JP2009299493A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】応答性の高い燃料圧力センサを用いることなく精度の良いデータを、標準的に備えられている燃料圧力センサを用いて、燃料噴射状況を把握して適切な燃料噴射量の制御を行える燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】燃料圧力センサはコモンレールの燃料圧力の変化(波形3a)に対し、検出データ(波形3e)を出力する。出力された検出データにおいて、出力データ選択手段が、検出データから特定の出力データを選択し、仮想圧力生成手段が、選択したデータに対する位相進み処理により仮想圧力出力データを生成する。また、燃料噴射手段は、仮想圧力出力生成手段により得られた仮想圧力出力データ(波形7sgp)に基づいて、燃料噴射手段を制御される燃料噴射制御装置である。
【選択図】図7

Description

本発明は、コモンレールを用いた燃料噴射制御装置に関する。
ディーゼルエンジンに適用される燃料噴射制御装置においては、エンジンの燃焼室に燃料を直接噴射するインジェクター(以下、燃料噴射弁ともいう)に蓄圧された燃料を供給するコモンレールシステムが多く利用されている。このようなコモンレールシステムでは、瞬時に規定量を噴射させることができるように、高圧ポンプによって加圧された燃料が供給されている。
また、インジェクターの応答性改善によりインジェクターから短い噴射時間で燃料を噴射することもできるようになっている。このような応答性の高いインジェクターと前述した高圧に蓄圧できるコモンレールを組み合わせることによって燃料を勢いよく燃焼室に噴射し、燃料を微粒化して、燃焼特性を改善することができるようになっている。このように燃焼特性を改善することによって、排出ガスのさらなるクリーン化を図ることが行われている。
また、ディーゼルエンジンでは、噴射される燃料の量によって出力特性が左右される。つまり、必要なときに必要な量の燃料をエンジンに供給するためには、燃料噴射制御装置では燃料の噴射を適切に管理することが必要とされている。
このような燃料噴射制御装置において、燃料の噴射量を適切に管理することを目的として燃料噴射状況を検出するための燃料圧力センサ技術が存在する(例えば、特許文献1)。
特開2001−090599号公報
特許文献1では、コモンレールに配置された燃料圧力センサによって検出された圧力信号から、圧力信号の変動成分を抽出する技術が開示されている。この技術によると、検出された圧力信号は、標準値と、その標準値に重畳される変動成分として定義される。
しかし、特許文献1に記載の技術では、燃料圧力センサについての応答性、重畳される変動成分の信号の周波数成分については示されておらず、圧力信号から標準値を減算して得られた変動成分の信号レベルを増幅することで精度の改善を図る技術として示されているに留まり、燃料圧力センサによって生じる波形歪が与える影響などについても示されていない。そのため、燃料圧力センサで検出された変動成分の信号を増幅して得られる情報までしか利用することができず、燃料圧力センサの応答性が低いことにより失われる情報を利用することができないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、応答性の高い燃料圧力センサを用いることなく精度の良いデータを、標準的に備えられている燃料圧力センサを用いて、燃料噴射状況を把握して適切な燃料噴射量の制御を行うことができる燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記問題を解決するために、請求項1に記載した発明は、内燃機関(例えば、実施形態によるエンジン1)に燃料を噴射する燃料噴射制御装置(例えば、実施形態による燃料噴射制御装置10)において、前記燃料を供給する燃料供給手段(例えば、実施形態によるコモンレール13)と、前記内燃機関の燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射手段(例えば、実施形態による燃料噴射弁6)と、前記燃料噴射手段の燃料圧力を検出して燃料圧力信号を出力する圧力検出手段(例えば、実施形態による燃料圧力センサ37)と、検出された燃料圧力信号から特定(例えば、実施形態による噴射イベント区間)の燃料圧力出力データを選択する出力データ選択手段(例えば、実施形態によるECU2におけるステップSa2)と、前記出力データ選択手段により選択された燃料圧力出力データに対して信号処理することにより仮想圧力出力を生成する仮想圧力生成手段(例えば、実施形態によるECU2におけるステップSa5)とを備え、前記燃料噴射手段は、前記仮想圧力出力生成手段により得られた仮想圧力出力に基づいて制御されることを特徴とする燃料噴射制御装置である。これにより、応答性の低い圧力検出手段を用いた場合でも、検出された信号を仮想圧力生成手段によって信号処理することにより、所望の圧力変化波形に匹敵する応答波形を抽出することができる。
請求項2に記載した発明は、前記圧力検出手段は、応答性を示す時定数が200マイクロ秒より大きいことを特徴とする。これにより、周波数成分が高い圧力変化を検出する際に必要とされる圧力検出手段の時定数が、100マイクロ秒程度の圧力検出手段を用いた場合の検出結果と同等の情報を得ることができる。
請求項3に記載した発明は、前記圧力検出手段は、前記燃料噴射手段によるパイロット噴射とメイン噴射のそれぞれの圧力変動を検出した際に、それぞれの圧力変動量が分離して検出できる応答性能を有することを特徴とする。これにより、連続して燃料が噴射されたときの圧力変化を分離して検出することができる時定数までの圧力検出手段であれば、本発明の適応することにより所望の情報を得ることができる。
請求項4に記載した発明は、前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、位相進み処理(例えば、実施形態によるECU2におけるステップSb2)を有する処置とすることを特徴とする。これにより、圧力検出手段の応答性に依存する圧力変化波形における波形歪を位相進み処理を行うことで、信号の再生処理を行って検出波形の遅れ成分を補償することができる。
請求項5に記載した発明は、前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、バンドパスフィルタ処理(例えば、実施形態によるECU2におけるステップSc2)を有する処置とすることを特徴とする。これにより、信号処理過程における直流成分に影響されることなく、信号処理を行うことができ、必要な周波数帯域の情報を抽出することができる。
請求項6に記載した発明は、前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、ローパスフィルタ処理(例えば、実施形態によるECU2におけるステップSd2)を有する処置とすることを特徴とする。これにより、不要となる高域成分を除去することができ、必要な周波数帯域の情報を抽出することができる。
請求項1に記載した発明によれば、応答性の低い圧力検出手段で検出された信号を仮想圧力生成手段によって信号処理することにより、所望の特性を有する圧力検出手段で得られる圧力変化波形と同等の応答波形を抽出することができるので、燃料噴射が行われたタイミングと噴射時間、噴射によって変化した燃料圧力などの情報を得ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、時定数が200マイクロ秒を超える応答性の低い圧力検出手段を用いても所望の情報を得ることができる。
請求項3に記載した発明によれば、連続して燃料が噴射されたときの圧力変化を分離して検出することができる時定数の圧力検出手段であれば、所望の情報を得ることができ、平均圧力を検出する際に従来から用いられていた応答性の低い圧力検出手段によっても、応答性の高い圧力検出手段と同程度の精度の情報を再生することができ、適切な量の燃料を噴射する制御を行うことができる。
請求項4に記載した発明によれば、圧力検出手段の応答性に依存する圧力変化波形における波形歪を位相進み処理によって、信号の再生処理行って検出波形の遅れ成分を補償することにより、圧力変化が生じた時刻に応じた信号波形を再生でき、信号の大きさだけでなく、時間情報を補正した信号として出力することができる。
請求項5に記載した発明によれば、信号処理過程における直流成分に影響されることなく、信号処理を行うことができ、温度など環境条件にも影響されることなく圧力変化が生じた信号を検出することができる。
請求項6に記載した発明によれば、不要となる高域成分を除去することができ、実際に必要となされる周波数帯域の情報を効率よく抽出でき、低周波成分に含まれる変化まで再生することができ、再生波形における大きさについてよく再生することができる。
(第1実施形態)
図1を参照し本発明における実施形態の燃料噴射制御装置10について説明する。燃料噴射制御装置10は、図示されない車両に搭載されるディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)に適応され、エンジン1の燃焼室に供給される燃料の噴射を制御する。
燃料タンク11は、エンジン1に供給される燃料が収容される。その燃料タンク11内には、低圧ポンプP1が設けられている。
低圧ポンプP1には、ECU(Electronic Control Unit)2に接続されているモータP1−Mが設けられている。低圧ポンプP1は、ECU2によってモータP1−Mが制御され、エンジン1の運転中に常時作動する電動ポンプであり、燃料タンク11内の燃料を所定圧(例えば、5bar(バール))まで増圧して吐出する。
低圧ポンプP1の吸入側にはフィルタ17が設けられ、吐出側には燃料供給路12が接続される。接続される燃料供給路12には、ECU2からの制御によって燃料の温度制御を行うヒータを備えるフィルタ18と、同じくECU2からの制御によって低圧ポンプP1から供給される燃料の流量を制御する電磁流量制御弁21とが順次設けられている。
フィルタ18と電磁流量制御弁21の間の燃料供給路12には、燃料タンク11に燃料を戻す燃料戻し路16が分岐接続される。燃料戻し路16には、燃料供給路12の圧力制御を行う圧力制御弁22が介装されている。圧力制御弁22は、燃料供給路12の圧力が前述の所定圧を超えたときに開弁して燃料戻し路16を介して燃料を燃料タンク11内に戻す。
電磁流量制御弁21の下流側には、高圧ポンプP2が接続され、高圧ポンプP2の吐出側には高圧配管13aを介してコモンレール13が接続されている。高圧ポンプP2は、低圧ポンプP1から供給される燃料をさらに増圧してコモンレール13に供給する。高圧ポンプP2によって吐出される燃料は、電磁流量制御弁21において流量制御されることにより、その圧力が制御されることとなる。
高圧ポンプP2に取り付けられた燃料温度センサ35は、高圧ポンプP2によって加圧された燃料の温度を検出し、検出された温度を表す検出信号をECU2に出力する。
コモンレール13の戻し路側には、高圧配管13cが接続され、この高圧配管13cには、燃料戻し路16が接続されている。高圧配管13cには、電磁圧力制御弁23が設けられ、電磁圧力制御弁23から燃料戻し路16までは、燃料戻し路14で接続されている。
この電磁圧力制御弁23は、機械的に動作する機能と、接続されるECU2からの制御によって電気的に動作する機能を有している。機械的な動作では、高圧ポンプP2の運転により燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_max(例えば、2000bar(バール))を超えたときに、開弁する。これにより、コモンレール13内の燃料が燃料タンク11内に戻され、燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_maxまで低減される。また、電気的動作では、必要に応じて出力されるECU2からの減圧指示にしたがって弁が開放されることによりコモンレール13内に蓄圧された燃料を放出し減圧することができる。
また、コモンレール13は、高圧ポンプP2によって加圧され供給される燃料の量と、電磁圧力制御弁23などで放出され減圧される量とをバランスさせることによって、その内部空間を高圧の状態(例えば、2000bar(バール))で蓄える燃料室となる。コモンレール13には、燃料圧力センサ37が取り付けられ、この燃料圧力センサ37は、コモンレール13内の燃料圧力である燃料圧力Prailを検出し、検出された圧力を表す検出信号をECU2に出力する。
このコモンレール13には、エンジン1に燃料を噴射する4つの燃料噴射弁6−1〜6−4(以下、まとめて表すときには「燃料噴射弁6」という。)に燃料を供給する高圧配管13b−1〜13b−4が接続されている。
燃料噴射弁6は、ECU2からの信号により開弁してコモンレール13から供給される燃料をエンジン1の燃焼室内に噴射する。
燃料戻し路15は、それぞれの燃料噴射弁6からの燃料の戻り路を示し、並列に接続されるチェック弁24と圧力制御バルブ25を介して低圧ポンプP1とフィルタ18との間の燃料供給路12に接続されている。
この燃料戻し路15の途中に設けられるチェック弁24と圧力制御バルブ25は、燃料噴射弁6からの排出油の圧力を一定に調整する。圧力制御バルブ25は、エンジン1の運転開始時には、燃料供給路12から燃料噴射弁6に至る燃料戻し路15を燃料供給路12に接続される低圧ポンプP1によって加圧させる働きも有する。
ECU2は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)インターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成される。
ECU2は、エンジン1に設けられたクランク角センサ33によって検出されるエンジン1のクランク角度情報から、燃料噴射弁6での燃料噴射タイミングを制御する。また、ECU2は、前述した燃料温度センサ35、燃料圧力センサ37などの検出信号に応じてエンジン1の運転状態を判断し、電磁流量制御弁21、電磁圧力制御弁23、低圧ポンプP1を制御することによりコモンレール13の圧力を制御するとともに、燃料噴射弁6を開閉動作させることにより燃料噴射制御を実行する。
以上に示した構成により、この燃料噴射制御装置10では、電磁流量制御弁21により流量制御される高圧ポンプP2の運転状態、電磁圧力制御弁23の開閉状態、および燃料噴射弁6の開閉状態により、コモンレール13の燃料圧力Prailが所定の設定値Prail_maxを上限とする範囲内で制御される。
なお、図1で示される実線での接続は、燃料系の配管を示し、一点鎖線での接続は、電気信号による制御線での接続を示すものとする。また、燃料タンク11内に低圧ポンプP1が設けられていることとしたが、低圧ポンプP1を燃料タンク11の外に配置したものでも良い。
次に、燃料噴射制御装置10における噴射イベント区間として判定される範囲を説明する。
燃料噴射制御装置10における燃料噴射は、エンジン1の特定の気筒における1回の燃焼において、燃料の噴射を分割して燃焼室に供給するマルチ噴射方式がとられている。
図2は、横軸を時間、縦軸を噴射量とした場合にエンジン1の特定の気筒に対して1連の噴射処理が行われる状況を示すグラフである。ここで1連の噴射処理とは、5回に分けて噴射されるマルチ噴射であり、各噴射は、順にそれぞれ「プレ噴射」、「パイロット噴射」、「メイン噴射」、「アフタ噴射」、「ポスト噴射」と呼ばれる。
このマルチ噴射における第1の特徴は、「パイロット噴射」と「メイン噴射」との時間間隔t(噴射インターバル)が狭いことである。また、第2の特徴は、それぞれの噴射における噴射量の違いが挙げられる。同図に示されるように、「パイロット噴射」における噴射量は少なく、続けて噴射される「メイン噴射」の噴射量は、マルチ噴射の中で一番多い量が噴射される。そのため、この「パイロット噴射」と「メイン噴射」によって生じる燃料圧力の変動を検出することは、応答性が低い燃料圧力センサ37では分離して区別し難いものとなっている。
このようなマルチ噴射が行われる「プレ噴射」から「ポスト噴射」までの範囲を、以下、噴射イベント範囲という。
次に、燃料噴射制御装置10において燃料圧力センサ37に代えて、複数の特性の異なる燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eを適用した場合に、それぞれの燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eにより検出された検出波形について説明する。
図3は、燃料噴射制御装置10において、燃料噴射を行ったときに発生する燃料圧力の変化を燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eを用いて検出し、その検出波形を比較して示したグラフである。そのグラフの横軸は時間の経過を示し、その単位はm(ミリ)秒である。また縦軸はそれぞれの燃料圧力センサによって検出された燃料圧力を示し、その単位はbar(バール)である。
このグラフに示される波形3a1と3a2、波形3b1と3b2、波形3c1と3c2、波形3d1と3d2、および波形3e1と3e2は、それぞれ燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eによって検出された波形である。
このグラフは、ディーゼルエンジンにおける燃料噴射方法であるマルチ噴射において、燃料噴射弁6から燃料を5回に分けて噴射された一連の噴射のうち、その2番目と3番目の2回の噴射、すなわち「パイロット噴射」と「メイン噴射」において検出された波形を続けて表したものである。なお、同図において、パイロット噴射は、時刻2.0m秒から2.3m秒までの間に行われ、メイン噴射は、時刻3.3m秒から4.3m秒までの間に行われている。
波形3a1、波形3b1、波形3c1、波形3d1、波形3e1は、パイロット噴射が行われた場合の波形であり、波形3a2、波形3b2、波形3c2、波形3d2、波形3e2は、メイン噴射が行われた場合の波形である。同図に示されるように、パイロット噴射では、メイン噴射に比べ噴射量が少なく、噴射時間が短く、圧力の低下量が少なく、ならびに継続時間が短くなっている。
また、ピークが鋭く現れ、かつ、パイロット噴射とメイン噴射が明確に分離できる順、すなわち、応答性が高い順に並べると燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eの順となることが示されている。ここで、波形3a1と波形3a2で示される最も応答性が高い波形を検出している燃料圧力センサ37aは、例えば、工業用のものとして入手できる燃料圧力センサであり、コモンレール13内の圧力変化を最も精度良く再現している。そのため、実際の噴射時期を特定したり、圧力変動を検出したりするにも十分な応答性能を有しているといえる。しかし、このような応答性が高い燃料圧力センサは、量産される装置への適用を考慮した場合、価格的な面から適さないものである。
一方、他の燃料圧力センサ37b、37c、37d、37eでは、同じ燃料圧力変化の検出を行っているにもかかわらず燃料圧力センサの応答性が低くなるにつれ、検出される燃料圧力のピーク値が小さくなり、ピーク値が検出される時刻(ピーク時間)も遅れる傾向がある。そのため、燃料圧力センサ37b、37c、37d、37eにより検出された波形では、検出された信号をそのまま増幅するだけでは、実際の圧力変動を検出することができない程度に波形が歪んでいる。
さらに、燃料圧力センサ37b、37c、37dについては、パイロット噴射とメイン噴射との波形が分離されていたが、最も応答性の低い燃料圧力センサ37eでは、メイン噴射が始まる時点でパイロット噴射による波形3e1が0に到達しておらず、2つの波形3e1と波形3e2とがつながっており、2つの噴射を区別することが困難となっている。
次に、それぞれの燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eで検出されたパイロット噴射時の測定結果について説明する。
図4に示す波形は、図3で示されたパイロット噴射を行った時、すなわち時刻2.0m秒から2.3m秒に検出された波形3a1、3b1、3c1、3d1、3e1を拡大して示したものである。横軸は、時間の経過を示し、その単位は、m(ミリ)秒である。また縦軸は、それぞれの燃料圧力センサによって検出された燃料圧力を示し、その単位はbar(バール)である。
圧力変化の少ないパイロット噴射での測定結果も、図3を参照して説明したメイン噴射での測定結果に似た傾向があり、燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eの応答性が低くなるにつれ、検出される燃料圧力のピーク値が小さくなり、ピーク値が検出される時刻(ピーク時間)も遅れる傾向がある。また、パイロット噴射が、メイン噴射の場合と異なる点としては、パイロット噴射でのピーク値の減少比率は、メイン噴射でのピーク値の減少比率より大きい傾向がある。
ところで、このような波形3e1について、例えば、線形増幅による処理を行っても、燃料圧力センサ37aにより検出される波形3a1のような正しい変化量を推定することは困難であるが、変化の傾向を特定し、当該傾向に応じた信号処理を行うことで、正しい変化量に変換することが可能となる。そこで、以下、応答性の低い燃料圧力センサにより検出される変化量を正しい変化量に変換可能な信号処理方式について説明する。
まず、燃料噴射制御装置10における燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eの応答性を一般化して示すことを考える。上記の図4に示されるパイロット噴射において燃料圧力センサ37b、37c、37d、37eにより検出された波形3b1、3c1、3d1、3e1は、ピークから0に至るまでの波形変化がステップ入力信号に対する一次遅れで出力が変化している波形に類似しているといえる。
図5に、燃料噴射制御装置10の燃料圧力センサ37を一次遅れモデルでシステム同定し、当該システムにステップ入力で変化する圧力変動を印加したときの出力応答を示す波形を表したグラフを示す。横軸は時間の経過を示し、その単位は秒である。また、縦軸は検出された燃料圧力を示す。
同図に示されるような波形の応答性について、一般化して示す場合に例えば以下に示すような2通りの指標が知られている。第1の応答性を測る指標は、10−90%応答時間(以下、立ち上がり時間tという)である。立ち上がり時間tは、出力信号の変化幅を100%としたときに、出力される信号が10%から90%に変化するときの遷移時間として定義される。同図に示される波形における立ち上がり時間tは、2ミリ秒である。第2の応答性を測る指標は、一次遅れ系の過度応答によって示される時定数τである。時定数τは、入力された圧力変化を100%としたときに、燃料圧力センサ37からの出力信号レベルが63.2%となるときまでの時間で定義される。同図に示される波形における時定数τは1ミリ秒である。
ところで、図2、図3に示された測定波形において、立ち上がり時間tで応答性を評価すると、10%となる時刻が応答性によりばらつくこととなり、さらに90%付近での変化量が少なく評価が行いにくいことがわかる。また、同定したシステムの制御特性を数式化するには、一般的に、立ち上がり時間より時定数のほうが扱い易いことが知られている。これらのことから、本実施形態における燃料圧力センサの応答性を一般化して示す指標として時定数τを用いることとする。
図6は、図3に示した5種類の特性の異なる燃料圧力センサ37a、37b、37c、37d、37eを用いてパイロット噴射時に検出された波形の特徴を比較した表である。応答性の指標としては、前述したように時定数τを用いて示している。当該表に示されるように、燃料圧力センサ37b、37c、37d、37eの時定数τは、順に100、200、500、1000として示すことができ、時定数τが200以上になるとパイロット噴射で検出されたピーク値が半分以下になることがわかる。
このように波形変化の傾向を一次遅れ系のモデルとして時定数τで示すことができ、当該モデルに基づいて信号処理の手段や適切なパラメータを選択することが可能となる。さらに、波形変化を急峻なものに変換することができる微分処理を含んだ信号処理を適用して、燃料圧力センサ37b、37c、37d、37eの検出結果を、燃料圧力センサ37aの検出結果相当に変換することが可能となる。
次に、燃料噴射制御装置10において応答性の最も低い燃料圧力センサ37eを用いて検出された圧力信号に対して、時定数1000マイクロ秒に基づいて構成される前述した信号処理を行った結果について示す。
図7(a)は、最も応答性の低い燃料圧力センサ37eで検出した信号に基づいて、信号処理によって再生された波形7sgpを示すグラフである。図7(b)は、最も応答性の高い燃料圧力センサ37aで検出された波形3a1と波形3a2(以下、まとめて表すときは波形3aという)であり、および、応答性の低い燃料圧力センサ37eとで検出された波形3e1と波形3e2(以下、まとめて表すときは波形3eという)を示すグラフである。なお、図7(b)に示される波形3a1及び3a2、並びに波形3e1及び3e2は、前述の図3に示されたものと同じ波形である。
信号処理によって再生された波形7sgpは、波形3a1と波形3a2の発生時刻ならびに振幅や波形の形まで再生できている。波形7sgpにおいて、縦軸の値が正の値をとる部分に相違点がある。しかし、ここで示される正の値を取る領域は、噴射圧力を検出するうえで必要となる時間領域ではないので、0以下の値を抽出する処理を行うことで容易にフィルタリングすることができる。前述したように、信号処理における入力信号である波形3e1と3e2は、パイロット噴射とメイン噴射とを分けて示すことが困難となる程度に歪んでおり、メイン噴射が始まる時点では、パイロット噴射で検出された波形が0に到達していなかったが、波形7sgpでは、パイロット噴射とメイン噴射を分離して検出できる状態になっていることがわかる。すなわち、本実施形態における信号処理は、このような波形歪みを生じる応答性の低い燃料圧力センサ37eにおいても有効であることがわかる。
次に、前述した信号処理の具体例、及び当該信号処理を用いた圧力変化の再生方法の処理手順について説明する。
図8は、燃料圧力センサ37b、37c、37d、37e(以下、これらのいずれかを示す場合、燃料圧力センサ37という)のいずれかの検出値に基づいて、燃料噴射時のコモンレール13の燃料圧力の急峻な変化を検出する処理手順を示すフローチャートである。
燃料圧力の急峻な変化を検出する処理は、ECU2のROMに配置されるプログラムによって実施されるAD変換処理、領域判断処理、噴射イベント区間判定処理、定常圧力信号処理、過度圧力信号処理の各ステップにより処理される。
はじめに、ECU2におけるAD変換処理は、燃料圧力センサ37が検出したコモンレール13の燃料圧力信号を、ECU2の内部に備えるアナログ・デジタル変換部によって入力処理をしてデジタル信号に変換する。
ECU2におけるAD変換処理は、変換されたデジタル信号を燃料圧力出力データとして検出されたタイミングを示す情報と関連付けてECU内部のRAMに割り付けられている入力信号テーブルに記録する(ステップSa1)。
ECU2における領域判断処理は、クランク角センサ33から入力されるクランク角情報を基にして、燃料噴射が行われるべき時刻(噴射イベント区間)と燃料噴射が行われない時刻とを区別することにより、燃料圧力出力データの噴射イベント区間のデータを、それ以外のデータとを区別する。ECU2における領域判断処理は、燃料噴射が行われるべき時刻(噴射イベント区間)であるときには、RAMに割り付けられている噴射イベントフラグ記憶領域に有意を示すフラグを記録し、噴射イベント区間でないときには有意でないことを示すフラグを記録する。例えば有意であることを示す場合は「1」を記録し、有意でないことを示す場合は「0」を記録する。噴射イベント区間とは、図2に示された「プレ噴射」から、「ポスト噴射」までの連なった区間である(ステップSa2)。
ECU2における噴射イベント区間判定処理は、RAMに割り付けられている噴射イベントフラグ記憶領域に記憶されている情報を参照し、検出された圧力の検出時刻が、噴射イベント区間であるか判定する(ステップSa3)。ECU2における定常圧力信号処理は、噴射イベントフラグ記憶領域に記憶された情報を参照した結果が有意でないことが示され、検出された圧力の検出時刻が噴射イベント区間であると判定されないときは、定常圧力信号処理を行う。定常圧力信号処理は、例えば100Hz(ヘルツ)を高域遮断周波数とするローパスフィルタ処理を行い、検出された圧力信号に重畳するノイズ成分を除去し、ローパスフィルタ処理が行われた信号を出力し、圧力検出値の信号処理を終える(ステップSa4)。
ECU2における過度圧力信号処理は、噴射イベントフラグ記憶領域に記憶された情報を参照した結果が有意であることが示され、検出された圧力の検出時刻が、噴射イベント区間であると判定されたときは、過度圧力信号処理を行う。過度圧力信号処理は、図9に示される処理手順で示される。図9に示される処理手順で示される過度圧力信号処理を終えると、圧力検出値の信号処理を終える(ステップSa5)。
次に第1の過度圧力信号処理についての手順を示す。
図9は、噴射イベント区間における燃料圧力センサ37の検出値と判定された燃料圧力から、そのとき噴射された燃料噴射量の推定値を求める第1の過度圧力信号処理手順を示したフローチャートである。
第1の過度圧力信号処理は、ECU2のROMに配置されるプログラムによって実施される領域指定での微分処理、位相進み処理、流量(Q)変換処理の各ステップにより処理される。
第1の過度圧力信号処理における領域指定での微分処理は、燃料圧力センサ37で検出され、入力信号テーブルに記憶されている情報の中から噴射イベント領域の情報を抽出し、微分演算処理を行い微分結果情報テーブルに記録する。この微分演算処理により、検出された圧力信号が燃料圧力センサ37の応答性によって失われた高い周波数成分の情報を再生し、それに伴い微分処理された信号の位相を進ませることで、燃料圧力センサ37での信号遅延を補償する。
位相進み処理は、周波数領域における信号補正処理として用いられる位相進み処理を適用する。位相進み処理は、式(1)によって示される伝達関数で示される特性で信号処理を行い、検出された信号の補償処理を行う。
Figure 2009299493
式(1)において、sはラプラス演算子を示し、Tは燃料圧力センサ37の圧力変化出力における時定数を示し、Tはコモンレール13における燃料圧力の圧力変化の時定数を示す。例えば、燃料圧力センサ37の特性において高域遮断周波数FShcが1kHz(キロヘルツ)の燃料圧力センサ37を適用したときに、時定数Tは、T=1/FShcとすることができる。また、コモンレール13における圧力変化特性において高域遮断周波数FThcが20kHz(キロヘルツ)のコモンレール13の燃料圧力変化特性を適用したときに、時定数Tは、T=1/FThcとすることができる。
この周波数特性は、適応させる燃料圧力センサ37および測定対象となるコモンレール13などの仕様により異なる値をとることとなるが、使用する燃料圧力センサ37の特性によって減衰してしまう燃料圧力センサ37の高域遮断周波数FShcからコモンレール13における圧力変化特性において高域遮断周波数FThcまでの周波数範囲の特性を増幅することができる。
流量(Q)変換処理は、燃料圧力の圧力変化量(dP/dt)からコモンレール13から燃料噴射弁6に供給される燃料の流量(Q)を求める処理である。燃料圧力の圧力変化量(dP/dt)と、燃料噴射弁6に供給する燃料の流量(Q)の関係を示す。
密閉容器における単位時間における圧力変化量(dP/dt)は、出入りする液体の流量の総和に比例する。燃料噴射によって減少する燃料圧力Pの変化量(dP/dt)と、その噴射によって減少した燃料の容量Qinjは、次式(2)で示される関係がある。
Figure 2009299493
式(2)において、Kが液体の弾性係数を示し、Vが密閉用器の容積を示し、QPUMPが高圧ポンプP2から密閉容器に供給される流量を示し、Qinjが密閉用器内の燃料を燃料噴射弁6から噴射される燃料噴射量を示す。高圧ポンプP2からの流入がないとすれば、単位時間の圧力低下は、噴射量Qinjによって変化したことになる。
また、燃料圧力センサ37によって検出され信号処理されて求められた情報は、圧力変化を示す情報と等価とすることができ、推定圧力変化量を(dPハット/dt)とすれば、式(3)の関係により、求められた情報から推定噴射量Qinjハットを推定することができる。
Figure 2009299493
式(3)において、Kが液体の弾性係数を示し、Vが密閉用器の容積を示し、Qinjハットが燃料噴射弁6から噴射された推定燃料噴射量を示す。
第1実施形態における過度圧力信号処理を手順に従って示す。
ECU2における領域指定での微分処理は、ECU2内部のRAMに割り付けられている入力信号テーブルに記録された検出値から、噴射イベント領域に該当する範囲を特定して噴射イベント領域と判定された信号に基づいて微分演算処理を行う。ECU2における領域指定での微分処理は、微分された情報をECU2内部のRAMに割り付けられている微分結果情報テーブルに記録する(ステップSb1)。
ECU2による位相進み処理は、微分結果情報テーブルを参照し、微分演算処理が行われた情報に対し位相進み処理を行って、位相進み処理された結果を、ECU2の内部のRAMに割り付けられている圧力信号補償情報テーブルに記録する(ステップSb2)。
ECU2における流量(Q)変換処理は、圧力信号補償情報テーブルを参照し、信号補償処理が行われた位相進み処理された情報に基づいて、以上に示された一連の演算処理されることによって、噴射された燃料の推定燃料噴射量Qinjハットを前述の式(3)で示される演算によって求めることができ、処理を終了する(ステップSb3)。
ECU2における過度圧力信号処理(ステップSa5)による信号処理は、位相進み処理(ステップSb2)を行うものであり、圧力検出手段の応答性に依存する圧力変化波形における波形歪を位相進み処理を行うことで、信号の再生処理を行って検出波形の遅れ成分を補償することにより、圧力変化が生じた時刻に応じた信号波形を再生でき、信号の大きさだけでなく、時間情報を補正した信号として出力することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、バンドパスフィルタ処理による過度圧力信号処理について示す。
図10は、噴射イベント区間における燃料圧力センサ37の検出値と判定された燃料圧力から、当該検出値と判定された燃料圧力に対応する噴射された燃料噴射量の推定値を求める第2の過度圧力信号処理手順を示すフローチャートである。
第2実施形態で示される第2の過度圧力信号処理は、図1で示されるブロック図の噴射量制御装置10に適用されるものであり、図8に示されたフローチャートでの信号処理手順における過度圧力信号処理(ステップSa5)に適応されるものである。
したがって、図8で示された処理において、上記過度圧力信号処理(ステップSa5)以外は、同じ処理が行われ、以下異なる処理であるステップSa5の過度圧力信号処理を説明する。
第2実施形態における第2の過度圧力信号処理は、ECU2のROMに配置されるプログラムによって実施される領域指定での微分処理、バンドパスフィルタ処理、流量(Q)変換処理の各ステップにより処理される。以下、第1実施形態と処理の異なるバンドパスフィルタ処理について示す。
第2実施形態におけるバンドパスフィルタ処理は、周波数領域における信号補正処理として用いられるバンドパスフィルタ処理を適用する。バンドパスフィルタ処理は、通過帯域の特性を例えば、低域遮断周波数を200Hz(ヘルツ)として、高域遮断周波数を10kHz(キロヘルツ)とすることができる。この周波数特性は、適応させる燃料圧力センサ37および測定対象となるコモンレール13などの仕様により異なる値をとり、コモンレール13における圧力変化特性として必要とされる周波数範囲の特性を増幅することができる。
第2実施形態における過度圧力信号処理を手順に従って示す。
ECU2における領域指定での微分処理は、ECU2内部のRAMに割り付けられている入力信号テーブルに記録された検出値から、噴射イベント領域に該当する範囲を特定し、噴射イベント領域と判定された信号に基づいて微分演算処理を行う。ECU2における領域指定での微分処理は、微分された情報をECU2内部のRAMに割り付けられている微分結果情報テーブルに記録する(ステップSc1)。ECU2におけるバンドパスフィルタ処理は、微分結果情報テーブルを参照し、微分演算処理が行われた情報に対しバンドパスフィルタ処理を行って、バンドパスフィルタ処理された結果を、ECU2内部のRAMに割り付けられている圧力信号補償情報テーブルに記録する(ステップSc2)。ECU2における流量(Q)変換処理は、圧力信号補償情報テーブルを参照し、信号補償処理が行われた情報に基づいて、以上に示された一連の演算処理されることによって噴射された燃料の推定燃料噴射量Qinjハットを前述の式(3)で示される演算によって求めることができ、処理を終了する(ステップSc3)。
ECU2における過度圧力信号処理(ステップSa5)による信号処理は、バンドパスフィルタ処理(ステップSc2)を行うものであり、信号処理過程における直流成分に影響されることなく、信号処理を行うことができ、温度など環境条件にも影響されることなく圧力変化が生じた信号を検出することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、ローパスフィルタ処理による過度圧力信号処理について示す。
図11は、噴射イベント区間における燃料圧力センサ37の検出値と判定された燃料圧力から、そのとき噴射された燃料噴射量の推定値を求める第3の過度圧力信号処理手順を示したフローチャートである。
第3実施形態で示される第3の過度圧力信号処理は、図1で示されるブロック図の噴射量制御装置10に適用されるものであり、図8に示されたフローチャートでの信号処理手順における過度圧力信号処理(ステップSa5)に適応されるものである。
したがって、図8で示された処理において、上記過度圧力信号処理(ステップSa5)以外は、同じ処理が行われ、以下異なる処理であるステップSa5の過度圧力信号処理を説明する。
第3実施形態における第3の過度圧力信号処理は、ECU2のROMに配置されるプログラムによって実施される領域指定での微分処理、ローパスフィルタ処理、流量(Q)変換処理の各ステップにより処理される。以下、第1実施形態と処理の異なるローパスフィルタ処理について示す。第3実施形態におけるローパスフィルタ処理は、周波数領域における信号補正処理として用いられるローパスフィルタ処理を適用する。ローパスフィルタ処理は、通過帯域の特性を例えば、高域遮断周波数を10kHz(キロヘルツ)とすることができる。
第3実施形態における過度圧力信号処理を手順に従って示す。
ECU2における領域指定での微分処理は、ECU2内部のRAMに割り付けられている入力信号テーブルに記録された検出値から、噴射イベント領域に該当する範囲を特定し、噴射イベント領域と判定された信号に基づいて微分演算処理を行う。ECU2における領域指定での微分処理は、微分された情報をECU2内部のRAMに割り付けられている微分結果情報テーブルに記録する(ステップSd1)。ECU2におけるローパスフィルタ処理は、微分結果情報テーブルを参照し、微分演算処理が行われた情報に対してローパスフィルタ処理を行って、ローパスフィルタ処理された結果を、ECU2の内部のRAMに割り付けられている圧力信号補償情報テーブルに記録する(ステップSd2)。ECU2における流量(Q)変換処理は、圧力信号補償情報テーブルを参照し、信号補償処理が行われたローパスフィルタ処理された情報に基づいて、以上に示された一連の演算処理されることによって、噴射された燃料の推定燃料噴射量Qinjハットを前述の式(3)で示される演算によって求めることができ、処理を終了する(ステップSd3)。
ECU2における過度圧力信号処理(ステップSa5)による信号処理は、ローパスフィルタ処理(ステップSd2)を行うものであり、不要となる高域成分の除去することができ、実際に必要となされる周波数帯域の情報を抽出でき、低周波成分に含まれる変化まで再生することができ、再生波形における大きさについてよく再生することができる。
燃料噴射弁6は、仮想圧力出力生成手段により得られた値に基づいて制御されることにより、燃料の圧力検出手段に応答性の低い燃料圧力センサで検出された信号が波形歪を含んだり、検出時間が実際の燃料圧力変化より遅れたりすることが発生しても、仮想圧力生成手段によって信号処理されることにより、所望の圧力変化波形に匹敵する応答波形を抽出することができるので、燃料噴射が行われたタイミングと噴射時間、噴射によって変化した燃料圧力などの情報を得ることができる。
また、燃料圧力センサ37は、検出応答性を示す時定数が200マイクロ秒より大きくすることにより、時定数が200マイクロ秒を超える応答性の低い燃料圧力センサを用いても、信号処理を行うことで所望の情報を得ることができる。
また、燃料圧力センサ37は、燃料噴射弁6によって続けて噴射されるパイロット噴射とメイン噴射のそれぞれの圧力変動を検出した際に、それぞれの圧力変動量が重複せずに検出できる応答性能を有することにより、連続して燃料が噴射されたときの燃料圧力変化を分離して検出することができる時定数の燃料圧力センサ37であれば、所望の情報を得ることができる。平均圧力を検出する際に従来から用いられていた応答性の低い燃料圧力センサ37によっても、応答性の高い燃料圧力センサ並みの情報を再生することができ、適切な量の燃料を噴射する制御を行うことができる。
なお、ステップSa2における処理で、噴射イベント区間は、図2に示された「プレ噴射」から「ポスト噴射」までの連なった区間として示したが、「プレ噴射」から「ポスト噴射」までの連なった区間とせずに、それぞれ実際に噴射を行うタイミングと噴射を行わないタイミングとを区別し、噴射を行うタイミングを噴射イベント区間とすることも可能である。分割された噴射イベント区間とすることで、噴射を行っていないときのタイミングでの処理をステップSa4の処理とすることができ、その間に検出された燃料圧力センサ37の情報に基づいて圧力制御を行うことを可能とすることができる。
なお、本実施形態では、燃料噴射弁6の数を4個、コモンレール13の数を1個として説明しているが、それぞれ4個と1個に制限されるものではなく、エンジン1の構成によってその数量は任意に設定することができる。
なお、エンジン1はディーゼルエンジンであることとして説明したが、この燃料噴射制御装置10はガソリンエンジンに対する適応も可能である。
また、本発明は、船外機のような船舶推進機用の内燃機関を含む、様々な産業用の内燃機関に適用することが可能である。
本発明の第1実施形態における燃料噴射制御装置を示すブロック図である。 燃料噴射制御装置におけるマルチ噴射を示すグラフである。 第1実施形態における各種燃料圧力センサの応答性を示すグラフ(その1)である。 第1実施形態における各種燃料圧力センサの応答性を示すグラフ(その2)である。 第1実施形態における燃料圧力センサの応答性を示すグラフである。 第1実施形態における各種燃料圧力センサの応答性を示す表である。 第1実施形態における応答性の低い燃料圧力センサの信号を信号処理した結果を示すグラフである。 第1実施形態における応答性の低い燃料圧力センサ37の信号を信号処理する手順を示すフローチャート(その1)である。 第1実施形態における応答性の低い燃料圧力センサ37の信号を信号処理する手順を示すフローチャート(その2)である。 第2実施形態における応答性の低い燃料圧力センサ37の信号を信号処理する手順を示すフローチャートである。 第3実施形態における応答性の低い燃料圧力センサ37の信号を信号処理する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 ECU(出力データ選択手段、仮想圧力生成手段)
6 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
10 燃料噴射制御装置
13 コモンレール(燃料供給手段)
37 燃料圧力センサ(圧力検出手段)

Claims (6)

  1. 内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射制御装置において、
    前記燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記内燃機関の燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    前記燃料噴射手段への燃料圧力を検出して燃料圧力信号を出力する圧力検出手段と、
    検出された燃料圧力信号から特定の燃料圧力出力データを選択する出力データ選択手段と、
    前記出力データ選択手段により選択された燃料圧力出力データに対して信号処理することにより仮想圧力出力を生成する仮想圧力生成手段と
    を備え、
    前記燃料噴射手段は、
    前記仮想圧力出力生成手段により得られた仮想圧力出力に基づいて制御される
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記圧力検出手段は、
    応答性を示す時定数が200マイクロ秒より大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記圧力検出手段は、
    前記燃料噴射手段によるパイロット噴射とメイン噴射のそれぞれの圧力変動を検出した際に、それぞれの圧力変動量を分離して検出できる応答性能を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、
    位相進み処理を有する処置とする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  5. 前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、
    バンドパスフィルタ処理を有する処置とする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  6. 前記仮想圧力生成手段による前記信号処理は、
    ローパスフィルタ処理を有する処置とする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012062849A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Denso Corp 燃料噴射波形演算装置

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