけるモータ動作を下記に説明する。
U相電流指令Iu1はIu1m・SIN(ωt)で表され、U相電流指令Iu2はIu
2m・SIN(ω+Δω)t)で表される。Iu1mはIu1の振幅、Iu2mはIu2
の振幅、ωはロータ角速度、Δωは所定の超過角速度である。モータのU相巻線に供給される角速度ωのU相電流(Iu1)はロータと同期回転するため、ロータに同期トルクを発生する。これに対して、モータのU相巻線に供給される角速度ω+ΔωのU相電流(Iu2)はロータよりも速く回転するため、二次コイル6に二次電圧を誘導する。当業者には容易にわかるように、これは、U相電流(Iu2)が誘導モータの電機子電流を構成することを意味する。もちろん、説明を簡単にするため、U相だけを説明しているが、ステータコイル21のV相電流、W相電流も同じである。
二次コイル6に誘導される二次電圧の角速度はΔωであり、その大きさはs・Vu2となる。sは滑り度であり、1−(ω/(ω+Δω)で定義される。すなわち、ω+Δωは誘導モータの同期角速度、ωはロータ角速度となる。この場合、投入された電力のうちの比率(1−s)は誘導モータのトルクとなり、投入された電力のうちの比率sは、二次コイル6の消費電力となる。従来の巻線型誘導モータでは、この二次コイル6の消費電力が損失となっていたが、この実施形態では、この二次コイル6の消費電力の多くを整流回路を通じて界磁コイル7への給電に使用するため、損失低下を大幅に減らすことができる。二次コイル6及び界磁コイル7のターン数を増大することにより、二次コイル6、整流回路、界磁コイル7の抵抗損失を低減することができる。好適には、滑り度s(=Δω/ω0)は0.05〜0.5の範囲に設定される。これは、誘導モータとしてのトルクを増大するためである。なお、二次コイル6は今まで説明してきた集中巻きの他、ロータ2の外周面に分布巻きしても良い。ただし、界磁極部8の部分における二次コイル6の配置は避けることが好適である。
(界磁電流の制御)
この実施形態において、界磁電流を制御するには、二次コイル6に誘導される電圧を制御すればよい。誘導モータ技術者に良く知られているように、上記U相電流(Iu2)の角速度又は電流量(振幅)を制御すればよく、このような制御はもはや説明するまでもなく、容易に設計することができる。
(実施形態20)
実施例20の自己励磁型同期機を図25を参照して説明する。この実施形態は、図5に示すチョークコイル31の取り付けに関する実施形態である。
図25に示す2つのチョークコイル1010は、軟磁性のチョークコアに巻かれてロータ2の軸方向両側の端面に密着して設けられている。この2つのチョークコイル1010の閉磁路は、ロータ2のロータコアと上記チョークコアとにより構成されている。チョークコイル1010の閉磁路の構成及びチョークコイル1010の配置自体は種々可能であり、当業者であれば容易に設計することができるため、これ以上の説明は省略する。たとえば、上記チョークコアをリング状のチョークコイル1010を収容するリング状の溝をもつ軸方向断面がC字状の円盤状コアとすることができる。この円盤状のコアはロータ2の端面に密着されて閉磁路が形成される。ただし、この円盤状のコアが界磁コイル7の漏れ磁路を構成しないように注意する必要がある。
(変形態様)
チョークコイル1010の変形態様を図26に示す。このチョークコイル1010は、ロータ2の軸方向中央部にリング状に巻かれている。ロータコアにはチョークコイル1010の径方向内側に位置して軟磁性のボス部が設けられている。このようにすれば、図26に示すチョークコイル磁束Φが流れる磁路を形成することができる。ただし、この磁路は、ステータ1とロータ2との間のギャップと、ステータコアとを利用している。もちろ
ん、リング状の二次コイル6の径方向外側に軟磁性部材を設けてステータ1に流れるチョークコイル磁束のバイパス磁路を形成してもよい。ただし、この円盤状のコアが界磁コイル7の漏れ磁路を構成しないように注意する必要がある。
(変形態様)
その他、ロータ2に電気角2πピッチで巻いたコイルをチョークコイル1010とすることもできる。このコイルは、ステータコイル21からの電磁的影響を受けない。
(実施形態21)
実施例21の自己励磁型同期機を図27を参照して説明する。この実施形態は、図1に示す自己励磁型同期機において、永久磁石Mを追加することにより、いわゆる表面磁石型同期モータ(SPM)とした点にその特徴がある。永久磁石Mは、ロータコア4の界磁極部8の外周面に固定されている。このようにすれば、永久磁石Mの永久減磁が生じない範囲で界磁コイル7への通電を行うことにより、ロータ磁束を調整することができる。
(実施形態22)
実施例22の自己励磁型同期機を図28を参照して説明する。この実施形態は、図7に示す自己励磁型同期機において、永久磁石51〜54をロータコア4の磁石収容孔に完全に埋め込んだものである。いわゆるIPMを構成するこの実施例によれば、図7の同期機に比べてロータの耐遠心力性能を向上することができる。
1はステータ、1A、1Bはステータコイル、2はロータ、3は回転軸、4はロータコア、5はスロット、6は二次コイル、7、7A〜7Dは界磁コイル、8A〜8Dは界磁極部、9はトランス磁路部、10は電磁ギャップ、12はティース、13、13A、13Bはスロット、14、14E、14Fは直流コイル、15は直流電流制御回路、16はトランジスタ、20は同期機、21、21A、21Bはステータコイル、22〜24は相巻線、25は回転角検出器、26は電流センサ、28、28A、28Bはインバータ、29はモータ制御回路、30は全波整流器、31はチョークコイル、31〜34はダイオード、32は平滑コンデンサ、33はフライホイルダイオード、41〜43はトランス、50は磁石収容溝、51〜54は永久磁石、64、65は翼部、66は冷却板、70は発電電動機、80はインバータ、81は鍔部、81〜83は上アーム素子、82は根元部、83は磁石磁束磁路部、84はバイパス磁路部、84〜86は下アーム素子、92は根元部、1000はモータコントローラ、1001はアナログ加算回路、1002はインバータ駆動回路、1010はチョークコイル、2001〜2006は相巻線、291〜298は回路である。なお、図4と図5との一部の符号は重複しており、図8と図9との一部の符号は重複している点に留意されたい。

Claims (33)

  1. 回転磁界形成のための複数の相巻線により構成されたステータコイルが巻装されたステータコアを有するステータと、前記ステータの周面に小電磁ギャップを隔てて対面しつつ回転するロータとを有し、
    前記ロータは、互いに所定の電気角ピッチ離れて設けられて前記ステータコアに界磁束を流す複数の界磁極部を有するロータコアと、前記界磁極部に巻装されて前記界磁束を形成する界磁コイルと、前記ロータコアに巻装されて電磁誘導により二次電圧を発電する二次コイルと、前記二次電圧を整流して形成した界磁電流を前記界磁コイルに通電する整流回路と、前記ステータを通じて前記二次コイルに非接触給電するとともに前記ステータコイルと交流電流を授受するモータ回路とを備える自己励磁型同期機において、
    前記二次コイルは、前記界磁極部に対して電気角略π/2離れて前記ステータに向けて突出する前記ロータコアのトランス磁路部に巻回され、
    前記モータ回路は、前記界磁電流を形成するために前記界磁極部の回転座標位置をd軸とする時、q軸上の高周波電流であるq軸高周波電流成分Iqacを前記ステータコイルに通電することを特徴とする自己励磁型同期機。
  2. 前記ステータコイルのd軸インダクタンスは、前記ステータコイルのq軸インダクタンスよりも大きくされ、
    前記モータ回路は、前記ステータコイルにd軸電流を通電することにより、前記界磁束とq軸電流とによる界磁束トルクとリラクタンストルクとの合計が前記界磁束トルクよりも大きくする請求項1記載の自己励磁型同期機。
  3. 前記界磁極部は、前記ステータコアに固定されて前記ステータコアに磁石磁束を与える永久磁石を有する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  4. 前記永久磁石は、径方向へ延在して前記永久磁石の磁束を短絡するバイパス磁路部を有する請求項3記載の自己励磁型同期機。
  5. 前記界磁コイルは、前記二次コイルよりも多いターン数をもつことを特徴とする自己励磁型同期機。
  6. 前記二次コイルは、前記ステータコイルのスロット導体数よりも多いターン数をもち、
    前記界磁コイルは、前記二次コイルよりも多いターン数をもつ請求項5記載の自己励磁型同期機。
  7. 回転磁界形成のための複数の相巻線により構成されたステータコイルが巻装されたステータコアを有するステータと、前記ステータの周面に小電磁ギャップを隔てて対面しつつ回転するロータとを有し、
    前記ロータは、互いに所定の電気角ピッチ離れて設けられて前記ステータコアに界磁束を流す複数の界磁極部を有するロータコアと、前記界磁極部に巻装されて前記界磁束を形成する界磁コイルと、前記ロータコアに巻装されて電磁誘導により二次電圧を発電する二次コイルと、前記二次電圧を整流して形成した界磁電流を前記界磁コイルに通電する整流回路と、前記ステータを通じて前記二次コイルに非接触給電するとともに前記ステータコイルと交流電流を授受するモータ回路とを備える自己励磁型同期機において、
    前記界磁極部に固定されて前記ステータコアに磁石磁束を与える永久磁石を有することを特徴とする自己励磁型同期機。
  8. 前記永久磁石は、前記界磁極部に埋設され、
    前記界磁極部は、径方向へ延在して前記永久磁石の磁束を短絡するバイパス磁路部を有する請求項7記載の自己励磁型同期機。
  9. 前記ステータコイルのd軸インダクタンスは、前記ステータコイルのq軸インダクタンスよりも小さくされ、
    前記モータ回路は、前記ステータコイルにd軸電流を通電することにより、前記永久磁石及び前記界磁電流により形成される界磁束とq軸電流とによる界磁束トルクに加えてリラクタンストルクを発生させる請求項7記載の自己励磁型同期機。
  10. 前記モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に前記界磁電流を制御して前記界磁極部から前記ステータコアに流れる磁束を減少させることにより、前記ステータコイルの逆起電力を抑制する高速時減磁動作を行う請求項7記載の自己励磁型同期機。
  11. 前記ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が所定値未満となるように前記ステータコイルの複数の相巻線とは別に前記ステータのスロットに巻装される直流コイルを有し、
    前記モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に前記直流コイルに通電する直流電流を制御することにより前記高速時減磁動作を行う請求項10記載の自己励磁型同期機。
  12. 前記直流コイルは、前記ステータコイルよりも小さい断面積を有して前記ステータコイルよりも前記ステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている請求項11記載の同期機。
  13. 前記モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に前記ステータコイルの複数の相巻線に通電する直流電流を制御することにより、前記高速時減磁動作を行う請求項10記載の自己励磁型同期機。
  14. 前記モータ回路は、所定値以上の高速回転動作を行う場合に、前記ステータコイルの逆起電力を減少させるためのd軸直流電流Iddcを前記ステータコイルに通電する第2の高速時減磁動作を更に行う請求項10記載の自己励磁型同期機。
  15. 回転磁界形成のための複数の相巻線により構成されたステータコイルが巻装されたステータコアを有するステータと、前記ステータの周面に小電磁ギャップを隔てて対面しつつ回転するロータとを有し、
    前記ロータは、互いに所定の電気角ピッチ離れて設けられて前記ステータコアに界磁束を流す複数の界磁極部を有するロータコアと、前記界磁極部に巻装されて前記界磁束を形成する界磁コイルと、前記ロータコアに巻装されて電磁誘導により二次電圧を発電する二次コイルと、前記二次電圧を整流して形成した界磁電流を前記界磁コイルに通電する整流回路と、前記ステータを通じて前記二次コイルに非接触給電するとともに前記ステータコイルと交流電流を授受するモータ回路とを備える自己励磁型同期機において、
    前記ロータコアは、前記界磁極部の回転座標位置をd軸とする場合に、q軸磁気抵抗よりも小さいd軸磁気抵抗を有し、
    前記モータ回路は、前記ステータコイルにd軸電流とq軸電流とを流して、リラクタンストルクと界磁束トルクとの両方を発生することを特徴とする自己励磁型同期機。
  16. 前記ロータコアに巻装されて前記界磁コイルのインダクタンスの半分よりも大きいインダクタンスをもつチョークコイルを有し、
    前記整流回路は、前記チョークコイルを通じて前記界磁コイルに整流電圧を印加する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  17. 前記界磁コイルは、前記ロータコア又は前記ロータコアと一体に形成されるとともに、前記ステータとは鎖交しない磁路に巻装されることにより、前記界磁コイルのインダクタンスのうち、前記ステータコイルと鎖交しない漏れインダクタンスは、鎖交する有効インダクタンスより大きく形成されて前記チョークコイルを構成する請求項16記載の自己励磁型同期機。
  18. 前記ロータコアの軸方向端面に固定されて、前記ロータコアの軸方向端面に沿って周方向に延在する前記界磁コイルの導体部分を覆う軟磁性部材を有し、
    前記軟磁性部材は、前記界磁コイルの一部を前記チョークコイルとなす請求項16記載の自己励磁型同期機。
  19. 前記ステータコイルの電流により自己に誘起される誘導交流電圧の総和が所定値未満となるように前記ステータコイルとは別に前記ステータコアのスロットに分布巻き又は集中巻きされた直流コイルを有し、
    前記モータ回路は、回転時に前記直流コイルに直流電流を通電して前記二次コイルに交流電圧を誘導させる請求項1記載の自己励磁型同期機。
  20. 発電機としてのみ使用される請求項19記載の自己励磁型同期機。
  21. 前記モータ回路は、所定値未満の低速回転動作を行う際に前記ステータコイルに交流電流を通電して前記二次コイルに交流電圧を誘導させる請求項19記載の自己励磁型同期機。
  22. 前記直流コイルは、前記ステータコイルよりも小さい断面積を有して前記ステータコイルよりも前記ステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている請求項19記載の同期機。
  23. 前記ロータコアは、互いに電気角πづつ順次はなれた第1〜第4の前記界磁極部を有し、
    前記二次コイルは、前記第1、第2の界磁極部の間と、前記第3、第4界磁極部の間との間に巻回され、
    前記モータ回路は、前記ステータコアから前記ロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  24. 前記ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が理論的に0となるように前記ステータコイルとは別に前記ステータコアのスロットに巻装された直流コイルを有し、
    前記モータ回路は、回転時に前記直流コイルに直流電流を通電して前記ステータコアから前記ロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成する請求項23記載の自己励磁型同期機。
  25. 前記直流コイルは、前記ステータコイルよりも小さい断面積を有して前記ステータコイルよりも前記ステータコアのスロットに多いターンだけ巻かれている請求項24記載の自己励磁型同期機。
  26. 前記ステータコイルは、互いに電気角2π離れた第1ステータコイルと第2ステータコイルとを有し、
    前記モータ回路は、前記第1ステータコイルと第2ステータコイルとに互いに逆位相の交流電流又は逆向きの直流電流を通電することにより前記二次コイルに交流電圧を誘導する請求項23記載の自己励磁型同期機。
  27. 前記ステータコイルは、互いに電気角2π離れた第1ステータコイルと第2ステータコイルとを有し、
    前記モータ回路は、前記第1ステータコイルと第2ステータコイルとに互いに逆位相の交流電流成分又は互いに逆向きの直流電流を通電することにより、前記二次コイルに交流電圧を誘導する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  28. 前記ステータコイルの電流により誘起される誘導交流電圧の総和が理論的に0となるように前記ステータコイルとは別に前記ステータコアのスロットに巻装された直流コイルを有し、
    前記モータ回路は、回転時に前記直流コイルに直流電流を通電して前記ステータコアから前記ロータコアに流れる磁束に電気角2πごとに差を形成する請求項27記載の自己励磁型同期機。
  29. 前記モータ回路は、前記ロータの回転角速度ω0に同期する角速度をもつ同期ステータ電流Isと、前記ロータの回転角速度ω0よりも所定の角速度Δωだけ大きな角速度をもつ誘導ステータ電流Iiとを前記ステータコイルに通電し、
    前記整流回路は、前記誘導ステータ電流Iiにより誘導される角速度Δωの二次電流を整流して前記界磁コイルに通電する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  30. 前記整流回路は、ダイオード全波整流回路と、前記ダイオード全波整流回路の整流電圧を平滑するチョークコイルとを有する請求項29記載の自己励磁型同期機。
  31. 前記モータ回路は、誘導ステータ電流Iiの角速度又は電流量を制御して前記界磁電流を調整する請求項29記載の自己励磁型同期機。
  32. 前記モータ回路は、略台形波形の交流電流を前記ステータコイルの前記相巻線に通電するともに、前記略台形波形の立ち上がり波形及び立ち下がり波形の傾斜率を変化させて前記略台形波形の交流電流に含まれる高調波電流成分の量を調整することにより、前記界磁電流を調整する請求項1記載の自己励磁型同期機。
  33. 前記モータ回路は、前記ステータコイルに通電する交流電流の基本波成分の第3、第5、第7高調波成分の少なくとも一つの大きさを調整することにより前記界磁電流を調整する請求項32記載の自己励磁型同期機。
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