JP2009515303A - バイオアノード、バイオカソード、およびバイオ燃料電池における酵素を使用する直接電子移送 - Google Patents

バイオアノード、バイオカソード、およびバイオ燃料電池における酵素を使用する直接電子移送 Download PDF

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Abstract

電子伝導体と、少なくとも1種のアノード酵素またはカソード酵素と、酵素固定化物質とを含む、バイオアノード、バイオカソードおよびバイオ燃料電池。アノード酵素は、燃料流体と反応して燃料流体の酸化形態を生成することができ、電子を電子伝導体へ放出することができる。カソード酵素は、酸化剤と反応して水を生成することができ、電子を電子伝導体から獲得することができる。アノード酵素およびカソード酵素の両酵素用の酵素固定化物質は、酵素を固定化し、安定化することができ、燃料流体および/または酸化剤に対して透過性である。

Description

本発明は、一般に、生物学的酵素系燃料電池(バイオ燃料電池としても知られている)、ならびにその製造方法および使用に関する。特に、本発明は、燃料流体と電子伝導体との間で直接電子を移送することができる酵素を含むバイオアノード、バイオカソードおよびバイオ燃料電池、ならびにそれらの製造方法および使用に関する。
バイオ燃料電池は、化学反応に由来するエネルギーを、生体細胞および/またはそれらの酵素の触媒活性によって電気エネルギーに変換する電気化学デバイスである。バイオ燃料電池は、一般に、複合分子を使用して、酸素を水に還元するために必要な水素イオンをアノードで発生させる一方で、電気的用途に使用するための自由電子を発生させる。バイオアノードは、燃料の酸化時に電子が放出されるバイオ燃料電池の電極であり、バイオカソードは、アノードからの電子およびプロトンが触媒によって使用され、過酸化物または酸素を水に還元する電極である。バイオ燃料電池は、電気化学反応を触媒するために使用される物質が、従来の燃料電池とは異なる。バイオ燃料電池は、触媒として貴金属を使用するのではなく、酵素などの生物学的分子に依存して反応を行う。
ほとんどのバイオアノードおよびバイオカソードは、電子メディエータを含有する。しかし、電子メディエータを含有するバイオアノードおよびバイオカソードでは、電子メディエータの寿命が短縮し、安定性が低下し、熱力学が不利となり、活性が低くなる場合がある。したがって、電子メディエータを含有することによる課題を有しないバイオアノードおよびバイオカソードが必要とされる。
本発明の種々の態様の中には、電子伝導体と、少なくとも1種のアノード酵素と、酵素固定化物質とを含むバイオアノードがある。アノード酵素は、燃料流体と反応して燃料流体の酸化形態を生成することができ、かつ電子を電子伝導体に放出することができる。酵素固定化物質は、酵素を固定化し、安定化することができ、燃料流体に対して透過性である。
別の態様は、電子伝導体と、少なくとも1種のカソード酵素と、酵素固定化物質とを含むバイオカソードである。カソード酵素は、酸化剤と反応して水を生成することができ、かつ電子を電子伝導体から獲得することができる。酵素固定化物質は、酵素を固定化し、安定化することができ、酸化剤に対して透過性である。
さらに別の態様は、燃料流体と、上記バイオアノードと、上記バイオカソードとを含むバイオ燃料電池である。さらなる態様は、燃料流体と、上記バイオアノードと、カソードとを含むバイオ燃料電池である。また、別の態様は、燃料流体と、アノードと、上記バイオカソードとを含むバイオ燃料電池である。
本明細書に記載するバイオ燃料電池を使用して電気を発生する方法は、アノードまたはバイオアノードで燃料流体を酸化し、カソードまたはバイオカソードで酸化剤を還元ことを含む方法である。
本発明は、電子伝導体に直接電子を移送することができる酵素を含むバイオアノード、バイオカソードおよびバイオ燃料電池に関する。換言すれば、バイオアノードおよびそのようなバイオアノードを含むバイオ燃料電池は、電子を電子伝導体に放出することができるアノード酵素とバイオカソードとを含み、そのようなバイオカソードを含むバイオ燃料電池は、電子を電子伝導体から獲得することができるカソード酵素を含む。酵素と電子伝導体との間で電子移送するこの能力は、電子メディエータをレドックス反応の近傍に移送しなければならずかつ高効率レドックス反応を促進するための適切な局部的濃度を持たない効率の悪い電子媒介システムに比べ、非常に有利である。該システムにおいて電子メディエータを除くことによって、電子メディエータの物質移送によって反応速度が制限されなくなり、したがって、より効率的でありうる。さらに、酵素が電子伝導体に固定化されると、反応体(酵素および燃料流体)を電子伝導体に近接させることによりレドックス反応速度を最大にすることができ、従って、該電子伝導体が生成する電子を集めることができる。
さらなる実施形態では、本発明のバイオ電極アッセンブリは、向上した酵素安定性を有する。バイオカソードまたはバイオアノードでの用途では、固定化物質は、機械的および化学的安定性を提供するバリアを形成する。したがって、酵素は、既知のものよりも長期間にわたって安定化される。本発明において、バイオ燃料電池が少なくとも約7日間から約730日間の連続運転を行い、酵素が初期触媒活性の少なくとも約75%を保つ場合、酵素は「安定化されている」ことになる。
I.バイオ燃料電池
本発明の種々の態様のうち、バイオ燃料電池は、燃料流体を利用して、電極中の固定化酵素によって、電極で発生する酵素媒介レドックス反応を介して電気を発生させる。標準的な電気化学電池におけるように、アノードは、電子の放出を並行して伴う、燃料流体の酸化反応のための部位である。電子は、アノードから電気コネクタを通って、ある電力消費デバイスに向かう。電子は、該デバイスを経て他方の電気コネクタへ移動し、該電気コネクタが電子をバイオ燃料電池のバイオカソードへ移送し、そこで電子が使用されて酸化剤を還元し、水を生成する。このように、本発明のバイオ燃料電池は、その外部にある電気負荷のためのエネルギー源(電源)として作用する。燃料流体のレドックス反応を促進するために、電極は、電子伝導体と、酵素と、酵素固定化物質とを含む。
バイオカソードでは、バイオアノードで発生した電子が、バイオカソードの電子伝導体に流れ込む。そこで、電子は、電子伝導体から電子を獲得することができるカソード酵素と接触する。種々の実施形態では、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質が存在し、これは、酵素を固定化し、安定化することができる。
本発明のバイオ燃料電池は、バイオカソードおよび/またはバイオアノードを含む。一般に、バイオアノードは、燃料流体の酸化を起こす構成要素を含み、これによって電子が放出され、外部の電気負荷に向かう。得られた電流は、電気負荷に電力を供給し、次いで、電子は、バイオカソードに向かい、バイオカソードでは酸化剤が還元されて水が生成される。
A.バイオカソード
本発明によるバイオカソードは、電子伝導体と、酵素固定化物質に固定化された酵素とを含む。一実施形態では、これらの成分は、互いに隣接している。すなわち、適切な手段によって物理的または化学的に接続されている。
1.電子伝導体
電子伝導体は、電子を通す物質である。電子伝導体は、材料を介して電子を通すことができるものであれば、性質上、有機物であっても無機物であってもよい。電子伝導体として、炭素材料、ステンレス鋼、ステンレス鋼メッシュ、金属導電体、半導体、金属酸化物または変性導電体が挙げられる。好ましい実施形態では、電子伝導体は炭素材料である。
特に適切な電子伝導体は、炭素材料である。代表的な炭素材料は、炭素クロス、炭素ペーパー、カーボンスクリーン印刷電極、炭素ペーパー(東レ)、炭素ペーパー(ELAT)、カーボンブラック(バルカンXC-72、E-tek)、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラス状炭素、およびメソ多孔性炭素である。さらに、他の代表的な炭素材料として、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、剥離精製フレーク状グラファイト(Superior(登録商標)グラファイト)、高性能グラファイトおよび炭素粉末(Formula BT(商標)、Superior(登録商標)グラファイト)、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイトおよび多結晶グラファイトがある。好ましい電子伝導体(サポート膜)は、炭素クロスのシートである。
さらなる実施形態では、電子伝導体を、金属導電体で作成することができる。適切な電子伝導体は、金、白金、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステン、および電極の製造に適切な他の金属から製造することができる。さらに、金属導電体である電子伝導体を、コバルト、炭素、および他の適切な金属で作られたナノ粒子で構成することができる。他の金属電子伝導体として、銀メッキニッケルスクリーン印刷電極が挙げられる。
さらに、電子伝導体は、半導体であってもよい。適切な半導体材料として、ケイ素およびゲルマニウムが挙げられ、これらは、他の元素でドープすることができる。半導体は、リン、ホウ素、ガリウム、ヒ素、インジウム、またはアンチモン、あるいはこれらの組合せでドープすることができる。
他の電子伝導体として、金属酸化物、金属硫化物、主族化合物(すなわち、遷移金属化合物)、および電子伝導体で変性された材料が挙げられる。この種の代表的な電子伝導体には、ナノ多孔質酸化チタン、酸化スズ被覆ガラス、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、チッ化ホウ素ナノチューブ、炭素などの導電性材料で変性されたエアロゲル、炭素などの導電性材料で変性されたゾルゲル、ルテニウム炭素エアロゲル、および炭素などの導電性材料で変性されたメソ多孔質シリカがある。
種々の好ましい実施形態では、電子伝導体は、炭素クロス、カーボンナノチューブ、膨張グラファイトワーム、炭素ペースト、およびこれらの組合せである。より好ましくは、電子伝導体はカーボンナノチューブである。
2.酵素
本発明によれば、酵素はバイオカソードで酸化剤を還元する。一般に、2個以上のレドックス中心を有する酵素が、本発明のバイオカソードおよびバイオ燃料電池に有用である。たとえば、ビリルビンオキシダーゼは、供与基質から電子を受容するT1銅中心と、酸素を還元するT2〜T3電子供与クラスターとを有する4原子銅コアを有する。いかなる理論にも縛られるものではないが、2個以上のレドックス中心を有する多くの酵素は、電子伝導体へのおよび電子伝導体からの電子移送用の、それ自体の内部メディエータとして作用しうることが考えられる。バイオカソード用の代表的な酵素として、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、パーオキシダーゼ、またはこれらの組合せがある。種々の好ましい実施形態では、酸化剤が酸素である場合、酵素はビリルビンオキシダーゼである。いくつかの実施形態では、酸化剤が過酸化物の場合、酵素はスーパーオキシドジスムターゼである。
3.酵素固定化物質
酵素固定化物質は、バイオ燃料電池において、バイオアノードおよび/またはバイオカソードで利用される。一実施形態では、バイオアノードの酵素固定化物質は、燃料流体に対して透過性であり、酵素を固定化し、安定化する。固定化物質は、燃料流体に対して透過性であるので、バイオアノードでの燃料の酸化反応は、固定化酵素によって触媒されうる。
一般に、酵素は、バイオカソードおよび/またはバイオアノードで、レドックス反応を触媒するために使用される。本発明によるバイオアノードおよび/またはバイオカソードにおいて、酵素は、酵素を固定化し、かつ安定化する酵素固定化物質中に固定化される。通常、溶液中の遊離酵素は、数時間から数日の間にその触媒活性を失うが、その一方で適切に固定化され、安定化された酵素は、少なくとも7日間から約730日間にわたってその触媒活性を保つことができる。触媒活性の保持は、酵素が初期活性の少なくとも約75%を有することと定義され、触媒活性は、化学発光、電気化学、UV-可視光、放射化学、または蛍光アッセイによって測定することができる。バイオ燃料電池が、少なくとも7日間から約730日間にわたって連続的に電気を発生する間、酵素は、その初期活性の少なくとも約75%を保持する。
固定化酵素は、その触媒活性を保ちつつ、酵素固定化物質の特定の領域内に物理的に閉じ込められている酵素である。担体結合法、架橋法および封入法を始めとする様々な酵素固定化方法がある。担体結合法は、酵素を水不溶性担体に結合するものである。架橋法は、2官能性または多官能性試薬により、酵素の分子間架橋を行うものである。封入法は、酵素を、半透過性材料の格子中に組み込むものである。特定の酵素固定化方法は、酵素固定化物質が、(1)酵素を固定化し、(2)酵素を安定化し、(3)燃料流体または酸化剤に対して透過性である限り、それほど重要ではない。
酵素固定化物質の燃料流体や酸化剤に対する透過性および酵素の固定化に関して、種々の実施形態では、該物質は、酵素よりも小さい化合物に対して透過性であるものである。換言すれば、酵素固定化物質は、燃料流体や酸化剤化合物が該物質を通り抜ける動きを可能にするため、該化合物は酵素に接触することができる。酵素固定化物質は、酵素固定化物質を通り抜ける化合物の動きを可能にしながらも、酵素固定化物質内の実質的に同じ空間に酵素を拘束する内部孔、チャネル、開放部、またはこれらの組合せを含むような形態で製造することができる。そのような拘束により、酵素はその触媒活性を保つことができる。種々の好ましい実施形態において、酵素は、該酵素と実質的に同じ寸法および形状の空間に閉じ込められ、その中で酵素は、実質的に全触媒活性を保つ。孔、チャネルまたは開放部は、上記要件を満足し、固定化される特定の酵素の寸法および形状に依存する物理的寸法を有する。
種々の実施形態では、酵素は、酵素固定化物質の孔内に配置されるのが好ましく、該化合物は、移送チャネルを通って、酵素固定化物質の内側および外側へ移動する。孔および移送チャネルの相対寸法は、孔は酵素を固定化するのに十分な大きさであればよいが、移送チャネルは非常に小さく、酵素がその中を移動することはできない。さらに、移送チャネルの直径は、少なくとも約10nmであることが好ましい。さらに別の実施形態では、孔径の移送チャネル径に対する比は、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上である。さらに別の実施形態では、移送チャネルの直径が少なくとも約10nmであり、かつ孔径の移送チャネル径に対する比が、少なくとも約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1またはそれ以上であることが好ましい。
酵素の安定化に関し、酵素固定化物質は、化学的および物理的なバリアを提供し、酵素変性を阻止または妨害する。この目的のため、酵素固定化物質は、酵素を物理的に閉じ込め、酵素が開放されるのを阻止する。酵素が囲まれた三次元構造体から開放されるプロセスは、酵素変性の一メカニズムである。一実施形態では、固定化物質は、酵素がその触媒活性を少なくとも約7日間から約730日間にわたって保持するように、酵素を安定化するのが好ましい。触媒活性の保持は、酵素が、バイオ燃料電池の一部として電気を連続的に発生させながら、その初期活性の少なくとも約75%を保持する日数によって定義される。該酵素活性は、最初の時点で、特性の強度を測定する化学発光、電気化学、UV-可視光、放射化学、または蛍光アッセイによって測定することができる。通例、蛍光アッセイが、酵素活性を測定するために使用される。溶液中の遊離酵素は、数時間から数日間でその触媒活性を失う。したがって、酵素の固定化は、安定化に関して大きな利点を提供する。別の実施形態では、好ましくは、固定化酵素は、その初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約5、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730日間またはそれ以上保持し、少なくとも約80%、85%、90%、95%またはそれ以上の初期触媒活性を、少なくとも約5、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730日間またはそれ以上保持するのが好ましい。
いくつかの実施形態では、酵素固定化物質は、ミセル構造または逆ミセル構造を有する。一般に、ミセルを作成する分子は両親媒性である、すなわち該分子は極性親水性基および非極性疎水性基を含有する。このような分子は、凝集してミセルを形成することができ、そこで極性基は凝集体の表面に存在し、炭化水素である非極性基は、凝集体の内部に隔離される。逆ミセルは、極性基と非極性基との配向が逆である。凝集体を形成する両親媒性分子は、極性基同士が接近し、非極性基同士が接近する限り、種々の方法で配置することができる。また、分子は、互いに向かう非極性基と互いに離れる極性基とを有する二重層を形成することができる。あるいは、二重層中で極性基が互いに向かうことができ、その一方で非極性基は互いに離れる二重層を形成することもできる。
ある種の酵素固定化物質、特にミセル酵素固定化物質および変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体が、米国特許出願第10/931,147号(米国特許公開公報第2005/0095466号)および米国特許出願第10/617,452号(米国特許公開公報第2004/0101741号)に記載されており、両公報の全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。
好ましい一実施形態では、ミセル酵素固定化物質は、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または変性過フッ素化イオン交換ポリマー)(変性Nafion(登録商標)または変性Flemion(登録商標))膜である。過フッ素化イオン交換ポリマー膜は、アンモニウム(NH4 +)イオンより大きい疎水性カチオンで変性されている。疎水性カチオンは、(1)膜の孔径を決定し、(2)孔のpHレベルの維持を助ける化学緩衝剤として作用する(両方とも酵素を安定化する)二重機能を果たす。
疎水性カチオンの第一の機能に関して、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換ポリマー)を疎水性カチオンと混合キャストし、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または変性過フッ素化イオン交換ポリマー)(Nafion(登録商標)またはFlemion(登録商標))膜を形成することにより、孔径が疎水性カチオンの寸法に依存する酵素固定化物質が提供される。したがって、疎水性カチオンが大きければ大きいほど、孔径は大きくなる。疎水性カチオンのこの機能により、孔径を大きくしたり小さくしたりすることが可能になり、疎水性カチオンの寸法を変更することにより、特定の酵素に孔径を適合させることができるようになる。
疎水性カチオンの第二の機能に関して、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換ポリマー)膜の特性を、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体膜上の-SO3 -基(または過フッ素化イオン交換ポリマー膜上のアニオン)に対する対イオンとして、疎水性カチオンをプロトンに交換することによって変化させる。疎水性カチオンは、-SO3 -部位に対して、プロトンが有するよりも格段に大きい親和性を有するので、対イオンにおけるこの変化により、pHに対する緩衝効果がもたらされる。膜のこの緩衝効果により、溶液のpHが変化しても、孔のpHは実質的に無変化で保たれるようになり、換言すれば、孔のpHは、溶液のpHの変化に抵抗する。さらに、膜は物理的なバリアを提供し、これにより固定化酵素はさらに保護される。変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換ポリマー)膜を形成するためには、第一工程で、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換ポリマー)、特にNafion(登録商標)の懸濁液を、疎水性カチオンの溶液とともにキャストし、膜を形成する。次いで、過剰の疎水性カチオンおよびそれらの塩を膜から抽出し、膜を再キャストする。再キャストすると、膜は、パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体(または過フッ素化イオン交換ポリマー)膜の-SO3 -部位とともに、疎水性カチオンを含有する。過剰の塩は、孔内に捕捉され始めるか、あるいは膜内に空隙を形成する可能性があるので、膜から疎水性カチオンの塩を除去することにより、より安定で再現可能な膜が形成される。
一実施形態では、第四級アンモニウム臭化物などの疎水性カチオンの塩の溶液とともに、Nafion(登録商標)ポリマーの懸濁液をキャストすることにより、変性Nafion(登録商標)膜を製造する。膜を再キャストする前に、過剰の第四級アンモニウム臭化物または臭化水素を膜から除去し、塩が抽出された膜を形成する。膜の塩抽出により、スルホン酸交換部位では第四級アンモニウムカチオンが存在し続けるが、孔に捕捉されたり、平衡膜中に空隙を形成したりしうる過剰の塩による問題は解消される。塩が抽出された膜の化学的または物理的特性は、酵素固定化の前に、ボルタンメトリー法、イオン交換能測定および蛍光顕微鏡法により確認される。代表的な疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオン、第四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、アルキルトリエチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナントロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)32+および[Fe(フェナントロリン)33+である。
好ましい一実施形態では、疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオンである。特に、疎水性カチオンは、第四級アンモニウムカチオンである。別の実施形態では、第四級アンモニウムカチオンは、式4:
Figure 2009515303
(式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロ環であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外である)
で表される。さらなる実施形態では、好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外である。さらに別の実施形態では、R1、R2、R3およびR4は同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに別の実施形態では、好ましくは、R1、R2、R3およびR4はブチルである。好ましくは、第四級アンモニウムカチオンは、テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)、およびこれらの組合せである。
代表的なミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質は、疎水性変性多糖であり、これらの多糖は、キトサン、セルロース、キチン、デンプン、アミロース、アルギン酸塩およびそれらの組合せから選択される。種々の実施形態において、ミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質は、ポリカチオン性ポリマー、特に疎水性変性キトサンである。キトサンは、ポリ[β-(1-4)-2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコピラノース]である。キトサンは、通常、キチン(ポリ[β-(1-4)-2-アセトアミド-2-デオキシ-D-グルコピラノース])の脱アセチル化によって調製される。通常の市販のキトサンは、約85%の脱アセチル化率を有する。これらの脱アセチル化基または遊離アミン基は、ヒドロカルビル、特にアルキル基を使用して、さらに官能化することができる。したがって、種々の実施形態では、ミセル状疎水性変性キトサンは、式1:
Figure 2009515303
(式中、nは整数であり;R10は、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R11は、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)
で示される構造に相当する。本発明の特定の実施形態では、nは、ポリマーに、約21,000〜約500,000、好ましくは約90,000〜約500,000、より好ましくは約150,000〜約350,000、より好ましくは約225,000〜約275,000の分子量を与える整数である。多くの実施形態において、R10は、独立して、水素またはアルキルであり、R11は、独立して、水素またはアルキルである。さらに、R10は、独立して、水素またはヘキシルであり、R11は、独立して、水素またはヘキシルである。あるいは、R10は、独立して、水素またはオクチルであり、R11は、独立して、水素またはオクチルである。
さらに、種々の実施形態において、ミセル状疎水性変性キトサンは、式1B:
Figure 2009515303
(式中、R11、R12およびnは、式1に定義した通りである)
で示される変性キトサンである。いくつかの実施形態では、R11およびR12は、独立して、水素、あるいは直鎖または分岐鎖アルキル、好ましくは、水素、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。種々の実施形態で、R11およびR12は、独立して、水素、ブチルまたはヘキシルである。
ミセル状疎水性変性キトサンは、疎水性基により様々な程度で変性することができる。疎水性変性度は、未変性キトサン中の遊離アミン基の数と比較した、疎水性基で変性されたキトサン中の遊離アミン基の割合によって決定される。疎水性変性度は、酸塩基滴定および/または核磁気共鳴(NMR)、特に1H NMRデータによって評価することができる。この疎水性変性度は広範囲に変えることができ、少なくとも約1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、25、30、32、24、26、28、40、42、44、46、48%、またはそれ以上である。好ましくは、疎水性変性度は、約10%〜約45%、約10%〜約35%、約20%〜約35%、または約30%〜約35%である。
キトサンを変性するために使用される疎水性基は、(1)固定化物質の孔径を決定し、(2)許容される孔環境を維持するためにキトサンの電子環境を変性する(両方とも酵素を安定化する)二重機能を果たす。疎水性基の第一の機能に関して、キトサンを疎水的に変性することによって、孔径が疎水性基の寸法に依存する酵素固定化物質が製造される。したがって、疎水性基を有するキトサンの寸法、形状および変性度が、孔の寸法および形状に影響を与える。疎水性カチオンのこの機能により、孔径をより大きくまたはより小さく、あるいは異なる形状にすることが可能になり、疎水性基の寸法および分岐状態を変更することにより、特定の酵素に適合することになる。
疎水性カチオンの第二の機能に関して、疎水性基でキトサンを変性することによって、疎水性変性キトサン膜の特性を変化させる。キトサンのこの疎水性変性は、プロトンに対し利用可能な交換部位の数を増やすことによって、孔環境に影響を与える。材料のpHに影響を与えることに加えて、キトサンの疎水性変性は、物理的なバリアである膜を提供し、これにより固定化酵素はさらに保護される。
表1に、疎水性変性キトサン膜について、プロトンに対し利用可能な交換部位の数を示す。
Figure 2009515303
さらに、このようなポリカチオン性ポリマーは、酵素を固定化し、緩衝溶液中の同じ酵素の活性と比較して、該ポリマーに固定化された酵素の活性を増加させることができる。種々の実施形態において、ポリカチオン性ポリマーは、疎水性変性多糖、特に疎水性変性キトサンである。たとえば、記載した疎水性変性に関し、グルコースオキシダーゼの酵素活性を、実施例6の手順を使用して測定した。t-アミルアルコールに懸濁させたヘキシル変性キトサン中のグルコースオキシダーゼで、最も高い酵素活性が観察された。これらの固定化膜は、緩衝液中の酵素の2.53倍のグルコースオキシダーゼ酵素活性増加を示した。表2に、種々の疎水性変性キトサンに関するグルコースオキシダーゼ活性を列挙する。
Figure 2009515303
変性剤としてアルキル基を有する本発明の疎水性変性キトサンを調製するため、キトサンゲルを酢酸に懸濁し、次いでアルコール溶媒を加えた。このキトサンゲルにアルデヒド(たとえば、ブタナール、ヘキサナール、オクタナールまたはデカナール)を加え、次いでシアノボロヒドリドナトリウムを加えた。得られた生成物を真空ろ過で分離し、アルコール溶媒で洗浄した。次いで、変性キトサンを真空オーブン中40℃で乾燥し、フレーク状の白色固体を得た。
変性剤としてレドックスメディエータを有する本発明の疎水性変性キトサンを調製するために、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジンをリチウムジイソプロピルアミンに接触させることによってレドックスメディエータリガンドを誘導体化し、次いでジハロアルカンを加えて4-メチル-4’-(6-ハロアルキル)-2,2’-ビピリジンを生成した。次いで、このリガンドを、無機塩基の存在下でRu(ビピリジン)2Cl2水和物に接触させ、Ru(ビピリジン)2Cl2がなくなるまで、水-アルコール混合物中で還流した。次いで、生成物を、アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、あるいは場合によってはナトリウムまたはカリウム過塩素酸塩で析出させ、次いで再結晶化した。次いで、誘導体化したレドックスメディエータ(Ru(ビピリジン)2(4-メチル-4’-(6-ブロモヘキシル)-2,2’-ビピリジン)+2)を、脱アセチル化キトサンに接触させ、加熱した。次いで、レドックスメディエータ変性キトサンを析出させ、再結晶化した。
疎水性変性キトサン膜には、エタノールに不溶性であるという利点がある。たとえば、上記のキトサン酵素固定化物質は、一般に、最高約99wt%または99容量%を超えるエタノールを含む溶液中で、酵素を固定化し、安定化するように作用する。種々の実施形態において、キトサン固定化物質は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95wt%または容量%、あるいはこれ以上のエタノールを含む溶液中で作用する。
別の実施形態では、ミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質は、ポリアニオン性ポリマー、たとえば、疎水性変性多糖、特に疎水性変性アルギン酸塩である。アルギン酸塩は、β-(1-4)-結合D-マンヌロン酸およびα-(1-4)-結合L-グルロン酸残基を含む直鎖非分岐状ポリマーである。β-(1-4)-結合D-マンヌロン酸は、プロトン化されていない形態で、式3A:
Figure 2009515303
の構造に相当し、α-(1-4)-結合L-グルロン酸は、プロトン化されていない形態で、式3B:
Figure 2009515303
の構造に相当する。アルギン酸塩は、マンヌロン酸残基のポリマーブロックと、グルロン酸残基のポリマーブロックとからなる不均一重合体である。
アルギン酸塩ポリマーは、種々の方法で変性することができる。1つの種類として、アンモニウム(NH4 +)イオンより大きい疎水性カチオンで変性されたアルギン酸塩がある。疎水性カチオンは、(1)ポリマーの孔径を決定し、(2)孔のpHレベルの維持を助ける化学緩衝剤として作用する(両方とも酵素を安定化する)二重機能を果たす。疎水性カチオンの第一の機能に関して、アルギン酸塩を疎水性カチオンで変性することで、孔径が疎水性カチオンの寸法に依存する酵素固定化物質が生成する。したがって、疎水性カチオンを有するアルギン酸塩の寸法、形状および変性度が、孔の寸法および形状に影響を与える。疎水性カチオンのこの機能により、孔径をより大きくまたはより小さく、あるいは異なる形状にすることが可能になり、疎水性カチオンの寸法および分岐状態を変更することにより、特定の酵素に適合することになる。
疎水性カチオンの第二の機能に関して、アルギン酸塩上の-CO2 -基に対する対イオンとして、疎水性カチオンをプロトンに交換することによって、アルギン酸塩ポリマーの特性を変化させる。疎水性カチオンは、-CO2 -部位に対して、プロトンが有するよりも格段に大きい親和性を有するので、対イオンにおけるこの変化により、pHに緩衝効果がもたらされる。アルギン酸塩膜のこの緩衝効果により、溶液のpHが変化しても、孔のpHは実質的に無変化で保たれるようになり、換言すれば、孔のpHは、溶液のpHの変化に抵抗する。さらに、アルギン酸塩膜は物理的なバリアを提供し、これにより固定化酵素はさらに保護される。
変性アルギン酸塩膜を製造するために、第一工程で、アルギン酸塩ポリマーの懸濁液を、疎水性カチオンの溶液とともにキャストし、膜を形成する。次いで、過剰の疎水性カチオンおよびそれらの塩を膜から抽出し、膜を再キャストする。再キャストすると、膜は、アルギン酸塩膜の-CO2 -部位とともに、疎水性カチオンを含有する。過剰の塩は、孔内に捕捉されるか、あるいは膜内に空隙を形成する可能性があるので、膜から疎水性カチオンの塩を除去することにより、より安定で再現可能な膜が形成される。
一実施形態では、第四級アンモニウム臭化物などの疎水性カチオンの塩の溶液とともに、アルギン酸塩ポリマーの懸濁液をキャストすることにより、変性アルギン酸塩膜を製造する。膜を再キャストする前に、過剰の第四級アンモニウム臭化物または臭化水素を膜から除去し、塩が抽出された膜を形成する。膜の塩抽出により、カルボン酸交換部位では第四級アンモニウムカチオンが存在し続けるが、孔に捕捉されたり、平衡膜中に空隙を形成したりしうる過剰の塩による問題は解消される。代表的な疎水性カチオンとして、アンモニウム系カチオン、第四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、アルキルトリエチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナントロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)32+および[Fe(フェナントロリン)33+がある。
好ましい一実施形態では、疎水性カチオンは、アンモニウム系カチオンである。特に、疎水性カチオンは、第四級アンモニウムカチオンである。別の実施形態では、第四級アンモニウムカチオンは、式4:
Figure 2009515303
(式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロ環であって、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外である)で表される。さらなる実施形態では、好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルであって、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、水素以外である。さらに別の実施形態では、R1、R2、R3およびR4は同じで、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに別の実施形態では、好ましくは、R1、R2、R3およびR4はブチルである。好ましくは、第四級アンモニウムカチオンは、テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)、およびこれらの組合せである。
孔特性を検討し、ある疎水性変性アルギン酸塩膜の結果を図11に示す。この膜の孔構造は、酵素固定化に理想的である。なぜなら、孔が疎水性で、構造上ミセル状であり、外部のpH変化に対し緩衝化されており、孔の相互接続性が高いからである。
別の実験では、超低分子量アルギン酸塩とドデシルアミンを25%エタノール中に入れ、還流し、カルボン酸基のアミド化によりドデシル変性アルギン酸塩を調製した。ドデシルアミンに代えて種々のアルキルアミンを使用して、アルギン酸塩構造の種々の数の反応性カルボン酸基に結合するC4-C16アルキル基を有するアルキル変性アルギン酸塩を調製することができる。種々の実施形態において、少なくとも約1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48%、またはそれ以上のカルボン酸基が、アルキルアミンと反応する。
疎水性変性アルギン酸塩膜には、エタノールに不溶性であるという利点がある。たとえば、上記のアルギン酸塩酵素固定化物質は、一般に、少なくとも約25wt%または25容量%のエタノールを含む溶液中で、酵素を固定化し、安定化するように作用する。種々の実施形態において、アルギン酸塩固定化物質は、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90wt%または容量%のエタノールを含む溶液中で作用する。
4.バイオカソードの実施形態
種々のバイオカソードを、本発明のバイオ燃料電池に組み込むことができる。たとえば、そのようなバイオカソードが、米国特許出願第10/931,147号(米国特許公開公報第2005/0095466号)に記載されており、該公報の全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。
B.バイオアノード
一実施形態では、バイオアノードは、電子伝導体と、酵素固定化物質中に固定化された酵素とを含む。バイオアノードの上記成分は、互いに隣接している。すなわち、適切な手段によって物理的または化学的に接続されている。成分としては、一般にバイオカソード成分と同じであり、必要に応じて、それぞれの構成要素の組成における相違点および機能における相違点に関して、以下において説明する。
1.電子伝導体
バイオカソードの場合と同様に、バイオアノードの電子伝導体も、材料を介して電子を通すことができるものであれば、性質上、有機物であっても無機物であってもよい。一実施形態では、バイオアノードの電子伝導体は、炭素ペーパーである。
2.酵素
酵素は、バイオアノードで燃料流体の酸化を触媒する。具体的には、バイオアノードに使用される代表的な酵素として、反応によって燃料流体を酸化し、複数のレドックス中心を有する酵素が挙げられる。たとえば、適切なアノード酵素は、PQQ依存性デヒドロゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、またはこれらの組合せを含む。PQQ依存性アルコールデヒドロゲナーゼ酵素は、グルコノバクターから抽出される。
3.酵素固定化物質
先に記載したように、酵素固定化物質は、バイオ燃料電池において、バイオアノードおよび/またはバイオカソードで利用される。酵素固定化物質の組成および固定化のメカニズムを、上記I.A.3.にさらに詳細に記載する。一実施形態では、バイオアノードの酵素固定化物質は、燃料流体に対して透過性であり、酵素を固定化し、安定化する。固定化物質は、燃料流体に対して透過性であるため、バイオアノードでの燃料流体の酸化を、固定化酵素によって触媒することができる。いくつかの実施形態では、酵素固定化物質は、疎水性変性多糖、特に疎水性変性キトサンである。
4.バイオアノードの実施形態
好ましいバイオアノードは、米国特許出願第10/617,452号(米国特許公開公報第2004/0101741号)に記載されており、該公報の全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。他の有用となりうるバイオアノードは、米国特許第6,531,239号および第6,294,281号に記載されており、これらも、参照によって本明細書に組み込まれている。
C.燃料流体および酸化剤
バイオアノードで酸化されて電子を生成することができる燃料流体と、バイオカソードで還元されて水を生成することができる酸化剤は、本発明のバイオ燃料電池の成分である。
バイオアノード用の燃料流体は、固定化酵素のレドックス中心の酸化反応において消費される。燃料流体の分子の寸法はかなり小さいため、酵素固定化物質を内での拡散係数は大きい。代表的な燃料流体は、水素、アンモニア、アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール)、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物(たとえば、グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-ホスフェート、ラクテート、ラクテート-6-ホスフェート、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボースおよびマンノース)、グリセレート、補酵素A、アセチルCo-A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、シンナミルアルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル-CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2、炭化水素、およびアミンがある。種々の好ましい実施形態では、燃料流体はアルコールであり、より好ましくはメタノールおよび/またはエタノールであり、最も好ましくはエタノールである。
バイオカソード用の酸化剤は、バイオアノードによって供給される電子を使用する、固定化酵素のレドックス中心の還元反応において消費される。酸化剤の分子の寸法はかなり小さいため、酵素固定化物質内での拡散係数は大きい。当該分野で既知の種々の酸化剤源の供給手段を利用することができる。
好ましい実施形態おいて、酸化剤は気体状酸素であり、拡散によってバイオカソードに移送される。別の好ましい実施形態では、酸化剤は過酸化化合物である。
該実施形態のバイオ燃料電池は、(i)上記のバイオアノードと、(ii)上記のバイオカソードと、(iii)バイオアノードおよび上記のバイオカソードと、(iv)上記のバイオアノードおよび米国特許出願第10/931,147号(米国特許公開公報第2005/0095466号)に記載のバイオカソードと、(v)米国特許出願第10/617,452号(米国特許公開公報第2004/0101741号)に記載のバイオアノードおよび上記のバイオカソードとを含むことができる。
本発明のバイオ燃料電池は、カソード区画からアノード区画を分離するために、ポリマー電解質膜(「PEM」または塩橋、たとえば、Nafion(登録商標)117)を含んでもよい。しかし、バイオアノードとバイオカソードとを有する実施形態に関しては、PEMは必要ではなく、膜のないバイオ燃料電池が製造される。酸化剤反応または燃料流体反応の触媒作用のためにバイオアノードおよびバイオカソードにおいて使用される酵素の優先的な選択性によって、カソード区画からのアノード区画の物理的な分離が不必要になる。
II.微小流体バイオ燃料電池
本発明の種々の態様のうち、微小流体バイオ燃料電池は、燃料流体を利用して、固定化酵素をその中に有するマイクロ成型された微小電極で行われる酵素媒介レドックス反応によって電気を発生する。標準的なバイオ燃料電池におけるように、バイオアノードは、電子の放出を並行して伴う、燃料流体の酸化反応のための部位である。電子は、バイオアノードから電気コネクタを通って何らかの電力消費デバイスに向かう。電子は、該デバイスを経て他方の電気コネクタへ移動し、該電気コネクタが電子をバイオ燃料電池のバイオカソードへ移送し、そこで電子が使用されて酸化剤を還元し、水を生成する。このように、本発明のバイオ燃料電池は、その外部にある電気負荷のためのエネルギー源(電源)として作用する。燃料流体のレドックス反応を促進するために、微小電極は、電子伝導体と、酵素と、酵素固定化物質とを含む。
しかし、標準的なバイオ燃料電池とは違い、本発明のバイオ燃料電池は、少なくとも1つのマイクロ成型された電極を利用する。一実施形態では、マイクロ成型された電極は、燃料を微小電極内部に流れさせる構造体を通る流れを有する。従来のバイオ燃料電池の電極と比較すると、この構造体は、燃料と接触する微小電極の表面積がより大きいので、電流密度が高くなる。別の実施形態では、マイクロ成型された電極は、不規則な微細形状を有する。ここでも、燃料に接触する表面積がより大きいため、該微小電極の電流密度は、従来のバイオ燃料電池の電極と比べて大きい。これらの特徴が、本明細書に開示した他の特徴と組み合わされて、寸法的にはより小さいソースから、従来の燃料電池と比較して電流密度の高いバイオ燃料電池が作り出される。最後に、本発明の方法を有利に使用して、使い捨て燃料電池を経済的に製造することができる。
A.微小流体チャネル
バイオアノードおよび/またはバイオカソードの他に、微小流体バイオ燃料電池は、稼働中にバイオアノードおよび/またはバイオカソード、燃料流体および酸化剤を収容する少なくとも1つの微小流体チャネルに特徴がある。微小流体チャネルの形状は、用途に応じて変化しうる。一実施形態では、微小流体チャネルは、その中にバイオ燃料電池のバイオアノードおよび/またはバイオカソードを有する単純な長方形のチャンバであってよい。図2を参照のこと。別の実施形態では、微小流体チャネルの形状は、たとえば、バイオアノード溶液とバイオカソード溶液とが互いに物理的に接触しないことを保証するように、任意の所望の目的のためにより精巧であってよい。図3を参照のこと。
図2および図3を参照すると、燃料流体および/または酸化剤は、微小流体チャネルの一端(入口)(33)から、微小流体チャネル(34)を通り、微小電極の上または中を通り、他端(出口)(35)へ流れている。図3では、バイオアノードは(41)で表され、バイオカソードは(40)で表される。微小流体チャネルは、燃料流体および/または酸化剤が微小流体チャネル(34)の外側に漏れないようにしながら、それらの微小電極上での対流を促進すべきである。
B.電気コネクタ
電気コネクタは、微小電極から、微小流体バイオ燃料電池の外部の電気負荷への電気接触を提供する。最も一般的な意味では、電気コネクタは、バイオアノードから電気負荷への電子の移動やバイオカソードへ戻る電子の移動を促進する、任意の材料および構造であってよい。好ましい一実施形態では、微小流体バイオ燃料電池の電気コネクタは、他のデバイスが物理的および電気的接触ができるようにするアタッチメントリードを提供する。次いで、別のデバイス、たとえば銅線が、外部の電気負荷に、および該負荷から電子を移送する。
好ましい一実施形態では、電気コネクタは、他の加工の前に微小流体バイオ燃料電池の基質上に形成される薄層コネクタである。本実施形態では、続いて形成される微小電極は、それぞれの電気コネクタと交差するように配置される。別の実施形態では、電気コネクタは、それらの加工の後に微小電極に取り付けられる導電性材料の円筒体である。
III.微小流体バイオ燃料電池の製造
本発明による微小流体バイオ燃料電池の製造においては、基質が使用され、その上にバイオ燃料電池の他の構成要素が組み立てられる。好ましい実施形態では、第一工程で電気コネクタが形成され、次いで微小電極が製造され、場合によっては、バイオ燃料チャンバを設ける工程もある。別の実施形態では、他の要素の後に電気コネクタを形成する。
A.電気コネクタの製造
本発明の微小流体バイオ燃料電池は、基質を設けることによって形成され、その上に残りの構成要素が形成される。基質は、導電性でなく、微小電極の導電性材料を不動態化せず、その材料に対して導電性材料が加工の間を通して接着し、モールドが可逆的に密封される、任意の材料で作成することができる。一実施形態では、基質はガラスである。好ましい実施形態では、基質はポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)である。別の好ましい実施形態では、基質はポリカーボネートである。一実施形態では、基質は平坦である。別の実施形態では、基質は特定の用途に有利に適合する幾何学的形状を有しうる。
好ましい実施形態では、基質上に形成される第一バイオ燃料電池要素は電気コネクタであり、該電気コネクタは、完成したバイオ燃料電池において、微小電極と電気的に接触して外部の電気負荷を微小電極に接続する手段を提供する。コネクタは、導電性のいかなる材料でも作成することができる。代表的な材料として、白金、パラジウム、金、これらの貴金属の合金、炭素、ニッケル、銅およびステンレス鋼が挙げられる。好ましい実施形態では、コネクタは白金で作られている。
コネクタは、シリコンウェハ業界において既知の従来のフォトリソグラフ技術を用いて、基質上に形成することができる。たとえば、薄層白金電気コネクタを形成するために、先ずチタン接着層を基質上にスパッタリングする。この後、チタン層上に白金の層をスパッタリングする。両スパッタリング加工は、たとえば、アルゴン-イオンスパッタリング装置で行うことができる。次いで、フォトリソグラフによってコネクタを設け、所望のコネクタ位置を保護するために、白金層にフォトレジストを塗布する。市販のエッチング液で2つの層を化学エッチングし、次いでフォトレジストを剥ぎ取ると、完成した白金電気コネクタが得られる。別の実施形態では、電気コネクタは、最後に形成される要素である。この実施形態を、以下に詳細に説明する。
B.微小電極の製造
バイオ燃料電池の基質上への電気コネクタの形成に続く次の工程は、バイオアノードおよびバイオカソードの製造である。これらは、連続的に、または同時に形成することができる。
1.バイオアノードの製造
一実施形態では、バイオアノードおよびバイオカソードを、連続して基質上に形成するが、形成の順番は重要でない。説明のみを目的として、先ずバイオアノードの製造について詳細に説明する。マイクロスケールのバイオアノードの製造の第一工程は、鋳型の表面にマイクロチャネルのパターンを作成することである。一般に、鋳型は、導電性でなく、導電材料を不動態化せず、基質に可逆的に密封されうる任意の材料で製造することができ、代表的な材料として、ケイ素、ガラスおよびポリマーが挙げられる。鋳型は、ポリマーで作られていることが好ましく、PDMS製であることがより好ましい。最も好ましくは、鋳型はポリカーボネート製である。
鋳型がポリマーである場合の好ましい実施形態では、パターンは、鋳型にマイクロチャネルを作り、バイオアノードの形状と寸法とを規定する既知のソフトリソグラフ技術を使用して形成される。ソフトリソグラフ技術は、一般に、所望のデザインの浮き出しイメージを有するリソグラフ的に規定されたマスターに対して、プレポリマーを成型する方法に従う。使用されるソフトリソグラフ技術は、鋳型に、約1μm〜約1mm、約1μm〜約200μm、好ましくは約10μm〜約200μm、より好ましくは約10μm〜約100μm、最も好ましくは約10μmまたはそれ以下のマイクロチャネルを得ることができなければならない。代表的なソフトリソグラフ技術として、近接場位相シフトリソグラフ、レプリカモールディング、マイクロトランスファーモールディング(μTM)、溶媒支援マイクロコンタクト成型(SAMIM)、およびマイクロコンタクト印刷(μCP)が挙げられる。好ましくは、マイクロチャネルは、レプリカモールディングを使用して形成される。
鋳型にマイクロチャネルを形成した後、鋳型のパターン化した側を基質に接着させ、微小電極のモールドを完成させる。図4(a)参照。電気コネクタ(31)があらかじめ基質上に形成されている実施形態では、完成した微小電極がコネクタと電気的に接触するように、マイクロチャネルを電気コネクタ上に配置すべきである。さらに、チューブコネクタ(30)を基質に接着させて、後に入口貯蔵部となる位置を保持する。
次に、図4(b)を参照すると、電子伝導体溶液は、鋳型内でマイクロチャネルの一端に作られた入口貯蔵部(32)を通して、鋳型のマイクロチャネルに流し入れられる。この入口貯蔵部(32)は、金属鋳造の従来技術における湯だまりに類似するものである。過剰の溶液は、入口貯蔵部とは反対側のマイクロチャネルの一端に位置する通気孔において、マイクロチャネルから出る。
電子伝導体溶液は、電子伝導体ソースと液体担体とを含み、硬化によって除去されて固体微小電極を形成することができるいかなる溶液であってもよい。数多くの可能性のある電子伝導体材料は、上記のI.A.1に列挙されている。好ましい一実施形態では、電子伝導体ソースは、炭素源である。より好ましい実施形態では、電子伝導体ソースは、炭素系インクである。そのような実施形態の1つでは、液体担体は、炭素系インクシンナー、たとえばErcon N160 Solvent Thinnerである。本発明によれば、溶液中の液体担体の性質に依って、2種の微小電極構造体、すなわち固体微小電極またはフロースルー微小電極を形成することができる。より粘度の低い液体担体については、固体微小電極が製造される。これらの微小電極は、実質的に連続していて固体状であり、使用中に燃料流体がそのような微小電極上を流れる。より粘度の高い液体担体については、微小電極を通る流れは、電極の使用中に燃料流体がその中を流れることができるようにし、燃料流体に接触する微小電極の表面積を効率的に増加させる構造によって作り出される。
特定の構造にかかわらず、本発明にしたがって形成された微小電極には、従来の方法を用いて形成した微小電極(必然的に平坦な微細形状を有している)と比較して、いくつかの利点がある。したがって、従来の微小電極上を流れる任意の流体は、一般に規則的なフローパターンを有しており、微小電極の一般に規定された量の表面積と接触する。この平面の幾何学的表面積は、平板微小電極の上面および側面の長方形表面積を合計することによって計算される。現在の微小電極の生産量は、燃料流体と接触する表面積によって大部分が決定されるので、平板微小電極の現在の生産性は、その寸法を大きくすることによってしか増加しえない。対照的に、本発明に従って形成される微小電極は、高度に不規則な三次元微細形状を有し、これによって少なくとも2つの利点が得られる。第一は、本発明の微小電極の有効表面積が、平板スクリーン印刷微小電極と比較して、実質的に増大していることである。本明細書に記載する微小電極の有効表面積とは、微小電極の微細形状を描く個々の山と谷との表面積の合計である。この有効表面積を計算する1つの正確な方法は、本発明に従って形成された微小電極の電流出力を、同じ長さ、幅および高さの寸法の平板微小電極の電流出力と比較することである。たとえば、微小電極のそのような分析では、従来のガラス状炭素電極の電流出力が2.06×10-4A/cm2であるのに対して、本発明の微小電極の電流出力は9.85×10-4A/cm2である。さらに、微小電極の不規則な微細形状により、流体の乱流を作り出すことができる。そのような流れのパターンは、微小電極上で流体の混合を引き起こし、それによって微小電極への流体の移送速度が増加するので、有利である。流体の移送速度の増加により、微小電極内で起こる反応が促進され、それによって微小電極の電流負荷容量が増加する。
別の一実施形態では、電子伝導体溶液を導入する前に、鋳型のマイクロチャネルにプライマーを流し込み、急速に乾燥する。プライマーは、電子伝導体が鋳型に半永久的に接着するのを防止する助けとなる材料であれば、いかなるものでもよい。たとえば、炭素系インクの実施形態では、所望であれば、炭素系インクシンナーをプライマーとして使用することができる。
鋳型のマイクロチャネルが溶液で満たされた後に、熱を加えて電子伝導体溶液を硬化する。一般に、加熱は、液体担体を溶液から除去するのに十分でありかつ得られた微小電極が損傷しないだけの低さの温度で行う必要がある。好ましい一実施形態では、加熱は、約75℃で行われる。また、実質的に全ての液体担体を溶液から除去するのに十分な時間にわたって熱を加えるべきである。好ましい一実施形態では、熱は、少なくとも約1時間加えられる。別の好ましい実施形態では、加熱は、約75℃で約1時間行われる。図4(c)を参照すると、硬化プロセスによって、担体の蒸発のために鋳型のマイクロチャネルの最初の寸法よりも約20%小さい固化された微小電極(36)が得られる。
本発明の方法では、酵素および酵素固定化物質を付与するように微小電極を処理して、バイオアノードを形成する。ある実施形態では、酵素を含有する酵素固定化物質を、硬化した微小電極に適用する。バイオアノードを形成するために、微小電極の硬化後に、鋳型を基質から取り外す。図4(c)参照。図4(d)を参照すると、鋳型の代わりに、鋳型のマイクロチャネルの約2倍の幅のマイクロチャネル(34)を有するガス透過性モールドを、微小電極上に可逆的に封止している。該ガス透過性モールドは、導電性でなく、電子伝導体を不動態化せず、溶媒の蒸発を促進する任意の材料で作成することができる。好ましくは、シリコンポリマー、たとえばPDMSが、ガス透過性モールド材料として使用される。より好ましくは、熱可塑性樹脂、たとえばポリカーボネートが、ガス透過性モールド材料として使用される。ガス透過性モールドを適切な位置に配置した後、バイオアノード酵素を含有する酵素固定化物質を、硬化した微小電極に適用する。これは、キャスト溶液を入口貯蔵部(33)からガス透過性モールドを経て、排出口(35)へシリンジポンプで注入することによって達成される。完成したバイオアノードに関しては、図4(d)を参照のこと。
全ての実施形態において、酵素固定化物質、酵素の具体的な組成は、上記のI.B.2.〜I.B.3に詳述されている。バイオアノード用の好ましい酵素固定化物質は、テトラアルキルアンモニウム変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体または疎水性変性多糖、特に疎水性変性キトサンである。アノードでの好ましい酵素は、PQQ依存性デヒドロゲナーゼである。また、鋳型は、全ての実施形態において、複数のマイクロチャネルを含むことができる。
2.バイオカソードの製造
本発明に従ってバイオカソードを形成するには、バイオアノードの製造のために行ったのと同じ一般的加工工程を、バイオカソードの製造のために使用することができる。バイオカソードを酵素固定化物質および酵素で処理する実施形態は、バイオアノードの場合と同じである。酵素固定化物質および酵素の具体的な組成は、上記のI.A.2.〜I.A.3に詳述されている。バイオカソード用の好ましい酵素固定化物質は、テトラアルキルアンモニウム変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体または疎水性変性多糖であり、特に疎水性変性キトサンである。さらにバイオカソードに関して、好ましい酵素はビリルビンオキシダーゼである。
3.運転可能なバイオ燃料電池の形成
本発明に従ってバイオアノードおよびバイオカソードを形成した後に、場合によっては、鋳型またはガス透過性モールドを取り除いてもよい。この任意の実施形態では、バイオアノードおよびバイオカソードは、基質上に留まる。鋳型またはガス透過性モールドを取り除いた後に、微小流体チャネルフォームを、バイオアノードおよびバイオカソード上に配置する。このフォームは、バイオ燃料電池の燃料流体がその中を通って流れうる少なくとも1つの微小流体チャネルを作成するようにマイクロパターン化されている。フォームは、導電性でなく、導電性材料を不動態化せず、基質に接着するものであれば、いかなる材料からでも製造することができる。好ましくは、フォームはPDMSである。より好ましくは、この上塗り層はポリカーボネートである。フォームにおける微小流体チャネルのマイクロパターンは、任意の既知のソフトリソグラフ技術を使用して作成することができる。一実施形態では、微小流体チャネルは、微小電極より約2〜4倍大きい。別の実施形態では、微小流体チャネルは、微小電極とほぼ同じ寸法である。フォームの微小流体チャネルは、燃料流体が微小電極と連動する電気化学電池を、事実上規定する。バイオアノード、バイオカソード、燃料流体および酸化剤を収容するために微小流体チャネルが1つだけ使用される場合、同じ微小流体チャンバ内の燃料流体と酸化剤との混合物は、それらのレドックス反応が選択的であるので、本発明の微小電極の機能を含まない。換言すれば、バイオアノードは燃料流体のみと反応し、バイオカソードは酸化剤のみと反応し、交差反応は起こらない。
別の実施形態では、鋳型またはガス透過性モールドは、基質と接触したままでバイオ燃料電池の微小流体チャネルを規定する役割を果たし、先に記載した微小流体チャネルフォームとして作用する。この実施形態では、燃料流体は、モールドのマイクロチャネルとバイオアノードまたはバイオカソードとの間の空間を通って移動する。この実施形態では、後続の処理は、個々のバイオアノードおよびバイオカソードの微小流体チャネル間の接続点を作るように行う必要がある。接続点を形成するために、個々の微小流体チャンバを接続する通路を、任意の適切な手段、たとえば、垂直方向の力をモールドの頂部にかけたり、十分な材料をモールドから取り除いたりすることによって、モールドに形成する。その後、接続点を封止して、操作中に燃料流体や酸化剤の漏出を阻止する材料によって、通路を覆う。該材料は、適切な封止を作成するように、モールド材料と接合されうるものでなければならない。一実施形態では、被覆材料は、単に、1片の平らなモールド材料、たとえばPDMSまたはポリカーボネートである。
4.任意の形成の実施形態
上記のIII.B.1.に記載した微小電極製造技術は、バイオアノードおよびバイオカソードを連続的に形成した後に、バイオアノードとバイオカソードとをマイクロチャネルを介して接続してバイオ燃料電池を形成する方法が続く実施形態をさす。別の実施形態では、バイオアノードおよびバイオカソードを同時に形成することができる。この実施形態では、単一の鋳型がパターン化されて、バイオアノードとバイオカソードの両方を形成する。あるいは、鋳型の組合せを使用して、個々のバイオアノードとバイオカソードを形成することができる。どちらの場合も、バイオアノードとバイオカソードを同時に形成した後で、上記のIII.B.3.に詳述したように、微小流体チャネルフォームを適用するか、あるいは鋳型を変性することによって、運転可能なバイオ燃料電池を形成する。
上記のIII.A.に記載した実施形態は、他の加工工程の前に、基質上に電気コネクタを形成することを記載する。別の実施形態では、電気コネクタは、最終加工工程として、微小流体バイオ燃料電池に加えられる。ここで、微小流体チャネルフォームまたは変性鋳型に孔が作られ、各バイオアノードおよびバイオカソードの一部を露出する。次に、各バイオアノードおよびバイオカソードの露出部分に、電気コネクタを物理的に接合する。この実施形態では、電気コネクタは、外部の電気負荷をバイオアノードおよびバイオカソードに電気的に接触させることができるものであれば、いかなる構造のいかなる材料であってもよい。好ましい一実施形態では、電気コネクタは、銅の円筒体である。さらに、電気コネクタと、バイオアノードおよびバイオカソードとの間の電気的接触を維持しうる任意の接合技術を使用することができる。好ましい一実施形態では、銀エポキシペーストを、電気コネクタと、バイオアノードおよびバイオカソードとを電気的に接合するために使用することができる。この実施形態には、これらの構成要素の間の導電性を高めるという利点がある。
上記の実施形態では、バイオアノードおよびバイオカソードの両方が、バイオ燃料電池のマイクロチャネル内に収容されているバイオ燃料電池を記載している。これは好ましい実施形態であるが、本発明の別の実施形態は、バイオ燃料電池のマイクロチャネルの外部に位置するアノードまたはカソードを含む。ここで、燃料電池は、微小流体バイオアノードまたはバイオカソードを、適切な外部アノードまたはカソードと組み合わせることによって形成される。
C.微小流体バイオ燃料電池の用途
本発明の運転可能な微小流体バイオ燃料電池の製造が完了した後に、該電池は、流体燃料源および酸化剤を、それぞれバイオアノードおよびバイオカソードに利用可能な無数の用途において利用することができる。使用時には、燃料流体および酸化剤は、微小流体チャネルを通って移動し、バイオアノードおよびバイオカソードと接触する。そこで、上記のI.に記載したレドックス反応が起こり、電流源が作り出される。本発明の微小流体バイオ燃料電池は、たとえば電子デバイス、市販のおもちゃ、体内用医療装置および電気自動車などの、電力供給を必要とするいかなる用途にも使用してよい。さらに、本発明の微小流体バイオ燃料電池は、生体内に移植してもよく、その場合、燃料流体は生体から取り出され、電流は生体内に移植された装置に電力を供給するために使用される。
さらに、本発明の微小流体バイオ燃料電池を、電気回路に直列に複数つなぎ、バイオ燃料電池スタックを形成することもできる。図5参照。直列スタックは、1つのバイオ燃料電池のバイオアノード(41)を、別のバイオ燃料電池のバイオカソード(40)に電気的に接合し、次いでこれを、所望のスタックが得られるまで別のバイオアノード(41)に接続することによって形成される。燃料流体および/または酸化剤は、入口貯蔵部(33)中の微小流体チャンバに流れ込む。スタックを形成することにより、微小流体バイオ燃料電池回路の全電圧出力は、理論的には、個々の直列の微小流体バイオ燃料電池から得られる電圧出力の合計となる。そのようなスタックの全電圧出力が大きいと、個々の微小流体バイオ燃料電池が供給できる電力よりも高い電力を要求する電子デバイス、おもちゃ、医療装置および自動車に電気を供給するのに有用である。
IV.電気を発生する方法
本発明は、アノードで燃料流体を酸化し、カソードで酸化剤を還元することを含む、電気を発生する方法であって、上記のバイオアノードおよび/またはバイオカソードを含むバイオ燃料電池を使用して電気を発生する方法を含む。
定義
本明細書で使用される用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、炭素原子および水素原子のみで構成される有機化合物または基を示す。これらの基として、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基が挙げられる。また、これらの基として、アルカリル、アルケナリルおよびアルキナリルなどの他の脂肪族または環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基も挙げられる。別途記載されていない限り、これらの基は、1〜20個の炭素原子を含むのが好ましい。
本明細書に記載する「置換ヒドロカルビル」基は、少なくとも1つの炭素以外の原子で置換されたヒドロカルビル基であり、炭素鎖の原子が、ヘテロ原子、たとえば窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、イオウまたはハロゲン原子で置換されている基が挙げられる。これらの置換基として、ハロゲン、ヘテロ環、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルが挙げられる。
別途記載されていない限り、本明細書に記載するアルキル基は、主鎖に1〜8個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子を含有する低級アルキルが好ましい。これらは、直鎖または分岐鎖、あるいは環状であってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
別途記載されていない限り、本明細書に記載するアルケニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子を含有する低級アルケニルが好ましい。これらは、直鎖または分岐状あるいは環状であってよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
別途記載されていない限り、本明細書に記載するアルキニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子を含有する低級アルキニルが好ましい。これらは、直鎖または分岐鎖であってよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される用語「アリール」または「アリー(ar)」は、場合によっては置換されていてもよい単素環式芳香族基、好ましくは環部分に6〜12個の炭素を含有する単環式または二環式基を示し、たとえば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルが挙げられる。より好ましいアリールは、フェニルおよび置換フェニルである。
本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される用語「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素をいう。
本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される用語「アシル」は、有機カルボン酸の基-COOHからヒドロキシル基を除いて形成された基を示し、たとえば、RC(O)-(式中、Rは、R1、R1O-、R1R2N-またはR1S-であり、R1は、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビルまたはヘテロ環であり、R2は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)が挙げられる。
本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される用語「アシルオキシ」は、酸素結合(-O-)を介して結合する上記のアシル基を示し、たとえば、RC(O)O-(式中、Rは、用語「アシル」に関連して定義した通りである)が挙げられる。
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を意味する。本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される用語「ヘテロ環」または「ヘテロ環式」は、場合によっては置換されていてもよい、完全に飽和または不飽和の単環式または二環式の芳香族または非芳香族基であって、少なくとも1つの環内に少なくとも1つのヘテロ原子を有し、好ましくは各環内に5個または6個の原子を有する基を示す。ヘテロ環基は、環内に、1個または2個の酸素原子、1個または2個のイオウ原子および/または1〜4個の窒素原子を有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分と結合していてよい。代表的なヘテロ環として、ヘテロ芳香族、たとえばフリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニルなどが挙げられる。代表的な置換基として、以下の基、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルの1つ以上が挙げられる。
以下の実施例により、本発明を説明する。
実施例1:種々の炭素表面上のビリルビンオキシダーゼを使用する直接電子移送
炭素ペースト電極変性:各実験を、新たに充填した炭素ペースト電極を使用して行った。炭素ペーストを充填した後、4つの電極を炭素材料(カーボンブラック、カーボンワーム、直径20nm、長さ5〜20ミクロンのカーボンナノチューブ、およびVulcan XC-72上のPt)の1つで変性した。未変性炭素ペースト電極をコントロールとして使用した。変性電極を、4℃で15分間、pH7.15のpH緩衝溶液中のビリルビンオキシダーゼの溶液に浸漬した。ビリルビンオキシダーゼ酵素溶液は、0.1MのpH7.15リン酸緩衝液10mLに溶解した1.0mgのビリルビンオキシダーゼを含有していた。電極が酵素溶液中で平衡化した時点で、それらを真空デシケーター内に入れ、約15分間乾燥させた。乾燥したところで、電極を、脱気したpH7.15のリン酸緩衝溶液のコントロール溶液中で、ボルタンメトリー法で試験した。変性炭素ペースト電極を作用電極として使用し、次いで白金メッシュ対電極およびSCE参照電極と組み合わせた。各電極を、0.01V/sの走査速度において、0.8V〜-0.1Vで走査した。脱気したリン酸緩衝液中の各変性炭素ペースト電極を試験した後で、試験溶液を酸化し、直接電子移送が起こったかどうかを調べるために、先に記載したのと同じパラメーターを使用して各電極を走査した。
これらの試験から、以下の表に示すデータを得た。これらのデータは、カーボンナノチューブでの電極変性が、流れを最も増強することを示している。
Figure 2009515303
3つの別の方法を使用して、TBAB変性Nafion(登録商標)/カーボンナノチューブ複合体を製造した。第一方法(方法1)は、0.1μmのアルミナを使用して、Buehler クロス上のガラス状炭素電極を研磨する工程と、次いでメタノールと水で濯いで前の電極汚染がないことを保証する工程とを含む。上記のようにして調製したビリルビンオキシダーゼ溶液と組み合わせた0.05gのナノチューブを使用して、カーボンナノチューブスラリーを調製した。このペーストを生乾きのペーストとなるまで乾燥させた。次いで、炭素ペーストを真空デシケーター内に入れ、完全に乾燥させた。次に、2.0mgの乾燥ペーストを100μLのTBAB変性Nafion(登録商標)ポリマーと溶液中で組み合わせた。確実に適切に混合するように、懸濁液をScientific Industries Vortex Genie 2中で渦攪拌した。20マイクロリットルの懸濁液を、研磨したガラス状カーボン電極(GCE)の頂部上にピペットで採った。変性電極を、10から50rpmまでの種々の速度でスピンコートし、次いで真空デシケーター内に入れ、約15分間乾燥させた。懸濁液状の酵素/ナノチューブペースト懸濁液を含むTBAB変性Nafion(登録商標)をスピンコートしたものを、SCE参照電極および白金メッシュを対電極として用い、脱気したpH7.15の緩衝溶液中で、上記と同じ方法で試験した。各電極を、サイクリックボルタンメトリーを使用して、0.01V/sの走査速度において、0.8V〜-0.1Vで走査した。コントロール実験の後、サンプル実験を始める前に、pH7.15のリン酸緩衝溶液を少なくとも15分間酸素処理した。PCに接続したCH Instrumentsのポテンシオスタットを使用して、これらの実験からの全てのデータを連動させ、記録した。
第二の方法(方法2)は、上記のように、ガラス状カーボン電極を研磨する工程を含む。ナノチューブとビリルビンオキシダーゼペーストを、上記のように調製した1.0mLのビリルビンオキシダーゼ溶液に懸濁させた0.05グラムのナノチューブを含ませることによって製造した。確実に適切に混合するように、酵素/ナノチューブ懸濁液をScientific Industries Vortex Genie 2中で渦攪拌した。20マイクロリットルの懸濁液を、研磨したガラス状カーボン電極の頂部上にピペットで採った。電極を真空デシケーター内で約15分間乾燥させた。乾燥後、ナノチューブ/ビリルビンオキシダーゼペーストで変性された電極上に、5μLのTBAB変性Nafion(登録商標)をスピンコートした。次いで、スピンコートした電極を、真空デシケーター内で約15分間乾燥させた。TBAB変性Nafion(登録商標)でスピンコートした酵素/ナノチューブペーストの電極を、先に記載したのと同じ方法で試験した。
第三方法(方法3)は、ここでも、ガラス状カーボン電極を研磨することから始めた。次いで、1.0mLのpH7.15リン酸緩衝液中に懸濁した0.05グラムのナノチューブを含ませることによって、ナノチューブペーストを調製した。確実に適切に混合するように、酵素/ナノチューブ懸濁液をScientific Industries Vortex Genie 2中で渦攪拌した。20マイクロリットルのナノチューブ懸濁液を、乾燥ナノチューブペースト上の電極の頂部上にピペットで採り、真空デシケーター内で約15分間乾燥させた。上記のように調製した20マイクロリットルのビリルビンオキシダーゼ酵素溶液を、乾燥ナノチューブペースト上の電極の頂部上にピペットで採った。乾燥したところで、これらの電極を、50rpmで、5μlのTBAB変性Nafion(登録商標)ポリマーでスピンコートした。電極を真空デシケーター内で約15分間乾燥させた。ナノチューブペースト/酵素溶液でコートし、TBAB変性Nafion(登録商標)でスピンコートした電極を、先に記載したのと同じ方法で試験した。
これらの実験の結果を以下の表に示す。方法1は、方法2よりも小さなばらつきで大きな流れ増強を提供するので、これらのデータは、方法1がカーボンナノチューブ/酵素/TBAB変性Nafion(登録商標)複合体を形成するための好ましい方法であることを示している。
Figure 2009515303
実施例2:バイオ燃料電池中のビリルビンオキシダーゼカソード
バイオ燃料電池中のアノード電極およびカソード電極を、生物学的触媒(酵素)を使用して製造した。これらの実験では、テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)NAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼバイオアノードを使用した。1cm2の炭素クロスからなるバイオカソードを製作した。0.5mgのビリルビンオキシダーゼ(Myrothecium verrucariaから;単位活性=10単位.mg、Sigma)を100μLのDE520Nafion膜懸濁液に加え、20分間渦攪拌した。2マイクロリットルの酵素/膜キャスティング溶液を、炭素電極上にピペットで採り、12時間乾燥させた。全ての電気化学実験は、20℃から25℃までの室温で行った。電極を、溶存酸素で飽和したpH=7.15、7.5および8.0のリン酸緩衝液に導入した。測定を、PCコンピュータと連動したCH Instrumentのポテンシオスタットモデル900で行った。0.09672gのTBAB(テトラブチルアンモニウムブロミド)を1mLのDE520Nafionに加えて、DE520Nafion(登録商標)膜懸濁液を調製した。次いで、混合溶液を秤量ボート中にキャストし、一晩乾燥させた。乾燥したところで、混合物キャストフィルムを、18MΩの水に24時間浸漬し、過剰の臭化物塩を全て除去した。塩抽出後、フィルムを18MΩの水で3回完全に濯ぎ、乾燥させた。該フィルムを1mLのエタノールに再懸濁した。
2種類の電気化学電池を使用した。従来の燃料電池を、アノード区画とカソード区画とがNafion(登録商標)117PEM膜(Alfa Aesar)で分離されているU字型ガラスセルで試験した。第二のタイプの燃料電池(膜のない燃料電池)については、バイオカソードおよびバイオアノードを、燃料溶液を含んだ50mLビーカーに導入した。燃料溶液は、pH7.15、7.5および8.0のリン酸緩衝液中の1.0mMのエタノールおよび1.0mMのNAD+で構成されていた。溶液を空気中で平衡化させ、試験前に緩衝液中に溶存酸素を確保する。電極が互いに接触しないことを保証するために、電極を約1cm離して配置した。
従来の燃料電池を、アノード区画とカソード区画とがNafion(登録商標)117PEM膜(Alfa Aesar)で分離されているU字型ガラスセルで試験した。アノード液は種々のpHのリン酸緩衝液中の1.0mMの燃料溶液であり、一方、カソード液は、空気に曝された種々のpHの緩衝溶液であった。実験の間、酸素源は、緩衝液中の溶存酸素だけであった。完成したNAD+依存性バイオアノードを、ビリルビンオキシダーゼバイオカソードを含む自体のカソードチャンバに連結した別個のアノード燃料電池チャンバに導入した。
バイオカソードおよびバイオアノードを、空気に曝したpH8.0の緩衝溶液中の1.0mMのNAD+および1.0mMのエタノールが入ったビーカーに入れることによって、膜のないエタノール/酸素バイオ燃料電池を形成した。先に作成したバイオアノードの一般試験の間、NAD+はバイオアノード内に静電気的に固定化されているので、NAD+を緩衝溶液に加えない。しかし、この系の試験では、NAD+を溶液に加えて、バイオアノードから浸出しうるいかなるNAD+も、バイオカソード反応やバイオカソードの寿命に影響を与えないことを確実にした。膜のないバイオ燃料電池の初期開路電位は1.20Vで、最大出力密度は0.64mW/cm2であった。開路電位および出力密度は両方とも、膜のない系の方が高いことがわかる。レドックスメディエータを含有するビリルビンオキシダーゼバイオカソードを含んだバイオ燃料電池と比較して、ビリルビンオキシダーゼバイオカソードがレドックスメディエータを含有しないバイオ燃料電池における増加量は、開路電位では0.30Vであり、出力密度では0.25mW/cm2である。
表3では、種々のバイオ燃料電池を使用し、室温で種々の緩衝液pHで得たデータを比較している。従来のバイオ燃料電池を使用すると、溶液pHが増加するにつれ、開路電位、電流密度および出力密度も増加することが観察される。pH8.0で7.65mA/cm2の電流密度および0.45mW/cm2の出力密度を伴う最大開路電位1.16Vが得られた。膜のないバイオ燃料電池に関しては、同じ作動条件で、pH8.0で11.7mA/cm2の電流密度および0.64mW/cm2の出力密度を伴う最大開路電位1.10Vが得られた。pH7.15でより高い開路電位1.20Vが得られたが、このpHでは電流および出力密度はpH8のときよりも低い。膜のないバイオ燃料電池に関しては、燃料溶液のpHの増加により、開路電位のわずかな減少ならびに電流密度および出力密度の増加が引き起こされたと結論付けることができる。
Figure 2009515303
上記の膜のないバイオ燃料電池に関する更なる実験結果を、pH8.0のリン酸緩衝液中の1.0mMのNAD+溶液中、室温で集めた。図6は、この系に関する代表的な出力曲線を示す。図7は、製造からの時間の関数としてのこの系の電力出力を示す。図8は、湿度50%での温度の関数としての電力出力を示す。以下の表に、種々のエタノール濃度での最大開路電位、最大電流密度および最大出力密度を詳細に記載する。
Figure 2009515303
実施例3:リポキシゲナーゼバイオアノードの製造
種々のアンモニウム塩で処理したNafion(登録商標)酵素固定化物質の懸濁液を、上記のように調製した。リポキシゲナーゼ酵素の原液を調製した。同じ量のリポキシゲナーゼ溶液と変性Nafion(登録商標)懸濁液とを混合し、該溶液を1cm2の炭素ペーパー支持体上にピペットで採り、十分乾燥させた。
アノード区画とカソード区画とを分離するNafion(商標)117膜を有するU字型電池を利用した。燃料電池のカソード側を緩衝液(pH〜7.15)で満たし、白金カソードを、溶液中に部分的に吊した。燃料電池のアノード側を、100mLの緩衝液中に10μLの大豆油を含有する超音波処理された燃料溶液で満たした。アノードを、溶液中に完全に吊した。Nafion(登録商標)を、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミド(TEHA)、トリメチルヘキシルアンモニウムブロミド(TMHA)、トリメチルオクチルアンモニウムブロミド(TMOA)、トリメチルデシルアンモニウムブロミド(TMDA)、トリメチルドデシルアンモニウムブロミド(TMDDA)またはトリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド(TMTDA)で変性した。以下の表に、変性Nafion(登録商標)膜とリポキシゲナーゼ酵素とを含有する種々のバイオアノードの結果を詳細に記載する。
Figure 2009515303
実施例4:アルキル変性キトサンの調製
中程度の分子量のキトサン(Aldrichより入手可能)(0.500g)を、15mLの1%酢酸に、急速に攪拌して溶解した。これによって粘稠なゲル状溶液が得られ、次いで15mLのメタノールを加えた。キトサンゲルを、約15分間攪拌し、次いで20mLのアルデヒド(ブタナール、ヘキサナール、オクタナールまたはデカナール)をキトサンゲルに加え、次いで1.25gのシアノボロヒドリドナトリウムを加えた。懸濁液が室温に冷えるまでゲルを継続的に攪拌した。得られた生成物を真空ろ過によって分離し、メタノールの各150mLで3回洗浄した。次いで、変性キトサンを真空オーブン中40℃で2時間乾燥し、フレーク状白色固体を得た。ポリマーそれぞれの1wt%懸濁液が、50%酢酸、クロロホルムおよびt-アミルアルコール中に形成された。
実施例5:疎水性変性キトサンの蛍光画像
2マイクロリットルの各ポリマー懸濁液をガラスの顕微鏡スライド(Fisher)上にキャストし、デシケーター内で乾燥させた。0.01mMのRu(bpy)3 2+または0.01mMのFITCの20μLを、ポリマーキャスト上にピペットで採り、2分間浸漬させた。浸漬後、スライドを18MΩの水で濯ぎ、デシケーター内で乾燥させた。ポリマーを、Olympus BX60Mエピ蛍光顕微鏡(Melville, NY)を使用して画像化した。ポリマーを、ビデオカメラを備えた40×超長距離作動距離レンズ(Sony SSC-DC50A)の下で観察した。蛍光励起は水銀ランプで行った。フレーム・グラバー・カード(Integral Technologies, Indianapolis, IN)を使用して画像を得、該画像を、Dell PC上で、SPOTソフトウェア(Diagnostic Instruments)を使用して分析した。Ru(bpy)3 +2中のそれぞれの疎水性変性ポリマー電解質の蛍光撮像および蛍光造影を行い、疎水性変性の形態学的効果を測定した。蛍光試験により、凝集体が疎水性変性キトサン内に形成し、形態がアルキル鎖の長さによって変化することがわかった。ブチル変性キトサンは、小さな繊維状の相互接続を有するようであり、一方、ヘキシル変性キトサンは、より小さなミセルドメインを含有する大きなドメインを有していた。アルキル鎖の長さが長くなるほど、ミセルドメインの数は減るが、ドメインの寸法は大きくなった。未変性キトサンの蛍光顕微鏡写真は明瞭なドメインを示さず、したがって、未変性キトサンについては、ミセル構造は観察されなかった。
実施例6:疎水性変性キトサンの電気化学測定
ガラス状炭素作用電極(直径:3mm, CH Instruments)を、0.05ミクロンアルミナのついたBuehler研磨布で磨き、18MΩの水で濯いだ。2マイクロリットルの各ポリマー懸濁液を、ガラス状炭素電極表面にキャストし、使用するまで、真空デシケーター内で乾燥させた。サイクリックボルタンメトリーを使用して、電極表面で、ポリマー膜を通るレドックス種の流れを測定した。作用電極を、支持電解質として0.1Mの硫酸ナトリウムを含有する1.0mMのレドックス種の溶液内で、白金メッシュ対電極とともに平衡化し、飽和カロメル参照電極に対して測定した。検討したレドックス種は、カフェイン、フェリシアン化カリウムおよびRu(bpy)3 2+であった。データを集め、CH Instrumentsポテンシオスタットモデル810と連動するDellコンピュータで分析した。サイクリックボルタンメトリーは、0.05V/s〜0.20V/sの範囲の走査速度で操作した。全ての実験は3回行い、報告された不確実性は1標準偏差に相当する。
2つの疎水性変性ポリマー電解質のサイクリックボルタンメトリー実験を、疎水性変性のアルキル鎖の長さの関数として行った。全てのサイクリックボルタンメトリー実験は、線状のip 対 v1/2プロットを示し、これは移送-限界電気化学性(transport-limited electrochemistry)を意味する。電気化学的流れは、式2で示される濃度の関数であるので、KD1/2値を、本明細書では、流れを比較する濃度依存方法として報告した。
Figure 2009515303
(式中、iはピーク電流であり、nは移動電子の数であり、Fはファラデー定数であり、Aは電極の面積であり、C*はレドックス種の濃度であり、vは走査速度であり、Kは除去率であり、Dは拡散係数である。)溶媒は、再キャスティング中のポリマーの膨潤度を決定する。キトサンおよびキトサン誘導体に関するほとんどの文献の研究では、再懸濁液用の溶媒として酢酸が使用されるが、クロロホルムに関するKD1/2値から、より高い平均流れが提供されることは重要である。未変性キトサンは、酢酸溶液にのみ溶解する。カフェインにおける未変性キトサンに関するKD1/2値は、5.52(±0.14)×10-3である。キトサンの疎水性変性により、カフェインの流れは減少されうるが、流れにおける顕著な増加を起こすことができないことは明らかである。
一方、Ru(bpy)3 +2のような大きい疎水性イオンの移送は、孔構造/寸法における小さな変化によって、大きく影響を受ける可能性がある。未変性キトサンを通るRu(bpy)3 +2の移送に関するKD1/2値は、2.17(±0.33)×10-4である。全てのケースで、キトサンの疎水性変性により、Ru(bpy)3 +2の移送を、t-アミルアルコールに再懸濁したオクチル変性キトサン膜の11.1倍まで増やしたことは明らかである。
実施例7:電極の製造
2wt%の疎水性変性キトサンポリマーの溶液をt-アミルアルコールに懸濁し、グルコースオキシダーゼの溶液を加えた。この溶液をピペットで電極材料上に採った。この電極材料は、通常、炭素クロスまたは他の炭素材料であった。
実施例8: 疎水性変性キトサンのグルコースオキシダーゼ活性試験
グルコースオキシダーゼ(GOx)は、過酸化水素を並行放出しながらβ-D-グルコースのD-グルコノ-δ-ラクトンへの酸化を触媒する。これは、β-D-グルコースに対し高い特異性があり、α-D-グルコースには作用しない。パーオキシダーゼの存在下で過酸化水素が、510nmで測定される、キノンイミン染料複合物の定量的な形成を伴ったp-ヒドロキシ安息香酸および4-アミノアンチピリンを含むアッセイにおける第二の反応に入る。GOx酵素の活性を、疎水性変性Nafion膜およびキトサン膜のそれぞれにおいて測定した。GOx酵素を疎水性変性キトサン膜内に固定化し、それをプラスチックバイアルにキャストした後、水に対して吸収を510nmで測定した。全ての実験は3回行い、報告された不確実性は1標準偏差に相当する。
先に記載し、表2に示したように、最も高い酵素活性は、t-アミルアルコールに懸濁したヘキシル変性キトサンにおけるグルコースオキシダーゼに関して観察された。これらの固定化膜は、緩衝液中の酵素に対するGOx酵素活性に比べ、2.53倍の増加を示した。
実施例9:キトサン-ブチルバイオカソード
ビリルビンオキシダーゼ。0.01gの疎水性変性キトサン(ブチル、ヘキシル、オクチルまたはデシル)を、1mLのNafion(登録商標)DE520と混合し、混合用ビーズで1時間渦攪拌することにより、キトサン混合物を調製した。次いで、40μLのキトサン/Nafion(登録商標)混合物を、20μLのビリルビンオキシダーゼ(10mLのpH7.15リン酸緩衝液中、1mgの酵素)と1分間混合した。キトサン/酵素混合物を炭素ペーパーの1cm2片上にピペットで採り、カソードを製造し、これを真空デシケーター内で完全に乾燥させた。(1)TBA変性Nafion(登録商標)NAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼアノード(図9)、あるいは(2)ブチル-キトサンNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼアノード(図10)のいずれかと組み合わせたブチル-キトサンビリルビンオキシダーゼカソードに関する出力曲線のデータを集めた。
また、種々のバイオ燃料電池の作動最適温度を測定する実験を行った。最大開路電位(V)、最大電流密度(mA/cm2)および最大電力密度(mW/cm2)を、(1)TBA変性Nafion(登録商標)NAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼアノードおよびブチル-キトサンビリルビンオキシダーゼカソード、(2)ブチル-キトサンNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼアノードおよびTBA変性Nafion(登録商標)ビリルビンオキシダーゼカソード、ならびに(3)ブチル-キトサンNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼアノードおよびブチル-キトサンビリルビンオキシダーゼカソードについて、種々の温度で測定した。この温度データを以下の表に示す。
Figure 2009515303
Figure 2009515303
















Figure 2009515303
実施例10:アルキル変性アルギン酸塩の調製
第四級アンモニウムブロミドが導入されたアルギン酸塩膜を、第四級アンモニウムブロミドと、3wt%のアルギン酸塩懸濁液とを共キャストすることにより形成した。使用したポリマーは、超低分子量、低分子量、あるいは中分子量アルギン酸塩であった。第四級アンモニウムブロミドを3wt%の該懸濁液に加えて、混合物-キャスティング溶液を調製した。第四級アンモニウムブロミドの濃度がアルギン酸塩懸濁液中のカルボン酸部位の濃度を超えるように、全ての混合物-キャスティング溶液を調製した。最適化後、最も安定で再現可能な膜は、交換部位の濃度の3倍である第四級アンモニウムブロミド濃度を有することを確認した。
1ミリリットルのキャスティング溶液を、秤量ボートに置き、乾燥させた。7.0mLの18MΩ水を秤量ボートに加え、一晩浸漬させた。水を除去し、フィルムを18MΩの水で十分に濯ぎ、乾燥させた。次いで、フィルムを1.0mLのメタノールに再懸濁した。テトラプロピルアンモニウム(T3A)、テトラペンチルアンモニウム(T5A)、テトラヘキシルアンモニウム(T6A)、テトラヘプチルアンモニウム(T7A)、トリメチルイコシルアンモニウム(TMICA)、トリメチルオクチルデシルアンモニウム(TMODA)、トリメチルヘキシルデシルアンモニウム(TMHDA)、トリメチルテトラデシルアンモニウム(TMTDA)、トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)、トリメチルドデシルアンモニウム(TMDDA)、トリメチルデシルアンモニウム(TMDA)、トリメチルヘキシルアンモニウム(TMHA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、トリエチルヘキシルアンモニウム(TEHA)のアンモニウムブロミド塩を、アルギン酸塩変性剤として使用し、どれが最良のミセル構造を生成したかを調べた。ミセル構造は、酵素の効果的な固定化に重要である。
次いで、孔特性を測定するため、各ポリマーの3滴をスライド上に置き、乾燥させた。完全に乾燥させた後、それらをエタノール中の1mMのRu(bpy)+2に少なくとも3時間浸漬した。エタノールで濯いだ後、ポリマーを乾燥し、次いでミセル構造を調べるために、蛍光顕微鏡を用いて画像化した。構造の例を図11に示す。
別の実験では、超低分子量のアルギン酸塩とドデシルアミンとを25%エタノール中に入れ、還流して、カルボン酸基のアミド化により、ドデシル変性アルギン酸塩を調製した。
実施例11:アルギン酸塩電極の製造
実施例10に記載した、疎水性アンモニウムカチオンで変性されたアルギン酸塩ポリマーの3wt%溶液を、アルコールに懸濁し、酵素(たとえば、ビリルビンオキシダーゼ)の溶液を加える。この溶液をピペットで電極材料上に採る。この電極材料は、通常、炭素クロスまたは他の炭素材料である。
実施例12:アルギン酸塩バイオ燃料電池
酵素溶液中の疎水性変性アルギン酸塩と緩衝液とを混合キャストし、該混合物をピペットで炭素クロス上に採ることにより、疎水性変性アルギン酸塩中に固定化されたアノード酵素を有するバイオ燃料電池を製造し、このようにして、上記実施例10に記載したものと類似のバイオアノードを形成する。上記および米国特許出願第10/931,147号(米国特許公開公報第2005/0095466号)に記載されたような、疎水性変性Nafion(登録商標)膜を含むバイオカソードを使用して、バイオアノードおよびバイオカソードを有するバイオ燃料電池を形成することができる。あるいは、酵素溶液中の疎水性変性アルギン酸塩と緩衝液とを混合キャストし、該混合物をピペットで炭素クロス上に採ることにより、疎水性変性アルギン酸塩中に固定化されたカソード酵素を有するバイオ燃料電池を製造し、このようにして、バイオカソードを形成する。上記および米国特許出願第10/617,452号(米国特許公開公報第2004/0101741号)に記載されたような、疎水性変性Nafion(登録商標)膜を含むバイオアノードを使用して、バイオアノードおよびバイオカソードを有するバイオ燃料電池を形成することができる。別の実施形態では、先に記載したように調製された疎水性変性アルギン酸塩に固定化されたカソード酵素と、先に記載したように調製された疎水性変性アルギン酸塩に固定化されたアノード酵素とを有するバイオアノードとを有するバイオ燃料電池を製造することができる。
実施例13:バイオ燃料電池
疎水性変性キトサンを酵素と緩衝液との溶液で混合キャストし、該混合物を炭素クロス上にピペットで採ることによってバイオアノードを形成し、こうして、疎水性変性キトサン中に固定化されたアノード酵素を有するバイオ燃料電池を製造する。米国特許出願第10/931,147号(米国特許公開公報第2005/0095466号)に記載されているような、疎水性変性Nafion(登録商標)膜を含むバイオカソードを使用して、バイオアノードおよびバイオカソードを有するバイオ燃料電池を形成することができる。あるいは、疎水性変性キトサンを酵素と緩衝液との溶液で混合キャストし、該混合物を炭素クロス上にピペットで採ることによってバイオカソードを形成し、こうして、疎水性変性キトサン中に固定化されたカソード酵素を有するバイオ燃料電池を製造する。米国特許出願第10/617,452号(米国特許公開公報第2004/0101741号)に記載されているような、疎水性変性Nafion(登録商標)膜を含むバイオアノードを使用して、バイオアノードおよびバイオカソードを有するバイオ燃料電池を形成することができる。疎水性変性キトサンを酵素と緩衝液との溶液で混合キャストし、該混合物を炭素クロス上にピペットで採ることによってバイオ燃料電池用のバイオアノードを形成し、こうして、疎水性変性キトサン中に固定化されたアノード酵素を有するバイオアノードを製造する。
実施例14:微小流体バイオ燃料電池
1000rpm、30秒のマイクロ成型チャネル用スピンプログラムで動作するスピンコーター(Brewer Science, Rolla, MO)を使用して、4-インチシリコンウェハにSU-8 10ネガ型フォトレジストを塗布することによって、PDMSマイクロ成型チャネル製造用マスターを作製する。流路については、1750rpm、30秒のスピンプログラムをSU-8 50ネガ型フォトレジストに関して使用する。フォトレジストを90℃で5分間前焼付けし、その後マイクロ成型チャネルまたは流路設計構造を含むネガフィルム(Jostens, Topeka, KS)を通して、近UVフラッドソース(Autoflood 1000, Optical Associates, Milpitas, CA)を使用して、4分間UV露光を行う。透明画像を、Freehand(PCバージョン:8.0, Macromedia Inc., San Francisco, CA)で描いたコンピュータデザインから作製する。解像度2400dpiのイメージセッターを用いて、プリントサービス(Jostens, Topeka, KS)によってデザインを透明画像に移す。この露光の後、ウェハを90℃で5分間後焼付けし、Nano SU-8現像液で現像した。シリコンウェハ上に残っている、過剰の未現像フォトレジストを全て除去するために、所望のデザインを含むウェハを、アセトンおよびイソプロパノールで濯いだ。フォトレジストの厚さを、表面形状測定装置(Alpha Step-200, Tencor Instruments, Mountain View, CA)を使用して測定する。これは、PDMS構造のチャネル深さに相当する。
次いで、脱気したSylgard 184エラストマーと硬化剤との10:1混合物を、シリコンウェハ上に注ぎ、75℃で約2時間硬化する。周縁を切断し、ウェハからPDMSを折り返すことによって、PDMSをマスターウェハから剥離する。PDMSチャネルの多数のコピーを作成するために、マスターを再使用することができた。得られたPDMS流路は、幅200mm、深さ100mm、および長さ3.0cmであった。
ソーダ石灰ガラスプレートを、地元のガラス店で購入する。このプレートは、幅7cm、長さ10cm、および厚さ1.54mmであった。ガラスプレートをピラニア溶液(70%濃H2SO4/30%H2O2)中に15分間浸漬して洗浄し、有機不純物を除去する。次いで、Nanopure(18MΩ-cm)水で十分に濯ぎ、窒素で乾燥する。従来のリソグラフおよびスパッタリング方法を用いて、所定のパターンで、パラジウム電極を該ガラス上に形成した。各プレートは、電極を有する複数の流路を保持しえた。より具体的には、これは、(接着用)チタン層およびパラジウム層をアルゴンイオンスパッタリングすることによって行う。これを行うため、ガラスを、金属堆積用蒸着装置(Thin Film Deposition System, Kurt J.Lesker Co.)中に置く。金属の厚さを、水晶堆積モニタ(Inficon XTM/2, Leybold Inficon)を使用してモニターする。チタンは、Tiターゲットから約2.3オングストローム/秒の速さで、200オングストロームの深さまで蒸着する。パラジウムは、Pdターゲットから約1.9オングストローム/秒の速さで、2000オングストロームの深さまで蒸着する。AZ 1518ポジ型フォトレジストを、パラジウムが被覆されたガラス上に動的に送出す。95℃、1分間の前露光焼付け、次いでポジ型フィルムを通して9秒間の紫外線露光を行う。フィルムを取り除き、ガラスを市販現像機(AZ 300MIF現像機)内に45秒間置く。水で濯ぎ、窒素で乾燥させた後、ガラスを95℃で1分間、後焼付けした。王水(8:7:1=H2O:HCl:HNO3)を用いる湿式エッチングを使用して、不要なパラジウムおよびチタンエッチング液を除き、ガラスから不要なチタンを除く。完了した時点で、ガラスをアセトンとイソプロパノールで洗浄し、残っているフォトレジストを除去し、窒素で乾燥する。
水に浸漬した状態で、各ガラスプレートに、1mm直径のドリルビットおよびDremel回転ツール(Dremel)で、流れ進入用孔をあける。Dremel回転ツールと付属の切断ディスクとで、ルー(leur)アダプターのシリンジコネクタ部分を取り除く。研磨ディスクで研磨した後、J.B.Weldで、ルーアダプターをガラスプレートに取り付ける。使用する前に、エポキシを、オーブン(75℃)で2時間硬化する。銅線およびコロイド状銀によってパラジウム電極に接続する。
カーボンインク微小電極を製造するために、先ず、PDMSマイクロ成型チャネルを、十分清浄したパラジウムリードに(取り付けられたルー取り付け具で)接触させてガラスプレートに密封する。最初に、PDMSチャネルを、溶剤シンナー(N-160)で下塗りする。貯蔵部の1つを真空にしてシンナーを除去する。シンナーが除去されると直ちに、市販カーボンインクと溶媒シンナーとの混合物をチャネルに加え、(水流吸引器を使用して)対向端を真空にすることにより、混合物をチャネル中に流す。インク/シンナー混合物は、加えられるシンナーの体積が、最初のインク重量の0.2%(v/w)となるようにする。チャネルをカーボンインクで満たした後、真空にした貯蔵部をインク/シンナー溶液で満たし、チップ全体を75℃のオーブンに1時間置く。この後、ガラス表面に付着した炭素微小電極を残して、PDMSをガラスから取り外すことができた。最終硬化/コンディショニング工程は、チップを12℃の別のオーブン中に1時間入れることによって行う。炭素微小電極の高さを表面形状測定装置で測定し、幅を顕微鏡で測定する。
カーボンインク電極をさらに特性評価するために、サイクリックボルタンメトリーを採用し、CH Instruments 810 バイポテンシオスタット(Austin, TX)を使用した3-電極フォーマットにより行う。炭素微小電極は、銀/銀塩化物参照電極を有する作用電極および補助電極としての白金線である。サイクリックボルタンメトリー実験用の静電池を、PDMS(2cm×3cm)の大きな片から小さな切片(1cm×2cm)を切断して一片のPDMSを作り、次いで電極の全長が溶液に暴露されるように、このPDMS片を炭素電極上に封止することによって作成する。流れ実験に関して、PDMSマイクロチャネル(幅約200mm、深さ100mm、および長さ約2cm)を炭素電極上に封止する、すなわち電極全体をマイクロチャネルの内部に密封する。補助および参照電極を、電気化学電池ホルダー(CH Instruments)を使用して、出口貯蔵部内に収容する。
ガラスプレートに形成された流れ進入用孔により、シリンジポンプ(Pump11, Harvard Apparatus, Holliston, MA)からの流れに接触することが可能になる。シリンジを選択した溶液で満たし、シリンジポンプ中に置く。高圧取り付け具、ルーアダプターおよびTeflon PEEK チューブを使用して、シリンジをガラスマイクロチップに接続する。流れ進入用孔の一端と位置あわせされている200μm幅のPDMS流路を通る流速は、0μL/分〜15μL/分で変化する。チャネルは電極上に直接密封される。チャネルの他端では、ホールパンチによって貯蔵部が形成され、そこに、カソードまたは参照および対電極が配置される。
カーボンインク電極は、一般に2.5cmの長さの電極であり、幅が55μm、高さが87μmである。1mMトリス(2,2’-ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)6水和物および電解質としての0.1M硫酸ナトリウムの溶液を使用し、サイクリックボルタンメトリーを使用して、電極の応答の特性評価を行う。流速が増すにつれ電流密度が増し、これは、流速が増すにつれ、被分析物がより早く電極表面に届くことから、予測される。最初に、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.4)中に1.5Vの電圧を3分間印加することにより、電気化学的前処理を利用して電極を清浄化する。
電子伝導体と酵素固定化物質とを含む電極を形成する方法を単純化するために、少し変更を加えて先の手順を実施する。そのために、酵素固定化物質を加えて、電子伝導体溶液を変更する。追加の物質は、疎水性変性キトサンの2wt%t-アミルアルコール溶液、または疎水性変性アルギン酸塩の3wt%アルコール溶液を加えることによって調製され、溶液はErcon N160Solvent Thinner中に懸濁され、十分に渦攪拌する。最後に、1mLのこの変性シンナーを、0.5gのErcon E-978(I)炭素系インクに加える。次いで、この変性電子伝導体溶液を、鋳型と基質とによって成型されたモールドキャビティに流し込み、本実施例で先に記載した方法に従って硬化させる。
本発明に従ってバイオアノードを形成するために、本実施例中で先に記載した一般的工程を使用し、アノードは、硬化および活性化段階の後に、追加の材料を電子伝導体上に流すことによって完成する。残りのアノード成分のキャスティング溶液を、疎水性変性キトサンの2wt%t-アミルアルコール溶液または疎水性変性アルギン酸塩の3wt%アルコール溶液および酵素溶液を、低級脂肪族アルコール中で組み合わせることによって調製する。次いで、この溶液を十分に渦攪拌し、約100mmのマイクロチャネルへ、流速約1mL/分で流し込む。次いで電子伝導体およびキャスティング溶液を一晩乾燥させる。
バイオカソードに関して、マイクロチップおよびチャネルマスターは、フォトリソグラフを使用する本実施例中で先に記載したように製造する。マイクロ成型手順により形成されたカーボンインク微小電極は、先に記載した疎水性変性キトサン膜または疎水性変性アルギン酸塩混合物で、さらに変性することができた。
バイオアノードとして機能させるために、炭素微小電極を変性する。PDMSに孔をあけ、微小電極の回りに配置されたAg/AgCl参照電極と補助電極としての白金線とを含むバルク貯蔵部を形成する。具体的には、これは静電池である。
微小電極上に可逆的に密封されたマイクロチャネルおよび流体力学的流れを使用して、酵素/疎水性変性キトサン混合物または酵素/疎水性変性アルギン酸塩混合物を、炭素微小電極上に固定化する。この流路の寸法は、微小電極上の配列が可能であるが、電極より大幅に広くはないものである。これを完成させるために、全ての電極がマイクロチャネル内に密封されるように、PDMSマイクロチャネル(幅130mm、深さ100mmおよび長さ約2cm)を、炭素電極(幅約40mm、長さ約2cmおよび高さ約100mm高)上に密封する。酵素と疎水性変性キトサン(または疎水性変性アルギン酸塩との2:1比の混合物を調製し、十分混合するまで一緒に渦攪拌する。シリンジポンプ(Harvard Apparatus, Brookfield, OH)を使用して、1.0mL/分で、シリンジを介して、混合物をチャネルに導入する。混合物がチャネルの全長を進むと(目視でモニターする)、溶媒を室温で蒸発させる。PDMSは気体に対して透過性であるので、これは可能である。蒸発が完了した後、PDMSを取り外し、被覆バイオアノードを残す。
本発明に従ってバイオカソードを形成するために、本実施例に記載した一般的工程を使用して、バイオカソードは、硬化および活性化段階の後に、追加の材料を電子伝導体に流して完成する。
電子伝導体を変性するために、ビリルビンオキシダーゼと、疎水性変性キトサンまたは疎水性変性アルギン酸塩とのキャスティング溶液を、約20分間一緒に渦攪拌する。次に、溶液を、約100mmのマイクロチャネルに流速約1mL/分でポンプを用いて送り込む。次いで、電子伝導体およびキャスティング溶液を一晩乾燥させる。
バイオカソードを、前記バイオアノードと類似した方法で製造する。PDMSマイクロチャネルを、カーボンインク微小電極上に密封する。疎水性変性キトサンを、カソード酵素と混合する。次いで、混合物を、チャネルの端に届くまで、1.0mL/分でチャネルに流し込み、その後で溶媒を蒸発させる。その後、PDMS流路を取り外し、バイオカソードとして使用される被覆電極を残す。
上記のことを考慮すると、本発明の複数の目的が達成され、他の有利である結果が実現されることがわかるであろう。
本発明の範囲を逸脱しない限り、種々の変更がなされうるので、先の記載に含まれる全ての事項および添付の図面に示される全ての事柄は、説明のためと解釈され、限定を意味するものではない。
本明細書における特許請求の範囲内の他の実施形態は、明細書を検討すること、または本明細書に記載した発明を実施することから、当業者には明らかになるであろう。実施例とともに明細書は、例示的なものとしてのみ考えられ、本発明の範囲および精神は、実施例に続く特許請求の範囲によって示されている。
直接電子移送系ビリルビンオキシダーゼバイオカソードで発生している化学反応を示す。 電子メディエータを含有するバイオカソードで発生している化学反応を示す。 単一官能性バイオアノードまたはバイオカソードを示す。 微小流体バイオ燃料電池を示す。 単一微小電極を形成する手順を示す。 単一微小電極を形成する手順を示す。 単一微小電極を形成する手順を示す。 単一微小電極を形成する手順を示す。 微小流体バイオ燃料電池スタックを示す。 媒介バイオアノード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとを含む)と、直接電子移送バイオカソード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とビリルビンオキシダーゼとを含む)とを有する、膜のないバイオ燃料電池の出力曲線である。 媒介バイオアノード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとを含む)と、直接電子移送バイオカソード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とビリルビンオキシダーゼとを含む)とを有する膜のないバイオ燃料電池の出力を時間の関数として示したグラフである。 媒介バイオアノード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとを含む)と、直接電子移送バイオカソード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とビリルビンオキシダーゼとを含む)とを有する膜のないバイオ燃料電池の出力を温度の関数として示したグラフである。 媒介バイオアノード(テトラブチルアンモニウム変性Nafion(登録商標)とNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとを含む)と、直接電子移送バイオカソード(ブチル-キトサンとビリルビンオキシダーゼとを含む)とを有するバイオ燃料電池の出力曲線である。 媒介バイオアノード(ブチル-キトサンとNAD+依存性アルコールデヒドロゲナーゼとを含む)と、直接電子移送バイオカソード(ブチル-キトサンとビリルビンオキシダーゼとを含む)とを有するバイオ燃料電池の出力曲線である。 テトラペンチルアンモニウムイオンで変性された低分子量アルギン酸塩の蛍光顕微鏡写真である。 トリメチルオクチルアンモニウム(TMOA)変性Nafion(登録商標)とスーパーオキシドジスムターゼとを含む直接電子移送バイオカソードの出力曲線である。

Claims (38)

  1. (a)電子伝導体と、
    (b)燃料流体と反応し、燃料流体の酸化形態を生成することができるアノード酵素であって、電子を電子伝導体に放出することができるアノード酵素を少なくとも1種と、
    (c)酵素を固定化し、安定化することができる酵素固定化物質であって、燃料流体に対して透過性である物質と
    を含むバイオアノード。
  2. (a)電子伝導体と、
    (b)酸化剤と反応し、水を生成することができるカソード酵素であって、電子を電子伝導体から獲得することができるカソード酵素を少なくとも1種と、
    (c)酵素を固定化し、安定化することができる酵素固定化物質であって、酸化剤に対して透過性である物質と
    を含むバイオカソード。
  3. 電気を発生するバイオ燃料電池であって、
    燃料流体と、
    請求項1記載のバイオアノードと、
    請求項2記載のバイオカソードと
    を含むバイオ燃料電池。
  4. 電気を発生するバイオ燃料電池であって、
    燃料流体と、
    請求項1記載のバイオアノードと、
    カソードと
    を含むバイオ燃料電池。
  5. 電気を発生するバイオ燃料電池であって、
    燃料流体と、
    アノードと、
    請求項2記載のバイオカソードと
    を含むバイオ燃料電池。
  6. 酵素固定化物質が、ミセル構造または逆ミセル構造を含む請求項1〜5のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  7. 酵素固定化物質が、変性パーフルオロスルホン酸-PTFE共重合体を含む請求項1〜6のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  8. 酵素固定化物質が、疎水性変性アルギン酸塩を含む請求項1〜6のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  9. 酵素固定化物質が、NH4 +より大きい疎水性カチオンで変性されている請求項7または8に記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  10. 疎水性カチオンが、アンモニウム系カチオン、第四級アンモニウムカチオン、アルキルトリメチルアンモニウムカチオン、有機カチオン、ホスホニウムカチオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウム、金属複合体、ビピリジル金属複合体、フェナントロリン系金属複合体、[Ru(ビピリジン)32+または[Fe(フェナントロリン)33+を含む請求項9に記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  11. 疎水性カチオンが、式4:
    Figure 2009515303
    (式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロ環であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素以外である)
    で表される第四級アンモニウムイオンを含む請求項9に記載のバイオアノード、バイオカソード、またはバイオ燃料電池。
  12. R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルであり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素以外である請求項11記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  13. R1、R2、R3およびR4は同じであって、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである請求項11記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  14. R1、R2、R3およびR4はブチルである請求項11記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  15. R1、R2、R3およびR4の1つは、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、またはテトラデシルであり、残りは、独立して、メチル、エチルまたはプロピルである請求項11記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  16. 酵素固定化物質は、疎水性変性多糖である請求項1〜6のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  17. 多糖が、キトサン、セルロース、キチン、デンプン、アミロース、アルギン酸塩、およびそれらの組合せを含む請求項16記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  18. ミセル状疎水性変性多糖が、式1:
    Figure 2009515303
    (式中、nは整数であり、
    R10は、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
    R11は、独立して、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)
    に相当する請求項17記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  19. 疎水性変性多糖の分子量が、約90,000〜約500,000である請求項18記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  20. 疎水性変性多糖の分子量が、約225,000〜約275,000である請求項18記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  21. R10は、独立して、水素またはアルキルであり、R11は、独立して、水素またはアルキルである請求項18記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  22. R10は、独立して、水素またはヘキシルであり、R11は、独立して、水素またはヘキシルである請求項18記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  23. R10は、独立して、水素またはオクチルであり、R11は、独立して、水素またはオクチルである請求項18記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  24. 電子伝導体が、炭素材料、金属導体、半導体、金属酸化物または変性導体を含む請求項1〜23のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  25. 電子伝導体が炭素材料を含む請求項1〜23のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  26. 電子伝導体が、炭素クロス、炭素ペーパー、カーボンスクリーン印刷電極、カーボンブラック、炭素粉末、炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブアレイ、ダイアモンド被覆導電体、ガラスカーボン、メソ多孔性炭素、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、剥離精製フレーク状グラファイト、高性能グラファイト、高配向熱分解グラファイト、熱分解グラファイト、または多結晶グラファイトを含む請求項25に記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  27. 電子伝導体が、カーボンナノチューブを含む請求項25に記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  28. カソード酵素またはアノード酵素が、複数のレドックス中心を含む請求項1〜27のいずれかに記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  29. カソード酵素またはアノード酵素が、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、PQQ依存性ヒドロゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、パーオキシダーゼ、またはこれらの組合せを含む請求項28に記載のバイオアノード、バイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  30. カソード酵素が、ビリルビンオキシダーゼまたはスーパーオキシドジスムターゼを含む請求項2、3、および5〜29のいずれかに記載のバイオカソードまたはバイオ燃料電池。
  31. アノード酵素が、PQQ依存性デヒドロゲナーゼまたはリポキシゲナーゼを含む請求項1、3、4、および6〜30のいずれかに記載のバイオアノードまたはバイオ燃料電池。
  32. 酸化剤が、酸素または過酸化物を含む請求項3〜31のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  33. 酸化剤が酸素を含む請求項32に記載のバイオ燃料電池。
  34. 燃料流体が、アンモニア、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース-1、D-グルコース、L-グルコース、グルコース-6-ホスフェート、ラクテート、ラクテート-6-ホスフェート、D-ラクテート、L-ラクテート、フルクトース、ガラクトース-1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセレート、補酵素A、アセチルCo-A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L-グルコネート、β-ヒドロキシステロイド、α-ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、シンナミルアルコール、ホルメート、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル-CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2または水素を含む請求項3〜33のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  35. 燃料流体が、メタノール、エタノールまたはプロパノールを含む請求項34に記載のバイオ燃料電池。
  36. 燃料流体が、エタノールを含む請求項34に記載のバイオ燃料電池。
  37. バイオアノードおよびバイオカソードが、塩橋またはポリマー電解質膜によって分離されていない請求項3、および6〜36のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  38. 請求項3〜37のいずれかに記載のバイオ燃料電池を使用して電気を発生する方法であって、アノードまたはバイオアノードで、燃料流体を酸化し、カソードまたはバイオカソードで、酸化剤を還元することを含む方法。
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