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Description
本発明は、請求項1の上位概念に記載された、構成部品を位置決めする標的板、及び、対応する光学システムに関する。
工作物、構成部品又は建設機械の位置決め及び位置合わせは、従来技術では、光学システムによって行われることが多い。これらの光学システムにより、高速、正確かつ非接触な測定という利点が得られる。この位置決めは、例えばこのシステムによる位置決定を介して行うことができるが、この位置決めが、発信器によって発せられる可視光線ビームを基準として「直接」行われることも多い。例えば、位置決めされかつ位置合わせされたレーザ発振器により、基準軸を形成するためのレーザビームが発せられるか、又は(例えば、回転式のレーザを用いて)基準面が張られて定められる。位置を決定するため、ないしはビームを視覚化するため、ふつう能動的又は受動的な標的素子を使用する。
パイプライン敷設においてもパイプを正確に敷設するため、有利には光学システムが使用され、多くの場合に用水路建設レーザ及び標的板を含むレーザ基準システムが使用される。このレーザビームの位置合わせは、重力下げ振りに対して行われることが多いため、このレーザ装置は、ほとんどの場合に傾斜センサを備えている。このレーザは、正しく位置合わせされるか、ないしは既に敷設されたパイプ部分の開始縦穴においてパイプにセンタリングされて位置合わせされる。この場合、レーザにより、(後続の)敷設すべきパイプに対する基準軸としての基準ビームを形成することができる。このため、上記のパイプに標的板を入れる。この標的板は、作業者の方を向いているパイプの(上記の開始縦穴とは反対側の)端部においてパイプ又はその内部にセンタリングされて取り付けられる。上記のレーザ基準ビームが、標的板の(多くの場合に印刷された)標的マークの真ん中に当たる場合、このパイプは正確に位置決め及び位置合わせされているのである。
パイプ敷設は、一般に次の手順で行なう。掘削機又は起重機の操作者が、パイプを溝に降ろす。作業者は、その溝の中又は側に立ち、パイプの位置及び位置合わせを監視する。作業者は、操作者に指示を与え、必要に応じて、パイプの位置を手で位置を正す。この監視は、パイプに固定された又はその中に固定された標的板上の基準信号に基づいて行われる。従来技術の装置の場合のようにコリメートされたレーザビームが、標的板、例えば不透明な板上に円として写像される場合、作業者がビームを基準としてパイプの位置を識別するためには、この作業者の視線は、上記のビームの軸上になければならない。従ってこの作業者は、上記の溝の中にいるか、又はつねにみをかがめてパイプを位置合わせしなければならないのである。近づくことのできない溝においてはこのような装置による位置決めは行うことができない。
作業者が、直立した位置で、ないしはパイプの長手軸から離れた位置で信号を受信できるようにするため、US 5,095,629にはターゲットないしは標的板システムが記載されており、このターゲットないしは標的板システムは、これに当たるレーザビームを透過させて、調整された円錐状の角度範囲にこのレーザビームを偏向させる。このためにターゲットの表面には構造体が設けられて、ビームを所定の方向に、例えば、直立している作業者の方向に誘導するのである。上記のターゲットの表面の構造体は、格子状かつ周期的であるため、所定の角度範囲に輝度が極めて不規則なビームを散乱させるという欠点を有する。所定の方向又は角度において作業者は目を眩ませられ、これに対してこの直ぐ隣の角度において標的板における光点はまったく視認することができない。この輝度の変化によって作業者は悩まされるのである。またこのようなターゲットにより、応用に対して、大きな「サイドローブ」ないしは側方成分が、関係のない方向に形成される。このことが意味するのは、透過したビームが、相応に強度を失ってしまうことである。さら巨視的な構造を有するこのようなターゲットの形成には汚れ、湿気又は機械的な摩耗のような周囲環境の影響を受けやすい。従って上記の表面をカバープレートによって保護しなければならないため、構成にコストがかかってしまう。更に上記のビームを散乱させる表面の構造は、あらかじめ定めた角度範囲に実施され、相応の位置からずれた場合、ビームの投影像は、一層弱くなってしまうか又はまったく識別できないのである。
DE 20 2004 000 503 U1には、ビデオカメラを備えた光学システムが記載されており、ここでは光軸が、敷設すべきパイプの長手方向軸に対して平行に固定に位置合わせされており、その対物レンズは、パイプ開口部の方向を向いている。ビデオカメラとパイプとの間には平面状の、光学的に部分透過性のスクリーンが配置されており、このスクリーンは、ビデオカメラによって鮮明に写されてカメラのビデオモニタに表示される。操作者は、上記のスクリーンにおいてレーザが当たる点を識別することができ、ひいては敷設すべきパイプの位置合わせを識別することができる。ケーブル又は無線によって離れたところから観察ができることにより、現場で操作員は溝に行く必要はない。しかしながらビデオカメラは、複雑な影響を受けやすい光学装置であり、この装置は、厳しい建設作業において損傷されてしまい易いのである。更にこの光学システムにはパイプ端部において電源が必要であるため、それを使用するためには大きなコストが必要である。またこのシステムは、工事現場の作業者に相応の設置及び条件を要求するため、殊に作業の円滑な経過が損なわれてしまう可能性がある。
本発明の課題は、例えばパイプ又は支持システムなどの構成部品を、基準ビームを基準にして位置決めする標的板を提供して、この標的板によってこの基準ビームの視認性を改善することである。
別の課題は、構造が簡単であり、容易に取り扱うことができ、誤操作に対する影響を受にくい標的板を提供することである。
別の課題は、殊に昼間の光における標的板の視認性を改善する標的板と、基準ビームを発するビーム源とを有する光学システムを提供することである。上記の課題は、請求項1又は13の特徴的部分に記載された特徴的構成によって解決され、また従属請求項に記載された特徴的構成によってこの解決手段が更に発展される。
本発明において標的板は、第1及び第2表面と、光学ホログラフィック素子とを有しており、上記の第1及び第2表面は、光学的に透過に構成されており、第2表面は標的マークを有する。上記の標的板には更に(この標的板を用いて)位置決めしようとする構成部材に標的板を配置する支持部又は固定装置を設けることができる。しかしながら標的板を(外部の)支持部/固定部に入れることも可能である。
上記の構成部材を位置決めするため、ビーム源から基準ビームを放射する。このビーム源は有利にはレーザ発信器である。しかしながら以下でビーム源としてのレーザに言及する場合、別の放射源を除外するものではなく、これの放射源も択一的に使用することもできる。上記のレーザの位置及び放射方向は調整可能である。従って基準軸を決定するビームを形成することができるのである。
パイプラインの敷設では、計画したパイプシステムに従って、例えば用水路システムの計画に従ってレーザを調整するか、又は、既に敷設したパイプを基準にしてレーザを配置するかの何れかである。パイプ又はパイプ部品が計画通りに既に敷設されている場合、レーザを第1のパイプの開口部に位置決めし、放射される基準ビームを用いてパイプの長手方向軸を描く。これにより、既に敷設したパイプに(このパイプの第2の開口部に)次のパイプを接続し、上記の基準軸を基準にして配置することができ、下げ振りに対して正確な傾きが維持される。パイプを正確に位置決めするため、標的板を利用することができ、ここでこれは、敷設するパイプの未接続の開口部にこの標的板を配置することによって行われる。この配置は、パイプの長手方向軸、即ちパイプの中心と、標的板の標的指標とを一致させることによって行われる。標的板を配置するため、この標的板とパイプとの位置の安定した接続が行われるようにする。この接続は、有利には水準器を備えた(例えばパイプに固定可能か又はパイプに安定して位置決め可能な)保持部によって行われる。同様に、固定素子を標的板に直接に取付けても良く、又は、標的板がすでに、場合によってはこの標的板と一体に形成した固定機能を備えていても良い。原理的には、あらゆるタイプの固定又は接続を使用することができ、特に、パイプの断面又は位置決めする構成部品の断面に適合させたユニットも使用可能である。
標的板は、第1及び第2の光学的に透明な表面を有する。これらの表面は、標的板本体の表面及び裏面を構成し、例えば、これらの表面は、ガラス体の表面及び裏面とすることができる。機能的な観点から、光学的に透明なプラスチック素子が標的板本体として有利である。2つの面を有するこの本体は、非常に多くの幾何学形状(例、長方形、正方形、又は、円板)で構成することができる。位置決めする構成部品の幾何学形状に適合させても良い。構成部品がパイプの場合、パイプ断面の大きさ及び形状に適合させることができる。
上記の表面又は第1面は、ビーム源側を向いたないしは向くべき面であり、裏面又は第2面は有利には、実質的に第1面に平行でありかつこれとは反対側の面である。上記の本体の断面は、長方形又は正方形が好ましい。それは、殊にこれが簡単かつコスト的に有利に作製できるからである。しかしながらこれにより、状況によっては有利になる他の幾何学的形状を除外するものではない。
透き通った、無色、又は、着色した本体は、光学的に透明で、プラスチック又はガラスから成る。第1面に入射するビームは、このビームに対して透過な表面を通過し、そして、透過な第2面も通過する。このビームは、最終的に、第2面上で、例えば目に見える円形として視覚化される。
本発明の標的板は、ホログラフィック光学素子(以下、HOEと呼称する)を備えており、この素子により、第2面上に視認できる「ビームスポット」を生成し、これを拡げ、所定の立体角範囲に曲げる。
ホログラフィック光学素子は、ホログラフィック記録であり、入射したビームを複雑な3次元の波動場に変換する性質を備えている。例えば、光学素子(レンズ、格子、ミラー、又は、ビームスプリッタ等)の性質をエミュレートすることができる。しかしながら特に、レーザ波の空間コヒーレンスを消失させるホログラフィック構造体が可能である。これによってはじめてこのホログラムの面においてビームスポットを可視化することができる。更に従来の光学システムとは異なり、今日まで実現できなかった極めて複雑なビーム誘導を実現することができる。ここでこれは殊にデジタル式のコンピュータ生成ホログラムであり、このホログラムは、ほぼ任意の回折波動場を形成することができる。
しかしながらこれまでの合成ホログラムをもってしても、例えば本発明の場合に必要になる大きな偏向角を形成することはできなかった。HOEへの基準ビームの入射角も、今日まで、回折効率及び回折特性に不都合な影響を有していたため、ホログラムの後では、散乱光の円錐形は、損なわれていた。また、上記のようなタイプの標的板を、種々異なる色のレーザに対して同時に使用できるが望ましいが、波長範囲が制限されていることにより、さらなる問題が生じていた。別の欠点は、日射下でのUV耐性がないことであった。
この不都合な点が無い合成HOEが、今日入手できる。サブミクロン領域の非常に細かい構造体により、開口数を0.6より大きくするか、又は扇角を75度より大きくすることが可能である。更に、必要とするスペクトル域にわたり、いわゆる「調和回折構造体(harmonic diffractive structures)」によって色収差を除去している。この「調和回折構造」は、1次及び高次回折次数の構造体の組合せである。ランダマイズされた回折構造体、即ち、極めて非周期な回折構造体により、擬似的に色収差の無いビームの偏向がサポートされる。最近では色消しが得られるのにかかわらず、HOEプレートへの入射角の選択性も抑制できるようになっている。調和回折構造体を有する表面は、擬似2次元であり、これにより、3次元構造体に伴うブラッグ条件を回避できる。HOEの後の光学波動場は、第一次近似において、基準ビームに対するホログラフィック表面の傾きに依存しない。
別の利点は、合成HOEの製造方法が効率的なことである。今日では、例えば、熱可塑性プラスチック及び熱硬化性プラスチックから成る材料群からなる種々の光学プラスチックが入手可能であり、これらは、射出成形、圧縮成形又は刻印により、経済的かつ大量にHOEに加工することができる。酸化防止剤又はHALS(立体障害アミン)などの新規な化学的添加剤により、そのUV安定性も確保できる。
本発明の標的板のHOEは、コリメートされたレーザビームに対する光学拡散器として実施される。このホログラフィック拡散器は、ビームを発散させるレンズの作用を備えているか、又は、プリズムとして作用する構造体との組合せで、ビームの発散及びビームの偏向とを組み合わせることができる。この回折効果と並行して、レーザ位相の空間コヒーレンスが低減される。位相関係の少なくとも部分的な消失は、位相ホログラムの場合には大きな偏向角を伴う構造体の擬似確率的な配置に基づき、又は振幅ホログラムの場合には、例えばハロゲン化錯体などの非相関散乱中心に基づく。即ち拡散プレートのエントロピック効果をエミュレーションすることができる。それは、HOEが光学軸に束縛されていないからである。本発明のHOE素子は、公知のように少なくとも一つの位相ホログラム、又は、弱い吸収性の振幅ホログラムを備えている。このホログラムは、次の性質を有している。
・ 80%を越える高透過効率
・ 100度を越える所定の立体角分布
・ 散乱光の円錐での均質な光の分布
・ 零次おける2%未満のエネルギー
・ 基準ビームの偏光に依存しない
・ 一様で低い3次元コヒーレンス
・ モアレ現象が無い
・ 要求される波長範囲にわたる色消し
・ 80%を越える高透過効率
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・ 散乱光の円錐での均質な光の分布
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上記の少なくとも1つの合成ホログラムは、原理的には、既知のあらゆる記録材料、又は、複写材料及びコピー材料に記録又は複写できる。
コンピュータ生成の位相構造体は、所望の特性を有するホログラムを形成するのに都合が良い。回折構造体は、表面レリーフとして形成され、高効率で所望の光学的特性を形成する。勿論、光学的に同様に形成/記録、及び/又は、光学的に複写されるホログラムも、考えられる。適切な支持体材料は、例えば、感光性ガラス、感光性乳剤、又は、光学プラスチックがある。
射出成形法、保圧を伴う射出成形法、又は、圧縮成形に従って作製されるプラスチックは、特に経済的で、所望の散乱特性を備えている。ホログラムの情報は、射出成形又はエンボス成形で表面構造に導入される。UV硬化接着剤、UV触媒無機−有機ハイブリッドポリマ(例、ゾル−ゲル)、又は、複製に適した他のセラミックタイプの材料からなるレプリカによって作製されるホログラムも実現可能である。
上記の射出成形によるホログラフィック形成プロセスに対し、光学的に透明なプラスチック(例、ポリカーボネート、ポリエステル、及び、アクリラート)を使用できる。最近は、シクロオレフィン(COC)及びコポリエステル(COP)が使用されることも多い。
エンボス式ホログラムの製造プロセスでは、所謂マスターホログラムを(原版として)特定の高分解能記録材料(例、フォトレジスト)に露光する。極微小のホログラフィック干渉構造体は現像して表面レリーフにすることができる。電解形成により、公知のようにこの表面レリーフを(例えば)金属化されたシートに刻印できる。これにより、鏡面化したシートに(ホログラフィックマイクロレリーフとして)エンボス式ホログラムが得られる。このエンボス式ホログラムは、機械的に何倍にも複製が可能であり、高い作製数量で低価格に生産できる。フォトレジスト転写マスターホログラムもエッチング技術により、その下にあるガラス基板に直接転写できる。このホログラムは、そのホログラム干渉構造体が特に高品質である。
またコンピュータ生成ホログラム(CGH)も有利であり、このホログラムはコンピュータで容易に計算でき、計算した構造体は感光層に書き込まれる。デジタル生産プロセスは、近年、成熟して来たものである。アナログ式に形成されたホログラムとは異なり、数値式の手法による回折作用の形成は、はるかに柔軟性が有り、実際には略無制限である。このデジタル方式により、供給される材料の範囲が大きく拡大された。アナログ式ホログラフィの場合には感光性記録層を有する写真材料が必要になるのに対し、(例えばレーザ制御のリソグラフィックプロセスを用いた)デジタル方式では、画像情報を適切な支持体材料に転写できる。
上記の構造体を合成によって形成することにより、出射光ビームを形成するための選択肢が格段に拡がる。特に多段レリーフ構造体に対しては、90%を越える回折効率を達成可能である。
更にホログラフィック拡散器を相応に実施することにより、受け取った放射線を、所望の方向又は所望の立体角範囲に非常に均一に分散させることができる。使用するビーム源の不規則なエネルギー分布を除去し、また後方散乱作用又は所望範囲外の方向への散乱を実質的に除去することができ、ビームは、所望の方向に実質的に損失無しに誘導される。散乱しない光による損失は、1%未満となる。従って、拡散器から出射されるビームのエネルギー分布を(水平及び垂直方向に)非常に正確に制御することができる。特に、ビームをほぼ任意の所望の形状で立体角範囲に誘導できる。
ホログラフィック拡散器の表面レリーフが、横方向に不規則な構造を有している場合、均質な強度の均一な光の分布が得られる。更に、軸方向の確率的構造体(stochastic structure)により、波長に依存しない強い散乱作用が軸方向に得られる。上記のレリーフ構造体のタイプおよび精度により、散乱円錐における光分布を構成することができる。上記の確率的構造体を適切に選択することにより、ほぼ均一に位相を混合することができる。観察者の位置での光学位相差の差異は、100波長を上回り得る(100を越えるフレネル帯の数)。したがって散乱円錐は、ランダムな回折の円錐から成り、ここでは複数の回折次数が非常に混在している。均質に照明され、垂直及び/又は水平に拡がった立体角範囲の場合、上記の発散ビームは、多数の方向から識別可能である。特に、回折構造体を設計して、拡散器背後の放射強度が散乱角度に依存しないようにすることができる。送信効率、及び、回折効率又は散乱効率を(古典的な拡散器に比して)増大させるにより、例えば2倍にすることにより、ビームの輝度が増大し、ひいてはビームの視認性が相応に増大する。
ホログラフィック光学拡散器によって誘導されるビームの立体角範囲は、拡散器の構造を介してほぼ任意に構成できる。したがって円形、楕円形、正方形、又は、長方形の角度分布を備える拡散器を作製可能である。円錐形の扇内での光の分布は、シルクハット分布、余弦分布、n乗の余弦分布、双極子分布又は四極子分布、及び、別の多数の角度分布とすることが可能である。
図1は、本発明による、パイプを敷設する際に使用される標的板Zを有するシステムを示している。ビーム源としてのチャネルレーザLは、既に敷設した第1パイプR1の長手方向軸に沿って基準ビームRSを発する。第2パイプR2には本発明の標的板Zが、センタリングされて固定されている。標的板Zは、2つの表面(基準ビームRSの方向を向きかつパイプ内部にある第1表面及び第2パイプR2から見える第2表面)を有しており、また基準ビームに対して透明に構成されており、例えば、乳白ガラスまた着色ガラスによって構成されている。基準ビームRSの位置は、標的板Zの第2表面F2上に表示される。この実施例において長方形の標的板Zは、極座標を有しており、即ちその表面の中心点を中心として対称であり、またパイプ軸に対して対称にパイプ中心に配置されているため、複数の同心円状のマーキングラインを有しており、極座標のグリッドの原点が、標的マークZMである。上記のマーキングラインは、第2表面F2に印刷されている。標的マークZMと、標的板上に表示される基準ビームRSとが一致する場合、第2パイプR2は、第1パイプR1に対し正確に位置決めされている(図1参照)。パイプを敷設するためには、例えば起重機により、準備の整った溝にこのパイプを降ろす。溝の中又は側にいる作業者Aは、起重機の操作者に指示を与える。このためには標的板Z上の基準ビームの表示が、作業者Aに明確に認識される必要がある。標的板Z上の基準ビーム位置の認識性/視認性を向上するため、本発明では、この標的板の第2面F2に、ホログラフィック光学素子であるホログラフィック構造が実現されており、このホログラフィック光学素子は、例えば基準ビームRSを所期のように拡げるシートである。ここではこのホログラフィック素子は、上記の基準ビームRSが、水平方向及び垂直方向に延びる立体角成分dΩで円錐形に誘導ないしは拡げられる放射特性を有するように実施される。これにより作業者Aは、標的板Z上の基準ビームRSの位置を、パイプ又はビーム軸から遠く離れた位置(例、溝の外)からでも認識できる。
本発明で使用されるホログラフィック標的板Zは、回折効率が高いという利点を備えている。更には、機能的な立体角成分dΩの外側には実質的にビームは存在しない。これにより、既知の拡散パネルと比較して、基準光点の視認性がほぼ2倍になる。横方向だけでなく深さ方向にもランダマイズを行う上記のホログラフィック構造により、このホログラムによって形成される見かけ上の光源の放射輝度も、またこれによって機能的な立体角成分dΩ内の視認性も均一になる。副波長領域における間隔の細かい新たなリレーフ構造に起因して、50度を越える大きな偏向角が達成できるため、角度が大きい場合であっても、基準ビームRSを引き続いて視認できる。
視認性は、プラスチックの支持板を視覚的に明るくすることによって更に高めることができ、このプラスチック支持板は、例えば、上記の光学プラスチックの粒子に蛍光指示薬を混入することによって実現可能である。
部分図2A,2B,2Cには、ホログラフィック光学散乱素子を備えた本発明による標的板の実施形態が示されている。平面的な構造の他に、これとは異なる形状又は表面も標的板Zとして使用できるため、機能が同じであれば、例えば、曲面又は空間的に拡げた対象体も標的板Zとして使用できる。
図2Aには、標的板基体として、コーナを平らにした支持板TPを有する本発明の標的板Z1の第1実施形態が示されている。支持板TPは、透明のプラスチックから構成されており、また第1及び第2表面F1’及びF2’を備えている。第2表面F2’には、同心のマーキング円Kが刻まれており、これらの円は、極座標系で見て扇形に区画されており、また最も内側の円が標的マークである。灰色の面積部分で示したホログラフィック拡散器Dは、第2表面F2’に接着されている。拡散器Dは、透明シート上のビーム形成素子として、例えば透過型ホログラムの形態で実施されている。入射光は、支持板TPを通して透過し、拡散器Dにおいて回折され、あらかじめ定めされた立体角範囲で均一に拡がるビームとしてこの拡散器Dを離れる。このホログラフィック拡散器Dにより、入射ビームは、効率良く従ってほぼ損失なしにあらかじめ定めた立体角範囲に散乱される。
図2Bには、正方形のホログラフィック拡散器シートD’を備えた板TP’を保持部Hに有する第2実施形態が示されている。この保持部Hには、本発明の標的板Z2を容易にパイプ(又は他の構成部品)に配置できる。この場合、保持部Hにおける高さ調整装置HVにより、標的板Z2をスライドさせて、センタリングマークK2と、構成部品の軸とを一致させる。この第2実施形態では、極座標ではなく直線的な直角座標が、使用者を向いた側に刻まれている。ここでは垂直に立てるため、水準器Wが設けられている。これにより、基準ビームから逸れる傾きを調整又は検査することができる。
図2Cには、円形の標的板Z3として実施された本発明による標的板の第3実施形態が示されている。2つの表面を有するプラスチック体Gにより、標的板Z3の基体が形成されている。プラスチック体Gの一方の表面には、標的中心部ZZを定める円が取り付けられている。計算機で合成され転写されたホログラムを有するプラスチック支持材料Tは、標的板Z3のホログラフィック拡散器であり、このプラスチック支持材料Tは、ここでも例えばダイスによってプレート状に切られており、標的板Z3の形状に適合化されている。本発明の標的板Z3は、この実施形態において4つの固定素子B1,B2,B3,B4を備えている。これらの固定素子は、取り外し可能であるか、又はプレートから取り外しができないように、例えば一体に接続することができる。図示の実施例では、固定素子B1,B2,B3,B3は、標的板Z3をパイプの外壁に固定する留め具を有しており、これらの留め具は図において、図の紙面から後方に向かって延びている。これらの固定装置は、長さが調整可能であり、異なるパイプ径に適応できる。択一な選択肢は、半径方向に延びた複数のばね緩衝器であり、これらのばね緩衝器により、標的板Z3を自動的にパイプ中央にセンタリングして保持することができる。有利には留め具の径も調整可能であり、種々異なるパイプ壁厚に適合させることができる。図2Cの右側には、固定素子B2の留め具KLの一例を拡大した平面図が示されている。
部分図3A及び3Bには、放射特性の異なる2つのHOEが示されている。簡単な解決手段に対し、例えば、ホログラムを刻印したホログラフィック光学素子、射出成形したホログラフィック光学素子、又は射出成形して刻印したホログラフィック光学素子を使用する。それはこれらの光学素子が、大量生産できるからである。フォトリソグラフで形成される構造体(記録は複数のステップで行うことができ、ひいてはより一層正確である)では、これら構造体は、所謂マスターホログラムをベースにしてコピーされる。この場合、このマスクーホログラムから、数千ないし数十万の複製物を作製することができる。上記の構造体及び放射特性は、ほぼ任意に選択することができる。
図3Aでは、ホログラフィック拡散シートD’’により、円錐状に照明される角度領域dΩ’が得られ、この角度領域では、ビーム強度Vが均一かつ一定に分布している。図3Bでは上記のビームが、拡散シートD’’’により、余弦分布又はランバート分布のビーム強度を有する長方形の領域dΩ’’に誘導される。このようなホログラフィック光学素子により、ガウス分布のビームプロフィールを有するレーザ光の場合のような不規則な光源のビームも均一化することができる。即ち、レーザビームの衝突点には依存せずに、各空間領域を均一かつ高い強度で照明することができるのである。有利にはランバート分布のビーム強度は、立体角範囲dΩ’’内にある。ランバート分布のビーム強度V’では、見かけ上の光源、例えば標的板上の光点は、それぞれの視野角においても平均すると明るさは同じである。ホログラフィック拡散器を用いた正確な誘導により、所望の形状を有する立体角領域にビームをほぼ損失なしに向けることができ、またこのビームの視認性を従来の拡散器よりもほぼ2倍にすることができる。それは、例えば、立体角領域dΩ’’の外側では実質的に光出力が消えないからである。
HOEによりビームを誘導することのできる角度範囲に対して種々異なる形状、例えば幾何学形状は、部分図4Aないし4Dに示されている。線は、最大値の50%のビーム強度(FWHM=半値全幅)におけるそれぞれの円錐形の立体角範囲の幅をマークしている。図4A及び4Bには楕円形の角度範囲E1ないしE4が示されており、ここでは楕円は、拡散器構造に応じて水平方向又は垂直方向に別々に延びることができる。上記の光分布のビーム強度は、円錐範囲内で任意のプロフィールをとることができる。例えば、ランバート分布の場合、観察者に対する平均放射輝度又は視覚的な輝度は一定である。上記の円錐状領域の外側では、ビーム強度を0にして、ビーム出力が損失しないようにしたい。図4Cには、円形領域K1及び正方形領域Q1が略示されている。図4Dには、第1長方形R1及びこの第1長方形を90度回転した第2長方形R2が示されている。ここから明らかであるのは、HOEにより、実施の仕方ないしはプロフィールに従って別の角度範囲、円錐状ではない角度範囲を照明できることである。これは、例えば、空間的に離れた2つのホログラムを、例えば、支持板の入射側のホログラムと、出力側の別のホログラムをを使用する場合に得ることができる。更に空間的に離れた2つのホログラムによれば、レーザビームの空間コヒーレンスを完全に打ち消すことができる。この場合、全光出力は、観察者にとっては、ホログラム上の見かけ上の光源から出力されるように見える。更にこのようなホログラム配置構成によって可能になるのは、レーザビームの強度プロフィールに依存せずに、標的板そのものにおける光点を均一化することである。
Claims (13)
- 構成部材、例えばパイプ(R1,R2)を位置決めする標的板(Z,Z1,Z2,Z3)であって、
該標的板は、
− 場合によっては、前記の構成部材に又は構成部材内に殊にセンタリングして配置するための保持部(H)と、
− 光学的に透過な第1表面(F1)と、
− 光学ビーム源から発する基準ビーム(RS)を視覚化するための標的マーク(M)を有する光学的に透過な第2表面(F2)とを有する、標的板において、
前記の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)は、前記の基準ビーム(RS)を所定の立体角範囲(dΩ,dΩ’,dΩ’’)に拡げて回折するためのホログラフィック素子を有しており、
該ホログラフィック光学素子は、レーザビームの位相に対し、少なくとも部分的に位相を消失させて、前記の空間コヒーレンスが低減されるように構成されている、ことを特徴とする標的板。 - 前記のホログラフィック光学素子は、光学的に透過に構成されている、
請求項1記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記ホログラフィック光学素子が、
− ホログラフィックプレート、又は
− ホログラフィックシート、又は
− ホログラフィックフィルム
を有する、請求項1又は2に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記ホログラフィック光学素子が、少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムを有している、ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。
- 前記のホログラフィック光学素子が、混合次数回折構造を有する、
請求項1から4までの何れか1項に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記のホログラフィック光学素子は、成形可能な表面レリーフを有する、
請求項1から5までの何れか1項に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記のホログラフィック光学素子を構成して、基準ビーム(RS)の拡がり及び回折が
− 正方形、又は
− 長方形、又は、
− 楕円形、又は
− 円形の立体角範囲(dΩ,dΩ’,dΩ’’)にて行われるようにした、
請求項1から6までの何れか1項に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記立体角範囲(dΩ,dΩ',dΩ'')が、水平の角度範囲が±45°、及び/又は、垂直の角度範囲が±45°の少なくとも1つ含む、ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。
- 前記のホログラフィック光学素子を構成して、
照明される立体角領域(dΩ,dΩ’,dΩ’’)において光分布が、
− 均質/一定の分布、
− 余弦分布、
− n乗余弦分布、
− 双極分布、
− 四極子分布、又は
− ランバート分布の経過を有するようにした、
請求項1から8までの何れか1項記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 0次回折次数における光出力は2%未満である、
請求項1から9までの何れか1項記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 前記散乱効率が、±15度の前記標的板(Z,Z1,Z2,Z3)に対し、前記基準ビーム(RS)の入射角の少なくとも1つの範囲で、10%以下だけ減少することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。
- 前記のホログラフィック光学素子が、例えば接着によって第2表面(F2)に配置されている、
請求項1〜11までの何れか1項に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)。 - 構成部材、例えばパイプ(R1,R2)を位置決めするため光学システムにおいて、
該光学システムは、
− 基準ビーム(RS)を発する光学式ビーム源と、
− 請求項1から13までの何れか1項に記載の標的板(Z,Z1,Z2,Z3)とを有することを特徴とする、
光学システム。
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