JP2009537453A - 塩化水素および酸素からの塩素製造方法 - Google Patents

塩化水素および酸素からの塩素製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、a)触媒を用いる塩化水素と酸素との熱反応および/または塩化水素と酸素との非熱活性化反応によって、塩素を製造する方法に関し、当該方法において、反応a)の間に生成され、目的生成物である塩素および水、変換されていない塩化水素および酸素、追加的な微量成分(例えば、二酸化炭素および窒素)、ならびに適宜ホスゲンから少なくとも成るガス混合物を、冷却して、塩酸を凝縮し、c)このようにして生成された液体の塩酸を、ガス混合物から分離し、また、当該方法においては、最大酸素濃度が99体積%であるガスを、反応a)の間使用する。工程d)において、塩素は、工程c)で生成されたガス混合物から、酸素、二酸化炭素、窒素および適宜他の微量成分のガス透過によって、分離する。

Description

本発明は、触媒を使用した塩化水素と酸素との熱反応による塩素の調製のための方法から始まり、該方法では、該反応において生成される、その目的生成物である塩素および水と、未反応の塩化水素および酸素と、二酸化炭素および窒素などの別の微量成分と、さらに場合によりホスゲンとから少なくともなるガス混合物が、塩酸を凝縮するために冷却され、得られた塩酸液が該ガス混合物から分離され、該ガス混合物中に残留する水の残渣が、特に濃硫酸で洗浄することにより除去される。本発明は、具体的には、空気または低純度の酸素を用いた前記方法の実施に関する。
塩化水素は、塩素および/またはホスゲンを用いた多数の化学化合物の調製、例えばイソシアネートの調製または芳香族化合物の塩素化において、副生成物として得られる。この塩化水素は、電気分解によるか、または酸素による酸化によりもとの塩素に変換されることがあり、この塩素は化学反応において再び使用することができる。塩化水素(HCl)の塩素(Cl)への酸化は、
4HCl+O→2Cl+2H
に従い、塩化水素と酸素(O)との反応によって起こる。
前記反応はおよそ200〜450℃の温度で触媒の存在下で行われ得る。ディーコン法に好適な触媒は、銅およびルテニウム化合物などの遷移金属化合物、またはさらに金、パラジウムおよびビスマスなどの他の金属の化合物も含有する。かかる触媒は、例えば、発明明細書:DE 1 567 788 A1、EP 251 731 A2、EP936 184A2、EP761 593 A1、EP711 599A1およびDE 102 50 131 A1に記載されている。前記触媒は一般に支持体に塗布される。かかる支持体は、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタンまたは酸化ジルコニウムからなる。
ディーコン法は、流動床反応器または固定床反応器、好ましくは管式反応器内で一般に行われる。公知の方法では、使用する触媒の汚染を避けるために、反応前に塩化水素から不純物は除かれている。
酸素は、O含量>99体積%を有する純ガスの形で一般に使用される。
塩化水素と酸素との反応により、その目的生成物である塩素に加えて、さらに水と、未反応の塩化水素および酸素と、二酸化炭素などのさらなる微量成分とを含有するガス混合物が得られることは、公知の方法全てに共通した特徴である。純粋な塩素を得るためには、反応後に生成ガス混合物を、反応水および塩化水素が濃塩酸の形で凝縮する程度まで冷却する。得られた塩酸は分離され、残留するガス反応混合物からは、硫酸で洗浄することによるか、または他の方法(例えば、ゼオライトを用いて乾燥させること)により残留水が除かれる。そのとき水を含まない反応ガス混合物は、続いて圧縮され、それによって酸素および他のガス成分は気相中に残り、液体塩素から分離され得る。ガス混合物から純粋な塩素を得るためのかかる方法は、例えば、Offenlegungsschriften DE 195 35 716 A1およびDE 102 35 476 A1に記載されている。精製された塩素は、その後、例えばイソシアネートの調製にそれを使用するために運ばれる。
上記塩素調製方法の基本的な不利益は、塩素ガス流を液化するのに必要なエネルギーに関して経費が比較的高いことである。
さらなる不利益は、塩素ガス流の液化によってかなりの量の塩素ガスだけでなく二酸化炭素などの他の微量成分もなお含有する酸素含有気相が残ることである。この塩素−および酸素−含有気相は、塩化水素と酸素との反応に、通常にフィードバックされる。さらに存在する微量成分、特に二酸化炭素および窒素のため、物質回路におけるこれらの微量成分の過度の濃縮を防ぐために、このガス流の一部を排出し、処理しなければならない。しかしながら、それと同時に有益な生成物である塩素と酸素の一部が失われる。加えて、前記方法全体から排出されるガス流は、さらなる排ガス処理に送らなくてはならず、この排ガス処理により前記方法の経済性はさらに悪くなる。公知の方法では、有益な生成物である塩素と酸素の喪失を最小限に抑えるために、酸素供給源として、可能な限り純粋な、O含量が99体積%より高い酸素を使用することが必要であるが、このことも前記方法全体の経済性に悪影響を及ぼす。純粋な酸素は空気の液化により工業的に得られるが、この空気の液化にはエネルギーに関して非常に多くの費用がかかる。
現在までに、塩化水素と低純度の酸素との反応において、塩素含有ガス混合物を乾燥させた後、ガス透過によって塩素含有ガス混合物から塩素が除去されるならば上記不利益を克服することができるということが見いだされた。
その結果、O含量が99体積%未満の酸素含有ガスも使用することができる。
ガス透過という用語は、膜を利用したガス混合物の選択的分離という意味に一般に理解される。ガス透過法は原則として公知であり、例えば、"T. Melin, R. Rautenbach; Membranverfahren-Grundlagen der Modul-und Anlagenauslegung; 2nd Edition; Springer Verlag 2004", Chapter 1, p. 1-17 and Chapter 14, p. 437-493または"Ulmann, Encyclopedia of Industrial Chemistry; Seventh Release 2006; Wiley-VCH Verlag"に記載されている。
本発明は、
a)触媒を使用した塩化水素と酸素との熱反応による
塩素製造方法を提供し、
該方法では、
b)反応a)で生成された、その目的生成物である塩素および水と、未反応の塩化水素および酸素と、二酸化炭素および窒素などの別の微量成分と、場合によりホスゲンとから少なくともなるガス混合物を、塩酸を凝縮するために冷却し、
c)得られた塩酸液を該残留ガス混合物から分離し、
該方法は、
反応a)において酸素含量が99体積%以下の酸素含有ガスを使用し、かつ段階
d)において段階c)から得られた塩素含有ガス混合物から、ガス透過によって、塩素を、酸素、二酸化炭素および窒素から分離し、場合により加えて他の微量成分からも分離することを特徴とする。
前記方法は連続的に行われることが好ましく、これは同様に可能なバッチ式または半バッチ式操作が連続法よりも技術的にやや複雑であるためである。
新規方法の好ましい実施形態では、段階c)からのガス混合物中に残留している水の残渣は、特に濃硫酸で洗浄することによって除去される。乾燥には、その後の装置における塩酸液の生成を避けることができる(腐食しない)という利点があり、その結果、装置部品において高品質の材料の使用を不要にすることができる。
新規方法の別の好ましい実施形態では、残留する塩化水素の全ての残渣が、工程d)における塩素分離の前後に除去される。
塩化水素の除去にも、同様に、塩化水素と微量の水からの塩酸液の生成を避けることができるという利点がある。
残留する塩化水素の全ての残渣の除去は、工程c)による塩酸分離の直後に行われることが特に好ましい。
残留する塩化水素の全ての残渣の除去は、吸収により、特に水で洗浄することにより行われることが極めて特に好ましい。
好ましい方法では、反応a)において酸素含量が99体積%以下の酸素含有ガスが使用される。例えば、いわゆる「PSA法」によって得ることができる酸素含量が一般に93.5体積%である技術的に純粋な酸素を使用することができる。PSA法による酸素の生産は、例えば、Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry-the Ultimate Reference, Release 2006, 7th Editionに記載されている。PSA法によって生産された酸素は、空気の低温分解によって生産された酸素よりも一般に著しく安価である。
新規方法において提供されるガス透過による分離d)は、モレキュラーシーブの原理により機能する膜を用いて行われることが好ましい。用いることが好ましい膜は、炭素および/またはSiOおよび/またはゼオライトをベースとするモレキュラーシーブ膜である。モレキュラーシーブの原理による分離では、微量成分、例えば、主成分である塩素より小さいLennard−Jones直径(すなわち、より小さい動力学的直径)を有する微量成分が分離される。
そのため、段階d)のためのモレキュラーシーブの有効孔径が0.2〜1nm、好ましくは0.3〜0.5nmである方法が好ましい。
塩素含有ガス混合物から酸素と、場合により微量成分とを分離するためにガス透過が用いられるときには、極めて純粋な塩素ガスが得られ、本発明の方法によって行われる塩素ガス精製のエネルギー必要量は従来の方法と比較して著しく減少する。別のガス流として得られたガス混合物は、実質的に酸素と、微量成分としての二酸化炭素と、場合により窒素とを含み、塩素を実質的に含まない。
ここで、塩素を実質的に含まないとは、ガス混合物が、得られたガス混合物に対して1重量%以下の塩素の含量を有することを意味する。好ましい方法では、得られたガス混合物中1000ppm以下の塩素、特に好ましくは100ppm以下の塩素の含量が達成される。
前記ガス透過はいわゆる炭素膜を用いて行われることが好ましい。公知の炭素膜は熱分解ポリマー、例えば群:フェノール樹脂、フルフリルアルコール、セルロース、ポリアクリロニトリルおよびポリイミドの熱分解ポリマーからなる。それらの炭素膜は、例えば、T. Melin, R. Rautenbach; Membranverfahren-Grundlagen der Modul-und Anlagenauslegung; 2nd Edition; Springer Verlag 2004, p. 47-59のChapter 2.4に記載されている。
特に好ましい方法では、工程d)によるガス透過は、流入流と流出流(塩素)との間の圧力差を10hPa(100バール)までとし、特に好ましくは500〜4・10hPa(0.5〜40バール)として行われる。塩素含有ガス流の処理に関する技術の現在の水準による典型的な操作圧力は、7000〜12,000hPa(7〜12バール)の範囲である。
好ましい実施形態では、工程d)によるガス透過は、分離する流入ガス混合物の温度を、400℃まで、特に好ましくは200℃まで、極めて特に好ましくは120℃までとして、行われる。
本発明の方法のさらに好ましい変形例は、空気または酸素富化空気(最大99体積%のO)が、塩化水素と酸素との反応の酸素供給源として使用されること、そして工程d)において得られた、酸素と、場合により、二酸化炭素および窒素などの微量成分を含有するガス混合物が、適宜汚染物質をモニタリングした後に、処理または廃棄され、あるいはその一部が再循環されることを特徴とする。
塩素から分離された段階d)からのガス混合物が処理または廃棄される好ましい方法には、循環プロセスにおいて、システム回路での微量成分(二酸化炭素など)の顕著な濃縮が起こらないという特定の利点がある。この濃縮は、先行技術による方法では、再循環される酸素含有ガス流の相当量の排出、または再循環される酸素含有ガス流の少なくとも一部のより費用のかかる精製を必要とする。かかる排出により酸素および塩素のかなりの損失が起こり、このことは塩化水素と純粋な酸素との反応による、公知の塩素製造方法全体の経済性に悪影響を及ぼす。
公知のHCl酸化プロセスの別の不利益は、塩化水素の酸化において、ほとんどの場合O含量が99体積%より高い純粋な酸素を使用しなくてはならないことである。
上記変形例の場合には、純粋な酸素(>99%)の使用を不要にすることができる。
本発明による方法の別の好ましい変形例は、空気または酸素富化空気(もしくは酸素濃度の高い空気)が、塩化水素と酸素との反応の酸素供給源として使用されることを特徴とする。
空気または酸素富化空気を用いて行われる方法にはさらなる利点がある。一方で、空気の後処理は純粋な酸素の回収よりも技術的には実質的により単純であるため、純粋な酸素の代わりに空気を使用することでかなりのコスト要因が取り除かれる。酸素含量が増加すると反応平衡が塩素生成の方向に移動するため、必要に応じて、躊躇することなく費用のかからない空気または酸素富化空気の量を増加することができる。
さらに、公知のディーコン法およびディーコン触媒(Deacon catalysts)の主要な問題は、触媒表面においてホットスポットが発生することであり、この発生は制御することが非常に難しい。触媒の過熱は触媒に不可逆的な損傷を容易にもたらし、これにより酸化プロセスが妨げられる。かかる局部過熱を避けるために様々な試みがなされてきた(例えば、バルク触媒を希釈することによる)が、納得のいく解決策は提供されていない。例えば、最大80%の不活性ガスを含有する空気混合物は、供給ガス(反応物)の希釈を可能にし、それによって、触媒の局部過熱を避けることによる制御反応の進行も可能にする。この好ましい手段を用いることによって発熱が抑えられ、その結果として触媒の有用寿命が延長される(触媒の容量に基づく活性を低下させることによる)。さらに、不活性ガス成分を使用することによってより良い熱放散(不活性ガスによる熱の吸収)が得られ、このことがホットスポットの防止にさらに役立つ。
空気または酸素富化空気を用いたHCl酸化が全く可能であることはEP−184413−B1、FR−1497776による先行技術から原則として公知であるが、従来公知の後処理工程を含むこれらの公知の方法によって生じるディーコン反応生成物の後処理が複雑で費用がかかるために、この手法は技術的にはうまくいかなかった。加えて、塩素からの残留ガスの分離が不十分であるため、これらの方法はうまくいかなかった。この塩素は高価な有益物質であるが、空気または酸素富化空気の使用が必要とする廃ガス排出量が多いために、塩素の大部分は失われる。不活性ガス含量が、例えば、最大80体積%の場合、公知の方法において、残留塩素を含有する不活性ガスを再循環して、残留塩素を回収することは得策でない(残留ガス中の残留塩素の含量は最大10%に達し得る)(DE−10235476−A1)。従って、精製プロセスガスの少なくとも一部を廃棄する必要があり、それは多量の塩素の損失、残留ガスの高い破壊(または分解)コストを意味し、それゆえに公知方法の経済性はかなり悪くなる。
本発明を用いて得られるプロセスガスの効率的な後処理の結果として、例えば、市販の低純度酸素を用いた、または空気もしくは酸素富化空気を用いたディーコン法を、初めて行うことができる。膜を使用することにより、工程d)において酸素、場合により窒素および別の微量成分から、塩素をうまく分離することができる。本発明による方法により得られた塩素は、その後、当技術分野で公知の方法により、例えば一酸化炭素と反応させて、ホスゲンを得ることができ、このホスゲンはMDAまたはTDAそれぞれからのMDIまたはTDIの調製に使用することができる。
上記で既に記載されているように、ディーコン法として知られている触媒法を用いることが好ましい。この方法では、塩化水素は、酸素により、発熱平衡反応において酸化されて、塩素を与え、水蒸気の生成を伴う。反応温度は通常150〜500℃であり、通常の反応圧力は1〜25バールである。これは平衡反応であるため、触媒がなお十分な活性を示す可能な限りの最低温度で行うことが有利である。さらに、酸素を、塩化水素に対して化学量論的な量より多い量で使用することが有利である。例えば、2倍〜4倍の酸素過剰が通常である。選択性損失の危険性がないため、比較的高い圧力で、それ相応に標準圧力と比較してより長い滞留時間で行うことが経済的に有利であり得る。
ディーコン法に好適な好ましい触媒は、支持体としての二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウム上に、酸化ルテニウム、塩化ルテニウムまたは他のルテニウム化合物を含む。好適な触媒は、例えば、塩化ルテニウムを支持体に塗布し、その後乾燥させるか、または乾燥させ、かつ焼成することにより得ることができる。好適な触媒は、ルテニウム化合物に加えてまたはルテニウム化合物の代わりに、異なる貴金属、例えば金、パラジウム、白金、オスミウム、イリジウム、銀、銅またはレニウムの化合物も含み得る。好適な触媒は、酸化クロム(III)またはビスマス化合物も含み得る。
塩化水素の触媒による酸化(または接触酸化:catalytic oxidation)は、流動床プロセスまたは固定床プロセスとして、好ましくは固定床プロセスとして、断熱的にまたは、好ましくは、等温的にもしくはほぼ等温的に、不連続的に、しかし好ましくは連続的に、特に好ましくは管式反応器内で、不均一触媒において、反応器温度180〜500℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは220〜350℃、そして圧力1〜25バール(1000〜25000hPa)、好ましくは1.2〜20バール、特に好ましくは1.5〜17バール、特に2.0〜15バールで行うことができる。
塩化水素の触媒による酸化が行われる通常の反応装置は、固定床反応器または流動床反応器である。塩化水素の触媒による酸化はまた、好ましくは複数の段階で行うことができる。
等温またはほぼ等温手法では、中間冷却が追加されている、直列接続された、複数の反応器、すなわち、2〜10個、好ましくは2〜6個、特に好ましくは2〜5個、特に2〜3個の反応器を使用することもできる。酸素は、塩化水素とともに第1の反応器の上流に全て加えることができるし、または種々の反応器に分散させることもできる。この個々の反応器の直列接続を1つの装置に組み込むこともできる。
前記方法に好適な装置の別の好ましい実施形態は、触媒活性が流れの方向に増加する構造化バルク触媒を使用することにある。バルク触媒のこのような構造化は、活性物質を触媒支持体に可変含浸させる(もしくは異なるように含浸させる)、または不活性材料で触媒を可変希釈する(もしくは異なるように希釈する)ことにより行うことができる。不活性材料として、例えば二酸化チタン、二酸化ジルコニウムまたはそれらの混合物、酸化アルミニウム、ステアタイト、セラミック、ガラス、グラファイトまたはステンレス鋼のリング、シリンダーまたは球を使用することができる。好ましい、触媒成形体の使用では、不活性材料は、同様の外形寸法を好ましくは有する。
好適な触媒成形体にはいずれの形状の成形体でもあり得るが、好ましい形状は菱形、リング、シリンダー、星形、カートホイールまたは球であり、特に好ましい形状はリング、シリンダーまたは星形押出物である。
好適な不均一触媒は、ドープ処理することもできる、支持体材料上の特にルテニウム化合物または銅化合物であり、適宜ドープ処理されたルテニウム触媒が好ましい。好適な支持体材料の例は、二酸化ケイ素、グラファイト、ルチルまたはアナターゼ構造の二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムまたはそれらの混合物、好ましくは二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムまたはそれらの混合物、特に好ましくはγ−またはδ−酸化アルミニウムまたはそれらの混合物である。
銅またはルテニウム担持触媒は、例えば、支持体材料に、CuClまたはRuClの水溶液、および適宜ドープ処理のための促進剤の水溶液を含浸させることによって、好ましくは塩化物形態で得ることができる。触媒の成形は、支持体材料の含浸後または、好ましくは、前に行うことができる。
触媒のドープ処理に好適な促進剤は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウム、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウム、特に好ましくはカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム、好ましくはマグネシウムおよびカルシウム、特に好ましくはマグネシウム)、希土類金属(例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジム、好ましくはスカンジウム、イットリウム、ランタンおよびセリウム、特に好ましくはランタンおよびセリウム、またはそれらの混合物)である。
成形体は、後に乾燥させることができ、適宜100〜400℃、好ましくは100〜300℃の温度で、例えば、窒素、アルゴンまたは空気雰囲気下で焼成することができる。成形体は、最初100〜150℃で乾燥させ、その後、200〜400℃で焼成することが好ましい。
単一パスでの塩化水素変換は、15〜90%、好ましくは40〜85%、特に好ましくは50〜70%に制限され得ることが好ましい。分離後、未反応の塩化水素の全てまたは一部は、触媒による塩化水素の酸化へとフィードバックすることができる。反応器入口での塩化水素の酸素に対する体積比は、好ましくは1:1〜20:1、特に好ましくは2:1〜8:1、極めて特に好ましくは2:1〜5:1である。
触媒による塩化水素の酸化の反応熱は、高圧蒸気を生成するために、有利に利用することができる。この蒸気は、例えば、ホスゲン化反応器および/または蒸留塔、特にイソシアネート蒸留塔を運転するために利用することができる。
新規方法の工程a)〜d)では、ディーコン法による酸化により生成された塩素が分離される。分離工程は、通常、複数の段階、すなわち、触媒による塩化水素酸化の生成ガス流から未反応塩化水素を分離すること、および適宜これを再循環させること、塩素および酸素を実質的に含有する、得られたガス流を乾燥させること、ならびに乾燥させたガス流から塩素を分離することを含む。
未反応の塩化水素と生成された水蒸気の分離は、冷却により、塩化水素酸化の生成ガス流から塩酸水溶液を凝縮することによって行うことができる。塩化水素は希塩酸または水にも吸収され得る。
さらに好ましい方法は、新規方法で出発材料として使用される塩化水素はイソシアネート製造プロセスの生成物であること、そして、酸素、場合により、微量成分が除かれた精製塩素ガスはイソシアネートの製造において使用され、特に物質回路の一環として再び使用されることを特徴とする。
かかる好ましい組み合わされた方法の特定の利点は、従来の塩素液化を免除することができ、イソシアネート調製プロセスへの再循環用の塩素は、イソシアネート調製プロセスの入口段階とほぼ同じ圧力レベルで利用できることである。
新規な組み合わされた塩素製造方法のイソシアネート生産への一体化に関する好ましい方法の第1の工程では、ホスゲン生産は、塩素と一酸化炭素との反応によって行われる。ホスゲンの合成は十分に周知であり、例えば、Ullmanns Enzyklopadie der industriellen Chemie, 3rd Edition, Volume 13, pages 494-500に記載されている。工業規模では、ホスゲンは、一酸化炭素と塩素との、好ましくは触媒としての活性炭上での反応によって主に生産される。強い発熱気相反応が最低250℃〜600℃以下の温度で一般に管式反応器中で一般に行われる。反応熱は、様々な方法で、例えば、発明明細書 WO 03/072237 A1に記載されているように、例えば液体熱交換剤によって、または例えば、US−A 4764308に開示されているように、蒸気を生成するために反応熱を同時に使用する二次冷却回路を介した蒸気冷却によって放散させることができる。
次のプロセス工程では、第1の工程で生成されたホスゲンから、少なくとも1種の有機アミンまたは2種以上のアミンの混合物との反応により、少なくとも1種のイソシアネートが生成される。この第2のプロセス工程は、以下ではホスゲン化とも称する。この反応は、副生成物としての塩化水素の生成を伴って起こり、この副生成物はイソシアネートとの混合物として生じる。
イソシアネートの合成も同様に先行技術から原則として公知であり、ホスゲンは一般にアミンに対して化学量論的過剰量で使用される。ホスゲン化は、液相中で通常行われ、ホスゲンとアミンは溶媒に溶解させることができる。ホスゲン化に好ましい溶媒は、塩素化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、その対応するクロロトルエンまたはクロロキシレン、クロロエチルベンゼン、モノクロロジフェニル、α−またはβ−ナフチルクロリド、安息香酸エチルエステル、フタル酸ジアルキルエステル、フタル酸ジイソジエチル、トルエンおよびキシレンである。好適な溶媒のさらなる例は先行技術から原則として公知である。例えば発明明細書 WO 96/16028により、先行技術からさらに公知であるように、得られたイソシアネート自体もホスゲンの溶媒としての役割を果たし得る。別の好ましい実施形態では、ホスゲン化、特に好適な芳香族および脂肪族ジアミンのホスゲン化は、気相中で、すなわち、アミンの沸点より高い温度で行われる。気相ホスゲン化は、例えば、EP 570 799 A1に記載されている。他の従来の液相ホスゲン化と比べてのこの方法の利点は、複雑な溶媒とホスゲンの回路を最小限に抑えることによってもたらされるエネルギー節約である。
原則として、好適な有機アミンは、ホスゲンと反応して、1以上のイソシアネート基を有する1以上のイソシアネートを生成することができる、1以上の第一級アミノ基を有する全ての第一級アミンである。アミンは、少なくとも1つ、好ましくは2つ、または場合によって3つ以上の第一級アミノ基を有する。従って、好適な有機第一級アミンは、脂肪族アミン、脂環式アミン、脂肪族−芳香族アミンおよび芳香族アミン、ジアミンおよび/またはポリアミン、例えばアニリン、ハロ置換フェニルアミン(例えば、4−クロロフェニルアミン)、1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノシクロヘキサン、2,4−、2,6−ジアミノトルエンまたはそれらの混合物、4,4’−、2,4’−もしくは2,2’−ジフェニルメタンジアミンまたはそれらの混合物、ならびに前記アミンおよびポリアミンの高分子量異性体、オリゴマーまたはポリマー誘導体である。可能な他のアミンは先行技術から原則として公知である。本発明に好ましいアミンは、ジフェニルメタンジアミン群(モノマー、オリゴマーおよびポリマーアミン)、2,4−、2,6−ジアミノトルエン、イソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンのアミンである。ホスゲン化では、その対応するイソシアネート、すなわち、ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI、モノマー、オリゴマーおよびポリマー誘導体)、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)が得られる。
アミンはホスゲンと一段階または二段階または、場合によって、多段階反応で反応させることができる。連続手順も不連続手順も可能である。
気相中での一段階ホスゲン化を選択する場合には、反応はアミンの沸点より高い温度で、好ましくは平均接触時間0.5〜5秒以内に温度200〜600℃で行われる。
液相中でのホスゲン化は、通常、温度20〜240℃、圧力1〜約50バールで行われる。液相中でのホスゲン化は、一段階でまたは複数の段階で行うことができ、ホスゲンを化学量論的過剰量で使用することができる。アミン溶液およびホスゲン溶液は静的混合エレメントによって混合された後、1以上の反応塔に、例えば下部から上部まで誘導され、そこで混合物が完全に反応して、所望のイソシアネートを生成する。好適な混合エレメントが備わった反応塔に加えて、攪拌装置を有する反応槽も使用することができる。静的混合エレメントだけでなく、特殊な動的混合エレメントも使用することができる。好適な静的および動的混合エレメントは先行技術から原則として公知である。
一般に、工業規模では連続的液相イソシアネート生産は、二段階で行われる。第1の段階では、一般に220℃以下、好ましくは160℃以下の温度で、アミンとホスゲンとから塩化カルバモイルが生成され、そしてアミンと開裂された塩化水素とから塩酸アミンが生成される。この第1の段階は強い発熱反応である。第2の段階では、塩化カルバモイルはイソシアネートと塩化水素とに開裂され、塩酸アミンは塩化カルバモイルへと反応させられる。第2の段階は、少なくとも90℃、好ましくは100〜240℃の温度で一般に行われる。
ホスゲン化後、ホスゲン化において生成したイソシアネートは第3の工程において分離される。これは、最初に、ホスゲン化の反応混合物を、当業者に原則として公知の方法により液体生成物流とガス状生成物流とに分離することによって行われる。液体生成物流は、イソシアネートまたはイソシアネート混合物と、溶媒と、未反応のホスゲンのごく一部とを実質的に含有する。ガス状生成物流は、塩化水素ガスと、化学量論的に過剰なホスゲンと、少量の溶媒と不活性ガス(例えば窒素および一酸化炭素など)とから実質的になる。さらに、液体流は、その後、後処理工程、好ましくは蒸留による処理に送られ、その際、ホスゲンとホスゲン化のための溶媒が連続して分離される。加えて、得られたイソシアネートのさらなる後処理も、適宜行われ、例えば、当業者に公知の方法によって得られたイソシアネート生成物を分画することにより行われる。
ホスゲンと有機アミンとの反応で得られた塩化水素は、熱触媒HCl酸化において有機微量成分を一般に含有する。これらの有機成分には、例えばイソシアネート製造に使用される溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンまたはp−ジクロロベンゼンなどが含まれる。
従って、ホスゲン化において生じた塩化水素は、別のプロセス工程においてガス状生成物流から好ましくは分離される。イソシアネートの分離において得られるガス状生成物流は、ホスゲンをホスゲン化に送り戻すことができ、そして塩化水素を電気化学的酸化に供給することができるように処理される。
塩化水素の分離は、まずガス状生成物流からホスゲンを分離することによって好ましくは行われる。ホスゲンは、例えば直列に配置された1以上のコンデンサーでホスゲンを液化することによって分離することができる。液化は、使用される溶媒に応じて、−15〜−40℃の範囲の温度で好ましくは行われる。この深冷処理によって、さらに、溶媒残渣の一部をガス状生成物流から除去することもできる。
加えてまたはあるいは、ホスゲンはガス流から冷溶媒または溶媒/ホスゲン混合物を用いて一段以上で洗い流すことができる。よって、好適な溶媒は、例えば、例えばホスゲン化に既に使用された溶媒クロロベンゼンおよびo−ジクロロベンゼンである。溶媒または溶媒/ホスゲン混合物の温度は−15〜−46℃の範囲である。
ガス状生成物流から分離されたホスゲンはホスゲン化に再びフィードバックすることができる。ホスゲンおよび溶媒残渣の一部を分離した後に得られる塩化水素は、窒素および一酸化炭素などの不活性ガスに加えて、0.1〜1重量%の溶媒および0.1〜2重量%のホスゲンも含有し得る。
次に、微量の溶媒の含量を減らすために、塩化水素の精製が適宜行われる。これは、例えば、溶媒の物理特性に応じて塩化水素を例えば1以上の冷却トラップに通すといった凍結処理による分離によって、行うことができる。
所望により提供される塩化水素の精製の特に好ましい実施形態では、塩化水素の流れは直列接続された2つの熱交換器を流れ、除去すべき溶媒は、定点に応じて、例えば、−40℃で凍結処理により分離される。熱交換器は交互に運転されることが好ましく、凍結処理によって先に分離された溶媒は、ガス流によって、最初に通過する熱交換器内で融解される。
溶媒はホスゲン溶液の生産に再び使用することができる。冷凍機用の通常の熱交換媒体、例えば、フレオン群の化合物が供給される下流の第2の熱交換器では、ガスは、溶媒が晶出するように、好ましくは溶媒の定点より低い温度まで冷却される。融解および晶出操作が完了すると、ガス流と冷却剤流は、熱交換器の作用を逆にするように切り替えられる。このようにして、塩化水素含有ガス流の溶媒含量は、好ましくは500ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、極めて特に好ましくは20ppm以下まで低下させることができる。
あるいは、例えば、US−A−6 719 957によれば、塩化水素の精製は、好ましくは直列接続された2つの熱交換器内で行うことができる。この場合、塩化水素は、好ましくは5〜20バール、好ましくは10〜15バールの圧力まで圧縮され、圧縮された塩化水素ガスは20〜60℃、好ましくは30〜50℃の温度で第1の熱交換器に供給され、ここで、塩化水素は、第2の熱交換器からの−10〜−30℃の温度の冷塩化水素で冷却される。有機成分はこれにより凝縮し、廃棄または再使用に送ることができる。第1の熱交換器の中に入った塩化水素はここを−20〜0℃の温度で出、第2の熱交換器内で−10〜−30℃の温度まで冷却される。第2の熱交換器内で生成される凝縮物は、別の有機成分と少量の塩化水素からなる。塩化水素の損失を回避するために、第2の熱交換器から出る凝縮物は、分離蒸発ユニットに供給される。この分離蒸発ユニットは、例えば塩化水素が凝縮物から除去され、第2の熱交換器にフィードバックされる蒸留塔であり得る。除去された塩化水素を第1の熱交換器にフィードバックすることも可能である。第2の熱交換器内で冷却され、有機成分が除かれた塩化水素は、−10〜−30℃の温度で第1の熱交換器の中に入る。10〜30℃に加熱された後、有機成分が除かれた塩化水素は第1の熱交換器から出て行く。
同様に好ましい代替法では、有機不純物、例えば溶媒残渣の塩化水素の任意の精製は、活性炭において吸着により行われる。この方法では、例えば、塩化水素は、過剰のホスゲンの除去後、0〜5バール、好ましくは0.2および2バールの圧力差でバルク活性炭上またはバルク活性炭中に通される。この場合、流速および滞留時間は、当業者に公知の方法によって不純物の含量に合わせられる。有機不純物を他の好適な吸着剤上、例えばゼオライト上で吸着させることも可能である。
同様に好ましい別の代替法では、ホスゲン化からの塩化水素を適宜精製するために、塩化水素の蒸留を提供することができる。この蒸留は、ホスゲン化からの塩化水素ガスの凝縮後に行われる。凝縮塩化水素の蒸留では、精製された塩化水素は最初の蒸留画分として除去され、蒸留は、当業者に公知であり、かかる蒸留には一般的である、圧力、温度等の条件で行われる。
上記方法によって分離され、所望により精製された塩化水素は、続いて酸素を用いたHCl酸化に供給することができる。
一段階ガス透過による塩素の酸化の略図を示す。 塩素を分離する工程d)によるガス透過の略図を示す。
本発明の方法を、図面を参照して、例として以下により詳細に説明する:
実施例
図1では、イソシアネート生産への補充およびイソシアネート生産の一部としての前記方法の使用の一例を示す。
イソシアネート調製の第1の段階11において、塩素は一酸化炭素と反応して、ホスゲンを与える。次の段階12において、段階11からのホスゲンはアミン(例えば、トルエンジアミン)とともに使用されて、イソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート、TDI)と塩化水素を与え、このイソシアネートは分離され(段階13)、利用され、HClガスは精製14に付される。精製されたHClガスはHCl酸化プロセス15において空気(すなわち、20.95体積%O)と、例えば触媒を用いるディーコン法によって反応する。
15からの反応混合物は冷却される(工程16)。塩酸水溶液(場合によって得られ、これは水または希塩酸と混合される)は排出される。
そのようにして得られたガス混合物は、塩素と、酸素と、窒素、二酸化炭素などのような微量成分とから少なくともなり、濃硫酸(96%)を用いて乾燥される(工程17)。
ガス透過段階18において、塩素は段階17からのガス混合物から分離される。酸素および微量成分を含有する残りの流れは、段階18からのガス混合物として、汚染物質をモニタリングしながら、周囲(または環境)へ放出される。
ガス透過18から得られた塩素ガスはホスゲン合成11にそのまま再使用される。
窒素成分に関する酸化試験
次の方法により担持触媒を調製した。10gのルチル構造の二酸化チタン(Sachtleben)を250mlの水中に攪拌により懸濁させた。1.2gの塩化ルテニウム(III)水和物(4.65mmol Ru)を25mlの水に溶かした。得られた塩化ルテニウム水溶液を前記支持体懸濁液に加えた。この懸濁液を8.5gの10%水酸化ナトリウム溶液に30分間かけて滴加した後、室温で60分間攪拌した。次いで、この反応混合物を70℃まで加熱し、さらに2時間攪拌した。その後、この固体物質を遠心分離により分離し、4x50mlの水で中性になるまで洗浄した。さらに、この固体物質を真空乾燥キャビネット内で80℃で24時間乾燥させ、空気中300℃で4時間焼成した。
様々な濃度の酸素および窒素の存在下でのHCl酸化の場合における活性研究に、得られた触媒0.5gを使用した。これらの試験は、純粋な酸素、酸素と窒素の混合物(50%O)、および合成空気(20%O+80%N)を用いて行った。活性については表1に記載している。
Figure 2009537453
透過測定のための試験システムの説明:
膜の性能を評価するために、塩素および酸素ならびに他の微量成分を使用した、いわゆる透過試験を用いる。膜は、炭素膜および場合によりポリマー膜に好適な膜試験セル1内で試験する。図2では、試験装置の流れ図を示す。供給ガスは圧縮ガス瓶から供給され、Bronkhorstタイプの流量計によって調整される。膜間差圧は、流入側の過剰な圧力および/または透過側での真空ポンプ4との接続によって調整される。膜を通過する透過量(m/m時)は、透過側の流量計を用いて、膜表面積に標準化することにより決定される。ガス濃度はガスクロマトグラフィー(GC)によるサンプリング2、3によって決定される。

炭素膜を用いた塩素ガス混合物の分離.
炭素膜はM.B. Hagg, Journal of membrane Science 177 (2000) 109-128によれば次の透過性を有する:
Figure 2009537453
次の組成を有するガス流:
窒素 20257kg/時
酸素 3050kg/時
二酸化炭素 270kg/時
塩素 9859kg/時
は、温度30℃および20.5バールで、膜を通過した透過流と、膜上流に残る未透過流(retenate)とに分離される。この結果、透過側に10ミリバールの圧力が加えられる。使用される膜表面は23,588mである。得られる2つの物質の流れは次の組成を有する:
透過物
窒素 11473kg/時
酸素 3007kg/時
二酸化炭素 266kg/時
塩素 17kg/時
未透過物
窒素 8784kg/時
酸素 44kg/時
二酸化炭素 4kg/時
塩素 9842kg/時
酸素含量の高い保持流は前記プロセスにフィードバックすることができる。塩素濃度の高い流れは塩素処理工程に供給される。

Claims (13)

  1. a)触媒を用いた塩化水素と酸素との熱反応、および/または塩化水素と酸素との非熱活性化反応により、
    塩素を製造する方法であって、
    b)目的生成物である塩素および水、未反応の塩化水素および酸素、ならびに炭素および窒素のような別の微量成分、ならびに適宜ホスゲンから少なくとも成る、反応a)で形成されたガス混合物を、塩酸を凝縮するために冷却すること、
    c)得られる液体塩酸をガス混合物から分離すること
    を含む方法であって、
    反応a)において、酸素濃度が99体積%以下である酸素含有ガスを使用し、段階
    d)において、段階c)で得られた塩素含有ガス混合物から、塩素を、酸素、二酸化炭素および窒素、ならびに適宜追加的に微量成分から、ガス透過によって分離すること
    を特徴とする、方法。
  2. 段階c)からのガス混合物に残っている水の残渣を、特に濃硫酸で洗浄することにより、取り除くことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 残存する塩化水素のいずれの残渣をも、工程d)における塩素分離の前または後に、取り除くことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程c)の塩酸の分離の直後に、残存する塩化水素のすべての残渣を除去することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 残存する塩化水素のすべての残渣を、吸収によって、特に水を用いた洗浄によって、実施することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
  6. 反応a)において、酸素濃度が99体積%以下である酸素含有ガスを用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程d)のガス透過を、モレキュラーシーブ原理に従って実施することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. モレキュラーシーブの有効孔径が、0.2〜1nmであり、好ましくは0.3〜0.5nmであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 段階d)のガス透過を、炭素膜、二酸化珪素膜(SiO)またはゼオライト膜を用いて行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ガス透過を、10hPa(100バール)までの圧力差、好ましくは500〜4・10hPa(0.5〜40バール)の圧力差にて、実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程d)のガス透過を、分離される流入ガス混合物の温度を400℃までとし、好ましくは200℃までとし、特に好ましくは120℃までとして、実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 空気または酸素富化空気を、塩化水素と酸素との反応の酸素供給源として用い、工程d)で得られる、酸素、ならびに適宜、二酸化炭素および窒素のような微量成分を含むガス混合物を、適宜汚染物質をモニタリングした後、処理または廃棄することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 出発物質として使用される塩化水素がイソシアネート製造プロセスの生成物であり、酸素および適宜微量成分が除去された精製塩素ガスを、イソシアネートの製造において使用し、特に、物質循環の一部とし再度利用することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
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