近年、1つの住宅に親世帯と子世帯とが同居する2世帯住宅が普及してきており、このような二世帯住宅では、各々の世帯で個別に来客に応対できるように、各世帯にインターホンシステムを設置していた。
二世帯住宅の世帯間でプライバシーを確保するためには、各々の世帯に別個のインターホンシステムを設置し、世帯間のインターホン通話を行えないようにすることが好ましいが、例えば留守中の世帯に来客があった場合に他方の世帯で代わりに応答したり、世帯間でインターホン通話を行いたい場合もあり、状況に応じて動作モードを、世帯内通話のみが可能な通常モードと、世帯間通話が可能な留守モードとに切り換え可能にした二世帯住宅用のインターホンシステムが従来提案されていた(例えば特許文献1参照)。
上記文献に開示されたインターホンシステムでは、一方の世帯のみにインターホン親機を配置するとともに、当該インターホン親機に、各世帯のカメラ付きドアホン(以下、ドアホン子器)と、各世帯に設置された複数台のインターホン副親機とをそれぞれ接続してある。そして、インターホン親機及びインターホン副親機には、一方の世帯の第1のグループに属するか、他方の世帯の第2のグループに属するか、或いは、一方の世帯と他方の世帯を纏めた第3のグループに属するかを設定する切替スイッチを設けてあり、何れかの世帯のドアホン子器で呼出釦が押され、ドアホン子器からの呼出信号が親機を介して副親機に送られた場合、親機及び副親機では、切替スイッチの設定を参照し、自グループのドアホン子器からの呼出信号が入力された場合のみ呼出音を鳴動させるとともに、呼出に対する応答も自グループのドアホン子器との間でしか行えないようにしている。また親機又は副親機の何れかで切替スイッチにより第3のグループに設定された場合は、システム全体が留守モードに切り換えられて世帯間通話が可能になるので、留守中の世帯のドアホン子器で呼出釦が押された場合は、在宅中の世帯の親機又は副親機で応答することができる。
しかしながら、上記文献に開示されたインターホンシステムでは、片方の世帯にしかインターホン親機が設けられていないため、片方の世帯で停電が発生したり、インターホン親機が故障したりすると、もう一方の世帯でもインターホンシステムが使用できなくなるという問題があった。
そこで、図7のシステム構成図に示すように二世帯住宅の各世帯A1,A2に、住戸外に設置されるカメラ付ドアホン(以下、ドアホン子器という。)3と、住戸内に設置されてドアホン子器3との間で信号線Ls1を介して音声信号を授受するとともに映像信号が入力されるインターホン親機1(以下、親機と略称す。)と、監視領域を撮像した映像を信号線Ls1を介して親機1に伝送するカメラ子器4と、住戸内に設置され平衡2線式の伝送線路Ls2を介して親機1に接続されるインターホン副親機(以下、副親機と略称す。)2a,2b,2c…とで構成されるインターホンシステムを設け、各世帯A1,A2の親機1,1間を信号線Ls3で接続することによって、世帯間通話を行えるようにしたシステムも従来提案されている。
親機1は、図8に示すように、マイク10a並びにスピーカ10bと、2線−4線変換回路を含み、マイク10aから出力される音声信号を信号処理して後述の多重分離回路16a,16c,21に出力するとともに、多重分離回路16a,16c,21から入力される音声信号を信号処理してスピーカ10bから音声を鳴動させ、さらに副親機2a〜2n並びにカメラ子器4との間でFSK方式により制御信号を伝送する制御・音声変復調回路11と、映像表示用のモニタ12と、ドアホン子器3又はカメラ子器4から送られた映像信号を復調してモニタ12に表示させる映像変復調回路13と、各種の操作(呼出信号への応答操作、所望のドアホン子器3の映像をモニタするための操作、副親機2a…の呼出操作)を行うための操作部14と、伝送線路Ls1の線間電圧を監視してドアホン子器3から送信される呼出信号を受信する呼出信号受信回路15と、制御・音声変復調回路11から入力される音声信号及び制御信号を周波数多重化して信号線Ls1に出力するとともに、信号線Ls1を介して入力される多重化信号から音声信号を分離して制御・音声変復調回路11に出力する多重分離回路16aと、ドアホン子器3或いはカメラ子器4から信号線Ls1を介して入力される多重化信号から映像信号を分離して映像変復調回路13に出力する多重分離回路16bと、制御・音声変復調回路11から入力される音声信号及び制御信号を周波数多重化して伝送線Ls2に出力するとともに、副親機2a〜2nから伝送線Ls2を介して入力される多重化信号から音声信号及び制御信号を分離して制御・音声変復調回路11に出力する多重分離回路16cと、多重分離回路16bにより分離された映像信号を再び周波数多重化して伝送線Ls2に出力する多重分離回路16dと、マイコンを主構成要素として全体的な動作制御を行う制御部17と、世帯間で音声信号および映像信号を送受するための世帯間通話回路20とを備えている。
なお親世帯A1の親機1と子世帯A2の親機1とは信号線Ls3を介して接続されており、世帯間通話回路20は、制御・音声変復調回路11又は多重分離回路16a,16cから入力される音声信号及び制御信号を多重化して信号線Ls3に出力するとともに、信号線Ls3を介して入力される周波数多重化信号から音声信号及び制御信号を分離して制御・音声変復調回路11又は多重分離回路16a,16cに出力する多重分離回路21と、信号線Ls3を介して入力される周波数多重化信号より他世帯のドアホン子器3或いはカメラ子器4からの映像信号を分離するとともに、同じ世帯のドアホン子器3或いはカメラ子器4から入力される映像信号を多重化し信号線Ls3を介して他世帯の親機1へ出力する多重分離回路22と、当該多重分離回路22と映像変復調回路13との間に設けられ、多重分離回路22から映像変復調回路13への映像信号の入力をオン/オフするスイッチ23と、映像変復調回路13と多重分離回路22との間に設けられ、映像変復調回路13側(すなわちドアホン子器3又はカメラ子器4)から多重分離回路22への映像信号の入力をオン/オフするスイッチ24とを備えている。
ここで、従来のインターホンシステムによる通話応答について以下に説明する。先ず親世帯A1のドアホン子器3からの呼出に、親世帯A1の親機1又は副親機2aで応答する場合について説明を行う。親機1からドアホン子器3への給電電圧(直流電圧)は、ドアホン子器3が通話状態或いは後述するモニタ状態の何れでもないときはシステムの消費電力を低減するために相対的に低い状態(この状態を待機給電状態と言う。)とされ、通話状態やモニタ状態では相対的に高い状態(この状態を動作給電状態と言う。)とされる。尚、カメラ子器4には商用電源から動作電力が供給されている。
ドアホン子器3では、待機給電状態において呼出釦3aが操作されると、信号線Ls1の線間電圧を待機給電状態よりもさらに低い電圧に低下させることで親機1に呼出信号を伝送する。親機1では、呼出信号受信回路15が信号線Ls1の線間電圧をモニタすることによって呼出信号を検出しており、呼出信号を受信して制御部17に出力すると、制御部17が信号線Ls1への給電電圧を待機給電状態から動作給電状態に移行させるとともに、スピーカ10bにより呼出信号を鳴動させ、また多重分離回路16cを介して副親機2a〜2nに呼出信号を鳴動させるための制御信号を送信させることによって、親機1および副親機2a〜2nから呼出信号を鳴動させる。
ドアホン子器3では、給電状態が動作給電状態に切り替えられると、内蔵のカメラを起動して当該カメラの映像信号を信号線Ls1を介して親機1に送信すると共に、音声信号処理部を起動して音声信号の授受、すなわち通話が可能な状態に切り替えている。この時、親機1では多重分離回路16bが分離した映像信号を映像変復調回路13が復調してモニタ12に表示させるとともに、多重分離回路16dが映像信号を再度多重化して副親機2a〜2nに出力することによって、副親機2a〜2nのモニタ25にドアホン子器3のカメラで撮像された映像が表示されるようになっている。
そして、呼出信号を聞いた家人が親機1又は副親機2a〜2nの応答釦14a,26を操作すると、応答釦14a,26が操作された親機1又は副親機2a〜2nとドアホン子器3との間で通話路が形成され、宅内の家人はモニタ12,25の映像を見ながら、来客と通話を行うことができる。
また、図7及び図8に示すインターホンシステムでは、何れかの世帯が留守中で来客への対応ができない場合に、一方の世帯のドアホン子器3からの呼出に、他方の世帯の親機1又は副親機2a〜2nで応答することができるようになっている。すなわち、各世帯A1,A2の親機1では、留守設定を行うための操作部14の設定操作に応じて、世帯間通話回路20のスイッチ23,24を切り替えており、在宅時にはスイッチ23をオン、スイッチ24をオフにして、他世帯から送られた映像信号を多重分離回路22により分離して映像変復調回路13に入力させ、他世帯のドアホン子器3との通話を可能にしている。また各世帯A1,A2の親機1では、留守設定時にはスイッチ23をオフ、スイッチ24をオンにして、同じ世帯のドアホン子器3又はカメラ子器4からの映像信号を多重分離回路22により多重化して信号線Ls3に出力させており、同じ世帯のドアホン子器3と他世帯の親機1又は副親機2a〜2nとの間で通話を行えるようにしている。
ここで、親機1で留守設定が行われた世帯A1のドアホン子器3で呼出釦3aが押操作されると、当該世帯A1の呼出信号受信回路15が呼出信号を受信して制御部17に出力し、制御部17がドアホン子器3への給電状態を動作給電状態に切り替えて、スピーカ10bから呼出音を鳴動させるとともに、呼出音を鳴動させるための制御信号を多重分離回路16c,21により多重化させ、同じ世帯の副親機2a〜2n及び他世帯A2の親機1並びに副親機2a〜2nに出力することによって、2つの世帯A1,A2の親機1及び副親機2a〜2nより呼出音を鳴動させている。また世帯A1のドアホン子器3は、給電状態が動作給電状態に切り替えられると、カメラを起動してカメラの映像信号を親機1に出力しており、世帯A1の親機1では自機のモニタ12に映像を表示させるとともに、副親機2a〜2nのモニタに映像を表示させ、さらに映像信号を世帯間通話回路20から他世帯A2の親機1及び副親機2a〜2nに出力させて、他世帯A2の親機1及び副親機2a〜2nに映像を表示させている。そして、他世帯A2の家人が呼出音を聞いて、親機1又は副親機2a〜2nの応答釦14a,26を押操作すると、応答釦14a,26が押操作された他世帯A2の親機1又は副親機2a〜2nと、世帯A1のドアホン子器3との間で世帯A1のインターホン親機1を介して通話路が形成され、留守世帯のドアホン子器3と、在宅世帯の親機1又は副親機2a〜2nとの間で通話を行えるようになっている。
特許第3617271号公報
上述した従来のインターホンシステムでは、2世帯住宅の各世帯A1,A2に個別のインターホンシステムを設置し、各世帯A1,A2の親機1に世帯間通話回路20を設けることによって、世帯間の通話を可能にしているので、例えば一方の世帯のインターホンシステムに異常が発生したとしても、他方の世帯のインターホンシステムが影響を受けることはなく、また特許文献1に開示されたインターホンシステムのように、個々の副親機にグループ設定を行う必要がないから、設定の手間が少なくて済むという利点はあるが、親機1から同一世帯の副親機2a〜2nへの映像信号の伝送は片方向通信であるのに対して、世帯間での映像信号の伝送は双方向通信のため、多重分離回路21,22を備えた専用の世帯間通話回路20が必要になり、親機1のコストアップを招くとともに、回路規模が大きくなって親機1の小型化の妨げになるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、二世帯住宅の各世帯に設けたインターホン親機の小型化及び低コスト化を図ったインターホンシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、二世帯住宅に設けられて世帯内および世帯間で内線通話を行うためのインターホンシステムであって、各世帯には、宅外に設置されるカメラ付きドアホンを含む子器と、カメラ付きドアホンとの間で通話を行うための通話手段及び子器で撮影された映像を表示するための映像表示手段を具備して宅内に設置されるインターホン親機と、インターホン親機の副親機接続端子に接続され、インターホン親機を介して音声信号を授受することによってカメラ付きドアホンとの間で通話を行う通話手段及びインターホン親機を介して入力された子器の映像信号をもとに子器の映像を表示するための映像表示手段を具備して宅内に設置されるインターホン副親機とがそれぞれ設けられ、各世帯のインターホン親機に、子器が接続される子器接続端子と、インターホン副親機及び他世帯のインターホン親機が接続される副親機接続端子と、子器接続端子又は副親機接続端子から入力される映像信号を復調して映像表示手段に表示させる映像復調手段と、当該インターホン親機の動作モードを、同一世帯の子器から子器接続端子を介して入力される映像信号を映像復調手段及び副親機接続端子に出力させる親機モード、又は、他世帯のインターホン親機から副親機接続端子を介して入力される他世帯の子器の映像信号を映像復調手段に出力させる副親機モードの何れかに切り替える親機/副親機切替手段とを設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、インターホン親機に、他世帯のインターホン親機との間で信号の授受を可能にする二世帯モード、又は、他世帯のインターホン親機との間で信号の授受を遮断する独立世帯モードの何れかに切り替える通信モード切替手段を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、子器として、所定の検知エリアでの環境変化を検知すると、検知エリアを含む所定の撮影エリアを撮影するカメラ子器を備えるとともに、インターホン親機は、他世帯のインターホン親機が接続される副親機接続端子への信号の入出力をオン/オフする内線スイッチを備え、独立世帯モードに切り替えられた状態でカメラ付きドアホンからの呼出又はカメラ子器による環境変化の検知入力があると内線スイッチをオフさせるとともに、独立世帯モードに切り替えられた状態でカメラ付きドアホンの呼出及びカメラ子器による環境変化の検知が無い場合並びに二世帯モードに切り替えられた状態では内線スイッチをオンさせることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、親機/副親機切替手段は、他世帯のインターホン親機から切替信号が入力されなければ、動作モードを親機モードに切り替えるとともに、同一世帯のカメラ付きドアホンからの呼出信号を検知すると、呼出を通知するための制御信号を副親機接続端子から出力させるとともに、動作モードを副親機モードに切り替えさせる切替信号を他世帯のインターホン親機に対して出力することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、呼出信号を出力したカメラ付きドアホンと、制御信号を受信した他世帯のインターホン親機又はインターホン副親機との間で呼出応答が行われた後、呼出応答が終了すると、他世帯のインターホン親機の親機/副親機切替手段は、動作モードを副親機モードから親機モードに切り換えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、親機/副親機切替手段によってインターホン親機の動作モードが親機モードに切り替えられた場合は、自世帯の子器の映像信号を副親機接続端子に接続された他世帯の親機に送信でき、また動作モードが副親機モードに切り替えられた場合は、他世帯の親機から副親機接続端子に入力された映像信号を映像復調手段により復調して映像表示手段に表示させることができるので、従来の二世帯住宅用のインターホン親機のように、世帯間の通信のために双方向で映像信号を送受信するための回路を別途設ける必要が無く、回路規模を小さくして小型化を図ることができるとともに、コストダウンを図れるという効果がある。
請求項2の発明によれば、インターホン親機が独立世帯モードで動作中は、他世帯のインターホン親機との間で信号の授受が遮断されるので、世帯間のプライバシーを保つことができ、また留守時にはインターホン親機の通信モードを二世帯モードに切り替えることで、自世帯のカメラ付きドアホンからの呼出に、他世帯のインターホン親機から応答させることが可能になるという利点がある。
請求項3の発明によれば、独立世帯モードに切り替えられた状態でカメラ付きドアホンからの呼出又はカメラ子器による環境変化の検知入力があると内線スイッチをオフさせているので、子器の映像が他世帯の親機側に送信されるのを防止して、世帯間のプライバシーを保つことができ、またそれ以外の状態では内線スイッチがオンになっているので、世帯間で信号を授受することができる。
請求項4の発明によれば、各世帯のインターホン親機は、同じ世帯のカメラ付きドアホンからの呼出信号を検知すると、動作モードを副親機モードに切り替えさせる切替信号を他世帯のインターホン親機に対して出力しているので、カメラ付きドアホンからの呼出に対して他世帯のインターホン親機で応答させることができる。
請求項5の発明によれば、呼出応答の終了後に動作モードが親機モードに切り換えられるので、各世帯のインターホン親機を親機モードで動作させることによって、自世帯のカメラ付きドアホンからのドアホン呼出に応答させることができる。
以下に本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。本実施形態のインターホンシステムは二世帯住宅に用いられ、二世帯住宅の二つの世帯A1,A2内での内線通話や、世帯A1,A2間での内線通話を行えるようにしている。尚、図1の例では世帯A1が親世帯、世帯A2が子世帯となっている。
各世帯A1,A2には、図2に示すように、住戸外(例えば玄関など)に設置される1乃至複数台のカメラ付きドアホン(以下、ドアホン子器と言う。)3と、所定の検知エリアでの環境変化を検出すると、検知エリアを含む所定の撮影エリアを撮影するカメラ子器4と、マイク10a及びスピーカ10bとモニタ12(映像表示手段)を有し、ドアホン子器3との間でマイク10a及びスピーカ10bを用いて通話を行うとともに、子器(ドアホン子器3及びカメラ子器4)で撮影された映像をモニタ12に表示させるインターホン親機(以下、親機と略称す。)1と、スピーカ及びマイクとモニタ25(映像表示手段)を有し、親機1に伝送線Ls2を介して接続され、親機1を介してドアホン子器3との間でスピーカ及びマイクを用いて通話を行うとともに、子器で撮影された映像をモニタ12に表示させるインターホン副親機(以下、副親機と略称す。)2a,2b…2nとがそれぞれ設けられている。
そして、各世帯A1,A2の親機1は、図1に示すように、子器(ドアホン子器3及びカメラ子器4)が接続される複数の子器接続端子T1と、副親機2a…2n及び他世帯の親機1が接続される複数の副親機接続端子T2(T2a,T2b)と、マイク10a並びにスピーカ10bと、2線−4線変換回路を含みマイク10aから出力される音声信号を信号処理して後述の多重分離回路16a,16cに出力するとともに、多重分離回路16a,16cから入力される音声信号を信号処理してスピーカ10bから音声を鳴動させ、さらに副親機2a〜2n並びにカメラ子器4との間でFSK方式により制御信号を伝送する制御・音声変復調回路11と、例えば液晶ディスプレイからなるモニタ12(映像表示手段)と、後述の多重分離回路16b,16dから入力される映像信号を復調してモニタ12に表示させる映像変復調回路13(映像復調手段)と、各種の操作(呼出信号への応答操作、所望のドアホン子器3の映像をモニタするための操作、副親機2a…の呼出操作)を行うための操作部14と、伝送線路Ls1の線間電圧を監視することによってドアホン子器3又はカメラ子器4からの呼出信号を受信する呼出信号受信回路15と、制御・音声変復調回路11から入力される音声信号及び制御信号を周波数多重化して信号線Ls1に出力するとともに、信号線Ls1を介して入力される多重化信号から音声信号を分離して制御・音声変復調回路11に出力する多重分離回路16aと、ドアホン子器3又はカメラ子器4から信号線Ls1を介して入力される多重化信号から映像信号を分離して映像変復調回路13に出力する多重分離回路16bと、制御・音声変復調回路11から入力される音声信号及び制御信号を周波数多重化して伝送線Ls2に出力するとともに、副親機2a〜2nから伝送線Ls2を介して入力される多重化信号から音声信号及び制御信号を分離して制御・音声変復調回路11に出力する多重分離回路16cと、多重分離回路16bにより分離された映像信号を再び周波数多重化して伝送線Ls2に出力するとともに、副親機接続端子T2を介して入力される伝送信号より映像信号を分離して映像変復調回路13に出力する多重分離回路16dと、マイコンを主構成要素として全体的な動作制御を行う制御部17とを備えている。ここにおいて、マイク10a及びスピーカ10bと制御・音声変復調回路11とで通話手段が構成される。
ここで、親機1では子器接続端子T1を3系統備えているのに対して映像信号を受信して処理する映像変復調回路13を一つしか持たないので、映像信号同士の衝突を回避するために時分割多重伝送方式を採用しており、制御部17から伝送線Ls1を介して伝送する制御信号によって規定される複数のタイムスロットにドアホン子器3及びカメラ子器4を個別に割り当て、それぞれの子器3,4が自器に割り当てられたタイムスロットで映像信号を送信し、親機1の映像変復調回路13において各タイムスロットで受信し且つ復調した映像信号から元の映像を再構成してモニタ12に表示させている。尚、時分割多重伝送の詳細については従来周知であるから説明を省略する。
また親機1は、通常のインターホン親機として動作する親機モードと、副親機2a〜2nと同様の動作を行う副親機モードとで、映像信号の信号経路を切り替える親機/副親機切替回路18を備えている。なお親機1が親機モードで動作する場合、親機1は、同じ世帯の子器(ドアホン子器3及びカメラ子器4)から入力された映像信号を、副親機接続端子T2を介して同じ世帯の副親機2a〜2nと他世帯の親機1とに出力する。また親機1が副親機モードで動作する場合、親機1は、他世帯の親機1より副親機接続端子T2を介して入力された映像信号(他世帯の子器の映像信号)を映像変復調回路13に出力させ、他世帯の子器で撮影された映像をモニタ12に表示させるようになっている。
ここで、親機/副親機切替回路18は、多重分離回路16bと映像変復調回路13との間の電路の途中に設けられたバッファ回路BUF1と、多重分離回路16dと映像変復調回路13との間の電路の途中に互いに逆極性に接続されたバッファ回路BUF2,BUF3と、各バッファ回路BUF1〜BUF3のオン/オフを切り替える映像変復調回路13及び制御部17で構成される。
バッファ回路BUF1〜BUF3は映像変復調回路13によってオン/オフが制御されており、制御部17から親機モードへの切替信号が映像変復調回路13に入力されると、映像変復調回路13がバッファ回路BUF1,BUF2をオン、バッファ回路BUF3をオフさせて、多重分離回路16bで分離された同じ世帯の子器からの映像信号が映像変復調回路13に入力されるとともに、この映像信号が多重分離回路16dにより再び多重化されて、副親機接続端子T2から出力されるようになっている。また、制御部17から副親機モードへの切替信号が映像変復調回路13に入力されると、映像変復調回路13がバッファ回路BUF1,BUF2をオフ、バッファ回路BUF3をオンさせており、他世帯の親機1から副親機接続端子T2を介して入力された伝送信号より多重分離回路16dによって分離された映像信号(他世帯の子器の映像信号)が映像変復調回路13に入力されるようになっている。
また親機1は、他世帯の親機1との間で信号の授受を可能にする二世帯モード、又は、他世帯の親機1との間で信号の授受を遮断する独立世帯モードの何れかに切り替えるための通信モード切替回路19を備えている。通信モード切替回路19は、他世帯の親機1が接続される副親機接続端子T2aと同じ世帯の副親機2a〜2nが接続される端子T2bとの間に接続された内線スイッチSW1、及び、この内線スイッチSW1のオン/オフを切り替える制御部17から構成される。ここで、操作部14によって二世帯モードが選択されると、制御部17が、操作部14からの選択操作に応じて内線スイッチSW1をオンさせ、他世帯の親機1との間で信号の授受を可能にする。一方、操作部14によって独立世帯モードが選択されると、制御部17が、操作部14からの選択操作に応じて動作モードを独立世帯モードに切り替えるのであるが、ドアホン子器3からのドアホン呼出及びカメラ子器4による環境変化の検知入力が無い場合は、他世帯の親機1との間で制御信号の授受が行えるように内線スイッチSW1をオンさせ、ドアホン子器3からのドアホン呼出又はカメラ子器4による環境変化の検知入力があると、図5に示すように内線スイッチSW1をオフさせて、他世帯の親機1との間での信号の授受を遮断する。
本実施形態のインターホンシステムは以上のような構成を有しており、このインターホンシステムの動作を図3及び図4の状態遷移図に基づいて説明する。先ず、各世帯A1,A2の親機1が、操作部14の操作に応じて独立世帯モードに切り替えられた場合の動作を図3に基づいて説明する。
親世帯A1の家人が、親機1の操作部14を用いて動作モードを独立世帯モードに切り替える操作を行うと(図3の処理S1)、親機1の制御部17が操作部14からの操作入力に基づいて動作モードを独立世帯モードに切り替える(処理S2)。また子世帯A2においても、親機1の動作モードが独立世帯モードに切り替えられているものとする(処理S3)。なお各世帯A1,A2の親機1の制御部17は、独立世帯モードで動作中は親機/副親機切替回路18により動作モードを親機モードに切り換えている。また制御部17では、各世帯のドアホン子器3からの呼出又はカメラ子器4による環境変化の検知入力が無い間は内線スイッチSW1をオンさせて、他世帯の親機との間で制御信号の授受を可能にしている。
その後、子世帯A2に来訪者があり、来訪者がドアホン子器3の呼出釦3aを押し操作すると(処理S4)、ドアホン子器3が信号線Ls1の線間電圧を、待機給電状態よりも低い電圧に低下させることで親機1に呼出信号を伝送する(処理S5)。親機1では、呼出信号受信回路15が信号線Ls1の線間電圧をモニタすることによって呼出信号を検出しており、呼出信号を受信して制御部17に出力すると、制御部17が内線スイッチSW1をオフして他世帯間での信号(映像信号、音声信号、制御信号)の授受を遮断するとともに(処理S6)、制御部17が信号線Ls1への給電電圧を待機給電状態から動作給電状態に移行させ、ドアホン子器3によりカメラを起動させる。このとき、制御部17では、制御・音声変復調回路11によりスピーカ10bから呼出信号を鳴動させるとともに、呼出信号を鳴動させるための制御信号を多重分離回路16cに出力させ、制御信号を周波数多重化させて副親機2a〜2nに送信させることで、副親機2a〜2nからも呼出音を鳴動させている。また制御部17では、制御・音声変復調回路11からドアホン子器3及びカメラ子器4にタイムスロットを割り当てる制御信号を出力させ、この制御信号を多重分離回路16aが多重化して送信することによって、ドアホン子器3との間で同期をとっており(処理S7)、ドアホン子器3が自器に割り当てられたタイムスロットで映像信号を返送すると(処理S8)、多重分離回路16bで分離された映像信号を、映像変復調回路13が復調して元の映像を再構成することによって、子器の映像がモニタ12に表示される。また親機1の多重分離回路16bで分離された映像信号は、バッファ回路BUF2を介して多重分離回路16dに送られ、多重分離回路16dで再び多重化されて副親機2a〜2nに出力されるので、副親機2a〜2nのモニタにも子器の映像を表示させることができる。その後、親機1又は副親機2a〜2nで応答釦が押し操作されると、親機1又は副親機2a〜2nとドアホン子器3との間で通話路が形成され、ドアホン通話が行われる。そして、親機1又は副親機2a〜2nとドアホン子器3との間の通話が終了すると(処理S10)、制御部17は内線スイッチSW1をオンさせて、各世帯A1,A2の親機1の間で制御信号の送受を可能にしている。なお親世帯A1に来訪者があり、親世帯A1のドアホン子器3と親機1との間でドアホン通話を行う際の処理(S12〜S18)は、上述した子世帯A2での通話処理(S4〜S11)と同様であるので、詳細な説明は省略する。
このように本システムでは、独立世帯モードで動作中にドアホン子器3からの呼出及びカメラ子器4による環境変化の検知が無い場合は、親機1の制御部17が内線スイッチSW1をオンさせているので、各世帯の親機1の間で制御信号の授受が可能になり、独立世帯モードで動作中にドアホン子器3からの呼出又はカメラ子器4による環境変化の検知があると、親機1の制御部17が内線スイッチSW1をオフさせているので、同じ世帯のドアホン子器3又はカメラ子器4で撮影された映像が他世帯の親機1に出力されるのを防止でき、世帯間のプライバシーを確保することができる。
次に、各世帯A1,A2の親機1が二世帯モードに切り替えられた場合の動作について図4を参照して説明する。
親世帯A1の家人が、親機1の操作部14を用いて動作モードを二世帯モードに切り替える操作を行うと(図4の処理S21)、親機1の制御部17が操作部14からの操作入力に基づいて自機の動作モードを二世帯モードに切り替えるとともに(処理S22)、制御・音声変復調回路11から多重分離回路16cに動作モードを二世帯モードに切り替える制御信号を出力させ、この制御信号(切替信号)を多重分離回路16cにより周波数多重化して子世帯A2の親機1へ出力させている(処理S23)。この時、子世帯A2の親機1では、多重分離回路16cが親世帯A1から送られた伝送信号より制御信号を分離して、この制御信号を制御・音声変復調回路11に出力しており、制御部17は復調された制御信号をもとに動作モードを二世帯モードに切り替える(処理S24)。尚、各親機1,1は二世帯モードに切り替わった状態でも親機モードで動作しており、各親機1,1は独立して動作している。
親世帯A1及び子世帯A2の親機1がそれぞれ二世帯モードに切り替えられると、各親機1の制御部17は内線スイッチSW1を常時オンにし、初期状態(二世帯モードに切り替えた当初)では動作モードを親機モードに設定する。この状態で親世帯A1に来訪者があり、来訪者がドアホン子器3の呼出釦3aを押し操作すると(処理S25)、ドアホン子器3が信号線Ls1の線間電圧を、待機給電状態よりも低い電圧に低下させることで親機1に呼出信号(図6(a)のC1)を伝送する(処理S26)。親機1では、呼出信号受信回路15が信号線Ls1の線間電圧をモニタすることによって呼出信号C1を検出しており、呼出信号C1を受信して制御部17に出力すると、制御部17が信号線Ls1への給電電圧を待機給電状態から動作給電状態に移行させ、ドアホン子器3によりカメラを起動させるとともに、制御・音声変復調回路11によりスピーカ10bから呼出信号を鳴動させる。また制御部17は、呼出信号を鳴動させるための制御信号を多重分離回路16cに出力させ、多重分離回路16cにより周波数多重化して副親機2a〜2n及び子世帯A2の親機1に送信しており、副親機2a〜2n及び他世帯の親機1並びに副親機2a〜2nからも呼出音を鳴動させている。また更に、制御部17では、子世帯A2の親機1を副親機モードに切り替える制御信号(切替信号)を制御・音声変復調回路11から出力させている。図6(a)に示すように上記の切替信号C2は多重分離回路16cによって周波数多重化され、副親機接続端子T2を介して子世帯A2の親機1に送信されており(処理S27)、この制御信号を受けて子世帯A2の親機1は動作モードを親機モードから副親機モードに切り替え、バッファ回路BUF1,BUF2をオフ、バッファ回路BUF3をオンさせている(処理S28)。
その後、親世帯側の親機1の制御部17では、制御・音声変復調回路11からドアホン子器3及びカメラ子器4にタイムスロットを割り当てる制御信号を出力させ、この制御信号を多重分離回路16aが多重化して送信することによって、ドアホン子器3との間で同期をとっており(処理S29)、ドアホン子器3が自器に割り当てられたタイムスロットで映像信号を返送すると(処理S30)、多重分離回路16bで分離された映像信号がバッファ回路BUF1を介して映像変復調回路13に入力され、映像変復調回路13が映像信号を復調して元の映像を再構成することによって、子器の映像がモニタ12に表示される。また親機の多重分離回路16bで分離された映像信号は、バッファ回路BUF1,BUF2を介して多重分離回路16dに入力され、多重分離回路16dによって再び多重化された後、副親機接続端子T2a,T2bを介して同じ世帯の副親機2a〜2nと他世帯の親機1に送られる(処理S31)。而して同じ世帯の副親機2a〜2nにも子器の映像を表示させることができ、また子世帯側の親機1では、副親機接続端子T2を介して入力された伝送信号から多重分離回路16dによって映像信号が分離され、バッファ回路BUF3を介して映像変復調回路13に入力されるので、子世帯側の親機1にも子器の映像を表示させることができる。また処理S31において、親世帯A1の親機1から子世帯A2の親機1の副親機接続端子T2へ親世帯A1のドアホン子器3から出力された映像信号が入力されると、この映像信号は副親機接続端子T2に接続された副親機2a〜2nに送信されるので(処理S32)、子世帯A2の副親機2a〜2nにも親世帯A1のドアホン子器の映像を表示させることができる。
ここで、子世帯A2の家人が呼出音を聞いて副親機の応答釦を押し操作すると、親世帯A1のドアホン子器3と子世帯A2の副親機2aとの間に、親世帯A1の親機1と子世帯A2の親機1とを介して通話路(図6(a)のB1)が形成され、ドアホン子器3と子世帯A2の副親機2aとの間でドアホン通話が行われる(処理S33)。
その後、子世帯A2の副親機2aで通話の終了操作が行われると(処理S34)、副親機2aは通話を終了して待機状態に移行するとともに(処理S35)、子世帯A2の親機1に対して通話終了を報知する制御信号を出力する(処理S36)。子世帯A2の親機1では、副親機2aから出力された制御信号が副親機接続端子T2を介して多重分離回路16cに入力され、多重分離回路16cによって周波数分離された後、制御・音声変復調回路11により復調されて制御部17に入力されており、制御部17は内線通話の終了を受けて動作モードを親機モードに切り換え、バッファ回路BUF1,BUF2をオン、バッファ回路BUF3をオフさせるとともに(処理S37)、待機状態に移行する(処理S38)。また子世帯A2の副親機2aから親機1へ送出された制御信号は、親機1の副親機接続端子T2を経由して親世帯A1の親機1にも入力され(処理S39)、親機1の多重分離回路16cによって制御信号が周波数分離された後、制御・音声変復調回路11により復調されて制御部17に入力されており、制御部17は内線通話の終了処理を受けて、待機モードに移行するとともに(処理S40)、ドアホン子器3への給電状態を待機給電状態に切り替えており(処理S41)、ドアホン子器3ではカメラを停止させて待機状態に移行する(処理S42)。尚、本実施形態では子世帯A2の親機1は、副親機モードに移行した後、自世帯の副親機2a〜2nからの通話終了を報知する制御信号又は自機による通話応答の終了動作を受けて、副親機モードから親機モードへと自動的に切り替えているが、親世帯A1の親機1が、通話終了を報知する制御信号を受信すると、子世帯A2の親機1に対して副親機モードから親機モードへ移行させる制御信号を送信し、この制御信号を受けて子世帯A2の親機1が動作モードを親機モードに切り換えるようにしても良い。
ところで、上記の説明では親世帯A1の親機1が二世帯モードに切り替えられた状態で、親世帯A1のドアホン子器3から呼出があった場合について説明を行ったが、図6(b)に示すように各世帯A1,A2が独立世帯モードで動作中に子世帯A2の親機1が二世帯モードに切り替えられた状態で、子世帯A2のドアホン子器3の呼出釦が押操作されて、ドアホン子器3からの呼出信号C3が親機1に入力されると、親機1は親世帯A1の親機1に対して動作モードを副親機モードに切り替える制御信号C4(切替信号)を送信しており、この制御信号C4を受けて親世帯A1の親機1が動作モードを親機モードから副親機モードに切り替える。その後、親世帯A1の親機1又は副親機2a〜2nで応答釦が押されると、子世帯A2のドアホン子器3と親世帯A1の親機1又は副親機2a〜2nとの間で通話路B2が形成されて、内線通話が行われる。そして、内線応答が終了すると、親世帯A1の親機1では、自世帯の副親機2a〜2nからの通話終了を報知する制御信号又は自機による通話応答の終了処理を受けて、副親機モードから親機モードへと自動的に切り替えるか、或いは、通話終了時に子世帯A2の親機1から親機モードへの切替信号を親世帯A1の親機1に送出させ、この切替信号を受けて親世帯A1の親機1が動作モードを親機モードに切り換える。
以上のように本システムでは、二世帯モードに切り替えられると、内線スイッチSW1をオンにしているので、2つの世帯A1,A2間で信号(音声信号、映像信号、制御信号)の授受を行うことができる。また各世帯A1,A2の親機1では、他世帯の親機1を接続する端子を副親機接続端子T2で兼用しており、二世帯モードにおいて親機1の動作モードが親機モードに設定された場合、親機1では、同じ世帯のドアホン子器3又はカメラ子器4から入力される映像信号を、副親機接続端子T2を介して他世帯の親機1および同じ世帯の副親機2a〜2nに出力しているので、他世帯の親機1や副親機2a〜2nに映像信号を出力することが可能になる。また、二世帯モードにおいて親機1の動作モードが副親機モードに設定された場合、親機1では、他世帯の親機1から副親機接続端子T2を介して入力された伝送信号より多重分離回路16dが映像信号を分離し、この映像信号を映像変復調回路13に入力させているので、他世帯のドアホン子器3又はカメラ子器4で撮影された映像をモニタ12に表示させることができる。
このように、各世帯A1,A2の親機1で他世帯のドアホン子器3からの呼出に応答するためには、親機1内で子器からの映像信号を副親機接続端子T2に出力する信号経路に加えて、副親機接続端子T2に入力された映像信号を映像変復調回路13に出力する信号経路を設ける必要が有り、図7及び図8に示した従来のインターホンシステムでは、専用の多重分離回路21,22を備えた世帯間通話回路20を設けているため、回路規模が大きくなって、コスト高を招いていた。それに対して、本実施形態では副親機接続端子T2を他世帯の親機1の接続端子として兼用し、3つのバッファ回路BUF1〜BUF3とそのオン/オフを切り替える映像変復調回路13及び制御部17からなる切替回路18で、子器からの映像信号を多重分離回路16dに出力する信号経路と、多重分離回路16dで分離された映像信号を映像変復調回路13に出力する信号経路とを切り替えているので、回路規模の大規模化を招くことなく、世帯間の通話が可能なるため、インターホン親機1の小型化及び低コスト化を図った二世帯住宅用のインターホンシステムを実現できる。
また本システムでは、何れかの世帯(親世帯又は子世帯)の親機1で二世帯モードが選択されると、他世帯(子世帯又は親世帯)の親機1のモードも二世帯モードに切り替えられるから、家を留守にする際に自宅の親機1で二世帯モードに切り替える操作を行えば、親子2世帯の親機1を両方共に二世帯モードで動作させることができ、留守中に来訪者があった場合は在宅中の世帯で応答することができるから、利便性が向上するという利点がある。