次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して具体的に説明する。
図1は上階と下階を連絡する折返し階段に対して本発明の階段構造を適用した場合の第1実施形態について簡略化して示した分解斜視図である。
この折返し階段1は、建築物の上階Usと下階Dsの間に折り返し部2を備えた折返し階段であり、その主要部は、下階Dsと折り返し部2とを連絡する下階段部4と、折り返し部2と上階Usとを連絡する上階段部5、および、下階段部4の桁材10における水平部12と上階段部5の桁材11における水平部13を跨ぐように設置されて折り返し部2を形成する床板3によって構成される。
下階段部4と上階段部5は、その各々を独立した階段構造として捉えることも可能である。そうした場合、下階段部4の側に着目すれば、相対的に、折り返し部2を建築物の上階、また、下階Dsを建築物の下階として把握することができる。同様に、上階段部5の側に着目したとするなら、相対的に、折り返し部2を建築物の下階、また、上階Usを建築物の上階として把握することができる。
このうち、下階段部4は、複数の踏板6と、各踏板6を支持する複数の踏板受材8と、各踏板受材8を介して各踏板6の左右幅方向の中央部を支持する1本の桁材10によって構成される。ここで、踏板6の左右幅方向とは、階段全体から見た場合の幅方向であり、踏板6自体から見た場合は長手方向に該当するものである。
下階段部4の桁材10は、折り返し部2側の端部寄りに位置する水平部12と、下階段部4の傾斜に倣った傾斜角度を有する傾斜部14とによって一体的に構成されている。
図2(a)は下階段部4の桁材10における水平部12と傾斜部14との接合状態について示した平面図、図2(b)は下階段部4の桁材10における水平部12と傾斜部14との接合状態について示した左側面図である。
下階段部4の水平部12と傾斜部14は共に略矩形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材であり、各々の接合部を形成する突き合わせ面12a,14aが図2(b)に示すようにして斜めに切断されており、突き合わせ面12a,14aを突きあわせて水平部12の姿勢を水平にした際に、傾斜部14の傾斜角度が下階段部4の設計上の傾斜角度と一致するようになっている。
水平部12の突き合わせ面12aと傾斜部14の突き合わせ面14aとの接合は、図2(a)および図2(b)に示すように、水平部12の内径と傾斜部14の内径に合致する略矩形状の断面形状を備えて略「へ」の字型に一体成形されたスリーブ状の接続材16と、水平部12の壁面を外側から貫通して接続材16のタップ穴に螺合する複数のボルト18、および、傾斜部14の壁面を外側から貫通して接続材16のタップ穴に螺合する複数のボルト20によってなされる。
下階段部4の踏板6は、左右方向に長い矩形の板状体である。各々の踏板6と桁材10との接合部分を構成する踏板受材8は、図2(b)に示すように、桁材10の一部を構成する傾斜部14の上面側に取り付けた状態で水平となる天面8aを備えた不等辺四角形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材であり、その幅は傾斜部14の幅と概ね等しい。
踏板6は、図2(a)に示すように、その左右幅方向の略中央部で踏板受材8の天面8aにボルト22および木ネジを利用して固定され、踏板受材8は、その下面8Bを傾斜部14の上面で支持されて、ボルト24によって傾斜部14の上面側に固定されている。つまり、桁材10の傾斜部14は、踏板受材8を介して踏板6の左右幅方向の中央部を支持していることになる。
なお、図1に示される符号26は、不等辺四角形状の断面を有する中空部材からなる踏板受材8の両端部を塞ぐためのポリカーボネート製のカバー部材であり、踏板受材8の両端部にネジ固定するかたちで取り付けられる。
上階段部5も、前述した下階段部4と同様、図1に示すように、複数の踏板7と、各踏板7を支持する複数の踏板受材9、および、各踏板受材9を介して各踏板7の左右幅方向の中央部を支持する1本の桁材11からなる。桁材11は、折り返し部2側の端部寄りに位置する水平部13と、上階段部5の傾斜に倣った傾斜角度を有する傾斜部15とによって一体的に構成されている。
図3(a)は上階段部5の桁材11における水平部13と傾斜部15との接合状態について示した左側面図、図3(b)は上階段部4の桁材11における水平部13と傾斜部15との接合状態について示した断面図である。
上階段部5の水平部13と傾斜部15は共に略矩形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材であり、各々の接合部を形成する突き合わせ面13a,15aが図3(a)に示すようにして斜めに切断されており、突き合わせ面13a,15aを突きあわせて水平部13の姿勢を水平にした際に、傾斜部15の傾斜角度が上階段部5の設計上の傾斜角度と一致するようになっている。
水平部13の突き合わせ面13aと傾斜部15の突き合わせ面15aとの接合は、図3(a)および図3(b)に示すように、水平部13の内径と傾斜部15の内径に合致する略矩形状の断面形状を備えて略「へ」の字型に一体成形されたスリーブ状の接続材17と、水平部13の壁面を外側から貫通して接続材17のタップ穴に螺合する複数のボルト19、および、傾斜部15の壁面を外側から貫通して接続材17のタップ穴に螺合する複数のボルト21によってなされる。
なお、前述した下階段部4側の桁材10すなわち水平部12と傾斜部14の断面形状は共に図3(b)に示した水平部13の断面形状と同様であり、また、下階段部4において桁材10の水平部12と傾斜部14とを接続する接続材16の断面形状も、図3(b)に示した接続材17の断面形状と同様である。
上階段部5の踏板7は、前述した下階段部4の踏板6と同様、左右方向に長い矩形の板状体である。各々の踏板7と桁材11との接合部分を構成する踏板受材9は、図3(a)に示すように、桁材11の一部を構成する傾斜部15の上面側に取り付けた状態で水平となる天面9aを備えた不等辺四角形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材であり、その幅は傾斜部15の幅と概ね等しい。
踏板7は其の左右幅方向の略中央部で踏板受材9の天面9aにボルト23および木ネジを利用して固定され、踏板受材9は、その下面9Bを傾斜部15の上面で支持されて、ボルト25によって傾斜部15の上面側に固定されている。従って、桁材11の傾斜部15は、踏板受材9を介して踏板7の左右幅方向の中央部を支持していることになる。前記と同様、踏板受材9の左右の開口部は、ポリカーボネート製のカバー部材27で塞がれる。
以上に述べた通り、下階段部4の桁材10が傾斜部14の上端部の側に水平部12を備えるのに対し、上階段部5の桁材11が傾斜部15の下端部の側に水平部13を備えることを別にすれば、下階段部4の構造と上階段部5の構造は実質的に同等である。
そして、下階段部4の桁材10における水平部12の先端部、および、上階段部5の桁材11における水平部13の先端部は、図1に示すように、建築物の壁面内に固設された構造材28,28に水平に取り付けられた受梁材29と、左右方向に相互に間隔をおいて受梁材29に取り付けられた一対のサポートシュー30,30とを介して、建築物の壁面に接続されている。
より具体的には、受梁材29は、図2(a)および図2(b)に示すように略矩形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材であり、構造材28,28と接続する取付金具31,31、および、取付金具31,31に受梁材29を固定するためのボルト32,32を介して構造材28,28に取り付けられている。また、サポートシュー30,30の各々は、図2(a)および図2(b)に示すように、建築物の壁面および其の床板に対して共に直交する一対の舌片状突起33,33と、舌片状突起33,33の基部を接続するベース部34とによって一体に構成され、ベース部34を貫通するボルト35,35によって、相互間に間隔をおいた状態で受梁材29の表面に固定されている。
図1に示される例のように、構造材28,28の間の離間距離が下階段部4の桁材10と上階段部5の桁材11との間の水平方向の離間距離に一致しないような状況下にあっては、構造材28,28の間に受梁材29を掛け渡し、この受梁材29を利用してサポートシュー30,30の設置間隔を桁材10と桁材11の水平方向の離間距離に合わせる必要があるが、サポートシュー30,30のベース部34,34を建築物の壁面に直に取り付けられるような状況下、例えば、構造材28,28の間の離間距離と桁材10,11の水平方向の離間距離とが一致している、或いは壁面自体が十分な強度を有しているような状況下にあっては、必ずしも受梁材29を配置する必要はなく、サポートシュー30,30を構造材28,28或いは壁面に直に取り付けてもよい。
この実施形態の場合、構造材28,28の間の離間距離と桁材10,11の水平方向の離間距離とが一致しないので、受梁材29を用いずにサポートシュー30,30を壁面に取り付けようとすると、少なくとも一方のサポートシュー30を構造材28の存在しない箇所で壁面に取り付けなければならず、その取付強度が著しく低下するが、図1のように構造材28,28の間に掛け渡された受梁材29を介してサポートシュー30,30を壁面に取り付けることで、2つのサポートシュー30,30の取付強度を共に確保することが可能となり、特に、折返し階段を屋内に設置する場合や後付けで設置する場合に好適である。
桁材10における水平部12の先端部とサポートシュー30との接続状態は図2(a)および図2(b)に示す通りであり、略矩形状の断面を有する水平部12の左右の側壁部分の内側でサポートシュー30の舌片状突起33,33を挟み込むようにして、サポートシュー30を水平部12の先端部に内嵌し、水平部12の側壁を外側から貫通するボルト36によって水平部12をサポートシュー30に固定するようにしている。
サポートシュー30を水平部12の先端に挿入し、このサポートシュー30を介して受梁材29に桁材10の水平部12を接続する構造とすることで、壁面に対する桁材10の接続作業が簡素化されると共に、接続部の強度自体も向上する。
また、桁材10の外部に取付金具等を始めとする目障りな突起物が突出することもなくなるので、階段構造全体としての美観も向上する。
上階段部5の桁材11における水平部13の先端部と他のサポートシュー30との接続状態についても、前述した下階段部4の桁材10における水平部12の場合と同様である。
そして、折り返し部2を形成する床板3は、図1に示すように、下階段部4の桁材10における水平部12の上面と上階段部5の桁材11における水平部13の上面を跨ぐようにして配置される。
下階段部4の桁材10における水平部12と床板3との接合状態は図2(a)および図2(b)に示す通りであり、床板3は、水平部12の上面の左右に張り出すようにして水平部12上に複数のボルト37で固定された矩形板状体のブラケット38、および、ブラケット38の両側を下から上に貫通する複数の木ネジ39を介して水平部12の上面に完全に固定されている。
更に、この実施形態においては、図2(b)に示すように、桁材10における傾斜部14の最上段に取り付けられた踏板受材8が水平部12と共に床板3を支える構成となっており、この踏板受材8の天面8aを下から上に貫通する木ネジ40によって踏板受材8と床板3とが固定されるので、水平部12と床板3との間の接合強度および水平部12と傾斜部14との間の接合強度が一層強固なものとなっており、特に、床板3の一部が補強部材として機能することから、水平部12と傾斜部14との間の接合部に作用する捩りや曲げに対して十分な耐性を発揮する。
これと同様、上階段部5の桁材11における水平部13と床板3との接続も、図3(b)に示すように、水平部13の上面の左右に張り出すようにして水平部13上に複数のボルト41で固定された矩形板状体のブラケット42、および、ブラケット42の両側を下から上に貫通する複数の木ネジ43によって行なわれ、水平部13の上面に床板3が完全に固定されるようになっている。
図4は下階段部4の桁材10における傾斜部14と下階Dsの床板44との接続状態について示した左側面図、また、図5は上階段部5の桁材11における傾斜部15と上階Us側の床板45を支える水平方向の構造材46との接続状態について示した左側面図である。
下階段部4の桁材10における傾斜部14の下端部は、図4に示すように、下階Dsの床板44と平行になるようにして斜めに切断され、前述したサポートシュー30と同等の構成を有する床板用のサーポートシュー47と、傾斜部14の下端部をサーポートシュー47に固定するためのボルト49,49、および、サーポートシュー47を床板44に固定するためのボルト50,50を介して、下階Dsの床板44に固定されている。傾斜部14の外部に取付金具等を始めとする目障りな突起物を設ける必要がないので、階段構造全体としての美観が向上する。
これと同様、上階段部5の桁材11における傾斜部15の上端部も、図5に示すように、上階Us側の床板45を支える構造材46の手前側の面46aと平行になるようにして斜めに切断され、前述したサポートシュー30,47と同等の構成を有する構造材用のサーポートシュー48、および、傾斜部15の上端部を構造材46に固定するためのボルト51,51、ならびに、サーポートシュー48を構造材46に固定するためのボルト52,52を介して上階Usの床板45を支える構造材46に固定されている。
そして、更に、この実施形態においては、踏板受材8を介して其の左右幅方向の略中央部を1本の桁材10の傾斜部14で支えられた各踏板6の撓みを防止するため、図1に示すように、高さ方向に隣り合う踏板6,6の間、および、高さ方向で折り返し部2の床板3に隣り合う踏板6と床板3との間が、各踏板6の左右幅方向の両端に配置された連結材53によって相互に連結されている。
前述した通り、下階段部4を独立した1つの階段構造として認識した場合にあっては、下階段部4を基準として、折り返し部2を建築物の上階、また、下階Dsを建築物の下階として把握することができるのであるから、この実施形態にあっては、下階段部4の一部を構成する最上段の踏板6と上階側つまり折り返し部2側の床板3との間が最上段の踏板6の左右幅方向の両端に配備された連結材53,53によって相互に連結されているといって差し支えない。
連結材53の取付状態は図4に示される通りであり、具体的には、高さ方向に隣り合う踏板6,6のうち、相対的に上段側に位置する踏板6において階段の上り方向の手前側(図4中で右)に位置する左右幅方向の両端部と、相対的に下段側に位置する踏板6において階段の上り方向の前方側(図4中で左)に位置する左右幅方向の両端部とが、連結材53,53によって相互に連結されるようになっている。
図6(a)は階段の上り方向の手前側から連結材53の外形を示した正面図、図6(b)は其の右側面図、また、図6(c)は其の平面図である。
連結材53は、図6(a)および図6(b)に示すように、略T字型の断面形状を有する桿状の本体部54と、本体部54の上端部から本体部54の長手方向に直交する向きで手前側に延出する上部取付片55と、本体部54の下端部から下方に向けて延出する下部取付片56をアルミダイキャスト等で成形した一体成形品である。そして、上部取付片55には、図6(c)に示すように、略T字型の断面を有する本体部54の投影形状における2つのコーナー部分に相当する中央部の左右両側の箇所に、下面側に座ぐりを備えたネジ穴57,57が穿設される一方、下部取付片56の中央部の左右両側には、その背面側に座ぐりを備えた2つのネジ穴58,58が図6(a)に示すようにして穿設されている。
踏板6,6間で作用する荷重の伝達に必要とされる十分な剛性さえあれば、連結材53の素材はアルミダイキャスト等に制限されない。
この連結材53は、図4に示すように、上部取付片55の延出方向を階段の上り方向の前方(図4中で左)に向けるようにして、高さ方向に隣り合う踏板6,6のうち相対的に上段側に位置する踏板6の下面側における上り方向の手前側(図4中で右)の端部に上部取付片55の上面を当接させた状態で、ネジ穴57,57を下から上に貫通する木ネジ59,59によって相対的に上段側の踏板6の左右両側に固定されると共に、相対的に下段側に位置する踏板6における上り方向の前方側(図4中で左)の縁部(前縁)に下部取付片56の手前側の面を当接させた状態で、ネジ穴58,58を背面側から手前に貫通する木ネジ60,60によって相対的に下段側の踏板6の左右両側に固定される。
このように、高さ方向に隣り合う踏板6,6同士の連結には、上段側に位置する踏板6の下面側における上り方向の手前側の端部と下段側に位置する踏板6における上り方向の前方側の縁部(前縁)のみが利用されるので、連結材53の取り付けによって踏板6の上面側つまり人が足を置くスペースが阻害される問題は全く生じない。
また、高さ方向に隣り合う踏板6,6のうち相対的に上段側に位置する踏板6の下面側における上り方向の手前側(図4中で右)の端部、より厳密には、連結材53における上部取付片55の取付位置よりも更に手前側の端部と、相対的に下段側に位置する踏板6の上面側における上り方向の前方側(図4中で左)の端部の各々には、図4に示すように、踏板6の左右幅方向に延びる角溝61,62が踏板6の左右両端部に僅かに非加工部を残して刻設され、これらの角溝61,62および各踏板6,6における左右両端部の非加工部を利用して、矩形状の蹴込板63が嵌め込まれている。
蹴込板63としては一般に合板等が利用されるが、この実施形態にあっては、蹴込板63を階段構造の補強手段として利用する必要はないので、蹴込板63を形成する素材の剛性や靱性といった機械的な特性に拘る必要は全くない。従って、例えば、建築物の間取り、特に、窓の配置や照明機器等の設置状況等を考慮して、光の有効利用を図るためにアクリル板等からなる透明あるいは半透明の板材を利用して蹴込板63を構成することが可能であり、更に、デザイン上の都合等によっては、蹴込板63の採用それ自体を取り止めるといったこともできる。
蹴込板63を採用しない構成にあっては、高さ方向に隣り合う踏板6,6の間で連結材53が外部に露出することになるが、上部取付片55の延出方向を階段の上り方向の前方(図4中で左)に向けるようにして相対的に上段側に位置する踏板6の下面側に取り付けられる連結材53は、図6(c)から明らかなように、略T字型の断面形状を有する桿状の本体部54の平らな面を階段の上り方向の手前側に向けた状態となるので、階段の上りに際して人が誤って連結材53の本体部54を蹴ったような場合であっても、爪先等に怪我をするといった危険性は殆どない。
また、蹴込板63を採用した構成にあっては、蹴込板63を本体部54の平らな面に蹴込板63を当接させるようにして取り付けができることから、蹴込板63の収まりがよくなるといったメリットがある。
なお、連結材53における本体部54の断面形状をL字型の構成とすることも可能であり、その場合は、本体部54におけるL字のコーナー部分を下段側に位置する踏板6における上り方向の前方側の縁部(前縁)の左右の角部に合わせるようにして取り付けるようにする。
図4では高さ方向に隣り合う踏板6,6の関係についてのみ示しているが、高さ方向で折り返し部2の床板3に隣り合う踏板6と床板3との関係も此れと同様である。
つまり、高さ方向で折り返し部2の床板3に隣り合う最上段の踏板6と床板3との関係にあっては、図2(b)に示すように、連結材53は、上部取付片55の突出方向を階段の上り方向の前方(図2中で左)に向けるようにして、相対的に上段側に位置する床板3の下面側における上り方向の手前側(図2中で右)の端部に上部取付片55の上面を当接させた状態で、上部取付片55の部分を床板3に固定されると共に、相対的に下段側に位置する踏板6における上り方向の前方側(図2中で左)の縁部(前縁)に下部取付片56の手前側の面を当接させた状態で、相対的に下部取付片56の部分を下段側の踏板6の左右両側に固定されている。
また、上階段部5にあっても、前記と同様、踏板受材9を介して其の左右幅方向の略中央部を1本の桁材11の傾斜部15で支えられた各踏板7の撓みを防止するため、図1に示すように、高さ方向に隣り合う踏板7,7の間、および、高さ方向で折り返し部2の床板3に隣り合う踏板7と床板3との間が、各踏板7の左右幅方向の両端に配置された連結材64によって相互に連結されている。
前述した通り、上階段部5を独立した1つの階段構造として認識した場合にあっては、上階段部5を基準として、相対的に、折り返し部2を建築物の下階、また、上階Usを建築物の上階として把握することができるのであるから、この実施形態にあっては、上階段部5の一部を構成する最下段の踏板7と下階側つまり折り返し部2側の床板3との間が最下段の踏板7の左右幅方向の両端に配備された連結材64,64によって相互に連結されているといって差し支えない。
高さ方向に隣り合う踏板7,7の間での連結材64の接続状態や蹴込板65の取付状態に関しては、下階段部4における連結材53や蹴込板63の場合と全く同様である。
そして、高さ方向で床板3に隣り合う踏板7と床板3との関係にあっては、図3(a)に示すように、連結材64は、上部取付片66の延出方向を階段の上り方向の前方(図3(a)中で右)に向けるようにして、相対的に上段側に位置する踏板7の下面側における上り方向の手前側(図3(a)中で左)の端部に上部取付片66の上面を当接させた状態で、上部取付片66の部分を踏板7に固定されると共に、相対的に下段側に位置する床板3における上り方向の前方側(図3(a)中で右)の縁部に下部取付片67の手前側の面を当接させた状態で、下部取付片67の部分を相対的に下段側の床板3に固定されている。
図7は折返し階段1の構成要素のうち下階段部4の踏板6,連結材53,蹴込板63、および、上階段部5の踏板7,連結材64,蹴込板65、ならびに、折り返し部2を形成する床板3を取り出して全体的な接続状態を示した斜視図、また、図8は折返し階段1の構成要素のうち下階段部4の桁材10,踏板受材8,踏板6、および、上階段部5の桁材11,踏板受材9,踏板7、ならびに、折り返し部2を形成する床板3を取り出して全体的な接続状態を示した斜視図である。
ここで、例えば、図7中のP1で示す位置で下階段部4の踏板6に偏った荷重が加わったとすると、その荷重は図中右側の連結材53を介して、下階段部4の桁材10に取り付けられている全ての踏板6に伝達され分散されるので、踏板6の撓みや、踏板6と桁材10との接合部(より具体的には、踏板6と踏板受材8との接合部および踏板受材8と桁材10との接合部ならびに踏板受材8それ自体)における応力集中を効果的に抑制することができる。また、図7中で踏板6の左側に偏った荷重が作用した場合には、各踏板6の左側に取り付けられた連結材53を介して荷重の伝達および分散が行われる。
上階段部5の何れかの踏板7の偏った位置に荷重が作用した場合も上記と同様であり、その荷重は連結材64を介して、上階段部5の連結材11に取り付けられている全ての踏板7に伝達され分散されるので、偏った荷重による踏板7の撓みや、踏板7と桁材11との接合部における応力集中を効果的に抑制することができる。
従って、下階段部4において高さ方向に隣り合う踏板6と踏み板6との間に設けられる蹴込板63や上階段部5において高さ方向に隣り合う踏板7と踏み板7との間に設けられる蹴込板65を強度保持のための手段として利用する必要はなく、蹴込板63,65の材質として様々な素材を利用することができ、例えば、前述したように、光の有効利用を図るために、アクリル板等からなる透明あるいは半透明の板材を利用して蹴込板63,65を構成することも可能となり、階段デザインの設計自由度が大幅に改善される。
また、下階段部4の踏板6や上階段部5の踏板7の強度自体は既に確保された状態にあるので、下階段部4や上階段部5に手摺を配備する場合であっても、手摺の強度自体は人体等の脱落を防止できれば十分であり、特に、手摺のデザインの設計自由度が著しく改善されるといったメリットがある。
次に、下階段部4の踏板6の左右方向に偏った荷重が作用した場合、例えば、桁材10の鉛直上方位置から側方に離間した位置で人が踏板6を踏んだ場合の外力の作用について図8を参照して説明する。
いま、仮に、桁材10の鉛直上方位置から右側に離間した図8中の矢印P1の位置に人の歩行による荷重が作用したとすると、下階段部4の桁材10には2つの回転力が作用する。
そのうちの1つは、桁材10の傾斜部14を傾斜部14の中心軸C1の周りで捻ろうとする回転力M1である。
また、下階段部4の桁材10の傾斜部14には下階段部4の桁材10の水平部12が一体的に接続しており、下階段部4の桁材10の形状は、傾斜部14と水平部12とをあわせて全体として略「へ」の字型の剛体となっているので、下階段部4の桁材10の両端部を結んだ仮想線C2の周りで下階段部4の桁材10を全体的に回転させようとする回転力M2も同時に発生することになる。
このうち、下階段部4の桁材10の両端部を結んだ仮想線C2の周りで桁材10を全体的に回転させようとする回転力M2は、最終的に、下階段部4の桁材10における傾斜部14の下端部と下階Dsの床板44との接続部分であるサポートシュー47の位置を支点として下階段部4の桁材10の傾斜部14を図8中で右側に向けて抉るようにして揺動させようとする力F1と、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で手前側のサポートシュー30の位置を支点として下階段部4の桁材10の水平部12を図8中で右側に向けて抉るようにして揺動させようとする力F2として作用することになる。
しかし、下階段部4の桁材10の水平部12は図8中で手前側のサポートシュー30と受梁材29を介して建築物の壁面に接続され、同時に、上階段部5の桁材11の水平部13と共に折り返し部2を形成する床板3に固定されているので、下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする力F2は、更に、折り返し部2を形成する床板3と上階段部4の桁材11の水平部13とを介して、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分である他方のサポートシュー30にも伝達されることになる。
このように、下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする力F2が、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で手前側のサポートシュー30、および、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分である他方のサポートシュー30により2箇所で受け支えられることになるので、下階段部4の桁材10の鉛直上方位置から側方に離間した位置、例えば、図8中の矢印P1の位置で人が踏板を踏んで下階段部4の踏板6の左右方向に偏った荷重が作用したような場合であっても、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分つまり図8中で手前側のサポートシュー30を支点として下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする強い力が作用することはなくなる。
桁材10の鉛直上方位置から左側に離間した位置で踏板6に荷重が作用した場合では、M1,M2,F1,F2の方向性は逆となるが、下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする力F2が床板3と上階段部5の桁材11の水平部13とを介して他方のサポートシュー30に伝達され、図8中で手前側のサポートシュー30と他方のサポートシュー30の2箇所で此の力が分散され、図8中で手前側のサポートシュー30を支点として下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする強い力が作用しなくなる点に関しては前記と同様である。
一方、上階段部5の踏板7の左右方向に偏った荷重が作用した場合、つまり、桁材11の鉛直上方位置から側方に離間した位置で人が踏板7を踏んだ場合には、上階段部5の桁材11の傾斜部15を傾斜部15の中心軸C3の周りで捻ろうとする回転力M3と、上階段部5の桁材11の両端部を結んだ仮想線C4の周りで上階段部5の桁材11を全体的に回転させようとする回転力M4が発生する。このうち、上階段部5の桁材11の両端部を結んだ仮想線C4の周りで上階段部5の桁材11を全体的に回転させようとする回転力M4は、最終的に、上階段部5の桁材11における傾斜部15の上端部と上階Usの構造材46(図5参照)との接続部分であるサポートシュー48の位置を支点として上階段部5の桁材11の傾斜部15を図8中で左右方向に向けて抉るようにして揺動させようとする力F3と、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で後方側のサポートシュー30の位置を支点として上階段部5の桁材11の水平部13を図8中で左右方向に向けて抉るようにして揺動させようとする力F4として作用することになるが、上階段部5の桁材11の水平部13は図8中で後方側のサポートシュー30と受梁材29を介して建築物の壁面に接続され、同時に、下階段部4の桁材10の水平部12と共に折り返し部2を形成する床板3に固定されているので、上階段部5の桁材11の水平部13を抉るようにして揺動させようとする力F4は、折り返し部2を形成する床板3と下階段部4の桁材10の水平部12とを介して、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で手前側のサポートシュー30にも伝達されることになる。つまり、上階段部5の桁材11の水平部13を抉るようにして揺動させようとする力F4は、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で後方側のサポートシュー30、および、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分である図8中で手前側のサポートシュー30により2箇所で受け支えられることになるので、上階段部5の桁材11の鉛直上方位置から側方に離間した位置で人が踏板7を踏んで上階段部5の踏板7の左右方向に偏った荷重が作用したような場合であっても、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分つまり図8中で後方側のサポートシュー30を支点として上階段部5の桁材11の水平部13を抉るようにして揺動させようとする強い力が作用することはなくなる。
更に、下階段部4の桁材10の水平部12と上階段部5の桁材11の水平部13は折り返し部2を形成する床板3に完全に固定されているので、建築物の壁面に対して下階段部4の桁材10の水平部12を支える図8中で手前側のサポートシュー30や上階段部5の桁材11の水平部13を支える図8中で後方側のサポートシュー30それ自体の周りに捻るような強い力が作用するといったこともない。
このようにして、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分を支点として下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする強い力がなくなること、および、上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分を支点として上階段部5の桁材11の水平部13を抉るようにして揺動させようとする強い力がなくなること、更には、建築物の壁面に対して下階段部4の桁材10の水平部12や上階段部5の桁材11の水平部13を其の中心軸の周りに捻るような強い力が作用しなくなることにより、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分および上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分、より具体的には、図8中で手前側に位置するサポートシュー30や後方側に位置するサポートシュー30および其の周辺箇所の損傷が未然に防止される。また、人に不安感を与える振動の発生をも抑えることができる。
従って、下階段部4の桁材10における水平部12の端部と建築物の壁面との接続部分および上階段部5の桁材11における水平部13の端部と建築物の壁面との接続部分は、上階段部5を構成する複数の踏板7と踏板受材9と1本の桁材11、および、下階段部4を構成する複数の踏板6と踏板受材8と1本の桁材10の荷重のみを鉛直方向の荷重として受け支えるだけでよく、捩りや抉りの力に耐える必要がないので、建築物の壁面自体が頑強ではなくても、複数の踏板を各踏板毎の踏板受材を介して1本の桁材に取り付けるようにした階段構造(いわゆる中桁構造の階段)を利用して、折り返し部2を形成する床板3を備えた折返し階段を容易に構築することができるようになり、部品点数の削減や施工の簡素化および建て付けのコストの低減化や作業所要時間の短縮化が容易に実現されることになる。
しかも、折り返し部2を形成する床板3は、下階段部4の桁材10における水平部12と上階段部5の桁材11における水平部13によって支えられる構造であって、下階段部4や上階段部5の荷重を支える必要は全くなく、人の荷重を受ける本来の目的を除けば、専ら、下階段部4の桁材10の水平部12を抉るようにして揺動させようとする力F2を上階段部5の桁材11の水平部13に分散させたり上階段部5の桁材11の水平部13を抉るようにして揺動させようとする力F4を下階段部4の桁材10の水平部12に分散させたりするために利用されるものであるから、それ自体が下階段部4や上階段部5の接続手段および荷重受け手段として機能する従来型の構造のものとは相違し、耐荷重のための強度を確保する必要がないので軽量化やコストの軽減化が容易であり、また、トラス構造体や支柱等に相当する構造物を別途配置して床板3を支える必要がないことから、折り返し部2を支えるトラス構造体や支柱等の付加物によって美観が損なわれるといった不都合も解消され、折り返し部2の下のスペースの有効利用も実現することができる。
なお、下階段部4の桁材10における傾斜部14の下端部と床板44との接続部分を支点として桁材10の傾斜部14を図8中で左右方向に向けて抉るようにして揺動させようとする力F1はサポートシュー47に直接的に作用し、また、上階段部5の桁材11における傾斜部15の上端部と構造材46(図5参照)との接続部分を支点として桁材11の傾斜部15を図8中で左右方向に向けて抉るようにして揺動させようとする力F3もサポートシュー48に直接的に作用することになるが、傾斜部14の下端部と床板44との接続および傾斜部15の上端部と構造材46との接続に関しては、床板44や構造材46自体が頑強であるので、強度上の問題は生じない。
次に、図9および図10を参照して折り返し部2を構成する床板3に段差を設けた他の一実施形態の折返し階段68の構成について簡単に説明する。
図9は本発明を適用した第2実施形態の折返し階段68の構成について簡略化して示した分解斜視図である。
この折返し階段68は、建築物の上階Usと下階Dsの間に折り返し部2を備えた折返し階段であり、その主要部は、下階Dsと折り返し部2とを連絡する下階段部4と、折り返し部2と上階Usとを連絡する上階段部5、および、下階段部4の桁材10における水平部12と上階段部5の桁材11における水平部13を跨ぐように設置されて折り返し部2を形成する床板3によって構成される。
このうち下階段部4と上階段部5の構成に関しては図1〜図8を参照して説明した前述の折返し階段1の場合と同様であるので、図1で用いたものと同じ符号を図9中に記載するにとどめ、詳細な説明は省略する。
この実施形態の折返し階段68は折り返し部2を構成する床板3に段差を備えていることから、特に、上階Usと下階Dsの間の垂直離間距離が大きな場合、つまり、下階Dsの天井が高い場合等に好適である。
図10は図9に示される床板3の構造を示した断面図である。この床板3は、下部階段側の床板材3aと上部階段側の床板材3B、および、床板材3aと床板材3と3Bを連絡する蹴込板3cによって一体的に構成されている。図10に示すように、床板材3a,蹴込板3c,床板材3Bからなる床板3は、上部階段側の床板材3Bの左端部の下面側を前後に貫通する角溝69に蹴込板3cの上縁部を嵌合させて床板材3Bの角溝69に蹴込板3cの上縁部を接着剤で固着すると共に、蹴込板3cの下端部の左側面を前後に貫通する角溝70に下部階段側の床板材3aの右端部を嵌合させて蹴込板3cの角溝70に床板材3aの右端部を接着剤および木ネジ71で固着することによって、強固に一体化されている。
下階段部4の桁材10における水平部12と上階段部5の桁材11における水平部13を用いて床板3を支持する点に関しては図1〜図8を参照して説明した折返し階段1の場合と同様であるが、図9および図10に示した実施形態では床板3を構成する床板材3aと床板材3Bとの間に図10に示す通りの高低差があるので、この高低差に応じ、下階段部4における桁材10の水平部12よりも上階段部5における桁材11の水平部13を高い位置で建築物の壁面に取り付ける必要がある。
このため、建築物の壁面にサポートシュー30,30を取り付けるための受梁材29は、図10に示すように、床板材3aの部分を支えるための下部側受梁材29a、および、床板材3Bを支えるための上部側受梁材29Bと、下部側受梁材29aの上面高さと上部側受梁材29Bの上面高さとの差分を床板材3a,3B間の段差分に合わせるためのスペーサ29cによって構成され、下部側受梁材29a,スペーサ29c,上部側受梁材29Bがボルト72,72によって一体的に固定されている。
この受梁材29は、図9に示すように、建築物の壁面内に固設された構造材28,28に対して上下方向に位置をずらせて取り付けられた取付金具31,31を介して建築物の壁面に取り付けられ、更に、図10に示すように、受梁材29の一部である下部側受梁材29aにボルト35を介して取り付けられたサポートシュー30と受梁材29の一部である上部側受梁材29Bにボルト35を介して取り付けられたサポートシュー30を介して、下階段部4の桁材10における水平部12の先端部、および、上階段部5の桁材11における水平部13の先端部が建築物の壁面に接続されるようになっている。
折返し階段68の主要部である下階段部4および上階段部5の構成に関しては図1〜図8を参照して説明した前述の折返し階段1の場合と全く同様であるので、前述した実施形態と同様に、建築物の壁面自体が頑強でなくても中桁構造の階段を利用して部品点数の削減や施工の簡素化および建て付けのコストの低減化や作業所要時間の短縮化を容易に実現することができる。また、トラス構造体や支柱等に相当する構造物を別途配置して床板3を支える必要がないことから、折り返し部2を支えるトラス構造体や支柱等の付加物によって美観が損なわれるといった不都合が解消され、折り返し部2の下のスペースの有効利用を実現することができ、更には、下階段部4において高さ方向に隣り合う踏板6と踏み板6との間に設けられた連結材53や上階段部5において高さ方向に隣り合う踏板7と踏み板7との間に設けられた連結材64によって踏板6,7の左右方向に偏って作用する荷重が他の踏板6,7に分散され踏板6,7の撓みが抑制されるので、蹴込板63,65の材質として様々な素材を利用することができ、しかも、デザイン上の都合等によっては、蹴込板63,65の採用それ自体を取り止めても十分な強度を確保することが可能であり、手摺のデザインの設計自由度も改善されるといった効果を奏する。また、人に不安感を与える振動の発生をも抑えることができる。
次に、図11、図12に基づいて、本発明の階段構造を適用した場合の第3実施形態を説明する。
前記第1実施形態では、最下段の踏板6と下階Ds側の床板44との間が連結材53によって相互に連結されていたが、本第3実施形態の階段構造では、上記連結材53に代えて、踏板受け部材80を用いたものである。
すなわち、図11(a)に示すように、最下段の踏板6の左右幅方向(長手方向)の両端には、階段手摺用の支柱81が立設されている。この手摺用の支柱81は、1本のみしか図示されていないが、実際には水平方向に所定間隔で所定段の踏板6の上面に立設され、階段の全体にわたって設けられている。
支柱81は例えばアルミ製の四角筒状に形成されており、支柱81の下部側は、図12(a)に示すように、踏板6の左右幅方向の両端部の切欠き部6A内を貫通し、支柱81の下端は、最下段の踏板6の裏面に配置された取付け板82にネジ止めにより固定されている。ネジ止めは、取付け板82の裏面に形成された座ぐり部からネジを差し込み、そのネジを支柱81の下端に形成されている螺合部にねじ込むことにより行なわれる。なお、この支柱81と取付け板82との取付構造は、本願出願人が既に出願した手摺の取付構造(特開2004−162518号公報)に開示された取付構造と同じである。
この取付け板82は、図12(a)に示すように、踏板6の裏面に形成された凹部6Bに嵌込まれるようになっている。
なお、支柱81と取付け板82とを溶接等により固着してもよい。
一方、支柱81の床板44側延長上には、上記踏板受け部材80が設けられている。この踏板受け部材80は、上記支柱81と同一部材を切断して形成されたものである。踏板受け部材80の上端は、上記取付け板82と略同一形状および同一厚さ寸法に形成された支持板83に上記と同様の構造により固着されている。
すなわち、支持板83の上端面に形成された座ぐり部からネジを差し込み、そのネジを踏板受け部材80の上端に形成されている螺合部にねじ込むことにより行なわれる。
なお、踏板受け部材80と支持板83とを溶接等により固着してもよい。
そして、図12(a)、(b)に示すように、支持板83と取付け板82とが合わせられた後、ボルト85により同時に踏板6にねじ込んで固定されるようになっている。
踏板受け部材80の下端は、図11(a)、(b)に示すように、座板84に溶接等で固着されており、その座板84の四隅をボルト85で下階Ds側の床板44に固定するようになっている。
なお、踏板受け部材80は、必ずしも支柱81の床板44側延長上に設けなくてもよく、踏板6と床板44との間であればどこに配置してもよい。要は踏板6が支持されていればよいものである。
以上のような第3実施形態の階段構造によれば、前述した第1実施形態の各効果を得ることができる他、最下段の踏板6と下階Ds側の床板44との間に踏板受け部材80が設けられ、この踏板受け部材80は、階段手摺用支柱81と同一部材および同一形状に形成されているので、美観が優れたものとなる。
また、人に不安感を与える振動の発生をも抑えることができる。
次に、図13、図14に基づいて、本発明の階段構造を適用した場合の第4実施形態を説明する。
前記第1実施形態では、最下段の踏板6と下階Ds側の床板44との間が連結材53によって相互に連結されていたが、本第4実施形態の階段構造では、上記連結材53に代えて、延長連結材90を用いたものである。
すなわち、図13に示すように、延長連結材90は、下から二段目の踏板に設けられていた前記連結材53の下部側を下階Dsの床板44に達する長さ寸法に形成されている。この延長連結材90は、その長手方向途中が最下段の踏板6の背面と連結されると共に長手方向下端部が座板94を介して床板44に固着されている。
この延長連結材90は、図14(a)〜(d)に示す形状となっている。図14(a)は階段の上り方向の手前側から延長連結材90の外形を示した正面図、図14(b)は其の右側面図、図14(c)は其の平面図、図14(d)は図14(b)におけるd−d線に沿った断面図である。
延長連結材90は、図13(a)および図13(b)に示すように、略T字型の断面形状を有する桿状の本体部91と、本体部91の上端部から当該本体部91の長手方向に直交する向きで手前側に延出する上部取付片92と、本体部91の下端部から下方に向けて延出する下部取付部93と、下部取付部93の下階Dsの床板44側の端部に設けられた座板94をアルミダイキャスト等で成形した一体成形品である。そして、下部取付部93が、前記実施形態1における連結材53と同様の役割を果たすようになっている。
上部取付片92には、図14(c)に示すように、略T字型の断面を有する本体部91の投影形状における2つのコーナー部分に相当する中央部の左右両側の箇所に、下面側に座ぐりを備えたネジ穴57,57が穿設される一方、下部取付部93の中央部の左右両側には、その背面側に座ぐりを備えた2つのネジ穴58,58が図13(a)に示すようにして穿設されている。
なお、踏板6,6間で作用する荷重の伝達に必要とされる十分な剛性さえあれば、延長連結材90はアルミダイキャスト等で形成されたものに制限されない。
この延長連結材90は、図13に示すように、上部取付片92の延出方向を階段の上り方向の前方(図13中で左)に向けるようにして、高さ方向に隣り合う踏板6,6のうち上段側に位置する踏板6の下面側における上り方向の手前側(図13中で右)の端部に上部取付片92の上面を当接させた状態で、ネジ穴57,57を下から上に貫通する木ネジ59,59によって上段側の踏板6の左右両側に固定されると共に、下段側に位置する踏板6における上り方向の前方側(図13中で左)の縁部(前縁)に下部取付部93の手前側の面の一部を当接させた状態で、ネジ穴58,58を背面側から手前に貫通する木ネジ60,60によって下段側の踏板6の左右両側に固定される。
下部取付部93の下端は前記座板94と一体的に設けられており、この座板94には、その四隅に座ぐりを備えたネジ穴97が穿設されている。そして、延長連結材90の下端は、座板94を下階Dsの床板44に押当てた後、ネジ穴97から木ネジ(図略)をねじ込むことで固定するようになっている。
以上のような第4実施形態の階段構造によれば、前述した第1実施形態の各効果を得ることができる他、延長連結材90が踏板の左右幅方向の両端に設けられているので、階段の上り口から目立たないと言う効果を得ることができる。
また、人に不安感を与える振動の発生をも抑えることができる。
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。