JP2010015506A - タッチパネル用上部電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】クッション性のある粘着層を有し、粘着層と基材フィルムとの接着性、特に耐熱水接着性に優れた両面粘着シートを見出し、この両面粘着シートでハードコート層を有する積層体と、導電性積層体とを貼り合わせた構成のタッチパネル用上部電極を提供する。
【解決手段】ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)と、透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)とが、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面にシリコーンゴム粘着層を有し、かつ明細書中で定義した方法で耐熱水接着性を評価したときに上記シリコーンゴム粘着層がポリエステル系基材フィルムから剥離しない両面粘着シートで貼り合わされたタッチパネル用上部電極である。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル用上部電極に関するものである。詳しくは、貼着性、再剥離性、ペン摺動耐久性等に優れた粘着層を有し、かつ、粘着層と基材フィルムとの耐熱水接着性に優れた両面粘着シートで、ハードコート層が積層された積層体と、導電性積層体とを貼り合わせたタッチパネル用上部電極に関するものである。
タッチパネルは、優れた入力方式として認知され、銀行ATM、切符の自動販売機、携帯情報端末、ゲーム機、カーナビゲーション等の多方面において使用されている。タッチパネルには透明電極が必要であり、従来は、基板にガラスが用いられていたが、最近では、プラスチックフィルム表面に透明導電層を設けた透明導電性フィルムが多数提案されている。
透明導電性フィルムに必要なのは、例えば、上部電極として利用する場合は、電極となる導電層とこの導電層を支持する基材、そして手や専用ペンによる入力の際の摩擦に耐え得るハードコート層である。例えば、特許文献1には、プラスチックフィルム、硬化物層、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムが開示されているが、この文献においては、入力面(ハードコート層)となるフィルムと透明導電性フィルムを粘着剤を介して貼り合わせ、タッチパネルの電極に利用している。また、特許文献2には、ハードコート層を備えたプラスチックフィルムと、透明導電性薄膜を有する透明導電性フィルムとを透明な接着剤層を介して貼り合わせた積層体が開示されている。
このように、タッチパネル用の電極として必要な各層を積層する場合、粘着層が必要となることが多い。タッチパネル用の部材は高価なものが多いため、粘着層による接合固定の際に貼着ミスが起きたときに剥離でき、再度貼着できる再剥離性に優れた粘着層が望ましい。また、クッション性のある粘着層を用いれば、タッチパネルにおける繰り返される押圧に対する耐久性(ペン摺動耐久性)が向上することも知られている。
こういったことから、タッチパネル用部材の粘着剤としてシリコーンゴムの使用が考えられる。特に、シリコーンゴム粘着層を有する両面粘着シートを使用すれば、ハードコート層を備えたプラスチックフィルムと、透明導電性薄膜を有する透明導電性フィルムとを容易に貼り合わせることができる。しかし、シリコーンゴムと例えばポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックフィルム基材は、接着性が充分とは言えない。粘着層とフィルム基材との接着性が劣っていると、接合箇所に剥離が生じ、タッチしても通電しなくなるという問題がある。また、タッチパネルをカーナビゲーション等に用いた場合、車内環境がかなり高温高湿下になることがあるが、このような過酷な使用条件にも耐える必要がある。
一方、本発明者等は、特許文献3〜5等において、基材であるポリエステルフィルムに、接着剤を介さずに直接ゴム層を接着したゴムフィルム複合体やその製造方法を提案している。これらの技術においては、ポリエステルフィルムとして易接着処理したフィルムを用いることが好ましい旨記載されている。しかしながら、上記方法で得られたゴムフィルム複合体は、ポリエステルフィルムとシリコーンゴム層との接着耐久性に劣り、上記のような過酷な使用条件で使用した場合に、ポリエステルフィルムとシリコーンゴム層とが剥離する場合があるという問題があった。
さらに、両面粘着シートは、取り扱い性を高めるため、通常、粘着層表面にセパレートフィルムを積層した形で出荷され、実際に使用する時にセパレートフィルムを剥離して対象物品に貼着して使用されるが、用途によっては剥離力の低減要求が強い場合がある。しかし、セパレートフィルムの剥離力が小さすぎると、粘着シートの製造工程で、シートを巻き取る際等において、セパレートフィルムの部分浮きが発生し、シートの巻き取り方向に直交する方向に空気層が入り込む、いわゆるチャンネリング現象が発生することがあった。
特開2007−59360号公報 特開2007−234424号公報 特開平10−53659号公報 特開平10−58605号公報 特開平10−95071号公報
本発明では上記事情に鑑み、クッション性のある粘着層を有し、粘着層と基材フィルムとの接着性、特に耐熱水接着性に優れた両面粘着シートを見出し、この両面粘着シートでハードコート層を有する積層体と、導電性積層体とを貼り合わせた構成のタッチパネル用上部電極を提供することを課題として掲げた。
上記課題を解決した本発明のタッチパネル用上部電極は、ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)と、透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)とが、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面にシリコーンゴム粘着層を有し、かつ明細書中で定義した方法で耐熱水接着性を評価したときに上記シリコーンゴム粘着層がポリエステル系基材フィルムから剥離しない両面粘着シートで貼り合わされたものであるところに特徴を有する。
上記両面粘着シートにおいては、ポリエステル系基材フィルムとシリコーン粘着層との間に接着性改良層が設けられてなること、接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmであり、架橋されたポリマーを含むものであること、接着性改良層が、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと、架橋剤との反応生成物を含んでいることはいずれも本発明の好適な実施態様である。また、接着改良層は、自己架橋型のポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上の自己架橋型ポリマーが自己架橋したものを含んでいる態様であってもよい。
上記シリコーンゴム粘着層は、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含んでいることが好ましく、この架橋されたシリコーン化合物は数平均分子量5万〜50万のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋したものであることが好ましい。
上記両面粘着シートは、シリコーンゴム粘着層とアクリル系粘着剤層とを有するものであってもよく、両面共にシリコーンゴム粘着層であってもよい。
上記両面粘着シートは使用前にはシリコーンゴム粘着層表面にセパレートフィルムが積層されており、このセパレートフィルムを剥離してから、上記積層体(1)と上記導電性積層体(2)とを貼り合わせて形成されたものであることが好ましく、このとき、明細書中で定義した方法で測定される上記セパレートフィルムと上記シリコーンゴム粘着層との剥離強度が0.03〜1.0N/20mmであることが好ましい。上記セパレートフィルムの離型層は、バインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含む層であると、好適である。
本発明のタッチパネル用上部電極では、貼着性と再剥離性を兼ね備えたシリコーンゴム粘着層を有する両面粘着シートが用いられているので、貼着ミスがあった場合等において、容易に、両面粘着シートを取り外すことができ、かつ再度貼り直すことができる。また、シリコーンゴム粘着層の持つ弾性によって、タッチパネルに良好なクッション性を付与することができたため、タッチパネルのペン摺動耐久性を高めることができた。
さらに、本発明のタッチパネル用上部電極に用いられている両面粘着シートは、粘着層と基材ポリエステルフィルムとの間の接着耐久性に優れており、過酷な条件で使用される場合にも、好適に用いることができる。また、両面粘着シートの使用前に積層されているセパレートフィルムとシリコーンゴム粘着層との剥離力が適度な範囲に制御されており、両面粘着シートを巻き取る工程等において、前記したチャンネリング現象の発生が抑制されるので、高品質な両面粘着シートを安定して生産することができる。また、両面粘着シートをタッチパネル用上部電極に組み込む際の作業性にも優れている。
よって、本発明のタッチパネル用上部電極を用いることで、高性能のタッチパネルを提供することが可能になった。
本発明のタッチパネル用上部電極は、ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)と、透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)とが、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面にシリコーンゴム粘着層を有し、かつ明細書中で定義した方法で耐熱水接着性(詳細は後述する)を評価したときに上記シリコーンゴム粘着層がポリエステル系基材フィルムから剥離しない両面粘着シートで貼り合わされたものであるところに特徴を有している。まず、両面粘着シートの各構成素材について説明する。
[ポリエステル系基材フィルム]
両面粘着シートのポリエステル系基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分(80質量%以上)とするものであれば任意に使用できる。二軸延伸化したものが望ましく使用される。二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、未延伸シートを延伸すればよい。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。基材フィルムの厚みは特に限定されないが、10〜300μm程度が好ましく、より好ましくは70〜260μmである。フィルムの厚みが10μm未満では機械的強度が不足し、ハンドリングが難しくなるため好ましくない。一方、厚みが300μmを超えると、タッチパネルの部材に使用する場合、厚みが厚くなりすぎるため、モバイル機器などには適さない。
ポリエステル系基材フィルムには、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理等の公知の表面処理を行ってもよい。粘着層(あるいは後述する接着性改良層)との密着性が向上する。
[粘着層]
本発明で用いる両面粘着シートは、シリコーンゴム粘着層(以下、第1粘着層ということがある)を有している。シリコーンゴムは、弾性に優れ、タッチパネルにクッション性を付与することができる。
シリコーンゴムとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサン骨格の架橋されたシリコーン化合物を主成分(70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%)として含むものであることが好ましい。特に、ポリジメチルシロキサン骨格を有した架橋されたシリコーン化合物として、数平均分子量(Mn)が5万〜50万の未架橋体を架橋したものであることが好ましい。未架橋体のMnは8万〜40万がより好ましく、10万〜35万がさらに好ましい。
シリコーン化合物の未架橋体を用いることで溶媒への溶解性や流動性が確保でき、粘着層の形成が容易となる。また、未架橋体のMnが5万以上のものは架橋性が向上するため、好適である。未架橋体のMnが50万以下であれば、塗工液の粘度が高くなり過ぎるなどの生産時の操業性の悪化を抑制することができる。従って、シリコーン化合物の未架橋体の層を形成し、その後に架橋を行うのが好ましい実施態様である。
従来公知のシリコーンゴムの原料は、ミラブルタイプのシリコーンゴムコンパウンドであるが、このようなコンパウンドは、その保管状態によっては溶剤に対する溶解性が低下し、シリコーンゴム層を塗工したときに、未溶解物により外観品位が低下する場合がある。また、シリコーンゴムコンパウンドを溶媒に溶解した塗工液は、保管状態によっては、溶液のゲル化が起こり、塗工液として使用できなくなるという問題があった。上記の未架橋シリコーン化合物を用いることで、従来公知のミラブルタイプのシリコーンコンパウンドを原料とした場合より、品質、品質安定性および生産時の操業性等において優位となる。
上記内容を満たす未架橋シリコーン化合物としては、例えば、シリコーンオイルとして市販されているものを使用することができる。シリコーンオイルを用いる場合は、ストレートシリコーンオイルの中でも、非反応性のジメチルシリコーンオイルを用いるのが好ましい。これにより、架橋後のシリコーン化合物がポリジメチルシロキサン骨格を有するものとなる。メチルフェニルタイプのシリコーンオイルでは架橋性が低下し、反応性のメチル水素タイプのシリコーンオイルは保存安定性等が悪いため、品質や操業性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくないが、30質量%未満(より好ましくは5質量%未満)であれば、メチルフェニルタイプやメチル水素タイプまたは各種の変性タイプといった、ポリジメチルシロキサン骨格を有さないシリコーン化合物を配合して用いても構わない。
また、上記未架橋シリコーン化合物には、10質量%未満であればポリアルキルアルケニルシロキサン骨格のシリコーン化合物が含まれていてもよいが、できるだけ少ない方がよい。ポリアルキルアルケニルシロキサン骨格のシリコーン化合物を含まないポリジメチルシロキサン骨格のシリコーン化合物のみよりなることが最も好ましい。
本発明における粘着層には、本発明の効果を妨げない範囲であれば、シリカ等の補強剤が含まれてもよいが、補強剤を全く含まないことが特に好ましい。
上記粘着層には、粘着層とポリエステル系基材フィルム(あるいは後述する接着性改良層)との接着強度を高めて、粘着層を剥離しにくくするための接着性改良剤が含まれていてもよい。この接着性改良剤としては、ラジカル反応に対して活性な反応基を含む化合物を用いるのが好ましい。この化合物としては、(メタ)アクリル酸誘導体およびアリル誘導体等が例示されるが、中でも不飽和結合を2個以上、特に3個以上有する誘導体が好ましい。これらの化合物は、ゴムの共架橋剤として広く使用されており、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
上記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上を(メタ)アクリル酸でエステル化したエステル化合物である。具体的には、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル]プロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート、ダイマージオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、特に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、アクリル酸およびメタクリル酸のそれぞれの単独エステル化合物を例示したが、アクリル酸とメタクリル酸の混合エステルの形であってもよい。
また、多価カルボン酸のアリルエステルとしては、フタル酸ジアリレート、トリメリット酸ジアリレート、ピロメリット酸テトラアリレート等が挙げられる。
上記接着性改良剤は、いずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。なお、この発明に用いられる接着性改良剤は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
上記接着性改良剤の配合量は、シリコーン化合物成分100質量部に対して0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。接着性改良剤の配合量を0.2質量部以上とすることにより、粘着層の耐熱水接着性を向上させる効果がより一層大きくなる。一方、接着性改良剤の配合量が20質量部を超えると、耐熱水接着性を向上させる効果が飽和に達するだけでなく、逆に、この効果を悪化させる場合がある。
上記粘着層の厚みの下限は、粘着力の点から3μmが好ましく、より好ましくは5μm、さらに好ましくは8μmである。一方、粘着層の厚みの上限は、経済性の観点から、粘着力が安定して維持できる範囲で決定すればよい。例えば、100μmが好ましく、80μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。
本発明においては、上記粘着層の形成方法は限定されないが、前記した未架橋のシリコーン化合物を溶剤に溶解あるいは分散させて、必要に応じて接着性改良剤を添加して塗工液を調製し、塗工法で塗布した後に、架橋処理をして形成するのが好ましい実施態様である。
例えば、未架橋のシリコーンオイルは、トルエン等の芳香族炭化水素によく溶解するので、これらの溶剤に溶解して塗工法で塗布するのが好ましい。未架橋のシリコーンオイルを用いると、従来のミラブルタイプのシリコーンゴムコンパウンドを溶剤に溶解する場合に必要な混練等によるコンパウンドの可塑化工程が不要である。また、得られた塗工液の保存安定性がよく、シリコーンゴムコンパウンドの溶液調製の際によく見られるゲル化等の増粘現象等も起こらない。さらに、シリコーンゴムコンパウンドの溶液化において発生することがあるシリコーンゴムコンパウンドの未溶解による異物の生成が抑制されるため、清澄度の高い塗工液が得られる等のメリットがある。
粘着層は、例えば、上記シリコーンオイル等を含む塗工液を、ポリエステル系基材フィルム(あるいはその表面に形成された接着性改良層)の表面、または後述するセパレートフィルムの離型層の表面に塗工し、他の層を積層し、または積層せずに、架橋処理を行うことで、形成することができる。
上記シリコーン化合物の架橋方法は、例えば、熱架橋であってもよく、電子線やγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。シリコーン化合物に活性線を照射すると、ポリジメチルシロキサンのメチル基から水素が引き抜かれ、同様にメチル基から水素が引き抜かれた隣接するシリコーン化合物との間で、架橋反応が起こると考えられている。従って、活性線による架橋方法では、シリコーン化合物にラジカル発生のための過酸化物等や架橋用触媒等の添加剤を配合する必要がない。このため、これらの添加物の残渣による被着体に対する汚染が抑制され、架橋用触媒等を配合した後のポットライフを考慮する必要もなく、短時間で効率的に架橋が完了するため生産性が高くなる等のメリットがある。
活性線の中でも、電子線架橋法が照射装置(EB照射装置)の入手しやすさから好適である。EB照射装置における電子線照射量としては、5〜50Mradの範囲が好ましい。電子線照射量を5Mrad以上とすることにより、シリコーン化合物の架橋反応を促進でき、再剥離する際に被着体に対する糊残りを低減し、リペアー性を向上させることができる。一方、電子線照射量を50Mrad以下にすることにより、架橋反応の過度の進行による粘着性の低下を抑制することができる。
タッチパネル用上部電極の使用時の信頼性の点から、粘着層の粘着力の下限は0.01N/20mm(対ガラス180度剥離試験、引張り速度300mm/min)であることが好ましく、より好ましくは0.05N/20mmである。一方、再剥離性を向上させ、良好なリペアー性を確保する点から、粘着層の粘着力の上限は1.0N/20mmであることが好ましく、より好ましくは0.5N/20mmである。また、上記評価法で評価した場合にガラス面に粘着層が残らないこと、すなわち、糊残りがないことがリペアー性の点から好ましい。
本発明においては、上記粘着層がポリエステル系基材フィルムに強固に接着していることが好ましい。例えば、粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間にカッターナイフを差し込んで、指で力を加えて引き剥がし(界面出し)を実施した場合に、接着強度が強固で界面出しができないことが好ましい。本発明においては、後述するとおり、粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間に接着性改良層を設けることが望ましいが、この接着性改良層の厚みは薄いので、上記界面出しにおける真の界面は分析不可能であり、明確でない。要するに、粘着層とポリエステル系基材フィルムとが強固に接着しており、界面出しが不可能である状態が好ましい。以下、本発明においては、上記特性を単に接着性と称することもある。
また、本発明で用いる両面粘着シートを熱水中で長時間保存しても、上記接着性が維持されることが好ましい。以下、接着性の熱水耐久性を耐熱水接着性と称する。
[耐熱水接着性]
ここで、本発明で用いる両面粘着シートの重要な効果である耐熱水接着性の評価方法について説明する。
シリコーンゴム粘着層の耐熱水接着性を測定する場合は、両面粘着シートを50mm×50mmに切断し、セパレートフィルム(後述する)を剥離する。蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料をシリコーンゴム粘着層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、80℃に設定したギアーオーブン中に入れ、24時間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、粘着層側から端部に指腹で力を加えて10回擦り、粘着層がポリエステル系基材フィルム側から剥離するかどうかを評価し、粘着層が剥離しないものを○、粘着層が剥離するものを×とした。
この耐熱水接着性において、粘着層が剥離しない両面粘着シートを選択することにより、本発明のタッチパネル用上部電極をカーナビゲーションのタッチパネル上部電極として使用した場合に、粘着層とポリエステル系基材フィルムとの界面剥離を抑制できるため、装置の信頼性が向上する。
上記耐熱水接着性において粘着層が剥離しないようにするには、ポリエステル系基材フィルムとシリコーンゴム粘着層との間に接着性改良層を設けることが望ましい。そこで、次に接着性改良層について説明する。
[接着性改良層]
本発明のタッチパネル用上部電極に用いられる両面粘着シートにおいては、ポリエステル系基材フィルムとシリコーンゴム粘着層との間に接着性改良層を設けることが好ましい。接着性改良層の厚みは0.01〜0.5μmであることが好ましい。接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmであれば、良好な耐熱水接着性を示すが、上記範囲外では耐熱水接着性が○にならないことがあるため好ましくない。より好ましい厚みの範囲は、0.03〜0.4μmであり、0.05〜0.3μmがさらに好ましい。
接着性改良層として好ましいのは架橋されたポリマー層(架橋ポリマー層)であり、ポリマーを架橋剤で架橋した層である場合と、自己架橋型ポリマーを用いた層である場合がある。
架橋剤で架橋する方法において使用できるポリマーは特に限定されないが、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル酸系ポリマーよりなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記ポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、また、異なる2種または3種を組み合わせて用いてもよい。
〔接着性改良層用のポリエステル〕
上記ポリエステルは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、多価カルボン酸とグリコールを重縮合して得られるものである。
ポリエステルを構成する多価カルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸あるいはこれらのエステル誘導体を使用することができる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を用いることができる。接着性改良層の強度や耐熱性の点から、これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは多価カルボン酸成分100モル%中30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上を占めるポリエステルを用いることが好ましい。
また、脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
ポリエステルのグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等を用いることができる。
また、ポリエステルを水系液にして塗液として用いる場合には、ポリエステルの水溶性化あるいは水分散化を容易にするため、カルボン酸(塩)基を含む化合物、スルホン酸(塩)基を含む化合物、ホスホン酸(塩)基を含む化合物等を共重合することが好ましい。
カルボン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
スルホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる。
ホスホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、ホスホテレフタル酸、5−ホスホイソフタル酸、4−ホスホイソフタル酸、4−ホスホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ホスホ−p−キシリレングリコール、2−ホスホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる。
また、本発明においては、上記ポリエステルとして、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等の変性ポリエステル共重合体も使用可能である。
好ましいポリエステルとしては、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれるものを用いた共重合体等が挙げられる。耐水性が必要とされる場合は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、トリメリット酸をその共重合成分とした共重合体等も好適に用いることができる。
上記ポリエステルは、以下の製造法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸からなり、グリコール成分が、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステルについて説明すると、これらのモノマーを直接エステル化反応させるか、あるいは、エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等により製造することができる。
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
また、カルボキシル基を末端および/または側鎖に多く有するポリエステルを得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報等に記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合することにより製造することができるが、むろんこれら以外の方法であってもよい。
また、水分散ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロナール(登録商標)」シリーズ(東洋紡績社製)を用いることもできる。
ポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上であることである。ポリエステルのガラス転移温度(以下、Tgと略称することもある)は、0〜130℃であることが好ましく、より好ましくは10〜85℃である。Tgが0℃以上のポリエステルを用いることで耐熱水接着性が向上し、また、接着性改良層をポリエステル系基材フィルムの表面に積層した後、一端巻き取る場合などのブロッキング現象を抑制することができる。また、Tgが130℃以下のポリエステルを用いることで、安定性や水分散性を良好に維持することができる。
〔接着性改良層用のポリウレタン〕
次に、ポリウレタンについて説明する。ポリウレタンは、ウレタン結合を有したものであれば特に限定されるものではなく、主要構成成分としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を重合して得られるものである。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオール等を用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物等を用いることができる。
ポリウレタンの合成の際には、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の他に、公知の鎖延長剤や架橋剤等を含んでいてもよい。鎖延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等を用いることができる。
安定なポリウレタン水分散体を得るには、水への親和性が高められたポリウレタンを合成することが好ましく、具体的には、アニオン性基を適量ポリウレタン中に導入すればよい。例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤等に、アニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したポリウレタンの未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、あるいはポリウレタンの活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法等を用いて製造することができる。
上記ポリウレタン中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられる。
ポリウレタン中のアニオン性基を有するユニットの量は、ポリウレタンの水分散性の点から、0.05質量%〜15質量%が好ましい。
また、例えばポリウレタン水分散体として、「ハイドラン(登録商標)」シリーズ(大日本インキ化学工業社製)を用いることもできる。
〔接着性改良層用のアクリル系ポリマー〕
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー等を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて(共)重合される。さらに、これらは他種のモノマーと併用することができる。
ここで他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基およびそれらの塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を用いることができる。
また、上記アクリル系ポリマーとしては、変性アクリル系ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等も使用可能である。
上記アクリル系ポリマーのTgは、耐熱水接着性や耐ブロッキング性の点から下限を−10℃とすることが好ましく、より好ましい下限は0℃であり、最も好ましい下限は10℃である。一方、アクリル系ポリマーのTgは、耐熱水接着性や造膜性の点から上限を90℃とすることが好ましく、より好ましい上限は50℃、最も好ましい上限は40℃である。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は5万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とすることが、耐熱水接着性の点で望ましい。
上記アクリル系ポリマーとして好ましいのは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれたモノマーからなる共重合体等である。
アクリル系ポリマーを水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系液として用いることが、環境汚染や塗工時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル系ポリマーは、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作成することができる。
また、市販のアクリル系エマルジョンを用いてもよく、例えば、「ジョンクリル(登録商標)」シリーズ(BASFジャパン社製)が挙げられる。
[接着性改良層に用いられる架橋剤]
本発明においては、上記ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーは架橋されていることが好ましい。上記ポリマーを架橋剤を用いて架橋する場合、架橋剤としては、上記したポリマーに存在する官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミド基等と架橋反応し得るものを用いればよい。例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤等を用いることができる。特に、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が、上記ポリマーとの相溶性や、耐熱水接着性等の点から好適に用いることができる。
メラミン系架橋剤としては、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。また、メラミン系架橋剤としてはモノマー、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等を用いることができる。メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等のメチロール化メラミン樹脂が好ましい。さらに、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いてもよい。
また、オキサゾリン系架橋剤は、化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン基含有共重合体において、オキサゾリン基を含有するモノマーと共に用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類あるいはメタクリレート類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー類等を用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することができる。
また、オキサゾリン基含有ポリマーとしては、例えば、「エポクロス(登録商標)」シリーズ(日本触媒社製)が入手可能である。
イソシアネート系架橋剤は、化合物中に官能基としてイソシアネート基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にイソシアネート基を2個以上を含む多官能性イソシアネート化合物の使用が好ましい。
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類等の高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
なお、イソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合に、ブロック化イソシアネート化合物を用いることも可能である。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製することができる。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノール等のチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダ等を挙げることができる。
エポキシ系架橋剤としては、化合物中に官能基としてエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にエポキシ基を2個以上含む多官能性エポキシ化合物の使用が好ましい。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
上記架橋剤として、アルキル化フェノール類、クレゾール類等のホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物等のアミノ樹脂等も使用できる。
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
上記ポリマー(ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系ポリマー)と架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、本発明の耐熱水接着性の効果をより顕著に発現させるには、架橋剤は、ポリマー100質量部に対し、固形分質量比で2質量部以上、50質量部以下の添加が好ましく、より好ましくは3〜25質量部である。架橋剤の添加量が、2質量部未満の場合、その添加効果が小さく、また、50質量部を超える場合は、耐熱水接着性が低下する傾向がある。
[接着性改良層の自己架橋型ポリマー]
本発明においては、上記方法以外にも、例えば、前記したポリマーに架橋性の官能基を導入した自己架橋型のポリマーを用いて接着性改良層を形成してもよい。自己架橋型のポリマーを用いる場合の架橋方法は、例えば、熱架橋であってもよく、紫外線、電子線およびγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。
以下、自己架橋型のポリマーとして、ポリエステルの場合について具体的な方法を例示する。
本発明で好適に使用される自己架橋型のポリエステルは、疎水性共重合ポリエステルに、少なくとも1種のラジカル重合性二重結合を有する化合物をグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体である。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体の「グラフト化」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。グラフト重合は、通常、疎水性共重合ポリエステルを有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して、少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより実施される。疎水性共重合ポリエステルとは、本来それ自身で水に溶解しない、本質的に水不溶性のポリエステルであるため、水に溶解するポリエステル樹脂をグラフト重合の際の幹ポリマーとして使用する場合に比べ、耐熱水接着性に優れている。
疎水性共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分100モル%中、芳香族ジカルボン酸が60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜39.5モル%、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸が0.5〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸が68〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が2〜7モル%である。
前記芳香族ジカルボン酸が60モル%以上であり、前記脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が39.5モル%以下である場合には、耐熱水接着性が良好となる。また、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸を0.5モル%以上用いることで、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性モノマーのグラフト化を効率よく行うことができる。一方、10モル%以下とすることにより、グラフト化反応の後期に、反応溶液の粘度が顕著に上昇することを抑制し、反応を均一に進行できるため好ましい。
芳香族ジカルボン酸、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸は、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、等のα、β−不飽和ジカルボン酸;2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸等を例示することができる。これらの重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸のうち、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸が好ましい。
グリコール成分も、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。グリコール成分は、2種以上併用してもかまわない。なかでも、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール等が好ましい。
前記疎水性共重合ポリエステルには、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができる。3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。また、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。
3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で共重合され、この範囲であれば重合時のゲル化を抑制することができる。
また、疎水性共重合ポリエステルの重量平均分子量は、耐熱水接着性の点から下限が5,000であることが好ましい。また、重合時のゲル化等の点で、上限は50,000であることが好ましい。
疎水性共重合ポリエステルを合成した後は,グラフト重合を行う。グラフト重合は、疎水性共重合ポリエステルを有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより行う。なお、グラフト反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーとのグラフト共重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステルおよび疎水性共重合ポリエステルにグラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体をも含有している。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体とは、上記したポリエステル系グラフト共重合体だけでなく、これに加えて、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル、グラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体およびモノマー(残存モノマー)も含む反応混合物をも包含する。
本発明において、疎水性共重合ポリエステルにラジカル重合性モノマーをグラフト重合させた反応物の酸価は、耐熱水接着性の点から、600eq/106g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/106g以上である。反応物の酸価が600eq/106g未満である場合は、耐熱水接着性が低下する場合がある。
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーの質量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性モノマー=40/60〜95/5の範囲が望ましく、より望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
疎水性共重合ポリエステルの質量比率を40質量%以上とすることで、ポリエステルの優れた接着性を発揮することができる。一方、疎水性共重合ポリエステルの質量比率を95質量%以下とすることで、耐ブロッキング性を改善するとともに、反応物の酸価を上記範囲に調整することができる。
グラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液もしくは分散液または水系溶媒の溶液もしくは分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液、すなわち、水分散体の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。よって、グラフトさせるラジカル重合性モノマーとしては、親水性ラジカル重合性モノマーを必須的に含むラジカル重合性モノマーを用いることが好ましい。そして、有機溶媒中でグラフト重合した後は、有機溶媒を留去し、水を添加すれば、水分散体を得ることができる。
親水性ラジカル重合性モノマーとは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーを意味する。親水基を有するラジカル重合性モノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。一方、親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーとしては、酸無水物基、グリシジル基、クロル基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。これらの中でも、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが好ましい。
グラフト反応物の酸価を上記好適範囲にするためには、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが含まれているほうが好ましい。このようなモノマーとしては、フマル酸、フマル酸モノエチル;マレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル;イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステル;アクリル酸、メタクリル酸;およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物である。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることができる。
グラフトさせるラジカル重合性モノマーには、酸価を上記好適範囲にする限りは、他種のモノマーが含まれていてもよい。他種のモノマーとしては、前記したアクリル系ポリマーを合成するときに用い得るモノマーがそのまま用い得る。
本発明で用いるグラフト重合開始剤としては、例えば、当業者に公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)が挙げられる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマーに対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5質量%の範囲で添加することが望ましい。
グラフト化反応生成物は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類等が好適である。望ましい化合物としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和または完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、例えば、高温、多湿下等の過酷な環境下における耐熱水接着性が向上する。
グラフト化反応生成物では、ラジカル重合性モノマーの重合物の重量平均分子量は500〜50,000であるのが好ましい。ラジカル重合性モノマーの重合物の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が充分に行われない傾向がある。また、ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、充分な厚みの水和層をもたせ、安定な水分散体を得るためにはラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。
ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量は、溶液重合における重合性の点より、その上限値が50,000であることが好ましい。ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量を500〜50,000の範囲内とするためには、開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、または必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行うことが好ましい。
グラフト共重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、耐熱水接着性を考慮すれば、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
本発明において、疎水性共重合ポリエステルにラジカル重合性モノマーをグラフト重合させた反応物は、ポリエステル中のヒドロキシル基と,グラフト部分に存在するカルボキシル基が反応するため、自己架橋性を有する。また、常温では架橋しないが、塗膜形成の際の乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより、高度な耐熱水接着性を発揮する。塗膜の架橋度については、種々の方法で評価できるが、例えば、疎水性共重合ポリエステルおよびグラフトした重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒等での不溶分率を測定する方法等が挙げられる。
80℃程度で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率は、耐熱水接着性と耐ブロッキング性の点から、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体として、例えば、「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)等の市販のものを用いることもできる。
また、上記と類似した方法でグラフト化ポリウレタンを調製することができる。
[接着性改良層の添加剤]
接着性改良層中には本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤等が配合されていてもよい。
特に、接着性改良層中に無機粒子を添加したものは、例えば、ポリエステル系基材フィルムの表面に接着性改良層を積層して一端巻き取る場合等に、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜3μm、最も好ましくは0.05〜2μmである。無機粒子の使用量は特に限定されないが、接着性改良層中のポリマー100質量部に対し、固形分で0.05〜10質量部混合することが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
[接着性改良層の形成方法]
接着性改良層は、上記したポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと架橋剤との混合物の水分散体や、自己架橋型ポリマーの水分散体から形成されるため、塗工法で形成するのが最も簡便である。ポリエステル系基材フィルムの片面もしくは両面に、接着性改良層用塗工液を塗工すればよい。また、ポリエステル系基材フィルムの未延伸フィルムに塗布し、次いで少なくとも一方向に延伸する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法等、いずれの方法も可能である。なかでも、ポリエステル系基材フィルムを製造する際、フィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、いわゆるインラインコート法が、容易に薄膜を形成できるため、本発明の効果をより顕著に発現させることができ、好ましい。
例えば、ポリエステル系基材フィルムの未延伸フィルムへ接着性改良層用塗工液を塗布する場合は、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
本発明においては、上記接着性改良層はポリエステル系基材フィルムとシリコーンゴム粘着層との間に設けることが望ましいが、両面粘着シートのもう1層の粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間にも接着性改良層が設けてあっても良い。
[第2粘着層]
本発明で用いる両面粘着シートのもう一方の粘着層(第2粘着層)は、前記した第1粘着層と同様のシリコーンゴム層であってもよい。この場合、第1粘着層と第2粘着層のシリコーンゴムは、同じものであっても、異なる組成や分子量のものであっても構わない。
また、第2粘着層はアクリル系粘着剤層であってもよい。アクリル系粘着剤層を構成する粘着剤は、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリレートを主モノマー成分とするアクリル系ポリマーを主成分またはベースポリマーとして含有しているアクリル系粘着剤が挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソノニル(メタ)アクリレート、アクリル酸デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記(メタ)アクリレートと共重合性を有しているモノマー成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。特に、アクリル系ポリマーを架橋させる際には、共重合性モノマーとしては、アクリル系粘着剤の改質用モノマーが好ましく、公知の改質用モノマーのいずれも使用可能である。共重合性モノマーは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、共重合性モノマーとしては、接着性改良層用のアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分や他種のモノマーとして例示したモノマーがいずれも使用でき、さらに、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン系モノマー等が挙げられる。
改質用モノマーとしては、前記官能基含有モノマーが好適であり、これらのなかでもヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく、特にアクリル酸が好適である。なお、改質用モノマーに由来する官能基(特に極性基)を利用してアクリル系ポリマーを架橋することができる。
アクリル系ポリマーを得るための重合方法としては、アゾ系化合物や過酸化物等の重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法等を採用することができる。本発明では、分解してラジカルを生成させる重合開始剤を用いて重合させる方法(ラジカル重合方法)を好適に採用することができる。このラジカル重合では、通常、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーマレエート等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等の重合開始剤を用いて行う。重合開始剤の使用量は、アクリル系モノマーの重合の際に通常用いられる量でよく、例えば、モノマー成分の総量100質量部に対して、0.005〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部程度である。
アクリル系ポリマーの主モノマー成分としての炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの割合としては、粘着特性の観点から、モノマー成分100質量%に対して50質量%以上であることが好ましい。80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。従って、上記(メタ)アクリレート以外の共重合性モノマーの割合は、モノマー成分100質量%中、50質量%以下となる。
前記モノマー成分を重合させて得られたアクリル系ポリマーはそのまま用いることができる。また、アクリル系ポリマーを架橋させることにより硬化させることも可能である。前記ポリマーを架橋させると、粘着剤の凝集力を一層大きくすることができる。架橋には、架橋剤を用いることができる。すなわち、アクリル系粘着剤には、アクリル系ポリマーとともに、架橋剤が配合されていてもよい。なお、ポリマーの架橋は、加熱架橋方法が好適に用いられる。
架橋剤としては、接着性改良層において用いることのできる架橋剤として例示した架橋剤が、いずれも使用可能である。架橋剤としては、特に、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。メラミン系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜15質量部がより好ましい。
アクリル系粘着剤には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、粘着特性を調整するため、粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂等)を配合してもよい。両面粘着シートの無色透明性を高めたり、色調変化を抑えるという観点からは、水素添加型の粘着付与樹脂が好ましく、その配合割合は両面粘着シートのヘーズを上昇させない範囲とすることが好ましい。また、粘着付与樹脂以外の添加剤として、可塑剤、微粉末シリカ等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤の使用量は、いずれもアクリル系粘着剤に適用される通常の量でよい。
改質用モノマー(官能基含有共重合性モノマー)や架橋剤の割合調整や界面活性剤を用いる方法等の方法により、アクリル系粘着剤層の粘着力を、制御することができる。アクリル系粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、3〜200μmが好ましい。5〜50μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
また、上記のアクリル系粘着剤として、例えば、綜研化学社製の「SKダイン」シリーズを用いることもできる。中でも、光学用粘着剤の銘柄の使用が好ましい。
上記アクリル系粘着剤層の形成方法は限定されない。例えば、有機溶剤の溶液タイプの塗工液か、水分散体の形態の塗工液を調製し、塗工法で塗布する方法が簡便である。なお、アクリル系粘着剤層とポリエステル系基材フィルムとの間に、接着性改良層と同一組成の層を設けて、アクリル系粘着剤層と基材フィルムとの接着性を高めるように構成してもよい。
アクリル系粘着剤層の粘着力は、前記シリコーンゴム粘着層の粘着力と同等でもよいし、小さくても大きくてもよい。両面粘着テープの使用方法により、適宜選択して設定するのが好ましい。例えば、両面共に再剥離可能に設定するのであれば、前記シリコーンゴム粘着層の粘着力と同等の範囲、すなわち、0.01〜1.0N/20mm(対ガラス180度剥離試験、引張り速度300mm/min)の範囲が好ましい。一方、片面を強固に固定する場合は、上記範囲より高めに設定するのが良く、5.0〜25N/20mmが好適範囲である。より好ましい範囲は、8.0〜20N/20mmである。
[セパレートフィルム]
本発明で用いられる両面粘着シートは、積層体(1)と導電性積層体(2)とを貼り合わせるために用いられるが、使用前は、第1粘着層および第2粘着層を保護するために、各々セパレートフィルムを貼着して保存することが望ましい。
セパレートフィルムの基材としては、特に限定されないが、両面粘着シートのポリエステル系基材フィルムとして例示したポリエステルフィルムが好適である。
[セパレートフィルムの離型層と第1粘着層との剥離強度]
ポリエステルフィルムに離型層を設けることでセパレートフィルムが得られる。離型層としては、シリコーンゴム粘着層との剥離強度が、0.03〜1.0N/20mmの範囲に入るように構成することが好ましい。上記剥離強度が0.03N/20mm以上であれば良好な剥離性を示すとともに、両面粘着シートを巻き取る場合に、セパレートフィルムの浮きを抑制することができ、両面粘着シートの品位を高く保つことができる。一方、1.0N/20mm以下であれば、上記セパレートフィルムの剥離性が良好である。剥離強度を上記範囲に制御するには、下記構成の離型層をポリエステルフィルムの表面に設けることが好ましい。なお、剥離強度は、以下のようにして測定する。
まず、長さ200mm程度、幅20mmの両面粘着テープの剥離強度を測定したい面を露出させ、両面粘着シートを、一方の面を含む積層体と、他方の面を含む積層体とに分けて、それぞれを引張試験機のチャックにセットする。すなわち、例えば、シリコーンゴム粘着層とセパレートフィルムの離型層の界面の剥離強度を測定する場合は、シリコーンゴム粘着層と離型層の界面で両面粘着シートを少し剥がし、粘着層と離型層のそれぞれを露出させる。この場合は、一方のチャックで、離型層とポリエステルフィルムとからなるセパレートフィルムを把持し、一方のチャックで、両面粘着シート(第2粘着面にはセパレートフィルムを付けておくことが望ましい。)を把持する。そして、JIS K6854−3に記載の方法で、T型剥離強度を測定する。引張試験機は、例えば、商品名「オートグラフ」(島津製作所社製)等を用いればよく、チャック間距離50mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件でT型剥離試験を行う。剥離の際には、T型が維持されるように、フィルムの端部を棒で持ち上げる。T型剥離時の最大強度を剥離強度とする。
以下、本発明においては、上記特性を単に剥離性と称することもある。
[離型層]
本発明で用いる両面粘着シートのシリコーンゴム粘着層側に貼着されるセパレートフィルムの離型層は、剥離強度が上記範囲を満たすものであればよく、シリコーンゴム粘着層との剥離性を考慮すれば、非シリコーン化合物からなるものであることが好ましい。離型層が、離型層として汎用される硬化型シリコーン化合物の硬化物からなる場合には、シリコーンゴム粘着層との親和性が高いため、粘着層のシリコーン化合物を架橋させる際に、粘着層と離型層が架橋反応することがあり、剥離性が低下する場合がある。安定的な剥離性を得るには、離型層は、実質的にシリコーン化合物を含まない離型剤を使用して形成することが好ましい。なお、ここで、「離型層が非シリコーン化合物からなる」とは、離型層がシリコーン化合物を10質量%以下含む化合物(または組成物)から形成されていることを意味し、より好ましいシリコーン化合物量は5質量%以下であり、シリコーン化合物が0質量%であることが最も好ましい。なお、第2粘着層側に貼着されるセパレートフィルムの離型層は、シリコーンゴム粘着層側に貼着されるセパレートフィルムの離型層と全く同一の化合物(または組成物)であってもよいし、異なる化合物(または組成物)であってもよい。
また、離型層は、金属または無機系薄膜からなるものであってもよいが、剥離安定性やコスト面からは、バインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含む組成物から得られたものであることが好ましい。
バインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーであることが好ましく、これらのポリマーをそれぞれ単独で用いてもよく、また、異なる2種または3種を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーは、接着性改良層の構成ポリマーとして例示したものと同様のポリマーを用いることができる。バインダー樹脂には架橋の必要性は低いが、接着性改良層と同様に、架橋剤を併用してもよいし、自己架橋型のポリマーを用いてもよい。
本発明において使用される高分子ワックス成分は、従来公知の材料が使用可能である。例えばポリエチレン系、ポリプロピレン系、アクリル系、脂肪酸系等のワックスエマルジョン等が示されるが、特に粘着感の無い硬質タイプの熱分解安定性に優れた高分子ワックス剤は、剥離性の向上に効果があり、かつフィルム巻き取り時に、反対側表面へのワックスの転移を抑制することができるので好ましい。また、これらのワックス剤の好ましい数平均分子量は1000〜10000であり、より好ましくは1500〜6000の範囲である。
前記高分子ワックス成分は、バインダー樹脂との合計を100質量%としたときに、固形分で、2〜10質量%含まれていることが好ましい。3〜8質量%含まれているのがさらに好ましい。高分子ワックス成分の添加量を2質量%以上とすることで、架橋処理後のシリコーンゴム粘着層との剥離性を良好にし、また、セパレートフィルムの滑り性を向上させることができる。一方、高分子ワックス成分の添加量を10質量%以下とすることにより、剥離力を維持して、透明導電性ポリエステルフィルム複合体の製造工程でチャンネリング現象の発生を抑制することができる。さらに、離型層からの高分子ワックス成分の移行を抑制できるため、架橋処理後の第1粘着層の表面が汚染されることが少なくなる。
離型層において使用される帯電防止剤としては、バインダー樹脂と混合可能であるか、または相溶性のあるものであれば、イオン性を特に限定されるものではなく、従来公知の市販の材料が利用可能であり、例えばアニオン、カチオン、ノニオン、両性系の界面活性剤や、高分子型界面活性剤等がいずれも使用可能である。好ましくは積層面へのブリードアウトの少ない高分子型帯電防止剤が好ましい。
高分子型帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用できるが、中でも、アニオン系とノニオン系の高分子型帯電防止剤が好適である。
アニオン系高分子型帯電防止剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、硫酸エステル基から選ばれる少なくとも1つの極性基またはそれらの塩を有する極性ポリマーが好ましい。極性基はポリマー1分子当たり5モル%以上を必要とする。これらの導電性能を有する極性ポリマー中には、極性基としてヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アジリジン基、活性メチレン基、スルフィン酸基、アルデヒド基、ビニルスルホン基を含んでいてもよい。これらの中でも、スチレンスルホン酸またはその塩を繰り返し単位として含む帯電防止剤が好適である。
このような帯電防止剤としては、ポリスチレンスルホン酸またはその塩が挙げられる。塩としては、例えば、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。ポリスチレンスルホン酸またはその塩は、例えば、日本エヌエスシーから、VERSA−TL(登録商標)という商品名で、分子量の異なる未中和や各種の塩が市販されている。また、スチレンスルホン酸またはその塩を繰り返し単位として含む帯電防止剤としては、スチレンスルホン酸−マレイン酸コポリマーも使用可能であり、日本エヌエスシーから市販されている。
一方、ノニオン系高分子型界面活性剤としては、アニリンあるいはその誘導体、ピロールあるいはその誘導体、イソチアナフテンあるいはその誘導体、アセチレンあるいはその誘導体、チオフェンあるいはその誘導体等を構成単位として含むπ電子共役系導電性高分子が好ましい。それらの中でも着色が少ない点から、チオフェンあるいはその誘導体を構成単位として含むπ電子共役系導電性高分子が好ましい。π電子共役系導電性高分子は、1種の構成単位のみを繰り返し単位として含む単独重合体でもよく、2種以上の構成単位を繰り返し単位として含む共重合体でもよい。
チオフェンあるいはその誘導体を構成単位として含む導電性高分子としては、例えば、スタルクヴィテック社製の「バイトロン(登録商標)P」シリーズ、ナガセケムテックス社製の「デナトロン(登録商標)P−502RG」、「デナトロン(登録商標)P−502S」、インスコンテック社製のコニソールF202、F205、F210、P810(以上、商品名)、信越ポリマー製CPS−AS−X03(商品名)等が市販されている。
離型層の帯電防止剤の配合量は、バインダー樹脂の種類と帯電防止剤の種類により好適な範囲が異なるので一義的に決めることはできず、離型層のシリコーンゴム粘着層からの剥離強度が、それぞれ前記の範囲となるように調整すればよい。
例えば、アニオン系界面活性剤を帯電防止剤として用いる場合には、帯電防止剤の配合量は、離型層のシリコーンゴム粘着層からの剥離強度が、前記の範囲になるように、バインダー樹脂との合計を100質量%としたときに、固形分で、2〜10質量%含まれていることが好ましく、さらに好ましくは3〜8質量%である。アニオン系界面活性剤の配合量を2質量%以上とすることで、架橋処理後の粘着層からの剥離性を良好にするとともに、セパレートフィルムの帯電防止性も良好になる。一方、帯電防止剤の配合量を10質量%以下とすることにより、剥離力を維持し、透明導電性ポリエステルフィルム複合体の製造工程におけるチャンネリング現象の発生を抑制することができる。さらに、離型層からの高分子ワックス成分の移行を抑制できるため、架橋処理後の粘着層の表面が汚染されることが少ない。
ポリエステルフィルム上に上記構成の離型層を形成するには、バインダー樹脂、高分子ワックス成分、帯電防止剤、および必要に応じて表面粗面化物質等の他の添加剤を、あらかじめ所定量混合して樹脂組成物を調製し、塗工すればよい。樹脂組成物には、コート性向上のための界面活性剤や紫外線防止剤や酸化防止剤等を含有させることができる。塗工方法は、グラビアコーター、リバースロールコーター、リバースキスコーター、エアーナイフコーター、バーコーター等の通常のコート用装置を用いて塗布すればよく、方法はこれらにこだわらない。接着性改良層の場合と同様に、ポリエステルフィルムを得る際に、一軸方向に延伸されたフィルムの片面に樹脂組成物を塗布し、さらに先の一軸延伸と直角方向に延伸するいわゆるインラインコート法や、二軸延伸後塗布するいわゆるオフラインコート法等が例示される。
上記離型層の厚さは、剥離力を適正な範囲とするために、乾燥状態で0.03〜1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。
[両面粘着シートの製造方法]
両面粘着シートの製造方法は特に限定されず、第1粘着層と第2粘着層を、ポリエステル系基材フィルム(好適には片面または両面に接着性改良層が積層されたポリエステル系基材フィルム)に設けて、セパレートフィルムを介して巻き取ればよい。第1粘着層と第2粘着層はこの順で形成してもよく、逆でもよく、両層を同時に形成してもよい。
[積層体(1)]
本発明のタッチパネル用上部電極は、これまで説明してきた両面粘着シートで、ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)と、透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)とを貼り合わせてなるものである。
積層体(1)は、タッチパネルに用いられるペン等による傷つき防止のためのものである。ハードコート層としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂等を、架橋剤による熱架橋や、電子線、紫外線等の活性光線で硬化した層が好ましい。
このハードコート層の厚さは、1〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2〜30μmの範囲である。1μmより薄い場合は、ハードコート処理の機能が十分発現せず、50μmをこえる厚さでは、樹脂コーティングの速度が著しく遅くなり、生産性の面で好結果を得にくい。
ハードコート層を積層する方法としては、上記の樹脂をグラビア方式、リバース方式、ダイ方式等で透明基材にコーティングした後、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加することで、硬化させればよい。
透明基材としては特に限定されないが、前記した両面粘着シートの基材であるポリエステル系フィルムや、ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート;トリアセチルセルロース(TAC)等のフィルムが挙げられる。これらのフィルムに用いられる樹脂は、共重合成分を少量含む共重合体であってもよい。また、これらの樹脂は、単独で使用する以外に、他の樹脂を1種以上ブレンドして使用してもよい。フィルム化に当たっては、ポリエステル系基材フィルムを製造する場合に例示した方法と同様にすればよい。ただし、TACはキャスト法でフィルム化することが好ましい。積層体(1)の透明基材には、ハードコート層を設ける前に接着性改良層を設けてもよい。積層体(1)の透明基材の厚さは、特に限定されないが、50〜150μmが好ましい。
[導電性積層体(2)]
導電性積層体(2)は、透明基材に透明導電層を積層したものである。透明基材としては、上記積層体(1)に用いることのできる基材がそのまま例示できる。この場合も、好適な厚さは、特に限定されないが、5〜30μmが好ましい。
代表的な透明導電性材料としては、金、銀、銅等の金属類;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物;ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール等の導電性高分子等が挙げられる。なかでも、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物が好ましい。これらには、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等のうちから、1種類以上のドーパントを用いてもよい。ドーパントの含有量は、金属酸化物や複合酸化物に対して、0.1〜50質量%の範囲が好ましい。0.1質量%未満の含有量では、ドーパントとしての機能を充分に発現できず、50質量%を超える含有量では、金属酸化物や複合酸化物の本来の特性が阻害されてしまうため好ましくない。
上記導電性高分子から透明導電層を製造する場合は、適当な溶媒に溶解させて公知の塗工方法を用いればよい。
上記金属類、金属酸化物、複合酸化物を用いて透明基材に透明導電層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法等が採用可能である。例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に、直流、交流、高周波等のバイアスを印加してもよい。
また、透明基材に透明導電層を形成する際の温度は、フィルムの耐熱温度に応じて適宜変更するとよい。例えばポリエステル系フィルムであれば、150℃以下とすることが好ましい。成膜時の温度を、150℃を超える温度にするには、フィルムの送り速度を極端に遅くせざるをえず、生産性の点から好ましくない。
また、スパッタリングを行う際の真空度は、0.01〜10Paの範囲で行うのが好ましい。真空度が0.01Paよりも高真空では、安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、10Paよりも低い真空度でも、やはり安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、蒸着法、CVD法等の他の方法においても同様である。
透明導電層の厚みは4〜800nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜500nmである。透明導電層の厚みが4nmよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく良好な導電性を示しにくくなる。また、800nmよりも厚い場合、透明性が低下しやすくなるため、好ましくない。
[タッチパネル用上部電極の製造方法]
タッチパネル用上部電極を製造する方法は特に限定されないが、第1粘着層側または第2粘着層側のセパレートフィルムを剥がして、積層体(1)または導電性積層体(2)と貼り合わせ、続いて、第2粘着層側または第1粘着層側のセパレートフィルムを剥がして、積層体(2)または導電性積層体(1)と貼り合わせればよい。片面のみがシリコーンゴム層である構成の両面粘着シートを用いる場合は、シリコーンゴム粘着層を積層体(1)側に配して、積層体(1)と導電性積層体(2)を貼り合わせることが好ましい。シリコーンゴム粘着層がタッチパネルの入力画面側に配置されることで、そのクッション性が効果的に発揮されるからである。
上記両面粘着シートは、セパレートフィルムとの剥離強度も適切に制御しているので、これらの貼着工程での作業性に優れている。また、貼着工程にミスがあっても再剥離可能なシリコーンゴム粘着層を備えているので、歩留まりが向上する。
本発明のタッチパネル用上部電極は、これに使用される両面粘着シートのシリコーンゴム粘着層が基材フィルムに強固に接着しており、シリコーンゴム粘着層がクッション性に優れていることも相俟って、従来のタッチパネルに比べて、信頼性や耐久性が向上したものとなっている。
[タッチパネル用上部電極の光学特性]
本発明のタッチパネル用上部電極は、高透過率が要求される用途では、全光線透過率が80%以上で、かつヘーズが2.0%以下であることが好ましい。全光線透過率が85%以上で、かつヘーズが1.0%以下であることがより好ましい。さらに、65℃、85RH%で200時間保存した後も、全光線透過率とヘーズが上記の好適範囲に入っていることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
1.接着性
シリコーンゴム粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間にカッターナイフを差し込んで、指で力を加えて引き剥がし(界面出し)を実施した。接着性が強固で界面出しができないものを○、界面出しが可能なものを×として評価した。
2.耐熱水接着性
両面粘着シートを50mm×50mmに切断し、シリコーンゴム粘着層側のセパレートフィルムを剥離する。蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料を粘着層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、80℃に設定したギアーオーブン中に入れ、24時間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、粘着層側から端部に指腹で力を加えて10回擦り、粘着層がポリエステル系基材フィルム側から剥離するかどうかを評価し、粘着層が剥離しないものを○、粘着層が剥離するものを×とした。
3.粘着力
シリコーンゴム粘着層とアクリル系粘着剤層のガラスに対する粘着力を、JIS Z0237に準じて180度剥離法で測定した。ガラスは、厚み3mm、幅30mmの耐熱性ガラスを用いた。試料は20mm幅とし、ガラスへの貼着は2Kgのローラを用いて約29mm/秒の速さで2往復することにより行った。引張り速度は300mm/minとし、23℃の雰囲気下で引っ張り試験を行い、最大引張強度を粘着力(N/20mm)とした。
4.全光線透過率およびヘーズ値
両面粘着シートからセパレートフィルムを剥離した試料を用い、JIS K7361−1に準じて、日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて測定した。
5.塗工液の清澄度
シリコーンゴム粘着層形成用塗工液それぞれ100ccを40mmφの200メッシュ(線径0.04mm)の金網で濾過して、肉眼で不溶物の有無を確認し、不溶物無しの場合を○、不溶物有りの場合を×とした。
6.塗工液の溶液安定性
シリコーンゴム粘着層形成用塗工液それぞれを、密閉状態で、室温(23℃)で90日間保存した時の溶液の粘度変化で評価し、溶液安定性を判定した。溶液の粘度変化が±20%以内の場合を○、溶液の粘度変化が±20%を超える場合を×とした。なお、粘度はB型粘度計で測定した。
実施例1
(1)接着性改良層形成用塗工液の調製
〔水分散性共重合ポリエステル樹脂の調製〕
蒸留塔が付属した1個の加圧エステル化反応槽と、真空発生装置が付属した2個の重縮合反応槽を用い、バッチワイズ方式で三酸化アンチモンを重縮合触媒として、水分散性共重合ポリエステルを合成した。
水分散性共重合ポリエステルの共重合組成は、テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//ネオペンチルグリコール/エチレングリコール=50/43/7//70/30(モル比)であり、還元粘度は、0.68dl/gであった。
〔塗工液の調製〕
上記水分散性共重合ポリエステルの破砕物100部を、定法により水分散体化した。この水分散体の固形分100部に対し、メチロール化メラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」(三井サイテック社製)を固形分で5部と、触媒として、「キャタリスト600」(三井サイテック社製)を0.025部加え、よく撹拌して塗工液(No.1)とした。
(2)ポリエステル系基材フィルムの製造と接着性改良層の積層
平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカ微粒子を0.04%含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)のペレットを充分に真空乾燥した後、280℃に加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて、表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その両処理面に上記塗工液(No.1)を塗布した。この一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸した。さらに225℃で、幅方向に6%弛緩させながら、6秒間、熱処理を行った。二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムの両面に、厚さ0.08μmの架橋された接着性改良層が両面に積層された厚さ12μmの積層体(i)が得られた。
(3)離型層形成用塗工液の調製
バインダー樹脂として水分散性共重合ポリエステル樹脂である「バイロナール(登録商標)MD−1200」(東洋紡績社製)を、高分子ワックス成分としてポリエチレン系エマルジョンワックス剤を、帯電防止剤としてアニオン系帯電防止剤(ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム)を、表面粗面化物質として平均粒子径2μmであるスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子「エポスター(登録商標)MS」(日本触媒社製)と、平均粒子径0.05μmのコロイダルシリカとをそれぞれ用いた。
ホモジナイザーを用いて、表面粗面化物質の有機球状微粒子を水とイソプロピルアルコール(質量比80/20)との混合液中で充分に分散させてから、塗工液の全質量に対して、バインダー樹脂2.5%、高分子ワックス成分0.13%、帯電防止剤0.13%、有機球状微粒子0.025%、コロイダルシリカ0.3%となるように、充分に混合して離型層形成用塗工液を調製した。
(4)セパレートフィルムの製造(ポリエステルフィルムの製造と離型層の積層)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)のペレットを充分に真空乾燥した後、加熱された280℃の押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸配向フィルムの両面に上記離型層形成用塗工液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸した。さらに225℃で、幅方向に6%弛緩させながら、6秒間、熱処理を行った。ポリエステルフィルムの両面に厚さ0.15μmの離型層が積層された厚さ12μmのセパレートフィルムを得た。
(5)シリコーンゴム粘着層の積層
シリカ等の補強剤を実質的に含まず、数平均分子量が15万(GPC法で測定、ポリスチレン換算)の未架橋のポリジメチルシロキサン骨格よりなる非反応性のシリコーン化合物(KF−96H−50万cs;信越化学工業社製)を、トルエンに対する質量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き撹拌機に投入し、大気圧下、室温で15時間撹拌して、トルエンに溶解させた。得られた溶液に、上記シリコーン化合物100部に対して、トリメチロールプロパントリメタクリレートが2部となるように添加し、均一に撹拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下でさらに20分間撹拌し、脱泡した。次いで、脱泡後のシリコーン化合物溶液をロールコーターに供給し、上記積層体(i)の片面に、シリコーン化合物溶液を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。未架橋のシリコーンゴム粘着層が積層体(i)の片面に形成された積層体(ii)が得られた。
上記積層体(ii)の未架橋のシリコーンゴム粘着層の表面に、上記セパレートフィルムを重ねつつ、圧着ローラ(圧力30N/cm2)で押さえ、連続的に積層した。得られた積層体(iii)を連続的に電子線照射装置に導入し、セパレートフィルム側から、200KV、18Mradのエネルギーで電子線を照射して粘着層の架橋を行い、架橋後のシリコーンゴム粘着層を備えた積層体(iv)をロール状に巻取った。ここまでの製造工程において、セパレートフィルムのチャンネリング現象の発生は見られなかった。
(6)アクリル系粘着剤層の積層
光学用アクリル系粘着剤であるSKダイン2094(綜研化学社製)を、上記積層体(iv)の積層体(i)側の表面に乾燥後の厚さが25μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥し、アクリル系粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面に、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートからなる厚さ12μmのセパレートフィルム(E7002;東洋紡績社製)のシリコーン処理面側が接するように積層して、両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートの特性を表示に示す。この工程においてもセパレートフィルムのチャンネリング現象の発生は見られなかった。
(7)ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)の製造
ポリエステルフィルム(コスモシャイン(登録商標)A4300;東洋紡績社製;75μm)の片面に紫外線硬化型ハードコート塗料(大日精化社製 セイカビーム(登録商標)EXF−01B)を乾燥後の膜厚が5μmになるように塗工し、溶剤を乾燥した後、高圧水銀灯で紫外線を800mJ/cm2照射することにより、ハードコート層が積層された積層体(1)を得た。
(8)透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)の製造
ポリエステルフィルム(コスモシャイン(登録商標)A4100;東洋紡績社製;75μm)の非易接着処理面に、アルゴンガス80体積%と酸素ガス20体積%とからなる0.533Pa(4×10-3Torr)の雰囲気中で、インジウム−スズ合金を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ400Åの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明導電層を形成し、透明導電積層体(2)を得た。
(9)タッチパネル用上部電極の製造
上記において得られた両面粘着シートのアクリル系粘着剤層側のセパレートフィルムを剥離し、上記透明導電積層体(2)の透明導電層の反対面に貼着した。次に、シリコーンゴム粘着層側のセパレートフィルムを剥離して、上記積層体(1)のハードコート層の反対面に貼着し、タッチパネル用上部電極を得た。これらの貼着工程での作業性は良好であった。その上、シリコーンゴム粘着層はリペアー性に優れているので、貼着ミスが生じても容易にリペアーができた。従って、貼着ミスによる不良品の発生を無くすことができた。
上記タッチパネル用の上部電極を用いて下記方法でペン摺動耐久性試験を行った。すなわち、2枚の上記上部電極を、厚さ100μmのスペーサを介して透明導電層同士が向かい合うように対向配置し、ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、23℃、44%RHで、10万回(往復5万回)の直線摺動試験を行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。
この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察したところ、電極に白化は見られなかった。また、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(上下の電極が接触した時の抵抗値)を測定したところ、初期値の3倍以内に保たれており、ペン摺動耐久性に優れていることが確認できた。
比較例1
実施例1において製造した積層体(1)と透明導電積層体(2)を、両面粘着シートで貼り合わせることなく、単に積層体(1)と透明導電積層体(2)を重ね合わせた以外は実施例1と同様の方法で、ペン摺動耐久性試験を行ったところ、摺動部に白化が認められた。また、ON抵抗は、初期値の15倍となっており、ペン摺動耐久性に劣ることがわかった。
比較例2
実施例1の方法において、接着性改良層形成用塗工液(No.1)の塗布を取り止める以外は、実施例1と同様にして両面粘着シートを得て、タッチパネル用上部電極を得た。両面粘着シートの評価結果を表1に示す。本比較例2で得られた両面粘着シートは、シリコーンゴム粘着層とポリエステル系基材フィルム基材との接着性および耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
タッチパネル用上部電極のペン摺動耐久性試験を行ったところ、23℃、44%RHでは、摺動部に白化は認められなかったが、50℃、65%RHでは、摺動部に白化が認められた。また、ON抵抗は、23℃、44%RHでは、初期値の3倍以内に保たれていたが、50℃、65%RHでは、初期値の6倍となっていた。両面粘着シートにおいて、耐熱水接着性が悪かったことが反映された結果となった。
比較例3
実施例1の方法において、接着性改良層の厚みを0.7μmになるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着シートを得て、タッチパネル用上部電極を得た。両面粘着シートの評価結果を表1に示す。本比較例3で得られた両面粘着シートは、耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。タッチパネル用上部電極の評価をしたところ、上記比較例2と同様の結果が得られた。
比較例4
シリコーンゴム粘着層形成用塗工液の調製法を以下に示したように変更する以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着シートを得て、タッチパネル用上部電極を得た。両面粘着シートの評価結果を表1に示す。
〔シリコーンゴム粘着層形成用塗工液の調製〕
ポリジメチルシロキサン骨格のシリコーン化合物60部、ポリジメチルアルケニルシロキサン骨格のシリコーン化合物25部およびシリカ15部からなる高透明度型シリコーンゴムコンパウンド(「TSE260−3U」;ゴム硬度30度;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)をトルエンに対する質量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き撹拌機に投入し、大気圧下、室温で15時間撹拌してトルエンに溶解させた。得られた溶液に、トリメチロールプロパントリメタクリレートを、ゴムコンパウンド100部に対して2部となるように添加し、均一に撹拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下でさらに20分間撹拌し、脱泡した。なお、上記シリコーンゴムコンパウンドは購入後6ヶ月を経過したものを用いた。得られた塗工液は、清澄度および保存安定性が劣っていた。
また、本比較例4で得られた両面粘着シートは耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。タッチパネル用上部電極の評価をしたところ、上記比較例2と同様の結果が得られた。
実施例2
実施例1のポリエステル系基材フィルムの製造の際に、塗工液(No.1)の塗布を取り止める以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル系基材フィルムを得た。この基材フィルムの両面にコロナ処理を行った。別途、共重合ポリエステル樹脂溶液(「バイロン(登録商標)30SS」;東洋紡績社製)とポリイソシアネート系架橋剤(「コロネート(登録商標)HX」;日本ポリウレタン社製)を、それぞれ固形分比で100:3(部)になるように配合し、接着性改良層用塗工液(No.2)を調製した。この接着性改良層用塗工液(No.2)を、コロナ処理後の上記基材フィルムの両面に、コーターを用いて塗布し、乾燥させた。接着性改良層の厚みは、両面とも0.31μmであった。
後は、実施例1と同様にして両面粘着シートを得て、タッチパネル用上部電極を製造した。両面粘着シートの評価結果を表1に示す。
本実施例2で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極は、実施例1で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極と同等の特性を有しており、高品質であった。
比較例5
実施例2の接着性改良層用塗工液(No.2)の調製の際に、架橋剤の「コロネートHX」の配合を取り止め、「バイロン30SS」のみを用いる以外は、実施例2と同様の方法で両面粘着シートとタッチパネル用上部電極を得た。両面粘着シートの評価結果を表1に示す。
本比較例5で得られた両面粘着シートは耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。タッチパネル用上部電極の評価をしたところ、上記比較例2と同様の結果が得られた。
Figure 2010015506
実施例3〜5
実施例1の接着性改良層用塗工液(No.1)に変えて、下記塗工液を用いる以外は実施例1と同様にして、両面粘着シートを得て、タッチパネル用上部電極を製造した。両面粘着シートの評価結果を表2に示す。
これらの実施例で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極は、実施例1で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極と同等の特性を有しており、高品質であった。
〔実施例3の接着性改良層用塗工液〕
アクリル系エマルジョン(「ジョンクリル(登録商標)PDX−7630A」;BASFジャパン社製)の固形分100部に対し、前記の「サイメル303」10部と、前記の「キャタリスト600」0.04部を混合して、接着性改良層用塗工液(No.3)とした。
〔実施例4の接着性改良層用塗工液〕
ポリウレタン系水分散体(「ハイドラン(登録商標)AP40」;大日本インキ工業社製)の固形分100部に対し、オキサゾリン系架橋剤として(「エポクロス(登録商標)WS−700」;日本触媒社製)を固形分で3部添加して、接着性改良層用塗工液(No.4)とした。
〔実施例5の接着性改良層用塗工液〕
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)40部、水24部及びイソプロピルアルコール36部を混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液0.6部、プロピオン酸1部、コロイダルシリカ粒子(平均粒径40nm)の20%水分散液1.8部、乾式法シリカ粒子(平均粒径200nm;平均一次粒径40nm)の4%水分散液1.1部を添加し、接着性改良層用塗工液(No.5)とした。
実施例6
実施例1と同様の方法で、積層体(i)、セパレートフィルム、シリコーン化合物溶液を調製した。積層体(i)の両面に、シリコーン化合物を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。未架橋のシリコーンゴム粘着層が積層体(i)の両面に形成された積層体(v)が得られた。積層体(v)の両面の未架橋の粘着層の表面にそれぞれセパレートフィルムを重ねつつ、圧着ローラ(圧力30N/cm2)で押さえ、連続的に積層した。得られた積層体(vi)を連続的に電子線照射装置に導入し、片面のセパレートフィルム側から、200KV、16Mradのエネルギーで電子線を照射して第1粘着層の架橋を行い、ロール状に巻取った。ロールからシートを繰り出しながら、再度、連続的に電子線照射装置に導入し、もう片面のセパレートフィルム側から、200KV、18Mradのエネルギーで電子線を照射して第2粘着層の架橋を行い、得られた両面粘着シートをロール状に巻取った。ここまでの製造工程においてセパレートフィルムのチャンネリング現象の発生は見られなかった。後は、実施例1と同様にして、タッチパネル用上部電極を得た。両面粘着シートの評価結果を表2に示す。
本実施例6で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極は、実施例1で得られた両面粘着シートおよびタッチパネル用上部電極と同等の特性を有しており、高品質であった。
Figure 2010015506
参考例1
実施例1で得られた両面粘着シートのシリコーンゴム粘着層とこのゴム粘着層に貼着されているセパレートフィルムの剥離強度を下記方法にて測定した。
[剥離強度の測定方法]
長さ200mm程度、幅20mmの両面粘着シートについて、剥離性を評価したい面(2面)を露出させ、両面粘着シートを一方の面を含む積層体と他方の面を含む積層体とに分け、それぞれを引張試験機のチャックにセットする。すなわち、セパレートフィルムの離型層とシリコーンゴム粘着層との界面の剥離強度を測定する場合は、離型層と粘着層の界面で両面粘着シートを少し剥がし、離型層と粘着層のそれぞれを露出させる。一方のチャックでセパレートフィルムを把持し、一方のチャックで両面粘着シート(第2粘着面にはセパレートフィルムを付けておくことが望ましい。)を把持する。そして、JIS K6854−3に記載の方法で、T型剥離強度を測定した。用いた引張試験機は、商品名「オートグラフ」(島津製作所社製)であり、チャック間距離50mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件でT型剥離試験を行った。剥離の際には、T型が維持されるように、フィルムの端部を棒で持ち上げた。T型剥離時の最大強度を剥離強度とした。実施例1の剥離強度は0.1N/20mmであった。
比較参考例1
実施例1の方法において、離型層形成用塗工液への高分子ワックス成分と帯電防止剤の配合を取り止めた以外は実施例1と同様にして両面粘着シートを得た。この両面粘着シートのシリコーンゴム粘着層からセパレートフィルムを剥離しようとしたが、剥離できなかった。従ってタッチパネル用上部電極の製造は中止した。
本発明のタッチパネル用上部電極では、貼着性と再剥離性を兼ね備えたシリコーンゴム粘着層を有する両面粘着シートが用いられているので、貼着ミスがあった場合等において、容易に、両面粘着シートを取り外すことができ、かつ再度貼り直すことができる。また、シリコーンゴム粘着層の持つ弾性によって、タッチパネルに良好なクッション性を付与することができたため、タッチパネルのペン摺動耐久性を高めることができた。
さらに、本発明のタッチパネル用上部電極に用いられている両面粘着シートは、粘着層と基材ポリエステルフィルムとの間の接着耐久性に優れており、過酷な条件で使用される場合にも、好適に用いることができる。また、両面粘着シートの使用前に積層されているセパレートフィルムとシリコーンゴム粘着層との剥離力が適度な範囲に制御されており、両面粘着シートを巻き取る工程等において、前記したチャンネリング現象の発生が抑制されるので、高品質な両面粘着シートを安定して生産することができる。また、両面粘着シートをタッチパネル用上部電極に組み込む際の作業性にも優れている。
よって、本発明のタッチパネル用上部電極を用いることで、高性能のタッチパネルを提供することが可能になった。

Claims (12)

  1. ハードコート層が透明基材に積層された構成の積層体(1)と、透明導電層が透明基材に積層された導電性積層体(2)とが、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面にシリコーンゴム粘着層を有し、かつ明細書中で定義した方法で耐熱水接着性を評価したときに上記シリコーンゴム粘着層がポリエステル系基材フィルムから剥離しない両面粘着シートで貼り合わされたものであることを特徴とするタッチパネル用上部電極。
  2. 上記ポリエステル系基材フィルムと上記シリコーンゴム粘着層との間に接着性改良層が設けられてなる請求項1に記載のタッチパネル用上部電極。
  3. 上記接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmであり、架橋されたポリマーを含むものである請求項1または2に記載のタッチパネル用上部電極。
  4. 上記接着性改良層が、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと、架橋剤との反応生成物を含んでいる請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  5. 上記接着性改良層が、自己架橋型のポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上の自己架橋型ポリマーが自己架橋したものを含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  6. 上記シリコーンゴム粘着層は、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含んでいる請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  7. 上記架橋されたシリコーン化合物は、数平均分子量5万〜50万のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋したものである請求項6に記載のタッチパネル用上部電極。
  8. 上記両面粘着シートが、シリコーンゴム粘着層とアクリル系粘着剤層とを有するものである請求項1〜7のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  9. 上記両面粘着シートの粘着層が両面共にシリコーンゴム粘着層である請求項1〜7のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  10. 上記両面粘着シートは使用前にはシリコーンゴム粘着層表面にセパレートフィルムが積層されており、このセパレートフィルムを剥離してから、上記積層体(1)と上記導電性積層体(2)とを貼り合わせて形成されたものである請求項1〜9のいずれかに記載のタッチパネル用上部電極。
  11. 明細書中で定義した方法で測定される上記セパレートフィルムと上記シリコーンゴム粘着層との剥離強度が0.03〜1.0N/20mmである請求項10に記載のタッチパネル用上部電極。
  12. 上記セパレートフィルムの離型層が、バインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含む層である請求項10または11に記載のタッチパネル用上部電極。
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