JP2009512964A - リファレンスレベルに基づいた書き込み方式の最適化 - Google Patents
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Abstract
本発明は、記録プロセスにおける書き込み方法を最適化する手段を有する光記録装置に関する。本装置は、書き込み方法に従って放射線ビームを放出する放射線源、読み取り信号を供給する読み取りユニット、読み取り信号に対応する変調ビットを供給するビット検出器、変調ビットを変調ビット系列にグループ化し、それぞれの読み取り信号の変調ビット系列を、所与の変調ビット系列について読取り信号の平均振幅に対応するリファレンスレベルに相関付けするプロセッサを有する。リーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトは、リファレンスレベルの位置に基づいて決定され、書き込み方法における1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つは、リファレンスレベルの相対的な値に基づいて最適化プロセスにおいて最適化される。任意に、光学的な作用の非対称性は、書き込み方法が非対称性に基づいて最適化されるように、リファレンスレベルから決定される。
Description
本発明は、最適化された書き込み方式の制御を含む光記録装置、光記録プロセスにおける書き込み方式を最適化する対応する方法に関する。本発明は、特に、書き込み方式の1以上のパラメータの最適化に関する。
(たとえばCD,DVD及びBDのような)光媒体にデータを記録するために必要とされる放射線パワーの最適な量は、特に、使用される特定の媒体、記録速度に依存し、更に、データが記録される媒体の位置に依存する。誤った放射線パワーの設定により、小さ過ぎの作用、大き過ぎの作用のような誤った光学的な作用(マークとも呼ばれる)となるため、正しい放射線のパワーが媒体に供給されることが重要である。これらの光学的な作用は記録されたデータを表すので、誤った放射線パワーの設定は、結果的に誤った記録となる。
現在の世代のDVDドライブ及び次の世代のBDドライブでは、ディスクにデータを記録するために使用される放射線パワー及び書き込み方式は、非常に正確に制御される必要がある。これは、たとえば、以下のやり方で行われる。ジッタ測定に基づいた、ディスクの内径で実行される最初の最適化ステップ(OPC: Optimum Power Control)の後、最初の最適化ステップで発見された最適な設定を使用しつつ、記録される光学的な作用の非対称性が測定される。幾つかのトラックを(たとえば100まで)記録した後、最後のトラックがリードバックされ、記録された光学的な作用の非対称性が測定される。トラックが最適なものよりも高い非対称性を有するように見えるとき、書き込みパワーが低減され、トラックが低い対称性を有するように見えるとき、書き込みパワーが増加される。この書き込みパワーの半連続の適応的な方法は、規定されたインターバル(又は位置)でのみ書き込みパワーが必要に応じて変更されるため、ウォーキングOPCと呼ばれる。
大容量記憶及び高速アクセスの益々増加する要求は、記録の間に放射線のパワーを制御するための、より正確であって、反応の良い制御メカニズムの使用が必要とされる。したがって、当該技術分野において、改善された光記録装置及び改善された最適な光記録を保証する方法が必要とされる。
本発明は、記録プロセスの間に記録パラメータの最適な設定を保証する手段をもつ改善された光記録装置を提供することにある。記録パラメータのコンビネーションは、書き込み方法(ストラテジ(strategy))と呼ばれる。
本発明は、記録プロセスの間に記録パラメータの最適な設定を保証する手段をもつ改善された光記録装置を提供することにある。記録パラメータのコンビネーションは、書き込み方法(ストラテジ(strategy))と呼ばれる。
本発明者は、これまで、全ての作用の長さ(effect length)(ランレングスとも呼ばれる)を通して「平均的な」非対称的である単一のパラメータのみがパワーコントロールメカニズムにおいて測定されるという見識を有している。かかる制限された情報の量の使用は、たとえば高速BD記録において、必要に応じて正確なパワーコントロールの要件を満たすことが問題となる。
本発明の第一の態様によれば、最適化された書き込み方法の制御による光記録装置が提供される。当該装置は、以下を有する。光記録キャリアに光学的な作用を記録し、光記録キャリアから光学的な作用を読み取るように、放射線ビームを放出する放射線源。放射線ビームは、1以上の書き込みパラメータを含む書き込み方法に従って記録の位置に放出される。第一の長さで記録キャリアの第一の領域から反射される第一のセクションと、第二の長さで記録キャリアの第二の領域から反射される第二のセクションとを有する読み取り信号を供給するように、記録された作用を読み取る読み取りユニット。第一の領域から第二の領域への遷移は、リーディングエッジがラベル付けされ、第二の領域から第一の領域への遷移は、トレイリングエッジでラベル付けされる。読み取り信号に対応する変調ビットを供給するビット検出器。変調ビットを変調ビット系列にグループ分けし、読み取り信号のそれぞれの変調ビット系列をリファレンスレベルに相関付けする処理ユニット。リファレンスレベルは、所与の変調ビット系列について読み取り信号の平均の振幅に対応する。リファレンスレベルの値に基づいて記録キャリアのリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均的な遷移のシフトを決定する手段。リファレンスレベルの値に基づいて書き込み方法における1以上の書き込みパラメータの少なくとも1つを設定する手段。
読み取り信号は、ライトワンス、又はリライタブルCDタイプディスク、DVDタイプディスク、BDタイプディスク等から反射された測定された光信号のような、測定された光信号(から導出される)場合がある。読み取り信号は、変調された信号であり、変調は、ディスクに置きされるバイナリデータを表す。ディスクに記憶されたデータの典型的なエンコードは、ランレングス符号化であり、この場合、光学的な作用の長さ、光学的な作用間のスペースの長さに記憶される。ディスクに記憶されるビットパターンは、スペースと光学的な作用(マーク)の間の遷移のシフトのタイミング系列により表されるランレングス符号化である。
光学的な作用は、書き込み方法に従って放射線源を駆動することで光媒体に設けられる。一般に、光学的な作用は、多数の書き込みパラメータにより特徴付けされるパルスの形状を持つ放射線パルスにより書き込まれる。典型的に、書き込み方法は、放射線パワーをオン又はオフにするためのコマンドのような多数の書き込みパラメータを含み、放射線パワーを特定のレベルにセットし、所与の期間について放射線パワーを保持する。
特定の書き込み方法は、所望の作用の長さのような所望の光学的な作用に依存する。標準的な書き込み方法は、記録されるべき光学的な作用の所望の長さに従ってカテゴリ化されて存在し、すなわちI2マークを書き込むためのI2ストラテジ、I3マークを書き込むためのI3ストラテジ等である。
光記録可能な媒体へのデータの記録の前だけでなく、記録の間にも書き込み方法を較正(すなわち再び最適化)することが重要であり、必要でさえある。これは、ディスクが完全に均質ではなく、システムが熱をもつためである。
全ての光学的な作用を通して平均的な非対称が測定される従来のシステムでは、情報量は、制限され、正確なパワーコントロールの要件を満たすことが困難になる。リファレンスレベルの値に基づいて読取り信号におけるリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトを決定することで、本発明に係る装置において、より詳細、より完全な最適化が実行される。本発明の実施の形態では、平均の遷移のシフトは、互いに関して、これらのリファレンスレベルの相対的な値に基づいている。
本発明は、たとえば30〜37GBのレンジといったような、30GBを超えるデータ容量を有する記憶媒体での記録プロセスを最適化するのを可能にする。これは、係る大容量の媒体での記録プロセスを最適化する代替的な方法が現在存在しないために有利である。
本発明に係る装置の実施の形態は、従属の請求項2で定義される。この実施の形態は、光学的な作用の長さの関数としてリファレンスレベルから光学的な作用の非対称性を判定することで、リファレンスレベルからランレングスに依存した非対称性の情報を抽出するのを可能にし、これにより、書き込み方法のランレングスに依存した最適化が可能となる。
波形の非対称性は、どの位長くマークがスペースに関連しているかに関する直接的な測度であり、非対称性に基づいて書き込み方法を最適化することで、正しく大きさを合わせて作られた光学的な作用が保証される。
本発明に係る装置の更に有利な実施の形態は、従属の請求項3乃至5で定義される。これらの実施の形態では、リファレンスレベルの位置、すなわち所与の遷移への遷移のシフトの値は、パワーレベル、レベル期間、又は書き込みパルスのタイミングに直接に相互に関連付けされる。任意に、これらの相関の関連付けは、書き込みパラメータを最適化するために処理手段により使用することができるルールにより定義される。
本発明に係る装置の実施の形態は、従属の請求項6で定義される。この実施の形態は、記録プロセスの第一の部分の間に光学的な作用の系列の第一の部分を読取り、最適化プロセスにおける書き込み方法を最適化し、その後に記録プロセスの第二の部分における最適化された書き込み方法を使用することで、全体の記録プロセスについて最適な書き込み品質が保証される。
本発明の第二の態様によれば、1以上の書き込みパラメータを有する書き込み方法を最適化する対応する方法が提供される。当該方法は、以下のステップを有する。測定された読み取り信号を供給するステップ。この読み取り信号は、第一の長さをもつ記録キャリアの第一の領域から反射された第一のセクションと、第二の長さをもつ記録キャリアの第二の領域から反射された第二のセクションとを有する。第一の領域から第二の領域への遷移は、リーディングエッジでラベル付けされ、第二の領域から第一の領域への遷移は、トレイリングエッジでラベル付けされる。読み取り信号に対応する変調ビットを供給するステップ。この変調ビットは、変調ビット系列として供給される。それぞれの変調ビット系列をリファレンスレベルに相互に関連付けるステップ。このリファレンスレベルは、所与の変調ビット系列について読取り信号の移動平均振幅(running average amplitude)を反映する。リファレンスレベルの値に基づいて読取り信号におけるリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトを判定するステップ。平均の遷移のシフトに基づいて書き込み方法における1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つを設定するステップ。
本発明の第三の態様によれば、本発明に係る光記録装置を制御する集積回路(IC)が提供される。このICは、本発明の第一の態様に係る装置に組み込まれるか、代替的に、本発明の最適化プロセスを含むために光記録装置に組み込まれるスタンドアロン型のIC(又はチップセット)として提供される場合がある。
本発明の第四の態様によれば、本発明の第二の態様に係る方法による、光記録装置を制御するコンピュータ読み取り可能なコードが提供される。コンピュータ読み取り可能なコードは、本発明の最適化プロセスの機能を含むように、記録装置を制御するのを可能にするため、たとえば本発明の第三の態様に係るICのようなICを制御する場合がある。一般に、本発明の様々な態様が組み合わされ、本発明の範囲で可能なやり方で結合される。本発明のこれらの態様、特徴及び/又は利点、並びに他の態様、特徴及び利点は、以下に記載される実施の形態を参照して明らかになるであろう。
本発明の実施の形態は、添付図面を参照して、例示を通して記載される。
図1は、光記録キャリア8からの情報の読み取り、及び/又は光記録キャリア8への情報の書き込みが可能な、本発明に係る光記録装置1のエレメントを例示する図である。光記録装置は、様々な機能をもつ多数のエレメントを有し、それらの最も関連するもののみがここで説明される。制御手段CTRL2は、光記録装置を制御するために使用されるタイプの制御手段を示す。この制御手段CTRL2は、機械的な制御手段、電子的な制御手段及びマイクロプロセッサ手段のような制御エレメントを含む場合がある。機械的な制御エレメントは、ディスク状の光記録キャリア8を回転し、光ピックアップユニット5を移動させるモータ手段を含む。電子的な制御エレメントは、光ピックアップユニット5の動きを制御する制御エレメントを含む。マイクロプロセッサ手段(たとえば集積回路(IC)手段)は、装置の動作のハイレベルな制御を可能にするハードウェアによる処理手段及び/又はソフトウェアによる処理手段を含む。ハイレベルの制御の例は、記録モードの間に放出されるレーザパワーのパルス形状の設定(すなわち書き込み方法)にわたる制御を含む。
図1は、光記録キャリア8からの情報の読み取り、及び/又は光記録キャリア8への情報の書き込みが可能な、本発明に係る光記録装置1のエレメントを例示する図である。光記録装置は、様々な機能をもつ多数のエレメントを有し、それらの最も関連するもののみがここで説明される。制御手段CTRL2は、光記録装置を制御するために使用されるタイプの制御手段を示す。この制御手段CTRL2は、機械的な制御手段、電子的な制御手段及びマイクロプロセッサ手段のような制御エレメントを含む場合がある。機械的な制御エレメントは、ディスク状の光記録キャリア8を回転し、光ピックアップユニット5を移動させるモータ手段を含む。電子的な制御エレメントは、光ピックアップユニット5の動きを制御する制御エレメントを含む。マイクロプロセッサ手段(たとえば集積回路(IC)手段)は、装置の動作のハイレベルな制御を可能にするハードウェアによる処理手段及び/又はソフトウェアによる処理手段を含む。ハイレベルの制御の例は、記録モードの間に放出されるレーザパワーのパルス形状の設定(すなわち書き込み方法)にわたる制御を含む。
光記録装置は、光ピックアップユニット5(OPUとも呼ばれる)を含む。光ピックアップユニット5は、多数の光学素子によりディスクに焦点合わせされるレーザビームを放出するためのレーザ6を含む。記録モードでは、物理的な変化が光ディスクに提供されるように、すなわち光学的な作用(マーク)がディスクに設けられるように、焦点合わせされたレーザビームは十分に強い。代替的に、読み取りモードでは、レーザビームのパワーは、前記物理的な変化を生じさせるために不十分であり、ディスクから反射されたレーザ光は、ディスクの光学的な作用(マーク)を読取るために光検出器7により検出される。
光検出器7により見られるように、光記録キャリアからの測定された光信号は、高周波信号と呼ばれるか、単にHF信号と呼ばれる。光検出器7により測定される信号は、専用ユニット(図示せず)によるか、又は制御手段CTRL2に含まれる処理手段による、更なる処理に適した形式に変換される。
図2は、読み取り信号40からの一連のチャネルビット20を例示する信号を示す。一連のチャネルビットは、スペース又は高い反射率の領域を表す、第一の長さ211をもつ記録キャリア8の第一の領域から反射されたレーザ光に対応する第一のセクション21と、マーク又は低い反射率の領域を表す、第二の長さ221をもつ記録キャリア8の第二の領域から反射されたレーザ光に対応する第二のセクション22とを有する。第一の領域から第二領域への遷移は、リーディングエッジ23でラベル付けされ、第二の領域から第一の領域への遷移は、トレイリングエッジ24でラベル付けされる。
ディスク状の記録キャリア8の光学的な作用は、通常、中央及び外側から螺旋形を描くトラックに沿って揃えられる。(第二のセクション22により表される)これら光学的な作用は、マークと呼ばれることがあり、(第一のセクション21により表される)これらのマーク間の領域は、スペースと呼ばれることがある。(通常、書き換え可能なディスクとして使用される)相変化型ディスクでは、マークは低い反射率をもつアモルファス領域であり、スペースは高い反射率をもつ結晶領域である。
光記録では、データは、異なるランレングス、すなわち異なる長さのマーク及びスペースからなるパターンで記憶される。所与のディスクの最適な特性について重要なことは、全てのマーク及びスペースの長さが標準的なチャネルビット長の正確な倍数となることである。たとえば、ディブルーレイスク(BD)では、最も短い作用は、(長さの単位である)標準的なチャネルビット長の2倍であり、I2’と呼ばれる。最も長い作用は、チャネルビット長の9倍であり、I9’と呼ばれる。マーク及びスペースの長さがチャネルビット長の正確な倍数ではないとき、これは、最適な状況からの逸脱として見られ、品質が低下されたビット検出性能となる。
現実のディスクでは、高い反射率の領域(スペース)と低い反射率の領域(マーク)との間の遷移は、常に正しい位置にはない。幾つかは余りに左にあり(すなわち、時間的に早すぎ、ネガティブの定義)、幾つかは右にある(すなわち、時間的に遅すぎ、ポジティブの定義)。これは、測定される遷移の位置を示す点−破線のライン27、271、272により例示される。図2では、水平軸28は、時間軸を表す。この時間軸は、いわゆる1T解像度を有する(すなわち、時間軸の1ユニットは、1チャネルビットの期間に対応する)。理想的な信号について、遷移23,24は、時間軸での1ユニットに正確に揃うべきである。
以下では、本発明の実施の形態は、例を通して記載される。これらの実施の形態では、測定されたリファレンスレベルの値は、マーク及びスペースの位置に関するタイミング情報、及びマークとスペースの間の遷移の位置に関するタイミング情報を抽出するために処理される。
図3は、制御手段CTRL2の一部である場合がある、リファレンスレベル抽出モジュール30の実施の形態を示す。リファレンスレベルは、所与の変調ビット系列について(平均のレーザ光の強度を表す)HF信号の平均値としてみることができる。リファレンスレベルの数は、計算において同時に採取される係る変調ビットの系列(ak-4,...,ak)におけるビット数に依存する。結果的に、この実施の形態で示されるよりも多いか又は少ないリファレンスレベルは、本発明から逸脱することなしに使用される場合がある。変調ビットakは、たとえば閾値検出器又はビタビビット検出器により、デジタル化されたHF信号dkから抽出される。ビタビ検出器は、現代の光ディスクシステムで使用される。かかるビタビビット検出器が使用されるとき、変調ビットの系列で同時に採取されるビット数は、ビタビビット検出器で使用されるタップ数に直接的に関連する。図示される実施の形態では、5タップのリファレンスレベルの抽出モジュール30が記載され、17PPの変調コードは、16の異なるリファレンスレベルを有する(17PPとは、(1,7) RLL Parity Preserve Prohibit Repeated Minimum Transition Run-lengthの略である)。しかし、他のタップ数(すなわち変調ビットの数)、これにより、多かれ少なかれリファレンスビットを代わりに処理できることが理解される。結果的に、本発明で示される16よりも多いか、又は少ないリファレンスレベルが測定される実施の形態が本発明の範囲で考えることができる。リファレンスレベルは、任意に、ビタビリファレンスレベルの形式である場合がある。リファレンスレベルは、使用されるビタビ検出器のタイプに依存する。ビタビビット検出器が使用されるとき、ランレングスに依存する非対称な情報はビタビリファレンスレベルから抽出されることが有利である。これは、これらリファレンスレベルがビタビビット検出エンジンの一部としてハードウェアで構築される場合があるためである。
上述されたように、5つの変調ビット(ak-4...ak)を利用する実施の形態は、図3を参照して記載される。したがって、それぞれのリファレンスレベルは、5つの変調ビットを通して平均であり、結果的に、少なくとも5つの変調ビットが前もって読み取られる必要があるので、リアルタイムのビットストリームは、時間的に遅延される。検出された変調ビットakは、4つの遅延ユニットZ-1により遅延される。デジタル化されたHF信号dkは、2つの遅延ユニットZ-1により遅延され、これにより変調ビットはHF信号と同期される。それぞれのクロックサイクルの間、5つの変調ビット(ak-4...ak)は、アドレスエンコーダ31により4ビットアドレス33に変換される。この4ビットアドレスは、ランニングアベレージユニット32に記憶される16リファレンスレベル(R1...R16)のうちの1つを示す。選択されたリファレンスレベルの移動平均は、dkを遅延することで得られるような時間同期されたHF信号dk-2により、この移動平均ユニット32において更新される。16の最新のリファレンスレベルR1〜R16は、移動平均ユニット32で利用可能であり、書き込み方法パラメータを設定するために出力することができる。例示を通して、表1は、ビットストリームの17PPコード及び対応するリファレンスレベルRLに従うときに許容される変調ビットの5ビット系列(ak-4,ak)を示す。
図4は、光信号とリファレンスレベルの間の関係を例示する。図4Aは、25GBのBDディスクから読取られた光信号40を示す。光信号から抽出されたビットも示され、ドット41及び42により示される。参照符号41は、高い反射率の領域、すなわちスペースを示し、参照符号42は、低い反射率の領域、すなわちマークを示す。連続するドットの数は、抽出されたランレングスを示し、たとえば、参照符号43で示されるI2スペースのランレングス(2つの連続するドット)、参照符号44で示されるI3マークのランレングス(3つの連続するドット)が示される。さらに、光信号40をオーバラップすることは、サークル45により示される5タップのリファレンスレベルであり、それぞれのサークルは、読み取り信号の平均の振幅、すなわち、所与のビット系列について平均の光強度に対応する。
図4Bは、時間tを通してリファレンスレベル45の移動平均を示す。このプロットにおいて、リファレンスレベルの移動平均は、それぞれのクロックサイクルの後(したがって、それぞれの新たな測定の後)グラフを更新することで例示される。なお、図4Aは、実際には、図4Bの一部49の拡大されたビューである。光信号から抽出されたビット41,42も示されているが、更新のため、単一の実線になっている。同様に、光信号40は、多かれ少なかれ十分にカバーされた領域となる。図4Bでは、16のリファレンスレベル45のうちの10のみを見ることができる。これは、所与のセットアップにおいて、チャネル歪みが存在せず、幾つかのリファレンスレベルにおいて、互いのトップに重なるためである。これらオーバラップするリファレンスレベルは分離される。これは、対応する変調ビット系列によりそれぞれのレベルがマークされるためである。
本発明によれば、マーク及びスペースの位置に関する情報、より詳細には、マークとスペースの間の遷移の位置に関する情報は、リファレンスレベルの値及びこれら値の間の関係から抽出される。
物理的に、変調ビットとりファレンスレベル間のリンクは、記録キャリアにフォーカスされる光スポットの記録キャリアのマーク及びスペースとの畳み込みに対応する。数学的に、変調ビットとリファレンスレベルとの間のリンクは、以下の行列の式により表現される。
リファレンスレベルが測定されたとき、光チャネルインパルス応答ベクトルhを原理的に発見することができる。先の行列の式は、5つのみの未知の変数(h-2,h-1,h0,h+1,h+2)をもつ16の式を含む。たとえば、最小二乗誤差方法を使用して、かかる問題を解決することができる。
しかし、実際に実験的に測定されたリファレンスレベルのセットで先の行列の式を解くことを試みる場合、係るシンプルな方法を使用して、全てのリファレンスレベルをフィットさせることは殆ど不可能である。これは、主に、マーク及びスペースの非対称性が考慮されていないためである。本発明によれば、リファレンスレベルへの非対称性の影響は、モデルに盛り込まれる。リファレンスレベルR1〜R10(表1)は、単一の遷移パターンに全て関連する(すなわち、対応する変調ビット系列のそれぞれにおける、一連の“0”と一連の“1”との間に単一の遷移のみが存在する)。“1”(信号の「ハイ」の値)から“0”(信号における「ロウ」の値)への遷移は、マークのリーディングエッジを表し、遷移に最も近い1をLで示される変数と置き換えることで、非対称性がモデルに導入される。1以下のLの値は、(たとえば図2における遷移27のように)余りに早く開始するマークの作用に類似する。同様に、(マークのトレイリングエッジを表す)0から1への全ての遷移について、“1”はTで示される変数で置き換えられ、これは、マークのトレイリングエッジでのエッジシフト272に類似する。
リファレンスレベルR11〜R16(表1)における全てのエッジシフトは、所定のランレングスについて固有である。非対称性をこれらの遷移のモデルに組み込むため、特定の遷移のそれぞれについて特定の変数が導入される。これら特定の変数は、X(X)YZで符号化され、ここでX(X)は、Lがリーディングエッジを表し、Tがトレイリングエッジを表す1又は複数のレターコードであり、Yは、作用の長さを表す符号であり(たとえばX3ZはI3作用に関連する)、Zは、Mがマークの作用を示し、Sがスペースを示すレターコードである。以下、全ての変調ビットパターン(ak-1…ak)がリファレンスレベルRxに関連する行列の式は、以下のように書かれる。
ステップ1:リファレンスレベルR1〜R10に基づいてh及びランレングスL及びTを解く。
第一のステップは、たとえば、公知の最小二乗誤差方法を利用するか、代替的に、コンピュータに基づいた数値方法(たとえば公知のソフトウェアプログラムMaple又はMathematica)によって解かれる。最小二乗誤差方法が使用され、行列式の最初の10の式が解かれるとき、測定されたリファレンスレベルとモデル化されたリファレンスレベルの間の誤りを計算し、この誤りをビットパターンで畳み込みを行い、hを更新することで、hの値を発見することができる。L及びTの変数は、DCエラー成分を対応するL(リファレンスレベルR7〜R10)及びT(リファレンスレベルR2〜R5)に帰属させることで発見される。多数の繰り返しの後、最良にフィットする解が発見される。集束を改善するため、変数が少なくなり、解が良好に定義されるように、解に対称なhベクトルを強制的に持たせることができる。光チャネルインパルス応答ベクトルh並びに変数L及びTを予測した後、第二のステップにおいて、特定の遷移のそれぞれの固有値が決定される。
第一のステップは、たとえば、公知の最小二乗誤差方法を利用するか、代替的に、コンピュータに基づいた数値方法(たとえば公知のソフトウェアプログラムMaple又はMathematica)によって解かれる。最小二乗誤差方法が使用され、行列式の最初の10の式が解かれるとき、測定されたリファレンスレベルとモデル化されたリファレンスレベルの間の誤りを計算し、この誤りをビットパターンで畳み込みを行い、hを更新することで、hの値を発見することができる。L及びTの変数は、DCエラー成分を対応するL(リファレンスレベルR7〜R10)及びT(リファレンスレベルR2〜R5)に帰属させることで発見される。多数の繰り返しの後、最良にフィットする解が発見される。集束を改善するため、変数が少なくなり、解が良好に定義されるように、解に対称なhベクトルを強制的に持たせることができる。光チャネルインパルス応答ベクトルh並びに変数L及びTを予測した後、第二のステップにおいて、特定の遷移のそれぞれの固有値が決定される。
ステップ2:リファレンスレベルR11〜R16に基づいてI2及びI3ランレングスについて固有値を解く。
ステップ2a;既知のhベクトル、並びにR11及びR13に基づいてL2M及びT2Mを解く(2つの未知数をもつ2つの式)。
異なるランレングスの非対称性の判定を容易にすることで、書き込み方法の更に詳細な制御が容易になる。これは、進展されたウォーキングOPC方法に特に適している。かかるウォーキングOPC方法では、書き込み方法は、実際のデータの記録の前に、ディスクに確保されたゾーンで通常最適化される。予め定義された数のトラックを記録した後、システムは、1トラックだけジャンプし、最後に書き込まれたトラックの品質を分析する。書き込みパフォーマンスを改善するために書き込み方法を僅かに調節することが必要とされる場合がある。これは、ディスクが完全に均質ではなく、システムが熱をもつ等のためである。このプロセスは、予め決定されたインターバルで繰り返され、このように、全体のディスクを信頼性高く書き込むことができる。通常、書き込みパワーのみを調節することができる。これは、最後に書き込まれたトラックを読み取るときに、唯一のパラメータを測定することができるためである。しかし、ランレングスに依存した非対称性を提供することで、書き込み方法において1を超えるパラメータを調節することができる。代替的に、所与の書き込み方法において特定のパラメータを調節することができる。
図5は、3Tマークの書込み方法の概念図である。レーザパワーPLは、時間tの関数として示される。書き込み方法は、記録キャリアに様々な光学的な作用(マーク)を形成するために使用されるレーザ光パルスを定義する。例示される書き込み方法は、4つのパワーレベル(E,W,B,C)である多数の書き込みパラメータ及びこれらのパワーレベルのそれぞれの時間期間を有する。レーザは、消去パワーレベルEで開始し、書き込みパワーレベルWを有する書き込みパルスが後続する。書き込みパルスの後、相変化型材料を急冷するため、バイアスパワーレベルBにパワーが低減される。最後に、パワーレベルCをもつ消去パワーが使用され、トレイリングエッジを正しい位置に配置するため、アモルファスマークの一部を再結晶させる。書き込みパルスのパルス形状は、サブパルスの数及びサブパルスのそれぞれの期間を規定することで、ディスクのタイプに従って調節される場合がある。図5の例では、バイアスパワーレベルBをもつパワーレベルを有する2つのサブパルスからなる書き込みパルスWが例示を通して示される。なお、本発明は、図5に例示されるタイプの書込み方法に限定されるものではなく、図面は、書き込み方法の例示としてのみ提供される。
本発明に基づいて、書き込み方法における1以上の書き込みパラメータは、リファレンスレベルの値に基づいて最適化プロセスで最適化される。本発明の実施の形態では、この最適化プロセスは、互いに関してリファレンスレベルの値に基づく。1以上の書き込みパラメータは、パワーレベル、パワーレベルの期間、パルス又はサブパルスのタイミング等を含む。
先に記載された実施の形態では、長いランレングスの光学的な作用の非対称性は、ランレングスに特化したL2M/T2M及びL2S/T2S遷移(I2作用について)及びLT2M及びLT3S(I3作用について)と同様に抽出される。これらの非対称性に基づいて、I2及びI3作用を記録するために書き込み方法における特定のパラメータ設定を調節することができ、この作用は、信頼できるデータの記録を得るために最も重要なものである。
一般に、平均の遷移のシフトを評価し、たとえば決定された非対称性に基づいて、幾つかの予め定義されたルールに従って、1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つを最適化することが可能である。かかるルールは、ランレングスに依存する非対称性と書き込み方法における各種パラメータの設定の間の関係を含む。代替的に、かかるルールは、どの書き込み方法を最適化すべきかをどのように判定すべきかに関するスキーム、及び/又は書き込み方法におけるパラメータのうちのどのパラメータを調節すべきかをどのように判定すべきかに関するスキーム、及び調節の程度を含む。
本発明の様々な態様は好適な実施の形態と共に記載されてきたが、ここで述べた特定の形式に限定されることが意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。上記において、開示された実施の形態の所定の特定の詳細は、本発明の明確かつ完全な理解を提供するため、限定ではなく説明のために述べられた。しかし、本発明は、この開示の精神及び範囲から著しく逸脱することなしに、ここで述べられた詳細に正確に一致しない他の実施の形態で実施される場合があることは、当業者により理解されるであろう。さらに、この文脈では、明確さのため、公知の装置、回路、方法の詳細な説明は、不要な詳細及び可能性のある混乱を回避するように省略されている。本発明に係る装置のエレメントは、個別のハードウェアのアイテムにより実現されるか、幾つかのエレメントは、同一アイテムのハードウェアに結合される。さらに、幾つかのエレメントは、適切にプログラムされたプロセッサにより実現される場合がある。
Claims (9)
- 最適化された書き込み方法の制御による光記録装置であって、
当該装置は、
光記録キャリアに光学的な作用を記録し、前記光記録キャリアから光学的な作用を読み取るように、1以上の書き込みパラメータを含む書き込み方法に従って記録の位置に放出される放射線ビームを放出する放射線源と、
第一の長さで前記光記録キャリアの第一の領域から反射される第一のセクションと、第二の長さで前記光記録キャリアの第二の領域から反射される第二のセクションとを有する読み取り信号を供給するように、記録された作用を読み取る読み取りユニットと、前記第一の領域から前記第二の領域への遷移は、リーディングエッジでラベル付けされ、前記第二の領域から第一の領域への遷移は、トレイリングエッジでラベル付けされ、
前記読み取り信号に対応する変調ビットを供給するビット検出器と、
前記変調ビットを変調ビット系列にグループ分けし、前記読み取り信号のそれぞれの変調ビット系列を、所与の変調ビット系列について前記読み取り信号の平均の振幅に対応するリファレンスレベルに相関付けする処理ユニットとを有し、
当該装置は、
前記リファレンスレベルの値に基づいて前記光記録キャリアのリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトを決定する手段と、
前記リファレンスレベルの値に基づいて書き込み方法における1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つを設定する手段と、
を更に有することを特徴とする光記録装置。 - 前記光学的な作用の長さの関数として、前記リファレンスレベルから光学的な作用の非対称性を判定する手段と、前記判定された非対称性に基づいて少なくとも1つの書き込み方式を設定する手段とを有する、
請求項1記載の装置。 - 前記1以上の書き込みパラメータは、パワーレベル及び/又はパワーレベルの期間を含む、
請求項1記載の装置。 - 前記1以上の書き込みパラメータは、前記放射線ビームにおける書き込みパルスのタイミングを含み、前記タイミングは、リファレンスクロックに関して得られる、
請求項1記載の装置。 - 前記リーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトを評価する手段と、予め定義されたルールに従って前記書き込み方法における1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つを最適化する手段とを有する、
請求項1記載の装置。 - 記録可能な媒体に光学的な作用からなる系列を記録する制御手段を有し、
前記読み取りユニットは、前記記録プロセスの第一の部分の間に前記系列の第一の部分を読み取り、前記系列の第一の部分から読取り信号を取得し、
前記書き込み方法における1以上のパラメータの少なくとも1つは、前記系列の第一の部分から取得される前記読み取り信号に依存して設定され、
前記制御手段は、前記書き込み方法において設定されたパラメータが使用されている間、前記記録プロセスの第二の部分における光学的な作用からなる系列を記録する、
請求項1記載の装置。 - 光記録装置で使用される集積回路(IC)であって、
前記ICは、測定された読み取り信号のリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトに従って書き込み方法において1以上の書き込みパラメータを設定するために構成され、
前記平均の遷移のシフトは、リファレンスレベルの値に基づいて決定され、前記リファレンスレベルは、所与の変調ビット系列について前記読み取り信号の振幅を反映する、
ことを特徴とする集積回路。 - 光記録装置を制御するコンピュータ読み取り可能なコードであって、
前記光記録装置は、
測定された読み取り信号のリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトに従って書き込み方法において1以上の書き込みパラメータを最適化するために制御され、
前記平均の遷移のシフトは、リファレンスレベルの値に基づいて決定され、前記リファレンスレベルは、所与の変調ビット系列について前記読み取り信号の振幅を反映する、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なコード。 - 1以上の書き込みパラメータを有する書き込み方法を最適化する方法であって、
当該方法は、
第一の長さをもつ記録キャリアの第一の領域から反射された第一のセクションと、第二の長さをもつ記録キャリアの第二の領域から反射された第二のセクションとを有する読み取り信号を供給するステップと、前記第一の領域から前記第二の領域への遷移は、リーディングエッジでラベル付けされ、前記第二の領域から前記第一の領域への遷移は、トレイリングエッジでラベル付けされ、
前記読み取り信号に対応する、変調ビットの系列として供給される変調ビットを供給するステップと、
それぞれの変調ビット系列を、所与の変調ビット系列について前記読取り信号の移動平均振幅を反映するリファレンスレベルに相互に関連付けるステップとを含み、
前記リファレンスレベルの値に基づいて、前記読取り信号におけるリーディングエッジ及び/又はトレイリングエッジの平均の遷移のシフトが判定され、
前記平均の遷移のシフトに基づいて、前記書き込み方法における1以上の書き込みパラメータのうちの少なくとも1つが設定される、
ことを特徴とする方法。
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