JP2009298100A - 光制御フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クレーズの間隔を制御することができ、この結果、高度な光制御性(光学特性)を有する光制御フィルムを得ることができる光制御フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、光学特性を制御する光制御フィルムの製造方法であって、高分子樹脂フィルムに直線に沿った曲げ変形を加えるステップを備え、曲げ変形を加えるステップにおいて、高分子樹脂フィルムに直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与しながら、高分子樹脂フィルムにクレーズを形成することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、光学特性を制御する光制御フィルムの製造方法であって、高分子樹脂フィルムに直線に沿った曲げ変形を加えるステップを備え、曲げ変形を加えるステップにおいて、高分子樹脂フィルムに直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与しながら、高分子樹脂フィルムにクレーズを形成することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、光制御フィルムの製造方法に関し、詳細には、透過・散乱等の光学特性を制御でき、視野選択フィルム、異方性光散乱フィルム等として使用される光制御フィルムの製造方法に関する。
このような光制御フィルムとして、複数の光吸収性または光散乱性の部位が設けられた所謂ルーバフィルムが提案されている。
このような光制御フィルムの製造方法として、無配向の光透過性高分子フィルムに応力をかけ、光透過性高分子フィルム内に方向性を有するクレーズを形成することによって、光制御フィルムを得る方法が知られている(特許文献1参照)。
このような光制御フィルムの製造方法として、無配向の光透過性高分子フィルムに応力をかけ、光透過性高分子フィルム内に方向性を有するクレーズを形成することによって、光制御フィルムを得る方法が知られている(特許文献1参照)。
この光制御フィルム製造方法は、非常に簡便に光制御フィルムを得ることができるが、クレーズの形成位置を制御することができないため、製造した光制御フィルム内でクレーズ同士の間隔が不均一となり、この結果、高度な光制御性を有する光制御フィルムを得ることができないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、クレーズの間隔を制御することができ、この結果、高度な光制御性(光学特性)を有する光制御フィルムを得ることができる光制御フィルムの製造方法を提供することを目的としている。
本発明によれば、
光学特性を制御する光制御フィルムの製造方法であって、
高分子樹脂フィルムに直線に沿った曲げ変形を加えるステップを備え、
前記曲げ変形を加えるステップにおいて、前記高分子樹脂フィルムに前記直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与しながら、前記高分子樹脂フィルムにクレーズを形成する、
ことを特徴とする光制御フィルムの製造方法が提供される。
光学特性を制御する光制御フィルムの製造方法であって、
高分子樹脂フィルムに直線に沿った曲げ変形を加えるステップを備え、
前記曲げ変形を加えるステップにおいて、前記高分子樹脂フィルムに前記直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与しながら、前記高分子樹脂フィルムにクレーズを形成する、
ことを特徴とする光制御フィルムの製造方法が提供される。
本願において、「クレーズ」とは、プラスチックフィルムに形成される略直線状のひび、あるいは割れ目を示す。プラスチックフィルムに形成されるひびあるいは割れ目の壁面間に樹脂フィブリルが残存しているものを「クレーズ」(狭義)とし、この「クレーズ」(狭義)が広げられ樹脂フィブリルが残存していないものを「クラック」と区別して示す場合もあるが、本願の「クレーズ」は、これらの「クレーズクレーズ」(狭義)および「クラック」のいずれをも含む。
このように構成された本発明では、周期的な振動とクレーズの発生タイミングとが同期することによってクレーズの発生間隔が制御され、クレーズが所定間隔で形成される。この結果、透過、散乱等の光学特性が高度に制御された光制御フィルムを製造することができる。
本発明において、局所的な曲げは、先端が鋭利な直線状の板(刃物あるいはブレード)、棒、円柱などの高分子樹脂フィルムに微小な曲げ変形を付与できるものに、高分子樹脂フィルムを押し付けることによって達成される。また、回転可能なローラに高分子樹脂フィルムを押し付ける構成でも良い。
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記高分子樹脂フィルムを曲げ形成体に押しつけながら搬送することによって、前記曲げ変形が前記高分子樹脂フィルムに加えられ、
前記周期的な振動が、前記曲げ形成体に接続された低周波振動子から前記曲げ形成体を介して前記高分子樹脂フィルムに付与される、
前記高分子樹脂フィルムを曲げ形成体に押しつけながら搬送することによって、前記曲げ変形が前記高分子樹脂フィルムに加えられ、
前記周期的な振動が、前記曲げ形成体に接続された低周波振動子から前記曲げ形成体を介して前記高分子樹脂フィルムに付与される、
本発明の他の好ましい態様によれば、前記曲げ変形を加えるステップにおいて、前記高分子樹脂フィルムが、10N/cm以下の張力をかけられた状態で、(r/d)<30 (r=曲げ半径、d=フィルムの厚さ)の曲げ半径で曲げられる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記クレーズに前記高分子樹脂フィルムと異なる光学特性を有する材料を充填するステップを更に備えている。
本発明によれば、クレーズの間隔を制御することができ、この結果、高度な光制御性(光学特性)を有する光制御フィルムを得ることができる光制御フィルムの製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の光制御フィルムの製造方法について説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態の光制御フィルム製造方法に用いるクレーズ形成装置1の構成を模式的に示す図面である。
クレーズ形成装置1は、長尺状のフィルムFを搬送しながらフィルム(高分子樹脂フィルム)Fにクレーズを形成する装置であり、図1に示されているように、矢印Aで示すフィルムFの搬送方向に沿って上流側から、フィルムFを巻回している供給ロール2と、第1搬送ロール4と、フィルムFに曲げ変形を加えクレーズを形成するブレード(小径の曲げガイド)6と、第2搬送ロール8と、クレーズ等が形成されたフィルムFを巻き取る巻取りロール10とを備えている。フィルムFを巻回している供給ロール2にはトルクモータが取り付けられており、搬送時にフィルムに付与される張力をコントロールすることが可能となっている。本実施形態では、フィルムFは、10N/cm以下の張力をかけた状態で搬送される。
フィルムFとして、アイゾット衝撃強さ(ASTM D 256)が40J/m以下、曲げ弾性率(ASTM D 790)が2950Mpa以上、厚さが0.35mm以下のフィルムが使用される。具体的には、例えば、未架橋あるいは部分架橋したメタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂、紫外線硬化性透明樹脂、熱硬化性透明エポキシ樹脂等のフィルムがフィルムFとして使用される。
供給ロール2と、第1搬送ロール4と、第2搬送ロール8と、巻取りロール10と各ロールは、フィルムFに所定の張力を付与し且つフィルムFと曲げガイド6に押しつけながら、供給ロール2から巻取りロール10に順次、搬送することできるように回転可能に構成されている。
曲げガイド6は、矢印A方向に搬送されてくるフィルムFが先端に押し付けられる板体である。フィルムFが押しつけられる曲げガイド6の先端は、押しつけられたフィルムFに、曲げ半径(r/d)<30(r=曲げ半径、d=フィルムの厚さ)の曲げ変形を加え、フィルムFに曲げ応力を付与するような直線状の鋭利な形状を備え、フィルムFの搬送方向Aと直交する方向に延びるように配置されている。
曲げガイド6に代えて、棒、円柱などのフィルムFに微小曲げを形成できる部材、回転可能なローラを用いることもできる。
曲げガイド6の先端のフィルムFとの接触面にすべり止め加工を施しも良い。すべり止め加工としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等のゴム、或いはポリウレタン樹脂等をドット状に形成したものや、この折り曲げ部先端に両面粘着テープ等を貼付したもの等が挙げられる。また、曲げガイド6にフィルムFを押しつける圧力は、フィルムFの種類や厚さに応じて任意に選択される。
本実施態様のクレーズ形成装置1では、曲げガイド6に低周波振動体12が接続され、曲げガイド6の先端に押しつけられるフィルムFに、低周波振動を付与できるように構成されている。
低周波振動体12は、しっかりと固定された金属製の台に取り付け、振動面を曲げガイド6の底部に接着剤あるいはビスにより固定する。曲げガイド6は、低周波振動体のみに支えられる。低周波振動数は、振動を加えない場合にフィルムに生じるクレーズ層の周期を基準とし、それに同期する振動数の0.8〜1.2倍に設定する。さらに0.9〜1.1倍であることが好ましく、その高調波も利用できる。
低周波振動体12は、しっかりと固定された金属製の台に取り付け、振動面を曲げガイド6の底部に接着剤あるいはビスにより固定する。曲げガイド6は、低周波振動体のみに支えられる。低周波振動数は、振動を加えない場合にフィルムに生じるクレーズ層の周期を基準とし、それに同期する振動数の0.8〜1.2倍に設定する。さらに0.9〜1.1倍であることが好ましく、その高調波も利用できる。
このような構成を有するクレーズ形成装置1によって、長尺状のフィルムFが、曲げガイド6によって横断方向に延びる直線に沿った局所的な曲げ変形が付与され、さらに、直線と直交する方向の張力、および、例えば16.6Hzの低周波振動を付与されながら搬送される本実施態様の光制御フィルム製造方法が実施され、この結果、クレーズCがほぼ一定間隔でフィルムFに形成される(図2)。
本実施態様では、フィルムFとして、例えば、アイゾット衝撃強さ(ASTM D 256)が40J/m以下、曲げ弾性率(ASTM D 790)が2950Mpa以上、厚さが0.35mm以下の、未架橋あるいは部分架橋したメタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂、紫外線硬化性透明樹脂、熱硬化性透明エポキシ樹脂等のフィルムが使用される。
ここで、使用するフィルムの材料のアイゾット衝撃強さが、40J/cmより大きくなると、樹脂自体の衝撃強度により、クレーズが入り難くなる。実際には曲げ変形を加える際にフィルム材料に10N/cmより大きな張力を加えることにより、アイゾット衝撃強さが、40J/cmより大きなフィルム材料にも、微小なクレーズを断続的に形成することができるが、クレーズの寸法が小さすぎて、所望の光学特性が得られない。
また、張力が10N/cmより大きくなってくると、フィルム材料の搬送時のこすれ等により、裏面に傷がつきやすいという問題も生じてくる。
更に、使用するフィルム材料の曲げ弾性率が、2900Mpa以下の場合は、曲げ変形を加えた段階で断裂してしまい、安定した製造が行うことができなくなる。
更に、使用するフィルム材料の曲げ弾性率が、2900Mpa以下の場合は、曲げ変形を加えた段階で断裂してしまい、安定した製造が行うことができなくなる。
また、フィルムの厚さは、0.35mmより大きくなってしまうと、内面と外面との変形量が大きくなりすぎ、うまく曲げ変形を加えることが困難となってしまう。さらに、工程安定性の観点からは、フィルム材料の厚さは0.30mm以下が好ましい。
一方、フィルムの厚さが5μmより薄い場合には、曲げ半径が著しく小さくなり、クレーズの形成が非常に困難になる。また、安定的に形状を形成するためには、厚さが10μm以上であることが好ましい。
本実施態様では、深さ10〜300μm程度のフィルムFの幅方向に延びるクレーズが5〜200μm程度の間隔で形成される。
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
例えば、フィルムは、基材にフィルムにフィルムFが積層された積層フィルムであってもよい。
このような構成においては、積層光制御フィルムが、上記光制御フィルムを備えているので、上記光制御フィルムの効果と同様の効果が得られ、クレーズの形成位置が制御され、比較的大きなクレーズを形成することができ、透過、散乱等の光学特性を高度に制御することが可能となる。
このような構成においては、積層光制御フィルムが、上記光制御フィルムを備えているので、上記光制御フィルムの効果と同様の効果が得られ、クレーズの形成位置が制御され、比較的大きなクレーズを形成することができ、透過、散乱等の光学特性を高度に制御することが可能となる。
また、クレーズ形成後に、クレーズにフィルムFと光学特性が異なる物質を充填する行程を設けてもよい。
クレーズにフィルムFと光学特性が異なる物質を充填することにより、視野角特性や、透過率等の光学特性がより優れた光制御フィルムを提供することが可能となる。
クレーズにフィルムFと光学特性が異なる物質を充填することにより、視野角特性や、透過率等の光学特性がより優れた光制御フィルムを提供することが可能となる。
光学特性が異なる物質を充填する工程は、フィルムFの材料と光学特性が異なる物質を含む液体材料に、クレーズが形成されたフィルムFを浸漬することによって実施されても良い。このような構成によれば、光学特性が異なる物質を充填する工程を容易に行うことができる。
光学特性が異なる物質として、顔料、染料、カーボンナノチューブ、フラーレン、金属ナノ粒子等の光吸収性物質、または、フィルムFの材料と屈折率が異なる低屈折率のフッ素系高分子や高屈折率のイオウ含有高分子、フィルムFの材料と屈折率が異なるその他の樹脂などが選択可能である。これらの物質は、クレーズ内の空間に充填可能なサイズの粒子とされている。
例えば、図3に示すように、フィルムFの材料と光学特性が異なる物質を含む液体材料L中でフィルムFが曲げガイド6に押しつけられる構成としてもよい。
このような構成によれば、クレーズを形成する工程が、光学特性が異なる物質を含む液体材料L中で行われるので、クレーズの形成と、形成したクレーズにフィルムFの材料と光学特性が異なる物質を充填する工程を同時に行うことができる。これにより、製造工程を簡略化でき、製造時間を短縮できる。
このような構成によれば、クレーズを形成する工程が、光学特性が異なる物質を含む液体材料L中で行われるので、クレーズの形成と、形成したクレーズにフィルムFの材料と光学特性が異なる物質を充填する工程を同時に行うことができる。これにより、製造工程を簡略化でき、製造時間を短縮できる。
(実施例)
次に本発明の実施例について説明する。
本実施例で用いた基材フィルムについて説明する。数平均分子量40,000のPMMA68wt%と数平均分子量290,000のPMMA32wt%をブレンドし数平均分子量120,000のPMMAとして用いた。このPMMAを2時間攪拌しクロロホルムに溶解し5wt%の溶液を作製した。さらに、この溶液をガラス板にキャスティングし、クロロホルムを室温で24時間放置し乾燥し、約25μm厚のPMMAフィルムを得た。
次に本発明の実施例について説明する。
本実施例で用いた基材フィルムについて説明する。数平均分子量40,000のPMMA68wt%と数平均分子量290,000のPMMA32wt%をブレンドし数平均分子量120,000のPMMAとして用いた。このPMMAを2時間攪拌しクロロホルムに溶解し5wt%の溶液を作製した。さらに、この溶液をガラス板にキャスティングし、クロロホルムを室温で24時間放置し乾燥し、約25μm厚のPMMAフィルムを得た。
先端部の頂角60度の曲げガイドを備えたクレーズ形成装置を使用した。まず、張力4N/cmで保持された厚さ25μmのPMMAフィルムの一方の面を、フィルムの曲げ角度が120度となるように曲げガイドの先端部を押し付けて、PMMAフィルムを曲げ変形させながら10mm/minの速度で搬送し、フィルムにクレーズを形成した。
先ず、曲げガイドに接続した振動子を16.6Hzで振動させながら、クレーズの形成を行った(実施例1)。
上記搬送速度でフィルムが搬送されたときの、振動子の振動数と、振動子によって加えられたフィルム上の周期長との関係を示す図4から明なように、振動子の振動が16.6Hzのときには、フィルム上で10μm周期で振動子によって張力が高くなる。
上記搬送速度でフィルムが搬送されたときの、振動子の振動数と、振動子によって加えられたフィルム上の周期長との関係を示す図4から明なように、振動子の振動が16.6Hzのときには、フィルム上で10μm周期で振動子によって張力が高くなる。
このようにして形成されたクレーズの間隔を顕微鏡により観察・測定し、その平均値とその分散値を求めた。
図5に、実施例1におけるクレーズ間隔の実測値を示す。平均値は11.6μmでその分散は5.65と非常に小さな値となり、顕微鏡写真(図6)からも、明らかにクレーズ間のピッチ斑が抑えられていることが確認できる。
(実施例2ないし5)
さらに、図4に示すフィルム上の周期で8、9、11、12μmに対応する振動数(20.8Hz、18.5Hz、15.5Hz、13.8Hz)で振動子を振動させ、他は実施例1と同条件で、PMMAフィルムにクレーズを形成した(実施例2ないし5)。
さらに、図4に示すフィルム上の周期で8、9、11、12μmに対応する振動数(20.8Hz、18.5Hz、15.5Hz、13.8Hz)で振動子を振動させ、他は実施例1と同条件で、PMMAフィルムにクレーズを形成した(実施例2ないし5)。
図7(1)ないし(4)に実施例2ないし5のクレーズの間隔の実測値を示す。どの周波数においても振動を与えないで行った後述の比較例(図8)に比べ、分散が少なくなっていることが分かる。
(実施例6ないし8)
図4に示すフィルム上の周期で10μmに値する2、3、4倍音に当たる振動数(33.2 Hz、49.8 Hz、66,4Hz)で振動子を振動させて、PMMAフィルムにクレーズを形成した。
図4に示すフィルム上の周期で10μmに値する2、3、4倍音に当たる振動数(33.2 Hz、49.8 Hz、66,4Hz)で振動子を振動させて、PMMAフィルムにクレーズを形成した。
図9(1)ないし(3)に、実施例6ないし8におけるクレーズ間隔の実測値を示す。倍音の部分にもピークが出るものの、どの周波数においても振動を与えないで行った後述の比較例(図8)に比べ、分散が少なくなっていることが分かる。
(比較例)
低周波振動を加えない点を除き、他は上記実施例1と同条件でPMMAフィルムにクレーズを形成した。
フィルムには、約10μm間隔でクレーズが形成された。
低周波振動を加えない点を除き、他は上記実施例1と同条件でPMMAフィルムにクレーズを形成した。
フィルムには、約10μm間隔でクレーズが形成された。
図8にクレーズの間隔の実測値を示す。平均値は12.9μmで、値は非常にばらついており、その分散は11.6であった。これは、図10の顕微鏡写真からも明らかである。
(透過光量の角度依存性の評価)
作製したフィルムを紫外可視分光光度計(日立分光高度計U−4000)を用いて、その透過光量の角度依存性を確認した。フィルムを分光光度計に保持し、フィルムを入れたサンプルホルダーを傾け、そのときの透過光量を測定した。用いたフィルムは、実施例1におけるクレーズ処理前のフィルムと、実施例1のフィルム(図11(a))、並びに比較例のフィルム(図11(b))を用いて評価を行った。
作製したフィルムを紫外可視分光光度計(日立分光高度計U−4000)を用いて、その透過光量の角度依存性を確認した。フィルムを分光光度計に保持し、フィルムを入れたサンプルホルダーを傾け、そのときの透過光量を測定した。用いたフィルムは、実施例1におけるクレーズ処理前のフィルムと、実施例1のフィルム(図11(a))、並びに比較例のフィルム(図11(b))を用いて評価を行った。
評価結果を図12に示す。横軸はサンプルの保持角度で0度で光がフィルムに対して垂直に入射することをしめし、そこからどれだけ傾けたかを表している。縦軸は透過光量を示している。クレーズの無い未処理のフィルム(点線)はほぼ角度依存性を示さない。比較例(一点鎖線)のサンプルを用いた際には若干の角度依存性を確認できるが、はっきりしたものではない。
それに対して、実施例1(実線)で作製したフィルムでは明らかな角度依存性を確認できた。サンプルの保持角度が約30度近辺で透過光量が下がることが確認できた。クレーズ間隔が均一に制御できたことにより、このような透過光量の角度依存性が発現している。
それに対して、実施例1(実線)で作製したフィルムでは明らかな角度依存性を確認できた。サンプルの保持角度が約30度近辺で透過光量が下がることが確認できた。クレーズ間隔が均一に制御できたことにより、このような透過光量の角度依存性が発現している。
1:クレーズ形成装置
F:フィルム
2:供給ロール
4:第1搬送ロール
6:ブレード(小径の曲げ形成体)
8:第2搬送ロール
10:巻取りロール
12:低周波振動子
C:クレーズ
L:光学特性が異なる物質を含む液体材料
F:フィルム
2:供給ロール
4:第1搬送ロール
6:ブレード(小径の曲げ形成体)
8:第2搬送ロール
10:巻取りロール
12:低周波振動子
C:クレーズ
L:光学特性が異なる物質を含む液体材料
Claims (4)
- 光学特性を制御する光制御フィルムの製造方法であって、
高分子樹脂フィルムに直線に沿った曲げ変形を加えるステップを備え、
前記曲げ変形を加えるステップにおいて、前記高分子樹脂フィルムに前記直線に直交する方向の張力と周期的な振動を付与しながら、前記高分子樹脂フィルムにクレーズを形成する、
ことを特徴とする光制御フィルムの製造方法。 - 前記高分子樹脂フィルムを曲げ形成体に押しつけながら搬送することによって、前記曲げ変形が前記高分子樹脂フィルムに加えられ、
前記周期的な振動が、前記曲げ形成体に接続された低周波振動子から前記曲げ形成体を介して前記高分子樹脂フィルムに付与される、
請求項1に記載の光制御フィルムの製造方法。 - 前記曲げ変形を加えるステップにおいて、前記高分子樹脂フィルムが、10N/cm以下の張力をかけられた状態で、(r/d)<30 (r=曲げ半径、d=フィルムの厚さ)の曲げ半径で曲げられる、
請求項1または2に記載の光制御フィルムの製造方法。 - 前記クレーズに前記高分子樹脂フィルムと異なる光学特性を有する材料を充填するステップを更に備えている、
請求項1ないし3の何れか1項に記載の光制御フィルムの製造方法。
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