以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1乃至図5は、車室内の様子を示した自動車の概略断面図である。各図における矢印Frは、自動車の前進方向を示し、この前進方向Frに直交する、図1乃至図5の紙面に対して垂直な方向が車幅方向である。図6乃至図8及び図12には、この車幅方向を矢印Wで示してある。また、本明細書及び特許請求の範囲における「前」及び「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
図1に示した自動車の車体1、すなわちそのメインボデーは、それ自体周知のように、車体1の上部を構成するルーフパネル2と、車室Rの床面を構成するフロアパネル3と、車室Rの車幅方向各側部を構成するサイドパネル10(図7及び図8参照)などの各種のパネルから構成されていて、ルーフパネル2の車室内側の面は天井材6によって覆われ、各サイドパネルの車室内側の面も、内装材7によって覆われている。また、車体1の後部開口にはバックドア5が配置され、このバックドア5は図1に矢印A,Bで示す方向に回動開閉可能に車体1に支持されている。
図1に示すように、車室R内には、フロントシートより成る座席8と、このフロントシートよりも後方に配置されたリヤシートより成る座席11が配置され、この座席11は、図1に示すように、他の座席8と同じく、着座者の背部を支えるシートバック12と、着座者の尻部を支えるシートクッション13とを有している。図1には座席11に着座した着座者Pを二点鎖線で簡略化して示してある。
図1及び図6は、シートクッション13とシートバック12が、共に着座者Pが着座できる位置を占めた状態を示しており、このときシートクッション13は、ほぼ水平な姿勢を保ち、シートバック12はシートクッション13に対してほぼ垂直に立ち上がった姿勢を占めている。図5は、シートバック12とシートクッション13が車室Rの上部に格納されたときの様子を示し、図2乃至図4は、シートクッション13とシートバック12を車室Rの上部に格納するときの様子を示している。このときの動作については後に詳しく説明する。
図1に示したように着座者Pが腰を下ろすことのできるシートクッション13の位置を使用位置と称し、同様に着座者Pの背部を支えることのできるシートバック12の位置を使用位置と称することにする。また、図1に示したように、着座者Pが座席11に着座したとき、その着座者Pの背部を支えるシートバック12の面を着座者支え面12Aと称し、これとは反対側の面をシートバック背面12Bと称することにすると、シートバック12が使用位置にあるとき、その着座者支え面12Aは前方を向いている。このように着座者支え面12Aが前方を向いたときのシートバック12の位置を前向き位置とも称することにする。従って、シートバック12が図1に示した位置にあるとき、そのシートバック12は、使用位置を占めていると共に、前向き位置を占めていることになる。
シートバック12が図1に示したように使用位置を占めたときに下部となるシートバック部分の車幅方向各側部には、そのシートバックフレーム(図12参照)に固定されたヒンジピン15がそれぞれ設けられている。またシートクッション13の車幅方向各側部には、クッションフレーム(図示せず)に固着されたシートブラケット14がそれぞれ設けられ、その各シートブラケット14に形成された各孔が各ヒンジピン15にそれぞれ相対回転可能に嵌合している。
一方、シートバック12が図1及び図6に示した使用位置、ないしは前向き位置を占めているとき、シートバック12の車幅方向各側部4,4Aには、シートアーム17,17Aがそれぞれ対向して位置し、その各シートアーム17,17Aの基端部には枢ピン18,18Aが固着され、その各枢ピン18,18Aは車体1の各側部を構成するサイドパネル10(図7及び図8)にそれぞれ回転可能に支持されている。このように、シートアーム17は、その基端部が、枢ピン18,18Aを介して、車体1に回動可能に支持されている。
シートバック12が図1及び図6に示した前向き位置を占めたとき、シートアーム17,17Aの先端46,46Aは、最も下方で、かつ最も後方の最下位置を占め、シートバック12とシートクッション13が図5に示した車室上部の位置に格納されているとき、そのシートアーム17,17Aの先端46,46Aは、最も上方で、かつ最も前方の最上位置を占める。このように、シートアーム17,17Aは、その先端46,46Aが最も下方で、かつ最も後方の位置を占めた最下位置と、該先端46,46Aが最も上方で最も前方の位置を占めた最上位置との間を回動可能に車体1に支持されているのである。
また、シートバック12の車幅方向各側部4,4Aには、同心状に配置されたロックピン9,9Aがそれぞれ配置されている。図7は、図1のVII−VII線拡大断面図であって、一方のロックピン9を示す図である。図7においてはロックピン9の一部も断面で表わしてある。かかる図7から明らかなように、シートバック12の側部4に形成された穴には、そのシートバック12に固定されたガイドスリーブ16が嵌着され、このガイドスリーブ16にロックピン9が嵌合している。その際、ガイドスリーブ16にはキー溝19が形成され、このキー溝19には、ロックピン9に固定されたキー20が摺動自在に嵌合している。これにより、ロックピン9は、シートバック12に対して回転することはないが、そのロックピン9の軸線方向、すなわち車幅方向Wには摺動可能である。図7には、ロックピン9の摺動方向を矢印C,Dで示してある。
また、ロックピン9は、シートアーム17に形成されたねじ孔21を貫通して延びていて、ロックピン9に形成された雄ねじ47が、ねじ孔21の雌ねじにねじ係合している。また、シートバック12が前向き位置を占めているとき、ロックピン9は、図7に示すように、内装材7に形成されたロック穴22に嵌合している。車体1の側部を構成するサイドパネル10にロック穴を形成し、ロックピン9が内装材7を貫通して、サイドパネル10に形成されたロック穴に嵌合するように構成することもできる。このように、ロック穴は、座席11の側ではなく、車体1の側に形成されるものである。
図6に示した他方のロックピン9Aは、図7に示したロックピン9と対称に構成されている点を除き、ロックピン9と全く同様に構成されていて、このロックピン9Aも、もう一方のシートアーム17Aに形成されたねじ孔を貫通し、そのロックピン9Aに形成された雄ねじが、ねじ孔の雌ねじにねじ係合していると共に、シートバック12が前向き位置を占めているとき、ロックピン19Aの先端部が内装材7(図1)に形成されたロック穴(図示せず)に嵌合している。図6には、ロックピン9Aの摺動方向についても、矢印C,Dで示してある。
上述のように、各ロックピン9,9Aは、車幅方向Wに摺動可能ではあるが、シートバック12に対して相対回転不能に、そのシートバック12に支持されていると共に、各シートアーム17,17Aに形成されたねじ孔21を貫通して延びている。しかもシートアーム17,17Aが図1、図2及び図6に示した最下位置を占め、かつシートバック12が前向き位置を占めているとき、各ロックピン9,9Aの先端部は、車体側に設けられたロック穴22に係合して、各シートアーム17,17Aをその最下位置にロックする。
一方、図1及び図6に示すように、シートバック12の各側部4,4Aには、そのシートバック12が前向き位置を占めた状態で、上述のロックピン9,9Aよりも上方に位置する第1の係止ピン32,32Aと、ロックピン9,9Aよりも下方に位置する第2の係止ピン33,33Aがそれぞれ設けられている
第1の係止ピン32と第2の係止ピン33は実質的に同じ構造を有していて、図8の(a),(b)は、これらの係止ピン32,33をそれぞれ示す断面図である。図8の(a),(b)に示すように、シートバック12の側部4に形成された各穴には、ガイドスリーブ34,35が嵌着固定され、その各ガイドスリーブ34,35に、第1及び第2の係止ピン32,33が、それぞれ矢印E,F方向に摺動可能に嵌合している。各ガイドスリーブ34,35内には圧縮コイルスプリングより成る加圧ばね36,37が配置され、その各加圧ばね36,37によって、第1及び第2の係止ピン32,33は、車幅方向Wにおける外方(矢印E方向)に付勢されている。また、各加圧ばね36,37の作用に抗して、第1及び第2の係止ピン32,33を車幅方向内側に加圧すれば、その各係止ピン32,33は矢印F方向に移動する。
また、シートバック12が図1及び図6に示したように前向き位置を占めたとき、図8の(a)に示すように、第1の係止ピン32は、シートアーム17に形成された係止孔38に係合する。
シートバック12の他方の側部4Aの側に設けられた第1の係止ピン32Aは、図8の(a)に示した第1の係止ピン32と対称に配置されているほかは、この第1の係止ピン32と全く同じく構成され、シートバック12が前向き位置を占めているとき、第1の係止ピン32Aがシートアーム17Aに形成された係止孔38Aに係合する。また他方の側部4Aの側に設けられた第2の係止ピン33Aも、図8の(b)に示した第2の係止ピン33と対称に配置されているほかは、この第2の係止ピン33と全く同じく構成されている。図6には、これらの係止ピン32A,33Aの出没方向についても、矢印E,Fで示してある。
上述のように、第1の係止ピン32,32Aがシートアーム17,17Aに形成された係止孔38,38Aに嵌合することによって、前向き位置を占めたシートバック12がシートアーム17に対してロックされる。このとき、シートアーム17,17Aは車体1に対してロックされているので、シートバック12も車体1に対してロックされる。
上述の如く、本例の自動車においては、シートバック12の車幅方向各側部4,4Aに、車幅方向Wに出没可能な第1及び第2の係止ピン32,33,32A,33Aが支持され、シートバック12が前向き位置を占めているとき、第1の係止ピン32,32Aが各シートアーム17,17Aに形成された係止孔38,38Aにそれぞれ嵌合して、前向き位置を占めたシートバック12をシートアーム17,17Aに対してロックするように構成されている。
一方、図1乃至図6に示すように、シートクッション13の車幅方向側部には、クッションロック装置41が設けられている。図9は、このクッションロック装置41の拡大説明図である。
図1及び図9の(a)に示すように、クッションロック装置41は、第1のロック部材23を有し、この第1のロック部材23は、ピン25を介してシートクッション13の図示していないクッションフレームに回動可能に支持されている。かかる第1のロック部材23に隣接して第1のポール26がピン27を介してシートクッション13のクッションフレームに回動可能に支持され、第1のロック部材23と第1のポール26には、引張ばね28の各端部がそれぞれ係止されている。
シートクッション13が図1に示した使用位置にあるとき、第1のポール26の爪部は、図9の(a)に示すように、第1のロック部材23に形成された切欠より成る係合部29に引張ばね28の作用により係合し、これによって第1のロック部材23の回動が禁止されている。このとき、第1のロック部材23に形成された係合凹部30に、車体1のサイドパネル10に固着された第1のストライカ31が係合している。これにより、シートクッション13が車体1に対してロックされる。第1のストライカ31は、図10に示すように、その基端部31Aが車体1のサイドパネルに固着されたほぼU字形に形成され、かかる第1のストライカ31に第1のロック部材23の係合凹部30が係合するのである。
また、シートクッション13の他方の側部にも、図6に単なる四角のブロックで簡略化して示したクッションロック装置41Aが設けられている。このロック装置41Aは、図9に示したクッションロック装置41と対称に配置されているほかは、そのクッションロック装置41と実質的に同じく構成されている。
上述のようにして、使用位置にあるシートクッション13とシートバック12が車体1に対してロックされているので、乗員Pはかかる座席11に支障なく着座することができる。
また、図1及び図6に示すように、シートバック12が使用位置を占めたときに下部となるシートバック部分には、ストラップ42が設けられていて、このストラップ42は、図6及び図8に示したように、第1のワイヤ43,43Aを介して、各第1の係止ピン32,32Aに連結されていると共に、図6に示したように、第2のワイヤ45,45Aを介して、各第2の係止ピン33,33Aに連結されている。さらに、このストラップ42は、図6及び図9に示すように、第3のワイヤ44,44Aを介して、各クッションロック装置41,41Aの第1のポール26にそれぞれ連結されている。ストラップ42と、これに関連する構成は後に詳しく説明する。
シートバック12とシートクッション13を車室上部に格納するときは、先ず図1に示したバックドア5を矢印A方向に回動させて、これを図2に示した開位置にもたらす。次いで、図2に二点鎖線で簡略化して示した操作者OPが、バックドア5を開くことにより開放された車体後部の開口から手を入れ、ストラップ42を掴んで、これを矢印S方向に引張る。すると、先ず第3のワイヤ44,44Aが図6に矢印Oで示した方向に引かれ、これによってクッションロック装置41,41Aのロックが解除される。このときの動作を図9を参照して説明する。
上述のようにストラップ42を引張ることによって、第3のワイヤ44は、図9の(a)に矢印Oで示した方向に引かれ、これによって第1のポール26が、矢印Iで示したように、ピン27のまわりに時計方向に回動する。すると、第1のポール26の爪部が第1のロック部材23の係合部29から外れる。このため、第1のロック部材23は、第1の引張ばね28の引張作用によって、図9の(a)に矢印Kで示した方向にピン25のまわりに回動し、図9の(b)に示した位置を占める。これにより、第1のロック部材23の係合凹部30が第1のストライカ31から外れ、クッションロック装置41によるシートクッション13へのロックが解除される。他方のクッションロック装置41Aも全く同様にしてロックを解除される。このとき、シートバック12は未だ前向き位置を占めたままである。
上述のようにシートクッション13に対するロックを解除すると、それまで図1に示した使用位置を占めていたシートクッション13は、ヒンジピン15のまわりに設けられた図示していないスパイラルスプリングの作用によって、ヒンジピン15のまわりに、図1に矢印Gで示した方向に回動し、図2に示したように、前向き位置にあるシートバック12の着座者支え面12Aに重なった重ね位置まで回動して停止する。このように、シートクッション13は、シートバック12の着座者支え面12Aに重なった重ね位置に回動可能にシートバック12に連結されているのである。
操作者OPが、ストラップ42を、さらに矢印S方向に引張ると、第1のワイヤ43が、図6及び図8の(a)に矢印Hで示した方向に引かれ、これによって第1の係止ピン32が、矢印F方向に摺動して、シートアーム17に形成された係止孔38から外れる。同時に、もう一方の第1のワイヤ43Aも、図6に矢印Hで示した方向に引かれ、これによって、もう一方の第1の係止ピン32Aも、係止孔38Aから外れる。このようにして、シートアーム17,17Aに対するシートバック12のロックが解除されるのである。このとき、シートアーム17,17Aは、最下位置にロックされたままである。
次いで、操作者OPは、互いに重なり合ったシートバック12とシートクッション13を、同心状のロックピン9,9Aの中心軸線のまわりに、図2に矢印Jで示した方向に回動させる。このとき、ロックピン9,9Aのまわりに、図示していないスパイラルスプリングを設けておき、そのスプリングの作用によって、重なり合ったシートバック12とシートクッション13が図2に矢印Jで示した方向に回動付勢されるように構成すれば、楽に操作することができる。
上述のようにシートクッション13とシートバック12を回動させることにより、シートクッション13とシートバック12は、図3に示した中間位置を通り、次いで図4に示した最終位置まで回動する。このとき、操作者OPはストラップ42から手を離していて、図8の(b)に示したように加圧ばね37によって付勢された第2の係止ピン33が、図4に示したように、シートアーム17に形成された係止孔38に嵌合する。第2の係止ピン33が係止孔38に容易に嵌合できるように、第2の係止ピン33の先端は丸く形成されている。同時に、シートバック12の他方の側部4Aに設けられたもう一方の第2の係止ピン33Aも、シートアーム17Aに形成された係止孔38Aに係合する。これにより、シートバック12は、再びシートアーム17,17Aに対してロックされる。このとき、シートバック12の着座者支え面12Aは後方を向いている。このときのシートバック12の位置を後向き位置と称することにする。
上述のように、シートバック12は、シートアーム17,17Aがその最下位置を占めた状態で、該シートバック12の着座者支え面12Aが前方を向いた前向き位置と該支え面12Aが後方を向いた後向き位置との間を回動可能に前記シートアームに支持されている。しかも、図4に示したように、シートクッション13が重ね位置を占め、かつシートバック12が後向き位置を占めたとき、第2の係止ピン33,33Aが各シートアーム17,17Aに形成された係止孔38,38Aにそれぞれ嵌合して、後向き位置を占めたシートバック12をシートアーム17,17Aに対してロックする。
また、シートバック12が後向き位置を占めたときも、該シートバック12が前向き位置を占めたときと同様に、各シートアーム17,17Aは、シートバック12の各側部4,4Aに対向して位置する。このように、本例の自動車には、2つのシートアーム17,17Aが設けられていて、シートバック12が前向き位置又は後向き位置を占めた状態で、各シートアーム17,17Aは、シートバック12の車幅方向各側部4,4Aにそれぞれ対向して位置するのである。
上述のように、シートバック12をシートクッション13と共に、図2に示した前向き位置から図4に示した後向き位置に回動させるとき、ロックピン9,9Aもシートバック12と共にその中心軸線のまわりに回転する。このとき、図7に示したように、ロックピン9に形成された雄ねじ47がシートアーム17に形成されたねじ孔21の雌ねじにねじ係合しているので、シートバック12の回動に伴って、ロックピン9は、図9に矢印Cで示した方向に移動し、シートバック12が図4に示した後向き位置に至る直前に、そのロックピン9の先端部が内装材7に形成されたロック穴22から外れる。他方のロックピン9Aも同様にしてロック穴から外れる。このようにロックピン9,9Aがロック穴から外れる向きに該ロックピン9,9Aが摺動するように、雄ねじ47と、これが係合する雌ねじが形成されているのである。このようにして、シートアーム17,17Aに対するロックが解除される。
上述のように、本例の自動車においては、シートバック12が前向き位置から後向き位置へとロックピン9,9Aの中心軸線のまわりに回動する間に、ロックピン9,9Aが車幅方向内側へ引っ込んで、該ロックピン9,9Aの先端部がロック穴22から外れ、各シートアーム17,17Aに対するロックが解除されるように、各シートアーム17,17Aのねじ孔21に形成された雌ねじと、各ロックピン9,9Aに形成された雄ねじ47とがねじ係合しているのである。
上述のようにして、シートバック12はシートクッション13と共にシートアーム17,17Aに対してロックされ、しかもそのシートアーム17,17Aのロックは解除されているので、操作者OPがシートクッション13の重なったシートバック12を軽く前方に押せば、各枢ピン18,18Aのまわりに巻回された図示していないスパイラルスプリングの作用によって、シートクッション13とシートバック12は、シートアーム17,17Aと共に、枢ピン18,18Aの中心軸線のまわりに、図4に矢印Lで示した前方向に回動し、シートクッション13とシートバック12は、図5に示した車室上部の格納位置に収められる。このときシートバック12はシートクッション13の上側に位置し、シートアーム17,17Aは最上位置を占める。
以上のように、本例の自動車は、シートクッション13とシートバック12が、シートアーム17,17Aを介して車室Rの上部に格納可能に支持されていて、シートクッション13が重ね位置を占め、かつシートバック12が後向き位置を占めた状態で、シートアーム17,17Aを最下位置から最上位置へ回動させることにより、シートバック12がシートクッション13の上に重なった状態で、該シートバック12とシートクッション13が車室Rの上部に格納されるのである。その際、図5に示したように、シートバック12とシートクッション13を車室Rの上部に格納した状態で、当該シートバック12の前後方向の幅W1は、シートクッション13の前後方向の幅W2よりも大きく設定されている。下側に位置するシートクッション13の方が、その上に位置するシートバック12よりも小型に構成されているのである。このため、シートバック12とシートクッション13を車室上部に格納したとき、その下方に大きな荷物収納空間を確保でき、しかも車室内の乗員に圧迫感を与える不具合を阻止できる。
ところで、シートバック12には、図6に単なる四角のブロックで簡略化して示したバックロック装置141,141Aが設けられている。これらのバックロック装置141,141Aも、対称に構成されているほかは、同一の構成を有している。図が煩雑となることを避けるため、図1乃至図3においても、一方のバックロック装置141を単なる四角のブロックで示してあり、図4、図5及び図11にこのバックロック装置141の構成を示してある。
図11から判るように、このバックロック装置141も、図9に示したクッションロック装置41と同様に、ピン125を介してシートバック12のシートバックフレームに回動可能に支持された第2のロック部材123と、その第2のロック部材123に隣接して配置され、かつピン127を介してシートバックフレームに回動可能に支持された第2のポール126と、第2のロック部材123と第2のポール126とに各端部が係止された第2の引張りばね128とを有している。
シートバック12とシートクッション13が図5に示した格納位置よりも下方の位置にあるときは、図4及び図11の(a)に示すように、第2のポール126の爪部は、第2のロック部材123に形成された係合部129から外れている。シートバック12とシートクッション13が図4に示した位置よりも矢印L方向に回動して、これらが格納位置の直前の位置に至ると、第2のロック部材123の当接部160が、ルーフパネル2に固定された第2のストライカ131に当り、これによって第2のロック部材123は、第2の引張りばね128の作用に抗して、図11に矢印Vで示した方向に回動し、シートバック12とシートクッション13が図5に示した格納位置に至ると、図11の(b)に示したように、第2のロック部材123の係合凹部130が第2のストライカ131に係合する。このとき、第2のポール126の爪部は、第2のロック部材123の係合部129に係合し、第2のロック部材123の回動が禁止される。このようにして、シートバック12は、シートクッション13と共に、その格納位置にロックされる。第2のストライカ131も、図10に示した第1のストライカ31と同様に形成されている。
バックロック装置141の第2のポール126も、図6及び図11に示した第4のワイヤ48を介して、前述のストラップ42に連結され、もう一方のバックロック装置141Aの第2のポール(図示せず)も、第4のワイヤ48Aを介してストラップ42に連結されている。
シートバック12とシートクッション13を再び使用位置に戻すには、この場合も操作者OPがストラップ42を引張る。このとき、先ず第4のワイヤ48,48Aが引かれて、バックロック装置141,141Aのロックが解除される。ここでも、一方のバックロック装置141のロック解除動作を説明すると、第4のワイヤ48が矢印U方向に引かれることにより、図11の(b)に示した第2のポール126が矢印M方向に回動して、その第2のポール126の爪部が第2のロック部材123の係合部129から外れる。これにより、第2のロック部材123は第2の引張りばね128の作用によって矢印N方向を回動し、第2のロック部材123の係合凹部130が第2のストライカ131から外れる。もう一方のバックロック装置141Aにおいても同じ動作が実行される。これにより、シートバック12に対するロックが解除される。
そこで、操作者OPは、ストラップ42をさらに引張りながら、シートバック12とシートクッション13を、シートアーム17,17Aと共に枢ピン18,18Aの中心軸線のまわりに図5に矢印PLで示した方向に回動させ、これらを図4に示した位置にもたらす。この動作中に、ストラップ42は操作者OPによってさらに引張られるので、図6及び図8の(b)に示した第2のワイヤ45,45Aが矢印Q方向に引かれる。これにより、第2の係止ピン33が図8の(b)に矢印Fで示した方向に摺動する。このため、シートアーム17,17Aとシートバック12とシートクッション13が、例えば図4に示した位置の直前の位置に至ったとき、第2の係止ピン33は、シートアーム17に形成された係止孔38から外れる。他方の第2の係止ピン33Aも同様にして係止孔38Aから外れる。このようにして、シートバック12は、シートアーム17,17Aに対してフリー状態となる。
次いで、操作者OPは、互いに重なったシートバック12とシートクッション13を、ロックピン9,9Aの中心軸線のまわりに図4に矢印Rで示した方向に回動させる。これにより、ロックピン9,9Aは、シートバック12に対して、図6及び図7に矢印Dで示した車幅方向外方に向けて摺動するので、シートバック12とシートクッション13が図4に示した位置から少し矢印R方向に回動したところで、ロックピン9の先端部が内装材7に形成されたロック穴22に嵌合する。このため、シートアーム17,17Aが車体1に対してロックされる。
そこで、シートバック12とシートクッション13を、さらにロックピン9,9Aの中心軸線のまわりに矢印R方向に回動させ、図3に示した位置を経過させて図2に示した位置にもたらす。このとき、操作者OPは、ストラップ42から手を離しており、従って図2及び図8の(a)に示したように、第1の係止ピン32がシートアーム17に形成された係止孔38に嵌合し、他方の係止ピン32Aも同様に係止孔38Aに嵌合する。このようにして、シートバック12がシートアーム17,17Aに対してロックされる。このとき、シートバック12は前向き位置を占めている。
引き続き、重ね位置を占めたシートクッション13をヒンジピン15のまわりに図2に矢印Tで示した方向に回動させ、そのシートクッション13を図1に示した使用位置にもたらす。この場合も、シートクッション13が使用位置の直前の位置に至ったとき、図9の(b)に示した第1のロック部材23の当接部60が図9の(a)に示した第1のストライカ31に当り、第1のロック部材23が第1の引張りばね28の作用に抗して矢印Y方向に回動する。このため、シートクッション13が使用位置に至ると、第1のロック部材23の係合凹部30が第1のストライカ31に係合すると共に、第1のポール26が第1の引張りばね28の作用によって矢印Z方向に回動して、第1のロック部材23の係合凹部29に係合する。これにより、シートクッション13が、図1に示した使用位置にロックされる。
次にストラップ42と、これに関連する構成について説明する。
図12は、シートバック12のシートバックフレーム50の下部を示す斜視図であり、このシートバックフレーム50の下部には、互いに対向した一対ずつのガイドレール51,51Aがそれぞれ固着され、その各対のガイドレール51,51Aには、スライダ52,52Aがそれぞれ摺動可能に嵌合し、各スライダ52,52Aに前述のストラップ42の長手方向各端部がそれぞれ固定されている。
各スライダ52,52Aには、4つずつの孔53,53Aが形成され、一方のスライダ52の各孔53には、前述の第1乃至第4のワイヤ43,45,44,48が摺動自在に挿通され、その各ワイヤの先端には、各孔53の径よりも大径な球57,58,59,61が固定されている。他方のスライダ52Aの各孔53Aにも、前述の第1乃至第4のワイヤ43A,45A,44A,48Aが摺動自在に挿通され、その先端に、各孔53Aよりも大径な球57A,58A,59A,61Aが固定されている。
ここで、シートバック12とシートクッション13が図1及び図6に示した使用位置にあり、各スライダ52,52Aが図12に示した初期位置にあるとき、第1のワイヤ43,43Aに固定された球57,57Aと、スライダ52,52Aとの間の距離L1は、第3のワイヤ44,44Aの先端に固定された球59,59Aと、スライダ52,52Aとの間の距離L2よりも大きくなっている。このため、前述のようにシートバック12とシートクッション13が図1に示した使用位置にある状態で、ストラップ42を矢印S方向に引張り、そのストラップ42に固定されたスライダ52,52Aを同じ矢印S方向に移動させると、スライダ52,52Aは先ず第3のワイヤ44,44Aに固定された球59,59Aに当ってその第3のワイヤ44,44Aを矢印S方向に引き、次いでスライダ52,52Aは第1のワイヤ43,43Aに固定された球57,57Aに当って、第1のワイヤ44,44Aを矢印S方向に引く。このように、第1のワイヤ43,43Aと第3のワイヤ44,44Aを引き始める時期に差をもたせることによって、先ずクッションロック装置41,41Aのロックを解除し、次いで第1の係止ピン32,32Aを係止孔38,38Aから外すことができる。
同様に、シートバック12とシートクッション13が図5に示した格納位置にあり、スライダ52,52Aが図12に示した初期位置にあるとき、図12に示した第2のワイヤ45,45Aに固定された球58,58Aとスライダ52,52Aとの間の距離L1が、第4のワイヤ48,48Aに固定された球61,61Aとスライダ52,52Aとの間の距離L2よりも大きくなっている。このため、シートバック12とシートクッション13が格納位置を占めた状態で、ストラップ42を矢印S方向に引張ると、先ず第4のワイヤ48,48Aに固定された球61,61Aがスライダ52,52Aに当り、第4のワイヤ48,48Aが矢印S方向に引かれ、次いで第2のワイヤ45,45Aに固定された球58,58Aがスライダ52,52Aに当って、第2のワイヤ45,45Aが矢印S方向に引かれる。このため、先ずバックロック装置141,141Aのロックが解除され、次いで第2の係止ピン33,33Aが係止孔38,38Aから外れる。
操作者が図12に示したストラップ42を矢印S方向に引張った後、そのストラップ42から手を離すと、図示していないばねの作用により、スライダ52,52Aは図12に示した初期位置に戻される。