JP2010007086A - 非環式ジエンを用いるオレフィンメタセシス反応による、環式オレフィンの環拡大 - Google Patents

非環式ジエンを用いるオレフィンメタセシス反応による、環式オレフィンの環拡大 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、一般に、環式オレフィンの開環メタセシスの工程および非環式ジエン共反応物との反応を包含し、環拡大により大環状オレフィンを生成し、またはあるいは、規則的な繰り返しA、B交互オレフィンポリマーを生成する合成手順を提供すること。
【解決手段】環式オレフィンの環拡大は、3つの型の連続するオレフィンメタセシスにより提供され(開環オレフィンメタセシス、交差オレフィンメタセシスおよび閉環オレフィンメタセシス)、そしてA、B交互ポリマーは、単純に反応条件および/または反応物質の割合を変動させ、ただ2つの型のオレフィンメタセシス(開環オレフィンメタセシスおよび交差オレフィンメタセシス)を用いることによって生成され、開環メタセシス重合(ROMP)を介して規則的な繰り返しABAB…などのポリマーを提供する。
【選択図】なし

Description

(政府の支援の承認)
米国政府は、National Science Foundationによって与えられた付与番号CHE−9809856に基づいて、本発明において特定の権利を有する。
(技術分野)
本発明は、一般に、オレフィンメタセシスの使用を包含する合成手順に関する。より具体的には、本発明は、環式オレフィンの開環メタセシス、および環拡大によってオレフィン単環を生成するための非環式ジエン共反応剤を用いる反応を包含するような手順、あるいは、A,B−交互オレフィンポリマーを規則的に反復する手順に関する。この環式オレフィンの環拡大は、3つの型の連続的なオレフィンメタセシス(開環メタセシス、交差メタセシス、および閉環オレフィンメタセシス)によって提供され、そしてA,B−交互ポリマーは、単に、反応条件および/または反応物の割合を変化させること、ならびに2つのみの型のオレフィンメタセシス(開環および交差)を使用して、規則的に反復するABAB・・・などのポリマーを、開環メタセシス重合(ROMP)を介して提供することによって、生成される。より具体的には、本発明は、メタセシス触媒として8族遷移金属錯体を使用するオレフィンメタセシス反応を介する、オレフィン大環状分子およびA,B−交互オレフィンポリマーの合成に関する。本明細書中に提供される大環状分子は、製薬産業、生体医用産業、有機合成および化学産業(例えば、金属錯化種として有用なクラウンエーテルの生成)において、種々の用途を有する。また、本明細書中に提供されるポリマーは、種々の分野(ポリマー化学自体のみでなく、製薬産業、生体医用産業、およびパッケージ産業(ポリマーの構造および特性が厳密に制御されることを必要とする)もまた挙げられる)において、有用性を有する。
オレフィンのメタセシスは、2つのオレフィン反応物における置換基を交換することによる、炭素−炭素結合の形成のための効率的な反応である。特定のルテニウム触媒は、空気および水分に対する錯体の耐性を増加させる、修飾された官能基に起因して、有機合成のためにオレフィンメタセシスを使用することの実用性を上げることを補助してきた。しかし、非常に活性な触媒は、いくつかの極性官能基に感受性であり得、一方で、極性官能基に関してより安定な触媒は、活性が減少され得る。従って、好ましいメタセシス触媒は、官能基に対してより安定であり、同時に減少されない活性を維持する触媒である。当該分野において、このような触媒を使用して実施され得る、改善された合成プロセスもまた、必要とされる。
(I.オレフィン大環状分子および誘導体)
改善されたメタセシス触媒を使用して改善される収率から利益を受け得る有機合成の1つの分野は、オレフィンの大環状化(および必要に応じて引き続く二重結合の反応または還元)の分野であり、これは、大環状ラクトン化および大環状ラクタム化よりずっと困難であると考えられる。炭素環の調製、特に、重合のような過剰の副反応がない、環式オレフィンの環拡大のための、改善された、穏やかな、そして効率的な経路が、必要とされる。米国特許第6,482,908号は、非環式ジエン出発物質(このような非環式ジエン出発物質は、ポリマーであり得る)から、閉環メタセシス(「RCM」)の使用によって、オレフィン大環状分子を生成するための方法を提供する。このようなRCMにより改善された手順は、受容可能な収率を達成するために、非環式のジエン出発物質がコンホメーション的に拘束されることを必要とする、当該分野における問題に取り組んだ。いくつかの従来技術の問題を克服するものの、このようなプロセスは、既存の環式オレフィンを拡大するための方法を提供しなかった。
大環状化合物(例えば、環化オレフィンまたは官能基化環状分子)は、化学産業において(例えば、金属錯化種として、または有機酸からエステルを形成して有機酸を溶液から除去するための環式アルコールとして)広範に使用される化合物の、重要なクラスである。これらの分子は、多くの用途(分析化学の滴定、エステルの形成、溶液および土壌からのイオンの除去、ヘモグロビンにおける鉄の結合、クロロフィルにおけるマグネシウムの結合、および医療用途(例えば、グラム陽性細菌、真菌、ウイルスなどに対する抗菌剤)が挙げられる)を有する。1つの特に有用なクラスの官能基化環状分子は、クラウンエーテルであり、これはまた、有機変換反応における金属の可溶化剤として、重要な用途を見出す。Crown Ethers and Analogs,Patai,S.およびRappoport,Z.編;John Wiley & Sons:New York,1989を参照のこと。これは、本明細書中に参考として援用され、そして技術的および科学的に重要な官能基化環状分子の多くの例(クラウンエーテル、クラウンチオエーテル、ポルフィリン、ラリアット、クリプタンド、サンドイッチ錯体などが挙げられる)を含む。
官能基化環状分子が不飽和部位を含む場合(官能基化環式オレフィンの場合のように)、この不飽和部位は、この分子のさらなる化学修飾のために使用され得る。このような修飾は、不飽和結合を用いる化学的付加反応によるか、または二重結合の水素化による。カルボニル官能基は、還元によってアルコールにされ得、このアルコールは、酸基とエステルを形成し得る。さらに、環式オレフィンは、ヘテロ原子を含み得る(例えば、エーテルまたはアミン基)。また、官能基化環式オレフィンはまた、開環メタセシス重合(「ROMP」)反応を介するポリマー合成のための出発物質として、使用され得る。このことは、以下にさらに議論されている。なぜなら、このような官能基化環式オレフィンのROMPは、比較的間隔の空いた不飽和部位、および比較的間隔の空いた官能基を有する、高分子量の官能基化ポリマーを合成するための改善された方法を提供し得るからである。
新規の、改善された、またはより大きい大環状分子、およびこれらを生成するための改善された方法(穏やかでありかつ効率的な経路)(例えば、信頼できかつ効率的なオレフィン環拡大プロセスによる)に対する必要性が、残っている。しかし、このようなプロセスは、成功を達成する前に克服されなければならない、いくつかの手強い障害を提示する。例えば、環式オレフィン(例えば、シクロアルケン)は、開環メタセシス(「ROM」)反応を起こし得なければならない。一旦開環すると、シクロアルケンは、交差メタセシス(「CM」)が正しく起こるように、非環式ジエンと選択的に反応せねばならず、次いで、引き続く選択的閉環メタセシス(「RCM」)を起こさなければならない。本発明より前には、このような困難が克服されていない。
(II.A,B−交互コポリマーおよび誘導体)
極性基および/または官能基で置換された、十分に規定された線状ポリマーを作製することの興味は、大部分が、官能基化オレフィンポリマーの広範な市販の利用によって拍車をかけられた。例えば、エチレン−ビニルアルコール(EVOH)コポリマーである。EVOHコポリマーは、1つのクラスとして、気体および炭化水素に対する優れたバリア特性を示し、そして食品パッケージ、生体医用、および製薬の産業において用途を見出している。Lagaronら(2001)Polym.Testing 20:569−577、およびRamakrishnan(1991)Macromolecules 24:3753−3759を参照のこと。
交互コポリマーは、通常、AA−BBモノマーの段階成長重合、およびいくつかの特別な鎖成長反応(例えば、A,B−ポリアミノ酸の合成において)によって形成される。開環メタセシス重合(ROMP)における最近の開発(例えば、米国特許第6,482,908号)および非環式ジエンメタセシス重合(ADMET)(例えば、Wagenerら(1990)Makromol.Chem.191:365−374、ルイス酸のない触媒を用いる、ビニル末端を有するオリゴオクテニレンのADMET重合に関する)は、鎖成長反応と段階成長反応との両方の汎用性を拡張しているが、これらのメタセシス重合反応は、交互共重合に対する一般的な解決法を提供していない。ROMPによって調製される交互コポリマーの例は、モノマーに対する金属カルベンの親和性に交互性が存在する系を見出すことの困難性の結果として、稀である。ADMETは、段階成長重合であるが、この機構による2つのモノマーを用いる交互共重合の例は、報告されていない。なぜなら、試験された大部分のオレフィンは、類似の反応性を有するからである。従って、A,B−交互コポリマーへの一般的なメタセシス経路は、新たな官能性ポリマーの合成への道を開く。
開環メタセシス重合を介してなされる、線状ポリマーの骨格に沿っての、極性官能基の直接の組み込みは、現在、官能基許容性の、原子番号の大きい(late)遷移金属のオレフィンメタセシス触媒の開発に起因して可能である。最近、Hillmyerらは、アルコール、ケトン、ハロゲン、およびアセテートで置換されたシクロオクテンの、ルテニウムオレフィンメタセシス触媒でのROMPを報告した(Hillmyerら(1995)Macromolecules 28:6311−6316)。しかし、置換シクロオクテンの非対称性は、頭−頭(HH)結合、頭−尾(HT)結合、および尾−尾(TT)結合を可能にし、官能基のレジオランダムな配置を有するポリマーを得た。類似の問題が、Chungらによって遭遇され、Chungらは、ボラン置換されたシクロオクテンの、原子番号が小さい(early)遷移金属触媒でのROMP、引き続く酸化により、アルコール官能基化線状ポリマーを得ることを報告した(Ramakrishnanら(1990)、前出)。官能基のこのレジオランダム分布に対する解決策が、アルコール含有対称性ジエンの非環式ジエンメタセシス(ADMET)重合を使用したValentiらにより報告された(Valentiら,前出;Schellekensら(2000)J.Mol.Sci.Rev.Macromol.Chem.Phys.C40:167−192))。しかし、これらのポリマーの分子量は、ADMETにより3×10g/mol未満に制限され、そしてその豊富な炭化水素含量は、最終的なEVOHコポリマーの障壁特性を制限した(Lagaronら,前出)。
従って、レジオ規則的なA,B−ポリマーを生成するための、改善された効率的な方法を提供することが、必要とされる。レジオ規則的またはレジオランダムな様式で、官能基を修飾することによって、さらに改変され得るようなレジオ規則的なオレフィンポリマーに対する必要性もまた、存在する。他の必要性は、モノマー単位をポリマー骨格に直接挿入することによって、このようなA,B−レジオ規則的ポリマー(例えば、レジオ規則的またはレジオランダムな様式の、A,C−ポリマーまたはAB,ACポリマー)から誘導体を生成することを可能にする方法を提供することである。
(III.メタセシス触媒としての遷移金属カルベン錯体)
遷移金属カルベン錯体(特に、ルテニウムカルベン錯体およびオスミウムカルベン錯体)が、Grubbsらに対する米国特許第5,312,940号、同第5,342,909号、同第5,831,108号、同第5,969,170号、同第6,111,121号、および同第6,211,391号(the California Institute of Technologyに譲渡)において、メタセシス触媒として記載されている。これらの特許において開示されたルテニウムカルベン錯体およびオスミウムカルベン錯体はすべて、形式上は+2の酸化状態にあり、16の電子数を有し、かつ5配位されている金属中心を有する。このような錯体は、ROMP、閉環メタセシス(「RCM」)、非環式ジエンメタセシス重合(「ADMET」)、開環メタセシス(「ROM」)、および交差メタセシス(「CM」または「XMET」)反応を含む、種々のオレフィンメタセシス反応の触媒において有用であるとして開示されている。このような触媒の例は、(PCy(Cl)Ru=CHPh(1)および(IMesH)(PCy)(Cl)Ru=CHPh(2)である:
上記の分子構造において、「Mes」は、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)を表し、「Ph」は、フェニルであり、そして「Cy」は、シクロヘキシルである。
触媒(1)および(2)は、多くの置換された環式オレフィンのROMPを提供することが示されている。例えば、Bielawskiら(2000)Angew.Chem.,Int.Ed.39:2903−2906;Sanfordら(2001)J.Am.Chem.Soc.123:6543−6554;Amir−Ebrahimiら(2000)Macromolecules 33:717−724;およびHamiltonら(2000)J.Organomet.Chem 606:8−12を参照のこと。N−複素環式カルベンと配位されたルテニウム触媒(例えば、(2))の近年の開発により、低ひずみ(low−strain)シクロペンテンおよび置換シクロペンテンのROMPが可能となった。Bielawskiら,前出。対称性シクロペンテンのROMPは、レジオ規則性ポリアルケンを生じさせ、HHカップリングとHTカップリングとTTカップリングとの間に差異は存在しない。従って、アルコール−またはアセテート−二置換シクロペンテンモノマーのROMPが試みられた(スキーム1)。
残念ながら、触媒(1)も、さらに活性な(2)も、従来の反応条件下で、これらのシクロペンテンモノマーのROMPを提供し得なかった。従って、刊行物Macromolecules,第35巻、第14号、2002、表題「Synthesis of Well−Defined Poly((vinyl alcohol)−alt−methylene)via Ring−Opening Metathesis Polymerization」は、保護プロセスおよび非保護プロセスを利用する重合プロセスを提供する。
米国特許第6,482,908号明細書
Lagaronら(2001)Polym.Testing 20:569−577 Ramakrishnan(1991)Macromolecules 24:3753−3759
本発明は上述した課題を解決しようとするものである。
本発明は、例えば、以下の方法などを提供する。
(項1)
オレフィンメタセシス挿入反応を経てコポリマーを合成する方法であって、該方法が、ジエンモノマーの、ポリオレフィンの骨格へのメタセシス挿入を提供するのに効果的な反応条件下で、触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒の存在下で、2つの末端オレフィン基を有するジエンモノマーに1:1でポリオレフィンを接触させる工程を包含し、ここで反応媒体中の該ジエンの濃度が0.2〜2モル濃度である、方法。
(項2)
上記項1に記載の方法であって、ここで前記ポリオレフィンが、レジオ規則的であり、前記コポリマーが、レジオ規則的交互コポリマーである、方法。
(項3)
逐次オレフィンメタセシス反応を介して交互コポリマーを合成する方法であって、該方法は、以下:
(a)開環メタセシス重合(ROMP)反応を起こすのを可能にするのに効果的な反応条件下で、触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒と環式オレフィンモノマーを接触させることにより、該ROMP反応を用いてポリオレフィン中間体を合成する工程;および
(b)前記ジエンモノマーの、該ポリオレフィン中間体の骨格へのメタセシス挿入をもたらすために選択された反応条件下で、2つの末端オレフィン基を有するジエンモノマーと該ポリオレフィン中間体を接触させる工程
を包含する、方法。
(項4)
上記項3に記載の方法であって、ここで(b)の反応条件が、触媒的有効量の工程(a)のオレフィンメタセシス触媒の存在下でメタセシス挿入反応を実施する工程を包含する、方法。
(項5)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記ジエンモノマーが、非環式のジエンであって、そして(b)が、交差メタセシス挿入(CMI)を包含する、方法。
(項6)
上記項3に記載の方法であって、ここで2つの末端オレフィン基を有する前記ジエンモノマーが、開環交差メタセシス(ROCM)反応を介して環式ジエンからインサイチュで産生される、方法。
(項7)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、オレフィン官能基を二等分する軸に対して対称的であり、その結果、前記ポリオレフィン中間体が、レジオ規則的である、方法。
(項8)
上記項7に記載の方法であって、ここで前記交互コポリマーが、レジオ規則的である、方法。
(項9)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記ポリオレフィン中間体が、工程(a)と工程(b)との間に単離されない、方法。
(項10)
上記項3に記載の方法であって、ここで(b)に続いて、前記交互コポリマーが、単離され、そして精製される、方法。
(項11)
上記項3に記載の方法であって、ここで(b)に続いて、前記交互コポリマーが、さらに修飾される、方法。
(項12)
上記項11に記載の方法であって、ここで前記さらなる修飾が、保護基を除去する工程、オレフィン基を水素付加する工程、カルボニル基を水素付加する工程、第2の環式オレフィン残基を交差メタセシス挿入により交互コポリマーに置換し、ポリオレフィン中間体からオレフィン残基を置き換える工程、またはその組み合わせを包含する、方法。
(項13)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記オレフィンメタセシス触媒が、式(I)
の構造を有する8族遷移金属錯体であり、
ここで:
Mが8族遷移金属であり;
およびLが、中性の電子ドナー配位子であり;
およびXが、アニオン配位子であり、そして
およびRが、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および官能基から独立して選択され;
ここで、X、X、L、L、RおよびRの任意の2つ以上が一緒になって環式の基を形成し得、そしてさらにここでX、X、L、L、RおよびRの任意の1つが、支持体に結合され得る、方法。
(項14)
上記項13に記載の方法であって、ここで:
が、水素であり、そしてRが、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、およびC〜C20アリールから選択され、必要に応じて、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルから選択される1つ以上の部分で置換され;
およびLが、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、置換ピリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、ピラジン、およびチオエーテルから独立して選択され;そして
およびXは、水素、ハロゲン化物、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルコキシ、C〜C20アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アリールオキシカルボニル、C〜C20アシル、C〜C20アシルオキシ、C〜C20アルキルスルホナト、C〜C20アリールスルホナト、C〜C20アルキルスルファニル、C〜C20アリールスルファニル、C〜C20アルキルスルフィニル、C〜C20アリールスルフィニルから独立して選択され、その任意が、水素およびハロゲン化物を除いてハロゲン化物、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびフェニルから選択される1つ以上の基で必要に応じてさらに置換される、方法。
(項15)
上記項14に記載の方法であって、ここで:
が、フェニル、ビニル、メチル、イソプロピル、およびt−ブチルから選択され;
およびLが、式PRのホスフィンであり、ここでR、R、およびRが、各々独立してアリールまたはC〜C10アルキルであり;そして
およびXが、ハロゲン化物、CFCO、CHCO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、およびトリフルオロメタンスルホネートから独立して選択される、方法。
(項16)
上記項15に記載の方法であって、ここで:
は、フェニルまたはビニルであり;
およびLは、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、およびフェニルジメチルホスフィンから選択され;そして
およびXは、ハロゲン化物である、方法。
(項17)
上記項16に記載の方法であって、ここで:
は、フェニルであり;
およびLは、同じであり、トリシクロヘキシルホスフィンおよびトリシクロペンチルホスフィンから選択され;そして
およびXは、クロロである、方法。
(項18)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記プロセスが、有機溶媒中で実施される、方法。
(項19)
上記項18に記載の方法であって、ここで前記プロセスが、還流下で実施される、方法。
(項20)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記メタセシス触媒が、前記環式オレフィンに対して0.0005〜0.05モル当量で存在する、方法。
(項21)
上記項18に記載の方法であって、ここで前記ジエンが、前記有機溶媒中0.2〜2のモル濃度で存在する、方法。
(項22)
上記項21に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、前記ジエンに対して1:1〜25:1のモル比で存在している、方法。
(項23)
上記項22に記載の方法であって、ここで前記メタセシス触媒が、前記環式オレフィンのモル濃度に対して約0.05%で存在している、方法。
(項24)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、前記ジエンに対して1:1〜25:1のモル比で存在している、方法。
(項25)
上記項24に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、前記ジエンに対して1:1〜2:1のモル比で存在している、方法。
(項26)
上記項25に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、前記ジエンに対して約1.1:1のモル比で存在している、方法。
(項27)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、式(VII)
の構造を有し、ここで:
が、1原子〜5原子の結合であり;
15 およびR 16 の1つが、水素であり、他の1つが、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L) −Fnから選択され、ここでvが、0または1であり、Lが、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnが、保護された官能基または保護されない官能基であり;ならびに
27 、R 27A 、R 27B 、およびR 27C が、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L) −Fnから独立して選択され、そしてさらにここでR 27 、R 27A 、R 27B 、およびR 27C の任意の2つが、一緒になって環式構造を形成し得、その結果オレフィンモノマーが、二環式であり、
但し、該オレフィンモノマーが二環式である場合、X は、1原子結合または2原子結合である、方法。
(項28)
上記項27に記載の方法であって、ここでR 15 およびR 16 が、水素である、方法。
(項29)
上記項28に記載の方法であって、ここでX が、式−CR 19 20 −(X −を有し、ここでhは、0または1であり、X は、CR 21 22 、O、S、またはNR 23 であり、そしてR 19 、R 20 、R 21 、R 22 、およびR 23 が、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、官能基、保護された官能基から独立して選択され、そして一緒になったR 20 およびR 21 は、カルボニル基を形成し得る方法。
(項30)
上記項29に記載の方法であって、ここでhは、0である、方法。
(項31)
上記項30に記載の方法であって、ここでR 19 およびR 20 は、水素である、方法。
(項32)
上記項27に記載の方法であって、ここでR 27A およびR 27C は水素であり、R 27 は−(L) −Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X 3A −(R 18 であり、そしてR 27B は、−(L) −Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X −(R 17 であり、そしてさらにここでX およびX 3A は、直接的にまたは間接的に結合され、その結果、前記環式モノマーオレフィンは、式(VII)
の構造を有し、
ここで:
は、1原子または2原子の結合であり;
15 およびR 16 は、以前に定義された通りであり;
およびX 3A は、独立してN、O、またはSであり;
kは0または1であり;
mおよびnは、独立して0または1であり;
は、ヘテロ原子保護基であり;
17 およびR 18 は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、およびアミノ保護基から独立して選択され、ここでR 17 およびR 18 は、一緒になって環式の基を形成し得、但し:
がOまたはSである場合、mは0であり;
3A がOまたはSである場合、nは0であり;
がNである場合、mは1であり;そして
3A がNである場合、nは1である、
方法。
(項33)
上記項27に記載の方法であって、ここでR 27A およびR 27C は水素であり、その結果前記環式オレフィンが、式(VIIa)
の構造を有し、ここでX 、R 27 、およびR 27B は、以前に定義された通りであり、そしてR 25 およびR 26 は、R 15 およびR 16 についてと同様に定義される、方法。
(項34)
上記項33に記載の方法であって、ここでX は、C 〜C のアルキレンまたは置換されたC 〜C のアルキレンである、方法。
(項35)
上記項34に記載の方法であって、ここで置換されたC 〜C のアルキレンが、少なくとも1つのアルコールまたは保護されたアルコール基により置換される、方法。
(項36)
上記項38に記載の方法であって、ここでアルコール基が、TBS基、アシル基、またはテトラヒドロピラン基により保護される、方法。
(項37)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、4−t−ブチル−ジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、シクロヘプテン、3−メチルシクロヘプテン、4−メチルシクロヘプテン、5−メチルシクロヘプテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロヘプテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、シクロオクテン、3−メチルシクロオクテン、4−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、3−メチルシクロノネン、4−メチルシクロノネン、5−メチルシクロノネン、6−メチルシクロノネン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、シクロデセン、3−メチルシクロデセン、4−メチルシクロデセン、5−メチルシクロデセン、6−メチルシクロデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、シクロウンデセン、3−メチルシクロウンデセン、4−メチルシクロウンデセン、5−メチルシクロウンデセン、6−メチルシクロウンデセン、7−メチルシクロウンデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、シクロドデセン、3−メチルシクロドデセン、4−メチルシクロドデセン、5−メチルシクロドデセン、6−メチルシクロドデセン、7−メチルシクロドデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、および7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセンから選択される、方法。
(項38)
上記項37に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチル−シクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5−メチルシクロ−オクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、およびシクロドデセンから選択される、方法。
(項39)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記ジエンの2つの末端オレフィン基が、6〜30の炭素原子を含む、ヒドロカルビレンリンカー基により結合され、ここで該リンカー基の該炭素原子が、置換されていても置換されていなくてもよく、該リンカー基が、O、NおよびSから選択される6つまでのヘテロ原子により分断され得、ここで鎖上の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得る、方法。
(項40)
上記項39に記載の方法であって、ここで前記リンカー基の隣接する原子と一緒になって前記ジエンの前記2つの末端オレフィン基が、ビスアクリレート非環式ジエン化合物、ビスビニルケトン非環式ジエン化合物、またはビスアリルアセテート非環式ジエン化合物を形成する、方法。
(項41)
上記項40に記載の方法であって、ここで前記リンカー基が、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカーであり、そして前記鎖の近隣の原子の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得、ここで該リンカー基の6つまでの炭素原子が、官能基、または保護官能基によって置換され得る、方法。
(項42)
上記項41に記載の方法であって、ここで前記リンカー基の炭素原子上の置換された官能基または保護された官能基が、ハロゲン、アルコール、オキソ、チオール、−SO −H、置換−SO −基、アミノ、置換アミノ、またはこれらの組み合わせから独立して選択される、方法。
(項43)
上記項40に記載の方法であって、ここで前記非環式ジエンが、以下:
の式(VIIb)および(VIIc)から選択され、
ここで:
28 、R 29 、R 31 、およびR 32 が、各々独立してオレフィン交差メタセシスを妨げない水素または置換基であり、
30 およびR 33 は、各々独立してオレフィン交差メタセシスを妨げない水素または脱離基であり、
34 およびR 35 は、各々独立して水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり、そして、
Gは、6〜30の炭素原子を含むヒドロカルビレンリンカー基であり、ここで該リンカー基の該炭素原子は、置換されていても置換されていなくても良く、該リンカー基は、O、SおよびNから選択される6個までのヘテロ原子により分断され得、ここで前記鎖の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得る、方法。
(項44)
上記項43に記載の方法であって、ここでGが、2個〜24個の結合した−X −基により構築されるリンカー鎖であり、ここでリンカー鎖中の各々のX の各々の出現が、CR 36 37 、O、S、またはNR 38 から独立して選択され、そしてR 36 、R 37 、およびR 38 が、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、官能基および保護官能基から独立して選択され、ここで、該リンカー鎖のCR 36 37 基の6対までが、O、S、またはNR 38 基によって独立して分断され得る、方法。
(項45)
上記項44に記載の方法であって、ここで前記非環式ジエンが、以下の式:
から選択される構造を有する、方法。
(項46)
上記項3に記載の方法であって、ここで前記コポリマーが、以下:
のような式(VIId)および(VIIe)から選択される繰り返し単位を含むコポリマーであり、
ここで:
28 、R 29 、R 31 、およびR 32 は、各々独立して、オレフィン交差メタセシスを妨げない水素または置換基であり、
30 およびR 33 は、各々独立して、オレフィン交差メタセシスを妨げない水素または脱離基であり、
34 およびR 35 は、各々独立して、水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり、
Gは、6〜30の炭素原子を含む、ヒドロカルビレンリンカー基であり、ここで該リンカー基の該炭素原子は、置換されていても置換されていなくても良く、該リンカー基は、O、SおよびNから選択される6個までのヘテロ原子によって分断され得、ここで鎖の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得、
は、1原子結合、2原子結合、3原子結合、4原子結合、または5原子結合であり、
yは、0〜4の整数であり、そして
各々の存在におけるR 27 は、環式炭素上の水素原子を置換し得、そして各々の存在が、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L) −Fnから独立して選択され、ここでvが0または1であり、Lがヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnが、官能基であり、ここで2つのR 27 基が、共同でカルボニル基を形成し得る、方法。
(項47)
環式オレフィンの環拡大による大環状分子を合成するための方法であって、該方法が、以下の順序で3つのメタセシス工程を包含する:
(i)環式オレフィンの開環メタセシス(ROM)反応工程;
(ii)2つの末端オレフィン基を有するジエンとの交差メタセシス(CM)工程反応;および
(iii)閉環メタセシス(RCM)反応工程;
ここで工程(i)−(iii)が、3つのメタセシス反応の各々を生じさせるのに有効な反応条件下で、触媒的有効量の、オレフィンメタセシス触媒の存在下において実行される、方法。
(項48)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記工程(ii)または(iii)の反応条件が、工程(i)の触媒的有効量の前記オレフィンメタセシス触媒の存在下で、前記メタセシスを実行する工程を包含する、方法。
(項49)
上記項48に記載の方法であって、ここで前記工程(ii)および(iii)の反応条件が、工程(i)の触媒的有効量の前記オレフィンメタセシス触媒の存在下で、CMおよびRCMのメタセシスを実行する工程を包含する、方法。
(項50)
上記項47に記載の方法であって、ここで2つの末端オレフィン基を有する前記ジエンが、開環交差メタセシス反応(ROCM)反応を介して環式ジエンからインサイチュで生成される、方法。
(項51)
上記項47に記載の方法であって、ここで各々の工程からの中間体が単離されず、次の工程に進む、方法。
(項52)
上記項51に記載の方法であって、ここで工程(iii)に続いて、大環状分子が単離され、そして精製される、方法。
(項53)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記大環状分子が、さらに修飾される、方法。
(項54)
上記項53に記載の方法であって、ここで前記さらなる修飾が、保護基を除去する工程、オレフィン結合に水素付加する工程、カルボニル基に水素付加する工程、第2の環式オレフィン残基を交差メタセシス挿入により交互コポリマーに置換することにより、ポリオレフィン中間体からオレフィン残基を置きかえる工程、またはその組み合わせを包含する、方法。
(項55)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記オレフィンメタセシス触媒が、式(I)
の構造を有する8族遷移金属錯体であり、
ここで:
Mが、8族遷移金属であり;
およびL が、中性の電子ドナーリガンドであり;
およびX が、アニオンリガンドであり;そして
およびR が、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および官能基から独立して選択され;
ここでX 、X 、L 、L 、R 、およびR の任意の2つ以上が、一緒になって環式の基を形成し得、さらにここでX 、X 、L 、L 、R 、およびR の任意の1つが、支持体に接着し得る、方法。
(項56)
上記項55に記載の方法であって、ここでMが、RuまたはOsである、方法。
(項57)
上記項56に記載の方法であって、ここでMが、Ruである、方法。
(項58)
上記項57に記載の方法であって、ここで:
が水素であり、そしてR が、C 〜C 20 アルキル、C 〜C 20 アルケニル、およびC 〜C 20 アリールから選択され、必要に応じてC 〜C アルキル、C 〜C アルコキシ、およびフェニルから選択される1つ以上の部分で置換され;
およびL が、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、置換ピリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、ピラジン、およびチオエーテルから独立して選択され;そして
およびX は、水素、ハロゲン化物、C 〜C 20 アルキル、C 〜C 20 アリール、C 〜C 20 アルコキシ、C 〜C 20 アリールオキシ、C 〜C 20 アルコキシカルボニル、C 〜C 20 アリールオキシカルボニル、C 〜C 20 アシル、C 〜C 20 アシルオキシ、C 〜C 20 アルキルスルホナト、C 〜C 20 アリールスルホナト、C 〜C 20 アルキルスルファニル、C 〜C 20 アリールスルファニル、C 〜C 20 アルキルスルフィニル、またはC 〜C 20 アリールスルフィニルから独立して選択され、その任意が、水素およびハロゲン化物を除いて、ハロゲン化物、C 〜C アルキル、C 〜C アルコキシ、およびフェニルから選択される1つ以上の基で必要に応じてさらに置換される、方法。
(項59)
上記項58に記載の方法であって、ここで:
が、フェニル、ビニル、メチル、イソプロピル、およびt−ブチルから選択され;
およびL が、式PR のホスフィンであり、ここでR 、R 、およびR が、各々独立してアリールまたはC 〜C 10 アルキルであり;そして
およびX が、ハロゲン化物、CF CO 、CH CO 、CFH CO 、(CH CO、(CF (CH )CO、(CF )(CH CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、およびトリフルオロメタンスルホネートから独立して選択される、方法。
(項60)
上記項59に記載の方法であって、ここで:
は、フェニルまたはビニルであり;
およびL は、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、およびフェニルジメチルホスフィンから選択され;そして
およびX は、ハロゲン化物である、方法。
(項61)
上記項59に記載の方法であって、ここで:
は、フェニルであり;
およびL は、同じであり、トリシクロへキシルホスフィンおよびトリシクロペンチルホスフィンから選択され;そして
およびX は、クロロである、方法。
(項62)
請求47に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、式(VII)
の構造を有し、ここで:
が、1原子〜5原子の結合であり;
15 およびR 16 の一方が、水素であり、他方が、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L) −Fnから選択され、ここでvが、0または1であり、Lが、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnが、保護された官能基または保護されない官能基であり;そして
27 、R 27A 、R 27B 、およびR 27C が、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L) −Fnから独立して選択され、そしてさらにここでR 27 、R 27A 、R 27B 、およびR 27C の任意の2つが、一緒になって環式構造を形成し、その結果、該オレフィンモノマーが、二環式であり、
但し、該オレフィンモノマーが二環式である場合、X は、1原子結合または2原子結合である、方法。
(項63)
上記項62に記載の方法であって、ここでR 15 およびR 16 が、水素である、方法。
(項64)
上記項63に記載の方法であって、ここでX が、式−CR 19 20 −(X −を有し、ここでhは、0または1であり、X は、CR 21 22 、O、S、またはNR 23 であり、そしてR 19 、R 20 、R 21 、R 22 、およびR 23 が、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、官能基、保護された官能基から独立して選択され、そして一緒になったR 20 およびR 21 は、カルボニル基を形成し得る方法。
(項65)
上記項64に記載の方法であって、ここでhは、0である、方法。
(項66)
上記項65に記載の方法であって、ここでR 19 およびR 20 は、水素である、方法。
(項67)
上記項62に記載の方法であって、ここでR 27A およびR 27C は水素であり、R 27 は−(L) −Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X 3A −(R 18 であり、そしてR 27B は、−(L) −Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X −(R 17 であり、そしてさらにここでX およびX 3A は、直接的にまたは間接的に結合され、その結果、前記環式モノマーオレフィンは、式(VII)
の構造を有し、
ここで:
は、1原子または2原子の結合であり;
15 およびR 16 は、以前に定義された通りであり;
およびX 3A は、独立してN、O、またはSであり;
kは0または1であり;
mおよびnは、独立して0または1であり;
は、ヘテロ原子保護基であり;
17 およびR 18 は、水素、ヒドロカルビル、置喚ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置喚ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、およびアミノ保護基から独立して選択され、ここでR 17 およびR 18 は、一緒になって環式の基を形成し得、但し:
がOまたはSである場合、mは0であり;
3A がOまたはSである場合、nは0であり;
がNである場合、mは1であり;そして
3A がNである場合、nは1である、
方法。
(項68)
上記項62に記載の方法であって、ここでR 27A およびR 27C は水素であり、その結果、環式オレフィンは、式(VIIa)
の構造を有し、ここでX 、R 27 、およびR 27B は、以前に定義された通りであり、そしてR 25 およびR 26 は、R 15 およびR 16 についてと同様に定義される、方法。
(項69)
上記項68に記載の方法であって、ここでX は、C 〜C のアルキレンまたは置換されたC 〜C のアルキレンである、方法。
(項70)
上記項69に記載の方法であって、ここで前記置換されたC 〜C のアルキレンが、少なくとも1つのアルコールまたは保護されたアルコール基により置換される、方法。
(項71)
上記項70に記載の方法であって、ここでアルコール基が、TBS基、アシル基、またはテトラヒドロピラン基により保護される、方法。
(項72)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、4−t−ブチル−ジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、シクロヘプテン、3−メチルシクロヘプテン、4−メチルシクロヘプテン、5−メチルシクロヘプテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロヘプテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、シクロオクテン、3−メチルシクロオクテン、4−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、3−メチルシクロノネン、4−メチルシクロノネン、5−メチルシクロノネン、6−メチルシクロノネン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、シクロデセン、3−メチルシクロデセン、4−メチルシクロデセン、5−メチルシクロデセン、6−メチルシクロデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、シクロウンデセン、3−メチルシクロウンデセン、4−メチルシクロウンデセン、5−メチルシクロウンデセン、6−メチルシクロウンデセン、7−メチルシクロウンデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、シクロドデセン、3−メチルシクロドデセン、4−メチルシクロドデセン、5−メチルシクロドデセン、6−メチルシクロドデセン、7−メチルシクロドデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、および7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセンから選択される、方法。
(項73)
上記項72に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンモノマーが、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチル−シクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5−メチルシクロ−オクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、およびシクロドデセンから選択される、方法。
(項74)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記ジエンの2つの末端オレフィン基が、6〜30の炭素原子を含むヒドロカルビレンリンカー基により結合され、ここで該リンカー基の該炭素原子が、置換されていても置換されていなくてもよく、該リンカー基が、O、SおよびNから選択される6つまでのヘテロ原子により分断され得、ここで鎖上の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得る、方法。
(項75)
上記項74に記載の方法であって、ここで前記ジエンの前記2つの末端オレフィン基が、前記リンカー基の隣接する原子と一緒になって、ビスアクリレートアクリルジエン化合物、ビスビニルケトンアクリルジエン化合物、またはビスアリルアセテート非環式ジエン化合物を形成する、方法。
(項76)
上記項75に記載の方法であって、ここで前記リンカー基が、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、または置換へテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカーであり、そして前記鎖の隣接する原子上の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得、ここで該リンカー基の6つまでの炭素原子が、官能基、または保護官能基によって置換され得る、方法。
(項77)
上記項76に記載の方法であって、ここで前記リンカー基の炭素原子上で置換された官能基または保護された官能基が、ハロゲン、アルコール、オキソ、チオール、−SO −H、置換−SO −基、アミノ、置換アミノ、またはこれらの組み合わせから独立して選択される、方法。
(項78)
上記項75に記載の方法であって、ここで前記非環式ジエンが、以下の式(VIIb)および(VIIc):
から選択され、
ここで:
28 、R 29 、R 31 、およびR 32 が、各々独立してオレフィン交差メタセシスで妨げられない水素または置換基であり、
30 およびR 33 は、各々独立してオレフィン交差メタセシスで妨げられない水素または脱離基であり、
34 およびR 35 は、各々独立して水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり、そして、
Gは、6〜30の炭素原子を含むヒドロカルビレンリンカー基であり、ここで該リンカー基の該炭素原子は、置換されていても置換されていなくても良く、該リンカー基は、O、SおよびNから選択される6個までのヘテロ原子により分断され得、ここで前記鎖上の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得る、方法。
(項79)
上記項78に記載の方法であって、ここでGが、2個〜24個の結合したX 基により構築されるリンカー基であり、ここで該リンカー基中のX の各列が、CR 36 37 、O、S、またはNR 38 から独立して選択され、そしてR 36 、R 37 、およびR 38 が、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換へテロ原子含有ヒドロカルビル、官能基および保護官能基から独立して選択され、ここで、リンカー鎖のCR 36 37 基の6対までが、O、S、またはNR 38 基によって独立して分断され得る、方法。
(項86)
上記項85に記載の方法であって、ここで前記非環式ジエンが、以下の式:
から選択される構造を有する、方法。
(項80)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記大環状分子が、以下の式:
から選択される構造を有する、方法。
(項81)
上記項80に記載の方法であって、該方法が、前記オレフィン大環状分子からTBSアルコール保護基を取り除くさらなる工程を包含する、方法。
(項82)
上記項47に記載の方法であって、該方法が、前記オレフィン大環状分子の1つ以上の二重結合に水素付加するさらなる工程を包含する、方法。
(項83)
上記項82に記載の方法であって、ここで前記水素付加されたオレフィンが、以下の式:
から選択される構造を有する、方法。
(項84)
上記項47に記載の方法であって、ここで2つの末端オレフィン基を有する前記ジエンが、0.003〜0.010のモル濃度範囲で反応溶液中に存在している、方法。
(項85)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記メタセシス触媒が、前記ジエンに対して0.01〜0.20モル当量で存在している、方法。
(項86)
上記項47に記載の方法であって、ここで前記環式オレフィンが、前記ジエンに対して1:1〜25:1のモル比で存在している、方法。
本発明によれば上記課題が解決される。
図1は、本発明の方法に従って調製された、実施例1のROIMPコポリマーのNMRスペクトルa、NMRスペクトルb、NMRスペクトルcおよびNMRスペクトルdを提供する。これらのNMRスペクトルは、H NMRスペクトル分析および15C NMRスペクトル分析によって、A,B交互性のモノマーの範囲を例示する。なぜなら、A,B交互性の単位についてのオレフィンのプロトンは、出発物質およびホモ結合化(homocoupled)単位とは異なる化学的シフトを有するからである。図1のNMRスペクトルa(H NMR)は、E−アクリル酸ダイマーが、δ=6.9ppmで鋭い一重項を生じることを示し、一方、図1のNMRスペクトルc(H NMR)は、ポリシクロアルキレンがδ=5.4ppmで多重項を示すことを、例示する。図1のNMRスペクトルb(H NMR)は、A,B交互性単位が、δ=7.0ppmで二つの重なった三重項およびδ=5.8ppmで二重項を生じることを示す。従って、コポリマー中のA,B交互の範囲は、これらのピークを統合することによって、容易に計算され得る。鋭い結合パターンは、Eオレフィンアイソマーを有する、高度に均一なポリマー構造を示す(J=15.9Hz)。図1のNMRスペクトルd(15C NMR)は、高度なA,B交互を例示するスペクトル分析である。なぜなら、これは、カルボニル基まで、炭素原子αおよび炭素原子βについて2つのみのオレフィン炭素のピークを表すからである。
従って、当該分野において、オレフィン大環状分子およびこれらの誘導体を合成する改善された方法、ならびにレジオ規則的なA,B−ポリマーおよびこれらの誘導体を、官能基に耐性である触媒ならびに得られる生成物および生成する分子における官能基の構造的分布の正確な制御を可能にするプロセスを使用して合成する改善された方法に対する必要性が、存在する。理想的には、このような方法はまた、新規なオレフィン大環状分子ならびにレジオ規則的および/またテレキーリックなA,B−ポリマーの合成において有用である。本発明は、このような方法に関し、そしてここで、遷移金属カルベン錯体(例えば、(1)または(2))を使用する非常に効果的なプロセスを提供する。このプロセスは、拡大したオレフィン大環状分子ならびにレジオ規則的および/またはテレキーリックなA,B−ポリマーを、大環状分子およびポリマーの特性、ならびにこれらの誘導体の注意深い制御を可能にする様式で合成するために使用され得る。
(発明の開示)
本発明は、部分的には、逐次オレフィンメタセシス反応を介する交互コポリマーを合成するための方法に関し、この方法は、以下を包含する:
(a)開環メタセシス重合(ROMP)反応を起こすのを可能にするのに効果的な反応条件下で、環式オレフィンモノマーを触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒と接触させることにより、ROMP反応を用いてポリオレフィン中間体を合成する工程;および
(b)ポリオレフィン中間体の骨格へのジエンモノマーのメタセシス挿入をもたらすように選択された反応条件下で、2つの末端オレフィン基を有するジエンモノマーと、ポリオレフィン中間体を接触させる工程。
本発明は、別の部分において、環式オレフィンの環拡大による大環状分子を合成するための方法に関し、この方法は、以下の順序で3つのメタセシス工程を包含する:
(i)環式オレフィンの開環メタセシス(ROM)反応工程;
(ii)2つの末端オレフィン基を有するジエンとの交差メタセシス(CM)工程反応;および
(iii)閉環メタセシス(RCM)反応工程;
(iii)閉環メタセシス(RCM)反応工程;
ここで工程(i)〜(iii)は、3つのメタセシス反応の各々を生じさせるのに有効な反応条件下で、触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒の存在下において実行される。
上記重合反応を実施するためのオレフィンメタセシス触媒は、好ましくは、式(I)
の構造を有する8族遷移金属錯体であり、
ここで:
Mは、8族遷移金属であり;
およびLは、中性の電子ドナー配位子であり;
およびXは、アニオン配位子であり、そして
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および官能基から独立して選択され;
ここで、X、X、L、L、RおよびRの任意の2つ以上が一緒になって環式基を形成し得、そしてさらにここでX、X、L、L、RおよびRの任意の1つが、支持体に結合され得る。
好ましい触媒は、8族遷移金属としてRuまたはOsを含有し、Ruが特に好ましい。
式(I)の構造を有する触媒は、2つのグループのうちの1つである。第1のグループにおいて、LおよびLは、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、置換ピリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、ピラジン、およびチオエーテルから独立して選択される。例示的なリガンドは、三置換ホスフィンである。従って、第1の群の触媒は、ルテニウムビスホスフィン錯体(PCy(Cl)Ru=CHPh(1)
によって例示される。
第2のグループの触媒は、遷移金属カルベン錯体(好ましくは、ルテニウムカルベン錯体)であり、ここで、Lは、上に定義された通りであり、そしてLは、式(II)
の構造を有するカルベンであり、その結果、この錯体は、式(IIA)
の構造を有し、
ここで、
、X、L、L、R、およびRは、上で規定されるとおりであり;
XおよびYは、N、O、S、およびPから選択されるヘテロ原子であり;
XがOまたはSの場合、pは0であり、そしてXがNまたはPである場合、pは1であり;
YがOまたはSの場合、qは0であり、そしてYがNまたはPである場合、qは1であり;
、Q、Q、およびQは、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有置換ヒドロカルビレン、および−(CO)−から独立して選択され、そしてさらに、Q内の近接原子上の2つ以上の置換基が連結して、さらなる環式基を形成し得;
w、x、y、およびzは、独立して、0または1であり;そして
、R3A、R、およびR4Aは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、およびヘテロ原子含有置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
ここで、X、X、L、R、R、R、R3A、R、およびR4Aのうちの任意の2つ以上が、一緒になって、環式基を形成し得、さらに、X、X、L、R、R、R、R3A、R、およびR4Aのうちの任意の1つ以上が、支持体に結合され得る。
従って、第2のグループの触媒は、ルテニウムカルベン錯体(IMesH)(PCy)(Cl)Ru=CHPh(2):
によって例示される。
本発明とともに触媒として有用なさらなる遷移金属カルベン錯体としては、限定しないが、形式的に+2の酸化状態であり、16の電子数を有し、5配位であり、そして一般式(IIIA)である金属中心を含む中性ルテニウムまたはオスミウム金属カルベン錯体が挙げられる。他の好ましいメタセシス触媒としては、限定しないが、形式的に+2の酸化状態であり、14の電子数を有し、4配位であり、そして一般式(IIIB)である金属中心を含むカチオン性ルテニウムまたはオスミウム金属カルベン錯体が挙げられる。なお他の好ましいメタセシス触媒としては、限定しないが、形式的に+2の酸化状態であり、18の電子数を有し、6配位であり、そして一般式(IIIC)である金属中心を含む中性ルテニウムまたはオスミウム金属カルベン錯体が挙げられる。

上記構造において、X、X、L、L、R、およびRは、先に定義された通りであり、rおよびsは、独立して0または1であり、tは、0〜5の範囲の整数であり、Yが、任意の非配位アニオンであり、ZおよびZが、−O−、−S−、−NR−、−PR−、−P(=O)R−、−P(OR)−、−P(=O)(OR)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−S(=O)−、または−S(=O)−から独立して選択され、そしてX、X、L、L、Z、Z、R、およびRのうちの任意の2つ以上が、一緒になって、環式基を形成し得(例えば、多座配位子)、そして、X、X、L、L、Z、Z、R、およびRのうちの任意の1つ以上が、支持体に結合し得る。
架橋二環式または多環式オレフィンモノマーは、式(IV)
の構造を有し、ここで、
は、1原子〜5原子の結合であり(「1原子」結合とは、単一の、必要に応じて置換されたスペーサー原子を、2つの隣接する炭素原子の間に提供する結合をいい、そして「5原子」結合とは、同様に、必要に応じて置換された5つのスペーサー原子を、2つの隣接する炭素原子の間に提供する結合をいう);
15およびR16のうちの一方が水素であり、そして他方が、水素、ヒドロカルビル(例えば、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アリール、C〜C24アルカリール、およびC〜C24アラルキル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換C〜C20アルキル、置換C〜C20アルケニル、置換C〜C20アルキニル、置換C〜C20アリール、置換C〜C24アルカリール、および置換C〜C24アラルキル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、ヘテロ原子含有C〜C20アルキル、ヘテロ原子含有C〜C20アルケニル、ヘテロ原子含有C〜C20アルキニル、ヘテロ原子含有C〜C20アリール、ヘテロ原子含有C〜C24アルカリール、およびヘテロ原子含有C〜C24アラルキル)、ヘテロ原子含有置換ヒドロカルビル(例えば、ヘテロ原子含有置換C〜C20アルキル、ヘテロ原子含有置換C〜C20アルケニル、ヘテロ原子含有置換C〜C20アルキニル、ヘテロ原子含有置換C〜C20アリール、ヘテロ原子含有置換C〜C24アルカリール、およびヘテロ原子含有置換C〜C24アラルキル)および−(L)−Fnから選択され、ここで、vが0または1であり、Lが、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレンおよび/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnが、保護されたかまたは保護されていない官能基であり;ならびに
27、R27A、R27B、およびR27Cが、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、ならびに−(L)−Fnから独立して選択され、そしてさらにここでR27、R27A、R27B、およびR27Cの任意の2つが、一緒になって環式構造を形成し、その結果オレフィンモノマーが、二環式であり、
但し、オレフィンモノマーが二環式である場合、Xは、1原子結合または2原子結合である。
1つの実施形態において、R27AおよびR27Cは水素であり、R27は−(L)−Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X3A−(R18であり、そしてR27Bは、−(L)−Fnであり、ここでvは0であり、そして−Fnは、−X−(R17であり、そしてさらにここでXおよびX3Aは、直接的にまたは間接的に結合され、この場合、環式オレフィンモノマーは、式(VII)
の構造を有し、
ここで:
は、1原子または2原子の結合であり;
15およびR16は、以前に定義された通りであり;
およびX3Aは、独立してN、O、またはSであり;
kは0または1であり;
mおよびnは、独立して0または1であり;
は、ヘテロ原子保護基であり;
17およびR18は、水素、ヒドロカルビル、置喚ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置喚ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、およびアミノ保護基から独立して選択され、ここでR17およびR18は、一緒になって環式の基を形成し得、但し、
がOまたはSである場合、mは0であり;
3AがOまたはSである場合、nは0であり;
がNである場合、mは1であり;そして
3AがNである場合、nは1である。
別の実施形態において、式(IV)のR27AおよびR27Cは水素であり、この場合、環式オレフィンが、式(VIIa)
の構造を有し、ここでX、R27、およびR27Bは、以前に定義された通りであり、そしてR25およびR26は、R15およびR16についてと同様に定義される。
本発明に従う交互コポリマーの作製において、ROMP反応は、反応剤として選択された環式オレフィンモノマーが、そのオレフィン結合を二等分する中心軸の周りで対称である場合はいつでも、保護されたまたは保護されていない、不飽和のレジオレギュラーポリマー中間体の合成を生じる。これらの不飽和レジオレギュラーポリマーは、ポリオレフィン中間体の骨格内へのジエンモノマーのメタセシス挿入をもたらすように選択された反応条件下で、2つの末端オレフィン基を有する対称ジエンモノマーと反応され得、レジオレギュラーA,B交互コポリマーを生じ得る。さらに、このようなコポリマーは、さらに、改変され得る。例えば、コポリマー生成物上の保護基は、脱保護され得、必要に応じて、さらに反応し得、(b)不飽和結合(カルボニル基を含む)は、水素化されて、対応する飽和ポリマーおよび/またはアルコールを与え得、そして(c)異なる環式オレフィンは、交差メタセシス(挿入交差メタセシス)によってポリマー骨格上の環式オレフィン残基と反応して、コポリマー骨格内へさらなるオレフィンモノマー残基を挿入し、それによって、ターポリマーを形成し得るか、あるいは、コポリマー骨格上のオレフィンモノマー残基を置換して、それによって、新たなレジオレギュラーコポリマーを生じ得る。例として、XおよびX3AがOであり、Xがメチレンであり、そしてR15およびR16が、水素であるモノマーで開始して、ROMPによって合成されたポリマーは、ポリ((ビニルアルコール)−alt−メチレン(MVOH)の不飽和の保護されたアナログであり、これは、次いで、対称性非環式ジエンと反応して、コポリマーを生成し得、これは、次いで、水素化され、そして脱保護されて、レジオレギュラーMVOHモノマー残基を含むレジオレギュラーコポリマーを与え得る。
本発明はまた、新規な組成物として、本発明の方法論を使用して合成されるレジオレギュラーポリマーを提供する。このポリマーは、飽和または不飽和であり、第1の実施形態において、環式オレフィンモノマーに対応する式(XV)の交互モノマー構造、および2つの末端オレフィン基を有するジエンに対応する式(XVa)または(XVb)のいずれかのモノマー構造を有する繰り返し単位から構成される:
ここで、環式オレフィンの残基に対応するモノマー構造は、以下:
のような式(XV)であり、ここで:
m、k、X、R17、およびPは、式(VII)の環式オレフィンモノマーに関して規定されると通りであり;
αは、必要に応じて二重結合であり;そして
は、構造CR1920を有する単一原子連結であり、ここで、R19およびR20は、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および官能基から独立して選択され;そして
ここで、2つの末端オレフィン基を有するジエンに対応するモノマー構造は、以下:
のような式(XVa)または(XVb)であり;
ここで:
αは、必要に応じて二重結合であり;
29およびR30は、各々独立して、水素、またはメタセシスを妨害しない置換基であり、R34およびR35は、同じであり、各々、水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり;そして
Gは、6〜30個の炭素原子を含むヒドロカルビレンリンカー基であり、そしてこのリンカー基は、中心軸の周りで対称であり、ここで、このリンカー基の炭素原子は、置換され得るかまたは非置換であり得、そしてこのリンカー基は、O、SおよびNから選択される6個のまでのヘテロ原子によって中断され得、そしてこの鎖上の2つ以上の置換基は、連結されて、さらなる環式基を形成し得る。
このコポリマーは、テレケリックであり得、この場合、ポリマーは、さらなる反応を可能にする2つの官能基で終わっている。
別の実施形態において、このようなコポリマーは、式(XV)の不飽和環式オレフィン残基の代わりに、以下:
のような式(X)の水素化環式オレフィン残基に対応する水素化モノマー構造の交互単位を含み得、
ここで、X、X、R17、およびmは、式(XV)についてのように規定され、そしてさらにここで、このポリマーは、テレケリックであり得、式(XV)構造を含むコポリマーに関して上記されるように、2つの官能基で終わり得る。
別の実施形態において、このようなコポリマーは、式(XV)の不飽和環式オレフィン残基の代わりに、以下:
のような式(Xa)の水素化環式オレフィン残基に対応するモノマー構造の交互単位を含み得、
ここで、yは、2または4であり、同一のR27基対は、X基に関して対称に結合され、そしてX基に結合する2つの炭素原子上の置換基であり、X基に関して、X、X、R17に結合され、そしてmは、式(XV)について規定された通りであり、そしてさらにここで、このポリマーは、テレケリックであり得、そして式(XV)構造を含むコポリマーに関して上記されるように2つの官能基で終わり、
ここで:
yは、0、2または4であり;
同一のR27基対は、X基に関して対称に結合され、そしてX基に結合する2つの炭素原子上の置換基であり、そしてR27は、対称対セットの各存在において、2つの炭素鎖の各々の上で水素原子を置換し、そして対セットの各存在は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L)−Fnから選択され、ここで、vは、0または1であり、Lは、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレンおよび/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnは、官能基であり、ここで、2つのR27対は、集合的に、2つの対称カルボニル基を形成し得;
29は、式XVaまたはXVbのR32置換基と同一の置換基であり、そして水素またはメタセシス反応を妨害しない置換基であり;
30は、式XVaまたはXVbのR31置換基と同一の置換基であり、そして水素またはメタセシス反応を妨害しない置換基であり;そして
は、1原子、2原子、3原子、4原子、または5原子の連結である。
本発明は、レジオレギュラーコポリマー(特に、エチレン−(ビニルアルコール)(EVOH)モノマー単位を含むレジオレギュラーコポリマーおよび類似の飽和コポリマー)ならびにペンダントヘテロ原子含有官能基を有するレジオレギュラーコポリマーを調製するために使用されている従来の合成方法に対する実質的な改良を示す。すなわち、このようなポリマーを合成するための従来の方法は、コポリマーのポリマー骨格に沿ったモノマー単位の1つのランダムな分布を生じ、オレフィン基、ヒドロキシル基または他の官能基は、そのポリマー骨格に沿ってランダムに分布し、それによって、調製されるポリマーの有用性を制限する。上記種類のポリマーについての以前の経路はまた、分枝および/または比較的低分子量のコポリマー(約30,000未満)を生じた。例えば、Ramakrishnan(1990)、Ramakrishnan(1991)、Valentiら(1998)、Lagaronら(2001)、およびSchellekensら(2000)J.Mol.Sci.Rev.Macromol.Chem.Phys.C40:167−192を参照のこと。対照的に、本方法は、得られたコポリマー生成物の、分子量、分子量分布、多分散性指標(PDI)、および直線性が制御され得るように、広い分子量の範囲にわたって制御された様式でレジオレギュラーコポリマー合成が行われることを可能にする。さらに、完全にレジオレギュラーなコポリマーは、ROMP反応のためのモノマー基質として対称的な環式オレフィンを使用することによって、またはレジオレギュラーオレフィンポリマーを使用し、そして2つの末端オレフィン基を有するジエンとのメタセシス挿入共重合プロセスを行って、それによって、このジエンをレジオレギュラーポリオレフィン上のオレフィン基に置換することによって、調製され得る。
本発明はまた、2つの末端オレフィン基を有するジエンモノマーを用いる環式オレフィンの環拡大により大環状分子を合成するための方法を提供し、ここで、この環式オレフィンは、上記の通りであり、このジエンモノマーは、上記の通りであり、そして2つの開始材料は、上記重合に使用されるジエンの濃度よりも50〜150倍希釈されているジエンモノマーの濃度で反応される。
本発明は、環式オレフィンの環拡大により大環状分子を合成するための方法を提供し、以下の順序の3つのメタセシス工程を包含する:
(i)環式オレフィンの開環メタセシス(ROM)反応工程、
(ii)2つの末端オレフィン基を有するジエンとの、交差メタセシス(CM)工程反応、および
(iii)環閉鎖メタセシス(RCM)反応工程;
ここで、工程(i)〜(iii)は、3つのメタセシス反応の各々が行われる得るのに有効な反応条件下で、触媒有効量のオレフィンメタセシス触媒の存在下で実行される。
環拡大により大環状分子を作製するためのさらなる詳細および例は、図1の説明に従って、以下に示される。
(発明の詳細な説明)
(I.定義および命名法)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形態「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別のものを示さない限り、複数形を含む。従って、例えば、「化合物」との言及は、異なる化合物および単一化合物の組み合わせまたは混合物を含み、「置換基」との言及は、単一の置換基および2つ以上の置換基(同じであっても同じでなくてもよい)などを含む。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、以下の意味を有するように定義される多くの用語に対する参照がなされ得る。
本明細書中で使用される場合、句「式を有する」または「構造を有する」は、限定を意図しておらず、用語「を含む」が通常使用されるのと同じ様式で使用される。
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖、分枝または環状の飽和した炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、オクチル基、デシル基など、ならびにシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など))をいい、代表的には、必ずではないが、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を含む。一般的に、必ずではないが、本明細書中のアルキル基は、1〜約12個の炭素原子を含む。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を意図し、特定の用語「シクロアルキル」は、代表的に、4〜8個、好ましくは5〜7個の炭素原子を有する環状アルキル基を意図する。用語「置換アルキル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキルをいい、そして用語「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキルをいう。別に明記しない場合、用語「アルキル」および「低級アルキル」は、それぞれ、直鎖、分枝、環状の非置換、置換のアルキルおよび/またはヘテロ原子含有アルキルならびに低級アルキルをいう。
本明細書中で使用される用語「アルキレン」は、二官能性の直鎖、分枝、または環状のアルキル基をいい、ここで「アルキル」は、上に定義したとおりである。
本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含む、2〜約20個の炭素原子の直鎖、分枝、または環状の炭化水素基(例えば、エテニル基、n−プロペニル基、イソプロペニル基、n−ブテニル基、イソブテニル基、オクテニル基、デセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、エイコセニル基、テトラコセニル基など)をいう。本明細書中で好ましいアルケニル基は、2〜約12個の炭素原子を含む。用語「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子のアルケニル基を意図し、そして特定の用語「シクロアルケニル」は、好ましくは5〜8個の炭素原子を有する環状アルケニル基を意図する。用語「置換アルケニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルケニルをいい、用語「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」は、ヘテロ原子で置換される少なくとも1つの炭素原子であるアルケニルをいう。別に明記しない場合、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、それぞれ、直鎖、分枝、環状の非置換、置換のアルケニルおよび/またはヘテロ原子含有アルケニルならびに低級アルケニルを含む。
本明細書中で使用される用語「アルケニレン」は、二官能性の直鎖、分枝、または環状のアルケニル基をいい、ここで「アルケニル」は、上に定義したとおりである。
本明細書中で使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含む、2〜約20個の炭素原子の、直鎖または分枝の炭化水素基(例えば、エチニル基、n−プロピニル基など)をいう。本明細書中で好ましいアルキニル基は、2〜約12個の炭素原子を含む。用語「低級アルキニル」は、2〜6個の炭素原子のアルキニル基を意図する。用語「置換アルキニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキニルをいい、そして用語「ヘテロ原子含有アルキニル」および「ヘテロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキニルをいう。別に明記されない場合、用語「アルキニル」および「低級アルキニル」は、それぞれ、直鎖、分枝の非置換、置換のアルキルおよび/またはヘテロ原子含有アルキニルならびに低級アルキニルを含む。
本明細書中で使用される用語「アルコキシ」は、1つの末端のエーテル結合を介して結合されたアルキル基を意図し;すなわち、「アルコキシ」基は、−O−アルキルとして表され、ここで、アルキルは上で定義したとおりである。「低級アルコキシ」基は、1〜6個の炭素原子を含むアルコキシ基を意図し、これらとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブチルオキシ基などが挙げられる。同様に、「アルケニルオキシ」および「低級アルケニルオキシ」は、ぞれぞれ、1つの末端のエーテル結合を介して結合されたアルケニル基および低級アルケニル基をいい、そして「アルキニルアキシ」および「低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、1つの末端のエーテル結合を介して結合されたアルキニル基および低級アルキニル基をいう。
本明細書中で使用される場合、そして特に明記しないかぎり、用語「アリール」は、1つの芳香環または、一緒に縮合されるか、直接的に結合されるか、または(様々な芳香環がメチレン部分またはエチレン部分ような共通の基に結合されるように)間接的に結合される複数の芳香環を含む芳香族置換基をいう。好ましいアリール基は、5〜20個の炭素原子、および1つの芳香環または2〜4個の縮合された芳香環または結合された芳香環(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基など)のいずれかを含み。より好ましいアリール基は、1〜3個の芳香環を含み、そして特に好ましいアリール基は1または2個の芳香環および5〜14個の炭素原子を含む。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分をいい、そして用語「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されているアリールをいう。他に明記されない限り、用語「芳香族」、「アリール」および「アリーレン」は、ヘテロ芳香族種、置換された芳香族種、および置換ヘテロ芳香族種を含む。
本明細書中で使用される用語「アリールオキシ」は、1つの末端のエーテル結合を介して結合されたアリール基をいい、ここで、「アリール」は、上で定義したとおりである。「アリールオキシ」基は、−O−アリールとして表され得、ここで、アリールは、上で定義したとおりである。好ましいアリールオキシ基は、5〜20個の炭素原子を含み、そして特に好ましいアリールオキシ基は、5〜14個の炭素原子を含む。アリールオキシ基の例としては、限定されないが、フェノキシ基、o−ハロ−フェノキシ基、m−ハロ−フェノキシ基、p−ハロ−フェノキシ基、o−メトキシ−フェノキシ基、m−メトキシ−フェノキシ基、p−メトキシ−フェノキシ基、2,4−ジメトキシ−フェノキシ基、3,4,5−トリメトキシ−フェノキシ基などが挙げられる。
用語「アルカリール」は、アルキル置換基を有するアリール基をいい、そして用語「アラルキル」は、アリール置換基を有するアルキル基をいい、ここで、「アリール」および「アルキル」は、上で定義したとおりである。好ましいアラルキル基は、6〜24個の炭素原子を含み、そして特に好ましいアラルキル基は、6〜16個の炭素原子を含む。アラルキル基の例としては、限定しないが、ベンジル基、2−フェニル−エチル基、3−フェニル−プロピル基、4−フェニル−ブチル基、5−フェニル−ペンチル基、4−フェニルシクロヘキシル基、4−ベンジルシクロヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシルメチル基、4−ベンジルシクロヘキシルメチル基などが挙げられる。アルカリール基としては、例えば、p−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、2,7−ジメチルナフチル基、7−シクロオクチルナフチル基、3−エチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル基などが挙げられる。
用語「ハロ」、「ハロゲン化物」および「ハロゲン」は、クロロ置換基、ブロモ置換基、フルオロ置換基、またはヨード置換基をいう従来の意味で使用される。用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルキニル」(または「ハロゲン化アルキル」、「ハロゲン化アルケニル」および「ハロゲン化アルキニル」)は、それぞれ、これらの基の中の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されている、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をいう。
「ヒドロカルビル」とは、1〜約30炭素原子、好ましくは、1〜約20炭素原子、より好ましくは1〜約12炭素原子を含む、一価のヒドロカルビルラジカルをいい、これは、直鎖、分枝、環状の飽和および不飽和の種(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基など)を含む。用語「低級ヒドロカルビル」は、1〜6個の炭素原子のヒドロカルビル基を意図し、そして、用語「ヒドロカルビレン」は、1〜約30個の炭素原子、好ましくは1〜約20炭素原子、最も好ましくは1〜約12炭素原子を含む二価のヒドロカルビル部分(直鎖、分枝、環状の飽和および不飽和の種を含む)を意図する。用語「低級ヒドロカルビレン」は、1〜6の炭素原子のヒドロカルビレン基を意図する。別段示されない限り、用語「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビレン」は、それぞれ、置換され、かつ/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル部分およびヒドロカルビレン部分を含むと解釈されるべきである。
「ヘテロ原子含有アルキル基」(「ヘテロアルキル」基とも称される)または「ヘテロ原子含有アリール基」(「ヘテロアリール」基とも称される)におけるような用語「ヘテロ原子含有」は、1つ以上の炭素原子が炭素以外の原子(たとえば、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素であり、代表的には、窒素、酸素または硫黄である)で置換される、分子、結合、または置換基をいう。同様に、用語「ヘテロアルキル」は、ヘテロ原子を含むアルキル置換基をいう。用語「ヘテロ環式」は、ヘテロ原子を含有する環式置換基をいう。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロ芳香族」は、それぞれ、ヘテロ原子を含む「アリール」置換基および「芳香族」置換基などをいう。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシアリール、アルキルスルファニル(sulfanyl)置換アルキル、N−アルキル化アミノアルキルなどが挙げられる。ヘテロアリール置換基の例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられ、そしてヘテロ原子含有脂環式基の例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノなどである。「ヘテロ環式」基または「ヘテロ環式」化合物は、芳香族であってもなくともよいことに留意すべきであり、そして、さらに、「ヘテロ環式」は、用語「アリール」に関して上述したような、単環式、二環式、または多環式であり得ることを留意するべきである。
上述の定義のいくつかで言及したように、「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アリール」などの「置換」とは、ヒドロカルビル、アルキル、アリールまたは他の部分の中において、炭素原子(または他の原子)に結合する少なくとも1つの水素原子が、非水素置換基によって置換されることを意味する。このような置換基の例としては、限定されるべきではないが、以下のような官能基が挙げられる:ハロゲン化物、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、C〜C20アリールオキシ、C〜C20アシル(C〜C20アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC〜C20アリールカルボニル(−CO−アリール)を含む)、アシルオキシ(−O−アシル)、C〜C20アルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−Xであり、ここで、Xはハロである)、C〜C20アルキル−カルボナート(−O−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールカルボナート(−O−(CO)−O−アリール),カルボキシ(−COOH)、カルボキシラート(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、モノ−(C〜C20アルキル)−置換カルバモイル(−(CO)−NH(C〜C20アルキル))、ジ(C〜C20アルキル)−置換カルバモイル(−(CO)−N(C〜C20アルキル))、モノ置換アリールカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ(−C=N)、シアナート(−O−C≡N)、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノ−(C〜C20アルキル)−置換アミノおよびジ−(C〜C20アルキル)−置換アミノ、モノ−(C〜C20アリール)−置換アミノおよびジ−(C〜C20アリール)−置換アミノ、C〜C20アルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C〜C20アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NHであり、ここで、R=水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C24アルカリール、C〜C24アラルキルなど)、アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)、ここで、R=水素、アルキル、アリール、アルカリールなどである)、アリールイミノ(−CR=N(アリール)であり、ここで、R=水素、アルキル、アリール、アルカリールなど)、ニトロ(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SO−OH)、スルホナト(−SO−O)、C〜C20アルキルスルファニル(−S−アルキル;これはまた、「アルキルチオ」と称される)、アリールスルファニル(−S−アリール;これはまた、「アリールチオ」と称される)、C〜C20アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C〜C20アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C〜C20アルキルスルホニル(−SO−アルキル)、C〜C20アリールスルホニル(−SO−アリール)、チオカルボニル(=S)、ボリル(boryl)(−BH)、ボロノ(borono)(−B(OH))、ボロナート(boronato)(−B(OR)であり、ここで、Rはアルキルであるか、または他のヒドロカルビルである)、ホスフォ(−PO)、ホスフィノ(phosphino)(−PH)、シリル(−SiRであり、ここで、Rは、水素またはヒドロカルビルである)、シリルオキシ(−O−シリル)、シラニル(−NR−シリルであり、ここで、Rは水素であるかまたはヒドロカルビルである)、スタンニル(stannyl)またはゲルミル(germyl);ならびにヒドロカルビル部分C〜C20アルキル(好ましくは、C〜C18アルキルであり、より好ましくは、C〜C12アルキルであり、最も好ましくはC〜Cアルキルである)、C〜C20アルケニル(好ましくは、C〜C18アルケニルであり、より好ましくは、C〜C12アルケニルであり、最も好ましくは、C〜Cアルケニルである)、C〜C20アルキニル(好ましくは、C〜C18アルキニルであり、より好ましくは、C〜C12アルキニルであり、最も好ましくは、C〜Cアルキニルである)、C〜C20アリール(好ましくは、C〜C14アリール)、C〜C24アルカリール(好ましくは、C〜C18アルカリール)、およびC〜C24アラルキル(好ましくは、C〜C18アラルキルである)。
さらに、上述の官能基は、特定の基が許容する場合、1つ以上のさらなる官能基でさらに置換され得るか、または1以上のヒドロカルビル部分(例えば、上で具体的に列挙されたヒドロカルビル部分)でさらに置換され得る。同様に、上記のヒドロカルビル部分は、1つ以上の官能基またはさらなるヒドロカルビル部分(例えば、上で具体的に列挙されたようなもの)によってさらに置換され得る。
用語「置換された」が、可能性のある置換基の列挙の前に現れる場合、この用語がこの基の全てのメンバーに適用されることが、意図される。すなわち、語句「置換されたアルキル、アルケニルおよびアルキニル」は、「置換されたアルキル、置換されたアルケニルおよび置換されたアルキルニル」として意図される。同様に、用語「随意的に置換されるアルキル、アルケニルおよびアルキルニル」は、「随意的に置換されるアルキル、随意的に置換されるアルケニルおよび随意的に置換されるアルキルニル」として意図され、そして「架橋した二環式または多環式オレフィンモノマー」は、「架橋した二環式オレフィンモノマー」または「架橋した多環式オレフィンモノマー」として意図される。
用語「レジオ規則的ポリマー(regioregular polymer)」は、モノマー単位間の「連結性」の規則的配置を有するポリマーを言うために使用される。
用語「レジオ規則的コポリマー」は、多量体バックボーンに沿った単量体単位の連結性(例えば、単量体単位Aおよび単量体単位B)を言うために使用され、ここでコポリマーは、その多量体バックボーンに沿って、規則的交互配置様式(・・・ABABAB・・・)で連結する2つの単量体単位で構成される。レジオ規則的コポリマーの1つの好ましい型において、2つの単量体単位のそれぞれはまた、モノマー単位間「連結性」モノマー単位の中央軸に沿って対称性である。
用語「テレケリックな(telechelic)」は、少なくとも1つの反応性末端基によってキャップされる大型分子(例えば、ポリマーまたはコポリマー)を称する従来の意味で使用される。本明細書中の好ましいテレケリックな化合物は、それぞれさらなる反応を受け得る2つの末端官能基を有する、レジオ規則的コポリマーである。
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、後に記載される状況が起こり得るかまたは起こらなくてもよいことを意味し、従って、この記述は、その状況が起こる場合と起こらない場合とを包含する。例えば、語句「必要に応じて置換される」は、非水素置換基が、所定の原子上に存在し得るか、またはしなくともよいことを意味し、従ってこの記述は、非水素置換基が存在する構造および非水素置換基が存在しない構造を含む。
本明細書中の分子構造において、IUPAC協定に従い、太い線および破線の使用は、特定の基のコンフォメーションを示す。破線で示される結合は、問題の官能基が描かれる分子の一般的平面の下にある(「α」コンフォメーション)ことを示し、そして太い線で示される結合は、問題の位置にある基が描かれる分子の一般的平面の上にある(「β」コンフォメーション)ことを示す。
(II.触媒)
本発明のメタスタシス反応は、8族遷移金属錯体を触媒として使用して、触媒的に実行される。これらの遷移金属カルベン錯体は、+2酸化状態において16の電子数を有し、5配位である金属中心を有する。この錯体は、式(I)の構造で表される。
ここで、各種の置換基は以下である:
+2酸化状態で遷移金属中心として寄与するMは、8族遷移金属であり、特にルテニウムまたはオスミウムである。特に好ましい実施形態において、Mはルテニウムである。
およびXは、アイオン性リガンドであり、そして同一であるかまたは異なるものであり、または互いに連結して環式基(cyclic group)を形成する。この環式基は、代表的には5員環〜8員環であるが、そうである必要はない。好ましい実施形態において、XおよびXは、各々独立して、水素、ハロゲン化物、または以下の群の1つである:C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、C−C20アシル、C−C20アシルオキシ、C−C20アルキルスルホン酸塩、C−C20アリールスルホン酸塩、C−C20アルキルスルファニル、C−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルフィニル、またはC−C20アリールスルフィニル。必要に応じて、XおよびXは、以下から選択される1つ以上の機能基と置換され得る:C−C12アルキル、C−C12アルコキシ、C−C20アリール、およびハロゲン化物。ハロゲン化物を除いて、これらは次に、以下から選択される1つ以上の基と、さらに置換され得る:ハロゲン化物、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、およびフェニル。より好ましい実施形態において、XおよびXは、ハロゲン化物、ベンゾエート、C−Cアシル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキル、フェノキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルファニル、アリール、またはC−Cアルキルスルホニルである。なおより好ましい実施形態において、XおよびXは、それぞれハロゲン化物、CFCO、CHCO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、またはトリフルオロメタン−スルホネートである。もっとも好ましい実施形態において、XおよびXは、それぞれ塩素である。
およびRは、以下から独立して選択される:水素、ヒドロカルビル(例えば、C−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキルなど)、置換されたヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキルなど)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、ヘテロ原子含有のC−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキルなど)および置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換されたヘテロ原子含有のC−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキルなど)、ならびに官能基。RおよびRはまた、互いに連結して環式基を形成し、この環式基は脂肪族または芳香族であり得、そして置換基および/またはヘテロ原子を含み得る。一般的に、このような環式基は、4員環〜12員環の原子、好ましくは5員環〜8員環の原子を含む。RおよびRはまた、式(IIIA)の構造を有する触媒に関して以下で議論するように、ビニリジン基またはそのアナログを形成し得る。
好ましい触媒において、R置換基は水素であり、R置換基は、C−C20アルキル、C−C20アルケニル、およびC−C20アリールから選択される。より好ましくは、Rは、フェニル、ビニル、メチル、イソプロピル、またはt−ブチルであり、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フェニル、および本章の(I)部において規定した官能基Fnから選択される、1つ以上の基と、必要に応じて置換される。さらにより好ましくは、Rは、メチル、エチル、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、ニトロ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、およびフェニルから選択される1つ以上の基と置換された、フェニルまたはビニルである。もっとも好ましい実施形態において、R置換基は、フェニルまたは−C=C(CHである。
およびLは、天然の電子ドナーリガンドである。Lは、Rと連結してもしなくてもよく、そしてLは、Rと連結してもしなくてもよい。L基の例としては、以下が限定されることなく挙げられる:ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスフォナイト、アルシン、スチビン、エーテル(環式エーテルを含む)、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、置換ピリジン(例えば、ハロゲン化ピリジン)、イミダゾール、置換イミダゾール(例えば、ハロゲン化イミダゾール)、ピラジン(例えば、置換ピラジン)およびチオエーテル。より好ましい実施形態において、Lは、式PRのホスフィンであり、このR、R、およびRは、それぞれ独立にアリールまたはC−C10アルキル、(特に一次アルキル、二次アルキル、またはシクロアルキル)である。もっとも好ましい実施形態は、Lは、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロリルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、およびフェニルジメチルホスフィンであり、特にトリシクロヘキシルホスフィンおよびトリシクロペンチルホスフィンが、好ましい。
任意の2つ以上(代表的には2、3または4)のX、X、L、L、RおよびRは、例えば、米国特許第5,312,940号(Grubbsら)に記載のように、連結して環式基を形成し得る。任意のX、X、L、L、RおよびRが、連結して環式基を形成する場合、これらの環式基は、5員環もしくは6員環であり得るか、または2つまたは3つの5員環もしくは6員環を含み得、これらは融合し得るかまたは連結し得る。環式基は、本章の(I)部で説明したように、脂肪族または芳香族であり得、そしてヘテロ原子を含みおよび/または置換され得る。
環式基は、幾つかの場合において、二座のリガンドまたは三座のリガンドを形成し得る。二座のリガンドの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビスホスフィン、ジアルコキシド、アルキルジケトネート、およびアリールジケトネート。特別な例としては、−P(Ph)CHCHP(Ph)−、−As(Ph)CHCHAs(Ph)−、−P(Ph)CHCHC(CFO−、ビナフトレートジアニオン、ピナコレートジアニオン、−P(CH(CHP(CH−、および−OC(CH(CHCO−。好ましい二座のリガンドは、−P(Ph)CHCHP(Ph)−および−P(CH(CHP(CH−である。三座のリガンドとしては、(CHNCHCHP(Ph)CHCHN(CHが挙げられるが、これらに限定はされない。他の好ましい三座のリガンドは、X、X、L、L、RおよびR(例えば、X、L、およびL)の任意の3つであり、互いに連結して、シクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニルとなり、それぞれは必要に応じて、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルフォニル、またはC−C20アルキルスルフィニル、と置換され、これらはそれぞれ、さらに以下と置換され得る:C−Cアルキル、ハロゲン化物、C−Cアルコキシまたは必要に応じてハロゲン化物、C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシと置換されるフェニル基。より好ましくは、この型の化合物において、X、L、およびLは、互いに連結して、シクロペンチルジエニルまたはインデニルとなり、それぞれは必要に応じてビニル、C−C10アルキル、C−C20アリール、C−C10カルボキシレート、C−C10アルコキシカルボニル、C−C10アルコキシ、またはC−C20アリールオキシ、これらはそれぞれ、必要に応じて以下と置換される:C−Cアルキル、ハロゲン化物、C−Cアルコキシまたは必要に応じてハロゲン化物、C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシと置換されるフェニル基。最も好ましくは、X、L、およびLは、互いに連結して、シクロペンチルジエニルとなり得、それぞれは必要に応じてビニル、水素、メチル、またはフェニルと置換され得る。四座のリガンドとしては、OC(CHP(Ph)(CHP(Ph)(CHCO、フタロシアニン、およびポルフィリンが、挙げられるが、これらに限定されない。
、およびRが連結している化合物は、例えば、以下が挙げられる:
触媒の第1の群において、Lは、Lのために規定され、そして、この実施形態において、LリガンドおよびLリガンドは、一般に同一であるが、そうである必要はない。これらの触媒において、LおよびLは、代表的に式PRのホスフィンであり、このR、R、およびRは、本明細書中で以前に規定される。上記のように、この第1触媒群において最も好ましいLリガンドおよびLリガンドは、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、およびフェニルジメチルホスフィンであり、特に、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィンが、好ましい。これらの触媒は、従って、(PCy(Cl)Ru=CHPh(1)のようなルテニウムビスホスフィン錯体によって例示される。
第2の触媒の群において、この錯体は、ルテニウムカルベン錯体であり、ここでLは、式(II)の構造を有する。
ここで、この錯体は式(IIA)の構造を有する。
ここで、置換基は以下のとおりである:
XおよびYは、ヘテロ原子であり、代表的にはN、O、SおよびPから選択される。OおよびSは二価であるため、XがOまたはSである場合、pは必然的に0であり、そしてYがOまたはSである場合、qは必然的に0である。しかし、XがNまたはPである場合、pは従って1であり、そしてがNまたはPである場合、qは従って1である。好ましい実施形態において、XおよびYは両方ともNである。
、Q、QおよびQは、例えば、ヒドロカルビレン(置換されたヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、および置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビレンを含む(例えば、置換されかつ/もしくはヘテロ原子含有アルキレン))または−(CO)−などのリンカーであり、そしてw、x、yおよびzは、独立に0または1である。これは、それぞれのリンカーは、任意であることを意味する。好ましくは、w、x、yおよびzは、全て0である。さらに、Q内の調節原子上の2つ以上の置換基は、連結してさらなる環式基を形成し得る。
、R3A、RおよびR4Aは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビルから、独立に選択される。
さらに、2つ以上のX、X、L、R、R、R、R3A、RおよびR4Aは、連結して環式基を形成し得、そして1つ以上の任意のX、X、L、R、R、R、R3A、RおよびR4Aは、式(I)の錯体について説明されたように、支持体に結合し得る。
好ましくは、R3AおよびR4Aは、連結して、この実施形態の錯体が式(V)の構造を有するような、環式基を形成する。
ここで、RおよびRは、好ましくは少なくともRおよびRのうち1つが、より好ましくはRおよびRの両方が、1〜5員環の脂環族または芳香族であり、そして必要に応じて1つ以上のヘテロ原子および/または置換基を含有するように、上記で規定される。Qは、リンカーであり、代表的には、ヒドロカルビレンリンカー(置換されたヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、および置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビレンのリンカーを含む)である。ここで、Q内の隣接する原子上の2つ以上の置換基は、連結してさらなる環状構造を形成し得、これは、同様に置換され、2〜5員環の融合ポリ環状構造を提供し得る。Qは、しばしば、例えば、−CH−CH−、−CH(Ph)−CH(Ph)−(ここでPhはフェニルである);=CR−N=(R=Hである場合に非置換トリアゾリル基を、R=H以外である場合に置換トリアゾリル基を生じる);および−CH−SiR−CH−(RがHである場合、アルキル、アルコキシなど)の2原子連結または3原子連結であるが、やはりそうである必要はない。
より好ましい実施形態において、Qは、−CR−CR1011−または−CR=CR10−、好ましくは−CR−CR1011−の構造を有する2原子連結であり、ここで、この錯体は、式(Va)の構造を有する。
ここで、R、R、R10、およびR11は、本章の(I)部で規定したように、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および官能基から独立に選択される。ここで官能基の例としては、カルボキシル、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アシルオキシ、C−C20アルキルチオ、C−C20アリールチオ、C−C20アルキルスルフォニル、およびC−C20アルキルスルフィニルが挙げられ、以下から選択される基と必要に応じて置換される:C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、C−C20アリール、ヒドロキシル、スルフィドリル、ホルミル、およびハロゲン化物。あるいは、R、R、R10、およびR11の任意の2つは、互いに連結して置換または非置換の、飽和または不飽和の、環構造(例えば、C−C12脂環族またはCもしくはCアリール基)を形成し得、これはそれ自体、例えば連結もしくは融合した脂環族または芳香族、あるいは他の置換基と置換し得る。
およびRが芳香族である場合、これらは代表的に、置換であってもなくてもよい1つまたは2つの芳香環で構成される(例えば、RおよびRはフェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニルなどであり得る)が、そうである必要はない。1つの好ましい実施形態において、RおよびRは、同一であり、構造(VI)を有する。
ここで、R12、R13、およびR14は、水素、C−C20アルキル、置換C−C20アルキル、C−C20ヘテロアルキル、置換C−C20ヘテロアルキル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、C−C20ヘテロアリール、C−C30アラルキル、C−C30アルカリル、またはハロゲン化物。好ましくは、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、C−C14アリール、置換C−C14アリール、またはハロゲン化物である。より好ましくは、RおよびRは、メシチル、ジイソピノカンフェニル、または2,4,2’,6’−テトラメチルビフェニルであり、そして最も好ましくは、メチシルである。
このような触媒の例としては、以下を含むが、これらに限定されない:
上記の分子構造において、「Mes」は、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)を、「iPr」はイソプロピルを、「Ph」はフェニルを、そして「Cy」はシクロヘキシルを表す。
さらなる遷移金属カルベン錯体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
金属中心を有する中性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体であって、この金属中心が、形式的には+2酸化状態であり、16の電子数を有し、5配位であり、そして一般式(IIIA)の金属中心である、中性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体;
金属中心を有するカチオン性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体であって、この金属中心が、形式的には+2酸化状態であり、14の電子数を有し、4配位であり、そして一般式(IIIB)の金属中心である、カチオン性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体;および
金属中心を有する中性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体であって、この金属中心が、形式的には+2酸化状態であり、18の電子数を有し、6配位であり、そして一般式(IIIC)の金属中心である、中性のルテニウム金属カルベンまたはオスミウム金属カルベン錯体。
ここで、X、X、L、L、RおよびRは、上で規定した通りであり、rお
よびsは、独立に0または1であり、tは、0〜5までの整数であり、Yは、任意の非配意アニオン(例えば、ハロゲンイオン)であり、ZおよびZは、−O−、−S−、−NR−、−PR−、−P(=O)R−、−P(OR)−、−P(=O)(OR)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−S(=O)−、または−S(=O)−から独立に選択され、そしてX、X、L、L、Z、Z、RおよびRの任意の2つ以上は、互いに連結して環式基(例えば、多座配位子)を形成し得、ここで、X、X、L、L、Z、Z、RおよびRの任意の1つ以上は、支持体に結合され得る。触媒の分野で理解されるように、適切な固体支持体は、合成物質、半合成物質または天然に存在する物質であり、有機物質または無機物質(例えば、多量体物質、セラミックス物質、または金属物質)であり得る。支持体への結合は、一般に共有結合であるが、そうである必要はない。この共有結合は、直接または間接であり得、間接である場合、代表的には、支持体表面上の官能基を通す。
本明細書中で触媒として使用される遷移金属錯体は、以下に記載されるような幾つかの異なった方法により調製され得る:Schwabら(1996)J.Am.Chem.Soc.118:100〜110、Schollら(1999)Org.Lett.6:953〜956、Sanfordら(2001)J.Am.Chem.Soc.123:749〜750、米国特許第5,312,940号および米国特許第5,342,909号。Grubbs、Morgan、Benitez、およびLouieにより2002年4月2日に出願された、PCT公開番号WO 02/079208(「One‐Pot Synthesis of Group 8 Transition Metal Carbene Complexs Useful as Olefin Metathesis Catalysts」、本明細書で、共通でCalifornia Institute of Technologyに譲渡される)もまた、参照せよ。
本明細書中で触媒として使用される遷移金属錯体(特にルテニウムカルベン錯体)は、改変における柔軟性、ならびによく調節された活性レベル、安定性、可溶性およびこれらの触媒の回収の容易性を与える、よく規定されたリガンド環境を有する。例えば、米国特許第5,849,851号(Grubbsら)を参照のこと。さらに、カルベン錯体の可溶性は、当該分野で周知の疎水性リガンドまたは親水性リガンドのどちらかの適切な選択によって、調節され得る。触媒の所望の可溶性は、大部分、反応基質および反応生成物の可溶性によって決定される。可溶性が反応気質および反応生成物の可溶性から明らかな触媒を設計し、それによって反応混合物からの触媒の回収を容易にすることは、当該分野で周知である。
(III.ROIMPを介したコポリマーの合成)
1つの実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する、オレフィンメタスタシス挿入反応を介してコポリマーを合成する方法を提供する:触媒的な有効量のオレフィンメタスタシス触媒の存在下で、ジエンモノマーのポレオレフィンバックボーンへのメタスタシス挿入を与えるために有効な反応条件下で、2つの末端オレフィン基を有するポリオレフィンをジエンモノマーと接触させる工程。ここで、反応溶媒中のジエンの濃度は、0.2〜2モル濃度である。好ましい実施形態において、本発明は、レジオ調節ポリオレフィンを利用し、挿入過程は、レジオ規則的交互コポリマーを提供する。
上述の方法が2工程過程の第2工程である過程において、この過程の第1工程は、開環メタセシス重合反応を用いてオレフィンポリマーを合成するための方法であって、ROMP反応を起こさせるのに効果的な反応条件下で、オレフィンモノマーを触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒に接触させることを包含する方法であって、ここで、該オレフィンモノマーは、複数のヘテロ原子を含み、そのうちの少なくとも2つは直接または間接的に互いに連結されている、方法を利用してもよい。「直接」連結は、2つのヘテロ原子が、直接の、共有結合を通して互いに連結することを意味する。「間接」連結は、1つ以上のスペーサー原子が、ヘテロ原子間に存在することを意味する;一般に、「間接」連結は、本明細書中で、直接共有結合を通して連結するヘテロ原子それぞれに対する、単一の原子(置換されてもされなくてもよい)の存在を言う。好ましくは、2環式オレフィンモノマーまたは多環式オレフィンモノマーは、1つの二重結合を含み、そして2つのヘテロ原子が、二重結合に対しプレペンディキュラーな(prependicular)任意の軸に関して、対称に配置される。
例として、環式オレフィンモノマーは、式(IV)の構造を有する。
ここで、種々の置換基は、以下のようである:
は、1原子連結〜5原子連結である。好ましい実施形態において、モノマーが二環式である(例えば、R27およびR27Bが連結している)場合、従って、Xは、1原子連結またな2原子連結であり、すなわち、1つまたは2つの必要に応じて置換されたスペーサー原子を、Xが結合する2つの炭素原子の間に導入する連結である。一般に、Xは、式−CR1920−(X−(ここでhは0または1)であり、Xは、CR2122、O、S、またはNR23であり、そしてR19、R20、R21、R22およびR23は、以下から独立に選択される:水素、ヒドロカルビル(例えば、C−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキル、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アリール、C−C24アルカリル、C−C24アラルキル、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)および本章の(I)部で列挙したような、保護官能基または保護されていない官能基(保護基がt−ブチルシリル(TBS)、アシル、またはテトラヒドロピラニルである場合
、例としては、保護ヒドロキシル基が挙げられる)。
hが1である場合、XがCR2122である好ましい連結は、置換または非置換のエチレン基を生じる。すなわち、R19、R20、R21およびR22が水素である場合、従って、Xは、エチレンである。hが0である場合、この連結は、置換または非置換のメチレンであり、そしてこの基のうちの特に好ましい連結は、それ自体メチレンである(すなわち、R19およびR20は、共に水素である)。
15およびR16の1つは、水素であり、そして他方は、以下から選択される:水素、ヒドロカルビル(例えば、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)および−(L)−Fn(vが0または1である場合、Lは、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnは、保護官能基または保護されていない官能基)。好ましい官能基としては、限定されることなく、以下が挙げられる:ヒドロキシル、スルフヒドリル、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アシルオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、モノ(C−C20アルキル)置換カルバモイル、ジ(C−C20アルキル)置換カルバモイル、モノ(C−C20アリール)置換カルバモイル、シアノ、シアナート、ホルミル、アミノ、モノおよびジで置換されたアミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、C−C20アルキルスルファニル、C−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルフォニル、C−C20アリールスルフォニル、C−C20アルキルスルフィニル、C−C20アリールスルフィニル、ボリル、ボロノ、ボロナート、ホスフォ、ホスフィノ、シリル、およびシリルオキシ。最も好ましくは、R15およびR16は、水素である。
27、R27A、R27B、R22およびR27Cは、独立に、以下から選択される:水素、ヒドロカルビル、(例えば、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換されたC−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)および−(L)−Fn(v、LおよびFnは、上記で規定した通りである)。さらに、R27、R27A、R27B、およびR27Cの任意の2つ以上は、連結して環式基を形成し得る。これは、例えば、5員環または6員環である得るか、または2つもしくは3つの5員環または6員環であり得、これらはそれぞれ、融合または連結であり得る。環式基は、脂肪族または芳香族であり得、そしてヘテロ原子含有および/または置換であり得る。
そのような環式オレフィンの一群は、R27AおよびR27Cが水素である式(IV)の群である。R27は−(L)−Fnであり、ここでvが0そして−Fnが−X3A−(R18である。そして、R27Bは−(L)−Fnであり、ここでvが0そして−Fnが−X−(R17であり、さらにここでXおよびX3Aが直接的にまたは間接的に結合している。次いで、この実施形態では環式オレフィンモノマーは式(VII)の構造を有する。
(VIIA)
ここで:
、R15およびR16は式(IV)のオレフィンモノマーに対して上のように規定される;
およびX3Aは独立してN、OまたはSである;
kは0または1である;
mおよびnは独立に0または1である;
はヘテロ原子保護基である;
17およびR18は水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよびアミノ保護基から独立に選択される。ここで、R17およびR18は以下の条件を持った環式基を一緒になって環式基を形成し:
がOまたはSの場合、mは0である;
3AがOまたはSの場合、nは0である;
がNの場合、mは1である;そして
3AがNの場合、nは1である。
式(VII)の構造を有する好ましいオレフィンモノマーは種々の置換基が以下のようなものである:
は保護基で、特にヘテロ原子保護基である。Pは重合に使用される試薬および反応条件および、後の任意の反応に用いる試薬および条件(例えば、後に記載するように水素化)に関して不活性でなければいけない。しかし、ROMPの完成後、および後のポリマー改変反応の後、除去できなければいけない。式(VII)の構造、および上の定義から推定し得ると、Pは−XH(またはX3AH)構造を持つ官能基の保護基であり、ここで、X(またはX3A)はOまたはSである。従って、XおよびX3AがOまたはSの場合、Pは1,3−ジオールおよび1,3−ジチオールをそれぞれ保護するために用いられる保護基「結合」である。このような二官能性の保護基の多くは当業者に知られ、例えば、Greeneら、「Protective Groups in Organic Synthesis、第3版(New York:Wiley、1999)に記載されている。本方法の方法において、1、3−ジオールの好ましい保護基(すなわち、XおよびX3AがOH基である式(VII)の環式オレフィン)は、Si(R24であり、ここでR24は第3アルキルであり、好ましくは3級の低分子アルキルであり(例えば、t−ブチル)、通常用いられる脱保護試薬がフッ化テトラブチルアンモニウムである。他の好ましい1、3ジオールの保護基は環式アセタールおよびケタール(例えば、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、t−ブチルメチリデンケタール、1−t−ブチルエチリデンケタール、1−フェニルエチリデンケタール、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、ベンジリデンアセタールおよびアセトニド(イソプロピリデンケタール)である。そして、アセトニドが特に好ましい。このような基は代表的には酸加水分解、好ましくは、必ずしも必要ではないが、高い温度での加水分解により、除去される。アセトニド保護1、3−ジオールを有する脱保護は酸加水分解だけでなく、他の方法を用いて(例えば、三塩化ホウ素または臭素を用いて)、達成し得る。好ましい1、3ジチオールの保護基(すなわち、XがSHである式(VII)の環式オレフィン)はメチレン、ベンジリデン(ナトリウム/アンモニアを用いて両方除去可能)およびイソプロピリデン(塩化水銀(II)を用いて除去可能)である。
17およびR18は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、およびアミノ保護基から独立して選択される。R17およびR18はまた、それらが付着した窒素原子に結合した保護基を形成するために、結合され得る。このような保護基の除去および保護されていないアミノ部分の再生はBogevigら、(2002)Angew.Chem.Int.Ed.41巻1790〜1793の方法を用いて行われ得る。
およびX3Aが異なる式(VII)の代表的なオレフィンモノマーは、ここでkおよびmが0で、nが1で、XがOで、X3AがNで、R18がアミノ保護基(例えば−(CO)−O−t−Buのようなカルボン酸エステル)であるようなモノマーである。Xがメチレンである時、ならびにR15およびR16が水素である時、モノマーは2−オキサ−3−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−カルボン酸t−ブチルエステルであり、構造(VIIB)を有する。
(VIIB)
モノマーはヘテロDiels Alder反応を用いて容易に合成し得る。Mulvihillら(1998)J.Org.Chem.63巻3357を参照のこと。以下の重合では脱保護はVogtら(1998)Tetrahedron 54巻:1317〜1348の方法を用いて達成され得る。
およびX3Aが同一である式(VII)の代表的なオレフィンモノマーは、XおよびX3AがOであり、kがlであり、mおよびnが0であり、Pが1、3ジオールの保護基であるモノマーである。Xがメチレンで、R15およびR16が水素の場合、例示的なモノマーは3、3−ジ−tert−ブチル−2、4−ジオキサ−3−シラ−ビシクロ[3.2.1]オクト−6−エン(本明細書以後のオレフィン化合物(3))である。
他の有用な環式オレフィンモノマーの例は、式(IV)のR27AおよびR27Cが水素であり、その場合、環式オレフィンは式(VIIa)の構造を持つ。
(VIIC)
ここで、X、R27およびR27Bは前に規定され、R25およびR26はR15およびR16と規定される。
例示的なモノ環式オレフィンは式(VIIA)に含まれる(すなわち、R27およびR27Bが結合していないオレフィン)。式VIIAとしては、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、シクロヘプテン、3−メチルシクロヘプテン、4−メチルシクロヘプテン、5−メチルシクロヘプテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘプテン、シクロオクテン、3−メチルシクロオクテン、4−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、3−メチルシクロノネン、4−メチルシクロノネン、5−メチルシクロノネン、6−メチルシクロノネン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、シクロデセン、3−メチルシクロデセン、4−メチルシクロデセン、5−メチルシクロデセン、6−メチルシクロデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロノネン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロデセン、シクロウンデセン、3−メチルシクロウンデセン、4−メチルシクロウンデセン、5−メチルシクロウンデセン、6−メチルシクロウンデセン、7−メチルシクロウンデセン、3−t−ブチル−ジメチルシリルオキシシクロウンデセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロウンデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロウンデセン、シクロドデセン、3−メチルシクロドデセン、4−メチルシクロドデセン、5−メチルシクロドデセン、6−メチル−シクロドデセン、7−メチルシクロドデセン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、4−t−ブチルジメチル−シリルオキシシクロドデセン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセン、6−t−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロドデセンおよび7−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロドデセンが挙げられるがそれに限定されない。
より好ましい環式オレフィンはシクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、3−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチル−シクロヘキセン、4−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、5−t−ブチルジメチルシリルオキシシクロオクテン、シクロノネン、およびシクロドデセンの群から選ばれる一部である。
レジオ規則的ポリマーは、合成したポリマーが不飽和のレジオ規則的ポリマーが式(VIII)の構造を持つ繰り返し単位を含むように、X3AがXおよびXと同一で、メチレン基または置換したメチレン基(例えば、R19およびR20中のCR1920は本明細書前に規定する)であり、R18がR17と同一であり、nがmと同一である式(VII)のモノマーを用いて容易に合成し得る。
(VIII)
がOまたはSの時、mが0およびkが1で、不飽和のレジオ規則的ポリマーが化学式(VIII)の構造を持つ繰り返し単位を含むことが好ましい。
(VIIIA)
重合反応は一般に、触媒的に効果のある量のオレフィン置換触媒(好ましくは、式(I)の8族の遷移金属錯体)を溶媒中に溶解し、2員環または多員環のオレフィンモノマー(好ましくは式(VII)のモノマー)を必要に応じて溶媒に溶解して、触媒溶液に添加することにより、不活性の雰囲気下で行う。好ましくは反応は揺れ動かされる(例えば、撹拌される)。反応の進行は標準的な技術(例えば、核磁気共鳴分光学)を用いてモニタリングされ得る。重合反応に用い得る溶媒の例は重合条件下で不活性である有機性の、プロトン性の、または水性の溶剤を含む。例えば、芳香性の炭化水素、塩素化した炭化水素、エーテル、脂肪族炭化水素、アルコール、水、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノール、水、またはそれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、溶媒はベンゼン、トルエン、p−キシレン、メチレンクロライド、1、2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノールまたはエタノールである。最も好ましくは、溶媒はトルエンまたは1,2−ジクロロエタンである。重合反応で形成されるポリマーの溶解性は溶媒の選択および得らポリマーの分子量に依存する。ある条件下では、溶媒は必要ない。
反応温度は0℃〜100℃の範囲であり得る。そしてより好ましくは25℃〜75℃の範囲である。そして反応時間は一般に12〜48時間の範囲である。環式オレフィンモノマーの触媒に対するモル比は求めるポリマーの分子量、求める多分散性指標(PDI、M:Mとして定義する)および特定の触媒の活性に基づいて選択できる。本方法では、重合の支配は、分子量とモノマー/触媒の比との間に実質的に直線的な関係がある(実施例1および図2Aおよび2Bを参照のこと)。より活性のある触媒を用いると、重合反応ははるかに少ない触媒で、[モノマー]/[触媒]の比が極端に高くなり得るようにして、進行し得る(実施例2を参照のこと)。その結果、全体のコストをかなり下げることができる。しかしながら、より低いPDI(例えば、最大のPDI値が1.4)を達成するためには、活性のある触媒はより少ないことが望ましい。そのような場合、[モノマー]/[触媒]の比はより低くなる(実施例1を参照のこと)。一般に、式(IIA)の遷移金属カルベン錯体は化学式(I)のビスホスフィン触媒より活性がある(すなわち、(II)部で説明したように、LおよびLが3置換型のホスフィンまたは類似のリガンドである錯体)。従って、前の触媒は装填する触媒を最小限にし、広い分子量分布(すなわちPDIが2、またはそれ以上)を達成することが好ましい。それに対して、後の触媒は高い触媒の装填および狭い分子量分布(すなわち、PDIが1.4、またはそれ以下)が好ましい。200,000より高いMを達成するには、一般にモノマーと触媒のモル比を500:1またはそれより高くする必要がある(実施例2を参照のこと)。
レジオ規則的飽和ポリマーを提供するために、式(VIII)の不飽和ポリマーを従来の試薬および条件を用いて水素付加する(例えば実施例3に記載しているようなトシルヒドラジドを用いて)。結果できた水素化ポリマーは式(IX)の構造を持つ繰り返し単位を含む。
(IX)
不飽和ポリマーが化学式(VIIIA)の構造を持つ繰り返し単位を含む時、水素化ポリマーはそれに対応して化学式(IXA)の構造を持つ繰り返し単位を含む。
(IXA)
次いで、(IX)の脱保護は上記のように、化学式(X)を持つ繰り返し単位を含む、保護されていないレジオ規則的ポリマーを提供するために効果のある試薬を用いて達成する。
(X)
ここで、(X)はmが0およびkが1となるようにXがOまたはSである時、(XA)の化学式の構造を持つ。
(XA)
本発明の手順はROMP反応によるテレケリックポリマーの合成にも広げられる。テレケリックポリマーはよく知られているように、1つ以上の反応末端基を持つ高分子である。テレケリックポリマーは鎖伸張過程、ブロックコポリマー合成、RIM形成およびネットワークの形成のための有用な材料である。テレケリックポリマーの使用およびその合成はGoethals、Telechelic Polymers:Synthesis and Applications(CRC Press:Boca Raton、Fla、1989)に記載されている。
最も良い適用には、高機能化したテレケリックポリマーが好ましい。従って、機能性の基の存在下で、テレケリックポリマーを安定な形にするために、触媒が用いられることが好ましい。例えば、Grubbsらの米国特許第5,312,940号、米国特許5,342,909号、米国特許5,917,071号、米国特許5,969,170号、米国特許6,111,121号および米国特許6,313,332号、およびGrubbsらのPCT公開WO02/079126号(これらは2002年4月1日の「Cross−Metathesis Reaction of Functionalized and Substituted Olefins Using Group 8 Transition Metal Carbene Complexes as Metathesis Catalysts」に整理されている)に記載されているように、(II)部で記載した8族の遷移金属錯体は、広い多様性の官能基に対して、実際、安定である。これらの参照の全ては、一般に本明細書中で、California Institute of Technologyに譲り受けられる。
テレケリックポリマーを合成するために、本手順を実施するには、ポリマー産物の分子量を調節する鎖移動剤として作用する非環式のオレフィンの存在下でROMP反応を行う。α、ω−2官能性のオレフィンが鎖移動剤として使用されるとき、二機能性のテレケリックポリマーは合成され、そのような二機能性のオレフィンは本明細書に記載した鎖移動剤としては好ましい。対称なα、ω−2官能性のオレフィンを鎖移動剤として用いてROMP反応を行う時、開環転移過程が機能性官能基で終わるまでの間、アルキリデンの発生が増加する。その後、新しい鎖を開始するために、モノマーを含む新しい機能的な置換アルキリデン反応に代わる。この過程は多くの触媒の活性中心を保存し、2.0に近づく機能を持った対称なテレケリックポリマーにつながる。鎖移動剤からの残基を含まないポリマーの端の基のみはアルキリデンの開始およびエンドキャップ剤から生じる。原理では、これらの末端の基は鎖移動剤の末端の基に合うように選定すべきである。Grubbsらの米国特許第5,880,231号を参照のこと。
一般に、α−ω−二機能性のオレフィンは鎖移動剤(CTA)として働き、式(XI)の構造を持つ。
(XI)
その中で、Zはハロゲン、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C20のアシルオキシ、C〜C20のアルコキシカルボニル、C〜C20のアリルオキシカルボニル、ハロカルボニル、C〜C20のアルキルカルボネート、C〜C20のアリールカルボネート、カルボキシ、カルバモイル、一置換カルバモイル、二置換カルバモイル、チオカルバモイル、カルバミド、シアノ、シアネート、ホルミル、チオホルミル、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、イミノ、アルキルイミノ、アリールイミノ、ニトロ、ニトロソ、スルホ、C〜C20のアルキルスルファニル基、C〜C20のアリールスルファニル基、C〜C20のアルキルスルフィニル基、C〜C20のアリールスルフィニル基、C〜C20のアルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、ボリル基、ホスフォノ基、ホスフォ基、およびホスフィノ基から選択される機能を持つ官能基を含む。好ましいZ官能基はヒドロキシル基、スルフィドリル基、C〜C12のアシルオキシ基、カルボキシ基、C〜C12のアルコキシカルボニル基、C〜C15のアリロキシカルボニル基、アミノ基、カルバモイル基およびフォルミル基から選択される。
レジオ規則的テレケリックポリマーはROMP反応から生じるテレケリックポリマーが不飽和で、式(XII)の構造を持つレジオ規則的ポリマーとなるように、X3AがX、Xと同一で、メチレン基または置換型メチレン基(例えば、CR1920中のR19およびR20は本明細書前に定義する)であり、R18がR17と同一であり、nがmと同一である化学式(VII)の環式オレフィンモノマーを用いて合成し得る。
(XII)
その中で、jはポリマー中のモノマー単位の繰り返しの数であり、X、X、R17、kおよびmは化学式(VIII)の箇所で定義したものと同じである。上記のように、kが1およびmが0となるように、XがOまたはSの時、化学式(VII)のテレケリックポリマーは式(XIIA)の構造を持つ。
(XIIA)
次いで、ポリマー(XII)を前記のように水素化し、式(XIII)を持つ飽和テレケリックポリマーをもたらし得る。
(XIII)
そこでは、kが1およびmが0になるように、XがOまたはSの時、化学式(XIIIA)の化学式の構造を持つ。
(XIIIA)
(XIII)の脱保護は化学式(XIV)の構造を持つ飽和の保護されていないテレケリックポリマーを提供する。
(XIV)
(XIIIA)の脱保護が化学式(XIVA)の構造を持つ飽和の保護されていないテレケリックポリマーをもたらす。
(XIVA)
不飽和化、飽和化、脱保護化、および/またはテレケリックポリマーを含む本方法論を用いて提供されるレジオ規則的ポリマーは新規のポリマーであり、および添付の特許請求の範囲に記載されている。従って、上記のもとでは、本発明の新規ポリマーとしては化学式(VIII)、(VIIIA)、(IX)、(IXA)、(X)、(XA)、(XII)、(XIIA)、(XIII)、(XIV)、および(XIVA)のポリマーが挙げられるが、それに限られないことを理解すべきである。従って、新規ポリマーは式(XV)の構造を持つ繰り返し単位を含むものとして一般に示し得る。
(XV)
ここで:
αは任意の二重結合;
はO、N、またはS;
はCR1920でそこではR19およびR20は、水素、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよび他の機能性官能基から独立に選択できる;
がNの時kは0、およびXがOまたはSの時kは1;
がOまたはSの時mは0、およびXがNの時mは1;
17は水素、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよびアミノ保護基、または2つのR17置換基は共に環式基を一緒につくり得る;および
は保護基である。
ポリマーはテレケリックであり得る。その場合、ポリマーが化学式(XVA)の構造を持つように、化学式(XII)から(XIV)までで示される2つの末端Z官能基を持つ。
(XVA)
そこでは、jはポリマーX、Xにおけるモノマー単位の繰り返しの数であり、R17、kおよびmは化学式(VIII)の箇所で定義したものと同じである。およびβは必要に応じて二重結合であり、そこでは、αおよびβの両方が二重結合であるかまたはαもβも存在しなくても良い。
他の実施形態では、ポリマーは化学式(X)の構造を持つ繰り返し単位を含む。
(X)
そこでは、上記のようにX、X、R17およびmは式(XV)で定義したものと同じである。そこでは、式(XVA)のポリマーの箇所で表記したように、ポリマーはテレケリックであり、2つのZ基で終わっている。
そのようなポリマーは式(XB)の構造を持つ。
(XB)
新規のポリマーはおよそ1,000からおよそ1,000,000の幅の多くの平均分子量を持つ。好ましい新規のポリマーでは、ポリマーが式(XVI)の構造を持つ対を含むように、XはOまたはSであり、R19およびR20は水素である。
(XVI)
対は式(XVII)の構造を持つ。
(XVII)
またはその組み合わせを持ち、そこでは、XはOまたはSである。XがO、およびTおよびTがメチル基である時、ポリマーはレジオ規則的MVOH(すなわち、ポリ((ビニルアルコール)−アルト−メチレン))である。
このようなポリオレフィンは交替したコポリマーをつくるために、さらなるCMI反応段階に使用し得る。本発明の他の実施形態は、以下の2つの工程:
(a)ROMP反応が起こるように効果的な反応条件下で環式オレフィンモノマーを触媒的に有効量のオレフィン置換触媒に接触することにより、開環置換重合(ROMP)反応を用いてポリオレフィン中間体を合成すること;および
(b)ジエンモノマーのポリオレフィン中間体の主鎖への置換挿入を行うために選定された反応条件下で、ポリオレフィン中間体を2つの末端オレフィン基を持つジエンモノマーに接触させることを包含する連続オレフィン置換反応により、交替したコポリマーを合成する方法を提供する。
本発明の好ましい実施形態は、その中で(b)の反応条件が(a)段階の触媒的に有効量のオレフィン置換触媒の存在下で、置換挿入反応を行うことを含むことである。
本発明の他の好ましい実施形態は、ジエンモノマーが非環式のジエンであり、(b)が交互置換挿入(CMI)を含むような過程である。2つの末端のオレフィン基を持つジエンモノマーは末端ジエンの箇所が非環式であり得、または環式ジエンから開環交互置換(ROCM)反応により、インサイチュで生成させ得る。
本発明の他の好ましい実施形態では、ポリオレフィン中間体がレジオ規則的であるように、環式オレフィンモノマーはオレフィンの官能基を二分する軸について対称的である。しかし、さらに好ましいのは、生成した交代コポリマーがレジオ規則的であるような過程である。
本発明の1つの実施形態では、ポリオレフィン中間体を工程(a)および(b)の間で単離しないことである。
本発明の他の実施形態では、ポリオレフィン中間体を工程(a)および(b)の間で単離し、精製することである。
本発明の1つの好ましい局面は交代コポリマーおよびさらにコポリマーを改変する過程を提供する。そのような過程では、好ましい方法はさらなる改変が保護基の除去、オレフィン結合の水素化、カルボニル基の水素化、オレフィン残基をポリオレフィン中間体、またはそれらの組み合わせから交換するための、2番目の環式オレフィン残基の交代コポリマーへの交差置換挿入による置換を含む。
1つの実施形態では、本発明はそのような、触媒作用が上記の8族の遷移金属錯体である置換過程を提供する。過程では、置換触媒は0.0005〜0.05モル相当で環式オレフィンに対して等価であることがより好ましい。好ましくは、ジエンは、反応溶液中(例えば、有機溶媒)に0.2〜2、より好ましくは0.2〜1、および最も好ましくは0.2〜0.5のモル濃度で存在する。好ましくは、環式オレフィンモノマーはジエンに対してモル比で1:1〜25:1、より好ましくは1:1〜5:1、さらに好ましくは1:1〜2:1、最も好ましくは1.1:1で存在する。環式オレフィンがジエンに対して1.1:1から2:1の割合で存在する時、置換触媒は環式オレフィンに対して約5モル%で存在することが好ましい。
上記過程は有機溶媒中で行うことが好ましい。その過程を還流の元で行うことであることがさらに好ましい。本発明では、置換反応にあったどのような溶媒も用い得る。有機溶媒としてはジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、またはその類似物が好ましい。
本発明に従った方法において有用である2つのオレフィン基末端を持つジエンはジエンの末端の2つのオレフィン基に6〜30の炭素原子を含むヒドロカルビレンリンカー基が結合していて、リンカー基の炭素原子が置換する、または置換しないもの、およびO、S、およびNから選択した6個以下のヘテロ原子がリンカー基を中断するもの、およびリンカー鎖で他の環式基を形成するために2つ以上の置換基が結合しているリンカー基が好ましい。ジエンの2つのオレフィン基末端中のそのようなジエンはビスアクリル酸エステルの非環式ジエン化合物、ビスビニルケトン非環式ジエン化合物またはビスアリルアセテートジエン化合物を形成するリンカー基の隣接した原子が一緒になっていることがより好ましい。さらにリンカー基がヒドロカルビレン基、置換ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子結合ヒドロカルビレン基または置換ヘテロ原子結合ヒドロカルビレンリンカー基であり、および主鎖の隣接した原子にある2つまたは3つの置換基がさらなる環式基およびを形成するために結合し得ることが好ましい。およびリンカー基の6個までの炭素原子を官能基、または保護官能基が置換し得ることが好ましい。リンカー基の炭素原子を置換する官能基または保護官能基はハロゲン基、アルコール基、オキソ基、チオール基、−SO−H基、置換−SO−基、アミノ基、置換アミノ基、またはそれらの組み合わせから独立に選択されることが好ましい。
本発明で有用な好ましい非環式ジエンは、以下のような式(VIIb)および式(VIIc)より選択される:
ここで:
28、R29、R31、およびR32は、各々独立して、水素またはオレフィン交差メタセシスを妨げない置換基であり、
30およびR33は、各々独立して、水素またはオレフィン交差メタセシスを妨げない脱離基であり、
34およびR35は、各々独立して、水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり、そして
Gは、6〜30個の炭素原子を含む、ヒドロカルビレンリンカー基であり、ここでこのリンカー基の炭素原子は、置換されていても置換されていなくても良く、このリンカー基は、O、SおよびNから選択される6個までのヘテロ原子によって分断され得、ここで鎖の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得る。
ここで式(VIIb)および(VIIc)に従う好ましいジエンが、このような化合物であり、ここでGが、2〜24個結合した−X−基により構築されるリンカー鎖であり、ここでリンカー鎖におけるXの各々の出現が、CR3637、O、S、またはNR38から独立して選択され、そしてR36、R37およびR38が、水素、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、官能基、および保護された官能基から独立して選択され、ここでリンカー鎖の6対までのCR3637基が、O、S、またはNR38基により独立して中断され得る。
特に好ましいジエンは、以下の構造の1つを有する化合物である:
(IV.本発明の交互コポリマー:)
2つの末端オレフィン基を有する上記の環式オレフィンおよびジエンの反応は、交互コポリマーを生成し、ここでコポリマーは、以下のような式(VIId)および(VIIe)から選択される繰り返し単位を含む:
ここで:
28、R29、R31、およびR32は、各々独立して、水素またはオレフィン交差メタセシスを妨げない置換基であり、
30およびR33は、各々独立して、水素またはオレフィン交差メタセシスを妨げない脱離基であり、
34およびR35は、各々独立して、水素、非アシルアルコール保護基、またはアシル基であり、
Gは、6〜30個の炭素原子を含む、ヒドロカルビレンリンカー基であり、ここでこのリンカー基の炭素原子は、置換されていても置換されていなくても良く、このリンカー基は、O、SおよびNから選択される6個までのヘテロ原子によって分断され得、ここで鎖の2つ以上の置換基が、結合してさらなる環式の基を形成し得、
は、1原子結合、2原子結合、3原子結合、4原子結合、または5原子結合であり、
yは、0〜4の整数であり、そして
各々の存在におけるR27は、環式炭素上の水素原子を置換し得、そして各々の存在が、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および−(L)−Fnから独立して選択され、ここでvが0または1であり、Lがヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、そしてFnが、官能基であり、ここで2つのR27基が、集合的にカルボニル基を形成し得る。
(V.環拡大メタセシス(REM)による大環状分子の合成:)
別の実施形態において、上記のようなモノマーのより希釈された反応(約50〜150倍のさらなる希釈)が、大環状化合物を作るための環拡大プロセスを生じる。本発明は、環式オレフィンの環拡大による大環状化合物を合成するための方法であって、この方法が、以下の順序で3つのメタセシス工程:
(i)環式オレフィンの開環メタセシス(ROM)反応工程;
(ii)2つの末端オレフィン基を有するジエンとの交差メタセシス(CM)工程反応;および
(iii)閉環メタセシス(RCM)反応工程;
を包含し、
ここで工程(i)−(iii)が、3つのメタセシス反応の各々を生じさせるのに有効な反応条件下で、触媒的有効量の、オレフィンメタセシス触媒の存在下において実行される、方法を提供する。
好ましいこのようなプロセスは、ここで前記工程(ii)または(iii)の反応条件が、工程(i)の触媒的有効量の上記オレフィンメタセシス触媒の存在下で、上記メタセシスを実行する工程を包含する、プロセスである。さらに好ましいのは、工程(ii)および(iii)の反応条件が、工程(i)の触媒的有効量のオレフィンメタセシス触媒の存在下で、CMおよびRCMのメタセシスを実行する工程を包含する、プロセスである。この中間体はプロセスの間に単離されないかもしれず、工程(i)と工程(ii)の間または工程(ii)と工程(iii)の間のいずれか、または両方の工程の間に必要に応じて単離されるかもしれない。好ましいプロセスにおいて、工程(iii)に続いて大環状化合物が、単離され、精製され、工程(iii)に続いて、単離の前または後に必要に応じてさらに改変され得る。大環状化合物の好ましいさらなる改変は、保護基を除去する工程、オレフィン結合を水素付加する工程、カルボニル基を水素付加する工程、第2の環式オレフィン残基を交差メタセシス挿入により交互コポリマーに置換し、ポリオレフィン中間体、その混合物などからオレフィン残基を置き換える工程を包含し得る。
1実施形態において、2つの末端オレフィン基を有するジエンが、開環交差メタセシス反応(ROCM)反応を介して環式ジエンからインサイチュで生成される。
好ましいプロセスにおいて、2つの末端オレフィン基を有するジエンが、0.003〜0.010の範囲、より好ましくは0.005〜0.007の範囲のモル濃度で反応溶液中に存在する。好ましいこのようなプロセスは、ここで、メタセシス触媒が、ジエンに対して0.01〜0.20モル当量の範囲で、より好ましくは0.02〜0.10モル当量の範囲で、さらにより好ましくは0.04〜0.06の範囲で、最も好ましくはジエンに対して約0.05モル当量で存在する、プロセスである。
環拡大メタセシスプロセスは、任意のメタセシス溶媒系で、好ましくは有機溶媒で、実行され得る。このプロセスのための好ましい有機溶媒は、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどである。
好ましい環拡大プロセスにおいて、環式のオレフィンが、ジエンに対して1:1〜25:1、好ましくは1:1〜5:1、より好ましくは1.1:1〜2:1、そして最も好ましくは約1:1:1のモル比で存在する。
大環状REMプロセスにおいて適切な環式オレフィンおよび好ましいジエンは、交互コポリマーの合成について上に開示されるものと本質的に同一である。濃度のみが、より希薄なモル濃度を提供するために変える必要がある。
本発明に従う環拡大による作製される好ましい大環状化合物は、以下のようである:
好ましいこのような大環状構造は、オレフィン大環状化合物からTBSアルコール保護基を除去するさらなる工程から得られた構造を含む。オレフィン大環状化合物の1つ以上の二重結合を水素付加するさらなる工程を経たこのような大環状化合物はまた、好ましい。好ましいこのような水素付加された大環状化合物は、以下のような構造を有する:
本発明は、好ましい特定の実施形態と関連付けて記載されたが、前の記載および続く実施例は、本発明を例示することを意図し、限定することを意図しないことが理解される。別の局面、本発明の範囲内の利点および改変は、本発明が属する当業者に明らかである。
(I.ROIMP実験を介する交互コポリマー)
一般的手順。NMRスペクトルを、Varian−300NMRにおいて記録した。化学シフトを、内部溶媒を参照するテトラメチルシラン(TMS)から百万分の一(ppm)単位の低磁場で記録する。多重度を以下のように省略する:シングレット(s)、ダブレット(d)、トリプレット(t)、カルテット(q)、クインテット(quint)、およびマルチプレット(m)。記録されたH NMRデータは、他には示さない限り、主なオレフィン異性体を記述する。記録された13C NMRデータは、観察される全てのピークを含めて、全くピークの帰属が行なわれなかった。高分解能マススペクトル(EIおよびFAB)が、UCLA Mass Spectrometry Facility(University of California,Los Angeles)により提供された。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を、蛍光指示剤を用い、シリカゲル60F254で予めコーティングされたプレート(0.25mm厚)を用いて実施した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、EM Scienceからのシリカゲル60(230〜400メッシュ)を用いて実施した。他の全ての化学物質を、Aldrich,StremまたはNova Biochem Chemical Companiesから購入し、他に記載されない限り、送達されるように使用した。CHClを、使用する前に溶媒カラムを介して通過させることにより精製した。溶媒カラムは、活性化アルミナ(A−2)および支持銅酸化還元触媒(Q−5反応剤)から構成される。A.B.Pangborn,M.A.Giardello,R.H.Grubbs,R.K.Rosen,F.J.Timmers,Organometallics 1996,15,1518−1520を参照のこと。
材料。必要ならば、非無水溶媒を、溶媒精製カラムを介して通すことにより、乾燥した。環式オレフィン(>99%)を、他で述べられていない限り、上記のように得、受けとったままで用いた。非環式ジエンを、上記のように得、使用前にアルゴンパージにより脱気した。N,N−ジメチルホルムアミド(無水)(DMF)、トルエン(無水)、ジクロロメタン(無水)、1,2−ジクロロエタン(無水)、2,6−ルチジン(99%、再蒸留した)、およびジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホナト)(97%)をAldrichより得、受け取ったままで用いた(必要に応じて乾燥した後で)。(PCy(Cl)Ru=CHPh(1)を、Schwabら、(1996)J.Am.Chem.Soc.118:100−110に従って合成し、(ImesH)−(PCy)(Cl)Ru=CHPh(2)を、Sanfordら、(2001)J.Am.Chem.Soc.123:749−750に記載されるように合成し、そして3,3−ジ−tert−ブチル−2,4−ジオキサ−3−シラ−ビシクロ[3.2.1]オクト−6−エン(3)を、Langら、(1994)Helv.Chim.ACTA 77:1527−1540に従って合成した。
(触媒(2)を用いるROIMPを介するシクロオクテンおよびブタンジオールジアクリレートの共重合)
レジオ規則的コポリマーの合成のための代表的な手順を、下(スキーム2)に示す。
(実施例1)
小さなフラスコに、2mLのCHCl(2つの末端オレフィン基を有するジエンの溶液)中の1,4−ブタンジオールジアクリレート90mg(0.45mmol)および撹拌子を入れた。触媒(2)2.7mgおよびシクロオクテン65μL(0.45mmol)(290:1の全モノマー:触媒の比および1:1のモノマー:モノマーの比)。この混合物を、動的な真空により迅速に脱気し、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間加熱還流した。この生成物を、50mLの撹拌しているメタノール中へ沈殿させた。白いポリマー沈殿を、メタノールで数回洗い、真空中で終夜乾燥した。レジオ規則的A,B交互コポリマー産物の収量108mg(0.38mmol)、約84%収率。このポリマーは、90100g mol−1の高い分子量を有する(Mn/PDI、ポリスチレン標準に対するCHCl GPCにより決定された)。
上の例は、触媒(2)とのモノマーA(ジアクリレート)とB(シクロアルケン)との1:1混合物の処理を表し、実に、高収量で高いA,B交互コポリマーを生じる。例えば、ちょうど290:1の全モノマー/触媒比で、1,4−ブタンジオールジアクリレートとシクロオクテンとの1:1混合物は、99%までのA,B交互および90100cmol−1の分子量を有するコポリマーの84%収率を与えた。任意の過剰のシクロオクテンが、オリゴシクロオクテンブロックを生じ、これがA,B交互を低下させるので、シクロオクテンの化学量論を適合させることが重要である。A,B交互の程度は、A,B交互単位についてのオレフィンプロトンが、出発物質と異なる化学シフトおよびホモカップリングした単位を有することから、H NMRスペクトル分析によって容易に決定され得た。E−アクリレートダイマーは、δ=6.9ppm(図1、エントリーa)でシャープなシングレットを生成し、一方ポリシクロアルケンは、δ=5.4ppmにマルチプレットを示す(図1、エントリーc)。一方、A,B交互単位は、δ=7.0ppmにトリプレットのダブレットおよびδ=5.8ppmにダブレットを生成する(図1、エントリーb)。従って、A,B交互の程度は、これらのピークを積分することにより容易に計算され得る。シャープなカップリングパターンは、Eオレフィン異性体の高度に均一なポリマー構造を示す(J=15.9Hz)。15CNMRスペクトル分析はまた、高度なA,B交互を示し、カルボニル基に対する炭素原子αおよびβについてのただ2つのオレフィン炭素ピークを示す(図1、エントリーd)。
(実施例1A)
実施例1は、環式オレフィン(シクロオクテン)が、二環式オレフィンノルボレンで置き換えられ、そして反応は、100のモノマー/触媒比で行なわれたことを除いて、繰り返された。白いポリマー沈殿をメタノールで数回洗い、真空中で終夜乾燥し、約87%の収率で95%レジオ規則的A,B−交互コポリマー産物の産出を提供した。
(実施例1B)
実施例1は、ジエン(1,4−ブタンジオールジアクリレート)が、式CH=CH−C(=O)−N(−フェニル)−(CH−N(−フェニル)−(C=O)−CH=CHで置き換えられ、そして反応は、ジエンに対して3.3モル%の触媒濃度で行なわれたことを除いて、繰り返された。このポリマー沈殿をメタノールで数回洗い、真空中で終夜乾燥し、約99%の収率で9700の分子量および1.45のPDIを有する95%レジオ規則的A,B−交互コポリマー産物の産出を提供した。
(実施例2−7)
(触媒(2)を用いるROIMPを介するシクロアルケンおよび非環式ジエンの共重合)
(実施例2)
0.4mLのCHCl中の1,4−ブタンジオールジアクリレート(34mg,0.15mmol)を入れたフラスコに、触媒2(2.3mg)およびシクロペンテン(20μl、0.15mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(37mg,75%)を、ヘキサン中に沈殿させた。
(実施例3)
0.8mLのCHCl中の1,4−ブタンジオールジアクリレート(60mg,0.30mmol)を入れたフラスコに、触媒2(4.1mg)およびシクロヘプテン(35.5μl、0.30mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(74mg,93%)を、ヘキサン中に沈殿させた。
(実施例4)
0.6mLのCHCl中の1,4−ブタンジオールジアクリレート(60mg,0.30mmol)を入れたフラスコに、触媒2(2.6mg)およびシクロドデセン(58μl、0.30mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(92mg,91%)を、メタノール中に沈殿させた。
(実施例5)
0.5mLのCHCl中の1,4−ブタンジオールジアクリレート(40mg,0.20mmol)を入れたフラスコに、触媒2(1.4mg)およびシクロドデセン(54mg、0.20mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(60mg,69%)を、メタノール中に沈殿させた。
(実施例6)
1mLのCHCl中のトリ(エチレングリコール)ジアクリレート(53mg,0.21mmol)を入れたフラスコに、触媒2(1.8mg)およびシクロオクテン(28μl、0.21mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(68mg,99%)を、ヘキサン中に沈殿させた。
(実施例7)
1mLのCHCl中のヒドロキノンジアクリレート(44mg,0.21mmol)を入れたフラスコに、触媒2(3.5mg)およびシクロオクテン(27.5μl、0.21mmol)を加えた。動的な真空による迅速な脱気を行ない、フラスコにコンデンサーをはめ、アルゴン下で6時間還流した。この生成物(60mg,98%)を、ヘキサン中に沈殿させた。
上の実施例2〜7に例示されるように、実施例1のシクロオクテンではなくシクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロへプテン、およびシクロドデセン)がまた、ROIMPに対して実行可能であり、上の実施例2〜7の高度なA,B−交互ポリマーを生じた。しかし、特に低い環ひずみを有する基質(例えば、シクロペンテンおよびシクロへプテン)は、ROMPの遅い速度の結果としてより低いモノマー/触媒比(125:1)を必要とした。揮発性のシクロペンテン(b.p.44℃)を用いて高度なA,B交互(96%)を得るために、ジアクリレートに対してわずかに過剰な(1.3当量)シクロアルケンを用いた。シクロペンテン2.0当量でさえ、触媒3との85%より高いA,B−交互を有するポリマーが、より高度なA,B−交互を有する最終ポリマーを生じた。これらの結果は、シクロペンテンについての平衡が、40℃での環式形態に対してであり;過剰なホモポリシクロペンテンユニットを、シクロペンテンに分解し、そして蒸発により系から失われることを示唆する。
留意すべきことに、種々の官能基を、ROIMPコポリマーに導入し得る。5−tert−ブチルジメチルシリオキシシクロオクテン(butyldimetheylsilyoxycyclooctene)が、親のシクロオクテンに匹敵する実行可能なモノマーであることが分かった。このように、遊離アルコール基は、単純な脱保護で交互するモノマーユニット内に導入され得る。エチレングリコール基およびフェニル基のようなさらなるバリエーションが、ジアクリレートユニットに置換され得る。このような保護された反応物および置換された反応物との結果は、官能基のレジオ選択的取り込みが、モノマーAおよびBの適切な選択により可能になり、従って、ROIMPにより合成され得るポリマーの新しいクラスを開くことを示した。従って、スキーム2に示され、上に詳細に記載されるプロセスが、40℃で反応体と触媒(2)との種々の比で2つの末端オレフィン基を有する種々の環式オレフィンおよび非環式ジエンを用いて繰り返された(表1、下)。共重合の全ては、高収率(65%〜99%)でのレジオ規則性(94%以上)に達し、H/13C NMRにより完全に特徴付けられた。1.4×10〜9.0×10g/mol範囲の分子量で、PDI値は比較的低かった(表1を参照のこと、以下)。
(a)1.0当量のシクロアルケンが用いられた(シクロペンテン(1.3当量)を除く)。(b)総モノマー/触媒比。(c)ジアクリレートに対する濃度。(d)ヘキサンまたはメタノール中に沈殿後の単離された生成物の収率。(e)H NMRスペクトル分析により決定される。(f)ポリスチレン標準に対するCHCl GPCにより決定される。
ROIMPは、特筆すべき変換および選択性を示す。ADMETと比較して、高真空および上昇した温度が、エチレンガスの除去により重合化を高度な変換とさせることを必要とする場合、ROIMPは、2つの理由で穏やかな還流条件下、高度な変換を与える。第1に、環式オレフィン(モノマーB)のROMPが、最初のホモポリシクロアルケン鎖を作製するのに効率的である。第2に、1,2−二置換α,β−不飽和カルボニル化合物の形成が、結合当たり3kcal mol−1より大きいことにより熱力学的に好ましい。これらのエンタルピー因子が、エチレンの欠失と組み合わされて、反応を高変換に駆動する。さらに、中間体が不安定なエノイックカルベンである、ジアクリレートの好ましくないオリゴマー化が、高度なA,B交互に導く。従って、ROIMPは、鎖成長および段階的成長重合化の両方の利益を有し、高分子量および高選択性に導く。
変換を最適化するために、他のポリマー化条件が調査された。40℃でCHCl中0.1M〜0.5Mの溶液が、最良の結果を与えることが見出された。ROMPと対照的に、0.5Mを超えて濃度を増加させることが、より低い変換を生じる。溶媒としてトルエンまたは1,2−ジクロロエタンに変えることがまた、40℃または60℃のいずれかでより低い変換を与える。CHClは時々、官能基化されたオレフィンの交差メタセシスに対して最良の溶媒であることが示されるが、ROIMPについての濃度依存性は、0.1M〜0.5Mの濃度が従来の段階成長重合反応に対する希薄な条件と考えられるので、いくらか驚くべきものである。
ポリマーの分子量を制御することは、異なる分子量を有するポリマーがしばしば異なる特性を示すので、非常に重要な問題である。ROIMPにより生成される交互コポリマーについて、分子量は、2つのモノマーの相対的な化学量論を変化させることにより、大まかに制御され得る。例えば、ヒドロキノンジアクリレート1.0当量に対してシクロオクテン0.96当量を使用することは、98%A,B交互(PDI=1.69)の17800g mol−1のコポリマーを与え、一方45200g mol−1および95.5%A,B交互(PDI=1.69)のコポリマーは、シクロオクテンを1.06当量に増加させることによって得られた。これらの結果は、1:1の場合と比較した場合(表1、上のエントリー7)、過剰のヒドロキノンジアクリレートが、ポリマー鎖を短くするが、しかしシクロオクテンの過剰分が、ポリシクロオクテンのオリゴマーブロックの結果としてより高い分子量を与えることを示す。
結論として、上の実験結果が、オレフィンメタセシスによる高度な交互コポリマーを合成するための新しい一般的方法を示す。高度な変換および交互の程度は、ジアクリレートとシクロアルケンとの間の熱力学的に駆動された選択的結合形成から一部では生じるようである。
(II. 高分子を生成するためのオレフィンメタセシス反応を介する環拡大)
(実験)
環拡大メタセシスに有利になるように重合反応を防止するかまたは遅くするために、より低濃度の二つのモノマー(重合反応に対するものよりも約100倍以上の希釈)およびそれに比例してより少ない量のメタセシス触媒が使用された、という点を除いて、上の実験的共重合反応の節において記載したような一般的な手順および反応物比率が実施された。一般的な手順として、フラスコには触媒2(CHCl中0.005〜0.007モル濃度溶液の0.05当量)が添加され、α,βー不飽和カルボニル化合物(ジエン)およびシクロアルケンがシリンジを通して、それぞれの反応物の0.005〜0.007モル濃度溶液を作製するのに十分な量で添加された。フラスコにはコンデンサーが取りつけられ、アルゴン下で12時間還流された。反応の進行を、TLCを用いてモニタリングした。溶媒がエバポレートした後で、生成物がシリカゲルカラム上で直接的に精製された。
成功的な環拡大のために、いくつかの条件が満足させられなければならない。シクロアルケンは、開環反応を受け得なければならない。一旦開くと、副生成物を最小限にするように、CMおよびRCMのために、それらは非環式ジエンと選択的に反応しなければならない。さらに、非環式ジエンはそれ自体との反応(例えば、環化または交差メタリシス)を受けるべきではない。このプロセスを説明するためにビス−アクリレートおよびビス−ビニルケトン系が使用される。なぜなら、これはそれらが素晴らしい収量で末端オレフィンと選択的に反応し、それら自体とはあまり好んで反応しない、ということが公知であるからである。これは、大環状分子(特にカルボサイクル)の合成(これはマクロラクトン化反応またはラクタム化反応よりも困難であると考えられている)の効率的で穏かな経路を提供する。これは、環拡大反応により大環状分子を形成する新たな方法であって、3つのタイプのオレフィンメタセシス(開環、交差、および閉環)反応が順に起こり、大環状分子が得られる方法を説明する。プロセス効率は、触媒2のより高い活性により改善される;収率の改善のみならず、使用する触媒を少なくすることにより、より重要なことに、新たに形成されるオレフィンの立体選択性も改善される。
(大環状分子を形成するための触媒(2)を用いた、連続的ROM、CM、およびRCMを介した環式オレフィンおよびビス−ビニル、ケトン、ジエンの環拡大)
(実施例8)
上記の一般的なマクロサイクライゼーションの手順を用いて、有機溶媒(例えば、CHCl)中の2つの末端オレフィン基を有する非環式ジエン(例えば、オクチレンリンカー基を有するビス−ビニルケトン)および、環式オレフィン(例えば、シクロペンテン)(5当量)(非環式ジエン溶液中の5mMシクロペンテン)に触媒2(5mol%)を添加した。12時間の還流の後で、いくつかの生成物が得られた。二つの主要な生成物をシリカゲルカラム上で1:4=酢酸エチル:ヘキサンによって溶出し、直接的に精製した。主要な生成物は、10.0mgで43%の収率の(1+1)様式(非環式ジエンおよびシクロアルケン)の環拡大生成物(17炭素環原子の大環状分子)(1:2=EA:Hx中でR=0.4であり、無色の液体)、および8.0mgで34%の収率の二重環拡大生成物(34炭素環原子の大環状分子)(1:2=EA:Hx中でR=0.3であり、白色の固体)であり、その比は1.3/1であった(下にある表2、エントリー8)。17環原子の大環状分子のデータは、
である。
34環原子の大環状分子のデータは、
である。
(実施例9)
実施例8における手順に従ったが、環式オレフィンの濃度は25mMまで増大すると、17原子の生成物/34原子の生成物の生成物比が1/2まで減少した(表2、エントリー9)。
(実施例10〜12)
シクロオクテンは、その環の高いひずみが理由で、開環メタセシスによりシクロペンテンよりもかなり速く重合するので、実施例8の一般的な手順を用いることにより、シクロオクテンの濃度と生成物の分布度との相関が探索された(表2、エントリー10〜エントリー12)。生成物はシリカゲルカラム上で1:9=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。5当量のシクロオクテン(5mM、非環式ジエンに関する比が5:1)を用いると、シクロオクテンのROMP重合はかなりの副反応であり、23%の所望しない二重挿入大環状分子(非環式ジエンが二つのシクロオクテンモノマー残基によって拡大させられている)が得られる(表2、エントリー10)。23%の収率で得られた単一拡大生成物は、1:2=EA:HxにおいてR=0.5を有しており、無色の液体であった。この構造のデータは、
であった。23%の収率で得られた二重拡大生成物は、1:2=EA:HxにおいてR=0.6を有しており、無色の液体であった。この構造のデータは、
であった。シクロオクタンを2当量(2:1比)に減少させることにより、所望の単一拡大生成物/二重拡大生成物の比を1.2/1にまで増加し(表2、エントリー11)、最終的には所望の単一拡大生成物について53%の最良の収率が、1.1:1比(1.1当量)のシクロオクテンで単離された(表2、エントリー12)。
(実施例13)
官能基化されたシクロオクテンはまた、環拡大のための実行可能な基質である(表2、エントリー13)。一般的には上記の手順に従い、生成物をシリカゲルカラム上で1:3=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。収率が43%(13.0mg)の生成物が得られた(1:2=EA:Hx中でR=0.4であり、無色の液体)。データは、
であった。
(a)反応をアルゴン雰囲気下でCHClを還流することにより実施した。(b)環サイズ:5(シクロペンテン)、8(シクロオクテン)。(c)H NMRを用いて(E)−異性体のみが観察された。(d)単離された収率。出発物質は残っていなかった。
特定のメカニズムに限定されることなく、(上で説明されているような)環拡大生成物はスキーム4において以下に示される工程に従って得られる、と考えられている。
(大環状分子を形成するための触媒(2)を用いる連続的ROM、CM、およびRCMを介した環式オレフィンおよびビス−アクリレートジエンの環拡大)
ビス−アクリレートジエンはまた、ビス−ビニルケトンと実質的に同様の様式で拡大され得る。次の実施例14〜実施例26を参照のこと。
(実施例14)
実施例8〜実施例13の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。45%の収率で13.3mgの生成物が得られた(1:5=EA:HxにおいてR=0.3であり、無色の液体)。
(実施例15)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した、。45%の収率で18.0mgの生成物が得られた(1:10=EA:HxにおいてR=0.45であり、無色の液体)。
(実施例16)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:15=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。47%の収率で25.7mgの生成物が得られた(1:10=EA:HxにおいてR=0.4であり、無色の液体)。
(実施例17)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:15=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。42%の収率で28.2mgの生成物が単離された(1:10=EA:HxにおいてR=0.4であり、無色の液体)。
(実施例18)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。52%の収率で9.0mgの生成物が得られた(1:1=EA:HxにおいてR=0.3であり、白色の固体)。
(実施例19)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。39%の収率で7.0mgの生成物が得られた(1:1=EA:HxにおいてR=0.35であり、白色の固体)。
(実施例20)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。63%の収率で12.0mgの生成物が得られた(1:1=EA:HxにおいてR=0.35であり、白色の固体)。
(実施例21)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。59%の収率で29.4mgの生成物が得られた(1:1=EA:HxにおいてR=0.40であり、無色の固体)。
(実施例22)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:2=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。55%の収率で31.3mgの生成物が単離された(1:1=EA:HxにおいてR=0.55であり、無色の液体)。
(実施例23)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。50%の収率で9.0mgの生成物が単離された(1:1=EA:HxにおいてR=0.35であり、無色の液体)。
(実施例24)
実施例14の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:1=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。37%の収率で7.0mgの生成物が得られた(1:1=EA:HxにおいてR=0.35であり、無色の液体)。
(実施例25)
実施例14の手順に従った。今回は8mol%の触媒2を使用した。生成物はシリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製した。59%の収率で25.4mgの生成物が単離された(1:5=EA:HxにおいてR=0.5であり、無色の液体)。
(実施例26)
ドデセンの代わりに環式オレフィンヘプテンが使用されたこと、および7mol%の触媒2が使用されたことを除いて、実施例25と同じ反応物を用いて、実施例25の手順に従った。生成物はシリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:へキサンを用いて溶出し、直接的に精製し、84%の収率が提供された。
(実施例27)
非環式ジエンが以下の式を有する環化ジエンジオールと置換されたことを除けば、実施例25における手順が、同じ反応物を用いて進められた:
生成物を、シリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:ヘキサンで溶出して直ちに精製し、52%の収率の以下の式を有する大環状分子(macrocycle)を得た:
(実施例28)
環式オレフィンドデセン(dodecene)がヘプテンと置換されたことを除けば、実施例27における手順が、同じ反応物を用いて進められた。生成物を、シリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:ヘキサンで溶出して直ちに精製し、52%の収率の以下の式を有する大環状分子を得た:
実施例14(同じく実施例15)の基質および実施例16(同じく実施例17)の基質は、中程度の収率で18員〜26員の大環状分子を生じた(表3、エントリー14〜17)。リンカー酸素原子を有する実施例18(同じく実施例19〜24)のビスアシル化基質が使用された場合、シクロアルケンでの環拡大について最も良い収率が得られた(表3、エントリー18〜24)。実施例16〜7の基質および実施例18〜24の基質が同数のリンカー単位を有するとしても、炭素リンカー原子よりも立体配座的に制約されていない実施例18〜24の基質中のさらなる酸素原子の存在が、所望の大環状分子生成物の生成を支持する。同定された最良の基質を用いて、種々のシクロアルケンを、大環状分子のファミリーを作製するためにスクリーニングした(表3、エントリー18〜28)。シクロペンテンおよびシクロヘプテンについて、開環の速度がシクロオクテンより遅かったので、5当量のシクロアルケンを使用した。さらに高い濃度のシクロペンテンおよびシクロヘプテンは、有意な副反応を生じ、所望の生成物の収率を増加しなかった。シクロヘキセンを用いた反応は、たとえシクロペンテンについての収率よりも良くなくとも匹敵する収率を期待したにも拘らず、最も低い収率を生じた。しかし、シクロヘキセンは異なる様式の環拡大を必要とする。シクロヘキセンは、触媒2を用いたオレフィンメタセシス反応を受けないので、この初期工程は、インサイチュでシクロヘキセンを開環し得るエノイック(enoic)カルベン[Ru=COR]の式である。エノイックカルベンは、触媒2よりも安定性が低いので、触媒の代謝回転はほとんど予期されない(表3、エントリー19、tertブチルシラン「TBS」)。置換シクロアルケンは、非置換シクロアルケンと類似した方法で反応し、置換大環状分子を生成した(表3、エントリー24〜26)。実施例26のビスアリルアセテートが自己メタセシスを受け得るが、開環シクロドデセンを用いた反応がより支持された。このような場合、2つの潜在的に重合可能な基質が反応し、環拡大生成物を形成した。さらに、置換環式ジエンは、非環式ジエンと類似した類似した方法で反応し、環式ジエン構造を含む置換大環状分子を生成した(表3、エントリー27および28)。
(a)反応を、触媒2(5mol%)を用い、アルゴンの雰囲気下でCHCl(5mM)を還流しながら行った。(b)環サイズ:5,シクロペンテン;6,シクロヘキセン;7,シクロヘプテン;8,シクロオクテン;12,シクロドデセン。(c)(E)−異性体のみが、1HNMRによって観察された。(d)単離された収率。実施例19および24の場合を除いて、出発物質は残存しなかった。
(大環状分子を形成するための触媒(2)を用いた一連のROM、CMおよびRCMによる環式オレフィンおよびビスアクリレートジエンの環拡大)
選択的交差メタセシスを受ける他の非環式ジエンは、大環状分子を生産するために、上記の環拡大反応における非環式ジエン反応物として供され得る。リンカー鎖に酸素原子を持たないそのような1つの基質は、対応する実施例25(表3、エントリー25、上記)のアシル保護アクリレート反応と同様の条件下で、所望の単回挿入(single insertion)大環状分子生成物を48%の収率で産出した。上記のタンデム触媒作用およびオレフィン水素付加を用いて、大環状分子飽和ジケトンをワンポットプロセスで得た。すなわち、リンカー鎖に酸素原子を含まない10−炭素リンカー鎖を有するビスビニルケトンジエンが、ワンポット反応においてシクロオレフィンオクテンと反応し、続いて50psiの水素付加によって22員飽和環式ジオンを産生した。以下のスキーム5および実施例29を参照のこと。
(実施例29)
実施例25の手順に従った。メタセシス反応を行った後、ポットを50psi水素ガスで加圧し、一晩行った。生成物を、シリカゲルカラム上で1:10=酢酸エチル:ヘキサンで溶出して直接的に精製した。48%の収率で、13.0mgの生成物を単離した。(1:4=EA:HxにおけるR=0.45、白色固体)。H NMR(300MHz,CDCl,ppm):δ2.39(8H,t,J=6.9Hz),1.58(8H,m),1.23(24H,m)。13C NMR(75MHz,CDCl,ppm):δ212.5,41.6,29.1,29.0,28.8,24.1。HRMS(EI)計算値C2240 336.3028,実測値336.3024。
要約すると、実施例8〜29は、触媒2を用いて本発明に従う環拡大方法によって、種々の大環状分子の合成を実証した。これらの実施例は、濃度および環式オレフィンの化学量論を変化させることによって、生成物分布が制御されたことを示す。環拡大生成物の収率は、例示された実施例において中程度であるが、この方法論は、容易に入手可能な環式オレフィンを用いて、2つの末端オレフィン基を有するジエンの環を拡大することによって、環式サイズを調整し得る、多様な大環状分子への容易なアクセスを提供する。
(図面の簡単な説明)
図1は、本発明の方法に従って調製された、実施例1のROIMPコポリマーのNMRスペクトルa、NMRスペクトルb、NMRスペクトルcおよびNMRスペクトルdを提供する。これらのNMRスペクトルは、H NMRスペクトル分析および15C NMRスペクトル分析によって、A,B交互性のモノマーの範囲を例示する。なぜなら、A,B交互性の単位についてのオレフィンのプロトンは、出発物質およびホモ結合化(homocoupled)単位とは異なる化学的シフトを有するからである。図1のNMRスペクトルa(H NMR)は、E−アクリル酸ダイマーが、δ=6.9ppmで鋭い一重項を生じることを示し、一方、図1のNMRスペクトルc(H NMR)は、ポリシクロアルキレンがδ=5.4ppmで多重項を示すことを、例示する。図1のNMRスペクトルb(H NMR)は、A,B交互性単位が、δ=7.0ppmで二つの重なった三重項およびδ=5.8ppmで二重項を生じることを示す。従って、コポリマー中のA,B交互の範囲は、これらのピークを統合することによって、容易に計算され得る。鋭い結合パターンは、Eオレフィンアイソマーを有する、高度に均一なポリマー構造を示す(J=15.9Hz)。図1のNMRスペクトルd(15C NMR)は、高度なA,B交互を例示するスペクトル分析である。なぜなら、これは、カルボニル基まで、炭素原子αおよび炭素原子βについて2つのみのオレフィン炭素のピークを表すからである。
上述した理由により、本願発明は産業上利用可能である。

Claims (1)

  1. 本願明細書および図面に記載の発明
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