JP2009298660A - 成型体の製造方法、その製造方法を用いた補修方法及びその成型体の粉末を含有する難燃性付与材 - Google Patents

成型体の製造方法、その製造方法を用いた補修方法及びその成型体の粉末を含有する難燃性付与材 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性、耐熱性等に優れた成型体の製造方法を提供すること。更には、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分を作業性良く補修でき、補修後の最終状態の成型体(傷部分等に充填された成型体)が、難燃性、耐熱性、耐ひび割れ性等に優れた成型体の製造方法や補修方法を提供すること。また、該成型体を微粉化してなる粉体を含有する難燃性付与に優れた難燃性付与材を提供すること。
【解決手段】少なくとも、ポリ塩化アルミニウム、酸化マグネシウム及びフィラーを配合して硬化させることを特徴とする成型体の製造方法。また、それらに更に、糖類、カルボン酸類、アルコール類、熱硬化性樹脂等を配合する成型体の製造方法、補修方法、難燃性付与材。
【選択図】なし

Description

本発明は、成型体の製造方法、その製造方法で製造された成型体、該成型体をひび割れ部分等にその補修のために形成させる補修方法に関する。また、該成型体の製造方法を用いて成型された成型体を微粉化してなる粉体を含有する難燃性付与材に関する。
アスファルト、コンクリート等で形成された壁、それら等で舗装された道路等のひび割れ部分を補修するために、通常、シーラント等をひび割れ部分に注入し、それを固化させることによって、ひび割れ部分を埋める方法が用いられる。従来、シーラントとしては、例えば、溶融アスファルト、溶融ゴムアスファルト、アスファルト乳剤、ゴムラテックス添加アスファルト乳剤等のアスファルト系材料;アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂系材料;等が用いられてきた。
しかしながら、上記シーラントは、硬化の際又は温度変化による体積収縮の影響を受け易く、またひび割れ内に隙間を生ずる、アスファルト、コンクリート等との接着性に乏しい、等の不都合が発生する場合があり、改善が求められていた。
特許文献1には、アスファルト系素材をシーラントとして用いる際に、揮発性の石油精製留分を添加し、次いで発泡剤を混合して加熱することにより微小な気泡を発生させることで、舗装亀裂内への付着性の良いシーラントを提供する技術が報告されている。また、特許文献2には、セメント中にポリ塩化アルミニウムを含有させることでセメントの固化を早める技術が報告されている。すなわち、ポリ塩化アルミニウム中のアルミニウム塩が、セメントから溶解した水酸化カルシウムと反応し、セメント懸濁液中で沈澱化しセメントの流動性を低下させる技術が開示されている。しかしながら、これらの技術では上記した問題点を完全には解消できなかった。
また、ポリ塩化アルミニウムを用いた技術は、本発明者によっても、既に報告されている。しかしながら、特許文献3は、ポリ塩化アルミニウムを主成分とする不燃化組成物(対象物に不燃性を与える組成物)に関するものであり、酸化マグネシウムについては使用されておらず、成型体を形成させてひび割れ等を補修することは勿論、それ自体で成型体を形成させることは開示されていない。また、特許文献4は、ラウリン酸含有植物油脂系石鹸質素材とポリ塩化アルミニウム、金属酸化物系フィラーを複合化することを特徴とする難燃性組成物に関するものであるが、酸化マグネシウムとフィラーの両方を必須成分とするものではなく、難燃性組成物(対象物又は被着体に不燃性を与える組成物)としての効果を得るものであって、成型体を形成させてひび割れ等を補修するものではないことは勿論、それ自体で成型体を形成させるものでもない。
特開2001−348486号公報 特開2004−360454号公報 特開2007−138365号公報 特開2008−101179号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、難燃性、耐熱性等に優れた成型体の製造方法を提供することにある。更には、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分を、作業性良く補修でき、また補修後の最終状態の成型体(傷部分等に充填された成型体)が、難燃性、耐熱性、耐ひび割れ性等に優れた「成型体の製造方法」や補修方法を提供することにある。また、該成型体を微粉化してなる粉体を含有する難燃性付与性能に優れた難燃性付与材を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリ塩化アルミニウム、酸化マグネシウム及びフィラーを配合して硬化させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、ポリ塩化アルミニウム、酸化マグネシウム及びフィラーを配合して硬化させることを特徴とする成型体の製造方法を提供するものである。
また本発明は、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分に、その補修のために該成型体を形成させる成型体の製造方法を提供するものである。また本発明は、上記成型体の製造方法を用いることを特徴とする、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分の補修方法を提供するものである。
また本発明は、上記成型体の製造方法を用いて成型されたことを特徴とする成型体を提供するものである。
また本発明は、上記成型体の製造方法を用いて成型された成型体を微粉化してなる粉体を含有することを特徴とする難燃性付与材を提供するものである。
本発明によれば、熱を加えなくても化学反応により短時間で硬化し、硬化前の粘度を比較的低くできて作業性が良く、硬化中の体積収縮が小さいためにひび割れ等が生じない成型体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記効果を有するために、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分の補修に対して極めて良くマッチングした成型体の製造方法を提供することができる。
また、こうして得られた成型体は、不良導体ではないため(半導体であるため)、電荷を逃がし、帯電防止機能や防爆機能がある。また、本発明の成型体を微粉化してなる粉体を対象物に付与した場合、該対象物に、高い難燃性と耐熱性を与えることができる。また、本発明の成型体の製造方法、それによって得られた成型体及びその成型体を用いた難燃性付与材は、何れも低コストで取り扱いが容易であり、環境に対する負荷が少ない。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形することができる。
本発明の難燃性付与用又は難燃性成型体形成用複合材料は、少なくとも、下記の(a)、(b)及び(c)
(a)ポリ塩化アルミニウム
(b)酸化マグネシウム
(c)フィラー
を含有する。
<(a)ポリ塩化アルミニウム>
「ポリ塩化アルミニウム」とは、[Al(OH)Cl6−n(1≦n≦5)で表わされる物質で、OHが橋かけしたアルミニウムの多核錯体を主成分とするもの、又はその水溶液をいう。水酸化アルミニウムを塩酸に溶解させ、加圧下又は要すれば溶解助剤を加え、これに重合促進剤として硫酸基を添加して反応させたものが好ましい。溶解助剤や重合促進剤は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされない。また、上記式中、mは10以下が好ましい。
「固形のポリ塩化アルミニウム」又は「ポリ塩化アルミニウムの水溶液」は、通常「PAC」と称されるので、以下、本発明でも、それらを総称して、「PAC」と略記する場合がある。本発明には、「ポリ塩化アルミニウム」又は「PAC」と称して、水の浄化用又は廃水処理用に一般に市販されているものも好適に使用できる。また、PACとしては、水溶液として液体状のもの、固体状のものの何れも使用することができる。本発明においては、PAC中のアルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が10.0〜11.0質量%のもの(例えば、「JIS K 1475」に記載のもの)等が好適に用いられる。
<(b)酸化マグネシウム>
本発明において、酸化マグネシウムは、上記したPACと反応することによって、液状のPACを固体状のものに変えて成型体を形成させる。また、成型体の硬度を増大させることができる。また、成型体の難燃性を向上させる効果もある。
なお、本発明において用いられる酸化マグネシウムは、PACに混合されると、「PAC中に含有される水」又は「新たに配合した水」に溶解し反応する。後述するフィラーとして用いられる酸化アルミニウム等の「水に不溶の粒子」とは異なる。なお、酸化マグネシウムは、水を含まない粉末状のものをそのまま配合してもよいし、予め水に溶解又は分散させたものを配合してもよい。予め水に溶解又は分散させたものを配合する場合、水が加わった分、PACとの反応を遅延させ、均一に反応を進行させることができる。
<(c)フィラー>
本発明の難燃性付与用又は難燃性成型体形成用複合材料は、更にフィラーを含有させることが必須である。「フィラー」とは、固体状態であり水に不溶な粒子のことをいう。フィラーの配合によって、成型体の強度や硬度、密度、耐熱性等を向上させることができ、コスト低減等が可能になる。
上記フィラーとしては、上記効果を有するものであれば特に限定はないが、「鉱物質粒子、中空粒子からなる群より選ばれる無機フィラー」、「植物質粒子、合成樹脂粒子及び炭素質粒子からなる群より選ばれる有機フィラー」、「廃棄物粒子又は選鉱粒子」等が挙げられる。
フィラーの体積平均粒径としては、難燃性の向上、粘度・流動性、ひび割れ等への注入性、成型性等の点から、0.01μm〜5mmが好ましく、0.1μm〜1mmがより好ましく、1μm〜200μm特に好ましく、3μm〜100μmが更に好ましい。一般に「フィラー」という場合、100μm以下の微細な粒子をさす場合が多いが、本発明では、数ミリ程度の比較的大きな粒子も、上記効果を奏するものであれば、「フィラー」に含める。
1.無機フィラー
「無機フィラー」とは、無機物質よりなるフィラーをいい、具体的には特に限定はないが、鉱物質粒子又は中空粒子が好ましい。
1.1 鉱物質粒子
本発明において「鉱物」とは、天然に産する一定の化学組成と結晶構造を有した無機物質をいい、「鉱物質粒子」とは、鉱物よりなる粒子のことをいう。本発明に用いられる「鉱物質粒子」としては、フィラーとしての役割を果たすものであれば特に限定はないが、例えば、以下の鉱物よりなる粒子が挙げられる。
元素鉱物(自然銀(Ag)、自然銅(Cu)、自然鉄(Fe)、黒鉛(C)等)、
硫化鉱物(黄鉄鉱(FeS)、白鉄鉱(FeS)等)、
酸化鉱物(赤銅鉱(CuO)、コランダム(アルミナ;Al)、石英(ケイ砂、シリカ;SiO)等)、
水酸化鉱物(ダイアスポア(AlO(OH))、水滑石(Mg(OH))等)、
ハロゲン化鉱物(岩塩(NaCl)、蛍石(CaF)等)、
炭酸塩鉱物(方解石(CaCO)、菱鉄鉱(FeCO)、苦灰石(CaMg(CO)等)、
硝酸塩鉱物(硝石(KNO)等)、
硼酸塩鉱物(ホウ砂(Na(OH)・8HO)等)、
硫酸塩鉱物(石膏(CaSO・2HO)等)、
クロム酸塩鉱物(紅鉛鉱(PbCrO)等)、
燐酸塩鉱物(フッ素燐灰石(Ca(PO)3F)、緑鉛鉱(Pb(PO)3Cl)等)、
ネソ珪酸塩鉱物(ジルコン(ZrSiO)、珪線石(AlSiO)等)、
ソロ珪酸塩鉱物(灰簾石(CaAlAl(Si)(SiO)O(OH)等)、
サイクロ珪酸塩鉱物:
イノ珪酸塩鉱物:
輝石群;
角閃石群;
フィロ珪酸塩鉱物:
カオリナイト(AlSi(OH));
蛇紋石(クリソタイル石(MgSi10(OH))等);
スメクタイト群(モンモリロナイト((Na,Ca)0.33(Al,Mg)Si10(OH)・nHO)等);
タルク(滑石)(MgSi10(OH));
マイカ(雲母)群(白雲母(KAl(AlSi)O10(OH))、金雲母(KMgAlSi10(OH,F))、鉄雲母(KFeAlSi10(OH,F))、イライト、海緑石等);
緑泥石群(クリノクロア石((Mg,Fe)Al(SiAl)O10(OH))等)、
テクト珪酸塩鉱物:
長石群(正長石(KAlSi)、曹長石(NaAlSi)、灰長石(CaAlSi)等);
ゼオライト(沸石)群(方沸石(NaAlSi・HO)、濁沸石(CaAlSi1648・18HO)、ソーダ沸石(NaAlSi10・2HO)、灰輝沸石(Ca0.5,Sr0.5,Ba0.5,Mg0.5,Na,K)9AlSi2772・〜24HO)等);
以上は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記鉱物の集合体である各種岩石(火成岩、堆積岩、変成岩)の粉砕物や、上記鉱物の集合体からなる火山灰、軽石、スコリア等の火山砕屑物であってもよい。
本発明において、粘土鉱物を用いることが、充填効果等の理由でとりわけ有用である。ここで、「粘土鉱物」とは、体積平均粒径2μm以下の粘土からなる鉱物のことである。粘土鉱物としては、上で挙げた鉱物の中で、例えば、カオリナイト(高陵石)、モンモリロナイト、セリサイト(絹雲母〜微細な白雲母)、イライト、クロライト(緑泥石)、タルク(滑石)、ゼオライト(沸石)等を主成分とする鉱物や複合鉱物が挙げられる。これらの粘土鉱物を主成分とするものとしては、例えば、ベントナイト(モンモリロナイトを主成分とする変性火山灰の一種)等が挙げられる。
上記鉱物質粒子のうち、本発明においては、タルク、アルミナ、ホウ砂、ジルコンフラワー(ジルコンサンドの粉末)、長石群、ケイ砂(石英を主成分とする砂)、シリカ、ベントナイト等が、製造される成型体の強度や硬度を向上させることができ、コスト低減の理由等からも好適に用いられる。
1.2 中空粒子
本発明において「中空粒子」とは、化学反応や高温処理等により発泡して内部に空洞がある無機粒子をいう。「中空粒子」としては、シラスバルーン(シラス台地より産出された火山砕屑物(シラス)を高温発泡させた中空粒子)、セラミックバルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。
更に、「中空粒子」としては、PACと炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を反応させて得られる粒子も挙げられる。PACと炭酸水素ナトリウムの反応としては、例えば、以下の通りである;
Al換算濃度が10.0〜11.0質量%のPAC100部に対し、炭酸水素ナトリウム10〜50部を攪拌混合させる。このとき、水を適宜加える必要がある。更に添加剤を加えてもよい。炭酸水素ナトリウムの量が多すぎると、反応による発泡が激しいため、気泡の直径が大きくなりすぎて、フィラーとしての役割を果たさない。逆に少なすぎると、発泡が足りず気泡が生成されない。発泡が完了すると固化するので、それを分離して中空粒子を得る。
2.有機フィラー
「有機フィラー」とは、有機物質よりなるフィラーをいい、具体的には特に限定はないが、植物質粒子、合成樹脂粒子又は炭素質粒子が好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
2.1 植物質粒子
植物質粒子とは植物由来の粒子をいい、フィラーとしての役割を果たすものであれば特に限定はないが、例えば、米粉、餅米粉、小麦粉、トウモロコシ粉、片栗粉等の澱粉粒子;木くず、カンナくず等の木質粒子;廃紙、段ボール、シュレッダー紙等の紙類;オカラ残渣;コーヒー粕;トウモロコシ、麦、稲等の残渣;籾殻、蕎麦殻等の穀類殻;等が挙げられる。このうち、本発明においては、小麦粉、紙類、コーヒー粕が、入手のし易さ、使い勝手のよさ等の理由から特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2.2 合成樹脂粒子
合成樹脂粒子としては、フィラーとしての役割を果たすものであれば特に限定はない。硬化性樹脂粒子、熱可塑性樹脂粒子の何れも用いることができる。硬化性樹脂粒子とは、熱又は光によって硬化して粒子状になったものをいい、例えば、フェノール樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、不飽和ポリエステル樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられる。熱可塑性樹脂粒子としては、ポリ酢酸ビニル粒子、ポリ塩化ビニル(PVC)粒子、ポリアクリル酸エステル粒子、ポリメタクリル酸エステル粒子、それらの共重合体粒子等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
本発明においては、水が溶媒・分散媒であるので、合成樹脂粒子の水中エマルションが、合成樹脂粒子の水への分散が既にされていて分散操作が不要であること、PACへの配合が容易であること、粒子として濾過・乾燥等がないので安価であること等の点で好適に用いられる。
2.3 炭素質粒子
炭素質粒子とは炭素(C)からなる粒子をいい、フィラーとしての役割を果たすものであれば特に限定はないが、例えば、竹炭、木炭、天然黒鉛等が挙げられる。炭素質粒子を用いることによって、軽量性や断熱性を向上させることができ、コスト低減等からも好適である。炭素質粒子のうち、本発明においては竹炭が特に好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
3.廃棄物粒子
本発明において「廃棄物粒子」とは、廃棄が必要な不要物であって固形で粒子状のものをいう。フィラーとして廃棄物粒子を用いれば、成型体の製造と廃棄物の処理・無害化が同時にでき、廃棄物を成型体という有価物に変換することができ、更なるコスト低減が達成される。
廃棄物粒子としては特に限定ないが、無機化合物粒子を含有するものが、コスト低減の効果以外に、得られた成型体の強度や硬度を向上させることができる点で好ましい。「無機化合物粒子を含有する廃棄物粒子」としては、種々の目的を持った無機フィラーとバインダー樹脂を含有する複合物;腐葉土等の植物由来の有機物と無機化合物粒子を含む土を含有する土壌等が挙げられる。具体的には、例えば、船舶、浄化槽、浴槽等の材料に汎用されている「硬化性樹脂にガラス繊維を分散させた複合物」(「GFRP」と称されるものが含まれる);建材、石綿スレート、高温配管等の材料に用いられている「モルタル等にアスベストを分散させた複合物」;塗料、接着剤等の白色化や着色に汎用されている「樹脂に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、無機着色顔料、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の粒子が分散された複合物」;配線板材料等の「樹脂に、硫酸バリウム、タルク、無機着色顔料等の粒子が分散された複合物」;石膏ボード、吸音テックス等の解体建材;等が挙げられる。
4.選鉱粒子
「選鉱」とは、採掘した鉱石を、精錬する前に、有用鉱物と不用鉱物とに分離すること、又は異なる複数種類の有用鉱物を互いに分離することをいい、「選鉱粒子」とは、選鉱されたもののうち不用鉱物の方の粒子をいう。選鉱粒子としては特に限定はないが、具体的には、ケイ砂、金属含有鉱物等を有用鉱物として分離したときに生じる不用鉱物等の粒子が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。なお、上記「選鉱粒子」の中でも、本発明においては、選鉱時に懸濁液から沈降させて得られる「選鉱粒子」であることが好ましい。
<(d)カルボン酸類又は糖類>
本発明は、少なくとも、ポリ塩化アルミニウム、酸化マグネシウム及びフィラーを、必須成分として配合して硬化させるが、そこには更に、(d)「カルボン酸類又は糖類」を配合することが好ましい。(d)「カルボン酸類又は糖類」を配合することによって、上記必須成分だけでは高過ぎる粘度を低下させることができる。すなわち、硬化に必要な上記必須成分の含有量を十分含むにもかかわらず、粘度を低下させることができて、補修等に際して作業性が良くなる。また、上記したフィラーの配合よりも、「カルボン酸類又は糖類」を先に配合しておくことによって、粘度が低下して該フィラーを配合し易くなる。
<(d1)カルボン酸類>
本発明において、更にカルボン酸類を含有させてもよい。PAC及び酸化マグネシウムの混合物にカルボン酸類を含有させることで、上記混合物の粘度が下がり、フィラー等の固形分を配合し易くなる、ひび割れ部分等に注入して補修する際に作業性が向上するという効果がある。
本発明において用いられる「カルボン酸類」としては、カルボン酸又はその塩をいい、水に易溶又は可溶で上記効果を達成できるものであれば特に限定はないが、例えば以下のもの又はそれらの塩が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
飽和カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸等)、
不飽和カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)、
ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等)、
芳香族カルボン酸(安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、
ヒドロキシカルボン酸(乳酸、リンゴ酸、クエン酸等)。
塩の場合の陽イオンは特に限定はないが、ナトリウム陽イオン、カリウム陽イオン等のアルカリ金属陽イオン;アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等の四級窒素含有陽イオン;等が挙げられる。
上記カルボン酸類のうち、本発明では、特にクエン酸等のヒドロキシカルボン酸を用いることが、粘度低減の幅が著しい、少量でも粘度低減効果がある等の点から好ましい。クエン酸は食品添加物として通常使用されているものを特に好ましく用いることができる。
<(d2)糖類>
本発明において、更に糖類を含有させてもよい。PAC及び酸化マグネシウムの混合物に糖類を含有させることで、上記混合物の粘度が下がり、フィラーをより配合し易くなり、ひび割れ部分等に注入して補修する際に作業性が向上する。また、得られる成型体の可撓性が向上する。本発明において用いられる「糖類」としては、水に易溶又は可溶で上記効果を達成できるものであれば特に限定はない。具体的には例えば、グルコース、フルクトース等の単糖類;スクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)等の二糖類が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
<(e)熱硬化性樹脂及びその硬化剤>
本発明において、更に(e)「熱硬化性樹脂及びその硬化剤」を含有させてもよい。(e)「熱硬化性樹脂及びその硬化剤」を含有させることで、PACと酸化マグネシウムを混合したときの混合物の硬化をより促進させることができる。また、得られる成型体の可撓性を向上させることができる。成型体の可撓性は、上記糖類と「熱硬化性樹脂及びその硬化剤」の相乗効果により更に向上する。ここで、「熱硬化性樹脂」とは、加熱によって硬化する性質を有する「硬化する前のプレポリマー」をいう。
本発明における加熱は、PACと酸化マグネシウムとを混合したときに発生する反応熱を利用でき、それにより、十分、熱硬化性樹脂の硬化を行うことができる。従って、外から加熱することなく、PAC及び酸化マグネシウムのみならず、熱硬化性樹脂も硬化するため、作業性が極めて良く、得られた成型体の強度・硬度が向上する。
「熱硬化性樹脂」としては、例えば、フェノール樹脂(エノール樹脂)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、DFK樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。このうち、本発明においては、エポキシ樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂を用いることが、硬化性、得られた成型体の物性、コスト等の点から好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、ノボラック型、ポリグリシジルアミン型等が挙げられるが、このうち、本発明においては、ビスフェノールA型等のビスフェノール型のエポキシ樹脂を用いることが、硬化のし易さ、コスト等の点から好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン(MPD)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族アミン;メチルナジック酸無水物(NMA)、メチルテトラヒドロ酸無水物(MTHPA)等の酸無水物等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、オルソフタル酸系、イソフタル酸系、水素化ビスフェノール系、ヘット酸系等が挙げられるが、このうち、イソフタル酸系を用いることが、上記と同様の理由から好ましい。不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン(MPD)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族アミン;メチルナジック酸無水物(NMA)、メチルテトラヒドロ酸無水物(MTHPA)等の酸無水物等が挙げられる。イソフタル酸系等の不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、上記硬化剤を用いるほか、触媒としてメチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)等を、促進剤としてナフテン酸コバルト等を用いることがより好ましい。
<(f)アルコール類>
本発明において、更に(f)アルコール類を含有させてもよい。アルコール類を含有させることで、上記した「熱硬化性樹脂及びその硬化剤」等の有機物と、PAC、酸化マグネシウム、水、無機フィラー等の無機物との分散性や相溶性が向上する。また、前記フィラー全般の分散性が向上する等の効果がある。特に、熱硬化性樹脂及びその硬化剤を配合する場合には、熱硬化性樹脂及びその硬化剤の水への分散性が良好になる。
「アルコール類」としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の2価アルコール類;グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類等が挙げられる。このうち本発明ではエタノールを用いることが環境保護及び安全性の点で好ましい。
エタノールを具体的に本発明で使用する際には、トルエン変性、PAC変性等の変性エタノールを使用してもよい。このうち本発明では、PAC変性エタノール(好ましくは、PAC約15質量%含有エタノール)を用いることが、安全性、コスト低減等の点から好ましい。
<水>
本発明は、少なくとも、PAC、酸化マグネシウム及びフィラーを配合して硬化させるが、その際、水を外から(PACに含まれる水以外に)配合してもよい。すなわち、水は、PACに含有される水を用いてもよいし、配合時に添加することもできる。市販されているPACは、アルミニウムを酸化アルミニウム換算したとき10〜11質量%となる水溶液が一般的であるので、水はそこに含有されているものを用いてもよいし、外部から配合してもよい。
<各成分の配合量>
(a)PACの配合量は、酸化アルミニウム換算10質量%のものを使用した場合、本発明の成型体の製造方法における配合物全体100質量部に対して、10〜80質量部が好ましく、17〜65質量部がより好ましく、25〜50質量部が特に好ましい。
また、(b)酸化マグネシウムの含有量は、配合物全体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.2〜7質量部がより好ましく、0.3〜3質量部が特に好ましい。また、酸化アルミニウム換算10質量%のPAC100質量部に対する、(b)酸化マグネシウムの配合量は、1〜35質量部が好ましく、1.3〜15質量部がより好ましく、1.6〜8質量部が特に好ましく、2〜4質量部が更に好ましい。(b)酸化マグネシウムの配合量が多すぎると配合後すぐに固まってしまったり、配合中に固まってしまったりして、配合時の作業性、ひび割れ部分等への注入時の作業性等に劣る場合があり、逆に少なすぎると、なかなか固まらず作業性に劣る場合があり、成型体の強度も劣る場合がある。
(c)フィラーの含有量は、配合物全体100質量部に対して、10〜80質量部が好ましく、25〜70質量部がより好ましく、40〜60質量部が特に好ましい。また、酸化アルミニウム換算10質量%のPAC100質量部に対する、(c)フィラーの含有量は、60〜500質量部が好ましく、80〜400質量部がより好ましく、100〜300部が特に好ましい。フィラーの量が多すぎると、PACや酸化マグネシウムが相対的に少なくなるので硬化性に劣る場合があり、フィラーの量が少なすぎると得られた成型体の密度が下がる場合があり、また適当な強度が得られない場合がある。
カルボン酸類又は糖類の配合割合は、それぞれ、微量であっても配合物の粘度の降下効果がある。具体的には、配合物全体100質量部に対して、1質量部以下が好ましく、0.01〜0.7質量部がより好ましく、0.02〜0.5質量部が特に好ましく、0.04〜0.3質量部が更に好ましい。糖類又はカルボン酸の含有割合が少なすぎると、各成分の混合の際に、配合物の粘度が低下しないためフィラーが効果的に混合されない場合がある。また、含有割合が多すぎると、耐熱性、硬化性が劣る場合がある。
アルコール類の配合割合は、配合物全体100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。アルコール類の配合割合が少なすぎると、配合物中の無機物と有機物の馴染みが悪くなり分散性や相溶性が悪くなる場合がある。特に、熱硬化性樹脂とその硬化剤を配合する場合に、それらが水に分散し難くなる場合がある。多すぎる場合は、コスト的に不利になる場合がある。
<水>
本発明において水を外部から加える場合は、「酸化アルミニウム換算で10質量%のアルミニウムを含有する水溶液であるPAC」100質量部に対して、外部から加える水50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部が特に好ましく、PAC中の水以外は外部から水を加えないことが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の成型体の製造方法は、上記した成分の他、pH調節剤等の「その他の成分」を配合することもできる。pH調節剤としては、炭酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸1水素アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
<製造方法と評価結果>
本発明の成型体を製造する際の配合手順としては特に限定はないが、例えば、具体的一例を示すと以下の通りである。すなわち、フィラーを先に容器に入れておき、例えば、「アルミニウム(Al)をAlに換算した濃度が10.0〜11.0質量%のPAC(「JIS K 1475」に記載のもの)」を加えて攪拌混合し、複合材料Wを得る。
次に、上記複合材料Wに、要すれば「カルボン酸類又は糖類」を配合する。「カルボン酸類又は糖類」を配合することで、複合材料Wの攪拌が極めて滑らかになり、フィラーが充分に分散可能となる。複合材料Wにクエン酸を配合した状態のものを「複合材料X」とする。「カルボン酸類又は糖類」は、フィラーを配合する前に配合しておいても、粘度が下がってフィラーの分散が容易になるので好ましい。
次に、上記複合材料W又は上記複合材料Xに、酸化マグネシウムを加える。酸化マグネシウムを加えた直後の、すなわち完全に凝固する前の複合材料を「複合材料Y」とする。酸化マグネシウムを加えると発熱し、凝固反応が開始する。従って、成型体を製造するに際して、この時点で型に流し込む必要がある。酸化マグネシウムを加えてから時間が経つと複合材料Yが完全に凝固してしまい、型に流し込むことができなくなる。
成型する場合、まだ流動性のある状態の複合材料Yを型に注入する。注入は常圧下で行う。注入直後、型に振動を与えて、型の隅々まで複合材料Yを行き渡らせることが好ましい。20秒間経った後、要すれば型内を加圧し、加圧状態のまま数十秒間静置する。静置中に凝固が進み発熱が終わる。発熱が止んだら、型に対する加圧を解除し成型品を取り出し、最終的に本発明における成型体が完成する。
熱硬化性樹脂及びその硬化剤を配合する場合は、酸化マグネシウムを加える前に配合することが好ましい。なお、熱硬化性樹脂及びその硬化剤を配合する場合、アルコール類を先に配合しておくことが、樹脂との相溶性がよくなるために好ましい。
<傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分の補修方法>
本発明の成型体の製造方法は、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分に、その補修のために使用することが、上記した配合物の物性、硬化条件、硬化形態等が、その用途にマッチングしている点で好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分に、上記した成型体を形成させる製造方法であることが好ましい。本発明の他の態様は、上記の成型体の製造方法を用いることを特徴とする、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分の補修方法である。
「傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分(以下、単に「ひび割れ部分等」と略記する)は、特に限定はないが、道路、滑走路、壁、建造物等に形成されたものであることが、硬化が早い点、無収縮で硬化する点、補修直後に使用しなくてはならない場合が多く性能が用途にマッチングしている点、環境負荷が少ない点、硬度・強度が優れている点等から好ましい。緊急パテとしても利用できる。また、アスファルト、コンクリート等で舗装された路面上等のひび割れ部分等に適用させることが特に好ましい。また、地震、爆撃等によって形成された、地面、道路、滑走路等のひび割れ部分等に適用させることがより好ましく、地震によって、液状化現象が現れた地面の軟化状態部分に適用させることも好ましい。
ひび割れ部分等に、上記配合方法を用いて得られた、まだ流動性のある状態の複合材料(配合物)を注入し、隙間を埋めることによって該部分の補修を効果的に行うことができる。本発明の成型体は体積収縮が少ないため、隙間を生じることなく完全にひび割れ部分を埋めることができる。また、加熱が必要ではなく、硬化時間が短く、環境汚染がなく、無害で無臭なので、ひび割れ部分等の補修に特に好適である。
<難燃性付与材>
本発明の他の形態は、上記製造方法を用いて成型された成型体を微粉化してなる粉体を含有することを特徴とする難燃性付与材に関する。例えば、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて微粉化することができる。また、成型体の製造条件によっては、成型体が殆ど外力を加えず粉体となる場合があるが、それも「微粉化」の概念に含まれる。微粉化してなる粉体の体積平均粒子径は特に限定はないが、0.1〜100μmが好ましく、0.3〜30μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。
本発明においては、上記難燃性付与材を、樹脂等に練りこんで難燃性樹脂組成物を得ることができる。また、樹脂エマルションに添加して、難燃化塗料等を得ることができる。難燃化させる樹脂としては特に限定はない。また、上記難燃性付与材を微粉化したものをフィラーとして用い、上記配合に基づき、PAC、酸化マグネシウム等と混合して、再度難燃性付与材を生成させることもできる。
本発明を、より具体的な実施例、試験例等で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中に記載の「部」は「質量部」を示す。
実施例1
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)19部に、ホウ砂0.17部、ジルコンフラワー67部を加え、攪拌混合した。最後に、酸化マグネシウム2.0部を加えて複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後は流動状態にあったものが、35〜45秒でほぼ完全に固まって成型体が得られた。
<ひび割れ部分等の補修方法の評価>
アスファルト表面に縦90〜120cm、幅0.3〜0.9cm、深さ3〜30cmのひび割れ部分を設け、そこに、上記配合に基づいて、酸化マグネシウムを加えた直後の、まだ流動状態にある複合材料(配合物)を、攪拌しながら素早く注入した。該複合材料がひび割れ部分にまんべんなく行き渡るのを確認し静置した。30〜60秒経って、複合材料は完全に固まって成型体が得られた。硬化時に体積収縮はなく、成型体の強度や硬度も充分であり、ひび割れ部分は完全に補修された。
<成型体の難燃性、耐熱性等の評価>
酸化マグネシウムを加えた直後の流動状態にあるものを、直径50mm、高さ20mmの円柱状の型に流し込み、室温(20℃)で放置し硬化させて成型体を得た。この成型体に1400℃の炎を5分間接炎したが燃えなかった。サーマルショックに強く亀裂も生じず耐火性があることが確認された。また、溶融もせず耐熱性もあり、また無煙性であった。また、電気の不良導体ではないので(半導体であるので)、帯電防止機能や防爆機能があった。
<難燃性付与材としての難燃性付与効果の評価>
上記の成型体を粉砕機で体積平均粒径30μm程度に微粉化し難燃性付与材を得た。これを、エチレン−酢酸ビニル樹脂100部に対して35部混合し、混錬して難燃性樹脂組成物を得た。この難燃性樹脂組成物は、接炎して評価したところ難燃性が上昇して不燃性を示した。
上記配合で得られた酸化マグネシウムを加える直前の流動状態にある複合材料(配合物)8部を、エチレン−酢酸ビニルエマルション(固形分として50部)に配合し、その後に酸化マグネシウム2.0部を加えて素早く攪拌した。得られた難燃化塗料を、1mmに塗布して成型し、接炎して評価したところ、優れた難燃性、耐炎性が確認できた。
上記と同量のエチレン−酢酸ビニルエマルションを先に容器に入れ、そこにPAC、フィラーを配合し、酸化マグネシウムを添加した。このような順番で配合すると、エチレン−酢酸ビニルエマルションが下に沈むので、攪拌がより容易にできた。得られたものの評価結果は上記と同様であった。
実施例2
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)32部に、ホウ砂1.35部、竹炭4.9部、童仙粘土粉(童仙傍(陶芸に用いられる材料の一種)を粘土に混合した耐火土)47部、ケイ砂を選鉱した後の選鉱粒子(懸濁液から沈澱させたもの)12.6部を加え、攪拌混合した。最後に、酸化マグネシウム2.2部を加えて複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後は流動状態にあったものが、20℃で、70秒でほぼ完全に固まって成型体が得られた。
<ひび割れ部分等の補修方法の評価>
表面に縦100cm、幅1cm、深さ2cmのひび割れ部分を設け、そこに、上記配合に基づいて、酸化マグネシウムを加えた直後の、まだ流動状態にある複合材料(配合物)を、攪拌しながら素早く注入した。該複合材料がひび割れ部分にまんべんなく行き渡るのを確認し、室温(20℃)で静置した。70秒経って、複合材料は完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、ひび割れ部分の中に形成された成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分は完全に補修された。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、難燃性、耐熱性があり、電気の不良導体ではないので帯電防止機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。
実施例3
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)15.0部に、タルク2.0部、白色目地モルタル(市販の家庭用タイル補修用白色セメント)53部を加え、更に水27部を加え攪拌混合した。最後に、酸化マグネシウム3.0部を加えて複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後の複合材料(配合物)は流動状態にあったので、ひび割れ部分等には注入可能であった。1分間、20℃で放置したところほぼ完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を実施例1と同様にして硬化させて得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、難燃性、耐熱性があり、電気の不良導体ではないので帯電防止機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。
実施例4
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)49部に、シラスバルーン12.6部、水酸化アルミニウム35部を加えた。最後に、酸化マグネシウム3.0部を加えて複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後の複合材料(配合物)は流動状態にあったので、ひび割れ部分等には注入可能であった。1分間、20℃で放置したところほぼ完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、難燃性、耐熱性があり、電荷を逃がすので帯電防止機能や防爆機能があった。また、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。
実施例5
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)32.4部に、水酸化アルミニウム64部、水性顔料(御国色素株式会社製、PSM)0.7部を配合した。最後に、酸化マグネシウム3.1部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後の複合材料(配合物)は流動状態にあったので、ひび割れ部分等には注入可能であった。1分間、20℃で放置したところほぼ完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があった。また、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。
実施例6
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)23部に、長石粉30部、3号ケイ砂42部、ベントナイト3.5部を配合した。最後に、酸化マグネシウム1.87部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後の複合材料(配合物)は流動状態にあったので、ひび割れ部分等には注入可能であった。80秒間、20℃で放置したところほぼ完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ難燃性と耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があった。この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。
実施例7
<配合>
実施例1において、更に、クエン酸0.020部を配合した以外は、実施例1と同様に複合材料(配合物)を調製した。また別に、PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)43部に、タルク41部、ジルコンフラワー13.3部、クエン酸0.020部を配合した。最後に、酸化マグネシウム3.1部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
実施例1に比べ、クエン酸を配合したことで、粘度が下がってそれぞれの成分が混合され易くなった。また、上記別の配合により調製したものでも、クエン酸を配合したことで、粘度が下がってそれぞれの成分が混合され易くなった。何れの複合材料(配合物)も、酸化マグネシウムを加えて、80秒でほぼ完全に固まって成型体が得られた。
<ひび割れ補修評価(ひび割れへの注入、注入後の硬化速度)>
実施例1と同じ要領で、ひび割れ部分に注入した。クエン酸を加えたことで粘度が低下して、ひび割れ部分にまんべんなく行き渡らせ易くなった。その間の体積収縮はなく、成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同程度に難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。クエン酸を配合することによる悪影響は見られなかった。クエン酸を配合することによって、気泡等が入らず成型体全体として高密度の成型体が得られ、強度が向上した。
実施例8
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)40部に、籾殻炭9.2部、フェノールバルーン2.7部、顔料2.3部、長石粉44部、クエン酸0.061部を配合した。最後に、酸化マグネシウム2.1部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性の評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合に基づいて調製した結果、酸化マグネシウムを加えた直後の複合材料(配合物)は流動状態にあったので、ひび割れ部分等には注入可能であった。90秒間、20℃で放置したところほぼ完全に固まって成型体が得られた。その間の体積収縮はなく、成型体の強度・硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
これを用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。また、クエン酸を配合することによって成型体に及ぼす悪影響は見られなかった。
実施例9
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)49部に、タルク47部、三温糖(ショ糖)0.36部を配合し攪拌混合した。次に、酸化マグネシウム4.0部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合により調製した結果、三温糖(ショ糖)を配合したことで、粘度が下がってそれぞれの物質が混合され易くなった。酸化マグネシウムを加えて、20秒でほぼ完全に固まって成型体が得られた。なお、本実施例においては、酸化マグネシウムの添加量が比較的多かったため、硬化反応が比較的早く進んだ。
<ひび割れ補修評価(ひび割れへの注入、注入後の硬化速度)>
実施例1と同じ要領で、ひび割れ部分に注入した。三温糖(ショ糖)を配合したことで、ひび割れ部分にまんべんなく行き渡らせ易くなった。その間の体積収縮はなく、成型体の強度や硬度は充分であり、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同程度に難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。三温糖(ショ糖)を配合することによって、得られた成型体に悪影響は見られなかった。
実施例10
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)17部に、水酸化アルミニウム36部、竹炭12.0部を加え、攪拌混合した。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製)14.0部、脂環式硬化剤(旭電化社製)14.0部を配合した。最後に、酸化マグネシウム4.0部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
酸化マグネシウムを加えて、1時間でほぼ完全に固まって成型体が得られた。PACと酸化マグネシウムとを混合したときに発生する反応熱により、エポキシ樹脂の硬化剤が分解し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を架橋させた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合したことで、それらを配合しないものと比較して、硬化時間を遅くすることができ作業性が向上した。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合しないものに比べて、得られた成型体の強度、硬度、曲げ強度が良くなった。
<ひび割れ補修評価(ひび割れへの注入、注入後の硬化速度)>
実施例1と同じ要領で、ひび割れ部分に注入した。その間の体積収縮はなく、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。更に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合したことで、ひび割れ部分の内部に形成された成型体の強靭性が良くなった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同程度に難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があり、この成型体を微粉化してなる粉体は、実施例1と同じく難燃性付与材として優れていることが分かった。ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合することによって、成型体に及ぼす悪影響は見られなかった。
実施例11
実施例10において、変性エタノール(「HIT15」(エタノール85%+PAC15%)、グリコE&F社製)8.0部を配合した以外は、実施例10と同様に複合材料(配合物)を調製した。
実施例10と比べ、エタノールを配合したことにより、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤が、PAC中に、すなわち水中に分散し易くなり、同じ攪拌条件でも、均一な複合材料(配合物)が調製し易くなった。
実施例10と同様に、作業性評価、ひび割れ補修評価、難燃性付与材としての評価をしたところ、変性エタノール配合により、樹脂との相溶性、親和性、分散性、混合性等が良くなった。また、変性エタノール配合によって、成型体の強度・硬度、難燃性、耐熱性等に与える悪影響はなかった。
実施例12
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)31部に、水酸化アルミニウム39部を配合し攪拌混合した。次に、変性エタノール(「HIT15」(エタノール85%+PAC15%)、グリコE&F社製)2.5部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製)13.0部、脂肪族硬化剤(旭電化社製)10.5部を配合した。最後に、酸化マグネシウム4部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
酸化マグネシウムを加えて、1.5時間でほぼ完全に固まって成型体が得られた。PACと酸化マグネシウムとを混合したときに発生する反応熱により、エポキシ樹脂の硬化剤が分解し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を架橋させた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合しないものに比べて、得られた成型体の曲げ強度が良くなった。
<ひび割れ補修評価(ひび割れへの注入、注入後の硬化速度)>
実施例1と同じ要領で、ひび割れ部分に注入した。その間の体積収縮はなく、ひび割れ部分等の補修に使用可能であることが分かった。更に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合したことで、ひび割れ部分の内部に形成された成型体の強靭性が良くなった。
上記複合材料(配合物)を用いて実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同程度に難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があった。この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。ビスフェノールA型エポキシ樹脂とその硬化剤を配合することによって成型体の物性に悪影響は見られなかった。
実施例13
<配合>
PAC(王子製紙社製、銘柄「PAC」、JIS K1475の条件を満たすもの)30部、アルミナ粒子13.0部、コーヒー粕9.3部を配合して攪拌混合した。次に、イソフタル酸(ノンパラ)不飽和ポリエステル(DIC社製)35部、メチルエチルケトンパーオキサイド1.80部、三温糖(ショ糖)0.75部を配合した。更に、触媒として、ナフテン酸コバルト0.20部を加えた。最後に、酸化マグネシウム5.0部を加え複合材料(配合物)を調製した。
<作業性評価(攪拌中の硬化速度、粘度)>
上記配合により調整した結果、三温糖(ショ糖)を加えたことで、反応が遅くなり作業性が向上した。また、粘度が下がってそれぞれの成分が混合され易くなった。酸化マグネシウムを加えて、1時間でほぼ完全に固まった。
<ひび割れ補修評価(ひび割れへの注入、注入後の硬化速度)>
実施例1と同じ要領で、ひび割れ部分に注入した。三温糖(ショ糖)を加えたことで、ひび割れ部分にまんべんなく行き渡らせ易くなった。更に、不飽和ポリエステル、その硬化剤(パーオキサイド)及び触媒を配合したことで、ひび割れ部分の内部に形成された成型体の、強度、硬度も向上し、強靭性、弾性、可撓性、接着性が良くなった。
[可撓性の評価方法]
可撓性の評価方法は、成型体を厚さ3mm×幅10mm×長さ250mmに成型するか、成型体から切り出し、両端に応力を加えて中心部を15°に曲げ、直後に応力を除き、もとの形状に戻るかを評価する。15°曲げても元に戻るものを「良」と評価する。
上記複合材料(配合物)を用いて、実施例1と同様にして得られた成型体を、実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同程度に難燃性、耐熱性があり、帯電防止機能や防爆機能があった。この成型体を微粉化してなる粉体は、難燃性付与材として優れていることが分かった。不飽和ポリエステルとその硬化剤を配合することによって、成型体の物性に悪影響は見られなかった。
比較例1
実施例1〜13において、酸化マグネシウムを含有させない以外は、それぞれ同様にして複合材料(配合物)を調製した。酸化マグネシウムを含有させない場合、硬化が起こり難く(早期硬化が起こらず)、成型体を形成させることができなかった。そのため、ひび割れ部分等の補修には使用できなかった。
比較例2
実施例4において、フィラーを全く含有させない以外は実施例4と同様にして複合材料(配合物)調製した。フィラーを含有させない場合、原料段階の固体量が絶対的に不足し、硬化が不十分、成型体全体の密度が不足であり、耐熱性も不十分であり、良好な成型体ができなかった。そのため、ひび割れ部分等の補修には使用できなかった。更に、コスト的にも不利であった。
本発明の製造方法によれば、外部から熱を加えたりすることなく、短時間で硬化し、硬化しても体積収縮が少ないため、道路、滑走路、地面、壁等の傷部分、ひび割れ部分、陥没・剥落欠損部分又は軟化状態部分の緊急補修等に、好適に用いることができる。また、例えば、高速道路等で横転したタンクローリー車から流出漏洩した有毒で可燃性のある液体を固化させたりするのにも用いられる。
更に、本発明の成型体を微粉化してなる粉体を対象物に付与した場合、該対象物に高い難燃性を与えることができるため、難燃性を必要とする様々な製品(水溶性接着剤、熱硬化性樹脂等)に応用することが可能である。また、解体建材のリサイクル技術(例えば、石膏ボード、吸音テックス等を微粉化してそれを本発明におけるフィラーとして用いる等)への応用も可能であるほか、化学反応消火剤としての応用、飛散性アスベストの被覆等への応用も可能である。

Claims (11)

  1. 少なくとも、ポリ塩化アルミニウム、酸化マグネシウム及びフィラーを配合して硬化させることを特徴とする成型体の製造方法。
  2. 更に、カルボン酸類又は糖類を配合する請求項1に記載の成型体の製造方法。
  3. 更に、熱硬化性樹脂及びその硬化剤を配合する請求項1又は請求項2に記載の成型体の製造方法。
  4. 更に、アルコール類を配合する請求項3に記載の成型体の製造方法。
  5. 上記フィラーが、鉱物質粒子及び中空粒子からなる群より選ばれる無機フィラーである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法。
  6. 上記フィラーが、植物質粒子、合成樹脂粒子及び炭素質粒子からなる群より選ばれる有機フィラーである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法。
  7. 上記フィラーが、廃棄物粒子又は選鉱粒子である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法。
  8. 傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分に、その補修のために該成型体を形成させる請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法を用いることを特徴とする、傷部分、ひび割れ部分、陥没部分又は軟化状態部分の補修方法。
  10. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法を用いて成型されたことを特徴とする成型体。
  11. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の成型体の製造方法を用いて成型された成型体を微粉化してなる粉体を含有することを特徴とする難燃性付与材。
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