以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるファクシミリ装置1の模式的な断面図である。ファクシミリ装置1は、自動原稿送り装置2と、スキャナ装置3と、レーザプリンタ4と、給紙トレイ部5と、無線タグリーダ・ライタ15とを有する。ファクシミリ装置1によれば、自動原稿送り装置2に、読み取り対象の原稿Pがセットされ、ユーザにより図示しないスタートキーが押下されると、自動原稿送り装置2によって原稿Pが1ページずつ送られて、スキャナ装置3により読み取られ、その読み取りにより得られた原稿データが、ファクシミリ装置1から外部装置に対して送信される。
スキャナ装置3は、ガラス板3aの直下に、ガラス板3aに当接させた原稿の画像面を読み取るためのライン型の密着型イメージセンサ3bが設けられて構成されている。このスキャナ装置3は、自動原稿送り装置2により送られる原稿Pの画像面を読み取ることにより、原稿データを取得する。スキャナ装置3により読み取られた原稿Pは、図示しない排紙部へ排紙される。
レーザプリンタ4は、イエローのトナーを収納したYステーション42、マゼンダのトナーを収納したMステーション43、シアンのトナーを収納したCステーション44およびブラックのトナーを収納したKステーション45を備えると共に、これら各ステーションのトナーを転写ドラム35に受け渡すための中間転写ベルト36や、定着用ローラ37を備え、給紙トレイ部5から給紙された記録用紙に、外部装置から受信したファクシミリデータに基づく画像を形成する。このレーザプリンタ4により画像が形成された記録用紙は、排紙スタッカ39へ排紙される。
無線タグリーダ・ライタ15は、原稿台2aに載置された原稿に付加された無線タグと、アンテナを介して情報のやり取りを行うことにより、その無線タグに情報を書き込み、または無線タグが保持する情報を読み出す。
ファクシミリ装置1は、予約された送信開始日時にファクシミリ送信を実行するタイマー送信機能を備える。そして、ファクシミリ装置1は、送信開始日時(特許請求の範囲に記載の開始条件、送信日時の一例)を登録する際には、その送信開始日時にファクシミリ送信すべき対象原稿Pに付加された無線タグに対し、無線タグリーダ・ライタ15により原稿管理情報を書き込む。また、タイマー送信機能の実行時には、原稿の無線タグに保持させた原稿管理情報を利用することにより、誤った原稿がファクシミリ送信されることを防止するのであるが、詳細は後述する。
図2は、ファクシミリ装置1の電気的構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置1には、上述したスキャナ装置3、レーザプリンタ4、無線タグリーダ・ライタ15に加え、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、「NCU」と称する)19、モデム20、バッファ21、符号化部23、復号化部24、操作パネル26、アンプ27が備えられ、これらはバスライン25を介して接続されている。
ファクシミリ装置1のCPU11は、バスライン25により接続された装置各部を制御してファクシミリ送受信を実行するものである。ROM12は、このファクシミリ装置1で実行される制御プログラム121を格納した書換不能なメモリである。この制御プログラム121に従って、図5から図7のフローチャートに示す処理が実行されるが、処理の詳細は後述する。
RAM13は、ファクシミリ装置1の各動作の実行時に、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリであり、無線タグ情報メモリ131が設けられる。無線タグ情報メモリ131は、原稿台2aに載置された読み取り原稿Pの無線タグが保持する情報を、無線タグリーダ・ライタ15で読み取ることにより得た情報を格納するメモリである。
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであって、タイマー送信管理部141を備える。タイマー送信管理部141については、図3を参照して後述する。
モデム20は、ファクシミリデータを変調・復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信するものであり、バッファ21は、相手先の装置との間で送受信される符号化されたファクシミリデータを含むデータを一時的に格納するものである。
符号化部23はファクシミリデータの符号化を行うものである。復号化部24は、バッファ21に記憶された受信データを読み出して、これを復号化するものである。アンプ27にはスピーカ28が接続され、呼出音などをこのスピーカ28から出力するためのものである。
このように構成されたファクシミリ装置1は、NCU19を介して、電話回線31に接続されている。この電話回線31は、本ファクシミリ装置1の交換機29に接続され、この交換機29は電話回線32を介して、相手先装置側の交換機に接続され、更に電話回線を介して相手先装置に接続されている。
図3は、タイマー送信管理部141の構成を模式的に示す図である。図3に示すように、タイマー送信管理部141は、タイマー送信機能によるファクシミリ送信の実行開始時刻を指定する送信開始日時に、FAX送信先と、指定枚数と、管理番号とを対応付けて記憶するメモリである。なお、送信開始日時が、特許請求の範囲に記載の開始条件に相当する。
ユーザが、タイマー送信機能でファクシミリ送信したい原稿を、原稿台2aに載置し、操作パネル26(図2参照)から、FAX送信先、送信開始日時、指定枚数とを入力すると、ファクシミリ装置1は、入力されたこれらの情報をタイマー送信管理部141に登録する。なお、FAX送信先、送信開始日時、指定枚数、管理番号からなる情報を、以下、「タイマー予約設定」と称する。ファクシミリ装置1は、タイマー送信管理部141に登録されたタイマー予約設定に従ってファクシミリ送信を実行する。
タイマー予約設定の登録時、ファクシミリ装置1は、登録するタイマー予約設定に関連付けられた原稿管理情報を生成し、原稿台2aに載置された原稿の無線タグに、無線タグリーダ・ライタ15を介して保持させる。
図4は、原稿Pの無線タグに保持させる原稿管理情報を説明する図である。図4に示すように、FAX送信先および送信開始日時を含む原稿管理情報が、原稿台2aに載置された原稿Pの無線タグに書き込まれる。このようにすれば、タイマー送信管理部141で管理されるタイマー予約設定と、その予約設定で送信すべき対象原稿とを、FAX送信先と送信開始日時とで関連付けることができるのである。
そして、ファクシミリ装置1は、タイマー送信によるファクシミリ送信の実行開始前に、原稿台2aに載置された原稿Pの無線タグが保持する原稿管理情報を読み取り、その読み取った原稿管理情報に基づいて、原稿Pがタイマー送信によるファクシミリ送信の対象原稿であるか否かを判断する。具体的処理の詳細は後述する。
なお、原稿Pは、無線タグが予め付加された無線タグ付きの記録用紙か、あるいは無線タグ無しの通常の記録用紙のいずれかで構成されるが、第1実施形態においては、タイマー送信の対象原稿のうち、少なくともフロントページの原稿Pには、無線タグ付きの記録用紙が用いられているものとして説明する。
図5は、ファクシミリ装置1が実行するメイン処理(S2)を示すフローチャートである。ファクシミリ装置1は、このメイン処理(S2)を定期的に実行する。
まず、タイマー予約設定の登録がユーザから指示されたか否かを判断する(S4)。S4の判断が肯定される場合(S4:Yes)、タイマー予約設定を登録するタイマー送信の登録処理(S6)を実行し、処理を終了する。タイマー送信の登録処理(S6)については、図6を参照して後述する。
一方、S4の判断が否定される場合(S4:No)、次に、タイマー送信管理部141(図3参照)に、未処理の送信開始日時が蓄積されているか否かを判断する(S8)。S8の判断が肯定される場合(S8:Yes)、現在の日時が、タイマー送信管理部141に記憶された送信開始日時のいずれかに到達したか否かを判断する(S12)。すなわち、タイマー送信管理部141に記憶される送信開始日時のうち、いずれかが成立するかを判断する。そして、S12の判断が肯定される場合は、タイマー送信処理(S14)を実行し、処理を終了する。なお、タイマー送信処理(S14)の詳細は、図7を参照して後述する。
また、S8またはS12のうち、いずれかの判断が否定される場合(S8:NoまたはS12:No)、メイン処理を終了する。
図6は、タイマー送信の登録処理(S6)を示すフローチャートである。このタイマー送信の登録処理(S6)は、ユーザ入力に基づくタイマー予約設定をタイマー送信管理部141(図3参照)に設定すると共に、原稿台2aに載置された原稿Pの無線タグに、原稿管理情報を保持させる処理である。
なお、タイマー送信の登録処理(S6)の実行に先立ち、ユーザは、原稿台2aに載置された他の原稿Pを一旦取り除き、新規に登録しようとするタイマー予約設定の対象原稿のみを、原稿台2aに載置する。
図6に示すように、タイマー送信の登録処理(S6)では、ユーザが入力した送信開始日時、FAX送信先、指定枚数を、タイマー送信管理部141(図3参照)の同一の管理番号に対応付けて登録する(S64,S66,S68)。
そして、ユーザが入力した送信開始日時とFAX送信先とを含む原稿管理情報を生成し、原稿台2aに載置された原稿Pのフロントページの無線タグに書き込み、保持させる(S69)。具体的には、原稿台2aに載置された原稿Pのフロントページを自動原稿送り装置2により引き込み、無線タグリーダ・ライタ15により、その原稿Pの無線タグに原稿管理情報を書き込む。
タイマー送信の登録処理(S6)によれば、送信開始日時などをタイマー送信管理部141に登録することができると共に、新たに登録されたタイマー予約設定と、そのタイマー予約設定でファクシミリ送信すべき対象原稿とを、無線タグからの原稿管理情報により関連付けることができる。
図7は、タイマー送信処理(S14)を示すフローチャートである。このタイマー送信処理(S14)では、原稿台2aに載置された原稿Pが、タイマー送信によるファクシミリ送信の対象原稿であるか否かを判断し、対象原稿である場合はファクシミリ送信を実行する一方で、対象原稿ではない場合は、ファクシミリ送信を禁止する処理である。
なお、このタイマー送信処理(S14)は、タイマー送信管理部141に記憶されたいずれかの送信開始日時に、現在の日時が到達した場合に実行されるが、現在の日時が到達した、と判断された送信開始日時を、以下、「該当する送信開始日時」と称することとする。この該当する送信開始日時は、特許請求の範囲に記載の「一の開始条件」の一例に相当する。
まず、原稿台2aに載置された原稿Pに無線タグが付加されているか否かを判断する(S142)。S142の判断が否定される場合(S142:No)、タイマー送信の自動取り消しをユーザに通知し(S154)、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定をタイマー送信管理部141から取り消す(S156)。上述したように、タイマー送信によるファクシミリ送信対象の原稿Pには、その無線タグに原稿管理情報を保持させているので、原稿台2aに載置された原稿Pに無線タグが付加されていない場合、その原稿Pは、タイマー送信の対象原稿ではないと判断することができる。よって、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定を取り消すことにより、タイマー送信機能による原稿Pの送信を禁止し、誤送信を確実に防止することができる。
一方、S142の判断が肯定される場合(S142:Yes)、次に、原稿Pの無線タグから原稿管理情報を読み取り、無線タグ情報メモリ131(図2参照)に記憶する(S144)。そして、読み取った原稿管理情報に含まれる送信開始日時とFAX送信先との組み合わせが、タイマー送信管理部141に記憶された該当する送信開始日時とFAX送信先との組み合わせに等しいか否かを判断する(S146)。すなわち、タイマー送信機能によるファクシミリ送信の実行前に、原稿台2aに載置された原稿Pから、その原稿Pに付加された無線タグが保持する情報を読み取り、その読み取った情報に基づいて、原稿Pが、タイマー送信機能により実行されるファクシミリ送信の対象原稿か否かを判断するのである。
S146の判断が否定される場合(S146:No)、すなわち、原稿台2aに載置された原稿Pの送信開始日時またはFAX送信先が、該当する送信開始日時、またはその送信開始日時に対応するFAX送信先と不一致であって、ファクシミリ送信の対象原稿ではないと判断される場合、タイマー送信の自動取り消しを示す通知を、例えば操作パネル26(図2参照)に表示し(S152)、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定を取り消す(S156)。すなわち、タイマー送信機能により実行されるファクシミリ送信の対象原稿ではないと判断された原稿Pが、ファクシミリ送信されることを禁止する。このようにすれば、送信開始日時に送信対象ではない原稿Pが原稿台2aに載置されている場合においても、原稿Pの誤送信を抑制することができる。
一方、S146の判断が肯定される場合(S146:Yes)、次に、該当する送信開始日時に対応づけて記憶された指定枚数を、タイマー送信管理部141(図3参照)から取得する(S148)。そして、ダイヤルし、取得した指定枚数分の原稿Pを読み取りながら、予約されたファクシミリ送信を実行する(S150)。すなわち、無線タグが保持する原稿管理情報に基づいて、タイマー送信の対象原稿であると判断された1枚の原稿Pと連続して原稿台2aに積層されている指定枚数分の原稿Pを、ファクシミリ送信の対象原稿として判断し、送信する。複数ページから構成される1セットの原稿Pは、原稿台2aにおいて連続して積層されている可能性が高いため、このようにすれば、対象原稿が複数ページからなる場合であっても、フロントページのみの無線タグからの情報で、適切な判断をすることができる。
また、該当する送信開始日時に送信すべき原稿Pに重ねて、送信対象外の原稿Pが載置されていたとしても、該当する送信開始日時に送信すべき原稿Pのみをファクシミリ送信することができる。
さらに、無線タグが付加された記録用紙は、無線タグ無しの記録用紙よりも高価となる場合があるが、本実施形態の判断条件によれば、送信対象原稿のうちフロントページのみ無線タグが付加された記録用紙が用いられていれば良いので、無線タグ付き記録用紙の使用を極力抑えることができる。
そして、S156の処理に移行し、タイマー送信管理部141から、該当する送信開始日時を含むファクシミリ送信条件を削除し(S156)、処理を終了する。
タイマー送信処理(S14)によれば、タイマー送信機能による送信対象の原稿Pの無線タグが、送信開始日時を含む原稿管理情報を保持しているため、タイマー送信管理部141に登録された送信開始日時の各々について、その送信開始日時に適合した対象原稿であるか否かを判断することができる。
次に、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、タイマー送信による送信対象原稿のうち、1ページの原稿Pに無線タグが付加されているものとして説明した。これに対し、第2実施形態では、送信対象原稿の各ページに無線タグが付加されているものとして説明する。
なお、第2実施形態におけるファクシミリ装置1の構成を示す模式的な断面図と電気的ブロック図とは、第1実施形態のファクシミリ装置1と同一となるため、図示および説明を省略する。
図8は、第2実施形態のファクシミリ装置1において実行されるメイン処理(S22)を示すフローチャートである。このメイン処理(S22)は、第1実施形態のファクシミリ装置1のメイン処理(S2:図7参照)に代えて実行される。なお、第1実施形態のファクシミリ装置1が実行するメイン処理(S2)には、1種類のタイマー送信処理(S14)が含まれていたのに対し、第2実施形態のファクシミリ装置1が実行するメイン処理(S20)には、タイマー送信処理1(S40)とタイマー送信処理2(S42)との2種類のタイマー送信処理が含まれ、ユーザが予め選択しておいた優先度に関するモードに基づいて、いずれかの送信処理が実行される。
第2実施形態のメイン処理(S22)では、まず、タイマー送信処理1とタイマー送信処理2のいずれを実行するかを規定する、優先度に関するモードの選択が行われたか否かを判断する(S22)。S22の判断が肯定される場合(S22:Yes)、タイマー送信の優先度設定処理を実行する(S24)。タイマー送信の優先度設定処理(S24)の図示および詳細な説明は省略するが、「送信中原稿優先モード」と「次送信優先モード」とのうち、ユーザによりいずれのモードが選択されたかを示すモード情報が、フラッシュメモリ14に記憶される。
S22の判断が否定される場合(S22:No)、次に、タイマー予約設定の登録がユーザから指示されたか否かを判断する(S26)。S26の判断が肯定される場合(S26:Yes)、タイマー送信の登録処理(S28)を実行し、処理を終了する。タイマー送信の登録処理(S28)については、図11を参照して後述する。
一方、S26の判断が否定される場合(S26:No)、次に、タイマー予約設定の解除がユーザから指示されたか否かを判断する(S30)。S30の判断が肯定される場合(S30:Yes)、タイマー送信の解除処理(S32)を実行し、処理を終了する。タイマー送信の解除処理(S32)については、図14を参照して後述する。
次に、タイマー送信管理部141(図3参照)に、未処理の送信開始日時が蓄積されているか否かを判断する(S34)。S34の判断が肯定される場合(S34:Yes)、現在の日時が、タイマー送信管理部141に記憶された送信開始日時のいずれかに到達したか否か(すなわち、開始条件のうち、いずれかが成立したか否か)を判断する(S36)。
そして、S36の判断が肯定される場合(S36:Yes)、「送信中原稿優先モード」の設定中か否かを判断する(S38)。S38の判断が肯定される場合(S38:Yes)、タイマー送信処理1(S40)を実行し、処理を終了する。一方、S38の判断が否定される場合(S38:No)、タイマー送信処理2(S42)を実行し、処理を終了する。なお、タイマー送信処理1(S40)の詳細は、図9を参照して後述し、タイマー送信処理2(S42)の詳細は、図10を参照して後述する。
図9は、タイマー送信処理1(S40)を示すフローチャートである。タイマー送信処理1(S40)は、原稿台2aに載置された原稿Pを1ページずつ読み取り、ファクシミリ送信の対象原稿であるか否かを判断し、その判断を、指定枚数分の原稿Pが、ファクシミリ送信の対象原稿であると判断されるまでの間、繰り返す処理である。したがって、送信対象の原稿Pと、送信対象外の原稿Pとが混在して原稿台2aに載置されていたとしても、その中から、送信対象の原稿Pのみを抽出してファクシミリ送信することができる。
タイマー送信処理1(S40)では、まず、該当する送信開始日時に対応付けて記憶された指定枚数をタイマー送信管理部141(図3参照)から取得し(S402)、次に、原稿台2aに原稿Pがあるか否かを判断する(S404)。S404の判断が肯定される場合(S404:Yes)、次に、原稿台2aに載置された原稿Pの1ページを自動原稿送り装置2により引き込み、その1ページの原稿Pに無線タグが付加されているか否かを判断する(S406)。
S406の判断が肯定される場合(S406:Yes)、次に、その1ページの原稿Pの無線タグから原稿管理情報を読み取り、無線タグ情報メモリ131(図2参照)に記憶する(S408)。そして、読み取った原稿管理情報に含まれる送信開始日時とFAX送信先との組み合わせが、タイマー送信管理部141に記憶された該当する送信開始日時とFAX送信先との組み合わせに等しいか否かを判断する(S410)。
S410の判断が否定される場合(S410:No)、すなわち、判断対象の1ページの原稿Pの送信開始日時またはFAX送信先が、該当する送信開始日時または対応するFAX送信先と不一致であって、ファクシミリ送信の対象原稿ではないと判断される場合、その1ページの原稿Pを読み取らずに排紙し(S412)、S404の処理に戻り、次の1ページについて判断する。なお、原稿Pに無線タグが付加されておらず、S406の判断が否定される場合も(S406:No)、その1ページの原稿Pを読み取らず排紙し(S412)、S404の処理に戻る。第2実施形態では、送信対象の各ページに無線タグが付加されているという前提であるため、無線タグが付加されていない原稿P、あるいは無線タグが付加されているが、該当する送信開始日時または対応するFAX送信先が格納されてない原稿Pは、送信対象ではないと判断して排紙し、次の1ページの原稿Pを判断対象として処理を繰り返すことができる。
一方、S410の判断が肯定される場合(S410:Yes)、タイマー送信処理1(S40)を開始してから最初に送信する1ページ目の原稿Pであるか否かを判断する(S413)。S413の判断が肯定される場合(S413:Yes)、ダイヤルし(S414)、その1ページの原稿Pを読み取り、ファクシミリ送信する(S416)。なお、S413の判断が否定される場合(S413:No)、S414の処理をスキップする。次に、現時点における送信ページ数と、S402の処理で読み取った指定枚数とが等しいか否かを判断する(S418)。S418の判断が否定される間(S418:No)、S404から処理を繰り返す。
すなわち、該当する送信開始日時に対応付けて記憶された指定枚数分の原稿Pが、ファクシミリ送信の対象原稿であると判断されるまでの間、原稿台2aに載置された原稿Pについて1ページずつ、タイマー送信機能によるファクシミリ送信の対象原稿であるか否かの判断を繰り返す。
このようにして処理を繰り返すうちに、S404の判断が否定される場合(S404:No)、またはS418の判断が肯定される場合(S418:Yes)、タイマー送信管理部141(図3参照)から、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定を取り消し(S420)、処理を終了する。
タイマー送信処理1(S40)によれば、原稿台2aにおいて、送信対象原稿に送信対象ではない原稿Pが混入していても、その混入ページは読み取られず排紙されるため、送信対象でない原稿Pが誤ってファクシミリ送信されてしまうことを抑制できる。また、原稿台2aに載置された原稿Pが引き出される順序における後方に、送信対象原稿が存在していても、その送信対象原稿に至るまで判断を繰り返すことができるため、設定された送信開始日時におけるファクシミリ送信の実行を優先させることができる。
図10は、タイマー送信処理2(S42)を示すフローチャートである。タイマー送信処理2(S42)は、原稿台2aに載置された原稿Pを1ページずつ読み取り、ファクシミリ送信の対象原稿であるか否かを判断する処理を繰り返し、途中1ページでも、送信対象の原稿ではないと判断される原稿Pが存在すると、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定を取り消すように構成されている。なお、タイマー送信処理2(S42)において、図9を参照して説明したタイマー送信処理1(S40)と同一の処理については同一の符号を付して説明を省略する。
タイマー送信処理2(S42)は、1ページの原稿Pの無線タグから原稿管理情報を読み取り、その読み取った原稿管理情報に含まれる送信開始日時とFAX送信先との組み合わせが、該当する送信開始日時と対応するFAX送信先との組み合わせに等しい場合(S410:Yes)、その1ページの原稿Pを読み取り、ファクシミリ送信する(S416)。この点において、タイマー送信処理2(S42)は、図9を参照して説明したタイマー送信処理1(S40)と共通する。
一方、原稿Pに無線タグがない場合(S406:No)、またはS410の判断が否定される場合(S410:No)、タイマー送信処理2(S42)では、タイマー送信の取り消しを通知し(S422)、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定をタイマー送信管理部141(図3参照)から取り消し(S420)、処理を終了する。
タイマー送信処理2(S42)によれば、送信対象原稿よりも先に判断される原稿Pに1ページでも送信対象外の原稿Pが混入していれば、該当する送信開始日時を含むタイマー予約設定が取り消されるので、誤送信を確実に防止することができる。
図11は、タイマー送信の登録処理(S28)を示すフローチャートである。第1実施形態のタイマー登録の送信処理(S6:図6参照)では、送信対象原稿のフロントページのみに原稿管理情報を保持させていたのに対し、図11に示す第2実施形態のタイマー送信の登録処理(S28)では、予約されたファクシミリ送信の対象原稿の各ページの無線タグに、原稿管理情報を保持させる点において第1実施形態と異なっている。以下の説明においては、第2実施形態のタイマー送信の登録処理(S28)に含まれるステップのうち、第1実施形態のタイマー送信の登録処理(S6:図6参照)と同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
なお、第2実施形態のタイマー登録の送信処理(S28)は、タイマー予約設定の新規登録が、ユーザにより指示されたときに実行される処理であるが、タイマー予約設定の新規登録に先立ち、ユーザは、原稿台2aで待機する他の原稿Pを一旦取り除き、新規に登録しようとするタイマー予約設定の対象原稿のみを、原稿台2aに載置するものとする。
第2実施形態のタイマー送信の登録処理(S28)では、まず、送信開始日時およびFAX送信先をタイマー送信管理部141(図3参照)へ登録した後、原稿台2aに載置された原稿Pを1ページ引き込み、その1ページの原稿Pの無線タグに、送信開始日時およびFAX送信先を含む原稿管理情報を書き込み、保持させ、排紙する(S288)。
次に、原稿台2aに原稿Pがあるか否かを判断し(S290)、S290の判断が肯定される間(S290:Yes)、S288から処理を繰り返す。すなわち、次の1ページを引き込み、その無線タグに原稿管理情報を書き込む。このようにして処理を繰り返す間に、原稿台2aに載置された全ての原稿Pの無線タグに、原稿管理情報を書き込むと、S290の判断が肯定されるので(S290:Yes)、次に、原稿管理情報を書き込む処理を行った原稿Pの合計ページ数を指定枚数として、送信開始日時と対応付けてタイマー送信管理部141へ記憶する(S292)。
次に、タイマー送信管理部に、複数件のタイマー予約設定が登録されているか否かを判断する(S294)。S294の判断が肯定される場合(S294:Yes)、原稿セットの支援処理(S296)を実行し、処理を終了する。なお、原稿セットの支援処理(S296)の詳細は、図12を参照して後述する。S294の判断が否定される場合(S294:No)、S296の処理をスキップし、終了する。
図12は、原稿セットの支援処理(S296)を示すフローチャートである。この処理は、実行待ちのタイマー予約設定がタイマー送信管理部141(図3参照)に登録されている状態において、タイマー予約設定が新規登録された場合に実行される処理であって、ユーザによる原稿セットを支援するための処理である。
原稿セットの支援処理(S296)では、まず、原稿台2aに先に積層されていた原稿Pに対して、新規登録されたタイマー予約設定の対象原稿を挿入すべき位置を決定し、その挿入位置を示す挿入位置指示画面50(図13(a)参照)を操作パネル26(図2参照)に表示する(S2962)。具体的には、タイマー送信管理部141に登録済みのタイマー予約設定を、送信開始日時でソートし、その送信開始日時順に従って、新たに予約されたファクシミリ送信の対象原稿を挿入すべき位置を決定し、操作パネル26に表示する。ここで、対象原稿を挿入すべき位置とは、例えば、原稿台2aにおける下から何番目、または上から何番に対象原稿を挿入すべきであるかを示す枚数の情報を意味している。
図13(a)は、S2962の処理によって、操作パネル26に表示される挿入位置指示画面50の一例を示す図である。図13(a)に示すように、挿入位置指示画面50には、送信開始日時が現在の日時から近い順に、タイマー予約設定が下から並べて表示される。このように、送信開始日時でソートしたタイマー予約設定を挿入位置指示画面50に表示すると共に、新規登録されたタイマー予約設定「YYX−X567 12:30 ・・・(以下省略」を、既に予約されていた他のタイマー予約設定と区別して表示することにより、原稿Pの挿入位置を視覚的にユーザに報知することができる。
なお、図13(a)に示すように、ソートされた順序において、新たに予約されたタイマー予約設定が、既に登録されていた他のタイマー予約設定の間に位置する場合、挿入位置指示画面50には、仕分けボタン52と閉じるボタン54とが表示される。ユーザは、操作パネル26のキーを操作することにより、仕分けボタン52または閉じるボタン54のいずれかを選択することができる。
図12に戻り説明する。新たに登録したタイマー予約設定が、送信開始日時順において、既に登録済みのタイマー予約設定の間に位置するか否かを判断し(S2964)、S2964の判断が否定される場合(S2964:No)、原稿セットの支援処理(S296)を終了する。
一方、S2964の判断が肯定される場合(S2964:Yes)、仕分けボタン52と閉じるボタン54とを表示し(S2966)、仕分けボタン52が選択されたか否かを判断する(S2968)。S2968の判断が否定される場合(S2968:No)、原稿セットの支援処理(S296)を終了する。一方、S2968の判断が肯定される場合(S2968:Yes)、次に、セット済み原稿一覧56を表示する(S2970)。
図13(b)は、セット済み原稿一覧56の一例を示す図である。図13(b)に示すように、セット済み原稿一覧56は、タイマー予約設定を新規登録する前に、既に登録されていたタイマー予約設定のみを表示する画面である。
上述したように、新たなタイマー予約設定を登録する場合、ユーザ自身に原稿台2aに待機していた原稿Pを一旦取り除かせ、新たに登録しようとするタイマー予約設定の対象原稿のみを原稿台2aに載置させることにより、その載置された送信対象原稿の無線タグに原稿管理情報を保持させた。したがって、原稿管理情報の書き込み後は、図13(b)に示すようなセット済み原稿一覧56を表示することにより、先に原稿台2aに載置されていた原稿Pを原稿台2aに戻すよう、ユーザに促す。
なお、図13(b)に示すように、セット済み原稿一覧56には、開始ボタン58および閉じるボタン60が設けられる。ユーザは、操作パネル26のキーを操作することにより、開始ボタン58または閉じるボタン60のいずれかを選択することができる。
図12に戻り説明する。次に、開始ボタン58が選択されたか否かを判断する(S2971)。S2971の判断が否定される場合(S2971:No)、原稿セットの支援処理(S296)を終了する。
一方、S2971の判断が肯定される場合(S2971:Yes)、新たに登録されたタイマー予約設定よりも先に送信される分の枚数の原稿Pを、自動原稿送り装置2で引き込み排紙する(S2972)。次に、引き込んで排紙した原稿Pの排出先の位置をスライドする(S2974)。そして、原稿台2aの残りの原稿Pを自動原稿送り装置2で引き込み排紙し(S2976)、処理を終了する。このようにすれば、原稿台2aに載置された原稿Pを自動原稿送り装置2により紙送りするという従来からある構成を利用しつつ、新たに登録したタイマー予約設定の送信対象原稿の挿入位置として決定された位置で、原稿台2aに載置された原稿Pを2セットに仕分けることができる。
よって、原稿セットの支援処理(S296)によれば、ユーザは、その仕分けられた複数セットの間に、新たに登録したタイマー予約設定の対象原稿を挿入するという簡単な作業で、送信順序に対応した適切な順序で、原稿Pを積層させることができる。
図14は、タイマー送信の解除処理(S32)を示すフローチャートである。このタイマー送信の解除処理(S32)は、タイマー予約設定の解除がユーザから指示された場合に実行される処理である。
まず、ユーザにより選択された、解除対象のタイマー予約設定を検索し、タイマー送信管理部141から削除する(S322)。次に、削除後のタイマー送信管理部141に、未だ複数のタイマー予約設定が登録されているかを判断する(S326)。S326の判断が否定される場合(S326:No)、タイマー送信の解除処理(S32)を終了する。この際、タイマー予約設定が削除され、他のタイマー予約設定が登録されていないにもかかわらず、原稿台に原稿がセットされているような場合には、ユーザに原稿を取り除くことを促すメッセージ等の報知を行なうように構成してもよい。
一方、S326の判断が肯定される場合(S326:Yes)、原稿取り出しの支援処理(S328)を実行し、処理を終了する。
図15は、原稿取り出しの支援処理(S328)を示すフローチャートである。図15に示すように、原稿取り出しの支援処理(S328)では、まず、原稿台2aに既に積層されている原稿Pに対して、解除されたタイマー予約設定、すなわち取り消された送信開始日時にファクシミリ送信すべきであった対象原稿が積層されている位置を決定し、その位置を操作パネル26(図2参照)に表示する(S3282)。具体的には、タイマー送信管理部141に登録済みのタイマー予約設定を送信開始日時でソートし、送信開始日時が近い順に下から順番に表示する。ここで、対象原稿を積層されている位置とは、例えば、原稿台2aにおける下から何番目、または下から何番に対象原稿が位置するかを示す枚数の情報を意味している。
図16(a)は、S3282の処理で表示される積層順表示画面62の一例を示す図である。図16(a)に示すように、積層順表示画面62においては、指定枚数を含むタイマー予約設定が、送信開始日時順に並べて表示されると共に、取り消された送信開始日時を含むタイマー予約設定は、表示色を変えることにより区別して表示される。よって、ユーザは、取り除くべき原稿Pが、原稿台2aにおける下から何枚目に位置しているか、あるいは上から何枚目に位置しているかを認識することができる。
なお、積層順表示画面62には、仕分けボタン64と閉じるボタン66とが表示される。ユーザは、操作パネル26のキーを操作することにより、仕分けボタン64または閉じるボタン66のいずれかを選択することができる。
図15に戻り説明する。次に、積層順表示画面62における仕分けボタン64が選択されたか否かを判断する(S3286)。S3286の判断が否定される場合(S3286:No)、原稿取り出しの支援処理(S328)を終了する。一方、S3286の判断が肯定される場合(S3286:Yes)、次に、セット済み原稿一覧68を表示する(S3288)。
図16(b)は、セット済み原稿一覧68の一例を示す図である。図16(b)に示すように、セット済み原稿一覧68は、タイマー予約設定解除前に、タイマー送信管理部141に登録されていたタイマー予約設定を表示する画面であり、開始ボタン70および閉じるボタン72が設けられる。ユーザは、操作パネル26のキーを操作することにより、開始ボタン70または閉じるボタン72のいずれかを選択することができる。
図15に戻り説明する。次に、開始ボタン70が選択されたか否かを判断する(S3290)。S3290の判断が否定される場合(S3290:No)、原稿取り出しの支援処理(S328)を終了する。
一方、S3290の判断が肯定される場合(S3290:Yes)、次に、取り消した送信開始日時よりも早くファクシミリ送信される指定枚数分の原稿Pを、自動原稿送り装置2により引き込み排紙する(S3292)。次に、引き込んで排紙した原稿Pの排出先の位置をスライドする(S3294)。そして、原稿台2aの残りの原稿Pを自動原稿送り装置2で引き込み排紙し(S3296)、処理を終了する。このようにすれば、原稿台2aに載置された原稿Pを自動原稿送り装置2により紙送りするという従来からある構成を利用しつつ、取り出すべき原稿Pの位置で、原稿台2aに載置された原稿Pを2セットに仕分けることができる。従って、取り出すべき原稿Pの先頭(一枚目)を容易に判別でき、予約設定を解除された原稿Pを簡単に取り出すことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、タイマー送信機能の実行時に、本発明を適用する例について説明したが、ポーリング送信機能の実行時においても、同様に本発明を適用することができる。すなわち、受信元からの指令を受け、ポーリング送信を実行しようとする際、ファクシミリ送信の実行前に、原稿台2aに載置された原稿Pから、その原稿Pに付加された無線タグが保持する情報を読み取り、その読み取った情報に基づいて、原稿Pが、ポーリング送信の対象原稿か否かを判断すると共に、ポーリング送信の対象原稿ではないと判断された原稿Pが、ファクシミリ送信されることを禁止するのである。このような変形例においても、上述した実施形態と同様に、誤送信を抑制することができる。
また上記実施形態では、送信開始日時とFAX送信先とを含む原稿管理情報を無線タグに書き込むことにより、タイマー送信管理部141に記憶されたタイマー予約設定と原稿Pとを関連付けていたが、タイマー予約設定と原稿Pとを関連付ける具体的手段は、これには限られない。例えば、無線タグに原稿管理情報を書き込むことに代えて、無線タグが予め保持するIDを読み取り、そのIDを、タイマー送信管理部141に登録されたタイマー予約設定に関連付けることにより、両者を関連付けても良い。
また、原稿管理情報には、送信開始日時とFAX送信先以外の情報を含めても良い。例えば、送信対象原稿の何ページ目であるかを示すページ情報を、原稿管理情報に含めても良い。このようにすれば、送信対象のページの各々について、送信対象の1セットの原稿Pにおける何ページ目の原稿Pであるかを、ファクシミリ装置1が認識することができるから、例えば、ページの欠落があった場合にはファクシミリ送信を禁止するなど、適切な処理を取ることができる。