JP2010014856A - 顕微鏡対物レンズ - Google Patents

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JP2010014856A JP2008173146A JP2008173146A JP2010014856A JP 2010014856 A JP2010014856 A JP 2010014856A JP 2008173146 A JP2008173146 A JP 2008173146A JP 2008173146 A JP2008173146 A JP 2008173146A JP 2010014856 A JP2010014856 A JP 2010014856A
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Nobuaki Watanabe
暢章 渡辺
Takayuki Morita
喬之 森田
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Abstract

【課題】高い開口数を確保しつつ可視域から近赤外域に対して諸収差が良好に補正され、且つ十分な作動距離が確保された顕微鏡対物レンズを提供する。
【解決手段】顕微鏡対物レンズは、接合レンズL2,L3,L5を有して構成され、接合レンズのうち接合レンズL2,L3は互いに負レンズL2n,L3nの凹面を向かい合わせて配置される。対物レンズ全系の焦点距離をfとし、接合レンズL2,L3,L5における正レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Lp)とし、接合レンズL2,L3,L5における負レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Ln)とし、負レンズL2n,L3n間の空気間隔をdnnとし、物体面から最も像側に位置したレンズ面までの距離をTLとし、対物レンズ全系の開口数をNAとしたとき、式0<{θCt(Lp)−θCt(Ln)}<0.08、式dnn/TL<0.08、および式6≦NA・f≦10の条件を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、4倍から10倍程度の顕微鏡対物レンズに関し、さらに詳細には、可視域から近赤外域にいたる範囲の波長域に対して諸収差が良好に補正された顕微鏡対物レンズに関する。
近年、医学および生物学等の先端研究分野において、細胞のありのままの状態を観察するために、細胞を生きたままの状態で観察することが盛んに行われている。このとき用いられる観察手法の一例として、観察対象である細胞を蛍光色素で標識し、例えば波長の短い紫外光を照明光として照射することにより蛍光色素を励起状態とし、この励起状態において発射される蛍光を観察する蛍光観察があり、現在ではこの蛍光観察が主流となっている。このように生きた細胞を観察するとき、従来のスライスされた標本と比較して、観察対象はより厚みを持つことになる場合が多く、上記のように波長の短い紫外光を照射すると観察対象の深部まで到達する前に吸収または散乱されやすいため、深部の観察が困難な場合があった。また、一般的に紫外線は殺菌作用があることからも分かるように、紫外線は生きた細胞にダメージを与えることがあり、細胞を生きたままの状態で観察することが困難であった。そのため、蛍光観察によって生きたままの細胞を深部まで観察しようとする場合、最近では細胞への透過率が高く細胞の深部まで照射可能で、且つ細胞へのダメージが少ない長波長光を励起光として用いた観察が行われるようになってきた。
上記蛍光観察以外にも、例えば微分干渉(DIC)観察において長波長光(例えば近赤外光)を用いることにより、例えば脳スライス等の厚みのある標本を観察することが可能である。このようなことから、照明光と観察光との間の波長領域、すなわち可視域から近赤外域において、標本上での焦点位置にずれが少なく、諸収差が補正された顕微鏡対物レンズが望まれており、この要望に対して、例えば特許文献1に示すような顕微鏡対物レンズが提案されている。この特許文献1には、細胞や蛋白質等の観察に使用される生物用の顕微鏡対物レンズであって、倍率が4倍でNAが0.16の顕微鏡対物レンズ、および倍率が10倍でNAが0.4のものが開示されている。
特開2006−65023号公報
ところで、生物用の顕微鏡対物レンズには、観察に必要とされる十分な開口数NAを持ち、色収差が良好に補正され、且つ試料操作のために必要とされる十分な作動距離が確保された顕微鏡対物レンズが望まれている。しかしながら、上記特許文献1に開示された顕微鏡対物レンズは、作動距離が十分に確保されておらず、そのため試料の操作性が損なわれていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、生体細胞等の観察に必要な開口数を確保しつつ可視域から近赤外域の広い波長範囲に対して諸収差が良好に補正され、且つ十分な作動距離が確保された顕微鏡対物レンズを提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、正レンズと負レンズとより成る接合レンズを複数有して構成され、前記複数の接合レンズのうち少なくとも2つは各々がメニスカス形状を成し、凹面が互いに対向して配置されており、対物レンズ全系の焦点距離をfとし、C線、t線、F線に対する光学材料の屈折率をnC、nt、nFとしたときに(nC−nt)/(nF−nC)で定義される部分分散比θCtにおいて、各々の前記接合レンズにおける正レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Lp)とし、各々の前記接合レンズにおける負レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Ln)とし、前記凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズの前記凹面間の光軸上空気間隔をdnnとし、物体面から最も像側に位置したレンズ面までの光軸上距離をTLとし、レンズ全系の開口数をNAとしたとき、次式(1)から(3)の条件を満足することを特徴とする。
0<{θCt(Lp)−θCt(Ln)}<0.08 …(1)
nn/TL<0.08 …(2)
6≦NA・f≦10 …(3)
また、前記各々の接合レンズにおける正レンズのd線に対するアッベ数をνd(Lp)とし、前記各々の接合レンズにおける負レンズのd線に対するアッベ数をνd(Ln)としたとき、次式(4)の条件を満足することが好ましい。
{νd(Lp)−νd(Ln)}<46 …(4)
さらに、最も物体側に位置したレンズの物体側の面の曲率をR1としたとき、次式(5)の条件を満足することが好ましい。
−3<f/R1<0 …(5)
また、前記凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズのうち物体側の前記接合レンズにおいて、負レンズの中心厚をdnとしたとき、次式(6)の条件を満足することが好ましい。
dn/TL>0.06 …(6)
以上説明したように、本発明によれば、生体細胞等の観察に必要とされる高い開口数を確保しつつ、可視域から近赤外域の広い波長範囲に対して諸収差(球面収差、非点収差および歪曲収差等)
が良好に補正され、且つ十分な作動距離が確保された顕微鏡対物レンズを実現できる。
以下、本願の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照しながら、本願に係る顕微鏡対物レンズの構成について説明する。この顕微鏡対物レンズは、物体O側から順に並んだ、第1単レンズ(図1における凸のメニスカスレンズL1)と、第1接合レンズ(図1における接合レンズL2)と、第2接合レンズ(図1における接合レンズL3)と、第2単レンズ(図1における両凸レンズL4)と、第3接合レンズ(図1における接合レンズL5)とを有して構成される。第1単レンズは、物体O側に凹面を向けて配置されている。第1接合レンズは、物体O側に配置された正レンズ(図1における正レンズL2p)と、像側に凹面を向けた負レンズ(図1における負レンズL2n)とを貼り合わせて構成される。第2接合レンズは、物体O側に凹面を向けた負レンズ(図1における負レンズL3n)と、像側に配置された正レンズ(図1における正レンズL3p)とを貼り合わせて構成される。第3接合レンズは、物体O側に配置された負レンズ(図1における負レンズL5n)と、像側に配置された正レンズ(図1における正レンズL5p)とを貼り合わせて構成される。
上述のように本願に係る顕微鏡対物レンズは、2つの隣り合った第1接合レンズと第2接合レンズとを含んで構成される。また、それらの接合レンズのうち物体O側の第1接合レンズは、物体O側に配置された正レンズと像側に凹面を向けた負レンズとから構成され、像側の第2接合レンズは、像側に配置された正レンズと物体O側に凹面を向けた負レンズとから構成されている。すなわち、隣り合った第1接合レンズと第2接合レンズとは、互いに凹面を向かい合わせるように配置されている。さらに、上記向かい合った凹面間の光軸上空気間隔をできる限り小さくすることによって、第1接合レンズから射出する発散光を、必要な負の屈折力を確保しつつ第2接合レンズの凹面においてより低い位置で受けることができるように構成している。上記のような構成によって、球面収差、コマ収差、非点収差の補正を有利なものにしている。
また、本願に係る顕微鏡対物レンズにおいては、各物体高に対応する主光線の屈折のさせ方を、光軸上の凹面間隔の中点に対し出来る限り回転対称に近くなるようにし、さらに各ガラスの分散値を、当該中点より物体側のレンズと像側のレンズとにおいてバランスが良くなるように決定している。こうすることにより、倍率色収差の発生を根本的に抑えることができるとともに、他の諸収差の補正が有利となるレンズ構成が可能となる。さらに、軸上色収差に関しては、各接合レンズ(第1接合レンズ、第2接合レンズおよび第3接合レンズ)の色収差補正量を、適切にバランスさせることによって補正している。
以上ここまでは、本願の顕微鏡対物レンズの構成について説明したが、以下に、本願の顕微鏡対物レンズを構成するための条件について説明する。上記構成の顕微鏡対物レンズにおいて、対物レンズ全系の焦点距離をfとし、各々の接合レンズにおける正レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Lp)とし、各々の接合レンズにおける負レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Ln)とし、凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズの凹面間の光軸上間隔をdnnとし、物体面から最も像側に位置したレンズ面までの光軸上距離をTLとし、対物レンズ全系の開口数をNAとしたとき、次式(1)から(3)を満足するように構成されている。なお、次式(1)に関して、全ての接合レンズが次式(1)を満足するように構成されている。
0<{θCt(Lp)−θCt(Ln)}<0.08 …(1)
nn/TL<0.08 …(2)
6≦NA・f≦10 …(3)
ここで、各光線の波長は、それぞれg線(λ=435.84nm)、F線(λ=486.13nm)、d線(λ=587.56nm)、C線(λ=656.27nm)およびt線(λ=1013.98nm)である。なお、部分分散比θCtは、C線、t線、F線に対する屈折率をそれぞれnC、nt、nFとしたとき、式θCt=(nC−nt)/(nF−nC)で表すことができる。
上記条件式(1)は、可視域から近赤外域の範囲において、2次スペクトルを含めた色収差を補正するための条件である。上記条件式(1)の下限値を超えると、接合レンズを構成する正レンズと負レンズのアッベ数の差が小さくなり、接合レンズにパワーを持たせるためには正レンズと負レンズそれぞれのパワーを強くせざるを得なくなる。そのようにした場合、光線を大きく変化させる面において、球面収差、コマ収差等の諸収差およびそれらにおける色収差が生じやすくなる。また、特に可視域から近赤外域の範囲において、上記収差を補正することは困難である。上記条件式(1)の上限値を超えると、近赤外域における色収差が補正不足となってしまう。上記条件式(1)で、近赤外域において一層良好に色収差を補正するためには、上限値を0.04とすることが好ましい。
上記条件式(2)は、作動距離を確保するための条件である。上記条件式(2)において空気間隔dnnを小さくすることにより、後群接合レンズ(第2接合レンズ)の負レンズの凹面に入射する光線の光線高を小さくすることができるので、球面収差およびコマ収差等を抑えることができるとともに、作動距離を広げる構成に有利となる。上記条件式(2)において上限値を0.08とすることにより、高い開口数NAにおいても球面収差およびコマ収差等の発生を十分に抑えることができるとともに、作動距離を広げるための余地を作り出すことができる。一方で、上記条件式(2)が0.03以下になると、第1接合レンズと第2接合レンズとの向かい合った凹面同士が接触してしまい、当該凹面に十分な負の屈折力が付与できなくなり、ペッツバール和の補正が困難となって像面湾曲が残存する。
上記条件式(3)は、本願の顕微鏡対物レンズの開口数を規定するものである。上記条件式(3)の下限値を下回ると、本願の顕微鏡対物レンズの使用目的のひとつである、細胞などの観察に適した高解像で明るい観察に必要な開口数を確保できなくなる。上記条件式(3)の上限値を上回ると、開口数が大きくなりすぎてしまい、特に球面収差を補正することが困難となる。
また、各々の接合レンズにおける正レンズのd線に対するアッベ数をνd(Lp)とし、各々の接合レンズにおける負レンズのd線に対するアッベ数をνd(Ln)としたとき、全ての接合レンズが次式(4)を満足することが好ましい。
{νd(Lp)−νd(Ln)}<46 …(4)
上記条件式(4)は、可視域から近赤外域までの範囲において、色収差をより良好に補正するための条件である。上記条件式(4)の上限値を上回ると、部分分散比の差が大きい硝材の選択しかできなくなり、特に近赤外域の色収差の補正が困難となる。
さらに、最も物体側に位置したレンズの物体側の面の曲率をR1としたとき、次式(5)の条件を満足することが好ましい。
−3<f/R1<0 …(5)
上記条件式(5)は、より高い開口数および作動距離を確保するための条件である。第1面(最も物体側に位置したレンズの物体側の面)を凹面とすることにより、この第1面に入る光線の入射角を小さくして、球面収差およびコマ収差の発生を抑えることができる。上記条件式(5)の上限値を上回ると、第1面において光線を強く曲げることとなり、特に色の球面収差および像面の平坦性の悪化を招いてしまう。上記条件式(5)の下限値を下回ると、正レンズとしての屈折力を確保するため第1単レンズの第2面の曲率が強くなり、この第2面において諸収差が生じやすくなってしまうとともに、有効作動距離が大きく減少して試料の操作性が損なわれる。
さらにまた、凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズのうち物体側の前記接合レンズにおいて、負レンズの中心厚をdnとしたとき、次式(6)の条件を満足することが好ましい。
dn/TL>0.06 …(6)
上記条件式(6)は、軸上および軸外における諸収差の発生を抑えるための条件であり、この条件を満たすことにより、本発明の目標とする高い開口数で且つ十分な作動距離を有した構成とすることができる。上記条件式(6)において、下限値の0.06よりも大きくなるような構成とすることにより、第1接合レンズの光線を発散させる面、すなわち像側に向いた凹面において、軸上の光線および軸外の光線を光軸に近い位置で屈折させることができる。そのため、第2接合レンズにおける物体側に向いた凹面に入射する光線の角度がゆるやかとなり、諸収差を抑えやすくなる。
以下、本願に係る顕微鏡対物レンズの各実施例を添付図面に基づいて説明する。
以下に示す表2および表3は、本願に係る顕微鏡対物レンズの第1実施例および第2実施例の各レンズの諸元の表である。いずれの表においても、fは対物レンズ全系の合成焦点距離、NAは開口数、WDは作動距離、TLは物体面から最も像側に位置したレンズ面までの光軸上距離、βは焦点距離が200mmの第2対物レンズと組み合わせた場合の倍率をそれぞれ示している。また、第1欄面番号は光線の進行する方向に沿った物体O側からのレンズ面の順序、第2欄rは各レンズ面の曲率半径、第3欄dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離(以下、面間隔と称する)、第4欄ndはd線(λ=587.56nm)に対する屈折率、第5欄νdはd線におけるアッベ数をそれぞれ示している。なお、表1に、後述する結像レンズのレンズデータを示している。
また、表中において焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他の長さの単位は、一般に「mm」が使われている。ただし、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。表中において、曲率半径rの「0.00000」は平面を示し、空気の屈折率「1.00000」の記載は省略している。また、表中において、上記の条件式(1)〜(6)に対応する値、すなわち条件対応値も示している。なお、以下の実施例で用いたカバーガラスCは、厚さd=0.17、d線に対する屈折率nd=1.5243900、d線に対するアッベ数νd=54.28を基準として設計されている。
ここで、後述する第1実施例および第2実施例に係る顕微鏡対物レンズは、いずれも対物レンズからの射出光が平行光束である。そのため、この平行光束を結像させるために、図5に示すレンズ構成の結像レンズ(第2対物レンズ)と組み合わせて用いられる。図5に示す結像レンズは、物体側から順に並んだ、両凸レンズM11と両凹レンズM12との貼り合わせからなる結合レンズM1と、両凸レンズM21と両凹レンズM22との貼り合わせからなる結合レンズM2と、単レンズM3とから構成されている。
以下の表1には、この結像レンズのレンズデータの一例を示している。表1において、第1欄面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序、第2欄rは各レンズ面の曲率半径、第3欄dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離(面間隔)、第4欄ndはd線(λ=587.56nm)に対する屈折率、第5欄νdはd線におけるアッベ数をそれぞれ示している。なお、表1における面番号1〜8は、図5に示す面1〜8に対応している。
(表1)
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd
1 75.04300 5.10 1.62280 57.03
2 ‐75.04300 2.00 1.74950 35.28
3 1600.58000 7.50 1
4 50.25600 5.10 1.66755 41.96
5 ‐84.54100 1.80 1.61266 44.41
6 36.91100 5.50 1
7 0.00000 30.00 1.56883 56.34
8 0.00000
上記表1に示した結像レンズの焦点距離fは200mmであり、第1実施例の(第1)対物レンズと組み合わせることにより全系で4倍の顕微鏡対物レンズを構成し、第2実施例の(第1)対物レンズと組み合わせることにより全系で10倍の顕微鏡対物レンズを構成する。また、第1実施例および第2実施例の(第1)対物レンズと上記結像レンズとを組み合わせる際は、(第1)対物レンズから像側に80mmから200mmの位置に結像レンズを配置して使用する。第1実施例および第2実施例の(第1)対物レンズに対して、上記結像レンズを像側に130mmの位置に配置したときの諸収差を、それぞれ図2および図4に示している。
(第1実施例)
上述の説明で用いた図1は、本願の顕微鏡対物レンズの第1実施例を示しており、この第1実施例に係る顕微鏡対物レンズについて、図1、図2および表2を用いて説明する。この顕微鏡対物レンズは上述したように、物体O側から順に並んだ、凸のメニスカスレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカス形状の接合レンズL2と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の接合レンズL3と、両凸レンズL4と、接合レンズL5とを有して構成される。凸のメニスカスレンズL1は、物体O側に凹面を向けて配置されている。接合レンズL2は、物体O側に配置された正レンズL2pと、像側に凹面を向けた負レンズL2nとを貼り合わせて構成される。接合レンズL3は、物体O側に凹面を向けた負レンズL3nと、像側に配置された正レンズL3pとを貼り合わせて構成される。接合レンズL5は、物体側に配置された負レンズL5nと、像側に配置された正レンズL5pとを貼り合わせて構成される。
表2に、第1実施例における各諸元の表を示す。なお、表2における面番号1〜13は、図1に示す面1〜13に対応している。また、図1に示すdnnは負レンズL2nの像側の面と負レンズL3nの物体側の面との間の空気間隔を、dnは負レンズL2nの中心厚を、曲率半径R1は面番号1で示された面の曲率半径をそれぞれ示している。
(表2)
[全体諸元]
f=50,NA=0.16,視野数=25,WD=18.00,TL=56.67,β=‐4
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd θCt (レンズ名)
1 ‐251.17701 2.50 1.80400 46.58
2 ‐27.08724 2.50 1
3 10.59055 6.40 1.49782 82.52 0.81784 (L2p)
4 ‐16.02456 3.70 1.75500 52.31 0.81069 (L2n)
5 9.61867 2.00 1
6 ‐8.03568 6.50 1.69680 55.53 0.83267 (L3n)
7 182.17511 3.00 1.43425 95.02 0.84683 (L3p)
8 ‐14.55447 1.00 1
9 96.26582 4.00 1.43385 95.25
10 ‐22.24991 1.00 1
11 ‐592.37350 1.40 1.57250 57.74 0.81725 (L5n)
12 39.45935 4.50 1.49782 82.52 0.81784 (L5p)
13 ‐25.39555 130.00 1
[条件対応値]
条件式(1)θCt(L2p)−θCt(L2n)=0.00715
条件式(1)θCt(L3p)−θCt(L3n)=0.01416
条件式(1)θCt(L5p)−θCt(L5n)=0.00059
条件式(2)dnn/TL=0.03529
条件式(3)NA・f=8.0
条件式(4)νd(L2p)−νd(L2n)=30.21
条件式(4)νd(L3p)−νd(L3n)=39.49
条件式(4)νd(L5p)−νd(L5n)=24.79
条件式(5)f/R1=‐0.19906
条件式(6)dn/TL=0.06529
上記表2に示す諸元の表から明らかなように、第1実施例では上記条件式(1)から(6)を全て満たしていることが分かる。
図2に、この第1実施例の顕微鏡対物レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差の諸収差図を示している。ここで、球面収差図はg線(λ=435.84nm)、F線(λ=486.13nm)、d線(λ=587.56nm)、C線(λ=656.27nm)、t線(λ=1013.98nm)の各線に対する球面収差を示している。また、非点収差図において、d線におけるサジタル像面を「S」、メリジオナル像面を「M」で示している。なお、各収差図において、NAは開口数を、Yは像高を示しており、この収差図の説明は後述する第2実施例においても同様である。
図2に示す各収差図から明らかなように、第1実施例に係る顕微鏡対物レンズでは、可視域から近赤外域の波長範囲(g線〜t線)において、高開口数(NA0.16)で且つ諸収差(球面収差、非点収差および歪曲収差)が良好に補正されていることが分かる。
(第2実施例)
本願の第2実施例に係る顕微鏡対物レンズついて、図3、図4および表3を用いて説明する。この顕微鏡対物レンズは、図3に示すように、物体O側から順に並んだ、接合レンズL6と、両凸レンズL7と、像側に凹面を向けたメニスカス形状の接合レンズL8と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の接合レンズL9と、凸のメニスカスレンズL10と、接合レンズL11とを有して構成される。接合レンズL6は、物体O側に凹面を向けた負レンズL6nと、像側に配置された正レンズL6pとを貼り合わせて構成される。接合レンズL8は、物体O側に配置された正レンズL8pと、像側に凹面を向けた負レンズL8nとを貼り合わせて構成される。接合レンズL9は、物体O側に凹面を向けた負レンズL9nと、像側に配置された正レンズL9pとを貼り合わせて構成される。凸のメニスカスレンズL10は、物体O側に凹面を向けて配置されている。接合レンズL11は、物体O側に配置された負レンズL11nと、像側に配置された正レンズL11pとを貼り合わせて構成される。
表3に、第2実施例における各諸元の表を示す。なお、表3における面番号1〜16は、図3に示す面1〜16に対応している。また、図3に示すdnnは負レンズL8nと負レンズL9nとの間の光軸上間隔を、dnは負レンズL8nの中心厚を、曲率半径R1は、面番号1で示された面の曲率半径をそれぞれ示す。
(表3)
[全体諸元]
f=20,NA=0.40,視野数=25,WD=4.00,TL=55.17,β=‐10
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd θCt (レンズ名)
1 ‐12.39352 7.00 1.69350 53.20 0.81427 (L6n)
2 1242.03093 5.00 1.43425 95.02 0.84683 (L6p)
3 ‐11.26916 0.20 1
4 14.42509 4.50 1.43425 95.02
5 ‐15.94519 0.20 1
6 12.56493 5.00 1.43385 95.25 0.80483 (L8p)
7 ‐11.15483 7.80 1.72000 50.20 0.78507 (L8n)
8 13.53115 3.30 1
9 ‐6.32333 1.00 1.57250 57.80 0.81725 (L9n)
10 125.04670 2.30 1.49782 82.52 0.81784 (L9p)
11 ‐11.96022 0.20 1
12 ‐154.92395 7.50 1.78590 44.20
13 ‐19.39718 0.50 1
14 606.11403 2.00 1.62280 57.00 0.80586 (L11n)
15 17.92224 4.50 1.49782 82.52 0.81784 (L11p)
16 ‐46.91565 120.00 1
[条件対応値]
条件式(1)θCt(L6p)−θCt(L6n)=0.03255
条件式(1)θCt(L8p)−θCt(L8n)=0.01976
条件式(1)θCt(L9p)−θCt(L9n)=0.00059
条件式(1)θCt(L11p)−θCt(L11n)=0.01197
条件式(2)dnn/TL=0.05982
条件式(3)NA・f=8.0
条件式(4)νd(L6p)−νd(L6n)=41.82
条件式(4)νd(L8p)−νd(L8n)=45.05
条件式(4)νd(L9p)−νd(L9n)=24.72
条件式(4)νd(L11p)−νd(L11n)=25.52
条件式(5)f/R1=−1.61375
条件式(6)dn/TL=0.14138
上記表3に示す諸元の表から明らかなように、第2実施例では上記条件式(1)から(6)を全て満たしていることが分かる。
図4に、この第2実施例の顕微鏡対物レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差の諸収差図を示している。ここで、球面収差図はg線(λ=435.84nm)、F線(λ=486.13nm)、d線(λ=587.56nm)、C線(λ=656.27nm)、t線(λ=1013.98nm)の各線に対する球面収差を示している。また、非点収差図において、d線におけるサジタル像面を「S」、メリジオナル像面を「M」で示している。図4に示す各収差図から明らかなように、第2実施例に係る顕微鏡対物レンズでは、可視域から近赤外域の波長範囲(g線〜t線)において、高開口数(NA0.40)で且つ諸収差(球面収差、非点収差および歪曲収差)が良好に補正されていることが分かる。
以上から、本発明に係る顕微鏡対物レンズによれば、高いNA(0.16もしくは0.40)と十分な作動距離WD(18.00もしくは4.00)を有するとともに、可視域から近赤外域までの波長範囲(g線〜t線)において諸収差(球面収差、非点収差および歪曲収差)が良好に補正されて優れた結像性能を発揮し得ることが分かる。さらに、本発明に係る顕微鏡対物レンズを、特に厚みのある試料における生体細胞の蛍光観察および近赤外DIC観察に対して用いることで、より大きな効果が発揮される。
なお、以上のような本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
本発明の第1実施例に係る顕微鏡対物レンズのレンズ構成図である。 本発明の第1実施例に係る顕微鏡対物レンズの諸収差図である。 本発明の第2実施例に係る顕微鏡対物レンズのレンズ構成図である。 本発明の第2実施例に係る顕微鏡対物レンズの諸収差図である。 本発明に係る顕微鏡対物レンズとともに使用される結像レンズのレンズ構成図である。
符号の説明
L2(L8) 凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズのうち物体側の接合レンズ
L3(L9) 凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズのうち像側の接合レンズ
L2n(L8n) 物体側の接合レンズを構成する負レンズ
L3n(L9n) 像側の接合レンズを構成する負レンズ

Claims (4)

  1. 正レンズと負レンズとより成る接合レンズを複数有して構成され、前記複数の接合レンズのうち少なくとも2つは各々がメニスカス形状を成し、凹面が互いに対向して配置されており、
    対物レンズ全系の焦点距離をfとし、C線、t線、F線に対する光学材料の屈折率をnC、nt、nFとしたときに(nC−nt)/(nF−nC)で定義される部分分散比θCtにおいて、各々の前記接合レンズにおける正レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Lp)とし、各々の前記接合レンズにおける負レンズのt線に対する部分分散比をθCt(Ln)とし、前記凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズの前記凹面間の光軸上空気間隔をdnnとし、物体面から最も像側に位置したレンズ面までの光軸上距離をTLとし、レンズ全系の開口数をNAとしたとき、次式
    0<{θCt(Lp)−θCt(Ln)}<0.08
    nn/TL<0.08
    6≦NA・f≦10
    の条件を満足することを特徴とする顕微鏡対物レンズ。
  2. 前記各々の接合レンズにおける正レンズのd線に対するアッベ数をνd(Lp)とし、前記各々の接合レンズにおける負レンズのd線に対するアッベ数をνd(Ln)としたとき、次式
    {νd(Lp)−νd(Ln)}<46
    の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡対物レンズ。
  3. 最も物体側に位置したレンズの物体側の面の曲率をR1としたとき、次式
    −3<f/R1<0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡対物レンズ。
  4. 前記凹面が互いに対向して配置された2つの接合レンズのうち物体側の前記接合レンズにおいて、負レンズの中心厚をdnとしたとき、次式
    dn/TL>0.06
    の条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微鏡対物レンズ。
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