JP2009512724A - Favorskii転位による環状ケタール化ケトンの製造およびグルコキナーゼ活性化剤:70を製造するためのその使用 - Google Patents

Favorskii転位による環状ケタール化ケトンの製造およびグルコキナーゼ活性化剤:70を製造するためのその使用 Download PDF

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Abstract

酸に影響を受けやすい(酸感受性)ケトン、特に、環状の酸感受性ケタール化ケトンのα−モノハロゲン化するための方法論。一つのアプローチとして、ケトンを、無水の高極性有機試薬(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))中、ハロゲンドナー化合物(例えば、N−クロロスクシンイミド)と反応させる。別のモノハロゲン化アプローチとして、アミンおよびカルボン酸から生成される有機塩が、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)を含む試薬中で、ケタール化ケトンのモノハロゲン化を触媒することが観察された。モノハロゲン化は、−5℃でも急速である。その塩は、アミンおよび/またはカルボン酸を含む成分から、酸感受性ケタールの過度の分解なしに、その場で急速に形成させうる。ヨードシルベンゼンを用いて、アリールケトンが一酸素化される。この方法論は、酸感受性モノケタールケトンのモノハロゲン化に適用される。モノハロゲン化、酸感受性ケトンを製造する能力は、ハロゲン化酸感受性ケトンを用いる合成が促進する。相応の一例として、ハロゲン化酸感受性ケトンの容易な合成が、グルコキナーゼ活性化剤の製造における中間体として有用なS−ケタール−酸S−MBA(S−メチルベンジルアミン)を合成する新しいアプローチが提供する。このスキームの概説として、モノハロゲン化された環状ケタール化ケトンが、本発明のモノハロゲン化方法論を用いて、製造される。その後、所望のキラル塩のラセミ酸対応物を提供する条件下で、ハロゲン化化合物がFavorskii転位に付される。所望のキラル塩が、ラセミ混合物から、鏡像異性的に純粋な形態で容易に回収される。

Description

本発明は、式Ia:
Figure 2009512724
(式中、ZおよびZは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分(co-members)であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分(co-members)である)で示されるカルボン酸の製造方法および式V:
Figure 2009512724
で示されるグルコキナーゼ活性化剤を製造するための方法の使用に関する。
図9および式Vで示されるグルコキナーゼ活性化剤:70は、2型糖尿病の処置のための、潜在的に新規な治療剤として、第I相臨床試験において、評価中である。この化合物は、PCT特許公開番号WO03/095438にも記載されている。
この活性化剤の合成に含まれる重要な中間体が、キラル塩、特に以下の構造:
Figure 2009512724
を有するS−ケタール酸S−MBA(S−メチルベンジルアミン)塩である。
この中間体までの過去の経路は、図1aに示されたスキームによる、3−オキソ−1−シクロペンタンカルボン酸のケタール化により進められた(先行技術)。より高い処理能力を示す、このキラル塩への経路を提供することが望ましい。従来のスキームは、廃棄物問題も有する。特に、その塩のケト酸前駆体は、非常に水溶性である。仕上げおよび単離を完遂するために、比較的多量の塩(例えば、硫酸ナトリウム)が添加される。これが水溶液を十分にイオン性にし、それにより、オキソシクロペンタンカルボン酸が有機溶媒に抽出されうる。これを完遂するために、化合物の重量部あたり、塩の重量部5〜6部という多量の塩が必要になりうる。最後に、塩を廃棄物として取り扱わなければならない。そのような廃棄物問題を低減または回避する合成を提供することが、非常に望ましい。
それゆえ、本発明の目的は、先に概説した欠点を有さない、ケト酸前駆体の別の合成を提供することである。
ケトンのα−ハロゲン化は、公知である。その反応はエノールを介して進行すると考えられるため、多くの場合それは、塩基または酸で触媒される。しかし、塩基触媒は通常、ポリ塩素化をもたらす。それゆえ、モノハロゲン化ケトンが望ましい場合、酸触媒が好ましい。
しかし、ケトンがケタールまたはアセタール部分を含む場合、酸触媒が存在すると、反応体および/またはハロゲン化生成物の分解(例えば、ケタール部分の消失)が起こる。つまり、環状ケタール化ケトン(例えば、図3に示される1,4−シクロヘキサンジオンモノ(2,2−ジメチルトリメチレンケタール))のモノハロゲン化は、非常に困難である。
ジクロロメタン中、NCSによる、テトラヒドロフラン−4−オンの一塩素化およびアセトニトリル中、NCSによる1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンアセタールの酸−塩基触媒による一塩素化が、近年になり記載された。Marigo, M.,; Bachmann, S.; Halland, N.; Brauton, A.; Jorgensen K. A. (2004) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 43:5507を参照されたい。
NCS−DMFの組合せが、アルドキシム(Liu, K-C.; Shelton, B. R.; Howe, R. K. (1980) J. Org. Chem. 45: 3916)および芳香族物質(Wilkerson, W. W. 米国特許第4,652,582(3/24/1987))の塩素化に用いられている。
近年になり、アルデヒドおよびケトンの塩素化が、アミンおよびカルボン酸から生成された有機塩により触媒され得ることが報告されている。Marigo, M.; Bachmann, S.; Halland, N.; Braunton, A.; Jorgensen, K. A. (2004) Angew. Chem. Int. Ed. Engl.: 5507. Halland, N.; Braunton, A.; Bachmann, S.; Marigo, M.,; Jorgensen K. A. (2004) J. Amer. Chem. Soc. 126: 4790. Brochu, M. P.; Brown, S. P.; MacMillan, D. W. C.(2004) J. Amer. Chem. Soc. 126: 4790。アリールケトンが、ヨードシルベンゼンを用いて、一酸素化され得ることも公知である。Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Oxidizing and Reducing Agents, S. D. Burke and R. L. Danheiser, eds., John Wiley & Sons, New York, 1999, pp.122-125。ヨードシルベンゼンは、25℃で、メタノール中、ジアセトキシヨードベンゼンおよび水酸化カリウムから生成される。同様の条件下(PhI(OAc)、KOH、CHOH)で、 シクロヘキサノンを、単一操作で、一官能基化および転位させて、シクロペンタンカルボン酸を生成させる2つの例がある。Daum, S. J.(1984) Tetrahedron Lett. 25: 4725; Iglesias-Arteaga, M. A.; Velazquez-Huerta, G. A.(2005) Tetrahedron Lett. 46:6897。
本発明の一実施形態によれば、式Ia:
Figure 2009512724
(式中、ZおよびZは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるカルボン酸の製造方法が提供され、その方法は、
ステップa)が、式IIa:
Figure 2009512724
(式中、ZおよびZならびにR〜Rは、先に定義されたとおりであり、Rは、一価基である)で示されるケトン化合物をドナー化合物と反応させて、式IIIa:
Figure 2009512724
(式中、Xは、ハロゲンであり、ZおよびZならびにR〜Rは、先に定義されたとおりである)で示されるα−ハロゲン化ケトンを形成させることを含み、
ステップb)が、アルカリ性反応媒体中、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンをFavorskii転位させて、式Iaで示されるカルボン酸を形成させることを含む、ステップa)および/またはステップb)を含む。
好ましい実施形態において、そのカルボン酸は、式Ib:
Figure 2009512724
を有する。
更に好ましい実施形態において、そのα−ハロゲン化ケトンは、式IIb:
Figure 2009512724
(式中、Xは、ClまたはIである)を有する。
Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のために用いられるドナー化合物は、N−クロロスクシンイミド、ジクロロジメチルヒダントイン、トリクロロイソシアヌラートおよびこれらの組合せから選択されうる。
好ましいドナー化合物は、N−クロロスクシンイミドである。
Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のため、反応は、好ましくは、DMFを含む極性溶媒中で起こる。しかし、より高温もしくは異なる反応条件で、そして/または異なる反応体を用いて実施される反応において、単独または他の試薬と組合せて用いられる場合には、他の極性有機溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはアセトニトリルが適切でありうる。加えて、DMFと他の極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはアセトニトリル)との混合物は、本発明の範囲内であろう。
代替法として、Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成は、アミンおよびカルボン酸の存在下、またはアミノ酸の存在下で実施されうる。
好ましい実施形態において、α−ハロゲン化は、L−プロリンの存在下で起こる。
Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のための、ステップa)におけるα−ハロゲン化は、−10℃〜35℃の範囲の温度で起こり得る。
Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のため、ドナー化合物が、好ましくは、ジアセトキシヨードベンゼンである。
ステップb)におけるFavorskii転位に用いられるアルカリ性反応媒体は、低級アルコール中の水酸化アルカリの溶液、好ましくは、メタノールまたはエタノール中の水酸化カリウムである。
Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成は、アルカリ性反応媒体の存在下で実施されるため、この条件下で形成される、Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンは、式Iaで示されるカルボン酸に直接転位される。
式IIIa:
Figure 2009512724
(式中、Xは、ハロゲンであり、ZおよびZのそれぞれは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるα−ハロゲン化ケトンは、新規な化合物であり、それゆえ、本発明の更なる実施形態である。
式IIaで示される、好ましいα−ハロゲン化ケトンは、式IIIcまたは式IIId:
Figure 2009512724
で示される化合物である。
式IIa:
Figure 2009512724
(式中、ZおよびZのそれぞれは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるケトンは、新規な化合物であり、それゆえ、本発明の更なる実施形態である。
式IIaで示される、好ましいケトンは、式IIb:
Figure 2009512724
を有する。
本発明は、式V:
Figure 2009512724
で示される化合物を製造するための、前記の方法の使用を更に含む。
本発明の更に別の実施形態において、式V:
Figure 2009512724
で示される化合物の製造方法であって、
ステップa)が、式IIb:
Figure 2009512724
で示されるケトンをα−ハロゲン化させて、式IIIb:
Figure 2009512724
(式中、Xは、ClまたはIである)で示されるα−ハロゲン化ケトンを形成させることを含み、
ステップb)が、式IIIbで示されるα−ハロゲン化ケトンをFavorskii転位させて、式Ia:
Figure 2009512724
で示されるカルボン酸を形成させることを含む、ステップa)および/またはステップb)を含む製造方法が提供される。
本発明は、酸に影響を受けやすいケトン、特に、環状の、酸に影響を受けやすいケタール化ケトンのα−モノハロゲン化のための方法論を提供する。一つのアプローチとして、ケトンを、無水の高極性有機試薬(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))中、ハロゲンドナー化合物(例えば、N−クロロスクシンイミド)と反応させる。反応はクリーンで、高収率で起こり、所望のモノハロゲン化ケトンにつき、高い選択性を示す。塩基触媒に関連する副生成物および酸触媒に関連するケタール分解が、実質的に回避される。
別のモノハロゲン化アプローチとして、アミンおよびカルボン酸から生成された有機塩が、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)を含む試薬中で、ケタール化ケトンのモノハロゲン化を触媒することが観察された。モノハロゲン化は、−5℃でも急速である。その塩は、酸に影響を受けやすいケタールの過度の分解なしに、アミンおよび/またはカルボン酸を含む成分から、その場で急速に形成させられうる。アルコール中の得られたハロゲン化ケトンの懸濁液を、更なる処理(例えば、Favorskii転位)に直接移行させることができる。
先に記載したとおり、ヨードシルベンゼンを用いて、アリールケトンを一酸素化し得ることは、公知である。この方法論は、酸に影響を受けやすいモノケタールケトンのモノハロゲン化に非常に効率的に適用されえ、ヨウ素を(例えば、より高酸化状態で)、脱離基として提供するのに特に有用である。
モノハロゲン化の、酸に影響を受けやすいケトンを製造させる能力は、ハロゲン化の、酸に影響を受けやすいケトンを用いる合成も促進する。相応の一例として、ハロゲン化の、酸に影響を受けやすいケトンの容易な合成は、図9に示したグルコキナーゼ活性化剤:70の製造での中間体として有用なS−ケタール酸S−MBA(S−メチルベンジルアミン)塩を合成する新しいアプローチを提供する。図1bに示したこのスキームの概説として、モノハロゲン化された環状ケタール化ケトンを、本発明のモノハロゲン化方法論を用いて製造する。その後、所望のキラル塩のラセミ酸対応物を提供する条件下で、ハロゲン化化合物をFavorskii転位に付す。所望のキラル塩が、ラセミ混合物から鏡像異性的に純粋な形態で容易に回収される。
例えば、図1bに示されるように、2−クロロシクロヘキサノン:52を、市販の1,4−シクロヘキサンジオン モノ(2,2−ジメチルトリメチレンケタール):54のモノ−α−塩素化により、製造してもよい。ハロゲン化1,4−シクロヘキサンジオン モノ(2,2−ジメチルトリメチレンケタール):52をFavorskii転位に付し、8,8−ジメチル−6,10−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−カルボン酸:56を得る。その後、この生成物を(S)−MBA塩に変換する。
一つの態様において、本発明は、少なくとも4原子の骨格(backbone)を含み、ケト基に隣接する第1および第2のα位;第1のα位にある少なくとも1個の水素置換基;第2のα位にある脱離基の置換基;およびケト基のβ位または更なる位置の第3の位置にあるケタール置換基を有する環状部分を含む化合物に関する。
別の態様において、本発明は、ケトン化合物が提供される、α−ハロゲン化する方法に関する。ケトン化合物は、少なくとも4原子の骨格を含み、ケト基に隣接する第1および第2のα位;第1のα位にある少なくとも1個の水素置換基;第2のα位にある脱離基の置換基;ケト基のβ位または更なる位置の第3の位置にあるケタールまたはアセタール置換基を有する環状部分を含む。ハロゲンドナー化合物も提供される。ケトン化合物およびドナー化合物を含む成分は、十分に極性である実質的に無水の溶媒中で反応され、その結果、ケト化合物のα−官能基化が起こる。
別の態様において、本発明は、ケタール化ケトンをハロゲン化する方法に関する。ケトンは、塩触媒の存在下、無水の有機試薬(ここで、試薬は、アルコールを含む)中、ハロゲン化される。
別の態様において、本発明は、アルカリ性反応媒体中、ケタール化ケトンをヨウ素ドナー化合物と反応させることを含む、ケタール酸を製造する方法に関する。
別の態様において、本発明は、化合物を製造する方法に関する。ケタール化環状ケトンを、ケト基に関してα位でハロゲン化する。ハロゲン化されたケタール化環状ケトンを、環縮小反応に付す。
詳細な説明
一つの態様において、本発明は、酸に影響を受けやすいケトン(例えば、環状ケタール化ケトン)のα−官能基化に関する。環状ケタール化ケトンは、一般に、ケト基:−C(O)−を組込み、原子が少なくとも4個、代表的には、4〜8個、好ましくは、5または6個、最も好ましくは6個の骨格を含む環状部分を含む。ケト基は、骨格の一部であってもよく、または骨格からぶらさがった置換基の一部であってもよいが、好ましくは骨格の一部である。骨格原子は、C、O、N、Sおよびこれらの組合せを含んでいてもよい。環状骨格は、飽和または不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。好ましい骨格は、炭素原子から形成され、例えば、C1〜C5またはC1〜C6構造である。参考として、ケト基は、C1炭素に関連すると考えられる。
ケトンのケタール化性は、その分子が、例えば、骨格の一部として、または骨格からぶらさがった置換基の一部として、ケタール部分を組入れていることを意味する。本発明で用いられる環状ケタール化ケトンは、ケト基のβ位または更なる位置にある、なくとも1個のケタール部分を含む。つまり、ケト部分がC1位置にある6員環構造について、ケタール基が、C3、C4、またはC5位置にあってもよい。C4位置のケタール基が、好ましい。
ケタール基は、所望なら、ケト基に関してα位のいずれか(例えば、6員環の場合、C2またはC6位置のいずれか)にはなく、そのため、幾つかの実施形態において、α官能基化または次のFavorskii転位を妨害しない。
ケタールは、−OZおよび−OZ基(式中、ZおよびZのそれぞれは、独立して、非常に様々な一価基または環構造の共有部分であってもよい)の両方に結合した炭素原子の官能基、またはその官能基を含む分子である。ケタールは、アセタールと構造的に同等であり、場合によりその用語は、相互に交換可能に用いられる。幾つかの使用において、アセタールとケタールとの差は、その基を生成した反応に由来する。アセタールは、伝統的にはアルデヒドと過剰のアルコールとの反応に由来するが、ケタールは、伝統的にはケトンと過剰のアルコールとの反応に由来する。しかし、本発明の目的では、用語:ケタールは、基の形成に用いられる反応に関わらず、得られたケタール/アセタール構造を有する分子を指す。
α−官能基化を促進するために、ケタール化ケトンは、所望なら、ケトン基に関して、α位の一つに少なくとも1個のH原子を含む。好ましくは、特に、α−官能基化生成物が次のFavorskii転位に用いられる実施形態において、以下に更に記載される、少なくとも1個のH原子は、他のα位にも存在する。最も好ましくは、各α位は、H置換基のみを有する。
ケト基、ケタール基、およびα水素に加えて、環状ケタール化ケトンの環状骨格は、1個以上の他の置換基を含みうる。一般に、α−官能基化に用いられる条件下で、比較的非反応性にすることで、望ましくない副生成物の形成が最小限に抑えられるように、これらの他の置換基が選択されうる。加えて、得られたα−官能基化生成物が続いてFavorskii転位に付される場合、他の置換基も、転位に用いられる条件下で、比較的非反応性になるように選択されることが望ましい。これらを考慮しながら、存在し得る他の置換基の例は、水素;直鎖状、分枝状、または環状アルキル;アルコキシ、アリール、およびこれらの組合せなどを含む。水素および炭素原子が1〜4個の低級アルキルが、好ましい。所望なら、幾つかの実施様式で避けられる他の置換基の例は、特にFavorskii転位が考慮される場合には、ケトン、ニトロ基、アルデヒド部分、または他のケトン反応基(例えば、脱プロトン化され得、そして/またはケトンと縮合し得る基)などを含む。Favorskii転位の範囲および限定のレビューは、Organic Reactions, 11:261-316 (1960)に示されている。
環状ケタール化ケトンの好ましい実施形態は、図2に示された式(式中、ZおよびZのそれぞれは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与える)で表される。代表的な実施形態において、単独または環構造の共有部分としてのZおよびZは、直鎖状、分枝状、または環状アルキル(アルキレン)、好ましくは、炭素原子が1〜15個のアルキル(アルキレン)、好ましくは、炭素原子が2〜5個のアルキル(アルキレン)である。ZおよびZが、環構造の共有部分である場合、ネオペンチルグリコールに関連する、二価分枝状アルキレン骨格が好ましい構造である。
つまり、より好ましくは、ZおよびZは、環構造の共有部分であり、一緒になって二価分枝状アルキレン基を含む。最も好ましくは、前記環状アルキレン基は、式:
Figure 2009512724
を有する。
〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基、例えば、水素;直鎖状、分枝状、または環状アルキル;アルコキシ、アリール、およびこれらの組合せなどから選択されるものを表す。R〜R置換基の2個以上は、環構造の共有部分であってもよい。好ましくは、R〜Rは、水素である。α−官能基化生成物が、Favorskii転位に付される場合、R〜R置換基は、それらの基が、Favorskii転位条件下で、過度に反応性になる傾向があるため、ケトン、ニトロ基、脱プロトン化され得、そして/またはケトンと縮合し得る部分などから選択されないことが望ましい。
図2の化合物が、6員環骨格に基づいており、ケト基に関して、一つのα位にH置換基を少なくとも1個、より好ましくは、ケト基に関して、各α位にH置換基を少なくとも1個含むことに留意されたい。
図2による化合物の特に好ましい例を、図3に示す。この化合物は、多くの理由のため、好ましい。第一に、それは対称分子であり、つまりα−官能基化が、高収率で起こり、およびケタール基がケト基に関して非対称に(例えば、C3またはC5位置に)存在する場合に、起こるような、官能基化された副生成物が少なく起こる。同様に、この化合物は、市販されているだけでなく、広く入手できる材料から合成するための文献の方法も公知である。
図3の化合物を、化学物質の商品から形成させる代表的な反応スキームの一つを、図4に示す。第1のステップにおいて、ジエチルスクシナートを、NaOEtの存在下、無水エタノール中で加熱還流することにより、実質的に二量体化する。その後、この化合物を水中で加熱して、1,4−シクロヘキサンジオンを製造する。その後、ジオンを、ヘキサン相の存在下、酸性水溶液中でネオペンチルグリコール(NPG)と反応させて、モノケタールを形成させる。モノケタールはヘキサンに可溶性であり、ヘキサン相に移動する傾向があり、ジケタールの形成が回避される。図4のスキームで用いられた反応ステップは、公知であり、文献に記載されている。例えば、1,4−シクロヘキサンジオンのモノケタール化は、Babler, J. H.; Spina, K. P. (1984) Synth. Commun. 14:39;およびReguri, R. R.; Kadaboina, R.; Gade, S. R.; Ireni, B. I.米国特許公開第2004/0230063(11/18/2004)に記載されている。ジエチルスクシナートからの1,4−シクロヘキサンジオンの製造は、Nielsen, A. T.; Carpenter, W. R. (1965) Org. Syntheses 45:25に記載されている。
図3のモノケタールケトンを、記載された例示的方法および/または本明細書内で参照される例示的方法を用いて合成する場合、ビスケタール副生成物が形成される傾向がある。ビスケタールからモノケタールを、実用される程度に高純度で分離することが望ましい。従来の技術は、ビスケタール副生成物に関して、95重量%の純度の、モノケタールケトンの回収を可能にする。本明細書内に記載された例示的抽出法は、例えば、Babler, J. H.; Spina, K. P. (1984) Synth. Commun. 14:39により得るなどの、モノケタール−ビスケタール混合物から高純度のモノケタールケトンを得るために使用されうる。この単離法(実験の部分の実施例1を参照)は、高真空下(<1mmHg)での分留に頼ることなく、モノケタールとビスケタールとの分離を促進し、99%を超える純度のモノケタールケトンを提供する。本明細書に記載された精製法の一つの態様は、抽出のための適切な種類の溶媒を、好ましくは、適切な比で用いることを含む。
本発明は、非常にきれいな、環状ケタール化ケトンのα−官能基化を提供する。好ましい実施形態において、α−官能基化は、α−ハロゲン化、より好ましくは、α−モノハロゲン化であり、適切な触媒剤がその場で形成されると考えられるため、必要とされる触媒の添加がされない。α−ハロゲン化は、環状ケタール化ケトンをCl、Br、および/またはIで官能基化することを指すが、Clが、目下のところ最も経済的である。得られたα−官能基化生成物を次のFavorskii転位に付す場合、α−ハロゲン置換基は、脱離基として機能する。しかし、Favorskii転位の状況において、ハロゲンは脱離基のみではない。その他は、α−ヒドロキシ(Craig, J.C.; Dinner, A.; Mulligan (1972) P. J. J. Org. Chem. 37: 3539)を含み、環状ケタール化ケトンは、所望なら、これらの他の脱離基1種以上でα−官能基化されうる。
図5は、例示的反応スキームを示しており、ここで、環状ケタール化ケトン化合物:60が、基:Xの供給源として働く、ドナー化合物:62と反応され、α位の置換基として、Xを含む、モノ−α−官能基化環状ケタール化ケトン生成物を形成されうる。本発明の実施において、Xは、Cl、Br、I、OH、およびこれらの組合せなどを含む広範囲の官能基であってもよい。
図5で示されるとおり、環状ケタール化ケトン:60が、α−官能基化が起こり、反応生成物:64を提供するのに、十分に極性的である無水溶媒中で、脱離基ドナー化合物:62と反応さられ、溶媒が不十分に極性的であれば、反応は起こりえず、そして/または反応生成物は、形成された場合に不安定でありうる。α−塩素化を25℃で実施するのに、十分に極性的であることが見出された無水溶媒の例は、高極性的DMFを含む。その一方で、ジクロロメタンおよびアセトニトリルが、25℃での類似のα−塩素化に単独で用いられた場合に、不十分に極性的であることが見出された。
例えば、乾燥ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンおよびアセトニトリル中、図1bのケタール化ケトンの、N−クロロスクシンイミド(NCS)での一塩素化を、25℃で評価した。溶媒は、実質的に完全に重水素化された(即ち、Hの全てが、重水素で置換された)。ケトン1当量とNCS1当量との反応は、ジクロロメタン−d2中で、25℃で22時間後に観察されなかった。アセトニトリル−d3中、ケトンとNCS1当量との反応はより急速であったが、25℃で9日後でも不完全であった。更に10日目に、混合物の著しい分解が観察された。そのような分解は、反応の過程および/またはねかせている間に、生成された塩化水素により触媒され得ると考えられる。これに対して、3種の溶媒のうち最も極性のあるジメチルホルムアムド−d7中、ケトンとNCS1当量との反応は、きれいで、25℃で24〜48時間内に完了し、生成物の溶液は、25℃で10日後も不変のままであった。
したがって、図5の反応スキームを実施するのに用いられる反応媒体は、好ましくは、少なくとも乾燥DMFを配合する。しかし、他の極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはアセトニトリル)は、より高温もしくは異なる反応条件で、そして/または異なる反応体を用いて実行される反応において、単独または他の試薬と一緒に用いられる場合、適切でありうる。加えて、DMFと他の極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはアセトニトリル)との混合物は、本発明の範囲内である。
図5のα−官能基化反応は、所望なら、実質的に非触媒的である。幾つかの実施形態で、わずかに本質的に酸性または塩基性となり得る反応体そのものを除いて、α−官能基化は、好ましくは、添加される塩基および酸触媒または他の酸性もしくは塩基性物質の実質的な非存在下で起こる。これは、塩基触媒に関連する副生成物の生成および/または酸触媒に関連するケタール分解の生成を回避することを手助けする。幾つかのある程度酸性または塩基性種が、本発明のα−官能基化の過程で生成され得る可能性があるが、そのような種は(いずれにせよ)、ケタールを過度に分解させる量または収率を過度に損なう量では存在しない。
ドナー化合物:62は、環状ケタール化ケトン:60のα位に付加される基の供給物質の少なくとも1種として働く。非常に様々なその化合物が公知であり、これらはいずれも用いることができる。α−ハロゲン化のため、好ましいドナー化合物:62は、ハロゲンが窒素に結合したものである。これらは、副生成物が酸よりもむしろ中性化合物になる傾向があるという点で、好ましいドナー化合物である。例えば、そのようなドナー化合物は、部分:−C(O)−N(X)−(式中、Xは、ハロゲン原子である)を含んでいてもよい。官能基化反応の後、その部分はより中性の部分:−C(O)−N(H)−に変換されうる。そのようなドナー化合物は、所望なら水溶性でもあり、だから、比較的水に不溶性の、α−官能基化環状ケタール化ケトンから容易に分離される。α−塩素化の場合、塩素が窒素に結合した、適切なドナー化合物:62は、N−クロロスクシンイミド(NCS)、ジクロロジメチルヒダントイン、トリクロロイソシアヌラート、およびこれらの組合せなどを含む。
環状ケタール化ケトン:60とドナー化合物:62との相対量は、広い範囲で変動しうる。過度に少量のドナー化合物:62が用いられる場合、不完全な変換または生成混合物などが得られうる。その一方で、過度に多量のドナー化合物:62が用いられる場合には、多官能基化が観察されうる。多くの場合、反応体:60および62が、化学量論量で存在する場合、または極わずかな化学量論的過剰量の官能基が存在する場合、都合がより。だから、ケトン:60に対するドナー化合物:62に付与された官能基の当量、1.25:1、好ましくは、1.1:1、より好ましくは、1.05:1を用いることが、適切であろう。
図5のα−官能基化反応は、広範囲の温度で実施される。しかし、温度が過度に低い場合、反応が過度に遅く進行しうる。過度に高温である場合には、官能基化ケトン:64の分解は起こりうる。一般に反応を約−10℃〜約35℃、好ましくは、約0〜25℃の範囲の温度で実施することが、好ましいであろう。
少なくとも反応が完了するまでには、所望なら、実践できる限り多量の水を反応物から除去する。好ましい反応媒体は、反応媒体の総重量に基づいて、1%重量未満の水、好ましくは、0.2重量%未満の水、より好ましくは、0.15重量%未満の水を含む。
反応体および/または生成物の幾つかは、感光性でありうる。だから、反応が、紫外線の実質的に非存在下で(例えば、暗室で)起こることが望ましい。得られた官能基化生成物の任意の仕上げおよび単離も、紫外線の非存在下で(例えば、暗室で)起こりうる。
図5の反応は、場合により、周囲雰囲気または保護環境下で(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、および/またはこれらの組合せなどを含む、1種以上の気体の不活性雰囲気下で)起こりうる。
酸に影響を受けやすいモノケタールケトン(例えば、図3に示した化合物)のα−ハロゲン化を実施する他の手順は、本発明の実践に用いられる。例えば、ハロゲン化を塩の存在下で実施してもよく、塩が適切な前駆体1種以上からその場で形成され得、所望の反応を触媒すると考えられる。好ましい塩は、アミン官能性およびカルボン酸官能性を含む前駆体を1種以上組入れることにより、その場で形成される。水溶液に混和される場合、そのような官能性を含む化合物は、酸に影響を受けやすいケタールケトンを過度に分解せずに、急速に塩を形成する傾向がある。
一つの選択として、少なくとも1種のアミンおよび少なくとも1種のカルボン酸を含む成分を混和することにより、塩がその場で提供される。アミンのアミン部分は、第一級、第二級、または第三級であってもよい。キラルアミンの使用は、キラルハロゲン化生成物の形成を助けることを望まれるであろう。適切なアミンの例は、単純なジアルキルアミンまたは5員環以上の環状アミン、例えば、ピロリジン、イミダゾリン、モルホリン、ピペリジンおよびそれらの誘導体(即ち、ケトンと容易に縮合して、エナミンを形成することで知られるアミン)(Enamines:Synthesis, Structure, and Reactions by A. G. Cook, Marcel Dekker, New York, 1969)、これらの混合物などを含む。カルボン酸は、広範囲の有機酸から選択されえ、キラルハロゲン化生成物の形成を助けるために、キラルでありうる。
別の選択として、アミン官能性およびカルボン酸官能性の両方を含む化合物を1種以上用いることにより、その塩がその場で提供される。そのような化合物の例は、アミノ酸1種以上(例えば、L−プロリン)を含む。これらが、水溶液中で塩を形成させ、キラル生成物の形成を助けるために、キラルでありうる。以下の実施例3は、L−プロリンの存在下で起こる、モノケタールケトンのα−ハロゲン化を記載している。
別のアプローチとして、モノケタールケトンは、そのケトンを適切なヨウ素ドナーと反応させることにより、ヨード基でα−官能基化されうる。ヨードは非常に反応性であり、モノケタールケトンのα−官能基化は、適切なヨウ素官能基ドナー化合物の存在下で容易に起こる。好ましいヨウ素ドナー化合物は、より高度の酸化状態でヨウ素を組入れるものである。市販されるそのような化合物の一例は、ヨードシルベンゼンである。ヨードシルベンゼンは、アルカリ性で実質的に無水の試薬中で、適切な前駆体化合物から、モノケタールケトンをα−ハロゲン化させるために、その場で形成させられうる。適切な前駆体の例は、ジアアセトキシヨードベンゼンである。
有利には、ジアセトキシヨードベンゼンをヨードシルベンゼンに変換させ、その後ケタールケトンをヨードで官能基化させるのに用いられる試薬が、Favorskii転位(以下に更に議論する)が起こる条件を提供する。それ故、ケトンがヨード基でα−官能基化される場合、所望のFavorskii転位が、自動的に起こる。実際の結果では、ケタールケトンの所望のケタール酸(例えば、図1bの化合物:56)への変換は、多段階であるが単一反応で起こる。
α−官能基化の完了時に、得られたα−官能基化環状ケタール化ケトンを、従来の仕上げおよび単離手順に付されうる。一つの例示的な仕上げおよび単離手順は、水を反応媒体に添加する。これは、分離した有機相および水相を形成させる。副生成物の多くは、水溶性であり、水相に移動する傾向がある。官能基化ケトンは、MTBE(メチル tert−ブチルエーテル)などの有機相に移動する傾向がある。その後、合せる有機抽出物は、所望なら、乾燥、ろ過および濃縮されうる。
これらの仕上げおよび単離条件は、α−官能基化生成物を得るのに適しているが、生成物の幾つかは、抽出回収の際に分解されうる可能性がある。大規模に実行する場合、および/または化合物を、次に、前記のFavorskii転位に付す場合、この抽出仕上げを排して官能基化ケトンの溶液を直接転位に進めるという選択があろう。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載された、α−官能基化環状ケタール化ケトンを環縮小反応に付することに関する。α−官能基化環状ケタール化ケトンは、先に記載したα−官能基化反応スキームを含む、いかなる適切な供給源から得られうる。代表的な反応スキームにおいて、得られた環縮小生成物は、カルボニル:−C(O)−部分を含む置換基を含む。そのような置換基は、エステル、酸、塩、アミドまたは他のカルボニル誘導体でありうる。
本発明の実施において、Favorskii転位は、環縮小反応スキームの一例であり、環状ケタール化α−ハロゲン化ケトンを環縮小した環状ケタール化カルボニル官能基生成物に変換するために適用されうる。Favorskii転位は、技術文献および特許文献で広く議論されている。例えば、March et al., March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, fifth edition (2001)を参照されたい。
図6に一般的に示されたとおり、Favorskii転位は、一般に、α−ハロケトン:30(例えば、クロロ、ブロモ、またはヨード)をアルコキシドイオン:32と反応させて、転位カルボニル含有生成物:34を得ることを含む。R10、R11、R12およびR13部分は、一価部分でありうるが、所望なら、転位の副生成物の生成が回避するため、隣接するケト基および脱離基を含む部分がない。多くの場合、R10〜R13基は、直鎖状、分枝状、および/または環状のアルキルおよび/またはアルコキシ部分でありうる。例示のため、Clが、ケト基:30のハロゲンとして示され、それは、ケト基:C(O)に関して、α位の一つの炭素原子の置換基である。その一方で、基:R10は、ケト基に関して、他のα位に存在する。例示のために、得られた生成物:34は、エステルとして示される。しかし、用いられる反応条件およびステップに応じて、生成物:34は、カルボニル含有、酸、塩または他のカルボニル誘導体でありうる。
Favorskii反応の厳密なメカニズムは、明確には知られていないが、転位の結果は概略的に示されうる。概略的には、Favorskii転位は、α−ハロゲン置換基がケトン:30を脱離して、対応するα−炭素で空位になる、転位と見なされうる。R10部分がα位から移動し、脱離ハロゲンにより残される空位を占有する。その後、アルコキシドイオン:32が、R10部分の移動から生じる空位を占有する。実際に、転位は、March et al., March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, fifth edition (2001)の1404ページに報告されるような、対称シクロプロパノン中間体を含み得る可能性が高い。
図7は、Favorskii転位を、例示的な環状ケタール化α−官能基化ケトン:40とアルコキシドアニオン:42またはその前駆体を含む反応体との反応に適用して、環状カルボニル含有生成物:44を形成させる場合の一般的な結果を、概略的に示す。アルコキシドアニオン:42の供給源は、アルコールでありうる。例示のために、生成物:44は、エステルである。図3のケトン:30のFavorskii転位に類似した手法において、部分:Xが、ケトン:40のα位の脱離基として例示のために示される。明瞭にするために、ケト、α−置換基:X、およびケタール基のみが、反応体中に示される。これらの部分を有する6員環が、他の置換基(例えば、図5の反応生成物について、先に定義されるR〜R置換基)を含み得ることを理解されたい。それ以外では、X、R13、Z1、およびZ2部分は、先に定義されたとおりである。ケトン:40のC6炭素とC1炭素との結合は、図6中の、ケト炭素とR10基との結合に対応する。
脱離基:Xが、ケトン:40のα位のC2(α)炭素を脱離させる場合、C6炭素は、C1炭素から離れ、その後、C2炭素に結合して、脱離基により残される空位を占有すると見なすことができる。加えて、反応体の環状骨格の一部であったケト基が、生成物のペンダントカルボニル置換基になる。その一方で、アルコキシドアニオンは、新たなペンダントC1ケト炭素上の得られた空位を占有して、エステル部分を形成する。
ケトン:40が、C1〜C6炭素を含む、6員環骨格を含むことに留意されたい。これに対して、環状エステル生成物:44は、5員環骨格のみを含む。それ故、環状α−ハロゲン化ケトンに適用されるように、Favorskii転位は、環縮小反応の一例である。
図7のFavorskii転位は、好ましくは、アルカリ性で、実質的に無水の溶媒中、ケトン反応体:40を加熱することにより完遂される。適切な無水有機溶媒の例は、エタノール、メタノール、およびこれらの混合などを含む。溶媒中の反応体:40の濃度は、広範囲で変動してもよいが、反応体の少なくとも実質的に全てが溶解され、収率が最大になるよう、十分な溶媒が用いられることが望ましい。しかし、所望なら、反応体をほぼ溶媒和させるのに必要な量よりも多量の溶媒を用いることができるが、そのような実施は溶媒を浪費することになる。このような問題と折り合いをつけて、溶媒約1〜10重量部あたり、反応体約1重量部を用いることが適切であろう。
所望の度合いのアルカリ性を提供するために、反応媒体は、所望なら、適切な塩基を1種以上配合する。例は、NaOH、KOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、第二級アミン、ピリジン、これらの混合物などを含む。反応媒体に含まれる塩基の濃度は、広い範囲で変動してもよい。しかし、過度に少量しか用いられない場合、不完全な変換により混合物になる。その一方で、過量に用いられると、過剰の塩基が浪費されて、後に過剰な塩基を中和するために、更なる酸が必要となろう。このような問題と折り合いをつけて、反応体約1〜10重量部あたり、塩基約0.1〜約5重量部、好ましくは、約0.5〜約2重量部を用いることが適切であろう。
転位反応は、例えば、−10℃〜35℃から還流温度の範囲のものなどの、広範囲の温度で実行されうる。好ましくは、反応媒体を加熱還流して、比較的急速に転位を完遂させる。
転位反応は、所望なら、先に記載されたような保護環境内で起こる。乾燥Nの不活性環境が、適切な環境の一例であろう。
このFavorskii環縮小反応の生成物:44はエステルであり、多くの場合、適切な反応条件下で、酸塩に加水分解される。塩の形成が、生成物:44の、次の塩基誘導縮合を回避するため、これは有利である。転位反応の完了時に、得られた環縮小生成物:44が、従来の仕上げおよび単離手順に付されうる。所望なら、この仕上げおよび単離の過程で、エステルは、酸、塩、または他の誘導体に変換されうる。
一つの例示的仕上げおよび単離手順は、溶媒を除去して、生成物を含む残留シロップを残留させることを含む。その後、残留シロップは水相と有機相とに分離されうる。有機抽出物は、中性物質(副生成物及び副産物)を含む。その後、適量の水性酸が水相に添加され、媒体のpHを約4〜5に低下させうる。これを実行する過程で、酸塩が酸に変換される。水相および有機相は、更なる有機溶媒で1回以上抽出されうる。その後、酸生成物含有する、合せる有機抽出物が、乾燥、ろ過および/または濃縮され、生成物を回収しうる。
図1bは、ラセミ体ケタール酸塩:50の製造に適用される本発明の原理を例示する。この化合物は、ドイツ特許文書:DE4316576およびDE4312832に記載されている。ラセミ体塩:50が鏡像異性的に精製され、S−ケタール酸塩を回収しえ、それは、例えば、図9に示した式を有するグルコキナーゼ活性化分子:70の製造における有用な中間体となる。このグルコキナーゼ活性化分子:70は、2型糖尿病の処置のための、潜在的に新規な治療剤として、第I相臨床試験で、評価中である。
図1bに示した第1の反応ステップにおいて、α−クロロ官能基ケタール化ケトン:52が、ケタール化ケトン:54から製造される。その後、α−クロロ官能基ケタール化ケトン:52を、Favorskii転位に付すことにより、酸ケタール:56が得られる。その後、この酸ケタール:56が、S−メチルベンジルアミン(S−MBA)との反応により、ラセミ体ケタール塩:50に変換される。
図8は、ケタール化ケトン:54から、図1bの鏡像異性的に純粋なキラル(S)塩中間体:50を得る一つのアプローチを概略的に示す。キラルS−ケタール酸 S−MBA(S−メチルベンジルアミン)塩中間体は、以下の構造を有する。
Figure 2009512724
ステップ1および2において、そして図8の反応スキームにより、α−塩素化ケトン:52が、ケタール化ケトン:54から製造され、ケトン:52が、Favorskii転位に付され、その後、加水分解され、Favorskiiエステルをラセミ体ケタール酸:56に変換する。ステップ3において、ラセミ体ケタール酸がS−MBAと反応され、ラセミ体ケタール塩を形成する。
Figure 2009512724
ステップ4において、ラセミ体ケタール塩混合物が、適切な溶媒混合物から、数回、再結晶化される(ここで、R体は、より可溶性である)。これが、増加するS体−リッチの沈殿物を、各結晶化により,回収されることを可能にする。用いられ得る一つの溶媒混合物は、シクロヘキサン、アセトン、および水を含む。その後、例えば、中間体の修飾を含み、次に他の化合物と反応させて、グルコキナーゼ活性化分子:70を製造する、実質的に付加的な合成ステップにおける中間体として、回収されたS体−リッチが用いられうる。
再度、図8を参照すると、ステップ4は、S体−リッチ組成物ばかりでなく、R体−リッチ副生成物も得る。このR体−リッチ副生成物は、ステップ5〜9において、強塩基でラセミ化され、ラセミ体ケタール酸塩に変換され、望ましくないR−異性体および当初の再結晶化の際に消失させられた、いずれかのS−異性体を効率的にリサイクルしうる。このラセミ混合物は、次に、ステップ4で実施したものと同等の操作であるステップ10で分割される。したがって、ステップ5〜10の、フィード−フォワード/フィードバック・リサイクル手順が、この回収を完遂することを意図される。
ステップ5において、強塩基を用いて、非ラセミ体のケタール酸塩のキラル炭素を脱プロトン化する。ケタール酸塩は、ここではアキラルジアニオンとして存在する。ステップ6において、水を添加して、ジアニオンをラセミ体水溶性カルボキシラートモノアニオンに変換する。
ステップ7において、ケタール酸モノアニオンを酸でプロトン化して、ラセミ体ケタール酸を形成させる。得られたラセミ体ケタール酸は、モノアニオンよりも水性混合物への溶解性が低く、それゆえ、ステップ8の有機組成物に抽出される。
ステップ9において、ラセミ体ケタール酸をS−MBAと反応させて、ラセミ体ケタール酸 S−MBA塩を形成させる。ステップ10において、ラセミ混合物を再度、複数の再結晶化により分割して、比較的純粋なS−ケタール塩鏡像異性体を得る。ステップ10からのS体−リッチ物質を、ステップ4からのS−リッチ物質と合わせ、2つのS−リッチ流れの混合物が、GK−合成に用いられる。ステップ10からのR体−リッチ副生成物は、ステップ4にリサイクルされる。
ここに、本発明を、以下の実施例を参照しながら、更に記載する。
実施例
実施例1
3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン−9−オン
連続抽出装置を組み立てる。500mL抽出溶媒ポットに、n−ヘキサン250mLおよび重炭酸ナトリウム5.00gを入れる。オイルバスを90℃に加熱する。500mL反応ポットに、ネオペンチルグリコール82.5g(0.792mol、2.33当量)、HO 338mL、98%硫酸 0.79mL(1.45g、14.8mmol、4.35mol%)、および1,4−シクロヘキサンジオン 38.08g(0.340mol)を入れる。その後、n−ヘキサン(85mL)を添加して、ポットの容積を抽出器のリターンサイドアームまでにする。直ちに抽出ポットをオイルバスに浸して、抽出器の下相(水相)に、効果的な混合があり、上相(n−ヘキサン相)には、効果的な混合がない程度に、反応混合物の撹拌速度を上昇させる。抽出を99時間継続する。
懸濁液を25℃に冷却して、沈殿を吸引ろ過し、n−ヘキサン50mLで洗浄して、25℃で2時間風乾し、粗ビスケタール10.71gを無色固体として得る。多量のn−ヘキサンが、合せる母液から蒸留され、得られる懸濁液を冷却する(95g)。メタノール(250mL)を添加して、メタノール−ヘキサン共沸物(28:72)とメタノールとの混合物163mLを、ヘッドの温度が60℃(浴:90℃)になるまで蒸留する。懸濁液(168g)を25℃に冷却して、水(100mL)を10分間かけて滴下する。一晩撹拌後、沈殿を吸引ろ過し、25℃で数時間風乾して、更なる粗ビスケタール7.22gを無色固体として得る。
母液を、30〜35℃および40〜45mmHgでの蒸留(ドライアイス−アセトン冷却フィンガー濃縮器)により濃縮する(回収される蒸留物 146mL)。得られる懸濁液を0〜5℃に冷却し、90分間撹拌する。沈殿を吸引ろ過し(母液を用いて、完全に移し変える)、25℃で24時間風乾して、モノケタール:54 50.17g(74.5%)を無色固体として得る。
合せる粗ビスケタール生成物(17.62g)を水200mLに再度、懸濁させ、1時間撹拌する。不溶性物質を吸引ろ過し、25℃で6時間風乾して、ビスケタール13.06gを無色固体として得る。
実施例2
8,8−ジメチル−6,10−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−カルボン酸
ホイルで覆ったフラスコ中、乾燥DMF1.0mL中の、実施例1のモノケタール1.000g(5.04mmol)およびN−クロロスクシンイミド0.674g(5.04mmol)の溶液を、25℃で69時間撹拌した。実験室の照明を消して、水(10mL)を添加し、混合物をMTBE 5mLで5回抽出した。合せたMTBE抽出液を乾燥し(MgSO)、ろ過し、および真空で濃縮し(30℃および100mmHgのロータリーエバポレータと、その後に25℃および1mmHgの真空ポンプで30分間)、粗クロロケトン生成物1.135gを淡黄色固体として得た。
エタノール性KOH溶液を、70℃の無水エタノール5.0mL中に、85%KOHペレット1.14g(17.3mmol)を溶解することにより、調製した。その後、無水エタノール7.0mL中の粗クロロケトン1.135g(〜4.88mmol)の溶液を、エタノール性KOH溶液に、70℃で12分間かけて滴下した。得られた懸濁液を、1時間還流した(浴:80℃)(乾燥N)。
懸濁液を冷却し、エタノールを、30℃および40mmHgで、ロータリーエバポレータで除去した。残留シロップをHO 5mLとMTBE 5mLとに分離した。水層をMTBE 5mLで更に2回抽出した。これらの抽出液は、中性物質を含む。
MTBE(5mL)を添加し、その後、1.0M水性クエン酸(7.0mL)を添加して、pHを4〜5にした。層を分離した。水層をMTBE 5mLで5回抽出した。これらの抽出液は、得られたカルボン酸を含む。合せるカルボン酸含有有機抽出液を、乾燥し(MgSO)、ろ過し、および真空で濃縮して(30℃および100mmHgのロータリーエバポレータと、その後に25℃および1mmHgの真空ポンプで15時間)、化合物:56 679mg(62.8%)を黄褐色固体として得た。
実施例3
8,8−ジメチル−6,10−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−カルボン酸
実施例1のモノケタール10.00g(50.44mmol)、N−クロロスクシンイミド7.072g(53.0mmol、1.05当量)、L−プロリン581mg(95.04mmol、10mol%)及びイソプロパノール50mLの混合物を、−5℃で21.5時間撹拌して、粗クロロケトンの懸濁液を生成させた。
無水エタノール60mL中の85%水酸化カリウム15.02g(227.6mmol)の溶液を、70℃で調製した。その後、粗クロロケトンの懸濁液を、Teflonカニューレを介して、70℃で20分間かけて添加した。得られた懸濁液を1時間還流した(浴:80℃)。
懸濁液を冷却し、溶媒を30℃および50〜40mmHgのロータリーエバポレータで除去した。残渣をHO 50mLに取り出し、トルエン50mLで2回洗浄して、MTBE25mLで3回洗浄した。その後、懸濁液を18重量%水酸化パラジウム−炭素300mgに添加して、懸濁液を25℃および36〜32psi Hで17時間水素化した。セライトでのろ過により、触媒を除去した。トルエンを母液に添加した。クエン酸(2Mを70mL)を添加して、pHを4に低下させた。層を分離して、水層をトルエン25mLで更に4回抽出した。合せた抽出液を、乾燥し(MgSO)、ろ過し、および真空で濃縮して(30℃および25mmHgのロータリーエバポレータと、その後に25℃および1mmHgの真空ポンプで4時間)、化合物:56 6.59g(61.0%)を黄褐色固体として得た。
実施例4
8,8−ジメチル−6,10−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−カルボン酸
メタノール10mL中の85%水酸化カリウムペレット1.33g(20.2mmol)の溶液を調製し、水浴で冷却した。実施例1のモノケタールのケトン(1.000、5.04mmol)を添加し、その後、メタノール1mLを添加した。黄色溶液を25℃で60秒間撹拌した。ジアセトキシヨードベンゼン(1.625g、5.04mmol)を添加し、その後、メタノール1mLを添加した。溶液を25℃で1時間撹拌した。これらの反応条件下で、ヨードシルベンゼンを形成させ、それをドナー化合物として供し、ヨード官能性によりケタールケトンを官能基化させた。同じく、ヨード官能性によるケタールケトンの官能基化に用いられる応媒体は、一般に、Favorskii転位反応を実行する条件を提供する。その結果、α−ヨード官能基化物質が形成されれば、物質は、Favorskiiスキームに従って、転位に自動的に進む。
メタノールを30℃および70mmHgのロータリーエバポレータで除去した。残渣を水15mLおよびトルエン15mLとに分離した。水層をトルエン15mLで更に4回洗浄した。トルエン(15mL)を水層に添加し、その後、2Mクエン酸(10mL)を添加して、pHを4に低下させた。層を分離して、水層をトルエン15mLで4回抽出した。合せた、ポスト−酸トルエン抽出液を、乾燥し(MgSO)、ろ過し、および真空で濃縮して(30℃および25mmHgのロータリーエバポレータと、その後に25℃および1mmHgの真空ポンプで3時間)、化合物:56 0.757g(70.0%)を淡黄色固体として得た。
(S)−MBA塩を製造するための先行技術の反応スキームを示す。 (S)−MBA塩を製造するための本発明の反応スキームを示す。 本発明の態様を実施するのに有用な環状ケタール化ケトンの式を示す。 環状ケタール化ケトンの好ましい実施形態を示す。 図3の化合物を製造するための例示的反応スキームを示す。 ケトン部分に関してα位にある図3の環状ケタール化ケトンを官能基化するための例示的反応スキームを示す。 Favorskii転位反応をどのように実施するかを概略的に示す。 Favorskii転位反応を、環状ケタール化α−官能基化ケトンに関して、どのように実施するかを概略的に示す。 環状ケタール化ケトンから、鏡像異性的に純粋なキラル(S)塩中間体を得るための一つのアプローチを概略的に示す。 グルコキナーゼ活性化剤の式を示す。

Claims (21)

  1. 式Ia:
    Figure 2009512724

    (式中、ZおよびZは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分(co-members)であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるカルボン酸の製造方法であって、
    ステップa)が、式IIa:
    Figure 2009512724

    (式中、ZおよびZならびにR〜Rは、先に定義されたとおりであり、Rは、一価基である)で示されるケトン化合物をドナー化合物と反応させて、式IIIa:
    Figure 2009512724

    (式中、Xは、ハロゲンであり、ZおよびZならびにR〜Rは、先に定義されたとおりである)で示されるα−ハロゲン化ケトンを形成させることを含み、
    ステップb)が、アルカリ性反応媒体中で、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンをFavorskii転位させて、式Iaで示されるカルボン酸を形成させることを含む、ステップa)および/またはステップb)を含む製造方法。
  2. 式Iaで示されるカルボン酸が、式Ib:
    Figure 2009512724

    で示される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンが、式IIb:
    Figure 2009512724

    (式中、Xは、ClまたはIである)であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のためのステップa)において、ドナー化合物が、N−クロロスクシンイミド、ジクロロジメチルヒダントイン、トリクロロイソシアヌラートおよびこれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項1〜3記載の方法。
  5. ドナー化合物が、N−クロロスクシンイミドであることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のためのステップa)において、DMFを含む極性溶媒が用いられることを特徴とする、請求項1〜5記載の方法。
  7. ステップa)における、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成が、アミンおよびカルボン酸の存在下、またはアミノ酸の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1〜5記載の方法。
  8. アミノ酸:L−プロリンが用いられることを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. Xが塩素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のためのステップa)において、反応が、−10℃〜35℃の範囲の温度で起こることを特徴とする、請求項1〜8記載の方法。
  10. Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成のためのステップa)において、ドナー化合物が、ジアセトキシヨードベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜3記載の方法。
  11. ステップb)におけるFavorskii転位に用いられるアルカリ性反応媒体が、低級アルコール中の水酸化アルカリの溶液であることを特徴とする、請求項1〜10記載の方法。
  12. メタノールまたはエタノール中の水酸化カリウムが用いられることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンの形成が、請求項11および12記載のアルカリ性反応媒体の存在下で実施され、この条件下で形成された、Xがヨウ素である、式IIIaで示されるα−ハロゲン化ケトンが、式Iaで示されるカルボン酸に直接転位されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  14. 式IIIa:
    Figure 2009512724

    (式中、Xは、ハロゲンであり、ZおよびZのそれぞれは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるα−ハロゲン化ケトン。
  15. 式IIIc:
    Figure 2009512724

    で示されるα−ハロゲン化ケトン。
  16. 式IIId:
    Figure 2009512724

    で示されるα−ハロゲン化ケトン。
  17. 式IIa:
    Figure 2009512724

    (式中、ZおよびZのそれぞれは、独立して、一価基を表すか、または点線で表されるとおり、環構造の共有部分であり、二価部分:−Z−Z−を与え;R〜R置換基のそれぞれは、独立して、一価基を表すか、またはR〜R置換基のいずれか2個が、環構造の共有部分である)で示されるケトン。
  18. 式IIb:
    Figure 2009512724

    で示されるケトン。
  19. 式V:
    Figure 2009512724

    で示される化合物を製造するための、請求項1〜13記載の方法の使用。
  20. 式V:
    Figure 2009512724

    で示される化合物の製造方法であって、
    ステップa)が、式IIb:
    Figure 2009512724

    で示されるケトンをα−ハロゲン化させて、式IIIb:
    Figure 2009512724

    (式中、Xは、ClまたはIである)で示されるα−ハロゲン化ケトンを形成させることを含み、
    ステップb)が、式IIIbで示されるα−ハロゲン化ケトンをFavorskii転位させて、式Ib:
    Figure 2009512724

    で示されるカルボン酸を形成させることを含む、ステップa)および/またはステップb)を含む製造方法。
  21. 本明細書の先に定義された新規な方法および中間体。
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