JP2010008908A - 近赤外吸収フィルタ用ガラスおよびそれを用いた赤外カットフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い強度を持ちつつ、高濃度にCuOを含有しても可視域の透過率が高いガラスの提供。
【解決手段】モル%表示で、Pが63〜73%、Alが15〜22%、且つP+Alが80%以上、Bが0〜10%、SiOが0〜10%、LiOが0〜5%、NaOが0〜8%、LiO+NaOが0.5〜10%、MgO 0〜6%、であり、CuOを含み、ビッカース硬度が570以上、ヤング率が80GPa以上、0.5mm厚の波長400nmにおける透過率が70%以上、波長800nmにおける透過率が2%以下である近赤外吸収フィルタ用ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い強度を持つ赤外カットフィルタ用ガラスおよびそれを用いた赤外カットフィルタに関する。
近年、高精細かつ小型のデジタルカメラやカメラ付携帯電話等の普及により、光学系の軽量化・小型化の要求が急速に高まっている。これらのカメラでは、CCD、CMOSといった固体撮像素子を使用しているが、これらの撮像素子は一般的には人間の視感度と比較して近赤外の感度が高いという特徴を持つため、人間の視感度と類似の感度特性に補正する目的で、撮像素子の全面には近赤外をカットするフィルターが使用されている。これらのフィルターには近赤外の波長を吸収するガラスが使用されていて、また画像中のモアレと呼ばれるノイズを除去する目的で、水晶製のローパスフィルタと張り合わせた形で使用されるのが一般的である。
人間の視感度と同等の感度特性を持つためには、可視光領域でできるだけ高い透過率をもち、630nmよりも長波長側となる近赤外域ではできるだけ低い透過率を持つことが望ましい。上記のような光学特性を持つガラスはCu2+を含有するリン酸塩系もしくはフツリン酸塩系ガラスであるが、これらのガラスに置いても高濃度にCuを含有した場合には、Cuの割合が増加することで、可視域の透過率が低くなりやすいことが知られている。また、これらのフィルタ用途では、非常に高い耐候性を持つ必要があるが、リン酸塩系のガラスでは耐候性が不十分であるために、現在は耐候性の高いフツリン酸塩ガラスが主に使用される場合が多い。
加えて、近年は赤外カットガラスを水晶と貼り付けず単独で使用する傾向があり、強度の高く割れにくいガラスが必要とされてきているが、フツリン酸塩ガラスは非常に強度が低いという課題が出てきている。
これらの問題を解決するために、特許文献1にはCuO濃度が高く、赤外カット特性に優れたフィルタ用ガラスが提案されているが、イオン半径の大きなアルカリ、アルカリ土類を使用しているため、Cu濃度が高い場合には400nm付近での透過率が低くなりやすいという問題点を持っていた。
特許文献2には、高濃度にCuを含有しつつ可視域で透過率を示しかつ近赤外で低い透過率を示す赤外フィルタ用ガラスが示されているが、ガラス中のアルカリイオン濃度が高すぎることから強度的には不十分である。
特許文献3には、可視光透過率が高く、近赤外透過率が低い近赤外カットガラスが提案されているが、実施組成中のCu濃度は十分に高くないため、薄板化した際には近赤外の特性が不十分であるだけでなく、組成中のAl濃度が低いために強度的にも不十分である。
特許文献4には、近赤外領域の吸収が高く、可視域での透過率が高い近赤外カットフィルタ用ガラスが提案されているが、組成中に含まれるCu濃度が低いために、薄板化した際には十分な近赤外吸収を示すことができない。
特許文献5には、近赤外域の吸収が高いフィルタ用リン酸塩ガラスが提案されているが、組成中のAl濃度が低いために、耐候性が十分でない。
特許文献6で提案されているリン酸塩ガラスは、アルカリを含有しておらず、耐候性および硬度が不十分である。
特許文献7および8では化学的耐久性の高いリン酸塩ガラスが提案されているが、組成中に含まれるCu濃度が低いために、薄板化した際には十分な近赤外吸収を示すことができない。
これらに見られるように、薄板化に適した強度と分光特性および耐候性を示すようなガラスは従来から知られているガラスにおいては見出すことができない。
特許第2510146号公報 特開2006−342045号公報 特開2005−320178号公報 特許第2731422号公報 特開平6−107428号公報 特開平7−281021号公報 特開平1−242440号公報 特開昭63−35434号公報
本発明者らは、強度および耐候性が高く、薄板化した場合にも十分な赤外カット特性と高い透過率を維持するためには、特定の組成範囲を選択するべきであることを見出した。ここで薄板とは0.5mm以下のことをあらわしており、軽量化の目的でローパスフィルタと貼り付けを行わない場合に、ガラスに強制的に振動を与えて表面に付着したほこりなどを除去する際、効率よく振動を与えられる厚みが0.5mm以下であり、また固体撮像素子のカバーガラスの目的として使用される厚みでもある。
従来よりもガラス板厚を薄くしても割れないためには、強度を上げる必要がある。本発明者らは、ガラスのネットワークを構成する成分であるPとAlの濃度がいずれも高い場合にこれは実現されうることを見出した。これは耐候性が高い場合にも同じ傾向が見られる。しかし、ただ単にPとAlが増加した場合には溶融温度が高くなりやすく、ガラス中のCuの割合が増加するため、400nm付近での透過率が低下してしまう。
加えて、厚みを薄くする場合には、CuOの濃度が十分でないと近赤外側の透過率が上昇し、所望のカット特性が得られなくなるため、従来よりも高い濃度のCuOを含有する必要があるが、CuO濃度が上昇すると、ガラスの塩基性が変化し、Cuの割合も同時に増加しやすく、400nm付近の透過率が下がってしまう。
したがって、これら二つの要因から、薄板化に適した特性にするための強度と高い耐候性を満たす場合には、必然的に分光特性が悪化してしまうことから、従来から知られているガラスでは強度と分光特性を両立させることは困難であった。
すなわち、本発明の目的は、高い強度を持ちつつ、高濃度にCuOを含有しても可視域の透過率が高いガラスを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、一般的なガラスでは、イオン半径の小さなカチオンを含有する場合にはガラスの塩基性が下がるためCuの割合が増加すると考えられているが、PおよびAlが高濃度に存在する領域ではイオン半径の小さなLi、Naなどのアルカリ金属カチオンが、逆にCu2+の割合を増加させることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記のような近赤外吸収フィルタ用ガラスに係る。
(1) モル%表示で、Pが63〜73%、Alが15〜22%、且つP+Alが80%以上、Bが0〜10%、SiOが0〜10%、LiOが0〜5%、NaOが0〜8%、LiO+NaOが0.5〜10%、MgO 0〜6%、であり、CuOを含み、ビッカース硬度が570以上、ヤング率が80GPa以上、0.5mm厚の波長400nmにおける透過率(T400)が70%以上、波長800nmにおける透過率(T800)が2%以下である近赤外吸収フィルタ用ガラス。なお、本明細書においてたとえば「SiOが0〜10%」とは、SiOは必須成分ではないが10%以下の範囲で含有してもよい、の意である。
(2) モル%表示で、Pが63〜70%、Alが15〜22%、且つP+Alが80%以上、Bが0〜5%、SiOが0〜5%、且つP+B+SiOが67〜73%、LiOが0〜5%、NaOが0〜2%、KOが0〜1%、LiO+NaO+KOが0.5〜5%、MgOが1〜6%であり、CuOを含み、0.5mm厚の波長400nmにおける透過率が70%以上、波長800nmにおける透過率が2%以下である(1)の近赤外吸収フィルタ用ガラス。
(3) KOを含まないことを特徴とする(1)または(2)の近赤外吸収フィルタ用ガラス。
(4) フッ素を含む化合物を含まないこと特徴とする(1)、(2)または(3)の近赤外吸収フィルタ用ガラス。
(5) (1)、(2)、(3)または(4)の近赤外吸収フィルタ用ガラスを用いた赤外カットフィルタ。
(6) 平行平板形状に研磨された(5)の赤外カットフィルタ。
(7) 研磨平面のうちの1面もしくは2面に反射防止層を備えた(5)または(6)の赤外カットフィルタ。
(8) 研磨平面のうちの1面もしくは2面に水晶などの光学部材と接着しない面を持つ(5)、(6)または(7)の赤外カットフィルタ。
上記のように構成された本発明のガラスによれば、PおよびAl含有量を高くすることで、ガラスのネットワーク成分を増加させることができ、さらにイオン半径の小さいアルカリ金属を適度に含有することで、ガラス中の充填密度を上げることが可能になるため、高い強度と高い耐候性を達成することができる。ガラス中のCuの濃度を高くすることで、薄板化した場合にも十分な赤外カット特性を示すことができる。さらに、イオン半径の小さいアルカリ、アルカリ土類を使用することで、効率よく溶解温度を下げるとともに、ガラス中のCuイオンの割合を少なくすることができるため、P、AlおよびCuの含有量が高い場合にも、可視域の透過率低下を抑制することが可能になる。
本発明の近赤外吸収フィルタ用ガラスは、フッ素を含有しないリン酸塩系ガラスで、強度、分光特性、および耐候性に優れている。
本発明の近赤外吸収フィルタ用ガラスの各成分範囲を上記(1)〜(8)のように限定した理由は次のとおりである。
本ガラスにおいて、Pはガラス骨格を形成し、ガラスの安定性および強度を向上させつつ、Cuイオン周辺の配位子場強度を低下させることで可視域の透過率を高く、近赤外の吸収を大きくする成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、P含有量は63〜73モル%(以下、モル%を単に%と略す)である。P含有量が63%未満では強度が小さくなるか、配位子場強度が増加するため近赤外の吸収特性が弱くなり好ましくない。一方、P含有量が73%超では溶解温度が高くなり、可視域の透過率が低下するおそれもある。典型的には70%以下である。
本ガラスにおいて、Alはガラスを安定化させ、強度および化学的耐久性を向上させる成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、Al含有量は15〜22%である。Al含有量が15%未満ではガラスの強度が低下するもしくは耐候性が不十分になるおそれがある。一方、Al含有量が22%を超えると、ガラスの溶解温度が高くなり、失透性も高くなるおそれがある。
とAlの合量は80%以上である。合量が80%未満になると、ガラスのネットワーク構造が十分に発達せず、強度が不十分になるおそれがある。
本ガラスにおいて、CuOは近赤外吸収を付与する成分であり、必須成分である。本ガラスにおいて、CuO含有量は特に限定されないが典型的には1%以上であり、薄板化した際に十分な赤外カット特性を発現させるために必要な含有量は4〜8%である。CuO含有量が4%未満では、薄板化した場合に近赤外吸収特性が低くなりすぎるおそれがある。一方、CuO含有量が8%を超えると、Cuの割合が増加し、可視域透過率が低くなりすぎるだけでなく、化学的耐久性が低くなり、耐候性も悪化する。
本ガラスにおいて、アルカリ金属酸化物は、溶解温度を低下させ、ガラスの充填密度を上昇させることで、強度および耐候性を向上させる目的で使用される。
LiOは溶解温度を低下させるとともに、Cu2+イオンの割合を増加させることで、可視域の透過率を高くする成分である。本ガラスにおいて、LiO含有量は0〜5%である。一方、LiO含有量が5%を超えると強度もしくは耐候性が低下するおそれがある。
また、NaOはLiO同様溶解温度を低下させるとともに、Cu2+イオンの割合を増加させることで、可視域の透過率を高くする成分である。本ガラスにおいて、NaO含有量は0〜8%である。一方、NaO含有量が8%を超えると強度もしくは耐候性が低下するおそれがある。典型的には2%以下である。
OはLiO、NaO同様溶解温度を低下させる成分であるが、前記イオンに比較して、Cu2+イオンの割合を減少させる効果が大きく、可視域の透過率が低下しやすいだけでなく、耐候性を低下させやすい。KOは含有する場合であってもその含有量は1%以下であることが好ましい。
LiO、NaOおよびKOの含有量の合計は典型的には0.5〜5%である。
本ガラスにおいて、アルカリ土類酸化物は、ガラスを安定化させ、物理的接触による傷をつきにくくする目的で使用される。本ガラスにおいて、MgO含有量は0〜6%である。MgOを含有する場合、その含有量は1%以上であることが典型的である。一方、MgO含有量が6%を超えるとビッカース硬度もしくはヤング率が低下するおそれがある。
また、CaO、SrO、BaO、ZnOはMgO同様ガラスを安定化させる成分であるが、各々の含有量が4%を超えると、強度もしくは耐候性が低下するおそれがあり、Cu2+イオンの割合が低下し、可視域の透過率が低下するおそれがある。CaO、SrO、BaO、ZnOのそれぞれの含有量は3%以下であると好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
本ガラスにおいて、LiOおよびNaOの含有量の合計は0.5〜10%である。前記合計が0.5%未満であると、ガラスの溶解温度が高くなり、失透性も高くなるおそれがある。一方、前記合計が10%を超えると強度もしくは耐候性が低下するおそれがある。
本ガラスにおいて、Bは必須成分ではないが、ガラスを安定化させるために10%以下の範囲で含有してもよい。B含有量が10%を超えると成形温度が高くなりすぎたり、溶融温度が高くなりすぎるおそれがある。また、耐候性が劣化するおそれがある。B含有量が8%以下であるとより好ましく、7%以下であるとさらに好ましい。典型的には5%以下である。
本ガラスにおいて、SiOは必須成分ではないが、ガラスを安定化させるために10%以下の範囲で含有してもよい。SiO含有量が10%を超えると成形温度が高くなりすぎたり、溶融温度が高くなりすぎるおそれがある。また耐候性が劣化するおそれがある。SiO含有量は5%以下が好ましく、3%以下であるとより好ましい。
本ガラスにおいて、ZrOは必須成分ではないが、強度を向上させるために5%以下の範囲で含有してもよい。ZrO含有量が5%を超えると、失透性が低下するおそれがある。ZrO含有量が3%以下であるとより好ましい。
本ガラスにおいて、TiO、Nb、WOは必須成分ではないが、ガラスを安定化させる、強度を向上させる等のために5%以下の範囲で含有してもよい。TiO、Nb、WOの含有量が5%を超えると、透過率が低下するおそれがある。TiO、Nb、WOの含有量が3%以下であるとより好ましい。
本ガラスにおいて、La、Gd、Y、Ybはいずれも必須成分ではないが、強度を向上させるために5%以下の範囲で含有してもよい。これらの含有量が5%を超えると、失透性が悪化するおそれがある。La、Gd、Y、Ybの含有量は3%以下であることが好ましい。
本ガラスにおいて、Sbは必須成分ではないが、可視域の透過率向上、清澄等の目的で5%以下の範囲で含有してもよい。含有量が5%を超えると、強度が低下する、もしくは逆に400nm付近の透過率が低下するおそれがある。3%以下であることが好ましい。
本ガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合それら成分の含有量の合計は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、典型的には5%以下である。
本ガラスにおいて、上記以外の任意成分としては、それぞれの要求特性に応じて選択することができる。例えば、強度を上げる目的で、ガラス中の水分量を減らすためには、Clを単独でまたは合量で4%以下の範囲で含有してもよい。
本ガラスは、実質的にフッ素を含まないことが好ましい。フッ素を含有した場合、揮散の影響で脈理が発生し均質なガラスを採取することが困難になる、もしくは、フッ素を含有することでガラスが還元されるため400nm付近の透過率が低くなる。
本ガラスにおいては、環境面での負荷を減少させるため、成分として鉛(PbO)、ヒ素(As)、タリウム(TlO)のいずれも実質的に含有しないことが好ましい。
本ガラスにおける機械的強度として、ビッカース硬度が570以上であることが望ましい。570未満であると、研磨の際に端面付近で面ダレがおきるため平坦性が悪化しやすく、薄板への加工が困難になる。
また、本ガラスにおける機械的強度として、ヤング率が80GPa以上であることが望ましい。80GPa未満であると、薄板化した際に板のたわみが起こりやすくなるため、ガラスが割れやすくなるため、薄板化が困難になる。
また、本ガラスにおける機械的強度として、クラック耐性荷重があるが、クラック耐性荷重が小さいと、物理的接触によるキズがつきやすく、ガラスが割れやすくなる。耐性荷重は大きいことが望ましいが、望ましくは90g以上である。
本ガラスにおいては、分光特性として0.5mm厚の平板での波長400nmにおける透過率が70%以上、波長550nmにおける透過率が80%以上、波長650nmにおける透過率が35%以下、波長800nmにおける透過率が2%以下であることが望ましい。
本ガラスは、上記のような特性を有するため、薄板化しやすく、光学部品、特には、デジタルカメラ等に用いられる赤外カットフィルタに好適である。
以下、本発明の具体的な態様を実施例(例1〜11)および比較例(例12〜16)により説明するが、本発明はこれらに限定されない。
原料調製法としては、表に示す組成のガラスが得られるように下記原料を調合して白金製るつぼに入れ、1300〜1350℃で3時間溶解した。この際白金製スターラにより1時間撹拌して溶融ガラスを均質化した。均質化された溶融ガラスは流し出して板状に成形後、Tg+10℃の温度で4時間保持後、−1℃/minの冷却速度で室温まで徐冷した。
原料としては、オルトリン酸として関東化学社製の85%試薬を使用した。リン酸アルミニウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムとして、関東化学社製の特級試薬を使用した。
得られたガラスについて、ビッカース硬度Hv、ヤング率E(単位:GPa)、クラック耐性荷重(単位:g)、波長400、550、650、800nmにおけるそれぞれの透過率T400、T550、T650、T800(単位:%)を測定した。これらの測定法を以下に述べる。
ビッカース硬度:20mm×20mm×1mm厚の平板形状に加工したサンプルを、マイクロビッカース硬度計(AKASHI社製、商品名:MVK−H2)を用いて測定した。
クラック耐性荷重:20mm×20mm×1mm厚の平板形状に加工したサンプルを、マイクロビッカース硬度計(AKASHI社製、商品名:MVK−H2)を用いて、ダイヤモンド圧子を打ち込み、圧子がサンプルから離れた15秒後に、四角形の厚痕の角の部分から伸びているクラックの数を計測し、10回の測定において、20本のクラックが発生する荷重をクラック耐性荷重として評価した。なお、表中の*印が付いている値は、組成から推定した値である。
ヤング率:20mm×20mm×1mm厚の平板形状に加工したサンプルを、超音波厚さ計(PANAMETRICS−NDT社製、商品名:35DL)を用いて、超音波パルス法(JIS R1602)によって測定した。
透過率:20mm×20mm×0.5mm厚の平板形状に加工したサンプルを、分光光度計(パーキン・エルマー社製、商品名:Lambda950)により測定した。
耐候性:20mm×20mm×0.5mm厚の平板形状に加工したサンプルを、高度加速寿命試験装置(エスペック社製、商品名:EHS―411M)により、温度120℃、相対湿度100%の条件下で8時間暴露したのち、30Wの蛍光灯下で目視にて判別を行い、表1に示すような外観判別要件でA〜Cのランク付けを行った。また、劣化面積割合についても、典型的な5mm×5mmの大きさのスポットを選択し、劣化している部分の面積割合から表2に示すようなランク付けを行った。
Figure 2010008908
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耐候性に関しては、カチオン種類による影響について評価した参考結果を表3に示す。表4にはアルカリ、アルカリ土類金属イオンのイオン半径を示すが、アルカリ土類の中では、よりイオン半径が小さいMgほど耐候性が高い結果が示されている。また、アルカリ金属においては、Kを使用した場合にはガラス化しなかったため評価不可能であったが、イオン半径の小さいLi、Naなどでは高い耐候性を示すことが示されている。
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ここで示されるとおり、実施例3〜11は、Alが13%以上かつPのAl合量が85%以上であるため、ビッカース硬度(Hv)570以上およびヤング率(E)80GPa以上、クラック耐性加重90g以上、400nmの透過率が70%以上と、十分な強度と透過率を持つ。一方で、例13は特許文献2で提案されているガラス組成の一つの様態であるが、アルカリ含有量が非常に高いために、硬度およびヤング率が十分でない。また、例14はPとAlの合量が少ないため、強度が十分でなく、またKOを含んでいるため、400nmの透過率が低く、また耐候性も低く不十分である。例15は特許文献5で提案されているガラス組成の一つの様態であるが、PおよびAl含有量が低く、LiOの含有量が高すぎるため、耐候性が不十分であるだけでなく、ガラスの安定性が低いために溶解温度が高くならざるを得ず、T400の値が低くなり不十分である。例16は特許文献6で提案されているガラス組成の一つの様態であるが、アルカリを含有しないために、強度が不十分である。
固体撮像素子に用いられる光学部品として好適な赤外カットフィルタ用ガラスを提供できる。

Claims (7)

  1. モル%表示で、Pが63〜73%、Alが15〜22%、且つP+Alが80%以上、Bが0〜10%、SiOが0〜10%、LiOが0〜5%、NaOが0〜8%、LiO+NaOが0.5〜10%、MgO 0〜6%、であり、CuOを含み、ビッカース硬度が570以上、ヤング率が80GPa以上、0.5mm厚の波長400nmにおける透過率が70%以上、波長800nmにおける透過率が2%以下である近赤外吸収フィルタ用ガラス。
  2. Oを含まないことを特徴とする請求項1に記載の近赤外吸収フィルタ用ガラス。
  3. フッ素を含む化合物を含まないことを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外吸収フィルタ用ガラス。
  4. 請求項1、2または3に記載の近赤外吸収フィルタ用ガラスを用いた赤外カットフィルタ。
  5. 平行平板形状に研磨された請求項4に記載の赤外カットフィルタ。
  6. 研磨平面のうちの1面もしくは2面に反射防止層を備えた請求項4または5に記載の赤外カットフィルタ。
  7. 研磨平面のうちの1面もしくは2面に、水晶などの光学部材と接着しない面を持つ請求項4、5または6に記載の赤外カットフィルタ。
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