JP2009535519A - 中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲット及び中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットを成形する方法 - Google Patents

中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲット及び中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットを成形する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットを成形する方法を含む。金属材料を、処理して約30ミクロン以下の平均粒径を生成させ、次いで、深絞りする。本発明は、Cu、Ti及びTaから選択される少なくとも1種の元素を含む材料を含む三次元スパッタリングターゲットを含む。ターゲットは、ターゲット全体にわたって約0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径及び15%(1−σ)以下の粒径標準偏差を有する。本発明は、0.2ミクロンから150ミクロン未満の平均粒径及び15%(1−σ)以下の粒径標準偏差を有する、Alを含む三次元ターゲットを含む。

Description

技術分野
[0001]
本発明は、例えば中空カソードマグネトロンターゲットのような三次元物理気相堆積(PVD)ターゲット、及び三次元PVDを成形する方法に関する。
発明の背景
[0002]
物理気相堆積(PVD)は、例えば半導体の製作のようなプロセスで材料の薄層を形成するために通常使用される。PVDは、スパッタリング法を含む。例示的なPVD法では、カソードターゲットは、高密度粒子のビームに暴露される。高強度粒子がターゲットの表面に衝突するとき、それらはターゲット表面から材料を強制的に放出させる。次いで、放出された材料を半導体基板上へと堆積させて、基板全体に前記材料の薄膜を形成することができる。
[0003]
半導体基板表面全体にわたって均一な厚さを得ようとする場合、特に、基板表面が様々な位相幾何学的特徴及び/又は複雑な幾何学的な特徴を含む場合には、PVDプロセス中に問題が生じる。ターゲット形状によって前記の問題点に対処しようとする試みが成されて来た。而して、多数のターゲット形状が現在商業的に製造されている。例示的な形状は、図1〜4に概略記載してある。図1及び図2には、それぞれ、平坦なターゲット構造16の等角図及び断面側面図が図示してある。図3及び図4には、それぞれ、例示的な三次元ターゲット構造の等角図及び断面側面図が図示してある。
[0004]
図2及び図4の断面側面図のそれぞれには水平寸法「x」及び垂直寸法「y」が示してある。x対yの比率は、ターゲットがいわゆる三次元のターゲット又は二次元のターゲットであろうとなかろうと決定又は規定することができる。詳しくは、図示してあるターゲットのそれぞれは、約13〜約22インチの水平寸法xを含む。図2に図示してある平坦なターゲットは、典型的には、約1インチ以下の水平寸法を含む。図4に図示してある三次元寸法ターゲットは、典型的には、約2インチ〜約10インチの垂直寸法を含む。記載してある本明細書の開示及びクレームを説明するために、ターゲットが図2の単純な平面ターゲットに比べてより複雑な形状を有する場合、ターゲットは三次元ターゲットであると考えられ、そして、特定の面では、三次元ターゲットは、垂直寸法y対水平寸法xの比率が0.15以上であるターゲットであることができる。本発明の特定の面では、三次元ターゲットでは、垂直寸法yの水平寸法xに対する比率は0.5以上であることができる。垂直寸法yの水平寸法xに対する比率が0.15未満である場合、ターゲットは二次元ターゲットであると考えられる。
[0005]
図4に記載してある例示的なターゲットは、記載してある形状と同様な形状を有するモノリシックなターゲットを作製し難いことがあるという点で、複雑な三次元形状を含むと考えることができる。例示的な三次元ターゲットは、一対の対向端部13及び15を有するカップ11を含む形状特性を有する。端部15は開口していて、端部13は閉じている。カップ11は、その中で延在している中空19を有する。更に、カップ11は、中空19の周囲を画定している内部(又は、外部)表面21を有し、そして外面23は内面とは対向関係にある。外面23は、カップ11、閉成端13、そして半径25の周囲に延在している。ターゲット12は、側面27を有する。説明のために、用語「側壁」は、内面と外面とによって画定される内面21及び外面23によって結合された垂直部分27を指すために使用される。ベース部分という用語は、半径25の間に延在していて且つ内面21と外面23によって結合されている水平(図示してある)部分24を指すために使用することができる。ベース及び側壁の接合部は鋭い角を有するのではなく、その三次元ターゲット構成は、典型的には、傾斜しているか、角をなしているか、又は湾曲していて且つ水平ベースと垂直側壁との間に延在している半径部分25を有することができる。側壁27は、縦方向に半径25から端部15まで垂直に延在している。
[0006]
図4に記載してあるターゲット12は、端部15近傍の側壁27の周囲から外向きに横に延在しているフランジ29を更に含む。別の構成では、フランジ15は、ターゲット構造には存在していないことができる(図示せず)。
[0007]
図4に記載してある例示的なターゲット12は、中空カソードマグネトロン(HCM)スパッタリングシステムで使用することができる。而して、ターゲット12は、中空カソードマグネトロン(HCM)ターゲットと呼ぶことができる。二次元又は平面のターゲットを使用することとは対照的に、物理気相堆積法において、HCMターゲットのような三次元ターゲットを使用することの利点としては、堆積の均一性を挙げることができる。しかしながら、従来の三次元ターゲットを更に圧縮して、半導体製造目的のために、増大する均一性要求を満たしている。半導体ウエハの所定の表面積上における半導体デバイスの密度が増加するにつれて、膜の厚さ及び均一性の精度は益々重要である。更に、従来の三次元ターゲットを含む従来のターゲットは、厚さと品質の膜均一性を維持することができる領域にしばしば限定されるので、大型半導体ウエハ(例えば300mmウエハ)のための均一性要求条件は満たされない。而して、より大きい表面積全体にわたって改良された堆積の均一性を可能にする別の三次元ターゲットを開発することが望ましいと考えられる。
発明の概要
[0008]
一つの面では、本発明は、中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットを形成する方法を含む。金属材料を処理して約20ミクロン以下の平均粒径を生成させる。次いで、その材料を深絞りする。
[0009]
一つの方法では、本発明は、Cu、Ti及びTaから選択される少なくとも1種の元素を含む金属材料を含む三次元スパッタリングターゲットを含む。ターゲットは、ターゲット全体にわたって約0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径を有する。ターゲットは、ターゲット全体にわたって15%(1−σ)以下の粒径標準偏差を有する。
[0010]
一つの面では、本発明は、150ミクロン未満の平均粒径とターゲット全体にわたって15%(1−σ)以下の粒径標準偏差とを有する三次元のアルミニウム又はドープされたアルミニウムのターゲットを含む。あるいは、三次元ターゲットは、アルミ合金を含むことができ、そして、0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径とターゲット全体にわたって15%(1−σ)以下の粒径標準偏差とを有することができる。
図面の簡単な説明
[0011]
本発明の好ましい実施態様を、以下の添付の図面を参照しつつ以下で説明する。
[0012]
図1は、従来技術の平坦なスパッタリングターゲットの等角図である。
[0013]
図2は、スパッタリングターゲットの断面側面図である。
[0014]
図3は、例示的な中空カソードスパッタリングターゲットの等角図である。
[0015]
図4は、図3のスパッタリングターゲットの断面側面図である。
[0016]
図5は、物理気相堆積システムの概略断面図であって、基板近傍の物理気相堆積ターゲット構造を示している。
[0017]
図6は、側方押出装置で処理されている材料の概略断面図である。
[0018]
図7は、材料分析目的のためのターゲット領域を図示している深絞りターゲットの概略断面側面図である。
[0019]
図8は、深絞り前に、側方押出銅材料を使用して成形された深絞りターゲットの微細構造を400倍に拡大した像である。前記材料を側方押出(equal channel angular extrusion)で処理し(ルートDを6回通す)、そして圧延によって70%減少させ、次いで、235℃で1時間アニールした。顕微鏡写真は、深絞りターゲットの上部(ベース)からとられたサンプルを示している。
[0020]
図9は、図8に示してある深絞りターゲットの側面の平面部分の微細構造(400倍に拡大)を示している。
[0021]
図10は、225℃で1時間アニールした後の深絞りターゲット上部の断面の400倍拡大像を示している。
[0022]
図11は、225℃で1時間アニールした後の深絞りターゲットの側面からとられた断面の400倍拡大像を示している。
[0023]
図12には、2.0〜2.5ppmのAgを含む深絞り高純度銅材料の粒径に関するアニールの効果を例示しているグラフが示してある。
[0024]
図13は、300℃で1時間アニールした後の深絞りターゲットの側壁の平面部分の200倍拡大像を示している。深絞り前の材料の平均粒径は0.5ミクロンであった。
[0025]
図14は、300℃で1時間アニールした後の深絞りターゲットの側壁の平面部分を示している(200倍拡大像)深絞り前の材料の平均粒径は10ミクロンであった。
[0026]
図15は、本発明にしたがって成形された6N銅深絞りターゲットに関して測定された粒径の均一性を示している。
[0027]
図16は、深絞りアルミニウム合金構造からとられた断面の光顕微鏡写真が示してある。
好ましい実施態様の詳細な説明
[0028]
一般的に、本発明は、従来のHCMターゲットに比べて改良された膜均一性を有する膜を製造することができる中空カソードマグネトロン(HCM)ターゲットのような三次元ターゲットの製造及び使用に関する。特に、本発明のHCMターゲットは、微細な粒径、粒径の均一性及び粒径の安定性を有するように製造される。分かり易いので、本発明をHCMターゲットに関して説明する。しかしながら、説明される方法論、材料及び構造は、上記した別の三次元ターゲット構成に等しく適用できることは言うまでもない。
[0029]
図5を参照されたい。本発明にしたがってターゲットであることができる例示的なHCMターゲット12を使用している物理気相堆積法を概略図示している例示的HCMシステム40が示してある。支持体40は、HCM物理気相堆積ターゲット12(スパッタリングターゲットとも呼ぶ)近傍に位置している。支持体40は、ホルダー38上に配置することができ、また、任意に一方に偏らせることができる。
[0030]
スパッタリングプロセスの間、支持体40を、スパッタリング装置内に取り付けられるターゲット12の中空部分19の反対側に規定された距離で典型的に配置する(図示せず)。スパッタリングプロセスの間、高密度プラズマを使用して、中空内部19内でターゲット材をスパッタし且つイオン化する。HCMシステムでは、磁場を使用して、図5のライン39によって示してあるように、支持体40の表面に関して実質的に直角にイオンを指向する。
放出されたイオンは堆積して支持体40の表面上に薄い膜又は層42を成形する。
[0031]
HCMスパッタリングシステムで使用される超高密度プラズマ(典型的には少なくとも1013イオン/cm)の故に、スパッタリングターゲット材の粒径が膜の均一性に実質的に影響を及ぼす可能性は前以て予測されなかった。而して、大きな粒径を有する従来のHCMターゲットが典型的に製造される。銅材料のためには、前記粒径は、典型的にはおよそ50ミクロン以上である。別の金属材料のHCMターゲットの従来の製造でも、処理される特定の材料のために比較的大きな粒子となる。更に、従来のHCMターゲット製造の方法論は、ターゲット表面全体、ターゲット領域全体、又はターゲット全体にわたる均一な粒径に特に関心を向けていないか又はそのような粒径を達成しない。
[0032]
特定の場合では、また、特定の材料のために、従来のHCMターゲットは、別のターゲット構成(例えば平面ターゲット)に比べて薄膜均一性を向上させることができるが、本発明によるターゲットは、改良された粒径均一性、低下した平均粒径を有し、且つ、得られる薄膜均一性において一貫性と著しい向上を示す。その向上は、高純度材料及び特に超高純度材料(99.9999%以上の金属純度を有する)において最も顕著である。
[0033]
説明のために、高純度の非合金材料に関して、「金属純度」という用語は、特定の金属元素から成る金属材料(ガスを除く)の量又は重量%を意味している。例えば、純度99.9999%の銅材料とは、重量を基準とした総金属含量の99.9999%が銅原子である金属材料を意味している。合金又はドープされた材料に関して、明記される純度レベルは、任意の合金又はドーピング元素の添加前のベース金属の純度を示している。
[0034]
本発明の方法論及びターゲットは、純度が低下した金属材料を使用することができるが、本発明による方法論及び本発明によって製造されたターゲットは、超高純度(純度99.9999%以上)の材料を堆積させなければならない場合には、特に有利であり得る。なぜならば高純度材料の膜の均一性を達成することは特に難しいからである。本発明によるHCMターゲットにとって特に重要なものは、高純度の銅、アルミニウム、チタン又はタンタル及びそれらの合金である。
[0035]
本発明による方法論及び本発明によって製造されるターゲットは、より低い純度の銅(又は別の金属)材料、例えば、重量を基準として、少なくとも純度99.99%の銅を有する銅を製造するのにも有用であり得る。
[0036]
銅合金、例えば、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Al、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから成る群より選択される少なくとも1種の合金元素が添加された純度99.999%ベース銅を含む合金を使用することもできる。本明細書で使用する「合金」という用語は、少なくとも約100ppmの合金元素(1種又は複数種)が加えられたベース金属を含むターゲット材を意味している。特定の場合では、銅合金は、好ましくは、Ag、Mg、Al、In、Sn、P及びTiから選択される1種以上の元素を含むことができる。これらの合金元素に関する好ましい総含量範囲は、約100ppm〜約2重量%であることができる。
[0037]
本発明によるターゲット材及びターゲットは、銅のような特定の金属を高い割合で有し且つ少なくとも1種のドーピング元素を更に含むドープされた材料も含む。説明のために、ドープされた材料とは、100ppm以下のドーピング元素が加えられたベース金属(好ましくは高純度)を有する材料を意味している。ドープされた材料が銅の材料である場合、その材料は、好ましくは、1種以上のドーピング元素が加えられた99.9999%の銅を含むことができる。銅材料用のドーピング元素としては、好ましくは、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Al、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから成る群より選択される少なくとも1種のドーピング元素が挙げられる。Agは、ドープされた銅材料を含む本発明のHCMターゲットのための好ましいドーピング元素であることができる。
[0038]
別のドープされた金属材料は、ドープされたアルミニウム材料であることができる。本発明のドープされたアルミニウムターゲットは、好ましくは、重量基準で少なくとも約99.99%のアルミニウムを含み、そして更に、Cu、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから成る群より選択される少なくとも1種のドーピング元素も含む。本発明によるドープされたアルミニウムターゲットは、好ましくは、少なくとも1ppmの総ドーパント含量を有する。特定用途では、ドーピング元素は、好ましくは、Ti、Sc及びSiのうちの1種以上を含むことができる。
[0039]
本発明のHCMターゲットは、あるいは、アルミ合金ターゲットであることができる。
アルミニウム合金ターゲットのためには、ターゲット材は、好ましくは、1種以上の合金元素が添加された重量基準で純度99.99%のアルミニウムを有するアルミニウムを含む。アルミニウム合金ターゲットはCu、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから選択される少なくとも1種の合金元素を含むことができ、そしてその合金元素の総量は少なくとも100ppmである。特定用途では、使用される合金元素としては、Cu、Ti及びSiのうちの少なくとも1種が挙げられる。
[0040]
本発明によるチタン合金及びタンタル合金は、好ましくは、Cu、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから成る群より選択される少なくとも1種の合金元素が添加された重量基準で純度99.9%以上のTi又はTaを含む。
[0041]
本発明による別のHCMターゲットは、ドープされたTi又はTa材料を含むことができる。前記のドーピングされた材料は、好ましくは、Cu、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo及びHfから成る群より選択される少なくとも1種のドーピング元素が添加された純度99.9%以上のTi又はTaを含む。Ta又はTiターゲット中に存在するドーピング元素の総量は、好ましくは約1〜約100ppmであることができる。
[0042]
本発明の三次元ターゲットは、任意の三次元形状、例えば、限定するものではないが、HCMターゲット形状、及び上記した別の三次元形状(発明の背景を参照されたい)を含む従来のターゲット形状を有することができる。而して、従来のスパッタリングシステム、特に三次元ターゲットを使用するために開発された前記システムは、本発明のターゲットから材料を堆積させるために使用することができる。本発明のHCMターゲットは、上記したように、ベース部分、半径部分及び側壁部分を含むものとして説明できる。
[0043]
本発明のターゲットは、材料組成、特定の領域及び/又はターゲット全体における平均粒径、及び/又は組織に関して更に説明され得る。本発明によって製造されるHCMターゲットは、特定の所望の範囲内で平均粒径を有することができる。所望の範囲は、粒径の均一性及び安定性が、特定の材料及び/又は特定のHCMシステムのために、最大化される粒径範囲であることもできる。所望の粒径の特定の粒径又は範囲は、膜品質及び均一性に影響を及ぼし得る、ターゲット寿命の最大化、粒子性能及び/又はターゲット消耗の均一性に基づくこともできる。一般的に、本発明のHCMターゲットは、2つのカテゴリーに分かれる。第一のカテゴリーは、ターゲット材の平均粒径が1ミクロン未満であるサブミクロン粒径ターゲットである。第二のターゲットカテゴリーとしては、1ミクロン以上の粒径を有するターゲットが挙げられる。銅を含む材料では、第二カテゴリーのターゲットは、典型的には、約20ミクロン以下の平均粒径を有することができる。Ti又はTa材料では、第二カテゴリーのターゲットは、30ミクロン以下の平均粒径を有することができる。アルミニウムを含む材料では、第二カテゴリーのターゲットは、150ミクロン未満の平均粒径を有することができる。
[0044]
ターゲットの両方のカテゴリーは、ターゲットの特定の領域(ベース、半径又は側壁)全体にわたって15%(1−σ)未満の総粒径標準偏差を有するように製造することができ、また、一般的に、本発明の方法論は、ターゲット全体にわたって15%(1−σ)の全体粒径標準偏差を有するターゲットを製造することができる。本発明のターゲット材の平均粒径は特定の材料に基づいて(主としてベース金属に基づいて)変えることができるが、粒径の均一性(標準偏差)は、上記した材料のタイプのそれぞれに関して達成できる。特定の場合では、本発明のターゲットは、ターゲットの全体にわたって、10%以下(1−σ)、そして特定の実施態様では6%未満(1−σ)の全体標準偏差を有する。
[0045]
本発明にしたがってHCMターゲットを製造するための方法論は、高純度金属、合金又はドープされた金属材料を、側方押出及び/又は極低温成形を使用して処理して、サブミクロン粒径又は1〜20ミクロン未満の粒径(その場合、粒径は、材料の平均粒径を意味している)を有する材料を製造する第一プロセスを一般的に使用する。次いで、材料を冷間成形して、HCM(又は別の三次元形状)構成を製造する。冷間成形は、深絞り、爆発成形、熱間ブロー成形、冷間鍛造、回転成形、ハイドロ成形、超塑性成形及び他の適当な造形プロセスを含む1つ以上の方法を含むことができる。特定の実施態様では、冷間成形は、好ましくは深絞りを含む。
[0046]
図6を参照されたい。図6には、例示的な側方押出(ECAE)デバイス50が図示してある。デバイス50は、一対の交差チャネル54と56を画定している金型アセンブリ52を含む。交差チャネル54及び56は、断面が同じか又は少なくとも実質的に同じである。その「実質的に同じ」という用語は、チャネルがECAE装置の許容可能な許容差と同じであることを示唆している。運転時には、ビレット58(上記した材料のいずれかであることができる)を、チャネル54及び56から押出す。前記の押出では、チャネルの交差平面に位置している細いゾーンにおいて一層一層を単純せん断することによって、ビレットの塑性変形が起こる。チャネル54及び56は約90°の角度で交差しているのが好ましいものであり得るが、別の刃先を使用できることは言うまでもない(図示せず)。最適変形(真のせん断歪)を達成することができるので、約90°の刃先角(チャネル交差角)が好ましいものであり得る。
[0047]
ECAEは、材料のブロックの寸法を変えずに、押出材に高度の塑性変形を導入することができる。ECAEは、低い荷重と圧力で使用して全く均一な歪を誘発することができるという点で、金属材料中に高度の歪を誘導するための好ましい方法であることができる。更に、ECAEは、1パス当たり高度の変形(真歪ε=1.17)を達成することができ;ECAEデバイスを通過させる複数のパスによって高度の累積歪(n=4パス、ε=4.64)を達成することができ;また、ECAEを使用して、異なる変形経路を使用することによって(すなわち、ECAEデバイスを通過するパス間で材料ブロックの配向を変えることによって)、材料中に様々な組織/微細構造を作り出すことができる。
[0048]
本発明の例示的な方法では、ECAEは、特定の材料のビレット又はブロック中に所望の微細構造(例えば弱い組織及び小さい粒径)を得るのに充分な且つ材料全体にわたって均一な応力歪状態を発生させるのに充分な歪速度と処理温度で実行される。材料は、1回、2回以上又は数回、材料の冷間処理又は熱間処理に対応し得る温度において多くの経路でECAE装置中を通過させることができる。特定の材料では、ECAE装置への複数回パスで使用するための好ましい経路は「経路D」であることができ、そしてそれは、連続パスそれぞれの前で、一定の90ビレット回転に対応する。ECAE経路は、動的再結晶中に生成される構造配向に影響を及ぼし得るので、変形パスのために1つ以上の特定の経路を選択して、処理される特定の材料中に所望の配向を誘発させることができる。
[0049]
特定の用途では、ECAEで処理されるブロックは、少なくとも1回のECAEパスを経験するだろう。典型的には、ECAE処理は、4〜8回のパスを含むことができる、また、好ましくは4〜6回パスを含むことができる。前記の例示的な数は、機械的に誘発された動的再結晶によって、結晶粒微細化をサブミクロンサイズへと促進させるのに充分であることが一般的に認められる。又は、1ミクロン〜約20ミクロンの範囲のより大きな粒径は、より少ない回数のECAEパス及び/又は別の押出経路を使用して生成させることができる。
[0050]
ECAE処理は、任意に、1つ以上の熱処理を行うことを含むことができる。前記熱処理は、押出パスのうちの少なくともいくつかの間でのアニール加熱、押出後のアニール加熱、又は両方を含むことができる。当業者によって理解されるだろうように、ECAE処理中に行われる様々な熱処理の適当な温度は、押出される特定の材料に基づいて変化させることができ且つ決めることができる。
[0051]
別の処理では、本発明による微粒化は、例えば極低温鍛造、極低温圧延などのような1つ以上の技術を使用することができる。本発明にしたがって微粒化技術が使用されるにもかかわらず、処理される特定の材料の粒径安定性を高めるために、特定の粒径を生成させることができる。特に、スパッタリング処理及び/又は他の高温操作中に粒径安定性を付与できる粒径が生成される。前記の粒径安定性により、一貫した薄膜の品質と均一性、均一なターゲット消耗、そしてターゲット寿命の延長が付与される。
[0052]
所望の粒径が特定の材料で達成されたら、その材料を、冷間加工技術によってHCM構成(又は別の構成)へと成形することができる。前記冷間加工は、例えば冷間鍛造、回転成形及び/又は別の冷間成形操作を含むことができる。特定の場合では、深絞りを含む冷間加工を使用してHCMターゲット構成を成形する。粒径、機械的及び結晶学的組織に関する深絞りの効果を判定するために行った研究(以下でより詳細に検討する)は、深絞りの間、予備絞り粒径が維持され、機械的及び結晶学的組織は殆ど又は全く変化しないことを示唆している。
[0053]
スパッタリングプロセス中に達するターゲット温度をシミュレートした温度又はターゲット温度を超える温度に暴露したときに、特定の材料の粒径及び組織の安定性を測定するために、結晶粒微細化処理した材料に関してアニーリング研究を行った。前記の研究は、予備絞り及び深絞りされた材料の両方について行い、粒径及び微細構造の安定性に関する深絞りの効果を測定した。これらの研究(以下でより詳細に説明する)は、特定の材料に関して、1〜20ミクロンの粒径は、粒径と微細構造の安定性とを最大化するのに好ましく、そして、別材料の組織及び粒径は、サブミクロンの粒径を有するように処理されたときでも安定であり得ることを示唆している。而して、材料の組成及び/又はスパッタリング中にターゲットが暴露される温度に基づいて、異なる粒径及び組織が好ましいものであり得る。
[0054]
特定の材料、例えば特定の銅材料のためには、サブミクロン粒径が好ましいものであり得る。他の銅材料のためには、1ミクロン〜20ミクロンの平均粒径が好ましいものであり得る。特定の材料及び用途のためには、HCMターゲットの平均粒径は1ミクロン〜15ミクロンであることが好ましいものであり得る。他の材料のためには、好ましい平均粒径は、15ミクロン未満であり、また、より好ましくは1ミクロン〜約10ミクロンであることができる。別の金属材料(例えばTi、Ta又はAl材料)のためには、他の粒径が好ましいかもしれない。
[0055]
好ましい粒径を決める場合に考慮される一つのファクターは、材料が堆積されるスパッタリング温度である。一般的に、より小さい粒径は、低温スパッタリングにとって好ましいものであり得る。而して、低いスパッタリング温度(例えば、特定の銅材料用に125℃未満)だけの場合は、サブミクロン構造は、安定であることができ、而して、ターゲット寿命、ターゲット消耗の均一性、及び得られる膜の均一性と品質を最大化するのに好ましいものであり得る。
[0056]
後述する研究結果は、本発明にしたがう方法論を使用して、HCMスパッタリングターゲットと、そして三次元ターゲットを成形する従来の方法に比べて比較的小さい平均粒径を有する別の三次元ターゲット形状とを製造できることを示唆している。而して、本発明にしたがって成形されるターゲットは、改良されたターゲット寿命均一性及びターゲット消耗、及び改良された堆積膜均一性と膜品質を提供する能力を有すると共に、従来のターゲットと同様か又は同一の形状構成を含むことができる。
[0057]
本発明のターゲットを使用する膜堆積は、従来のシステム又は開発されるスパッタリングシステムを使用して行うことができる。一般的に、本発明の膜堆積方法論は、図5に図示してあるHCMスパッタリングシステムのような適当なスパッタリングシステムの堆積チャンバ内に、本発明のHCMターゲット又は別の三次元ターゲットを提供することを含む。基板をチャンバ内に提供し、そして、高密度プラズマを使用して、材料をターゲットからスパッタし、基板全体に材料の層を形成する。
[0058]
本発明の銅含有ターゲットを使用して成形される膜は、一貫して均一の厚さであり、3%(1−σ)以下の厚み均一性を有する。この均一性は、例えば300mmウエハのような大型基板表面全体で達成される。当業者には公知であるように、堆積パラメーターを調整して、特定材料のターゲットの性能を最大化させるのを助けることができる。本発明のターゲットを使用して形成される高度に均一な膜を、ターゲット材と実質的に同一な金属組成及び純度を有するように堆積させることができる。同様な均一性は、本発明による別の材料のターゲットから形成される膜で達成することができる。
[0059]
以下の実施例には、特定の材料に関する研究及び結果が記録してある。特定の材料は例示であり、また、以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを意図していないことは言うまでもない。
実施例
[0060]
1つの研究では、1.7〜1.9ppmのAgが加えられた、6N銅(99.9999%、重量基準)を含む組成物を、6パスの側方押出(経路D)に暴露し、次いで、圧延による70%減少、235℃で1時間のアニールに暴露した。深絞りと、深絞り後のアニールの効果を、10ミクロンのECAE銀ドープト銅の2つの独立試験片を使用して調べた。第一試験片は8.5インチからの直径を有し、そして第二試験片は約9インチの直径を有していた。第一及び第二試験片のそれぞれは、深絞りの前に、0.375インチの厚さを有していた。
[0061]
図7を参照されたい。図7は、例示的な深絞りターゲット12Aの断面が図示してあり、そしてそこには、上部部分60、中空内部19を囲む側面部分62、及び半径部分64(側面部分62と上部部分60との交差部分に位置している)が図示してある。2つの深絞りターゲットのそれぞれを、上部、側面部分及び半径部分に沿ってサンプルをとって、深絞りの効果を観察した。直径9インチの試験片の深絞りは、直径8.5インチの深絞りサンプルと比較して1.05インチ長い壁長を生成した。試験片それぞれにおいて実質的に壁厚は同様である。約55%材料厚が低減された最終肉厚は0.175インチとなった。深絞り後の各試験片用の上部部分の厚さは約0.350インチであった。
[0062]
9インチの試験片から得られた、深絞りされた銀ドープト銅の微細構造は、図8及び図9に示してある。図8を参照されたい。7〜10ミクロンの平均粒径の等軸粒構造が認められる上部面の400倍拡大像が示してある。図9を参照されたい。7〜10ミクロンの平均直径を有する粒構造が認められる側面部分の400倍拡大像が示してある。深絞りされた8インチ試験片について観察された微細構造も同様であった(図示せず)。
[0063]
横断面微細構造も研究した。横断面は、上部部分、側面部分、上部部分近くの半径部分、及び深絞りされた材料の側面方向の半径部分に沿ってとった。前記研究により、上部横断面では6〜10ミクロンの平均粒径、側面横断面では2〜10ミクロンの平均粒径、上部近傍の半径横断面では6〜10ミクロンの平均粒径、そして側面方向の半径横断面では2〜10ミクロン平均粒径であることが分かった(図示せず)。
[0064]
深絞りされた銀ドープト銅材料を、225℃で1時間アニールして、深絞り後のアニーリングの効果を判定した。ターゲットの上部横断面の400倍拡大像が図10に示してあり、6〜8ミクロンの平均粒径を有する等軸粒構造が認められる。ターゲットの側面部分の横断面では、図11に示してある400倍拡大像によって示されている等軸粒を有する8〜10ミクロンの平均粒径が認められる。側面部分内の等軸粒は、アニーリング中におけるなんらかの再結晶に起因している可能性がある。
[0065]
上記の研究は、10ミクロン粒構造が、深絞りと、225℃での1時間のアニーリングとの後でも安定であることを示唆している。この結果は、10ミクロン粒構造が、約100℃〜約200℃のスパッタリング温度においてAgドープト銅材料をスパッタリングするための使用において安定であることを示唆している。
[0066]
追加の研究では、側方押出されたサンプルを調製して、深絞り及び/又はアニールのプロセス中における特定の粒径の安定性を研究するために、特定の粒径を生成させた。特定の研究では、高純度(99.9999%)の銅を使用した。ECAEを使用してサブミクロン粒径を有する第一サンプルを製造した。99.9999%(6N)の銅材料の第二サンプルを、10〜15ミクロンの粒径を有するようにECAEを使用して製造した。これらの試験サンプル用に、押出され且つ圧延された試験片は、直径4.125インチ及び厚さ0.125インチの寸法を有していた。
[0067]
2つの試験片のそれぞれを、外径2.435インチ及び高さ1.5インチの最終寸法まで深絞りした。約25%の側壁材料の厚さ低減により側壁の厚さは0.095インチであった。2つの試験片のそれぞれの微細構造を深絞りターゲットの様々な領域でその特性を調べ、微細構造及び粒子の安定性を評価した。その分析により、微細構造の硬度及び弱い組織を保持しつつ、深絞り中に、第一試験片で0.5ミクロンの平均粒径が維持されたことが分かった。同様に、第二試験片では、微細構造の硬度及び弱い組織と共に、深絞り中に、10ミクロン平均粒径が維持された。表面硬度の5〜10%の増加が、第二試験片(10ミクロンの平均粒径)で観察された。
[0068]
次いで、その2つの深絞りされた試験片を、図12に示してある様々な温度で1時間アニールした。深絞りされた材料のそれぞれの側面及び上面をアニール後に分析した。図12に示してある結果は、0.5ミクロンの初期粒径を有する深絞りされた6N銅材料の完全再結晶を示唆しており、完全再結晶は200℃以上の温度で1時間のアニール中に起こる。同様な粒径の増大は、200℃〜350℃の温度で1時間アニールしたときに、10ミクロン試験片で観察された。而して、ECAE銅は、200℃〜300℃でアニールされたときに10〜20ミクロンの細粒構造を維持しており、そしてその場合、初期の深絞り微細構造は0.5又は約10ミクロンの平均粒径を有している。粒径の差は、アニールされた材料の側壁と上部壁との間で観察されなかった。局所的な異常な粒子(50ミクロン超)が、350℃における1時間のアニール後に材料中に生じるが、サブミクロン粒子材料に相当する初期10ミクロン構造は、異常な粒子成長に対してより抵抗性があるようである。
[0069]
アニーリング後材料において生成した微細構造は、図13及び14に掲げてある。300℃で1時間のアニーリング後における0.5ミクロンの予備アニール平均粒径を有する深絞り材料は図13に示してある。前記材料の側壁の200倍拡大像は、18〜20ミクロンの平均粒径を有する。
[0070]
10ミクロン平均粒径を有する(予備アニール)材料を、深絞り後に、300℃で1時間アニールした。図14にはアニールされた材料の200倍拡大像が示してある。前記拡大像は、約15ミクロンの平均粒径を有する側壁粒構造を示している。
[0071]
表1を参照されたい。表1は、0.5ミクロン予備アニール平均粒径を有する深絞り銅をアニールしたときの集合組織形成(texture evolution)を示している。表1のパートAは、予備アニールサブミクロン平均粒径を有する側壁材料に関する集合組織形成を示す。表1のパートBは、構造の上部部分からの材料に関する集合組織形成を示す。
Figure 2009535519
[0072]
表1には、深絞り後、変形させたまま(AD)の状態の組織と、掲示した温度での1時間のアニール後の組織について記録してある。パートAにおける結果によって判定されるように、弱い初期組織は、200℃での1時間のアニール後に、側壁において、弱い(111)タイプの組織へと変化する。200℃〜350℃間のアニールは、安定な組織を生成させる。175℃で観察される強い組織は、部分的な再結晶の移行状態に相当する。
[0073]
表1、パートBを参照されたい。上部壁に関しては、初期の弱い(200)/(220)組織は、1時間の225℃以下のアニールには比較的安定のままである。上部と側壁との間の組織配向は、変形の方式及びレベルの違いに起因して変化する。結果は、全体的な組織強度は弱いままであり、組織安定性は1時間の200〜350℃でのアニール後に観察されたことを示している。
[0074]
10ミクロン(平均粒径予備アニール)銅材料の集合組織形成は、表2パートA(側壁)及びパートB(上部壁)において認められる。
Figure 2009535519
[0075]
集合組織形成結果は、側壁部分に関しては、組織は350℃以下のアニールでは弱く且つランダムに近いままであり、4つの結晶面方位それぞれに関する%比は殆ど等しいことを示している。パートBに提示してある上部壁の結果は、初期の弱い(200)/(220)組織が225℃以下のアニールでは安定したままであることを示している。上部と側壁との間の組織配向は、変形の方式及びレベルの違いに起因して変化する。初期10ミクロン平均粒径サンプルと初期0.5ミクロン平均粒径サンプルとに関する差は小さい。全体の組織強度は、各サンプルで弱いままである。10ミクロン平均粒径(予備アニール)を有する銅の4つの結晶面方位の比率は、350℃以下での1時間のアニールでは比較的安定である。
[0076]
更に、これらの結果は、10ミクロン平均粒径を有する銅は、225℃〜約300℃の温度に暴露される深絞り構造においてより安定であることも示している。0.5ミクロンの平均粒径を有するECAE材料は、約200℃で再結晶して10ミクロン粒構造となる。この種の銅材料のスパッタリング中のターゲット温度は、典型的には数時間100℃を超える。そのことは、10ミクロン構造は、比較的高い熱安定性の故に好ましいものであり得ることを示している。
[0077]
本発明にしたがって処理された材料における粒径の均一性を評価した。特定の例示的な研究のために、銀(約1.9ppm)によってドープされた高純度銅(6N)を含む銅材料を使用した。処理は、ECAE、次いで、70%(減少)及び250℃での1時間のアニールを含んでいた。得られたターゲットのブランク(直径9インチx厚さ0.357インチ)は、10ミクロンの平均粒径を有していた。そのブランクを深絞りし、次いで225℃で1時間アニールした。図7に位置A〜Lとして示した12のターゲット位置を分析した。CLEMEX(登録商標)ソフトウェア(加国ケベック州にあるLes Technologies Clemex Inc./Clemex Technologies Inc)を使用して、各位置において、2つの領域を測定して、粒径を計算した。
各領域の測定値と平均は表3に示してある。
Figure 2009535519
[0078]
表3に示してある粒径データを使用して、ターゲットの粒径均一性を判定した。図15には平均(線X)値及び範囲の平均(線R)値が示してある。示してあるように、平均(線X)値は8.389ミクロンであり、そして範囲の平均(線R)値は0.540ミクロンであった。推定標準偏差(1−σ)=(線Rの値)/d2 = 0.54/1.128= 0.478(すなわち、平均粒径線X5.6%、粒径均一性が5.6%(1−σ)であることを示している)。上記の推定標準偏差に関する方程式において、d2とは、線Rに基づいて標準偏差を推定するための統計値である。2つの測定を位置ごとに行う場合(サブグループサイズ=2)、d2は1.128に等しい。
[0079]
追加の研究は、アルミニウムと0.5%銅を含むアルミニウム合金(Al0.5Cu)を使用して行った。アルミニウム合金の第一及び第二のサンプルに関して経路DでECAEを6パス実施した。ECAEで変形されたサンプルは、0.5ミクロンの平均粒径を有していた。次いで、第二サンプルを、150℃で1時間アニールした。第二サンプルは0.5ミクロンの平均粒径を保持した。第一サンプル(変形させたままの状態で)及び第二サンプル(アニール後)それぞれを深絞りした。深絞り構造のマクロエッチング(図示せず)により、サブミクロン構造を暗示する交差マクロ剪断バンド(intersecting macro−shear band)が認められた。
[0080]
得られた粒径は、第一及び第二のサンプル双方で非常に小さいので光学顕微鏡検査では正確には判定できないが、光学顕微鏡検査では、サブミクロンECAEアルミニウムにとって典型的で且つそれを暗示する肉眼で見えるフローラインの存在が確認される。Al0.5Cu材料の上記の処理及び深絞りの後にフローラインを示している例示的な光顕微鏡写真は図16に掲げてある。これらの結果は、アルミニウム合金材料においてECAEによって製造されるサブミクロン構造が、深絞り後に安定であることを示唆している。
[0081]
一般的に、上記の銅材料と追加で分析した材料に関する微細構造と粒径の研究の結果は、サブミクロン粒径が、前記材料をスパッタリングするために典型的に使用されるスパッタリング温度で又は前記温度近傍で安定であるので、特定の材料のためには好ましいものであり得ることを示唆している。特定の例では、サブミクロン平均粒径は、好ましくは0.2ミクロン〜1.0ミクロン未満であることができる。しかしながら、サブミクロン粒子に比べて1〜20ミクロンの粒径が熱安定性を増大させる材料では、1〜20ミクロンの平均粒径が好ましいものであり得る。本発明による方法論によって、特定の材料及び特定のスパッタリング温度のために特定の粒径を得ることができる。
[0082]
本発明によるターゲットは、ターゲット寿命を延ばすか又は最大化させるように、また、ターゲット消耗の改良された均一性、得られた堆積薄膜の改良された均一性及び得られた膜の品質の一貫性を提供するように都合良く製造することができる。ターゲット材の組成をベースとする本発明のターゲットにとって好ましい粒径が多くの材料について決定された。高純度銅ターゲットのためには、30ミクロン未満の平均粒径が好ましく、より好ましくは約5ミクロン〜約20ミクロンである。銅合金ターゲットのためには、平均粒径は、全ての場合で好ましくは30ミクロン未満であり、特定の合金のためには、より好ましくは5〜20ミクロンであり、他の銅合金のためには、サブミクロン粒径が好ましい。ドープされた銅の材料のためには、好ましい粒径は、30ミクロン未満であり、より好ましくは約5〜約20ミクロンである。
[0083]
本発明のターゲットが高純度アルミニウム又はドープされたアルミニウムを含む場合、ターゲットは、好ましくは約10ミクロンから150ミクロン未満、そしてより好ましくは100ミクロン未満の平均粒径を有する。アルミニウム合金のためには、好ましい粒径は、0.2ミクロンから30ミクロン未満であり、より好ましくはサブミクロンの粒径である。
[0084]
チタン合金及びタンタル合金のためには、好ましい粒径は、30ミクロン未満であり、特定の合金のためにはより好ましくは約5〜約20ミクロンであり、他の銅合金のためにはサブミクロンの粒径が好ましい。ドープされたチタン材料及びドープされたタンタル材料のためには、特定の合金のためには好ましい平均粒径は30ミクロン未満であり、より好ましくは約5〜約20ミクロンであり、そして他の合金のためには好ましくはサブミクロン(典型的には0.2〜1ミクロン未満)の平均粒径が好ましい。
[0085]
上記した好ましい範囲でターゲット粒径を有する本発明によるターゲットを使用するスパッタリングによって製造される薄膜を、半導体ウエハの表面全体にわたって3%(1σ)以下の均一性を有するように一貫して形成できる。
従来技術の平坦なスパッタリングターゲットの等角図である。 図1のスパッタリングターゲットの断面側面図である。 例示的な中空カソードスパッタリングターゲットの等角図である。 図3のスパッタリングターゲットの断面側面図である。 基板近傍の物理気相堆積ターゲット構造を示している、物理気相堆積システムの概略断面図である。 側方押出装置で処理されている材料の概略断面図である。 材料分析目的のためのターゲット領域を図示している深絞りターゲットの概略断面側面図である。 深絞り前に、側方押出銅材料を使用して成形された深絞りターゲットの微細構造の400倍拡大像である。 図8に示してある深絞りターゲット側面の平面部分の微細構造の400倍拡大像である。 225℃で1時間アニールした後の深絞りターゲット上部の断面の400倍拡大像である。 225℃で1時間アニールした後の深絞りターゲットの側面からとられた断面の400倍拡大像である。 2.0〜2.5ppmのAgを含む深絞り高純度銅材料の粒径に関するアニールの効果を例示しているグラフである。 300℃で1時間アニールした後の深絞りターゲット側壁の平面部分の200倍拡大像である。 300℃で1時間アニールした後の深絞りターゲット側壁の平面部分を示している200倍拡大像である。 本発明にしたがって成形された6N銅深絞りターゲットに関して測定された粒径の均一性を示しているグラフである。 深絞りアルミニウム合金構造からとられた断面の光顕微鏡写真である。

Claims (27)

  1. ターゲット全体にわたって約0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径を有する銅含有材料を含む三次元スパッタリングターゲット。
  2. 該ターゲットが中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットである請求項1記載の三次元ターゲット。
  3. 該ターゲットが、該ターゲット全体にわたって15%(1−σ)以下の粒径均一性を有する請求項1記載のターゲット。
  4. 該ターゲットが、該ターゲット全体にわたって10%(1−σ)以下の粒径均一性を有する請求項1記載のターゲット。
  5. 該ターゲットが、該ターゲット全体にわたって6%(1−σ)以下の粒径均一性を有する請求項1記載のターゲット。
  6. 該平均粒径が、1ミクロン未満である請求項1記載のターゲット。
  7. 該平均粒径が、1ミクロン〜約20ミクロンである請求項1記載のターゲット。
  8. 該銅材料が、重量基準で少なくとも99.999%の銅含量を有する請求項1記載のターゲット。
  9. 該銅材料が、重量基準で少なくとも99.9999%の銅含量を有する請求項1記載のターゲット。
  10. 銅含有材料が、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Al、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo、及びHfから成る群より選択される少なくとも1種の元素を含む請求項1記載のターゲット。
  11. 該ターゲットが、総量で少なくとも1種の元素を重量基準で1ppm〜100ppm含む請求項10記載のターゲット。
  12. Cu、Ti及びTaから成る群より選択される少なくとも1種のメンバーを含む金属材料を含む三次元スパッタリングターゲットであって、該ターゲット全体にわたって約0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径且つ15%(1−σ)未満の粒径標準偏差を有することを特徴とする前記ターゲット。
  13. 該粒径標準偏差が、10%(1−σ)以下である請求項12記載のターゲット。
  14. 該粒径標準偏差が、6%(1−σ)以下である請求項12記載のターゲット。
  15. 該金属材料が、合金である請求項12記載のターゲット。
  16. 該金属材料が、少なくとも1種のドーパント元素を含み且つそのドーパント濃度が1ppm〜100ppmである請求項12記載のターゲット。
  17. ターゲット全体にわたって、0.2ミクロン〜150ミクロン未満の平均粒径を有し且つ15%(1−σ)未満の粒径標準偏差を有するアルミニウム含有材料を含む三次元スパッタリングターゲット。
  18. 該アルミニウム含有材料が、アルミニウム合金であり、そして0.2ミクロン〜約30ミクロンの平均粒径を有する請求項17記載のターゲット。
  19. 該アルミニウム含有材料が、ドープされたアルミニウムであり、そして10ミクロン〜約150ミクロンの平均粒径を有する請求項17記載のターゲット。
  20. 該銅含有材料が、Cd、Ca、Au、Ag、Be、Li、Mg、Pd、Hg、Ni、In、Zn、B、Ga、Mn、Sn、Ge、W、Cr、O、Sb、Ir、P、As、Co、Te、Fe、S、Ti、Zr、Sc、Si、Pt、Nb、Re、Mo、及びHfから成る群より選択される少なくとも1種の元素を含む請求項17記載のターゲット。
  21. 該アルミニウム含有材料が、総量で少なくとも1種の元素を重量基準で1ppm〜100ppm含む請求項20記載のターゲット。
  22. 約30ミクロン以下の平均粒径を有する金属材料を提供する工程;そして
    深絞り、冷間鍛造、爆発成形、回転成形、熱間ブロー成形、及びハイドロ成形から成る群より選択される成形法を使用して該金属材料を成形する工程
    を含む中空カソードマグネトロンスパッタリングターゲットを成形する方法。
  23. 該金属材料を提供することが、極低温成形及び側方押出のうちの少なくとも1つを使用して該粒径を生成することを含む請求項22記載の方法。
  24. 該方法が、側方押出の少なくとも1つのパスを含む請求項23記載の方法。
  25. 該平均粒径が、1ミクロン未満である請求項22記載の方法。
  26. 該平均粒径が、1ミクロン〜約20ミクロンである請求項22記載の方法。
  27. 該金属材料が、Cu、Al、Ti及びTaから成る群より選択される少なくとも1種の元素を含む請求項22記載の方法。
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