JP2009524029A - 腎疾患の診断のための方法及びマーカー - Google Patents

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Abstract

本発明は、腎疾患の診断、特に鑑別診断のための方法に関する。本発明において特に興味深い腎疾患は、IgA腎症、膜性糸球体腎症(MGN)、微小変化型ネフローゼ症候群(MCD)、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)及び糖尿病性腎症である。

Description

本発明は、腎疾患の診断、特に、鑑別診断に関する。
近年、腎疾患を発症する患者の数が増加し続けている。このため、腎疾患は、医療制度において、ますます深刻な問題となっている。多くの腎疾患は不可逆的であり、従って、腎疾患の初期診断及び/又は鑑別診断が重要である。それぞれの疾患に対して正確に調整された初期診断及び治療法は、透析を必要とする患者の数を減少させることが可能であり、患者の高い心血管リスクも低減させることができる。
現在、正確な診断及び/又は鑑別診断は、主として、腎生検に依存している。生検は、腎臓の診断における現行の「黄金標準」としての役割を果たしているが、生検は、侵襲的であるという欠点を有しており、従って、特定の患者に対してのみ実施される。
尿分析は、腎疾患を診断するための別のアプローチである。しかしながら、現在、一般的には、尿の数個のパラメータ、例えば、クレアチニン、尿素、アルブミン、血液細胞(白血球及び赤血球など)、細菌、糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン及びpH値のみが測定されている。特に、鑑別診断に対して十分な感受性及び/又は選択性を欠くので、これらの分析の診断的価値は限定的なものである。
尿中に含有されるタンパク質を分析するために、幾つかの試みが行われてきた。
V.Thongboonkerdらは、正常なヒト尿タンパク質を調べるために、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析法と組み合わせた二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)後に質量フィンガープリンティングを使用した。47の特有のタンパク質の計67個のタンパク質形態が同定された(V.Thongboonkerd et al.(2001)Proteomic analysis of normal human urinary proteins isolated by acetone precipitation or ultracentrifugation. Kidney International,vol.62,p.1461−1469)。
C.S.Spharらは、尿試料中に含有されているタンパク質をトリプシンで消化し、液体クロマトグラフィータンデム型質量分析を用いて、124のタンパク質から得られた751のペプチドを同定した(C.S.Spahr et al.(2001).Towards defining the urinary proteome using liquid chromatography−tandem mass spectrometry.I Profiling an unfractionated tryptic digest.Proteomics vol.1,p.93−107)。
これらの研究は、健康な個体に関するものに過ぎない。これらの研究は、腎疾患の診断又は鑑別診断のために尿ポリペプチドの存在の変化を使用することができるかどうかという問題を取り扱っていない。
膜性糸球体腎炎(MGN)の診断ために、尿中のポリペプチドの存在又は不存在を使用することが提案されてきた(von Neuhoff et al.(2004).Mass Spectrometry for the Detection of Differentially Expressed Proteins:A Comparison of Surface−Enhanced Laser Desorption/Ionization and Capillary Electrophoresis/Mass Spectrometry.Rapid Communications in Mass Spectrometry, vol.18:149−156)。しかしながら、本研究では、僅か8人の患者の試料が使用され、異なる分析法の比較を主眼としたものであった。マーカーの実際の診断的価値は、不明確なままである。
その結果、腎疾患の診断、特に鑑別診断のための迅速且つ簡易な方法及び手段に対する要望が存在する。
従って、本発明の目的は、腎疾患の診断、特に、腎疾患の鑑別診断のための方法及び手段を提供することである。最も一般的な糸球体症であるIgA腎症の診断及び/又は鑑別診断のための方法及び手段を提供することが、本発明の具体的な目的である。
本発明の第一の態様によれば、腎疾患の診断、好ましくは鑑別診断のための尿試料中の少なくとも1つのポリペプチドマーカーの存在の使用であり、前記ポリペプチドマーカーが、表1から22に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される前記使用によって、問題が解決される。
本発明において、表1から22に示されているポリペプチドマーカーの助けを借りて、それぞれ、異なる腎疾患を確実に診断又は鑑別診断することが可能であることが見出された。
本発明は、従来技術と比べて、多数の利点を有する。第一に、本発明のポリペプチドマーカーの存在は、尿試料中で測定することが可能である。従って、生検を採取する必要が存在しない。従って、本発明は、腎疾患の簡易化された迅速な診断を可能とし、腎疾患の存在に関して患者を定期的にスクリーニングすること及び初期段階で腎疾患を診断することが可能となる。さらに、本発明のポリペプチドマーカーは、異なる腎疾患間の鑑別診断のために使用することができる。本発明に従って同定されたマーカーの多数は、マーカーの単一又は少数のみの使用に比べて、診断の特異性と感受性の両者を増大させる。また、本発明は、抗体又はアプタマーなどの特異的なリガンドを使用せずに、前記ポリペプチドマーカーを測定することができる方法を提供する。
表中に示されているポリペプチドマーカーは、以下でさらに記載されている、キャピラリー電気泳動−質量分析法(CE−MS)と名付けられた方法によって同定されている。さらに、本方法は、von Neuhoffら(2004)(Mass Spectrometry for the Detection of Differentially Expressed Proteins:A Comparison of Surface−Enhanced Laser Desorption/Ionization and Capillary Electrophoresis/Mass Spectrometry.Rapid Communications in Mass Spectrometry, vol.18:149−156)中に詳しく記載されている。ポリペプチドマーカーを定義するパラメータから開始して、本分野で公知の方法によって、対応するポリペプチドの配列を特定し、次いで、例えば、適切な細胞中の対応する遺伝子のタンパク質合成又は発現の助けを借りて、対応するポリペプチドを合成又は作製することが可能である。
マーカーは、それらの質量及びキャピラリー電気泳動(CE)中でのそれらの泳動時間、特に、実施例1に従って得られた質量及びそれらの泳動時間によって定義される。CE泳動時間は、典型的には5分の範囲で、より典型的には3分の範囲で変動し得ることが知られている。しかしながら、溶出されているマーカーの配列は、典型的には、適用される各CEシステムと同一である又は極めて似ている。このシステムは、ほぼ全ての尿試料中に存在するポリペプチドの使用によって、例えば、表23又は24に挙げられているポリペプチドによって較正することができる。さらに、配列番号1から配列番号5に示されているポリペプチドは、較正のための役割を果たすことができる。
測定間又は異なる質量分析装置間での質量の変動は比較的小さく、典型的にはプラス又はマイナス0.05%の範囲である。
表1には、健康な個体及び腎疾患、特に、糸球体腎炎若しくは糸球体症に罹患している個体間での識別のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表2には、FSGSと健康な状態間での識別のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表3には、FSGSとMCD間での鑑別診断のために使用することが可能なポリペプチドマーカーが列記されている。
表4には、FSGSとMGNの鑑別診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表5には、一方でFSGS及び他方でMCD又はMGN間での鑑別診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表6には、健康な状態と比べて、MCDの診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表7には、MCDとMGN間の鑑別診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表8には、一方でMCD及び他方でFSGS又はMGN間での鑑別診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表9には、健康な状態と比べて、MGNの診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表10には、一方でMGN及び他方でFSGS又はMCD間での鑑別診断のために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表11には、健康な状態と比較して、一方でIgA腎症又はMGNを診断するために好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表12には、健康な状態と比べて、IgA腎症を診断するのに好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表13には、IgA腎症とMGN間の鑑別診断に好ましいポリペプチドマーカーが列記されている。
表14には、健康な者、FSGS、MCD及びMGN患者におけるそれぞれの頻度とともに、ポリペプチドが列記されている。
表15には、実施例1に従い、サポートベクターマシンを用いて、健康な個体と腎疾患患者間での鑑別診断のために使用されたポリペプチドが列記されている。
表16には、実施例1に従い、ランダム・フォレスト解析(random forest analysis)を用いて、健康な者、FSGS、MCD及びMGN患者間での鑑別診断のために使用されたポリペプチドが列記されている。
表17には、実施例1に従い、サポートベクターマシンを用いて、MCDとMGN患者間での鑑別診断のために使用されたポリペプチドが列記されている。
表18には、実施例1に従い、サポートベクターマシンを用いて、MCDとFSGS患者間での鑑別診断のために使用されたポリペプチドが列記されている。
表19には、実施例1に従い、サポートベクターマシンを用いて、MGNとFSGS患者間での鑑別診断のために使用されたポリペプチドが列記されている。
表20と21には、上に引用されているvon Neuhoffら(2004)において同定されたポリペプチドが列記されている。
表22には、糖尿病及び/又は糖尿病性腎症の診断のために使用することが可能なポリペプチドが列記されている。
表23には、CE時間を標準化するための内部標準として好ましいポリペプチドが列記されている。
表24には、実施例1に記載の圧力法(0.3から1psi)が使用された場合に、CE時間を標準化するための内部標準として好ましいポリペプチドが列記されている。これらの標準は、例えば、IgA腎症の診断における内部標準として好ましい。
表25には、ポリペプチドマーカーの特定のために、実施例1に従って、その試料が使用された腎疾患患者の臨床データが列記されている。略号:CsA、シクロスポリンA;PS、プレドニゾロン;+頻繁な再発;−現時点で免疫抑制なし;MCD又はFSGSかどうか臨床的に不明。
本発明に従って使用されるポリペプチドマーカーは尿試料中において同定することが可能であり、それらの存在は尿試料中で測定することができる。尿試料は、従来の技術において公知であるように採取することができる。好ましくは、本発明において、中間尿が使用される。
本発明に従って使用されるポリペプチドマーカーは、タンパク質、ペプチド及び断片又はタンパク質若しくはペプチドの他の分解産物などの遺伝子発現産物であり得る。本発明に従って使用されるポリペプチドマーカーは、翻訳後修飾によって、例えば、グリコシル化、リン酸化、アルキル化又はジスルフィド結合によって修飾され得る。断片及び分解産物は、これらが得られたタンパク質又はペプチドとは異なる診断的価値及び/又は生理的役割を有し得ることが知られている。例えば、異なる疾病において、異なるタンパク分解分解産物又は断片を見出すことができる。尿中に含有されるポリペプチドマーカーを化学的に修飾し、化学的に修飾されたこれらのポリペプチドマーカーを測定するために尿試料が前処理されていても、本発明の範囲に属するものと考えられる。本発明のポリペプチドマーカーは、400と20000Daの間、具体的には、700と14000Daの間、さらに具体的には800と11000Daの間の分子量を有する。
本発明の好ましいポリペプチドマーカーは、表1から22に、具体的には表1から21に、より具体的には表1から13に列記されている。内部標準として使用するための好ましいポリペプチドは、表23から24に列記されている。表1に列記されているが、表14及び/又は表15及び/又は表16及び/又は表17及び/又は表18及び/又は19及び/又は20及び/又は21及び/又は22に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表2に列記されているが、表14及び/又は表15及び/又は表16及び/又は表18に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表3に列記されているが、表14及び/又は表16及び/又は表18に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表4に列記されているが、表14及び/又は表16及び/又は表19に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表5に列記されているが、表14及び/又は表16及び/又は表18及び/又は表19に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表6に列記されているが、表14及び/又は表16に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表7に列記されているが、表14及び/又は表16及び/又は表17に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表8に列記されているが、表14及び/又は表16に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表9に列記されているが、表14及び/又は表16及び/又は表20及び/又は表21に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表10に列記されているが、表14及び/又は表16に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。表11に列記されているが、表14及び/又は表16に列記されていないポリペプチドマーカーも好ましい。
本発明の腎疾患は、当業者に公知の腎疾患又は腎機能障害のあらゆる種類、例えば、IgA腎症、MGN(膜性糸球体腎炎)、MCD(微小変化型ネフローゼ症候群)、FSGS(巣状分節性糸球体硬化症)又は糖尿病性腎症に関する。特に、腎疾患は、IgA腎症、MGN、MCD又はFSGSなどの糸球体症に関する。さらに具体的には、腎疾患は、IgA腎症、MCD又はFSGSに関する。最も具体的には、腎疾患は、IgA腎症に関する。
糸球体症は、腎疾患の亜群である。糸球体症は、異なる病因の複数の疾患を含む。糸球体症は、マルピーギ小体、糸球体及びボーマン嚢の病理形態学的な変化によって特徴付けられる。これらの変化の結果、さらなる病理形態学的な変化が、ネフロン及び間隙の他の部分に出現し得る。
IgA腎症は、ベルジェ腎炎としても知られている。IgA腎症は、最も一般的な糸球体症である。IgA腎症は、IgAの増加した血漿濃度を伴う、シェーライン・ヘノッホ紫斑病(アナフィラキシー様紫斑病としても知られている。)の腎臓に限定される特定の形態であり得る。組織病理学的には、糸球体病変及び糸球体間質中のIgAの堆積の全ての形態が含まれる。臨床的には、IgA腎症は、微小及び巨大血尿症(micro− and macro−hematouria)として現れる。ACE阻害剤及びω−3脂肪酸を用いた治療法を試み得る。疾病の進行は、数年にわたって起こり、進行性腎不全への移行を含む。
MGNは、基底膜の肥厚及び顆粒状の上皮下IgG堆積によって特徴付けられる。MGNは、40歳と50歳の間に、しばしば顕在化する。MGNは、しばしば、医薬、例えば、金、D−ペニシラミン又はACE阻害剤によって引き起こされる。MGNの治療は、グルココルチコイド又はシクロホスファミドを用いて試みることができる。MGNは、ネフローゼ症候群であり、進行性腎不全への移行には、数年を要し得る。
MCDは、リポイドネフローゼとしても知られている。MCDは、小児におけるネフローゼ症候群の最も一般的な原因である。本疾病の発症原因は不明である。組織学的には、変化が認められず、又は極めて離散した変化のみを認めることができる。MGNの治療には、グルココルチコイド、シクロスポリンA又はシクロホスファミドを用いた治療が含まれ得る。小児では症例の90%で、成人では症例の50%で、疾病は自然に治癒する。FSGSへの移行が可能である。
FSGSは、IgM腎症としても知られている。FSGSは、典型的には、糸球体間質中へのIgM及びC3の堆積によって特徴付けられる。臨床的には、FSGSは、ネフローゼ症候群として顕在化する。FSGSの治療法には、グルココルチコイド、シクロスポリンA又はシクロホスファミドを用いた治療が含まれ得る。予後は不良であり、進行性腎不全への移行を含む。
糖尿病性腎症は、糖尿病性糸球体硬化症としても知られている。糖尿病性腎症は、透析治療が必要となる最も一般的な原因である。
要約すると、腎疾患には、極めて類似する組織学を示し得る様々な疾患が含まれることが明らかである。しかしながら、各疾病に対する病因、治療及び予後は、極めて異なり得る。例えばIgA腎症は、上記されている何れかの他の糸球体症とは異なる治療を必要とする。すなわち、IgA腎症では、ACE阻害剤を用いた治療を試み得るが、これは、MGNの場合には推奨されない。従って、迅速且つ信頼できる診断が、治療のために極めて重要である。
本発明において、診断する又は診断とは、各患者に関して、それぞれの疾病を有する確率が決定されることを意味する。
予備的診断、特に異なる方法によって確立された予備的診断を確認することも、診断に含まれ得る。
さらに、好ましい実施形態において、本発明の診断は、特に「鑑別診断」に関する。「鑑別診断」という用語は、2つの異なる疾病を区別すること、すなわち、個別の患者に対して、ある第二の疾病を有する確率と比較して、ある第一の疾病を有する確率を決定することに関する。より具体的には、本発明の鑑別診断は、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される少なくとも2つの腎疾患を区別することに関する。
別の実施形態において、本発明は、
a)尿試料中のポリペプチドマーカーの存在又は不存在を測定すること(前記ポリペプチドマーカーは表1から22に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される。)、及び
b)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率を、対照患者におけるこのマーカーの存在の確率と比較すること
を含み、
c1)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より高ければ、このマーカーの存在が、対照症状よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示し、又は
c2)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より低ければ、このマーカーの不存在が、対照症状よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示す、
腎疾患の鑑別診断のための方法に関する。
好ましくは、工程b)における各確率は、表中に示されているとおりである。
本発明における「測定する」という用語は、目的のポリペプチド又は他の物質の存在を決定することに関する。
ポリペプチドマーカーが存在し又は存在しないかどうかという決定は、適切な閾値の定義に依存し得る。閾値は、測定方法の感受性を通じて定義することが可能であり、又は随意に定義することが可能である。本発明における閾値は、実施例1に従って質量分析装置中に注入された試料において25fmol/μLである。しかしながら、この閾値は、他の方法が使用された場合と同一であり得る。この閾値は、典型的な質量分析装置の検出閾値と一致する。この閾値は、50から5000pmol/Lの尿試料中のポリペプチドマーカーの濃度に概ね対応する。異なる閾値が使用される場合(例えば、別の検出方法を用いる場合)、対応する確率は異なり得るが、当業者によって容易に確定することができる。
本発明において「疾病患者」は、腎疾患に罹患している。特に、疾患は、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から得られる少なくとも1つである。
「対照患者」は、健康であり又は疾病患者が罹患しているものとは異なる疾病に罹患し得る。すなわち、対照患者は、健康な状態を呈し又は1つの疾病若しくは疾病群を呈し得る。特に、発病される疾病は、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から得られる少なくとも1つである。
表1から14、16、20、21及び22は、所定のポリペプチドが健康な対照患者又はある一定の疾病に罹患している対照患者の尿試料中に存在している確率(「頻度」とも表記される。)を列記している。識別因子は、所定の対照状態と比較した、疾病の存在確率間の差を示す。識別因子は、それぞれの確率から容易に計算することができる。識別因子が高いほど、所定のマーカーが疾病と対照状態とを区別する能力がより優れている。0.40又はそれ以上の識別因子の絶対値が好ましい。
当業者は、例えば、さらなる患者データに基づいて、及び/又はポリペプチドマーカーの存在に関する異なる閾値に従って、当業者自身で、ポリペプチドマーカーに関する類似の表を確立し及び/又は表中に含有されるデータを精緻化することができる。
診断に関して、疾病患者におけるポリペプチドマーカーの存在の確率は、対照患者におけるこのマーカーの存在の確率と比較され、それぞれの確率は表中に示されているとおりである。疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より高ければ、試料中のこのマーカーの存在は、該試料が由来する患者が対照状態よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示す。疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より低ければ、試料中のこのマーカーの不存在は、該試料が由来する患者が対照状態よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示す。
例えば、あるマーカーがIgA腎症を呈する対照中に存在する確率は73%であるが、健康な状態を呈する対照中に存在する確率は0%であり得る。このマーカーが試料中に存在すれば、個体は、健康な状態であることに比べて、IgA腎症に罹患している73%の確率を有すると診断される。このマーカーが試料中に存在しなければ、個体は、IgA腎症に罹患している代わりに、健康である73%の確率を有すると診断される。
このように、診断は、当業者が習熟する統計学的方法に従って確定することができる。
本発明は、ポリペプチドマーカーの唯一つを用いて又はポリペプチドマーカーの複数を用いて実施することが可能である。好ましくは、ポリペプチドマーカーの複数の存在が測定される。好ましくは、マーカーの少なくとも3つ、より好ましくは、マーカーの少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも20個、最も好ましくは本発明のポリペプチドマーカーの少なくとも50個が測定される。
本発明の利点は、適切なマーカーの多数を提供することである。マーカーの複数を測定することは、診断の感受性と選択性の両方を増加させることができる。従って、他のマーカーと組み合わされれば、疾病と対照間で低い識別因子を示すマーカーも診断のために使用することができる。
ポリペプチドマーカーの複数が使用される場合、測定された各マーカーに対する存在についての情報を含有する「パターン」が生成される。次いで、このパターンは、疾病患者又は対照患者中でのポリペプチドマーカーの存在確率のパターンと比較することができる。各表は、ある種の疾病患者及び対照患者中で所定のポリペプチドマーカーを見出す確率のパターンを表している。
従って、好ましい実施形態において、本発明は、
a)尿試料中のポリペプチドマーカーの複数の存在又は不存在のパターンを確立すること(少なくとも1つのポリペプチドマーカーは表1から22に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される。)、及び
b)疾病患者中でこのパターンを見出す確率を、対照患者中でこのパターンを見出す確率と比較すること
を含み、
c1)疾病患者中で前記パターンを見出す確率が対照患者中で前記パターンを見出す確率より高ければ、このパターンを見出すことが、対照状態よりむしろ疾病を有する確率がより高いことの指標であり、又は
c2)疾病患者中で前記パターンを見出す確率が対照患者中で前記パターン見出す確率より低ければ、このパターンを見出すことが、対照状態よりむしろ疾病を有する確率がより低いことの指標である、
腎疾患の鑑別診断のための方法に関する。
好ましくは、工程b)に従う少なくとも1つのポリペプチドマーカーに対する各確率は、表中に示されているとおりである。
疾病又は対照患者中に該パターンを見出す確率と見出されたパターンを、比較することは、本分野で公知の統計学的方法に従って実施することが可能である。好ましくは、自動化された方法、例えば、CART分析、ランダム・フォレスト解析及びサポートベクターマシン(SVM、例えば、Xiong.M.,et al.(2001).Biomarker identification by feature wrappers.Genome Research vol.11,p.1878−1887)が使用される。比較は、幾つかの異なるパターン及びこれらを見出す確率に対して同時に実行することも可能である。
従って、測定されるパターンは、典型的には、少なくとも2つの異なる状態においてパターンを見出す確率と比較される。この方法に従う腎疾患の診断及び鑑別診断の例は、図3に示されている。
必要であれば、尿試料は、ポリペプチドマーカーの測定前に前処理され得る。特に、脂質、核酸又はポリペプチドは、ろ過、遠心又はクロロホルムフェノール抽出などの抽出方法などの本分野で公知の方法に従って、試料から精製され得る。
ポリペプチドマーカーの存在を測定することは、本分野で公知の何れの方法によっても実施することが可能である。
好ましい方法には、レーザー脱離/イオン化質量分析法、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析法(SELDI−TOFMS)及びCE−MSなどの気相イオン分光法が含まれる。これらの分光法によって、抗体又はアプタマーなどのリガンドに対する必要なしに、ポリペプチドマーカーを測定することが可能となる。
尿試料は、一般に高度に複雑である。すなわち、尿試料は、多数のポリペプチドを含有している。複雑度が高い場合には、分光学的分析は困難となる。試料の複雑度を低下させるために、試料中に含有されるポリペプチドは、何れかの適切な手段によって、例えば、電気泳動分離、親和性を基礎とする分離又はイオン交換クロマトグラフィーに基づく分離によって分離され得る。具体例には、ゲル電気泳動、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)、キャピラリー電気泳動、金属アフィニティークロマトグラフィー、固定化された金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC;immobilized metal−affinity chromatography)、レクチンに基づくアフィニティークロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)及び逆相HPLC、陽イオン交換クロマトグラフィー及び選択的に結合する表面(SELDI−TOFにおいて使用される表面など、下記参照)が含まれる。
2D−PAGEは、ポリペプチドを分離するために一般的に使用されており、質量分析法(MS)と組み合わせて、各ポリペプチドの同定を行うことができる。2D−PAGEを用いて、1000を超えるタンパク質のスポットを識別することが可能である。しかしながら、それぞれの単一のスポットは、同定のために、MS/MSによって別個に分析されなければならない。
現在、SELDI(表面強化されたレーザー脱離/イオン化)飛行時間質量分析法は、生物医科学の多くの分野に応用されている。
SELDIシステムでは、ProteinChipArrayが最も重要な成分である。ProteinChipArrayは、表面上の列内に8又は16のスポットを担持する狭い金属細片である。分析すべき試料は、直立の滴(standing drop)として、又は「バイオプロセッサ」と称される試料保持器を支持単位として使用することによって最大500μLの容量で、スポットに直接適用される。試料は、温置及び洗浄工程の間にアレイ上に配置され、その後、再度除去される。アレイの異なる種類は、疎水性、親水性、陽イオン交換、陰イオン交換又は固定化された金属イオンアフィニティー表面を呈するクロマトグラフィーアレイ及びタンパク質の共有結合を可能とする化学基を有する予め活性化されたアレイという2つの主な系列に属する。好ましくは、陽イオン交換表面を有するチップが使用される。ProteinChipArrayは試料を支持するのみならず、生物分子と特異的に相互作用するので、分析物の組成は使用されるアレイの種類及び適用される洗浄条件に依存する。これは、SELDI−プロセスを、伝統的なMALDI(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化)技術のさらなる発展と定義できる理由を説明する。SELDIプロセスでは、チップ表面に実際に結合するポリペプチドに対してのみ測定が為される。
試料タンパク質の結合後、エネルギー吸収マトリックスが各スポットに適用される。マトリックスは迅速に結晶化し、分析は直ちに開始し得る。
ProteinChip Arrayは、分析のためにProteinChipReader中に配置される。リーダーは、レーザービームの補助を得て、その中でタンパク質が脱離及びイオン化されるTOF(飛行時間)質量分析装置である。結晶化されたタンパク質はスポット表面上に等しく分配されるので、イオン化レーザービームは、常に、分析物中の分子の代表的な平均に該当し、定量的な計算が可能となる。イオン化後、検出器に到達する前に、飛行管を飛行させるために、電場によってタンパク質を加速する。アレイ表面に追突するレーザーと飛行管の末端で検出器に到達する分子との間の飛行時間によって、システムは試料中に存在するタンパク質種の質量を正確に決定することが可能となる(本方法に関するより詳細な情報に関しては、以下の総説:Merchant M and Weinberger SR (2000).Recent advancements in surface−enhanced laser desorption/ionization−time of flight mass spectrometry.Electrophoresis vol.212,p.1164−1177)を参照されたい。)。
しかしながら、最も好ましい方法は、キャピラリー電気泳動(CE)が質量分析法(MS)に連結されているCE−MSである。CE−MSは、他の文献中に詳しく記載されている(例えば、ドイツ特許出願DE 100 21 737、及びKaiser, T.,et al.,Capillary Electrophoresis coupled mass spectrometry to establish polypeptide patterns in dialysis fluids.J Chromatogr A, vol.1013,p.157−171(2003)を参照されたい。)。
CEは、当業者に公知である。簡潔に述べると、電気泳動キャピラリー上に試料を搭載し、最大50kV、典型的には最大30kVの電圧が印加される。典型的なキャピラリーは、融合されたケイ素キャピラリー、すなわち、機械的な支持として、及び機械的な柔軟性を改善するために、外鞘、例えば熱可塑性材料から作られた鞘を含むガラスキャピラリーである。典型的には、キャピラリーには処理が施されない。すなわち、キャピラリーは、その内側の上に水酸基を示す。しかしながら、キャピラリーの内側を被覆してもよい。例えば、識別力を向上させるために、疎水性被覆を使用することが可能である。電圧の他に、典型的には0から1psiの範囲の圧力をかけてもよい。圧力をかけることも可能であり、又は走行中に増加させることもできる。
識別力を向上させるために、試料を搭載する際に、重層プロトコールを適用することも可能である。すなわち、試料の搭載前に、塩基を搭載し、次いで、試料を搭載し、次いで、酸を搭載する。原理は、塩基と酸の間に分析物のイオンを捕捉することである。電圧が印加されると、正の電荷の分析物イオンは塩基の方向に移動する。そこで、分析物イオンは負に帯電し、酸に向けて逆方向に移動し、ここで、分析物イオンは正に帯電する。このスタッキングは、酸と塩基が中和されるまで、繰り返される。次いで、十分に濃縮された試料から分離が開始する。
その中でポリペプチドが可溶性である適切な緩衝液、例えば、リン酸緩衝液中に試料が含有される。CE−MSカップリングに関しては、MSの汚染を避けるために、揮発性溶媒を使用し、ほぼ無塩条件下で作業することが好ましい。例には、アセトニトリル、イソプロパノール、メタノールなどが含まれる。溶媒は、水及び弱酸(例えば、0.1%ギ酸)と組み合わせることも可能であり、後者が分析物をプロトン化する。試料中のポリペプチドは、キャピラリー中での走行時間を決定するサイズ及び電荷に従って分離される。CEは、高い分離力と短い分析時間を特徴とする。
その後のMS分析のために、CEから集められた何れかの画分を、別個のバッチとして分析することが可能であり、又は、連続的なフロー分析を可能とするために、適切なインターフェースを介して、CEシステムを質量分析装置に連結することが可能である。あるいは、別個に分析することができる連続的な「分離トラック」を生成するために、CEからの流れを使用し得る。
質量分析装置では、試料から生成されたイオンは、質量/電荷(m/z)指数に従って分析される。質量分析法を用いて、±0.01%の精度で、10fmol(すなわち、10kDaポリペプチドの0.1ng)を一般的に分析することが可能である。実験的には、0.1fmol未満でさえ分析することが可能である。
質量分析装置のあらゆる種類を使用することができる。質量分析装置において、イオン生成装置は適切な分析装置と組み合わされる。例えば、電子スプレーイオン化(ESI)インターフェースは液体試料からイオンを生成するために最も一般的に使用されるのに対して、MALDIは、個別に加工処理された試料からイオンを生成するために最も一般的に使用される。分析装置の異なる種類、例えば、イオン捕捉分析装置又は飛行時間(TOF)分析装置を利用可能である。ESI及びMALDIの両方を質量分析装置の実質的に全ての種類と組み合わせることができるが、ESIはイオン捕捉と通常組み合わされ、これに対して、MALDIは通常TOFと組み合わされる。
本発明の好ましいCE−MS法は、ESIを介して、TOF分析装置にオンラインで連結されたキャピラリー電気泳動を含む。
CE−MS技術は、高い感受性で、小容量中で、短時間で同時に、数百のポリペプチドマーカーの存在を測定することが可能となる。一旦、ポリペプチドマーカーの存在が測定されたら、測定されたポリペプチドマーカーのパターンが作製され、上でさらに記載されている方法の何れかによって疾病パターンと比較することが可能である。しかしながら、多くの事例では、マーカーの唯一つ又はマーカーの限定された数を測定することが診断に十分である。
ポリペプチド配列は、当業者に周知の方法に従って測定することが可能である(例えば、CS.Spahr et al.(2001).Towards defining the urinary proteome using liquid chromatography−tandem mass spectrometry.I.Profiling an unfractionated tryptic digest.Proteomics vol.1, p.93−107を参照されたい。)。
ポリペプチドマーカーの種類に応じて、さらなる手段によってその存在又は不存在を測定することが可能である。例えば、ポリペプチドが生物学的に活性であれば、その存在は、細胞又は酵素的アッセイによって測定され得る。
ポリペプチドの存在は、目的のポリペプチドへのリガンド結合の使用によっても測定することができる。本発明における結合は、共有結合及び非共有結合の両方を含む。
本発明におけるリガンドは、目的のポリペプチドに結合するあらゆるペプチド、ポリペプチド、核酸又は他の物質であり得る。ヒト又は動物の身体から取得又は精製される場合、ポリペプチドは、例えば、グリコシル化によって修飾可能であることが周知である。本発明における適切なリガンドは、このような部位を介しても、ポリペプチドを結合し得る。
好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、及びアプタマー、例えば、核酸又はペプチドアプタマーが含まれる。多くのポリペプチドに対して、適切なリガンドが市販されている。さらに、適切なリガンドを作製する方法が、本分野において周知である。例えば、適切な抗体又はアプタマーの同定及び作製は、業者によっても供給されている。
本明細書において使用される「抗体」という用語は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体の両方並びに抗原又はハプテンを結合することができるその断片(Fv、Fab及びF(ab)断片など)を含む。
好ましくは、リガンドは、測定されるべきポリペプチドに特異的に結合すべきである。本発明において「特異的結合」とは、リガンドが検査される試料中に存在する別のポリペプチド又は物質へ実質的に結合(と「交叉反応」)すべきでないことを意味する。好ましくは、特異的に結合されたタンパク質又はイソフォームは、他の何れの関連するポリペプチドより、少なくとも3倍高い親和性で、より好ましくは少なくとも10倍高い親和性で、さらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合されるべきである。
特に、検査されているペプチド又はポリペプチドが、例えば、ウェスタンブロット上でのそのサイズに従って、又は試料中での相対的により高いその存在量によって、なお明確に区別及び測定できれば、非特異的結合が許容され得る。
目的のポリペプチドの存在を測定する方法は、(a)ポリペプチドを特異的結合リガンドと接触させる段階、(b)(場合によって)結合されていないリガンドを取り除く段階、(c)結合されたリガンドの存在又は量を測定する段階を含み得る。
リガンドの結合は、本分野で公知のあらゆる方法によって測定することができる。第一に、リガンドの結合は、例えば、NMR又は表面プラズモン共鳴によって、直接測定し得る。第二に、リガンドは、目的のペプチド又はポリペプチドの酵素的活性の基質としての役割も果たし、酵素的反応産物を測定し得る(例えば、例えばウェスタンブロットによって切断された基質の量を測定することによって、プロテアーゼの存在を測定することができる。)。第三に、リガンドは、標識に共有結合又は非共有結合させることができ、リガンドの検出及び測定が可能となる。
標識は、直接又は間接法によって実施し得る。直接標識は、直接に(共有的に又は非共有的に)標識をリガンドに結合することを含む。間接標識は、第一のリガンドへ第二のリガンドを(共有的に又は非共有的に)結合することを含む。第二のリガンドは、第一のリガンドに特異的に結合すべきである。前記第二のリガンドは、適切な標識と結合し得、及び/又は第二のリガンドへの第三のリガンド結合の標識(受容体)であり得る。二次、三次又はより高次のリガンドの使用は、しばしば、シグナルを増加させるために使用される。適切な二次及びより高次のリガンドには、抗体、二次抗体及び周知のストレプトアビジン−ビオチン系(Vector Laboratories,Inc.)が含まれ得る。
リガンド又は基質は、本分野で公知の1つ又はそれ以上のタグでも「タグ化」され得る。このようなタグは、次いで、より高次のリガンドに対する標的であり得る。適切なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン−S−転移酵素、FLAG、GFP、mycタグ、インフルエンザAウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質などが含まれる。ペプチド又はポリペプチドの場合には、タグは、好ましくは、N末端及び/又はC末端に位置する。
適切な標識は、適切な検出法によって検出可能なあらゆる標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素的に活性な標識、放射性標識、磁気標識(常磁性及び超常磁性標識を含む、「例えば、磁気ビーズ」)及び蛍光標識が含まれる。
酵素的に活性な標識には、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びこれらの誘導体が含まれる。検出用の適切な基質には、ジ−アミノ−ベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスファート、Roche Diagnosticsから得られる既成原溶液として入手可能である。)、CDP−StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が含まれる。適切な酵素−基質の組み合わせは、本分野で公知の方法に従って測定することが可能な呈色された反応産物、蛍光又は化学発光をもたらし得る。
典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(GFP及びその誘導体など)、Cy3、Cy5、TexasRed、Fluorescein、Alexa色素(例えば、Alexa568)及び量子ドットが含まれる。
典型的な放射性標識には、35S、125I、32P、33Pなどが含まれる。
従って、本発明における適切な測定方法には、沈降(特に、免疫沈降)、電気化学的発光(電気によって生成された化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、サンドイッチ酵素免疫検査、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA;dissociation−enhanced lanthanide fluoro immuno assay)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、比濁分析、ラテックス強化された比濁法若しくは比濁分析又は固相免疫検定も含まれる。本分野で公知のさらなる方法(ゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウェスタンブロッティング)を、単独で、又は標識若しくは上記他の検出方法と組み合わせて使用することができる。
リガンドは、アレイ上にも存在し得る。前記アレイは、目的のペプチド、ポリペプチド又は核酸に対して誘導され得る少なくとも1つのさらなるリガンドを含有する。前記さらなるリガンドは、本発明において特に興味が持たれないペプチド、ポリペプチド又は核酸に対しても誘導され得る。好ましくは、本発明に係る少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも20個のポリペプチドマーカーに対するリガンドが、アレイ上に含有される。
本発明において、「アレイ」という用語は、一次元、二次元又は三次元配置で、その上に少なくとも2つの化合物が付着又は結合される固相又はゲル様担体を表す。このようなアレイ(「遺伝子チップ」、「タンパク質チップ」、抗体アレイなどを含む。)は、当業者に一般的に公知であり、典型的には、ガラス顕微鏡スライド、ポリカチオン、ニトロセルロース又はビオチン被覆されたスライドなどの特殊コートされたガラススライド、カバーガラス及び、例えば、ニトロセルロース又はナイロンを基礎とする膜などの膜の上に作製される。
アレイは、結合されたリガンド又は少なくとも1つの各リガンドを発現する少なくとも2つのセルを含み得る。
本発明のアレイとして「懸濁アレイ」を使用することも想定される(Nolan JP, Sklar LA.(2002).Suspension array technology:evolution of the flat−array paradigm.Trends Biotechnol.vol.20(1),p.9−12)。このような懸濁アレイでは、担体、例えば、マイクロビーズ又は小球体が懸濁状態で存在する。アレイは、異なるリガンドを担持する異なるマイクロビーズ又は小球体(標識されることが可能)からなる。
本発明は、さらに、他のリガンドに加えて、少なくとも1つのリガンドが担体材料に結合されている、上述のアレイを作製する方法に関する。
例えば、固相化学及び光易分解性保護基に基づいて、このようなアレイを作製する方法が一般的に公知である(US5,744,305)。このようなアレイは、物質又は物質ライブラリーと接触させ、相互作用、例えば、結合又は立体構造の変化に関して検査することも可能である。従って、本発明のポリペプチドマーカーを含むアレイは、前記ペプチド又はポリペプチドに特異的に結合しているリガンドを同定するために使用され得る。
ポリペプチドの配列を決定するために、達成可能な最高レベルまでポリペプチドを精製すべきである。しかしながら、ポリペプチドは、完全に単離される必要はない。例えば、ポリアクリルアミドゲル中でのクマシー染色されたバンドとして検出可能なポリペプチドを有することが十分である。次いで、対応するゲル片を切り出し、次の同定段階のために使用することができる。ポリペプチドの精製後、ポリペプチドをトリプシンで酵素的に消化し、適切な何れかの方法、例えば、質量分析法を用いて、生じた断片の分子量を決定することが可能である。質量分析法を用いると、各ポリペプチドは、断片の特徴的な「フィンガープリント」を示し、データベース検索によるその同定が可能となる。同定されるべきポリペプチドがデータベース中に存在しない場合に、又は、何らかの理由で、研究者がより詳細な性質決定を有することを望むのであれば、ポリペプチド断片は、本分野で公知の方法に従って配列決定することも可能である。
CE−MSによって、ポリペプチド配列を特に容易に決定することができる。各マーカーに対するキャピラリー電気泳動溶出時間は、表中に列記されている。従って、比較的高い純度でポリペプチドを含有する画分を集めることが可能である。単一の画分が十分な材料を含有しない場合には、2以上の実験の画分をプールし得る。
ポリペプチドマーカーの幾つかの配列が、配列番号1から5として列記されている。CE−MSによって測定されたそれらの質量及びそれらの各配列は以下のとおりである。
Figure 2009524029
以下の実施例によって、本発明をさらに説明する。
参加者:
地域倫理委員会の承認を得た後、全ての参加者からインフォームドコンセントを得た。本発明者らは、CE−MSを用いて、正常な尿タンパク質パターンを確立するために、正常な腎機能を有する57人の健康な個体の群を調べた。さらに、本発明者らは、生検によって証明された微小変化型ネフローゼ症候群(n=16;MCD)、膜性糸球体腎炎(n=18;MGN)及び巣状分節性糸球体硬化症(n=10;FSGS)を有する44人の患者を調べた(表1)。
CE−MS分析:
初尿を排出した後、朝に、参加者全員からスポット尿試料を集めた。他の文献に詳しく記載されているとおりに、試料を調製した(Wittke S,Fliser D,Haubitz M,et al:Determination of peptides and proteins in human urine with CE−MS−suitable tool for the establishment of new diagnostic markers.J Chromatogr A 1013:173−181,2003)。CE−MS分析は、MarinerTOF質量分析装置(ABI)に連結されたBeckman Coulter PAC/Eシステムを用いて、以前に記載されているとおりに確立した(Kaiser T Hermann A, Kielstein JT, et al:Capillary Electrophoresis coupled mass spectrometry to establish polypeptide patterns in dialysis fluids.J Chromatogr A 1013:157−171, 2003)。CEキャピラリーは、Beckmanから取得し、ID/OD75/360μm及び長さ90cmであった。用いた移動相は、水中の、30%メタノール及び0.5%ギ酸を含有した。シース流に対して同じ液体を使用し、シース流は2μL/分で付与された。1psiの圧力で、20秒間、試料の注射を行った。これらの条件下で、試料約100nLを注入することができた。試料のスタッキングのために、以下のプロトコールを適用した。1MNHを7秒間注入、試料の注入、2Mギ酸を5秒間注入。その後のCE−MSの走行は、以下の圧力の系列を用いて、+30kVで実施した。0psiで40分、0.1psiで2分、0.2psiで2分、0.3psiで2分、0.4psiで2分、0.5psiで80分。IgA腎症の診断のために、以下の圧力系列を使用した。0.3psiで40分、0.4psiで2分、0.6psiで2分、0.8psiで2分、1psiで80分。各走行後、0.1MNaOHで5分間、CEキャピラリーを濯いだ後、水で5分、走行緩衝液で5分濯いだ。
統計解析:
健康な被験者と腎疾患を有する患者の異なる群とを識別するために、本発明者らは、ランダム・フォレストの方法及び対応するS−Plusプログラムバージョン6/2002 Breiman L:Random Forests(http://oz.berkeley.edu/users/breiman/randomforest2001.pdf)を使用した。この操作において、固定されたサイズの一連のPPサブセットが、全ての候補PPから無作為に選択される。各サブセットに関して、分類及び回帰ツリー(CART;Classification and Regression Tree)解析に記載されている分類ツリーを生成し(Steinberg D, Colla P:CART−Classification and Regression trees. San Diego, CA, Salford Systems 1997)、分類規則を得る。フォレスト予測は、一連の分類規則のクラス票(class vote)の重み付けされていない複数である。サブセット選択が多数であるために、過剰フィッティングは生じない。「アウト・オブ・バッグ」(oob)推定法のために、推定される一般化誤差は不偏である。各ツリーは、学習標本の事例のブートストラップ標本に対して成長させ、ブートストラップ標本中で選択されなかった事例に基づいて、検証を推定する。
さらに、サポートベクターマシンを用いて、群間の識別も実施した。このツールは、高次元のパラメータ空間においてデータを識別するという利点を有する。その高速で、安定なアルゴリズムは、臨床マーカー(Dieterle F,Muller−Hagedorn S,Liebich HM,Gauglitz G:Urinary nucleosides as potential tumor markers evaluated by learning vector quantization.Artif Intell Med 28:265−279,2003)及びDNAアレイのような生物学的分析の異なる領域(Brown MP, Grundy WN, Lin D, et al:Knowledge−based analysis of microarray gene expression data by using support vector machines.Proc Natl Acad Sd USA 97:262−267,2000)において優れた性能を示した。
CE−MSを用いて分析された正常な尿ポリペプチドパターン:
典型的な試料のグラフによる図示(等高線プロット)が、図1に示されている(生データ)。一個体の試料において、800から最大30,000ダルトンの分子量を有する900と2500の間のPPが検出された。より高い分子量を有するCEポリペプチドに対して使用された条件下で、沈殿する傾向がある。従って、一般に、より大きなタンパク質を検出することができないが、幾つか(例えば、アルブミン)を可視化することができる。試料の比較可能性を確保するための内部標準として選択された高い確率で存在するポリペプチドのリストが、表23に示されている。IgA腎症と疑われる患者から得られた試料など、タンパク質が豊富な試料の分析に関しては、より高い圧力をかけ、表24に記載のポリペプチドが内部標準として好ましかった。同じ試料の反復分析は、各試料に対するCE−MS走行の同一条件下で、有意差は全く見られなかった。
1つの例に対するその後の電気データ操作は、図1に要約されている。各走行は、図1の上部に図示されている粗スペクトルをもたらし、3秒ごとに得られた単一スペクトルから構成される(図1拡大)。第一のデータ解析の実行において、CE−MSピークが同定された(図1A)。次に、同位体の分布と連結されたピークの両方を用いて、各ピークの電荷を確認した(図1B)。その結果、図1Cに示されているように、連結されたピークが単一のピークにまとめられ、真の質量が計算された。最初、既知の質量の外部標準を用いて、試料をスパイクした。これによって、その後、尿試料中に高い確率で存在するPPの内部標準を定義することが可能となった。従って、CE時間は、内部標準に対して標準化することができた。平均の尿試料に対してこの技術を適用することによって、質量及びCe−泳動時間という2つのパラメータによって、概ね1000PPを検出し、及び記載/同定することができる。
健康な被験者から得られた尿の検査によって、各個体に対して、検出されたPPの実際の質量とCE時間によって定義されるピークの確立(いわゆるピークリスト)及び等高線プロットがもたらされた。各ピークリストをMS−Accessデータベース中に蓄積し、PPの各々が単一の試料中に出現する確率を計算した。調べた対照試料の90%超に、173のPPが存在した。さらに、試料の75%超に156のPPが存在したのに対して、健康な個体から得た試料の50%超に、さらなる361のPPが見出された。健康な被験者から得られた全ての試料の50%超に、これらの690PPが見出され、「正常なPPパターン」を確立するために使用した。
腎疾患を有する患者から得られた尿をCE−MSで分析した。
44人の患者の各走行から得られたデータを、3つの疾病群の下位群に分けて、分析した。続いて、典型的なPPパターンに相当するこれらのデータベースから得られた値を比較した。各患者群から得られた尿試料中に存在するタンパク質パターンの著しい相同性が群内に見出された。MCD、FSGS及びMGNを有する患者から得られた尿PPパターンの典型例が、図2に示されている。各疾病は、典型的なタンパク質等高線プロットを呈し、500を超えるPPが出現する。続いて、3つの群から得られたデータを、健康な被験者において得られたデータと比較した。表16は、健康な被験者の95%超の尿内に見出された124のPPを示しており、MCD、FSGS及びMGNを有する患者に対する差を明らかにしている。
CE−MSデータを用いた健康な個体と腎疾患を有する患者の識別のための統計解析を適用した。何れかの疾病群中に50%超の確率で存在する800PPのリストを、ランダム・フォレスト解析のために選択した。健康な被験者と腎疾患患者間の識別に対する正確な分類率は、以下のリストに示されているように、96.5%であった。
Figure 2009524029
交叉検証後、81.3%の感受性と94.3%の特異性を得ることができた。学習標本中において、疾病群の識別が達成された。しかしながら、おそらくはFSGS患者が少数であるために、交叉検証を適用したときに、これらはMCDから識別することができなかった。従って、FSGSとMCDを1つの群へ組み合わせた。健康な被験者、MCD/FSGS及びMGN間の識別のために、5つの末端節を有する分類ツリーを構築するために、CARTによって、リストから4つのPPが選択された(表15)。学習標本中の正しい分類率は94.1%であった。交叉検証後、これは、84.3%に低下した(健康な対照に関しては93.8%、MCD/FSGSに関しては71.4%、MGNに関しては92.9%)。
あるいは、同じデータに対してサポートベクターマシンを用いて、統計解析を行った。表16は、この解析で使用されたPPを示している。これらのPPを用いると、完全な交叉検証後での正しい分類は98.0%であった。表17は、MCDとMGN間での識別のために使用したPPを示している。ここでは、完全な交叉検証後での正しい分類は94.1%であった。さらに、それぞれ、92.3%及び89.3%の(交叉検証された)分類率でMCD及びFSGSを有する患者とMGN及びFSGSを有する患者とを分けることが可能であった(表18及び19)。これらの結果は、患者の限られた数を分類するために、サポートベクターマシンを用いた最初のアプローチとして価値を有し得る。患者のデータが増加するにつれて、分類は、さらに向上し、より安定的なものとなる。本結果は、安定な分類のために、適用可能な変数(ポリペプチド)の数は症例(患者)の数に依存し、従って、患者の増加によって、分類のためにさらなるPPを使用できることも示している。
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三次元等高線プロット(左側)としての未精製CE−MS分析(A)から得られた情報の図示。ここでは、健康なボランティアから得られた尿の等高線プロットが示されている。分で表した保持時間(X軸)に対するY軸上の電荷当り質量、シグナル強度が色でコードされている。次に、シグナル/ノイズを計算し、ノイズを除去して、実際のシグナルのみ(B)を残す。ソフトウェアは、同位体分布及び連結された質量の両者に基づいて、実際の質量(C)を計算する。これによって、それらの質量と保持時間によって規定された最大1500のポリペプチドの表が得られる。例として、右下は試料中に見出された17のポリペプチドを示す。CE−t、CE時間(泳動時間);int.強度;m.p.c.、電荷当り質量、cal.m.計算された質量。 健康な被験者(NC)並びに巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、微小変化型ネフローゼ症候群(MCD)及び膜性糸球体腎炎(MGN)を有する患者に対するポリペプチドの等高線プロット(実際の質量)が示されている。各プロットに対する質量上限(すなわち、X軸に沿った最大値)が、各プロットの左上部に示されている。明らかなように、等高線プロットは、健康な被験者と腎疾患群の間で著しく異なる。 腎疾患の診断及び鑑別診断のためのフローシート(例)。Samp.、試料;MS−dat、MSデータ;Disea.、疾病;Y、はい;N、いいえ;n.d.、病気でない;d.n.、糖尿病性腎症、FSGS、FSGS;MGN、MGN;MCD、MCD;IgA、IgA腎症、diff、鑑別診断。

Claims (18)

  1. 腎疾患の診断のための尿試料中の少なくとも1つのポリペプチドマーカーの存在の使用であり、前記ポリペプチドマーカーが、表1から22に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される前記使用。
  2. 腎疾患が、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
  3. 腎疾患がIgA腎症である、請求項1に記載の使用。
  4. 診断が、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される少なくとも2つの疾患の間の鑑別診断に関する、請求項1に記載の使用。
  5. ポリペプチドマーカーが表1から13に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される、請求項1に記載の使用。
  6. ポリペプチドマーカーが表11から13に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される、請求項3に記載の使用。
  7. a)尿試料中のポリペプチドマーカーの存在又は不存在を測定すること(前記ポリペプチドマーカーは表1から22に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される。)、及び
    b)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率を、対照患者におけるこのマーカーの存在の確率と比較すること
    を含み、
    c1)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より高ければ、このマーカーの存在が、対照症状よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示し、又は
    c2)疾病患者におけるこのマーカーの存在の確率が対照患者におけるこのマーカーの存在の確率より低ければ、このマーカーの不存在が、対照症状よりむしろ疾病を有する確率がより高いことを示す、
    腎疾患の診断のための方法。
  8. 段階b)における各確率が表中に示されているとおりである、請求項7に記載の方法。
  9. 対照が健康な状態に相当する、請求項7に記載の方法。
  10. 対照が、特に、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される腎疾患に相当する、請求項7に記載の方法。
  11. ポリペプチドマーカーが表11から13に示されているポリペプチドマーカーの群から選択される、請求項7に記載の方法。
  12. ポリペプチドマーカーの複数、好ましくはポリペプチドマーカーの少なくとも3個、より好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは少なくとも50個を検出することを含む、請求項7に記載の方法。
  13. ELISA、定量的ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、表面プラスモン共鳴、アレイ、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、気相イオン分光法又は質量分析が1つ又は複数のマーカーの存在を検出するために使用される、請求項7に記載の方法。
  14. 試料中のポリペプチドマーカーが、測定前に、キャピラリー電気泳動によって分離される、請求項7に記載の方法。
  15. 質量分析が1つ又はそれ以上のマーカーの存在を検出するために使用される、請求項14に記載の方法。
  16. インビトロでの腎疾患の診断、特に、鑑別診断のためのキャピラリー電気泳動−質量分析法の使用。
  17. 腎疾患が、IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される、請求項16に記載の使用。
  18. IgA腎症、MGN、MCD、FSGS及び糖尿病性腎症からなる群から選択される少なくとも2つの腎疾患の間の鑑別診断のための、キャピラリー電気泳動−質量分析法の使用。
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