JP2009302134A - 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法 - Google Patents

放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009302134A
JP2009302134A JP2008151915A JP2008151915A JP2009302134A JP 2009302134 A JP2009302134 A JP 2009302134A JP 2008151915 A JP2008151915 A JP 2008151915A JP 2008151915 A JP2008151915 A JP 2008151915A JP 2009302134 A JP2009302134 A JP 2009302134A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
surface layer
dielectric member
fluorine
alumina
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008151915A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Ishii
徹哉 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2008151915A priority Critical patent/JP2009302134A/ja
Publication of JP2009302134A publication Critical patent/JP2009302134A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Plasma Technology (AREA)

Abstract

【課題】放電処理装置の電極に設けられる誘電体部材を容易かつ安価に製作し、しかも表層については品質を確保する。
【解決手段】アルミナ85〜98wt%、残部不純物からなる誘電体本体25を用意し、この誘電体本体25の表層の不純物をエッチングする。これにより、誘電体本体25と、それよりアルミナ純度が高い表層26とを積層した誘電体部材20が形成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、誘電体バリア放電等の放電により各種被処理物を表面処理する放電処理装置の電極に設けられる誘電体部材及びその製造方法に関する。
この種の誘電体部材の材料として代表的なものにアルミナが挙げられる。例えば特許文献2ではアルミナ純度を99.6%以上にしている。高純度アルミナは、化学的に安定であり、十分な耐久性を有し、高いパワー密度でも破損しにくい。
特開平02−281730号公報 特開平11−191500号公報
しかし、高純度アルミナの誘電体部材を製作するのは容易でなく、価格も高い。例えば純度99.6%のアルミナと96%のアルミナではおよそ10倍の価格差がある。
上記課題を解決するため、本発明は、放電処理装置の電極に少なくとも一部が放電空間を画成するように設けられる誘電体部材であって、アルミナ純度が85〜98wt%の誘電体本体と、この誘電体本体に薄く積層された表層とを有し、前記表層が、前記誘電体本体よりアルミナ純度が高いことを特徴とする。
これによって、誘電体部材の表層については、全体を高純度アルミナで構成した誘電体部材と同程度の化学的安定性を確保でき、かつ誘電体部材を低廉化できる。アルミナ純度を85wt%以上とするのは、誘電部材の強度が過度に低下しないようにするためである。アルミナ純度を98wt%以下とするのは、98wt%を越えていると、誘電部材の製作が困難で高価格になるからである。
前記表層のアルミナの稠密度(単位体積の表層中のアルミナの質量)が前記誘電体本体のアルミナの稠密度(単位体積の誘電体本体中のアルミナの質量)と略等しく、前記表層の不純物の稠密度(単位体積の表層中の不純物の質量)が前記誘電体本体の不純物の稠密度(単位体積の誘電体本体中の不純物の質量)より低いことが好ましい。
これによって、表層のアルミナ純度を誘電体本体より高くすることができる。
前記不純物は、酸化シリコンを含むことが好ましい。
これによって、表層の酸化シリコンをエッチング等で除去することによりアルミナ純度を高くすることができる。
前記放電空間を画成する部分の面積が、前記電極への供給電力を当該面積で除した電力密度が1.5W/cm以下になる大きさであることが好ましい。
これによって、誘電体本体が比較的低純度のアルミナ(85〜98wt%)で構成されていても、その内部に過度の熱応力が発生するのを抑えることができ、誘電体部材の破損を防止できる。
放電処理装置の処理ガスがヘリウムを含有する場合、処理ガス中のヘリウム濃度を10vol%以下にすることが好ましい。これにより、電力密度1.5W/cm以下との条件と相俟って、アーク放電が発生するのを防止できる。
また、本発明方法は、放電処理装置の電極に少なくとも一部が放電空間を画成するように設けられる誘電体部材の製造方法であって、アルミナ85〜98wt%、残部不純物からなる誘電体本体を用意し、この誘電体本体の表層中の不純物をエッチングすることを特徴とする。
これによって、誘電体部材の表層を除く誘電体本体については、比較的低純度のアルミナ(85〜98wt%)のままであるが、表層については、不純物量を減少させ、相対的にアルミナ純度を高めることができ、全体を高純度アルミナで構成した誘電部材と同程度の科学的安定性を付与でき、かつ誘電体部材を容易に製作でき、誘電体部材を低廉化できる。誘電体本体のアルミナ純度を85wt%以上とすることにより、表層から除去される不純物量が過度に多くならないようにでき、強度の劣化を防止できる。アルミナ純度を98wt%以下とすることにより、誘電部材を確実に容易に製作でき、価格を確実に低廉化できる。
前記不純物が、酸化シリコンを含み、前記誘電体本体にフッ素系反応ガスを接触させて前記エッチングを行なうことが好ましい。
これによって、表層中の不純物量を確実に減らすことができ、表層のアルミナ純度を確実に高めることができる。
前記フッ素系反応ガスが、HFを含むことが好ましい。
これによって、表層中の酸化シリコンを確実にエッチングできる。フッ素系反応ガスは、HFの他、COFやフッ素ラジカル等を含んでいてもよい。
前記エッチングを、SiFの発生量がエッチング開始時の1/10以下になるまで行なうことが好ましい。
これによって、表層の不純物を十分に減らし、アルミナ純度を十分に高くすることができる。
前記エッチングを、SiFの発生量がエッチング開始時の1/100以下になるまで行なうことが好ましい。
これによって、表層の不純物を一層減らし、アルミナ純度を一層高くすることができる。
前記誘電体本体を前記放電処理装置に組み込んで前記放電空間を画成し、フッ素系原料ガスを前記放電空間に導入しプラズマ化して前記フッ素系反応ガスを生成することにより前記エッチングを行なうことにしてもよい。
これにより、放電処理装置を組み立てた状態でエイジング(空運転)して、誘電体部材の表層を高純度アルミナにすることができる。
前記エッチングのためのエイジングは、当該放電処理装置の正規の使用条件と略同じ条件下で行なうことが好ましい。これによって、誘電部材の破損を防止でき、かつエイジング時間をできる限り短くできる。正規の使用条件より厳しい条件下では誘電部材が破損するおそれがあり、正規の使用条件より緩い条件では表層を所望のアルミナ純度にするのに長時間を要する。ここで、正規の使用条件とは、当該放電処理装置で被処理物を実際に処理する際の諸処理条件(供給電力、周波数、ガス流量等)を言う。
前記放電処理装置とは別のプラズマエッチング装置を用意し、前記誘電体本体を前記プラズマエッチング装置の放電空間内に配置し、フッ素系原料ガスを前記プラズマエッチング装置の放電空間に導入しプラズマ化して前記フッ素系反応ガスを生成することにしてもよい。
これによって、誘電部材の放電空間を画成する部分は勿論、それ以外の部分についても、表層の不純物を確実にエッチングできる。
前記放電処理装置による被処理物の表面処理は、例えば大気圧近傍下でのプラズマ放電処理であり、前記表層を形成するためのエッチングは、例えば大気圧近傍下でのプラズマエッチングである。
ここで、大気圧近傍 とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
本発明によれば、誘電体部材を容易かつ安価に製作でき、しかも、表層については、全体を高純度アルミナで構成した誘電体部材と化学的に同程度の品質を確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、放電処理装置1を示したものである。放電処理装置1は、処理ヘッド10を備えている。処理ヘッド10の下方に被処理物9が配置され、被処理物9の表面処理がなされるようになっている。被処理物9は、特に限定がなく、例えば液晶ディスプレイ用のガラス基板でもよく、半導体ウェハでもよく、柔軟な連続シートでもよい。処理内容には特に限定がなく、エッチング、成膜、洗浄、表面改質等の種々の表面処理に適用できる。
放電処理装置1は、一対の電極11,11と、各電極11に対応する誘電体部材20,20を有している。電極11,11は、それぞれ垂直な板状をなし、互いに対向するように配置されている。電極11,11は、平行平板電極になっているが、これに限定されるものではなく、同心円筒状になっていてもよく、その他、種々の形状、構造になっていてもよい。一方(図1において右側)の電極11は電源2に接続されている。他方(図1において左側)の電極11は電気的に接地されている。
各電極11に誘電体部材20が設けられている。誘電体部材20は、誘電体バリア板21と底板22を有している。誘電体バリア板21は、対応電極11の他方の電極11との対向面に接し、該対向面の全体を覆っている。図2に示すように、誘電体バリア板21の面積(高さ及び奥行き(図1の紙面と直交する方向の寸法))は、電極11の対向面の面積(高さ及び奥行き)より大きい。誘電体バリア板21の中央の電極11を覆う部分が、誘電体バリア21a(後記放電空間13aを画成する部分)となっている。誘電体バリア21aの面積(すなわち電極11の面積)は、電力密度が1.5W/cm以下になる大きさになっている。電力密度は、電源1から電極11への供給電力を誘電体バリア21aの面積で除した値である。誘電体バリア板21の周縁部は、電極11より突出している。誘電体バリア板21の厚さは、例えば1mm程度である。(図面において、誘電体部材20の厚さは誇張されている。)
図1に示すように、一対の誘電体バリア板21,21の対向面どうし間にスリット状のガス通路13が形成されている。処理ガス源3から処理ガス供給ライン3aが延び、この供給ライン3aがスリット状ガス通路13の上端部に接続されている。処理ガス源3は、処理内容に応じた処理ガスをガス通路13に供給する。これと併行して、電源2からの電圧供給によって誘電体バリア板21,21間に電界が印加され、大気圧近傍の放電が起き、ガス通路13の中央部分が放電空間13aとなる。これにより、処理ガスがプラズマ化(分解、励起、活性化、イオン化を含む)される。
底板22は、電極11から下に離れ、電極11の下面を覆っている。誘電体バリア板21の下端部が底板22に突き当てられている。一対の底板22,22どうし間に吹出し口14が形成されている。誘電体バリア板21,21間のガス通路13の下端部が吹出し口14に連なっている。底板22の下面は、処理ヘッド10の底面を画成している。底板22より外側の処理ヘッド10の底部には、吸込み口15が形成されている。
ガス通路13でプラズマ化された処理ガスが、吹出し口14から下方へ吹き出され、被処理物9に吹き付けられる。これにより、被処理物9の表面処理がなされる。処理済みのガスは、吸込み口15から吸引される。
誘電体部材20の誘電体バリア板21及び底板22は、何れも誘電体本体25と表層26の積層構造になっている。誘電体本体25は、誘電体部材20の略全体を占めており、その厚さは誘電体部材20の厚さと略等しい。誘電体本体25は、アルミナを主成分とするセラミックで構成されている。誘電体本体25のアルミナ純度は、例えば特許文献2のアルミナ純度(99.6%)より低い85〜98wt%であり、好ましくは90〜95wt%である。誘電体本体25中の不純物(アルミナを除いた残部)は、主に酸化シリコンである。
誘電体本体25に表層26が薄く積層されている。表層26の厚さは、誘電体本体25に比べ十分に小さく、例えば10〜100μm程度である。表層26は、誘電体本体25と同様に、アルミナを主成分とし、残部の不純物は主に酸化シリコンで構成されている。表層26のアルミナ純度は、誘電体本体25より高い。
表層26と誘電体本体25のアルミナ純度の違いは、不純物の稠密度(単位体積あたりの含有量)の違いに起因している。すなわち、表層26のアルミナの稠密度は、誘電体本体25のアルミナの稠密度と略等しい。一方、表層26の主に酸化シリコンからなる不純物の稠密度は、誘電体本体25の不純物の稠密度より低い。
以下、誘電体バリア板21の誘電体本体25及び表層26と、底板22の誘電体本体25及び表層26を互いに区別するときは、誘電体バリア板21の誘電体本体25及び表層26については符号に「A」を付し、底板22の誘電体本体25及び表層26については符号に「B」を付す。
誘電体バリア板21の表層26Aは、対応電極11と接する側とは反対側(他方の電極11の側)に向けられている。表層26Aは、スリット状ガス通路13を画成し、ひいては放電空間13aを画成している。
底板22の表層26Bは、底板22の内端面及び底面に形成されている。底板22の内端面の表層26Bは、吹出し口14を画成している。底板22の底面の表層26Bは、処理ヘッド10の底面を構成し、被処理物9と対向するようになっている。
誘電体部材20の製造方法を、表層26の形成方法を中心に説明する。
表層26は、誘電体本体25を表面処理することにより形成される。具体的には、誘電体本体25の表面部分の酸化シリコン等の不純物をエッチングして除去することにより形成される。エッチングには、例えばフッ素系反応ガスが用いられる。このフッ素系反応ガスを誘電体本体25の表面に接触させ、不純物のエッチングを行なう。以下、詳述する。
(1)誘電体部材20の製造方法の第1態様
まず、表面に表層26が形成されていない状態の誘電体本体25を用意する。誘電体本体25はアルミナ純度がそれほど高くないから(85〜98wt%)、容易かつ安価に得ることができる。図3に示すように、この誘電体本体25を放電処理装置1に組み込む。すなわち、誘電体本体25Aのみ(表層26A未形成)の誘電体バリア板21を各電極11の対向面に設置する。誘電体本体25Bのみ(表層26B未形成)の底板22を処理ヘッド10の下部に設置する。処理ヘッド10の下方には、被処理物9の代わりとなるダミー板9Xを配置する。ダミー板9Xは、フッ素系反応成分(HF等)との反応性を有さない材料で構成されていることが好ましい。
また、処理ガス源3に代えて、フッ素系原料ガス源4からのガス供給ライン4aを処理ヘッド10に接続する。フッ素系原料ガス源4は、フッ素系原料成分とキャリアガスとを混合し、この混合ガスに更にHOを添加し、フッ素系原料ガスを得る。フッ素系原料成分としては、例えばCFが用いられている。キャリアガスとしては、例えばArが用いられている。
フッ素系原料成分として、CFに代えて、CHF、C、C、SF、NF、XeFなどを用いてもよい。キャリアガスとして、Arに代えて、HeやNを用いてもよい。
放電処理装置1で被処理物9を処理する際に用いる処理ガス(プラズマ化前)がフッ素系原料ガスである場合、処理ガス源3をそのままフッ素系原料ガス源4として用いることができる。プラズマ化前処理ガスとしてフッ素系原料ガスを用いる処理としては、シリコンや酸化シリコンのエッチングが挙げられる。
そして、放電処理装置1をエイジング(空運転)する。すなわち、ガス源4のフッ素系原料ガス(CF+Ar+HO)を供給ライン4aを介しガス通路13に供給する。併行して、電極11,11間に電界を印加し、ガス通路13内に大気圧近傍プラズマを生成する。これにより、フッ素系原料ガスがプラズマ化され、HF、COF、フッ素ラジカル等のフッ素系反応成分を含むフッ素系反応ガスが生成される。投入電力、周波数、ガス流量等の処理条件は、実際に放電処理装置1を用いて被処理物9を処理する際の処理条件(正規の使用条件)と一致させることが好ましい。これによって、プラズマエネルギー等を適度な大きさにでき、誘電体本体25の破損を防止しつつ、エイジング時間をなるべく短くできる。
ガス通路13内で生成されたフッ素系反応ガスは、誘電体本体25Aに接触する。これによって、誘電体本体25Aの表層中の酸化シリコンがHF等のフッ素系反応成分と反応し、SiFになって揮発する。このため、誘電体本体25Aの表層の不純物の稠密度(含有量)が低下する。この結果、誘電体本体25Aの表層が高純度アルミナ層26Aとなる。
フッ素系反応ガスは、吹出し口14から吹き出され、底板22とダミー板9Xとの間を通過し、吸込み口15から吸引される。この過程で、フッ素系反応ガス中に残存するHF等のフッ素系反応成分が誘電体本体25Bに接触する。これによって、誘電体本体25Bの表面(内端面と底面)にも高純度アルミナ層26Bを形成できる。
このようにして、誘電体部材20の誘電体バリア板21及び底板22の表層26については、全体を高純度アルミナで構成した誘電部材と同等の化学的安定性を付与できる。しかも、全体を高純度アルミナで形成するよりも誘電体部材20を十分に安価かつ容易に製作できる。
エイジングは、SiFの発生量がエイジング開始時の好ましくは1/10以下になるまで行ない、より好ましくは1/100以下になるまで行なう。SiFの発生量が当初の1/10以下になるまでエイジングすることにより、表層26のアルミナ純度を十分に高めることができる。SiFの発生量が当初の1/100以下になるまでエイジングすることにより、表層26のアルミナ純度を一層十分に高めることができる。
SiFの発生量は、例えばFTIR(フーリエ変換赤外分光分析器)を用いて測定することができる。
誘電体バリア板21の場合、フッ素系反応成分が高活性の状態で接触するため、1時間程度のエイジングでSiFの発生量を当初の1/10以下にすることができ、2時間程度のエイジングでSiFの発生量を当初の1/100以下にすることができる。
底板22の場合、多少減衰したフッ素系反応成分が接触するため、SiFの発生量を当初の1/10以下にするのに丸一日以上かかる。
(2)誘電体部材20の製造方法の第2態様
そこで、図4に示すように、プラズマエッチング装置40を別途用意することにしてもよい。プラズマエッチング装置40は、一対の電極41,42を備えている。電極41,42は、それぞれ水平な板状をなし、互いに上下に対向して平行平板電極を構成している。上側電極41と下側電極42の間に電極間空間43(放電空間)が形成されている。電極41,42の面積は、底板22より十分に大きく、電極間空間43は、底板22を十分に収容可能になっている。上側電極41には電源44が接続されている。下側電極42は電気的に接地されている。電極41,42のうち少なくとも一方(ここでは電極41)の対向面には固体誘電体層45が設けられている。フッ素系原料ガス源4から延びるガス供給ライン4aが電極間空間43に接続されている。
誘電体本体25Bのみ(表層26B未形成)の底板22を電極間空間43内に配置する。このとき、底板22の底面を上に向けて下側電極42に載置するとよい。そして、ガス源4からのフッ素系原料ガスを電極間空間43に導入するとともに、電源44からの電圧供給によって電極間空間43内に大気圧近傍のプラズマ放電を生成する。これによって、フッ素系原料ガスがプラズマ化され、HF、COF等のフッ素系反応成分を含むフッ素系反応ガスとなる。このフッ素系反応ガスが底板22に接触し、誘電体本体25Bの表層中のSiOをエッチングする。これにより、誘電体本体25Bの表層を高純度アルミナ層26Aにすることができる。放電空間43内のフッ素系反応成分が高活性の状態で誘電体本体25Bに接触するため、第1態様の誘電体バリア板21と同様に、1時間程度でSiFの発生量を当初の1/10以下にでき、2時間程度でSiFの発生量を当初の1/100以下にでき、高純度のアルミナ層26を得ることができる。
表層26Bを形成した後の底板22をプラズマエッチング装置40から取り出し、放電処理装置1に組み込む。誘電体バリア板21については、第1態様(図3)と同様に、放電処理装置1に誘電体本体25Aを組み込んだ状態で放電処理装置1をエイジングし、表層26Aを形成する。
(3)誘電体部材20の製造方法の第3態様
図5に示すように、底板22だけでなく誘電体バリア板21の表層26Aについてもプラズマエッチング装置40を用いて形成することにしてもよい。プラズマエッチング装置40の電極41,42の面積は、誘電体バリア板21より十分に大きく、電極間空間43は、誘電体バリア板21の全体を十分に収容可能になっている。この電極間空間43内に誘電体本体25Aのみ(表層26A未形成)の誘電体バリア板21を配置する。このとき、誘電体本体25Aは、ガス通路13(図1参照)を画成すべき面を上にして下側電極42に載置するとよい。
電極間空間43内で生成されたフッ素系反応成分は、誘電体本体25Aの上面の全体に接触する。したがって、該誘電体本体25Aの上面の全体に表層26Aを短時間(1〜2時間程度)で確実に形成できる。特に、誘電体バリア21a(図2参照)より外側の部分にも表層26Aを確実に形成できる。(図3に示した第1態様では、誘電体バリア21aより外側部分は、放電空間13aから外れているため表層26Aを形成しにくく、時間を要する。)さらに、誘電体本体25Aの外端面にも表層26Aを形成できる。
第3態様では、プラズマエッチング装置40を用いて誘電体バリア板21と底板22にそれぞれ表層26A,26Bを形成する。1つのプラズマエッチング装置40で誘電体バリア板21と底板22の表層形成を順次行なってもよい。プラズマエッチング装置40の放電空間43が広い場合、誘電体バリア板21と底板22を放電空間43内に並べて配置し、これら誘電体バリア板21と底板22の表層形成を同時に行なってもよい。誘電体バリア板21用のプラズマエッチング装置40と底板22用のプラズマエッチング装置40を別々に用意してもよい。
その後、これら誘電体バリア板21及び底板22を放電処理装置1に組み込む。
上記第1〜第3態様の何れかによって誘電体部材20を製造し放電処理装置1を完成させた後、図1に示すように、放電処理装置1を用いて被処理物9を表面処理する。
このとき、電力密度(電極11の単位面積当たりの投入電力)を1.5W/cm以下にする。これによって、誘電体部材20の内部が低純度アルミナの誘電体本体25で構成されていても、該誘電体本体25内に生じる熱応力を低減でき、誘電体部材20の破損を防止できる。
処理ガス源3の処理ガスがヘリウムを含有する場合、ヘリウム濃度は処理ガス全体の10vol%以下にすることが好ましい。これにより、電力密度1.5W/cm以下との条件と相俟って、アーク放電が発生するのを防止できる。
電力密度を小さくする分、電極11及び誘電体バリア板21の面積を大きくする。例えば、従来、高さ45mm、幅420mmの全体が高純度アルミナ(純度99.6%)からなる誘電体を使用し、かつ高さ35mm、奥行き400mmの電極を使用し、供給電力320W、電力密度2.28W/cmで運転していたとした場合、本発明装置1では、例えばアルミナ純度96wt%の誘電体バリア板21を用いたとして、その高さ(図1の上下方向の寸法)を66mm、奥行き(図1の紙面直交方向の寸法)を420mmとし、電極11の高さを56mm、奥行きを400mmとし、供給電力320W、電力密度1.43W/cmで運転するとよい。これによって、従来装置と同等の処理能力を得ることができ、かつ誘電体バリア板21の破損を防止できる。この例では、アルミナの量が従来の1.46倍になるが、価格は1/10程度にできる。電極11の大型化に伴うコストアップを見込んでも、差し引きで十分にコストダウンできる。
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、実施形態の放電処理装置1は、電極11,11間の放電空間13aで処理ガスをプラズマ化して吹出し、放電空間13aの外部に配置された被処理物9に吹き付けて表面処理する所謂リモート式の大気圧プラズマ処理装置であったが、被処理物を放電空間の内部に配置し、プラズマを被処理物に直接的に接触させる所謂ダイレクト式の大気圧プラズマ処理装置であってもよい。
表層26を形成するための誘電体本体25の不純物のエッチングは、放電処理装置1又はプラズマエッチング装置40による大気圧近傍のプラズマエッチングに限られず、低圧(真空)下でのプラズマエッチングでもよい。更にはプラズマエッチングに限られず、HF貯留部からのHFガスを誘電体本体25に接触させてエッチングしてもよい。
放電処理装置1の放電形態は、大気圧グロー放電等の誘電体バリア放電に限られず、コロナ放電、その他の放電であってもよい。
誘電体部材20の誘電体バリア板21と底板22は、実施形態では別体になっているが、一体に連なっていてもよい。
表層26中のアルミナの稠密度が誘電体本体25のアルミナの稠密度より高くなっていてもよい。
本発明は、例えば半導体装置の製造分野においてシリコンや酸化シリコンのエッチング等の表面処理に適用可能である。
本発明の第1実施形態に係る放電処理装置の断面図である。 上記放電処理装置の電極及び誘電体部材の斜視図である。 誘電体部材の製造方法の第1態様において、上記放電処理装置を用い、その誘電部材に高純度アルミナ表層を形成する状態を示す断面図である。 誘電体部材の製造方法の第2態様において、上記誘電部材の底板に高純度アルミナ表層を形成する様子を示すプラズマエッチング装置の断面図である。 誘電体部材の製造方法の第3態様において、上記誘電部材の誘電体バリア板に高純度アルミナ表層を形成する様子を示すプラズマエッチング装置の断面図である。
符号の説明
1 放電処理装置
2 電源
3 処理ガス源
3a 処理ガス供給ライン
4 フッ素系原料ガス源
4a フッ素系原料ガス供給ライン
9 被処理物
9X ダミー板
10 処理ヘッド
11 電極
13 ガス通路
13a 放電空間
14 吹出し口
15 吸込み口
20 誘電体部材
21 誘電体バリア板
21a 誘電体バリア(放電空間を画成する部分)
22 底板
25 誘電体本体
26 表層
40 プラズマエッチング装置
41 上側電極
42 下側電極
43 放電空間
44 電源
45 固体誘電体層

Claims (11)

  1. 放電処理装置の電極に少なくとも一部が放電空間を画成するように設けられる誘電体部材であって、アルミナ純度が85〜98wt%の誘電体本体と、この誘電体本体に薄く積層された表層とを有し、前記表層が、前記誘電体本体よりアルミナ純度が高いことを特徴とする放電処理装置の誘電体部材。
  2. 前記表層のアルミナの稠密度が前記誘電体本体のアルミナの稠密度と略等しく、前記表層の不純物の稠密度が前記誘電体本体の不純物の稠密度より低いことを特徴とする請求項1に記載の誘電体部材。
  3. 前記不純物が、酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の誘電体部材。
  4. 前記放電空間を画成する部分の面積が、前記電極への供給電力を当該面積で除した電力密度が1.5W/cm以下になる大きさであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の誘電体部材。
  5. 放電処理装置の電極に少なくとも一部が放電空間を画成するように設けられる誘電体部材の製造方法であって、アルミナ85〜98wt%、残部不純物からなる誘電体本体を用意し、この誘電体本体の表層中の不純物をエッチングすることを特徴とする放電処理装置の誘電体部材の製造方法。
  6. 前記不純物が、酸化シリコンを含み、前記誘電体本体にフッ素系反応ガスを接触させて前記エッチングを行なうことを特徴とする請求項5に記載の誘電体部材の製造方法。
  7. 前記フッ素系反応ガスが、HFを含むことを特徴とする請求項6に記載の誘電体部材の製造方法。
  8. 前記エッチングを、SiFの発生量がエッチング開始時の1/10以下になるまで行なうことを特徴とする請求項6又は7に記載の誘電体部材の製造方法。
  9. 前記エッチングを、SiFの発生量がエッチング開始時の1/100以下になるまで行なうことを特徴とする請求項6又は7に記載の誘電体部材の製造方法。
  10. 前記誘電体本体を前記放電処理装置に組み込んで前記放電空間を画成し、フッ素系原料ガスを前記放電空間に導入しプラズマ化して前記フッ素系反応ガスを生成することにより前記エッチングを行なうことを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の誘電体部材の製造方法。
  11. 前記放電処理装置とは別のプラズマエッチング装置を用意し、前記誘電体本体を前記プラズマエッチング装置の放電空間内に配置し、フッ素系原料ガスを前記プラズマエッチング装置の放電空間に導入しプラズマ化して前記フッ素系反応ガスを生成することにより前記エッチングを行なうことを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の誘電体部材の製造方法。
JP2008151915A 2008-06-10 2008-06-10 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法 Pending JP2009302134A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008151915A JP2009302134A (ja) 2008-06-10 2008-06-10 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008151915A JP2009302134A (ja) 2008-06-10 2008-06-10 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009302134A true JP2009302134A (ja) 2009-12-24

Family

ID=41548760

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008151915A Pending JP2009302134A (ja) 2008-06-10 2008-06-10 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009302134A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012169419A1 (ja) * 2011-06-07 2012-12-13 株式会社島津製作所 放電イオン化電流検出器
WO2012172630A1 (ja) * 2011-06-13 2012-12-20 トヨタ自動車 株式会社 表面加工装置及び表面加工方法
JP2014060032A (ja) * 2012-09-18 2014-04-03 Ricoh Co Ltd 誘電体バリア放電発生装置とシート材改質装置、画像形成装置及び印刷物の生産方法
CN114128408A (zh) * 2020-02-27 2022-03-01 东芝三菱电机产业系统株式会社 活性气体生成装置

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012169419A1 (ja) * 2011-06-07 2012-12-13 株式会社島津製作所 放電イオン化電流検出器
CN103403536A (zh) * 2011-06-07 2013-11-20 株式会社岛津制作所 放电电离电流检测器
JP2014167488A (ja) * 2011-06-07 2014-09-11 Shimadzu Corp 放電イオン化電流検出器
JP5605506B2 (ja) * 2011-06-07 2014-10-15 株式会社島津製作所 放電イオン化電流検出器
CN105651855A (zh) * 2011-06-07 2016-06-08 株式会社岛津制作所 放电电离电流检测器
US9791410B2 (en) 2011-06-07 2017-10-17 Shimadzu Corporation Discharge ionization current detector
CN105651855B (zh) * 2011-06-07 2018-08-14 株式会社岛津制作所 放电电离电流检测器
WO2012172630A1 (ja) * 2011-06-13 2012-12-20 トヨタ自動車 株式会社 表面加工装置及び表面加工方法
CN103597912A (zh) * 2011-06-13 2014-02-19 丰田自动车株式会社 表面加工装置以及表面加工方法
JP2014060032A (ja) * 2012-09-18 2014-04-03 Ricoh Co Ltd 誘電体バリア放電発生装置とシート材改質装置、画像形成装置及び印刷物の生産方法
CN114128408A (zh) * 2020-02-27 2022-03-01 东芝三菱电机产业系统株式会社 活性气体生成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100841349B1 (ko) 접합 기판의 제조 방법 및 그 제조 방법을 이용하여 제조된접합 기판
KR100718072B1 (ko) 기판의 실리콘층에 직통으로 접촉홀을 형성하기 위한 방법
US20070026611A1 (en) Method for manufacturing semiconductor devices
JP2000133638A (ja) プラズマエッチング方法およびプラズマエッチング装置
JP2007294419A (ja) 高さ調整可能なpifプローブ
TW200847270A (en) Plasma etching method, plasma etching device, control program and computer storage medium
JP2009302134A (ja) 放電処理装置の誘電体部材及びその製造方法
KR102280572B1 (ko) 플라즈마 처리 방법
US20100252198A1 (en) Plasma processing apparatus and method
JP4180706B2 (ja) 物質・材料プロセッシング方法
KR100745329B1 (ko) 건식 식각 장치
KR100428813B1 (ko) 플라즈마 발생장치 및 이를 이용한 SiO₂박막 식각방법
JP5924941B2 (ja) プラズマ処理方法
WO2012161026A1 (ja) ドライエッチング方法及びデバイス製造方法
JP4471887B2 (ja) プラズマプロセス装置
KR100855323B1 (ko) 공정 챔버 및 플라즈마 처리 장치
KR101262904B1 (ko) 플라즈마 식각 장치
JP2005166838A (ja) プラズマエッチング方法
CN106560916A (zh) 元件芯片的制造方法以及元件芯片
WO2023242977A1 (ja) プラズマ処理方法
CN107039343B (zh) 元件芯片的制造方法
JP2010186911A (ja) プラズマ加工装置、プラズマ加工方法、および振動片の製造方法
CN115172154A (zh) 一种半导体器件制造方法及装置
JP3896123B2 (ja) 半導体装置の製造方法
KR101324941B1 (ko) 비정질 탄소막 형성 방법