JP2010006974A - 紫外線吸収性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐光性と耐ブリードアウト性の両方に優れる紫外線吸収性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する紫外線吸収性樹脂(A)を必須成分とする紫外線吸収性樹脂組成物である。
【化1】
Figure 2010006974

[式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は紫外線吸収性樹脂およびそれを含有した紫外線吸収性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは耐ブリードアウト性に優れる紫外線吸収性樹脂に関する。
近年、液晶ディスプレイなどの表示装置は高輝度、高精細化を目的に、紫外線照射量の多い高出力の光源ランプの使用が進んでいること、また、屋外や自動車等、紫外線の照射量が多い場所での用途が増えていることから、紫外線による液晶セル内の液晶材料の劣化や偏光板内の偏光子の劣化の防止が必要となってきている。
この様な要求に対し、紫外線吸収剤をノルボルネン系樹脂に分散し、押出成型で得たフィルムを位相差フィルムとして用いる方法(例えば、特許文献1)、紫外線吸収剤をセルロース系樹脂に分散し、溶剤キャスト法で得たフィルムを保護フィルムとして用いる方法(例えば、特許文献2)、偏光板と保護フィルムを貼り合わせる接着剤に紫外線吸収剤を含有させる方法(例えば、特許文献3)等が挙げられる。
特開2007−217667号公報 特開平8−134241号公報 特開昭61−88204号公報
しかしながら、特許文献1の方法は耐久性の低下、特許文献2の方法は透明性の低下、特許文献3の方法は接着性能の低下等の問題が挙げられ、いずれも紫外線吸収剤のブリードアウトが原因である。
本発明の目的は、耐光性と耐ブリードアウト性の両方に優れる紫外線吸収性樹脂組成物を提供するものである。
即ち本発明は、下記繰り返し単位(1)を有する樹脂(A)を必須成分とする紫外線吸収性樹脂組成物;該樹脂組成物からなることを特徴とするコーティング剤;該樹脂組成物からなることを特徴とする光学フィルム;該樹脂組成物からなることを特徴とする光学成形品である。
Figure 2010006974
[式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。]
本発明では、耐光性と耐ブリードアウト性の両方に優れる紫外線吸収樹脂組成物提供が可能になるという効果を奏する。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、高分子量である紫外線吸収性樹脂(A)を必須成分として含有しているため、耐光性に優れるだけでなく耐ブリードアウト性にも優れる。
そして、この紫外線吸収性樹脂(A)は下記の一般式(1)で表される繰り返し構造を分子内に含有することを特徴とする。
Figure 2010006974
[式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。]
上記一般式(1)において、Rは2価の炭化水素基を示し、エステル基、エーテル基、カルボニル基およびアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含んでいてもよい。2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の飽和(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ヘキシレン)および炭素数2〜20の不飽和(例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、ペンタジエニレン)が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の飽和(例えば、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン)および炭素数3〜20の不飽和(シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、シクロヘキシリデン、アダマンタンジイル、ノルボルナンジイル)が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニレンビスメチレン、フェニレンビスエチレンが挙げられる。
2価の結合基のRは2つのベンゼン環と結合しているが、本樹脂組成物から得られる光学フィルムの透明性の観点から、このベンゼン環と結合するRの部位が、芳香環または下記一般式(3)で表される構造であってはならない。
ベンゼン環と結合するRの部位が芳香環または下記一般式(3)で表される構造であると、可視光波長を吸収するため、光学フィルムとして表示装置に使用した場合、色彩不良の原因となる。
Figure 2010006974
は2つのベンゼン環を連結する部位であるが、その2価の脂肪族炭化水素基中にエステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよく、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物の耐光性および耐ブリードアウト性を損なうものではない。特にエステル基およびアミド基は2つのベンゼン環とRが結合するための官能基として有効である。
本発明の紫外線吸収性樹脂樹脂(A)は、特定の化学構造のポリエステル樹脂(B)をフリース転位して得ることができる。
そのポリエステル樹脂(B)は、ビスフェノール類(b1)と下記一般式(2)で表される構造式で示されるジカルボン酸またはその誘導体(b2)を重縮合させる。
Figure 2010006974
[式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、Rと同一でも異なっていてもよい。XおよびYはそれぞれ独立に、OH基、アルコキシド基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、XとYは同一でも異なっていてもよい。]
ビスフェノール類(b1)としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールAおよびそれらの誘導体であり、それらの誘導体としては、アセチル化ビスフェノールA、アセチル化ビスフェノールFが挙げられる。
上記一般式(2)で表される構造式で示されるジカルボン酸またはその誘導体(b2)としては、例えば、メチレン二安息香酸、エチレンニ安息香酸、プロペン二安息香酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(b21)とジオール(b22)からなる重縮合体、芳香族ジカルボン酸(b21)とジアミン(b23)からなる重縮合体、それらのハロゲン化物およびアルコキシドが挙げられる。
は、通常は上記の一般式(1)中のRと同じであるが、Rがポリエステル樹脂(B)をフリース転位する際に変化する場合はRとRは異なる。
XおよびYは、それぞれOH基、アルコキシド基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、(b2)が上記一般式(2)で表される構造式で示されるジカルボン酸である場合は、X、YともにOH基を表す。
(b2)がジカルボン酸のジアルコキシドである場合は、X、Yともにアルコキシド基を表す。
(b2)がジカルボン酸のモノアルコキシドである場合、XはOH基、Yはアルコキシド基である。
(b2)がジカルボン酸のジハロゲン化物である場合は、X、Yともにハロゲン原子を表す。
(b2)がジカルボン酸のモノハロゲン化物である場合、XはOH基、Yはハロゲン原子である。
(b21)としては、メチレン二安息香酸、エチレンニ安息香酸、プロペン二安息香酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
(b22)としては、脂肪族ジオール(炭素数2〜20、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール)、脂環式ジオール(炭素数4〜20、シクロブタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール)、芳香族ジオール(炭素数8〜24、例えば、キシリレングリコール、ベンゼンジメタノール、ベンゼンジエタノール、ジフェニルエタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルブタン)およびそれらのアルキレンオキシド(以下AOと略記)付加物が挙げられる。
(b23)としては、脂肪族ジアミン(炭素数2〜20、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン)、脂環式ジアミン(炭素数6〜20、例えば、シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン)、芳香族ジアミン(炭素数6〜20、例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン)が挙げられる
ポリエステル樹脂(B)は、ビスフェノール類(b1)と上記一般式(2)で表される構造式で示されるジカルボン酸またはその誘導体(b2)を、公知の方法で重縮合することにより製造できる。例えば、溶融状態の(b1)および(b2)を必要により触媒存在下で加熱する塊状重合法、(b1)および(b2)を溶剤に溶解し、必要により触媒存在下で加熱する方法が挙げられる。
上記触媒としては、ポリエステル樹脂の製造に利用される種々の触媒、例えば、金属触媒などが使用できる。金属触媒としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム)、アルカリ土塁金属(マグネシウム、カルシウム)、遷移金属(亜鉛、アルミニウム、スズ、チタン)の金属化合物が挙げられる。金属化合物としては、例えばアルコラート、有機酸塩(酢酸塩、プロピオン酸塩)、無機酸塩(ホウ酸塩、炭酸塩)、金属酸化物が挙げられる。触媒の使用量は、通常(b1)に対して0.001〜1重量%である。反応温度は通常150〜350℃、好ましくは170℃〜300℃である。
紫外線吸収性樹脂(A)はポリエステル(B)を、公知の方法でフリース転位することにより製造できる。例えば、溶融状態の(B)をルイス酸触媒存在下で加熱する方法、(B)を溶剤に溶解しルイス酸触媒存在下で加熱する方法、溶融状態の(B)に紫外線照射する方法、(B)を溶剤に溶解し紫外線照射する方法が挙げられる。
上記ルイス酸触媒としては、例えば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化鉄、塩化亜鉛、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、塩化スズ、塩化ホウ素が挙げられる。ルイス酸触媒の使用量は、通常(B)に対して0.001〜1重量%である反応温度は通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃である。
(B)のMnは(A)と同様、好ましくは2,000〜500,000、更に好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは5,000〜70,000である。なお、Mnはゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される。
紫外線吸収性樹脂樹脂(A)のMnは、耐ブリードアウト性および成形性の観点から好ましくは2,000〜500,000、更に好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは5,000〜70,000である。なお、Mnはゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される。500,000を超えると、本樹脂組成物から光学フィルムまたは光学成形品を製造する際、本樹脂組成物を適した溶融粘度、つまり高温で成形しなければならず、冷却時の収縮による成形不良が起こりやすくなる。2,000より小さくなると、本樹脂組成物の耐ブリードアウト性が低下する。
本発明の樹脂組成物は、上記の紫外線吸収性樹脂樹脂(A)を必須成分とし、種々のベース樹脂に均一に配合したものである。
上記ベース樹脂としては、脂環構造含有重合体(C1)、ポリオレフィン(C2)、ポリエステル(C3)、ポリアミド(C4)、ポリスチレン(C5)、ポリカーボネート(C6)、ポリイミド(C7)およびポリビニル(C8)等が挙げられる。
脂環構造含有重合体(C1)としては、ノルボルネン系重合体(c11)、単環の環状オレフィン系重合体(c12)、環状共役ジエン系重合体(c13)、ビニル脂環式炭化水素重合体(c14)などが挙げられる。
(c11)としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこのモノマーと開環共重合可能な他のモノマーとの開環共重合体、これらの重合体の水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこのモノマーと共重合可能な他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
(c12)としては、単環の環状オレフィン系モノマー(例えばシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン)の付加重合体およびその水素化物等が挙げられる。
(c13)としては、環状共役ジエン(例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン)の1,2−または1,4−付加重合体およびその水素化物等が挙げられる。
(c14)としては、ビニル脂環式炭化水素(例えばビニルシクロへキセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン)の重合体およびその水素化物、ビニル芳香族炭化水素(例えばスチレン、α−メチルスチレン)の重合体を水素化してなる水素化物、上記ビニル脂環式炭化水素またはビニル芳香族炭化水素とこれらと共重合可能な他のモノマーとの重合体、およびその水素化物等が挙げられる。
ポリオレフィン(C2)としては、α−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン)を(共)重合させたポリオレフィン等が挙げられる。
ポリエステル(C3)としては、芳香環含有ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート)および脂肪族ポリエステル(例えばポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートおよびポリ−ε−カプロラクトン)等が挙げられる。ポリエステルはポリカルボン酸と多価アルコールの組合せで構成される。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸[脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸);ジカルボン酸またはその誘導体(b2)で説明した前述の芳香族ジカルボン酸(b21);および3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸が含まれる。
3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸としては例えば、脂肪族ポリカルボン酸(例えばトリカルバリル酸およびヘキサントリカルボン酸)、芳香族ポリカルボン酸(例えばトリメリット酸およびピロメリット酸)およびそれらの塩等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ジカルボン酸またはその誘導体(b2)で説明した前述のジオール(b22)、および3価〜4価またはそれ以上のポリオールが含まれる。
3価〜4価またはそれ以上のポリオールとしては例えば、脂肪族ポリオール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリトール)、脂環式ポリオール(例えばシクロヘキサントリオール)、芳香族ポリオール(トリス(ヒドロキシエチル)ベンゼン)、糖類およびその誘導体(例えば蔗糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、およびグリコシド)等が挙げられる。
ポリアミド(C4)としては、例えば、ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサンメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ω−ラウロラクタムの開環重合又は12−アミノドデカン酸の縮重合によるナイロン12、及び前記ナイロンのうち2種類以上の成分を含有する共重合ナイロン等が挙げられる。ポリアミドはポリカルボン酸[ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸)、3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸(例えば、トリカルバリル酸、ヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそれらの塩)]とポリアミンの組合せで構成される。
ポリアミンとしては、ジカルボン酸またはその誘導体(b2)で説明した前述のジアミン(b23)、および3価〜4価またはそれ以上のポリアミンが含まれる。3価〜4価またはそれ以上のポリアミンとしては例えば、脂肪族ポリアミン(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン)、脂環式ポリアミン(例えばビシクロヘプタントリアミン)、芳香族ポリアミン(ジアミノジフェニルアミン)等が挙げられる。
ポリスチレン(C5)としては、芳香族ビニルモノマー(c51)単独または芳香族ビニルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステル(c52)および不飽和カルボン酸(c53)からなる群から選ばれる少なくとも1種を構成単位とする(共)重合体等が挙げられる。
(c51)としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
(c52)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c53)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、アコニット酸およびこれらの無水物が挙げられる。
ポリカーボネート(C6)としては、例えばビスフェノール(例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、テトラメチルビスフェノールAおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン)系およびビフェニル(例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル)系ポリカーボネート、例えば上記ビスフェノールまたはビフェニルとホスゲンまたは炭酸ジエステルとの縮合物等が挙げられる。
ポリイミド(C7)としては、イミド結合を必須の化学構造とし、ジカルボン酸無水物と芳香族ジアミンの反応によって得られるポリアミック酸を熱的にまたは化学的にイミド化して得られる重合体である。このものは非熱可塑型と熱可塑型に大別されるが、本発明では熱可塑型のものが好適に用いられる。熱可塑型ポリイミドとしては「ウルテム」(ジェネラル・エレクトリックス社製)の商標で市場より容易に入手可能である。
ポリビニル(C8)としては、ポリハロゲン化ビニル[例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリヨウ化ビニル]、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル[例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリn−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、ポリn−およびt−ブチル(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部。%は重量%を表す。
なお、紫外線吸収性樹脂(A)、ビスフェノールA誘導体、ジカルボン酸(b2)およびポリエステル樹脂(B)の数平均分子量(Mn)、Tgおよび紫外線吸収能は下記の測定法で測定した。
<数平均分子量Mn>
GPC測定機器(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)、カラム(TSKgel GMHXL2本+TSKgel Multipore HXL−M、東ソー(株)製)を用いて、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。
<Tg>
JIS K 7121に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)法にてTg(℃)を測定した。
<紫外線吸収能(UV透過率)>
成形品試験片(厚み2.0±2mm)について、分光光度計により370nmでの透過率(%)を測定した。
製造例1
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにビスフェノールA73部、無水酢酸98部およびトルエン170部を加え、還流下8時間反応させた。反応液を1時間かけて10℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶をろ過、180℃で乾燥し、Tg92℃のビスフェノールA誘導体を得た。
製造例2
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物63.6部およびテレフタル酸46.3部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら220℃で3時間反応させた。その後、生成する水を留去しながら温度を250℃まで1時間かけて昇温し、さらに250℃で3時間反応し、Tg105℃のジカルボン酸(b2−1)を得た。
製造例3
製造例2において、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物63.6部に代えて、トリプロピレングリコール35.7部を用いたこと以外は製造例2と同様に行い、Tg89℃のジカルボン酸(b2−2)を得た。
製造例4
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに製造例1で得たビスフェノールA誘導体23.3部、製造例2で得たジカルボン酸(d1b2−1)85.6部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら250まで2時間かけて昇温した。さらに生成する酢酸を留去しながら温度を280℃まで1時間かけて昇温し、さらに280℃で5時間反応し、Mn22,000、Tg157℃のポリエステル樹脂(B−1)を得た。
製造例5
製造例4において、製造例2で得たジカルボン酸(b2−1)85.6部に代えて、製造例3で得たジカルボン酸(b2−2)63.2部を用いたこと以外は製造例4と同様に行い、Mn7,800、Tg135℃のポリエステル樹脂(B−2)を得た。
製造例6
攪拌器、温度計、冷却管、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコに(B−1)100部およびジメチルホルムアミド300部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら還流条件下で(B−1)を溶解した。
次いで、120℃まで冷却後、塩化アルミニウム0.5部およびジフェニルジスルフィド0.5部加え、80℃で5時間反応させた。その後、減圧下280℃まで昇温しジメチルホルムアミドを留去し、Mn22,000、Tg171℃、UV透過率3.5%の本発明の紫外線吸収性樹脂(A−1)を得た。
製造例7
製造例6において、(B−1)に代えて(B−2)を用いたこと以外は製造例6と同様に行い、Mn7,800、Tg145℃、UV透過率2.3%の本発明の紫外線吸収性樹脂(A−2)を得た。
比較製造例1
攪拌器、温度計、冷却管、滴下ロート、ガス導入管を備えた500ミリリットル四つ口フラスコにキシレン25部、酢酸ブチル25部を加え、窒素ガスで充分置換したのち、少量の窒素ガスを通しながら100℃に昇温した。一方、2−(2’−ヒドロキシー5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール5部、シクロヘキシルメタクリレート34.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート8部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を混合した混合液を滴下ロートに入れた。次いで、この混合液を、少量の窒素ガスを通しながら100℃で2時間かけて滴下し、さらに100℃で4時間反応させた。その後、減圧下200℃まで昇温しキシレン、酢酸ブチルおよび未反応モノマーを留去し、Mn7,500、Tg65℃の比較のための紫外線吸収性樹脂(A’−1)を得た。
実施例3〜6、比較例1〜4
上記の製造例6と7、比較製造例1で得られた(A−1)、(A−2)、(A’−1)、および2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(A’−2)、ポリアリレート[ユニチカ(株)製「U−100」](A’−3)およびベース樹脂を表1に示す配合量(部)に従ってヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、260℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してストランド状に押出し、ペレタイザーで切断して紫外線吸収性樹脂組成物ペレットを得た。
これらを用い押出成型機でフィルム試験片を作成し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
なお、ここで使用したベース樹脂は下記の通りである。
PC(ポリカーボネート:「レキサン121R」、日本ジーイープラスチックス(株)製)
PSt(ポリスチレン:「ディックスチレンCX−515」、DIC(株)製)
Figure 2010006974
<性能評価方法>
(1)耐ブリードアウト性
フィルム試験片(厚み100±3μm)を80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下に1000時間放置後、フィルムの表面を観察することによりブリードアウトの有無を評価した。
○・・・フィルム表面にブリードアウトが全くない。
△・・・フィルム表面に部分的または全面的なブリードアウトが僅かに分かる。
×・・・フィルム表面に全面的なブリードアウトがはっきり分かる。
(2)耐光性
フィルム試験片(厚み100±3μm)に、サンシャインウェザーメーターを使用し、120mW/cmの紫外線を1000時間照射する前後でのb値の差(Δb)を分光色差計で測定し、耐光性の指標とした。Δbが小さいほど耐光性がある。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物を成形して得られる光学フィルムおよび光学成形品は、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルムなどの光学フィルム、光ピックアップレンズ、カメラ用レンズ、レンチキュラーレンズなどの光学レンズ、タッチパネル用基板、導光板などの光学成形品などに有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する紫外線吸収性樹脂(A)を必須成分とする紫外線吸収性樹脂組成物。
    Figure 2010006974
    [式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。]
  2. 該紫外線吸収性樹脂(A)が、ビスフェノール類(b1)および下記一般式(2)で表される構造で示されるジカルボン酸またはその誘導体(b2)を重縮合させてなるポリエステル樹脂(B)をフリース転位して得られる樹脂である請求項1記載の紫外線吸収性樹脂組成物。
    Figure 2010006974
    [式中、Rは、エステル基、エーテル基、カルボニル基またはアミド基を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、Rと同一でも異なっていてもよい。XおよびYは、それぞれOH基、アルコキシド基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、XとYは同一でも異なっていてもよい。]
  3. 数平均分子量が2,000〜500,000である請求項1または2記載の紫外線吸収性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013179857A1 (ja) * 2012-05-29 2013-12-05 ソニー株式会社 ジオキサアンタントレン系化合物及び電子デバイス

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