JP2009299058A - 液体洗剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
還元性漂白剤から発生する可能性のある悪臭の発生を予防することによって、還元漂白によって除去可能な汚れを取り去ることができる液体洗剤組成物を提供する。
【解決手段】
本発明の液体洗剤組成物は、界面活性剤と亜硫酸アルカリ金属塩とグリセリンと水とを含む組成物であって、界面活性剤の含有量が1乃至40重量部であり、亜硫酸アルカリ金属塩を当モルの亜硫酸2ナトリウムの重量に換算した亜硫酸アルカリ金属塩の重量と、グリセリンの重量と、水の重量と、の和を100重量部とした場合(重量部は以下同じ)、亜硫酸アルカリ金属塩の含有量が1乃至30重量部であり、グリセリンの含有量が7乃至49・5重量部であり、水の含有量が35乃至89・1重量部であり、且つ組成物のpHが3.5乃至9である。
【選択図】 なし
Description
亜硫酸塩を3.1〜10重量%含有する粒状洗剤組成物が開示されている(例えば特許文献1を参照)。しかし、亜硫酸塩は洗濯水が酸性になると刺激臭を有する亜硫酸ガスを発生し、更に、亜硫酸塩は空気中の酸素によって徐々に分解されるという欠点を有する。このために、単に界面活性剤と亜硫酸塩とを加えただけの組成物は一般家庭用の還元漂白性を有する洗濯用洗剤として用いることには問題があった。
亜硫酸アルカリ金属塩を当モルの亜硫酸2ナトリウムの重量に換算した亜硫酸アルカリ金属塩の重量と、グリセリンの重量と、水の重量と、の和を100重量部とした場合(重量部は以下同じ)、界面活性剤の含有量が1乃至40重量部であり、亜硫酸アルカリ金属塩の含有量が1乃至30重量部であり、グリセリンの含有量が7乃至49.5重量部であり、水の含有量が35乃至89.1重量部であり、且つ組成物のpHが3.5乃至9であることを特徴とする。
また本発明は、亜硫酸アルカリ金属塩が亜硫酸2ナトリウムであり、界面活性剤がアルキルポリグルコシドであり、pH調整剤がクエン酸又はクエン酸3ナトリウム若しくはそれらの混合物であることが好ましい。
また本発明の液体洗剤組成物は、アルミニウムラミネート加工されたプラスチック容器に保存されることが好ましい。
亜硫酸アルカリ金属塩と界面活性剤とを水に溶解した溶液に、pH調整剤をグリセリンに溶解した溶液を加えることを特徴とする。
本発明の液体洗剤組成物に還元性漂白剤として配合する亜硫酸塩としては、亜硫酸2ナトリウム、亜硫酸2カリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属塩の一種又は二種以上の混合物をすることができるが、これらの中で亜硫酸2ナトリウムが最も入手し易く好ましい。
亜硫酸2ナトリウムの使用量はより好ましくは2〜20重量部である。亜硫酸2ナトリウムの含有量が2重量部以上あれば強力な還元漂泊力を有し、20重量部以下であれば20重量%濃度のグリセリン水溶液に溶解させることができる。
グリセリンは亜硫酸ガスを良好に吸収する。本発明の液体洗剤組成物は、グリセリンと水(=グリセリン水溶液)と界面活性剤と亜硫酸塩とpH調整剤とを含む液体洗剤組成物であって、亜硫酸塩から発生する可能性がある亜硫酸ガスをグリセリン水溶液に吸収させて悪臭の発生を未然に防止した点に特徴を有する。また、グリセリンは香料の水への溶解補助剤としての機能も有する。
即ち、実施例1に示すように、グリセリンの濃度が10重量%より低いと、亜硫酸ガスの吸収力が不足することがある。グリセリン水溶液の濃度が高い方が亜硫酸ガスの吸収力が強いが、亜硫酸2ナトリウムに対する溶解度が低下する。実施例2に示すように、グリセリン水溶液の濃度が60重量%以上であると亜硫酸2ナトリウムに対して充分な溶解度が得られないことがある。
本発明の液体洗剤組成物に用いる界面活性剤は、洗濯用洗剤として用いることができるものであれば、陽イオン界面活性剤と、陰イオン界面活性剤と、非イオン界面活性剤と、それらの混合物と、の何れでもよい。本発明の液体洗剤組成物は亜硫酸塩を配合するので、イオン間の相互作用をを起こさない非イオン界面活性剤がより好ましい。界面活性剤の最も好ましい実例として、ポリアルキルグルコシドを挙げることができる。アルキルポリグルコシドは、下式(2)
本発明の液体洗剤組成物は、洗濯液が酸性になって亜硫酸ガスが発生したり、アルカリ性になって絹・羊毛などの動物性繊維の生地が傷んだりするのを防止する目的で、pHを中性付近に調節することが好ましい。本発明の液体洗剤組成物はpH3.5〜9の範囲に調節されることが好ましい。実施例1に示すように、pH3.5以下の酸性では亜硫酸ガスが発生して亜硫酸ガス臭が感知されることがあるが、pH3.5以上であれば30重量%濃度のグリセリン水溶液によって亜硫酸ガスを吸収する効果がみられる。亜硫酸ガスの発生を防ぐためにはpHが高い方が好ましいが、pH9以上では絹・羊毛などの動物性繊維の生地が傷むことがあり、好ましくない。
より好ましくは、液体洗剤組成物のpHはpH5〜8の範囲である。pH5以上であれば、グリセリン水溶液の濃度を上げれば亜硫酸ガスの発生を阻止でき、pH8以下であれば絹・羊毛などの動物性繊維の生地を傷めることが更に少ない。最も好ましくは、pH6〜8の範囲である。pH6以上であれば、更に確実に亜硫酸ガスの発生を防止できる。
本発明の香料含有量は0.01〜1重量部、より好ましくは0.03〜0.5重量部であり、更に好ましくは、0.05〜0.3重量部である。
本発明の液体洗剤組成物は、上記成分を含有する限り任意の方法で各成分を任意の順序で混合して製造することができる。例えば、亜硫酸塩の濃厚水溶液とアルキルポリグルコシドの濃厚水溶液とを所定の比率で混合した後に、混合液のpHをpH調整剤で調整し、水を加えて100重量部とすることによって製造することができる。
より好ましくは、水に亜硫酸2ナトリウムを加えて溶解させ、次いでアルキルポリグルコシドを加えて溶解させた溶液に、グリセリンにpH調整剤を加えて溶解した溶液を加える。この方法によって亜硫酸2ナトリウムと酸性のpH調整剤を加えると、pH調整剤を加える際に発生することがある亜硫酸ガスの発生を未然に防止することができる。
25℃に於いて、40個の100mlのビーカーの各々に10.0gの亜硫酸2ナトリウムを取り、水39gを加えて溶解させ、次いでこの溶液にアルキルポリグルコシド10gを加えて溶解させた。ビーカー群を8個づつの5組に分け、各組は、夫々最終的に5、10、15、20、及び30重量%のグリセリン濃度になるような量のグリセリンを加え、次いで各組内のビーカーの夫々を飽和クエン酸水溶液でpH3、3.5、4、5、6、7、8、及び9に調整し、更に全ビーカーの全量が100gとなるように各ビーカーに水を加えて、表1に示す、グリセリン水溶液のグリセリン濃度と組成物のpHとを有する液体洗剤組成物を調製した。得られた組成物の香気を官能試験によって検査した。検査結果を以下に示す基準に基づいて評価した。
○ 亜硫酸ガスの匂いが全く認められない
△ 僅かに異臭を認める
× 亜硫酸ガスの匂いがする
結果を表3に示す。
25℃に於いて、表示された濃度のグリセリン水溶液100gに対し、表2の[重量%]列に表示した亜硫酸2ナトリウムの含有量[重量%]になるように、添加量列に表示された[g]数の亜硫酸2ナトリウムを加え、更にクエン酸を加えてpH7とした場合の亜硫酸2ナトリウムの溶状を示す。試験結果を以下に示す基準に従って評価した。試験結果を表4に示す。
○ 完全に溶解する。
△ 大部分溶解し、少量の不溶解物が残る。
× 不溶解物が残る。
25℃に於いて、10gの亜硫酸2ナトリウムと水33gを100mlのビーカーに取って溶解させ、更にアルキルポリグルコシド10gを水17gに溶解した溶液を加えた。次いで、グリセリン24.0gを加えた後、18重量%のクエン酸水溶液を用いてpH7に調整し、全量が100gとなるように水を加えて、30重量%濃度のグリセリン水溶液を含む液体洗剤組成物を得た。
上記で製造した液体洗剤組成物を8倍に希釈した洗濯液と、24倍に希釈した洗濯液と、を用意した。
界面活性剤として、アルキルオキシ硫酸ナトリウムと、脂肪酸アルカノールアミドと、アルキルベタインと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、から構成される界面活性剤を合計で48重量%含む液体洗剤(市販品)を8倍に希釈した洗濯液を用意した。
洗濯力(%)=[(W−w)/W]×100
測定機器:白色度計、コニカミノルタ社製 形式CR−14
25℃に於いて、100mlのビーカーに10gの亜硫酸2ナトリウムと水33gを取って溶解させ、更にアルキルポリグルコシド12gに水17gに溶解した溶液を加えた後、グリセリン26.4gを加え、18重量%のクエン酸水でpH7に調整し、全量が100gとなるように水を加えることによって、本発明に係る30重量%濃度のグリセリン水溶液を含む液体洗剤組成物を得た。上記液体洗剤組成物を100重量倍に希釈して洗濯液とした。
25℃に於いて、100mlをビーカーに水50mlを取ってアルキルポリグルコシド12gを溶解させ、クエン酸緩衝液でpH7に調整して、全量が100gとなるように水を加えることによって、30重量%濃度のグリセリン水溶液を含む記比較例2の液体洗剤組成物を得た。上記比較例2の液体洗剤組成物を100重量倍に希釈して比較例2の洗浄液とした。
(比較例3)
水を用いて実施例4と同様に各モデル汚染布を処理し、処理後の白色度(W)を測定した。
実施例4と比較例2、3とで調製した洗浄液を40℃に加温し、各洗浄液に各モデル汚染布を浸漬して緩やかに攪拌し、3分後にその内の5枚を取り出し、5分後に残りの5枚を取り出して、夫々を電気洗濯機を用いて通常の脱水と濯ぎのサイクルを2回繰り返した後に脱水し、風乾した後に試験片の白色度(W)を測定した。結果は表6に平均値で示す。
測定機器:白色度計、コニカミノルタ社製 形式CR−14
実施例4及び比較例2、3の結果を表6に示した。結果は平均値で示す。
25℃に於いて、表7に記載した試験例1〜7の液体洗剤組成物を調製した。即ち、各試験例夫々につき、表7に記載した重量から5g引いた重量の水を夫々の100mlのビーカーに取り、夫々の重量の亜硫酸2ナトリウムを加えて溶解させ、次いでアルキルポリグルコシド12gを加えて溶解させ、所定量のグリセリンを加え、飽和クエン酸水溶液でpH7に調整し、全量が100gとなるように水を加えて30重量%濃度のグリセリン水溶液を含む試験例1〜7の液体洗剤組成物を得た。上記液体洗剤組成物を100重量倍に希釈して洗濯液とした。
25℃に於いて、100mlのビーカーに水55mlを取ってアルキルポリグルコシド12gを溶解させ、グリセリン26.4gを加えた後、pH7の緩衝液でpH7に調整し、全量が100gとなるように水を加えて比較例4の液体洗剤組成物を得た。上記比較例4の液体洗剤組成物を100重量倍に希釈して比較例4の洗浄液とした。
試験例1〜7の洗濯液及び比較例4の洗濯液夫々を40℃に加温し、各洗濯液にモデル汚染布を浸漬して緩やかに攪拌し、1分後に取り出し、夫々を電気洗濯機を用いて通常の脱水とすすぎのサイクルを2回繰り返した後に乾燥し、試験片の白色度(W)を測定した。
測定機器:白色度計、コニカミノルタ社製 形式CR−14
測定結果を表8に示す。
図1及び表8に示すように、試験例1の亜硫酸2ナトリウムの含有量が0.5重量部である試験例1の洗剤で洗浄した試験片の白色度(W)は、亜硫酸2ナトリウムの含有量が10重量部である試験例7の洗剤で洗浄した試験片の白色度の約60%であり、還元漂泊作用が十分ではない。亜硫酸2ナトリウムの含有量は1重量部以上であることが好ましい。
亜硫酸2ナトリウムは漂白と自動酸化によって消費されるので、亜硫酸2ナトリウムの含有量は2重量部以上であることがより好ましい。
溶解槽に水50.3kgを取り、亜硫酸2ナトリウム10kgを加えて溶解させ、次いでアルキルポリグルコシド12kgを加えて攪拌溶解した。別の容器に、グリセリン23.4kgを取り、18%クエン酸水溶液4.3kgを加えて攪拌した。次いで、亜硫酸2ナトリウムとアルキルポリグルコシドとの水溶液に、攪拌しながら、クエン酸のグリセリン溶液を加えて本発明に係る液体洗剤組成物を製造した。
本実施例において、クエン酸をグリセリンに溶解させずに加えた場合は亜硫酸ガスが発生した。
Claims (10)
- 界面活性剤と亜硫酸アルカリ金属塩とグリセリンと水とを含む組成物であって、
前記亜硫酸アルカリ金属塩を当モルの亜硫酸2ナトリウムの重量に換算した亜硫酸アルカリ金属塩の重量と、グリセリンの重量と、水の重量と、の和を100重量部とした場合(重量部は以下同じ)、前記界面活性剤の含有量が1乃至40重量部であり、前記亜硫酸アルカリ金属塩の含有量が1乃至30重量部であり、前記グリセリンの含有量が7乃至49.5重量部であり、前記水の含有量が35乃至89.1重量部であり、且つ前記組成物のpHが3.5乃至9であることを特徴とする液体洗剤組成物。 - 前記亜硫酸アルカリ金属塩の含有量が2乃至20重量部であり、前記グリセリンの含有量が8乃至29.4重量部であり、前記水の含有量が56乃至88.2重量部であり、且つ前記組成物のpHが6乃至8であることを特徴とする液体洗剤組成物。
- 前記亜硫酸アルカリ金属塩が、亜硫酸2ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体洗剤組成物。
- 前記界面活性剤が、アルキルポリグルコシドであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 前記アルキルポリグルコシドの含有量が、1乃至40重量部であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 前記組成物が、更に、pH調整剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 前記pH調整剤が、クエン酸又はクエン酸3ナトリウム若しくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 前記pH調整剤の含有量が、0.1乃至10重量部であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 前記液体洗剤組成物は、アルミニウムラミネート加工されたプラスチック容器に保存されたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の液体洗剤組成物。
- 界面活性剤と亜硫酸アルカリ金属塩とグリセリンと水とpH調整剤とを含む組成物であって、
前記亜硫酸アルカリ金属塩を当モルの亜硫酸2ナトリウムの重量に換算した亜硫酸アルカリ金属塩の重量と、グリセリンの重量と、水の重量と、の和を100重量部とした場合(重量部は以下同じ)、前記界面活性剤の含有量が1乃至40重量部であり、前記pH調整剤の含有量が、0.1乃至10重量部であり、前記亜硫酸アルカリ金属塩の含有量が1乃至30重量部であり、グリセリンの含有量が7乃至49.5重量部であり、水の含有量が35乃至89.1重量部であり、且つ前記組成物のpHが3.5乃至9である液体洗剤組成物の製造方法において、
前記亜硫酸アルカリ金属塩と前記界面活性剤とを前記水に溶解した溶液に、前記pH調整剤を前記グリセリンに溶解した溶液を加えることを特徴とする液体洗剤組成物の製造方法。
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