JP2010013712A - 転がり軸受の軌道輪と転動体 - Google Patents

転がり軸受の軌道輪と転動体 Download PDF

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Abstract

【課題】金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化しやすい環境で使用される転がり軸受の内輪、外輪、転動体に割れが生じ難くする。
【解決手段】内輪1を以下のように構成する。表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上1.6質量%以下とし、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とする。表面から0.006T(Tは径方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
【選択図】図1

Description

この発明は転がり軸受に関する。
例えば自動車、農業機械、建設機械および鉄鋼機械等のトランスミッションや無段変速機用(トロイダルCVT、ベルトCVT)エンジン補機用(オルタネータ、コンブレッサー、水ポンプ等)に使用される転がり軸受の使用環境は、金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境である。
下記の特許文献1には、異物混入潤滑環境下で使用される転がり軸受の寿命を向上させるために、軸受の転がり表面層のCの含有量、残留オーステナイト量、及び炭窒化物の含有量を適性値にすることで、異物により生じる圧痕のエッジ部における応力の集中を緩和し、クラックの発生を抑えることが記載されている。
特許文献1において、内輪および外輪は0.1〜0.7wt%の炭素を含む炭素鋼からなる素材を用い、浸炭を含む熱処理により硬化させて、軌道面表層部の残留オーステナイトを20〜45vol%とし、転動体は0.7〜1.1wt%の炭素を含む炭素鋼からなる素材を用い、浸炭を含む熱処理により硬化させて、転動面表層部の残留オーステナイトを20〜45vol%とし、表面層の炭窒化物を3〜15vol%としている。
下記の非特許文献1には、潤滑油中の異物による表面損傷とフレーキング発生メカニズム、および残留オーステナイトによる圧痕縁の応力集中低減効果と寿命延長効果などについて記載されている。
特開昭64−55423号公報 "The Development of Bearing Steels for Long Life Rolling Bearings Under Clean Lunbrication"ASTM−STP(1993)p199−210
上述の文献に記載された技術は、表面起点型剥離を抑えて転がり軸受の寿命を長くすることを目的としている。しかし、浸炭または浸炭窒化層を形成する場合、炭化物が過剰に析出すると表面が割れ易くなる。特に、最近では、軽量化の観点から軸受部品の厚さを薄くすることが求められており、厚さを薄くすることで軸受部品(転がり軸受の軌道輪および転動体)に生じる曲げ応力が大きくなるため、軸受部品が割れ易くなる。
本発明は、金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化しやすい環境で使用される転がり軸受に関し、軸受部品に割れが生じ難くすることを課題とする。
上記課題を解決するために、環状体の内周面または外周面を軌道面とする転がり軸受の軌道輪の場合には、この軌道輪を、合金鋼からなり、表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上1.6質量%以下とし、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とし、表面から0.006T(Tは径方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
環状体の軸方向一端面を軌道面とする転がり軸受の軌道輪の場合は、この軌道輪を、合金鋼からなり、表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上1.6質量%以下とし、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とし、表面から0.01T(Tは軸方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
転がり軸受の転動体の場合には、この転動体を、合金鋼からなり、表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上1.6質量%以下とし、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とし、表面から10μmの深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
本発明においては、軸受部品(転がり軸受の軌道輪および転動体)を、合金鋼からなり、表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上1.6質量%以下とし、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とする。
ここで、合金鋼からなる軸受部品(転がり軸受の軌道輪および転動体)の表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率を0.9質量%以上とすることで、転がり寿命に必要な硬さや残留オーステナイト量を確保することができる。一方、合金鋼からなる軸受部品(転がり軸受の軌道輪および転動体)の表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率が1.6質量%を超えると、靱性が著しく低下して割れ易くなる。
また、合金鋼からなる軸受部品(転がり軸受の軌道輪および転動体)の表面から10μmの深さまでの範囲で、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とすることで、軸受として必要な強度を確保することができる。窒素はマトリックスに固溶して微細な窒化物および炭窒化物を形成することで、マトリックスを強化する。
なお、前記範囲での窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率の上限値は3.0面積%である。この上限値を超えると軸受部品に割れが生じ易くなる。また、前記範囲での窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とするためには、前記範囲での窒素含有率を0.3質量%以上にすることが好ましい。
また、転がり軸受の軌道輪が、環状体の内周面または外周面を軌道面とするものの場合は、表面から0.006T(Tは径方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
転がり軸受の軌道輪が、環状体の軸方向一端面を軌道面とするものの(軌道面が板面に形成されているもの)場合は、表面から0.01T(Tは軸方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
転がり軸受の転動体の場合は、表面から10μmの深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率を1.0面積%以下とする。
このように、前記各範囲内で、断面積が1μm2 以上の粗大な炭化物、窒化物、および炭窒化物の合計存在率を1.0面積%以下と低くすることにより、軌道輪および転動体に割れが生じ難くなる。このような存在率にするためには、前記範囲での炭素含有率を1.0質量%以下(1.1質量%未満)、窒素含有率を0.7質量%以下(0.8質量%未満)にすることが好ましい。
本発明で使用する合金鋼としては、転がり軸受として必要な強度が得られ、熱処理に係る時間を短くするという観点から、炭素含有率が0.5質量%以上であるものを用いることが好ましい。また、高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2を用いることが好ましい。
本発明の軸受部品の製造方法としては、炭素含有率が0.5質量%以上1.0質量%以下の合金鋼からなる素材を、内輪、外輪、または転動体の形状に加工した後、浸炭窒化を施した後、焼入れ焼戻しを行う方法が挙げられる。浸炭窒化は、Rxガス(N2 +H2 +CO)とアンモニアガス、および必要に応じてエンリッチガス(炭化水素ガス)を炉内に入れて、例えば820〜900℃に加熱して1〜5時間保持することで行われる。
そして、浸炭窒化の際の炉内残留アンモニア濃度を0.20体積%以上にすることで、前記各範囲での窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率を合計で0.5面積%以上とすることができる。その上限値は、必要な窒化物および炭窒化物の存在率とコストとの兼ね合いで1.50体積%とする。
なお、転がり寿命の軌道輪および転動体の表層部の硬さは700Hv以上、残留オーステナイト量は15体積%以上40体積%以下とすることが好ましい。
本発明の軸受部品を用いることで、転がり軸受が金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化しやすい環境で使用された場合でも、軸受部品に割れが生じ難くなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1に示す構造であって、呼び番号6206と6202の玉軸受の内輪1、外輪2、および玉(転動体)3を以下の方法で作製した。
Figure 2010013712
内輪1については、先ず、合金成分が表1の各組成である鋼A〜Dからなる円環状の素材を内輪の形状に加工した後、820〜900℃、保持時間1〜5時間、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気の条件で浸炭窒化処理を行い、次いで油焼入れした。なお、炉内のアンモニア(NH3 )ガス濃度は表2および3に示すようにサンプル毎に変えた。6206のサンプルを表2に、6202のサンプルを表3に示す。なお、No. 11のサンプルは、浸炭窒化を行わず「ずぶ焼き」を行った。
次に、180〜240℃で2時間保持する焼戻しを行って、内輪の表面から10μmの深さまでの範囲での〔C〕および〔N〕を表2および3に示す各値とした。また、表面硬さを700Hv以上とした。次に、研削加工と超仕上加工を行って、内輪1の軌道面の表面粗さ(Ra)を0.05μm以下にした。
6206の内輪1の径方向で最も厚い部分の厚さTは5.35mmであり、6202の内輪1の径方向で最も厚い部分の厚さTは3.40mmである。
得られた各サンプルの内輪について、表面から深さ10μmの範囲の炭素含有率〔C〕と窒素含有率〔N〕をEPMAを用いた定量分析で測定した。また、表面から深さ10μmの範囲の窒化物と炭窒化物の合計存在率は、次のようにして測定した。
先ず、各サンプルについて、表面を含む軸方向断面を鏡面に仕上げた後、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、倍率5000倍で、表面を含む3視野(1視野は15μm×15μm以上の範囲)以上を撮影する。1視野につき表面から深さ10μmまでの領域を2値化処理し、画像解析を用いて、各視野に占める窒化物と炭窒化物の合計面積の割合(面積率)を求め、3視野以上の平均値を測定した。
また、表面から深さ0.003T(6206で16.05μm、6202で10.2μm)までの範囲(表では、表面からの深さをXで示し、t=0.001Tとして、この範囲をX≦3tと表記):範囲(1) と、表面からの深さが0.003Tより深く0.006T(6206で32.10μm、6202で20.4μm)までの範囲(この範囲を表では3t<X≦6tと表記):範囲(2) と、表面からの深さが0.006Tより深く0.009T(6206で48.45μm、6202で30.6μm)までの範囲(この範囲を表では6t<X≦9tと表記):範囲(3) での、1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の合計存在率は、次のようにして測定した。
先ず、各サンプルについて、表面を含む軸方向断面を鏡面に仕上げた後、エッチングして炭化物を現出させた。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、倍率3000倍で、表面を含む3視野(1視野は70μm×70μmの範囲)以上を撮影する。そして、1視野につき範囲(1) 〜(3) 毎に2値化処理してから、各範囲に占める1μm2 以上の炭化物と窒化物と炭窒化物の合計面積の割合を画像解析装置により測定し、範囲(1) 〜(3) 毎に3視野以上の平均値を求めた。
これらの結果を下記の表2および3に示す。
外輪2と玉3については、先ず、SUJ2からなる素材で外輪および玉を形成した。次に、温度840〜860℃、保持時間1〜5時間、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気の条件で浸炭窒化処理を行った後に油冷却する焼入れを行った後、180〜220℃に2時間保持する焼き戻しを行った。次に、外輪2には、研削加工と超仕上げ加工を行って、外輪2の軌道面の表面粗さ(Ra)を0.05μm以下にした。また、玉3には、バレル加工と超仕上げ加工を行って、表面粗さ(Ra)を0.05μm以下にした。
これらの外輪2および玉3とNo. 1〜17の各サンプルの内輪1を用いて6206の玉軸受を組み立てて、下記の条件で転がり寿命試験を行った。この試験は、試験軸受をサンプル毎に10体用意し、回転試験機にかけて回転させ、外輪2および玉3の何れかが破損した場合には交換して継続して回転させた。そして、内輪1が破損するまでの時間を測定し、各10体の結果からL10寿命を求めた。
<試験条件>
試験荷重:6220N
回転速度:3000min-1
潤滑油:VG68
混入異物:硬さHv870、粒径74〜147μmのFe3
混入量:潤滑油中に300ppm
また、各L10寿命からNo. 11のL10寿命を「1」とした相対値を算出した。その結果も下記の表2および3に示す。
また、No. 1〜20の各サンプルの内輪1について静的割れ試験を行った。この試験は、図2に示すように、内輪1を水平な台の上に立てて(外周面を接触させて)置き、鉛直方向から荷重を加えて、内輪1に割れが生じる最大荷重を測定した。そして、各サンプルの最大荷重についてNo. 1〜17ではNo. 12の最大荷重を「1」とした相対値を、No. 18〜20ではNo. 20の最大荷重を「1」とした相対値を算出した。その結果も下記の表2および3に示す。
Figure 2010013712
Figure 2010013712
表2の結果から、本発明の実施例に相当するNo. 1、4〜10、15、16のサンプルは、比較例に相当するNo. 11〜14、17のサンプルと比較して、内輪の最大荷重が大きいため割れにくく、L10寿命も長いことが分かる。
また、表3の結果から、本発明の実施例に相当するNo. 18と19のサンプルは、比較例に相当するNo. 20のサンプルと比較して、内輪の最大荷重が大きいため割れにくいことが分かる。
[第2実施形態]
表1の鋼種Cからなり、直径10mmで長さが15mmの円柱に対して、第1実施形態の内輪に対して施した熱処理と同じ熱処理と仕上げ加工を行って、円筒ころのサンプルNo. 21〜23を得た。また、表1の鋼種Cからなり、直径15mmで長さが20mmの円柱に対して、第1実施形態の内輪に対して施した熱処理と同じ熱処理と仕上げ加工を行って、円筒ころのサンプルNo. 24、25を得た。
得られた各サンプルの円筒ころについて、表面から深さ10μmの範囲の炭素含有率〔C〕と窒素含有率〔N〕をEPMAを用いた定量分析で測定した。また、表面から深さ10μmの範囲の窒化物と炭窒化物の合計存在率を第1実施形態と同じ方法で測定した。
また、表面から深さ10μmまでの範囲(a) と、表面からの深さが10μmより深く30μmまでの範囲(b) と、表面からの深さが30μmより深く50μm以下範囲(c) での、1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の合計存在率を、第1実施形態の範囲(1) 〜(3) についての方法と同様の方法で測定した。
これらの結果を下記の表4に示す。
また、これらのサンプルについて静的割れ試験を行った。この試験は、図3に示すように、水平な台の上に、円筒ころ4の同じサンプルを3つ重ねて置き、鉛直方向から荷重を加えて何れかの円筒ころ4に割れが生じる最大荷重を測定した。そして、各サンプルの最大荷重についてNo. 21と22はNo. 23の最大荷重を「1」とした相対値を、No. 24はNo. 25の最大荷重を「1」とした相対値を算出した。その結果も下記の表4に示す。
Figure 2010013712
この結果から、本発明の実施例に相当するNo. 21、22のサンプルは、比較例に相当するNo. 23のサンプルと比較して、内輪の最大荷重が大きいため割れにくいことが分かる。また、本発明の実施例に相当するNo. 24のサンプルは、比較例に相当するNo. 25のサンプルと比較して、内輪の最大荷重が大きいため割れにくいことが分かる。
[第3実施形態]
環状体の軸方向一端面を軌道面とする転がり軸受としては、図4に示すスラストころ軸受が挙げられる。この軸受は、軸を挿入する筒状部11aを備えた内輪11と、この筒状部11aが遊嵌される円穴12aを有する円板状の外輪12と、円筒状のころ13と、保持器14とで構成されている。内輪11の円板部の内面(環状体の軸方向一端面)11bが内輪軌道面に相当し、円板状の外輪12の内面(環状体の軸方向一端面)12bが外輪軌道面に相当する。
このような円板状の軌道輪の割れやすさを調べるために、内径40mm、外径60mm、厚さが2mmの円環体と、内径40mm、外径60mm、厚さが3mmの円環体を用意した。先ず、表1の鋼種Cで各寸法の円環体を作製した後、第1実施形態の内輪に対して施した熱処理と同じ熱処理と仕上げ加工を行って、No. 26〜33の円環体を得た。なお、炉内のアンモニア(NH3 )ガス濃度は、表5に示すようにサンプル毎に変えた。No. 26〜31は厚さが3mmの円環体であり、No. 32と33は厚さが2mmの円環体である。
得られた各サンプルについて、表面から深さ10μmの範囲の炭素含有率〔C〕と窒素含有率〔N〕をEPMAを用いた定量分析で測定した。また、表面から深さ10μmの範囲の窒化物と炭窒化物の合計存在率を第1実施形態と同じ方法で測定した。
また、表面から深さ0.005T(厚さ3mmの環状体で15μm、厚さ2mmの環状体で10μm)までの範囲(表では、表面からの深さをXで示し、t=0.001Tとして、この範囲をX≦5tと表記):範囲(1) と、表面からの深さが0.005Tより深く0.010T(厚さ3mmの環状体で30μm、厚さ2mmの環状体で20μm)までの範囲(この範囲を表では5t<X≦10tと表記):範囲(2) と、表面からの深さが0.010Tより深く0.015T(厚さ3mmの環状体で45μm、厚さ2mmの環状体で30μm)までの範囲(この範囲を表では10t<X≦15tと表記):範囲(3) での、1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の合計存在率は、第1実施形態の範囲(1) 〜(3) についての方法と同様の方法で測定した。
これらの結果を下記の表5に示す。
また、これらの円環体について、図5に示す方法で静的割れ試験を行った。図5(a)はこの試験を説明する正面図であり、図5(b)は平面図である。
この試験は、図5に示すように、水平な台の上に、所定の間隔を開けて二本の丸棒材6を平行に配置し、その上に円環体5を載せて、この環状体5の上に、下の二本の丸棒材6と同じものを、これらと平行で円環体5の直径に沿うように載せ、上側の丸棒材6に鉛直方向から荷重を加え、円環体5に割れが生じる最大荷重を測定した。そして、各サンプルの最大荷重についてNo. 26〜30はNo. 31の最大荷重を「1」とした相対値を、No. 32はNo. 33の最大荷重を「1」とした相対値を算出した。その結果も下記の表5に示す。
Figure 2010013712
この結果から、厚さ3mmの環状体では、本発明の実施例に相当するNo. 26〜29のサンプルが、比較例に相当するNo. 30、31のサンプルと比較して、最大荷重が大きく、環状体が割れ難いことが分かる。また、厚さ2mmの環状体では、本発明の実施例に相当するNo.32のサンプルは、比較例に相当するNo. 33のサンプルと比較して、最大荷重が大きく、環状体が割れ難いことが分かる。
[浸炭窒化時の炉内アンモニア濃度について]
第1〜第3実施形態の各サンプルの結果を、浸炭窒化時の炉内アンモニア濃度を横軸、表面から10μmまでの深さの窒化物および炭窒化物の合計存在率を縦軸としたグラフにまとめた。このグラフを図6に示す。
このグラフでは、炉内アンモニア(NH3 )濃度が0.20体積%以上であると、表面から10μmまでの深さの窒化物および炭窒化物の合計存在率が0.5面積%以上になっている。よって、表面から10μmまでの深さの窒化物および炭窒化物の合計存在率を0.5面積%以上にするためには、炉内アンモニア(NH3 )濃度を0.20体積%以上とすることが好ましい。
また、炉内アンモニア(NH3 )濃度が1.00体積%を超えると、表面から10μmまでの深さの窒化物および炭窒化物の合計存在率の上昇度合いが飽和しているため、コストの観点から炉内アンモニア(NH3 )濃度を1.50体積%以下にすることが好ましく、より好ましくは1.00体積%以下にする。
第1実施形態で軌道輪の試験のために用いた転がり軸受を示す断面図である。 第1実施形態で行った内輪の割れ試験の方法を説明する図である。 第2実施形態で行った円筒ころの割れ試験の方法を説明する図である。 第3実施形態で軌道輪の試験のために用いたスラストころ軸受を示す断面図である。 第3実施形態で行った円環体の割れ試験の方法を説明する正面図(a)と平面図(b)である。 第1〜第3実施形態の各サンプルの結果を示す、浸炭窒化時の炉内アンモニア濃度を横軸、表面から10μmまでの深さの窒化物および炭窒化物の合計存在率を縦軸としたグラフである。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 玉(転動体)
11 内輪
11a 筒状部
11b 内輪軌道面
12 外輪
12a 円穴
12b 外輪軌道面
13 円筒ころ(転動体)
14 保持器
5 円環体
6 丸棒材

Claims (3)

  1. 環状体の内周面または外周面を軌道面とする転がり軸受の軌道輪であって、
    合金鋼からなり、
    表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率が0.9質量%以上1.6質量%以下であり、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率が合計で0.5面積%以上であり、
    表面から0.006T(Tは径方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率が1.0面積%以下である転がり軸受の軌道輪。
  2. 環状体の軸方向一端面を軌道面とする転がり軸受の軌道輪であって、
    合金鋼からなり、
    表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率が0.9質量%以上1.6質量%以下であり、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率が合計で0.5面積%以上であり、
    表面から0.01T(Tは軸方向で最も厚い部分の厚さ)の深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率が1.0面積%以下である転がり軸受の軌道輪。
  3. 合金鋼からなり、
    表面から10μmの深さまでの範囲で、炭素と窒素の合計含有率が0.9質量%以上1.6質量%以下であり、窒化物と炭窒化物の単位面積当りの存在率が合計で0.5面積%以上であり、
    表面から10μmの深さまでの範囲で、断面積が1μm2 以上の炭化物、窒化物、および炭窒化物の単位面積当りの合計存在率が1.0面積%以下である転がり軸受の転動体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0578814A (ja) * 1991-09-19 1993-03-30 Nippon Seiko Kk 転がり軸受
JP2007056940A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Nsk Ltd スラスト針状ころ軸受

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