JP2010017684A - 液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法 - Google Patents

液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液滴を噴射した領域上を再度液滴の噴射を行わずに液滴噴射ヘッドを走査させて、その後の液滴の形状の変化を基にノズルに付着した付着物の有無を検出することで、これまで採用していた構成を変更することなく簡易、かつ確実にノズルに付着した付着物を検出することのできる液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法を提供する。
【解決手段】移動可能に設けられ、複数のノズルが形成されたノズル面を有し複数のノズルから液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッド2と、ノズル面を清掃する清掃手段15と、液滴噴射ヘッド2から噴射された液滴の形状を撮影する撮影手段Cと、液滴噴射ヘッド2、清掃手段15及び撮影手段Cそれぞれを制御するとともに、撮影手段Cによって撮影された液滴の形状を検出する制御手段24とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法に関する。
液滴を噴射する液滴噴射塗布装置は、通常、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、電子放出表示装置、プラズマ表示装置及び電気泳動表示装置等の様々な表示装置を製造するために用いられている。
このような液滴噴射塗布装置は、複数のノズルから微少な液滴をそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッド(例えば、インクジェットヘッド)を備えており、その液滴噴射ヘッドにより塗布対象物に液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を形成する。なお、液滴噴射ヘッドは、各ノズルが形成されたノズル面を有している。このノズル面はノズルプレートの外面である。
例えば、液晶表示装置を製造する製造工程では、液滴噴射塗布装置を用いて、塗布対象物である透明基板上にR(赤)、G(緑)、B(青)の各色のインクをドット状に順次塗布することにより、各色のドットが順次配列された塗布体であるカラーフィルタを製造したり、また、液滴噴射塗布装置を用いてカラーフィルタの額縁、すなわちブラックマトリクスを製造したりする。
このような製造工程中には、塵や埃等の異物やインク等がノズル面のノズル周辺に付着することがあり、そのような付着物により液滴の飛行曲がりやインク不噴射等の噴射不良が発生する場合がある。また、これら塵や埃等の異物やインク等の付着物をノズル面から除去するため、ノズル面にクリーニングローラを押し付けてノズル面をワイプする液滴噴射塗布装置や、ノズル面を洗浄液に浸し、その後、ノズル面にクリーニングブレードを押し付けてノズル面をワイプする液滴噴射塗布装置等が提案されている。
さらには、これらクリーニング(清掃)によってノズル面の損傷することも考えられることから、以下の特許文献1において開示された発明に示されているように、このノズル面の損傷が生ずることを防ぎつつ最大限のクリーニング効果を得るようにした液滴噴射塗布装置も提案されている。
特開2007−244960号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、確かにノズル面を損傷させることなくきれいに清掃することは可能であるが、以下に述べるような状態が生ずることもある。
すなわち上記特許文献1に記載されている液滴噴射ヘッドのノズル面の清掃方法では、ノズル面に付着したインク、或いは洗浄した際の洗浄液をノズル面を拭掃部に押しつけて吸収し、さらには拭き取ることでノズル面の清掃を行う。この拭掃部は例えば、リントのような繊維体によって構成される。
一方、液滴噴射ヘッドはその構造上、液滴を噴射させるノズルとその周囲とを一体に作ることができない。そのため、液滴噴射ヘッドを固定するためのネジの頭がノズル面と同一平面上から少し窪んだ位置に存在する。一般的にこの位置にネジの頭があれば問題はないが、例えばバリが出ているような状態では、このバリが清掃をする際にノズル面を押しつける拭掃部の繊維体を引っかけてしまう可能性がある。
さらには、液滴を噴射する対象となる基板自体に異物があり、液滴を噴射するために基板上を液滴噴射ヘッドを移動させた際に、ノズル面に異物が付着する可能性が全くないわけではない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、液滴を噴射した領域上を再度液滴の噴射を行わずに液滴噴射ヘッドを走査させて、その後の液滴の形状の変化を基にノズルに付着した付着物の有無を検出することで、これまで採用していた構成を変更することなく簡易、かつ確実にノズルに付着した付着物を検出することのできる液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法を提供することである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、液滴噴射塗布装置において、移動可能に設けられ、複数のノズルが形成されたノズル面を有し複数のノズルから液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッドと、ノズル面を清掃する清掃手段と、液滴噴射ヘッドから噴射された液滴の形状を撮影する撮影手段と、液滴噴射ヘッド、清掃手段及び撮影手段それぞれを制御するとともに、撮影手段によって撮影された液滴の形状を検出する制御手段とを備える。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、塗布体の製造方法において、移動可能に設けられ、複数のノズルが形成されたノズル面を有し複数のノズルから液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッドを移動させつつ、複数のノズルから液滴を基板に設けられた確認領域に向けて噴射する工程と、液滴噴射ヘッドを液滴を噴射させることなく液滴が噴射された確認領域上を走査させる工程と、確認領域を撮影手段により撮影する工程と、撮影手段による撮影された液滴の形状を検出し、液滴の形状を予め記憶されている正常な形状を備える液滴の形状と比較する工程との塗布工程を備える。
本発明によれば、液滴を噴射した領域上を再度液滴の噴射を行わずに液滴噴射ヘッドを走査させて、その後の液滴の形状の変化を基にノズルに付着した付着物の有無を検出することで、これまで採用していた構成を変更することなく簡易、かつ確実にノズルに付着した付着物を検出することのできる液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る液滴噴射塗布装置1は、液体であるインクをノズル(図示せず)から液滴として噴射する液滴噴射ヘッド2を用いて基板3にインクを塗布するためのインク塗布ボックス1Aと、そのインク塗布ボックス1Aにインクを供給するためのインク供給ボックス1Bとから構成されている。これらのインク塗布ボックス1A及びインク供給ボックス1Bは、互いに隣接して配置され、共に架台4の上面に固定されている。
インク塗布ボックス1Aの内部には、Y軸方向スライド板5、Y軸方向移動テーブル6、X軸方向移動テーブル7及び基板保持テーブル8が積層されている。これらのY軸方向スライド板5、Y軸方向移動テーブル6、X軸方向移動テーブル7及び基板保持テーブル8は平板状に形成されている。
Y軸方向スライド板5は架台4の上面に固定されている。Y軸方向スライド板5の上面には、複数のガイド溝5aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝5aには、Y軸方向移動テーブル6の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、Y軸方向移動テーブル6は、Y軸方向に移動可能にY軸方向スライド板5の上面に設けられている。このY軸方向移動テーブル6は、Y軸方向移動モータを用いる駆動機構により各ガイド溝5aに沿ってY軸方向に移動する。
Y軸方向移動テーブル6の上面には、複数のガイド溝6aがX軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝6aには、X軸方向移動テーブル7の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、X軸方向移動テーブル7は、X軸方向に移動可能にY軸方向移動テーブル6の上面に設けられている。このX軸方向移動テーブル7は、X軸方向移動モータを用いる駆動機構により各ガイド溝6aに沿ってX軸方向に移動する。
X軸方向移動テーブル7の上面には、基板3を保持する基板保持テーブル8が固定されている。この基板保持テーブル8は、基板3を把持する基板把持機構9を備えており、その基板把持機構9により基板保持テーブル8上に基板3を密着固定する。基板把持機構9としては、例えばコの字型の挟み金具等を用いる。なお、基板3の保持手段としては、基板把持機構9にかえて、例えば、基板3を吸着する基板吸着機構を設けるようにしてもよい。基板吸着機構としては、例えばゴム吸盤や吸引ポンプ等を用いる。
なお、基板保持テーブル8のY軸方向への移動量は、Y軸方向エンコーダのパルス信号(位置信号)に基づいて検出され、同様に、基板保持テーブル8のX軸方向への移動量は、X軸方向エンコーダのパルス信号(位置信号)に基づいて検出される。
インク塗布ボックス1Aの内部には、一組のコラム(支柱)10が立設されている。これらのコラム10は、Y軸方向スライド板5のガイド溝5aと直交する方向、すなわちX軸方向においてY軸方向スライド板5を挟む位置に設けられている。
一組のコラム10には、X軸方向スライド板11が横架されている。X軸方向スライド板11の前面には、ガイド溝11aがX軸方向に沿って設けられている。このガイド溝11aには、複数のインクジェットヘッドユニット12を具備するベース板13の背面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、ベース板13はX軸方向に移動可能にX軸方向スライド板11に設けられている。このベース板13、すなわちインクジェットヘッドユニット12は、ヘッドユニット移動モータを用いる駆動機構によりガイド溝11aに沿ってX軸方向に移動する。
各インクジェットヘッドユニット12は、ベース板13に垂設されており、それぞれ液滴噴射ヘッド2を具備している。これらの液滴噴射ヘッド2は、各インクジェットヘッドユニット12の先端にそれぞれ着脱可能に設けられている。液滴噴射ヘッド2は、液滴が噴射される複数のノズル(貫通孔)が形成されたノズル面を有している。このノズル面はノズルプレートの外面である。なお、ノズル面上には、インクの付着等を防止するための撥水膜(図示せず)が設けられている。
また、各液滴噴射ヘッド2には、撮影手段であるカメラCが設けられている。カメラCは、基板3上に着弾した液滴の状態を撮影して、これら撮影画像を基に各液滴噴射ヘッド2からの液滴の吐出状態を確認する。
インクジェットヘッドユニット12には、基板3面に対して垂直方向、すなわちZ軸方向に液滴噴射ヘッド2及びカメラCを移動させるZ軸方向移動機構12aと、液滴噴射ヘッド2をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構12bと、液滴噴射ヘッド2をθ方向に回転させるθ方向回転機構12cとが設けられている。これにより、液滴噴射ヘッド2及びカメラCは、Z軸方向及びY軸方向に移動可能であり、θ軸方向に回転可能である。
また、インク塗布ボックス1Aの内部には、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッド2を清掃する清掃手段15が設けられている。この清掃手段15は、インクジェットヘッドユニット12の移動方向の延長線上であってY軸方向スライド板5から離して配設されている。なお、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッド2が清掃手段15に対向する待機位置まで移動すると、清掃手段15は各液滴噴射ヘッド2を自動的に清掃する。
清掃手段15は、Y軸方向スライド板16と、そのY軸方向スライド板16上に移動可能に設けられたY軸方向移動テーブル17と、そのY軸方向移動テーブル17上にそれぞれ設けられた複数の受取部18と、同様にY軸方向移動テーブル17上にそれぞれ設けられた複数の洗浄部19と、Y軸方向移動テーブル17上にそれぞれ設けられた複数の拭掃部20とを備えている。
Y軸方向スライド板16は架台4の上面に固定されている。Y軸方向スライド板16の上面には、複数のガイド溝16aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝16aには、Y軸方向移動テーブル17の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合されている。これにより、Y軸方向移動テーブル17は、Y軸方向に移動可能にY軸方向スライド板16の上面に設けられている。このY軸方向移動テーブル17は、Y軸方向移動モータを用いる駆動機構により各ガイド溝16aに沿ってY軸方向に移動する。
受取部18、洗浄部19及び拭掃部20は、各ガイド溝16aの方向、すなわちY軸方向に並べて設けられており、インクジェットヘッドユニット12、すなわち液滴噴射ヘッド2の数と同じ数だけそれぞれ設けられている。また、各受取部18は、インクジェットヘッドユニット12の移動方向、すなわちX軸方向に並べてそれぞれ設けられている。同様に、各洗浄部19もX軸方向に並べてそれぞれ設けられており、各拭掃部20もX軸方向に並べてそれぞれ設けられている。
受取部18は、液滴噴射ヘッド2のノズルから排出されて流れ出たインクを受け取る。この受取部18としては、例えば受け皿等を用いる。また、洗浄部19は、洗浄液により液滴噴射ヘッド2のノズル面を洗浄する。この洗浄部19としては、例えば、液滴噴射ヘッド2のノズル面に対して洗浄液を噴射して供給する供給装置や、液滴噴射ヘッド2のノズル面を浸すための洗浄液を保持する洗浄皿等を用いる。拭掃部20は、図示しない繊維体から構成されており、液滴噴射ヘッド2が拭掃部20に押しつけられることによってノズル面に付着したインクや洗浄液を吸い取るとともに、吸い取れなかったインクや洗浄液を拭き取る。
一方、インク供給ボックス1Bの内部には、図1に示すように、インクを収容する複数のインクタンク21が設けられている。これらのインクタンク21は、対応する供給パイプ22により各液滴噴射ヘッド2にそれぞれ接続されている。また、各供給パイプ22の途中には、それぞれインクバッファタンク23が設けられている。
インクバッファタンク23は、その内部に貯留したインクの液面と液滴噴射ヘッド2のノズル面との水頭差(水頭圧)を利用し、ノズル先端のインクの液面(メニスカス)を調整する。これにより、インクの漏れ出しや噴射不良が防止されている。
液滴噴射ヘッド2は、インクタンク21からインクバッファタンク23を介してインクの供給を受ける。インクとしては、水性インク、油性インク及び紫外線硬化インク等の各種のインクを用いる。例えば、油性インクは、顔料、溶剤(インク溶剤)、分散剤、添加剤及び界面活性剤等の各種の成分により構成されている。なお、顔料の粒子径は、例えば70nmから160nmの範囲内であり、特に、顔料がカーボンブラックである場合には、その粒子径は、例えば100nmである。
架台4の内部には、液滴噴射塗布装置1の各部を制御するための制御手段24及び各種のプログラムを記憶する記憶手段(図示せず)等が設けられている。制御手段24は、インクジェットヘッドユニット12を制御して液滴噴射ヘッド2から基板3に対する液滴の吐出を行うとともに、この吐出によって基板3に塗布された液滴をカメラCを用いて撮影する制御を行う。
また、制御手段24は、各種のプログラムに基づいて、Y軸方向移動テーブル6の移動制御、X軸方向移動テーブル7の移動制御、ベース板13の移動制御、Z軸方向移動機構12aの駆動制御、Y軸方向移動機構12bの駆動制御及びθ方向回転機構12cの駆動制御等を行う。これにより、基板保持テーブル8に保持された基板3と、ベース板13に垂設された各インクジェットヘッドユニット12との相対位置を色々と変化させることができる。さらに、制御手段24は、各種のプログラムに基づいて、清掃手段15のY軸方向移動テーブル17の移動制御、洗浄部19及び拭掃部20の駆動制御等を行う。
次に、基板3に対してインクジェットヘッドユニット12を使用してインクを塗布するまでの流れを説明する。基板3に対するインクの塗布については、大まかに塗布の準備工程を経て塗布工程に至るが、ここではこの塗布の準備工程について説明する。
図2は、塗布の準備工程の流れを示すフローチャートである。まず基板保持テーブル8に基板把持機構9を用いて基板3を把持することで基板保持テーブル8上に基板3を密着固定する。この基板3には、液滴噴射ヘッド2からインクを吐出させて例えば、カラーフィルタとして機能させる領域(以下、便宜上「機能領域」と表わす。)と、この機能領域にインクを塗布する前に液滴噴射ヘッド2からインクが適切に吐出されるか否かを確認するための確認領域(以下、「確認領域A」と表わす。)とが設けられている。基板3上にこれら機能領域と確認領域Aとを何カ所、どのようなレイアウトで設けるかは自由に設定することができる。
基板保持テーブル8に基板3が固定されると、基板3の機能領域及び確認領域Aとが設けられた面と対向する位置にインクジェットヘッドユニット12が位置することになる。そこで、制御手段24からの指示に基づいて、塗布の準備を行うべく基板3上の確認領域Aの上にインクジェットヘッドユニット12(液滴噴射ヘッド2)が移動する(ST1)。この確認領域Aの大きさは、基板3上における機能領域との関係で様々な大きさに設定されるが、例えば、5mm四方の正方形に形成されている。
確認領域A上に移動されたインクジェットヘッドユニット12は、この確認領域Aに向けて液滴噴射ヘッド2から液滴を吐出させる。この吐出は1度ではなく、液滴噴射ヘッド2を確認領域A上移動させつつ複数回行う。これによって、基板3上に液滴噴射ヘッド2から液滴を吐出させた場合に、その吐出によって液滴がどのような状態で基板3上に塗布されるかを確認するためのパターンが形成される(ST2)。
図3は、液滴噴射ヘッド2からの液滴の吐出によって確認領域A上に形成された吐出状態確認パターンを示す模式図である。制御手段24の制御により、例えば、図3のに示すように、確認領域Aを矢印に示す方向へと移動させることによって液滴噴射ヘッド2は確認領域A上を移動し、所定のピッチで液滴を吐出する。但し、隣接する液滴噴射ヘッド2から液滴を同時に吐出すると着弾した液滴が確認領域A上にてつながってしまうおそれがある。そこで、実際に液滴を吐出する際には、確認領域Aに対して複数の隣接しない液滴噴射ヘッド2からのみ液滴を噴射する。図3では横一列8個の液滴が液滴噴射ヘッド2から吐出され、結果として液滴が4列形成された状態が示されている。図3において、液滴噴射ヘッド2は、破線の長方形として表わされている。
吐出状態確認パターンを形成した後、液滴噴射ヘッド2を確認領域Aに対して液滴の吐出を開始した位置に戻す。そして再度確認領域Aの上、すなわち、液滴噴射ヘッド2から吐出されて基板3(確認領域A)上に塗布された液滴の上を、液滴噴射ヘッド2を改めて走査させる(ST3)。この時、液滴噴射ヘッド2からは液滴は吐出させない。なお、以下、このように液滴噴射ヘッド2から液滴を噴射せずに基板3上を走査させることを便宜上「空走」と表わす。
基板3に液滴を塗布した後(新たな基板3に液滴を塗布する前)には、液滴噴射ヘッド2のノズル面を清掃手段15において清掃する。清掃工程では、上述したように繊維体による吸い取り、或いはノズル面を拭き取ることが行われる。この繊維体によるノズル面の清掃が行われると、ノズル面に繊維体を構成するリント等の繊維くずが付着する可能性がある。これは、ノズル面に突出したネジの頭やバリがノズル面の清掃時に繊維体を引っかけるからである。また、液滴を噴射する基板自体に塵や埃といった異物があり、液滴を噴射するために液滴噴射ヘッドを基板上移動させた際に、ノズル面にこれらの異物が付着する可能性もある(以下、ノズル面に付着した繊維くずや異物を含めて「付着物」と総称する。)。
このような付着物をノズル面に付着させたまま塗布した液滴の上を液滴噴射ヘッド2が移動すると、塗布した液滴をその付着物で引きずることになりかねない。このような状態を図4に示す。上述したように、一旦確認領域A上に液滴を噴射した後に(図3参照)、その液滴の上を液滴噴射ヘッド2を例えば、図4に示す矢印の方向に空走させる。
ノズル面に付着物が付着していない状態であれば、確認領域A上を液滴噴射ヘッド2が空走しても基板3上に塗布された液滴を引きずることもなく、液滴は塗布された形状のまま基板3上に残る。
一方、ノズル面に付着物が付着していると、塗布された液滴の上部にその異物が接触することになるため、例えば、図4のαに示すように液滴噴射ヘッド2の空走方向にその液滴が引きずられる。或いは、図4のβに示すように、αの状態よりもその引きずりが甚だしく、例えば、隣接、或いは周囲の他の液滴とつながってしまうような状態も生じ得る。
換言すれば、適切に基板3に吐出された液滴は、液滴噴射ヘッド2(カメラC)の位置から見ると略円形形状を成している。そこで、液滴噴射ヘッド2の空走後、カメラCを用いて撮影し、液滴の形状が略円形形状であるか否かを確認することでノズル面に付着物が付着しているか否かを判断することができる。
すなわち、基板3上に塗布された液滴の上を液滴噴射ヘッド2を空走させ、その後の液滴の状態を撮影手段であるカメラCで撮影する。そして予め設定されている液滴の形状(略円形形状)と、空走後の液滴の形状とを比較する。例えば、予め設定されている液滴の形状が持つ真円度を基準に空走後の液滴の形状の真円度を測る。なお、図2に示すフローチャートではこのような処理全般を画像処理と一括して表わしている(ST4)。
このような比較を行うことで、液滴噴射ヘッド2から基板3上への吐出状態が正常であるか否か、すなわち、ノズル面に設けられた貫通孔から適切に液滴が噴射されているか(液滴の大きさ、形状)、及び、ノズル面に異物が付着していないか(液滴の形状)を確認することができる(ST5)。液滴噴射ヘッド2からの吐出が正常であると判断できる場合には(ST5のYES)、基板3に設けられた機能領域に吐出を行う、塗布工程へと移行する(ST6)。
一方、制御手段24による画像処理の結果、液滴噴射ヘッド2を空走させた後の液滴の形状が予め定めた形状とは異なる場合には、基板3への吐出状態は正常ではないと判断することができる(ST5のNO)。これは、何らかの原因によりノズルから適切に液滴が噴射されない、或いは、ノズル面に付着物が存在する、という状態に液滴噴射ヘッド2があることを示すものである。
そしてこの後、液滴噴射ヘッド2から確認領域Aへの吐出が規定された回数行われたか否かが判断される(ST7)。これは、液滴噴射ヘッド2を清掃する(ST8)か交換するかを判断するための基準とするためである。清掃手段15によるノズル面の清掃によってノズル面から付着物が除去されれば、液滴噴射ヘッド2確認領域Aに適切に液滴を吐出できるとともに、吐出後液滴噴射ヘッド2を空走させても液滴を引きずることがなくなる。そこで、予め設定された回数、液滴の吐出、空走、清掃とからなる確認作業を繰り返すこととしたものである。なお、この回数は任意に定めることができる。
規定された回数確認作業が行われたか否かが判断され、その回数が規定未満であった場合には(ST7のNO)、液滴噴射ヘッド2を清掃手段15において清掃し(ST8)、改めて別の確認領域Aに移動させて液滴の吐出、空走を繰り返す(ST1ないし4)。その結果、吐出状態が正常であると判断することができれば塗布工程へと移行する(ST6)。一方、確認作業が所定回数行われた場合、すなわち所定回数確認作業が行われても適切な液滴が吐出されない状態である場合には(ST7のNO)、液滴噴射ヘッド2を交換する(ST9)。そして、液滴噴射ヘッド2を交換後改めて適切に液滴が吐出されるか否かの確認作業が行われる。
このように、基板への液滴の塗布工程に入る前の塗布状態の確認作業において、液滴を噴射した領域上を再度液滴の噴射を行わずに液滴噴射ヘッドを走査させて、その後の液滴の形状の変化を基にノズルに付着した付着物の有無を検出することで、これまで採用していた構成を変更することなく簡易、かつ確実にノズルに付着した付着物を検出することのできる液滴噴射塗布装置及び塗布体の製造方法を提供することができる。
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
本発明の実施の形態における液滴噴射塗布装置の全体構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における塗布状態の確認作業の流れを示すフローチャートである。 確認領域に液滴を吐出する状態を示す模式図である。 確認領域吐出された液滴の上を液滴噴射ヘッドを空走させる状態を示す模式図である。
符号の説明
1…液滴噴射塗布装置、1A…インク塗布ボックス、1B…インク供給ボックス、2…液滴噴射ヘッド、3…基板、4…架台、5…Y軸方向スライド板、6…Y軸方向移動テーブル、7…X軸方向移動テーブル、8…基板保持テーブル、9…基板把持機構、10…コラム(支柱)、11…X軸方向スライド板、12…インクジェットヘッドユニット、13…ベース板、15…清掃手段、16…Y軸方向スライド板、17…Y軸方向移動テーブル、18…受取部、19…洗浄部、20…拭掃部、21…インクタンク、22…供給パイプ、23…インクバッファタンク、24…制御手段、A…確認領域、C…撮影手段(カメラ)。

Claims (3)

  1. 移動可能に設けられ、複数のノズルが形成されたノズル面を有し前記複数のノズルから液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッドと、
    前記ノズル面を清掃する清掃手段と、
    前記液滴噴射ヘッドから噴射された前記液滴の形状を撮影する撮影手段と、
    前記液滴噴射ヘッド、前記清掃手段及び前記撮影手段それぞれを制御するとともに、前記撮影手段によって撮影された前記液滴の形状を検出する制御手段と、
    を備えることを特徴とする液滴噴射塗布装置。
  2. 移動可能に設けられ、複数のノズルが形成されたノズル面を有し前記複数のノズルから液体を液滴としてそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッドを移動させつつ、前記複数のノズルから前記液滴を基板に設けられた確認領域に向けて噴射する工程と、
    前記液滴噴射ヘッドを前記液滴を噴射させることなく前記液滴が噴射された前記確認領域上を走査させる工程と、
    前記確認領域を撮影手段により撮影する工程と、
    前記撮影手段による撮影された前記液滴の形状を検出し、前記液滴の形状を予め記憶されている正常な形状を備える液滴の形状と比較する工程と、
    を備える塗布工程を有することを特徴とする塗布体の製造方法。
  3. 前記液滴の形状を比較する工程の後に、さらに、比較の結果制御手段が前記液滴の形状から前記液滴噴射ヘッドに異物が付着していると判断した場合には、前記液滴噴射ヘッドを清掃手段において清掃する工程を備えることを特徴とする請求項2に記載の塗布体の製造方法。
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