JP2006060078A - 多段階処理用剥離液およびこれを用いたエッチング残渣物の剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体多層配線構造や液晶パネルなどの表示パネルの配線構造形成工程において形成されるエッチング残渣物を安全に、かつ短時間に効率的に除去することのできる多段階処理用剥離液およびこれを用いた剥離方法を提供する。
【解決手段】エッチング残渣物を剥離するに際し、剥離液として、チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液と、少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液との少なくとも2液を併用する。被エッチング空間に一方の剥離液を作用させ、その後、他方の剥離液を作用させてもよいし、前記少なくとも2種の剥離液を剥離処理開始直前に混合し、この混合剥離液を前記エッチング空間に作用させてもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】エッチング残渣物を剥離するに際し、剥離液として、チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液と、少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液との少なくとも2液を併用する。被エッチング空間に一方の剥離液を作用させ、その後、他方の剥離液を作用させてもよいし、前記少なくとも2種の剥離液を剥離処理開始直前に混合し、この混合剥離液を前記エッチング空間に作用させてもよい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、半導体多層配線構造や液晶パネルなどの表示パネルの配線構造形成工程において形成されるエッチング残渣物を安全に、かつ短時間に効率的に除去することのできる多段階処理用剥離液およびこれを用いたエッチング残渣物の剥離方法に関するものである。
周知のように、半導体集積回路における基本的配線構造は、半導体基板上に直接または間接的に形成された下層配線層と、この下層配線層上に層間絶縁層を介して形成された上層配線層とが、前記層間絶縁層を貫通するように形成されたビア配線によって接続されている構造である。この配線構造を複数化、多層化することによって、半導体集積回路の多層配線構造が形成される。
この配線構造は、半導体基板上に積層する導体層や層間絶縁層などの各層の形成とそれらのエッチングによるパターン化の繰り返しによって、実現している。
前記エッチング処理は、周知のように、主にドライエッチングによる手法が採用されている。ドライエッチングにより配線層、および絶縁層を処理した場合、ドライエッチングにより削られた前記配線層、および絶縁層材料の一部が、そのままの成分あるいは酸化等の変質を受けた状態で、形成されたエッチング空間の側壁や底面に付着する。エッチング空間がビアホールである場合は、配線層の表面を露出したところでエッチング処理が停止されるが、どうしても配線層の表面の幾分かがエッチングされる場合が生じる。そのエッチングされた配線層材料もそのままの成分もしくは化合物化された状態でエッチング空間の側壁や底部に付着する。現在の半導体基板等においては配線層と絶縁層の中間にバリアメタルが形成されており、エッチング残渣物はこれら絶縁層および配線層起因の残渣物とバリアメタル起因の残渣物に大別される。これらの残渣物は、その時のエッチング条件等により量の多少はあるが、エッチング空間内に同時に残留している。また、エッチング空間を形成した後、エッチングを行うためのマスクとして絶縁層の表面にパターン化レジスト層が残存しているので、このレジスト層をアッシング処理により除去するが、その結果、このレジスト層由来の変質膜(残渣物)がエッチング空間内に発生する場合もある。
前記エッチング処理は、周知のように、主にドライエッチングによる手法が採用されている。ドライエッチングにより配線層、および絶縁層を処理した場合、ドライエッチングにより削られた前記配線層、および絶縁層材料の一部が、そのままの成分あるいは酸化等の変質を受けた状態で、形成されたエッチング空間の側壁や底面に付着する。エッチング空間がビアホールである場合は、配線層の表面を露出したところでエッチング処理が停止されるが、どうしても配線層の表面の幾分かがエッチングされる場合が生じる。そのエッチングされた配線層材料もそのままの成分もしくは化合物化された状態でエッチング空間の側壁や底部に付着する。現在の半導体基板等においては配線層と絶縁層の中間にバリアメタルが形成されており、エッチング残渣物はこれら絶縁層および配線層起因の残渣物とバリアメタル起因の残渣物に大別される。これらの残渣物は、その時のエッチング条件等により量の多少はあるが、エッチング空間内に同時に残留している。また、エッチング空間を形成した後、エッチングを行うためのマスクとして絶縁層の表面にパターン化レジスト層が残存しているので、このレジスト層をアッシング処理により除去するが、その結果、このレジスト層由来の変質膜(残渣物)がエッチング空間内に発生する場合もある。
前記エッチング残渣物をそのまま残留させたまま、デバイスの形成工程を進めれば、形成されたビア配線の電気的特性を始めとした物理的特性、化学的特性が大きく損なわれてしまう。そこで、配線形成プロセスでは、エッチング空間形成後に、剥離液を用いて、エッチング空間内の残渣物を剥離除去する工程を必須としている。
従来の剥離液としては、ヒドロキシルアミンを主成分とした剥離液が用いられていた(特許文献1)。このヒドロキシルアミンを主成分とした剥離液は、前記配線層および絶縁層由来のエッチング残渣付着物に対しても、バリアメタル由来の残渣物に関しても、良好な剥離特性を有しており、絶縁層および配線層に対する侵襲性も低く、両層にダメージを与えにくいため、剥離液として盛んに使用されていた。
このような万能的な剥離特性を有する剥離液は、ヒドロキシルアミン剥離液以外には、現在のところ、開発されておらず、配線層および絶縁層由来のエッチング残渣物の剥離性に優れるが、バリアメタル由来のエッチング残渣物の剥離性は乏しいか、あるいは逆の特性を持つというように、一種類の残渣物の剥離性に特化した剥離液しか提供されていない。
絶縁層には主にシリカ系化合物が使用されているが、この絶縁層由来のエッチング残渣付着物の剥離に広く使用されている剥離液としては、フッ化アンモニウムを主成分とする剥離液を挙げることができる(特許文献2)。このフッ化アンモニウム剥離液は、絶縁層由来のエッチング残渣物ばかりでなく、前記パターン化レジスト層のアッシング除去に伴う変質膜やアルミニウムおよび/またはアルミニウム化合物からなる残渣付着物の剥離能力も有しており、広く利用されている。
配線層には、アルミニウムが主に使用されているが、アルミニウムを配線層材料に使用する場合は、アルミニウム配線層の上にチタンナイトライド等のチタン系化合物被膜が形成されている。アルミニウム配線層を用いた配線構造では、ビアをエッチングにより形成した場合、このチタン系化合物被膜も共にエッチング処理されるので、これが残渣物として付着する。このチタン残渣物は前記フッ化アンモニウムでは剥離できない。これに対して、チタンの剥離に特化した剥離液が提供されている(特許文献3)。
前述のように、エッチング空間の側壁や底部に形成される残渣物を一括して剥離可能な剥離液は、現在までのところ、ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液しか提供されていない。
なお、前記半導体多層配線構造における配線層を形成するためにエッチング空間を形成する方法は、液晶パネルなどの表示パネルにおける配線構造の形成においても行われている。したがって、液晶パネルなどの他の配線構造形成においても、その製造工程において、エッチング空間にはエッチング残渣物が形成されおり、それを効率的に剥離除去しなければならないという問題は、同様に存在している。
しかしながら、前記ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液を用いた剥離洗浄工程では、処理条件として、加熱温度を60℃〜80℃として処理した場合であっても、その処理時間に10分〜20分を要する。さらに温度を上げて処理を行おうとした場合であってもこの場合は組成変動を来たすなど新たな問題が生じる恐れがある。また、ヒドロキシルアミンは、比較的に反応性に富んでいるので、保管温度の制御とか取り扱いにおける制約がある。
また、近年、半導体基板となる半導体ウェハーの大口径化、半導体デバイスの少量多品種化に対応するために、前記残渣物の剥離処理を枚葉式処理にて行うことが提案され、注目されている。この枚葉式処理は、従来のバッチ式のように大量処理ではないので、できるだけ剥離処理時間を短時間化しなければ、デバイスの製造コストの上昇を招くことになる。このような枚葉式処理に前記従来のヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液を用いようとしても、前述のような加熱温度および処理時間を要するので、枚葉式剥離処理には適用が困難な場合が多いとされている。
一方、チタン剥離液やフッ化アンモニウム剥離液などの他の剥離液にて残渣物を剥離できないか、あるいは枚葉式処理に対応できないかを検討したが、常に剥離が可能でなければならない剥離処理において、剥離残りが生じる結果となった。その原因を探ったところ、以下のような知見を得た。
被エッチング空間、例えば、絶縁層を介して形成されている上層配線層と下層配線層とを連結するビアは、一枚の配線基板に多数形成されるのが、一般的である。この多数の被エッチング空間においては、それぞれの形成位置が基板の中央なのか端部なのか等の形成位置によって、内部に形成される残渣付着物の積層構成が異なっている。すなわち、エッチング処理による残渣物が、配線層および絶縁層起因の残渣物が大部分である場合もあれば、バリアメタル層起因の残渣物がさらに発生している部分もあることが判明した。そのような「一枚の配線基板における被エッチング空間内の残渣物の積層構造にバラツキがある」ことから、ヒドロキシルアミン剥離液のような万能的な剥離特性を有する剥離液でなければ、一枚の基板におけるエッチング空間の充分なる洗浄は困難であることが知見された。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、半導体多層配線構造や液晶パネルなどの配線形成工程において形成されるエッチング残渣物を安全に、かつ短時間に効率的に除去することのできる多段階処理用剥離液およびこれを用いたエッチング残渣物の剥離方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明者等は、鋭意、実験、検討を重ねたところ、下記のような知見を得るに至った。
(1) ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液を用いて残渣物全体を剥離除去することは可能であるが、処理時間が実用的でない程の長い時間が必要である。しかしながら、チタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液であれば、チタンおよびチタン化合物のみを剥離するには、剥離時間は短時間で済む。同様に、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を主成分とする剥離液であれば、シリカ系残渣やアルミニウム系残渣のみの剥離は短時間で済む。しかも、それぞれの剥離に要する時間を合計しても4〜5分間以下であり、ヒドロキシルアミン剥離液を用いた場合の必要処理時10〜20分間に比べて大幅に短時間で済む。
(2) しかも、ヒドロキシルアミンを主成分として含む剥離液を用いる場合の所要処理温度(60℃〜80℃)に比べて、チタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液を用いる場合もフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を主成分とする剥離液を用いる場合も、所要処理温度は大幅に低くて済む。
(3) 従って、少なくとも2種の剥離液から構成される多段階処理用剥離液、具体的には、一方の剥離液としてチタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液を、チタン残渣が充分に剥離する時間、基板に作用させ、その後、他方の剥離液としてフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を主成分とする剥離液を基板に作用させれば、一枚の基板上の全ての被エッチング空間内の残渣物を充分かつ短時間で剥離除去することができる。
(4) また、前記多段階処理用剥離液とは、液の性能維持の点から、段階的に使用した方がよいが、混合直後であって、少なくとも2種の剥離液において各々の組成変化が極めて少ない範囲内であれば、混合液として使用することも可能である。この場合、ステップ数を省略することによる処理時間のより短時間化が可能になる。
本発明は前記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明に係るエッチング残渣物の多段階処理用剥離液は、エッチング残渣物を剥離除去するために互いに相補的に用いる少なくとも2種の剥離液から構成される多段階処理用剥離液であって、前記少なくとも2種の剥離液のうち、一方がチタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液であり、他方が少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液であることを特徴とする。
また、本発明に係るエッチング残渣物の剥離方法は、前記少なくとも2種の剥離液から構成される多段階処理用剥離液を使用してエッチング残渣物を剥離することを特徴とする。
前記剥離方法においては、エッチング残渣物に対して前記チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液を作用させ、その後、前記少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液を作用させてもよいし、その逆であってもよいし、場合によってはこれらの2液を剥離処理開始直前に混合し、この混合剥離液を前記被エッチング空間に作用させてもよい。
前記剥離方法において、剥離処理の短時間化および低処理温度化が実現できるので、剥離液による剥離処理は枚葉式処理にて行うことが可能である。
前記被エッチング空間を有する基板としては、ビアホールが形成された基板に特に好適に適用することができる。
通常、前記残渣物のうち配線層および絶縁層由来の金属もしくは金属化合物はアルミ系化合物および/またはシリカ系化合物であり、前記残渣物のうちバリアメタル由来の金属化合物はチタン系化合物である。
前記バリアメタル由来の金属もしくは金属化合物は、実際には、チタンもしくはチタン化合物であるが、それに対し、前記チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液が用いられる。このような剥離液としては、少なくとも過酸化水素を含有する水溶液が用いられる。
前記配線層および絶縁層由来の金属もしくは金属化合物はアルミ系化合物および/またはシリカ系化合物であり、それに対し、少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液を用いることができる。
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」について、さらに詳しく説明する。この剥離液は、基本的には、少なくとも過酸化水素を含有する水溶液であり、かかる水溶液自体のチタン酸化物溶解作用自体は公知である。この水溶液のチタンおよびチタン化合物溶解性(剥離性)をさらに向上させるべく改良品が種々提案されており、それらはすべて本発明の多段階処理用剥離液を構成する1種の剥離液として使用可能である。
チタン酸化物溶解性を担う主成分は過酸化水素である。このような過酸化水素を主成分とする剥離液には、炭酸および/または炭酸塩を添加することがチタンおよびチタン化合物の溶解性向上の点から好適である。この剥離液は水溶液が適当であるので、前記炭酸塩としては、水に可溶であることが必要である。本発明の適用デバイスから考慮してこの炭酸塩には、金属イオンが含まれていないものが好ましく、そのような炭酸塩としては、アンモニアと炭酸の塩、アミンと炭酸の塩、第四級アンモニウムの炭酸塩を示す。中でも最も好ましいのは炭酸アンモニウムであり、これは通常、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムの混合物として流通しているので、これらの混合物を使用してもよい。
本発明における「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」は水溶液であり、その溶媒である水としては、水単独で使用してもよいし、他の有機溶媒などとの混合液の形態で用いてもよいし、塩、酸、塩基などを含んだ水溶液の形態で使用しても良い。
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」において、炭酸および/または炭酸塩、過酸化水素、水の配合比は、用途、使用条件、炭酸塩の種類により大きく変動するため限定されないが、通常であれば、チタン剥離液の総重量を基準に炭酸および/または炭酸塩の含量が0.01〜40重量%、過酸化水素の含量が10ppm〜35重量%、水の含量が25〜99重量%が好ましく、炭酸(塩)の含量が0.05〜25重量%、過酸化水素の含量が50ppm〜25重量%、水の含量が30〜95重量%がさらに好ましいとされている。
炭酸(塩)が0.01重量%未満であると、チタン酸化物の溶解が実用的でないほど遅く、40重量%を越えると炭酸(塩)が水溶液に溶解し難くなる。
また、過酸化水素の配合量としては、10ppm未満であるとチタン酸化物の溶解が実用的でないほど遅く、35重量%を越える過酸化水素は危険性が高くなることが指摘されている。
溶媒である水については、25重量%未満だと、炭酸が水溶液に溶解し難くなり、99重量%を超えると、チタン酸化物の溶解が実用の範囲を下方に逸脱する。
本発明で用いる「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」は、上記組成物の他に、さらに水溶性有機溶媒を添加することもできる。そのような添加可能な水溶性有機溶媒としては、特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アルコキシアルコール類、アルキレングリコール類、炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルドデシルアミンオキシド、メチルモルホリンオキシドなどのアミンオキシド類、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いる「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」における前記水溶性有機溶媒の添加可能含量は、チタン剥離液の総重量を基準に0.1〜70重量%が好ましく、1〜50重量%がさらに好ましい。水溶性有機溶媒を添加すると、過酸化水素の安定性が増し、さらにチタン酸化物以外の材料に対するダメージが小さくなる。水溶性有機溶媒の含量が1重量%未満であると、水溶性有機溶媒を添加した効果は小さく、70重量%を超えると、チタン酸化物の溶解速度が工業的でないほど小さくなることが指摘されている。
本発明の多段階処理用剥離液を構成する他方の剥離液は「少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液」である。その他の成分として溶媒である水があり、防食剤などの他の成分も含まれていても良い。
前記フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を構成する金属イオンを含まない塩基としては、ヒドロキシルアミン類、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の有機アミン類、アンモニア水、低級アルキル第4級アンモニウム水酸化物等が好ましく用いられる。
前記ヒドロキシルアミン類としては、具体的にはN−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が例示される。
前記第1級脂肪族アミンとしては、具体的にはモノエタノールアミン、エチレンジアミン、2−(2− アミノエチルアミノ)エタノール等が例示される。
前記第2級脂肪族アミンとしては、具体的にはジエタノールアミン、N−メチルアミノエタノール、ジプロピルアミン、2−エチルアミノエタノール等が例示される。
前記第3級脂肪族アミンとしては、具体的にはジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミン等が例示される。
前記脂環式アミンとしては、具体的にはシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が例示される。
前記芳香族アミンとしては、具体的にはベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン等が例示される。
前記複素環式アミンとしては、具体的にはピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、N−ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール、チアゾール等が例示される。
前記低級アルキル第4級アンモニウム水酸化物としては、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(=TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド等が例示される。
これら塩基の中でも、アンモニア水、モノエタノールアミン、N−メチルアミノエタノール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドは、入手が容易である上に安全性に優れる等の点から好ましく用いられる。
金属イオンを含まない塩基は1種だけを用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら金属イオンを含まない塩基とフッ化水素酸との塩は、市販のフッ化水素50〜60%濃度のフッ化水素酸に金属イオンを含まない塩基を添加することで製造することができる。このような塩としては、フッ化アンモニウム(NH4F)が最も好ましく用いられ
る。この塩成分は1種または2種以上を用いることができる。
る。この塩成分は1種または2種以上を用いることができる。
前記主成分であるフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩の配合量は、第2液の剥離液中、0.001〜10質量%が好ましく、特には0.01〜3質量%である。この主成分の配合量が多すぎるとCu配線の腐食を生じやすい傾向がみられ、一方、少なすぎると剥離性能が低下しがちとなる。
前記水溶性有機溶媒は、従来から慣用されているものを用いることができる。このような水溶性有機溶媒としては、水や他の配合成分と混和性のある有機溶媒であればよく、具体的にはジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N− ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N, N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N −プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル− 2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体などが挙げられる。中でも、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドが好ましく用いられる。使用する水溶性有機溶媒としては、前記1種または2種以上を用いることができる。
前記水溶性有機溶媒の配合量は、該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液中、30〜80質量%が好ましく、特には40〜75質量%である。水溶性有機溶媒の配合量が多すぎると剥離性能が低下しがちとなり、一方、少なすぎると各種金属への腐食を生じやすくなる。
該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液には、防食剤を使用しても良く、使用可能な防食剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、及びメルカプト基含有化合物の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、具体的には、例えばベンゾトリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、1−フェニルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、5−ベンゾトリアゾールカルボン酸、1−メトキシ−ベンゾトリアゾール、1−(2,2−ジヒドロキシエチル)−ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、あるいは「IRGAMET」シリーズとしてチバスペシャリティーケミカルズより市販されている、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタン、または2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスプロパン等を挙げることができる。これらの中でも、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−ベンゾトリアゾール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール等が好ましく用いられる。
上記メルカプト基含有化合物としては、メルカプト基に結合する炭素原子のα位、β位の少なくとも一方に、水酸基および/またはカルボキシル基を有する構造の化合物が好ましい。このような化合物として、具体的には1−チオグリセロール、3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、3−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、2−メルカプトプロピオン酸、および3−メルカプトプロピオン酸等が好ましいものとして挙げられる。中でも1−チオグリセロールが特に好ましく用いられる。
さらに、これらの防食剤は、第2の剥離液全量に対して、0.1〜10質量%配合されることが好ましく、特には0.2〜8質量%配合されることが好ましい。この範囲を逸脱した場合、例えば下限よりも少なければAlやCu等の腐食が発生しやすく、逆に、上限よりも過剰に加えても、添加量に応じた効果は認められない。
該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液の溶媒である水は、該剥離液中の他成分中に必然的に含まれているものであるが、さらに加えてその量を調整する。かかる水の配合量は、該剥離液に含有される他成分の合計配合量の残部である。
該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液の主成分としてフッ化アンモニウムを用いた場合に限り、さらにフッ化水素酸と第4級アンモニウム水酸化物および/またはアルカノールアミンとの塩を含有し得る。この追加成分をさらに配合することにより、Cuに対するダメージを低く抑えたまま、より剥離性を向上させることができる。
前記第4級アンモニウム水酸化物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(=TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2 −ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド等が例示される。中でもTMAH、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド等が、入手が容易である上に安全性に優れる等の点から好ましい。
前記アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N,N−ジメチルエタールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N− メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。中でも、N−メチルエタノールアミンがCu配線に対する防食性の点から特に好ましい。
前記追加成分は1種または2種以上を用いることができる。その配合量は、該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液中、000.1〜10質量%が好ましく、特には0.01〜3質量%である。その配合量が多すぎると、Al配線の腐食を生じやすい傾向がみられる。この追加成分を配合する場合、主成分としたフッ化アンモニウムと追加成分の配合割合を、フッ化アンモニウム:前記追加成分=2:8 〜8:2(質量比)とするのが好ましく、より好ましくは3:7〜7:3である。フッ化アンモニウムと前記追加成分の配合比を上記範囲内とすることにより、金属配線の腐食を効果的に防止することができる。フッ化アンモニウムの配合割合が上記範囲を超えた場合は、Al系配線に対し腐食が発生しやすくなるなどの支障を来たす可能性がある。
該フッ化物系剥離液には、さらに、浸透性向上の点から、任意添加成分として、アセチレンアルコールに対してアルキレンオキシドを付加したアセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物を配合してもよい。このアセチレンアルコールとしては、例えば「サーフィノール」、「オルフィン」(以上いずれもAir Product and Chemicals Inc.製)等のシリーズとして市販されており、好適に用いられる。中でもその物性面から「サーフィノール104」、「サーフィノール82」あるいはこれらの混合物が最も好適に用いられる。他に「オルフィンB」、「オルフィンP」、「オルフィンY」等も用いることができる。
前記アセチレンアルコールに付加されるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドあるいはその混合物が好ましく用いられる。前記アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物は、界面活性剤としてそれ自体は公知の物質である。これらは「サーフィノール」(Air Product and Chemicals Inc.製)のシリーズ、あるいは「アセチレノール」(川研ファインケミカル(株)製)のシリーズ等として市販されており、好適に用いられる。中でもエチレンオキシドの付加数による水への溶解性、表面張力等の特性の変化等を考慮すると、「サーフィノール440」(n+m=3.5)、「サーフィノール465」(n+m=10)、「サーフィノール485」(n+m=30)、「アセチレノールEL」(n+m=4)、「アセチレノールEH」(n+m=10)、あるいはそれらの混合物が好適に用いられる。特には「アセチレノールEL」と「アセチレノールEH」の混合物が好ましく用いられる。中でも、「アセチレノールEL」と「アセチレノールEH」を2:8〜4:6(質量比)の割合で混合したものが特に好適に用いられる。このアセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物を配合することにより、剥離液自体の浸透性を向上させ、濡れ性を向上させることができる。
前記アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物を配合する場合、剥離液全量に対して、0.05〜5質量%程度が好ましく、特には0.1〜2質量%程度が好ましい。上記配合量範囲よりも多くなると、気泡の発生が考えられ、濡れ性の向上は飽和しそれ以上加えてもさらなる効果の向上は望めず、一方、上記範囲よりも少ない場合は、求める濡れ性の十分な効果を得るのが難しい。
該少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液には、さらに短時間で剥離処理を行うために酸性化合物を配合してもよい。このような酸性化合物としては、フッ化水素酸、酢酸、グリコール酸等が挙げられる。これら酸性化合物を配合する場合、その配合量は1質量%程度以下とするのが好ましい。なお、酸性化合物を配合した場合、特にSi系残渣物の剥離性が向上するため、剥離処理短時間化に加え、優れたSi系残渣物剥離効果が得られる。
なお、本発明が対象とする配線構造における金属配線としては、アルミニウム(Al);アルミニウム−ケイ素(Al−Si)、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)等のアルミニウム合金(Al合金);純チタン(Ti);チタンナイトライド(TiN)、チタンタングステン(TiW)等のチタン合金(Ti合金);純銅(Cu)等が挙げられるが、これらに限定されるものでない。
本発明にかかるエッチング残渣物の多段階処理用剥離液および剥離方法によれば、安全性に問題のあるヒドロキシルアミン系剥離液を使用することなく、同等以上の優れた剥離効果を得ることができ、しかもヒドロキシルアミン系剥離液を使用した場合よりも遙かに短時間に剥離処理を完了することができる。そのため、本発明の多段階処理用剥離液および剥離方法を用いれば、枚葉式処理を採用したデバイス形成工程にも対応することができ、配線構造を有する各種デバイスの多品種少量生産を技術的にも経済的にも実用レベルで実現させることができる。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
(チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液の組成)
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」として下記(表1)に示したA〜Dの剥離液を調整した。
(チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液の組成)
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液」として下記(表1)に示したA〜Dの剥離液を調整した。
(少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液)
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液」として、下記(表2)に示したEおよびFの剥離液を調整した。
本発明の多段階処理用剥離液を構成する「少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液」として、下記(表2)に示したEおよびFの剥離液を調整した。
(処理対象とした配線基板)
基板上にAl−Si−Cu層が形成され、そのAl−Si−Cu層の上にバリアメタル層としてチタンナイトライド膜が形成され、さらにその上に絶縁層としてプラズマTEOSが積層されてなる基板を用いた。この基板の前記絶縁層には、ドライエッチングによりφ300nmのビアが形成されており、内部にはエッチング処理による残渣物が残留していた。
基板上にAl−Si−Cu層が形成され、そのAl−Si−Cu層の上にバリアメタル層としてチタンナイトライド膜が形成され、さらにその上に絶縁層としてプラズマTEOSが積層されてなる基板を用いた。この基板の前記絶縁層には、ドライエッチングによりφ300nmのビアが形成されており、内部にはエッチング処理による残渣物が残留していた。
(剥離除去処理条件)
枚葉式剥離処理を行った。前記基板上に40℃に保った前記剥離液A〜Dのいずれかを滴下し、90秒間放置した。その後、基板を水洗し、基板表面の水分を除去した後、さらに基板上に25℃に保った前記剥離液EあるいはFを滴下し、90秒間放置した。その後、水洗し、基板表面の水分を除去した。
枚葉式剥離処理を行った。前記基板上に40℃に保った前記剥離液A〜Dのいずれかを滴下し、90秒間放置した。その後、基板を水洗し、基板表面の水分を除去した後、さらに基板上に25℃に保った前記剥離液EあるいはFを滴下し、90秒間放置した。その後、水洗し、基板表面の水分を除去した。
前記剥離除去処理後の基板を走査型顕微鏡を用いて、ビアホール内部を観察した。その結果、チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液と少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液の組み合わせを変えた8通りの処理を試みたが、いずれにおいてもビアホールの内壁にも底部にも残渣付着物は存在していなかった。また、ビアホール側壁(絶縁層)と底部露出面(アルミニウム配線層)の表面状態を観察したが、剥離液による損傷は認められなかった。
(比較例1)
ヒドロキシルアミン(17.5質量%)、水(17.5質量wt%)、ジメチルスルホキシド(33質量%)、モノエタノールアミン(27質量%)、およびカテコール(5質量%)からなる剥離液を用いて浸漬法による剥離処理を実行した。処理対象とした基板は、前記実施例1と同様の基板を用いた。この基板を前記剥離液に対して浸漬した。処理温度を75℃として、浸漬時間は、5分間、10分間、20分間の3通りを実施した。
ヒドロキシルアミン(17.5質量%)、水(17.5質量wt%)、ジメチルスルホキシド(33質量%)、モノエタノールアミン(27質量%)、およびカテコール(5質量%)からなる剥離液を用いて浸漬法による剥離処理を実行した。処理対象とした基板は、前記実施例1と同様の基板を用いた。この基板を前記剥離液に対して浸漬した。処理温度を75℃として、浸漬時間は、5分間、10分間、20分間の3通りを実施した。
各剥離処理後の基板を、実施例1と同様にして評価した。その結果、いずれに時間による処理でも絶縁層と配線層への損傷はなかった。しかしエッチング残渣物の剥離評価は、5分間の処理ではほとんど剥離できず、10分間では剥離残りがあり、20分間で充分な剥離が行えた結果となった。したがって、ヒドロキシルアミン系剥離液を用いた場合、75℃という高い温度で、20分間という長い時間を掛けなければ、充分な剥離が行えないことが確認された。
(比較例2)
前記実施例1における剥離液Cのみを用いた剥離処理を、実施例1で用いた基板を対象に実施した。剥離処理条件は、40℃、10分間であった。この処理による配線層と絶縁層とにおける損傷はなかった。ところが、エッチング残渣物の除去は不十分で、剥離残りが観察された。
前記実施例1における剥離液Cのみを用いた剥離処理を、実施例1で用いた基板を対象に実施した。剥離処理条件は、40℃、10分間であった。この処理による配線層と絶縁層とにおける損傷はなかった。ところが、エッチング残渣物の除去は不十分で、剥離残りが観察された。
(比較例3)
前記実施例1で用いた剥離液Fのみを用いた剥離処理を、実施例1で用いた基板を対象に実施した。剥離処理条件は、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液の標準的な処理条件である25℃、10分間という条件を採用した。この処理による配線層における損傷はなかったが、絶縁層における損傷が確認された。さらに残渣物の除去は不十分で、剥離残りが観察された。
前記実施例1で用いた剥離液Fのみを用いた剥離処理を、実施例1で用いた基板を対象に実施した。剥離処理条件は、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有してなる剥離液の標準的な処理条件である25℃、10分間という条件を採用した。この処理による配線層における損傷はなかったが、絶縁層における損傷が確認された。さらに残渣物の除去は不十分で、剥離残りが観察された。
(比較例4)
前記比較例3における処理条件を40℃、10分間とした以外は、比較例3と同様の操作にて剥離処理を行った。この温度設定の変更により残渣物は除去可能となったが、プラズマTEOSからなる絶縁層における腐食がさらに深刻となった。
前記比較例3における処理条件を40℃、10分間とした以外は、比較例3と同様の操作にて剥離処理を行った。この温度設定の変更により残渣物は除去可能となったが、プラズマTEOSからなる絶縁層における腐食がさらに深刻となった。
(実施例2)
前記実施例1において、剥離液CとFとを40℃に保った上で、剥離処理直前に1:1の質量配合比で混合し、混合液を配線基板上に滴下し、1.5分間保った以外は、同様に処理した。処理後の基板のビアホール内を観察したところ、絶縁層にも配線層にも損傷はなく、残渣物も存在しなかった。
前記実施例1において、剥離液CとFとを40℃に保った上で、剥離処理直前に1:1の質量配合比で混合し、混合液を配線基板上に滴下し、1.5分間保った以外は、同様に処理した。処理後の基板のビアホール内を観察したところ、絶縁層にも配線層にも損傷はなく、残渣物も存在しなかった。
(実施例3)
前記実施例1において、エッチング条件が異なる基板を用いて剥離液Eによる剥離処理を先に行い、洗浄処理の後、剥離液Cによる剥離処理を行ったこと以外、同様に処理した。処理後の基板のビアホール内を観察したところ、絶縁層にも配線層にも損傷はなく、残渣物も存在しなかった。
前記実施例1において、エッチング条件が異なる基板を用いて剥離液Eによる剥離処理を先に行い、洗浄処理の後、剥離液Cによる剥離処理を行ったこと以外、同様に処理した。処理後の基板のビアホール内を観察したところ、絶縁層にも配線層にも損傷はなく、残渣物も存在しなかった。
以上のように、本発明にかかるエッチング残渣物の多段階処理用剥離液および剥離方法は、万能的な剥離特性を有するヒドロキシルアミン系剥離液を用いた場合と同等以上の優れた剥離効果を得ることができ、ヒドロキシアミンのような取り扱い上の危険性もなく、安全に使用でき、しかもヒドロキシルアミン剥離液を使用した場合よりも遙かに短時間に剥離処理を完了することができる。そのため、本発明の多段階処理用剥離液および剥離方法を用いれば、枚葉式剥離処理にも対応することができ、配線構造を有する各種デバイスの多品種少量生産を技術的にも経済的にも実用レベルで実現させることができる。
Claims (14)
- エッチング残渣物を剥離除去するために互いに相補的に用いる少なくとも2種の剥離液から構成される多段階処理用剥離液であって、
前記少なくとも2種の剥離液のうち、一方がチタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液であり、他方が少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液であることを特徴とする多段階処理用剥離液。 - 前記チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液が少なくとも過酸化水素を含有する水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記少なくとも過酸化水素を含有する水溶液が、さらに炭酸塩を含有することを特徴とする請求項2に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩がフッ化アンモニウムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記チタンおよびチタン化合物の溶解性を有する剥離液が、エッチング残渣物のうち、少なくともバリアメタル起因のエッチング残渣物を優先的に除去可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記バリアメタルを形成する金属がチタンおよび/またはチタンナイトライドであることを特徴とする請求項5に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液が、エッチング残渣物のうち、少なくとも配線層および/または絶縁層起因のエッチング残渣物を優先的に除去可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多段階処理用剥離液。
- 前記配線層および/または絶縁層を形成する金属がアルミ系化合物および/またはシリカ系化合物であることを特徴とする請求項7に記載の多段階処理用剥離液。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の少なくとも2種の剥離液から構成される多段階処理用剥離液を使用してエッチング残渣物を剥離することを特徴とするエッチング残渣物の剥離方法。
- 前記エッチング残渣物が形成された基板に対し、チタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液を作用させ、その後、少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液を作用させることを特徴とする請求項9に記載のエッチング残渣物の剥離方法。
- 前記エッチング残渣物が形成された基板に対し、少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液を作用させ、その後、チタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液を作用させることを特徴とする請求項9に記載のエッチング残渣物の剥離方法。
- 前記チタンおよびチタン化合物に対する溶解性を有する剥離液と少なくともフッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含有する剥離液とを剥離処理開始直前に混合し、この混合剥離液を前記エッチング残渣物が形成された基板に作用させることを特徴とする請求項9に記載のエッチング残渣物の剥離方法。
- 前記多段階処理用剥離液による剥離処理を枚葉式処理にて行うことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載のエッチング残渣物の剥離方法。
- 前記エッチング残渣物が形成された基板が少なくともビアホールが形成された基板であることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載のエッチング残渣物の剥離方法。
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JP2009044129A (ja) * | 2007-07-13 | 2009-02-26 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 窒化チタン剥離液、及び窒化チタン被膜の剥離方法 |
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-
2004
- 2004-08-20 JP JP2004241331A patent/JP2006060078A/ja active Pending
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