JP2009299835A - 焼結軸受の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結軸受素材に対するサイジングを簡便にかつ精度良く行う。
【解決手段】一端側に内径寸法が軸受面3よりも大径に形成された大径部4を有する焼結軸受の製造方法であって、焼結軸受素材1’を、その両端にそれぞれ配した上パンチ21および下パンチ24で軸方向に拘束すると共に、その内外周にそれぞれ配したコアピン27およびダイ25,26で径方向に拘束することでサイジングを行う。このとき、下パンチ24は、外側パンチ22と、該外側パンチ22に対して軸方向に相対移動可能な内側パンチ23とに分割したものを用いる。そして、サイジング時には、外側パンチ22を焼結軸受素材1’の大径部の端面に当接させると共に、内側パンチ23とダイ26との間で焼結軸受素材1’の大径部を拘束する。サイジング完了後には、内側パンチ23を外側パンチ22に対して相対移動させることで焼結軸受素材1’の大径部の拘束を解除する。
【選択図】図3

Description

本発明は、焼結軸受の製造方法および製造装置に関し、特に複写機等の画像形成装置に好適な焼結軸受の製造方法および製造装置に関する。
複写機等の画像形成装置の現像装置は、その内部に封入したトナー等の現像剤を攪拌するためのトナー攪拌ローラを具備しており、このローラ(軸)の支持部分には軸受が組み込まれている。ローラ支持用の軸受としては、例えば特開2001−125374号公報(特許文献1)に記載のように、玉軸受等の転がり軸受を用いるのが一般的であったが、近年では画像形成装置の小型軽量化や低コスト化等を目的として、この種のローラ支持用軸受を焼結金属製のすべり軸受(以下、これを「焼結軸受」と称す)に置換する試みがなされている。ローラ支持用の焼結軸受100は、図5(a)に示すように、軸受面101の一端側に内径寸法が軸受面101よりも大径に形成された大径部103を具備し、大径部103の内周には、現像装置内部に充填された現像剤の外部漏洩防止を目的として、環状のシール部材110が固定される。
ところで、焼結軸受100は多孔質体であるために、両者の間に接着剤を介在させる接着固定では所定の固定強度を確保することが困難な場合がある。そのため、焼結軸受100に対するシール部材110の固定手段としては圧入を採用するのが一般的である。そして、この種の焼結軸受100においては、シール部材110の圧入性や固定精度を高める観点から、シール部材110の固定面となる大径部103の内周面にもサイジングを施し、その面精度(面粗度や円筒度等)を高めるようにしている。
次に、上記構成からなる焼結軸受100(焼結軸受素材)にサイジングを施すために、従来採用されている方法の一例を説明する。まず図5(b)に示すように、焼結軸受素材100’を、その内外周にコアピン130およびダイ150を配した状態で、その両端に配した上パンチ120および下パンチ140で軸方向に拘束することにより軸受面101(さらには外周面)に対してサイジングを施す。サイジング後、エアー噴射装置160等によって焼結軸受素材100’を装置外に排出する(図5(c)を参照)。このようにして軸受面101等に対してサイジングを施した後、別途大径部103の内周面に対してサイジングを施す。
特開2001−125374号公報
上記のように、従来では、軸受面101に対するサイジングと、大径部103の内周面に対するサイジングとを2工程に分けて行っていた。これは、下パンチ140の上端部を大径部103の内周面にも同時サイジング可能な段付き形状にすると、下パンチ140の上端部と焼結軸受素材100’の大径部103とが干渉して、上記態様(図5(c)に示す態様)で焼結軸受素材100’を装置外に排出することができなくなるからである。しかし、このようにサイジングを2工程に分けて行ったのでは製造コストの高騰が避けられない。
また、大径部103の内周面に対するサイジングは、製造コストを極力抑制する観点から簡易的なものとされるのが通例である。具体的には、例えば焼結軸受素材100’の外周面を部分的に保持した状態で、大径部103の内周に、別途準備したサイジングピンを圧入することにより行われる。しかしながら、このような手法では、大径部103が拡径等し、シール部材110を所定態様で固定することが、また他部材に対する焼結軸受100の取り付けを所定の態様で行うことが難しくなるおそれがある。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、この種の焼結軸受素材に対するサイジングを簡便にかつ高精度に行い得る方法を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、この種の焼結軸受素材に対するサイジングを簡便にかつ高精度に行い得る製造装置を提供することを第2の課題とする。
上記第1の課題を解決するためになされた本発明に係る製造方法は、一端側に内径寸法が軸受面よりも大径に形成された大径部を有する焼結軸受の製造方法であって、焼結軸受素材を、その両端にそれぞれ配した上パンチおよび下パンチで軸方向に拘束すると共に、その外周に配したダイと、その内周に配したコアピンとで径方向に拘束することにより焼結軸受素材にサイジングを行う工程を含み、該サイジング工程では、下パンチを、外側パンチと、該外側パンチに対して軸方向に相対移動可能な内側パンチとに分割し、外側パンチを大径部の一端面に当接させると共に、内側パンチとダイとの間で大径部を径方向に拘束することでサイジングを行い、然る後、内側パンチを外側パンチに対して軸方向に相対移動させることで大径部の拘束を解除することを特徴とするものである。
上記のように、下パンチを外側パンチと内側パンチとに分割し、外側パンチを大径部の一端面に当接させると共に、内側パンチとダイとの間で大径部を径方向に拘束することでサイジングを行うようにすれば、軸受面にサイジングを行うのと同時に大径部の内周面にもサイジングを行うことができ、しかもサイジング後の大径部の外径寸法を所定値に管理することができる。また、サイジング後には、外側パンチと内側パンチとを軸方向に相対移動させることで大径部の拘束を解除するようにしたので、下パンチの上端部にサイジング後の焼結軸受素材が干渉することなく、当該素材をスムーズに装置外に排出することが可能となる。このように、本発明によれば、従来二工程に分けて行っていたこの種の焼結軸受(焼結軸受素材)に対するサイジングを一工程で完了することができ、しかもサイジングを高精度に行うことができる。
上記のような作用効果は、製造装置を以下示す構成とすることによって得ることができる。すなわち、上記第2の課題を解決するためになされた本発明に係る製造装置は、一端側に内径寸法が軸受面よりも大径に形成された大径部を有する焼結軸受の製造装置であって、焼結軸受素材を軸方向に拘束する上パンチおよび下パンチと、焼結軸受素材の外周に配設されたダイと、焼結軸受素材の内周に配設されてダイとの間で焼結軸受素材を径方向に拘束するコアピンとを備えるものにおいて、下パンチが、大径部の端面に当接する外側パンチと、ダイとの間で大径部を径方向に拘束可能な内側パンチと、内側パンチを外側パンチに対して軸方向に相対移動させる相対移動機構と、を備えることを特徴とするものである。
相対移動機構は、装置の複雑化・大型化等を極力回避する観点から、なるべく簡易な構造で実現させるのが望ましく、例えば、外側パンチと内側パンチの間に、外側パンチを上パンチ側に附勢するように配設した弾性体で構成することによって得ることができる。
外側パンチと内側パンチとの間には、両者を軸方向で相互に係合させる係合部を設けることができる。このようにすれば、両者の相対移動量を規制することができ、両者の相対移動量が過大になることによって生じる弊害、例えばサイジング不良を効果的に防止することができる。具体的には、外側パンチと内側パンチとが軸方向に相互に係合した状態で、内側パンチの一端面が、外側パンチの一端面よりも大径部の軸方向寸法分だけ上パンチ側に位置するように係合部を設けるのが望ましい。シール部材の固定面として利用される大径部の内周面全体を確実にサイジングすることが可能となるからである。
弾性体の変形量がゼロの状態、換言すると外側パンチの変位量がゼロの状態では、内側パンチの一端面が、外側パンチの一端面と同一平面上、もしくは外側パンチの一端面よりも反上パンチ側(下方)に位置するようにするのが望ましい。相対移動機構として弾性体を用いた場合であっても、排出時における内側パンチと焼結軸受素材の干渉を確実に回避することができるからである。
ダイと外側パンチとの間には、外側パンチの上限位置を調整する調整部材を配設することができる。なお、調整部材の一例としてはリング状のワッシャを挙げることができ、外側パンチと内側パンチとを相対移動させる相対移動機構を弾性体で構成した場合であっても、両者の軸方向相対位置を簡便に調整することができる。
以上に示すように、本発明によれば、一端側に内径寸法が軸受面よりも大径に形成された大径部を有する焼結軸受に対するサイジングを、簡便にかつ高精度に行うことができる。従って、焼結軸受に対するシール部材等の圧入性を低コストに高めることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る製造方法で製造した焼結軸受1を概念的に示す含軸断面図であり、例えば、複写機等の画像形成装置の現像装置に組み込まれて、トナー攪拌ローラの軸部分を支持するために用いられる。この焼結軸受1は、焼結金属の多孔質体からなり内部気孔に潤滑油を含浸させてなるものであって、軸受面3を有する小径部2と、小径部2の下方に位置し、内径寸法が軸受面3よりも大径に形成された大径部4と、小径部2の外周上端から外径側に張り出したフランジ部11とを備える。フランジ部11は、この焼結軸受1を図示しない他部材(例えば、ハウジング)に固定した際、この他部材と軸方向に係合して、軸方向一方側に対する抜け止めとして機能する。大径部4は、ストレートな円筒面状を呈するシール固定面5と、下方に向かって内径寸法が漸次拡大するテーパ面6とを有し、シール固定面5は、軸線と直交する方向の段差面7を介して軸受面3に接続されている。大径部4のシール固定面5には、例えばフッ素ゴム等の弾性体でリング状に形成されたシール部材10が圧入固定され、これにより現像装置内部に充填される現像剤(トナー)の外部漏洩が効果的に防止される。なお、以上で述べた上下方向は説明の便宜上用いたものであり、当該焼結軸受1の使用態様を限定するものではない。
上記の焼結軸受1は、主に、圧粉工程と、焼結工程と、サイジング工程と、含油工程とを順に経て製造される。以下、本発明の要旨であるサイジング工程を中心に、各工程について説明する。
(A)圧粉工程
この圧粉工程では、原料粉を成形型内に充填し、これを圧縮成形することで完成品に略等しい形状の圧粉成形体を得る。原料粉としては、Fe、Fe系合金、Cu、Cu系合金等の金属粉末を主成分とし、必要に応じてSn等のバインダ、さらには黒鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を添加したものが使用される。
(B)焼結工程
この焼結工程では、圧粉工程で得られた圧粉成形体を、使用した金属粉末の焼結温度まで加熱することで焼結して焼結体(焼結軸受素材)を得る。使用する金属粉末の種類によっては、焼結による浸炭作用を避けるため、焼結作業を非浸炭雰囲気下で行っても良い。
(C)サイジング工程
このサイジング工程では、焼結工程で得られた焼結軸受素材に対して適当な圧迫力を付与して焼結軸受素材の各部にサイジングを行う。このサイジングにより、焼結軸受素材の各部が所定形状(寸法)に成形され、完成品としての焼結軸受1形状が得られる。
図2は、焼結軸受素材1’(以下、単に「素材1’」という)にサイジングを施す製造装置(金型)20の全体構造を概念的に示す断面図であり、以下示す各構成部材が原点位置にある状態を示すものである。同図に示す製造装置20は、素材1’の外周に配設された略円筒状の第1および第2ダイ25,26と、素材1’の内周に配設されてダイ25,26との間で素材1’を径方向に拘束するコアピン27と、素材1’を軸方向に拘束する略円筒状の上パンチ21および下パンチ24とを主要な構成として備え、上パンチ21、下パンチ24、およびコアピン27は、ダイ25,26に対して相対的に昇降可能(軸方向移動可能)とされる。なお、図示例の製造装置20は、ダイ25,26が静止側を、また上パンチ21、下パンチ24、およびコアピン27が図示しない適当な駆動機構で昇降する可動側を構成する。詳細に述べると、上パンチ21はコアピン27の外周に外挿されており、両者共に独立して昇降可能に構成されている。また、下パンチ24は、上パンチ21およびコアピン27とは独立して昇降可能に構成されている。
下パンチ24は、素材1’の大径部下端面を支持する略円筒状の外側パンチ22と、該外側パンチ22の内周に軸方向の一部領域が配設され、第2ダイ26との間で素材1’の大径部を径方向に拘束可能な略円筒状の内側パンチ23と、外側パンチ22と内側パンチ23とを軸方向に相対移動させる相対移動機構とを主要な構成として備える。内側パンチ23の外周面23bの上端部には、シール固定面5形状に対応した小径外周面23b1と、テーパ面8形状に対応したテーパ面23b2とが設けられている。図示する原点位置において、外側パンチ22および内側パンチ23の各上端面22a,23aは、第1ダイ25の上端面25aと同一平面上に位置するように構成されている。
外側パンチ22は、その軸方向略中央部に、外径側に突出して第2ダイ26の下端と軸方向に係合する突出部22bを有する。突出部22bの上端面22b1には、該外側パンチ22の上限位置を調整するリング状の第1調整部材29が固定されており、本実施形態では、この第1調整部材29の厚みを調整することにより、外側パンチ22を上記態様で配設可能としている。なお、この第1調整部材29は必要に応じて設ければ足り、必ずしも設ける必要はない。
外側パンチ22と内側パンチ23との間には、内側パンチ23と外側パンチ22とを軸方向で相互に係合させる係合部が設けられており、本実施形態では、内側パンチ23に設けた第1段差面23cによって係合部が構成される。この係合部は、外側パンチ22と内側パンチ23の相対移動量を規制するために設けたものであり、各構成部材の原点位置において、外側パンチ22の下端面22cと内側パンチ23の第1段差面23cとの軸方向離間距離は、成形すべき大径部4の軸方向寸法と等しい値に設定されている。
内側パンチ23の第1段差面23cの下方には、さらに外径側に延びる第2段差面23dが設けられており、この第2段差面23dと外側パンチ22の突出部下端面22b2との間に、相対移動機構としての弾性体28が、外側パンチ22を上方(上パンチ21側)に附勢するように配設されている。より詳細に述べると、本実施形態において内側パンチ23の第2段差面23dにはリング状の第2調整部材30が固定されており、この第2調整部材30と外側パンチ22の突出部22bとの間に弾性体28が配設されている。この第2調整部材30は、弾性体28の長さ(原点位置における外側パンチ22と内側パンチ23の位置関係)や弾性復元力(弾性力)の調整に用いられるものであり、第1調整部材29と同様必要に応じて設ければ足りる。なお、本実施形態では、第1および第2調整部材29,30としてリングワッシャを用いている。
サイジング工程で用いる製造装置20は主に以上の構成からなり、素材1’に対するサイジングは以下のようにして行われる。
まず、素材1’を外側パンチ22の上端面22aに位置決め配置した後コアピン27を下降させ、コアピン27を素材1’、さらには内側パンチ23の内周に挿入する。
次いで、上パンチ21を、その下端面21aが素材1’の上端面に当接するまで下降させ、上パンチ21と外側パンチ23とで素材1’の両端面を挟持(拘束)する。この状態を保持したまま下パンチ24の下限位置まで上パンチ21、下パンチ22、およびコアピン27を同期して下降させ、第1および第2ダイ25,26の内周に素材1’を挿入する。下パンチ24の下限位置まで到達した時点で上パンチ21をさらに下降させると、下パンチ24を構成する外側パンチ22と内側パンチ23とが軸方向に相対移動することにより内側パンチ23の上端部が素材1’の大径部内周に挿入される(図3を参照)。
この状態で上パンチ21をさらに下降させると、上パンチ21と下パンチ24(外側パンチ22および内側パンチ23)とにより素材1’に対して軸方向の圧迫力が付与される。素材1’に軸方向の圧迫力が付与されると素材1’の内周面は縮径する向きに変形する。そして素材1’の内周面がコアピン27の外周面27aと、内側パンチ23の小径外周面23b1およびテーパ面23b2とに加圧される結果、内周面から所定深さの表層部分が塑性流動を起こして各面27a,23b1,23b2に食い付く。これにより、コアピン27の外周面27a形状、さらには内側パンチ23の小径外周面23b1形状およびテーパ面23b2形状が素材1’の内周面に転写され、所定形状および所定寸法の軸受面3、シール固定面5、およびテーパ面6が得られる。
また、素材1’に軸方向の圧迫力が付与されると、素材1’の外周面は拡径する向きに変形する。そして素材1’の外周面が第1および第2ダイ25,26の内周面25b,26bに加圧される結果、外周面から所定深さの表層部分が塑性流動を起こして各面25b,26bに食い付く。これにより、第1ダイ25の内周面25b形状、第2ダイ26の上端面26aおよび内周面26b形状が素材1’の外周面に転写され、所定形状および所定寸法の外周面10(フランジ部11外周面も含む)が得られる。
また、素材1’に軸方向の圧迫力が付与されると、素材1’の上端面、大径部下端面、フランジ部下端面、および段差面は、それぞれ、上パンチ21の下端面21a、外側パンチ22の上端面22a、第2ダイ26の上端面26a、および内側パンチ23の上端面23aに加圧される結果、素材1’の各端面から所定深さの表層部分が塑性流動を起こして上パンチ21等の各面に食い付く。これにより、所定形状および所定寸法の各端面7,8,9が得られる。
以上のようにしてサイジングが完了した後、素材1’の内周にコアピン27を挿入しつつ両端を上下パンチ21,24で拘束したままの状態で上パンチ21、下パンチ24、およびコアピン27を下パンチ24の原点位置まで連動して上昇させ、ダイ25,26によって付与されていた内径方向への拘束力を解除する。次いで上パンチ21およびコアピン27をさらに上昇させ、コアピン27を素材1’の内周から抜き取り、また上パンチ21と素材1’との接触関係を解消する。これに伴い、弾性体28に蓄積された弾性復元力が解放されて外側パンチ22が上方に押し上げられ、内側パンチ23は素材1’の大径部から離隔するように外側パンチ22に対して相対移動する。外側パンチ22と内側パンチ23の軸方向の相対移動が完了すると(外側パンチ22および内側パンチ23の双方が原点復帰すると)、図4に示す態様でダイ25,26の内周から素材1’が取り出される。
素材1’のダイ25,26からの取り出し完了後、例えばエアー噴射装置からなる排出手段30を駆動させ、該排出手段30で素材1’を外径側に移動させることによって素材1’を製造装置20外に排出し、この素材1’を(D)含油工程に移送する。
以上に示すように、本発明では、下パンチ24として、外側パンチ22と、該外側パンチ22に対して軸方向に相対移動可能な内側パンチ23とに分割したものを使用し、サイジングに際しては、外側パンチ22を大径部の下端面に当接させると共に、内側パンチ23と第2ダイ26との間で大径部を径方向に拘束するようにした。このようにすれば、素材1’の軸受面にサイジングを行うのと同時に、大径部の内周面にもサイジングを行うことができ、しかもサイジング後の大径部の外径寸法を所定値に管理することができる。また、サイジング後には、外側パンチ22と内側パンチ23とを軸方向に相対移動させることで大径部の拘束を解除するようにしたので、下パンチ24(内側パンチ23)の上端部にサイジング後の素材1’が干渉することなく、このサイジング後の素材1’をスムーズに装置20外に排出することができる。
また、外側パンチ22と内側パンチ23とを軸方向に相対移動させるための相対移動機構が、外パンチ22を上側に附勢するように配設された弾性体28で構成されるので、装置20の複雑化および大型化を極力回避することができる。特に、本実施形態では、弾性体28の変形量がゼロの状態、換言すると外側パンチ22の変位量がゼロの状態では、内側パンチ23の上端面23aが外側パンチ22の上端面22aと同一平面上に位置するように弾性体28を配設するようにしたので、排出時における内側パンチ23との干渉を確実に回避することができる。
なお、弾性体28の変形量がゼロの状態において、内側パンチ23の上端面23aが、外側パンチ22の上端面22aよりも所定量下方に位置するように、相対移動機構(弾性体28)を構成しても良い。この場合であっても、製造装置20からの素材1’排出時に、下パンチ24と素材1’とが干渉するのを回避することができるからである。
また、内側パンチ23に、外側パンチ22の下端面22cと軸方向で相互に係合する係合部としての第1段差面23cを設け、これによって両者の相対移動量を規制するようにした。本実施形態では、外側パンチ22と内側パンチ23とが軸方向に相互に係合した状態で、内側パンチ23の上端面23aが、外側パンチ22の上端面22aよりも成形すべき大径部4の軸方向寸法分だけ上方(上パンチ側21側)に位置するように係合部を設けたので、大径部の内周面(シール固定面)、さらには段差面を確実にサイジングすることができる。
以上では、素材1’の外周面を拘束するダイとして、軸方向で第1ダイ25と第2ダイ26とに分割したものを使用したが、これらは一体化されたものであっても良い。なお、このように、ダイを軸方向で分割しておけば、異なる形状の素材1’にサイジングを行う場合であっても、第1ダイ25あるいは第2ダイ26の何れか一方を交換すれば足りるため、ダイの全体を交換するような手間を省けるため、望ましい。
(D)含油工程
この工程では、以上の工程を経て所定形状に形成された素材1’に潤滑油を含浸させる。具体的には、所定の減圧環境下で、潤滑油が充満された潤滑油浴中に素材1’を一定時間浸漬させることで、素材1’の内部気孔に潤滑油を含浸させる。なお、この際、潤滑油の含浸を確実かつ短時間に行うため、潤滑油を加熱した状態で含浸作業を行っても良い。
以上の各工程(A)〜(D)を経て図1に示す焼結軸受1が完成する。そして、焼結軸受1のシール固定面5にシール部材12を圧入することにより、シール部材12が焼結軸受1の内周下端に取り付け固定される。シール固定面5はサイジングを施すことにより面粗度や円筒度が高精度に成形されたものであるから、シール部材12の圧入性や固定精度は極めて良好である。
以上では、フランジ部11を有する焼結軸受1に対して本発明に係る製造方法および製造装置を適用した場合について説明を行ったが、本発明は、一端側に軸受面3よりも内径寸法が大径の大径部4を有する焼結軸受1であれば、外周形状が如何なる態様の焼結軸受であっても適用可能である。
焼結軸受の一例を概念的に示す断面図である。 本発明に係る焼結軸受の製造装置の全体構造を概念的に示す断面図であり、サイジング前の状態を示すものである。 本発明に係る焼結軸受の製造装置であって、焼結軸受素材にサイジングを行っている状態を示すものである。 本発明に係る焼結軸受の製造装置であって、焼結軸受素材にサイジングを行った後の状態を示すものである。 (a)図は焼結軸受の一例を概念的に示す断面図、(b)図および(c)図は(a)図に示す焼結軸受の従来における製造装置および製造工程を概念的に示す断面図である。
符号の説明
1 焼結軸受
1’ 焼結軸受素材
3 軸受面
4 大径部
5 シール固定面
12 シール部材
20 製造装置
21 上パンチ
22 外側パンチ
23 内側パンチ
23c 第1段差面(係合部)
24 下パンチ
25 第1ダイ
26 第2ダイ
27 コアピン
28 弾性体(相対移動機構)
29 第1調整部材
30 第2調整部材

Claims (7)

  1. 一端側に内径寸法が軸受面よりも大径に形成された大径部を有する焼結軸受の製造方法であって、焼結軸受素材を、その両端にそれぞれ配した上パンチおよび下パンチで軸方向に拘束すると共に、その外周に配したダイと、その内周に配したコアピンとで径方向に拘束することにより前記焼結軸受素材にサイジングを行う工程を含み、
    該サイジング工程では、前記下パンチを、外側パンチと、該外側パンチに対して軸方向に相対移動可能な内側パンチとに分割し、
    前記外側パンチを前記大径部の端面に当接させると共に、前記内側パンチと前記ダイとの間で前記大径部を拘束することでサイジングを行い、然る後、前記内側パンチを前記外側パンチに対して相対移動させることで前記大径部の拘束を解除することを特徴とする焼結軸受の製造方法。
  2. 一端側に内径寸法が軸受面よりも大径に形成された大径部を有する焼結軸受の製造装置であって、焼結軸受素材を軸方向に拘束する上パンチおよび下パンチと、前記焼結軸受素材の外周に配設されたダイと、前記焼結軸受素材の内周に配設されて前記ダイとの間で前記焼結軸受素材を径方向に拘束するコアピンとを備えるものにおいて、
    前記下パンチが、前記大径部の端面に当接する外側パンチと、前記ダイとの間で前記大径部を径方向に拘束可能な内側パンチと、該内側パンチを前記外側パンチに対して軸方向に相対移動させる相対移動機構と、を備えることを特徴とする焼結軸受の製造装置。
  3. 前記相対移動機構は、前記外側パンチと前記内側パンチの間に配設された弾性体で構成され、かつ、前記弾性体は、前記外側パンチを前記上パンチ側に附勢するように配設された請求項2に記載の焼結軸受の製造装置。
  4. 前記外側パンチと前記内側パンチとの間に、両者を軸方向で相互に係合させる係合部が設けられた請求項2又は3に記載の焼結軸受の製造装置。
  5. 前記外側パンチと前記内側パンチの係合状態で、前記内側パンチの一端面が、前記外側パンチの一端面よりも前記大径部の軸方向寸法分だけ前記上パンチ側に位置する請求項4に記載の焼結軸受の製造装置。
  6. 前記弾性体の変形量がゼロの状態で、前記内側パンチの一端面が、前記外側パンチの一端面と同一平面上、もしくは前記外側パンチの一端面よりも反上パンチ側に位置する請求項3に記載の焼結軸受の製造装置。
  7. 前記ダイと前記外側パンチとの間に、前記外側パンチの上限位置を調整する調整部材が配設された請求項2〜6の何れかに記載の焼結軸受の製造装置。
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