JP2009543754A - 合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物の調製方法 - Google Patents

合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物の調製方法 Download PDF

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Abstract

結晶および層構造を有し、Mが少なくとも1種の二価金属を指し、式Mgy(1)Coy(2)Zny(3)Cuy(4)Mny(5)Fey(6)Niy(7)Cry(8)を有し、各xが間隔[0;1]の実数である、式(SiGe1−x10(OH)を有する合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物と呼ばれる組成物の調製方法であって、液体状態で式(SiGe1−x11、n’HOのケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を行い、調製すべきケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子に所望される粒度および構造安定性に応じて選択された時間、300℃〜600℃の温度で前記水熱処理を行うことを特徴とする方法に関する。

Description

本発明は、式(SiGe1−x10(OH)の少なくとも1種の合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物を含み、化学的かつ構造上、天然タルクに極めて類似した粒子の形態で存在するタルク組成物と呼ばれる組成物の調製方法に関する。これらの鉱物粒子の粒度はほぼ単峰性で単分散であり、この方法が実施される際に適用される特定のパラメータに応じて、数十ナノメートルから十マイクロメートルの間で変わる。本発明は、この方法を実施することによって得られ、天然タルクと同様の、さらには天然タルクよりすぐれた諸特性、特に機械的特性および化学的特性を示し、数多くの応用例において天然タルクの代替物となることが可能なタルク組成物にも関する。
天然タルクは鉱物であって、重ね合わせられたシート状の構造組織を有する、式SiMg10(OH)の水和ケイ酸マグネシウムであリ、各シートは2つの倒立台形層の間に挿入された八面体層から成る結晶構造を有する。
タルクは主に細粒の形態で使用され、(その化学的安定性のため、例えば有効成分や高価な材料を希釈するための)不活性充填材として、あるいは(例えば種々の材料のいくつかの機械的特性または電気的特性を矯正/強化するための)潤滑剤、乳剤、撥水剤のような機能的添加剤としてタルクが組成中に含まれる、熱可塑性材料、エラストマ、紙、塗料、ワニス、織物、冶金、薬品、化粧品、植物衛生製品、肥料など、多数の工業分野で用いられている。またタルクは油分吸収能力が高いため、新しい汚染防止技術の開発においても数多くの展望を開いている。
これらの応用例の多くで、純度が高いこと、ラメラリティーが高いこと、粒子が細かいこと、粒度およびラメラリティー分布が狭いことが求められているが、それは、最終製品の品質はこれらの特性によって決まるからである。
ところで、天然タルク塊から粉末状組成を調製するにあたり、タルクの従来の粉砕および処理方法では上に示した基準を本当に正確に制御することはできない。
事実、純度が100%である天然タルクの粉末固形組成物は現在のところ存在しない。この組成物の粒子はすべてが化学式SiMg10(OH)を満たすわけではないので、この化学式は非常に理論的なものでしかない。天然タルクの純度および不純度の性質(Fe、Al、Fの含有率が多少高く、Mn、Ti、Cr、Ni、Ca、Naおよび/またはKが微量であること)は産出される鉱床によって異なる。
同様に、粒度(粉末粒子の細かさおよび粒度分布)は主に、機械的粉砕方法および用いられる材料によって異なる。機械的粉砕によって天然タルクから得られる粉末は、通常、数マイクロメートルから数百マイクロメートル程度の粒度を有する。
機械的粉砕は、無視できない粒子の粒度分布の変動だけでなく、タルクの構造の漸進的で有意な劣化および結晶構造内における多数の欠陥の出現をもたらす。粉砕が細かいほど、当初の結晶構造が劣化する。
この点に関し、NANOTALC(登録商標)、すなわち特に強力な機械的粉砕方法で調製された70〜120nmの粒子を含む天然タルク粉末組成物が知られている。NANOTALC(登録商標)は、鉱物の結晶構造が悪化していることは別としても、天然タルクから調製されるあらゆる組成物と同様に、純度は100%ではない。
また、合成タルクの調製に関して長年にわたり理論的かつ科学的な研究がなされてきたが、現在に至るまで、満足のゆく実用的な結果、特に品質および工業的規模での利用の収益性に関する制約条件に適合する結果は得られていない。
Decarreauらの文献、1989(「Synthese et stabilite des stevensites kerolites et talcs,magnesiens et nickeliferes,entre 80 et 240℃(80〜240℃におけるマグネシウムおよびニッケル含有ステベンサイト、ケロライトおよびタルクの合成および安定性)」−R.Acad.Scie.Paris−、t.308、serie II、p.301−306)は、適用される操作条件に従って、ステベンサイト、ケロライトおよび/またはタルクの多少とも特有な形成が得られる方法について記載している。
この方法ではまず、メタケイ酸ナトリウム溶液を塩化マグネシウム(またはニッケル)溶液と反応させることにより初期共沈物を形成させる。次にゼラチン状であって、SiMg11,n’HO(またはSiNi11,n’HO)の化学式を有する強く水和したケイ素金属ゲルが得られる。一連の遠心分離および蒸留水洗浄により、共沈反応の終了時に形成されるNaClをこのケイ素金属ゲルから除去することができる。
次に、ゼラチン状組織で強く水和されたこの組成物を、固体で乾燥された、化学式SiMg11・nHO(ただし、nは、固形物質の孔の内部に閉じ込められ、固形物質との間で特に安定な複合体を形成する、いくつかの水分子を意味する(この場合、n<<n’)のケイ素金属組成物に変換することができる強力な乾燥をケイ素金属ゲルに施す。次にこの固形乾燥ケイ素金属組成物を細かな粉末に粉砕/粉状化した後、飽和水蒸気圧での水熱処理にかける。この目的のため、蒸留水中に粉末を分散させる(例えば30cmに対し粉末200mg)。混合物を、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))で内部が被覆された金属製オートクレーブ(または反応装置)に入れる。この水熱処理の継続時間は15日程度から数カ月とし、処理温度は80℃から240℃の間とすることができる。
この文献は、100℃未満の温度で行われる15日程度の水熱処理によってステベンサイトが形成されることを示している。110℃〜140℃程度の温度ではケロライトが得られ、170℃〜240℃程度の温度ではタルクが得られる。
この方法で調製されるタルクの場合、(特に135℃で行われる)逆行性変質試験により、この文献の著者は、結晶性の低下として現れる構造的不安定性およびケロライト形成の傾向を確認することができた。
したがってDecarreauらの1989年の文献に記載されている水熱合成方法では、特に結晶性および熱的安定性において満足のゆく品質のタルク組成物を得ることができない。
本発明は、ラメラリティーおよび細かく低分散の粒度、ならびに熱的に安定な結晶構造を有する、合成鉱物粒子を含む高純度のタルク組成物の調製方法を提供することを目的とする。
本発明は、簡単かつ迅速に実施することができ工業的利用に関する制約条件に適合するそのような方法を提供することを目的とする。
本発明は、種々の応用例において天然タルクの組成物の代替物として使用することができるタルク組成物を提供することも目的とする。これを行うために、本発明によって提供されるタルク組成物は、天然タルクの構造に極めて近い結晶構造およびラメラ構造を有する鉱物粒子を含む。
本発明の別の目的は、合成タルクだけでなく、タルクのゲルマニウム含有類似体、すなわち天然タルクの結晶構造を想起させる結晶構造であるが、結晶格子のSi4+カチオンが少なくとも部分的にGe4+カチオンで置き換えられた化合物も調製するのに用いることができる方法を提供することである。
同様に、本発明は、天然タルクと比較して特別な色調および/または電気伝導性および/または熱伝導性を有する粒子を含むタルク組成物を調製することができる方法を提供することを目的とする。
これを行うために、本発明は、結晶および層構造を有し、次式で表される、
(SiGe1−x10(OH)
合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物と呼ばれる組成物の調製方法に関する。
− 式中、Mが少なくとも1種の二価金属を指し、式Mgy(1)Coy(2)Zny(3)Cuy(4)Mny(5)Fey(6)Niy(7)Cry(8)を有し、各y(i)が
Figure 2009543754
のような間隔[0;1]の実数であり、y(i)が下記の比を表し、
Figure 2009543754
− xが間隔[0;1]の実数であり、下記の比に相当する
Figure 2009543754
本発明による方法は、液体状態で式(SiGe1−x11、n’HOのケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、調製すべきケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子に所望される粒度および構造安定性に応じて選択された時間、300℃〜600℃の温度で前記水熱処理を行う。
本発明によれば、出発物質であるケイ素/ゲルマニウム−金属生成物は、直接水熱処理にかけられ、ゲルすなわち強く水和されゼラチン状稠度を有する物質の形態になる。このゲルはそのチキソトロピー挙動により、ただ機械的に攪拌するだけで液化させることができる。
本発明によるケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を実施するのにあたっては、固形部分(当初のゲル、最終生成物、場合によって中間生成物)の焼成を防止するために、水の補足的追加を考えることができる。焼成を防ぐための水の追加の必要性ならびに加える水の最少量は主に、当初のゲルの水和度、処理温度ならびにこの処理の継続時間によって異なる。
水熱処理の継続時間は1日から数日間となることがあるが、特に、最終的に得られる合成鉱物の結晶性に対し大きな影響を与える。
したがって、本発明は、特に以下のような本質的かつ驚くべき確認に由来する。
− 一方では、300℃〜600℃の(Decarreauら、1989年の文献において推奨されている110℃〜240℃と比べ)比較的高い温度で行われる水熱処理により、天然タルクの構造特性(特にラメラ性、結晶性)に極めて類似した構造特性およびすぐれた熱安定性を有する合成鉱物粒子が形成されること。
− 他方では、特に温度の選択によって行う本発明による方法により、安定で、純度が高く、結晶サイズおよび構造が極めて正確に規定されかつ予想可能な合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を極めて簡単に合成することが可能であること。
本発明によれば、オートクレーブで前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を行うのが有利である。好ましくは、内装がチタン製またはステンレス製の鋼製オートクレーブを使用する。
本発明によれば、オートクレーブ内で、処理温度にまで達したこのオートクレーブの内部において少なくとも飽和水蒸気雰囲気を発生させるのに足る量の水(好ましくは蒸留水)を前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルに加えるのが有利である。
本発明の一変形実施形態によれば、16バール程度の圧力で前記水熱処理を行うのが有利である。
本発明によれば、液体の量をcmで表し、固体の量をグラムで表すとき、0.83程度の液体/固体比を有する液化ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルで水熱処理を行うのが有利である。万一、必要であれば、この比に到達するために適量の水を前記液化ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルに加える。
本発明によれば、攪拌しながら水熱処理を行うのが有利である。この目的のため、オートクレーブの内部に例えば磁気攪拌棒を配置する。
本発明による水熱処理が終了すると、前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むコロイド状溶液の形態のタルク組成物が得られる。これらの合成鉱物粒子は、水中では溶液であるが、多かれ少なかれ個別化した状態になることも、塊状になった合成鉱物基本粒子で形成される多少大きな塊になることもある。これらの基本粒子の粒度は、水熱処理の適用温度、すなわち300℃〜600℃の間で選択された温度によって異なり、数十ナノメートルから十マイクロメートルの間で変わる。
本発明によれば、前記水熱処理の終了時、コロイドタルク組成を回収し、個別化されたケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物を得るために、前記コロイドタルク組成物を乾燥ステップ次いで機械的粉砕ステップにかけるのが有利である。こうして組成物の塊は粉砕されて個別化された基本粒子になる。これらの基本粒子の粒度分布はほぼ単峰性かつ単分散である。
本発明によれば、乾燥は、オーブンを使用し、例えば60℃程度の温度で少なくとも1日から2日行うことができるのが有利である。タルク組成物が汚染するリスクを回避するために、粉砕は、好ましくは例えばメノウ製の乳鉢により機械的に行うのが有利である。
本発明によれば、300℃程度の温度で、例えば3日間程度水熱処理を行うのが有利である。そうすることにより、粒度が20nm〜100nmの基本粒子が最終的に得られる。
本発明によれば、400℃程度の温度で、例えば1.5日間程度、水熱処理を行うのが有利である。そうすることにより、粒度が3μm程度の基本粒子が最終的に得られる。
本発明によれば、500℃〜600℃程度の温度で、例えば1日間程度(すなわちおおむね24時間)、水熱処理を行うのが有利である。このようにして合成された合成鉱物の粒子は数マイクロメートル〜十マイクロメートルの粒度を有する。
本発明はこのようにして調製されたタルク組成物にも関し、それらのタルク組成物は、例えば、液体中に個別化され分散した状態で存在する合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子の組成物など、前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子を含むコロイド状溶液として存在することも、前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子が塊状になるか、個別化され基本粒子として分散する、無水固形組成物として存在することもできる。
ここで取り上げるのは特に鉱物性固体粒子がすべて同じ化学的性質を有する組成物である。ここでは、式(SiGe1−x10(OH)を満たす合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子がそれである。上式において、
− Mは、少なくとも1種の二価金属を指し、式Mgy(1)Coy(2)Zny(3)Cuy(4)Mny(5)Fey(6)Niy(7)Cry(8)を有し、各y(i)が
Figure 2009543754
のような間隔[0;1]の実数であり、
− xは間隔[0;1]の実数である。
本発明に従って調製することができる合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物の化学式(SiGe1−x10(OH)において、SiおよびGeは結晶格子の四面体部位を占有するケイ素イオンおよび/またはゲルマニウムイオンを指す。Mは、八面体部位の二価金属カチオン(例えばMg2+、Co2+、Mn2+、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Ni2+および/またはCr2+
を表す。
したがって本発明で言うタルク組成物として例えば合成タルクを挙げることができ、その場合、鉱物粒子は化学式SiMg10(OH)を満たす。
また、例えば「ゲルマニウム含有」組成物、すなわちタルクの結晶構造を想起させるが、四面体部位のSi4+カチオンが少なくとも部分的にGe4+カチオンで置き換えられた粒子を含む組成物など、タルク組成物に類似する組成物も該当する。同様に、天然タルクの粒子と比較して改良された物性、特に光学的特性および/または電気的特性を有する粒子を得るために、八面体部位のマグネシウムイオンが様々の比で他の二価カチオンで置き換えられたときの「誘導組成物」または「官能化組成物」も該当する。
X線および赤外線分光分析により、化学式SiMg11,n’HOのケイ素金属ゲル(すなわち、化学式SiGe1−x11、n’HOでxが1に等しく、Mがマグネシウムを表す、ケイ素/ゲルマニウム金属ゲルに対して直接適用される本発明による水熱処理により、懸濁粒子が特に結晶性およびラメラリティーに関して天然タルクに対する高い類似性を示す(この確認は特に赤外線手段における透過および近赤外線での分散反射によって得られるスペクトルを基にして行われた)合成タルクのコロイド状組成物が得られることを明らかにすることができた。
またこれらの分析により、この方法は、本発明による化学式(SiGe1−x11、n’HOを満たすケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの全体に対して一般化することが可能であることも確認することができた。この方法により、構造上天然タルクに極めて類似した、式(SiGe1−x10(OH)の合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物の合成が可能である。実際、これらの合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子は重ね合わせられたシート状のナノメートル組織を有し、各シートが、(Si4+および/またはGe4+イオンによって占有された)2つの倒立台形層の間に挿入された、(二価金属イオンすなわちMg2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Fe2+および/またはNi2+によって占有された)八面体層から成る結晶構造を有する。
しかしながら、本発明に従って調製される合成タルク組成物(すなわちxが1に等しくMがマグネシウムを表す化学式(SiGe1−x10(OH)のタルク組成物)の場合、合成タルクはその純度が天然タルク組成物と異なることに留意されたい。本発明による合成タルク組成物中では、鉱物粒子は専ら、化学式SiMg10(OH)の粒子である。ところが、現状では、純度が100%の天然タルクから調製される粉末組成物は存在しない。
特にX線解析では、対応する回折曲線は、9.40Å−9.70Å程度の距離にあって面(001)に対応する特徴的な回折ピークを有する。天然タルクの場合、対応する回折ピークは9.35オングストローム程度の距離にある。
同様に、本発明による合成タルク組成中では、合成鉱物粒子は、すぐれた結晶性と、十マイクロメートルを超えない極めて細かな粒度とを有する。本発明によるタルク組成物の合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子は10nm〜10μmの単峰性および単分散分布の粒度を有するのが有利である。
ところが、天然タルクを基にした粉砕手法の現状においては、そのような細かさ(10nm〜200nm)の粒子は物質を極度に「非結晶化」(結晶性の低下)しないと得られない。X線解析では、特徴的な回折ピーク、すなわち面(001)については9.35Å、面(020)については4.55Å、面(003)については3.14Å、面(060)については1.52Åの強さの減少となって現れる。
X線解析法の他、赤外線解析によっても、天然タルクだけでなく、例えばケロライト、ステベンサイト、スメクタイトなど他のフィロケイ酸塩に対して、本発明によるケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物を識別することができる。
今回の場合、本発明によるタルク組成物は、X線回折の解析により、
− 面(001)の場合、9.40Å〜9.68Å程度の距離のところにあるピーク
− 面(020)の場合、4.50Å〜4.75Åにおけるピーク
− 面(003)の場合、3.10Å〜3.20Åにおけるピーク
− 面(060)の場合、1.50Å〜1.55Åにおけるピーク
のような特徴的な回折ピークを有する回折図が得られる合成ケイ酸/ゲルマノ−金属鉱物粒子の結晶および層構造によって有利に識別することができる。
本発明によれば、面(001)の回折ピークは9.55Å−9.65Å程度の距離のところにある。
本発明によるタルク組成物のいくつかは、鉱物粒子が非常に細かい粒度を有すること、結晶が安定していること、純度が高いこと、多くの応用例において従来のタルクにとって代わることができることに加え、多少目立った色調を帯びるという特異性を有し、その色は二価金属カチオン(Mg2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Fe2+、Ni2+、Cr2+)の性質、ならびに結晶格子内でのこれらのカチオンの比によって異なる。
例えば、本発明によるタルク組成物は、結晶格子の八面体部位を占有するのに、Ni2+カチオンの方が(従来のタルクの)Mg2+カチオンよりも少なくとも部分的に優先されるとき、鮮緑色または薄緑色である。
同様に、結晶格子の八面体部位が少なくとも部分的に
− Co2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物は多少鮮やかなピンク色であり、
− Cu2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物は多少鮮やかな青色であり、
− Mn2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物はチョコレート色であり、
− Fe2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物は灰色から錆色であり、
− Zn2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物は白色であり、
− Cr2+カチオンで占有されているときは、タルク組成物は緑色から青色である。
このような背景において、岩石状の天然タルクは種々の色(緑、ピンク、ハチミツ色...)を有することがあるが、これを細かな粒子に粉砕すると、常に白色の粉末が形成されることに留意すべきである。事実、天然タルクの塊の色は素材の化学組成に固有な有色の中心によるものではなく、タルクの粒子の相互の特定の配置によるものであり、細粒に粉砕することにより全体が均一化され色が失われる。
本発明により、タルク組成物を形成する合成鉱物粒子が極めて細かい場合でも有色のタルク組成物を得ることができる。
同様に、結晶格子の八面体部位を占有するようになっている単数または複数の二価カチオンの選択に応じてMg2+カチオンを他の二価カチオンに置き換える原則に基けば、本発明によるタルク組成物は、導電性および/または熱伝導性において特に天然タルク組成物と異なることがある。
本発明によるタルク組成物は、相互に凝集された塊の合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子を含む「素材」の形態をとることができる。そのようなタルク組成物は、特に、本発明による水熱処理から直接得ることができ、その後、その組成物に対し一連の粉砕が施される。
同じく本発明によるタルク組成物は、個別化された合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子の粉末状で乾いて組成物の形態とすることもできる。そのような粒子の粉末性を考えた場合、粒度が細かい(数十ナノメートルから十マイクロメートル)ため、粒子は、使用時まで保存しておく目的で溶液化するのが有利である。このような背景において、本発明によるタルク組成物はコロイド状組成物の形態をとるのが有利である。
本発明の特定の一実施形態によれば、
メタケイ酸ナトリウム(NaOSiO)の溶液およびメタゲルマニウム酸ナトリウム(NaOGeO)の溶液から選択された、少なくとも1種の塩溶液を含み、この2種の溶液のそれぞれの量が、下記のモル濃度比を有する、液体組成物と、
Figure 2009543754
− 塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ニッケル(NiCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、塩化銅(CuCl)、塩化マグネシウム(MnCl)、塩化鉄(FeCl)、および塩化クロム(CrCl)から選択された少なくとも1種の二金属の塩化物を含み、前記金属塩化物のそれぞれについて、下記のようなモル濃度比を有する金属塩化物溶液(MCl)と、
Figure 2009543754
− 塩酸溶液の存在下での
共沈反応により、出発物質である前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを調製するのが有利である。
こうすることにより、下記の化学反応が行われる。
Figure 2009543754
ただし、m、n’および(m−n’+1)は正の整数である。
このタイプのゲルの調製はよく知られており、例えば、Decarreauらの文献、1989(「Synthese et stabilite des stevensites kerolites et talcs,magnesiens et nickeliferes,entre 80 et 240℃」−R.Acad.Scie.Paris−、t.308、serie II、p.301−306)に示されている指示に従うことができる。
実際上は、式(SiGe1−x11、n’HOの前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを調製するために、下記のステップを次々に実施するのが有利である。
− 塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ニッケル(NiCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、塩化銅(CuCl)、塩化マグネシウム(MnCl)、塩化鉄(FeCl)、および塩化クロム(CrCl)から選択された少なくとも1種の金属塩化物の適量の吸湿性結晶組成物をある体積の水中に溶かすことによって金属塩化物(MCl,nHO)の酸性組成物を調製し、次に塩酸(HCl)をこれに加えるステップ、
− メタケイ酸ナトリウムおよびメタゲルマン酸ナトリウムから選択されたある量の少なくとも1つの塩を適当な体積の水中に溶かすことによって液状組成物を調製するステップ、
− 共沈ゲルを形成させるように選択された((Si−Ge)/Mタルクの化学量論)比で2種の水性組成物を混合するステップ。
種々の反応物質の使用量は、共沈反応終了時にNaおよびClイオンが等モル量で存在するように選択される。このようにして生成された食塩水(Na、Cl)は、液体/固体分離を行うだけで除去することができる。
共沈が発生した後、例えば遠心分離またはろ過によってケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを回収し、本発明による水熱処理を施す。こうしてこの共沈ゲルを回収することにより、同時に、ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子の良好な結晶化にとって極めて有害なNaおよびClイオンがゲルから除去される。
本発明によれば、共沈ゲルが回収された後、特に、反応のすべてのNaおよびClイオンをゲルから除去するために、蒸留水で少なくとも1回このゲルの洗浄を行うのが有利である。この洗浄は浸透水で、あるいはただの水道水で行うことも可能である。
本発明は、先述または後述の特徴のすべてまたは一部を組み合わせることを特徴とする、タルク組成の調製方法ならびにタルク組成物にも関する。
本発明のその他の目的、長所および特徴は、添付の図面を参照して行う以下の説明および例を読むことにより明らかになろう。
赤外線手段において記録され、本発明に記載の3種の異なるタルク組成物に対応する3つの吸収スペクトルを示す図である。 3850cm−1〜3500cm−1に含まれるゾーンのレベルにおける上記スペクトルの拡大図である。 上で説明した3種の合成鉱物組成物に対応する、近赤外線において記録された3つの吸収スペクトルの6000cm−1〜8000cm−1に含まれるゾーンを示す図である。 前出の3種の合成鉱物組成物に対応する回折図RXである。 前出の第4の特定の合成鉱物組成物に対応する回折図RXである。 本発明による合成タルク組成物の走査電子顕微鏡像で撮影された顕微鏡写真である。 本発明による特定の種類の組成物の合成鉱物粒子のナノメートル寸法、ならびにほぼ単峰性かつ単分散的な分散を示す、透過電子顕微鏡像で撮影された顕微鏡写真である。 本発明による別の特定の種類の組成物の合成鉱物粒子のナノメートル寸法、ならびにほぼ単峰性かつ単分散的な分散を示す、透過電子顕微鏡像で撮影された顕微鏡写真である。 a及びbは、本発明によるまた別の特定の種類の組成物の合成鉱物粒子のナノメートル寸法、ならびにほぼ単峰性かつ単分散的な分散を示す、透過電子顕微鏡像で撮影された顕微鏡写真である。
A)本発明によるタルク組成物の合成方法
1)ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの調製
ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルは共沈により以下の反応式に従って調製される。
Figure 2009543754
この共沈反応により、タルクの化学量論比(3Mに対して4Si/Ge)を有する水和ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを得ることができる。この反応は以下のものを基にして行われる:
1.五水和メタケイ酸ナトリウム水溶液、メタゲルマニウム酸ナトリウム水溶液、あるいはモル比がx:(1−x)のこれら2種の溶液の混合物
2.蒸留水で希釈された1種または複数の金属塩(吸湿性結晶の形態)で調製された金属塩化物溶液
3.1N塩酸溶液
ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの調製は、以下のプロトコルに従って行われる。
1.塩酸溶液と1種(または複数)の金属塩化物溶液を混ぜる。
2.この混合液を、メタケイ酸および/またはメタゲルマニウム酸ナトリウム溶液に加える。ただちに共沈ゲルが形成される。
3.遠心分離(少なくとも3000回転/分〜7000回転/分で15分間)および上澄み除去(生成された塩化ナトリウム溶液)後にゲルを回収する。
4.蒸留水または浸透水、あるいは水道水でゲルを洗浄する(少なくとも2サイクルの洗浄/遠心分離が必要)。
この第1段階が終了した後、強く水和したゼラチン状のケイ素/ゲルマニウム−金属ゲル(SiGe1−x11、n’HOが得られる。このゲルはチキソトロピー挙動、すなわち、攪拌すると粘状から液状に変わり、ある時間が経過すると元の状態に戻るという挙動を示す。
2)ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理
上で得られたケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを300℃〜600℃の温度で水熱処理する。
これを行うために、
1.液化状態のゲルを反応装置/オートクレーブに入れ、場合によっては液体/固体比を0.83程度の値に調節する(液体の量はcmで表し、固体の量はグラムで表す)。
2.処理の時間中、反応装置/オートクレーブを反応温度(300℃から600℃の間で設定)のオーブン内部に置く。
本発明者等は、粒子の粒度が水熱処理の温度に依存することを確認することができた。この温度が低いほど、合成粒子は小さくなる(600℃程度の温度では10ミクロン程度であるのに対し、300℃では数十ナノメートル程度)。
本発明者等はまた、処理時間が主に合成粒子の結晶性および熱安定性に依存することを確認することができた。当初のゲル状隗を、結晶化された熱的に安定な個体材料に変換するには、水熱処理は充分に長時間でなければならない。
水熱処理中、ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルは、ゲル強度を次第に失って、時間の経過とともに結晶性が増加する粒子結晶構造をとるようになる。材料のこのような漸進的結晶化は、X線回折解析によって確認することができ、回折図上では、処理の全過程にわたって繊細になり強くなる特徴的なピークとして現れる。
この水熱処理が終了すると、水中に懸濁したケイ素/ゲルマニウム−金属粒子を含むコロイド状のタルク組成物が得られる。この水熱処理の後、
3.反応装置の内容物がろ過され、そこから固体相が回収される。
4.固形成分を60℃のオーブンで1日間乾燥する。
5.乾燥後、固形成分をメノウ乳鉢で粉砕する。
最終的に、ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを調製するのに用いられた1種または複数の金属塩化物の性質(ならびに場合によってはこれらの金属塩化物のそれぞれの比)によって色が異なる、粉砕された固形組成物が得られる。
B)得られたいくつかの物質の構造の解析および特徴の把握
上で説明したプロトコルに従って得られた種々のタルク組成物のうちのいくつかについてのみ以下に解析結果を示す。これらの結果から、本発明により、天然タルクの構造上の特徴に極めて近い構造上の特徴(特にラメラリティーおよび結晶性)を有する合成鉱物粒子の形成を実現することが可能となることが確認された。そればかりでなくこの結果は、本発明において、実施温度および時間を選択することにより、一定かつ予想可能な寸法および結晶特性を有する安定した純度の高い合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を極めて簡単に合成することができることも示している。
解析は、特に透過赤外線分光分析、X線回折、および電子顕微鏡観察によって行われた。収集したデータを添付の図面に示し、以下にコメントする。
1)赤外線解析
赤外線では、基準として、天然タルクに特徴的な振動帯域は以下の通りであること(解像度4cm−1)が知られている。
− 3678cm−1:Mg−OH結合の振動
− 1018cm−1:Si−O−Si結合の振動
− 669cm−1:Mg−O−Si結合の振動
− 7185cm−1:Mg−OH結合の振動
図1から図3は、以下の3つのタルク組成物について中赤外線および近赤外線においてそれぞれ行われた解析の結果を示す。
− (八面体カチオンとしてMg2+を用いる)上で記述した方法により、3日間の300℃水熱処理によって調製した式SiMg10(OH)の合成タルク組成物(図ではこの組成物をTalcMg300℃と記す)
− (八面体カチオンとしてNi2+を用いる)上で記述した方法により、3日間の300℃水熱処理によって調製した式SiNi10(OH)のタルク組成物(図ではこの組成物をTalcNi300℃と記す)
− (八面体カチオンとして同モル比のCo2+およびNi2+を用いる)上で記述した方法により、3日間の300℃水熱処理によって調製した式Si(Co0.5Ni0.510(OH)のタルク組成物(図ではこの組成物をTalcCoNi300℃と記す)
赤外線スペクトルの取得は4000cm−1から400cm−1の領域においてNicolet510−FTIR分光計を使用して行われた。
赤外線手段において得られたスペクトル(図1および図2)は、合成タルク組成物−TalcMg300℃−が構造上、天然タルクに極めて類似した鉱物組成であることを示している。このことは特に、Mg−OH結合(3678cm−1)の振動、Si−O−Si結合(1018cm−1)の振動、およびMg−O−Si結合(669cm−1)の振動を表すピークが存在する現象として現れている。
近赤外線において拡散反射で行われた測定から得られた、図3に8000cm−1から6000cm−1の領域の拡大図を示した結果からも、7185cm−1において極めて顕著なピークが存在することを確認することができる。7185cm−1に位置するこのピークも天然タルクの4つの基準ピークを構成するものである。
この基準ピークの近傍に位置する7265cm−1のピークは、合成タルクの粒子が若干水和していることを表している。
同じく例として示した別の2つのタルク組成物(TalcNi300℃/TalcCoNi300℃)では、その吸収赤外線スペクトルは、重なる4つのピークが存在し、天然タルクの4つの基準ピークのごく近傍にあるなど、合成タルク組成物(TalcMg300℃)のスペクトルとの間で多数の類似点がある。
赤外線スペクトルのこれらの類似点は、本発明によるタルク組成物の合成鉱物粒子と天然タルクの粒子との間に、構造上極めて高い類似点が存在することを示している。いくつかのピークについて場合によっては偏移が見られることがあるが(例えば7300cm−1〜7000cm−1の領域において)、これは主に結晶格子の八面体カチオンの寸法差によるものである。
2)X線回折解析
X線回折解析においては、天然タルクは4つの特徴的な回折ピーク、すなわち
− 面(001)の場合、9.35Åの距離にあるピーク
− 面(020)の場合、4.55Åにおけるピーク
− 面(003)の場合、3.14Åにおけるピーク
− 面(060)の場合、1.52Åにおけるピーク
を有することが知られている。
RX回折図は、機器XPERT−MPD(PanAnalytical)で記録された。
測定2θのピッチは0.01°であり、蓄積時間は2秒/ピッチである。加速電圧は40kVであり、電流強度は55mAである。構造上の等距離を与えるブラッグ式はdhkl=0.7703/sinθである。
図4は、上で引用した3つの組成物、すなわち
− TalcMg300℃と記すSiMg10(OH)
− TalcNi300℃と記すSiNi10(OH)
− TalcCoNi300℃と記すSi(Co0.5Ni0.510(OH)
について行われた解析の結果を示す。
同様に図5は本発明に従って調製された組成物GeFe10(OH)のRX回折図である。
これらの解析により、赤外線分光法で観測されたことが正しいことがわかる。本発明に従って調製されたタルク組成物の合成鉱物粒子と天然タルクの粒子の間には、構造上、高い類似性が存在する。
特に、面(020)、(003)および(060)に対応する回折ピークは、天然タルクの基準回折ピークの位置と完璧に一致する位置を有する。
面(001)の回折ピークの位置のみが基準ピークの位置から若干異なっている(9.35Åではなく9.57〜9.64Å)。この値の差は主に、
− 天然タルクの粒子サイズとは異なり粒子サイズがナノメートル級であること
− 合成鉱物粒子の残留水和が極めて軽微であること
− 場合によっては、結晶格子の八面体カチオンの性質
に由来するものである。
しかしながら、残留水和によって生じる誤差は、反応時間が長くなり乾燥が強くなるに従って減少することを明記しなければならない。
最後に、面(001)、(020)、(003)および(060)のピークの半値幅は、本発明によるタルク組成物のケイ素/ゲルマニウム金属鉱物粒子が良好な結晶性を有することを示している。
粒子GeFe10(OH)(図5)を表す回折図RXの場合、面(003)に対応する回折のピークの強度が高いことは、部分的に、酸化ゲルマニウムによる汚染が原因であることに留意されたい。
3)粒子の粒度の顕微鏡観察および評価
本発明によるタルク組成物となることが可能な粉末は極めて細かいため、粉末を構成する合成鉱物粒子の寸法および粒度分布は、走査および界磁効果電子顕微鏡法および透過電子顕微鏡における観察によって評価された。図6、図7、図8、図9aおよび図9bに示す顕微鏡写真はこれらの観察の際に撮影されたものである。
図6および図7は、3日間の300℃水熱処理によって調製された本発明による2種のタルク組成物の観察に関するものである。この場合、式SiMg10(OH)の合成タルク組成物および式SiNi10(OH)のタルク組成物に関するものである。
どちらの場合も基本粒子の粒度は20nm〜100nmの間で変わることがわかる。
これら2枚の写真は、粒子の密度が原因で粒子同士の凝固の外観が間違って見える。実際には基本粒子は個別化された状態にある。万一これらの粒子間の若干の癒着があるとすれば、それは残留水分によるものであると思われる。
図8は、30日間の400℃水熱処理の後に得られた式SiMg10(OH)の合成タルク組成物の観察に関するものである。
対応する顕微鏡写真を観察すると、合成タルクの粒子が3μm程度の粒度を有していることがわかる。
図9aおよび図9bは、30日間の600℃水熱処理の後に得られた式SiMg10(OH)の合成タルク組成物の観察に関するものである。対応する2つの顕微鏡写真を観察すると、合成タルクの粒子が6μm程度の平均寸法を有していることがわかる。

Claims (18)

  1. 結晶および層構造を有し、次式で表される、合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物と呼ばれる組成物の調製方法であって、
    (SiGe1−x10(OH)
    [式中、Mが、少なくとも1種の二価金属を指し、式Mgy(1)Coy(2)Zny(3)Cuy(4)Mny(5)Fey(6)Niy(7)Cry(8)を有し、各y(i)が
    Figure 2009543754
    のような間隔[0;1]の実数であり、
    xが間隔[0;1]の実数である]
    とき、式を有する
    液体状態で式(SiGe1−x11、n’HOのケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を行い、調製すべきケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子に所望される粒度および構造安定性に応じて選択された時間、300℃〜600℃の温度で前記水熱処理を行うことを特徴とする方法。
  2. 前記水熱処理の終了時、コロイドタルク組成物を回収し、個別化されたケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物を得るために前記コロイドタルク組成物を乾燥ステップ、次いで機械的粉砕ステップにかけることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. メタケイ酸ナトリウム溶液(NaOSiO)およびメタゲルマニウム酸ナトリウム溶液(NaOGeO)から選択された少なくとも1種の塩溶液を含み、下記のモル濃度比を有する液体組成物と、
    Figure 2009543754
    塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ニッケル(NiCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、塩化銅(CuCl)、塩化マグネシウム(MnCl)、塩化鉄(FeCl)、および塩化クロム(CrCl)から選択された少なくとも1種の二価金属塩化物を含み、前記金属塩化物のそれぞれについて下記のようなモル濃度比を有する金属塩化物溶液(MCl)の、
    Figure 2009543754
    塩酸溶液の存在下での共沈反応によって、前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを調製することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. オートクレーブで前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 液体の量をcmで表し、固体の量をグラムで表したとき、0.83程度の液体/固体比を有する液化ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルで水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 300℃程度の温度で水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 400℃程度の温度で水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 500℃〜600℃程度の温度で前記水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 16バール程度の圧力で前記水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 攪拌しながら水熱処理を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 式(SiGe1−x11、n’HOの前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを調製するために、以下のステップ、すなわち
    塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ニッケル(NiCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、塩化銅(CuCl)、塩化マグネシウム(MnCl)、塩化鉄(FeCl)、および塩化クロム(CrCl)から選択された少なくとも1種の金属塩化物の適量の吸湿性結晶組成物を、ある体積の水中に溶かすことによって金属塩化物の酸性組成物を調製し、次に塩酸(HCl)をこれに加えるステップと、
    メタケイ酸ナトリウムおよびメタゲルマン酸ナトリウムから選択されたある量の少なくとも1種の塩を適当な体積の水中に溶かすことによって液体組成物を調製するステップと、
    共沈反応終了時にNaおよびClイオンが等モル量で存在するように種々の反応物質の使用量が選択され、共沈ゲルを形成させるように選択された比で2種の水性組成物を混合するステップと
    を順次実施することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルの水熱処理の前に、共沈反応時に形成された塩化ナトリウムを前記ゲルから除去するために蒸留水でこのゲルを洗浄することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 式(SiGe1−x10(OH)を有する合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子を含むタルク組成物であって、
    [Mが少なくとも1つの二価金属を指し、式Mgy(1)Coy(2)Zny(3)Cuy(4)Mny(5)Fey(6)Niy(7)Cry(8)を有し、各y(i)が
    Figure 2009543754
    のような間隔[0;1]の実数であり、
    xが間隔[0;1]の実数である]
    前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物粒子のX線回折解析により、
    面(001)の場合、9.40Å〜9.68Å程度の距離にあるピーク
    面(020)の場合、4.50Å〜4.75Åにおけるピーク
    面(003)の場合、3.10Å〜3.20Åにおけるピーク
    面(060)の場合、1.50Å〜1.55Åにおけるピーク
    のような特徴的な回折ピークを有する回折図が得られることを特徴とするタルク組成物。
  14. 面(001)に対応する回折ピークが9.55Å〜9.65Å程度の距離にあることを特徴とする請求項13に記載のタルク組成物。
  15. 前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子が10nm〜10μmに含まれる単峰性および単分散の分布粒度を有することを特徴とする請求項13または14に記載のタルク組成物。
  16. 前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子が個別化された粉の形態で存在することを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載のタルク組成物。
  17. 前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子が液体中に個別化され分散して存在することを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載のタルク組成物。
  18. 前記合成ケイ素/ゲルマニウム−金属粒子が相互に凝集した形態で存在し塊を形成することを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載のタルク組成物。
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