JP2010004919A - 医療用チューブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】湾曲可能な管路に先端部材3から挿入して用いる医療用チューブ1であって、先端部材3が、先端部材3を除くチューブ部材2のチューブ表面2aに比べて低摩擦となるように構成する。
【選択図】図1
Description
従来、このような医療用チューブに関する技術として、特許文献1には、バルーンカテーテルであって、バルーン前方のチューブに設けられた誘導部の最先端部を除く外周側面に、湿潤時摩擦係数が0.5よりも小さくなるように表面処理したものが記載されている。
例えば、生体内に挿入された内視鏡は、一般には複雑に湾曲している。そのため、内視鏡内に設けられ、医療用チューブを挿入するための管路を形成するチャンネル管も同様に複雑に湾曲している。そのため、医療用チューブを先端部からチャンネル管に挿入すると、医療用チューブの最先端部がチャンネル管の湾曲部分を通過する際に、チャンネル管内壁に強制的に押し当てられる状態で通過することになる。この結果、医療用チューブは、チャンネル管内壁から最も大きな反力を受けることになり、高い挿入力量が必要となる。
この発明によれば、管路に挿入する先端部が、先端部を除くチューブ本体表面に比べて低摩擦とされるため、管路が湾曲していても、挿入する際の摩擦抵抗を低下させ、挿入力量を低減させることができる。
この場合、先端部材によって先端部を形成するので、先端部材の材質を適宜選択することにより、摩擦係数の設定が容易となる。また、先端部がチューブ部材の端部で構成される場合に比べて、より低摩擦となる形状に形成することが容易となる。
この場合、先端部材のチューブ軸方向長さが20mm以下と短いため、チューブ本体の可撓性などの機械特性をあまり変化させることなく最先端部分の摩擦抵抗を低下させることができる。
この場合、先端部材を高分子材料で形成するので、例えば、成形などの手段を用いることにより、先端部材をチューブ部材の先端に容易に形成、接合することができるので、製造が容易となる。
この場合、例えば、成形などの手段を用いることにより、先端部材をチューブ部材の先端に容易に形成、接合することができるとともに、無機粒子が先端部材の表面に露出することで、表面の摩擦を低減することができる。
この場合、先端部をコーティング部によって形成するので、部品点数を削減することができるとともに、コーティング処理の種類やコーティング材料を適宜設定することにより、摩擦係数を容易に変えることができる。
この場合、コーティング部の長さを150mm以下と短くすることにより、コーティング層の形成が容易となり、先端部の摩擦特性を良好なものとすることができる。
コーティング部の長さを150mmより長くすると、コーティングのムラなどによって、コーティング部の品質が不均一となり、安定した低摩擦特性が得られない。また、製造コストが増大してしまう。
この場合、コーティング部を親水性材料で形成するので、管路が湿潤している場合に低摩擦特性が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの概略構成を示す軸方向に沿う模式的な断面図である。図1(b)は、図1(a)のA視側面図である。
医療用チューブ1の概略構成は、図1(a)、(b)に示すように、内径d1、外径d2の円管状のチューブ部材2と、チューブ部材2の一方の端部に接続された先端部材3とからなる。
そして、先端部材3は、挿入部3bをチューブ部材2の一方の端部のチューブ内面2bに挿入した状態で、チューブ部材2に装着されている。これにより、外径d2、長さL1の医療用チューブ1が形成されている。
このため、先端部本体3aは、軸方向の先端に先端面3Bを備え、それに隣接して、チューブ軸方向に長さL2の外周側面3Aがチューブ部材2のチューブ表面2aと整列されている。先端部材3は、医療用チューブ1の挿入時の先端部を構成している。
また、先端部本体3aの長さL2は、20mm以下が好適である。これにより医療用チューブ1の先端側の機械特性、例えば、可撓性、曲げ弾性などが大きく変更されることがなく、種々の湾曲を有する管路に軽荷重で挿入することが可能となる。また、先端部材3を小型化することで製作コストを低減することができる。
このPebax(登録商標)6333SN01は、ISO 178に基づいて測定した場合の曲げ弾性率は390MPaであった。また、面圧0.8134MPa(0.83kgf/cm2)、線速度6.2cm/secで相手材をS45C鋼としたときの動摩擦係数は0.20であった。
この超高分子量ポリエチレンは、数平均分子量330万、JIS-K7171で測定された曲げ弾性率は1100MPa、面圧0.8134MPa(0.83kg/cm2)、線速度6.2cm/secで相手材をS45C鋼としたときの動摩擦係数は0.12であった。
ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、あるいはポリアミド系樹脂の共重合体であるポリエーテルポリアミドなどが挙げられる。また、複数のポリアミド系樹脂の混合樹脂を使用してもよい。
さらに、上記樹脂を一成分とする各種のアロイ系樹脂からも選定することができる。上記樹脂の軟質化・柔軟化にあたっては、可塑剤等を配合してもよい。
力学上、湾曲変形した管路の内部を医療用チューブ1が通過する際には先端部に最も大きな抵抗がかかり、挿入時の抵抗となる。このため、チューブ部材2に先端部材3を装着して、挿入時に最も抵抗かかる部分の摩擦抵抗を調整することにより、チューブ部材2の材質を変更することなく挿入力量を低減することができる。
このような低摩擦係数を有する高分子材料は、硬質のものが多いが、本実施形態では、先端部本体3aの長さL2を20mm以下とすることで、先端部材3が硬質であっても、医療用チューブ1の先端側の大部分を占めるチューブ部材2の可撓性や曲げ弾性などの機械特性を大きく変更することなく、先端部の摩擦抵抗を低減できる。
図2は、挿入力量の測定の様子を示す模式説明図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの実施例、および比較例の挿入力量の測定結果を示す棒グラフである。横軸は測定サンプルの名称、縦軸は挿入力量(N)である。
チューブ部材2の寸法は、これらにすべて共通で、長さ2000mm、外径d2=φ2.4mm、内径d1=φ1.7mmである。また、材質は、上記のPebax(登録商標)6333SN01である。
先端部材3の寸法については以下の通りである。
実施例1の測定サンプルは、挿入部3bの外径が、d1=φ1.7mm、長さが、L3=1.5mmであり、先端部本体3aの外径が、d2=φ2.4mm、長さがL2=10mmである。また、d3=1.0mmとしている。また、材質は、上記の超高分子量ポリエチレンである。
実施例2、3の測定サンプルは、実施例1の寸法に対して、先端部本体3aの長さが、それぞれ、L2=20mm、40mmである点のみ異なる。
比較例1の測定サンプルは、チューブ部材2を有さず、先端部本体3aの長さが、L2=100mmである先端部材3のみからなる。
比較例2の測定サンプルは、先端部材3を装着していないチューブ部材2のみからなる。
挿入力量の測定には、図2に示す応力測定装置10を用いた。
応力測定装置10は内径3.2mm、外径4.4mm、長さ400mmの円筒状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるチャンネル管4の先端部が屈曲形状を有するL字型部5に配置され、チャンネル管4に対向して、測定サンプルを押し出すチューブ固定金属棒7を有する応力感知用測定器8が配置されたものである。
ここで、チャンネル管4は、実際に内視鏡において用いられるものを用いている。
L字型部5は、管径が4.4mmで、入口側から長さ105mmの直線部5a、曲線部5b、長さ125mmの直線部5cから構成される。曲線部5bの外側の曲率半径Rは、50mmであり、この外側の曲線部分の長さは39.25mmである。これにより、直線部5a、5bが、図示紙面内で、90°屈曲されている。
まず、各測定サンプルの長さを400mmに調整し(但し、比較例1の測定サンプルのみ長さ100mm)、後端側をチューブ固定金属棒7の先端に固定して、チャンネル管4に挿入し、初期状態で直線部5aの入口から20mmだけ侵入させたチューブ設置位置6にセットする。
この状態から、測定サンプルを移動ストローク300mm、移動速度50mm/secで、L字型部5内に10往復の繰返し挿入を行う。
測定サンプルは、L字型部5内に進出すると、先端1Aが曲線部5bに当接するなどしてたわみ、外周側面3Aやチューブ表面2aがチャンネル管4の内壁と接触して、摩擦抵抗が発生する。
そして、この繰り返し挿入における最大挿入力を、チューブ固定金属棒7が接続された応力感知用測定器8によって検出し、それぞれ10回の平均値をとって挿入力量とした。
実施例1、2、3の医療用チューブ1では、挿入力量はそれぞれ、0.196N(20gf)、0.176N(18gf)、0.274N(28gf)であった。
比較例1、2の医療用チューブでは、挿入力量はそれぞれ、0.637N(65gf)、0.490N(50gf)であった。
すなわち、先端部材3を有しない比較例2との比較では、実施例1〜3は、それぞれ40%、36%、56%の軽荷重となっている。したがって、長さL2が40mm以下の先端部材3を装着することで、挿入力量が大幅に減少していることが分かる。
また、L2=20mmの実施例2を基準として、先端部本体3aがさらに20mm延ばされた実施例3では、挿入力量が約56%の増大となっている。
先端部材3は、当接部において摩擦抵抗を低減するため、挿入力量を低減する作用を有するが、一方、先端部材3は硬質の材料で構成されているため、先端部本体3aの長さがある程度長くなると、当接部での摩擦抵抗よりも、医療用チューブ1の先端に可撓性が失われることで、湾曲部での円滑な移動が困難になってしまう。このため、本測定結果に示すように、長さL2が20mm以上では、挿入力量が増大し、特に、L2=100mmでは、先端部材3がない場合よりも悪化している。
したがって、先端部本体3aの長さL2は、40mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
図4(a)は、本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブの概略構成を示す軸方向に沿う模式的な断面図である。図4(b)は、図4(a)のB視側面図である。
そして、先端部材12は、外嵌部12bをチューブ部材2の一方の端部のチューブ表面2aに外嵌した状態で、チューブ部材2に装着されている。
このため、先端部材12は、軸方向の先端に先端面12Bを備え、それに隣接して、チューブ軸方向に長さ(L4+L5)の外周側面12Aが、チューブ部材2のチューブ表面2aよりも大径の円柱部として形成されている。先端部材12は、医療用チューブ11の挿入時の先端部を構成している。
また、外周側面12Aの長さは、20mm以下が好適である。これにより医療用チューブ11の先端側の機械特性、例えば、可撓性、曲げ弾性などが大きく変更されることがなく、種々の湾曲を有する管路に軽荷重で挿入することが可能となる。また、先端部材12を小型化することで製作コストを低減することができる。
高分子材料としては、上記第1の実施形態において、先端部材3に好適として列挙した高分子材料をすべて採用することができる。
本実施形態では、複合材料のベースマトリックスとしてPebax(登録商標)6333SN01を採用している。
無機粒子としては、ベースマトリックスと複合化できる材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの金属無機塩、アルミナなどの金属酸化物、窒化ホウ素などの窒素化合物、粉末炭素、針状炭素、カーポンナノチューブ、フラーレン、などの単一組成無機物などを採用することができる。
また、上記無機粒子の添加量についても、高分子材料と複合化できる量であれば特に限定されるものではない。無機粒子の複合化に際して、使用する無機粒子は単独であっても、2種以上の複合であってもよい。
この無機物分散高分子材料は、ISO 178に基づいて測定した曲げ弾性率は450MPaであった。また、面圧0.0813MPa(0.83kgf/cm2)、線速度6.2cm/secで相手材をS45C鋼としたときの動摩擦係数は0.15であった。
このように、ヒ性硫酸バリウムとチッ化ホウ素を複合させることで、Pebax(登録商標)6333SN01単体に比べて、動摩擦係数は0.05低減されている。
先端部材12は、ベースマトリックスが、チューブ部材2と同一のため、射出成形による一体成形が容易であり、良好な装着強度が得られる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブの実施例、および比較例の挿入力量の測定結果を示す棒グラフである。横軸は測定サンプルの名称、縦軸は挿入力量(N)である。
チューブ部材2の寸法は、これらにすべて共通で、上記第1の実施形態の場合と同様に、長さ2000mm、外径d2=φ2.4mm、内径d1=φ1.7mmである。また、材質は、上記のPebax(登録商標)6333SN01である。
先端部材12の寸法については以下の通りである。
実施例4の測定サンプルは、先端部本体12a、外嵌部12bの外径が、d4=φ2.7mm、長さが、それぞれL4=10mm、L5=5mmである。材質は、上記の無機物分散高分子材料である。
実施例5、6、7の測定サンプルは、実施例4の寸法に対して、先端部本体12aの長さが、それぞれ、L4=20mm、40mm、100mmである点のみ異なる。
したがって、実施例4〜7では、外周側面12Aの長さ(L4+L5)は、それぞれ、15mm、25mm、45mm、105mmである。
各測定サンプルに対する測定結果を、図5のグラフに示す。ただし、比較のため比較例2のデータを併せて記載している。
実施例4〜7の医療用チューブ11では、挿入力量はそれぞれ、0.284N(29gf)、0.255N(26gf)、0.255N(26gf)、0.304N(31gf)であった。
すなわち、先端部材12を有しない比較例2との比較では、実施例4〜7は、それぞれ58%、52%、52%、62%の軽荷重となっている。したがって、チューブ部材2の先端に、外周側面12Aが105mm以下の先端部材12を設けることで、挿入力量が大幅に減少していることが分かる。
ただし、先端部材12では、先端部材3と異なり、外周側面12Aの外径が、チューブ部材2の外径よりも大きいため、医療用チューブ11の先端部では、より摩擦係数が大きいチューブ表面2aが、湾曲部に接触しにくくなるため、挿入力量が先端部材12の長さの影響を受けにくくなっていると考えられる。
したがって、先端部材12として、より低摩擦の材質を採用すれば、挿入力量がより低下して好ましい。
また、先端部材12では、高分子材料からなるベースマトリックスに無機粒子を複合させて低摩擦として高分子複合材料を用いるため、高分子材料のみで低摩擦を実現する場合よりも成形が容易な材料を採用することができる。また、チューブ部材2と同一の材料をベースマトリックスとしても用いることが可能となり、この場合、射出成形などによるチューブ部材2との一体成形が容易であり、しかも良好な装着強度が得られる。そのため、製造容易な医療用チューブとなる。
本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
図6(a)は、本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブの概略構成を示す軸方向に沿う模式的な断面図である。図6(b)は、図6(a)のC視側面図である。
コーティング部22は、チューブ部材2の表面を低摩擦化する処理であれば、適宜のコーティング処理、あるいは表面処理を採用することができ、湿潤環境で用いる場合には、親水性コーティング処理を施すことが好ましい。
例えば、親水潤滑コート材料として、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(VEMA)を用いたコーティング処理を採用することができる。
他の好適なコーティング材料としては、湿潤性能を有するハイドロゲルが好ましい。ハイドロゲルを固定する方法としては当業界公知の方法すべてが適用可能であり、例えば、放射線やプラズマ、紫外線を照射して表面基材にハイドロゲルモノマーをグラフト重合する方法や、ハイドロゲル溶液を表面基材に塗布し、基材表面の官能基とハイドロゲルの官能基を化学反応により結合する方法等が挙げられる。使用するハイドロゲルには特に制限はないが、例えば、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、メチルビニルエーテル無水マレイン酸やこれらの共重合体が好ましい。
また、コーティング材料として、低摩擦特性を有するものであれば、親水性材料に限定されるものではなく、例えば、銀、銅、亜鉛、すず、チタンおよびその化合物など金属材料、PTFE、ポリウレタン、エポキシ材料などの有機材料、シラン化合物、チッ化ホウ素などの無機材料などを採用してもよい。
また、コーティングの厚みについても特に規定するものではなく、医療用チューブ21の機能を損なわない程度の適宜の厚みに設定することができる。
長さL6が150mmより長くなると、コーティングのムラなどによって、コーティング部の品質が不均一となり、安定した低摩擦特性が得られない。また、製造コストが増大してしまう。
本実施形態では、上記第1、第2の実施形態のように、先端部材を有しないため、部品点数が削減されている。
また、チューブ部材2に比べて硬質の先端部材を有しないため、先端部の可撓性や曲げ弾性などの機械特性が、チューブ部材2と略同様となる。そのため、湾曲部での挿入を円滑に行うことができる。さらに、先端部材などと異なり、コーティング部22の長さを長くしても、機械特性が悪化させることなく低摩擦となる領域を増やすことができ、より軽荷重での挿入が可能となる。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブの実施例、および比較例の医療用チューブの挿入力量の測定結果を示す棒グラフである。横軸は測定サンプルの名称、縦軸は挿入力量(N)である。
チューブ部材2の寸法は、これらにすべて共通で、上記第1の実施形態の場合と同様に、長さ2000mm、外径d2=φ2.4mm、内径d1=φ1.7mmである。また、材質は、上記のPebax(登録商標)6333SN01である。
コーティング部22は、VEMAを厚さ100μmでコーティングした。各測定サンプルの違いは、長さL6のみである。
実施例8、9の測定サンプルは、それぞれL6=10mm、150mmである。
比較例3は、L6=2000mm、すなわち、チューブ部材2の全長をコーティングしたものである。
各測定サンプルに対する測定結果を、図7のグラフに示す。ただし、比較のため比較例2のデータを併せて記載している。
実施例8、9の医療用チューブ21では、挿入力量はそれぞれ、0.186N(19gf)、0.157N(16gf)であった。
比較例3の医療用チューブの挿入力量は、0.147N(15gf)であった。
すなわち、先端部材3を有しない比較例2との比較では、実施例8、9は、それぞれ38%、32%の軽荷重となっている。したがって、チューブ部材2の先端に、コーティング部22を、チューブ軸方向長さ150mm以下で設けることで、挿入力量が大幅に減少していることが分かる。
なお、比較例3は、最も良好な結果であるが、L6=150mmの実施例9とは、ほとんど実験誤差程度の違いしかない。また、L6=10mmの実施例8ともわずかの差しかないことから、コーティングの効果は、側面コーティング面22Aよりも、端面コーティング面22Bの寄与が大きいと考えられる。そのため、比較例3の全面的なコーティングはコスト高となり、また、量産時にはコーティングの不均一性などによる挿入力量の変動などが発生する可能性もある。
したがって、長さL6は150mm以下とすることが好ましいことが分かる。長さL6は短いと挿入力量が増大するが、必要な挿入力量に応じて、適宜設定すればよい。上記結果から少なくとも10mm以上とれば十分である。
また、医療用チューブは、適宜の医療機器の先端側の一部を構成するものであってもよい。
例えば、先端部材3、12の表面に、第3の実施形態で用いたコーティング処理を施してもよい。
2 チューブ部材
3、12、31、41 先端部材(先端部)
2a チューブ表面
3a、12a 先端部本体
3b 挿入部
3A、12A 外周側面
3B、12B 先端面
22 コーティング部
22A 側面コーティング面
22B 端面コーティング面
Claims (8)
- 湾曲可能な管路に先端部から挿入して用いる医療用チューブであって、
前記先端部が、該先端部を除くチューブ本体表面に比べて低摩擦となるように構成されたことを特徴とする医療用チューブ。 - 前記チューブ本体は、前記先端部を構成する先端部材と、該先端部材に接続されたチューブ部材とからなり、
前記先端部材の材質の摩擦係数が、前記チューブ部材の材質の摩擦係数より低くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。 - 前記先端部材のチューブ外側面におけるチューブ軸方向の長さは、20mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の医療用チューブ。
- 前記先端部材は、高分子材料からなることを特徴とする請求項2または3に記載の医療用チューブ。
- 前記先端部材は、高分子材料からなるベースマトリックスに、無機粒子を混合してなる複合材料からなることを特徴とする請求項2または3に記載の医療用チューブ。
- 前記先端部は、前記チューブ本体の先端面および先端面に隣接するチューブ外側面にチューブ表面を低摩擦化するコーティングが施されたコーティング部で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
- 前記コーティング部のチューブ軸方向長さが、前記先端面から150mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の医療用チューブ。
- 前記コーティング部は、親水性材料で形成されたことを特徴とする請求項6または7に記載の医療用チューブ。
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