JP2010008796A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乳化凝集法によるトナーの製造方法であって、以下の工程(a)及び(b);(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、(b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、を備えるようにする。
【選択図】 図1
Description
(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、(b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、を備える、トナーの製造方法が提供される。
本発明の製造方法によって得られるトナーは、結着樹脂を主体とし、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい一次母粒子表面に、母体微粒子が凝集し付着して得られる二次母粒子を有している。さらに、本発明の製造方法によって得られるトナーは、二次母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を有していてもよい。さらにまた、本発明の製造方法によって得られるトナーは、トナー母粒子表面に疎水性無機分散剤などの外添剤を有するものであってもよい。
結着樹脂は、トナーの主成分であり、加熱および/または加圧されることにより、記録媒体(紙、OHPシートなど)の表面上に、固着(熱融着)する合成樹脂からなる。このような結着樹脂としては、特に制限されず、トナーの結着樹脂として知られる公知の合成樹脂が挙げられる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその誘導体、例えば、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体などのスチレン−スチレン誘導体共重合体、例えば、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体など)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。また、これら結着樹脂は、親水性基を有していることが好適である。親水性基を有していれば、乳化液の調製時に、界面活性剤の配合を不要とすることができる。親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩含有基、アミノ基、ホスホニウム塩含有基などのカチオン性基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基などが挙げられる。
着色剤は、トナーに所望の色を付与するものであって、結着樹脂内に分散または浸透される。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、例えば、キノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、ペリノンオレジン、ペリノンレッド、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロール系顔料などの有機顔料、例えば、チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがら、アルミニウム粉、ブロンズなどの無機顔料または金属粉、例えば、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、インドフェノール系染料、インドアニリン系染料などの油溶性染料または分散染料、例えば、ロジン、ロジン変性フェノール、ロジン変性マレイン酸樹脂などのロジン系染料が挙げられる。さらには、高級脂肪酸や樹脂などよって加工された染料や顔料なども挙げられる。これらは、所望する色に応じて、単独使用または併用することができる。例えば、有彩単一色のトナーには、同色系の顔料と染料、例えば、ローダミン系の顔料と染料、キノフタロン系の顔料と染料、フタロシアニン系の顔料と染料を、それぞれ配合することができる。着色剤は、結着樹脂100質量部に対して、例えば、2〜20質量部、好ましくは、4〜10質量部の割合で配合される。
離型剤は、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるために添加される。加熱圧力定着方式の場合、加熱媒体からトナーが剥離しやすいように、トナー内部にワックスを内包させておくことが一般的である。離型剤としては、例えば、エステル系ワックス、炭化水素系ワックスなどが挙げられる。エステル系ワックスとしては、例えば、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステルなどの脂肪族エステル化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの多官能エステル化合物などが挙げられる。炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類、例えば、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。これらワックスは、単独使用または併用することができる。好ましくは、上記したワックスのうち、融点が、50〜100℃のワックスが挙げられる。融点が低く溶融粘度の低いワックスは、定着器の加熱温度が低い場合でも、結着樹脂よりも先に溶融してトナー表面に染み出すことで、オフセットを防止することができる。より具体的には、エステル系ワックス、パラフィン系ワックスが挙げられる。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、3〜15質量部の割合で配合される。
帯電制御剤は、目的および用途に対応して、正帯電性電荷制御剤または負帯電性電荷制御剤から適宜選択して単独または併用して用いられる。帯電制御剤は、特に限定されないが、おおよそ以下の2通り:(1)トナー母粒子内部に予め添加された形態、(2)トナー母粒子の表面に付着された形態により、トナー母粒子に対して付与されている。これらが組み合わされていてもよい。
トナー母粒子表面に付着される外添剤としては、無機粒子や合成樹脂粒子が用いられ得る。無機粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが用いられ得る。シリカ微粉体の疎水化処理としては、シリコーンオイルやジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。合成樹脂粒子としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子、等が用いられ得る。外添剤の添加量は、特に限定されないが、前記トナー母粒子に対して、通常、0.1〜6質量部である。
以下、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法によるものであって、特に、以下の工程(a)及び(b);(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集させ、融合して得られる一次母粒子を含有する一次母粒子懸濁液を調製する工程、(b)前記一次母粒子と前記一次母粒子懸濁液中に残存する前記母体微粒子とを凝集させて得られる二次母粒子を含有する二次母粒子懸濁液を調製する工程、を備えている。以下、上記工程を含むトナーの乳化凝集法によってトナーを製造する方法について、適宜図面を参照しながら説明する。図1には、本発明のトナーの製造方法の工程フローの一例を示す。
図1に示すように、樹脂溶液の調製工程S10では、まず、結着樹脂のほか、通常は着色剤を、さらに必要に応じて離型剤を有機溶剤に溶解または分散させる。結着樹脂は溶剤中に溶解することが好ましい。着色剤として顔料を使用する場合には、顔料は溶解しないため微分散させる。離型剤も溶解することが好ましいが微分散していれば必ずしも溶解していなくてもよい。樹脂溶液の調製にあたっては、有機溶剤の沸点以下の温度に適宜加熱してもよい。特に、離型剤を溶解又は分散させる場合には、加熱することが好ましい。
母体微粒子懸濁液の調製工程S20は、樹脂溶液と水系媒体とを混合乳化させた乳化液を調製後、有機溶剤成分を揮発除去することにより水系媒体に母体微粒子が分散した懸濁液を調製する。
一次母粒子の作製工程S30は、母体微粒子の凝集ステップ(S32)と、母体微粒子の凝集体を融合して一次母粒子とする融合ステップ(ステップS34)とを含むことができる。
母体微粒子の凝集ステップS32では、上記工程S20で得た母体微粒子を凝集させて母体微粒子の凝集体を得る。まず、母体微粒子懸濁液を必要に応じて水で希釈して懸濁液中の固形分濃度を調整する。この液には、乳化凝集のための凝集剤を添加することができる。以下、本ステップで使用する凝集剤、すなわち、本明細書において、母体微粒子懸濁液中の母体微粒子を凝集させるための凝集剤を、一次凝集剤というものとする。かかる一次凝集剤としては、硝酸カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機金属塩、ポリ塩化アルミニウムなどの無機金属塩の重合体、カチオン性界面剤などが挙げられる。本発明においては、好ましくは無機金属塩又はその重合体である。この種の凝集剤、典型的には強酸の金属塩(好ましくは強酸弱塩基の塩)は、強い母体微粒子凝集能を有するからである。換言すれば、ポリエステル樹脂等、上記した結着樹脂を凝集させる傾向が強いからである。すなわち、強い母体微粒子凝集能を発揮するからである。例えば、後述する二次凝集剤に比較すると、より少量の添加で母体微粒子を凝集させることができる。
凝集体の融合ステップS34では、凝集体を加熱により融合させて一次母粒子を調製する。凝集体の融合は、攪拌を継続しつつ、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加熱する。例えば、55〜100℃、好ましくは、65〜95℃で加熱する。例えば、液温90℃まで加熱する。好ましくは、結着樹脂のTgよりも20℃以上、より好ましくは30℃以上に加熱する。
二次母粒子の作製工程(S40)は、母体微粒子を凝集、融合させることによって得られる一次母粒子に対して母体微粒子を凝集付着させて二次母粒子を得る工程である。本発明のトナーの製造方法においては、二次母粒子の作製工程では、表面が平均化され粒径が大きく相対的に多量に存在する一次母粒子と、微粒子で相対的に少量で存在する母体微粒子とを凝集させる。一次母粒子が既に融合済みであることから、一次母粒子同士の二次凝集を効果的に抑制しつつ、母体微粒子の一次母粒子への凝集を促進するような、分散と凝集とが同時に実現しやすい状態を形成することができると考えられる。
二次母粒子への帯電特性の付与は、帯電制御剤によって付与することもできるし、帯電制御樹脂微粒子によって付与することもできる。以下の説明では、二次母粒子に対して帯電制御樹脂微粒子を付着させる工程について説明する。二次母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を付与し固着させることで少量の帯電制御剤で効果的に帯電性を付与することができる。さらに液中で二次母粒子表面に付着・固着処理を行うことで、乾式に比べてより均一かつ強固な処理を行うことができる。具体的には、二次母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、母粒子の表面に帯電制御樹脂微粒子を付着させるようにする。以下、本工程で使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の調製について説明し、その後、二次母粒子トナー母粒子の作製について説明する。以下の説明においては、特に、二次母粒子に対して正の帯電性の帯電制御樹脂微粒子として第4級アンモニウム塩基を含有するスチレンアクリル共重合体の微粒子を付着させる場合を例として挙げて説明する。なお、この例は、正帯電トナー作製工程の一部とすることができる。
まず、帯電制御樹脂とこれを溶解あるいは膨潤させることができる有機溶剤と水を混合して、ホモジナイザーなどの高速攪拌機で乳化させる。帯電制御樹脂の極性基構造に依存するが、この極性基を有することで、分散剤を添加することなく安定な乳化状態を形成することが可能である。この乳化液から有機溶剤成分を加熱減圧など公知の方法で除去することにより帯電制御樹脂微粒子が水系媒体に分散した懸濁液を得ることができる。帯電制御樹脂微粒子の大きさは、樹脂と溶剤と水の比率と攪拌機のせん断力を調整することで制御することが可能である。また樹脂のもつ極性基量や分子量などによっても大きさは制御される。帯電制御樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、50nm以上250nm以下とすることができる。なお、帯電制御樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布計ナノトラック NPA150(UPA150)(日機装社製)を用いるレーザー散乱法により求めることができる。帯電制御樹脂は、溶液重合、乳化重合法やソープフリー乳化重合法等で製造することができる。
この母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とをそれぞれ所定量混合し、母粒子と帯電制御樹脂微粒子とがよく接触するよう攪拌するなどした後、所定の条件で加熱処理することで母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子が固着したトナー母粒子を作製できる。帯電制御樹脂微粒子はトナー表面にある程度埋没していることが好ましく、そのためには母粒子のTg前後の液温で帯電制御樹脂微粒子を固着させることが好ましい。例えば、母粒子Tgが55℃である場合、帯電制御樹脂微粒子を混合して55℃で15〜60分加熱攪拌を行うことが好ましい。
二次母粒子は、それ自体十分に帯電可能に調製されるが、トナーとして、流動性や保存安定性を向上させるため、トナー母粒子表面に外添剤を付着させることが好ましい。特にシランカップリング剤などで疎水化処理された無機酸化物を外添することが好ましい。外添剤の添加後のトナー母粒子は、篩等で粒子制御して最終的にトナーとすることができる。
本実施例では、本発明の二次母粒子の作製に用いる二次凝集剤としてのカチオンポリマー系凝集剤を合成した。
まず、1リットルビーカーに蒸留水(500g)と水酸化ナトリウム(固体:2g)を入れ攪拌溶解させた。次いで、このビーカーにスチレンモノマー(500ml)を加え5分間攪拌した。その後、静置してスチレン相と水相に分離させ、スチレン相を採取した。採取したスチレン相に付き、以上の操作をさらに、2回繰り返した。
以下の表に示すモノマー溶液組成に基づき、1リットルビーカーに上記のようにして準備したスチレンモノマーのほか、アクリル酸モノマー、後述する実施例2で作製する一次母粒子(トナーの結着樹脂)と逆極性を有するアクリルモノマーであるN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド4級塩(DMAPAA−Q)、2,2−アゾビズ(2,4−ジメチルバレロニトリル)V65(重合開始剤)、MEK及びメタノールを混合して、攪拌相溶させて、4種類のモノマー溶液を調製した。
(1)母体微粒子懸濁液の調製
まず、還流装置を備えた容器にポリエステル樹脂FC1565(Mn3800、Mw56000、THF不溶分2wt%、酸価4.4KOHmg/g、Tg61.9℃:三菱レイヨン)160部と、カーボンブラック#260(三菱化学)8部と、離型剤としてペンタエリスリトールユニスターH476(日本油脂)8部とメチルエチルケトン(関東化学 鹿1級)640部を添加した。次いで、この材料の入った容器を60℃に加熱、攪拌、還流しながら、メチルエチルケトンに樹脂とワックスを溶解させ、カーボンブラックを分散させて第1液を調製した。別途容器に、蒸留水800部と1規定の水酸化ナトリウム水溶液8部を混合し、時計皿で揮発防止しながら60℃に加熱して第2液とした。60℃に加熱された第1液800部と第2液800部とを2リットルビーカー中で混合し、ホモジナイザーDIAX900(ハイドルフジャパン)を使用して16000rpmで30分間攪拌した。このビーカーを60℃に設定したウォーターバスに設置し、ゆるやかに攪拌しながらメチルエチルケトンを測定検出限界値以下になるまで蒸発除去させ、母体微粒子懸濁液を作製した。この分散液を室温に冷却し、固形分濃度を測定したところ23.1%であった。また、固体微粒子の粒子径をナノトラックUPA150(日機装)で測定したところ、平均粒子径は0.275μmであった。なお、測定は以下のようにして行った。蒸留水50mlに母体微粒子分散液3、4滴を加え希釈液を調製する。上記測定装置の測定部に蒸留水を充填しておき、ブランクを設定(セットゼロ)した後に、スポイドを利用し母体微粒子分散液の希釈液を、モニタ画面に表示される適量範囲になるよう添加する。次いで、測定を開始する。なお、装置の設定は下記の通りである。
溶媒:水、屈折率1.333、粘度0.797(30℃)、1.002(20℃)
粒子:透過、屈折率1.91、真球形状、密度1.25
装置:SetZero60秒、測定時間120秒、測定回数3回、フィルタ スタンダード、感度 スタンダード
次に、この母体微粒子懸濁液の固形分濃度が20wt%となるように蒸留水で希釈した後、800gを3リットル丸型セパラブルフラスコに分取し、蒸留水740gと、界面活性剤ノイゲンXL70(第一工業製薬)の5%水溶液60gを添加し攪拌混合させた。さらに、一次凝集剤として、0.2規定の塩化アルミニウム水溶液30gを添加し、ホモジナイザーDIAX900を8000rpmで回転させながら、懸濁液全体に塩化アルミニウムが行き渡るようにビーカーを動かしながら攪拌した。5分経過後、0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液6gを添加し、更に5分間攪拌を継続させた。このセパラブルフラスコを45℃のウォーターバスに設置し、2口以上のセパラブルカバーで蓋をし、直径7cm、高さ2cmの6枚平板タービン翼で先端周速が約1.3m/sec.となるよう回転数を設定し30分間攪拌した。なお、攪拌翼の高さ位置は、攪拌翼をフラスコ底部につけた状態から2cm上げた位置とした。30分間経過後、凝集の成長を停止させるために0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、攪拌翼の回転数を先端周速約1.1m/sec.に減速し10分間攪拌した。10分間経過後、攪拌翼の回転数を先端周速約0.75m/sec.に減速し、懸濁液の温度を1℃/min.の温度勾配で95℃まで昇温させた。95℃到達後、温度を保持した状態で、更に100分間攪拌を継続させた。100分経過後、懸濁液の一部を採取し、光学顕微鏡にて、サブミクロンの凝集粒子体が加熱により融解吸着し、形状が球体になっていることを確認した。
得られた懸濁液の1000mlを2Lセパラブルフラスコに分取し、2口以上のセパラブルカバーで蓋をする。直径7cm、高さ2cmの6枚平板タービン翼で先端周速を約0.45m/sec.に設定し、冷却された一次母粒子懸濁液(1000ml)に、作製した一次母粒子と逆極性である実施例1で合成した各種凝集剤溶液をそれぞれ表2に示す各種量を添加して攪拌した。また、二次凝集剤溶液添加時において一次母粒子懸濁液及び二次凝集剤溶液の液温を表2に示す温度とした。攪拌を継続しながら、一次母粒子のガラス転移点(54℃)で30分間加熱した。30分経過後、懸濁液の一部を採取し、粒度分布を測定した。攪拌を継続しながら、懸濁液を一次母粒子のTg温度以下である30℃に冷却して二次母粒子懸濁液を得た。
次に、得られた二次母粒子に対して以下の手順で帯電制御剤により帯電特性を付与した。
プラスチック製遠沈管(500ml)に蒸留水54gとメタノール306gを充填し混合した。この容器にオリエント化学製帯電制御剤(CCA)(アルキルベンゼンスルホン酸変性アジン、ボントロンN21、lot.M003279)を加え、マグネチックスターラーを使用して液全体が流動する状態で2日間攪拌した。攪拌液を48時間放置後、10000rpmで30分遠心分離し、粗大物を沈降除去した。このCCA液の固形分濃度を測定したところ、0.84%であった。
4Lセパラブルフラスコを2つ用意し、先に調製したCCA液をそれぞれ1600gずつ加え、さらに、先に作製した二次母粒子濾過ケーキ(含水率約20%)それぞれ100gずつを加えて、スパーテルでかき混ぜながら超音波(28kHz、650W)を1分間印加した。次いで、25℃に設定したウォーターバスに上記セパラブルフラスコを浸し、6枚平羽根タービン(φ70mm、高さ2cm)140rpmで30分間攪拌した。さらに、蒸留水1100gを1滴/約1秒(平均20〜35g/min)の速度でそれぞれのセパラブルフラスコに滴下した。滴下終了後、1分間攪拌しながら超音波を印加し、その後、30分静置した。
帯電制御剤を添加したトナー母粒子を含む懸濁液を、濾紙No.5B(ADBANTEC)を用いて減圧濾過した。濾過ケーキを取り出し、50℃の乾燥機で含水率が1wt%以下になるまで乾燥させた。次いで、乾燥トナー母粒子150部と、疎水性シリカ微粒子(HVK2150 クラリアント製)1.5部と、アルミナ(WA#4000、フジミインコーポレーテッド製)2.5部をメカノミル(岡田精工)に加え、28000rpmで3分間混合攪拌し、実施例1〜12のトナーとした。これらのトナーにつき、以下の評価方法にて、各種項目を評価した。結果を、表2に併せて示す。
重量既知のアルミ皿に被験試料(二次母粒子懸濁液の上澄み液)を約1g採取し、精秤する。被験試料の入ったアルミ皿を50℃の恒温槽に24時間以上放置し、揮発分を蒸発させる。アルミ皿に残留した固形物の重量を、採取したサンプル量で除して、固形分濃度とする。
測定装置はコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター製)を用い、以下の測定条件を採用した。測定にあたり、例えば、被験試料適量(例えば、0.2g)を50ccの蒸留水と分散剤(type−1c:ベックマンコールター)を数滴混合して、必要に応じて超音波分散などを行い調製した懸濁液を準備し、上記測定器に装置モニタに表示される適量範囲投入して、約50000個の粒子を計測した。得られた体積基準の粒度分布の50%粒子径を体積平均径として採用した。
アパーチャ径:100μm
アパーチャ電流 : 1600μA
チャンネル数 : 256
Kd値 : 937.75
Gain : 2
極性 : マイナス
実施例1で作製した4種類の凝集剤溶液につき、以下の手順で母体微粒子懸濁液についての流動電位曲線を測定し、変曲点を測定した。また、0.04N塩化アルミニウム及び0.04N塩化マグネシウムについても同様にして流動電位曲線を測定した。なお、変曲点は自動的に検出させた。凝集剤溶液の滴下量25mlまでの滴定曲線(流動電位曲線)を図4に示す。
(1)100mlトールビーカーに、実施例1で作製した母体微粒子懸濁液(固形分20%)を50ml採取する。(液温25±2℃)
(2)マグネチックスターラーを入れ、Automatic Potentiometric Titrator AT−510 (京都電子工業)の電極部分1/3以上が試料溶液に浸るように設置する。
(3)マグネチックスターラーを攪拌しながら、電極を作動させ、流動電位の絶対値が600mV〜1000mVになるように電極の動作速度を調節する(本件では、スターラー調節ツマミ数値70、電位調節ツマミ数値590に設定)。
(4)20%に濃度調節された各種凝集剤溶液を、4ml/min.の速度で滴下する。
(5)電位がプラスになり、プロットが飽和にさしかかった段階で滴定を終了する。
なお、滴下の進行に伴い、ビーカーから試料溶液が溢れそうになった場合は、サイズの大きなビーカーに試料をすべて移しかえ測定を継続する。その際、電極部分の1/3以上が試料溶液に浸るように留意する。
トナーの印字評価は、Brother製レーザープリンター(HL−2040)に作製したトナー100gを充填し、初期の透過濃度とかぶりを測定した。なお、耐久印字試験は不具合発生を加速させる為、下記の条件でおこなった。
印字枚数:2000枚
印字用紙:4200 20lb (Xerox社製)。
印字パターン:印字用紙面積を100%とした時、トナーにより現像された部分の合計が用紙面積の4%に相当するよう、3〜4mm角の文字を紙面全体に分散させたパターン。
通紙間隔:各印刷物の出力に際して、次の印刷動作に取り掛かる前に、プリンタの駆動系が約1秒の停止状態になる条件
印刷環境:温度32.5℃、湿度80%。
フォトボトル光度計TC−6MC−D(東京電色製)を使用し、下記の手順で白色度を求め、かぶりの指標値とした。なお、かぶり(白色度差)の数値は低いほど良好な印字状態を示す。(1)印字装置(HL−2040)に無印字のデータを送り、装置に白色印字を実行させる。(2)白色印字途中の段階で、装置のカバーを開け、強制的に駆動を停止させる。
(3)現像ユニットを取り出し、現像器を分解する。
(4)感光体上に於いて、現像後、かつ転写前の部分(つまり、感光体と現像ローラのニップ(接触)部分と、感光体と転写ローラのニップ部分の間であり、強制停止後のスリップを考慮された部分)に、scotch社製メンディングテープを貼り付け、感光体上に形成されたかぶりトナーをテープに採取する。
(5)感光体からテープを慎重に剥がし、Xerox社製4200用紙に貼り付け、かぶりサンプル1とする。
(5)得られたかぶりサンプル1の任意な3点の白色度を上記光度計により測定し、平均した値を白色度1とする。
(6)一方、かぶりを採取していない綺麗なメンディングテープを同用紙に貼り付け、かぶりサンプル2とする。
(7)かぶりサンプル2に対しても、かぶりサンプル1と同様に白色度を測定し、白色度2とする。
(8)白色度2から白色度1を差し引いた値をかぶりの指標値「白色度差」とする。
濃度計TD−904(Macbeth社製)を使用し、下記の手順で測定した。
(1)印字装置(HL−2040)に約20mm四方の100%印字(以下、ベタパターンを記載する)データを送り、印字を実行させる。なお、ベタパターンは、印字用紙の四隅付近に印字される。
(2)各ベタパターンに対して、各5点(四隅と中央)の透過濃度を測定し、全20点のデータの平均値を、そのサンプルの透過濃度とする。
なお、実施例1で作製した各種凝集剤A〜Dの溶液につき、本実施例で作製した一次母粒子懸濁液に代えて融合前の懸濁液(母体微粒子の凝集体の懸濁液)を用い、表3に示す条件に従う以外は、試料1〜12のトナーと同様にして比較例1〜4のトナーを作製した。また、表3に示すように、二次凝集剤として、0.2N塩化アルミニウム及び0.2N塩化マグネシウムを用いるほか表3に示す条件に従う以外は、試料1〜12のトナーと同様にして比較例5、6のトナーを作製した。これらの比較例1〜6のトナーにつき、試料1〜12のトナーと同様に評価した。結果を表3に併せて示す。
Claims (9)
- 乳化凝集法によるトナーの製造方法であって、以下の工程(a)及び(b);
(a)前記トナーの結着樹脂を乳化分散して得られる母体微粒子を凝集し、融合して一次母粒子を作製する工程、
(b)前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させて二次母粒子を作製する工程と、
を備える、トナーの製造方法。 - 前記(a)の工程は、一次凝集剤の存在下で前記母体微粒子を凝集させることを含む工程であり、
前記(b)の工程は、二次凝集剤の存在下で前記一次母粒子と前記母体微粒子とを凝集させる工程である、請求項1に記載のトナーの製造方法。 - 前記二次凝集剤は、前記結着樹脂とは逆の極性を有する凝集剤である、請求項2に記載のトナーの製造方法。
- 前記二次凝集剤は、前記母体微粒子の懸濁液に対して添加したとき、添加量をX軸とし流動電位をY軸として得られる流動電位曲線において2以上の変曲点を有する凝集剤である、請求項3に記載のトナーの製造方法。
- 前記二次凝集剤は、前記一次凝集剤よりも前記母体微粒子に対する凝集能が弱い凝集剤である、請求項2〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記二次凝集剤は、前記結着樹脂と逆の極性の極性基を有するポリマーである、請求項2〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記ポリマーは、スチレン系モノマー及びアクリル系モノマーから選択される1種又は2種以上を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマーである、請求項6に記載のトナーの製造方法。
- 前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移温度以下の温度で開始される、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記(b)の工程は、前記一次母粒子のガラス転移点近傍の温度で加熱して前記一次母粒子懸濁液中に残存する前記母体微粒子と前記一次母粒子とを凝集させることを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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