JP2009545351A - 拡張期間を超えての皮下移植片の有効成分の遊離 - Google Patents

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Abstract

重量比(有効成分(Al)+賦形剤(E))/PLGA)が0.05より高く、1未満となるように、PLGA基剤中に分散された有効成分と親水性賦形剤とを含有する、押し出し成型によって得られる皮下移植片。

Description

本発明は、PLGA基剤に分散させた、有効成分と親水性賦形剤とを含む押し出し加工で得られる皮下移植片に関する。
多くの有効成分は、ヒト又は哺乳類の生体内では、休息に代謝され除去される。従って、適切な治療上の濃度を維持するためには頻繁な投薬を要する。そこで、皮下移植片に代表される徐放移植片の例がある。
以前開示された移植片のうち、特許文献1に記述された皮下移植片は、有効成分としてポリ乳酸グリコール酸(PLGA)基剤に分散させたポリペプチドを含有するという以前の皮下移植片に比して、前述の有効成分を6カ月遊離させ得るという点で、正味の改善を示す。
前述した以前の特許に開示されている皮下移植片は、以下の挙動で明らかなように、二相性ではなく本質的に三相性の遊離特性を与えるものであるという点でも異なっている。ここで、以下の挙動とは、純粋に拡散による遊離、膨潤に伴う遊離による拡散及び重合体の分解による遊離である。
従って、かかる進歩により遊離時間の伸展が見込まれる。事実、それら移植片は水性の培地に導入されたときに、水は高分子の基剤を通じて拡散し、まずは表面近傍の、次いで内部のペプチド粒子に到達する。
移植片は、約6週間、実質的に変性を受けずに残存し、この期間中におよそ30%のペプチドを遊離する。この純粋な拡散の段階の持続時間は、本質的には、ペプチドの大きさの不均一性及びPLGA基剤に含まれる粒子で本質的に決定される比率によって、決定される。
有効成分は大きさが不均一なので、溶解の最初の段階後は、十分な量のペプチドが残っており、それに続く、拡散及び膨潤による遊離又は重合体の分解による遊離という段階でも遊離が起こり得る。
上述のこれらを含む皮下移植片は、連続した3つの段階における有効成分の拡散比率が、重合体の基剤(他の因子は、固有の溶解度及び有効成分の拡散特性及びPLGAの特性である)の中の有効成分の濃度に部分的に支配されるという事実によって、本質的に引き起こされる欠点で劣化する。
一方で、移植片に取り込まれる有効成分の量(用量)は、製品の活性や望まれる投薬間隔による。しかしながら、寸法的に大きな移植片は、患者の応諾に関する限り、問題があり、一方で寸法的に小さな皮下移植片は、非常に薄い又は短いということから取り扱い及び包装が困難となり得るという産業面で生じ得る側面での問題がある。
従って、有効成分を多量に含む皮下移植片と比較した場合、通常の大きさ(例えば、おおよそ直径1mmで長さ1cm)であって非常に強力な有効成分を少量含む移植片は、重合体基剤の中の有効成分が非常に低くなるということになり、このため、投与から最初の2週間では貧弱な遊離特性をもたらし、その後は、全体的には短期間での顕著で急激な遊離をもたらす。
国際公開第2000/033809号
Goodman & Gilman's "The pharmacological basis of therapeutics "Ninth Edition Chapter 23 pages 521 -555
縦軸の有効成分の遊離(遊離した全量の%)に対し、横軸は実施例1に記載の移植片の水性培地への浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。 縦軸の有効成分の遊離(用量の%)に対し、横軸は実施例2に記載の移植片の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。 縦軸の有効成分の遊離(有効成分のmg)に対し、横軸は処方2#1及び2#2の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。 縦軸の有効成分の遊離(遊離した全量の%)に対し、横軸は実施例3に記載の移植片の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。
[発明の概要]
出願人は、上述の弱点を克服したPLGA基剤の皮下移植片を予期せずに発見した。
従って、本発明は、PLGAを基にする重合体基剤からなり、その中に有効成分と親水性賦形剤とを重量比で、(有効成分(Al)+賦形剤(E))/PLGAが0.05より高く、1未満となるように分散して含有する皮下移植片に関する。
事実、前述の重量比が0.05未満の皮下移植片は、親水性賦形剤がなく有効成分を少量含む前述の皮下移植片のような挙動を示す。すなわち、それらは有効成分を多量に含む皮下移植片と比較した場合、投与から最初の2週間では貧弱な遊離特性をもたらし、その後は、全体として短期間での顕著で急激な遊離を示す。前述の重量比が1よりも大きいかそれと同じである皮下移植片でも、有効成分を非常に迅速に遊離するのに、である。
一方で、本発明に係る移植片は、その中に典型的な三相性特性をもつ有効成分の遊離を生ぜしめ、処方上のこの賦形剤の存在により、3つの連続した段階での遊離比率が改善され、全体の遊離の持続時間も改善される。
[発明の詳細な説明]
前述の重量比は、好ましくは0.3から0.9の間であり、より好ましくは0.4から0.8の間である。
親水性賦形剤は、好ましくは、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ポリビニルピロリドンから選択され、その分子量は6000から10000Daの範囲であり、より好ましくは8000Daである。
本発明に係る皮下移植片は、好ましくは、ペプチド、鎮痛性麻薬性の有効成分を含む類から選択される有効成分を含有する。
より好ましくは、前述のペプチドは、アボレリン、トリプトレリン、ゴセレリン及びリュープロレリンから選択される。
好ましい“麻薬性鎮痛性作用を有する薬剤”が、モルヒネ及びモルフィナンのときは、例えば、モルヒネ様の化学構造及び作用を有する化合物であり、例えば、μ受容体刺激薬であり、同様にモルヒネ型の活性を有する化合物、又はフェニルピペリジンの類に属するような、異なる化学構造を有するμ受容体刺激薬である(非特許文献1)。
フェニルピペリジンとして引用したμ受容体刺激薬は、少なくとも1つの有効成分が、メペリジン、フェンタニル及びそれらに関する薬理上許容できる塩、フェンタニルの同類物、例えば、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル及びそれらの薬学上許容できる塩、からなる群から選択されることが好ましい。
好ましくは、本発明のための皮下移植片は、有効成分としてペプチドを含む場合、それらは粒子の大きさの分布が不均一であって、より好ましくは、1〜63μm又は1〜100μmである。
特に、本発明の皮下移植片が有効成分として、前述の不均一な粒子の大きさの寸法を有するペプチドである場合、親水性賦形剤もまた、好ましくは10μm〜250μmの範囲である。
親水性賦形剤がマンニトールの場合、皮下移植片の中に、有効成分全量に関する重量比が、好ましくは、2:1から5:1の範囲であり、より好ましくは4:1の重量比である。
親水性賦形剤がトレハロース又はポリビニルピロリドンの場合、全量中の有効成分のに関する重量比が、好ましくは、1:6から1:1の範囲であり、より好ましくは1:5から1:2である。
本発明の皮下移植片に含まれるPLGAは、50000から150000Daの重量平均分子量を有することが好ましく、乳酸/グリコールが、50/50から95/5であることが望ましい。
PLGA重合体基剤としては、本発明に係る皮下移植片は、PLGA単体又は以下の混合物の押し出し成型品を粉砕して得られるもの:
・異なる乳酸/グリコール酸のモル比及び異なる重量平均分子量を有する少なくとも2のPLGA、
・PLGAとPLAとが異なる重量平均分子量を有すること、であって、本特許出願と同日にファイルされた係属中の出願の主たる問題に係るもの。
本発明は、更に以下の事項に関連する。
以下の手順からなるPLGAを単体で有する皮下移植片の調製の方法、
a)有効成分と親水性賦形剤の乾燥と混合、
b)手順(a)で得られた混合物を、適当な溶媒中のPLGAと供に乾燥混合又は湿潤顆粒化
c)手順(b)由来する湿潤顆粒化された混合物を、最大溶媒含有量が0.5から3%になるまで乾燥
d)手順(c)に由来する乾燥し顆粒化された混合物又は手順(b)由来の乾燥した混合物を、押し出し成型。
異なる乳酸/グリコール酸のモル比及び異なる重量平均分子量を有する少なくとも2のPLGAであって、PLGA及びPLAが異なる重量平均分子量を有する混合物の押し出し成型品を粉砕して得られるPLGAを含む本発明に係る皮下移植片の調製の方法は、以下の手順からなる。
A)異なる重量平均分子量及び異なる乳酸/グリコール酸のモル比を有する少なくとも2のPLGA、又は異なる重量平均分子量を有するPLAをPLGAに混合
B)手順(a)に由来する粉末混合物を押し出し成型し、その押し出し成型されたPLGA混合物を粉砕し、それによって混合され押し出し成型されたPLGAの顆粒を得る
C)有効成分及び親水性賦形剤の乾燥混合
D)乾燥混合、又は(D’)手順(C)に由来するPLGAと供に手順(B)で得られた混合物を適当な溶媒中で湿潤顆粒化
E)手順(D’)に由来する湿潤顆粒化された混合物を、最大溶媒含有量が0.5から3%になるまで乾燥
F)手順(E)に由来する乾燥し顆粒化された混合物又は手順(D)に由来する乾燥混合物の押し出し成型。
以下に詳述する本発明に係る皮下移植片の調製の実施例によって、発明の目的は制限されない。
〈実施例1−アボレリン(処方番号Med011、Med012、Med013)を含有する皮下移植片の調製〉
以下の表1に記載の成分を含む皮下移植片は、特許文献1に記述されているもので調製されている。
Figure 2009545351
図1は縦軸の有効成分の遊離(遊離した全量の%)に対し、横軸は実施例1に記載の移植片の水性培地への浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。
25.0%重量/重量で活性薬剤の充填(処方.1#1)では、典型的な三相性の遊離パターンと3カ月の遊離持続期間が観察される。反対に、5%重量/重量で、基剤が充填さた場合(処方.1#3)は、特性も持続時間もどちらも維持されない。最終的に、三相性の特性及び3カ月の持続時間は、活性薬剤5.0%重量/重量に対して、マンニトールを20%重量/重量加えた場合(1#2)に回復される。
有効成分の充填が低い場合((Al+E)/PLGA比=1/19)、重合基剤に存する経路の数は非常に制限される。そのため、自己触媒による重合体基剤の分解は、加速される(これによって、遊離持続時間の全期間の短縮が誘発される)、
親水性が高く分子が小さい(マンニトール)が20%添加された場合、基剤の中の溶解した緩衝液の循環が、自己触媒過程を制限するように多数の経路が開き、結果として、有効成分の遊離は、PLGA単体及び同時に加水分解に対してより長く抵抗する基剤の中に同量の有効成分を含有した皮下移植片よりも、最初の1週間では、顕著になる。
〈実施例2−アボレリンを含有する皮下移植片の調製〉
以下の表2に記載の成分を含む皮下移植片は、特許文献1に記述されているもので調製されている。
Figure 2009545351
処方2#1に係る皮下移植片40mgが有効成分を11.6mg含有している場合、処方2#2及び2#3に係る同量の移植片は有効成分を8mg含有している。
図2は、縦軸の有効成分の遊離(薬療の%)に対し、横軸は実施例2に記載の移植片の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。
処方2#1及び2#2の両方では、典型的な三相性の遊離パターンと3カ月の遊離持続期間が観察される。Al+E/PLGA比が同様なので(≒2/5)、小さな親水性分子(トレハロース)の存在によって最初の1カ月間に溶解する比率が増加し、(PLGA分解に至って)第二期の爆発的な反応が遅延する傾向が認められるような場合であっても、これら2つの処方は適切に作用する。
処方2#3の溶解特性もまた非常に有益である。この場合、Al+E/PLGA比は1/1に近い。これは、基剤の半分は非常に親水性の高い分子で占められているということを意味している。一度、培地が溶解状態に陥ると、このような移植片は、(浸出過程を通じて)基剤から有効成分が遊離することを許容する非常に多くの経路が存在することになる。
図3は、縦軸の有効成分の遊離(有効成分のmg)に対し、横軸は処方2#1及び2#2の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。
処方2#1(貯蔵物当たり有効成分を11.6mg含有)及び処方2#2(貯蔵物当たり有効成分を8.0mg含有)は、浸漬後の最初の全1カ月で有効成分の同量を遊離することが認められるのが興味深い。
賦形剤の使用は、明らかに処方を強化することに資する。有効成分の充填が少ない場合であっても、適切に作用する特異的な移植片を可能とする点で有用であるが、目標へ正確に到達するように最適以下に遊離特性を調節することでも有用である。
〈実施例3−クエン酸フェンタニルを含有する皮下移植片の調製〉
以下の表3に記載の成分を含む皮下移植片は、特許文献1に記述されているもので調製されている。
Figure 2009545351
図4は、縦軸の有効成分の遊離(遊離した全量の%)に対し、横軸は実施例3に記載の移植片の浸漬後の時間を日数で表現したものを示す。
図4は、親水性の不活性な物質に小さな親水性の活性分子が添加されたことにより、端緒の遊離が促進され、PLGAの分解過程が遅延することを示している。
この場合、ポリビニルピロリドン(PVP)は、同重量が添加されたマンニトールと比しても、より良好な親水性を示すことも観察される。

Claims (20)

  1. (有効成分(Al)+賦形剤(E))/PLGA)なる重量比が0.05より高く、1未満となるように、PLGA基剤中に分散された有効成分と親水性賦形剤とを含有する、押し出し成型によって得られる皮下移植片。
  2. 前記重量比が0.3から0.9からなる、請求項1に記載の皮下移植片。
  3. 前記重量比が0.4から0.8からなる、請求項1に記載の皮下移植片。
  4. 親水性賦形剤は、マンニトール及びソルビトール、トレハロース、6000から10000Daの平均分子量を有するポリビニルピロリドンから選択される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  5. ポリビニルピロリドンの平均分子量が8000Daである、請求項4に記載の皮下移植片。
  6. ペプチド、鎮痛性麻薬性の有効成分を含む類から選択される有効成分を含有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  7. 前記ペプチドは、アボレリン、トリプトレリン、ゴセレリン及びリュープロレリンからなる群から選択される、請求項6に記載の皮下移植片。
  8. 鎮痛性麻薬性の有効成分は、モルヒネ及びモルフィナン及びμ受容体刺激薬及びフェニルピペリジン類のモルヒネ型の活性を有する化合物である、請求項6に記載の皮下移植片。
  9. フェニルピペリジンμ受容体刺激薬は、メペリジン、フェンタニル、フェンタニルの同類物びそれらに関する薬理上許容できる塩である、請求項8に記載の皮下移植片。
  10. 有効成分は、均一又は不均一な粒子の大きさの分布を示す、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  11. 1から63μm又は1から100μmからなる不均一な粒子の大きさの分布を示す、請求項10に記載の皮下移植片。
  12. 親水性賦形剤は10から250μmの範囲の不均一な粒子の大きさの分布を有する、請求項10又は11に記載の皮下移植片。
  13. 親水性賦形剤はマンニトールで、有効成分に対して2:1から5:1の範囲の重量比で存する、請求項4乃至12のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  14. 前記重量比が4:1である、請求項13に記載の皮下移植片。
  15. 親水性賦形剤は、トレハロース又はポリビニルピロリドンから選択され、有効成分全量に対して1:6から1:1の範囲の重量比で存する、請求項4乃至12のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  16. 前記重量比は、1:5から1:2からなる、請求項15に記載の皮下移植片。
  17. 本発明に係る皮下移植片中に含まれるPLGAは、50000から150000Daの重量平均分子量を有し、乳酸/グリコール酸が50/50から95/5である、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  18. PLGA単体又は、
    ・異なる乳酸/グリコール酸のモル比及び異なる重量平均分子量を有する少なくとも2のPLGA、
    ・PLGAとPLAとが異なる重量平均分子量を有するもの、
    の混合物の押し出し成型品を粉砕して得られるものを含有する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の皮下移植片。
  19. 以下の手順からなるPLGA単体を有する、請求項18に記載の皮下移植片の調製の方法。
    a)有効成分と親水性賦形剤の乾燥と混合する手順と、
    b)手順(a)で得られた混合物を、適当な溶媒中のPLGAと供に乾燥混合又は湿潤顆粒化する手順と、
    c)手順(b)由来する湿潤顆粒化された混合物を、最大溶媒含有量が0.5から3%になるまで乾燥する手順と、
    d)手順(c)に由来する乾燥し顆粒化された混合物又は手順(b)由来の乾燥した混合物を、押し出し成型する手順。
  20. 以下の手順からなる、請求項18に記載の皮下移植片の調製の方法。
    A)異なる重量平均分子量及び異なる乳酸/グリコール酸のモル比を有する少なくとも2のPLGA、又は異なる重量平均分子量を有するPLAをPLGAに混合する手順と、
    B)手順(a)に由来する粉末混合物を押し出し成型し、その押し出し成型されたPLGA混合物を粉砕し、それによって混合され押し出し成型されたPLGAの顆粒を得る手順と、
    C)有効成分及び親水性賦形剤を乾燥混合する手順と、
    D)乾燥混合、又は(D’)手順(C)に由来するPLGAと供に手順(B)で得られた混合物を適当な溶媒中で湿潤顆粒化する手順と、
    E)手順(D’)に由来する湿潤顆粒化された混合物を、最大溶媒含有量が0.5から3%になるまで乾燥する手順と、
    F)手順(E)に由来する乾燥し顆粒化された混合物又は手順(D)に由来する乾燥混合物を押し出し成型する手順。
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