JP2010008796A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳化凝集法によるトナーの製造において、より優れたトナーを製造する方法を提供する。
【解決手段】乳化凝集法によるトナーの製造方法であって、以下の工程(a)及び(b);(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、(b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、を備えるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トナーの製造方法に関し、特に乳化凝集法のトナーの製造方法に関する。
電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置においては、所定の極性及び大きさに帯電したトナーを用紙上に定着させることで当該用紙上に画像を形成することができる。こうしたトナーの製造方法として、サブミクロンサイズの母体微粒子を所望のトナー粒径に凝集会合させて母粒子を得た後、加熱により溶融してトナー母粒子を得る乳化凝集法が知られている(特許文献1〜3)。
例えば、特許文献1、2では、母体微粒子や着色剤を含有する懸濁液を2種類の凝集剤を用いる凝集しその後溶融することが開示されている。また、例えば、特許文献3には、まず、母体微粒子のみを凝集させておき、次いで得られた凝集体を着色剤等と凝集させることが開示されている(特許文献3)。
特開2000−122344号公報 特開2005−227780号公報 特開平11−258853号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されるように異なる凝集剤を使用しても、また、特許文献3に開示されるように、2段階で母体微粒子を凝集させても、母体微粒子の全てが凝集するとは限らず、一部の母体微粒子は凝集することなく、微粉としてトナーに混在することがあった。このような未凝集の微粒子の存在は、トナー収率を低下させるほか、印字初期におけるカブリの増加や耐久印字に際して微粒子が現像部材に固着して印字品質の低下を引き起こすことになる。
そこで、本発明は、乳化凝集法によるトナーの製造において、より優れたトナーを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、未凝集の母体微粒子の発生を抑制するべく、種々検討したところ、母体微粒子を凝集させた凝集体を一旦融合した後、残存する未凝集の母体微粒子を融合した母粒子に対して凝集させることができると言う知見を得た。本発明者らは、こうした知見に基づき本発明を完成した。本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、乳化凝集法によるトナーの製造方法であって、以下の工程(a)及び(b);
(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、(b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、を備える、トナーの製造方法が提供される。
本発明のトナー製造方法において、前記(a)の工程は、一次凝集剤の存在下で前記母体微粒子を凝集させることを含む工程であり、前記(b)の工程は、二次凝集剤の存在下で前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させる工程であることが好ましい。また、前記二次凝集剤は、前記結着樹脂とは逆の極性を有する凝集剤であることが好ましく、前記母体微粒子の懸濁液に対して添加したとき、添加量をX軸とし流動電位をY軸として得られる流動電位曲線において2以上の変曲点を有する凝集剤であることが好ましい。
さらに、前記二次凝集剤は、前記一次凝集剤よりも前記母体微粒子に対する凝集能が弱い凝集剤であることも好ましい。また、前記二次凝集剤は、前記結着樹脂と逆の極性の極性基を有するポリマーであることも好ましい。この態様において、前記ポリマーは、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマーから選択される1種又は2種以上を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマーとすることができる。
本発明のトナー製造方法において、前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移温度以下の温度で開始されるものであってもよいし、前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移点近傍の温度で加熱して前記一次母粒子懸濁液中に残存する前記母体微粒子と前記一次母粒子とを凝集させることを含むものであってもよい。
本発明は、トナーの製造方法に関する。本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法において、母体微粒子を凝集させ、融合して得られる一次母粒子を得、その後、この一次母粒子に対して未凝集の母体微粒子を凝集させることにより、未凝集の母体微粒子の発生を抑制して、より優れたトナーを得ることができる。本発明によれば、母体微粒子を凝集・融合させて得られる一次母粒子と母体微粒子とを凝集させることしたため、一次母粒子の再度の凝集による粗大粒子化を抑制しつつ、未凝集の母体微粒子の一次母粒子への凝集を促進することができると考えられる。
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のトナーの製造方法の工程フローの一例を示す図である。なお、以下の説明においては、まず、乳化凝集法によってトナーを製造するのに用いる各種材料(トナー構成材料)について説明し、その後、乳化凝集法によるトナーの製造工程について説明する。
なお、本明細書において、「母体微粒子」とは、トナーの結着樹脂を含む樹脂溶液を水系媒体中に少なくとも微細乳化させた微粒子を意味する。なお、「樹脂溶液」とは、トナーの結着樹脂を少なくとも含み、必要に応じて着色剤と離型剤を有機溶剤に溶解または分散したものをいうものとする。また、「水系媒体」とは、前記樹脂溶液を乳化する際に使用する水を主とする溶媒をいう。なお、水系媒体は、分散安定剤を含有していてもよい。「一次母粒子」は、未凝集状態の母体微粒子を凝集させた後、加熱等により融合させたものをいい、「二次母粒子」は、融合を経て得られる一次母粒子と未凝集の母体微粒子とを凝集させて得られる固体粒子を意味する。「一次母粒子」及び「二次母粒子」は、いずれも、得ようとするトナー径レベルの大きさを備えている。「トナー母粒子」とは、最終的にトナーとする前段の粒子をいい、二次母粒子又は適宜表面処理を施した二次母粒子をいう。「トナー」とは、乾燥したトナー母粒子又はその表面に対して必要に応じてその表面に疎水性無機分散剤等の外添剤を付着させたものをいう。
また、本明細書において、「一次凝集剤」とは、母体微粒子懸濁液中の母体微粒子を凝集させるための凝集剤をいうものとし、「二次凝集剤」とは、一次母粒子と母体微粒子とを凝集させるための凝集剤をいうものとする。
(トナー構成材料)
本発明の製造方法によって得られるトナーは、結着樹脂を主体とし、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい一次母粒子表面に、母体微粒子が凝集し付着して得られる二次母粒子を有している。さらに、本発明の製造方法によって得られるトナーは、二次母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を有していてもよい。さらにまた、本発明の製造方法によって得られるトナーは、トナー母粒子表面に疎水性無機分散剤などの外添剤を有するものであってもよい。
(結着樹脂)
結着樹脂は、トナーの主成分であり、加熱および/または加圧されることにより、記録媒体(紙、OHPシートなど)の表面上に、固着(熱融着)する合成樹脂からなる。このような結着樹脂としては、特に制限されず、トナーの結着樹脂として知られる公知の合成樹脂が挙げられる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその誘導体、例えば、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体などのスチレン−スチレン誘導体共重合体、例えば、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体など)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。また、これら結着樹脂は、親水性基を有していることが好適である。親水性基を有していれば、乳化液の調製時に、界面活性剤の配合を不要とすることができる。親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩含有基、アミノ基、ホスホニウム塩含有基などのカチオン性基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基などが挙げられる。
好ましくは、アニオン性基を有する結着樹脂、さらに好ましくは、アニオン性基を有するポリエステル樹脂、とりわけ好ましくは、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂(酸価を有するポリエステル樹脂)が挙げられる。上記したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、市販されており、例えば、酸価0.5〜40mgKOH/g、好ましくは、1.0〜20mgKOH/gで、重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による)9,000〜200,000、好ましくは、20,000〜150,000で、架橋分(THF不溶分)10重量%以下、好ましくは、0.5〜10重量%のポリエステル樹脂が用いられる。酸価がこれより低い場合には、分散安定剤として水酸化ナトリウムなどの中和剤を添加した際に酸塩基反応する量が少ないために、乳化が不安定となって安定したスラリーが得られない場合がある。一方、酸価がこれよりも高い場合には、トナーの帯電性が過度に高くなり、画像濃度の低下などを生じる場合がある。また、重量平均分子量がこれよりも低い場合には、トナーの機械的強度が不足してトナーの耐久性が低くなる場合がある。一方、重量平均分子量がこれよりも高い場合には、トナーの溶融粘度が過度に高くなり、乳化液滴が大きくなってしまい粗大粒子が発生しやすくなる場合がある。架橋分は、全くなくてもよいが、トナーの強度や定着性(特に高温側のオフセット)に対しては、ある程度存在していることが好適である。例えば、架橋分(THF不溶分)10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜10重量%である。ただし、多すぎると、乳化液滴が大きくなってしまい粗大粒子が発生する場合がある。
ポリエステル樹脂は、透明性を有すること、トナー像に色調障害を生じない程度にほぼ無色であること、適当な熱または圧力下で流動性を有すること、微粒化が可能であるほか、帯電の安定性や画質の点において優れている。
なお、樹脂の分子量は、約0.05〜0.6重量%となるよう樹脂成分をTHFに溶解させ、不溶解分をDISMIC(直径0.2μm、PTFE製:ADVANTEC)でろ別して、THF溶解分だけを採取し、これを分子量100〜10,000,000の単分散ポリスチレン標準試料5種類以上を用いて検量線をもとにGPC測定器で測定し、分子量分布を算出する。
(着色剤)
着色剤は、トナーに所望の色を付与するものであって、結着樹脂内に分散または浸透される。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、例えば、キノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、ペリノンオレジン、ペリノンレッド、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロール系顔料などの有機顔料、例えば、チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがら、アルミニウム粉、ブロンズなどの無機顔料または金属粉、例えば、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、インドフェノール系染料、インドアニリン系染料などの油溶性染料または分散染料、例えば、ロジン、ロジン変性フェノール、ロジン変性マレイン酸樹脂などのロジン系染料が挙げられる。さらには、高級脂肪酸や樹脂などよって加工された染料や顔料なども挙げられる。これらは、所望する色に応じて、単独使用または併用することができる。例えば、有彩単一色のトナーには、同色系の顔料と染料、例えば、ローダミン系の顔料と染料、キノフタロン系の顔料と染料、フタロシアニン系の顔料と染料を、それぞれ配合することができる。着色剤は、結着樹脂100質量部に対して、例えば、2〜20質量部、好ましくは、4〜10質量部の割合で配合される。
(離型剤)
離型剤は、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるために添加される。加熱圧力定着方式の場合、加熱媒体からトナーが剥離しやすいように、トナー内部にワックスを内包させておくことが一般的である。離型剤としては、例えば、エステル系ワックス、炭化水素系ワックスなどが挙げられる。エステル系ワックスとしては、例えば、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステルなどの脂肪族エステル化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの多官能エステル化合物などが挙げられる。炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類、例えば、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。これらワックスは、単独使用または併用することができる。好ましくは、上記したワックスのうち、融点が、50〜100℃のワックスが挙げられる。融点が低く溶融粘度の低いワックスは、定着器の加熱温度が低い場合でも、結着樹脂よりも先に溶融してトナー表面に染み出すことで、オフセットを防止することができる。より具体的には、エステル系ワックス、パラフィン系ワックスが挙げられる。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、3〜15質量部の割合で配合される。
(帯電制御剤)
帯電制御剤は、目的および用途に対応して、正帯電性電荷制御剤または負帯電性電荷制御剤から適宜選択して単独または併用して用いられる。帯電制御剤は、特に限定されないが、おおよそ以下の2通り:(1)トナー母粒子内部に予め添加された形態、(2)トナー母粒子の表面に付着された形態により、トナー母粒子に対して付与されている。これらが組み合わされていてもよい。
上記(1)の形態に用いられる正帯電性帯電制御剤として、例えば、ニグロシン系化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン化合物、塩基性基含有化合物、3級アミノ基含有アクリル系樹脂などが挙げられる。また、同様の負帯電性帯電制御剤として、例えば、トリメチルエタン系染料、アゾ系顔料、銅フタロシアニン、サリチル酸金属錯塩、ベンジル酸金属錯塩、ペリレン、キナクリドン、金属錯塩アゾ系染料などが挙げられる。
また、上記(2)の形態に用いられる帯電制御剤としては、例えば、上記(1)の形態で用いられる帯電制御剤のほか、帯電制御樹脂を主成分とする樹脂微粒子(以下、帯電制御樹脂微粒子という。)が挙げられる。帯電制御剤をトナー母粒子表面に付着させる場合、その付着態様は特に問わないで、トナー母粒子表面に何らかの相互作用により付着させた態様、少なくとも一部を埋没させて付着させた態様、融着等により付着させた態様等を含んでいる。帯電制御樹脂微粒子をトナー母粒子に付着させる場合においても、これらの各種態様が可能であるが、埋没態様又は融着態様が用いられることが好ましい。
帯電制御樹脂としては、極性基を有するものが好適に用いられ得る。極性基を含有することで良好な分散にされた帯電制御樹脂微粒子懸濁液を得ることができ、母粒子に対して均一に帯電制御樹脂微粒子を固着させることができる。
例えば、負帯電トナーの場合には、スチレンアクリル共重合体を用いることが好ましい。好ましいスチレンアクリル共重合体としては、特に限定されないが、スチレン、o,m,p−クロルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマーと、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステルから選ばれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとの共重合体が挙げられる。
また、例えば、トナーが正帯電トナーの場合には、極性基としては、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩構造を有する基、アミノ基、ホスホニウム塩構造を有する基が好適に適用され得る。特に、塩構造を有する基が好適に適用され得る。当該帯電制御樹脂としては、第4級アンモニウム(塩)基を含有するものが、最も好適に用いられ得る。塩構造を有することで中和剤や界面活性剤の使用を省略又は抑制しても安定な懸濁液を得ることができる。
第4級アンモニウム基を有する帯電制御樹脂としては、メタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムサルフェイトなどの第4級アンモニウム基を有する重合性成分と他のビニル系モノマーなどの共重合性成分との共重合体が挙げられる(特開平8−220809号公報)。共重合性成分としては、特に制限するものではなく、重合性の不飽和結合を持つものであればいずれも使用可能である。具体例としては、スチレン、o,m,p−クロルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、アクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらビニル系モノマー類の中でも、スチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素原子数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましい。
帯電制御樹脂は、重量平均分子量(Mw)で3000〜10万の範囲で設定されるのが好ましい。分子量が3000より小さいと、加熱固着時にトナー同士が凝集・融着しやすくなり、粒子径制御が困難となる。また、強度が弱くなり、印字耐久性が低下してしまう傾向があるからである。一方、分子量が10万を超えると、微粒子化する際に粒子径が大きくなりやすく、十分な帯電性付与を行うことが困難となる。また低温定着性に悪影響を及ぼす可能性が高くなるからである。
帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は、前記トナー母粒子と同等かそれより少し高いことが好ましい。例えば、前記トナー母粒子のTgが60℃である場合、当該帯電制御樹脂のTgは60〜70℃あるいは60℃〜65℃程度に設定されるのが好ましい。
帯電制御樹脂の有する極性基の量は、共重合条件によって適宜調整され得る。例えば、スチレン−アクリル共重合体系の帯電制御樹脂を用いる場合、極性基の量は、共重合させるアクリル量によって調整され得る。
帯電制御樹脂の微粒子の粒径が小さいほど、二次母粒子の表面に当該微粒子がより均一に被覆されるため、好適である。したがって、母粒子の平均粒径に対して十分に小さく、帯電制御樹脂微粒子の固着により得られるトナー母粒子の平均粒径に実質的に影響を与えない程度の平均粒径とすることが好ましい。帯電制御樹脂微粒子の平均粒径は、得ようとするトナーの平均粒径にもよるが、平均粒径は、約50〜250nm程度とすることが好ましい。なお、帯電制御樹脂微粒子の平均粒径は、動的光散乱法(レーザードップラー法)を利用した粒度分布計 ナノトラック UPA150(日機装社製)を用いることにより求めることができる。
(外添剤)
トナー母粒子表面に付着される外添剤としては、無機粒子や合成樹脂粒子が用いられ得る。無機粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが用いられ得る。シリカ微粉体の疎水化処理としては、シリコーンオイルやジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。合成樹脂粒子としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子、等が用いられ得る。外添剤の添加量は、特に限定されないが、前記トナー母粒子に対して、通常、0.1〜6質量部である。
(トナーの製造方法)
以下、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法によるものであって、特に、以下の工程(a)及び(b);(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集させ、融合して得られる一次母粒子を含有する一次母粒子懸濁液を調製する工程、(b)前記一次母粒子と前記一次母粒子懸濁液中に残存する前記母体微粒子とを凝集させて得られる二次母粒子を含有する二次母粒子懸濁液を調製する工程、を備えている。以下、上記工程を含むトナーの乳化凝集法によってトナーを製造する方法について、適宜図面を参照しながら説明する。図1には、本発明のトナーの製造方法の工程フローの一例を示す。
典型的な乳化凝集法によれば、トナーは、樹脂溶液の調製工程S10、母体微粒子懸濁液調製工程S20を得て、上記一次母粒子作製工程S30及び二次母粒子作製工程S40が実施され、さらに、トナー母粒子作製工程S50及びトナー作製工程S60が実施されて、最終的にトナーが得られる(図1参照)。以下、これらの各工程S10〜60について順次説明する。
(樹脂溶液の調製工程)(S10)
図1に示すように、樹脂溶液の調製工程S10では、まず、結着樹脂のほか、通常は着色剤を、さらに必要に応じて離型剤を有機溶剤に溶解または分散させる。結着樹脂は溶剤中に溶解することが好ましい。着色剤として顔料を使用する場合には、顔料は溶解しないため微分散させる。離型剤も溶解することが好ましいが微分散していれば必ずしも溶解していなくてもよい。樹脂溶液の調製にあたっては、有機溶剤の沸点以下の温度に適宜加熱してもよい。特に、離型剤を溶解又は分散させる場合には、加熱することが好ましい。
有機溶媒は、沸点未満の温度でワックスを溶解することが好ましいが、結着樹脂の乳化を促進すべく、ある程度の水溶性を示すことが好適である。特に、本発明の製造方法では、好適には、樹脂溶液の乳化安定化に対して分散安定剤として用いる界面活性剤などの使用を低減することが好ましい。この結果、結着樹脂の末端基を中和するなどして親水性の高い塩の状態にする必要があるため、完全に疎水性の溶媒を使用するとこれらの反応が進行しないため乳化安定化が困難となる。そのため、ある程度の水溶性を有する溶剤が好適である。そのような有機溶媒として、25℃の水に対して1〜100%相溶可能である有機溶媒が好ましく、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または併用することができる。好ましくは、沸点50〜100℃、好ましくは、60〜90℃の有機溶媒、具体的には、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃、常圧時(1気圧))、テトラヒドロフラン(沸点:65℃、常圧時)が挙げられる。有機溶媒は、結着樹脂100質量部に対して、例えば、100〜2000質量部、好ましくは、200〜1000質量部の割合で配合される。
樹脂溶液の調製にあたっては、着色剤をあらかじめ溶剤に微分散させた着色剤分散液を調製しておくことが好ましい。着色剤分散液の調製方法としては、着色剤と溶剤と分散剤を混合し、ディスパーやホモジナイザーなどでプレ分散させた後、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどの分散機で微分散させる方法等が挙げられる。あらかじめ着色剤分散液を調製した場合には、着色剤の凝集を防ぐため、樹脂溶液を調製する際に、まず着色剤分散液を溶剤でゆっくりと希釈したのち、樹脂や離型剤を混合して溶解・分散させる方法が好ましい。
なお、溶剤に溶解する染料などを使用する場合にはとくに分散させる必要はない。また顔料を微分散させるために顔料分散用の分散剤を使用することが好ましい。分散剤としては界面活性剤や高分子分散剤などが用いられる。また結着樹脂を分散剤として機能させることも可能であるため、分散剤として結着樹脂を用いても良い。
(母体微粒子懸濁液の調製工程)(S20)
母体微粒子懸濁液の調製工程S20は、樹脂溶液と水系媒体とを混合乳化させた乳化液を調製後、有機溶剤成分を揮発除去することにより水系媒体に母体微粒子が分散した懸濁液を調製する。
水系媒体としては、水又は水と相溶する有機溶剤との混液が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アルコール類が挙げられる。また、水系媒体に含まれていてもよい添加剤としては、例えば、分散安定剤が挙げられ、界面活性剤、中和剤などが用いられる。水系媒体は、本発明の製造方法においては、アルカリ性水溶液として調製されることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、例えば、アミン類などの塩基性有機化合物を水に溶解した有機塩基水溶液や、例えば、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウムなどのアルカリ金属を水に溶解した無機塩基水溶液が挙げられる。例えば、無機塩基水溶液は、例えば、0.1〜5N(規定)、好ましくは、0.2〜2N(規定)の、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液として、調製される。なお、水の混入により樹脂溶液に溶解しにくいワックスが配合される場合には、ワックスの析出防止の観点から、好ましくは、有機塩基水溶液が用いられる。
乳化には、ホモジナイザー等でせん断を加えることでトナー粒子径よりもずいぶん小さい100〜500nmレベルの大きさに乳化することができる。この状態で乳化安定化させて溶剤を除去することでnmレベルの母体微粒子が分散した懸濁液を得ることができる。乳化には分散安定剤を使用することが好ましい。しかし界面活性剤はトナーの帯電性能に大きな影響を及ぼし、洗浄などによる除去が困難であるため、できるだけ少量の添加で乳化安定化できるものを選択することができる。
本発明の製造方法では、界面活性剤を使用せず、中和剤(水酸化ナトリウムなどのアルカリの水溶液)を使用することで結着樹脂に含まれる酸基(カルボキシル基など)を中和することにより結着樹脂自身に親水性を付与することで乳化安定化を図ることが好ましい。中和剤は具体的には水酸化ナトリウムを使用しており、水系媒体に混合しておくか、樹脂溶液に混合しておく、あるいは樹脂溶液と水系媒体を混合してから添加することにより乳化安定化を行う。
乳化が安定化していれば溶剤除去操作を行うことができる。乳化液から有機溶媒を除去するには、送風、加熱、減圧またはこれらの併用など、公知の方法が用いられる。例えば、不活性ガス雰囲気下、例えば、常温〜90℃、好ましくは、65〜80℃で、初期の有機溶媒量の80〜95重量%程度が除去されるまで加熱する。この結果、懸濁液から有機溶媒が除去されて、着色剤およびワックスが均一に分散した結着樹脂の樹脂微粒子が水系媒体中に分散する懸濁液(スラリー)が調製される。母体微粒子の樹脂微粒子の体積平均粒子径は、例えば、約50nm以上1000nm以下程度とすることが好ましい。体積平均粒子径が50nm未満であると凝集時に多量の凝集剤を要する傾向が大きくなり、1000nmを超えると凝集させた際シャープな粒度分布のトナー母粒子を得られにくくなる傾向があるからである。また、この範囲であると、後述する二次母粒子作製工程において母体微粒子の分散を不安定化する一方一次母粒子の分散を安定化しやすいからである。
なお、母体微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法(レーザードップラー法)を利用した粒度分布計 ナノトラック UPA150(日機装社製)を用いることにより求めることができる。
なお、乳化は、樹脂溶液を水系媒体に配合してもよいし、水系媒体を樹脂溶液に配合してもよい。また、本発明ではポリエステル樹脂を用いるため、樹脂溶液に予めアルカリ性水溶液やアミン系溶剤を配合して中和しておき、それに水を配合してもよく、さらには、予め中和した樹脂溶液に水を配合することもできる。
(一次母粒子の作製工程)(S30)
一次母粒子の作製工程S30は、母体微粒子の凝集ステップ(S32)と、母体微粒子の凝集体を融合して一次母粒子とする融合ステップ(ステップS34)とを含むことができる。
(母体微粒子の凝集ステップ)(S32)
母体微粒子の凝集ステップS32では、上記工程S20で得た母体微粒子を凝集させて母体微粒子の凝集体を得る。まず、母体微粒子懸濁液を必要に応じて水で希釈して懸濁液中の固形分濃度を調整する。この液には、乳化凝集のための凝集剤を添加することができる。以下、本ステップで使用する凝集剤、すなわち、本明細書において、母体微粒子懸濁液中の母体微粒子を凝集させるための凝集剤を、一次凝集剤というものとする。かかる一次凝集剤としては、硝酸カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機金属塩、ポリ塩化アルミニウムなどの無機金属塩の重合体、カチオン性界面剤などが挙げられる。本発明においては、好ましくは無機金属塩又はその重合体である。この種の凝集剤、典型的には強酸の金属塩(好ましくは強酸弱塩基の塩)は、強い母体微粒子凝集能を有するからである。換言すれば、ポリエステル樹脂等、上記した結着樹脂を凝集させる傾向が強いからである。すなわち、強い母体微粒子凝集能を発揮するからである。例えば、後述する二次凝集剤に比較すると、より少量の添加で母体微粒子を凝集させることができる。
母体微粒子の凝集ステップS32では、分散助剤を用いることができる。分散助剤としては、水酸化ナトリウムなどアルカリ水溶液等公知の分散助剤等が挙げられる。また、分散助剤としての非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられます。好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
母体微粒子の凝集ステップでは、例えば、0.01〜1.0N(規定)、好ましくは、0.05〜0.5N(規定)に調製された凝集剤水溶液を、懸濁液100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部となる割合で添加し、攪拌する。攪拌は、特に制限されないが、例えば、まず、ホモジナイザーなどの高速分散機により懸濁液を分散後、次いで、攪拌翼付攪拌機により懸濁液が全体的に流動する程度に混合する。攪拌翼は、公知のものが用いられ、平板タービン翼、プロペラ翼、アンカー翼などが用いられる。さらに、超音波分散機により攪拌することもできる。なお、攪拌時の液温は、例えば、10〜50℃、好ましくは、20〜30℃であり、攪拌時間は、例えば、5〜60分、好ましくは、10〜30分である。その後、加熱することで凝集状態を均一化するのが好適である。加熱温度は、例えば、粒子が融合しない程度の温度まで加熱する。液温は母体微粒子(結着樹脂)のTgよりも低い温度で行うことが粗大粒子発生防止の点で好ましい。例えば、例えば、35〜60℃であり、より好ましくは40℃以上45℃以下程度に加熱する。
母体微粒子が所望の大きさの凝集体を形成したら、凝集停止剤を添加して凝集を停止させることが好ましい。一次母粒子の体積平均粒子径は例えば、6μm以上10μm以下程度である。凝集停止剤としては凝集剤とは逆極性のイオン性界面活性剤や、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属が挙げられる。凝集の停止にあたっては、例えば、0.01〜5.0N(規定)、好ましくは、0.1〜2.0N(規定)に調製されたアルカリ金属水溶液を、懸濁液100質量部に対して、例えば、0.5〜20質量部、好ましくは、1.0〜10質量部となる割合で添加し、攪拌を継続する。例えば、水酸化ナトリウム水溶液を添加する。なお、一次母粒子の粒子径は、コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター製)などのコールター法を用いることができる。具体的な測定方法としては、実施例に記載の方法を採用できる。
(凝集体の融合ステップ)(S34)
凝集体の融合ステップS34では、凝集体を加熱により融合させて一次母粒子を調製する。凝集体の融合は、攪拌を継続しつつ、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加熱する。例えば、55〜100℃、好ましくは、65〜95℃で加熱する。例えば、液温90℃まで加熱する。好ましくは、結着樹脂のTgよりも20℃以上、より好ましくは30℃以上に加熱する。
凝集体が融合して形状変化が起きるので、所望の形状になったところで加熱を停止し、攪拌を継続しながら、結着樹脂のTg以下の温度まで冷却する。なお、冷却は、自然冷却でも外部冷却水等による急速冷却であってもよい。こうして、融合した凝集体、すなわち、一次母粒子を得ることができる。実際には、一次母粒子を含有する懸濁液を得ることができる。
本発明の製造方法においては、母体微粒子を凝集、融合して一次母粒子を得ることにより、後段の追加の凝集工程(二次母粒子作製工程S40)を効果的に実施することができるようになる。凝集体を加熱溶融して凝集体を構成する個々の母体微粒子を融合することで、独立した母体微粒子によって構成される凝集体の凹凸に富む表面形状を平均化(均一化)し、また、その表面積を低減することができる。これにより、追加の凝集工程における一次母粒子の二次凝集を抑制するとともに、少量の凝集剤の添加で未凝集の母体微粒子の一次母粒子への凝集を促進して、一次母粒子と母体微粒子とを選択的に凝集させることができるようになる。
こうして得られた一次母粒子を含有する懸濁液は、必要に応じて固液分離や洗浄が行われ、適当な固形分濃度、水性等が調整される。なお、未凝集の母体微粒子は一次母粒子とともに懸濁されたままでもよいし、その少なくとも一部が一次母粒子を含有する懸濁液から除去されていてもよい。
(二次母粒子の作製工程)(S40)
二次母粒子の作製工程(S40)は、母体微粒子を凝集、融合させることによって得られる一次母粒子に対して母体微粒子を凝集付着させて二次母粒子を得る工程である。本発明のトナーの製造方法においては、二次母粒子の作製工程では、表面が平均化され粒径が大きく相対的に多量に存在する一次母粒子と、微粒子で相対的に少量で存在する母体微粒子とを凝集させる。一次母粒子が既に融合済みであることから、一次母粒子同士の二次凝集を効果的に抑制しつつ、母体微粒子の一次母粒子への凝集を促進するような、分散と凝集とが同時に実現しやすい状態を形成することができると考えられる。
本工程S40では、一次母粒子に母体微粒子を凝集させて二次母粒子を得る。本工程S40で使用する母体微粒子は、母体微粒子懸濁液中にもともと含まれており、先の一次母粒子作製工程S30では凝集体を形成しないで未凝集の母体微粒子として、本工程S40で使用する一次母粒子懸濁液に残留したものであってもよい。この場合、一次母粒子作製工程S30において最終的に得られる一次母粒子懸濁液をそのまま二次母粒子作製工程S40において使用できる。この場合、一次母粒子作製工程S30と二次母粒子作製工程S40とを簡易に連続的に実施することができるため、好ましい。
本工程S40で使用する母体微粒子は、一次母粒子作製工程S30において得られ本工程S40で使用する一次母粒子懸濁液中に残留する母体微粒子に限定されない。一旦、未凝集の母体微粒子として一次母粒子懸濁液から除去されて、本工程S40の実施にあたって一次母粒子懸濁液に再度添加されたものであってもよい。さらに、本工程S40で使用する母体微粒子は、別のトナーの製造工程において発生したあるいは余剰の母体微粒子であってよい。さらには、別途調製された母体微粒子であってもよい。
本工程S40では、二次凝集剤を、一次母粒子と母体微粒子を含有し適度な固形分濃度等に調整された一次母粒子懸濁液に添加することが好ましい。通常、一次母粒子と母体微粒子との凝集・融合は、液媒体中で実施され、凝集・溶融後、二次母粒子は懸濁液の状態で得られる。かかる二次凝集剤としては、以下の(1)〜(3)の特徴のいずれかあるいは2種類以上を備えることができる。
二次凝集剤は、一次母粒子と逆極性(逆電荷を有する)を有する凝集剤である(特徴(1))ことが好ましい。かかる逆極性の凝集剤を用いることで、一次母粒子の表面を本来の極性(正又は負)を反対に極性(負又は正)とすることができ、分散安定性を向上させることができる。この結果、一次母粒子同士の凝集を抑制できる。一方、一次母粒子と母体微粒子との間において、一次母粒子表面の極性(正又は負)を中和して、母体微粒子を一次母粒子表面に対する凝集を促進できる。
ここで、一次母粒子と逆極性の凝集剤とは、例えば、一次母粒子がアニオン性であるとき(カルボン酸基などのアニオン性官能基を有するとき)、カチオン性の(カチオン性官能基を有する)凝集剤である。なお、一次母粒子の極性は、主として結着樹脂等の極性に依存する。
二次凝集剤は、母体微粒子懸濁液に凝集剤を添加していくときに得られる流動電位曲線(添加量をX軸とし流動電位をY軸として得られる曲線)において、2つ以上の変曲点を有する凝集剤である(特徴(2))ことが好ましい。好ましくは2つの変曲点を有する凝集剤である。図2に、この種の二次凝集剤を母体微粒子懸濁液に添加したときの流動電位曲線の一例を示す。図2は、2つの変曲点を有する二次凝集剤の例である。
図2に示すように、もともと分散安定状態にあった懸濁液に二次凝集剤を添加したとき、一次変曲点付近では母体微粒子表面の電荷が中和された状態と考えられる。すなわち、母体微粒子同士の静電気的反発が低下し、凝集しやすい状態と推測される。一方、二次変曲点付近では、一次変曲点付近で中和状態になって凝集した凝集体等の表面に、追加添加された二次凝集剤がダブルレイヤー状態で付着し、静電気的反発により粒子の分散安定性が上がっている状態と推測される。
このような流動電位変化を発揮する凝集剤は、一次母粒子と母体微粒子とが混在する状況下では、一次母粒子に対しては少量でそれらを分散安定化し、母体微粒子に対して凝集を促進する作用が大きい。この結果、一次母粒子間の凝集が抑制され、一次母粒子への母体微粒子の凝集が促進されると考えられる。二次凝集剤の母体微粒子及び一次母粒子への作用は、併存する一次母粒子が既に融合され表面積が小さくなっていることにより促進される。
二次凝集剤は、一次凝集剤より母体微粒子に対する凝集能が弱い凝集剤である(特徴(3))ことが好ましい。ここでいう凝集能の強弱は、例えば、母体微粒子懸濁液に凝集剤を添加していくときに得られる流動電位曲線において、流動電位を0V近傍(あるいは少なくとも一定量の添加量範囲における電位飽和状態)とするのに要する凝集剤量の大小で評価することができる。例えば、2種類の凝集剤を母体微粒子懸濁液に添加していくとき、流動電位が0V近傍あるいはその電位曲線において電位飽和状態となる凝集剤量がより大きい凝集剤が、より弱い凝集能を有するということができる。このような緩慢な流動電位変化を発揮する凝集剤は、母体微粒子の分散安定性を低下させて凝集を適度に促進して、母体微粒子と一次母粒子との凝集に寄与するものと考えられる。二次凝集剤の母体微粒子への作用は、併存する一次母粒子が既に融合されていることにより促進される。
二次凝集剤は、上記の特徴(1)〜(3)のうち、上記(1)の特徴を有することが好ましい。また、上記(1)の特徴に加えて、さらに上記(2)及び/又は(3)の特徴を有することが好ましい。
一次凝集剤は、二次凝集剤が上記(3)の特徴を有する場合以外は、二次凝集剤と同一であっても異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。一次凝集剤としては、上記特徴は必須ではなく、母体微粒子の凝集に対してより効果的な凝集剤を用いることが好ましいからである。なお、一次凝集剤及び二次凝集剤として同一の凝集剤の使用を妨げるものではない。一次凝集剤と二次凝集剤とが同一でも、凝集助剤や分散剤等の利用により、一次母粒子及び/又は二次母粒子の作製工程において所定の目的を達成することができる場合もあるからである。
なお、流動電位曲線は、常法に従い測定できる。例えば、自動電位滴定装置AT−510(京都電子工業社製)を用いて測定することができる。
このような二次凝集剤としては、特に限定されないで結着樹脂とは逆の極性(電荷)を有する各種凝集剤を用いることができるが、なかでも、有機系凝集剤であることが好ましく、有機高分子系(ポリマー)凝集剤がより好ましい。さらに好ましくは、結着樹脂とは逆の極性の官能基を有するポリマー系凝集剤である。このような官能基としては、例えば、結着樹脂が、親水性基として、例えば、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩含有基、アミノ基、ホスホニウム塩含有基などのカチオン性基を有する場合、二次凝集剤は、逆極性の官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基などを有することができる。反対に、結着樹脂が、親水性基として、例えば、結着樹脂が、カルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基を有する場合、二次凝集剤は、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩含有基、アミノ基、ホスホニウム塩含有基などのカチオン性基を有することができる。
こうした二次凝集剤を構成するポリマーとしては、例えば、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマーから選択される1種又は2種以上のモノマー組成物を重合して得られるポリマーとすることができる。こうしたモノマー組成のポリマーであると二次凝集剤の極性の制御、極性の強さの制御、水溶性の制御などの点において、上記モノマー組成のポリマーは設計自由度が広く、加えて、ポリマー合成が容易であるからである。
こうした二次凝集剤は、公知の高分子合成法により合成できるほか、商業的に入手することもできる。
二次母粒子作製工程S40は、適当な濃度に調製された二次凝集剤水溶液を、懸濁液に対して、有効量を添加し、攪拌することにより行う。攪拌は、特に制限されないが、必要に応じてホモジナイザーなどの高速分散機により懸濁液を分散後、次いで、攪拌翼付攪拌機により懸濁液が全体的に流動する程度に混合する。攪拌翼は、公知のものが用いられ、平板タービン翼、プロペラ翼、アンカー翼などが用いられる。さらに、超音波分散機により攪拌することもできる。
二次凝集剤の添加量は、一次母粒子と母体微粒子との凝集を促進して、未凝集の母体微粒子を低減できる範囲であればよく特に限定されない。二次凝集剤の有効な添加量(有効量)は、二次凝集剤の種類(例えば、反対極性の官能基の比率等)、一次母粒子懸濁液のpHなどの液性、母体微粒子懸濁液に対して二次凝集剤を添加して得られる流動電位曲線や二次母粒子作製工程S40の凝集開始時の液温等を考慮して適宜決定することができる。また、添加量と残留する母体微粒子量との関係を予め取得した上で有効な添加量を設定しておくこともできる。
好ましい二次凝集剤の添加量について、その二次凝集剤を用いた母体微粒子懸濁液の流動電位曲線を考慮する場合を、図2を参照して説明することができる。二次母粒子作製工程では、二次凝集剤を、母体微粒子懸濁液に対して二次凝集剤を添加して得られる流動電位曲線において、二次凝集剤により母体微粒子の凝集傾向が高い状態(最初の変曲点(一次変曲点)近傍である。)から、凝集した母体微粒子の反発傾向が高い状態(次の変曲点(二次変曲点)近傍である。)の手前の状態を得るための二次凝集剤添加量に相当する量を用いることが好ましい。すなわち、前記流動電位曲線において、一次変曲点以降二次変曲点未満となる二次凝集剤添加量相当量とする。この範囲であると、母体微粒子の分散安定性が弱まるとともに、母体微粒子が凝集し融合した粒子(一次母粒子)の分散安定性が高まる。すなわち、母体微粒子と一次母粒子について相反する分散状態が両立された状態が得られる。この結果、一次母粒子同士の凝集が抑制され母体微粒子と一次母粒子との凝集が促進され、一次母粒子同士の凝集による粗大粒子の発生を抑制しながら、未凝集の母体微粒子(微粉)を低減させることが可能となっている。
このような現象の原因はかならずしも明らかではなく、本発明を理論的に拘束するものではないが、母体微粒子と一次母粒子との単位体積あたりの表面積の違いに起因して、一次母粒子表面には凝集剤がダブルレイヤー状態となり、その結果、一次母粒子は分散安定状態(粒子間の静電気的反発力が確保された状態)となる。一方、母体微粒子に対しては分散安定が弱められた領域(静電気的反発力が弱まった状態)になるためと考えられる。
二次母粒子作製工程で適当量の二次凝集剤を一次母粒子懸濁液に添加したときの流動電位曲線の一例を図3示す。図3に示すように、一次母粒子懸濁液中に、適当量の二次凝集剤を添加すると、母体微粒子の分散安定性を低下させる程度の量であっても、既に凝集により大径化し表面が滑らかな一次母粒子は分散安定化状態となることがわかる。図3の流動電位曲線には現れないが、適当量の二次凝集剤は、同時に残存する母体微粒子に対しては分散状態を不安定化するように作用して分散された一次母粒子への凝集を促進すると考えられる。
二次凝集剤添加量は、前記流動電位曲線において、一次変曲点以降二次変曲点より手前の二次凝集剤添加量相当量の範囲内で適宜調節することができるが、凝集時の温度や攪拌操作等を考慮して確実に未凝集の母体微粒子を減少させるには、一次変曲点以降二次変曲点手前となる二次凝集剤添加量相当量であることがより好ましく、さらに好ましくは一次変曲点以降であって一次変曲点及び二次変曲点の中間点以前である。なお、二次凝集剤添加量は、予め作製した流動電位曲線において母体微粒子量(質量)に対して使用された二次凝集剤添加量(質量)に基づいて算出することができ、これと同等量となるように、一次母粒子懸濁液に含まれる一次母粒子及び母体微粒子として含まれる母体微粒子の総質量に対して設定される。
二次母粒子作製工程S40における凝集開始時の液温は、一次母粒子のガラス転移温度(Tg)以下の温度とすることが好ましい。開始時の液温が一次母粒子のTgを超えていると、粒子同士が凝集する傾向が強くなるため、二次凝集剤が添加された近傍のみでの凝集となり、二次凝集剤が全体に行き渡らず、母体微粒子の存続と粗大粒子発生という本来の目的とは別の状態になってしまうためであり、一次母粒子のTg以下であれば、そのような現象を抑制しやすくなるからである。より好ましくは、開始温度は、一次母粒子のTgよりも10℃以上低い温度であり、さらに好ましくは20℃以上低い温度である。また、当該開始温度は、特に限定しないが、一次母粒子懸濁液が凍らず攪拌可能な状態の温度であればよい。なお、一次母粒子のTgは、一次母粒子を構成する結着樹脂のTg及び一次母粒子の材料(可塑剤あるいは可塑剤的作用をする成分等)に依存しており、結着樹脂のTgよりも低くなる場合もある。
凝集開始時の液温は、二次凝集剤の添加量が多いほど、上記範囲においてより低く設定することが好ましく、添加量が少ない場合には、上記範囲内においてより高く設定することが好ましい。液温が高いと凝集しやすく、液温が低いと凝集しにくい傾向があるからである。例えば、二次凝集剤の使用量を抑制して凝集効果を得るには、凝集開始液温を高めてもよい。
一方、凝集開始後は、一次母粒子のTg近傍にまで加熱することが好ましい。こうした加熱により、一次母粒子と母体微粒子との凝集体を再融合させることができ、凝集状態を均一化できる。加熱温度は、例えば、一次母粒子のTg+10℃程度以下であることが好ましい。また、加熱温度は、一次母粒子のTg−10℃程度以上であることが好ましく、より好ましくは、Tg−5℃以上である。また、好ましくは、このようにTg近傍で一定時間保持する。例えば、20分〜1時間程度である。
その後、加熱を停止し、攪拌を継続しながら、一次母粒子のTg以下、好ましくはTgよりも10℃以上低い温度、より好ましくはTgよりも20℃以上低い温度まで冷却する。なお、冷却は、自然冷却でも外部冷却水等による急速冷却であってもよい。こうして、融合した凝集体、すなわち、二次母粒子を得ることができる。すなわち、二次母粒子を含有する懸濁液を得ることができる。二次母粒子が得られた懸濁液においては、母体微粒子は一次母粒子に凝集融合されているため、未凝集の母体微粒子量が低減されている。
以下、こうした二次母粒子に対して、必要に応じ、帯電制御剤や帯電制御樹脂微粒子などにより帯電特性を調整してもよい。以下、二次母粒子表面に帯電特性を付与する工程について説明する。
(二次母粒子への帯電特性の付与)
二次母粒子への帯電特性の付与は、帯電制御剤によって付与することもできるし、帯電制御樹脂微粒子によって付与することもできる。以下の説明では、二次母粒子に対して帯電制御樹脂微粒子を付着させる工程について説明する。二次母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を付与し固着させることで少量の帯電制御剤で効果的に帯電性を付与することができる。さらに液中で二次母粒子表面に付着・固着処理を行うことで、乾式に比べてより均一かつ強固な処理を行うことができる。具体的には、二次母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、母粒子の表面に帯電制御樹脂微粒子を付着させるようにする。以下、本工程で使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の調製について説明し、その後、二次母粒子トナー母粒子の作製について説明する。以下の説明においては、特に、二次母粒子に対して正の帯電性の帯電制御樹脂微粒子として第4級アンモニウム塩基を含有するスチレンアクリル共重合体の微粒子を付着させる場合を例として挙げて説明する。なお、この例は、正帯電トナー作製工程の一部とすることができる。
(帯電制御樹脂微粒子懸濁液の調製)
まず、帯電制御樹脂とこれを溶解あるいは膨潤させることができる有機溶剤と水を混合して、ホモジナイザーなどの高速攪拌機で乳化させる。帯電制御樹脂の極性基構造に依存するが、この極性基を有することで、分散剤を添加することなく安定な乳化状態を形成することが可能である。この乳化液から有機溶剤成分を加熱減圧など公知の方法で除去することにより帯電制御樹脂微粒子が水系媒体に分散した懸濁液を得ることができる。帯電制御樹脂微粒子の大きさは、樹脂と溶剤と水の比率と攪拌機のせん断力を調整することで制御することが可能である。また樹脂のもつ極性基量や分子量などによっても大きさは制御される。帯電制御樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、50nm以上250nm以下とすることができる。なお、帯電制御樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布計ナノトラック NPA150(UPA150)(日機装社製)を用いるレーザー散乱法により求めることができる。帯電制御樹脂は、溶液重合、乳化重合法やソープフリー乳化重合法等で製造することができる。
(母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液との混合)
この母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とをそれぞれ所定量混合し、母粒子と帯電制御樹脂微粒子とがよく接触するよう攪拌するなどした後、所定の条件で加熱処理することで母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子が固着したトナー母粒子を作製できる。帯電制御樹脂微粒子はトナー表面にある程度埋没していることが好ましく、そのためには母粒子のTg前後の液温で帯電制御樹脂微粒子を固着させることが好ましい。例えば、母粒子Tgが55℃である場合、帯電制御樹脂微粒子を混合して55℃で15〜60分加熱攪拌を行うことが好ましい。
以上の操作により、二次母粒子の表面に帯電制御樹脂微粒子を備えるトナー母粒子を、当該粒子を含有する懸濁液の状態で得ることになる。
(トナーの作製工程)(S50)
二次母粒子は、それ自体十分に帯電可能に調製されるが、トナーとして、流動性や保存安定性を向上させるため、トナー母粒子表面に外添剤を付着させることが好ましい。特にシランカップリング剤などで疎水化処理された無機酸化物を外添することが好ましい。外添剤の添加後のトナー母粒子は、篩等で粒子制御して最終的にトナーとすることができる。
外添剤の付着にあたり、トナー母粒子作製工程S40で得られたトナー母粒子懸濁液をろ過などによりトナー母粒子を回収し、洗浄し、所定の含水率まで乾燥することが好ましい。洗浄は、トナー母粒子懸濁液の少なくとも一部を水などの低導電率媒体に置換することによる行う。具体的には、トナー母粒子懸濁液の固液分離と水等による再懸濁を適数回行うことにより実施できる。乾燥は、例えば、水分量1質量%以下まで乾燥させるのが好ましい。乾燥法は、特に限定されず、一般的な乾燥法が使用される。例えば、流動層乾燥や気流式乾燥(フラッシュジェットドライ:セイシン企業製)などが使用できる。
以上説明した本発明のトナーの製造方法によれば、一次母粒子の作製工程S30及び二次母粒子の作製工程S40を備えるため、未凝集の母体微粒子量が低減されたものとなっている。このため、収率よくトナーを得ることができる。また、初期かぶりを抑制又は回避できるとともに長期使用に際して微粒子が現像部材に固着することによる各種不具合(例えば、解像度低下などの印字品質の低下)を抑制又は回避することができる、より実用的なトナーを得ることができる。
以上の説明中、トナー母粒子の作製工程として正帯電トナーの場合を例示して説明したが、負帯電トナーについても負帯電性の帯電制御樹脂微粒子を用いることによって負帯電トナーを得ることができる。なお、帯電制御剤で母粒子表面を処理する場合には、例えば、帯電制御剤の分散液、または、溶解液をトナー母粒子に配合して、攪拌し、必要に応じて加熱し、その後、ろ過および乾燥することにより、帯電制御剤をトナー母粒子に固着させる。なお、帯電制御剤の分散液は、例えば、帯電制御剤の5〜20質量%の水分散液として調製する。帯電制御剤の分散液は、二次母粒子100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部の割合で添加する。これにより、帯電制御剤は、二次母粒子100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部、好ましくは、0.05〜3質量部の割合で固着される。
なお、本発明のトナーの製造方法によって得られるトナーは非磁性一成分系トナーとして好ましく用いることができるほか、例えば適当なキャリアと配合して二成分系トナーとしても用いることが可能である。キャリアとしては、カスケード現像方式を実施する場合には樹脂コートしたガラスビーズやスチール球等が、磁気ブラシ現像方式を実施する場合にはフェライトや微粉鉄、あるいはいわゆるバインダー型キャリア等が用いられる。
また、本発明のトナーの製造方法によって得られるトナーは、電子写真方式及び静電記録方式の各種のモノクロ/カラーレーザープリンタ、ファクシミリ、コピー機及び複合機などの画像形成装置のトナーとして用いることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定するものではない。また、以下の実施例において「部」は質量部を表すものとし、「%」は質量%を表すものとする。
(カチオンポリマー系凝集剤の合成)
本実施例では、本発明の二次母粒子の作製に用いる二次凝集剤としてのカチオンポリマー系凝集剤を合成した。
(スチレンモノマーの準備)
まず、1リットルビーカーに蒸留水(500g)と水酸化ナトリウム(固体:2g)を入れ攪拌溶解させた。次いで、このビーカーにスチレンモノマー(500ml)を加え5分間攪拌した。その後、静置してスチレン相と水相に分離させ、スチレン相を採取した。採取したスチレン相に付き、以上の操作をさらに、2回繰り返した。
(モノマーの重合)
以下の表に示すモノマー溶液組成に基づき、1リットルビーカーに上記のようにして準備したスチレンモノマーのほか、アクリル酸モノマー、後述する実施例2で作製する一次母粒子(トナーの結着樹脂)と逆極性を有するアクリルモノマーであるN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド4級塩(DMAPAA−Q)、2,2−アゾビズ(2,4−ジメチルバレロニトリル)V65(重合開始剤)、MEK及びメタノールを混合して、攪拌相溶させて、4種類のモノマー溶液を調製した。
Figure 2010008796
次いで、還流装置を備えた重合装置(丸底セパラブルフラスコ、内径約125mm、油横領1L)に、上記4種のモノマー溶液をそれぞれ加え、窒素ガスを50ml/min.で30分間送気しバブリングした。次いで、窒素供給口先端を気相部分に上げ、30ml/min.に流速を変更した。重合装置を65℃に加熱した浴槽に浸し、モノマー溶液を攪拌翼(三日月型攪拌翼、横幅約100mm)を用い120rpmで攪拌しながら、10時間反応させた。10時間経過後、得られた樹脂粘液(構成物:樹脂、残存モノマー、MEK、メタノール)を500mlビーカーに移し、135℃に加熱したホットプレート上に起きスパーテルで適宜掻き混ぜながら揮発分を除去した。
余熱により合成物の粘度が低い間に薄く広げ、真空度700mmHg以上の環境に6時間放置後、数日間、送風乾燥させ、水溶性のカチオン性ポリマーを得た。得られたカチオン性ポリマーの固形分濃度を測定し、正味固形分が20%となるように蒸留水を加え溶解させ、合計4種類のカチオンポリマー系凝集剤溶液とした。
本実施例では、実施例1で作製した各種の凝集剤溶液を用いて表2に示す各種条件でトナーを作製し、粒度分布、上澄み固形分、初期及び耐久印字時の印字特性を評価した。以下、トナーの作製例と評価方法及び結果について示す。
(一次母粒子の作製)
(1)母体微粒子懸濁液の調製
まず、還流装置を備えた容器にポリエステル樹脂FC1565(Mn3800、Mw56000、THF不溶分2wt%、酸価4.4KOHmg/g、Tg61.9℃:三菱レイヨン)160部と、カーボンブラック#260(三菱化学)8部と、離型剤としてペンタエリスリトールユニスターH476(日本油脂)8部とメチルエチルケトン(関東化学 鹿1級)640部を添加した。次いで、この材料の入った容器を60℃に加熱、攪拌、還流しながら、メチルエチルケトンに樹脂とワックスを溶解させ、カーボンブラックを分散させて第1液を調製した。別途容器に、蒸留水800部と1規定の水酸化ナトリウム水溶液8部を混合し、時計皿で揮発防止しながら60℃に加熱して第2液とした。60℃に加熱された第1液800部と第2液800部とを2リットルビーカー中で混合し、ホモジナイザーDIAX900(ハイドルフジャパン)を使用して16000rpmで30分間攪拌した。このビーカーを60℃に設定したウォーターバスに設置し、ゆるやかに攪拌しながらメチルエチルケトンを測定検出限界値以下になるまで蒸発除去させ、母体微粒子懸濁液を作製した。この分散液を室温に冷却し、固形分濃度を測定したところ23.1%であった。また、固体微粒子の粒子径をナノトラックUPA150(日機装)で測定したところ、平均粒子径は0.275μmであった。なお、測定は以下のようにして行った。蒸留水50mlに母体微粒子分散液3、4滴を加え希釈液を調製する。上記測定装置の測定部に蒸留水を充填しておき、ブランクを設定(セットゼロ)した後に、スポイドを利用し母体微粒子分散液の希釈液を、モニタ画面に表示される適量範囲になるよう添加する。次いで、測定を開始する。なお、装置の設定は下記の通りである。
溶媒:水、屈折率1.333、粘度0.797(30℃)、1.002(20℃)
粒子:透過、屈折率1.91、真球形状、密度1.25
装置:SetZero60秒、測定時間120秒、測定回数3回、フィルタ スタンダード、感度 スタンダード
(2)母体微粒子の凝集
次に、この母体微粒子懸濁液の固形分濃度が20wt%となるように蒸留水で希釈した後、800gを3リットル丸型セパラブルフラスコに分取し、蒸留水740gと、界面活性剤ノイゲンXL70(第一工業製薬)の5%水溶液60gを添加し攪拌混合させた。さらに、一次凝集剤として、0.2規定の塩化アルミニウム水溶液30gを添加し、ホモジナイザーDIAX900を8000rpmで回転させながら、懸濁液全体に塩化アルミニウムが行き渡るようにビーカーを動かしながら攪拌した。5分経過後、0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液6gを添加し、更に5分間攪拌を継続させた。このセパラブルフラスコを45℃のウォーターバスに設置し、2口以上のセパラブルカバーで蓋をし、直径7cm、高さ2cmの6枚平板タービン翼で先端周速が約1.3m/sec.となるよう回転数を設定し30分間攪拌した。なお、攪拌翼の高さ位置は、攪拌翼をフラスコ底部につけた状態から2cm上げた位置とした。30分間経過後、凝集の成長を停止させるために0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、攪拌翼の回転数を先端周速約1.1m/sec.に減速し10分間攪拌した。10分間経過後、攪拌翼の回転数を先端周速約0.75m/sec.に減速し、懸濁液の温度を1℃/min.の温度勾配で95℃まで昇温させた。95℃到達後、温度を保持した状態で、更に100分間攪拌を継続させた。100分経過後、懸濁液の一部を採取し、光学顕微鏡にて、サブミクロンの凝集粒子体が加熱により融解吸着し、形状が球体になっていることを確認した。
さらに、攪拌を継続しながら、懸濁液を凝集粒子のTg温度以下(30℃程度)に冷却して、一次母粒子を含有する懸濁液を得た。冷却後、一次母粒子の粒子径をコールターマルチサイザーII(アパーチャ径100μm:ベックマンコールター)で測定したところ、個数平均粒子径Dnが6.77μm、体積平均径Dvが7.91μm、5μm以下の割合が11.84個数%、20μm以上の割合が0.43体積%であった。また、一次母粒子懸濁液の上澄みに分散している固形分(微粒子)は1.75%であった。
(二次母粒子の作製)
得られた懸濁液の1000mlを2Lセパラブルフラスコに分取し、2口以上のセパラブルカバーで蓋をする。直径7cm、高さ2cmの6枚平板タービン翼で先端周速を約0.45m/sec.に設定し、冷却された一次母粒子懸濁液(1000ml)に、作製した一次母粒子と逆極性である実施例1で合成した各種凝集剤溶液をそれぞれ表2に示す各種量を添加して攪拌した。また、二次凝集剤溶液添加時において一次母粒子懸濁液及び二次凝集剤溶液の液温を表2に示す温度とした。攪拌を継続しながら、一次母粒子のガラス転移点(54℃)で30分間加熱した。30分経過後、懸濁液の一部を採取し、粒度分布を測定した。攪拌を継続しながら、懸濁液を一次母粒子のTg温度以下である30℃に冷却して二次母粒子懸濁液を得た。
この二次母粒子懸濁液を、濾紙No.5B(ADBANTEC)を用いて減圧濾過し、さらに、そのままの状態で1500gの蒸留水を通水させ、ケーキをリンスしながら濾過をおこなった。含水率約20%になるまで減圧ろ過をおこない、濾過ケーキを取り出して、二次母粒子を分離した。
(トナー母粒子の作製)
次に、得られた二次母粒子に対して以下の手順で帯電制御剤により帯電特性を付与した。
(帯電制御剤溶液の調製)
プラスチック製遠沈管(500ml)に蒸留水54gとメタノール306gを充填し混合した。この容器にオリエント化学製帯電制御剤(CCA)(アルキルベンゼンスルホン酸変性アジン、ボントロンN21、lot.M003279)を加え、マグネチックスターラーを使用して液全体が流動する状態で2日間攪拌した。攪拌液を48時間放置後、10000rpmで30分遠心分離し、粗大物を沈降除去した。このCCA液の固形分濃度を測定したところ、0.84%であった。
(二次母粒子への帯電制御剤の付着)
4Lセパラブルフラスコを2つ用意し、先に調製したCCA液をそれぞれ1600gずつ加え、さらに、先に作製した二次母粒子濾過ケーキ(含水率約20%)それぞれ100gずつを加えて、スパーテルでかき混ぜながら超音波(28kHz、650W)を1分間印加した。次いで、25℃に設定したウォーターバスに上記セパラブルフラスコを浸し、6枚平羽根タービン(φ70mm、高さ2cm)140rpmで30分間攪拌した。さらに、蒸留水1100gを1滴/約1秒(平均20〜35g/min)の速度でそれぞれのセパラブルフラスコに滴下した。滴下終了後、1分間攪拌しながら超音波を印加し、その後、30分静置した。
(トナーの作製)
帯電制御剤を添加したトナー母粒子を含む懸濁液を、濾紙No.5B(ADBANTEC)を用いて減圧濾過した。濾過ケーキを取り出し、50℃の乾燥機で含水率が1wt%以下になるまで乾燥させた。次いで、乾燥トナー母粒子150部と、疎水性シリカ微粒子(HVK2150 クラリアント製)1.5部と、アルミナ(WA#4000、フジミインコーポレーテッド製)2.5部をメカノミル(岡田精工)に加え、28000rpmで3分間混合攪拌し、実施例1〜12のトナーとした。これらのトナーにつき、以下の評価方法にて、各種項目を評価した。結果を、表2に併せて示す。
(上澄み固形分濃度)
重量既知のアルミ皿に被験試料(二次母粒子懸濁液の上澄み液)を約1g採取し、精秤する。被験試料の入ったアルミ皿を50℃の恒温槽に24時間以上放置し、揮発分を蒸発させる。アルミ皿に残留した固形物の重量を、採取したサンプル量で除して、固形分濃度とする。
(二次母粒子及びトナーの粒度分布測定)
測定装置はコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター製)を用い、以下の測定条件を採用した。測定にあたり、例えば、被験試料適量(例えば、0.2g)を50ccの蒸留水と分散剤(type−1c:ベックマンコールター)を数滴混合して、必要に応じて超音波分散などを行い調製した懸濁液を準備し、上記測定器に装置モニタに表示される適量範囲投入して、約50000個の粒子を計測した。得られた体積基準の粒度分布の50%粒子径を体積平均径として採用した。
アパーチャ径:100μm
アパーチャ電流 : 1600μA
チャンネル数 : 256
Kd値 : 937.75
Gain : 2
極性 : マイナス
(凝集剤の流動電位(変曲点))
実施例1で作製した4種類の凝集剤溶液につき、以下の手順で母体微粒子懸濁液についての流動電位曲線を測定し、変曲点を測定した。また、0.04N塩化アルミニウム及び0.04N塩化マグネシウムについても同様にして流動電位曲線を測定した。なお、変曲点は自動的に検出させた。凝集剤溶液の滴下量25mlまでの滴定曲線(流動電位曲線)を図4に示す。
(1)100mlトールビーカーに、実施例1で作製した母体微粒子懸濁液(固形分20%)を50ml採取する。(液温25±2℃)
(2)マグネチックスターラーを入れ、Automatic Potentiometric Titrator AT−510 (京都電子工業)の電極部分1/3以上が試料溶液に浸るように設置する。
(3)マグネチックスターラーを攪拌しながら、電極を作動させ、流動電位の絶対値が600mV〜1000mVになるように電極の動作速度を調節する(本件では、スターラー調節ツマミ数値70、電位調節ツマミ数値590に設定)。
(4)20%に濃度調節された各種凝集剤溶液を、4ml/min.の速度で滴下する。
(5)電位がプラスになり、プロットが飽和にさしかかった段階で滴定を終了する。
なお、滴下の進行に伴い、ビーカーから試料溶液が溢れそうになった場合は、サイズの大きなビーカーに試料をすべて移しかえ測定を継続する。その際、電極部分の1/3以上が試料溶液に浸るように留意する。
(印字評価)
トナーの印字評価は、Brother製レーザープリンター(HL−2040)に作製したトナー100gを充填し、初期の透過濃度とかぶりを測定した。なお、耐久印字試験は不具合発生を加速させる為、下記の条件でおこなった。
印字枚数:2000枚
印字用紙:4200 20lb (Xerox社製)。
印字パターン:印字用紙面積を100%とした時、トナーにより現像された部分の合計が用紙面積の4%に相当するよう、3〜4mm角の文字を紙面全体に分散させたパターン。
通紙間隔:各印刷物の出力に際して、次の印刷動作に取り掛かる前に、プリンタの駆動系が約1秒の停止状態になる条件
印刷環境:温度32.5℃、湿度80%。
(かぶり(白色度差))
フォトボトル光度計TC−6MC−D(東京電色製)を使用し、下記の手順で白色度を求め、かぶりの指標値とした。なお、かぶり(白色度差)の数値は低いほど良好な印字状態を示す。(1)印字装置(HL−2040)に無印字のデータを送り、装置に白色印字を実行させる。(2)白色印字途中の段階で、装置のカバーを開け、強制的に駆動を停止させる。
(3)現像ユニットを取り出し、現像器を分解する。
(4)感光体上に於いて、現像後、かつ転写前の部分(つまり、感光体と現像ローラのニップ(接触)部分と、感光体と転写ローラのニップ部分の間であり、強制停止後のスリップを考慮された部分)に、scotch社製メンディングテープを貼り付け、感光体上に形成されたかぶりトナーをテープに採取する。
(5)感光体からテープを慎重に剥がし、Xerox社製4200用紙に貼り付け、かぶりサンプル1とする。
(5)得られたかぶりサンプル1の任意な3点の白色度を上記光度計により測定し、平均した値を白色度1とする。
(6)一方、かぶりを採取していない綺麗なメンディングテープを同用紙に貼り付け、かぶりサンプル2とする。
(7)かぶりサンプル2に対しても、かぶりサンプル1と同様に白色度を測定し、白色度2とする。
(8)白色度2から白色度1を差し引いた値をかぶりの指標値「白色度差」とする。
(透過濃度)
濃度計TD−904(Macbeth社製)を使用し、下記の手順で測定した。
(1)印字装置(HL−2040)に約20mm四方の100%印字(以下、ベタパターンを記載する)データを送り、印字を実行させる。なお、ベタパターンは、印字用紙の四隅付近に印字される。
(2)各ベタパターンに対して、各5点(四隅と中央)の透過濃度を測定し、全20点のデータの平均値を、そのサンプルの透過濃度とする。
(比較例)
なお、実施例1で作製した各種凝集剤A〜Dの溶液につき、本実施例で作製した一次母粒子懸濁液に代えて融合前の懸濁液(母体微粒子の凝集体の懸濁液)を用い、表3に示す条件に従う以外は、試料1〜12のトナーと同様にして比較例1〜4のトナーを作製した。また、表3に示すように、二次凝集剤として、0.2N塩化アルミニウム及び0.2N塩化マグネシウムを用いるほか表3に示す条件に従う以外は、試料1〜12のトナーと同様にして比較例5、6のトナーを作製した。これらの比較例1〜6のトナーにつき、試料1〜12のトナーと同様に評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 2010008796
Figure 2010008796
表2に示すように、実施例1で合成した各種の凝集剤A〜Dを用いて作製した二次母粒子を経て得た試料1〜12のトナーは、いずれも、その粒度分布において5μm以下の個数%が低下し、しかも、上澄み固形分が低下した。すなわち、いずれの凝集剤も広い添加量の範囲で未凝集の母体微粒子を一次母粒子に対して凝集固着させて、二次母粒子を作製するのに使用できることがわかった。すなわち、試料1〜12のトナーの粒度分布及び上澄み固形分は、二次凝集工程を実施していない対照例と対比して大きく改善された。特に、各凝集剤A〜Dを多く添加することで、より良好な結果が得られた。
後述するように、凝集剤A〜Dは、母体微粒子懸濁液に添加したときの流動電位曲線において2つの変曲点(一次変曲点及び二次変曲点)を備えていることがわかった。各凝集剤の一次変曲点及び二次変曲点を考慮すると、試料1〜12において添加された二次凝集剤量は、一次変曲点相当量よりも少量〜二次変曲点より手前の範囲に相当する範囲で添加されており、二次変曲点近傍から一次変曲点と二次変曲点との中間点に相当する範囲で添加された試料2、3、5、6、8、9については、上澄み固形分、初期かぶり及び耐久時かぶり等においてより良好であった。
また、印字評価からも明らかなように、初期印字及び耐久印字において良好な結果を呈した。また、二次凝集剤の添加量が多く上澄み固形分が少ないほど、特に、耐久印字時のかぶりが抑制されることがわかった。
一方、表3の比較例1〜4の結果に示すように、融合前の母体微粒子凝集体及び母体微粒子に対して、二次凝集剤を作用させても未凝集の母体微粒子の発生を抑制することができなかった。比較例1〜4においては、大量の二次凝集剤を用いても再凝集させることができなかった。以上のことから、母体微粒子を融合して一次母粒子としておくことが、再凝集に有効であることがわかった。
また、比較例5及び6に示すように、実施例1で合成した二次凝集剤を用いない場合、すなわち、結着樹脂と反対極性の二次凝集剤を用いない場合には、二次凝集剤と同様の条件下では、一次母粒子と母体微粒子との凝集を発生させるのが困難であることがわかった。以上のことから、一次母粒子に対して母体微粒子を簡易に凝集させて二次母粒子を作製するには、結着樹脂と反対極性の二次凝集剤を用いることが便利であることがわかった。
図4に示すように、実施例1で合成した4種類の凝集剤A〜Dは、いずれも、2つの変曲点を有する流動電位曲線を形成することがわかった。すなわち、第1の変曲点は、サンプル1〜4の凝集剤溶液につき、7.2ml、4.7ml、3.6ml、及び3.2mlであった。また、第2の変曲点は、60.1ml、18.1ml、12.7ml及び13.1mlであった(表4参照)。これら4種類の凝集剤A〜Dについての流動曲線は、他の塩化アルミニウムや塩化マグネシウムの流動電位曲線とは大きく相違していた。以上の結果を考慮すると、実施例1で合成した4種類の凝集剤A〜Dが発現するような流動電位曲線を有する凝集剤が、一次母粒子と母体微粒子の再凝集に好ましく使用できることがわかった。
Figure 2010008796
本実施例では、実施例1で合成した各種凝集剤A〜Dを、実施例2において得られる一次母粒子懸濁液(固形分約10%)(50g)に滴下したときの流動電位曲線を測定した。測定方法は、実施例2と同様とした。結果を図5に示し、流動電位曲線から得られた一次母粒子懸濁液における一次変曲点及び二次変曲点を表5に示す。
Figure 2010008796
図5に示すように、一次母粒子懸濁液に対して各種凝集剤A〜Dを添加すると、母体微粒子の分散安定性を低下させるレベルの二次凝集剤添加量で流動電位が立ち上がり、一次母粒子同士を凝集させることなく分散安定化させることができることがわかった。以上の結果及び実施例2の結果から、実施例1で合成した凝集剤A〜D及びその種の凝集剤によれば、一次母粒子懸濁液に添加されることで、一次母粒子を分散安定化するとともに一次母粒子と母体微粒子との凝集を促進することがわかった。
また、表4に示すように、これらの凝集剤A〜Dは、一次母粒子懸濁液についての流動電位曲線においても2つの変曲点を呈した。これらの結果からも、母体微粒子の分散安定性を低下させるレベルの二次凝集剤の添加量範囲内で一次母粒子が分散安定化されることが明らかであった。
本発明のトナーの製造方法のフローの一例を示す図である。 二次凝集剤を母粒子懸濁液に添加してときに得られる流動電位曲線の一例を示す図である。 二次凝集剤を 実施例1で合成した4種類の凝集剤の溶液の母体微粒子懸濁液につき得られる流動電位曲線を示す図である。 実施例1で合成した4種類の凝集剤の溶液の一次母粒子懸濁液につき得られる流動電位曲線を示す図である。

Claims (9)

  1. 乳化凝集法によるトナーの製造方法であって、以下の工程(a)及び(b);
    (a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、
    (b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、
    を備える、トナーの製造方法。
  2. 前記(a)の工程は、一次凝集剤の存在下で前記母体微粒子を凝集させることを含む工程であり、
    前記(b)の工程は、二次凝集剤の存在下で前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させる工程である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記二次凝集剤は、前記結着樹脂とは逆の極性を有する凝集剤である、請求項2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記二次凝集剤は、前記母体微粒子の懸濁液に対して添加したとき、添加量をX軸とし流動電位をY軸として得られる流動電位曲線において2以上の変曲点を有する凝集剤である、請求項3に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記二次凝集剤は、前記一次凝集剤よりも前記母体微粒子に対する凝集能が弱い凝集剤である、請求項2〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  6. 前記二次凝集剤は、前記結着樹脂と逆の極性の極性基を有するポリマーである、請求項2〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. 前記ポリマーは、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマーから選択される1種又は2種以上を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマーである、請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移温度以下の温度で開始される、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. 前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移点近傍の温度で加熱して前記一次母粒子懸濁液中に残存する前記母体微粒子と前記一次母粒子とを凝集させることを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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