JP2009538273A - 改造されたFCエフェクター機能を持つ、免疫グロブリン・ヒンジ領域とFc領域とを備える結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

免疫グロブリン定常領域の1つ以上の、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であって、当該1つ以上の、ヒンジドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインのいずれかは、1つ以上のアミノ酸の挿入及び除去の少なくともいずれかがなされ、それによって当該結合タンパク質は少なくとも、1つ以上の対応受容体(たとえばFc受容体)に対して変化した結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示すか、又は改造されていない結合タンパク質には存在しない新たな結合特異性(例えば、改造されていない結合タンパク質が結合する対応受容体の分類とは異なる別の分類の受容体)を当該ヒンジ領域及び定常領域の少なくともいずれかに与える。本発明による結合タンパク質は、例えば、改造された抗体、抗体断片、遺伝子組み換えタンパク質、及び小モジュラー免疫薬製品(SMIP)を含む分子的に設計された結合ドメイン−免疫グロブリン・フュージョンタンパク質を含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、免疫学、タンパク質化学、及び分子生物学に関するものである。具体的に、本発明は、免疫グロブリンの、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えた結合タンパク質であり、当該1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかには、当該タンパク質の対応(cognate)受容体(例:FC受容体)に対する結合親和性及びは結合特異性の少なくともいずれかを変化させる改造、及び改造されていない結合タンパク質には存在しない1つ以上の新たな結合特異性(例:改造されていないタンパク質が結合する対応受容体とは異なる親和性)の少なくともいずれかを当該ヒンジ及びCH領域の少なくともいずれかに与える改造が施されている。本発明による結合タンパク質は、例えば、改造された抗体、抗体の断片、組み換え結合タンパク質、及び小モジュラー免疫薬製品(small modular immunopharmaceutical products:SMIP(登録商標))を含む分子工学的に設計された結合領域と免疫グロブリンの融合タンパク質を含む。
免疫グロブリンは、鎖間ジスルフィド結合によって1つの高分子の複合体に結ばれる一致する二つのの軽鎖ポリペプチドと、一致する二つの重鎖ペプチドで構成される多量体タンパク質である。鎖内ジスルフィド結合は、1つのポリペプチドの異なる領域を結ぶことによってループを形成し、隣接したアミノ酸と共に免疫グロブリン領域を構成する。
各軽鎖と重鎖は、アミノ末端において、抗体ごとにアミノ酸配合が著しく異なる可変領域を持つ。軽鎖の可変領域(V)は重鎖の可変領域(V)と共に、免疫グロブリンの抗原結合部位(F)を形成する。軽鎖は1つの定常領域(CH1)を持ち、重鎖は複数の定常領域を持つ。IgG、IgA,及びIgDの分類は、CH1、CH2及びCH3と指名された三つの重鎖定常領域を持つ。IgGとIgEの分類はCH1,CH2、CH3、及びCH4の四つの重鎖定常領域を持つ。免疫グロブリンの構造と機能は非特許文献1及び非特許文献2にレビューされている。
免疫グロブリンの重鎖は、Fd領域、ヒンジ領域、及びFc(Fragment crystallizable)領域の三つの機能領域に分けることができる。Fd領域はVとCH1領域を含み、軽鎖と共にFabと呼ばれる抗原結合断片を形成する。Fc断片は、例えば補体結合及びエフェクター細胞に存在する対応Fc受容体への結合を含む免疫グロブリン・エフェクター機能に関与する。IgG、IgA、及びIgD分類の免疫グロブリンに見られるヒンジ領域は、Fab部位をFc領域に対して自由に動かせる柔軟なスペーサの役割を持つ。定常領域に比べ、ヒンジ領域は構造的に多様であり、免疫グロブリンの分類観及び下位分類間で異なる配列及び長さのヒンジが存在する。
結晶を用いる研究によると、免疫グロブリンのヒンジ領域は更に上部、中部、そして下部の3つの領域に分割することができる(非特許文献3)。ヒンジの上部はCH1のカルボキシ末端側のアミノ酸から、ヒンジの動きを制限する通常2つの重鎖間のジスルフィド結合を形成するシステイン残基までを含む。ヒンジの上部の長さは抗体の部分的な柔軟性と直接相関している。ヒンジの中部領域は重鎖間のジスルフィド架橋を含む。ヒンジの下部領域は、アミノ末端側と、CH2領域に含まれるアミノ酸とを結ぶ(同文献)。
ヒトIgGのヒンジ領域の中部はCys−Pro−Pro−Cysの配列を含み、この配列はジスルフィド結合による二重化の際、旋回軸としての役割を持つと思われるシクリック・オクタペプチド(cyclic octapeptide)になり、柔軟性を与える。免疫グロブリン・ヒンジ領域のポリペプチド配列の構造とその柔軟性によって可能になる構造変化は、抗体のFc部位のエフェクター機能に影響を与え得る。
Fc領域と関連付けられたエフェクター機能の3つの一般的な分類は1)典型的な補体カスケードの活性化、2)エフェクター細胞との相互作用、そして3)免疫グロブリンの区分化、を含む。ヒトIgGの様々な下位分類は、それらと共に固定補体を行うものとの相対的な有効性、または補体カスケードのステップの活性化及び増幅の相対的な有効性において異なる(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、及び非特許文献8などを参照)。補体依存性細胞毒性(complement−dependent cytotoxicity,CDC)は、腫瘍細胞などの標的細胞の除外(clearance)において重要なメカニズムであると考えられる。通常は、IgGとIgGが最も有効に固定補体し、次にIgGが有効であり、IgGは活性補体を起こさない。補体活性は、カスケードの第一のコンポーネント、C1のサブユニットであるC1qが、抗体抗原の複合体に結合することによって開始される。
C1qの結合部位は抗体のCH2領域に位置するが、ヒンジ領域はカスケードを活性化させる抗体の機能に影響を与える。例えば、ヒンジ領域が欠けている組み換え免疫グロブリンは、活性補体を行うことができない(非特許文献3)。ヒンジ領域による柔軟性がない場合、抗原に結合した抗体のFab部位は、C1qがCH2に結合するために必要な立体構造をとることができない可能性がある(非特許文献3)。ヒンジの長さと局部的な柔軟性は、補体活性と限定的に相関する。従って、ヒトIgGのヒンジ領域のように硬直に改造されたヒンジ領域を持つヒトIgG分子であっても、補体カスケードを活性化させる能力を温存している。
ヒンジ領域はまた、糖鎖が付加できる幾つかの異なる構造の部位を含む1つ以上のグリコシル化部位を持ち得る。例えば、IgGのヒンジ領域の17アミノ酸セグメントには5つのグリコシル化部位が存在し、それによって腸内プロティアーゼに対する著しい耐性が与えられる。この機能は分泌性免疫グロブリンとしては有利な性質であると考えられる。
ヒンジ領域の欠乏、または機能的なヒンジ領域の欠如は、幾つかのヒト免疫グロブリンが持つ免疫エフェクター細胞のFc受容体に結合する能力を左右し得る。免疫グロブリンのFc受容体への結合は、抗体依存細胞媒介性細胞毒性(antibody−dependent cell−mediated cytotoxicity,ADCC)を促進し、これは腫瘍細胞の除外において重要なメカニズムであると推定される。ヒトIgG Fc受容体(FcR)ファミリは、IgGと高い親和性で結合し得るFcγRI(CD64)と、低い親和性受容体であるFcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)とを含む3つの分類に分けられる。ヒトIgA Fc受容体はFcαR(CD89)である。実験上の証拠によると、CH2領域のヒンジ近位部位にある残基は、免疫グロブリンと様々なFc受容体との特異的な相互作用において大事である。これは、ヒンジ領域を持たないIgG骨髄腫タンパク及び組替えIgGキメラ抗体がFcγRIに結合できないという結果によって支持され、このような結果はCH2領域へのアクセスし易さが低下したためと考えられる(非特許文献9)。 Fcγ受容体は、非特許文献10と、非特許文献11に全般的にレビューされている。又、非特許文献12も参照。
FcγRI(CD64)はマクロファージ及び樹枝状細胞で発現され、ファゴサイトーシス、呼吸性バースト、及びサイトカイン刺激において所定の役割を果たしている。FcγRIの発現は、GM−CSFやγインタフェーロン(γーIFN)によって増加され、インターロイキンー4(IL−4)によって減少される。全ての活性化受容体がノックアウトされたマウスは免疫複合体媒介炎症から保護される。同様に、FcγRIがノックアウトされたマウスはある程度の保護が見られる。
FcγRII(CD32)は、FcγRIIa〜cの3つの種類が同定されている。FcγRIIaは多形核白血球(Polymorphonuclear leukocytes,PMN)、マクロファージ、樹枝状細胞及びマスト細胞において発現される。FcγRIIaは、ファゴサイトシス、呼吸性バースト及びサイトカイン刺激において所定の役割を果たしている。FcγRIIaの発現はGM−CSF及びγーIFNによって増加され、IL−4によって減少される。全ての活性化受容体がノックアウトされたマウスは免疫複合体媒介炎症から保護される。FcγRIIaはC反応性タンパク(CRP)多形H131と高い親和性で結合し、CRP多形R131とは低い親和性で結合する。一般の人口において二つの多形の分布は、約50:50で、R131は感染やループス腎炎(Lupus Nephritis)になり易い。FcγRIIbはB細胞、PMN,マクロファージ及びマスト細胞で発現される。FcγRIIbは、免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine−based activation motif, ITAM)媒介反応を抑制する。したがってFcγRIIbは抑制性受容体である。FcγRIIcの発現は静注用免疫グロブリンやIL−4によって増加され、γ−IFNによって減少される。FcγRIIbノックアウトマウスは抗体反応が増加し、自己免疫疾患になり易く、CD32がノックアウトされた濾胞樹状細胞(follicular dendritic cell, FDC)は、B細胞リコール反応が衰える。FcγRIIcはNK細胞で発現されているが、その機能と発現の制御については不明のところが多い。
FcγRIII(CD16)は、FcγRIIIaとbの2つが同定されている。FcγRIIIaはナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、マスト細胞及び血小板で発現されている。この受容体はファゴサイトシス、呼吸性バースト、サイトカイン刺激、血小板凝集、脱顆粒及びNK細胞媒介のADCCに関与する。FcγRIIIの発現はC5a、TGFβ及びγ−IFNによって増加され、IL−4によって減少される。全ての活性化受容体がノックアウトされたマウスは免疫複合体媒介炎症から保護される。FcγRIIIは多形性であり、その中F176が最も多く、V−176が少ない。F−176のIgGに対する親和性はより弱く、紅斑性狼瘡(Lupus Erythematosus)と関連付けられている。FcγRIIIbはGPIが付いた受容体であり、PMNにおいて発現される。FcγRIIIbの遺伝的欠損は存在するが、それによる表現型は知られていない。FcγRIIIb NA1/NA2の多形は同種免疫性新生児好中球減少症(isoimmune neutropenia)において重要である。
モノクローナル抗体技術や遺伝工学方法は、人間が患う病気の診断や治療のための免疫グロブリンの急速な発展を導いた。また、抗原に対する抗体の親和性を改善させるため、注射されるポリペプチドの免疫原性に関する問題を減少させるため、そして抗体のエフェクター機能を改造するためにタンパク質工学が適用されてきた。免疫グロブリンのドメイン構造は、遺伝子組み換え工学によって改造しやすくなっており、抗原結合ドメインやエフェクター機能に関するドメインは免疫グロブリン分類間(例:IgG,IgA,IgE)、又は下位分類間(例:IgG,IgG、IgG、IgGなど)に交換することができる。
更に、免疫グロブリンをそのまま使用する治療法に関する問題を解消するため、より小さい免疫グロブリンが作られた。例えば、一本鎖免疫グロブリン可変領域断片ポリペプチド(single chain immunogolbulin variable region fragment polypeptides, scFv)は、短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変領域に結ばれた免疫グロブリンの重鎖可変領域を備える(非特許文献13)。scFv分子は小さいため、プラズマや組織において早くクリアされ、免疫グロブリンそのまま使用する場合より効率的な組織浸透性を持つ(非特許文献14等を参照)。抗腫瘍scFvは、対応するキメラ抗体より速い腫瘍への浸透性及び均一な分布を示した(非特許文献15)。毒素などの分子をscFvと融合すると、scFvの小さいサイズやその特異的な抗体抗原結合を利用して標的組織に毒素を運ぶことができる(非特許文献16、非特許文献17)。
scFvの血清療法には、利点の反面、幾つかの欠点も存在する。scFvのクリアランス(Clearance)は速いため一般細胞に与える毒性効果は軽減できるが、そのような早いクリアランスでは、最小有効量を標的組織へ運ぶことを妨げ得る。患者に注射するために十分な量のscFvを製造することも、scFvの発現や精製などの問題で収率に悪影響を与えるため、困難であった。発現の際、scFv分子は安定性が乏しく、異なる分子の可変領域が結合してしまい、塊になる。更に、哺乳類の発現システムにおけるscFv製造レベルは低く、scFv分子の治療法での使用可能性を制限する(非特許文献18、非特許文献19)。製造量向上のための対策も、可変領域にグリコシル化部位を加えるなど、様々なものがなされている(特許文献1、非特許文献20等)。
scFvを治療に使用する際に更なる欠点としては、エフェクター機能の欠如である。細胞傷害性機能、ADCC及びCDCが欠如したscFvは、病気の治療には効果を発揮しない可能性がある。scFvの開発は既に20年以上されているにもかかわらず、治療目的で承認されたscFv商品はまだ存在しない。代替戦略である毒素が接合又は融合されたscFvは、効能で抗原特異的な分子であるが、そのような接合物やキメラは、毒素から由来する過剰な毒性及び非特異性の毒性の少なくともいずれかによって制限される。このような毒性効果は、肝臓酵素の生理的な正常値を超える過剰な分泌、血液漏出症候群、及び望ましくない他の効果などを含み得る。その上、患者に注射された免疫抗毒素は、そのもの自体が免疫原性であり、免疫抗毒素に対して生成された患者の抗体は、同じ患者に対する免疫抗毒素の反復使用の可能性を制限する。
病気の治療において免疫グロブリンの定常領域に関連するエフェクター機能の利点は、定常領域を持つ、可変領域を免疫グロブリンの配列でないペプチドに入れ替えた融合タンパク質の開発を促した。例えば、HIVによって認識されるT細胞表面タンパク質であるCD4は、遺伝子組み換えによって免疫グロブリンFcエフェクタードメインと融合された(非特許文献21)。このような分子の生物活性は、その一部分において、選択された免疫グロブリン分類または下位分類の定常領域によって異なる。例えば、IL−2IgG融合タンパク質はIL−2受容体を持つ細胞の補体媒介溶解をもたらす(非特許文献21)。これらの融合タンパク質又は異なる融合タンパク質を作成するための免疫グロブリンの定常領域の利用は更に、向上した薬物速度論的特性を与え得る。
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上記のように、Fc受容体の結合親和性及び特異性(そして関連するADCC)、結合タンパク質のインビボ(in vivo)半減期、及び補体固定等の1つ以上のエフェクター機能を変化させるためにヒンジ及びFcドメインの少なくともいずれかが改造された、免疫グロブリン由来の結合タンパク質の分野において、未だに遂げていない技術向上のニーズが残っている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、とりわけ、Fcエフェクター機能を変化させるように改造された1つ以上の免疫グロブリン・ヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかを備えた結合タンパク質を提供することによって上記の問題を含む様々な関連するニーズを解消することを目的とする。ここに説明される発明は、免疫グロブリンヒンジ領域及びFc領域の少なくともいずれかを改造した結合タンパク質であり、当該改造は対応(cognate)受容体(例:FC受容体)に対する結合親和性及び結合特異性の少なくともいずれかを変化させる改造、及び改造されていない結合タンパク質には存在しない1つ以上の新たな結合特異性(例:改造されていないタンパク質が結合する対応受容体とは異なる親和性)の少なくともいずれかを、当該ヒンジ及びCH領域の少なくともいずれかに与える改造である。
本発明による結合タンパク質は、免疫グロブリンのヒンジ、CH2及びCH3の少なくともいずれかにおいて1つ以上のアミノ酸配列が変更されている、改造された抗体、抗体断片、組み換え結合タンパク質、及び小モジュラー免疫薬製品(SMIP)を含む、分子工学的に設計された結合領域と免疫グロブリンの融合タンパク質等を含む。ある実施形態においては、当該結合タンパク質は、受容体結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを決定するヒンジ領域、CH2領域及びCH3の少なくともいずれかのアミノ酸配列上の変更を1つ以上含む。
ある特徴によると、本発明は具体的に1つ以上の免疫グロブリン重鎖の、1つ上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン,及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを含む結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は改造された(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかで1つ以上の免疫グロブリン特異的なFc受容体に結合する。
ここに説明される発明は、IgG免疫グロブリンの重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えた結合タンパク質であり、前期タンパク質は改造によって1つ以上のIgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に対する結合親和性及び特異性の少なくともいずれかが変化しており、当該IcG免疫グロブリン特異的Fc受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRIIaとFcγRIIbとFcγRIIcとを含むFcγRII(CD32),及びFcγRIIIaとFcγRIIIbを含むFcγRIII(CD16)である。この種類の結合タンパク質は、例えばFcγ−受容体の結合にかかわる領域、ドメイン、ターン、及びループ構造の少なくともいずれかのアミノ酸配列から1つ以上のアミノ酸が挿入及び除去された結合タンパク質の少なくともいずれかを含む。このような改造は、免疫グロブリン特異的Fc受容体と結合した際その受容体(FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)を含む)内の1つ以上のアミノ酸と直接に接する1つ以上のアミノ酸の、間及び隣の少なくともいずれかに、挿入された1つ以上のアミノ酸及び除去された1つ以上のアミノ酸の少なくともいずれかを含むが、これに限られない。
本発明の具体的な実施形態は、IgG,IgG、及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインを1つ以上備える結合タンパク質を提供する。そのような幾つかの実施形態は、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインにあるヒンジ近位ループ構造であるL−L−G−G−Pの配列内に1つ以上のアミノ酸の除去及び挿入の少なくともいずれかを備えた結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されるものは、次に述べるヒンジ近位ループ構造内の“*”で示された1つの位置に1つのアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、ここで提供されるものはL−L−*−G−G−P,L−L−G−*−G−P、及びL−L−G−G−*−Pのヒンジ近位ループ構造を備える結合タンパク質である。ここで更に提供するものは、L−L−*−G−G−P,L−L−G−*−G−P、及びL−L−G−G−*−Pのヒンジ近位ループ構造内に“*”で示された1つの位置に2つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、これらの実施形態においては、“*”は少なくとも2、3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個のアミノ酸の挿入を示す。このような改造されたヒンジ近位ループ構造を持つ結合タンパク質を生成するために適切なアミノ酸は、典型的にAla,Gly,Ile,Leu、及びValを含むグループから選ばれる。
他の類似する実施形態は、IgG,IgG、及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインを1つ以上備える結合タンパク質を提供する。そのような幾つかの実施形態は、IgGのBCループ構造であるD−V−S−H−Eの配列内に1つ以上のアミノ酸の除去及び挿入の少なくともいずれかを備えた結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されるものは、次に述べるBCループ構造内の“*”で示された1つの位置に1つのアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、ここで提供されるものはD−V−*−S−H−E,及びD−V−S−*−H−Eに改造されたBCループ構造を備える結合タンパク質である。ここで更に提供するものは、D−V−*−S−H−E,及びD−V−S−*−H−EのBCループ構造内に“*”で示された1つの位置に2つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、これらの実施形態においては、“*”は少なくとも2、3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個のアミノ酸の挿入を示す。このような改造されたBCループ構造を持つ結合タンパク質を生成するために適切なアミノ酸は、典型的にAla,Gly,Ile,Leu、及びValを含むグループから選ばれる。
更なる類似する実施形態は、IgG,及びIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかを1つ以上備える結合タンパク質を提供する。そのような幾つかの実施形態は、CH2ドメインのFGループ構造であるA−L−P−A−P−Iの配列内に1つ以上のアミノ酸の除去及び挿入の少なくともいずれかを備えた結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されるものは、次に述べるFGループ構造内の“*”で示された1つの位置に1つのアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、ここで提供されるものはA−L−*−P−A−P−I,A−L−P−*−A−P−I及びA−L−P−A−*−P−Iに改造されたFCループ構造を備える結合タンパク質である。ここで更に提供するものは、A−L−*−P−A−P−I,A−L−P−*−A−P−I及びA−L−P−A−*−P−IのFGループ構造内に“*”で示された1つの位置に2つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質である。したがって、これらの実施形態においては、“*”は少なくとも2、3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個のアミノ酸の挿入を示す。このような改造されたFGループ構造を持つ結合タンパク質を生成するために適切なアミノ酸は、典型的にAla,Gly,Ile,Leu、及びValを含むグループから選ばれる。
異なる特徴によると、本発明はIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は当該IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上の改造を含んでおり、当該改造は、改造される位置でのN−結合型グリコシル化及びO−結合型グリコシル化の少なくともいずれかを行うに十分であり、そのグリコシル化によって免疫グロブリン特異的なFc受容体に対する結合タンパク質の親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させる(即ち、増加又は減少)1つ以上のN−結合型グリコシル化配列及びO−グリコシル化配列の少なくともいずれかの挿入を含む改造である。このような結合タンパク質は、改造されていない結合タンパク質のグリコシル化にかかわる領域、ドメイン、及びループ構造の少なくともいずれかの、近位及び遠位の少なくともいずれかに位置するアミノ酸の変化を備えるタンパク質等を含む。
ここに説明されるものはIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該結合タンパク質は当該IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上の改造を含んでおり、当該改造は、改造される位置でのN−結合型グリコシル化及びO−結合型グリコシル化の少なくともいずれかを行うに十分であり、そのグリコシル化によって、対応する改造されていないIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質に比べ、免疫グロブリン特異的なFc受容体(FcγRI(CD64)、FcγRIIaとFcγRIIbとFcγRIIcとを含むFcγRII(CD32),及びFcγRIIIaとFcγRIIIbを含むFcγRIII(CD16))に対する結合タンパク質の親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させる(即ち、増加又は減少)1つ以上のN−結合型グリコシル化配列及びO−グリコシル化配列の少なくともいずれかの挿入を含む改造である。
本発明のこれらの特徴に関する具体的な実施形態によると、本発明はIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のIgGのCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のIgGのCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかは、IgG、IgG、IgG、及びIgGの少なくともいずれかの、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインの少なくともいずれかである。このような幾つかの実施形態は、対応する天然IgG免疫グロブリンのヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかのN−結合型グリコシル化部位及びO−結合型グリコシル化部位の少なくともいずれかの近位及び遠位の少なくともいずれかに、N−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)を1つ以上、及びO−結合型グリコシル化配列であるX−P−X−X(少なくとも1つのXはT)、T−X−X−X(少なくとも1つのXはT)、X−X−T−X(少なくとも1つのXはR又はT)及びS−X−X−X(少なくとも1つのXはS)の少なくともいずれかを、少なくともいずれか1つ以上含む結合タンパク質を提供する。これらの実施形態の特徴において、当該結合タンパク質は変化した(即ち、増加又は減少)FcγR結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示す。
ここに説明されたものは1つ以上のIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のIgGのCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質についての実施形態であって、当該結合タンパク質には更に1つ以上のN−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)(Xは任意のアミノ酸)が挿入される。例えば、本発明は、IgG、IgG、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインの天然のN−S−T配列に隣接した位置に、1つ以上のN−X−(S/T)を挿入した結合タンパク質を提供する。これらの実施形態の特徴において、当該結合タンパク質は変化した(即ち、増加又は減少)FcγR結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示す。
このような具体的な実施形態において、1つ以上のIgG、1つ以上のIgG、1つ以上のIgG及び1つ以上のIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインのDEループ内にあるN−結合型グリコシル化配列はN−S−Tというアミノ酸配列を含み、天然N−S−T配列に隣接した位置及び、アミノ末端側及び、カルボキシ末端側の少なくともいずれかの100アミノ酸以内に挿入される。したがって天然アミノ酸配列であるX−N−S−T−Zは(AA)−N−S−T−(AA)−N−S−T−(AA)に改造され、AA、AA及びAAは夫々独立的に1〜100アミノ酸を指定する。そのような具体的な実施形態において、当該1つ以上のIgG、1つ以上のIgG、1つ以上のIgG及び1つ以上のIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインのDEループ内にあるN−結合型グリコシル化配列は、N−S−Tのアミノ酸配列を備え、天然のN−S−Tに隣接するように挿入される。したがって、天然のX−N−S−T−Zのアミノ酸配列はX−N−S−T−Z−N−S−T−Zに改装され、ここのXとZは夫々独自にTyr(Y)及びPhe(F)から選択される。
そのような代替の実施形態においては、1つ以上のIgG、IgG、IgG及びIgGの少なくともいずれかのBCループに挿入された当該N−結合型グリコシル化配列は、天然のN−S−Tの配列の遠位に挿入されたN−S−Tのアミノ酸配列を含み、したがって天然のアミノ酸配列Y−P−S−D−I−AはY−P−N−S−T−I−D−A及びY−N−S−T−P−S−D−I−Aに改造される。
更なる特徴において、本発明は具体的に第1免疫グロブリン類(例:IgA、IgD,IgE,IgG,又はIgM)重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えるタンパク質を提供し、当該結合タンパク質は第1免疫グロブリン類とは異なる第2の免疫グロブリン類の対応受容体を1つ以上結合できるように、当該第1の免疫グロブリン類の重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかの一次アミノ酸配列が改造されている(即ち、アミノ酸の置き換え及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれか)。そのような改造は、例えば、1つ以上のループを持つ第1の免疫グロブリンドメインの1つ以上の、ループ、アミノ酸及びペプチド部分の少なくともいずれかを、第2の免疫グロブリンドメインのループ、アミノ酸及びペプチド部分の少なくともいずれかで、置き換え及び再設計の少なくともいずれかを行ったものを含み、当該第2の免疫グロブリンドメインは第2の免疫グロブリンドメイン特異的Fc受容体との結合にかかわる結合配列の少なくとも一部を形成する1つ以上のアミノ酸を含む。本発明のこれらの特徴による結合タンパク質は、FcαRに特異的に結合することができるだけではなく、更にFcγRI,FcγRII及びFcγRIIIの少なくともいずれかに特異的に結合することができる。
ここに説明される発明はIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該結合タンパク質はIgA免疫グロブリン特異的受容体FcαR(CD89)を含む1つ以上の非IgG免疫グロブリン特異的受容体に結合するように改造されている。このような結合タンパク質は、例えば、Fcα受容体結合などの非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体結合を可能にするアミノ酸配列を作る改造(例えば、アミノ酸の置き換え及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれか)を一次アミノ酸配列に含むIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える。
そのような特定な実施形態は、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質はIgG免疫グロブリン特異的受容体であるFcαR(CD89)に結合するように改造されている。そのような例示的な結合タンパク質はうな例示的な結合タンパク質は、アミノ酸配列C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qまたはその一部を含むIgGのCH3FGループの代わりに、アミノ酸配列C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Qまたはその一部を含むIgAのCH3FGループ配列を備える。
異なる結合タンパク質の一例は、アミノ酸配列Q−P−E−Nまたはその一部を含むIgGのCH3CDループの代わりに、アミノ酸配列Q−E−L−P−R−Eまたはその一部を含むIgAのCH3CDループを備える。更なる結合タンパク質の一例は、アミノ酸配列C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qまたはその一部を含むIgGのCH3FGループの代わりに、アミノ酸配列C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Qまたはその一部を含むIgAのCH3FGループと、アミノ酸配列Q−P−E−Nまたはその一部を含むIgGのCH3CDループの代わりに、アミノ酸配列Q−E−L−P−R−Eまたはその一部を含むIgAのCH3CDループとを備える。
上記の結合タンパク質の実施形態はいずれも、IgG重鎖のCH3にあるMet(K−D−T−L−M−I−S−R−Tの配列の中にあるCH3アミノ酸配列の第28番目のアミノ酸)をLeuに置き換え、K−D−T−L−LーI−S−R−Tのアミノ酸配列を更に備え得る。代わりに、及び/又は追加的に、上記の結合タンパク質の実施形態はいずれも、IgG重鎖CH3にあるGlu(D−I−A−V−E−W−E−S−Nの配列の中にあるCH3アミノ酸配列の第157番目のアミノ酸)をArgに置き換え、D−I−A−V−R−W−E−S−Nのアミノ酸配列を更に備え得る。
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、次の詳細な説明と図面に明確に説明される。本文で引用される全ての公開文献、特許、及び特許出願は、参考文献として本文に組み込まれる。
上記のように、本発明は1つ以上の免疫グロブリン定常領域の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかは結合タンパク質のFcエフェクター機能を1つ以上変化させるように改造されている。ここに説明されるのは対応受容体に対して変化した結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを得るための改造、及び改造されていない結合タンパク質には存在しない新たな結合特異性(例:改造されていない結合タンパク質が特異的に結合する1つ以上の対応受容体とは異なる1つ以上のFc受容体に対する親和性)をFc領域に与えるための改造の少なくともいずれかがされた免疫グロブリンヒンジFc領域を持つ結合タンパク質である。
具体的に、ここに開示される改造された結合タンパク質は、次のようなものを含む:
(1)免疫グロブリンヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかに1つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質であり、当該免疫グロブリンは1)FcγRI(CD64)、2)FcγRIIa,FcγRIIb、及びFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、及び3)FcγRIIIaとFcγRIIIbを含むFcγRIII(CD16)の3つの少なくともいずれかの1つ以上に対して変化した(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示す。
(2)野生型の免疫グロブリンFc領域のN−結合型グリコシル化部位及びO−結合型グリコシル化部位の少なくともいずれかの近位及び遠位の少なくともいずれかに、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列、及びO−結合型グリコシル化配列の少なくともいずれか(例えば、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)、及び1つ以上のO−結合型グリコシル化配列であるX−P−X−X(少なくとも1つのXはT)、T−X−X−X(少なくとも1つのXはT)、X−X−T−X(少なくとも1つのXはR又はT)及びS−X−X−X(少なくとも1つのXはS)の少なくともいずれか)を備えた結合タンパク質であり、当該結合タンパク質はFcγRIに対して変化された(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを持つ。
(3)1つ以上のIgGのCH2及び/又はCH3領域に1つ以上のアミノ酸の挿入及びアミノ酸の置き換えの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であって、当該1つ以上のアミノ酸の挿入及びアミノ酸の置き換えの少なくともいずれかはIgA免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかの1つ以上のアミノ酸を備え、当該IgA免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかの1つ以上のアミノ酸はIgA免疫グロブリンの対応Fcα受容体に対する特異的な結合にかかわるものであり、当該結合タンパク質は特異的にFcαRに結合することができる。
これより、本発明に関する実施形態を夫々具体的に説明する。
本発明の実施は、他に指示がない限り、免疫学、分子生物学、タンパク質化学などの一般常識を採用する。そのような常識の多くは、発明をより理解するために以下に説明される。そのような技術は既に公開されており、そのような出版物は例えばSambrook, et al., ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual” (2nd Edition,1989)(サンブルーク等著、「分子クローニング:研究所マニュアル」、第2版、1989) “DNA Cloning: A Practical Approach, vol.I & II” (D.Glover, ed.)(「DNAクローニング:実践的なアプローチ」、Vol.I及びII、D.グローバー扁)、 “Oligonucleotide Synthesis” (N.Gait,ed,1984)(「オリゴヌクレオチド合成」N.ゲイット扁、1984)、 ”Nucleic Acid Hybridization” (B.Hames & S. Higgins, eds., 1985)(「核酸ハイブリダイゼーション」、B.ヘイムズ及びS.ヒギンズ扁、1985)、 Perbal, ”A Practical Guide to Molecular Cloning” (1984)(パーバル著「分子クローニングの実践的なガイド」、1984)、 Ausubel et al., “Current Protocols in Molecular Biology” (New York, John Wiley and Sons, 1987)(オースベル等著、「分子生物学におけるの現在のプロトコール」、ニューヨーク、ジョーンワイリ・アンド・サンズ出版、1987)、 Bonifacino et al., ”Current Protocols in Cell Biology” (New York, John Wiley & Sons, 1999)(ボニファチーノ等著、「細胞生物学におけるの現在のプロトコール」、ニューヨーク、ジョーンワイリ・アンド・サンズ出版、1999) Coligan et al, ”Current Protocols in Immunology” (New York, John Wiley & Sons, 1999)(コリガン等著、「免疫学における現在のプロトコール」、ニューヨーク、ジョーンワイリ・アンド・サンズ出版、1999)、 非特許文献1、及び非特許文献2がある。変異型を作る2つの技術はこの分野において周知技術である。例えば、特定の変異は、上記のSambrook et al.,“Protocols in Molecular Biology”に記載の部位特異的突然変異誘発法を用いて行うことができる。所定の場所内のランダム変異は、例えばGulick and Fahl, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,92:8140−8144(1995)(グーリック及びファール著、「米国科学アカデミー紀要」、92:8140−8144(1995))に記載の強制進化(forced evolution)を用いて挿入することができる。
定義
ここに使われる“結合タンパク質”とは、免疫グロブリンの重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えるタンパク質を意味する。“結合タンパク質”は、好ましくは抗体、又はその生物学的又は機能的同等物を含み、更にそれらの一部、断片、前駆体型、派生物、変種、及び遺伝子組み換え型を含み、それらの化学標識化及び放射標識化なども含む。“結合タンパク質”は“免疫グロブリン”、“抗体”、“モノクローナル抗体”、“キメラ抗体”、“ヒト化抗体”、及び、免疫グロブリンヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかの1つ以上のアミノ酸配列が改造された“小モジュラー免疫薬製品”(SMIP)等を非限定的に含む。ある実施形態においては、改造された結合タンパク質は、受容体への結合親和性及び特異性の少なくともいずれかにかかわるヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上の配列の変化が含む。
“免疫グロブリン”及び“抗体”は、抗体の全ての分類と下位分類を広く含み、IgM,IgD、IgG,IgG、IgG、IgG、IgE,IgA、及びIgAを含む。“抗体”は“モノクローナル抗体”を含み、ここで使われる意味では実質的に同質の抗体の集団から得られた抗体を意味する。即ち、当該集団を形成する抗体は同一のものであり、抗体結合特異性、親和性及び活性の少なくともいずれかに実質的な影響は与えないような自然に起こる変異体を含む。“モノクローナル抗体”は非ヒト(non−human)モノクローナル抗体、キメラモノクローナル、ヒト化モノクローナル、及び完全ヒト(fully−human)モノクローナル抗体を含み、更には生物学的断片、抗原結合断片及びそれらの一部の少なくともいずれかを含むが、これに限られない。
ここで意味する“キメラ抗体”とは、非ヒト抗体の可変領域がヒト定常領域に操作可能な形で融合されたモノクローナル抗体である。キメラ抗体は、一般的に完全非ヒトモノクローナル抗体に比べ、軽減した抗原性を示す。
ここで意味する“ヒト化抗体”とは、1つ以上の非ヒト相補性決定領域(Complementarity Determining Region、CDR)、ヒト可変ドメインフレームワーク領域(Framwork region、FR)、及びIgG,IgG、IgG、IgGの重鎖定常ドメインのようなヒト重鎖定常ドメインと、IgLambdaとIgKappaの軽鎖定常ドメインのようなヒト軽鎖定常ドメインとを備えるモノクローナル抗体である。ここで意味する“ヒト化抗体”は、その相補性決定領域(CDR)の残基が、望ましい特異性、親和性及び容量を持つマウス、ラット、又は兎などの人間以外の動物(ドナー抗体)のCDRの残基で置き換えられたヒトモノクローナル抗体(レシピエント抗体)を含む。ある場合は、ヒト抗体の可変領域のフレームワーク残基は、対応する非ヒト抗体の残基で置き換えられる。ヒト化された抗体は更に、レシピエント抗体、挿入したCDR又はフレームワーク配列に存在しない残基を備え得る。非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野において周知技術である。一般的に、ヒト化された抗体は1つ以上の非ヒト抗体由来のアミノ酸残基を含む。抗体のヒト化は、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前に、CDRをヒト支持FRに移植することで得られる。Jones et al., Nature 321:522−525(1986)(ジョンズ等著、「ネイチャー」、321:522−525(1986))及びVerhoeyen et al.,Science239:1534−1536(1988)(ベルホーイェン等著、「サイエンス」239:1534−1536(1988))を参照。
ここで意味する“完全ヒト抗体”とは、ヒト可変領域に加え、ヒトフレームワークと定常領域を備える免疫グロブリンである。そのような抗体は周知の様々な技術を用いて作ることができる。例えば、ヒト抗体の組み換えライブラリをバクテリオファージに提示するファージ提示法が、McCafferty et al., Nature 348:552−554(1990)(マックカフェルティ等著、「ネイチャー」348:552−554(1990))、Hoogenboom and Winter, J.Mol.Biol.227:381(1991)(フーゲンブーム及びウィンター著、「分子生物誌」、227:381(1991))、及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581(1991)(マークス等著、「分子生物誌」、222:581(1991))に記載されている。
或いは、“完全ヒト抗体”とは、遺伝子再構成と免疫グロブリンの組立に必要なヒト免疫グロブリンのレパートリとツールを備えたトランスジェニック動物を用いて作り得る。望ましい特異性を持つ抗原特異的な完全ヒト抗体はハイブリドーマ技術を用いて作り、選ぶことができる。そのようなトランスジェニック動物システムの一例として、Green et al., Nature Genetics :13−21(1994)(グリーン等著、「ネイチャー・ジェネティックス」、:13−21(1994))に記載のXenoMouse(登録商標)種がある。XenoMouse(登録商標)種は、コアの可変領域と定常領域の配列を含むヒト重鎖遺伝子座とカッパ軽鎖遺伝子座に夫々対応する245kbと190kbの生殖系列仕様の断片を含む酵母人工染色体(Yeast artificial chromosome, YACs)を用いて設計されている。YACsを含むヒトIgGは、抗体の再構成及び発現において互換性があり、不活性化マウスIg遺伝子の代わりになり得る。つい最近、メンデーズ(Mendez)等は、ヒト抗体レパートリの約80%を挿入できる百万残基単位(メガベース)の生殖系列仕様のヒト重鎖遺伝子座とカッパ軽鎖遺伝子座のYAC断片をNature Genetics15:146−156(1997)(「ネイチャー・ジェネティックス」、15:146−156(1997))において報告した。本発明による完全ヒト抗体を作るために適したトランスジェニック動物システムは、米国特許第6150584号、第5545807号、第5545806号、第5625126号、第5633425号、第5661016号、更にはJakobavits,Adv. Drug. Deliv. Rev.31:33−42(1998)(ジャコバビーッツ著、「高度な薬物配達のレビュー」、31:33−42(1998))、Marks et al,Bio/Technology 10:779−783(1992)(マークズ等著、「バイオ/テクノロジ」、10:779−783(1992))、Lonberg et al,Nature 368:856−859(1994)(ロンバーグ等著、「ネイチャー」、368:856−859(1994))、Morrison,Nature 368:812−13 (1994)(モリソン著、「ネイチャー」、368:812−13 (1994))、Fishwild et al,Nature Biotechnology 14:845−51 (1996)(フィッシュワイルド等著、「ネイチャー・バイオテクノロジ」、14:845−51 (1996))、Neuberger,Nature Biotechnology 14:826 (1996)(ニューバーガ著、「ネイチャー・バイオテクノロジ」、14:826 (1996))、及びLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol.13:65−93(1995)(ロンバーグ及びフーザー著、「国際免疫学レビュー」、13:65−93(1995))等にも紹介されている。
完全ヒト抗体を作る異なるの方法においては、Ig遺伝子座からの遺伝子断片を含むことによって、外生的なIg遺伝子座を模倣する“ミニ遺伝子座”を用いる。したがって、1つ以上のV遺伝子、1つ以上のD遺伝子、1つ以上のJ遺伝子、1つのmu定常領域、及び第2の定常領域(通常ガンマ定常領域)が1つのコンストラクトを形成し、動物に挿入される。この方法はSurani et al.(Medical Research Council)(スラニ等(医学研究議会))の米国特許第5545807号とLonberg and Kay(GenPharm International, Inc)(ロンバーグ及びケイ(ジェンファームインタナショナル株式会社))の米国特許第5545806号と第5625825号に記載されており、更にはTaylor et al,International Immunology :579−591(1994)(テイラー等著、「国際免疫学」、:579−591(1994))、Chen et al,International Immunology :647−656(1993)(チェン等著、「国際免疫学」、 :647−656(1993))、Tuaillon et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3720−3724 (1993)(テゥアリオン等著、「米国科学アカデミー紀要」、90:3720−3724 (1993))、Tuaillon et al,J.Immunol.154:6453−6465(1995)(テゥアリオン等筆、「免疫学誌」、154:6453−6465(1995))、 Choi et al,Nature Genetics :117−123(1993)(チョイ等著、「ネイチャー・ジェネティックス、:117−123(1993))、Lonberg et al, Nature 368:856−859(1994)(ロンバーグ等著、「ネイチャー」、368:856−859(1994))、及びTaylor et al,Nucleic Acids Res.20:6287−6295(1992)(テイラー等著、「核酸レビュー」、20:6287−6295(1992))にも記載されている。
ヒト抗体は、マウスやラットの可変領域及び定常領域の少なくともいずれかを持つ抗体が抱える問題点を回避することができる。そのようなマウスやラット由来の配列は、抗体の素早いクリアランス、又は抗体に対する患者の免疫反応を引き起こす可能性がある。したがって、完全ヒト抗体を用いることによって継続して抗体を投与する必要がある炎症、自己免疫、癌などの長期的で再発しやすい病気を治療する際に重要な利点になり得る。
ここで意味する“小モジュラー免疫薬製品”(SMIP)とは、モノクローナル抗体及び組み換え抗体より強化された薬物特性をもつ非常にモジュラーである化合物の種類である。小モジュラー免疫薬製品(SMIP)は、例えば抗体の可変領域に基づくターゲット特異的結合ドメインを含む1つのポリペプチドを備え、望ましいエフェクタ細胞種(例えばマクロファージとナチュラルキラー(NK)細胞)を特異的に採用及び補体媒介死の少なくともいずれかを特異的に採用する可変なFC領域も更に備える。ここで意味する“小モジュラー免疫薬製品”又は“SMIP”と名づけられた融合タンパク質(engineered fusion protein)とは、共同所有の米国特開第2003/133939号、第2003/0118592号、及び第2005/0136049と、共同所有の国際特開WO02/056910。WO2005/037989とWO2005/017148に記載されており、これらの文献は参考として組み込まれる。
本発明による結合タンパク質は、エフェクタ機能を変化させるように改造されており、その結果a)1つ以上の対応Fc受容体、及びb)1つ以上の異なるFc受容体、に対して増加又は減少した親和性及び特異性の少なくともいずれかで結合する。結合タンパク質は、検出可能なレベルでターゲット受容体との反応が行われる場合(例えば、ELISA分析などにおいて)、対応又は非対応(non−cognate)受容体に“特異的に結合”することができ、同条件において関連性のないポリペプチドの反応は検出できないレベルに止まる。このような意味での“特異的な結合”とは一般的に、抗体のFc領域とその領域に対して特異的な受容体の間に起こる非共有相互作用を意味する。
“特異的結合”相互作用の強度、即ち、その親和性は、解離定数(K)で表現することができる。Kが小さいほど、より強い親和性を意味する。結合特性はこの分野の周知の技術を用いて計ることができる。そのような方法のひとつは、ターゲット特異的結合タンパク質/Fc受容体複合体の形成率(即ち、結合)を計ることを要し、これらの形成率は複合体の構成要素の濃度、相互作用の親和性、そして結合(ON)と解離(OFF)の両方向に同等の影響を与える幾何学的媒介変数等に依存する。したがって、“ON率定数”(KON)と“OFF率定数”(KOFF)は、濃度や、実際の結合率と解離率を計算することで測定できる。Davies et al.,Annual Rev. Biochem.59:439−473(1990)(デイビーズ等著、「年刊生物化学レビュー」、59:439−473(1990))を参照。ここで“特異的に結合”が意味するのは、少なくとも10−6〜10−9Mの解離定数、より一般的には少なくとも10−7〜10−9Mの解離定数で、結合タンパク質がターゲットFc受容体に結合することを示す。
免疫グロブリン定常領域の構造
本発明の結合タンパク質は、機能できる組合せとして、IgM,IgD,IgG,IgG、IgG、IgG、IgE,IgA、及びIgAの群から選ばれた1つ以上の免疫グロブリン由来の一つ以上のヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかを備える。例示的な結合タンパク質は、IgG,IgG、IgG、IgGから選ばれたIgG免疫グロブリンの1つ以上のヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH2ドメインの少なくともいずれかを備える。ここに具体的に開示されるように、本発明の結合タンパク質は、天然グロブリンのヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上のアミノ酸を挿入、除去、及び置き換えの少なくともいずれかを行い、アミノ酸の配列を変化させている。
免疫グロブリンのヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの配列は次の表1に示されており、これらの配列は、アミノ酸配列が公開されるInternational ImMunoGeneTics Information System(IMGT)の、例えばhttp://imgt.cines.fr/などのホームページから提供されており、ここにおいては配列ID番号1〜27として開示する。
表1
ヒト免疫グロブリンFc領域のヒンジドメイン及びCHドメインの一次アミノ酸配列
免疫グロブリンヒンジ領域ペプチドはIgG,IgA,及びIgD分類の免疫グロブリンに自然発生する。IgG,IgG、IgG及びIgGの主な構造的な違いはヒンジ領域の長さである。免疫グロブリン重鎖において、野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドはCH1とCH2領域の間に位置しており、鎖間ジスルフィド結合にかかわるシステイン残基を含む。
この分野において周知であるように、免疫グロブリンは全般的なアミノ酸配列の多大な多様性を見せるが、免疫グロブリンの一次構造は、特定の領域に限っては高い配列保存率を示す。特にこの配列保存率は、そのスルフヒドリル基を介して他のスルフヒドリル基とのジスルフィド結合を可能にするシステイン残基に関しては著しく高い。したがって、本発明による野生型免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドは、1つ以上の高度に保存されたシステイン残基を持つペプチドを含む。野生型のヒトIgGのヒンジ領域ポリペプチドは、隣接していない3つのシステイン残基を含み、夫々野生型ヒンジ領域の第1システイン、野生型ヒンジ領域の第2システイン、及び野生型ヒンジ領域の第3システインと呼ばれる。この順番はポリペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端への順番である。
免疫グロブリンIgA,IgD,及びIgGのFc領域は1つのCH2そして1つのCH3ドメインを含み、IgEとIgMのFc領域は1つのCH2、1つのCH3そして1つのCH4ドメインを含む。4つののIgG下位分類のFc領域(IgG,IgG、IgG及びIgG)は95%を超える配列同一性を示すが、それらの領域は夫々、FcγR結合領域に対して劇的に異なる特異性を示す(表2を参照)。
表2
IgG免疫グロブリン下位分類間の相対的なヒトFcγ受容体認識特異性
ある実施形態においては、本発明の結合タンパク質は、ADCC、補体依存性細胞毒性CDC及び補体固定の少なくともいずれかを行うことができる。本発明は、1つ以上の対応受容体及び非対応受容体の少なくともいずれかに対する結合タンパク質の結合親和性及び特異性の少なくともいずれかが変化されているにもかかわらず、結合タンパク質が持つADCC、CDC及び補体固定の少なくともいずれかによる以外な利点を提供する。抗体の定常領域ドメインをエンコードする配列の操作はモリソン及びオイ(Morrison and Oi)による米国特許第6218149号を参照。
IgGに基づいた免疫グロブリンのFcγ−受容体結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させるアミノ酸挿入変異
ある特徴によると、本発明は具体的にIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は1つ以上の免疫グロブリン特異的なFc受容体に対する変化された(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかで結合するように改造されている。ここに提供されるタンパク質は、定常領域の1つ以上のアミノ酸配列に1つ以上のアミノ酸が挿入されたものも含む。ある特徴においては、受容体と直接に接触する1つ以上のアミノ酸配列、受容体と直接に接触するアミノ酸配列に隣接した1つ以上のアミノ酸配列、受容体と直接に接触するアミノ酸配列の遠位に位置する1つ以上のアミノ酸配列、又はこれらの様々な組合せに、夫々1つ以上のアミノ酸残基が挿入される。挿入されるアミノ酸残基は、免疫グロブリンの3次元構造に、局部的又は全体的な構造変化をもたらすことができ、対応受容体に対する結合親和性及び結合特異性の少なくともいずれかを変化させる。
ある実施形態においては、当該挿入されたアミノ酸残基は、対応受容体との結合の際直接に接触する結合タンパク質のヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかに既存のアミノ酸配列と同一するアミノ酸配列を含む。そのような実施形態のひとつにおいては、受容体と直接に接触する1つ以上のアミノ酸配列は、受容体に結合する“野生型”のアミノ酸配列に隣接した位置に配置される。ここで意味する“野生型”とは、改造が施される前の結合タンパク質の配列であり、又はそのような結合タンパク質をエンコードするポリヌクレオチドの配列である。
異なる特徴によれば、当該結合タンパク質は、結合タンパク質の定常領域にある野生型の受容体結合配列と同じ鎖の遠位、及び受容体結合配列と異なる鎖の少なくともいずれかに挿入された、野生型の受容体結合配列と同じ受容体結合配列を1つ以上備える。挿入されるアミノ酸の正確な本質とその配列にかかわらず、このような配列の改造はこの分野において日常的に行われるものであり、上記のサンブルーク等による「分子クローニング:研究所マニュアル」などに説明されている。
ここに説明されているのは、具体的にIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該結合タンパク質は、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかを含む1つ以上のIgG免疫グロブリン特異的受容体を含むが、それらに限られない1つ以上の免疫グロブリン特異的Fc受容体に対して変化した(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかで結合するように改造されている。このような結合タンパク質は、当該ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかに存在するFcγ受容体との結合にかかわる一次配列に1つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質を含む。そのような改造は、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかを含む1つ以上の免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合する際に、直接に受容体に接触するアミノ酸の間及び隣の少なくともいずれかに挿入される1つ以上のアミノ酸を含むが、これに限られない。
本発明のこれらの特徴に関する具体的な実施形態は、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインを1つ以上備える結合タンパク質を含む。そのような実施形態のいくつかは、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインにあるヒンジ近位ループ構造であるL−L−G−G−Pに1つ以上のアミノ酸の除去及び1つ以上のアミノ酸の挿入の少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されるのは、次のヒンジ近位ループ構造内に“*”で示される位置に1つのアミノ酸の挿入を1つ備える。したがって、ここに提供されるのは、改造されたヒンジ近位構造であるL−L−*−G−G−P、L−L−G−*−G−P及びL−L−G−G−*−Pを備える結合タンパク質である。更にここに提供されるのは、L−L−*−G−G−P、L−L−G−*−G−P及びL−L−G−G−*−Pのヒンジ近位ループ構造内に“*”で示される位置に2個以上のアミノ酸の挿入を1つ備える。したがって、これらの実施形態においては、“*”は少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19又は20個のアミノ酸の挿入を示す。典型的に、そのように改造されたヒンジ近位ループ構造を持つ結合タンパク質を作るために適切なアミノ酸はAla,Gly,Ile,Leu及びValから選ばれる。
他の類似した実施形態は、IgG、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインを1つ以上備える結合タンパク質を含む。そのような実施形態のいくつかは、IgG、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインにあるBCループ構造であるD−V−S−H−Eに1つ以上のアミノ酸の除去及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されるのは、BCループ構造内に“*”で示された位置に1つのアミノ酸の挿入を1つ備えた結合タンパク質である。したがって、ここに提供されるのは、改造されたBCループ構造であるD−V−*−S−H−EとD−V−S−*−H−Eを備える結合タンパク質である。更にここに提供されるのは、D−V−*−S−H−EとD−V−S−*−H−EのBCループ構造内に“*”で示される位置に2個以上のアミノ酸の挿入を1つ備える結合タンパク質である。したがって、これらの実施形態においては、“*”は少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19又は20個のアミノ酸の挿入を示す。典型的に、そのように改造されたBCループ構造を持つ結合タンパク質を作るために適切なアミノ酸はAla,Gly,Ile,Leu及びValから選ばれる。
更なる類似した実施形態は、IgG及びIgGの少なくともいずれかのCH2ドメインを1つ以上備える結合タンパク質を提供する。このような実施形態のいくつかはCH2ドメインのFCループ構造であるA−L−P−A−P−I内に1つ以上のアミノ酸の除去及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供する。ここに具体的に説明されているのは、FCループ構造内に“*”で示された位置に1つのアミノ酸の挿入を1つ備えた結合タンパク質である。したがって、ここに提供されるのは、改造されたFCループ構造であるA−L−*−P−A−P−I、A−L−P−*−A−P−I及びA−L−P−A−*−P−Iを備える結合タンパク質である。更にここに提供されるのは、A−L−*−P−A−P−I、A−L−P−*−A−P−I及びA−L−P−A−*−P−IのFCループ構造内に“*”で示される位置に2個以上のアミノ酸の挿入を1つ備える結合タンパク質である。したがって、これらの実施形態においては、“*”はの少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19又は20個のアミノ酸の挿入を示す。典型的に、そのように改造されたFCループ構造を持つ結合タンパク質を作るために適切なアミノ酸はAla,Gly,Ile,Leu及びValから選ばれる。
挿入された1つ目の受容体結合配列と挿入された2つ目の受容体結合配列の間、又は挿入された2つ目の受容体結合配列と挿入された3つ目の受容体結合配列の間などに挟れるアミノ酸の数は0個のアミノ酸残基から約2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30、31、32、33、34、35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50又はそれ以上のアミノ酸残基までに及ぶ。挿入された1つ目の受容体結合配列と挿入された2つ目の受容体結合配列の間、又は挿入された2つ目の受容体結合配列と挿入された3つ目の受容体結合配列の間などにアミノ酸が挟れる場合、そのの正確な数は受容体結合親和性を向上させる幅広い数が適用される。2つ以上の受容体結合部位を備える改造された結合タンパク質において、受容体結合配列の間に挟まれるアミノ酸残基の数は同じでも良く、異なっても良い。このようなスペーサ領域のアミノ酸残基は、結合親和性を分析することによって具体的に選んでも良く、ランダムに選んでも良い。
ある例示的な実施形態においては、結合タンパク質の機能、例えばG−SMIP機能は、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIIIa(CD16)の少なくともいずれかに対する結合を増加又は減少させるように変化させ得る。これらの実施形態のある特徴においては、免疫グロブリンのそのような機能変化は、対応するADCCを増加又は減少させるために効果的である。そのような実施形態においては、当該結合タンパク質は、Fcγループに上記のようなアミノ酸を挿入及び除去の少なくともいずれかを行うことによって機能が変化されたG−SMIPである。関連する実施形態においては、当該結合タンパク質は、FcγR及びC1qの少なくともいずれかに接続するループの部位を変更することによって機能が変化されたG−SMIPである。例えば、FcγRとの結合する表面を変化させるため、又はC1qへの結合を減少させるために、アミノ酸の挿入及び除去の少なくともいずれかを行い得る。
結合タンパク質のアミノ酸配列に挿入されるアミノ酸残基は、例えば、免疫グロブリンアミノ酸配列をエンコードするポリヌクレオチドへの挿入変異、又はここに説明される特定の領域におけるランダム変異によって挿入することができる。
FcγRIとの結合、FcγRIIとの結合、FcγRIII及びFcαRIIIとの結合は、下記のような周知の方法を用いて夫々CD64,CD32、CD16,及びCD89との結合を測ることで行うことができる。
IgGに基づいた免疫グロブリンFcγ受容体結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させるグリコシル化配列を含む変異
ここに説明されるように、本発明の結合タンパク質は、特定の実施形態によれば追加的にグリコシル化部位を好ましく備える。当該グリコシル化は、例えば単糖又は多糖のような炭水化物の共有結合を意味する。ポリペプチドのグリコシル化の基質となるアミノ酸配列を挿入することは、関係する分野の範囲内にあり、例えば、典型的なN−(アスパラギン)結合型グリコシル化の配列であるAsn−X−Ser/Thr、又はO−結合型グリコシル化に適切なSer又はThrを含む配列、又はC−結合型マンノシル化される配列、グライピデーション(glypidation)/グリコシルフォスファティディルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol)改造、又はフォスフォグリケーション(phosphoglycation)など全て周知である(例えばSpiro, Glycobiology 12:43R(2002)(スパイロ著、「グリコバイオロジ」、12:43R(2002))ポリペプチド配列を得るために使われる遺伝子工学的又はタンパク質工学的方法を含む。
免疫グロブリンのCH2のDEループにおけるN−結合型グリコシル化はそのCH2ドメインの構造を変化させ、糖質とFcγRとの直接な接触を提供する。免疫グロブリン糖型における改造は、アミノ酸配列YNSTYのようなN−結合型グリコシル化部位を備えるアミノ酸配列を1つ以上挿入することで達成し得る。そのような新たな糖型はFcγR結合特性を持ち得る。そのような実施形態における異なる特徴によれば、CH2のDEループに2番目のN−結合型グリコシル化部位を挿入し得る。例えば、野生型のYNSTYをYNSTYNSTYに変換し得る。そのような免疫グロブリンの改造はFcγR結合を大いに影響し、したがってADCCにも大いに影響する。
N−結合型グリコシル化、特にAsn297におけるN−結合型グリコシル化は、IgG分類の免疫グロブリン対応Fcγ受容体に対する結合に不可欠なものであることが証明されている。したがって、例えばAsn297をAla297に変異させるとFcγRIが認識されなくなる。同様に、Asn297にN−結合型グリコシル化がされていない場合、FcγRI、FcγRII、FcγRIII(更に補体C1q)の認識及び/又は活性化はなくなるが、Protein Aとリウマチ因子の結合は影響されない。N−又はO−結合型グリコシル化配列は周知であり、例えばGooley et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.178:1194−1201(1991)(グーリ等著、「BBRC誌」、178:1194−1201(1991))及びPisano et al.,Glycobiology :429−435(1993)(ピサノ等著、「グリコバイオロジ」、:429−435(1993))等に説明されている。
特定の特徴においては、本発明は、1つ以上のO−結合型グリコシル化部位及び1つ以上のN−結合型グリコシル化部位のいずれかを備える1つ以上の、ヒンジ領域免疫グロブリンループ、及び定常領域免疫グロブリンループの少なくともいずれかにされる1個以上の、アミノ酸の挿入及び1個以上のアミノ酸の除去の少なくともいずれかを含む改造を提供する。
したがって、本発明は、具体的に重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は、当該重鎖のヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上の改造を備えており、当該改造は、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列の挿入及び1つ以上のO−結合型グリコシル化配列の挿入の少なくともいずれかを備え、当該グリコシル化配列は、挿入位置でN−結合型グリコシル化及びO−結合型グリコシル化の少なくともいずれかを行うのに十分であり、その結果1つ以上の免疫グロブリン特異的Fc受容体又は他のターゲットタンパク質に対する当該結合タンパク質の結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させる(即ち、増加又は減少)。このような分類のタンパク質としては、例えば、改造されていない結合タンパク質に存在するグリコシル化にかかわる、領域、ドメイン及びループ構造の少なくともいずれかの、近位及び遠位の少なくともいずれかの位置にある一次アミノ酸配列に改造を備えるタンパク質を含む。
ここに説明されるのはIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該結合タンパク質は当該IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかに1つ以上の改造を備え、当該改造は1つ以上のN−結合型グリコシル化配列の挿入及び1つ以上のO−結合型グリコシル化配列の挿入の少なくともいずれかを備え、当該グリコシル化配列は、挿入位置でN−結合型グリコシル化及びO−結合型グリコシル化の少なくともいずれかを行うのに十分であり、その結果、対応するIgG重鎖の、改造されていない1つ以上のヒンジドメイン、改造されていない1つ以上のCH2ドメイン及び改造されていない1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質に比べ、1つ以上の、免疫グロブリン特異的Fc受容体であるFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかに対する、当該結合タンパク質の結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させる(即ち、増加又は減少)。
本発明のこれらの特徴に関する具体的な実施形態は、IgGの、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかは、IgG、IgG、IgG及びIgGの少なくともいずれかの、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかである。そのような実施形態の幾つかは、対応する天然IgG免疫グロブリンのIgGの、ヒンジドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインの少なくともいずれかにあるN−結合型グリコシル化部位及びO−結合型グリコシル化部位の少なくともいずれかの、近位及び遠位の少なくともいずれかに、1)1つ以上のN−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)(Xは如何なるアミノ酸)と、2)1つ以上のO−グリコシル化配列である、X−P−X−X(少なくとも1つのXはT)、T−X−X−X(少なくとも1つのXはT)、X−X−T−X(少なくとも1つのXはR又はK)及びS−X−X−X(少なくとも1つのXはS)の少なくともいずれかとの、2つグリコシルか配列の少なくともいずれかが挿入される結合タンパク質である。このような実施形態の特定の特徴においては、当該結合タンパク質はFcγRに対する結合親和性及び特異性の少なくともいずれかが変化される(即ち、増加又は減少)。
ここに説明されるのはそのような実施形態であり、当該結合タンパク質は、1つ以上のIgGヒンジドメイン、1つ以上のIgGのCH2ドメイン、及び1つ以上のIgGのCH3ドメインの少なくともいずれかを備えており、当該結合タンパク質は更に、N−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)(Xは如何なるアミノ酸)が1つ以上挿入されている。例えば、本発明は、IgG、IgG、IgG及びIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかにあるDEループに存在する天然のN−S−T配列に隣接した位置に1つ以上のN−X−(S/T)配列が挿入された結合タンパク質を提供する。これらの実施形態の特定な特徴においては、当該結合タンパク質は、変更された(即ち、増加又は減少)FcγRに対する結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示す。
そのような具体的な実施形態においては、当該IgG、IgG、IgG及びIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかにあるDEループに存在するN−結合型グリコシル化配列はN−S−Tのアミノ酸配列を備えており、天然のN−S−T配列に隣接した位置、アミノ末端方向のアミノ酸100個以内の位置、及びカルボキシ末端方向のアミノ酸100個以内の位置の少なくともいずれかに挿入され、その結果、天然アミノ酸配列であるX−N−S−T−Zは(AA−N−S−T−(AA)−N−S−T−(AA)に改造され、AA、AA及びAAは、夫々1から100個のアミノ酸を独立して指す。
そのような具体的な実施形態において、当該IgG、IgG、IgG及びIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかにあるDEループに存在するN−結合型グリコシル化配列はN−S−Tのアミノ酸配列を備え、天然のN−S−T配列に隣接した位置に挿入され、その結果、天然のアミノ酸配列X−N−S−T−Zは、X−N−S−T−Z−N−S−T−Zに改造され、ここのXとZは、独立して、Tyr(Y)及びPhe(F)から選ばれる。
そのような異なる実施形態においては、当該IgG、IgG、IgG及びIgGのCH3ドメインの少なくともいずれかにあるBCループに挿入されたN−結合型グリコシル化配列は、N−S−Tのアミノ酸配列を備えており、天然のN−S−T配列の遠位に挿入され、その結果、天然のアミノ酸配列であるY−P−S−D−I−AはY−P−N−S−T−S−D−I−A及びY−N−S−T−P−S−D−I−Aに改造される。
異なる特徴においては、本発明は具体的に、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えた結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は当該IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかにおいて少なくとも1つ以上の改造を備えており、当該改造は1つ以上のN−結合型グリコシル化配列及び1つ以上のO−グリコシル化配列の少なくともいずれかの挿入を備え、当該グリコシル化配列は、挿入位置でN−結合型グリコシル化及びO−結合型グリコシル化の少なくともいずれかを行うのに十分であり、その結果、対応するIgG重鎖の、改造されていない1つ以上のヒンジドメイン、改造されていない1つ以上のCH2ドメイン及び改造されていない1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質に比べ、1つ以上の、免疫グロブリン特異的Fc受容体であるFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかに対する当該結合タンパク質の結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを変化させる(即ち、増加又は減少)。このような分類のタンパク質としては、例えば、改造されていない結合タンパク質に存在するグリコシル化にかかわる領域、ドメイン及びループ構造の少なくともいずれかの、近位及び遠位の少なくともいずれかの位置にある一次アミノ酸配列に改造を備えるタンパク質を含む。
そのような改造は、例えば、結合した際に、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかを含む1つ以上の免疫グロブリン特異的Fc受容体と接触するアミノ酸の間及びそのようなアミノ酸に隣接した位置にN−結合型グリコシル化のためのYNS配列を含む3個以上のアミノ酸の挿入を含む。
ここで説明される実施形態におけるこのような特徴は、G−SMIPと呼ばれるIgG部類の免疫グロブリンのCH2ドメインにあるDEループ内に、改造を提供する。G−SMIPはN−結合型グリコシル化部位でありFcγRと接触する部位であるYNSTYのアミノ酸配列を1つ以上含む。
対応受容体と他の受容体に対する結合特異性を両方持つ結合タンパク質
更なる特徴において、本発明は第1の免疫グロブリン部類の1つ以上の免疫グロブリンループを、第2の免疫グロブリン部類の1つ以上の第2の免疫グロブリンループで置き換えることによって新たな機能が与えられた結合タンパク質を提供し、当該第2の免疫グロブリンループは、対応する改造されていない結合タンパク質には存在しない新たな結合特異性を与える。
本発明のこれらの特徴による結合タンパク質は、第1の免疫グロブリン分類(即ち、IgA,IgD、IgE,IgG又はIgM)重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインの少なくともいずれかを備え、当該結合タンパク質は第1の免疫グロブリン部類の重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン、及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかの1次アミノ酸配列が改造され(即ち、アミノ酸の置き換え及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれか)、その結果、第1の免疫グロブリン部類とは異なる第2の免疫グロブリン部類に対する1つ以上の対応Fc受容体に結合できる結合タンパク質が生成される。そのような改装は、例えば、第1の免疫グロブリンドメインの1つ以上の、ループ又はそのアミノ酸及びペプチド部分の少なくともいずれかを、第2の免疫グロブリンドメインの1つ以上の、ループ又はそのアミノ酸及びペプチド部分の少なくともいずれかを用いてされた置き換え及びリモデリングの少なくともいずれかを含み、当該第2の免疫グロブリンドメインは、第2免疫グロブリン特異的Fc受容体との結合する配列の少なくとも一部を形成する1つ以上のアミノ酸を備える。本発明のこれらの特徴による結合タンパク質は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIの少なくともいずれかに特異的に結合でき、さらにFcαRに特異的に結合できる。
ここに説明されるのはIgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であり、当該結合タンパク質は、IgA免疫グロブリン特異的受容体であるFcαR(CD89)を非限定的に含む1つ以上の非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合するように改造されている。このような結合タンパク質は、たとえば、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかの1次アミノ酸配列の改造を備える結合タンパク質を含み、その改造は、例えばFcα受容体のような非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合できるアミノ酸配列を生成する。
そのような特定な実施形態においては、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質が提供され、当該結合タンパク質はIgA免疫グロブリン特異的受容体のFcαR(CD89)に結合するように改造されている。そのような例示的な結合タンパク質は、IgGのCH3FGループ及びIgGのCH3CDループの少なくともいずれかに、1つ以上のアミノ酸の置き換えを備える。
例えば、そのような結合タンパク質の一例として、アミノ酸配列C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qを含むIgGのCH3FGループを、アミノ酸配列C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Q又はその一部を含むIgAのCH3FGループで置き換えた改造を備える。
もう1つの例示的な結合タンパク質は、アミノ酸配列Q−P−E−Nを含むIgGのCH3CDループを、アミノ酸配列Q−E−L−P−R−E又はその一部を含むIgAのCH3CDループで置き換えた改造を備える。
更なる例示的な結合タンパク質は、アミノ酸配列C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qを含むIgGのCH3FGループを、アミノ酸配列C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Q又はその一部を含むIgAのCH3FGループで置き換えた改造と、かつ、アミノ酸配列Q−P−E−Nを含むIgGのCH3CDループを、アミノ酸配列Q−E−L−P−R−E又はその一部を含むIgAのCH3CDループで置き換えた改造を、両方備える。
上記の結合タンパク質の実施形態はいずれも、IgG重鎖CH3にあるMet(K−D−T−L−M28−I−S−R−Tの配列の中にあるCH3アミノ酸配列の第28番目のアミノ酸)をLeuに置き換え、K−D−T−L−L28ーI−S−R−Tのアミノ酸配列を更に備え得る。代わりに又は追加的に、上記の結合タンパク質の実施形態はいずれも、IgG重鎖CH3にあるGlu(D−I−A−V−E157−W−E−S−Nの配列の中にあるCH3アミノ酸配列の第157番目のアミノ酸)をArgに置き換え、D−I−A−V−R157−W−E−S−Nのアミノ酸配列を更に備え得る。
ここに説明されるように、特定の実施形態においては、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備えるIgGに基づいた結合タンパク質に、非FcγRとの結合接触部を含むループを挿入し、当該結合タンパク質は1つ以上の、IgA免疫グロブリン特異的Fc受容体であるFcαR(CD89)を非限定的に含む非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合するように改造されている。このような結合タンパク質は、例えばFcα受容体のような非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合できるアミノ酸配列を生成する1つ以上の改造を、IgG重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかに備えた結合タンパク質を含む。そのような改造は、例えば、1つ以上のIgG免疫グロブリンループを、非IgG免疫グロブリンループ及びそのアミノ酸部分の少なくともいずれかで置き換え及びリモデリングの少なくともいずれかを行い、当該非IgG免疫グロブリンループは非IgG免疫グロブリン特異的Fc受容体に結合する配列を備える。
特定の実施形態においては、当該結合タンパク質はG−SMIPであり、当該G−SMIPの機能は変化されており、その結果、当該G−SMIPはCD89のような1つ以上のFcαに結合する。IgGのCH3ドメインにある複数のループは、新たな分子相互作用及び改造された分子相互作用の少なくともいずれかを提供するために、上記のように加工されている。例えば、IgGのヒンジ、CH2及びCH3の少なくともいずれかのアミノ酸は、IgAとFcαRとの結合にかかわる、IgAのヒンジのアミノ酸、CH2のアミノ酸及びCH3のアミノ酸で置き換えられ得る。例えば、上記に結合タンパク質全般に関して述べたように、当該IgGのCH3にあるFCループは、IgAのCH3のFGループとその他のFcαRと接触するアミノ酸で置き換えられ得る。変わりに又は追加的に、当該IgGのCH3にあるCDループは、IgAのCH3のCDループとその他のFcαRと接触するアミノ酸で置き換えられ得る。例示的なG−SMIPは、2H7−018014と指名された、ヒト化された抗体のアミノ末端を備える。例えばFcαRに結合する機能を与えるようなアミノ酸を備えるG−SMIPは、改造されていないG−ベースSMIPの利点をそのまま持っており、その利点とは、例えば長いインビボ半減期、プロテインAによる精製の容易さ及びIgGエフェクター機能の少なくともいずれかである。
更なる実施形態は、当該結合タンパク質の、例えばT細胞表面のタンパク質、骨髄性細胞表面のタンパク質、及び非免疫性細胞タンパク質などの非抗体受容体に対する結合特異性に関する改造を提供する。
変化されたエフェクター昨日を持つ結合タンパク質の生成、発現、そして機能評価の方法
ここに提供されているように、結合タンパク質が一旦設計されると、当該結合タンパク質をエンコードするDNAを含むポリヌクレオチドは、全体又は部分的に、Sinha et al, Nucleic Acids Res.、12:4539−4557(1984)(シンハ等著、「核酸レビュー」、12:4539−4557(1984))に記載のオリゴヌクレオチド合成、又はInnis, Ed.“PCR Protocols”(Academic Press, 1990)(イニス扁、「PCRプロトコール」(アカデミックプレス出版、1990))そしてBetter et al.,J. Biol. Chem.267:16712−16118(1992)(ベター等著、「生物化学誌」、267:16712−16118(1992))に記載のPCRによって作ることができる。このような改造された、又は改造されていない結合タンパク質の配列分析、クローニング、そして発現は、例えばAusubel et al.,Eds.“Current Protocols in Molecular Biology”(John Wiley&Sons,New York, 1989)(オースベル等著、「分子生物学におけるの現在のプロトコール」、ニューヨーク、ジョーンワイリ・アンド・サンズ出版、1987)、そしてRobinson et al.,Hum.Antibod.Hybridomas :84−93(1991)(ロビンソン等著、「ヒト抗体ハイブリドーマズ」、:84−93(1991))などから分かるように、この分野において周知技術である。本発明の結合タンパク質は真核細胞系で発現し(例えば、CHO細胞系)、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製、そして機能分析で評価し得る。
発現は、この分野に周知の一般的な哺乳類発現システムであればどれでも良く、該結合タンパク質をエンコードするDNA断片を、例えばpD18のような哺乳類発現ベクターの中にクローンすることで行い得る。陽性のクローンはQIAGENプラスミドプレパレーションキット(QIAGEN、Valencia,CA)を用いて増幅し得る。これから得られた組み換えプラスミドDNAは、可欠領域を切断する適切な制限エンドヌクリアーゼで線状化し、フェノール抽出で精製、そして組織培養基(例えば、Excell 302,カタログ番号14312‐79P、JRH Bioscience,Lenexa,KS)に再懸濁し得る。トランスフェクションに適合な細胞は、例えば、対数増殖期のCHO DG44細胞などがある。細胞はトランスフェクション毎に集められ、線状化されたDNAはトランスフェクション又はエレクトロポレーションを行うために細胞に加える。例えば、本発明の結合タンパク質は、例えば、CMVプロモータ制御の下に配置された、結合タンパク質をエンコードするcDNAを含むpD18のような選択、増幅可能なプラスミドをCHO細胞にエレクトロポレーションすることで、安定した生成が得られ得る。(全ての細胞系はAmerican Type Culture Collection, Manassas,VAから入手できる)。当該結合タンパク質のcDNAを含む発現カセットは、適合なプロモータ(例えばCMVプロモータ)の下流にサブクローンされ得る。
トランスフェクションされた細胞は、非選択的培養基で一晩回復させ、次に96ウェルの平らな底面を持つプレート(Costar)に、選択剤(例えば、DHFRに対する抵抗力を持つ場合は、100nMのメトトレキサート)を含む適合な培養基(例えばExcell302コンプリート・ミディアム)を用いる連続希釈法で、例えば125細胞/ウェル〜2000細胞/ウェルのような異なる密度で選択的プレーティングを行う。マスターウェルからの培養上清液は連続希釈され、該当する結合タンパク質のリガンドを発現する細胞へ結合するかスクリーニングされる。
結合タンパク質を発現するCHO細胞の上清液を集め、0.2μMフィルタにろ過し、プロテインA−アガロース(IPA300クロースリンク・アガロース)コラム(Repligen, Needham、MA)にろ過する。このコラムはPBSでワッシュされ、コラムに結合したタンパク質はpH3の0.1Mクエン酸塩バッファー液で溶離される。溶離されたタンパク質のフラクションは集められ、1M Tris、pH8.0のバッファー液で中性化され、次にPBSで透析される。精製された結合タンパク質の濃度は280nmでの吸収を用いて測定し得る。
結合タンパク質は、例えばFcγRI、FcγRII、FcγRIII及びFcαRの少なくともいずれかとの結合、又は特定の抗原に対する結合活性、及びHarlow et al., Eds.“Antibodies:A Laboratory Manual,”第14章(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,1988)(ハルブロー等著、「抗体:研究所マニュアル」、第14章、コールド・スプリング・ハーバ、1988)及びMunson et al.,Anal.Biochem.107:220−239(1980)(マンソン等著、「分析生物化学」、107:220−239(1980))に記載の具体的な抗原結合活性、更には周知であるADCC及びCDCなどの、希望される機能に関して分析され得る。ADCC分析法及びCDC分析法、二次インビトロ抗体反応、周知のマーカ抗原システムを用いる様々な抹消血又はリンパ性単核球の部分母集団(subpopulation)のフローイミュノサイトフロロメトリック分析(flow immunocytofluorometric analyses)、免疫組織化学、及び他の該当分析法は、全てRose et al., Eds.“Manual of Clinical Laboratory Immunology”(American Society of Microbiology,Washington,DC,1997)(ローズ等著及び扁、「臨床研究免疫学のマニュアル」、米国微生物学会、ワシントンDC、1997)を参照し、ここに提供する。
結合タンパク質のADCCを引き起こす能力は、適合な如何なる細胞系と末梢血単核細胞(PBMCs)をエフェクター細胞として測定し得る。例えば、CD20特異的結合タンパク質の場合、適合な細胞系はB細胞系のRamos及びBjabを含む。エフェクターとターゲットの比率は、例えば、100:1、50:1、及び10:1等、典型的に様々であり、この比率は、ウェル当りの細胞数を一定に保ちながらPBMCsの数を変えることによって調整する。ターゲット細胞は51Cr(例えばNa 51CrO)でラベルされ、ウェル当り5x10細胞の密度で等分される。10μg/mlの精製された結合タンパク質が様々なPMBCsの希釈液に加えられる。自然放出は、PBMCs及び結合タンパク質を加えずに測り、最大放出は該当するウェルに界面活性剤(1%のNP−40)を加えて測る。インキュベーション後、培養上清液は集められ、ガンマシンチレーション・カウンタ(例えば、Lumaplate;Packard Instruments)で数えられる。総細胞溶解と自然細胞溶解は、ターゲット細胞を夫々0.2%SDSと完全培養基でインキュベートして測定する。細胞溶解の割合は次の関数で計算される:
細胞溶解(%)=(サンプルの放出−自然放出)/(総溶解放出−自然放出)X100
細胞溶解の割合は、Pross et al., J.Clin.Immunol.1:51−63(1981)(プロス等著、「臨床免疫学誌」、1:51−63(1981))に記載の指数フィット関数(exponential fit equation)を用いて得られるLU(溶解単位、Lysis Unit)で表現される。1LUは、20%のターゲット細胞の溶解を得られるエフェクター細胞の数であると定義されている。
CDCも(上記ADCCのように)同様に、PBMCsの存在下で51Crでラベルされたターゲット細胞を用いて行い得る。ラベルされた細胞は一般的に、夫々異なる濃度の結合タンパク質を含む96ウェルのプレートに、1ウェル当り2000細胞の密度でプレートされ、1:100の最終希釈比率のラビット補体(Pei−Freez, Rogers, AK)を加え37℃で1時間インキュベートする。ターゲット細胞が含まれたウェルに正常なドナー(供血者)からのヒト血清を加え37℃でインキュベートする。コントロールとして加熱不活性化した血清を用い、補体特異的細胞溶解のみを測れるようにしても良い。結合タンパク質によるCDCは、補体だけによるターゲット細胞溶解をさし引くことで決定される。
FcR結合は、溶解性のFcIg(例えば、CD64Ig、CD32Ig、CD16Ig、及びCD89Ig)及びそれらのFc受容体を発現する細胞(例えば、CD64、CD32、CD16及びCD89)の少なくともいずれかに対する結合を評価することによって分析及び定量化できる。FcRの関与と活性化は、例えば、白血球(例えばU937細胞)によるスーパーオキシドの生成を介して測り得る。
変化されたエフェクター機能を持つ結合タンパク質の考えられる使用法
本発明の結合タンパク質は、様々な治療への応用に役に立つ。
上記及び下記に説明されるように、特定の実施形態において、本発明は1つ以上のアミノ酸が挿入された免疫グロブリンの、ヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供し、当該免疫グロブリンは、1つ以上のFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかに対して、変化した(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを示す。
この部類の結合タンパク質の考えられる使用法は、例えば、A)少ない数のナチュラルキラー(NK)細胞又は機能の低下したNK細胞を持つ患者、及びB)改良された効能を持つ改造された結合タンパク質を利用することによって良い効果を得られる患者、の少なくともいずれかにおいて、細胞数のターゲットされた減少などを含む。そのような結合タンパク質の考えられる異なる使用法は、細菌性、寄生性及びウイルス性の少なくともいずれかによる感染の治療を含み、その場合1つ以上のFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIの少なくともいずれかに対する結合の増加又は減少は、病原体の中性化又は除去を増加させる。このようなFcγRとの結合活性の変化は、感染病の治療に役に立ち、感染はHIV−1などを非限定的に含む病気における抗体とFcγRとの相互作用によって促進され得る。
代替の実施形態では、野生型の免疫グロブリンFc領域のN−結合型及びO−結合型グリコシル化部位の少なくともいずれかの、近位及び遠位の少なくともいずれかに、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列及びN−結合型グリコシル化配列の少なくともいずれか(例えば、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列であるN−X−(S/T)、及び、1つ以上のO−結合型グリコシル化配列であるX−P−X−X(少なくとも1つのXはT)、T−X−X−X(少なくとも1つのXはT)、X−X−T−X(少なくとも1つのXはR又はT)及びS−X−X−X(少なくとも1つのXはS)、の少なくともいずれか)を備えた結合タンパク質であり、当該結合タンパク質は、C1q、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかに対して変化した結合親和性など、FcγRに対して変化された(即ち、増加又は減少)結合親和性及び特異性の少なくともいずれかを持つ。
特定の実施形態において、この部類の結合タンパク質の考えられる使用法は、当該結合タンパク質の半減期の保存と、それによるクロースリンクの可能性の低下に基づくものである。例えば、本発明は、低下されたクロスリンクを介した細胞内シグナリング(例えばCD3及びCD28シグナリング)を持つ1つ以上の、C1q,FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の少なくともいずれかをターゲットする際に使われ得る。この部類の結合タンパク質の考えられる他の使用法は、細胞を減少させる可能性の低い半減期の保存と、クロスリンクは望ましいが、ターゲット細胞減少は望ましくない場合のクロスリンクの保存を含む。例えばEPO−RのアゴニストであるSMIP。
本発明の更なる実施形態は、IgG免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかに1つ以上のアミノ酸の挿入及び置き換えの少なくともいずれかを備える結合タンパク質を提供しており、当該アミノ酸の挿入及び置き換えのいずれかはIgA免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかの1つ以上のアミノ酸であり、当該IgA免疫グロブリンのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかの1つ以上のアミノ酸は、対応FcαR受容体とIgA免疫グロブリンとの特異的結合にかかわり、当該改造されたタンパク質は特異的にFcαRに結合することができる。
この部類の結合タンパク質の考えられる使用法は、ターゲットされた細胞減少を含み、例えば、1つ以上のIgGのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかと、1つ以上のIgAのCH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかとの組合せを備える結合タンパク質は1つ以上の、CD16,CD32及びCD64の少なくともいずれかに結合でき、かつCD89にも結合できる。そのような結合タンパク質は、ターゲット細胞の除去のために、ナチュラルキラー(NK)細胞/単核白血球エフェクタに加え、多核白血球エフェクタも利用できるようにする。ここに説明される結合タンパク質のそのような結合特異性の変化は、その変化にしたがって、改良された効能と増加した有効性を幅広い患者に与える。
免疫グロブリンのヒンジ領域、CH2領域及びCH3領域の少なくともいずれかに1つ以上のアミノ酸が挿入された結合タンパク質に関する上記の記述のように、IgGの、1つ以上のCH2領域及び1つ以上のCH3領域のいずれかと、IgAの、1つ以上のCH2領域及び1つ以上のCH3領域のいずれかとの組合せに対する結合特異性を持つ結合タンパク質は、細菌性、寄生性及びウイルス性の少なくともいずれかによる感染の治療に役に立ち、FcγR及びFcαRに対する結合の改良は、病原体の中性化又は除去を増加させ得る。FcγR及びFcαRに対する結合の変化は感染病の治療にも役に立ち、感染は例えばHIV−1に関連する病気等、抗体とFcRとの相互作用によって促進され得る。
次の実例は説明として提案されており、本発明を限定するものではない。
実施例
[第1の実施例]
IgG免疫グロブリンのヒンジ及びCH2ドメインの少なくともいずれかに含まれるループの改造は、改善されたFcRγIII結合親和性を与える
IgG部類の抗体はCD16(FcRγIII)に特異的に結合する。例示的なIgG抗体のループドメイン内の変異は、対応Fc受容体であるCD16に対するIgG結合親和性を変化させるために作られた。ターゲットされる部位は、具体的に二つの接点においてCD16分子と接触するIgGのCH2ドメインの4つのループである。Sondermann,P. et al.,Nature 406(6793):267−73(2000)に説明された結晶構造に基づくと、1つの接点は、CH2のアルファ鎖にある、ヒンジループ及びFGループと、CD16との相互作用を含む。もう1つの接点は、CH2のベータ鎖の、ヒンジ領域ループ、BCループ、DEループ(即ち、炭水化物ループ)及びFGループと、CD16分子との相互作用を含む。これらの接点は図1を参照。
(1)ヒンジ領域ループ(2)BCループ、及び(3)FGループの三つの非炭水化物ループにある二つの接点を変化させるために、挿入突然変異を用いた。そのような挿入突然変異のライブラリは、1つ以上のFcRγ受容体との望ましい結合親和性を持つ個別の突然変異を選択するために適している。図2の下向きの矢印は、ここに説明された本発明の特徴による挿入突然変異体を得るためにアミノ酸が挿入される位置を示す。
挿入突然変異のライブラリは、三つのヒンジ領域夫々のNWN配列のためのコーディング領域内にポリヌクレオチド配列を挿入して作成した。1A,1B及び1Cのライブラリはヒンジ領域のループにおいて作られ、2A及び2BはBCループ、そして3A、3B及び3CはFGループにおいて作られた。総96個を含むライブラリは、8つの異なる位置に12の独特な配列を挿入することによって作られた。長い側鎖又は大きい側鎖を持つアミノ酸:フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、イソロイシン(I),メチオニン(M)、バリン(V)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H),グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、リジン(K)、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)。
1A,1B、1C,2A及び2Bの夫々のライブラリのcDNA配列は、6つのオリゴヌクレオチド・プライマ(配列は表3を参照)を用いて、重複PCR延長方法(Overlapping PCR Extension method)で作成された。1Aのライブラリを生成するためのオリゴヌクレオチドは、Lib1A_F1、Lib1A_F2、Lib1A_F3、Lib1A_R1、Lib1A_R2、及びLib1A_R3である。1Bのライブラリを生成するためのオリゴヌクレオチドは上記のものと同じであるが、Lib1A_F2の代わりにLib1B_F2、そしてLib1A_R1の代わりにLib1B_R1を用いた。1Cのライブラリを生成するためのオリゴヌクレオチドは上記のものと同じであるが、Lib1A_F2の代わりにLib1C_F2、そしてLib1A_R1の代わりにLib1C_R1を用いた。2Aのライブラリを生成するためのオリゴヌクレオチドは、Lib1A_F1、Lib2A_F2、Lib2A_F3、Lib2A_R1、Lib2A_R2、及びLib2A_R3である。2Bのライブラリを生成するためのオリゴヌクレオチドは2Aのライブラリに使われるものと同じであるが、Lib2A_F3の代わりにLib2B_F3、そしてLib2A_R2の代わりにLib2B_R2を用いた。
夫々のライブラリ毎に、夫々20nMの濃度の6つの長いオリゴヌクレオチドプライマーと、夫々1μMの濃度の2つの短いオリゴヌクレオチドプライマ(Bcl−Iの制限酵素認識部位を含むフォワードプライマと、Sac−IIの制限酵素認識部位を含むリバースプライマ)を混ぜた。InvitrogenのSupermix Polymerase(Carlsbad,Ca)を用いて、次の条件にしたっがてPCR反応を用意した。
(A)最初に94℃での溶解を1分、(B)94℃で1分、50℃で2分、72℃で3分のサイクルを30回。
表3
1A、1B,1C,2A及び2Bの抗体ライブラリの生成に使用されるオリゴヌクレオチドプライマ
増幅された断片は、InvitrogenのTOPOベクターにライゲーション反応で挿入され、TOP10バクテリア細胞にトランスフォームされた。200個を超えるコロニーを1つに集め、15のクローンの配列分析によってライブラリ夫々の複雑性を測定した。断片は次に、Bcl−IとSac−IIでダイジェストされ、同じくBcl−IとSac−IIでダイジェストされた対CD20・SMIPをエンコードするpD18ベクターにライゲーション反応で挿入された。このベクタは更に、余分なSac−II制限酵素認識部位を1つ除去するように、そして終止コドン及び野生型CH2ドメインを含むバックグラウンドベクターの線状化を可能にするためのユニークな制限酵素認識部位(Not−I)を含むように設計された。
3A,3B,及び3Vのライブラリの遺伝子はStratagene(La Jolla,CA)のQuikchange方法を用いて生成された。NWNのアミノ酸配列(即ち、アスパラギン−トリプトファン−アスパラギン)をエンコードするヌクレオチドを挿入しやすくするために、33の塩基対のセンス及びアンチセンスのオリゴヌクレオチドプライマが設計された。これらのオリゴヌクレオチドの配列は表4に記載されている。3BのライブラリのオリゴヌクレオチドはLib3B−F及びLib3B−Rである。3CのライブラリのオリゴヌクレオチドはLib3C−F及びLib3C−Rである。
表4
3A、3B及び3Cの抗体ライブラリの生成に使用されるオリゴヌクレオチドプライマ
各ライブラリ毎の100μLのPCR反応混合物は、テンプレートDNA(即ち、CD37特異的SMIPをエンコードするpD18ベクター)を20ng、フォワード及びリバース方向のリゴヌクレオチド・プライマをそれぞれ125ng、dNTPを500nM、そしてStratageneのUltra Pfu DNAを2.5ユニット含む。PCR反応には次の条件が用いられた。(A)最初に95℃での溶解を1分、(B)95℃で1分、60℃で1分、68℃で6.5分のサイクルを18回。各PCR反応後、野生型ベクターは、Dpn−1という制限酵素と一緒に2時間インキュベートし、ダイジェストされた。次に、DNA混合物はTOP10バクテリア細胞にトランスフォームされた。1つのライブラリ由来の200個を超えるコロニーを1つに集め、15のクローンの配列分析によってライブラリ夫々の複雑性を測定した。ライブラリはSac−II及びBsr−G1制限酵素でダイジェストされた。ダイジェストされたライブラリは、アンチCD37のフロントエンド、1つ余分のSac−II制限酵素認識部位、終止コドン及び野生型CH2ドメインを含むバックグラウンドベクターの線状化を可能にするためのユニークなNot−I制限酵素認識部位を含むpD18にライゲーション反応で挿入された。
各ライブラリのメンバークローンは96ウェル又は24ウェルのプレートに培養されたCOS細胞において発現された。これらのクロンとCD16との結合は、ヒト(HuIg)またはマウス(MuIg)の免疫グロブリン・テール(tail)を持つビオチニル化されたCD16を用いて標準のELISA方法でテストすることが可能であり、そのようなテストを行う際には、プロテインAでコーティングされたプレートに個々の候補を含む上清を加え、次にCD16 HuIg−BiotinとStreptavidin−HRPを入れる。その後、CD16に対して野生型SMIPより高い特異的親和性を示す分子を選び、ADCC解析やプロテインAとの相互作用による更なる評価を行い得る。
[第2の実施例]
IgG免疫グロブリンのCH3ドメインにあるループの改造は独特な結合特異性を与える
この例は、新たな人工的な認識表面及びそれによる新たな結合特異性を与える、IgGのCH3領域における例示的な改造を開示する。
IgGのCH3領域にあるいくつかのループは、IgA特異的結合相互作用を提供するように設計されている(以下IgG/Aルーパに省略)。次の3つのIgG/Aルーパ・コンストラクトを作成し、COS細胞に発現した。A)IgGのCH3ドメインのアミノ酸を、Fcα−受容体(即ち、CD89)と直接に接触する野生型のIgAのCH3ドメインのアミノ酸とCDループの2個のアミノ酸で置き換たもの、B)IgGのCH3ドメインのアミノ酸を、IgAのFGループのアミノ酸及び他のFcα−受容体と接触するアミノ酸で置き換たもの、そしてC)IgGのCH3ドメインのアミノ酸を、IgAのCDループのアミノ酸及び他のFcα−受容体と接触するアミノ酸で置き換たもの。すべてのケースにおいて、変異IgG・SMIPの産物のフロントエンドはヒト化2H7−108014である。
FcRα受容体の結合部位への結合の特異性及び親和性の少なくともいずれかは、CH3のCDループ及びFCループのアミノ酸を変えることによって改造された。図1はIgGとIgAの、CH2ドメイン及びCH3ドメインの配列アラインメントを示す図である。IgGとIgAの3次構造は非常に似ており、それはバックボーンを重ねたとき、1.7オングストロームだけのずれが生じることから明らかである。
3つの遺伝子は、重複PCR延長方法を用いて作られた。遺伝子ごとに、20nMの4つの長いオリゴヌクレオチドと、1μMの2つの短いオリゴヌクレオチド(短いFと短いR)とを混ぜた。PCR反応は、InvitrogenのSupermix polymeraseを用いて、次の条件で行った。(1)最初に94℃での溶解を1分、(B)94℃で1分、50℃で2分、72℃で3分のサイクルを30回。増幅された断片はBsr−G1とXba−Iでダイジェストされ、野生型CH3ドメインを除去するためにBsr−G1とXba−IでダイジェストされたアンチCD20のSMIPを含むpD18ベクタの中に挿入された。オリゴヌクレオチドの配列は表5に示されている。
表5
IgG免疫グロブリンのCH3ドメインにあるループの改造に使われるオリゴヌクレオチド・プライマ
CH2の先頭部分にあるMIのアミノ酸をLLに置き換えるためにPCR突然変異生成を用いた。この2つのアミノ酸は、IgAのアイソタイプ(isotype)とその対応受容体CD89(FcαR)との結合において、追加的な接触点になる。図2を参照。改造された3つのIgGに基づいたSMIPの夫々の配列は確認され、それらを含むpD18ベクタはCOS細胞にトランスフェクトされ、発現される。Wil2S細胞を染色し、フローサイトメトリー分析を行うことによって、CD20との結合が検査される。
IgA受容体に結合するために突然変異された2H7 SMIP・CH3のCD20染色
上清は先ず、氷の上でWil2S細胞と一緒に30分間インキュベートされた。細胞は次に2回ワッシュされ、1:100に希釈されたPE conjugated anti−human IgGを加えた。細胞は再びワッシュされ、フローサイトメトリーで各サンプルのMFが測定された。改造された3つの免疫グロブリンは夫々、スタンダードカーブに比較し約2〜4μg/mLのレベルで発現された。
これらの分子のIgAに対する結合をテストするために、Wil2S細胞を上清と30分間インキュベートし、次に1%のBSA/PBSを用いて2回ワッシュし、更に5μg/mlのCD89(IgA受容体)ヒトIgのPBSとインキュベートした。細胞は再びワッシュされ、1%BSA/PBSに1:100に希釈されたPE conjugated Protein Aを50μl加え、30分間インキュベートした。その後サンプルを1%BSA/PBSでワッシュし、100mlのワッシュバッファーに再懸濁し、フローサイトメトリを用いて分析した。
改造された3つの免疫グロブリンは夫々、約2〜4μg/mLの濃度で発現され、プロテインA親和性コラムで精製された。その後、CD89HuIgとPE標識プロテインAを用いた一般的なフローサイトメトリでWil2S細胞とCD89に対する特異的な結合を評価した。
[配列の説明]
SEQ ID NO: 1はヒトIgA1ヒンジ領域のアミノ酸配列である(VPSTPPTPSPSTPPTPSPS)。
SEQ ID NO: 2はヒトIgA1のCH2領域のアミノ酸配列である(CCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGVTFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAEPWNHGKTFTCTAAYPESKTPLTATLSKS)。
SEQ ID NO: 3はヒトIgA1のCH3領域のアミノ酸配列である(GNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY)。
SEQ ID NO: 4はひとIgA2ヒンジ領域のアミノ酸配列である(VPPPPP)。
SEQ ID NO: 5はヒトIgA2のCH2領域のアミノ酸配列である(CCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGATFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAQPWNHGETFTCTAAHPELKTPLTANITKS)。
SEQ ID NO: 6はヒトIgA2のCH3領域のアミノ酸配列である(GNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY)。
SEQ ID NO: 7はヒトIgDのヒンジ領域のアミノ酸配列である(ESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNTGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTP)。
SEQ ID NO: 8はヒトIgDのCH2領域のアミノ酸配列である(ECPSHTQPLGVYLLTPAVQDLWLRDKATFTCFVVGSDLKD AHLTWEVAGKVPTGGVEEGLLERHSNGSQSQHSRLTLPRSLWNAGTSVTCTLNHPSLPPQRLMALREP)。
SEQ ID NO: 9はヒトIgDのCH3領域のアミノ酸配列である(AAQAPVKLSLNLLASSDPPEAASWLLCEVSGFSPPNILLMWLEDQREVNTSGFA PARPPPQPRSTTFWAWSVLRVPAPPSPQPATYTCVVSHEDSRTLLNASRSLEVSYVTDHGPMK)。
SEQ ID NO: 10はヒトIgEのCH2領域のアミノ酸配列である(VCSRDFTPPTVKILQSSCDGGGHFPPTIQLLCLVSGYTPGTINITWLEDGQVMDVDLSTASTTQEGELASTQSELTLSQKHWLSDRTYTCQVTYQGHTFEDSTKKCA)。
SEQ ID NO: 11はヒトIgEのCH3領域のアミノ酸配列である(DSNPRGVSAYLSRPSPFDLFIRKSPTITCLVVDLAPSKGTVNLTWSRASGKPVNHSTRKEEKQRNGTLTVTSTLPVGTRDWIEGETYQCRVTHPHLPRALMRSTTKTS)。
SEQ ID NO: 12 はヒトIgEのCH4領域のアミノ酸配列である(GPRAAPEVYAFATPEWPGSRDKRTLACLIQNFMPEDISVQWLHNEVQLPDARHSTTQPRKTKGSGFFVFSRLEVTRAEWEQKDEFICRAVHEAASPSQTVQRAVSVNPGK)。
SEQ ID NO: 13はヒトIgG1のヒンジ領域のアミノ酸配列である(EPKSCDKTTCPPCP)。
SEQ ID NO: 14はヒトIgG1のCH2領域のアミノ酸配列である(APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK)。
SEQ ID NO: 15はヒトIgG1のCH3領域のアミノ酸配列である(GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)。
SEQ ID NO: 16はヒトIgG2のヒンジ領域のアミノ酸配列である(ERKCCVECPPCP).
SEQ ID NO: 17はヒトIgG2のCH2領域のアミノ酸配列である(APPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTK)。
SEQ ID NO: 18はヒトIgG2のCH3領域のアミノ酸配列である(GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)。
SEQ ID NO: 19はヒトIgG3のヒンジ領域のアミノ酸配列である(ELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCP)。
SEQ ID NO: 20はヒトIgG3のCH2領域のアミノ酸配列である(APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTK)。
SEQ ID NO: 21はヒトIgG3のCH3領域のアミノ酸配列である(GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK)。
SEQ ID NO: 22はヒトIgG4のヒンジ領域のアミノ酸配列である(ESKYGPPCPSCP)。
SEQ ID NO: 23はヒトIgG4のCH2領域のアミノ酸配列である(APEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAK)。
SEQ ID NO: 24はヒトIgG4のCH3領域のアミノ酸配列である(GQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK)。
SEQ ID NO: 25はヒトIgMのCH2領域のアミノ酸配列である(VIAELPPKVSVFVPPRDGFFGNPRKSKLICQATGFSPRQIQVSWLREGKQVGSGVTTDQVQAEAKESGPTTYKVTSTLTIKESDWLGQSMFTCRVDHRGLTFQQNASSMCVP)。
SEQ ID NO: 26はヒトIgMのCH3領域のアミノ酸配列である(DQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPK)。
SEQ ID NO: 27はヒトIgMのCH4領域のアミノ酸配列である (GVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEK YVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY)。
SEQ ID NO: 28は、これよりBci−I Forwardと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ttc ttc tga tea gga gcc caa at)。
SEQ ID NO: 29は、これよりSac−II Reverseと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(GCT CCT CCC GCG GCT TTG TCT TGG)。
SEQ ID NO: 30は、これよりLiblA_Flと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ttc ttc tga tea gga gcc caa ate ttc tga caa aac tea cac ate tec ace gtg ccc ag)。
SEQ ID NO: 31は、これよりLiblA_F2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ggg ace gtc agt ctt cct ctt ccc ccc aaa ace caa gga cac cct cat gat etc ccg ga)。
SEQ ID NO: 32は、これよりLiblA_F3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(tgt ggt gga cgt gag cca cga aga ccc tga ggt caa gtt caa ctg gta cgt gga cgg cg)。
SEQ ID NO: 33は、これよりLiblA_Rlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(AGA GGA AGA CTG ACG GTC CAC CNW NCA AGA GTT CAG GTG CTG GGC ACG GTG GAG ATG TGT)。
SEQ ID NO: 34は、これよりLiblA_R2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(CGT GGC TCA CGT CCA CCA CCA CGC ATG TGA CCT CAG GGG TCC GGG AGA TCA TGA GGG TGT)。
SEQ ID NO: 35は、これよりLiblA_R3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(GCT CCT CCC GCG GCT TTG TCT TGG CAT TAT GCA CCT CCA CGC CGT CCA CGT ACC AGT TGA)。
SEQ ID NO: 36は、これよりLiblB_F2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(wgg ace gtc agt ctt cct ctt ccc ccc aaa ace caa gga cac cct cat gat etc ccg ga)。
SEQ ID NO: 37は、これよりLiblB_Rlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(AGA GGA AGA CTG ACG GTC CNW NAC CCA AGA GTT CAG GTG CTG GGC ACG GTG GAG ATG TGT)。
SEQ ID NO: 38は、これよりLiblC_F2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(gnw ncc gtc agt ctt cct ctt ccc ccc aaa ace caa gga cac cct cat gat etc ccg ga)。
SEQ ID NO: 39は、これよりLiblC_Rlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(AGA GGA AGA CTG ACG GNW NTC CAC CCA AGA GTT CAG GTG CTG GGC ACG GTG GAG ATG TGT)。
SEQ ID NO: 40は、これよりLib2A_F2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(gcc gtc agt ctt cct ctt ccc ccc aaa ace caa gga cac cct cat gat etc ccg gac cc)。
SEQ ID NO: 41は、これよりLib2A_F3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(tgt gga cgt gnw nag cca cga aga ccc tga ggt caa gtt caa ctg gta cgt gga egg eg)。
SEQ ID NO: 42は、これよりLib2A_Rlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(GGA AGA GGA AGA CTG ACG GTC CAC CCA AGA GTT CAG GTG CTG GGC ACG GTG GAG ATG TGT)。
SEQ ID NO: 43は、これよりLib2A_R2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(CGT GGC TNW NCA CGT CCA CCA CCA CGC ATG TGA CCT CAG GGG TCC GGG AGA TCA TGA GG)。
SEQ ID NO: 44は、これよりLib2B_F3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(tgt gga cgt gag cnw nca cga aga ccc tga ggt caa gtt caa ctg gta cgt gga egg eg)。
SEQ ID NO: 45は、これよりLib2B_R2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(CGT GNW NGC TCA CGT CCA CCA CCA CGC ATG TGA CCT CAG GGG TCC GGG AGA TCA TGA GGG)。
SEQ ID NO: 46は、これよりlib3A−Fと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(gtc tec aac aaa gcc nwn etc cca gcc ccc ate)。
SEQ ID NO: 47は、これよりlib3A−Rと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(GAT GGG GGC TGG GAG NWN GGC TTT GTT GGA GAC)。
SEQ ID NO: 48は、これよりLib3B−Fと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ccc aac aaa gcc etc nwn cca gcc ccc ate gag)。
SEQ ID NO: 49は、これよりLib3B−Rと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(CTC GAT GGG GGC TGG NWN GAG GGC TTT GTT GGA G)。
SEQ ID NO: 50は、これよりLib3C−Fと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cac aaa gcc etc cca nwn gcc ccc ate gag aaa ac)。
SEQ ID NO: 51は、これよりLib3C−Rと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(GTT TTC TCG ATG GGG GCN WNT GGG AGG GCT TTG TTG)。
SEQ ID NO: 52は、これよりFl_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cag aac cac agg tgt aca ccc tgc ccc cat ccc ggg atg age tga cca aga ace agg)。
SEQ ID NO: 53は、これよりF2_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(age ttc tat cca age gac ate gcc gtg cgt tgg gag age aat ggg cag gag ctg ccg)。
SEQ ID NO: 54は、これよりF3_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ccc cgt get gga etc cga egg etc ctt ctt cct eta cag caa get cac cgt gga caa)。
SEQ ID NO: 55は、これよりF4−_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(get tct cct gca tgg tga tgc atg agg etc tgc cac teg cct tea cgc aga aga gcc)。
SEQ ID NO: 56は、これよりRl_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(tgc ttg gat aga age ctt tga cca ggc agg tea ggc tga cct ggt tct tgg tea get)。
SEQ ID NO: 57は、これよりR2_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cga gtc cag cac ggg agg cgt ggt ctt gta gtt gtt etc egg cag etc ctg ccc att)。
SEQ ID NO: 58は、これよりR3_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(ccc atg cag gag aag acg ttc ccc tgc tgc cac ctg etc ttg tec acg gtg age ttg)。
SEQ ID NO: 59は、これよりR4_verlと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cgc tat aat eta gat cat tta ccc gga gac agg gag agg etc ttc tgc gtg aag g)。
SEQ ID NO: 60は、これよりshort−Fと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cag aac cac agg tgt aca ccc tgc cc)。
SEQ ID NO: 61は、これよりshort−Rと指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cct ata ate tag ate att tac c)。
SEQ ID NO: 62は、これよりF4_ver2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(gtc ttc tec tgc atg gtg ggc cac gag gcc ctg ccg ctg gcc ttc aca cag aag ace a)。
SEQ ID NO: 63は、これよりR4_ver2と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cgc tat aat eta gat cat tta ccc gcc aag egg teg atg gtc ttc tgt gtg aag g)。
SEQ ID NO: 64は、これよりF2_ver3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(agg ctt eta tec aag cga cat cgc cgt teg ctg get gca ggg gtc aca gga get gcc c)。
SEQ ID NO: 65は、これよりR2_ver3と指名するオリゴヌクレオチドプライマのヌクレオチド配列である(cga gtc cag cac ggg agg cgt ggt ctt gta ctt etc gcg ggg cag etc ctg tga ccc)。
IgGとIgAのCH2ドメインの配列アラインメントを示す図である。 野生型のIgGのCH2−CH3領域のアラインメントと、その領域において本発明による結合タンパク質の生成に適した三つの例示的な改造を示す図である。 IgA1,IgA2,IgM,IgG2,IgG3、IgG1,IgG4のCH2及びCH2領域と、対応する免疫グロブリンループのアラインメントを示す図である。(Herr et al., Nature 423:614−520(2003)(ヘール等著、「ネイチャー」423:614−520(2003))より)

Claims (31)

  1. 免疫グロブリン定常領域の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備える結合タンパク質であって、
    前記1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインのいずれかは、1つ以上のアミノ酸の挿入及び除去の少なくともいずれかがなされ、
    前記結合タンパク質は1つ以上の対応Fc受容体に対して変化した結合親和性を示すことを特徴とする結合タンパク質。
  2. 前記結合タンパク質は、抗体、抗体断片及び小モジュラー免疫薬製品(SMIP)の1つであることを特徴とする請求項1に記載の結合タンパク質。
  3. 前記結合タンパク質は、IgG免疫グロブリン重鎖の改造された1つ以上のヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかを備え、
    前記IgG免疫グロブリン重鎖の、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかは、1つ以上のアミノ酸の挿入及び1つ以上のアミノ酸の除去の少なくともいずれかによって改造され、
    前記改造された結合タンパク質は、IgG免疫グロブリン重鎖の改造されていない、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかを備える対応する結合タンパク質に比べて、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)の群から選択された1つのFc受容体に対して高い親和性で結合することを特徴とする請求項1に記載の結合タンパク質。
  4. 前記改造されたIgGドメインは、改造されたIgGのCH2ドメイン、改造されたIgGのCH2ドメイン、改造されたIgGのCH2ドメイン及び改造されたIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の結合タンパク質。
  5. 前記改造されたIgGは、改造されたIgGのCH2ドメイン及び改造されたIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかであり、
    前記改造されたIgGのCH2ドメイン及び改造されたIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかは、ヒンジドメインの近位ループ構造であるL−L−G−G−P内に1つ以上のアミノ酸の除去及び1つ以上のアミノ酸の挿入の少なくともいずれかがなされていることを特徴とする請求項4に記載の結合タンパク質。
  6. 前記結合タンパク質は、前記ヒンジの近位ループ構造であるL−L−G−G−P内に1つ以上のアミノ酸の挿入が1つ以上されていることを特徴とする請求項5に記載の結合タンパク質。
  7. 前記ヒンジの近位ループ構造は、少なくとも1〜20のアミノ酸の挿入を示す“*”の位置に1つ以上のアミノ酸が挿入されて、その結果、前記ヒンジの近位ループ構造はL−L−*−G−G−P、L−L−G−*−G−P、及びL−L−G−G−*−Pの群から選択された配列を備えることを特徴とする請求項6に記載の結合タンパク質。
  8. 前記“*”はAla,Gly,Ile,Leu及びValからなる群から選択された1つ以上のアミノ酸を備えることを特徴とする請求項7に記載の結合タンパク質。
  9. 前記改造されたIgGドメインは、改造されたIgGのCH2ドメイン、改造されたIgGのCH2ドメイン及び改造されたIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかであり、
    前記改造されたIgGのCH2ドメイン、改造されたIgGのCH2ドメイン及び改造されたIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかは、IgG、IgG及びIgGのCH2ドメインの少なくともいずれかのBCループ構造であるD−V−S−H−E内からの1つ以上のアミノ酸の除去、及び、前記D−V−S−H−E内への1つ以上のアミノ酸の挿入がなされていることを特徴とする請求項4に記載の結合タンパク質。
  10. 前記結合タンパク質は、BCループ構造であるD−V−S−H−E内に1つ以上のアミノ酸の挿入が1つ以上されていることを特徴とする請求項9に記載の結合タンパク質。
  11. 前記BCループ構造は、少なくとも1〜20のアミノ酸の挿入を示す“*”の位置に1つ以上のアミノ酸が挿入されており、その結果、D−V−*−S−H−E及びD−V−S−*−H−Eからなる群から選択された配列を備えることを特徴とする請求項10に記載の結合タンパク質。
  12. 前記“*”はAla,Gly,Ile,Leu及びValからなる群から選択された1つ以上のアミノ酸を備えることを特徴とする請求項11に記載の結合タンパク質。
  13. 前記改造されたIgGドメインは、改造されたIgGCH2ドメイン及び改造されたIgGCH2ドメインの少なくともいずれかであり、
    前記改造されたIgGCH2ドメイン及び改造されたIgGCH2ドメインの少なくともいずれかは、FGループ構造であるA−L−P−A−P−I内からの1つ以上のアミノ酸の除去及び前記A−L−P−A−P−I内への1つ以上のアミノ酸の挿入がなされていることを特徴とする請求項4に記載の結合タンパク質。
  14. 前記結合タンパク質は、前記FGループ構造であるA−L−P−A−P−I内に1つ以上のアミノ酸の挿入が1つ以上されていることを特徴とする請求項13に記載の結合タンパク質。
  15. 前記FCループ構造は少なくとも1〜20のアミノ酸の挿入を示す“*”の位置に1つ以上のアミノ酸が挿入され、その結果、前記FCループ構造はA−L−*−P−A−P−I,A−L−P−*−A−P−I及びA−L−P−A−*−P−Iからなる群から選択された1つの配列を備えることを特徴とする請求項14に記載の結合タンパク質。
  16. 前記“*”はAla,Gly,Ile,Leu及びValからなる群から選択された1つ以上のアミノ酸を備えることを特徴とする請求項15に記載の結合タンパク質。
  17. 前記結合タンパク質は、IgG重鎖の改造された、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備え、
    前記IgG重鎖の改造された、1つ以上のヒンジドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかは、天然のグリコシル化配列の、1つ以上の近位及び遠位の少なくともいずれかに、1つ以上のN−結合型グリコシル化配列を挿入することで改造され、前記グリコシル化配列は挿入位置でN−結合型グリコシル化を行うのに十分であり、
    前記改造された結合タンパク質は、改造されていないIgG免疫グロブリン重鎖の、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかを備える対応する結合タンパク質に比べ、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)からなる群から選択された1つのFc受容体に対してより高い親和性で結合することを特徴とする請求項1に記載の結合タンパク質。
  18. 前記ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかは、N−結合型グリコシル配列であるN−X−(S/T)が1つ以上挿入された、IgGのヒンジドメイン、IgGのCH2ドメイン及びIgGのCH3ドメイン、N−結合型グリコシル配列であるN−X−(S/T)が1つ以上挿入された、IgGのヒンジドメイン、IgGのCH2ドメイン及びIgGのCH3ドメイン、N−結合型グリコシル配列であるN−X−(S/T)が1つ以上挿入された、IgGのヒンジドメイン、IgGのCH2ドメイン及びIgGのCH3ドメイン、N−結合型グリコシル配列であるN−X−(S/T)が1つ以上挿入された、IgGのヒンジドメイン、IgGのCH2ドメイン及びIgGのCH3ドメインの少なくともいずれかであり、
    Xは対応する天然IgG免疫グロブリンのヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインの少なくともいずれかのN−結合型グリコシル化部位から近位、及び、前記N−結合型グリコシル化部位から遠位の少なくともいずれかからのいかなるアミノ酸であることを特徴とする請求項17に記載の結合タンパク質。
  19. 前記結合タンパク質は、IgGのCH2ドメインを備え、
    前記CH2ドメインは、前記IgGのCH2ドメインにDEループ内にある天然のN−S−T配列に対して、隣接した位置、アミノ末端方向のアミノ酸100個以下の位置、及びカルボキシ末端方向のアミノ酸100個以下の位置の少なくともいずれかに、1つ以上のN−X−(S/T)が挿入されていることを特徴とする請求項18に記載の結合タンパク質。
  20. 前記IgGのCH2ドメインは天然のN−S−T配列に対して、隣接した位置、アミノ末端方向のアミノ酸100個以下の位置、及びカルボキシ末端方向のアミノ酸100個以下の位置の少なくともいずれかに、前記挿入されたN−S−Tのアミノ酸配列を備え、その結果、前記天然の配列であるX−N−S−T−Zは、(AA)−N−S−T(AA)−N−S−T−(AA)に改造されており、
    AA、AA及びAAは、夫々独立して1〜100のアミノ酸を指すことを特徴とする請求項19に記載の結合タンパク質。
  21. 前記IgGのCH2ドメインは、改造され、前記天然のN−S−T配列から1つのアミノ酸以内の位置にN−S−Tのアミノ酸配列が挿入されており、その結果、前記天然のアミノ酸配列であるX−N−S−T−Zは、X−N−S−T−Z−N−S−T−Zに改造され、
    XとZは、夫々独立してTyr(Y)又はPhe(F)から選択されることを特徴とする請求項20に記載の結合タンパク質。
  22. 前記N−結合型グリコシル化配列は,1つ以上のIgG、1つ以上のIgG、1つ以上のIgG及び1つ以上のIgGの少なくともいずれかのCH2にあるN−結合型グリコシル部位より遠位に位置する、前記1つ以上のIgG、1つ以上のIgG、1つ以上のIgG及び1つ以上のIgGの少なくともいずれかのCH3ドメインの前記BCループ構造に挿入され、その結果、前記天然アミノ酸配列Y−P−S−D−I−Aは、Y−P−N−S−T−D−I−A又はY−N−S−T−P−S−D−I−Aに改造されることを特徴とする請求項18に記載の結合タンパク質。
  23. 前記結合タンパク質は、IgA、IgD,IgE,IgG及びIgMの中から選択された第1の免疫グロブリン分類の重鎖の1つ以上のドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかを備え、
    前記結合タンパク質は、第1の免疫グロブリン分類の重鎖の前記1つ以上のドメイン、1つ以上のCH2ドメイン及び1つ以上のCH3ドメインの少なくともいずれかの一次アミノ酸配列に施された、アミノ酸の置き換え及びアミノ酸の挿入の少なくともいずれかによって改造され、前記第1の免疫グロブリン分類とは異なる第2の免疫グロブリン分類の1つ以上のFc受容体に結合できる結合タンパク質を生成することを特徴とする請求項3に記載の結合タンパク質。
  24. 前記第1の免疫グロブリン分類はIgGであり、
    前記第2の免疫グロブリン分類はIgAであることを特徴とする請求項23に記載の結合タンパク質。
  25. 前記結合タンパク質は(a)FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)からなる群から選択された1つのFc受容体と、(b)FcαR(CD89)とに特異的に結合できることを特徴とする請求項24に記載の結合タンパク質。
  26. 前記結合タンパク質は、前記IgGのCH3にあるFGループ内への1つ以上のアミノ酸の置き換え、及び、前記IgGのCH3にあるCDループ内での1つ以上のアミノ酸の置き換えの少なくともいずれかを備えることを特徴とする請求項25に記載の結合タンパク質。
  27. 前記結合タンパク質は、前記C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgGのCH3にあるFGループを、前記C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Qのアミノ酸配列又は対応する一部を備える前記IgAのCH3にあるFGループで置き換えたことを特徴とする請求項26に記載の結合タンパク質。
  28. 前記結合タンパク質は、前記Q−P−E−Nのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgGのCH3にあるCDループを、前記Q−E−L−P−R−Eのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgAのCH3にあるCDループで置き換えたことを特徴とする請求項27に記載の結合タンパク質。
  29. 前記結合タンパク質は、前記C−S−V−M−H−E−A−L−H−N−H−Y−T−Qのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgGのCH3にあるFGループを、前記C−M−V−G−H−E−A−L−P−L−A−F−T−Qのアミノ酸配列又は対応する一部を備える前記IgAのCH3にあるFGループで置き換え、かつ、前記Q−P−E−Nのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgGのCH3にあるCDループを、前記Q−E−L−P−R−Eのアミノ酸配列又はその一部を備える前記IgAのCH3にあるCDループで置き換えたことを特徴とする請求項28に記載の結合タンパク質。
  30. K−D−T−L−M−I−S−R−Tのアミノ酸配列にあるIgG重鎖のCH3アミノ酸配列の第28個目のアミノ酸であるMetをアミノ酸Leuに置き換え、その結果、前記結合タンパク質が前記K−D−T−L−L−I−S−R−Tのアミノ酸配列を更に備えることを特徴とする請求項27乃至請求項29のいずれかの1項に記載の結合タンパク質。
  31. 前記D−I−A−V−E−W−E−S−Nのアミノ酸配列にある前記IgG重鎖のCH3アミノ酸配列の第157個目のアミノ酸であるGluをアミノ酸Argに置き換え、その結果、前記結合タンパク質が前記D−I−A−V−R−W−E−S−Nのアミノ酸配列を更に備えることを特徴とする請求項27乃至請求項29のいずれかの1項に記載の結合タンパク質。
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