JP4007551B2 - 階段 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、階段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、外観をすっきりとさせた階段として、トラス状に形成した左右一対の側枠間の内方に踏板を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。かかる階段は、トラス状に形成してある左右一対の側枠と、両側枠の下弦材間を連結しているつなぎ材と、側枠の上方に位置するとともに側枠に連結材により連結し、側枠の上弦材に沿って平行に配設してある手摺と、両側枠の内方間に設けてある踏板とから構成され、さらに、階段の横座屈を防止すべく、側枠の上弦材の各端部および手摺の各端部がそれぞれ外方に屈曲した屈曲部になっている。
【0003】
【特許文献1】
実公平4−21389号公報(第1−4頁、第1−4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の階段では、手摺自体が階段の強度を維持する構造体の役目を果たすものであり、踏板は側枠の下弦材に支持され、側枠の上弦材は踏板よりも上方に位置し、手摺の高さに位置する構成である。このため、当該階段は、手摺を不要とする階段には不向きである。例えば、当該階段を壁面に沿って構築すると、側枠が壁面のすぐ脇に位置することになり、かつ、この側枠は踏板の上方に位置することから、却って美観を損なってしまう。また、比較的自由なデザインを用いることができる階段手摺部が構造体の役目を果たすため、デザインに制約が生じてしまう。
【0005】
また、前記の階段では、上弦材および手摺に屈曲部を設けて強度向上を図っているが、左右の側枠の上弦材に沿って手摺を配置する構成であり、上弦材同士を連結することが不可能であるため、階段全体の強度向上には限界がある。また、屈曲部を形成するためには、曲げ加工を要するため当然に加工に手間を要する。
【0006】
さらに、階段の段数および階段勾配などの設置条件に合わせてその都度加工しなければならないため効率よく生産することが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、軽構造で、軽快な感じを与える階段であって、強度が高く、かつ、生産・施工効率がよい階段を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、請求項1の発明は、階段勾配で傾斜する複数列のトラス構造体と、当該トラス構造体の上弦材に固定される強度を有する踏板と、隣り合う前記トラス構造体同士を互いに連結する複数の連結フレーム材とを備える階段であって、前記トラス構造体の上弦材および下弦材は、それぞれ複数のフレーム材を節点部材で連結して構成され、前記トラス構造体の上弦材および下弦材の少なくとも一方に沿って補強部材が配置され、当該補強部材が連続する三つ以上の前記節点部材に固定されることを特徴とする。
【0009】
かかる階段によると、踏板をトラス構造体で支持するので、溝形鋼やI形鋼のような重厚な部材と異なり、軽構造かつ軽やかで、さらには開放感があり、室内に構築しても、圧迫感が無い。しかも、踏板がトラス構造体の上弦材に固定されるため、当該トラス構造体が踏板の上方に位置することはなく、すっきりとした外観になる。したがって、例えば、壁面に沿って当該階段を構築したときに、踏板の上方において壁面とトラス構造体とが重複することがなく、美観が損なわれることがない。
また、隣り合うトラス構造体同士が連結フレーム材によって一体化されるので、結果として階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上し、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れを大幅に抑制することができる。
さらに、手摺部を階段本体の構造体としていないので、手摺部のデザインを自由に設定できる。
また、各弦材を構成する複数の節点部材が補強部材で一体化され、トラス構造体の面外方向の曲げ剛性が向上するので、結果としてその面外方向(左右方向)の変形を抑制することができる。これにより、階段の昇降に際し、左右方向に発生する荷重による当該階段の揺れが極めて減少する。さらに、左右のトラス構造体を互いに連結する連結フレーム材を軽構造化あるいはその本数を減らすことが可能で、すっきりとした外観を得ることができる。
【0010】
請求項2の発明は、階段勾配で傾斜する複数列のトラス構造体と、当該トラス構造体の上弦材に固定される踏板支持部材と、当該踏板支持部材の上面に支持固定される踏板と、隣り合う前記トラス構造体同士を連結する複数の連結フレーム材とを備える階段であって、前記トラス構造体の上弦材および下弦材は、それぞれ複数のフレーム材を節点部材で連結して構成され、前記トラス構造体の上弦材および下弦材の少なくとも一方に沿って補強部材が配置され、当該補強部材が連続する三つ以上の前記節点部材に固定されることを特徴とする。
【0011】
かかる階段によると、踏板支持部材がトラス構造体の上弦材に固定されるため、当該トラス構造体が踏板の上方に位置することはなく、すっきりとした外観になる。
また、各弦材を構成する複数の節点部材が補強部材で一体化され、トラス構造体の面外方向の曲げ剛性が向上するので、結果としてその面外方向(左右方向)の変形を抑制することができる。これにより、階段の昇降に際し、左右方向に発生する荷重による当該階段の揺れが極めて減少する。さらに、左右のトラス構造体を互いに連結する連結フレーム材を軽構造化あるいはその本数を減らすことが可能で、すっきりとした外観を得ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の階段であって、前記踏板支持部材は、前記上弦材間に架設されていることを特徴とする。
【0013】
かかる階段によると、隣り合う上弦材同士が踏板支持部材によって連結されることになるので、トラス構造体の面外方向の変位・変形がより一層小さくなる。すなわち、階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時の横揺れを大幅に抑制することができる。また、踏板の中央部が踏板支持部材で支持されることになるので、踏板の撓みも小さくなる。すなわち、踏板自体が保有する強度は小さくてもよいので、踏板の構造、材質の選定の自由度が増す。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の階段であって、高さ方向に隣り合う前記踏板支持部材同士が互いに連結されていることを特徴とする。
【0015】
かかる階段によると、複数の踏板支持部材が連結されて一体になっているので、一の踏板支持部材(踏板)に左右方向の荷重が作用したときには、この荷重が他の踏板支持部材に分散する。したがって、階段昇降時に階段に発生するねじれ横揺れを大幅に抑制することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に記載の階段であって、高さ方向に隣り合う前記踏板支持部材同士が左右方向に剛性の大きい平板状部材で互いに連結されていることを特徴とする。
【0017】
かかる階段によると、左右方向に剛性の大きい平板状部材で複数の踏板支持部材を連結することにより、階段の左右方向の剛性がより有効に向上する。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の階段であって、前記節点部材は、その側面に連結溝を有し、前記フレーム材および前記連結フレーム材は、それぞれ前記連結溝に嵌合可能な接続端部を両端に有し、当該接続端部が前記連結溝に嵌合されていることを特徴とする。
【0019】
かかる階段によると、フレーム材と節点部材との接合、あるいは、連結フレーム材と節点部材との接合は、節点部材の側面に形成された連結溝に、当該連結溝に嵌合可能なように加工された各フレーム材の接続端部を嵌合するだけでなされ、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよい。さらに、連結されるフレームの本数を増減させるだけで、階段の長さを調節することができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の階段であって、前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の上弦材同士を連結する上連結フレーム材が含まれていることを特徴とする。
【0021】
かかる階段によると、隣り合う上弦材同士が連結されているので、当該上弦材のトラス面の面外方向への変位・変形が小さくなる。すなわち、トラス構造体の面外方向(左右方向)の曲げ剛性が向上し、結果として階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生する横揺れを抑制することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項7に記載の階段であって、前記上連結フレーム材が上下二層に配置されていることを特徴とする。
【0023】
かかる階段によると、隣り合う上弦材同士が強固に一体化されることになるので、トラス構造体の面外方向の曲げ剛性がより一層向上する。すなわち、階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時の横揺れをより一層抑制することができる。また、これにより階段の強度を容易に向上することができる。さらに、上連結フレーム材をほぼ左右対称に配置することができ、強度面の向上に加えて外観上の安定感も得られる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載の階段であって、前記上連結フレーム材に、前記上弦材に対して斜交する上連結ラチスフレーム材が含まれ、当該上連結ラチスフレーム材と前記上弦材とによりトラスが形成されていることを特徴とする。
【0025】
かかる階段によると、上連結ラチスフレーム材とトラス構造体の上弦材とにより形成される平面のせん断変形が小さくなる。すなわち、階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れを抑制することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の階段であって、前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の下弦材同士を連結する下連結フレーム材が含まれていることを特徴とする。
【0027】
かかる階段によると、隣り合う下弦材が互いに連結されているので、当該下弦材のトラス面の面外方向への変位・変形が小さくなる。すなわち、トラス構造体の面外方向(左右方向)の曲げ剛性が向上し、結果として階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生する横揺れを抑制することができる。
【0028】
請求項11の発明は、請求項10に記載の階段であって、前記下連結フレーム材が上下二層に配置されていることを特徴とする。
【0029】
かかる階段によると、隣り合う下弦材同士が強固に一体化されることになるので、トラス構造体の面外方向の曲げ剛性がより一層向上する。すなわち、階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時の横揺れを抑制することができる。
【0030】
請求項12の階段は、請求項10又は請求項11に記載の階段であって、前記下連結フレーム材に、前記下弦材に対して斜交する下連結ラチスフレーム材が含まれ、当該下連結ラチスフレーム材と前記下弦材とによりトラスが形成されていることを特徴とする。
【0031】
かかる階段によると、下連結ラチスフレーム材とトラス構造体の下弦材とにより形成される平面のせん断変形が小さくなる。すなわち、階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れをより一層抑制することができる。
【0032】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の階段であって、前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の一方の上弦材と他方の下弦材とを連結する上下連結フレーム材が含まれていることを特徴とする。
【0033】
かかる階段によると、階段全体のせん断剛性、ねじり剛性、左右方向の曲げ剛性さらには上下方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれ、横揺れ、縦揺れなどを大幅に抑制することができる。
【0036】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の階段であって、前記補強部材は、平板状、L字形または溝形であることを特徴とする。
【0037】
かかる階段によると、補強部材の製造、取付が容易であり、さらに、L字形、溝形であれば、上弦材あるいは下弦材を構成するフレーム材が隠れるのでシンプルな意匠となり、トラス面の面内方向(上下方向)の剛性も向上する。
【0038】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の階段であって、前記補強部材は、断面の少なくとも一部に中空部を有することを特徴とする。
【0039】
かかる階段によると、補強部材に中空部を設けることにより、その断面性能が向上する。したがって、当該補強部材によって補強されたトラス構造体は、そのトラス面の面外方向(左右方向)のみならず、面内方向(上下方向)の剛性も向上する。
【0040】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の階段であって、隣り合う前記トラス構造体の上弦材間および下弦材間の少なくとも一方に板材が取り付けられていることを特徴とする。
【0041】
かかる階段によると、隣り合うトラス構造体の弦材間に取り付けられた板材により、これらが一体化されるとともに、隣り合う弦材がなす平面のせん断変形が小さくなる。階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れをより一層抑制することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付した図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る階段を、図1乃至図10を参照して説明する。
第1の実施形態に係る階段は、図1に示すように、階段勾配で傾斜する左右一対のトラス構造体10,10と、このトラス構造体10,10の上弦材10U,10Uにそれぞれ固定される踏板支持部材20,20と、この踏板支持部材20,20の上面に支持固定される踏板30と、隣り合うトラス構造体10,10同士を連結する複数の連結フレーム材40とを主要部として構成され、さらに、踏板30の側端部の上方に手摺84が位置し、この手摺84は踏板30に取り付けられた手摺支柱85に支持されている。また、本実施形態では、トラス構造体10の下端と階下F1の床面との間には、サポートシュー81,82が介設され、上端と階上F2の梁材F21との間には、サポートシュー83が介設されている。
【0044】
(トラス構造体)
トラス構造体10は、図2および図3に示すように、いわゆるワーレントラスであり、上弦材10Uおよび下弦材10Lは、それぞれ複数のフレーム材11を節点部材(以下、ハブ12という)で連結して構成され、上弦材10Uと下弦材10Lとがラチス材13によって互いに連結されている。すなわち、トラス構造体10は、ハブ12に複数のフレーム材11とラチス材13とを接合して構成される。なお、以下では、適宜、上弦材10Uを構成するハブ12に「12U」の符号を付し、下弦材10Lを構成するハブ12に「12L」の符号を付す。
【0045】
フレーム材11は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図4(a)に示すように、その両端に偏平状の接続端部11aを有している。接続端部11aは、後記するハブ12の連結溝12a(図5参照)に嵌合可能であり、中空押出形材の両端をプレス装置などで押し潰すことにより形成される。また、図4(b)に示すように、接続端部11aの先端には、フレーム材11の軸線に直交する方向に沿って凹凸が形成されている。なお、接続端部11aがハブ12の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから(図5参照)、ハブ12の軸線方向の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されることになる。
【0046】
ハブ12は、図5に示すように、円柱状であり、ハブ12の外周面には、5つの連結溝12aがハブ12の軸線方向に沿って凹設され、中央には軸線方向(上下方向)に沿ってボルト挿通孔12bが形成されている。また、5つの連結溝12aは、本実施形態では45度ピッチで形成されている。なお、一つの連結溝12aにフレーム材11の接続端部11aとラチス材13の接続端部13aとが接合されるので、ハブ12の高さ寸法はこれを考慮して決定される。
【0047】
ハブ12の連結溝12aは、図6に示すように、フレーム材11の接続端部11aの先端部分および後記するラチス材13の接続端部13aの先端部分と同一の断面形状であり、その内壁には、接続端部11a(13a)の凹凸と係合する凹凸が形成されている。また、本実施形態では、ハブ12はアルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝12aおよびボルト挿通孔12bはアルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、本実施形態では、階段を側面視したときの美観を向上させるべく、連結溝12aをハブ12の片側に形成したが、ハブ12の形状や連結溝12aの個数などは、ハブ12に接続される部材の本数や角度に合わせて、適宜変更しても差し支えない。
【0048】
なお、本実施形態では、上弦材10Uを構成するハブ12(図3中の符号12U)と下弦材10Lを構成するハブ12(図3中の符号12L)とは、同一の構成である。
【0049】
ハブ12にフレーム材11を接続する場合には、図5に示すように、フレーム材11の接続端部11aをハブ12の上面側(あるいは下面側)から連結溝12aに嵌合(挿入)すればよい。このとき、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよい。なお、連結溝12aと接続端部11aとの間に生じる微細な隙間を埋めるべく、連結溝12aに接着剤などを流し込んでもよい。
【0050】
フレーム材11の接続端部11aをハブ12の連結溝12aに嵌合させると、図6に示すように、連結溝12aと接続端部11aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、フレーム材11がその軸線方向に引き抜かれることがない。
【0051】
また、下弦材10Lを構成するハブ12Lの上下面には、図5に示すように、フレーム材11などの抜け出しを防止するためのワッシャー12dが取り付けられる。ワッシャー12dは、ハブ12Lのボルト挿通孔12bに挿通されるネジ棒BとナットNにより固定される。さらに、ハブ12Lの上下面には、ネジ棒BおよびナットNを覆い隠すためのキャップ12cが取り付けられる。
一方、上弦材10Uを構成するハブ12Uには、その上面に踏板支持部材20が取り付けられるので(図3参照)、下面のみにワッシャー12dおよびキャップ12cを取り付ける。なお、踏板支持部材は、ネジ棒Bの上端側を利用して固定される。
【0052】
なお、図5に示すように、連結溝12aのうち、フレーム材11などが接続されないものには、美観の向上を図るべく、連結溝12aと同一の寸法・形状を有する溝埋部材12fを嵌合(挿入)する。
【0053】
ラチス材13は、フレーム材11と同種の部材からなるが、図4(c)に示すように、接続端部13aの先端が、ラチス材13の軸線方向に対して角度α(以下、コイン角αとする)をもって切断されている。
【0054】
ラチス材13とハブ12との接合は、前記したフレーム材11の場合と同様であるが、ラチス材13の接続端部13aの先端がコイン角αで傾いているので、ラチス材13はハブ12の軸線に対してコイン角αだけ傾斜して接合される。
【0055】
(踏板支持部材)
踏板支持部材20は、図7に示すように、断面多角形状であり、階段勾配で傾斜してハブ12Uの上面に当接する傾斜面(以下、取付面20bという)と、踏板30が載置される水平面(以下、踏板載置面20aという)とを有し、ハブ12Uの上面に固定されている。また、踏板支持部材20の内側上面には、踏板30を固定するためのナットを収容するナットポケット20cが形成され、内側上面および内側側面には、ビスホール20dが形成されている。このビスホール20dには、踏板支持部材20の端面の開口部を塞ぐキャップ板21(図3参照)を取り付けるためのビスが螺入される。踏板支持部材20は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図7に示す断面形状を有する長尺の押出形材をブロック状に切断して形成される。
【0056】
(踏板)
踏板30は、木製や金属製などの板材からなり、ねじ、釘、ボルトなどで踏板支持部材20の踏板載置面20aに固定されている。すなわち、踏板支持部材20を介してトラス構造体10の上弦材10Uに固定されている。なお、本実施形態では、図8(a)に示すように、左右の上弦材10U,10U(ハブ12U,12U)のそれぞれに踏板支持部材20が取り付けられ、踏板30は、左右の踏板支持部材20,20上に架設されている。この場合、鉛直荷重により踏板30の中央部に発生する曲げモーメントに対して、踏板30自身で耐えなければならないので、踏板30には、この曲げモーメントに耐え得る剛性・強度を保有する材質・構造のものを選定する。
【0057】
(連結フレーム材)
連結フレーム材40は、前記したフレーム材11と同種の部材からなり、その両端に、図4(a)(b)に示すフレーム材11の接続端部11aと同様の接続端部が形成されており、ハブ12の連結溝12aに嵌合可能である。したがって、ハブ12に連結フレーム材40を接続する場合には、ハブ12の上面側(あるいは下面側)からハブ12の連結溝12aに接続端部を嵌合(挿入)すればよい。
【0058】
なお、以下の説明では、複数の連結フレーム材40のうち、隣り合うトラス構造体10,10の上弦材10U,10U同士を連結するものを上連結フレーム材40Uと称し、下弦材10L,10L同士を連結するものを下連結フレーム40Lと称する(図9参照)。
【0059】
上連結フレーム材40Uは、図9および図10(a)に示すように、本実施形態では、その全てが上弦材10Uに対して斜交している(以下、このような上連結フレーム材40Uを「上連結ラチスフレーム材41」という)。そして、上連結ラチスフレーム材41と上弦材10U,10Uとによりワーレントラスが形成されている。また、ハブ12の連結溝12aが45度ピッチで形成されているのに対し、上連結斜材42と上弦材10Uとのなす角度が45度ではないので、図10(b)に示すように、接続端部を所定の方向に折り曲げて上弦材10Uに対する傾斜角度を調節する。
【0060】
下連結フレーム材40Lは、本実施形態では、その全てが下弦材10Lに対して直交している(以下、このような下連結フレーム材40Lを「下連結水平フレーム材42」という)。すなわち、下連結水平フレーム材42は、その両端の接続端部が同一高さにあるハブ12L,12Lにそれぞれ接合されている。
【0061】
(手摺・手摺支柱)
手摺(笠木)84およびこの手摺84を支持する手摺支柱85は、図1に示すようなものに限定されることはない。すなわち、手摺84および手摺支柱85は、階段自体を支持する構造体ではないので、様々な形状・デザイン、材質のものを自由に選定することができる。
【0062】
次に、第1の実施形態に係る階段の構築手順を、図5乃至図10を参照して説明する。
まず、下弦材10Lを構成するハブ12Lの対向する2つの連結溝12a,12aのそれぞれにフレーム材11の接続端部11aを嵌合するとともに、同一の連結溝12aにラチス材13の接続端部13aを嵌合する(図5参照)。さらに、ラチス材13の他方の接続端部13aを、上弦材10Uを構成するハブ12Uの連結溝12aに嵌合するとともに、同一の連結溝12aにフレーム材11の接続端部11aを嵌合する。このように複数のフレーム材11およびラチス材13をハブ12で順次連結してトラス構造体10を二つ形成する(図9参照)。
【0063】
次いで、この二つのトラス構造体10,10の下弦材10L,10Lを複数の下連結水平フレーム42で連結する。このとき、下連結水平フレーム材42は、下弦材10Lと直交する方向に配置する(図10(a)参照)。すなわち、ハブ12Lの連結溝12a(図5参照)のうち、フレーム材11と直交する方向に形成された連結溝12aに下連結水平フレーム材42の接続端部を嵌合する。さらに、上弦材10U,10Uを複数の上連結ラチスフレーム材41で連結する。このとき、複数の上連結ラチスフレーム材41は、それぞれが上弦材10Uと斜交する方向に配置され、全体として上弦材10Uとともにワーレントラスを構成する(図10(a)参照)。
【0064】
そして、図5に示すように、ハブ12のボルト挿通孔12bにネジ棒Bを挿通し、ハブ12の上下面に抜止め用のワッシャー12dを介したうえで、ネジ棒Bの両端をナットNで締結する。なお、下連結フレーム材40Lは、同じ高さに位置するハブ12,12に接合して水平になるようにする。
【0065】
続いて、ハブ12Uの上面に踏板支持部材20を載置し、その後、ハブ12Uのボルト挿通孔12bにその下面側からネジ棒B(図7参照)を挿通しネジ棒Bの両端をナットNで締結する。すなわち、踏板支持部材20は、ハブ12Uのボルト挿通孔12bに挿通したネジ棒BとナットNにより、ハブ12Uの上面に固定されることになる。なお、ハブ12Uの下面には、フレーム材11などの下方向への抜出しを防止するためのワッシャー12d(図5参照)が取り付けられる。
【0066】
なお、図5に示すように、各フレーム材が接続されない連結溝12aには、溝埋部材12fを挿入しておく。また、ハブ12の上面および下面に突出するネジ棒BおよびナットNを覆い隠すために、化粧用のキャップ12cを取り付ける。
【0067】
そして、このユニットを所定の場所に設置する。このとき、トラス構造体10の下端と階下F1との間にはサポートシュー81,82(図2参照)が介設され、トラス構造体10の上端と階上F2との間にはサポートシュー83(図2参照)が介設される。
【0068】
最後に、図7に示すように、踏板支持部材20の踏板載置面20aの上面に踏板30を載置するとともに、踏板30の上面側からボルト、木ねじ、ドリルビスなどを踏板支持部材20に挿通あるいは螺入して踏板30を踏板支持部材20に支持固定し、適宜手摺支柱85および手摺84(図1および図2参照)を取り付けて階段の構築が完了する。
【0069】
このように、トラス構造体10などの組立において、各フレーム材とハブ12との接合は、各フレーム材の接続端部をハブ12の連結溝に圧入嵌合するだけでよく、溶接や特別な工具を必要としないので、組立が容易で、さらに、接続用の部品を削減することができるので経済的である。
【0070】
また、トラス構造体10,10、踏板支持部材20,20、連結フレーム材40を予め組み立ててユニット化しておくことで、作業時間を短縮することができ、さらに、ユニット化しても従来の溝形鋼やI形鋼などを側桁とする階段と比較して、非常に軽量なので、設置作業は容易である。
【0071】
なお、ユニット化の単位は、前記したものに限定されることはなく、例えば、踏板30、手摺84、手摺支柱85も予め一体化しておいてもよい。この場合には、このユニットを階下F1の床板と階上F2の梁材F21との間に架設するだけで階段の構築が完了する。
【0072】
以上、本実施形態に係る階段によると、踏板30をトラス構造体10,10で支持するので、溝形鋼やI形鋼のような重厚な部材と異なり、軽構造かつ軽やかで、さらには開放感があり、室内に構築しても、圧迫感が無い。しかも、踏板支持部材20がトラス構造体10,10の上弦材10U,10Uに固定され、この踏板支持部材10U,10Uの上面に踏板30が支持固定される構成であるため、トラス構造体10が踏板30の上方に位置することはなく、すっきりとした外観になる。したがって、例えば、図1に示すように、壁面Wに沿って本実施形態に係る階段を構築したときに、踏板30の上方において壁面Wとトラス構造体10とが重複することがないので、美観が損なわれることがない。
【0073】
また、左右のトラス構造体10,10は、上連結フレーム材40U(上連結ラチスフレーム材41)と下連結フレーム材40L(下連結水平フレーム材42)とにより、その面外方向(左右方向)の変位・変形が拘束されている。したがって、階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上し、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れを大幅に抑制することができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、上連結フレーム材40Uが上弦材10Uに対して斜交する上連結ラチスフレーム材41であり、この上連結ラチスフレーム材41と左右の上弦材10U,10Uとでワーレントラスが形成されているので、上連結ラチスフレーム材41と上弦材10U,10Uとにより形成される平面のせん断変形が小さくなる。すなわち、階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る階段は、フレーム材11、ハブ12、ラチス材13、踏板支持部材20、連結フレーム材40といった各種部材を、工場にて大量生産することができ、かつ、階段の長さや段数などを調節する場合には、各フレーム材の本数を増減させるだけでよいので、生産効率が高い。
【0076】
次に、第1の実施形態に係る階段の変形例を、図8および図11乃至図16を参照して説明する。
【0077】
(変形例1)
前記した第1の実施形態では、図8(a)に示すように、左右の上弦材10U,10U(ハブ12U,12U)のそれぞれにブロック状の踏板支持部材20,20を取り付けたが、図8(b)に示すのように、一つの形材で形成された踏板支持部材20’を左右の上弦材10U,10U(ハブ12U,12U)の上面に架設するとともに、この踏板支持部材20’の上面に踏板30を支持固定してもよい。
【0078】
このようにすると、隣り合う上弦材10U,10U同士が踏板支持部材20’によっても互いに連結されることになるので、トラス構造体10の面外方向の変位・変形がより一層小さくなる。すなわち、階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時の横揺れを大幅に抑制することができる。また、踏板30の中央部が踏板支持部材20’で支持されることになるので、踏板30の撓みも小さくなる。すなわち、踏板30自体が保有する強度は小さくてもよいので、踏板30の構造、材質選定の自由度が増す。
【0079】
(変形例2)
連結フレーム材40の配置も前記した実施形態のものに限定されることはなく、様々な態様が可能である。
【0080】
例えば、図11および図12(b)に示すように、下連結水平フレーム材42に加えて、下弦材10Lに対して斜交する下連結ラチスフレーム材43で下弦材10L,10Lを連結してもよい。すなわち、複数の下連結フレーム材40のうち、その一部を下弦材10Lに対して直交させ、残りを斜交させてもよい。また、上弦材10U,10Uは、前記した実施形態の場合と同様に、上連結ラチスフレーム材41によって互いに連結されている(図12(a)参照)。
【0081】
このようにすると、下連結ラチスフレーム材43と左右の下弦材10L,10Lと下連結水平フレーム材42とによってトラスが形成されることになるので、下弦材10L,10Lにより形成される平面のせん断変形も小さくなる。すなわち、階段全体のねじり剛性および左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれや横揺れを抑制することができる。
【0082】
(変形例3)
さらに、図13および図14(a)に示すように、上連結ラチスフレーム材41を上下二層に配置してもよい。これは、図9に示す複数の上連結ラチスフレーム材41の下側に、この上連結ラチスフレーム材41と平面視して交差するように上連結ラチスフレーム材41’を配置したものである。すなわち、図14(b)に示すように、上層側の上連結ラチスフレーム材41と下層側の上連結ラチスフレーム材41’とで、ハブ12Uに接合する高さ位置を違えてある。なお、以下の説明および図面においては、上下二層の上連結ラチスフレーム材41のうち、下層側の上連結ラチスフレーム材41に「’」を付して上層側のそれと区別する。
【0083】
このようにすると、隣り合う上弦材10U,10U同士が強固に一体化されることになるので、トラス構造体10の面外方向の曲げ剛性がより一層向上する。すなわち、階段全体の左右方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時の横揺れをより一層抑制することができる。また、これにより階段の強度を容易に向上することができる。さらに、上連結ラチスフレーム材41を平面視して左右対称に配置することができ、強度面の向上に加えて外観上の安定感も得られる。
【0084】
なお、図示は省略するが、上層側の上連結ラチスフレーム材41と下層側の上連結ラチスフレーム材41’とを平面視して交差させて配置せずに、上下に平行に、すなわち、同一方向に配置させてもよい。また、下連結フレーム材40Lを上下二層に配置してもよい。
【0085】
(変形例4)
さらに、図15および図16(a)(b)に示すように、一方のトラス構造体10の上弦材10Uと他方のトラス構造体10の下弦材10Lとを連結する上下連結フレーム材40ULを配置してもよい。本実施形態では、一方のトラス構造体10の上弦材10Uを構成するハブ12Uに、対向する他方のトラス構造体10の下弦材10Lに向かう二本の上下連結フレーム材40UL,40ULが接続されている。
【0086】
このようにすると、階段全体のせん断剛性、ねじり剛性、左右方向の曲げ剛性さらには上下方向の曲げ剛性が向上するので、階段昇降時に階段に発生するねじれ、横揺れ、縦揺れなどを大幅に抑制することができる。特に、左右のトラス構造体10,10の間隔が大きい場合に有効である。
【0087】
(その他の変形例)
この他にも、連結フレーム材の配置パターンには様々な態様がある。例えば、図示は省略するが、上連結フレーム材は、上弦材10Uに対して直交して配置してもよい。この場合には、上連結フレームの両端の接続端部は、同一高さにあるハブ12,12にそれぞれ接合されることになる。また、上弦材10Uに直交する上連結フレーム材のみで上弦材10U,10Uを連結した場合には、梯子状となり、上連結ラチスフレーム材41と併用するとプラットトラス、ハウトラスなどが形成されることになる。
【0088】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る階段は、図17に示すように、前記した第1の実施形態に係るトラス構造体10の上弦材10Uに沿って補強部材50を配置するとともに、この補強部材50を連続する三つ以上のハブ12Uに固定したものである。すなわち、トラス構造体10(フレーム材11とハブ12の接合部)の弱軸方向の強度を補強する方向に補強部材50を配置したものである。また、左右のトラス構造体10,10は、その下弦材10L,10L同士が下連結フレーム材40Lにより連結されている。
【0089】
補強部材50は、アルミニウム合金製の押出形材であり、本実施形態では、上弦材10Uの全長と同じ長さを有している。また、図18(a)に示すように、補強部材50の断面形状は、下面が開口する溝形であり、上弦材10Uを内包することができる。より詳細には、補強部材50は、上弦材10Uの上面側に位置する上板50aと、この上板50aの側端部から下方に垂下して上弦材10U(フレーム材11)を覆い隠す側板50b,50bとで構成され、上板50aがハブ12Uの上面に当接する。
【0090】
補強部材50をハブ12Uに固定するには、上弦材10Uの上側から補強部材50を覆い被せ(図17参照)、補強部材50の上面に踏板支持部材20を配置した後に、ボルトをハブ12Uの下面から補強部材50を貫通して踏板支持部材20の内部にまで挿通させ、これをナットで締結すればよい。このとき、踏板支持部材20が補強部材50の上面に支持固定される。
【0091】
このように、上弦材10Uを構成する複数のハブ12Uを補強部材50で一体化することにより、トラス構造体10の面外方向の曲げ剛性が向上し、結果として階段昇降時の横揺れが格段に抑制される。すなわち、少なくとも三つのハブ12Uを補強部材50で一体化すれば、少なくともその中間のハブ12Uは、当該ハブ12Uの回転する方向に対して補強されるので、トラス構造体の面外方向の曲げ剛性が向上し、その面外方向の変形が抑制される。また、本実施形態のごとく上弦材10Uの全長におよぶ補強部材50を用いれば、全長にわたり補強され、例えば、連結フレーム材40および踏板支持部材20を軽構造化することができる。
【0092】
また、補強部材50の断面形状が溝形なので、階段を側面視したときに、補強部材50の側板50bによって上弦材10Uが覆い隠され、すっきりとした外観になり、さらに上下方向の剛性も向上する。
【0093】
(変形例1)
前記した第2の実施形態では、上弦材10Uに沿って補強部材50を取り付けたが、図18(b)に示すのように、下弦材10Lに沿って補強部材50’を取り付けるとともに、この補強部材50’を複数のハブ12Lに固定してもよい。この場合には、下弦材10Lを構成する複数のハブ12Lが一体にされ、下弦材10Lの面外方向(左右方向)の剛性が向上する。したがって、複数の連結フレーム材のうち、下弦材10L,10L同士を連結する下連結フレーム材40Lを軽構造化もしくは省略することが可能である。また、ハブ12Lの下面に補強部材50’が当接し、この補強部材50’によりフレーム材11およびラチス材13の下方向への抜出しが防止される。
【0094】
(変形例2)
補強部材50の断面形状は、図18(a)(b)に示すものに限定されることはなく、例えば、図19(a)に示すように、断面L字形状の補強部材51であってもよい。断面L字形の補強部材51によっても上弦材10Uを構成するフレーム材11が隠れるのでシンプルな意匠となり、さらに上下方向の剛性も向上する。したがって、複数の連結フレーム材のうち、上弦材10U,10U同士を連結する上連結フレーム材40Uを軽構造化もしくは省略することが可能である。
【0095】
また、補強部材が平板状の場合では、当該補強部材とフレーム材11との間に隙間が生じるが、L字形または溝形の形材であれば、当該隙間が隠されるのでより意匠性が向上する。
【0096】
(その他の変形例)
補強部材は、主にトラス構造体10の面外方向の剛性を向上させることを目的としているので、例えば、図19(b)に示すように、平板状の板材(図中符号52)を補強部材としてもよい。すなわち、補強部材52は、平板であるが故にその上下方向(板厚方向)の剛性は必ずしも高くないが、左右方向(幅方向)の剛性は大きく、したがって、平板状の補強部材52であってもトラス構造体10の面外方向の剛性を十分に向上させることができる。
【0097】
一方、補強部材に上下方向の荷重も分担させる場合には、図19(c)に示すように、中空部53aを備える形材53を上弦材10Uあるいは下弦材10Lに沿って配置してもよく、また、図19(d)に示すように、その一部に中空部54aを備える形材54を、その中空部54aが上弦材10Uの側方に位置するように配置してもよい。
【0098】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る階段は、図20に示すように、左右一対のトラス構造体10,10の上弦材10U,10U間に架設された複数の踏板支持部材20の下面に中間補強部材60を配置するとともに、複数の踏板支持部材20のそれぞれに固定したものである。すなわち、高さ方向に隣り合う複数の踏板支持部材20が中間補強部材60で連結されて一体化されている。また、左右のトラス構造体10,10は、その下弦材10L,10L同士が下連結水平フレーム材42(下連結フレーム材40L)により連結されている。
【0099】
中間補強部材60は、左右方向に剛性の大きいアルミニウム合金製の平板状の板材であり、好適には、最下段の踏板支持部材20から最上段の踏板支持部材20を一体にできるだけの長さとするのがよい。また、中間補強部材60は、その上面を踏板支持部材20の取付面20b(図7参照)に当接させるとともに、その下面側からドリルビスなどを打ち込むことで固定される。また、中間補強部材60は、アルミニウム合金製の平板状の板材に替えて、ポリカーボネート板、アクリル樹脂板などの合成樹脂板でもよい。
【0100】
このように、平板状で左右方向に強度の強い中間補強部材60で複数の踏板支持部材20を一体化することで、一の踏板支持部材20(踏板30)に左右方向の荷重が作用したときに、その荷重がトラス構造体10に全て伝わらず中間補強部材60で受けられ、さらに、この荷重が他の踏板支持部材20に分散されるので、例えば、階段昇降時などにおいて、ねじれや横揺れを大幅に抑制することができ、また、連結フレーム材40および踏板支持部材20の軽構造化を図ることができる。
【0101】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る階段は、図21に示すように、左右一対のトラス構造体10,10間に板材70を取り付けたものである。また、左右のトラス構造体10,10は、その下弦材10L,10L同士が下連結水平フレーム材42(下連結フレーム材40L)により連結されている。
【0102】
板材70は、本実施形態では、多数の小孔が穿設された板材からなり、上弦材10Uを構成する複数のハブ12Lの上面に固定されている。なお、板材70は、ポリカーボネート板、アクリル樹脂板、アルミニウム合金板などでもよい。
【0103】
このように、左右の上弦材10U,10U間に板材70を取り付けることにより、左右のトラス構造体10,10が一体化されるとともに、上弦材10U,10Uがなす平面のせん断変形が抑制されるので、階段昇降時にトラス構造体10,10に発生するねじれや横揺れが大幅に抑制される。また、連結フレーム材40および踏板支持部材20の軽構造化を図ることができる。
【0104】
なお板材70は、上弦材10Uの全長に渡って取り付けてもよいし、その一部に取り付けてもよい。例えば、図22に示すように、互いに隣り合う左右二個(計四個)のハブ12Uに板材70’を固定しても、四個のハブ12Uがなす平面のせん断変形が抑制されるので、階段昇降時にトラス構造体10,10に発生するねじれや横揺れが大幅に抑制される。
【0105】
また、図21および図22に示す階段では、左右の上弦材10U,10U間に板材70(70’)を取り付けたが、左右の下弦材10L,10L間に取り付けてもよく、さらには、両方に取り付けてもよい。
【0106】
(第5の実施形態)
前記した各実施形態では、上弦材10Uおよび下弦材10Lを、それぞれ複数のフレーム材11をハブ12で連結して構成していたが、これに替えて、図23に示すのように、その全長におよぶ長さを有する1本の長尺の形材で上弦材10U’および下弦材10L’を形成し、上弦材10U’の下面および下弦材10L’の上面にハブ12’を取り付けてトラス構造体10’を構成してもよい。また、左右のトラス構造体10’,10’は、その下弦材10L’,10L’同士が下連結水平フレーム材42(下連結フレーム材40L)により連結されている。
【0107】
上弦材10U’および下弦材10L’は、本実施形態では、アルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図22に示すように、断面矩形であり、その内部には、上下方向に仕切板が形成されている。上弦材10U’および下弦材10L’は、内部が中空であるため非常に軽量であり、さらに内部に仕切板が形成されているので、上弦材10U’および下弦材10L’に作用する鉛直荷重および軸圧縮力に対して強い断面構造である。
【0108】
ハブ12’は、前記の各実施形態のハブ12と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0109】
このように、上弦材10U’および下弦材10L’が長尺の形材で構成される場合には、その生産が容易であり、また、ハブ12’を上弦材10U’の下面および下弦材10L’の上面に取り付ける構成とすることで、上弦材10U’および下弦材10L’の内部形状を荷重条件などに合わせて任意に設定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、上弦材10U’および下弦材10L’ともにトラス構造体10’の全長におよぶ長さのものとしたが、いずれか一方のみをトラス構造体10の全長におよぶ長さとし、その他は第1の実施形態に示した如く節点部材(ハブ)を介して接続された短尺のフレーム材で構成することもできる。
【0111】
(その他)
第1乃至第5の実施形態で図示した各トラス構造体は、シングルワーレントラス状であるが、例えば、図示は省略するが、プラットトラス状やハウトラス状であってもよい。
【0112】
また、節点部材は、本実施形態のハブ12のような円柱形状に限らず、角柱形状などの他の形式の節点部材やボールジョイント方式の節点構造であってもよい。さらには、ラチス材やフレーム材はボルトや溶接などにより接合してもよい。
【0113】
また、前記の各実施形態では、左右一対(二列)のトラス構造体10,10に踏板30が支持される構成であったが、トラス構造体10を三列以上配置された階段であってもよい。
【0114】
【発明の効果】
本発明に係る階段によれば、側桁が溝形鋼やI形鋼で構成されていた従来の階段に比べ、軽構造であり、軽快・開放感のある階段を構築することができる。また、軽構造であるため施工時の取り扱いが容易になり、したがって、施工効率が向上する。
【0115】
さらに、階段の構築に際して、特別な工具や溶接を必要としないので、階段を容易に構築することができる。さらに、トラス構造体を構成する各部材は、工場などにおいて量産しておくことができるので、生産効率がよい。
【0116】
また、隣り合うトラス構造体を互いに連結する連結フレーム材を適宜配置することによって、階段の強度を容易に向上させることができ、階段昇降時の横揺れや撓みの小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係る階段の斜視図である。
【図2】 図1の側面図である。
【図3】 図1の拡大側面図である。
【図4】 (a)は上弦材および下弦材を構成するフレーム材を示す斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)はラチス材を示す側面図である。
【図5】 (a)は節点部材(ハブ)とフレーム材との接合方法を説明する斜視図である。
【図6】 同じく断面図である。
【図7】 踏板支持部材の断面図である。
【図8】 (a)図3のX−X断面図、(b)は踏板支持部材の他の形態を示す図である。
【図9】 図1の拡大斜視図であって、踏板および踏板支持部材を一部省略した図である。
【図10】 (a)は連結フレーム材の配置を示す平面図、(b)は上連結ラチスフレーム材を示す平面図である。
【図11】 第1の実施形態に係る階段の変形例を示す斜視図である。
【図12】 (a)は上連結フレームの配置を示す平面図、(b)は下連結フレームの配置を示す平面図である。
【図13】 第1の実施形態に係る階段の他の変形例を示す斜視図である。
【図14】 (a)は上連結フレームの配置を示す平面図、(b)は断面図である。
【図15】 第1の実施形態に係る階段のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図16】 (a)は上下連結フレームの配置を示す平面図、(b)は断面図である。
【図17】 第2の実施形態に係る階段の分解斜視図である。
【図18】 (a)は図17の断面図、(b)は補強部材の他の形態を示す断面図である。
【図19】 (a)(b)(c)(d)は補強部材の他の形態を示す断面図である。
【図20】 第3の実施形態に係る階段の斜視図である。
【図21】 第4の実施形態に係る階段の斜視図である。
【図22】 第4の実施形態に係る階段の変形例を示す斜視図である。
【図23】 第5の実施形態に係る階段の斜視図である。
【符号の説明】
10 トラス構造体
10U 上弦材
10L 下弦材
11 フレーム材
11a 接続端部
12 節点部材(ハブ)
12a 連結溝
13 ラチス材
20,20’ 踏板支持部材
30 踏板
40 連結フレーム材
40U 上連結フレーム材
40L 下連結フレーム材
40UL 上下連結フレーム材
41 上連結ラチスフレーム材
42 下連結水平フレーム材
43 下連結ラチスフレーム材
50 補強部材
60 中間補強部材
70 板材
81,82,83 サポートシュー
84 手摺
85 手摺支柱

Claims (16)

  1. 階段勾配で傾斜する複数列のトラス構造体と、当該トラス構造体の上弦材に固定される強度を有する踏板と、隣り合う前記トラス構造体同士を互いに連結する複数の連結フレーム材とを備える階段であって、
    前記トラス構造体の上弦材および下弦材は、それぞれ複数のフレーム材を節点部材で連結して構成され、
    前記トラス構造体の上弦材および下弦材の少なくとも一方に沿って補強部材が配置され、当該補強部材が連続する三つ以上の前記節点部材に固定されることを特徴とする階段。
  2. 階段勾配で傾斜する複数列のトラス構造体と、当該トラス構造体の上弦材に固定される踏板支持部材と、当該踏板支持部材の上面に支持固定される踏板と、隣り合う前記トラス構造体同士を互いに連結する複数の連結フレーム材とを備える階段であって、
    前記トラス構造体の上弦材および下弦材は、それぞれ複数のフレーム材を節点部材で連結して構成され、
    前記トラス構造体の上弦材および下弦材の少なくとも一方に沿って補強部材が配置され、当該補強部材が連続する三つ以上の前記節点部材に固定されることを特徴とする階段。
  3. 前記踏板支持部材は、前記上弦材間に架設されていることを特徴とする請求項2に記載の階段。
  4. 高さ方向に隣り合う前記踏板支持部材同士が互いに連結されていることを特徴とする請求項3に記載の階段。
  5. 高さ方向に隣り合う前記踏板支持部材同士が左右方向に剛性の大きい平板状部材で互いに連結されていることを特徴とする請求項4に記載の階段。
  6. 記節点部材は、その側面に連結溝を有し、
    前記フレーム材および前記連結フレーム材は、それぞれ前記連結溝に嵌合可能な接続端部を両端に有し、当該接続端部が前記連結溝に嵌合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の階段。
  7. 前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の上弦材同士を連結する上連結フレーム材が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の階段。
  8. 前記上連結フレーム材が上下二層に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の階段。
  9. 前記上連結フレーム材に、前記上弦材に対して斜交する上連結ラチスフレーム材が含まれ、当該上連結ラチスフレーム材と前記上弦材とによりトラスが形成されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の階段。
  10. 前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の下弦材同士を連結する下連結フレーム材が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の階段。
  11. 前記下連結フレーム材が上下二層に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の階段。
  12. 前記下連結フレーム材に、前記下弦材に対して斜交する下連結ラチスフレーム材が含まれ、当該下連結ラチスフレーム材と前記下弦材とによりトラスが形成されていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の階段。
  13. 前記連結フレーム材に、隣り合う前記トラス構造体の一方の上弦材と他方の下弦材とを連結する上下連結フレーム材が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の階段。
  14. 前記補強部材は、平板状、L字形または溝形であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の階段。
  15. 前記補強部材は、断面の少なくとも一部に中空部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の階段。
  16. 隣り合う前記トラス構造体の上弦材間および下弦材間の少なくとも一方に板材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の階段。
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