JP2010006944A - 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境適合性に優れた、植物由来の原料を用いながら、溶融加工時の結晶化速度が向上した樹脂組成物を提供すること
【解決手段】式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここでRはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1〜15の整数)
で示される一種以上の繰り返し単位からなる重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)、及び、インジゴまたはその誘導体、を含有する脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(略称:P3HA)を含有する脂肪族ポリエステル系樹脂に関する。
近年、プラスティックが多量に使用、廃棄されるにつれ、その埋め立て地の不足、非分解性のプラスチックが環境に残存することによる生態系への影響、燃焼時の有毒ガス発生、大量の燃焼熱量による地球温暖化等、地球環境保護の見地から廃棄物処理に関する問題は、大きくクローズアップされている。そこで、プラスチック廃棄物の問題を解決できるものとして、生分解性プラスチックの開発が活発に行われている。
一般的に生分解性プラスチックは、(i)ポリヒドロキシアルカノエート(以下、略称はPHA)といった微生物生産系脂肪族ポリエステル、(ii)ポリ乳酸やポリカプロラクトン等の化学合成系脂肪族ポリエステル、(iii)澱粉や酢酸セルロース等の天然高分子物といった、3種類に大別される。化学合成系脂肪族ポリエステルのなかでもポリ乳酸、ポリカプロラクトンは耐熱性に問題があり、また、天然高分子物は非熱可塑性であることや耐水性に劣るといった問題がある。
一方、PHAは好気性、嫌気性下での分解性に優れ、燃焼時には有毒ガスを発生せず、植物原料を使用した微生物に由来するプラスチックで高分子量化が可能であり、地球上の二酸化炭素を増大させない、カーボンニュートラルである、といった優れた特徴を有している。特に嫌気性下で分解する性質や、高分子量化が可能である点は特筆すべき性能である。該PHAは脂肪族ポリエステルに分類されるが、先に述べた化学合成系の脂肪族ポリエステルとは、ポリマーの性質が大きく異なる物である。
この様にPHAは、天然成分からなり、廃棄物の問題が解決され、環境適合性に優れるため、包装材料、食器材料、建築・土木・農業・園芸材料、吸着・担体・濾過材等に応用可能な成形体が望まれている。
しかしながら、PHAの加工上の問題として、溶融加工時の結晶化が極めて遅い点が挙げられる。例えばフィルム成形の場合、押出機先端のダイス部分から押し出される溶融フィルムが、巻き取り用ロールに粘着し、ロールの引取速度を上げることが出来ず、生産性が低くなる等の問題が挙げられる。
そこで、結晶化速度向上に関する取り組みとして、PHA類であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)を用いた例を挙げると、PHBHのホモポリマーであるポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、略称はPHB)等のより高い融解温度を有するPHAを添加し微分散させた組成物を得ることで、結晶化速度が速くなる事が明示されている。しかしながら、PHBの融解温度以上の高い温度で加工した場合は、結晶化速度の効果が得られず、幅広い加工温度に適用できる結晶核剤の効果を得るには至っていない(特許文献1、2)。また、PHAに対する結晶核剤として、シアヌル酸を用いた例があるが(特許文献3)、本発明者らは、その効果を確認すべく、ヘキサノエート成分が12モル%のPHBHを用い、追試した結果、必ずしもこの方法で得られる組成物の結晶化速度が改善される結果ではなかった。
また、PHBH以外のPHA類としてポリ乳酸を用いた例が挙げられる。ポリ乳酸に結晶核剤としてインジゴを用いると、結晶化率向上に伴い、結晶化速度が速くなる結果が示されているが、実際の加工条件でどの程度効果があるのかは不明であり、かつ、ポリ乳酸そのものが硬質素材である為、柔軟性が要求される用途には適さない(特許文献4)。
国際公開第02/50156号パンフレット 国際公開第94/28070号パンフレット 国際公開第05/66256号パンフレット 特開2003−238779号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、環境適合性に優れた、植物由来の原料を用いながら、溶融加工時の結晶化速度が向上した樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、P3HAに対してインジゴ又はその誘導体を添加することによって、溶融加工時の結晶化速度が著しく速くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここでRはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1〜15の整数)
で示される一種以上の繰り返し単位からなる重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)、及び、インジゴまたはその誘導体、を含有する脂肪族ポリエステル系樹脂組成物に関する。
P3HA100重量部に対して、インジゴまたはその誘導体0.001〜10重量部を含有することが好ましい。
P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)であることが好ましい。
PHBHを構成する繰り返し単位のうち、3−ヒドロキシヘキサノエート単位が1mol%〜20mol%を占めることが好ましい。
本発明により、環境適合性に優れており、かつ溶融加工時の結晶化速度が向上した脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を得ることが出来る。これにより幅広い成形加工用途に好適に使用することが可能になる。本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物から得られる成形体は、地球上の二酸化炭素を積極的に固定化して得られる植物由来の成形体であり、地球温暖化防止が期待できる。さらには廃棄時に好気性、嫌気性何れの環境下でも微生物などの作用により分解し、地球上の炭素循環系に還る成形体が得られる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂は、式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここでRはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1〜15の整数)
で示される一種以上の繰り返し単位からなる重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):P3HAともいう)である。
本発明のP3HAとは、前記式(1)で示される3−ヒドロキシアルカノエートよりなる繰り返し単位を有し、かつ微生物から生産される脂肪族ポリエステルである。具体的なP3HAとしては、前記3−ヒドロキシアルカノエートのホモポリマー、またはnの異なる2種以上の3−ヒドロキシアルカノエートからなる共重合体、前記ホモポリマー及び前記共重合体の群より選ばれる2種以上をブレンドした混合物が挙げられ、中でもn=1の3−ヒドロキシブチレート単位、n=2の3−ヒドロキシバリレート単位、n=3の3−ヒドロキシヘキサノエート単位、n=5の3−ヒドロキシオクタノエート単位、n=15の3−ヒドロキシオクタデカノエート単位からなる群より構成されるホモポリマー、共重合体及び混合物が好ましく、n=1の3−ヒドロキシブチレート単位とn=3の3−ヒドロキシヘキサノエート単位の共重合体であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、PHBHともいう)がより好ましく、さらにその組成比が、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=99/1〜80/20(mol/mol)であることが更に好ましい。比較的硬質素材を得ようとすると、組成比が3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=99/1〜90/10(mol/mol)であるが、一方比較的軟質素材を得ようとすると、組成比が3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=90/10〜80/20(mol/mol)である事が好ましい。3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が99/1より大きいと、ホモポリマーであるポリヒドロキシブチレートと融点に差がなく、高温で加熱加工する必要があり、加熱加工時の熱分解による分子量低下が激しく品質の制御が困難となる場合がある。また3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が80/20より小さいと、加熱加工時の再結晶化に時間がかかるため生産性が悪くなる場合がある。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物においては、前記脂肪族ポリエステル系樹脂に、P3HA以外の樹脂をブレンドしても良く、好ましくは他の脂肪族ポリエステル系樹脂が挙げられる。P3HA以外の脂肪族ポリエステル系樹脂の例として、ポリ乳酸系樹脂、ポリコハク酸エステル、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリシュウ酸エステル等が挙げられる。脂肪族ポリエステル系樹脂以外に、好ましくは生分解性樹脂が挙げられる。例えば、セルロース、デンプン、キチン等の多糖誘導体等が挙げられ、本発明でも用いることが可能である。また、本発明で用いられるP3HA以外の樹脂は、公知の方法に従って製造することができ、市販品を使用してもよい。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物は、インジゴまたはその誘導体を含有する。インジゴまたはその誘導体を配合することによって、P3HAの溶融加工時の結晶化速度が向上する。
インジゴは植物由来の物質であり、木綿への藍染めで知られている。インジゴはこれまでの使用に非常に長い歴史があり、人体や環境に対しても影響が非常に少ないものと考えられる。インジゴを含む藍は、インドや中国が原産地であり、含藍植物は多品種存在している。本発明においては、天然物由来のインジゴを用いてもよいし、合成のインジゴを用いてもよい。インジゴの工業的製造方法としては、例えば、フェニルグリシン法やo−カルボキシフェニルグリシン法等が挙げられる。さらに、前者の改良法としてホイマン・プフレガー改良法があり、該方法によって製造されたインジゴを使用してもよい。
インジゴの誘導体としては、公知の誘導体を使用することができ、インジゴの異性体等も含まれる。例えばインジゴ骨格に炭素数が1〜10のアルキル基、アルコキシ基等が導入されたもの、インジゴ骨格に塩素等のハロゲンが導入されたもの、インジゴ骨格に硫黄が導入されたチオインジゴおよびその誘導体等が挙げられる。インジゴおよびチオインジゴの構造式を以下に示す。
Figure 2010006944

具体的に誘導体とは、分子の両端に位置するベンゼン環に、化学的に許容できる置換基、例えば上記したアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アミノ基、カルボキシル基等の置換基を有するものが挙げられる。また、異性体としては、下記に示すようなインジルビン等の構造異性体等が挙げられる。
Figure 2010006944

上記インジゴ誘導体のうち、ハロゲンが導入されたものも使用可能ではあるが、近年、樹脂において、ハロゲンフリーが進められており、この点からハロゲンを含有しないインジゴ誘導体が好ましく使用される。
本発明で用いるインジゴ及びその誘導体は、できるだけ微細な粉体であることが好ましく、数ミクロンから数10ミクロンの微結晶の粉体が特に好ましい。
インジゴ又はその誘導体は、P3HA100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲で配合することが好ましく、0.01〜1重量部の範囲がより好ましい。この範囲内では、P3HAの性能に影響なく、溶融加工時の結晶化速度を改善することができる。
本発明の樹脂組成物には、結晶性を著しく妨げない限りにおいて、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、可塑剤、充填剤など、従来公知の各種添加剤が配合されていても良い。
本発明にかかる樹脂組成物の製造方法として、原料であるP3HA及びインジゴまたはその誘導体、所望により滑剤や無機フィラー等を混合し、押出機を用いて溶融混練する方法が挙げられる。インジゴまたはその誘導体の分散性の点から、好ましくは二軸押出機を用いる。その他、上記製造方法としては、いわゆる溶液法を用いることができる。ここでいう溶液法とは、各成分を分散溶解できる任意の溶媒を用いて、原料となる各成分及び溶媒を良く攪拌し、スラリーを作り、溶媒を乾燥除去する方法である。しかし、本発明の樹脂組成物を製造する方法は、これらに制限されるものではなく、これら以外の従来知られている方法を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、成形品に広く使用することができる。例えば、テレビ、携帯型音楽再生機、ラジオ、ステレオ、CDプレーヤー、ビデオ又はパソコン等の筐体や、買い物袋、レジ袋等の袋、洋服等の繊維形態、その他医療用途、衛生用途、農業・漁業・林業・工業・建築土木・運輸交通を包含する一般産業用用途、及び、レジャー、スポーツを包含するレクリエーション用途等に用いられる。特に使用後には生分解処理に付して廃棄すればよく、廃棄に余分なエネルギーが消費されないという利点がある。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例において「部」は重量基準である。本発明で使用した物質は以下の様に略した。
PHBH:ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)
HH率:PHBH中のヒドロキシヘキサノエートのモル分率(mol%)
<脂肪族ポリエステル系樹脂の結晶融解温度(Tm)>
示差走査熱量測定は、実施例及び比較例にある樹脂組成物約5mgを精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、SSC5200)にて10℃/分の昇温速度で0℃から200℃まで昇温を実施し、得られたDSC曲線より、結晶融解温度(Tm)を得た。
<脂肪族ポリエステル系樹脂組成物の結晶化挙動観察>
結晶化挙動観察は、実施例及び比較例にある樹脂組成物を適当量切り出し、偏光顕微鏡(オリンパス製、BX−51)にて、50℃/分の昇温速度で25℃から200℃まで昇温し、2分間保持した後、20℃/分の降温速度で60℃まで降温し、60℃保持後の結晶発生時間、結晶飽和時間、結晶サイズを観察した。
(製造例1) 3HH率12mol%のPHBHの作製
<遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製>
挿入用DNAとしてA. caviaeのphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように作製した。A. caviaeのゲノムDNAをテンプレートとして配列番号1および配列番号2で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびEcoRI消化した。このDNA断片をPAc−5P+Ecoとした。
次に、特開2008-029218号公報[0038]に記載のKNK−005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン直前をDNA挿入部位と設定し、以下の手順で該遺伝子の開始コドンより上流側の塩基配列からなるDNAを作製した。
特開2008-029218号公報[0036]に記載のKNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号3および配列番号4で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより上流の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIおよびEcoRIで2酵素同時消化した。このDNA断片をPbktB−Bam+Ecoとした。
PAc−5P+EcoおよびPbktB−Bam+Ecoをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号3および配列番号2で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で50秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびBamHI消化した。このDNA断片をbPac−5P+Bamとした。
次に、該遺伝子の開始コドンより下流側の塩基配列からなるDNAを作製した。KNK−005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号5および配列番号6で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより下流側の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびClaI消化した。このDNA断片をORF−5P+Claとした。
bPac−5P+BamとORF−5P+Claをライゲーションし、ライゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号3および配列番号6で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で1分30秒、を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで2酵素同時消化した。このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(−)(TOYOBO製)の同制限酵素で消化した部位にサブクローニングした。得られたベクターをbAO/pBluとした。APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認した。
続いて、特開2008-029218号公報[0037]に記載のpSACKmを制限酵素NotIで処理することによってカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、bAO/pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB−Kmを作製した。
<遺伝子挿入株Pac−bktB/AS株の作製>
次に、KNK−005AS株を親株としてbAO/pBlu/SacB−Kmを用いてbktB遺伝子の開始コドン直前にphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製した。遺伝子挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB−Kmで大腸菌S17−1株(ATCC47005)を形質転換した。得られた形質転換体をKNK−005AS株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水和物0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK−005AS株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択して2回目の組換えが生じた株を取得した。さらにPCRによる解析により所望の遺伝子挿入株を単離した。
この遺伝子挿入株をPac−bktB/AS株と命名し、DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン直前にphaCのプロモーターおよびリボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株であることを確認した。
<ccr遺伝子のクローニング及び発現ユニット構築>
クロトニル−CoAを、3HHモノマーの前駆体であるブチリル−CoAに変換する酵素をコードするccr遺伝子を、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)Okami株(DSM 1042)の染色体DNAからクローニングした。配列番号7及び配列番号8記載のDNAをプライマーとしPCRを行った。その条件は(1)98℃で2分、(2)94℃で10秒、55℃で20秒、68℃で90秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで増幅した断片を精製後、制限酵素BamHI及びAflIIで切断した。EE32d13断片(J. Bacteriol., 179, 4821 (1997))を、pUC19ベクターのEcoRI部位にサブクローニングし、このプラスミドをBglIIとAflIIで切断し、BamHI及びAflII断片としたccr遺伝子と断片を置換することによってccr発現ユニットを構築した。
<phaC遺伝子のクローニング及び発現ユニット調製>
配列番号11を含むphaC発現ユニットをSpeI断片として調製した。特開2007-228894号公報[0031]に記載のHG::PRe−N149S/D171G−T/pBluを鋳型とし、配列番号9と配列番号10に示すプライマーとしてPCRを行った。その条件は(1)98℃で2分、(2)94℃で10秒、55℃で30秒、68℃で2分を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−を用いた。PCRで増幅した断片を精製後、制限酵素SpeIで切断して発現ユニットを調製した。
発現ベクターpCUP2−631は以下のようにして構築した。
C. necatorにおける発現ベクター構築用のプラスミドベクターとしては、国際公開公報WO/2007/049716号公報[0041]に記載のpCUP2を用いた。まず実施例7で構築したccr遺伝子発現ユニットをEcoRI処理により切り出し、この断片をMunIで切断したpCUP2と連結した。次に実施例8で作製したphaC発現ユニットをSpeI断片として調製し、ccr遺伝子発現ユニットを含むpCUP2のSpeI部位に挿入してpCUP2−631ベクターを構築した。
<形質転換体の作製>
pCUP2−631ベクターの種々の細胞への導入は以下のように電気導入によって行った。遺伝子導入装置はBiorad社製のジーンパルサーを用い、キュベットは同じくBiorad社製のgap0.2cmを用いた。キュベットに、コンピテント細胞400μlと発現ベクター20μlを注入してパルス装置にセットし、静電容量25μF、電圧1.5kV、抵抗値800Ωの条件で電気パルスをかけた。パルス後、キュベット内の菌液をNutrientBroth培地(DIFCO社製)で30℃、3時間振とう培養し、選択プレート(NutrientAgar培地(DIFCO社製)、カナマイシン100mg/L)で、30℃にて2日間培養して、生育してきた形質転換体を取得した。
<形質転換体の培養>
上記で作製した形質転換体の培養を行った。前培地の組成は1%(w/v)Meat−extract、1%(w/v)Bacto−Trypton、0.2%(w/v)Yeast−extract、0.9%(w/v)NaHPO・12HO、および、0.15%(w/v)KHPOで、pH6.7に調整した。
ポリエステル生産培地の組成は1.1%(w/v)NaHPO・12HO、0.19%(w/v)KHPO、0.6%(w/v)(NH)2SO、0.1%(w/v)MgSO・7HO、0.5%(v/v)微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6%(w/v)FeCl・6HO、1%(w/v)CaCl・2HO、0.02%(w/v)CoCl・6HO、0.016%(w/v)CuSO・5HO、0.012%(w/v)NiCl・6HO、0.01%(w/v)CrCl・6HOを溶かしたもの。)とした。炭素源としてPKOO(Palm kernel olein、パーム核油オレイン画分)を流加する流加培養にて行った。
それぞれの形質転換体のグリセロールストックを前培地に接種して20時間培養し、2.5Lのポリエステル生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MD−500型)に10%(v/v)接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度420rpm、通気量0.6vvmとし、pHは6.6から6.8の間でコントロールした。コントロールには14%のアンモニア水を使用した。培養は65時間まで行った。培養後遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄後、凍結乾燥し、PHBHを得た。
生産されたポリエステルの3HH組成分析は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥PHBHの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、PHBH分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のPHBH分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100から200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200から290℃まで30℃/分の速度で昇温した。上記条件にて分析した結果、3HH比率が12%のPHBHであった。
(実施例1)
3HH率12mol%のPHBH(Tm119℃、Mw52万、比重1.2g/ml)100重量部に対し、インジゴ(和光純薬製)0.2重量部をハンドブレンドした後、小型溶融混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)にて、200℃・2分間混練後に樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を適当量切り出し、偏光顕微鏡にて結晶化挙動を観察した。観察結果より、60℃保持直後に約10μm程度の結晶が視野全体に発現し、5分後には球晶が全体を埋め尽くした状態で成長した。
(実施例2)
3HH率12mol%のPHBH(Tm119℃、Mw52万、比重1.2g/ml)100重量部に対し、インジゴ(和光純薬製)1.0重量部をハンドブレンドした後、小型溶融混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)にて、200℃・2分間混練後に樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を適当量切り出し、偏光顕微鏡にて結晶化挙動を観察した。観察結果より、60℃保持直後に約10μm程度の結晶が視野全体に発現し、5分後には球晶が全体を埋め尽くした状態で成長した。
(比較例1)
3HH率12mol%のPHBH(Tm119℃、Mw52万、比重1.2g/ml)を小型溶融混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)にて、200℃・2分間混練後に樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を適当量切り出し、偏光顕微鏡にて結晶化挙動を観察した。観察結果より、60℃保持直後には結晶は見えず、約7分経過後に約30μm程の結晶が数少なく発現し、約40分経過後に球晶が全体を埋め尽くした状態で成長した。
以上の結果を、表1にまとめた。
Figure 2010006944

Claims (4)

  1. 式(1)
    [−O−CHR−CH−CO−] (1)
    (ここでRはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1〜15の整数)
    で示される一種以上の繰り返し単位からなる重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)、及び
    インジゴまたはその誘導体、を含有する脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  2. P3HA100重量部に対して、インジゴまたはその誘導体0.001〜10重量部を含有する請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  3. P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)である請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  4. PHBHを構成する繰り返し単位のうち、3−ヒドロキシヘキサノエート単位が1mol%〜20mol%を占める、請求項3に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
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