以下、本開示の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態は、複数のドアホン親機のうち1つのドアホン親機がドアホンシステムの動作を制御する場合の例である。
<システムの概要>
まず、本開示の一実施の形態に係るドアホンシステムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係るドアホンシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。本実施の形態に係るドアホンシステムは、例えば、親世帯用と子世帯用とに住居スペースが分かれた、二世帯住宅に設置されるシステムである。
図1に示すように、ドアホンシステム100は、親世帯用の住居スペースに配置される第1のドアホンシステム110aと、子世帯用の住居スペースに配置される第2のドアホンシステム110bと、これらを接続する通信ケーブル111とを有する。
第1のドアホンシステム110aは、2つの第1の玄関子機200a−1、200a−2、第1のドアホン親機300a、および第1の増設モニタ400aを有する。第1の玄関子機200a−1、200a−2および第1の増設モニタ400aは、それぞれ、通信ケーブル201a−1、201a−2、401aを介して第1のドアホン親機300aに接続されている。
第1のドアホンシステム110aは、第1のドアホン親機300aによるデータ転送機能により、第1のドアホン親機300aを中心としたスター型の通信ネットワーク(以下「第1の通信ネットワーク120a」という)を形成している。かかる第1の通信ネットワーク120aは、後述するが、スロット(タイムスロット)を単位として送信主体を切り替える、時分割複信による通信を行う通信ネットワークである。
第2のドアホンシステム110bは、2つの第2の玄関子機200b−1、200b−2、第2のドアホン親機300b、および第2の増設モニタ400bを有する。第2の玄関子機200b−1、200b−2および第2の増設モニタ400bは、それぞれ、通信ケーブル201b−1、201b−2、401bを介して第1のドアホン親機300bに接続されている。
第2のドアホンシステム110bは、第2のドアホン親機300bによるデータ転送機能により、第2のドアホン親機300bを中心としたスター型の通信ネットワーク(以下「第2の通信ネットワーク120b」という)を形成している。かかる第2の通信ネットワーク120bは、後述するが、第1の通信ネットワーク120aと同様に、所定の時分割複信による通信を行う通信ネットワークである。
なお、上述の通信ケーブル111は、第1のドアホン親機300aと第2のドアホン親機300bとを接続している。通信ケーブル111、201a−1、201a−2、401a、201b−1、201b−2、401bのそれぞれは、1対の銅線から成る2線ケーブルである。
第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、同一の構成を有するため、適宜「ドアホン親機300」として纏めて説明を行う。第1の玄関子機200a−1、200a−2および第2の玄関子機200b−1、200b−2は、同一の構成を有するため、適宜「玄関子機200」として纏めて説明を行う。第1の増設モニタ400aおよび第2の増設モニタ400bは、同一の構成を有するため、適宜「増設モニタ400」として纏めて説明を行う。
また、玄関子機200、ドアホン親機300、および増設モニタ400は、それぞれ通信主体となる端末であり、適宜、「端末」と纏めて称する。
玄関子機200は、親世帯の住居スペースおよび子世帯の住居スペースのそれぞれの玄関先に設けられる。ドアホン親機300および増設モニタ400は、親世帯の住居スペースおよび子世帯の住居スペースのそれぞれの宅内に設けられ、壁に固定されたり、テーブルまたは台の上などに載置されたりする。
玄関子機200は、呼出ボタンの操作等の所定の操作が行われたとき、呼出信号を含む制御信号を生成し、玄関周辺の映像を撮影して映像データを生成し、玄関周辺の音声を取得して音声データを生成する。また、玄関子機200は、ドアホン親機300から受信した音声データおよび制御情報に従って、音声の出力等を行う。
ドアホン親機300は、玄関子機200と通信を行い、玄関子機200から制御信号、映像データ、および音声データを受信し、音声データおよび制御情報を送信する。また、ドアホン親機300は、増設モニタ400と通信を行う。そして、ドアホン親機300は、玄関子機200から受信した制御信号、映像データ、および音声データ(以下、適宜「各種子機データ」という)を増設モニタ400へ転送し、増設モニタ400から受信した音声データおよび制御情報を玄関子機200へ転送する。
ドアホン親機300は、玄関子機200から呼出信号を受信したとき、呼出音の出力を行うと共に、玄関周辺の映像および音声を出力する。そして、応答ボタンの操作等の所定の操作が行われると、ドアホン親機300周辺の音声を取得して音声データを生成し、制御情報と共に玄関子機200へ送信する。
更に、ドアホン親機300は、ドアホンシステム100の他のドアホン親機300と通信を行う。そして、ドアホン親機300は、他のドアホン親機300との間で情報をやり取りするだけでなく、玄関子機200から受信した各種子機データを他のドアホン親機300へ転送し、他のドアホン親機300から受信した各種子機データに対し、音声/映像出力や転送等の所定の処理を行う。すなわち、第1のドアホンシステム110aと第2のドアホンシステム110b(第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120b)は、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bにより、通信ケーブル111を介して接続されている。
増設モニタ400は、ドアホン親機300から呼出信号を受信したとき、呼出音の出力を行うと共に、玄関周辺の映像および音声を出力する。そして、応答ボタンの操作等の所定の操作が行われると、増設モニタ400周辺の音声を取得して音声データを生成し、制御情報と共にドアホン親機300へ送信する。
なお、以下の説明において、玄関子機200あるいは増設モニタ400からドアホン親機300への方向は、適宜、「上り方向」という。玄関子機200あるいは増設モニタ400から上り方向へ送信されるパケットおよび信号は、適宜、それぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。ドアホン親機300から玄関子機200あるいは増設モニタ400への方向は、適宜、「下り方向」という。そして、ドアホン親機300から下り方向へ送信されるパケットおよび信号は、適宜、それぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。
<フレーム構成およびスロット構成>
ここで、上述の時分割複信における、フレーム構成およびスロット構成について説明する。
図2は、フレーム構成およびスロット構成の一例を示す模式図である。
図2に示すように、各フレームは、48000bitの領域を有し、10ms(ミリ秒)周期、4.8Mbpsのビットレートであり、24スロットに分割される。したがって、各スロットは、2000bit=250byteの領域を有し、0.416ms周期、4.8Mbpsのビットレートである。以下の説明において、1フレームを構成する24個のスロットは、前方から順に、第0〜第23のスロット(SL0〜SL23)と称する。
各スロットは、52byteのガードスペース(Guard)、4byteのプリアンブルフィールド、2byteのシンクフィールド(Sync)、32byteの制御データフィールド、160byteのユーザデータフィールドに分けられている。
ガードスペースは、伝播遅延時間差やクロックジッタ等によるスロットの衝突を避けるための時間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータ(後述)が付加される。シンクフィールドには、所定のシンクパターンが付加される。制御データフィールドには、後続のユーザデータフィールドに格納されるデータに関する制御データが付加される。ユーザデータフィールドには、映像データおよび音声データが付加される。
各フレームを構成するスロット群には、複数のデータスロットと、同期スロットとが含まれる。データスロットは、映像データや音声データ等を格納するためのスロットである。同期スロットは、通信の同期を取るためのスロットであり、かつ、上記複数のデータスロットを定義するスロット管理情報を格納するためのスロットである。
図3は、同期スロットの位置および構成の一例を示す模式図である。
図3に示すように、同期スロットは、第0のスロット(SL0)であり、各フレームの先頭に位置する。同期スロットは、例えばユーザデータ領域の先頭部分に配置された、48byteから成るスロット管理情報を含む。スロット管理情報は、第0〜第23のスロットに対応する第0〜第23のスロット情報から成る。各スロット情報は、4bitのSRC領域、4bitのDST領域、および8bitのInfo領域から成る。
SRC領域は、対応するスロットに格納される情報の送信元の端末の識別情報(送信元ID)を記述するための領域である。DST領域は、対応するスロットに格納される情報の送信先の端末の識別情報(送信先ID)を記述するための領域である。Info領域は、対応するスロットに格納されるユーザデータのコンテンツ種別を記述するための領域である。
すなわち、スロット管理情報は、データスロット毎に、当該スロットをどの端末が使用して情報の送信を行う事ができるか、および、当該スロットで送信された情報をどの端末が受信して処理すべきかという、スロットの使用権限を示す。このようなスロット管理情報は、第1のドアホン親機300aにより全端末に報知される。各端末は、受信したスロット管理情報に従って動作する。これにより、複数の端末は、時分割で通信を行う事ができる。
第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとを接続した場合、例えば、第1の玄関子機200a−1で撮影された映像は、第2の通信ネットワーク120bにも転送され、第2のドアホン親機300bで表示させる事が可能である。
しかしながら、例えば、第2の玄関子機200b−1で撮影された映像も、第1の通信ネットワーク120aに転送される事になり、このような転送が不要である場合には、第1の通信ネットワーク120aの通信資源が不必要に消費される事になる。
そこで、ドアホンシステム100は、フレーム番号が偶数(0、2、4、・・・)の通信フレーム(以下「偶数フレーム」という)の同期スロットと、フレーム番号が奇数(1、3、5、・・・)の通信フレーム(以下「奇数フレーム」という)の同期スロットとに、異なる機能を持たせる。
具体的には、第1のドアホン親機300aは、偶数フレームのスロット管理情報により、第1の通信ネットワーク120aの各端末の送受信タイミングを定義する。そして、第1のドアホン親機300aは、奇数フレームのスロット管理情報により、第2の通信ネットワーク120bの各端末の送受信タイミングを定義する。これにより、ドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で、異なるスロット割り当てを行う事ができる。
但し、第1のドアホン親機300aは、偶数フレームであるか奇数フレームであるかに依らず、全ての同期スロット(のスロット管理情報)を、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bの両方に送信する。そして、各端末は、どのスロット管理情報に準拠すべきかを、各スロット管理情報の内容(後述の指定端末送信スロットに対する割当内容)に基づいて判断する。以下の説明において、あるフレームのスロット管理情報が示す各データスロットの使用権限に対して準拠すべき端末は、当該フレームの「指定端末」という。
例えば、ドアホンシステム100は、フレーム毎に、第19〜第22のスロット(SL19〜SL22、図3参照)を、そのフレームの指定端末が送信を行うためのデータスロット(以下「指定端末送信スロット」という)として確保している。指定端末送信スロットの位置(スロット番号)は、全ての端末において周知である。
第1のドアホン親機300aは、指定端末送信フレームを、偶数フレームでは第1の通信ネットワーク120aの各機器に、奇数フレームでは第2の通信ネットワーク120bの各端末に、それぞれ割り当てる。各端末は、受信したフレームのスロット管理情報の第19〜第22のスロットについての送信元IDに、その端末のIDが含まれているか否かを判定する事により、その端末が、受信したフレームの指定端末であるか否かを判定する。
そして、各端末は、あるフレーム(以下「第1のフレーム」という)の指定端末に該当するとき、第1のフレームにおいて第1のフレームのスロット管理情報が示す使用権限に従って動作する。また、各端末は、第1のフレームの指定端末に該当せず、かつ、過去に受信した他のフレーム(例えば、1つ前のフレーム。以下、「第2のフレーム」という)の指定端末に該当するとき、第1のフレームにおいて第2のフレームのスロット管理情報が示す使用権限に従って動作する。
すなわち、第1の通信ネットワーク120aの各端末は、全てのフレームにおいて、偶数フレームのスロット管理情報に従って動作する。そして、第2の通信ネットワーク120bの各端末は、全てのフレームにおいて、奇数フレームのスロット管理情報に従って動作する。
更に、各ドアホン親機300は、スロット管理情報の各スロットの送信元IDおよび送信先IDの組が、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bのいずれかの中で閉じているか否かに応じて、通信ケーブル111を介して送受信を行うか否かを決定する。すなわち、各ドアホン親機300は、スロット毎に、情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有するか否かに応じて、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を制御する。
これにより、ドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有すべき情報の共有を可能にしつつ、それぞれ異なる内容の世帯内通信を同時に行う事を可能にする。すなわち、ドアホンシステム100は、情報の共有化と通信資源利用の最適化とを両立させる事ができる。
<各端末の構成>
次に、ドアホンシステム100の各端末の構成について説明する。
<玄関子機の構成>
図4は、玄関子機200の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、玄関子機200は、キー入力部211、スピーカ212、マイク213、音声I/F(インターフェイス)部214、およびカメラ部215を有する。また、玄関子機200は、ケーブル接続部221、受信ドライバ222、同期検出部223、第2クロック生成部224、送信データ処理部225、送信ドライバ226、および制御部230を有する。制御部230は、内部に、第1クロック生成部231、データ再生部232、およびパケット生成部233を有する。
キー入力部211は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す呼出信号を制御部230へ出力する。
スピーカ212は、音声I/F部214から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク213は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部214へ出力する。
音声I/F部214は、制御部230から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ212へ出力する。また、音声I/F部214は、マイク213から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部230へ出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部214は、マイク213から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部230へ出力してもよい。また、音声I/F部214は、制御部230から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
カメラ部215は、デジタルカメラを含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、制御部230へ出力する。なお、カメラ部215は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、カメラ部215は、デジタルカメラから出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして制御部230へ出力してもよい。
ケーブル接続部221は、2線ケーブルである通信ケーブル201(図1参照)用の接続端子を含み、通信ケーブル201の一端と、受信ドライバ222および送信ドライバ226との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。
受信ドライバ222は、ドアホン親機300から送信された下り信号を、ケーブル接続部221を介して受信する。そして、受信ドライバ222は、制御部230から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、同期検出部223、第2クロック生成部224、およびデータ再生部232へ出力する。
同期検出部223は、第1クロック生成部231から出力される第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ222から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いて、ドアホン親機300との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、同期検出部223は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、クロック出力開始の基準となるトリガ信号を第2クロック生成部224へ出力し、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部232へ出力する。
第2クロック生成部224は、同期検出部223から指示されたタイミングで、第1クロック生成部231から出力される第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、第2クロック生成部224は、生成したクロックを、逐次、データ再生部232へ出力する。
送信データ処理部225は、パケット生成部233からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部233から出力される第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部233から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成する。そして、送信データ処理部225は、生成した上り信号を、送信ドライバ226へ出力する。
送信ドライバ226は、制御部230から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部221を介してドアホン親機300に送信する。
制御部230は、玄関子機200の各部の制御を行う。また、制御部230は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を、送信ドライバ226および受信ドライバ222へ出力する。また、制御部230は、キー入力部211から出力された呼出信号を、ドアホン親機300へ転送する。
制御部230の第1クロック生成部231は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍(nは1以上)に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成する。そして、第1クロック生成部231は、生成したクロックを、逐次、同期検出部223および第2クロック生成部224へ出力する。
制御部230のデータ再生部232は、同期検出部223からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、第2クロック生成部224から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信ドライバ222から出力された下り信号を復調する。これにより、データ再生部232は、スロット管理情報および下りパケットを取得する。そして、データ再生部232は、下りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部214へ出力する。
制御部230のパケット生成部233は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部233は、音声I/F部214から出力されたデジタル音声データおよびカメラ部215から出力されたデジタル映像データを適宜分割して各スロットのユーザデータフィールドに書き込み、制御データを各スロットの制御データフィールドに書き込む。更に、パケット生成部233は、各スロットに、プリアンブルデータおよびシンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。更に、パケット生成部233は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部233は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部225へ出力する。
但し、制御部230は、上述の通り、あるフレームの指定端末に玄関子機200が該当するか否かを判定し、玄関子機200を指定端末とするフレームのスロット管理情報(図3参照)が示す使用権限に従って動作する。上記判定は、例えば、データ再生部232において、玄関子機200の端末IDを取得(保持)し、受信した同期スロットに、指定端末送信スロットの送信元IDに当該端末IDが含まれるか否かを判定する事により行われる。
そして、制御部230は、スロット管理情報に基づいて、玄関子機200が受信を行うべき受信区間(受信スロット)および玄関子機200が送信を行うべき送信区間(送信スロット)を特定する。そして、制御部230は、特定した受信区間において受信を行い、特定した送信区間において送信を行うように、切り替え制御信号(SW CON)の出力およびデータ再生部232とパケット生成部233の動作を制御する。
このような構成により、玄関子機200は、玄関子機200を指定端末とするフレームのスロット管理情報に従って、時分割複信による各種データの送受信を行う事ができる。
<ドアホン親機の構成>
次に、ドアホン親機300の構成について説明する。
図5は、ドアホン親機300の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、ドアホン親機300は、キー入力部311、スピーカ312、マイク313、音声I/F部314、およびディスプレイ部315を有する。また、ドアホン親機300は、ケーブル接続部321、受信ドライバ322、ルーティング制御部323、同期検出部324、第2クロック生成部325、送信データ処理部326、送信ドライバ327、および制御部330を有する。制御部330は、内部に、第1クロック生成部331、データ再生部332、パケット生成部333、動作設定部334、および接続制御部335を有する。なお、ドアホン親機300は、ケーブル接続部321、受信ドライバ322、および送信ドライバ327の組を、N組(Nは自然数、本実施の形態では4)有している。
キー入力部311は、応答ボタンを含み、応答ボタンが操作されたとき、その旨を示す信号を制御部330へ出力する。
スピーカ312は、音声I/F部314から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク313は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部314へ出力する。
音声I/F部314は、制御部330から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ312へ出力する。また、音声I/F部314は、マイク313から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部330へ出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部314は、マイク313から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部330へ出力してもよい。また、音声I/F部314は、制御部330から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部315は、タッチパネル付き液晶ディスプレイを含み、制御部330から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部330から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
ケーブル接続部321−i(iは1からNまでのいずれかの整数)は、2線ケーブルである通信ケーブル201、401,111(図1参照)用の接続端子を含む。ケーブル接続部321−iは、通信ケーブル201、401、111の一端と、送信ドライバ327−iおよび受信ドライバ322−iとの間を、信号を伝送可能な状態で接続する。図5では、ケーブル接続部321−1が、他のドアホン親機300に接続されている場合を例示している。
受信ドライバ322−iは、玄関子機200、増設モニタ400、あるいは他のドアホン親機300から送信された信号を、ケーブル接続部321−iを介して受信する。そして、受信ドライバ322−iは、制御部330から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、受信信号を、ルーティング制御部323へ出力する。
ルーティング制御部323は、他の端末から送信され、受信ドライバ322−iから出力された受信信号をルーティングする。すなわち、ルーティング制御部323は、受信信号がドアホン親機300宛である場合、同期検出部324、第2クロック生成部325、およびデータ再生部332へ出力し、受信信号が他の端末宛である場合、対応する送信ドライバ327−iへ出力する。また、ルーティング制御部323は、送信データ処理部326から出力された他の端末宛の送信信号を、対応する送信ドライバ327−iへ出力する。
同期検出部324は、第1クロック生成部331から出力される第1周波数のクロック(CLK)を使用し、ルーティング制御部323から出力された受信信号に含まれるプリアンブルデータを用いて、玄関子機200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、同期検出部324は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、クロック出力開始の基準となるトリガ信号を第2クロック生成部325へ出力し、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部332へ出力する。
第2クロック生成部325は、同期検出部324から指示されたタイミングで、第1クロック生成部331から出力される第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、第2クロック生成部325は生成したクロックを、逐次、データ再生部332へ出力する。
送信データ処理部326は、パケット生成部333からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部333から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部333から出力された下りパケットのデータに対して変調処理を行って送信信号を生成する。そして、送信データ処理部326は、生成した送信信号を、ルーティング制御部323へ出力する。
送信ドライバ327−1は、制御部330から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、ルーティング制御部323から出力された送信信号を、ケーブル接続部321−1を介して他のドアホン親機300に送信する。送信ドライバ327−i(この場合、iは1以外)は、制御部330から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、ルーティング制御部323から出力された送信信号を、ケーブル接続部321−iを介して玄関子機200あるいは増設モニタ400へ送信する。
制御部330は、ドアホン親機300の各部の制御を行う。また、制御部330は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を各送信ドライバ327−i、各受信ドライバ322−iおよびルーティング制御部323へ出力する。
制御部330の第1クロック生成部331は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成する。そして、第1クロック生成部331は、生成したクロックを、逐次、同期検出部324および第2クロック生成部325へ出力する。
制御部330のデータ再生部332は、同期検出部324からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、第2クロック生成部325から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、ルーティング制御部323から出力された受信信号を復調して受信パケットを取得する。そして、データ再生部332は、受信パケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部314へ出力し、受信パケットに含まれるデジタル映像データをディスプレイ部315へ出力する。
但し、制御部330は、上述の通り、あるフレームの指定端末にドアホン親機300が該当するか否かを判定し、ドアホン親機300を指定端末とするフレームのスロット管理情報(図3参照)が示す使用権限に従って動作する。かかる判定は、例えば、データ再生部332において、ドアホン親機300の端末IDを取得(保持)し、受信/送信された同期スロットに、指定端末送信スロットの送信元IDに当該端末IDが含まれるか否かを判定する事により行われる。
そして、制御部330は、スロット管理情報に基づいて、ドアホン親機300が受信を行うべき受信区間(受信スロット)およびドアホン親機300が送信を行うべき送信区間(送信スロット)を特定する。そして、制御部330は、特定した受信区間において受信を行い、特定した送信区間において送信を行うように、切り替え制御信号(SW CON)の出力およびデータ再生部332とパケット生成部333の動作を制御する。
制御部330のパケット生成部333は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部333は、音声I/F部314から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各スロットのユーザデータフィールドに書き込み、制御データを各スロットの制御データフィールドに書き込む。更に、パケット生成部333は、各スロットに、プリアンブルデータおよびシンクパターンを書き込み、下りパケット(送信データ)を生成する。更に、パケット生成部333は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部333は、下りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部326へ出力する。
また、パケット生成部333は、他の端末の動作に関する制御情報を、送信データ処理部326へ出力してもよい。かかる制御情報には、例えば、ドアホン親機300から玄関子機200のカメラ動作(データレート、パン、チルト、ライト、シャッター、およびフィルター等の動作)が含まれる。また、かかる制御情報には、玄関子機200に備えられた各種センサデバイスの動作を、ドアホン親機300から制御するための制御信号が含まれる。更に、かかる制御情報には、玄関子機200に備えられた無線通信回路等(図示せず)を介して屋外に配置されたデバイス(門の電子鍵等)の動作を制御するための制御情報が含まれる。
なお、ケーブル接続部321−1、受信ドライバ322−1、ルーティング制御部323、送信ドライバ327−1は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとを接続するためのネットワーク接続部と捉える事ができる。
制御部330の動作設定部334は、所定のイベントが発生したとき、当該イベントに応じて、各データスロットを情報の送信元となるべき端末に割り当てる。例えば、玄関子機200からの呼出信号をドアホン親機300が受信したとき、動作設定部334は、第3〜第9のスロット(SL3〜SL9)を、第1の玄関子機200aのストリーミング送信用に割り当てる。そして、動作設定部334は、呼出信号に応答したとき、第1および第2のスロットを、ドアホン親機300と玄関子機200の音声通信用に割り当てる。また、動作設定部334は、各データスロットの情報の送信先を決定する。そして、動作設定部334は、割り当て結果に基づいて、スロット管理情報(図3参照)を生成する。
動作設定部334は、例えば、イベントの種別毎に、各スロットの送信元IDおよび送信先IDの組の設定パターンを予め保持している。かかる設定パターンは、例えば、上述のタッチパネル付き液晶ディスプレイを介して、各端末で得られた情報を他のいずれの端末へ送信するかを指定する操作をユーザから受け付ける事により、取得される。動作設定部334は、発生したイベントに対応する設定パターンに基づいて、スロット管理情報を生成する。
このとき、動作設定部334は、偶数フレームの指定端末送信スロットを、第1の通信ネットワーク120aの複数の端末に割り当て、奇数フレームの指定端末送信スロットを、第2の通信ネットワーク120bの複数の端末に割り当てる。そして、動作設定部334は、一方の通信ネットワーク120で送信された情報を、他方の通信ネットワーク120にも転送する場合、フレームのデータスロットの送信元IDおよび送信先IDを、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとに跨いで設定する。あるいは、動作設定部334は、かかる場合、送信先IDの代わりに全世帯に送信する旨の情報を設定する。また、動作設定部334は、一方の通信ネットワーク120で送信された情報を、他方の通信ネットワーク120には転送しない場合、フレームのデータスロットの送信元IDおよび送信先IDを、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとに跨がずに設定する。あるいは、動作設定部334は、かかる場合、送信先IDの代わりに世帯内に送信する旨の情報を設定する。
すなわち、制御部330の動作設定部334は、スロット毎に、当該スロットに格納される情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有するか否かを示す、共有/非共有を設定する。
例えば、スロット情報に、送信先IDとして、「全同報」や、所属する通信ネットワーク120が送信元とは異なる端末の端末IDを設定する事は、対応するスロットに「共有」を設定する事に相当する。また、例えば、スロット情報に、送信先IDとして、「世帯内同報」や、所属する通信ネットワーク120が送信元と同一の端末の端末IDを設定する事は、対応するスロットに「非共有」を設定する事に相当する。なお、動作設定部334は、同期スロットに対しては、常に、「全同報」、つまり、共有を設定する。
そして、動作設定部334は、スロット管理情報を、接続制御部335へ通知する。また、動作設定部334は、スロット管理情報をパケット生成部333へ出力し、同期スロット(図3参照)に格納して報知させる。
接続制御部335は、スロット毎に、受信/送信されたスロット管理情報が示す共有/非共有の設定内容に従って、ネットワーク接続部による第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を制御する。
すなわち、接続制御部335は、フレームのデータスロット毎に、その送信元IDおよび送信先IDが、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとに跨いで設定されているか否かを判定する。そして、接続制御部335は、送信元IDおよび送信先IDが通信ネットワーク120間で跨いで設定されているスロットにおいて、その通信の方向に応じて、送信ドライバ327−1および受信ドライバ322−1を動作させる。また、接続制御部335は、送信元IDおよび送信先IDが通信ネットワーク120間で跨がずに設定されているスロットにおいて、送信ドライバ327−1および受信ドライバ322−1をイネーブルにする。なお、他のドアホン親機300が、同じスロットにおいて受信ドライバ322−1をイネーブルにする場合、接続制御部335は、受信ドライバ322−1のみをイネーブルにしてもよい。
このような構成により、ドアホン親機300は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で異なるスロット割り当てを行う事ができる。また、ドアホン親機300は、スロット毎に、情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有するか否かに応じて、他のドアホン親機300との間の接続/遮断を制御する事ができる。
<増設モニタの構成>
図6は、増設モニタ400の構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、増設モニタ400は、キー入力部411、スピーカ412、マイク413、音声I/F部414、およびディスプレイ部415を有する。また、増設モニタ400は、ケーブル接続部421、受信ドライバ422、同期検出部423、第2クロック生成部424、送信データ処理部425、送信ドライバ426、および制御部430を有する。制御部430は、内部に、第1クロック生成部431、データ再生部432、およびパケット生成部433を有する。
キー入力部411は、呼出ボタンを含み、呼出ボタンが操作されたとき、その旨を示す呼出信号を制御部430へ出力する。
スピーカ412は、音声I/F部414から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
マイク413は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声I/F部414へ出力する。
音声I/F部414は、制御部430から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、スピーカ412へ出力する。また、音声I/F部414は、マイク413から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、制御部430へ出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、音声I/F部414は、マイク413から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして制御部430へ出力してもよい。また、音声I/F部414は、制御部430から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
ディスプレイ部415は、液晶ディスプレイを含み、制御部430から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、制御部430から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
ケーブル接続部421は、2線ケーブルである通信ケーブル401(図1参照)用の接続端子を含み、通信ケーブル401の一端と、受信ドライバ422および送信ドライバ426との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。
受信ドライバ422は、ドアホン親機300から送信された下り信号を、ケーブル接続部421を介して受信する。そして、受信ドライバ422は、制御部430から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された受信区間において、下り信号を、同期検出部423、第2のクロック生成部424、および送信データ処理部425へ出力する。
同期検出部423は、第1クロック生成部431から出力される第1周波数のクロック(CLK)を使用し、受信ドライバ422から出力された下り信号に含まれるプリアンブルデータを用いてドアホン親機300との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。そして、同期検出部423は、プリアンブルデータのユニークパターンを検出したタイミングで、クロック出力開始の基準となるトリガ信号を第2クロック生成部424へ出力し、データ再生動作を許可するイネーブル信号(SSCS)をデータ再生部432へ出力する。
第2クロック生成部424は、同期検出部423から指示されたタイミングで、第1クロック生成部431から出力された第1周波数のクロック(CLK)を基準に、受信データのビットレートに対応する第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、第2クロック生成部424は、生成したクロックを、逐次、データ再生部432へ出力する。
送信データ処理部425は、パケット生成部433からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、パケット生成部433から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、パケット生成部433から出力された上りパケットのデータに対して変調処理を行って上り信号を生成する。そして、送信データ処理部425は、生成した上り信号を、送信ドライバ426へ出力する。
送信ドライバ426は、制御部430から出力される切り替え制御信号(SW CON)によって指示された送信区間において、上り信号を、ケーブル接続部421を介してドアホン親機300へ送信する。
制御部430は、増設モニタ400の各部の制御を行う。また、制御部430は、送信を許可する送信区間、および、受信を許可する受信区間を指示する切り替え制御信号(SW CON)を、送信ドライバ426および受信ドライバ422へ出力する。また、制御部230は、キー入力部411から出力された呼出信号を、ドアホン親機300へ転送する。
制御部430の第1クロック生成部431は、受信データをサンプリングするためのクロックであって、水晶発振を基準に、受信データのビットレートのn倍に対応する第1周波数(例えば、48MHz(n=10))のクロック(CLK)を生成する。そして、第1クロック生成部431は、生成したクロックを、逐次、同期検出部423および第2クロック生成部424へ出力する。
制御部430のデータ再生部432は、同期検出部423からイネーブル信号(SSCS)を入力すると、第2クロック生成部424から出力された第2周波数のクロック(SSCK)を使用し、受信ドライバ422から出力された下り信号を復調する。これにより、データ再生部432は、スロット管理情報および下りパケットを取得する。そして、データ再生部432は、下りパケットに含まれるデジタル映像データをディスプレイ部415へ出力し、下りパケットに含まれるデジタル音声データを音声I/F部414へ出力する。
制御部430のパケット生成部433は、映像付き通話を実現するための上りパケットを生成する。具体的には、パケット生成部433は、音声I/F部414から出力されたデジタル音声データを適宜分割して各スロットのユーザデータフィールドに書き込み、制御データを各スロットの制御データフィールドに書き込む。更に、パケット生成部433は、各スロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込み、上りパケット(送信データ)を生成する。更に、パケット生成部433は、送信用のイネーブル信号(SSCS)および送信用の第2周波数(例えば、4.8MHz)のクロック(SSCK)を生成する。そして、パケット生成部433は、上りパケットを、送信用のイネーブル信号(SSCS)およびクロック(SSCK)と同期させて、送信データ処理部425へ出力する。
但し、制御部430は、上述の通り、あるフレームの指定端末に増設モニタ400が該当するか否かを判定し、増設モニタ400を指定端末とするフレームのスロット管理情報(図3参照)が示す使用権限に従って動作する。かかる判定は、例えば、データ再生部432において、増設モニタ400の端末IDを取得(保持)し、受信した同期スロットに、指定端末送信スロットの送信元IDに当該端末IDが含まれるか否かを判定する事により行われる。
そして、制御部430は、スロット管理情報に基づいて、増設モニタ400が受信を行うべき受信区間(受信スロット)および増設モニタ400が送信を行うべき送信区間(送信スロット)を特定する。そして、制御部430は、特定した受信区間において受信を行い、特定した送信区間において送信を行うように、切り替え制御信号(SW CON)の出力およびデータ再生部432とパケット生成部433の動作を制御する。
このような構成により、増設モニタ400は、増設モニタ400を指定端末とするフレームのスロット管理情報に従って、時分割複信による各種データの送受信を行う事ができる。
なお、玄関子機200、ドアホン親機300、および増設モニタ400は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行する事により実現される。
以上のような構成により、ドアホンシステム100は、第1のドアホンシステム110aの第1の通信ネットワーク120aと、第2のドアホンシステム110bの第2の通信ネットワーク120bとの間を、転送の要否に応じて接続/遮断を適宜切り替える事ができる。
図7は、ドアホンシステム100のネットワーク構成を概念的に示す図である。
図7に示すように、ドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aと、第2の通信ネットワーク120bと、これらを接続するためのネットワーク接続部130とを有する。各通信ネットワーク120は、対応するドアホン親機300の、ケーブル接続部321−2〜321−N、受信ドライバ322−2〜322−N、送信ドライバ327−2〜327−N、ルーティング制御部323、および制御部330に対応する。また、ネットワーク接続部130は、通信ケーブル111(図1参照)と、各ドアホン親機300の、ケーブル接続部321−1、受信ドライバ322−1、および送信ドライバ327−1(図5参照)とに対応する。
ケーブル接続部321は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を切り替える、仮想的なスイッチ131、132を有している。スイッチ131は、例えば、第1のドアホン親機300aの送信ドライバ327−1に対応し、スイッチ132は、例えば、第2のドアホン親機300bの送信ドライバ327−1に対応する。すなわち、第1のドアホン親機300aの接続制御部335および第2のドアホン親機300bの接続制御部335(図5参照)により、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断が制御される。
なお、ここでは、スイッチ131が、第1のドアホン親機300aの送信ドライバ327−1に対応し、スイッチ132が、第2のドアホン親機300bの送信ドライバ327−1に対応する例を示したが、かかる内容に限定されない。すなわち、スイッチ131は、第1のドアホン親機300aの受信ドライバ322−1に対応してもよいし、送信ドライバ327−1および受信ドライバ322−1の双方に対応してもよい。同様に、スイッチ132は、第2のドアホン親機300bの受信ドライバ322−1に対応してもよいし、送信ドライバ327−1および受信ドライバ322−1の双方に対応してもよい。
<各装置の動作>
次に、各装置の動作について説明する。
図5で説明した動作設定部334は、例えば、一方のドアホン親機300にのみ備えられていてもよい。すなわち、一方のドアホン親機300が、全てのフレームのスロット管理情報の生成および送信を行ってもよい。ここでは、第1のドアホン親機300aが、かかるスロット管理情報の生成および送信を行う装置(以下「マスタ親機」という)であり、第2のドアホン親機300bが、かかるスロット管理情報の生成および送信を行わない装置(以下「スレーブ親機」という)であるものとする。
また、各端末から見て、当該端末が属するドアホンシステム110あるいは通信ネットワーク120は、「自世帯」といい、当該端末が属さないドアホンシステム110あるいは通信ネットワーク120は、「他世帯」という。更に、各端末から見て、当該端末は、「自端末」といい、当該端末以外の端末は、「他端末」という。
<ドアホン親機の動作>
まず、ドアホン親機300の動作について説明する。ここでは、ドアホン親機の動作のうち、各種データの通信主体(端末)としての動作以外の動作について説明する。
図8は、ドアホン親機300の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1100において、制御部330は、自端末がマスタ親機であるか否かを判定する。制御部330は、自端末がマスタ親機(本実施の形態では、第1のドアホン親機300a)である場合(S1100:YES)、処理をステップS1200へ進める。また、制御部330は、自端末がスレーブ親機(本実施の形態では、第2のドアホン親機300b)である場合(S1100:NO)、処理をステップS1400へ進める。
ステップS1200において、制御部330は、マスタ親機としてドアホンシステム100の動作を制御するための処理である、マスタ親機処理を実行する。マスタ親機処理の詳細については、後述する。
ステップS1400において、制御部330は、スレーブ親機としてマスタ親機からの制御を受けて動作するための処理である、スレーブ親機処理を実行する。スレーブ親機処理の詳細については、後述する。
なお、ドアホン親機300が、マスタ親機としてのみ動作する、あるいは、スレーブ親機としてのみ動作するように設定あるいは構成されている場合、上記判定処理は省略する事ができる。
図9は、マスタ親機処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1210において、動作設定部334は、データ再生部332により受信信号から再生された情報に基づき、スレーブ親機あるいは自世帯内の端末から同期要求を受信したか否かを判定する。動作設定部334は、同期要求を受信した場合(S1210:YES)、処理を後述のステップS1230へ進める。また、動作設定部334は、同期要求を受信していない場合(S1210:NO)、処理をステップS1220へ進める。
ステップS1220において、動作設定部334は、データ再生部332により受信信号から再生された情報に基づき、所定のイベントが発生したか否かを判定する。所定のイベントとは、例えば、同期が確立した後の、自世帯の玄関子機200からの呼出信号の受信である。動作設定部334は、所定のイベントが発生した場合(S1220:YES)、処理をステップS1230へ進める。また、動作設定部334は、所定のイベントが発生していない場合(S1220:NO)、処理を後述のステップS1290へ進める。
ステップS1230において、動作設定部334は、偶数フレーム用の(つまり自世帯用の)スロット管理情報と、奇数フレーム用の(つまり他世帯用の)スロット管理情報とを決定して、処理をステップS1240へ進める。この際、動作設定部334は、スレーブ親機から各スロットにおいて世帯内通信を行うか全世帯通信を行うかの通知を受けた場合、かかる通知の内容に基づいて、スロット管理情報を決定する。また、動作設定部334は、所定のイベントが発生している場合、かかるイベント(の種別)に応じて、スロット管理情報を決定する。
ステップS1240において、パケット生成部333は、偶数フレームと奇数フレームのうち、偶数フレームのタイミングが到来したか否かを判定する。パケット生成部333は、偶数フレームのタイミングが到来した場合(S1240:YES)、処理をステップS1250へ進める。また、パケット生成部333は、奇数フレームのタイミングが到来した場合(S1240:NO)、処理を後述のステップS1260へ進める。
ステップS1250において、パケット生成部333は、自世帯内の(つまり第1の通信ネットワーク120a内の)端末を指定端末とする同期スロットを送信して、処理を後述のステップS1270へ進める。
ステップS1260において、パケット生成部333は、他世帯内の(つまり第2の通信ネットワーク120b内の)端末を指定端末とする同期スロットを送信して、処理をステップS1270へ進める。
ステップS1270において、制御部330は、現在のフレームの最後まで、送信された同期スロットのスロット管理情報に従って、各部を制御して転送処理(ルーティング)を行う。このとき、制御部330の接続制御部335は、データスロット毎に、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を制御する。
ステップS1280において、制御部330は、ドアホンシステム100における通信の同期を終了するか否かを決定する。制御部330は、例えば、いずれかの端末から通信終了を示す制御信号を受信したとき、通信の同期を終了すると決定する。制御部330は、同期を終了しない場合(S1280:NO)、処理をステップS1240へ戻す。また、制御部330は、同期を終了する場合(S1280:YES)、処理をステップS1290へ進める。
ステップS1290において、制御部330は、ユーザ操作等により、マスタ親機処理の終了を指示されたかを判定する。制御部330は、マスタ親機処理の終了を指示されていない場合(S1290:NO)、処理をステップS1210へ戻す。また、制御部330は、マスタ親機処理の終了を指示された場合(S1290:YES)、一連の処理を終了する。なお、処理終了となるのは、例えば電源オフの操作が行われた場合である。
このような動作により、マスタ親機は、ドアホンシステム100の動作を制御する事ができる。
図10は、スレーブ親機処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1410において、動作設定部334は、データ再生部332により受信信号から再生された情報に基づき、自世帯内で所定のイベントが発生したか否かを判定する。所定のイベントとは、例えば、自世帯の玄関子機200からの呼出信号の受信である。動作設定部334は、自世帯内で所定のイベントが発生した場合(S1410:YES)、処理をステップS1420へ進める。また、動作設定部334は、自世帯内で所定のイベントが発生していない場合(S1410:NO)、処理を後述のステップS1430へ進める。
ステップS1420において、動作設定部334は、マスタ親機へ同期要求を送信して、処理をステップS1430へ進める。かかる送信は、例えば、パケット生成部333を使用して行われる。また、この際、動作設定部334は、各スロットにおいて世帯内通信を行うか全世帯通信を行うかを通知し、マスタ親機との間で各スロットの共有/非共有の設定についてネゴシエーションを行う。
ステップS1430において、動作設定部334は、データ再生部332により受信信号から再生された情報に基づき、マスタ親機から同期スロットを受信したか否かを判定する。動作設定部334は、マスタ親機から同期スロットを受信した場合(S1430:YES)、処理をステップS1440へ進める。また、動作設定部334は、マスタ親機から同期スロットを受信していない場合(S1430:NO)、処理を後述のステップS1470へ進める。
ステップS1440において、制御部330は、現在のフレームの最後まで、受信された同期スロットのスロット管理情報に従って、各部を制御して転送処理(ルーティング)を行う。このとき、制御部330の接続制御部335は、データスロット毎に、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を制御する。
ステップS1450において、動作設定部334は、ステップS1430と同様に、マスタ親機から同期スロットを受信したか否かを判定する。動作設定部334は、マスタ親機から同期スロットを受信した場合(S1450:YES)、処理をステップS1440へ戻す。また、動作設定部334は、マスタ親機から同期スロットを受信していない場合(S1450:NO)、処理をステップS1460へ進める。
ステップS1460において、制御部330は、ドアホンシステム100における通信の同期を終了するか否かを決定する。制御部330は、例えば、いずれかの端末から通信終了を示す制御信号を受信したとき、通信の同期を終了すると決定する。制御部330は、同期を終了しない場合(S1460:NO)、処理をステップS1450へ戻す。また、制御部330は、同期を終了する場合(S1460:YES)、処理をステップS1470へ進める。
ステップS1470において、制御部330は、ユーザ操作等により、スレーブ親機処理の終了を指示されたかを判定する。制御部330は、スレーブ親機処理の終了を指示されていない場合(S1470:NO)、処理をステップS1410へ戻す。また、制御部330は、スレーブ親機処理の終了を指示された場合(S1470:YES)、一連の処理を終了する。なお、処理終了となるのは、例えば電源オフの操作が行われた場合である。
このような動作により、スレーブ親機は、マスタ親機からの制御を受けて動作する事ができる。
<各端末の動作>
次に、玄関子機200、ドアホン親機300、および増設モニタの、各種データの通信主体としての動作について説明する。各端末は、各種データの通信主体としての動作を実現する、端末通信処理を実行する。
図11は、端末通信処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1610において、端末の制御部(230、330、430)は、端末において、呼出操作や応答操作等の所定の操作が行われたか否かを判定する。制御部は、所定の操作が行われた場合(S1610:YES)、処理をステップS1620へ進める。また、制御部は、所定の操作が行われていない場合(S1610:NO)、処理を後述のステップS1630へ進める。
ステップS1620において、制御部は、制御信号の送信により、自世帯のドアホン親機300に対して所定の操作が行われた事を通知し、処理をステップS1630へ進める。なお、端末がドアホン親機300である場合、かかる送信は不要である。
ステップS1630において、制御部は、フレームの同期スロットを受信あるいは送信したか否か、つまり、スロット管理情報を受信/送信したか否かを判定する。制御部は、スロット管理情報を受信/送信した場合(S1630:YES)、処理をステップS1640へ進める。また、制御部は、スロット管理情報を受信/送信していない場合(S1630:NO)、処理を後述のステップS1690へ進める。
ステップS1640において、制御部は、今回受信/送信されたフレームが自端末を指定端末としているか否か、つまり、スロット管理情報に記述された指定端末送信スロットのいずれかの送信元IDが、自端末の端末IDと一致するか否かを判定する。制御部は、フレームが自端末を指定端末としている場合(S1640:YES)、処理をステップS1650へ進める。また、制御部は、フレームが自端末を指定端末としていない場合(S1640:NO)、処理を後述のステップS1660へ進める。
ステップS1650において、制御部は、今回受信/送信されたスロット管理情報に従って1フレーム分の動作を行い、処理を後述のステップS1670へ進める。すなわち、制御部は、送信元として自端末が設定されたスロットにおいて、データの送信を行い、送信先として自端末が設定されたスロットにおいて、データの受信を行う。また、制御部は、今回受信/送信されたスロット管理情報の内容を、1フレーム分の動作の終了後もメモリ等に保持(記憶)しておく。
ステップS1660において、制御部は、過去に受信/送信されたフレームのうち、自端末を指定端末とするフレームのスロット管理情報に従って1フレーム分の動作を行い、処理をステップS1670へ進める。なお、制御部は、該当するフレームが受信/送信されていない場合、そのまま処理をステップS1670へ進める。
ステップS1670において、制御部は、データ制御部330は、ユーザにより通話終了操作が行われる等して、通信処理の終了を指示されたか否かを判定する。制御部は、処理の終了を指示されていない場合(S1670:NO)、処理をステップS1630へ戻し、次のフレームの処理へと移る。また、制御部330は、通信処理の終了を指示された場合(S1670:YES)、処理をステップS1680へ進める。
ステップS1680において、制御部は、制御信号の送信等により、通信の終了を各ドアホン親機300へ通知する。
ステップS1690において、制御部は、ユーザ操作等により、端末通信処理の終了を指示されたかを判定する。制御部は、端末通信処理の終了を指示されていない場合(S1690:NO)、処理をステップS1610へ戻す。また、制御部は、端末通信処理の終了を指示された場合(S1690:YES)、一連の処理を終了する。
このような動作により、各端末は、マスタ親機から送信されるスロット管理情報のうち、自端末を指定端末とするフレームのスロット管理情報に従って、動作する事ができる。
<ドアホンシステムの動作>
最後に、ドアホンシステム100の動作について説明する。
図12は、いずれかの第1の玄関子機200aで呼出操作が行われとき、第1の通信ネットワークで送信される情報を第2の通信ネットワークと共有しない、という内容の設定がされている場合の、ドアホンシステム100の動作の一例を示すシーケンス図である。なお、一部の端末についての図示および説明を省略する。
非同期状態(イベント待機状態)において(S2010)、第1の玄関子機200aで呼出ボタンの操作(呼キー押下)が行われると(S2020)、第1の玄関子機200aは、呼出信号、つまり、同期要求を、第1のドアホン親機300aへと送信する(S2030)。すると、第1のドアホン親機300aは、各データスロットの情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で非共有とする内容の同期スロット(スロット管理情報)を送信する。これにより、第1のドアホン親機300aは、世帯内通信である事(自世帯でのみ伝送する事)を各端末へ通知する(S2040)。この結果、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の同期は確立し、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)で世帯内通信を行う事を、互いに認識する(S2050)。
そして、第1のドアホン親機300aは、他世帯へはデータを送信しないように設定して(S2060)、画像接続要求を第1の玄関子機200aへ送信する(S2070)。すなわち、第1のドアホン親機300aは、第2のドアホン親機300bへの送信を行う送信ドライバ327−1を、データスロットにおいてイネーブルにする。
第1の玄関子機200aは、画像接続確認を返信して(S2080)、画像データ(映像データ)を同報送信する(S2090)。但し、この画像データは、他世帯(第2の通信ネットワーク120b)へは転送されない。そして、第1の玄関子機200aと第1のドアホン親機300aを含む第1の通信ネットワーク120aでは、第1の通信ネットワーク120aで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)が開始される(S2100)。
図13は、図12に示すように第1の通信ネットワーク120aで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)が開始された後に、いずれかの第2の玄関子機200bで呼出操作が行われ場合の、ドアホンシステム100の動作の一例を示すシーケンス図である。
第1の通信ネットワーク120aで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)が行われているときにおいて(S3010)、第2の玄関子機200bで呼出ボタンの操作(呼キー押下)が行われたとする(S3020)。すると、第2の玄関子機200bは、呼出信号、つまり、同期要求を、第2のドアホン親機300bへと送信する(S3030)。すると、第2のドアホン親機300bは、第2の玄関子機200bと第2のドアホン親機300bを含む第2の通信ネットワーク120bで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)を開始する事を、第1のドアホン親機300aへ通知する(S3040)。かかる通知は、例えば、第2のドアホン親機300bに割り当てられた指定端末送信スロットを使用して行われる。
この結果、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、それぞれが世帯内通信を行う事を、互いに認識する(S3050)。そして、第1の通信ネットワーク120aでは、第1の通信ネットワーク120aで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)が継続される(S3070)。第2のドアホン親機300bは、他世帯へはデータを送信しないように設定して(S3060)、画像接続要求を第2の玄関子機200bへ送信(転送)する(S3080)。すなわち、第2のドアホン親機300bは、第1のドアホン親機300aへの送信を行う送信ドライバ327−1を、データスロットにおいてイネーブルにする。
第2の玄関子機200bは、画像接続確認を返信して(S3090)、画像データ(映像データ)を同報送信する(S3100)。但し、この画像データは、他世帯(第1の通信ネットワーク120a)へは転送されない。そして、第2の玄関子機200bと第2のドアホン親機300bを含む第2の通信ネットワーク120bでは、第2の通信ネットワーク120bで閉じられたドアホン通信状態(世帯内通信)が開始される(S3110)。
図14は、いずれかの第1の玄関子機200aで呼出操作が行われとき、第1の通信ネットワークで送信される情報を第2の通信ネットワークと共有する、という内容の設定がされている場合の、ドアホンシステム100の動作の一例を示すシーケンス図である。なお、一部の端末についての図示および説明を省略する。
非同期状態(イベント待機状態)において(S4010)、第1の玄関子機200aで呼出ボタンの操作(呼キー押下)が行われると(S4020)、第1の玄関子機200aは、呼出信号、つまり、同期要求を、第1のドアホン親機300aへと送信する(S4030)。すると、第1のドアホン親機300aは、各データスロットの情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有とする内容の同期スロット(スロット管理情報)を送信。これにより、第1のドアホン親機300aは、両世帯通信である事(両システムで伝送する事)を各端末へ通知する(S4040)。第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の同期は確立し、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、両世帯通信を行う事(送受信データを共有する事)を、互いに認識する(S4050)。
そして、第1のドアホン親機300aは、他世帯にもデータを送信するように設定して(S4060)、画像接続要求を第1の玄関子機200aへ送信する(S4070)。すなわち、第1のドアホン親機300aは、第2のドアホン親機300bへの送信を行う送信ドライバ327−1を、データスロットにおいても他の送信ドライバ327−2〜327−Nと同様に動作させる。また、第2のドアホン親機300bは、他世帯からデータを受信するように設定する(S4080)。
第1の玄関子機200aは、画像接続確認を返信して(S4090)、画像データ(映像データ)を同報送信する(S4100)。この画像データは、他世帯(第2の通信ネットワーク120b)へも転送され、例えば、第2のドアホン親機300bで第1の玄関子機200aの周辺の映像が表示される。そして、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bの全体でのドアホン通信状態(両世帯通信)が開始される(S4110)。
このような動作により、ドアホンシステム100は、世帯内通信と両世帯通信との両方を実現する事ができる。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、第1の玄関子機200aおよび第1のドアホン親機300aを含む第1の通信ネットワーク120aと、第2の玄関子機200bおよび第2のドアホン親機300bを含む第2の通信ネットワーク120bと、を含む。但し、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bは、時分割複信による通信を行う通信ネットワークである。そして、ドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとを接続するためのネットワーク接続部130を有する。また、ドアホンシステム100は、スロット毎に、当該スロットに格納される情報を第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で共有するか否かを示す、共有/非共有を設定する動作設定部334を有する。更に、ドアホンシステム100は、共有/非共有の設定内容に従って、ネットワーク接続部130による第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間の接続/遮断を制御する接続制御部335を有する。
これにより、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、不要な通信資源の消費を抑えつつ、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとで情報を共有する事を可能にするため、複数世帯の利用において利便性の向上を図る事ができる。
また、本実施の形態に係るドアホンシステム100において、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bは、それぞれ、先頭に同期スロットを含むフレームを使用して通信を行う。そして、動作設定部334は、少なくとも同期スロットに対し、共有を設定する。
これにより、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bの全ての端末で、通信の同期を取る事ができる。
また、本実施の形態に係るドアホンシステム100において、第1の通信ネットワーク120aおよび第2の通信ネットワーク120bは、それぞれ、データを格納するための複数のデータスロットを含むフレームを使用して通信を行う。また、動作設定部334は、同期スロットを、第1の通信ネットワーク120aの複数の端末および第2の通信ネットワーク120bの複数の端末のそれぞれに送信する。かかる同期スロットは、フレームの各スロットに対する共有/非共有の設定内容および使用権限と、当該使用権限に準拠すべき端末である指定端末と、を示すスロット管理情報を格納している。そして、各端末は、第1のフレームの指定端末に該当するとき、第1のフレームにおいて第1のフレームの使用権限に従って動作し、第1のフレームの指定端末に該当せず、かつ、過去に受信した第2のフレームの指定端末に該当するとき、第1のフレームにおいて第2のフレームの前記使用権限に従って動作する。
これにより、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとで、異なる内容の通信を、同じスロットを使用して(同時に)行う事ができる。
<本実施の形態の変形例>
なお、各通信ネットワークの通信方式は、上述の例に限定されない。例えば、各端末は、LAN(Local Area Network)ケーブルにより接続され、時分割複信を行ってもよい。
また、各通信ネットワーク120の端末の個数や配置、および、接続される通信ネットワーク120の数は、上述の例に限定されない。例えば、各ドアホンシステムに玄関子機200とドアホン親機300とが1台ずつのみであってもよいし、3世帯以上の世帯のドアホンシステム110が接続されていてもよい。
また、ネットワーク接続部130、動作設定部334、接続制御部335の機能を発揮する装置部は、必ずしもドアホン親機300に配置されていなくてもよい。例えば、これらの装置部は、第1のドアホン親機300aと第2のドアホン親機300bとを接続する通信ケーブル111上に配置された別の装置に設けられていてもよい。
また、スロット管理情報の対象となる端末を(第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で)切り替えるタイミングは、上述の例に限定されない。例えば、動作設定部334は、第1の通信ネットワーク120aの複数の端末のそれぞれを指定端末とする同期スロットと、第2通信ネットワーク120bの複数の端末のそれぞれを指定端末とする同期スロットと、を複数のフレーム毎に切り替えて送信してもよい。また、その送信間隔は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で異なっていてもよい。
また、各端末において、どのスロット管理情報に準拠して動作すべきかを判定する手法は、上述の例に限定されない。例えば、各端末は、フレーム番号、時刻、その他の時間に応じて変化する情報に基づいて、フレーム毎に、どのスロット管理情報に準拠して動作すべきかを判定してもよい。
また、以上説明した各装置の構成の一部は、当該装置の構成の他の部分と物理的に離隔していてもよい。この場合、それらの構成は、互いに通信を行うための通信部をそれぞれ備える必要がある。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、複数のドアホン親機のいずれもドアホンシステムの動作を制御できるようにした例である。
本実施の形態に係るドアホンシステムおよび各装置の構成は、実施の形態1と同様であるため、その図示および説明を省略する。但し、本実施の形態に係る各ドアホン親機300の動作は、実施の形態1と異なる。具体的には、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bの両方が、スロット管理情報の生成および送信を行う。本実施の形態においては、スロット管理情報を送信するか否かによらず、適宜、第1のドアホン親機300aを「マスタ親機」と称し、第2のドアホン親機300bを、「スレーブ親機」と称する。
図15は、本実施の形態におけるマスタ親機処理の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の図9に対応するものである。図9と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
動作設定部334は、同期要求を受信した場合(S1210:YES)、あるいは、所定のイベントが発生した場合(S1220:YES)、処理をステップS1231へ進める。
ステップS1231において、動作設定部334は、偶数フレーム用の(つまり自世帯用の)スロット管理情報のみを決定して、処理をステップS1240へ進める。
そして、パケット生成部333は、奇数フレームのタイミングが到来した場合(S1240:NO)、処理をステップS1261へ進める。
ステップS1261において、他世帯内の(つまり第2の通信ネットワーク120b内の)端末を指定端末とする同期スロットをスレーブ端末から受信して、処理をステップS1270へ進める。
このような動作により、マスタ親機は、偶数フレームにおいて、ドアホンシステム100の動作を制御し、奇数フレームにおいて、スレーブ親機からの制御を受けて動作する事ができる。
図16は、本実施の形態におけるスレーブ親機処理の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の図10に対応するものである。図10と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
動作設定部334は、マスタ親機から同期スロットを受信した場合(S1430:YES)、処理をステップS1431へ進める。
ステップS1431において、動作設定部334は、奇数フレーム用の(つまり自世帯用の)スロット管理情報を決定する。
ステップS1432において、パケット生成部333は、偶数フレームと奇数フレームのうち、奇数フレームのタイミングが到来したか否かを判定する。パケット生成部333は、奇数フレームのタイミングが到来した場合(S1432:YES)、処理をステップS1433へ進める。また、パケット生成部333は、偶数フレームのタイミングが到来した場合(S1432:NO)、処理を後述のステップS1434へ進める。
ステップS1433において、パケット生成部333は、自世帯内の(つまり第2の通信ネットワーク120b内の)端末を指定端末とする同期スロットを送信して、処理をステップS1440へ進める。
ステップS1434において、パケット生成部333は、他世帯内の(つまり第1の通信ネットワーク120a内の)端末を指定端末とする同期スロットを送信して、処理をステップS1440へ進める。
このような動作により、スレーブ親機は、偶数フレームにおいて、マスタ親機からの制御を受けて動作し、奇数フレームにおいて、ドアホンシステム100の動作を制御する事ができる。
図17は、各スロットの機能の一例を示す模式図である。
図17に示すように、偶数フレームの同期スロット(SL0)は、世帯1親機(第1のドアホン親機300a)のスロット管理情報の送信に使用される。そして、かかる送信により、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)内の各端末に第1〜第23のスロット(SL1〜SL23)の使用ルールが通知される。
例えば、偶数フレームで送信されるスロット管理情報は、第1〜第3のスロット(SL1〜SL3)を世帯1のみで使用し、第4〜第23のスロット(SL4〜SL23)を両世帯(第1および第2の通信ネットワーク120a、120b)に共通で使用する事を定義する。また、偶数フレームで送信されるスロット管理情報は、実施の形態1と同様に、第1の通信ネットワーク120aの各端末を指定端末としている。したがって、第1の通信ネットワーク120aの各端末は、偶数フレームおよび奇数フレームの両方において、偶数フレームで送信されるスロット管理情報に従って動作する。
また、例えば、奇数フレームで送信されるスロット管理情報は、第1〜第3のスロット(SL1〜SL3)を世帯2のみで使用し、第4〜第23のスロット(SL4〜SL23)を両世帯(第1および第2の通信ネットワーク120a、120b)に共通で使用する事を定義する。また、奇数フレームで送信されるスロット管理情報は、実施の形態1と同様に、第2の通信ネットワーク120bの各端末を指定端末としている。したがって、第2の通信ネットワーク120bの各端末は、偶数フレームおよび奇数フレームの両方において、奇数フレームで送信されるスロット管理情報に従って動作する。
このように、ドアホンシステム100は、1つのフレームの中で、スロット単位で共有/非共有を設定する事ができる。このような設定は、実施の形態1においても可能である。また、共有/非共有の設定の仕方は、かかる例に限定されるものではない事は勿論である。
なお、1つのフレームの中に、第1のドアホン親機300aがスロット管理情報を送信するのに使用するスロットと、第2のドアホン親機300bがスロット管理情報を送信するのに使用するスロットとを設定する事も考えられる。しかしながら、この場合、1フレームのうち2つのスロットがスロット管理情報の送信に使用される事になる。したがって、本実施の形態のようにフレーム単位で同期スロットの機能を切り替える事により、データ送信に使用できるリソースの減少を防ぐ事ができる。
図18は、本実施の形態に係るドアホンシステム100の動作の一例を示すシーケンス図であり、実施の形態1の図12〜図14に対応するものである。
非同期状態(イベント待機状態)において、(S5010)、玄関子機200aにおける呼出ボタン操作等のイベントが世帯1内で発生したとする(S5020)。すると、第1のドアホン親機300aは、偶数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始すると共に、かかるイベントの発生を第2のドアホン親機300bを含む各端末へ通知する(S5030)。そして、かかる同期スロットを受信した第2のドアホン親機300bは、第1のドアホン親機300a(世帯1親機)の同期スロットに同期して、奇数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始する(S5040)。
以降、第1のドアホン親機300aは、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)内のイベントや通信状態を、偶数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。そして、第2のドアホン親機300bは、世帯2(第2の通信ネットワーク120b)内のイベントや通信状態を、奇数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。すなわち、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、両世帯のシステムを制御する(S5050)。
例えば、図17で説明したように、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、第1〜第3のスロット(SL1〜SL3)を世帯内の通信に使用し、第4〜第23のスロット(SL4〜SL23)を両世帯の通信に使用する事を、互いに通知する。また、各ドアホン親機300は、スロット使用状態に応じて、スロット毎に世帯間の転送(ルーティング)を制御する。この結果、ドアホンシステム100では、第1〜第3のスロット(SL1〜SL3)において世帯内通信が行われ(S5060、S5070)、第4〜第23のスロット(SL4〜SL23)において両世帯通信が行われる(S5080)。
このように、本実施の形態に係るドアホンシステム100において、第1のドアホン親機300aの動作設定部334(第1の動作設定部)は、所定のフレーム(偶数フレーム)を使用して、各スロットの共有/非共有を設定する。そして、第1のドアホン親機300aの接続制御部335(第1の接続制御部)は、少なくとも第1のドアホン親機300aの動作設定部334による共有/非共有の設定内容に従って、通信ネットワーク120間の接続/遮断を制御する。
また、第2のドアホン親機300bの動作設定部334(第2の動作設定部)は、上記所定のフレームではない他のフレーム(奇数フレーム)を使用して、各スロットの共有/非共有を設定する。そして、第2のドアホン親機300bの接続制御部335(第2の接続制御部)は、少なくとも第2のドアホン親機300bの動作設定部334による共有/非共有の設定内容に従って、通信ネットワーク120間の接続/遮断を制御する。
例えば、実施の形態1では、図13のステップS3040に示すように、マスタ親機とスレーブ親機との間で、世帯内通信を行うか全世帯通信を行うかについてのネゴシエーションが必要である。この点、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、それぞれの世帯の各端末の動作をそれぞれの親機において独立して制御する事ができ、マスタ親機の処理負荷を軽減し、制御をより簡単なものにする事ができる。
なお、スロット管理情報の対象となる端末を(第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で)切り替えるタイミングは、上述の例に限定されない。例えば、マスタ親機の動作設定部334とスレーブ親機の動作設定部334は、第1の通信ネットワーク120aの複数の端末のそれぞれを指定端末とする同期スロットと、第2通信ネットワーク120bの複数の端末のそれぞれを指定端末とする同期スロットと、を複数のフレーム毎に切り替えて送信してもよい。また、その送信間隔は、第1の通信ネットワーク120aと第2の通信ネットワーク120bとの間で異なっていてもよい。
また、スレーブ親機側は、マスタ親機に異常が発生した場合にこれを検知し、自ら同期フレームの送信を開始するようにしてもよい。これにより、通信の途中でマスタ親機が同期フレームを送信できない事態となった場合においても、偶数フレームでスロット管理情報を送信する事ができる。すなわち、電源オフ等により第1のドアホン親機300aがドアホンシステム100の動作を制御できなくなった場合でも、第2のドアホン親機300bがドアホンシステム100の動作を制御する事ができ、両方の通信ネットワーク120の動作が停止する可能性を低減する事ができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るドアホンシステムおよび各装置の構成は、実施の形態2と同様であるため、その図示および説明を省略する。但し、本実施の形態に係る各ドアホン親機300の動作は、実施の形態2と異なる。具体的には、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bのうち、世帯内で所定のイベントが先に発生した方が、先に同期スロットを送信する。本実施の形態においては、先に同期スロットを送信するドアホン親機300を、「マスタ親機」と称し、マスタ親機ではないドアホン親機300を、「スレーブ親機」と称する。
図19は、ドアホン親機300の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の図8〜図10、並びに、実施の形態2の図15および図16に対応するものである。図8〜図10、図15、および図16と同一部分には同一のステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
ドアホン親機300は、他のドアホン親機300から同期スロットを受信する前に世帯内で所定のイベントが発生した場合(S1220:YES)、ステップS1231〜S1290(図15)の処理を実行する。すなわち、ドアホン親機300は、フレーム番号「0」から始まる各偶数フレームにおいて、自世帯用の同期スロット(スロット管理情報)を送信する。
一方、世帯内で所定のイベントが発生する前に、他のドアホン親機300から同期スロットを受信した場合(S1220:NO、S1430:YES)、ドアホン親機300は、ステップS1431〜S1460(図16)の処理を実行する。そして、ドアホン親機300は、同期が終了すると(S1460:YES)、処理をステップS1290へ進める。この場合、ドアホン親機300は、最初に、他のドアホン親機300からフレーム番号「0」のフレームで同期スロットを受信する事になる。したがって、ドアホン親機300は、フレーム番号「1」から始まる各奇数フレームにおいて、自世帯用の同期スロット(スロット管理情報)を送信する。
図20は、本実施の形態に係るドアホンシステム100の、第1の通信ネットワーク120aにおいて先に所定のイベントが発生した場合の動作の一例を示すシーケンス図であり、実施の形態2の図18に対応するものである。
非同期状態(イベント待機状態)において、(S6010)、玄関子機200aにおける呼出ボタン操作等のイベントが世帯1内で発生したとする(S6020)。すると、第1のドアホン親機300aは、偶数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始すると共に、かかるイベントの発生を第2のドアホン親機300bを含む各端末へ通知する(S6030)。そして、かかる同期スロットを受信した第2のドアホン親機300bは、第1のドアホン親機300a(世帯1親機)の同期スロットに同期して、奇数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始する(S6040)。
以降、第1のドアホン親機300aは、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)内のイベントや通信状態を、偶数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。そして、第2のドアホン親機300bは、世帯2(第2の通信ネットワーク120b)内のイベントや通信状態を、奇数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。すなわち、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、両世帯のシステムを制御する(S6050)。
図21は、本実施の形態に係るドアホンシステム100の、第2の通信ネットワーク120bにおいて先に所定のイベントが発生した場合の動作の一例を示すシーケンス図であり、図20に対応するものである。
非同期状態(イベント待機状態)において、(S7010)、玄関子機200bにおける呼出ボタン操作等のイベントが世帯2内で発生したとする(S7020)。すると、第2のドアホン親機300bは、偶数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始すると共に、かかるイベントの発生を第1のドアホン親機300aを含む各端末へ通知する(S7030)。そして、かかる同期スロットを受信した第1のドアホン親機300aは、第2のドアホン親機300b(世帯2親機)の同期スロットに同期して、奇数フレームにおける同期スロット(SL0)の送信を開始する(S7040)。
以降、第2のドアホン親機300bは、世帯2(第2の通信ネットワーク120b)内のイベントや通信状態を、偶数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。そして、第1のドアホン親機300aは、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)内のイベントや通信状態を、奇数フレームの同期スロット(SL0)を使用して通知する。すなわち、第1のドアホン親機300aおよび第2のドアホン親機300bは、両世帯のシステムを制御する(S7050)。
例えば、図20のケースで、第2のドアホン親機300bが故障あるいは電源オフの状態となっていたとしても、世帯1(第1の通信ネットワーク120a)内の通信は、第1のドアホン親機300aが送信する同期スロット(SL0)により制御される。また、図21のケースで、第1のドアホン親機300aが故障あるいは電源オフの状態となっていたとしても、世帯2(第2の通信ネットワーク120b)内の通信は、第2のドアホン親機300bが送信する同期スロット(SL0)により制御される。
このように、本実施の形態に係るドアホンシステム100において、第1のドアホン親機300aが使用するフレーム(所定のフレーム)および第2のドアホン親機300bが使用するフレーム(他のフレーム)は、どちらのドアホン親機300がフレームを先に送信したかに基づいて定まる。
これにより、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、通信の同期が確立される前や同期が確立された後に、いずれかの通信ネットワーク120のドアホン親機300の動作が停止した場合でも、他方の通信ネットワーク120の動作を開始させる事ができる。そして、動作が停止していたドアホン親機300が復活した場合に、再同期等の処理を行う事なく、当該ドアホン親機300が属する通信ネットワーク120の動作を開始させる事ができる。すなわち、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、よりロバストな通信を可能にし、複数世帯の利用における利便性を更に向上させる事ができる。
なお、ドアホン親機300毎に、どのフレームで(偶数フレームおよび奇数フレームのいずれで)同期スロットの送信を行うかが、予め定められていてもよい。また、同期スロットの送信主体の切り替え間隔が1フレームに限定されるものではなく、複数フレームとしてもよい事は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
(本開示のまとめ)
本開示のドアホンシステムは、第1の玄関子機および第1のドアホン親機を含む複数の端末を通信主体とし、時分割複信による通信を行う第1の通信ネットワークと、第2の玄関子機および第2のドアホン親機を含む複数の端末を通信主体とし、前記時分割複信による通信を行う第2の通信ネットワークと、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとを接続するためのネットワーク接続部と、スロット毎に、当該スロットに格納される情報を前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとの間で共有するか否かを示す、共有/非共有を設定する動作設定部と、前記共有/非共有の設定内容に従って、前記ネットワーク接続部による前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとの間の接続/遮断を制御する接続制御部と、を有する。
なお、上記ドアホンシステムにおいて、前記第1の通信ネットワークおよび前記第2の通信ネットワークは、それぞれ、先頭に同期スロットを含むフレームを使用して前記通信を行い、前記動作設定部は、少なくとも前記同期スロットに対し、前記共有を設定してもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記第1の通信ネットワークおよび前記第2の通信ネットワークは、それぞれ、データを格納するための複数のデータスロットを含む前記フレームを使用して前記通信を行い、前記動作設定部は、前記フレームの各スロットに対する前記共有/非共有の設定内容および使用権限と、当該使用権限に準拠すべき端末である指定端末と、を示すスロット管理情報を格納した前記同期スロットを、前記第1の通信ネットワークの前記複数の端末および前記第2の通信ネットワークの前記複数の端末のそれぞれに送信し、前記端末は、第1の前記フレームの前記指定端末に該当するとき、前記第1のフレームにおいて前記第1のフレームの前記使用権限に従って動作し、第1の前記フレームの前記指定端末に該当せず、かつ、過去に受信した第2の前記フレームの前記指定端末に該当するとき、前記第1のフレームにおいて前記第2のフレームの前記使用権限に従って動作してもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記フレームは、当該フレームの前記指定端末が送信を行うための前記データスロットである指定端末送信スロットを含み、前記スロット管理情報は、前記データスロット毎に、送信元情報、送信先情報、およびコンテンツ種別情報を記述し、前記接続制御部は、前記データスロット毎に、前記送信元情報および前記送信先情報に基づいて前記共有/非共有の設定内容を判定し、前記端末は、前記フレーム毎に、前記指定端末送信スロットの前記送信元情報に基づいて当該フレームの前記指定端末に該当するか否かを判定してもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記動作設定部は、前記第1の通信ネットワークの前記複数の端末のそれぞれを前記指定端末とする同期スロットと、前記第2通信ネットワークの前記複数の端末のそれぞれを前記指定端末とする同期スロットと、を1つまたは複数の前記フレーム数毎に切り替えて送信してもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記動作設定部は、前記フレームの前記データスロットの送信元および送信先を、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとに跨いで設定する事により、当該データスロットに対して共有を設定し、前記フレームの前記データスロットの送信元および送信先を、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとに跨がずに設定する事により、当該データスロットに対して非共有を設定し、前記接続制御部は、前記共有が設定されている前記データスロットにおいて、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとの間を接続させ、前記非共有が設定されている前記データスロットにおいて、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとの間を遮断させてもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、記動作設定部および前記接続制御部は、少なくとも前記第1のドアホン親機に配置されていてもよい。
本開示の通信制御方法は、第1の玄関子機および第1のドアホン親機を含む複数の端末を通信主体とし、時分割複信による通信を行う第1の通信ネットワークと、第2の玄関子機および第2のドアホン親機を含む複数の端末を通信主体とし、前記時分割複信による通信を行う第2の通信ネットワークとの間で、スロット毎に、当該スロットに格納される情報を共有するか否かを示す、共有/非共有を設定するステップと、前記共有/非共有の設定内容に従って、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとの間の接続/遮断を制御するステップと、を有する。