JP2010012178A - 内視鏡用磁気アンカー誘導装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象物B内部の対象部位を把持する把持部材40と接続する磁性材料からなる磁気アンカー30に磁力を及ぼすことにより、磁気アンカーを対象部位に対して移動させる磁気アンカー誘導装置10Aであって、内視鏡が挿通可能なオーバーチューブ11と、オーバチューブに設けた磁気アンカーを吸引する磁力を発生する磁力発生装置12と、を備える。
【選択図】図16
Description
磁気アンカーが患部に対して移動すると把持部材によって把持されている患部が磁気アンカー側に持ち上げられるので、処置具によって患部を簡単に切除可能になる。
しかし、大きな磁力を発生可能とするためには磁力発生装置を大型化する必要があるので、磁力発生装置の製造コストが高くなってしまう。
さらに、磁気アンカーの吸引方向を変えるためには、患者の体位を変えたり、ベッドを移動させたりする必要があるので、術者や患者の負担が大きかった。
また、磁力発生装置と磁気アンカーの距離が近くなるので、体外に配置した大型の磁力発生装置を用いる場合に比べて磁気アンカーの吸引制御が容易である。
さらに、磁気アンカーを磁力発生装置に吸着させた場合は、磁気アンカーの移動制御をより正確に行うことができる。
図1及び図2には磁気アンカー誘導装置10Aが示してある。磁気アンカー誘導装置10Aは、ゴム等の弾性材料からなりかつ筒状をなすオーバーチューブ11の先端部に、両端が開口する筒状をなす永久磁石12を固定したものである。図2に示すように、オーバーチューブ11の内周面の先端部には金属製の筒状部材である連結部材13が嵌合固定してあり、連結部材13の外周面におけるオーバーチューブ11の先端から突出した部分に永久磁石12を嵌合固定している。図示するように、永久磁石12の両端部の周縁部は面取りしてある。
内視鏡20は、術者が把持する操作部21と、操作部21から延びる挿入部22と、操作部21から挿入部22と反対側に向かって延び、端部にプロセッサ(光源装置兼画像処理装置。図示略)に接続するためのコネクタ部24を有するユニバーサルチューブ23と、を具備している。図8、図9等に示すように、挿入部22の先端面25には、操作部21及び挿入部22の内部に設けた処置具挿通路26の出口開口27が設けてある。さらに先端面25には、一対の照明レンズと、直後(挿入部22の先端部内)に対物レンズと撮像素子(共に図示略)が位置する観察窓と、エア及び洗浄水を送るための送気送水孔と、が設けてある。処置具挿通路26の基端側開口部は、操作部21に突設した処置具挿通用突部28の端面に形成してあり、処置具挿通用突部28にはスリットを形成したゴムキャップ29が被せてある。
略三角錐形状をなす磁気アンカー30は強磁性体(例えば、純鉄、鉄合金のほか、プラチナマグネット、希土類磁石、テルビウム・ディスプロシウム・鉄合金などの磁石)からなるものである。磁気アンカー30の端部には、柔軟性を有しかつ全体として環状をなす連結ひも35の一部が接続(固定)してある。連結ひも35としては、例えば、手術用縫合糸、釣糸、金属製ワイヤを利用可能である。さらに、この連結ひも35には金属等の弾性材料からなる把持部材40が接続してある。
把持部材40は一対の開閉片41を具備している。一対の開閉片41は共に、略平行な基端部42と、基端部42に連なる中間部43と、中間部43に連なる先端把持部44と、を具備している。中間部43における基端部42に連なる部分は第1傾斜部45となっており、先端把持部44における中間部43に連なる部分は第2傾斜部46となっている。さらに、両先端把持部44の先端には互いに対向する把持爪47が設けてある。なお、把持部材40を3枚以上の開閉片41から構成することも可能である。
図示するように、把持部材40の一対の開閉片41の間の隙間には、全体として環状をなしかつ可撓性を有する金属製のループワイヤ49が通してある。このループワイヤ49は、所定の切断力以上の強い力で牽引したときに切断するものである。
磁気アンカー30と一体化した連結ひも35にループワイヤ49及び収納筒部材50を接続して一体化するには、まずスリット54を利用して磁気アンカー30と一体化した連結ひも35を収納筒部材50の内部に通し、テーパ面53の内側を通して収納筒部材50の外部に引き出す。そして、ループワイヤ49と一体化させた把持部材40の一対の開閉片41(把持爪47)の隙間に連結ひも35を通し、さらに収納筒部材50の小径部52側の端面開口部から紐あるいは先端にフック部を備える硬質部材からなる棒を挿入し、紐あるいはフック部を収納筒部材50のテーパ面53側の開口部から突出させる。そして最後に、この紐あるいはフック部をループワイヤ49に引っ掛け、紐あるいは棒を小径部52側の端面方向に引っ張る。すると、図4及び図5に示すように、磁気アンカー30、連結ひも35、ループワイヤ49及び収納筒部材50が一体化する。
この状態からループワイヤ49を把持爪47と反対方向に上記切断力より小さい力で引くと、図6に示すように、把持部材40の一対の第1傾斜部45がテーパ面53に接触することにより互いに近づく方向に弾性変形し、一対の中間部43が内部孔55内に収納される。すると、一対の中間部43が内部孔55の周面に接触することにより互いに近づく方向に弾性変形するので、この動きに連動して一対の先端把持部44が開き、把持部材40は図6に示す全開状態となる。
この状態からループワイヤ49を上記切断力より小さい力でさらに引くと、図7に示すように把持部材40の一対の第2傾斜部46が収納筒部材50の内部に引き込まれる。第2傾斜部46がテーパ面53に接触することにより互いに近づく方向に弾性変形すると、図7に示すように一対の把持爪47が互いに接近するので、把持部材40は再度全閉状態となる。
挿入管61は可撓性を有する筒状部材であり、挿入コイル62は挿入管61の内部に相対移動可能に挿入してある。規制管63は前部をなす大径部64と、後部をなしかつ挿入コイル62の先端部に嵌合固定される小径部65と、を備えている。大径部64の外径は挿入管61の内径より小さく、かつ、挿入コイル62の外径とほぼ同一に設定してある。さらに、大径部64の内径は小径部65の内径及び収納筒部材50の小径部52の外径より大きく設定してあり、大径部64の内周面と小径部65の内周面の接続部には環状段部66が形成してある。
挿入コイル62の内側には、先端にフック部材68を固定した操作ワイヤ69が相対移動可能に配設してある。さらに、挿入管61、挿入コイル62及び操作ワイヤ69の各基端部は、図示を省略した基端側操作部によって互いに軸方向に相対移動可能として結合してある。
まず、局所麻酔を施した患者をベッド上に横たわらせ、患者の口から内視鏡20の挿入部22を挿入し、挿入部22を臓器B内に位置させる(図8等を参照)。次いで、内視鏡20の処置具挿通用突部28から、先端部に注射針を具備するチューブ状の処置具(図示略)を挿入し、その注射針を挿入部22の出口開口27から突出させる。そして、注射針を病変部Xの周辺から臓器壁の粘膜下層に挿入して生理食塩水を注入し、病変部Xを固有筋層から浮き上がらせておく(図8等を参照)。
まず、図9に示すように、内視鏡20の処置具挿通路26に操作装置60を挿通し、挿入管61の先端部を挿入部22の出口開口27から外部に僅かに突出させ、さらに規制管63の先端部を挿入管61の先端部から僅かに突出させる。次いで、上記基端側操作部を操作することにより操作ワイヤ69の先端部に固着したフック部材68を規制管63の前方に突出させる。
次いで、フック部材68の直前にループワイヤ49を位置させ、フック部材68をループワイヤ49に引っ掛ける。そして、上記基端側操作部を操作することによりフック部材68を操作ワイヤ69の基端側に引っ張る。すると把持部材40の一対の第1傾斜部45が収納筒部材50のテーパ面53に接触するので、操作ワイヤ69の牽引力が収納筒部材50に及び、収納筒部材50の小径部52が環状段部66に当接するまで大径部64の内部に引き込まれる(図10参照)。このようにして規制管63の内部に小径部52を収納しても、収納筒部材50のスリット54の前端部は規制管63の大径部64より前方に位置するので(図10等参照)、連結ひも35をスリット54の前端部から外部へ引き出すことができる。
続いて、上記基端側操作部を操作することにより挿入コイル62及び操作ワイヤ69を基端側に引くと、図11に示すように把持部材40及び収納筒部材50が挿入管61の内部に引き込まれ、かつ磁気アンカー30の端部が挿入管61の先端部に嵌合する。
そして、最後に上記基端側操作部を操作することにより挿入管61、挿入コイル62及び操作ワイヤ69を基端側に引くと、図11に示すように磁気アンカー30が処置具挿通路26の出口開口27に嵌合するので、磁気アンカー30、把持部材40、ループワイヤ49及び収納筒部材50からなる一体物と、操作装置60とが内視鏡20と一体になる。
次いで、挿入コイル62、規制管63及び操作ワイヤ69を一体的に移動させることにより把持部材40を病変部Xに近づけて、把持部材40の把持爪47が所望の位置に来たところで操作ワイヤ69を(上記切断力より小さい力で)挿入コイル62及び規制管63に対して相対的に基端側に移動させる。すると、図7及び図13に示すように把持部材40が全閉状態となるので、把持部材40の一対の把持爪47が病変部Xの近傍を把持する(図13参照)。
この状態で、操作ワイヤ69を上記切断力以上の強い力で引くと、図14に示すようにループワイヤ49が切断する。そのため、内視鏡20を収納筒部材50から離れる方向に移動させると、磁気アンカー30、連結ひも35、把持部材40及び収納筒部材50からなる一体物が内視鏡20から完全に分離する(図15参照)。
切除が終わったら、内視鏡20の処置具挿通路26に(高周波メス70の代わりに)把持鉗子(図示略)を挿入し、把持鉗子によって磁気アンカー30、連結ひも35、収納筒部材50のいずれかを把持し、把持部材40を病変部Xの近傍部分から引き離す。そして、内視鏡20を患者Aの体外に引き出すことにより、磁気アンカー30、連結ひも35、把持部材40及び収納筒部材50からなる一体物を切除した病変部Xと共に患者の体外に回収する。そして最後に、切除した部分の縫合、消毒などの処置を行う。
さらに、永久磁石12と磁気アンカー30の距離を近づけることができるので、体外に配置した大型の磁力発生装置を用いる場合に比べて磁気アンカー30を正確かつ容易に移動制御可能である。
しかも、磁気アンカー30の吸引方向を変えるときに、患者の体位を変えたり、ベッドを移動させる必要がないので、患者や術者の負担は小さい。
例えば、図17に示すように長めの連結ひも35を利用することにより、連結ひも35を緊張させた状態で磁気アンカー30を永久磁石12に吸着させてもよい。このようにすると、臓器B内において永久磁石12と磁気アンカー30が一緒に移動するので、磁気アンカー30をより正確に移動制御できるようになる。
この磁気アンカー誘導装置10Cのオーバーチューブ90は、硬質材料(例えば樹脂材料)からなるベース管91と、同じく硬質材料(例えば樹脂材料)からなりベース管91の外周面にスライド自在に嵌合したスライド管92と、を備えている。ベース管91の表面には指標(目盛り)93が付してあり、かつ、ベース管91とスライド管92の間にはスライド管92がベース管91から脱落するのを防止するストッパ機構が設けてある。さらに、スライド管92の先端面には両端が開口するゴム管94の一端が固定してあり、ゴム管94の外周面の先端部には永久磁石12が固定してある。
図20に示すように、この磁気アンカー誘導装置10Cの内部に内視鏡20の挿入部22を通し、ベース管91の基端部を挿入部22の基端部(折れ止めゴム)に固定状態で嵌合すると、挿入部22の先端部が永久磁石12の先端開口部から突出する。そして、このように一体化した内視鏡20の挿入部22と磁気アンカー誘導装置10Cのゴム管94を患者の体内に挿入し、患者の体外においてスライド管92をベース管91に対してスライドさせれば、永久磁石12を所望の位置に移動させることが可能である。しかも、ベース管91に指標93を付したことにより、術者はスライド管92のベース管91に対するスライド量を把握できるので、術者は患者の体内に位置する永久磁石12を所望の位置に正確に移動させることが可能である。
さらに、上記実施形態及び各変形例における永久磁石や電磁石(コイル)の数に制限はなく、一つでも複数でもよい。
11 オーバーチューブ
12 永久磁石(磁力発生装置)
13 連結部材
20 内視鏡
21 操作部
22 挿入部
23 ユニバーサルチューブ
24 コネクタ部
25 先端面
26 処置具挿通路
27 処置具挿通路の出口開口
28 処置具挿通用突部
29 ゴムキャップ
30 磁気アンカー
35 連結ひも(連結部材)
40 把持部材
41 開閉片
42 基端部
43 中間部
44 先端把持部
45 第1傾斜部(第1接触部)
46 第2傾斜部
47 把持爪
49 ループワイヤ
50 収納筒部材
51 大径部
52 小径部
53 テーパ面
54 スリット
55 内部孔
60 操作装置
61 挿入管
62 挿入コイル
63 規制管
64 大径部
65 小径部
66 環状段部
68 フック部材
69 操作ワイヤ(牽引部材)
70 高周波メス
71 先端部
80 内視鏡
81 磁力発生部
82 コイル(電磁石)(磁力発生装置)
90 オーバーチューブ
91 ベース管
92 スライド管
93 指標
94 ゴム管
B 臓器(対象物)
X 病変部(対象部位)
Claims (7)
- 対象物内部の対象部位を把持する把持部材と接続する磁性材料からなる磁気アンカーに磁力を及ぼすことにより、該磁気アンカーを上記対象部位に対して移動させる磁気アンカー誘導装置であって、
内視鏡の挿入部が挿通可能なオーバーチューブと、
該オーバチューブに設けた、上記磁気アンカーを吸引する磁力を発生する磁力発生装置と、
を備えることを特徴とする内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 請求項1記載の内視鏡用磁気アンカー誘導装置において、
上記磁力発生装置を上記オーバーチューブに固定した内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 対象物内部の対象部位を把持する把持部材と接続する磁性材料からなる磁気アンカーに磁力を及ぼすことにより、該磁気アンカーを上記対象部位に対して移動させる磁気アンカー誘導装置であって、
内視鏡と、
該内視鏡の挿入部に設けた、上記磁気アンカーを吸引する磁力を発生する磁力発生装置と、
を備えることを特徴とする内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 請求項3記載の内視鏡用磁気アンカー誘導装置において、
上記磁力発生装置を上記挿入部に固定した内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 請求項1から4のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー誘導装置において、
上記磁力発生装置が永久磁石である内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 請求項1から4のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー誘導装置において、
上記磁力発生装置が電磁石である内視鏡用磁気アンカー誘導装置。 - 請求項5または6に記載の内視鏡用磁気アンカー誘導装置において、
上記磁力発生装置を複数持つ内視鏡用磁気アンカー誘導装置。
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