JP2010002501A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの液晶表示素子における液晶配向膜の材料としては、ポリアミック酸、イミド化重合体、ポリアミド、ポリエステルなどの樹脂材料が知られており、特にポリアミック酸またはイミド化重合体からなる液晶配向膜は耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などに優れており、多くの液晶表示素子に使用されている(例えば特許文献1〜3参照。)。
このように、液晶パネルにおける耐熱性と帯電圧リーク性とは二律背反の関係にあると考えられている。そこで、従来の高イミド化率イミド化重合体の示す耐熱性を損なわずに帯電圧リーク性に優れる液晶配向膜材料が求められているが、かかる観点から液晶配向膜材料の検討を行った例はほとんど知られていない。かかる観点とは異なる観点からの検討例ではあるが、液晶表示素子の残像特性の改善を図った例としては、いくつかの改善手法ないし液晶配向膜材料の提案がなされている(例えば特許文献4および5参照)。しかし、これらの手法、材料によって、液晶パネルにおける帯電圧リーク性の改善が達成されるものではない。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
テトラカルボン酸二無水物と、下記式(A)
で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンとの反応により得られるポリアミック酸を脱水閉環してなるイミド化重合体を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第二に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子により達成される。
かかる本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、種々の液晶表示素子に好適に適用することができる。
本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、長期間駆動をした場合にも表示性能が劣化することがない。したがって、本発明の液晶表示素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、各種モニター、液晶テレビなどの表示装置に好適に用いることができる。
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環してなるイミド化重合体を含有する。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
これらのテトラカルボン酸二無水物は一種単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、脂環式テトラカルボン酸二無水物ならびに芳香族テトラカルボン酸二無水物のうちのピロメリット酸二無水物および2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも一種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」という。)を含むものであることが好ましい。特定テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、上記式(T−I)で表される化合物のうち下記式(T−5)〜(T−7)
テトラカルボン酸二無水物が、特定テトラカルボン酸二無水物物以外のテトラカルボン酸二無水物を含むものである場合、特定テトラカルボン酸二無水物物以外のテトラカルボン酸二無水物の好ましいものとしては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物(以下、「化合物(A)」という。)を含むものである。かかる化合物(A)としては、例えば下記式(A−1)
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(A−1)におけるU1およびU2の炭素数2〜5のアルキレン基としては、例えば1,3−プロピレン基、1,5−ペンチレン基などを挙げることができる。U1およびU2の炭素数4〜6の2価の脂環式基としては、例えば1,4−シクロへキシレン基などを挙げることができる。U1およびU2の員数6〜10の芳香環を含む2価の有機基における「芳香環」とは、単環の芳香族炭化水素環、多環状の芳香族炭化水素環および縮合環系を有する芳香族炭化水素環ならびにこれらの環を構成する炭素原子のうちの1個または複数をヘテロ原子で置き換えた複素芳香環を含む概念である。この員数6〜10の芳香環を含む2価の有機基としては、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましい。U1およびU2の特に好ましい具体例としては、例えば1,3−プロピレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、トリアジン−2,4−ジイル基などを挙げることができる。
化合物(A)の具体例としては、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノシクロヘキサン)ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジンなどを挙げることができ、特にN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジンが好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために用いられるジアミンとしては、化合物(A)のみを用いてもよく、化合物(A)とその他のジアミンとを組み合わせて用いてもよい。
のそれぞれで表される化合物などの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、1−(3,5−ジアミノフェニル)−3−デシルスクシンイミド、1−(3,5−ジアミノフェニル)−3−オクタデシルスクシンイミド、下記式(D−I)
で表される化合物、下記式(D−II)
で表される化合物などの分子内に2つの一級アミノ基および該一級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
で表される化合物などのモノ置換フェニレンジアミン;
下記式(D−IV)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサン
などを挙げることができる。
これらその他のジアミンは、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ジアミンのベンゼン環は、一つまたは二つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。上記式(D−I)、(D−II)および(D−III)におけるR6、R8およびR11は、それぞれ、メチル基であることが好ましく、a1、a2およびa3は、それぞれ、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(D−III)におけるR10のステロイド骨格とは、シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン核からなる骨格またはその炭素−炭素結合の一つもしくは二つ以上が二重結合となった骨格をいう。かかるステロイド骨格を有するR5の1価の有機基としては、炭素数17〜51のものが好ましく、炭素数17〜29のものがより好ましい。R10の具体例としては、例えばコレスタン−3−イル基、コレスタ−5−エン−3−イル基、コレスタ−24−エン−3−イル基、コレスタ−5,24−ジエン−3−イル基、ラノスタン−3−イル基等を挙げることができる。
上記式(D−III)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(D−8)〜(D−16)
上記式(D−III)で表される化合物の中では、上記式(D−III)においてR7が−O−または−COO−であり、R8がステロイド骨格を有する一価の有機基である化合物が好ましく、特に上記式(D−8)〜(D−13)
のそれぞれで表される化合物を、好ましいものとしてあげることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために用いられるジアミンは、化合物(A)を全ジアミンに対して1モル%以上含むものであることが好ましく、10モル%以上含むものであることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含むジアミンとを反応させることにより得られるポリアミック酸を脱水閉環することにより合成することができる。
[ポリアミック酸の合成]
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは1〜72時間、より好ましくは3〜48時間行われる。ここで、有機溶媒としては、生成するポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどのアミド化合物、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性化合物;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール性化合物などを例示することができる。有機溶媒の使用量(α)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(β)が、反応溶液の全量(α+β)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。なお、有機溶媒を次に説明する貧溶媒と併用する場合には、上記の有機溶媒の使用量(α)は、有機溶媒と貧溶媒との合計量として理解されるべきである。
有機溶媒と貧溶媒とを併用する場合、貧溶媒の使用量は生成するポリアミック酸が析出しない範囲で適宜に設定することができるが、溶媒の全量に対して30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、原料であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、イミド化率が30モル%以上であることが好ましい。このイミド化率は、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、特に60モル%以上であることが好ましい。イミド化率が30モル%以上のイミド化重合体を用いることによって、従来知られている高イミド化率イミド化重合体を凌駕する優れた耐熱性を持ちながら帯電圧リーク性にも優れる液晶配向膜を与える液晶配向剤を得ることができる。なお本発明の液晶配向剤においては、イミド化重合体のイミド化率を高くしても、形成される液晶配向膜の帯電圧リーク性が損なわれることがないから、かかる制約なしにイミド化率を高く設定することができ、イミド化率を例えば80モル%以上、さらには実質的に100%としても、高度な耐熱性と良好な帯電圧リーク性とが両立した液晶配向膜を与える液晶配向剤を得ることができる。
上記イミド化率は、イミド化重合体のアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。イミド化率は、イミド化重合体を適当な重水素化溶媒(例えば重水素化ジメチルスルホキシド)に溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温(例えば25℃)で1H−NMRを測定した結果から、下記数式(i)により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (i)
(数式(i)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはイミド化重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
上記(1)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応時間は好ましくは1〜8時間であり、より好ましくは3〜5時間である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(2)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1〜8時間であり、より好ましくは3〜5時間である。
方法(2)においては、上記のようにしてイミド化重合体を含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、イミド化重合体を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したイミド化重合体を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。イミド化重合体の単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などをさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは20重量以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
[溶液粘度]
以上のようにして得られるイミド化重合体は、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
本発明の垂直配向型液晶配向膜は、上記の如きイミド化重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば上記イミド化重合体以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、接着性向上剤などを挙げることができる。
上記他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかる他の重合体は、テトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環してなるイミド化重合体以外の重合体であり、例えばテトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含まないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水閉環してなるイミド化重合体(以下、「他のイミド化重合体」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のイミド化重合体が好ましい。
その他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(上記のテトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミックを脱水閉環してなるイミド化重合体および他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジルオキシ−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
上記の如きエポキシ化合物の使用割合としては、重合体の合計100重量部に対して好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
上記の如き官能性シラン化合物の使用割合としては、重合体の総量100重量部に対して好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.01〜0.2重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上記の如きイミド化重合体および必要に応じて任意的に配合されるその他の成分が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子における好ましい動作モードとしては、TN型、STN型、VA型またはIPS型を挙げることができる。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下(1)ないし(3)の工程により製造することができる。工程(1)は、所望の動作モードによって使用基板、液晶配向剤の好ましい塗布方法および液晶配向剤塗布後の加熱温度が異なる。工程(2)および(3)は各動作モードに共通である。
(1−1)TN型、STN型またはVA型液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後の加熱温度は好ましくは30〜300℃であり、より好ましくは40〜250℃であり、加熱時間は好ましくは1〜60分であり、より好ましくは10〜30分である。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
このとき使用される基板および透明導電膜の材質、透明導電膜のパターニング方法ならびに基板の前処理については上記(1−1)と同様である。
液晶配向剤を塗布した後の加熱温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であり、加熱時間は好ましくは1〜60分であり、より好ましくは10〜30分である。
形成される塗膜の好ましい膜厚は、上記(1−1)と同様である。
上記(1−1)および(1−2)のいずれの場合も、本発明の液晶配向剤は塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤が、ポリアミック酸またはイミド環構造とアミック酸構造とを併有するイミド化重合体を含有する場合には、塗膜形成後にさらに加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
一方、VA型以外の液晶表示素子を製造する場合には、上記のようにして形成された塗膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜とする。
ラビング処理は、上記のようにして形成された塗膜面に対し、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
さらに、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に対し、例えば特許文献6(特開平6−222366号公報)や特許文献7(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献8(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
本発明の液晶表示素子は、その製造工程において使用される静電チャックから発生する静電気により、パネルが異常点灯を起こした場合でも、その異常点灯は短時間で解消ないし緩和されるから、液晶表示素子の製造効率の向上に資する。
上記のようにして製造された本発明の液晶表示素子は、従来知られている液晶表示素子と比較して、長時間連続駆動した場合であっても表示性能が劣化することがなく、具体的には例えば液晶配向膜の熱劣化による液晶の配向不良に起因すると思われるバックライトの光漏れ等が起こることがないという利点を有する。
なお、下記合成例においてN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジンは、和歌山精化工業(株)の市販品をそのまま使用した。
また、合成例における重合体の溶液粘度は、いずれもE型粘度計を用いて25℃において測定した値である。
合成例1(イミド化重合体の合成例1)
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン96.1g(0.89モル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン2.6g(0.010モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン3,100gに溶解し、室温で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は90mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン136gおよび無水酢酸105gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換(この溶媒置換により、脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のイミド化重合体(A−1)を20重量%含有する溶液1,500gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン38.0g(0.35モル)、3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン53.0g(0.10モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13.4g(0.050モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,900gに溶解し、室温で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は58mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン116gおよび無水酢酸90gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約92%のイミド化重合体(A−2)を15重量%含有する溶液約1,430gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は23mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン49g(0.35モル)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13.4g(0.050モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.050モル)を、N−メチル−2−ピロリドン1,800gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP1,800gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約55%のイミド化重合体(A−3)を15重量%含有する溶液約1,200gを得た。
この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は85mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン32g(0.30モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン20g(0.1モル)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13.4g(0.050モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.05モル)を、N−メチル−2−ピロリドン1,100gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,800gを追加し、ピリジン80gおよび無水酢酸100gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約80%のイミド化重合体(A−4)を15重量%含有する溶液約1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は87mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン27.0g(0.25モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン67.0g(0.25モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,900gに溶解し、室温で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は80mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン136gおよび無水酢酸105gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約92%のイミド化重合体(A−5)を15重量%含有する溶液1,100gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は24mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン38g(0.45モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13g(0.0.50モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,900gに溶解し、室温で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、減圧にて濃縮することにより濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は82mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン136gおよび無水酢酸105gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約90%のイミド化重合体(A−6)を15重量%含有する溶液1,100gを得た。 この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は23mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物168g(0.75モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157g(0.25モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン32g(0.30モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル80g(0.40モル)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン85g(0.20モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,200gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は85mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,000gを追加し、ピリジン150gおよび無水酢酸200gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のイミド化重合体(A−7)を15重量%含有する溶液2,600gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸38g(0.25モル)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン67g(0.25モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,100gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、減圧にて濃縮することにより濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,000gを追加し、ピリジン150gおよび無水酢酸200gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のイミド化重合体(A−8)を15重量%含有する溶液1,400gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとしてN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン134g(0.50モル)をN−メチル−2−ピロリドン2100gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は100mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,000gを追加し、ピリジン150gおよび無水酢酸200gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約90%のイミド化重合体(A−9)を15重量%含有する溶液1,600gを得た。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン107g(0.99モル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン2.6g(0.010モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,260gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は90mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン136gおよび無水酢酸105gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のポリイミド(B−1)を15重量%含有する溶液1,800gを得た。
この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)およびジアミンとしてp−フェニレンジアミン43.0g(0.40モル)、3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン53.0g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,230gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は58mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン116gおよび無水酢酸90gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約92%のイミド化重合体(B−2)を15重量%含有する溶液約1,000gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は23mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン56g(0.40モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.050モル)を、N−メチル−2−ピロリドン1,100gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,800gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(B−3)を15重量%含有する溶液約1,150gを得た。
この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は85mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン44g(0.35モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン20g(0.1モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン800gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,800gを追加し、ピリジン80gおよび無水酢酸100gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約80%のイミド化重合体(B−4)を15重量%含有する溶液約1,200gを得た。
この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は87mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)およびジアミンとしてp−フェニレンジアミン54g(0.50モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,260gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は80mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン600gを追加し、ピリジン136gおよび無水酢酸105gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約93%のイミド化重合体(B−5)を15重量%含有する溶液1,000gを得た。
この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えて濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は24mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物168g(0.75モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157g(0.25モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン43g(0.40モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル80g(0.40モル)およびビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン85g(0.20モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,700gに溶解し、室温で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は85mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,000gを追加し、ピリジン150gおよび無水酢酸200gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のイミド化重合体(B−6)を15重量%含有する溶液2,600gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)およびジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸76g(0.50モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,100gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、減圧にて濃縮することにより濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は55mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,000gを追加し、ピリジン150gおよび無水酢酸200gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ―ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約85%のイミド化重合体(B−7)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。
合成例1で得られたイミド化重合体(A−1)を含有する溶液にγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを、γ−ブチロラクトン:N−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブの比が重量比で71:17:12になるように加え、さらに接着性向上剤としてエポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを上記重合体溶液に含有されるイミド化重合体の100重量部に対して2重量部加えて、固形分濃度3.5重量の溶液を調製した。この溶液を十分に撹拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて以下のようにして評価を行なった。
<液晶表示素子の製造および評価>
[液晶表示素子の製造]
(1)液晶配向剤の被膜の形成
上記で調製した液晶配向剤を、厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上にスピンナーを用いて回転数2,000rpm、回転時間20秒間の条件下で塗布し、200℃で1時間加熱して溶媒を除去することにより、膜厚0.08μmの被膜を形成した。
(2)ラビング処理
上記で形成した被膜にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数400rpm、ステージの移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmの条件下でラビング処理を行い、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とした。
(3)液晶配向膜付き基板の洗浄および乾燥
上記で得た液晶配向膜を有する基板を、超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のクリーンオーブン中で10分間乾燥した。
上記(1)〜(3)の操作を繰り返すことにより、液晶配向膜を有する基板を二枚(一対)作成した。
(4)液晶の注入および偏光板の接着
次に、上記一対の液晶配向膜を有する基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板間に、誘電率の異方性が正の値を示すネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を製造した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、光学顕微鏡を用いて観察した、このとき、光漏れが観察されなかったものを液晶配向性「良好」、光漏れが観察されたものを液晶配向性「不良」として評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(2)帯電圧リーク性の評価
上記で製造した液晶表示素子に、10Vの直流電圧を1秒間印加した後、回路を開放状態にして静値し、液晶セルから透過する透過光強度の経時変化を観察して電圧印加前の初期透過率状態に戻るまでの時間を測定した。この時間が20分以内であったものを帯電リーク性「良好」、20分を超えた場合を帯電リーク性「不良」として評価したところ、この液晶表示素子が初期透過率状態に戻るまでに要した時間は15分であり、帯電圧リーク性は「良好」であった。
(3)耐熱性の評価(耐熱ストレス試験)
上記で製造した液晶表示素子につき、先ず5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。このときの数値を初期電圧保持率(VHRBF)とした。VHRBF測定後、液晶表示素子を100℃のオーブンに入れ、1,000時間熱ストレスを印加した。次いで液晶表示素子を室温下に静置して室温まで冷却した後、上記と同様にして熱ストレス印加後の電圧保持率(VHRAF)を測定した。
上記で測定したVHRBFおよびVHRAFから、熱ストレス印加前後の電圧保持率の変化率を求め、この変化率が5.0%未満であった場合を耐熱性「良好」、5.0%以上であった場合を耐熱性「不可」として評価したところ、この液晶表示素子の耐熱性は「良好」であった。
<液晶配向剤の調製>
上記合成例2で得られたイミド化重合体(A−2)を含有する溶液のイミド化重合体(A−2)に換算して100重量部に相当する量をとり、これにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを、N−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブの比が重量比で50:50になるように加え、さらに接着性向上剤としてエポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを2重量部加えて、固形分濃度3.5重量%の溶液を調製した。この溶液を十分に撹拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<液晶表示素子の製造および評価>
上記実施例1において、液晶として誘電率の異方性が負の値を示すネマチック液晶(メルク社製、MLC−2038)を用い、さらに、液晶表示素子作製工程で「(2)ラビング処理」工程および「(3)液晶配向膜付き基板の洗浄および乾燥」工程を行わなかったほかは実施例1と同様にして液晶表示素子を製造し、液晶配向性および耐熱性の評価を行なった、結果は表1に示した。
実施例3および4
イミド化重合体として、それぞれ表1に摘示した種類のものを表1記載の量用いた他は実施例2と同様にしてそれぞれ液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造し評価した。結果は表1に示した。
<液晶配向剤の調製>
合成例5で得られたイミド化重合体(A−5)を含有する溶液のイミド化重合体(A−5)に換算して100重量部に相当する量をとり、これに接着性向上剤としてエポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンの10重量部および官能性シラン化合物であるメチル3−[2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ]プロピオネートの0.75重量部を加え、さらにγ―ブチロラクトンおよびブチルセロソルブを、γ―ブチロラクトン:ブチルセロソルブ比が重量比で80:20になるように加えて固形分濃度3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<液晶表示素子の製造および評価>
上記実施例1において、液晶として誘電率の異方性が正の値を示すネマチック液晶(メルク社製、MLC−2019)を用いたほかは実施例1と同様にして液晶表示素子を製造し、液晶配向性および耐熱性の評価を行なった、結果は表1に示した。
実施例6〜9
イミド化重合体として、それぞれ表1に摘示した種類のものを表1記載の量用いた他は実施例5と同様にしてそれぞれ液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造し評価した。結果は表1に示した。
イミド化重合体として、表1に摘示した種類のものを表1記載の量用いたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造し評価した。結果は表1に示した。
比較例2〜4
イミド化重合体として、それぞれ表1に摘示した種類のものを表1記載の量用いたほかは実施例2と同様にしてそれぞれ液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造し評価した。結果は表1に示した。
比較例5〜7
イミド化重合体として、それぞれ表1に摘示した種類のものを表1記載の量用いたほかは実施例5と同様にしてそれぞれ液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造し評価した。結果は表1に示した。
[エポキシ化合物]
GAPM:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
[官能性シラン化合物]
MSPP:メチル3−[2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ]プロピオネート
また、「液晶名」欄の記載は、それぞれ以下の意味である。
6221:MLC−6221(商品名、メルク社製)
2038:MLC−2038(商品名、メルク社製)
2019:MLC−2019(商品名、メルク社製)
Claims (10)
- 上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物の使用割合が、全ジアミンに対して1モル%以上である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
- 上記式(D−III)におけるR9が−O−または−COO−であり、R10がステロイド骨格を有する1価の有機基である、請求項4に記載の液晶配向剤。
- ジアミンが、さらにp−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルおよびビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- テトラカルボン酸二無水物が2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであり、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- イミド化重合体のイミド化率が30%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- イミド化重合体のイミド化率が50%以上である、請求項8に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
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