以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1乃至図13は本発明の光スキャン装置の一実施形態を示すもので、図1は光スキャン装置の斜視図、図2は図1から右方向に90度回転させた方向より見た光スキャン装置の斜視図、図3は光スキャン装置の上面図、図4は図3のA−A′線に添った断面図、図5は図3のB−B′線に添った断面図、図6は図3のC−C′線に添った断面図、図7は図3のD−D′線に添った断面図、図8は光スキャン装置の一部分解斜視図、図9は光スキャン装置を構成するアジマスアクチュエータ部組を図4のE−E′線に添って切った断面図、図10は光スキャン装置を構成するエレベーションアクチュエータ部組を図4のF−F′線に添って切った断面図、図11は本光スキャン装置を車載用測距装置に用いた例を説明するための図、図12は走査動作を説明するための図、図13は後述するX軸方向への光走査を説明するための図、図14は、アジマスアクチュエータ部組のレンズ及びレンズホルダ等から成るX方向に動く可動部の周波数応答特性を説明する図である。
尚、図1乃至図12は簡略化して示した図であり、例えば、固定用のネジや可動部の動きを制限するためのストッパ部分、樹脂部品を強度確保しながら軽量化するために設けるリブ形状等は省略している。
図1、図9に示されるように、この光スキャン装置10に於いて、ガラス入りのポリフェニレンサルファイド樹脂で製作された第1のホルダ(第1の保持部材)であるレンズホルダ11には、第1の光学素子であるレンズ12が接着されている。レンズ12は、X軸方向には凸レンズ形状となっているが、Y軸方向には、図4に示されるように、直線形状のシリンドリカルレンズとなって構成されている。
レンズホルダ11のレンズ12が装着されている面と同じ面には、一体に形成された鍔部17a、17bに銅線でアジマスコイル13が巻回されている。更に、レンズホルダ11には、レンズ12の近傍で、且つ、レンズ12を挟んでアジマスコイル13が設けられている部分と反対側に、発光ダイオード14が固定されている。発光ダイオード14は、レンズホルダ11に形成された穴15に固定されている。そして、レンズホルダ11の穴15の奥の部分には、スリット16が設けられている。
レンズホルダ11には、厚さ80μmのベリリウム銅製の板バネ18a〜18dの一端が、それぞれ固定されている。尚、図示されないが、アジマスコイル13、発光ダイオード14は、板バネ18a〜18dと接続されている。上記板バネ18a〜18dの他端は、ガラス入りのポリフェニレンサルファイド樹脂で製作されたバネ受け20に、それぞれ固定されている。レンズホルダ11は、板バネ(第1のバネ群、第1の弾性部材)18a〜18dによって、バネ受け(第2のホルダ、第1の固定部)20に、X軸方向に移動可能に支持されていることになる。
尚、板バネ18a〜18dの固定は接着で良いが、信頼性を高めるためにインサート成形や熱融着としても良い。
バネ受け20には段部22a、22bが設けられており、板バネ18a〜18dとの間にシリコンゲル23a、23bが充填されている。シリコンゲル23a、23bは熱硬化型のものが用いられ、充填後、熱をかけて硬化させる。このとき、シリコンゲル23a、23bは、板バネ18a〜18dと広い面積で接しているので、表面張力により硬化するまでに流れ出てしまうことはない。尚、シリコンゲル23a、23bは、紫外線硬化型のものが用いられるものであっても良い。このシリコンゲル23a、23bにより、板バネ18a〜18dの振動が抑えられ、ダンピングが取られている。
バネ受け20には穴25が形成されており、この穴25の内部にはレンズ26、27が接着されている。更に、取り付けの説明は後述するが、ポジションセンサ28もバネ受け20に配されている。尚、レンズ26、27の光軸中心は一致している。
図5、図9から明らかなように、発光ダイオード14からの光は、スリット16を通り、レンズ26、27を経て、ポジションセンサ28に入射する。ポジションセンサ28は、1方向の位置を検出する1次元のセンサであり、X軸方向の動きを検出するため、内部の長方形状の検出素子はX軸方向を長手方向とするように取り付けられている。スリット16からの光は、レンズホルダ11がX軸方向に移動すると一緒に移動するが、レンズ26、27は、このX軸方向の移動量が小さくなるように縮小する役割を持っている。尚、Y軸方向については、レンズ作用は持っていない。
レンズホルダ11のX軸方向の移動量は大きく、スリット16からの光を直接ポジションセンサ28に入射させると、検出範囲の長いポジションセンサが必要となる。ポジションセンサの価格は検出範囲の長さが長いほど高く、一般に長さに比例するものではなく、それ以上の割合で価格が上がる。レンズ26、27によって、移動量を小さくすることで、安価な検出範囲の短いポジションセンサを使用することが可能となる。上述したように、検出範囲が長くなると、価格は大きく上がるので、レンズ26、27や固定部分を作成する費用が追加されることとなっても、移動量を縮小する光学系を使用した方が、低価格となる。
バネ受け20は、鉄製のヨーク30に固定されている。このヨーク30には、図1、図6に示されるように、鉄製のヨーク31a、31bが固定されている。ヨーク30とヨーク31a、31bは、各々板金加工により製作されており、形状的に一体で製作できないため、ヨーク30とヨーク31a、31bが別体となっている。ヨーク31a、31bには磁石32a、32bが接着されている。
ヨーク31a、31bは、レンズホルダ11に形成された穴33a、33bに挿入されるように配置されている。ヨーク30は、ヨーク31a、31、磁石32a、32bが取り付けられた状態で、板バネ18a〜18dやレンズホルダ11を固定したバネ受け20と合体される。尚、上記ヨーク31a、31b、磁石32a、32bは、アジマスコイル13と共に、第1の駆動手段を構成している。
図2及び図5に示されるように、ヨーク30には、ポジションセンサ28が取り付けられた基板35が固定されている。また、ヨーク30には、ポジションセンサ28のための穴36が設けられている。そして、ヨーク30及びバネ受け20には、後述するレーザダイオード38を装着するための穴39及び40が、それぞれ形成されている。
また、詳細は図示されないが、レンズホルダ11が所定の位置に合わされたときに、ポジションセンサ28が0位置を示す信号を出力するように、ポジションセンサ28は位置調整して固定される。ポジションセンサ28は、基板35経由で外部の制御基板に接続されている。
バネ受け20側では、板バネ18a〜18dも、図示されない外部の制御基板に接続されている。つまり、アジマスコイル13、発光ダイオード14は、板バネ18a〜18dを介して、図示されない外部の制御基板に接続されていることになる。レンズホルダ11をX軸方向に移動可能に支持するだけであれば、板バネ18a、18bを1枚とし、板バネ18c、18dを1枚として、2枚の板バネで十分である。ここでは、アジマスコイル13及び発光ダイオード14の各々2本、計4本の端末を接続するために、4枚の板バネ18a〜18dとして構成されている。
以上、レンズホルダ11、板バネ18a〜18d、バネ受け20、ヨーク30等から構成される部組を、アジマスアクチュエータ部組40と称する。
図4及び図8に示されるように、アジマスアクチュエータ部組40には、詳細を後述するエレベーションアクチュエータ部組41と、レーザ部組42とが組み込まれる。
エレベーションアクチュエータ部組41に於いて、ガラス入りのポリフェニレンサルファイド樹脂で製作された第3のホルダ(第2の保持部材)であるレンズホルダ45には、第2の光学素子であるレンズ46が接着されている。レンズ46は、レンズ12とは逆に、Y軸方向には凸レンズ形状となっているが、X軸方向には直線形状で構成されたシリンドリカルレンズとなっている。
図7に示されるように、レンズホルダ45に形成された段部44a、44bには、銅線で巻回されたエレベーションコイル47a、47bが接着されている。図4、図10に示されるように、レンズホルダ45には、更に、発光ダイオード48も固定されている。この発光ダイオード48は、レンズホルダ45に形成された穴49に固定されている。この穴49の奥、すなわち図4に於いて、発光ダイオード48よりもZ軸の+側方向には、スリット50が設けられている。
図4及び図8に示されるように、レンズホルダ45には、厚さ80μmのベリリウム銅製の板バネ53a〜53dの一端が固定されている。図示されないが、エレベーションコイル47a、47b、発光ダイオード48は、板バネ53a〜53dと接続されている。尚、エレベーションコイル47a、47bは、直列接続されてから接続される。板バネ53a〜53dの他端は、ガラス入りのポリフェニレンサルファイド樹脂で製作されたバネ受け55に固定されている。レンズホルダ45は、板バネ(第2のバネ群、第2の弾性部材)53a〜53dによって、バネ受け(第4のホルダ、第2の固定部)55に、Y軸方向に移動可能に支持されていることになる。
図3に示されるように、板バネ53a〜53dの有効長57は、板バネ18a〜18bの有効長58よりも短くなっている。この有効長の違いと、板バネの幅、可動部の質量が異なることから、板バネ18a〜18bと板バネ53a〜53dの厚さが同じであっても、各々のバネ系の基本共振周波数には差異がある。この場合、板バネ53a〜53dの方が、板バネ18a〜18dよりも周波数が高くなっている。
図4に示されるように、バネ受け55には、段部60a、60bが形成されている。そして、これらの段部60a、60bと板バネ53a〜53dとの間には、シリコンゲル61a、61bが充填されている。硬化方法については、アジマスアクチュエータ部組40のシリコンゲル23a、23bと同様であるので、ここでは説明を省略する。このシリコンゲル61a、61bにより、板バネ53a〜53dの振動が抑えられ、ダンピングが取られている。
バネ受け55は、固定部(第3の固定部)となる鉄製のヨーク63に固定されている。このヨーク63には、図7及び図10に示されるように、立ち上げ部65a、65b、66a、66bが設けられている。このヨーク63は、上述したヨーク30と異なり、一体で板金加工されている。但し、立ち上げ部66a、66bは、板の厚さそのままで曲げるとY軸方向寸法を確保できないため、曲げるときにつぶすことによって、Y軸方向寸法を確保している。そのため、立ち上げ部66a、66bは薄くなっている。また、立ち上げ部65a、65bには、磁石68a、68bが接着されている。
立ち上げ部66a、66bは、レンズホルダ45に固定されたエレベーションコイル47a、47bに挿入されるように配置されている。ヨーク63は、磁石68a、68bを取り付けた状態で、板バネ53a〜53dやレンズホルダ45を固定したバネ受け55と合体される。尚、エレベーションコイル47a、47b、ヨーク63、立ち上げ部65a、65b、磁石68a、68bと、後述する立ち上げ部67a、67bは、第2の駆動手段を構成している。
図4及び図10に示されるように、ヨーク63には、更に立ち上げ部67a、67bが設けられ、ポジションセンサ70が取り付けられた基板71も固定されている。詳細は図示されないが、レンズホルダ45が所定の位置に合わせられたときに、ポジションセンサ70が0位置を示す信号を出力するように、ポジションセンサ70は位置調整されて、固定される。また、ポジションセンサ70は、基板71経由で外部の制御基板に接続されている。
発光ダイオード48からの光は、スリット50を通り、ポジションセンサ70に入射する。ポジションセンサ70は、1方向の位置を検出する1次元のセンサであり、Y軸方向の動きを検出するため、内部の長方形状の検出素子はY軸方向が長手方向となるように取り付けられている。スリット50からの光は、レンズホルダ45がY軸方向に移動すると一緒に移動するが、レンズホルダ45の移動量は小さいため、アジマスアクチュエータ部組40と異なり、光の経路にレンズは存在せず、移動量を縮小することなく検出する。
バネ受け55側では、板バネ53a〜53dも、図示されない外部の制御基板に接続されている。エレベーションコイル47a、47b、発光ダイオード48は、それぞれ板バネ53a〜53dを介して、図示されない外部の制御基板に接続されていることになる。アジマスアクチュエータ部組40と同様に、これらの端末を接続するために、板バネ53a〜53dは4枚とされている。
以上、レンズホルダ45、板バネ53a〜53d、バネ受け55、ヨーク63等から構成される部組を、エレベーションアクチュエータ部組41と称する。
図1及び図8に示されるように、アジマスアクチュエータ部組40と、エレベーションアクチュエータ部組41は、バネ受け20の凹部20aにバネ受け55が嵌装され、両者が組み合わされて合体され、固定される。このとき、図8に示されるように、エレベーションアクチュエータ部組41を、アジマスアクチュエータ部組40のY軸方向の−側から挿入すれば良い。更に、エレベーションアクチュエータ部組41は、図1及び図8には示されないが、バネ受け55が固定されたヨーク63を介して、光スキャン装置10が設置される本体に固定される。バネ受け20及びバネ受け55は、光スキャン装置10本体の固定部に固定されていることになる。
図4及び図8に示されるように、アジマスアクチュエータ部組40には、更にレーザ部組42が固定されている。レーザ部組42は、基板37と、レーザダイオード(発光素子)38とから構成される。尚、基板37は模式化して外形を描いており、実際は基板とその上に装填される部品から成っている。レーザダイオード38は、ヨーク30の穴39、バネ受け20の穴40、バネ受け55の穴73の内部に位置することとなる。
尚、詳細は図示されないが、レーザ部組42をアジマスアクチュエータ部組40に固定する際には、レンズ12、46が基準位置にあるときに、レーザ光が曲がらずに照射されるように、X−Y平面内で位置調整が行われる。このとき、レンズ12、46は、基準位置に調整機によって、機械的に移動される。また、レーザダイオード38のZ軸方向の位置を変えると、本装置より照射される光のスポットの大きさが変化するので、更に、Z軸方向の調整機構を設けるのが望ましい。
次に、以上のように構成された本実施形態の光スキャン装置について、その動作を説明する。
図11は、本実施形態の光スキャン装置を車載用測距装置に用いた場合の構成を簡略に示した図である。このとき、X軸方向が地面に水平方向、Y軸方向が地面に垂直方向になるように車両に設置する。以下、地面に立ったときの方向に合わせて、X軸方向を左右方向、Y軸方向を上下方向として説明する。
図11Aに示されるように、レーザダイオード38より出射したレーザ光は、レンズ46を透過した後、板バネ18に支持されたレンズホルダ11内のレンズ12に達する。レンズ12を、図示矢印81のように、左右方向に移動させることにより、光も図示矢印82のように左右方向に振られる。照射された光83は、障害物84に当たる。ここで、照射される光は、図示85のような長方形状となり、左右方向は短く、上下方向に長い形状となっている。障害物84に当たって反射した光86は、受光レンズ87を介してフォトデイテクタ88に至り、図示されない電気回路により障害物84までの距離が計算される。
尚、ここで、レンズ46は左右方向にはレンズ作用を持たないので、左右方向の位置にはレンズ46の位置は関与しない。
次に、図11Bを参照して、レンズ46の働きについて説明する。
レーザダイオード38より出射したレーザ光は、板バネ53に支持されたレンズホルダ45内のレンズ46に達する。レンズ46を、図示矢印90のように上下方向に移動させることにより、光も図示矢印91のように、上下方向に振られる。レンズ46の後、光はレンズ12を透過するが、レンズ12は上下方向にはレンズ作用を持たないので、上下方向の位置にはレンズ12の位置は関与しない。照射された光が障害物に当たるところからは、上述した説明と同じであるので説明は省略する。
以上のようにして、レンズ12を移動させることによって光を左右方向に、レンズ46を移動させることによって光を上下方向に、すなわち2方向に光を移動させて照射することができる。
尚、レーザダイオード38は、連続或いは間欠点灯されて走査される。
次に、レンズホルダ11を左右方向(X軸方向)に移動させる仕組みについて、図6を参照して説明する。尚、磁石の磁極は、図に示された通りである。
磁石32aから、磁束はアジマスコイル13の辺74aを挟んで対向するヨーク31aに向かって、図示矢印75aのようになる。ヨーク31aに達した磁束は、ヨーク31aを通り、図示矢印76aのように磁石32aに戻る。磁石32bからも同様に、図示矢印75bのように磁束が出て、図示矢印76bのようにヨーク31bを通って磁石32bに戻る。
アジマスコイルの辺74aと74bに流れる電流の向きは、対向する辺であるので逆であり、磁束の向きも75a、75bのように逆であるので、発生する力はX軸方向で同じ向きとなる。これにより、レンズホルダ11は、図6に於いて左右方向(X軸方向)に駆動される。
次に、レンズホルダ45を上下方向(Y軸方向)に移動させる仕組みについて、図7及び図10を参照して説明する。尚、磁石の磁極は、図に示された通りである。
磁束は、磁石68aからエレベーションコイル47aの辺77を挟んで対向するヨーク63の立ち上げ部66aに向かって、図示矢印78のように出る。立ち上げ部66aに達した磁束は、ヨーク63、立ち上げ部65aを通り、図示矢印79のように、磁石68aに戻る。
磁束78により、エレベーションコイル47aの辺77には、Y軸方向の力が発生する。エレベーションコイル47bにも、同様に、Y軸方向の力が発生し、向きが同じになるように直列接続されている。これにより、レンズホルダ45は、上下方向(Y軸方向)に駆動される。
上述したように、スリット16、50を通った発光ダイオード14、48からのそれぞれの光は、ポジションセンサ28、70で受光される。そして、ポジションセンサ28、70にて受光された位置情報を基にして、レンズホルダ11、45の移動が行われる。
ここで、実際の光の走査の方法について、図12を参照して説明する。
レンズ12,46の光軸をレーザダイオード38の光軸と一致させたとき、光は曲がらず、中心に光85が照射される。
レンズ12をX軸方向の−方向に大きく、レンズ46をY軸方向の−方向に小さくシフトさせ、光141を照射する。レンズ46の位置は変えずにレンズ12をX軸方向の+方向に移動させることにより、図示矢印142のように、光を143の位置まで走査する。次に、レンズ12を再びX軸方向の−方向に大きくシフトする。それと同時に、レンズ12をY軸方向の+方向に移動させ、位置的にはY軸方向の中心とする。
ここで、光144を照射する。尚、光143から144への移動の間はレーザダイオード38を発光させず、光を照射しない。レンズ12のみをX軸方向の+方向に移動させることにより、図示矢印145のように、光を146の位置まで走査する。光が146に到達したら、レンズ12を再びX軸方向の−方向に大きく、レンズ46をY軸方向の+方向に小さく、それぞれ移動させ、光148を照射する。
光146から148への移動の間はレーザダイオード38を発光させず、光を照射しない。同様に、図示矢印149のように、光を150の位置まで移動させる。光が150に到達したら、レンズ12、46を光141が照射できる位置まで移動させる。光150から141への移動の間は、レーザダイオード38を発光させず、光を照射しない。
このようにして、光を141より143、144より146、148より150へY軸方向の位置をずらした形で、X軸方向に3回走査する。この1組を1回として、1秒間に10回繰り返す。尚、ここではX軸方向の3回の走査を1組としたが、場合によってはY軸方向の位置を2回変えるだけで2回を1組としても良く、Y軸方向の位置を変えずに走査しても良い。また、1秒間に繰り返す回数も10回に限らず、求める検出性能によって、回数は増減しても良い。
Y軸方向には、図示範囲155のように、更に広く移動可能である。上述した走査で用いる範囲156より広い部分は、車両が曲がるときや、坂道を走行しているときに走査範囲をオフセットさせる場合に用いられる。例えば、Y軸方向は、普段、範囲157を見ているが、坂道を登っているときは、少し下の範囲158を見るようにする。また、地面に水平なX軸方向は、障害物検出のために広く走査する必要があるが、地面に垂直なY軸方向は、車両が進んで行くことでもY軸方向に見る位置を変える効果があり、必要以上に広い範囲を見る必要がなく、移動範囲はX軸方向と比較して狭くなっている。
尚、障害物が検知された場合に、その部分のみ走査するような動作を行っても良いのは言うまでもない。
本実施形態では、左右方向(X軸方向)に光を移動させるアジマスアクチュエータ部組40と、上下方向(Y軸方向)に光を移動させるエレベーションアクチュエータ部組41が、移動用のバネで連結されることなく独立しており、それぞれのバネ受け20、55は、直接、固定部となるヨーク30、63に固定されている。これにより、アジマスアクチュエータ部組40とエレベーションアクチュエータ部組41は独立して組み立てることができ、板バネ18a〜18d、53a〜53dを取り付けるときに互いに邪魔になったり、曲げてしまったりすることがなく、組立性を良好にすることができる。
一方、図3に示されるように、アジマスアクチュエータ部組40の板バネ18a〜18dと、エレベーションアクチュエータ部組41の板バネ53a〜53dは、何れもその長手方向がZ軸方向となり、Z軸方向の位置関係は並走する部分があるように構成されている。すなわち、図7に示されるように、Z軸方向に垂直な断面を取った場合、同一断面上に板バネ18a〜18d、板バネ53a〜53dの全てが存在する断面がある。
このように、Z軸方向に板バネ18a〜18dと板バネ53a〜53dが縦に並ぶのでなく、横に並走する形状とすることで、装置のZ軸方向寸法が大きくなることなく、小型化も図ることができる。
図3に示されるように、本実施形態では、アジマスアクチュエータ部組40の板バネ18a〜18dのバネの有効長58が、エレベーションアクチュエータ部組41の板バネ53a〜53dのバネの有効長57よりも長くなっている。
このバネの有効長の長いアジマスアクチュエータ部組40のホルダ11の移動量の方が、エレベーションアクチュエータ部組41のホルダ45の移動量より大きくなっている。移動量の大きい方のバネの有効長を長くすることで、バネに発生する応力を小さくすることが容易となり、寿命の長い、耐久性の良い装置とすることができる。また、この方向を光の走査方向とすることで、光を移動角度の大きい高性能な装置とすることができる。本装置を車両に設置する場合に、この方向を水平方向とすることで、上述した効果を、よりよく享受することができる。
更に、図3に示されるように、Y軸方向から見たとき、板バネ18a、18bと、板バネ18c、18dに挟まれる領域内に板バネ53a〜53dが存在している。加えて、板バネ18a〜18dの両端に取り付けられたホルダ11とバネ受け20に挟まれる領域内に、板バネ53a〜53dの両端に取り付けられたホルダ45とバネ受け55が存在している。これにより、板バネ18a〜18d、53a〜53dとホルダ11、バネ受け20、ホルダ45、バネ受け55が、交差することがないので、組立性を良好にすることができる。
尚、バネの設計によっては、板バネ18の有効長58と、板バネ53の有効長57が同じとなることがある。この場合は、ホルダ11とバネ受け20の間にバネ受け55が入らず、バネ受け20と板バネ53が交差してしまう。この場合も、Z軸方向に板バネ18と板バネ53が横に並走する形式となっており、装置のZ軸方向寸法が大きくなることなく、小型化することができる。また、組立性は若干不利になるが、アジマスアクチュエータ部組40とエレベーションアクチュエータ部組41が独立していない場合よりは良好である。
更に、バネ受け20をコの字形状にして、板バネ53を逃げることで、組立性を改善することも可能である。また、Y軸方向から見たとき、板バネ18と板バネ53が重なっていないような構成とすることが、組立性を良好にできる。
尚、本実施形態では、板バネ18a〜18dに可動部になるホルダ11、及びそれに取り付けられた部品より成るバネ系の基本共振周波数と、板バネ53a〜53dに可動部になるホルダ45及びそれに取り付けられた部品より成るバネ系の基本共振周波数は、異なるものとしている。基本共振周波数が同じ場合、基本共振周波数付近で動作させたときに、バネ受け20、55を介して、他方を共鳴させる形で互いの振動が予期した振動より大きくなってしまうことがあるが、本実施形態では、上記基本共振周波数を異なるものとすることで、それを防ぎ、高性能な装置とすることができる。
また、本実施形態では板バネは金属製として説明したが、合成樹脂等で製作しても良い。但し、金属の方が、応力や固有値を計算しやすく、性能を高めやすい。更に、本実施形態のように、コイルヘの電流を流す役割を持たすこともできる。
以下、上記レンズ12による光のX方向への走査について、図12及び図13を参照して詳細に説明する。
まず、図12に示すように、光を位置141から位置143へ矢印142で示すように動かして走査を行う。なお、この走査においては、反射光から得られる情報の処理を容易にする為に、光を等速で移動させることが望ましい。この等速移動は、図12において矢印142で示す範囲で行い、これは、図13においてグラフ111で示す上記レンズ12の駆動(振り角度)に相当する。
ところで、上記レンズ12を、図13に示すグラフ111で示す速度で移動させる為には、速度0からの加速区間が必要である。従って、上記レンズ12を、図13に示す振り角度121よりも大きく移動させる。具体的には、図13に示すように振り角度122で示す領域を含めて上記レンズ12を移動させる。
上述したグラフ111で示す移動を終了した後、上記レンズ12を減速させる必要がある。この減速の為の減速区間として、図13に示す振り角度123まで上記レンズ12を移動させる。
なお、図13においては、往路の向きを+で示しており、+方向に上記レンズ12を移動させる時間113を往路時間としている。
上述した減速により上記レンズ12の移動速度が0となった後、上記加速区間の起点位置まで上記レンズ12を移動させる(復路)。復路においては、上述したように上記レンズ12を等速運動させる必要はない。従って、上記レンズ12を、復路における移動区間の中間地点までは加速させ続け、該中間地点を境に減速させ続ける。
つまり、復路においては、上記レンズ12を最高加速度で等加速度運動させて、上記起点位置に戻すのが好ましい。
なお、復路においては、光の位置が図12における位置143から位置144まで移動するように、Y方向においても上記レンズ12を移動させる。但し、上記レンズ12の−X方向における移動時間114を復路時間とする。
続いて、次の往路(図13においてグラフ125で示す上記レンズ12の移動)によって、図12に示す位置144から位置146へ矢印145で示すように光を走査する。そして、復路では、X方向においてはグラフ126で示すように上記レンズ12を移動させ、且つY方向においては光の位置が図12に示す位置146から位置148の位置まで移動するように上記レンズ12を移動させる。
さらに次の往路においては、上記レンズ12を図13に示すグラフ127で示すように移動させ、光を図12に示す位置148から位置150へ、矢印149で示すように走査する。そして、復路では、X方向においてはグラフ128で示すように上記レンズ12を移動させ、且つY方向においては光の位置が図12に示す位置150から位置141の位置まで移動するように上記レンズ12を移動させる。
なお、図13に示す各々の往路時間113は全て同一の長さの時間であり、同様に図13に示す各々の復路時間114も全て同一の長さの時間である。そして、上述した3往復の移動を1組として、1秒間に10回繰り返す。従って、上記3往復の合計時間124(図12参照)は0.1秒である。
ところで、上記往路時間113と上記復路時間114とが同一の長さの時間であれば、
f1=1/(往路時間×2)
f2=1/(復路時間×2)
とすると、
f1=f2=30Hz
となる。
ここで、復路時間は光を照射しない時間であり、この点において無駄な(短いほど効率的になる)時間であるので、往復路における往路の時間の比率を大きくするべきである。従って、ここでは往路時間113と復路時間114との比率を6:4とし、
f1=25Hz
f2=37.5Hz
としている。
以下、図14を参照して、アジマスアクチュエータ部組40のレンズ12及びレンズホルダ11等から成るX方向に動く可動部の周波数応答特性を説明する。
図14は、アジマスコイル13の入力電流を基準として、レンズホルダ11の変位の周波数特性を表したものであり、(レンズホルダ11の変位)/(アジマスコイル13の入力電流)を、入力電流の周波数を変えて実測した結果を示す図である。
なお、後述する基本共振周波数以下の変位感度一定の領域を0dBとして示している。
ここで、上記アジマスコイル13に発生する力Fは、上記アジマスコイル13の入力電流によって決定される。従って、図14は、上記F=(一定)としたときのレンズホルダ11の変位が、入力電流の周波数によってどのように変わるかを示す図である。
上記レンズ12及び上記レンズホルダ11等から成るX方向に動く可動部がバネで支持されていない場合、入力電流の周波数が高くなるにつれて変位が小さくなり、図14においてグラフ130で示すような特性となる。このとき、上記可動部は入力電流に比例する力を受け、その結果、入力電流に比例する加速度を発生するという理想的な動作が行われる。
一方、上記レンズ12及び上記レンズホルダ11等から成るX方向に動く可動部がバネで支持されている場合、当該系の基本共振周波数以下の領域においては、バネが働きにより、バネの力とコイルに発生する力とが釣り合うように動作する。もしバネが無ければ、当該特性はグラフ132で示すようになる。
しかしながら、バネの力Fは、変位をx、バネ定数をkとするとF=k×xと表されるように、変位に比例する力である。ここでバネの力Fは一定であるので、上記変位xも一定であり、図14においてグラフ131で示すような特性となる。
アジマスアクチュエータ部組40でイタバネ18a,18bの系の基本共振周波数は30Hzであり、特性としては、入力電流の周波数30Hz以下の領域ではグラフ131で示すようになり、30Hzの点133で折れ、30Hz以上の領域ではグラフ130で示すような特性となる。
ところで、共振周波数付近では共振によって振動が大きくなるため、30Hz付近においてゲインの盛り上がり129が現れる。このゲインの盛り上がり129の大きさ134はQ値と称されている。
なお、周波数の高い部分にある盛り上がり138a,138bは、レンズホルダ11等による共振に起因する。上記Q値の大きさは、シリコーンゲル23a,23bによるイタバネ18a,18bのダンピングの効果によって決定される。図14に示す例では、Q値の大きさは20dBである。
アジマスアクチュエータ部組40におけるレンズ12及びレンズホルダ11等から成る可動部を動かす場合、アジマスコイル13に電流を流して加速度を発生させることで駆動する。理想的には、この特性は図14に示すグラフ132,130で示すような特性となる。しかしながら、上述したように基本共振周波数付近においてグラフ129で示すように変化する。
上述したように、図14においてグラフ132よりもグラフ129が上方に存在する周波数範囲135においては、理想よりも可動部が大きく動くことになる。この為、周波数範囲135においては上記アジマスコイル13に流す電流を小さくすることが可能になる。
往路においては、上記可動部は、上述したように周波数が概ね25Hzの入力電流で動作している。入力電流の周波数が25Hzのとき、図14に示すようにグラフ130よりもグラフ129が、差異136だけ大きい値となっている。同図に示すように、この差異136の大きさは約5dBであり、本来より5dB=約1.8倍大きく可動部が動くことを意味している。従って、この場合、アジマスコイル13に流す電流を本来の1/1.8倍の値にすることが可能になる。
一方、復路においては、上記可動部は、周波数が概ね37.5Hzの入力電流で動作している。入力電流の周波数が37.5Hzのとき、図14に示すようにグラフ130よりもグラフ129が、差異137だけ大きい値となっている。同図に示すように、この差異137の大きさは約8dBであり、本来より8dB=約2.5倍大きく可動部は動くことを意味している。従って、この場合、アジマスコイル13に流す電流を本来の1/2.5倍の値にすることが可能になる。
上述したように電流値を小さくできるということは、最大電流値を一定と考えれば、上記アジマスコイル13及び磁石32a,32bよりなる磁気回路を小さくすることができる。これにより、磁気回路の小型化、低価格化が可能となる。
なお、実際は図13に示すグラフ111のように等速移動の部分があり、また制御の誤差及びその追従により、指示に対して進み又は遅れが存在する。しかしながら、大きく見た場合(実質的には)、入力電流の周波数は25Hz,37.5Hzである。
また、実際に入力電流として流れる電流は、複数の周波数成分を重ね合わせた電流である。しかしながら、それら複数の周波数成分において25Hz,37.5Hzの周波数成分を持つ信号が大きく、上述したグラフ129で示すように上記可動部の動きが大きくなる効果を得ることができる。
以上説明した理由により、本一実施形態では、上記レンズ12を振る(移動させる)為の入力電流の周波数を、基本共振周波数30Hzではなく、
光を走査する往路に関しては、
f1=1/(往路時間×2)=25Hz
とし、
復路に関しては、
f2=1/(復路時間×2)=37.5Hz
とする。
なお、上記基本共振周波数の値と、上記f1,f2の値とが違い過ぎると、基本共振により共振がない理想状態よりも上記可動部の動きが大きくなるという現象が生じなくなってしまう。
そこで、基本共振周波数をf0とし、該f0の値を、
0.6≦f1/f0
f2/f0≦1.4
の範囲とすると、基本共振によって、共振がない理想状態よりも動きが大きくなることを利用して、磁気回路の小型化、低価格化を図ることができる。
本一実施形態においては、
0.6≦(0.833=f1/f0)
(f2/f0=1.25)≦1.4
と上記の条件を満たしており、上述した原理により上記可動部の動きが理想状態よりも1.8〜2.5倍大きくなっている。
また、上記可動部の動きの大きさは、上述したQの値にも影響される。すなわち、Qの値が大きい程、上記可動部の動きも理想状態より大きくなる。しかしながら、Qの値が大き過ぎる場合、上記可動部の動きが大きくなるような入力電流の周波数範囲が狭くなったり、基本共振周波数で動きが大きくなり過ぎたり、制御の安定性が悪くなったり等のデメリットが生じてしまう。
より詳細には、Qの値は、
Q≦20dB
であれば上述したデメリットは生じない。
ところで、減衰係数比をγとすると、γが小さい範囲では、
Q=1/2γ
であり、
Q≦20dB
の場合、γは0.05以上となる。
一方、Qの値が小さい場合には、上記可動部の動きが大きくなるような入力電流の周波数範囲は広くなるが、上記可動部の動きが理想状態より大きくなる量が減少してしまう。従って、Qの値は概ね8dB以上であることが望ましい。これをγで表すと、0.2以下となる。
以上説明したように、基本共振周波数での減衰係数比をγとした場合、
0.05≦γ≦0.2
を満たせば、上記可動部の動きに関してより大きな効果が得られる。
ここで、Q=8dBとした場合に、上記可動部の動きを大きくするような周波数範囲を求める。
まず、上記f0でのピークに対して、上記可動部の動きの大きさが半分(約−3dB)の値になる周波数をf0の前後で、f1’、f2’とすると、
Q=f0/(半値幅)=f0/(f2’−f1’)
となる。
ここで、上記Qの値が約8dBである場合、
(f2’−f1’)=0.4×f0となり、
均等に配分すると、
f1’=0.8×f0
f2’=1.2×f0
となる。
実際には、上記f0でのピークに対して半分以下の周波数範囲でも上記可動部の動きが大きくなる効果がある為、その2倍の範囲の
f1=0.6×f0
f2=1.4×f0
としても、上述した効果を得ることができる。
さらに、f1<基本共振周波数<f2とし、往路に掛かる時間と復路に掛かる時間とを変えることで、光を走査する往路の時間の割合を増加させることができる。この為には、時間が長くなるf1の間に光を走査するようにすれば良い。
なお、この光を走査する方向を地面に水平な方向とすることで、車両用光スキャン装置として、より良く効果を得ることができる。
本一実施形態では板バネ18a〜18dは金属製であるとしているが、合成樹脂等で製作しても勿論良い。但し、金属製とした方が、応力やその他の固有値を計算しやすく、また温度による寸法変化も少ない等、性能を高めやすい。さらには、板バネ18a〜18dを金属製とすることで本一実施形態のように、コイルへ電流を流す役割を持たすこともできる。なお、本一実施形態では、板バネ18a〜18dをベリリウム銅製としているが、ステンレス製であっても勿論良い。
さらに、本一実施形態では、板バネ18a〜18dに可動部になるホルダ11及びそれに取り付けられた部品より成るバネ系の基本共振周波数と、板バネ39a〜39dに可動部に成るホルダ33及びそれに取り付けられた部品より成るバネ系の基本共振周波数と、を異なる周波数としている。
上記の各基本共振周波数を同じ周波数にしてしまうと、当該基本共振周波数付近で動作させたときに、バネウケ20,55を介して、他方を共鳴させる形でお互いの振動が予期した振動より大きくなってしまうことがあるので、この現象を防ぎ、高性能な光スキャン装置とする為である。
以上説明したように、本一実施形態によれば、基本周波数によるゲイン上昇を有効に利用して少ない電流値で大きなアクチュエータの電磁駆動を得ることができ、小型且つ低価格な磁気回路を用いて光走査における光照射の時間の割合を高めた光スキャン装置を提供することができる。
なお、本発明は上記一実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨の範囲内で種々の変形を施すことができる。
例えば、障害物を検知した場合等に、その部分のみを走査するような動作を、図12及び図13を参照して説明した動作に加えても勿論良い。
なお、広い範囲を走査する場合には、大きな加速度を発生させる必要があるので、本一実施形態で説明した構造及び動作によって、加速度を確保し且つ磁気回路を小さくする必要がある。しかしながら、狭い範囲を走査する場合には、発生させる加速度は小さくても良い為、周波数等が異なっていてもよく、例えば図13を参照して説明した通りの動作制御を行いつつ、上記レンズ12の移動量を小さくしても勿論良い。
また、上記レンズ12はシリンドリカルレンズであるとしていたが、例えば上記レンズ12をY方向にもレンズ効果を持たせ、上記レンズ46によってY方向に曲げられた光の角度を上記レンズ12によって更に拡大させるような効果を持たせても良い。このように構成する場合、上記レンズ12としては、一般的な軸を中心に回転対称なレンズではなく、X方向の位置によらずY方向の形状が同じになるようなトーリックレンズとすれば、レンズ12の位置によらずレンズ46の位置を調整する必要がなく、制御を容易にできるので、好ましい。
なお、シリンドリカルレンズであってもトーリックレンズであっても、レンズの曲面を非球面形状とすることで、光学特性を良好にできる。また、フレネルレンズを用いれば、一般的なレンズのように厚くならず、可動部の軽量化を図ることができる。
また、上記一実施形態では、X方向に光を動かすレンズ12と、Y方向に光を動かすレンズ46を別途のレンズとして構成しているが、例えば1つのレンズでX方向及びY方向の双方に光を動かすようにし、そのレンズをX方向及びY方向の2方向に移動可能に2組の板バネを組み合わせて支持しても勿論良い。この場合には、光を走査する方向に上述した諸関係式等を適用すれば良い。
さらには、上記レンズを移動させる駆動機構としても種々の駆動機構が考えられる。上記一実施形態においては、磁石とコイルとから成る機構であって、可動部にコイルが付いていたが、逆にコイルを固定し、磁石を動かすような構成としても良い。コイルを動かす場合であっても、コイルの中にヨークを設けないような構成としても勿論よい。
以上、本発明は上記実施の形態に制限されることなく、さまざまに変形することができる。
レンズはシリンドリカルレンズとしていたが、例えば、レンズ12のY軸方向にもレンズ効果を持たせ、レンズ46によってY軸方向に曲げられた光の角度を更に拡大させるような効果を持たせても良い。このとき、レンズ12は、一般的な軸を中心に回転対称なレンズではなく、X軸方向の位置によらず、Y軸方向の形状が同じになるようなトーリックレンズである方が、レンズ12の位置によらずレンズ46の位置を調整する必要がなく、制御を容易にできるので、好ましいものとなる。
更に、シリンドリカルレンズであっても、トーリックレンズであっても、レンズの曲面は非球面形状とすると、光学特性を良好にすることができる。また、レンズは、フレネルレンズであっても良い。一般的なレンズのように厚くならず、可動部分の軽量化を図ることができる。
尚、移動させる駆動機構も、種々のものが考えられる。上述した実施形態では、磁石とコイルから成る機構で、可動部にコイルが付いていたが、逆にコイルを固定し、磁石を移動させるような構成としても良い。コイルを移動させる場合でも、コイルの中にヨークがないような構成も考えられる。
また、上述した実施形態では、スキャン装置を車両に搭載する例について述べたが、車両に限らず、光を走査するスキャン装置全般に適応できることはいうまでもない。但し、車両に搭載するスキャン装置では、振動や寿命、信頼性の点で、板バネで支持する需要が大きく、効果を享受しやすいものとなる。
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
10…光スキャン装置、11、45…レンズホルダ、12、26、27、46…レンズ、13…アジマスコイル、14…発光ダイオード、16、50…スリット、17a、17b…鍔部、18、18a〜18d、53、53a〜53d…板バネ、20、55…バネ受け、20a…凹部、22a、22b、44a、44b、60a、60b…段部、23a、23b、61a、61b…シリコンゲル、28、70…ポジションセンサ、30、31a、31b、63…ヨーク、32a、32b、68a、68b…磁石、38…レーザダイオード、35、71…基板、40…アジマスアクチュエータ部組、41…エレベーションアクチュエータ部組、42…レーザ部組、47a、47b…エレベーションコイル、48…発光ダイオード、65a、65b、66a、66b…立ち上げ部。