JP2010000833A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】渋滞時に、燃費の向上が可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置100は、内燃機関200と、蓄電池500による駆動及び該蓄電池500の充電が可能なモータジェネレータMG1、MG2とを備えるハイブリッド車両10に搭載され、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中、車両要求出力Peの増加が予測される状況において、内燃機関200の駆動頻度を増加させる。
従って、渋滞区間の走行中における蓄電池500の充電の機会が増加する。他方、非渋滞区間の走行中には、内燃機関200の駆動頻度を増加させないことで、EV走行が実施される機会が確保される。
【選択図】図2
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置100は、内燃機関200と、蓄電池500による駆動及び該蓄電池500の充電が可能なモータジェネレータMG1、MG2とを備えるハイブリッド車両10に搭載され、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中、車両要求出力Peの増加が予測される状況において、内燃機関200の駆動頻度を増加させる。
従って、渋滞区間の走行中における蓄電池500の充電の機会が増加する。他方、非渋滞区間の走行中には、内燃機関200の駆動頻度を増加させないことで、EV走行が実施される機会が確保される。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えばハイブリッド車両を制御するための制御装置の技術分野に関する。
内燃機関に加えて、モータ及び発電機としての機能を併せ持つモータジェネレータなどの動力源を備えるハイブリッド車両が知られている。ここに、一般的なハイブリッド車両は、内燃機関及びモータジェネレータのいずれか一方、或いは両方を併用して駆動させることで走行することが可能であると共に、内燃機関駆動による走行中に、モータジェネレータによって蓄電池の充電を行うことが可能であるよう構成されている。そして、このような構成においては、車両の走行速度及び蓄電池の充電状況などに基づき、より効率的な走行が可能となるよう、内燃機関とモータジェネレータ夫々の駆動に伴う出力(つまり、駆動出力)の割合を動力分配機構によって連続的或いは段階的に切り替えが可能となる。また、典型的に、ハイブリッド車両において、内燃機関は高出力負荷での走行に用いられ、他方モータは低出力負荷での走行に用いられる傾向がある。
このようなハイブリッド車両の一例として、特許文献1には、渋滞時の走行中には、非渋滞時に比して、より大きい充電電力で充電を行う構成が開示されている。このような構成によれば、渋滞時には、充電のために内燃機関に要求される出力が増加することから、内燃機関の燃費が悪化するとされる低出力領域での駆動が要求される渋滞時の走行中に内燃機関の駆動環境を改善させることが出来るとされている。
特許文献2には、自車両の前方を走行する先行車両の加減速を予測することで、それに追随する自車両の加減速を判断し、該判断に基づいて内燃機関の駆動の実行及び停止を制御する構成が開示されている。また、特許文献3には、自車両と先行車両との車間距離が短くなる場合に、モータの駆動出力の割合を増加させる構成が開示されている。特許文献4には、登り下りの予測される路面において、蓄電池の充電状況に基づき、モータの駆動出力を増加させるとともに、制動時には回生電力を充電する構成が開示されている。
ハイブリッド車両が例えば渋滞区間などを低速走行している場合には、ハイブリッド車両全体での出力の要求量が相対的に低くなる。このとき、ハイブリッド車両全体での出力の要求量が内燃機関の駆動を行う出力の要求量を下回る限り(言い換えれば、モータの駆動による出力のみでハイブリッド車両全体での出力の要求量の発生が可能である場合)、モータのみの駆動による走行が行われる。このとき、モータの駆動による走行が連続するにつれて、蓄電池の充電状態量(すなわち、SOC:State of Charge)が減少し、蓄電池を充電するために内燃機関の駆動が要求される。その結果、ハイブリッド車両の走行状況に関わらず、内燃機関の駆動が実施され、その出力は蓄電池の充電に供されることとなる。
しかしながら、蓄電池の充電のための内燃機関への出力の要求量は、例えばハイブリッド車両の走行のための内燃機関への出力の要求量に比して低く、内燃機関の駆動は所謂低負荷状態で実施される。結果、内燃機関は、その駆動効率が悪いとされる動作点での駆動(つまり、低負荷での駆動)を強いられることとなり、これは、燃費の悪化を引き起こす技術的な問題点として指摘される。
本発明は、上述した問題点に鑑みて為されたものであり、ハイブリッド車両の走行において、特に渋滞時の燃費の悪化を抑制する一方で、非渋滞時の燃費の悪化をも抑制させ得るハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上記問題を解決するために、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関と、蓄電池によって駆動されるとともに、前記内燃機関の駆動に伴って前記蓄電池の充電を行うモータジェネレータとを備えるハイブリッド車両に搭載され、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行していることを検出する渋滞検出手段と、前記内燃機関の駆動及び停止を制御する内燃機関制御手段と、前記ハイブリッド車両における車両要求出力の増加を予測する駆動出力予測手段とを備え、前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記車両要求出力の増加が予測される状況において、前記内燃機関の駆動頻度を、前記ハイブリッド車両が非渋滞区間を走行中の駆動頻度に比して、増加させる。
本発明に係る「ハイブリッド車両」とは、例えばエンジンなどの内燃機関とともに、例えばモータなどの電動機をその動力機構として備える車両であり、例えば遊星歯車などの動力分配機構によって、内燃機関と電動機との間で駆動出力の割合が調整可能となるよう構成されている。これによって、該ハイブリッド車両は、内燃機関及び電動機の少なくとも一方、或いは両者の組み合わせによって、車両が走行するための駆動出力を供給することが可能となる。また、特に本発明に係る「モータジェネレータ」とは、上述の電動機としての機能に加えて、内燃機関の駆動出力を用いて発電を行う発電機としての機能をも併せ持つ構成である。このようなモータジェネレータの動作によって発電された電力は、典型的には、蓄電池の充電に供される。
このようなハイブリッド車両においては、時に、内燃機関の駆動を停止し、モータジェネレータのみの駆動によって走行する、所謂EV走行が行われることがある。典型的に、EV走行中のハイブリッド車両においては、内燃機関制御手段は、車両要求出力(つまり、ハイブリッド車両全体での出力の要求量)が所定の閾値を上回る場合に内燃機関を始動させて、その駆動力をハイブリッド車両の走行に供すると共に、車両要求出力が所定の閾値を下回る場合に内燃機関の駆動を停止させる。また、車両要求出力に対して、内燃機関及びモータジェネレータが夫々負担するべき出力が割り振られることで、内燃機関及びモータジェネレータの駆動に要求される出力(つまり、内燃機関への出力の要求量及びモータジェネレータへの出力の要求量)が決定される。
本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、非渋滞区間での走行(所謂、通常走行)に比して、ハイブリッド車両の走行のための内燃機関への出力の要求量が低い低速での走行を強いられる渋滞区間での走行時に、例えばドライバの走行速度上昇操作などによって車両要求出力の増加が発生すると予測される場合、該予測に基づき、内燃機関の駆動頻度を増加させる。
ここに、本発明に係る、「内燃機関の駆動頻度」とは、ハイブリッド車両において内燃機関の駆動による車両の走行が実施される機会の発生し易さを示し得る趣旨である。また、一例として、後に詳述するように、内燃機関の駆動を行う出力の要求量(つまり、内燃機関の始動出力閾値)或いは内燃機関の停止を行う出力の要求量(つまり、停止出力閾値)などが、より駆動頻度が増加するように変化されることで(すなわち、出力の要求量の閾値が低下されることで)、内燃機関の駆動頻度の増加が行われる。
また、本発明に係る「渋滞検出手段」は、例えば、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)により送信される渋滞或いは交通規制などの道路交通情報、及びハイブリッド車両に搭載されるカーナビゲーションシステムなどによって管理される該ハイブリッド車両の走行地点情報の入力を適宜受け、該道路交通情報及び該走行地点情報に基づき、該ハイブリッド車両が走行する地点において渋滞が発生しているか否か(言い換えれば、渋滞区間を走行しているか否か)を判定するよう構成される。
このように構成すれば、内燃機関に対して、駆動効率とともに燃費が悪化するとされる低負荷での駆動が要求される渋滞区間での走行において、ドライバの操作などに伴って車両全体での要求出力が増加することが予測される場合に、内燃機関の駆動が実行され易くなる。また、このとき、内燃機関の駆動出力を用いて、蓄電池の充電が実施される。従って、走行による負荷が増加することで内燃機関に要求される出力が増加する状況において、蓄電池の充電が実施される。つまり、渋滞中であっても、相対的に駆動効率が良い動作点での内燃機関の駆動に伴う蓄電池の充電の機会が増加し、結果として燃費の向上が見込まれる。
尚、内燃機関制御手段による内燃機関の駆動頻度の増加は、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に選択的に行われるため、ハイブリッド車両が渋滞区間を脱するなどして非渋滞区間での走行に移行した場合、内燃機関の駆動頻度の増加は行われない(言い換えれば、増加前の状態に移行する)。一例として、後に詳述する内燃機関の駆動を行う出力の要求量或いは内燃機関の停止を行う出力の要求量が低下されることで内燃機関の駆動頻度が増加される構成においては、低下された内燃機関の駆動を行う出力の要求量或いは内燃機関の停止を行う出力の要求量は、低下前の値へと移行される。従って、非渋滞区間での走行中のハイブリッド車両においては、渋滞区間の走行中に比してハイブリッド車両の走行のための内燃機関への出力の要求量が増加するものの、内燃機関の駆動頻度が過度に増加することはない。
結果として、非渋滞区間での走行中のハイブリッド車両においては、エンジンの駆動頻度が増加しない一方で、モータジェネレータのみの駆動によるEV走行が実施される機会が確保される。このことから、非渋滞区間の走行時において、エンジン200の駆動に係る燃費の悪化を抑制することが可能となる。更に、EV走行中のモータジェネレータの駆動に、渋滞区間での走行中に充電された蓄電池の電力を用いることが出来るため、非渋滞区間での走行中の燃費の悪化が更に抑制される。
本発明のハイブリッド車両の制御装置の一の態様は、前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記車両要求出力の増加が予測される状況において、前記内燃機関の始動閾値及び停止閾値の少なくとも一方を、少なくとも非渋滞区間を走行している場合に比して低減させることで、前記内燃機関の駆動頻度を増加させる。
この態様によれば、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行している場合において、近い将来車両要求出力の増加が発生することを予測し、内燃機関の始動閾値及び停止閾値を低減させることで、相対的に小さい車両要求出力域においても内燃機関の駆動が実行されるため、内燃機関の駆動頻度が増加する。
本発明に係る「内燃機関の始動閾値」とは、前述のEV走行中、車両要求出力が当該始動閾値を上回る場合において、内燃機関の始動を開始する車両要求出力の閾値である。「停止閾値」とは、車両要求出力が当該停止閾値を下回る場合において、内燃機関の駆動を停止する車両要求出力の閾値である。つまり、ドライバの操作などに伴って増減する車両要求出力が、このような閾値を上回り、また下回ることで、EV走行とハイブリッド走行との間で、ハイブリッド車両の走行状態は変化する。
尚、本発明における車両要求出力の増加の予測は、例えば、後に詳述するように、ドライバの操作による走行速度の増加が実施されると判断される状況、或いは、上り勾配など非渋滞区間での走行中のハイブリッド車両に比して、より大きな出力が要求されると判断される状況を検出することなどによって行われる。
このように構成すれば、典型的に、内燃機関の駆動効率及び燃費が悪化するとされる低出力での駆動が要求される渋滞区間の走行時において、車両要求出力が増加する場合に、相対的に内燃機関の駆動が実行され易くなるとともに、内燃機関の駆動が停止され難くなる。従って、相対的に駆動効率が良い動作点での内燃機関の駆動に伴う蓄電池の充電の機会が増加し、結果として燃費の向上が見込まれる。また、内燃機関が停止され難くなることで、内燃機関の再始動に要する電力消費を低減させることが可能となり、更なる燃費の向上が見込まれる。
本発明のハイブリッド車両の制御装置の他の態様は、前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両と前記ハイブリッド車両の進行方向直前を走行する他の車両との車間距離を検出する車間距離検出手段を更に備え、前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記他の車両との車間距離が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させる。
この態様によれば、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行している場合、ハイブリッド車両と他の車両(例えば、先行車両)との車間距離が増加するほど、内燃機関の駆動頻度が増加する。
典型的に、ハイブリッド車両と先行車両との車間距離の増加が検出される場合、ハイブリッド車両のドライバは、車間距離を狭めるために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられることから、車両要求出力の増加が予測される。つまり、駆動出力予測手段は、車間距離検出手段の動作によって車間距離の増加が検出される場合、近い将来に車両要求出力が増加するとの判断を行う。ここに、本発明に係る車間距離検出手段は、例えば、ハイブリッド車両前部に設置されるレーダセンサなどであり、先行車両との車間距離を適宜検出可能な態様で構成される。また、内燃機関の駆動頻度の増加は、一例として、前述の如く内燃機関の始動閾値及び停止閾値が夫々低減されることで実行される。
このように構成すれば、渋滞区間の走行中において、近い将来の車両要求出力の増加を好適に予測することが出来る。
本発明のハイブリッド車両の制御装置の他の態様は、前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両に対する前記ハイブリッド車両の進行方向直前を走行する他の車両の相対速度を検出する相対速度検出手段を更に備え、前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記他の車両との相対速度が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させる。
この態様によれば、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行している場合、ハイブリッド車両に対する先行車両の相対速度が増加するほど、内燃機関の駆動頻度が増加する。
典型的に、ハイブリッド車両に対する先行車両の相対速度の増加が検出される場合、ハイブリッド車両のドライバは、先行車両の走行速度への追従を行うために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられることから、車両要求出力の増加が予測される。つまり、駆動出力予測手段は、相対速度検出手段の動作によって相対速度の増加が検出される場合、近い将来に車両要求出力が増加するとの判断を行う。ここに、本発明に係る相対速度検出手段は、例えば、ハイブリッド車両前部に設置されるレーダセンサなどによって先行車両との車間距離を適宜検出し、該車間距離の時間的変化及びハイブリッド車両の走行速度に基づいて、相対速度を算出可能な態様で構構成される。また、内燃機関の駆動頻度の増加は、一例として、前述の如く内燃機関の始動閾値及び停止閾値が夫々低減されることで実行される。
このように構成すれば、渋滞区間の走行中において、近い将来の車両要求出力の増加を好適に予測することが出来る。
本発明のハイブリッド車両の制御装置の他の態様は、前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両が走行する路面における登坂角度を検出する登坂角度検出手段を更に備え、前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記ハイブリッド車両が走行する路面における登坂角度が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させる。
この態様によれば、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行している場合、ハイブリッド車両の走行する路面における登坂角度が増加するほど、内燃機関の駆動頻度が増加する。
典型的に、ハイブリッド車両の走行する路面の登坂角度の増加が検出される場合、ハイブリッド車両のドライバは、より大きな出力を発生させるために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられることから、車両要求出力の増加が予測される。つまり、駆動出力予測手段は、登坂角度検出手段の動作によって登坂角度の増加が検出される場合、近い将来に車両要求出力が増加するとの判断を行う。ここに、本発明に係る登坂角度検出手段は、例えば、ハイブリッド車両に搭載されるカーナビゲーションシステムなどによって管理される車両の走行地点情報に基づき、ハイブリッド車両が走行する路面の登坂角度を適宜検出可能な態様で構成される。また、内燃機関の駆動頻度の増加は、一例として、前述の如く内燃機関の始動閾値及び停止閾値が夫々低減されることで実行される。
このように構成すれば、渋滞区間の走行中において、近い将来の車両要求出力の増加を好適に予測することが出来る。
本発明のハイブリッド車両の制御装置の他の態様は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を少なくとも前記内燃機関の駆動によって走行中である場合に、前記内燃機関の駆動に伴って前記モータジェネレータが行う前記蓄電池の充電における充電電力要求量を少なくとも非渋滞区間を走行している場合に比して増加させる充電電力制御手段を更に備える。
この態様によれば、ハイブリッド車両が渋滞区間を走行している場合、内燃機関の駆動に伴って蓄電池の充電に供される内燃機関の要求出力が増加する。
ここに、本発明に係る「充電電力要求量」とは、内燃機関の駆動に伴ってモータジェネレータが蓄電池の充電が行われる際の目標充電電力であって、充電電力要求量が増加することで、より多くの内燃機関の駆動出力が充電に用いられる(言い換えれば、内燃機関への出力の要求量が増加する)。つまり、内燃機関の駆動出力(すなわち、内燃機関の駆動に際しての目標出力)とは、理想的には、ハイブリッド車両の走行に必要な出力に対して内燃機関が負担するべき内燃機関への出力の要求量(つまり、内燃機関とモータジェネレータとの間での出力分配に応じて設定される出力)と、モータジェネレータにおける蓄電池の充電のための内燃機関への出力の要求量とを加えた値であり、実際は、更にその他種々の要因によって発生するとされる損失出力の要求量を加えた値となる。
このように構成すれば、典型的に、内燃機関の駆動効率及び燃費が悪化するとされる低出力での駆動が要求される渋滞区間の走行時において、内燃機関の駆動が実行されている場合に、相対的に内燃機関に要求される出力が増加するとともに、増加した出力によって充電が行われる。従って、内燃機関の駆動効率が相対的に増加すると共に、蓄電池の充電電力が増加し、結果として燃費の向上が見込まれる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
(1)基本構成
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、伝達機構11、車輪12、HV−ECU100、エンジンECU110、エンジン200、モータジェネレータMG1、モータジェネレータMG2、動力分配機構300、インバータ400、バッテリ500、SOCセンサ510、レーダセンサ600、VICS受信部610及びカーナビゲーションシステム620を備える。
伝達機構11は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から出力された動力を車輪12に伝達するための伝達軸である。
車輪12は、伝達機構11を介して伝達される動力を路面に伝達する手段であり、図1においては左右一輪ずつが示されるが、実際には、前後左右に一輪ずつ備わりハイブリッド車両10全体で計4個備わっている。
HV−ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、並びにROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の不図示のメモリを備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能であるように構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一具体例である。本実施形態においては、特に、ハイブリッド車両10の運転状態に基づき、モータジェネレータMG1、MG2の要求出力を算出して、モータジェネレータMG1、MG2の駆動を制御すると共に、エンジン200の要求出力やエンジンの目標回転数を算出して、後述するエンジンECU110へ送信するという「駆動出力予測手段」としての機能を備えている。
エンジンECU110は、同じくCPU及びメモリを備え、主に、ハイブリッド車両10における、エンジン200の始動及び停止の制御を行うことが可能であるように構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関制御手段」の一具体例である。特に、エンジン回転数や水温などを検出し、該検出データをHV−ECU100へ送信すると共に、HV−ECU100から上述の要求出力及び目標回転数などのデータの入力を受け、エンジン200の始動、停止及び駆動の態様の制御(例えば、スロットル開度の調節など)を行う。他方で、エンジンECU110よりHV−ECU100へ送信されるエンジン回転数などの検出データは、HV−ECU100においてモータジェネレータMG1、MG2とエンジン200との間での要求出力の分配を決定するために用いられる。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一具体例であり、典型的にはガソリンなどを燃料として駆動する原動機であって、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能する。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、夫々不図示のシリンダブロックに複数の気筒が配置された構成を有している。そして、各気筒内における圧縮工程において、当該圧縮工程或いは吸気工程に気筒内に直接噴射される燃料と吸入空気との混合気が圧縮され、自発的に又はスパークプラグ等の点火動作によって着火した際に生じる力が、夫々不図示のピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換される構成となっている。このクランクシャフトの回転は、動力分配機構300及び伝達機構11を介して車輪12に伝達され、ハイブリッド車両10の走行が可能となる。
また、エンジン200において、吸入空気が通過する吸気管には、吸入空気の流量を調節するためのスロットルバルブが設けられ、また、気筒には、燃料の噴射を行うインジェクタが設けられる。このようなスロットルバルブの開閉状態に応じて気筒内に供給される吸入空気量、或いは該インジェクタを介して気筒内の燃焼室に噴射される燃料量によって、エンジン200における発生出力が一義的に決定される。該スロットルバルブは、併設されるモータなどによって駆動されることでその開閉状態が調節されるよう構成されており、該モータは、電気的に接続されるエンジンECU110によって、その駆動状態を制御可能であるように構成されている。同じく、該インジェクタによる燃料噴射の態様も、電気的に接続されるエンジンECU110によって、その駆動状態を制御可能であるように構成されている。従って、エンジン200の始動、停止及び駆動の態様は、エンジンECU110によって制御され得る構成である。
また、エンジン200において、シリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するための冷却水の温度を検出するための不図示の温度センサが配設され、HV−ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、常にHV−ECU100に送信され、HV−ECU100によって把握される構成となっている。また、エンジン200においては、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ、或いは空燃比を検出する空燃比センサなどの各種センサが、夫々併設され、且つ夫々がHV−ECU100と電気的に接続され、該検出データを常にHV−ECU100に送信するよう構成されていても良い。尚、エンジン200の構成は、本実施形態において特に記述する部分以外は、他の公知の形式のエンジンであっても良い。
モータジェネレータMG1は、本発明に係る「モータジェネレータ」の一例であり、バッテリ500を充電するための或いはモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電機として、更にはエンジン200の駆動力をアシストする電動機として機能するように構成されている。
モータジェネレータMG2は、本発明に係る「モータジェネレータ」の一例であり、エンジン200の動力をアシストする電動機として、或いはバッテリ500を充電するための発電機として機能するように構成されている。
尚、これらモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。但し、他の形式のモータジェネレータであっても構わない。
動力分配機構300は、夫々不図示のサンギア、プラネタリキャリア、ピニオンギア、及びリングギアを備えた遊星歯車機構である。これら各ギアのうち、内周にあるサンギアの回転軸はモータジェネレータMG1に連結されており、外周にあるリングギアの回転軸は、モータジェネレータMG2に連結されている。サンギアとリングギアの中間にあるプラネタリキャリアの回転軸はエンジン200に連結されており、エンジン200の回転は、このプラネタリキャリアと更にピニオンギアとによって、サンギア及びリングギアに伝達され、エンジン200の動力が2系統に分割されるように構成されている。ハイブリッド車両10において、リングギアの回転軸は、ハイブリッド車両10における伝達機構11に連結されており、この伝達機構11を介して車輪12に駆動力が伝達される。
インバータ400は、バッテリ500から取り出した直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ500に供給することが可能に構成されている。尚、インバータ400は、所謂PCU(Power Control Unit)の一部として構成されていてもよい。
バッテリ500はモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池である。
SOCセンサ510は、バッテリ500の充電状態を表すバッテリ残量を検出することが可能に構成されたセンサであって、本発明における「充電電力検出手段」の一具体例である。SOCセンサ510は、HV−ECU100と電気的に接続されており、SOCセンサ510によって検出されたバッテリ500のSOC値は、常にHV−ECU100に送信され、HV−ECU100によって把握される構成となっている。
レーダセンサ600は、典型的には、ハイブリッド車両10の前部に設置され、ハイブリッド車両10と、該ハイブリッド車両10の進行方向直前を走行する先行車両との車間距離を検出することが可能に構成されたセンサである。レーダセンサ600は、HV−ECU100と電気的に接続されており、レーダセンサ600によって検出された車間距離データは、常にHV−ECU100に送信され、HV−ECU100によって把握される構成となっている。また、HV−ECU100は、上述のように送信される車間距離データを常時監視することで、該車間距離データの時間変化から、ハイブリッド車両10と、先行車両との相対速度の算出を行うことが可能であるよう構成される。つまり、レーダセンサ600で検出した車間距離データを、HV−ECU100において監視或いは処理を行う構成は、本発明における「車間距離検出手段」及び「相対速度検出手段」の一具体例としての機能を備える。
VICS受信部610は、例えば、カーナビゲーション装置などの態様を採り、FM多重放送、電波ビーコン或いは光ビーコン等の各種態様で送信されるVICSによる道路交通情報を受信可能に構成される、本発明における「渋滞検出手段」の一具体例である。また、検出された道路交通情報は、HV−ECU100に送信され、HV−ECU100において把握される構成となっている。HV−ECU100は、該道路交通情報に基づく現在の渋滞区間と、カーナビゲーションシステム620によって取得される現在走行位置とを互いに参照することによって、現在の走行位置が渋滞中であるか否かの判断を行う。ここに、カーナビゲーションシステム620の構成は、公知のカーナビゲーション装置で実行されている通りで良く、その細部は必要に応じて種々変更されてよい。
(2)ハイブリッド車両10の基本動作
図1のハイブリッド車両10においては、主として発電機として機能するモータジェネレータMG1、主として電動機として機能するモータジェネレータMG2、及びエンジン200の夫々の動力配分がHV−ECU100及び動力分配機構300により制御され、走行状態が制御される。以下に、幾つかの状況に応じたハイブリッド車両10の動作について説明する。
図1のハイブリッド車両10においては、主として発電機として機能するモータジェネレータMG1、主として電動機として機能するモータジェネレータMG2、及びエンジン200の夫々の動力配分がHV−ECU100及び動力分配機構300により制御され、走行状態が制御される。以下に、幾つかの状況に応じたハイブリッド車両10の動作について説明する。
(2−1)始動時
例えば、ハイブリッド車両10の始動時においては、バッテリ500の電気エネルギを用いてモータジェネレータMG1が電動機として駆動される。このモータジェネレータMG1の動力によってエンジン200がクランキングされエンジン200が始動する。
例えば、ハイブリッド車両10の始動時においては、バッテリ500の電気エネルギを用いてモータジェネレータMG1が電動機として駆動される。このモータジェネレータMG1の動力によってエンジン200がクランキングされエンジン200が始動する。
(2−2)発進時
発進時には、SOCセンサ510の出力信号に基づいたバッテリ500の蓄電状態に応じて2種類の態様を採り得る。例えば、通常の(即ち、SOCが良好な)発進時においては、モータジェネレータMG1によってバッテリ500を充電する必要は生じないため、エンジン200は暖機のためだけに始動し、ハイブリッド車両10は、モータジェネレータMG2の動力により発進する。一方、蓄電状態が良好ではない(即ち、SOCが低下している)場合、エンジン200の動力によりモータジェネレータMG1が発電機として機能し、バッテリ500が充電される。
発進時には、SOCセンサ510の出力信号に基づいたバッテリ500の蓄電状態に応じて2種類の態様を採り得る。例えば、通常の(即ち、SOCが良好な)発進時においては、モータジェネレータMG1によってバッテリ500を充電する必要は生じないため、エンジン200は暖機のためだけに始動し、ハイブリッド車両10は、モータジェネレータMG2の動力により発進する。一方、蓄電状態が良好ではない(即ち、SOCが低下している)場合、エンジン200の動力によりモータジェネレータMG1が発電機として機能し、バッテリ500が充電される。
(2−3)軽負荷走行時
例えば、低速走行時や緩やかな坂を下っている時など、ハイブリッド車両10における要求出力が比較的小さい場合には、比較的エンジン200の効率が悪い為、不図示のインジェクタを介した燃料の噴射が停止されることによりエンジン200が停止され、ハイブリッド車両10は、モータジェネレータMG2による動力のみで走行する。尚、この際、SOCが低下していれば、エンジン200はモータジェネレータMG1を駆動するために始動し、モータジェネレータMG1によりバッテリ500の充電が行われる
(2−4)通常走行時
他方で、例えば、高速走行時或いは登坂区間での走行など、少なくとも非渋滞区間を走行中は、ハイブリッド車両10における要求出力が比較的大きいとされる。このとき、ハイブリッド車両10は、エンジン200の燃費或いは燃焼効率が比較的良好な領域において主としてエンジン200の動力によって走行する。また、この際のエンジン200の動力は、動力分配機構300によって2系統に分割され、一方は、動力分配機構300に接続される夫々不図示の直達軸、主動力軸及び伝達機構11を介して車輪12に伝達され、他方は、モータジェネレータMG1を駆動して発電に供される。更に、この発電された電力により、モータジェネレータMG2が駆動され、モータジェネレータMG2によりエンジン200の動力がアシストされる。尚、この際、SOCが低下している場合には、エンジン200の出力を上昇させて、モータジェネレータMG1により発電された電力の一部がバッテリ500へ充電される。
例えば、低速走行時や緩やかな坂を下っている時など、ハイブリッド車両10における要求出力が比較的小さい場合には、比較的エンジン200の効率が悪い為、不図示のインジェクタを介した燃料の噴射が停止されることによりエンジン200が停止され、ハイブリッド車両10は、モータジェネレータMG2による動力のみで走行する。尚、この際、SOCが低下していれば、エンジン200はモータジェネレータMG1を駆動するために始動し、モータジェネレータMG1によりバッテリ500の充電が行われる
(2−4)通常走行時
他方で、例えば、高速走行時或いは登坂区間での走行など、少なくとも非渋滞区間を走行中は、ハイブリッド車両10における要求出力が比較的大きいとされる。このとき、ハイブリッド車両10は、エンジン200の燃費或いは燃焼効率が比較的良好な領域において主としてエンジン200の動力によって走行する。また、この際のエンジン200の動力は、動力分配機構300によって2系統に分割され、一方は、動力分配機構300に接続される夫々不図示の直達軸、主動力軸及び伝達機構11を介して車輪12に伝達され、他方は、モータジェネレータMG1を駆動して発電に供される。更に、この発電された電力により、モータジェネレータMG2が駆動され、モータジェネレータMG2によりエンジン200の動力がアシストされる。尚、この際、SOCが低下している場合には、エンジン200の出力を上昇させて、モータジェネレータMG1により発電された電力の一部がバッテリ500へ充電される。
(2−5)制動時
減速が行われる際には、車輪12から伝達機構11を介して伝達される動力によってモータジェネレータMG2を回転させ、発電機として動作させる。これにより、車輪12の運動エネルギが電気エネルギに変換され、バッテリ500が充電される、所謂「回生」が行われる。
減速が行われる際には、車輪12から伝達機構11を介して伝達される動力によってモータジェネレータMG2を回転させ、発電機として動作させる。これにより、車輪12の運動エネルギが電気エネルギに変換され、バッテリ500が充電される、所謂「回生」が行われる。
(3)エンジン200の基本制御
次に、エンジン200の基本的な制御動作について説明する。HV−ECU100は、エンジン200に要求される出力であるエンジン要求出力Peを、一定の周期で繰り返し演算している。この際、HV−ECU100は、夫々不図示のアクセルポジションセンサ及び車速センサによって検出されるアクセル開度Accl及び車速vに基づいて、予めROMに格納されたマップを参照することで、現時点におけるアクセル開度Accl及び車速vに対応した出力軸トルク(伝達機構11に出力されるべきトルク)を算出する。
次に、エンジン200の基本的な制御動作について説明する。HV−ECU100は、エンジン200に要求される出力であるエンジン要求出力Peを、一定の周期で繰り返し演算している。この際、HV−ECU100は、夫々不図示のアクセルポジションセンサ及び車速センサによって検出されるアクセル開度Accl及び車速vに基づいて、予めROMに格納されたマップを参照することで、現時点におけるアクセル開度Accl及び車速vに対応した出力軸トルク(伝達機構11に出力されるべきトルク)を算出する。
更に、HV−ECU100は、SOCセンサ510の出力信号に基づいて要求発電量を求め、要求発電量と各種の補機類(エアコンやパワーステアリング等)の要求量とを参照して出力軸トルクを補正することによって、エンジン要求出力Peを算出する。尚、本実施形態におけるエンジン要求出力Peの演算方法は、後に詳述される公知のハイブリッド車両で実行されている通りで良く、その細部は必要に応じて種々変更されて良い。
(4)ハイブリッド車両10の走行制御
次に、本発明の実施形態に係る、エンジン200駆動の態様の制御の動作について、図2から図4を参照して説明する。HV−ECU100は、ハイブリッド車両10の走行中において、例えばセンサ類によって夫々検出されるアクセル開度Accl、車速v或いはSOC値に基づき、ハイブリッド車両10全体での出力の要求量を算出する。この時、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中であるなら、HV−ECU100は、後述するように、ハイブリッド車両全体での出力の要求量(すなわち、車両要求出力Pv)の増大が予測される状況において、車両要求出力Pvがその値を上回る場合にエンジン200の駆動を実施する始動閾値Pegsta及び車両要求出力Pvがその値を下回る場合にエンジン200の停止を実施する停止閾値Pegstpの少なくとも一方に対する補正を行う。また、HV−ECU100は、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中に、エンジン200が駆動中であるなら、エンジン200の駆動に伴って実施されるバッテリ500の充電に用いられる充電要求電力Pchgに対する補正を行う。
次に、本発明の実施形態に係る、エンジン200駆動の態様の制御の動作について、図2から図4を参照して説明する。HV−ECU100は、ハイブリッド車両10の走行中において、例えばセンサ類によって夫々検出されるアクセル開度Accl、車速v或いはSOC値に基づき、ハイブリッド車両10全体での出力の要求量を算出する。この時、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中であるなら、HV−ECU100は、後述するように、ハイブリッド車両全体での出力の要求量(すなわち、車両要求出力Pv)の増大が予測される状況において、車両要求出力Pvがその値を上回る場合にエンジン200の駆動を実施する始動閾値Pegsta及び車両要求出力Pvがその値を下回る場合にエンジン200の停止を実施する停止閾値Pegstpの少なくとも一方に対する補正を行う。また、HV−ECU100は、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中に、エンジン200が駆動中であるなら、エンジン200の駆動に伴って実施されるバッテリ500の充電に用いられる充電要求電力Pchgに対する補正を行う。
ここで、始動閾値Pegsta、停止閾値Pegstp及び充電要求電力Pchgのうち、少なくとも一つが補正される場合、エンジン200の駆動の態様(例えば、駆動出力)などに変化が生じることがある。
先ず、図2を参照して、本実施形態に係るハイブリッド車両10の走行時における一連の制御処理の動作について説明する。ここに、図2は、本実施形態に係るハイブリッド車両10の走行時において行われる一連の処理の流れを概念的に示すフローチャートである。この動作では、ハイブリッド車両10の走行中における、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2夫々の要求出力(つまり、要求トルク)が算出される。
先ず、走行中のハイブリッド車両10において、アクセルセンサ、車速センサ及びSOCセンサ510などのセンサ類によって夫々検出されるアクセル開度Accl、車速v及びSOC値のデータがHV−ECU100に入力される(ステップS101)。次いで、モータジェネレータMG1の回転数Ng及びモータジェネレータMG2の回転数Nmが、夫々ハイブリッドECU100に入力される(ステップS102)。
その後、入力された諸データに基づき、HV−ECU100において、ハイブリッド車両10の走行のために必要な駆動トルクTpの算出が行われる(ステップS103)。ここに、駆動トルクTpは、典型的に、ハイブリッド車両10の走行に寄与するモータジェネレータMG2によって伝達機構11に出力されるトルクのことであり、アクセル開度Accl、MG2回転数Nm及び伝達機構11のギア比を用いて、以下に示す数式(1)のように表される。つまり、駆動トルクTpは、アクセル開度Accl及びMG2回転数Nmと伝達機構300のギア比との積の関数として表される。
Tp=f(Accl,Nm×ギア比) (1)
そして、算出される駆動トルクTpに基づき、現在のハイブリッド車両10の走行において要求されるドライバ要求出力Puが算出される(ステップS104)。ここに、ドライバ要求出力Puは、駆動トルクTp、MG2回転数Nm及び伝達機構11のギア比を用いて、以下に示す数式(2)のように表される。
そして、算出される駆動トルクTpに基づき、現在のハイブリッド車両10の走行において要求されるドライバ要求出力Puが算出される(ステップS104)。ここに、ドライバ要求出力Puは、駆動トルクTp、MG2回転数Nm及び伝達機構11のギア比を用いて、以下に示す数式(2)のように表される。
Pu=Tp×Nm×ギア比 (2)
このドライバ要求出力Puが、ハイブリッド車両10全体において走行に要求される出力となる。
このドライバ要求出力Puが、ハイブリッド車両10全体において走行に要求される出力となる。
また、駆動トルクTpの算出と同時に或いは相前後して、充電要求電力Pchgの算出及び補正が行われる(ステップS200)。ここに、図3を参照して、本実施形態に係るハイブリッド車両10に特有の充電要求電力Pchgの補正を行う制御処理の動作について説明する。図3は、本実施形態に係るハイブリッド車両10におけるバッテリ500の充電要求電力Pchgの補正を行う制御の流れを概念的に示すフローチャートである。
充電要求電力Pchgの補正を行う制御処理(ステップS200)は、次に説明する幾つかの工程を通じて行われる。先ず、通常のバッテリ500の充電要求電力Pchg(つまり、補正前の値)の算出が、図3に示すマッピングを参照するなどして行われる(ステップS201)。このマッピングによれば、充電要求電力Pchgは、SOCセンサ510によって検出される、バッテリ500のSOC値に基づき算出されるものであり、SOC値が高くなればバッテリ500は放電を行い(つまり、充電要求電力Pchgはマイナスとなる)、SOC値が所定の値を下回る状況では、その時のSOC値に応じた充電要求電力Pchgにおいて充電が行われる。
次に、上記の充電要求電力Pchgが適用されるハイブリッド車両10が、渋滞区間の走行中であって、エンジン200が駆動中であるか否か判定が行われる。ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中であるか否かの判定は、上述のように、ハイブリッド車両10が備えるVICS受信部610及びカーナビゲーションシステム620によって夫々取得される情報に基づき、HV−ECU100によって行われる。また、エンジン200が駆動中であるか否かは、例えば、HV−ECU100によるエンジン回転数の検出によって行われる。
このとき、ハイブリッド車両10が、渋滞区間を走行中ではない、或いはEV走行中である場合(ステップS202:No)、充電要求電力Pchgへの補正は行われず(言い換えれば、充電要求電力Pchgへの電力補正量α=零として)、該補正を行う制御処理は、終了される。
他方、ハイブリッド車両10が、渋滞区間を走行中であり、且つエンジン200が駆動中であれば(ステップS202:Yes)、以下に示す数式(3)に表されるように、充電要求電力Pchgに対し、所定の電力補正量αが加算され、充電要求電力Pchgの補正が行われる(ステップS203)。
Pchg=Pchg+α (3)
次に、図2に戻り、ハイブリッド車両10の走行制御の説明を続ける。続いて、ハイブリッドECU100は、ハイブリッド車両10全体での出力の要求系に要求量として、車両要求出力Pvの算出を行う(ステップS105)。車両要求出力Pvは、上述のドライバ要求出力Puと、充電要求電力PchgをモータジェネレータMG1において発生するために必要な出力(以下、適宜、充電要求出力Pcと記載する)と、その他種々の要因によって発生するとされる損失出力Pxxとを加算したものとして、以下に示す数式(4)のように表される。
次に、図2に戻り、ハイブリッド車両10の走行制御の説明を続ける。続いて、ハイブリッドECU100は、ハイブリッド車両10全体での出力の要求系に要求量として、車両要求出力Pvの算出を行う(ステップS105)。車両要求出力Pvは、上述のドライバ要求出力Puと、充電要求電力PchgをモータジェネレータMG1において発生するために必要な出力(以下、適宜、充電要求出力Pcと記載する)と、その他種々の要因によって発生するとされる損失出力Pxxとを加算したものとして、以下に示す数式(4)のように表される。
Pv=Pu+Pc+Pxx (4)
また、車両要求出力Pvの算出と同時に或いは相前後して、エンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正が行われる(ステップS300)。ここに、図4を参照して、本実施形態に係るハイブリッド車両10に特有のエンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正を行う制御処理の動作について説明する。図4は、本実施形態に係るハイブリッド車両10の車両要求出力Pvにおけるエンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの調整を行う制御の流れを概念的に示すフローチャートである。
また、車両要求出力Pvの算出と同時に或いは相前後して、エンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正が行われる(ステップS300)。ここに、図4を参照して、本実施形態に係るハイブリッド車両10に特有のエンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正を行う制御処理の動作について説明する。図4は、本実施形態に係るハイブリッド車両10の車両要求出力Pvにおけるエンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの調整を行う制御の流れを概念的に示すフローチャートである。
始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正を行う制御処理(ステップS300)は、次に説明する幾つかの工程を通じて行われる。先ず、ハイブリッド車両10が備えるVICS受信部610及びカーナビゲーションシステム620によって取得される情報がHV−ECU100に入力され、HV−ECU100は、該情報に基づいて、現在のハイブリッド車両10が走行する区間が、渋滞中であるか否かの判断を行う(ステップS301)。ここで、ハイブリッド車両10の走行区間が渋滞中でなかった場合(ステップS301:No)、エンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正は行われず(言い換えれば、補正後の始動閾値Pegsta=補正前の始動閾値Pegsta、補正後の停止閾値Pegstp=補正前の停止閾値Pegstpとして)、該補正を行う制御処理は、終了される。
以下、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中である場合(ステップS301:Yes)に、補正を行う制御処理の動作について説明する。次いで、始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの夫々を補正する補正係数が算出される(ステップS302)。
具体的には、レーダセンサ600によって検出されるハイブリッド車両10と先行車両との車間距離データの入力を受け、HV−ECU100は、例えば、ROMに予め記録されて成る図4に示すようなマッピングを参照することで、車間距離に基づく補正係数を算出する。このようなマッピングによれば、車間距離が増加するにつれて補正係数は小さくなり、他方で車間距離が狭まるにつれて補正係数は大きくなる。ここで、車間距離が増加する場合には、ハイブリッド車両10のドライバは、車間距離を狭めるために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられる。つまり、車間距離が増加する場合には、近い将来にドライバ要求出力Pu、ひいては、ドライバ要求出力Puにより一義に決定される車両要求出力Pvが増加すると予測できる。従って、車間距離に基づく補正係数を算出する際に用いられるマッピングは、車両要求出力Pvが増加するにつれて補正係数が小さくなり、他方で車両要求出力Pvが減少するにつれて補正係数が大きくなるマッピングを示しているともいえる。
また、HV−ECU100は、該車間距離の時間的変化に基づき、ハイブリッド車両10と先行車両との相対速度を算出すると共に、該相対速度情報に基づき、相対速度に基づく補正係数を算出する。該算出の態様は、例えば、上記車間距離と補正係数とのマッピングとは別のマッピングを参照することで行われるよう構成されていて良く、典型的には、相対速度が大きくなるにつれて(つまり、ハイブリッド車両10の車速vに比して、先行車両の車速vが増加する場合)、補正係数は小さくなり、他方、相対速度が小さくなるにつれて補正係数は大きくなる。ここで、相対速度が大きくなる場合には、ハイブリッド車両10のドライバは、先行車両の走行速度への追従を行うために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられる。つまり、相対速度が大きくなる場合には、近い将来に車両要求出力Pvが増加すると予測できる。従って、相対速度に基づく補正係数を算出する際に用いられるマッピングは、車両要求出力Pvが増加するにつれて補正係数が小さくなり、他方で車両要求出力Pvが減少するにつれて補正係数が大きくなるマッピングを示しているともいえる。
更に、カーナビゲーションシステム620によって検出される現在のハイブリッド車両10の走行区間の登坂角度の入力を受け、HV−ECU100は、上記の2つとはまた異なるマッピングを参照することによって、登坂角度に基づく補正係数を算出する。ここでは、ハイブリッド車両10に対する登坂角度が登り側に増加する場合、補正係数は低減し、他方、登坂角度が下り側へ向かうにつれて補正係数は増加する。尚、本実施形態は、以上のように算出される補正係数のうち、少なくとも一つを採用することで、補正係数を算出するよう構成されていて良く、また、夫々組み合わせることで、最終的な補正係数を算出するよう構成されていても良い。ここで、登坂角度が上り側に増加する場合には、ハイブリッド車両10のドライバは、より大きな駆動出力を発生させるために走行速度を上昇させる操作を行うと考えられる。つまり、登坂角度が上り側に増加する場合には、近い将来に車両要求出力Pvが増加すると予測できる。従って、登坂角度に基づく補正係数を算出する際に用いられるマッピングは、車両要求出力Pvが増加するにつれて補正係数が小さくなり、他方で車両要求出力Pvが減少するにつれて補正係数が大きくなるマッピングを示しているともいえる。
その後、算出された補正係数に基づき、車両要求出力Pvに対するエンジン200の始動が行われる始動閾値Pegstaの補正(ステップS303)、及びエンジン200の停止が行われる停止閾値Pegstpの補正(ステップS304)が行われる。具体的には、例えば、以下に示す数式(5)及び数式(6)に表されるように、予め設定されている所定の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpに対して、夫々補正係数を掛け合わせることで、始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの補正が行われる。
Pegsta=Pegsta×補正係数 (5)
Pegstp=Pegstp×補正係数 (6)
尚、ここで用いられる補正係数とは、上記ステップS302で算出される補正係数であるが、共通のマッピングを参照することで算出される補正係数が始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの双方に適用されても良く、また、始動閾値Pegstaと停止閾値Pegstpとで夫々異なるマッピングを参照することで算出される相異なる補正係数が適用されるよう構成されていても良い。また、始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpのいずれか一方にのみ補正を行うよう構成されていても良い。本実施形態においては、エンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstp並びに充電要求電力Pchgのうち少なくとも一つの補正が行われていれば、その特有の効果を発揮し得る構成となっている。
Pegstp=Pegstp×補正係数 (6)
尚、ここで用いられる補正係数とは、上記ステップS302で算出される補正係数であるが、共通のマッピングを参照することで算出される補正係数が始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの双方に適用されても良く、また、始動閾値Pegstaと停止閾値Pegstpとで夫々異なるマッピングを参照することで算出される相異なる補正係数が適用されるよう構成されていても良い。また、始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpのいずれか一方にのみ補正を行うよう構成されていても良い。本実施形態においては、エンジン200の始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstp並びに充電要求電力Pchgのうち少なくとも一つの補正が行われていれば、その特有の効果を発揮し得る構成となっている。
再び、図2に戻り、ハイブリッド車両10の走行制御の説明を続ける。続いて、HV−ECU100によって、車両要求出力Pvがエンジン200の始動閾値Pegstaを上回るか否かの判定が行われる(ステップS106)。ここで、車両要求出力Pvが始動閾値Pegstaを上回る場合(ステップS106:Yes)、HV−ECU100は、車両要求出力Pvに相当する出力をエンジン200に要求するよう、エンジン要求出力Peを設定する(ステップS107)。そして、該エンジン要求出力Peを発生可能な態様で、エンジン200の始動を実施する(ステップS108)。つまり、HV−ECU100は、この動作によって、ハイブリッド車両10の走行に要されるドライバ要求出力Pu、バッテリ500の充電に際して、モータジェネレータMG1において要される充電要求出力Pc、及び種々の出力損失Pxxなどを内包する車両要求出力Pvの全てが、エンジン200において発生されるようその駆動の態様(例えば、目標回転数)を設定した上で、エンジン200の駆動を実施する。尚、エンジン200駆動後のエンジン回転数や発生トルク量などのデータは、各種センサ類などを介して、HV−ECU100によって把握される。
他方、車両要求出力Pvが、エンジン200の始動閾値Pegstaを下回る場合(ステップS106:No)の処理について説明する。このような状況では、例えば、EV走行中のハイブリッド車両10における車両要求出力Pvが比較的低い場合、或いは、既にエンジン駆動中のハイブリッド車両10における車両要求出力Pvが始動閾値Pegstaよりも低い一方で、停止閾値Pegstpよりも高い場合(つまり、エンジン200の始動中に車両要求出力Pvが低下した場合)などが考えられる。
このとき、HV−ECU100は、車両要求出力Pvがエンジン200の停止閾値Pegstpを下回るか否かの判定を行う(ステップS109)。ここで、車両要求出力Pvが、エンジン200の停止閾値Pegstpを下回る場合(ステップS109:No)、HV−ECU100は、もし駆動中であるならばエンジン200を停止する(ステップS110)。このとき、エンジン200に対するエンジン要求出力Peが零として設定される。
続いて、HV−ECU100は、エンジン200の駆動に際して、設定されたエンジン要求出力Peを実現するための目標エンジン回転Neの算出を行う(ステップS111)。尚、エンジン200の停止時には、エンジン要求出力Peは零であり、上述のごとく算出される目標エンジン回転数Neも零となる。
その後、HV−ECU100は、目標エンジン回転数Ne及び該目標エンジン回転数Neにより一義に決定されるエンジン指令トルクTeに基づき、ハイブリッドECU100は、モータジェネレータMG1の駆動における指令トルクTg及び目標回転トルクNgを算出する(ステップS112)。ここに、モータジェネレータMG1の駆動における指令トルクTgは、サンギア動力分配機構300におけるモータジェネレータMG1、MG2夫々の回転軸に連結されるサンギアとリングギアのギア比ρ及びエンジン指令トルクTeに基づいて算出される。より具体的には、指令トルクTgは、以下に示す数式(7)のように表される。
Tg=−1/(1+ρ)×Te+... (7)
また、モータジェネレータMG1における目標回転トルクNgは、目標エンジン回転数Neとの間に、以下に示す数式(8)で表される関係を有する。
また、モータジェネレータMG1における目標回転トルクNgは、目標エンジン回転数Neとの間に、以下に示す数式(8)で表される関係を有する。
Ng=Ne×(1+ρ)/ρ−Ng/ρ (8)
また、該算出と同時に或いは相前後してHV−ECU100は、他方でモータジェネレータMG2の駆動における指令トルクTmを算出する(ステップS113)。ここに、モータジェネレータMG2の駆動における指令トルクTmは、駆動トルクTp、モータジェネレータMG1の駆動における指令トルクTg及び上述のギア比ρを用いて、以下に示す数式(9)のように表される。
また、該算出と同時に或いは相前後してHV−ECU100は、他方でモータジェネレータMG2の駆動における指令トルクTmを算出する(ステップS113)。ここに、モータジェネレータMG2の駆動における指令トルクTmは、駆動トルクTp、モータジェネレータMG1の駆動における指令トルクTg及び上述のギア比ρを用いて、以下に示す数式(9)のように表される。
Tm=Tp−Tg×1/ρ (9)
そして、上述のように夫々算出された指令トルクTe、Tg及びTmを目標トルクとして、HV−ECU100の制御の下、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の各部が駆動する。従って、HV−ECU100は、ハイブリッド車両10のエンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の併用による走行、或いはEV走行を実施するにあたり、好適に各部の駆動の実施及び停止、並びに実施の態様を制御することが出来る。
そして、上述のように夫々算出された指令トルクTe、Tg及びTmを目標トルクとして、HV−ECU100の制御の下、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の各部が駆動する。従って、HV−ECU100は、ハイブリッド車両10のエンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の併用による走行、或いはEV走行を実施するにあたり、好適に各部の駆動の実施及び停止、並びに実施の態様を制御することが出来る。
本実施形態によれば、HV−ECU100は、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中に、車両要求出力Pvが増加する状況を好適に予測し、エンジン200における始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの少なくとも一方を補正する。このようなエンジン特性の制御は、上述のように車両要求出力Pvが増加すると予測される場合において、車両要求出力Pvの予測値が増加するにつれて始動閾値Pegsta及び停止閾値Pegstpの少なくとも一方が低減するよう実施される。従って、該補正によれば、エンジン200は、ハイブリッド車両10における車両要求出力Pvが比較的低い場合であっても始動し易く停止し難いエンジン特性を獲得することが出来る。
結果、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中であっても、車両要求出力Pvが相対的に増加する状況においてエンジン200の駆動が実施され易くなることから、エンジン200における駆動効率の向上を実現することが出来る。
また、本実施形態によれば、HV−ECU100は、渋滞区間を走行中のハイブリッド車両10において、エンジン200が駆動されている場合、従来、バッテリ500の充電状態量であるSOC値に基づいて決定されるバッテリ500の充電要求電力Pchg(ひいては、充電要求出力Pc)を補正する。このような補正によれば、充電要求電力Pchgは、少なくとも補正の行われない充電要求電力Pchgに比して増加する。従って、より多くの出力をエンジン200に対して要求することで、より多くの電力がバッテリ500の充電に供される。
結果、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中、上述のように駆動効率が比較的良好とされるエンジン200の出力を用いて、バッテリ500の充電が実施されることから、充電効率の向上を実現することが出来る。また、ハイブリッド車両10が渋滞区間を走行中には、上述の充電要求電力Pchgの補正に伴い、幾らかなりと充電要求電力Pchgが補正前に比して増加していることから、更なる充電効率の増加(つまり、充電要求出力Pcの増加に伴う、エンジン200の駆動効率の向上に起因するもの)を実現することが出来る。
また、本実施形態によれば、HV−ECU100は、非渋滞区間を走行中のハイブリッド車両10において、上述のエンジン200の始動閾値Pegsta、停止閾値Pegstp及び充電要求電力Pchgの補正を行わない。従って、該ハイブリッド車両においては、非渋滞区間の走行中において、エンジン200の駆動頻度が増加するという事態を抑制することが出来、エンジン200の駆動が実施されないEV走行の実施頻度を確保することが出来る。結果、非渋滞区間の走行時において、エンジン200の駆動に係る燃費の悪化を抑制することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、11…伝達機構、12…車輪、100…HV−ECU、110…エンジンECU、200…内燃機関、300…動力分配機構、MG1、MG2…モータジェネレータ、400…インバータ、500…バッテリ、600…レーダセンサ、610…VICS受信部、620…カーナビゲーションシステム
Claims (6)
- 内燃機関と、蓄電池によって駆動されるとともに、前記内燃機関の駆動に伴って前記蓄電池の充電を行うモータジェネレータとを備えるハイブリッド車両に搭載され、
前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行していることを検出する渋滞検出手段と、
前記内燃機関の駆動及び停止を制御する内燃機関制御手段と、
前記ハイブリッド車両における車両要求出力の増加を予測する駆動出力予測手段と
を備え、
前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記車両要求出力の増加が予測される状況において、前記内燃機関の駆動頻度を、前記ハイブリッド車両が非渋滞区間を走行中の駆動頻度に比して、増加させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記車両要求出力の増加が予測される状況において、前記内燃機関の始動閾値及び停止閾値の少なくとも一方を、少なくとも非渋滞区間を走行している場合に比して低減させることで、前記内燃機関の駆動頻度を増加させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両と前記ハイブリッド車両の進行方向直前を走行する他の車両との車間距離を検出する車間距離検出手段を更に備え、
前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記他の車両との車間距離が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両に対する前記ハイブリッド車両の進行方向直前を走行する他の車両の相対速度を検出する相対速度検出手段を更に備え、
前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記他の車両との相対速度が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記駆動出力予測手段は、前記ハイブリッド車両が走行する路面における登坂角度を検出する登坂角度検出手段を更に備え、
前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド車両が渋滞区間を走行中に、前記ハイブリッド車両が走行する路面における登坂角度が増加するほど、前記内燃機関の駆動頻度を増加させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記ハイブリッド車両が渋滞区間を少なくとも前記内燃機関の駆動によって走行中である場合に、前記内燃機関の駆動に伴って前記モータジェネレータが行う前記蓄電池の充電における充電電力要求量を少なくとも非渋滞区間を走行している場合に比して増加させる充電電力制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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JP2008159360A JP2010000833A (ja) | 2008-06-18 | 2008-06-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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2008
- 2008-06-18 JP JP2008159360A patent/JP2010000833A/ja active Pending
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