JP2010010273A - 窒化チタン除去液、窒化チタン被膜の除去方法、及び窒化チタン除去液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】10〜40質量%の過酸化水素と、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドとを含有し、25℃におけるpHが6.0〜8.2である窒化チタン除去液を使用する。
【選択図】なし
Description
本発明の窒化チタン除去液は、10〜40質量%の過酸化水素とテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドとを含有し、25℃におけるpHが6.0〜8.2である水溶液である。この窒化チタン除去液は、銅を含む層と、高誘電率層又は低誘電率層とを有する半導体多層積層体にエッチングマスクとして形成された窒化チタン被膜を除去する際に、好適に用いることができる。以下、本発明の窒化チタン除去液に含有される各成分について詳細に説明する。
本発明の窒化チタン除去液は、過酸化水素を含む。過酸化水素は、窒化チタン被膜中のチタンをチタニルイオン(TiO2+)に酸化することで、窒化チタンを溶解する。このような作用により窒化チタン膜のエッチングが進行する。
本発明の窒化チタン除去液は、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含有する。テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドは、窒化チタン除去液をアルカリ性に保つので、過酸化水素による窒化チタンの除去を促進する作用を有し、また後述するキレート剤を窒化チタン除去液に溶解させるという作用も有する。さらに、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドは、他の無機アルカリ性物質と異なり金属イオンを含まない。このため、後述するように、窒化チタン除去工程後に残留金属イオンの問題を生じさせず、本発明の用途に好ましい。
本発明の窒化チタン除去液は、錯化剤を含有することが好ましい。錯化剤は、窒化チタンの溶解により遊離されたチタニウムイオンを捕捉することができるので、窒化チタン除去液の寿命を延ばし、半導体多層積層体の窒化チタン被膜のエッチング処理枚数を増大させる。さらに、錯化剤は、窒化チタン除去液の窒化チタンのエッチング速度を安定化させる効果がある。エッチング速度を安定化することにより、窒化チタンの除去工程を一定時間で安定して行うことができる。なお、エッチング速度が遅くなる場合には窒化チタンの除去工程の時間を延ばす必要があり、逆にエッチング速度が速くなる場合には窒化チタン以外の層へのダメージならびに処理時の安全性を考慮する必要が出てくる。錯化剤としては、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ニトリロ三酢酸、ビシンコニン酸等が例示され、これらの中でもエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好ましく使用される。一般に、錯化剤は、例えばEDTA・4Naのように中和されて金属塩を形成しているものと、EDTAのように金属塩を形成していないものとが入手可能であるが、本発明で使用される錯化剤としては、金属塩を形成していないものが好ましく使用される。なぜなら、微細な配線を有する半導体回路上に金属イオンが残留すると半導体回路内における短絡の原因となり、半導体素子の歩留まり低下につながるおそれがあるためである。なお、錯化剤が塩を形成していたとしても、例えばアンモニウム塩のように金属イオンを含まないものであれば、使用することが可能である。
本発明の窒化チタン除去液は、有機酸を含有することができる。有機酸は、窒化チタン除去液のpHを調整するのに使用される他、緩衝作用によりpHの急激な変動を抑制するという効果も期待される。有機酸としては、蟻酸、酢酸、グリコール酸、ニコチン酸、シュウ酸、酒石酸、チオリンゴ酸、マロン酸、グルタミン酸、フタル酸、エタンテトラカルボン酸等が例示される。本発明の窒化チタン除去液中に含まれる有機酸の量は0.5〜5.0質量%が好ましい。
本発明の窒化チタン除去液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の成分を含有することができる。このような成分としては、無機酸等が例示される。
次に、本発明の窒化チタン除去液のpHについて説明する。本発明の窒化チタン除去液の25℃におけるpHは、6.0〜8.2、好ましくは7.0〜8.0である。従来の窒化チタンやチタン除去液は、多くがフッ酸などを含有するものであり、酸性を示すものが多かったが、本発明の窒化チタン除去液は、過酸化水素を含有し、弱酸性〜弱アルカリ性を示す点に特徴を有する。従来のフッ酸を含有する酸性度の高い窒化チタン除去液は、腐食性が強いので、窒化チタン被膜を短時間で除去することができる反面、半導体多層積層体に含まれる銅配線や高誘電率物質又は低誘電率物質からなる絶縁膜を侵食し、半導体多層積層体の電気的特性に影響を与えるおそれがあった。これに対して、過酸化水素を含有し、弱酸性〜弱アルカリ性を示す窒化チタン除去液を使用すると、意外なことに、窒化チタンへの除去選択性が高まり、銅や絶縁膜への影響を小さくできることが見出され、本発明を完成するに至った。したがって、本発明の窒化チタン除去液は、過酸化水素を含有し、弱酸性〜弱アルカリ性の領域、とりわけpHが6.0〜8.2となる点に特徴を有する。pHが6.0以上であれば、過酸化水素による窒化チタンの除去を効果的に行うことができ、またpHが8.2以下であれば、保存安定性が向上する他、過酸化水素が過剰に反応することに伴う著しい発泡を抑制することができるので、安定して作業をすることできる。なお、本発明の窒化チタン除去液においては、銅に対する腐食性が高いため、フッ酸を含まないことが好ましい。
また、本発明の窒化チタン除去液は、実質的に金属イオンを含有しないことが好ましい。上述の通り、窒化チタン除去液に金属イオンが含まれていると、窒化チタン被膜のエッチング工程の後で半導体多層積層体に金属イオンが残留するおそれがあり、そのような半導体多層積層体に通電すると、微細な配線を有する半導体回路上の短絡の原因となり、半導体素子の歩留まり低下につながるおそれがあるためである。なお、「実質的に金属イオンを含有しない」とは、窒化チタン除去液の構成成分として金属イオンを含有する成分を積極的に添加しないことを意味しており、成分中に不純物程度の金属イオンが含まれる程度であれば許容される。
本発明の窒化チタン被膜の除去方法は、銅を含む層と、高誘電率層又は低誘電率層とを有する半導体積層体に形成されている窒化チタン被膜に、本発明の窒化チタン除去液を接触させることにより、窒化チタン被膜を除去するものである。ここで、高誘電率層又は低誘電率層とは、半導体多層積層体における絶縁層のことであり、前者は酸化ハフニウム等のhigh−K材料、後者は有機珪素化合物のプラズマCVD法による積層体等のlow−K材料により形成される。
本発明の窒化チタン除去液の製造方法は、10〜40質量%の過酸化水素を含有する溶液と、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含有する溶液とを混合し、25℃におけるpHが6.0〜8.2、好ましくは7.0〜8.0となるように調整するというものである。混合に際しては、通常使用される攪拌機等を使用することが可能である。pHの調整は、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含有する溶液を添加したり、適当な有機酸を添加したりすることによって行われる。上記混合中に、上述の錯化剤を添加することも可能である。
下記表1に示す組成で各成分を混合し、窒化チタン除去液を調製した。括弧内の数値は質量%を表す。また、得られた窒化チタン除去液の25℃におけるpHをpHメーター(「TPX−90Si」(商品名、東興化学株式会社製)、pH4及びpH7の標準液で校正した)で測定し、表1に示した。
[エッチングレートの測定]
シリコンウエハ上に窒化チタン(Ti)、銅(Cu)、酸化ハフニウム(HfO2)、及びP−TEOSをそれぞれ成膜した。窒化チタン及び銅については、シート抵抗測定器(VR−70S、国際電気社製)によりシート抵抗値を測定して膜厚に換算し、酸化ハフニウム及びP−TEOSについては、エリプソンメータにより膜厚を測定した。60℃に加温した実施例1〜5、及び比較例1〜5の窒化チタン除去液中に各基板を所定時間浸漬し、処理前後の膜厚の変化からエッチングレートを求めた。測定結果から算出された各材料のエッチングレート、並びに銅に対する窒化チタンの選択比、酸化ハフニウムに対する窒化チタンの選択比、及びP−TEOSに対する窒化チタンの選択比を表2に示す。
上記エッチングレートの測定中に、窒化チタン除去液の発泡状態を目視により評価した。発泡が全く無いか、実使用に影響が無い程度の泡の発生が観察された場合には○を、実使用に影響を及ぼす程度の発泡が観察された場合には×を、それぞれ表2に示した。
これに対して、過酸化水素の添加量が上記よりも少ない比較例1や比較例4では、窒化チタン被膜のエッチングレートが不足する他、銅、酸化ハフニウム、又はP−TEOSに対する窒化チタンへの選択性が不足することがわかる。また、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを含有しない比較例2では、銅又は酸化ハフニウムに対する窒化チタンの選択性が不足することがわかる。
さらに、窒化チタン被膜のエッチング工程中の発泡という観点からは、pHが8.2を超えると発泡が急激に強くなり、エッチング工程の作業が困難になることが示されている(比較例1及び比較例3)。また、pHが6以上である実施例1〜5は、pHが6未満である比較例5よりも良好なエッチング速度と窒化チタンに対する選択性が得られることもわかった。
また、実施例1および実施例4の窒化チタン除去液について、複数の窒化チタンウエハ片(2cm×4cm×100nm)を100mLで完全に溶解させたときのエッチングレート(nm/min)を測定することにより窒化チタンの処理安定性を検討した。その結果を表3に示す。
Claims (7)
- 銅を含む層と、高誘電率層又は低誘電率層とを有する半導体多層積層体に形成されている窒化チタン被膜を除去する窒化チタン除去液であって、10〜40質量%の過酸化水素と、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドとを含有し、25℃におけるpHが6.0〜8.2である窒化チタン除去液。
- 前記テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドの炭素数が4〜16である請求項1記載の窒化チタン除去液。
- 金属イオンを実質的に含有しない請求項1又は2記載の窒化チタン除去液。
- さらに金属塩を形成していない錯化剤を含有する請求項1から3のいずれか1項記載の窒化チタン除去液。
- 前記金属塩を形成していない錯化剤がエチレンジアミン四酢酸である請求項4記載の窒化チタン除去液。
- 銅を含む層と、高誘電率層又は低誘電率層とを有する半導体多層積層体に形成されている窒化チタン被膜に、請求項1から5のいずれか1項記載の窒化チタン除去液を接触させることを特徴とする窒化チタン被膜の除去方法。
- 銅を含む層と、高誘電率層又は低誘電率層とを有する半導体多層積層体に形成されている窒化チタン被膜を除去する窒化チタン除去液の製造方法であって、10〜40質量%の過酸化水素を含有する溶液と、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含有する溶液とを、25℃におけるpHが6.0〜8.2となるように混合することを特徴とする窒化チタン除去液の製造方法。
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