JP2010007133A - 金属インジウム製造方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを、電解採取により経済的に製造する。
【解決手段】 電解槽10内を陽イオン交換膜11により陽極室12と陰極室13とに仕切る。不溶性の陽極14を配置した陽極室12の電解液をアルカリ金属の水酸化物水溶液とし、陰極室13の電解液をインジウムイオンを含有する水溶液として、陰極室13おいて金属インジウムを析出させる。安価な陽極14の使用が可能となる。電解液のpH調整が不要となる。陽極側での塩素ガスの発生がない。インジウムの電解採取に要する電圧が下がり、電流効率が上がる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インジウムを含有する精練残渣やスクラップからのインジウム回収等に用いられる金属インジウム製造方法及び装置に関し、より詳しくは、電解採取による金属インジウム製造方法及び装置に関する。
インジウムは、FPDパネル等で用いられる透明電極(IOT)用として、また低融点の無鉛半田としてニーズが拡大している。一方、地殻中のインジウム平均含有量は0.1ppmと非常に少なく、インジウムを主成分とする鉱物は稀であり、殆どは鉛、亜鉛、錫等の鉱石の処理残渣から副生物として生産されている。また、IOT含有スクラップからの回収も行われている。
インジウムを含有する製錬残渣やスクラップからのインジウムの回収方法は種々提案されている。一般的には、塩酸や硫酸等への酸浸出後、そのインジウム含有の酸性水溶液を沈殿法、置換析出法、イオン交換法、又は電解採取法、或いはこれらの組合せにより処理することにより不純物を除去し、その後、電解精製等によって最終的に高純度のインジウムを精製している。これらの処理法のうち、電解採取法・電解精製法としては、次の3つが知られている。
第1は、不溶性陽極を配置した陽極室に硫酸溶液を収容し、陰極室にインジウムイオンを含有する水溶液を収容し、陰極室と陽極室の間を陽イオン交換物質の隔膜で隔てて電解を行う方法である(特許文献1)。第2は、電解槽のアノードとして不溶性貴金属酸化物アノードを使用し、カソードとしてチタン板を使用する方法である(特許文献2及び3)。第3は、不溶性陽極を配置した陽極室の電解液を硫酸、酸性硫酸、亜硫酸、若しくは酸性亜硫酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の水溶液とし、陰極室の電解液をインジウムイオンを含有する水溶液とし、陰極室と陽極室との間に陽イオン交換膜を存在させて電解を行う方法である(特許文献4)。
特開平8−60264号公報 特開2001−200384号公報 特開2002−69684号公報 特開2005−298870号公報
いずれの方法の場合にも、陽極側では電解液に酸性液を使用するため、電極としてチタン基材上に貴金属酸化物等をコーティングした高価な不溶性アノードを使用する必要がある。また、第1の方法及び第2の方法では、陽極側で化学式1に示す反応(a)が起こり、酸素ガスが発生すると共にプロトンが生成する。また、第3の方法でも、陽極側で過硫酸塩の生成反応以外に、反応(a)が起こる。一方、陰極側では化学式2に示す反応(b)(c)が起こり、インジウムが析出すると共に水素ガスが発生する。陰極側での反応(b)(c)は標準電極電位による優位競争反応である。
Figure 2010007133
Figure 2010007133
陽極側の反応(a)で生成したプロトンは、第2の方法では電解液のpHを低下させる。また。陽極室と陰極室をイオン交換膜で仕切る第1の方法及び第3の方法でも、通電によりイオン交換膜を通って陰極室に入るプロトンにより、陰極液のpHが低下する。陰極液のpHが低下すると、水素発生反応(c)の優位性が高まり、インジウム析出反応(b)の効率が低下する。このため、苛性ソーダなどのアルカリ薬剤を添加することによるpHコントロールが必要となる。
また、陽極室と陰極室をイオン交換膜で仕切らない第2の方法の場合には、上記問題点のほかに、電解液として、硫酸塩(硫酸インジウム)の水溶液を使用しなければならないという制約がある。インジウムイオンを含む水溶液としてはインジウム塩酸水溶液が一般的であるが、このような塩化物水溶液を使用すると、化学式3に示す反応(d)により、陽極側にて有害な塩素ガスが発生するため除害設備が必要となるからである。
Figure 2010007133
本発明は、上述した従来の電解採取によるインジウム製造に伴う問題点を全て解決するものであり、安価な陽極の使用が可能であると共に、電解液のpH調整が不要であり、しかも陽極側での塩素ガスの発生がなく、更には電解効率も高いインジウム製造方法及び装置を提供することを目的とする。
インジウムは、アルカリ性の電解液中では、化学式4に示す反応(e)により水酸化物の析出沈殿を生じる。このため、陽極液にアルカリ液を使用すると、電解槽内の陽極側と陰極側を仕切る陽イオン交換膜内に透過したインジウムイオン(陽イオン)がその膜内で水酸化物の沈殿を生じ、膜の閉塞、或いは膜の破損を引き起し、反応の継続が困難となる。したがって、インジウムの電解採取においては、前述したとおり、陽極液に硫酸溶液などの酸性液が常識的に使用されてきた。しかしながら、陽極液に酸性液を使用することにより陽極コストが上がるとか、陰極液のpH低下が起こり、pHコントロールが必要になるといった問題が生じることは、前述したとおりである。
Figure 2010007133
本発明者らは、以前より、電解採取によるインジウム回収についての研究を続けており、その過程で、陽極液にアルカリ液を使用しても、陽イオン交換膜内での水酸化物の沈殿による膜の閉塞や破損が起こらず、反応が安定して継続する場合のあることを見出した。そして、その理由を調査したところ、使用している陽イオン交換膜の種類に原因があり、その膜が、スルフォン酸のような強酸性の官能基を交換基とする陽イオン交換膜である場合に、陽イオン交換膜の閉塞や破損が起こらず、反応が継続することを見出した。
アルカリ陽極液の使用が可能になると、酸性陽極液の使用で問題となるpH低下は発生しない。また、チタン基材上に白金属元素またはその酸化物をコーティングしたような高価な不溶性陽極が不要となる。更には後で詳しく説明するが、インジウム採取のための電解電圧が低下し、電力コストも節減される。
本発明はかかる知見を基礎として完成されたものであり、その金属インジウム製造方法は、インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを電解採取により製造する金属インジウム製造方法であって、不溶性陽極を配置した陽極室の電解液をアルカリ金属の水酸化物水溶液とし、陰極室の電解液をインジウムイオンを含有する水溶液とし、前記陽極室と陰極室との間に陽イオン交換膜を配置させて電解を行い、陰極に金属インジウムを析出させるものである。
また、本発明の金属インジウム製造装置は、インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを電解採取により製造する金属インジウム製造装置であって、不溶性陽極が配置され電解液としてアルカリ金属の水酸化物水溶液が収容される陽極室と、金属インジウムが析出する陰極が配置され電解液としてインジウムイオンを含有する水溶液が収容される陰極室との間が陽イオン交換膜により仕切られた電解槽を具備している。
本発明の金属インジウム製造方法及び装置においては、陽極室と陰極室との間を陽イオン交換膜で仕切り、陽極液として、アルカリ金属の水酸化物水溶液を用いたことにより、陽極室及び陰極室において以下の反応が進む。
(1)アルカリ金属の水酸化物(例えば苛性ソーダ)を含有する水溶液を電気分解すると陽極では、化学式5に示す反応(a)(f)が起こり、酸素ガスが発生する。水酸化物イオンとイオン対を形成していたアルカリ金属陽イオン(例えばナトリウムイオン)は、陽イオン交換膜を通して陰極室に入る。
Figure 2010007133
一方、陰極室内のインジウムイオンを含有する水溶液を電気分解すると、陰極室では、前述した化学式2に示す反応(b)(c)が起こり、インジウムが析出する。インジウムイオンとイオン対を形成していた陰イオン(例えば塩化物イオン)は、陽イオン交換膜を通して陰極室に入るアルカリ金属陽イオンとイオン対を形成する(例えば、食塩となる)。このため、この反応では、陰極液のpHは変化せず一定となる。したがって、水素発生反応(c)が優位となることはなく、苛性ソーダなどによるpHコントロールは不要となる。
(2)陽極室で起こる酸素発生反応(a)(f)の平衡電位はpHに依存し、pHが1増えるごとに60mV低くなる。よって、酸素発生反応の平衡電位は、1N硫酸(pH=0)では、1.23VvsSHE(標準水素電極基準の電位)、1N苛性ソーダ(pH=14)では、0.39VvsSHEとなり、硫酸を使用する場合に比べ、0.84V低くなる。その結果、インジウムの電解採取電圧も、硫酸を使用する場合に比べ、0.8Vほど低くなる
すなわち、インジウムの電解採取に要する電圧Eは、数式1により表される。ここで、ΣIRは、電解液・イオン交換膜・金属導体部のオーム損に該当する部分、ηaは陽極過電圧、ηcは陰極過電圧を示す。Edは理論分解電圧で、陽極平衡電位から陰極平衡電位を引いた値である。陰極平衡電位は、インジウム析出反応(b)の平衡電位で−0.34VvsSHEなので、理論分解電圧Edは、陽極液が1N硫酸の場合は1.57V、1N苛性ソーダの場合は0.73Vとなる。ΣIR、ηa、ηcはこの電気化学系では大きな差はないので、理論分解電圧Edの差がおおむね電解電圧の差となる。よって、陽極液に苛性ソーダを使用した方が、硫酸を使用するより0.8Vほど電圧が低くなる。
Figure 2010007133
(3)陰極液と陽極液は陽イオン交換膜にて分離されているため、陰極液中の塩化物イオンは陽極液中には入らない。このため、陽極側での塩素発生反応(d)は起こらない。
(4)陽極液が苛性ソーダなどのアルカリであるため、陽極にはチタン基材上に白金族元素もしくはその酸化物をコーティングした高品質な不溶性陽極は不要であり、安価なステンレス鋼で十分となる。
(5)陽極液にアルカリ金属の水酸化水溶液を使用しているため、陰極液中のインジウムイオンが陽イオン交換膜に浸透することにより、化学式4に示す水酸化物の析出反応(e)が起きる。ところが、陽イオン交換膜が、スルフォン酸のような強酸性の官能基を交換基とするものであると、生成した水酸化析出物は陽イオン交換膜中には沈着、沈殿せず、せいぜい陽イオン交換膜の陰極側の表面に付着する程度であるので、陰極液を攪拌などしておけば容易に溶解し、操業に支障を生じない。ちなみに、カルボン酸は弱酸性の官能基であり、これを交換基とする陽イオン交換膜の場合は、前述したとおり、生成した水酸化物が膜中に沈着、沈殿して反応続行が困難となる。
この観点から、電解槽内の陽極室と陰極室を仕切る陽イオン交換膜としては、強酸性の官能基を交換基とするものが好ましく、具体的にはスルフォン酸を交換基とするものが好ましい。また、陰極液を、エアレーションやポンプによる循環により攪拌することも望ましい。
(6)陰極室での析出物(主に金属インジウム)は、陰極の表面に均一に生じるとは限らない。陰極の表面に針状に生じることもあれば、陰極液中に粒体として生じることもある。陰極の表面に針状に生じると、陽イオン交換膜を突き破る危険があり、陰極液中に粒体として生じた場合は析出物の回収に手間がかかる。このため、析出物は陰極表面に均一に成長させることが望ましく、そのためには電解液の温度が特に重要であり、具体的には40〜60℃の範囲内に管理することが望まれる。また、陰極液の攪拌は、析出物を陰極の表面に均一に生じさせる点からも有効である。
本発明の金属インジウム製造方法及び装置は、インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを電解採取により製造する際に、電解槽内を陽イオン交換膜により陽極室と陰極室とに仕切り、不溶性陽極を配置した陽極室の電解液をアルカリ金属の水酸化物水溶液とし、陰極室の電解液をインジウムイオンを含有する水溶液として、陰極表面に金属インジウムを析出させることにより、安価な陽極の使用が可能である。第2に、電解液のpH調整が不要である。第3に、陽極側での塩素ガスの発生がない。第4に、電解効率も高い。これらのため、本発明の金属インジウム製造方法及び装置は経済性に著しく優れる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す金属インジウム製造装置の構成図である。
本実施形態の金属インジウム製造装置においては、電解槽10内が陽イオン交換膜11により陽極室12と陰極室13とに仕切られている。陽極室12には、不溶性の陽極14が配置されると共に、陽極液として、アルカリ金属の水酸化物水溶液が収容されている。陰極室13には、陰極15が配置されると共に、陰極液として、インジウムイオンを含有する水溶液が収容されている。陽極14と陰極15は直流電源40に接続されている。
電解槽10の陽極室12と陰極室13とを仕切る陽イオン交換膜11としては、強酸性の官能基(例えばスルフォン酸)を交換基とする陽イオン交換膜が使用されている。
陽極液として用いられるアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられるが、価格の面から一番安価な水酸化ナトリウムが望ましい。
陽極液中の水酸化物の濃度は5〜20%が望ましい。濃度が低すぎると電気伝導度が低いため電解電圧の増加となり効率的でない。一方、20%以上の濃度になると濃度の増加とともに電気伝導度が低下する、イオン交換膜を透過する水酸化物イオンの量が増えるなどの弊害が起こる。
陽極14としては、陽極液としてアルカリ金属の水酸化物が使用されるので、チタン基材上に白金族元素もしくはその酸化物をコーティングした高品質な不溶性陽極は不要であり、安価なステンレス鋼で十分である。
陰極液として用いられるインジウムイオンを含有する水溶液の好適な例としては、塩化物水溶液、硫酸塩水溶液が挙げられるが、塩化物水溶液が主に用いられる。また、該水溶液に含まれるインジウム以外の金属イオンについては、インジウムよりも標準電極電位が低い(いわゆる「卑」な)金属イオンは電解により析出することは無いので含まれていても問題ない。一方、インジウムイオンよりも標準電極電位が高い(いわゆる「貴」な)金属イオンは金属インジウムとともに析出するため、あらかじめ他の方法により所定濃度まで低下させておく必要がある。
インジウムイオンを含有する水溶液中のインジウム濃度は特に制限されるものではないが、あまり低くなると電流効率が低下するため電力のロスが大きくなり、実際的ではない。このため開始濃度は50〜200g/Lが望ましく、終了濃度は0.1〜1g/Lまでに抑えることが望ましい。
インジウムイオンを含有する水溶液のpHは、低すぎると電流効率が低下するため電力のロスが大きくなり実際的ではないので、1以上とすることが望ましい。
陰極15としては、ステンレス鋼板、チタン板、ジルコニウム板、インジウム種板などが挙げられる。しかし、汎用的に使用されているステンレス鋼では、腐食による夾雑物の混入の可能性があるので、高純度品の目的のためにはチタン板、ジルコニウム板、インジウム種板が好ましい。
電解を開始すると、陽極室12では、化学式5に示す反応(a)(f)が起こり、酸素ガスが発生する。水酸化物イオンとイオン対を形成していたアルカリ金属陽イオン(例えばナトリウムイオン)は、陽イオン交換膜11を通して陰極室13に入る。一方、陰極室13では、化学式2に示す反応(b)(c)が起こり、インジウムが析出する。インジウムイオンとイオン対を形成していた陰イオン(例えば塩化物イオン)は、陽イオン交換膜11を通して陰極室13に入るアルカリ金属陽イオンとイオン対を形成する(例えば、食塩となる)。このため、陰極液のpHは下がらず、pHコントロールなしでも一定に維持される。
一方、陽極液にアルカリ金属の水酸化水溶液を使用しているため、陰極液中のインジウムイオンが陽イオン交換膜11に浸透することにより、化学式4に示す水酸化物の析出反応(e)が起きるが、陽イオン交換膜11として、スルフォン酸のような強酸性の官能基を交換基とするものが使用されているため、生成した水酸化析出物は陽イオン交換膜11中には沈着、沈殿せず、せいぜい陽イオン交換膜11の陰極側の表面に付着する程度であるので、陰極液を攪拌などしておけば容易に溶解し、操業に支障は生じない。陽イオン交換膜11中に水酸化析出物の沈着、沈殿が生じない詳細な理由は、次のように推測される。
陽イオン交換膜でアルカリ性溶液と酸性溶液を隔てた場合、アルカリ性溶液からの水酸化物イオンの拡散と酸性溶液からの水素イオンの拡散によりイオン交換膜内にpH勾配が生じる。反応(e)による水酸化インジウムの生成・析出は、電解実施のインジウム濃度ではpH=4程度で起こる。仮に陰極室側のイオン交換膜表面のpHが4以下であるとイオン交換膜内にインジウムが透過し、膜内pHが4以上となった場所で水酸化インジウムが析出する。スルフォン酸などの強酸性の官能基を交換基とするイオン交換膜を使用すると、イオン交換膜内の水酸化物イオンの拡散が水素イオンの拡散より優位なため、陰極室側のイオン交換膜表面のpHが水酸化インジウムの生成・析出の起こる4以上となり、イオン交換膜内へのインジウムイオンの透過が起こらないためと思われる。
電解を実施するに当たっては、析出物が陰極15の表面に一様に生じることが望ましい。針状の析出物(デンドライト)を生成する場合があるが、生成したデンドライトがイオン交換膜11まで成長するとイオン交換膜11を突き破り、塩化物イオンが陽極室12に入り陽極14で塩素が発生するため避ける必要がある。また、粒状の析出が生成すると電解槽10内に散乱し回収が困難となる。そのために運転条件の選定が重要となる。
具体的には、電流密度は1〜10A/dm、電解温度は40〜60℃とし、ポンプ圧による循環やエアレーションなどにより陰極液を十分に攪拌することにより望ましい析出物が得られることが判明した。陰極液の攪拌は、前述したとおり、生成した水酸化析出物が陽イオン交換膜11の表面に付着する現象を防止する点からも有効である。
図2は本発明の他の実施形態を示す金属インジウム製造装置の構成図である。
本実施形態の金属インジウム製造装置においては、複数の陽イオン交換膜11を使用することにより、陽極室12と陰極室13とが交互に配置された構成になっており、ここでは3つの陽極室12の各間に2つの陰極室13が配置された構成になっている。
各陽極室12には、不溶性の陽極14が配置されると共に、陽極液として、アルカリ金属の水酸化物水溶液が収容されている。各陰極室13には、陰極15が配置されると共に、陰極液として、インジウムイオンを含有する水溶液が収容されている。複数の陽極14及び複数の陰極15は直流電源40に並列に接続されている。
複数の陽極室12には、陽極液貯槽20内の陽極液が循環ポンプ21により循環される。同様に、複数の陰極室13には、陰極液貯槽30内の陰極液が循環ポンプ31により循環される。
陽イオン交換膜11として、強酸性の官能基(例えばスルフォン酸)を交換基とする陽イオン交換膜が使用されることなど、他の構成は図1の金属インジウム製造装置の場合と同じである。また、電解により、複数の陽極室12において化学式5に示す反応(a)(f)が起こり、酸素ガスが発生すること、複数の陰極室13において化学式2に示す反応(b)(c)が起こり、陰極15の表面にインジウムが析出すること、化学式4に示す水酸化物の析出反応(e)が起きるが、生成した水酸化析出物は陽イオン交換膜11中には沈着、沈殿せず、操業に支障をきたさないことなども、図1の金属インジウム製造装置の場合と同じである。
次に、本発明の実施例を説明し、本発明の効果を明らかにする。
第1実施例として、図1に示す金属インジウム製造装置を用い、表1の条件により、電解採取によるインジウム製造実験を行った。陽極板はステンレス鋼板である。陽極液及び陰極液はエアレーションにより攪拌した。電解液の液温は25℃と50℃の2種類を試みた。実験結果を表2に示す。
Figure 2010007133
Figure 2010007133
表2から分かるように、陽イオン交換膜として、強酸性の官能基の一種であるスルフォン酸を交換基とする膜を使用することにより、陽極液としてアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液を使用しているにもかかわらず、6時間の連続電解が可能であり、陰極室内に金属インジウムが電解採取された。電解終了時の陰極液のpHは、アルカリ薬剤によるpHコントロールなしにもかかわらず1超であった。特に、電解液の液温が50℃の場合、析出物は陰極表面に膜状に均一に生じ、電流効率も高く、採取量も多かった。
ちなみに、電解液の液温が25℃の場合、陰極液中に析出物が生じたもの、その析出物は陰極液中に粒状に分散しており、採取量も少なく、電流効率も低くなった。
第2実施例として、図2に示す金属インジウム製造装置を用い、表3の条件により、電解採取によるインジウム製造実験を行った。陽極室は3室、陰極室は陽極室の各間に配置された2室である。電解液は循環により攪拌した。電解液の液温は60℃とした。他の条件は先の実験の場合と実質同一である。実験結果を表4に示す。
Figure 2010007133
Figure 2010007133
21時間の連続電解により5490gの金属インジウムが採取された。析出物は陰極表面に膜状に生じた。電流効率は91.5%と高く、電解終了時の陰極液のpHは、アルカリ薬剤によるpHコントロールなしにもかかわらず、2と高かった。
本発明の実施形態を示す金属インジウム製造装置の構成図である。 本発明の他の実施形態を示す金属インジウム製造装置の構成図である。
符号の説明
10 電解槽
11 陽イオン交換膜
12 陽極室
13 陰極室
14 陽極
15 陰極
20 陽極液貯槽
21 循環ポンプ
30 陰極液貯槽
31 循環ポンプ
40 直流電源

Claims (6)

  1. インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを電解採取により製造する金属インジウム製造方法であって、不溶性陽極を配置した陽極室の電解液をアルカリ金属の水酸化物水溶液とし、陰極室の電解液をインジウムイオンを含有する水溶液とし、前記陽極室と陰極室との間に陽イオン交換膜を配置させて電解を行い、陰極室において金属インジウムを析出させることを特徴とする金属インジウム製造方法。
  2. 請求項1に記載の金属インジウム製造方法において、前記陽イオン交換膜は強酸性の官能基を交換基とする膜である金属インジウム製造方法。
  3. 請求項1に記載の金属インジウム製造方法において、電解液の温度を40〜60℃に管理する金属インジウム製造方法。
  4. インジウムイオンを含有する水溶液から金属インジウムを電解採取により製造する金属インジウム製造装置であって、不溶性陽極が配置され電解液としてアルカリ金属の水酸化物水溶液が収容される陽極室と、金属インジウムが析出する陰極が配置され電解液としてインジウムイオンを含有する水溶液が収容される陰極室との間が陽イオン交換膜により仕切られた電解槽を具備する金属インジウム製造装置。
  5. 請求項4に記載の金属インジウム製造装置において、前記陽イオン交換膜は強酸性の官能基を交換基とする膜である金属インジウム製造装置。
  6. 請求項4に記載の金属インジウム製造装置において、陽極液及び陰極液のうちの少なくとも陰極液を攪拌する攪拌手段を具備する金属インジウム製造装置。
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