JP2009294563A - フィルムおよびそれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融押出プロセスを用いることにより、大面積で微細かつ均一なピッチを有し、かつコントラスト比改善のための光吸収層を有するレンチキュラーフィルムを低コストで提供する。
【解決手段】樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された構造を少なくとも含むフィルムであって、樹脂Bが光吸収剤を含んでなり、樹脂Aよりなる層(A層)1が凸部、樹脂Bよりなる層(B層)2が凹部となるような凹凸が、少なくとも一方のフィルム表面にフィルム長手方向にわたって存在し、かつ下記式を満たすことを特徴とするレンチキュラーフィルム。1.2≦h(a)/h(b)≦10h、(a):樹脂A部の高さ3、(b):樹脂B部の高さ4である。
【選択図】図1

Description

本発明は、LCD用バックライト部材、透過型プロジェクションスクリーン、立体表示板などに好適に用いられるフィルム関する。
レンチキュラーフィルムは、基材表面上にシリンドリカルレンズが配列されたフィルムであり、プロジェクションテレビに代表される投写型スクリーンにおいては視野角やコントラスト比の改善を目的に、またLCDバックライト部材においてはその集光機能を利用した光利用率向上を目的として用いられている。
特に、プロジェクションスクリーンの用途については、フレネルレンズシートとレンチキュラーフィルムを組み合わせることにより、スクリーンの輝度ムラを低減しかつ視野角を広げることを可能としている。ここで、フレネルレンズシートとは、同心円の細かい鋸刃状のレンズの集合体がシート上に成形されているものであり、透過する光を平行光とする役割を持つ。レンチキュラーフィルムは、この平行光を集光することにより、視野角を広げる役割を持つ。また、コントラスト比の改善を目的に、レンチキュラーフィルムに設けられたシリンドリカルレンズを透過する光の非集光部に、外光を吸収する光吸収層を設け、外光反射を激減させることで、コントラスト比を改善する手法が採用されている。
かかるレンチキュラーフィルムの製造方法としては、射出成型法や加熱プレス法が知られている。しかしながら、射出成型法においては比較的小さなサイズのレンチキュラーフィルムの成型は可能であるものの、大きなサイズのレンチキュラーフィルムの成型は困難であり、また加熱プレス法においては樹脂やレンズ型の加熱冷却サイクルに長時間を要するため、大量に生産するには不向きであった。また同時に、近年、表示画面の高精細化に伴うフレネルレンズシートおよびレンチキュラーシートのレンズピッチの微細化が望まれているが、これらの製造法では金型の精度や金型の汚れが問題となり、歩留まりが悪いという問題があった。
レンズピッチの微細化を達成するために、光硬化性樹脂を基材フィルムに塗工してレンズを形成する手段も提案されている。しかし、基材フィルムとの相溶性が良くないことでレンズ部が剥離するといった問題や、光硬化性樹脂の硬化時の収縮に伴う反りの問題、さらには硬化時間が必要なことによるタクトタイムの増加という問題があった。
一方で、大面積化かつ連続生産を達成する手段として、金型ロールを用いたインラインインプリントによるレンチキュラーフィルムの製造方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法においては金型の汚れによる不良率の増加の問題があって、金型ロールの清掃が必要となり、タクトタイムが大きく改善されるには至っていない。
また、多孔ノズルから吐出されたストランドを基材上に並べてレンズ部分を形成し、レンチキュラーフィルムを製造する方法(特許文献2)が提案されている。しかし、吐出後のストランドの太さは200μm程度を限界とし、ピッチを微細化することが困難であった。また、幅の広い製品を製造することが困難であるため、大面積での使用には何枚かのレンチキュラーフィルムを並べて貼り合わせる必要があった。
また、上記の製造方法のいずれも、所望のレンズ部を通過せずに入射または出射する光を吸収するための機構(外光吸収手段)を設ける必要がある。外光吸収手段を設ける方法として、該光が通る基材表面の相当箇所に光を吸収または反射する材料を印刷等の手段によって設ける手段が挙げられるが、レンズのファインピッチ化が進むにつれ、印刷でのパターンの形成は困難になってきており、また、印刷ズレに起因する不良率の増加も問題となっている。
この問題を解決するため、レンズ面側から光を照射して、反対面側に塗布した感光層を感光させ、感光しなかった部分にのみ外光吸収層のパターンを設ける技術が検討されている(特許文献3)。しかし、この手法では、反対面に塗布された塗料を除去する工程が必要になるところ、完全に除去することが困難であるという課題を有している。
特開2000−147215号公報 特開2003−172841号公報 特開平9−120101号公報
本発明の課題は、従来のレンチキュラーフィルムが持つ上記の問題を解決し、つまりは、簡素な構造を持ち、大面積で微細かつ均一なピッチとすることやコントラスト比の改善に有利なレンチキュラーフィルムを提供せんとするものである
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
樹脂(樹脂A)からなる層(A層)と、光吸収剤を含んだ樹脂Aとは異なる樹脂(便宜上樹脂Bと称する)からなる層(B層)がフィルム厚み方向に対して垂直な方向に交互に配列された構造を有し、A層の厚みをh(a)、B層の厚みをh(b)としたとき、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするフィルム、
1.2≦h(a)/h(b)≦10 式(1)

であり、また、種々の好ましい態様を採用しうる。
本発明によれば、大面積で微細かつ均一なピッチとすることやコントラスト比の改善に有利な、とりわけレンチキュラーフィルムとして用いるに好適なフィルムを提供できる。本発明のフィルムはレンチキュラーフィルムとして用いたとき、モアレの低減や、視野角およびコントラスト比を改善することができ、LCD用バックライト部材、透過型プロジェクションスクリーン、立体表示板などに用いるに有利である。
以下に本発明の詳細を説明する。本発明は、樹脂(樹脂A)からなる層(A層)と、光吸収剤を含んだ樹脂Aとは異なる樹脂(樹脂B)からなる層(B層)がフィルム厚み方向に対して垂直な方向に交互に配列された構造を有し、樹脂AからA層の厚みをh(a)、B層の厚みをh(b)としたとき、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするフィルムである。
1.2≦h(a)/h(b)≦10 式(1)
本発明のフィルムは、樹脂(樹脂A)からなる層(A層)と、光吸収剤を含んだ樹脂Aとは異なる樹脂(樹脂B)からなる層(B層)がフィルム厚み方向に対して垂直な方向に交互に配列された構造を有している。すなわち、このフィルムの構造は、A層とB層がフィルムの厚み方向に垂直な方向(フィルムの面内方向ということもできる)に交互に配列されており、図1から理解されるように、フィルムの切断面をみると幅方向に渡ってA層とB層が交互に存在している構造を見ることができる。なお、B層間にA層は存在するので、A層を挟むB層の樹脂は同じ種類の樹脂である場合もあれば、異なる種類の樹脂である場合もありうる。また、本発明のフィルムはA層を挟まないB層間に異なる樹脂の層を有していても差し支えない。すなわち、B層//A層//B層の構造を有していれば、層の配列には制限はない。また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて透明な樹脂からなる層がA層とB層との間に設けられていても差し支えない。
B層を構成する樹脂Bには光吸収剤が含まれている。光吸収剤とは、光を吸収することにより透過する光強度を低下させるものであり、カーボンブラック、黒色顔料や染料、金属粒子や樹脂ビーズの表面にカーボンブラックや金属酸化物を被覆させたものなどが挙げられる。ここで、光吸収剤にカーボンブラックや顔料を用いる場合は、その含有量は樹脂B中0.05〜20重量%とすることが好ましい。含有量が0.05重量%未満であると、光を十分に吸収することができなくなり、コントラスト比の改善効果が悪くなる。また、20重量%よりも大きくなると、光吸収効果の改善があまり大きくならないため、コストの面で不利となる。また、金属酸化物や樹脂ビーズなどの微粒子を用いる場合は、5〜20重量%であることが好ましい。また、これらの粒子の粒径は、0.1〜250μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜100μmである。
また、樹脂Bに含まれる樹脂はA層を構成している樹脂とは異なる樹脂であるが、ここにいう「異なる」の意味は、一次構造もしくは繰返し単位、または混合物である場合に組成比として同一でないとの意味である。
本発明に用いる樹脂Aおよび樹脂Bをなす樹脂としては、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でも構わないが、本発明のフィルムは溶融押出成形を応用すれば簡便に得ることができるので、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。望ましい熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを挙げることができる。またこれらの樹脂としては単一組成の樹脂であっても、共重合または2種類以上の樹脂がブレンドされたものであってもよい。また、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが含有されたものであってもよい。
また、本発明のフィルムは、A層とB層の厚みが以下の関係式(1)を満足する。
1.2≦h(a)/h(b)≦10 式(1)
ここで、A層およびB層の厚みについて説明する。図1は本発明のフィルムの垂直切断面を見た斜視図であり、樹脂Aからなる層1および光吸収剤を含んだ樹脂Bからなる層2がフィルム幅方向に交互に配列した構造を有している。A層の厚み(h(a))は該垂直切断面中の最大高さで表され、図1中では符号3で説明されている。また、B層の厚みは垂直切断面の中央部における高さで表され、図1中では符号4で説明されている。ここで、h(a)/h(b)が1.2より小さくなると、レンチキュラーレンズとしての働きが十分に発揮されがたくなる。また、10より大きくなると、A層とB層間が剥離しやすくなり、歩留まりの低下を招くおそれがある。h(a)/h(b)は、下限として望ましくは、1.4以上、さらに望ましくは1.6以上であり、上限として望ましくは、9以下、さらに望ましくは8以下である。
また、本発明のフィルムは好ましくA層は略球面状の突出した部分を端部に有している。略球面状とは球面若しくは平面が単独または組み合わさって全体としてドーム形状の断面を与えている状態をいう。また、端部とは厚み方向に対しての位置関係で規定される。図1を用いて説明すると、略球面状の突出した部分はA層とB層の高さの差に相当する層Aの部分がこれにあたる。 かかる略球面状の突出した部分を端部に有することにより、集光効果が増加し、良好なレンチキュラーフィルムとして用いることができる。該略球面状の突出した部分の望ましい形状は、正弦波状、または、レンズ状の角のない丸みを帯びた形状である。
次に、本発明のフィルムを得る方法について、熱可塑性樹脂を用いて製造する例を用い、具体的に説明する。もちろん、本発明はこれにより限定を受けるものではない。
熱可塑性樹脂を用いて得られる本発明のフィルムは溶融押出プロセスを用いて製造でき、幅方向に積層したフィルムとして製膜されることにより得ることができる。つまり、2台の押出機を用いて、樹脂Aと樹脂Bを押出し、これを図2に示すごとき合流・積層装置を用いて幅方向に交互に樹脂Aと樹脂Bを配列せしめ、ダイスリット部から溶融状態でシート上に押し出し、その後キャスティングドラムにて固化する。ここで、所望のh(a)/h(b)を得るには樹脂の溶融密度と固化密度の差を利用する方法あるいは図4に示すがごとく口金形状を所望の断面形状に近い形状とすることが挙げられる。前者についてさらに説明すると、一般的に、溶融状態の樹脂密度はフィルム状態での密度と比較して高いため、口金より吐出された積層体は、冷却されることによりフィルム幅方向および厚み方向に収縮する。この際、樹脂Aよりも樹脂Bの収縮が大きい場合、つまり樹脂Aの固化状態(フィルムとなった状態)における密度と溶融密度の差よりも、樹脂Bの固化状態における密度と溶融密度の差が大きい場合、樹脂Aが突出するようにフィルム表面は形成されるのである。この方法を用いる場合の好適な樹脂A、樹脂Bをなす樹脂の組合せとしては、例えば、樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート、樹脂Bとしてポリフッ化ビニリデン、あるいは樹脂Aとしてポリカーボネート、樹脂Bとしてポリブチレンテレフタレート、あるいは樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレート、樹脂Bとしてポリブチレンテレフタレートと言ったものがあげられる。
本フィルムの作製に好適な合流・積層装置としては、高い各層の配列の精度を達成することが可能であるという点から、微細スリットを有したフィードブロックを用いることが好ましい。このフィードブロックの詳細は、特開2005−352237号公報に記載されている。
該フィードブロックを用いてのフィルムの製造方法を説明すると、2台の押出機から供給される溶融状態の樹脂Aおよび樹脂Bは図2に示すフィードブロック5の両側からマニホールド6に供給される。マニホールド6の間に挟まれたスリット板7はその細孔部にそれぞれの樹脂が交互に流入するよう構成されており、各細孔部に流入した樹脂は合流されて幅方向に配列した構造を与えることとなる。スリット板7の細孔部の長さおよび幅を調整することにより、各層ごとの流量を調節することが可能となる。具体的にスリット板7の細孔部に流入する樹脂の吐出量と圧力損失の関係は、下記(3)式で表されることが知られている。
ΔP=12・L・Q・μ/(h・t) ・・・ (3)式
ΔP:圧力損失
L :細孔部の長さ
μ :樹脂粘度
t :細孔部の間隙
h :細孔部の奥行き
Q :吐出量
すなわち、圧力損失を一定とすることで容易に流量を変化させることができるため、各層の厚みを任意の厚みへ調整することができるのである。一方、略球面状の突出部の数については、スリット板7の細孔部の数を調整することで達成することができる。
この製造方法においては、スリット板7の中央部と両端部付近の圧力損失の違いにより生じるA層あるいはB層の断面積のムラを軽減するため、細孔部の長を調整することによって、断面積の均一をはかることができる。つまり、図3に示されるように、スリット板の中央部からスリット板の壁面付近に向かうにつれて、スリット長さを徐々に短くすることにより、フィルム幅方向での断面積ムラを改善することが可能である。細孔部の数が奇数の場合は、中央の2つのスリット壁8の先端に接する線と該中央のスリット壁の一方の先端と選んだ側の端のスリット壁9の先端を結ぶ線とがなす角度10は3°以上が好ましい。スリット角度が3°より小さくなると、レンズの断面積ムラが大きくなるおそれがある。より好ましくは5°以上である。なお、細孔数が偶数の場合は、スリット壁に代えて細孔部を基準として角度は求められる。樹脂Aおよび樹脂Bの粘度によっても前記の角度の最適値は変化するが、5°以上の傾斜を設けると、樹脂種の影響を受けにくくなり、各層の断面を均一にすることができる。また、このスリット壁の長さは端部に向かうに連れて単調に減少してゆくものでなくてもよく、途中で単調減少率が変化するものであっても、あるいは減少率が漸増または漸減あるいはそれらの組合せで変化したようなものであってもよい。また、スリット細孔部の間隙を徐々に大きくすることで、断面積が均一な形状を得ることも可能である。
また、光散乱や光損失の原因となる異物を除去する方法としては、真空ベント押出や濾過フィルターなどの公知の技術を用いることが効果的である。真空ベントの圧力は、差圧で1〜300mmHg程度が好ましい。また、濾過フィルターとしては、溶融押出中にFSS(Fiber Sintered Stereo)リーフディスクフィルタを用いことにより、高精度で濾過することができる。異物の大きさや量などの発生状態、及び樹脂粘度による濾圧に依存したフィルターの濾過精度を適宜変更することが好ましいが、本発明においては25μm以下の濾過精度をもったフィルターを用いることが好ましい。より好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは5μmである。また、その際の押出機先端部における樹脂圧は、樹脂漏れを少なくする観点から、20MPa以下が好ましく、よりこの好ましくは、10MPa以下である。
また、前記のフィードブロック5を用いるにあたり、加熱ムラに起因する樹脂Aおよび樹脂Bの積層の乱れを低減するために、マニホールド6に接続する短管内にはスタティックミキサーを導入することが好ましい。スタティックミキサーを導入することにより、精密なフィルム幅方向への積層が可能となる。
ここで、断面形状を崩さないように製膜するという観点から、フィードブロック5におけるポリマー流の幅方向圧縮比は、0.5以上が好ましい。幅方向圧縮比が0.5より小さくなると、幅方向の圧縮が大きくなることでレンズ層の構造が大きく乱れ、精密な積層構造を保つことができにくくなる。より好ましくは0.7以上である。ここで、ポリマー流の圧縮比とは、フィードブロック5出口の幅11をスリット板両壁面の幅12で割った値である。
さらに、本発明では、A層に対応する口金吐出部を凸状に加工することにより、フィルム幅方向に均一なレンズ形状を得ることが可能となる。図4に口金部の模式図を示す。加工された吐出部13の形状は、三角形、四角形、円弧形の何れの形状でも良いが、円弧形であると、ばらつきが少ない均一なレンズ形状が得られるので好ましい。
このような口金吐出部を凸状に加工する加工法としては、例えば、UV−YAGレーザ、IR−YAGレーザ、COレーザ、KrFエキシマーレーザ、ArFエキシマーレーザ、フェムト秒レーザなどを用いたレーザによる加工、レジスト加工、マイクロブレードを用いた切削加工、マイクロブラスト法といった手法が挙げられる。また、吐出部から溝を入れ始める場所までの距離14は0.5mm以上であることが好ましい。口金吐出部から溝を入れ始めるまでの距離14が0.5mmよりも短いと、溝加工によるレンズ形状の発現効果は薄い。また、フィルムに発生するスジを防ぐという観点から、溝は直線的もしくは曲線的に加工することが好ましい。
また、吐出部における溝の深さ15は、10μm以上であることが好ましい。溝の深さが10μm以下であると、フィルム幅方向におけるレンズ形状のばらつきが大きく、溝加工の効果があまり見られない。また、溝の深さの上限は、必要とされるフィルム凸部の高さにもよるが、(h(a)−h(b))程度が好ましい。
本発明のフィルムでは、A層とB層を交互に幅方向に計30層以上積層してなることが好ましい。より好ましくは100層以上であり、さらに好ましくは10000層以上である。層数が増えるほど、各層の幅を一定として比較すれば広幅のフィルムが得られることとなり生産性が向上するものとなる。積層数の上限については、特に限定するものではないが、1000000層程度が生産性の観点で適当な範囲である。
また、本発明に用いる樹脂Aおよび樹脂Bは次の式(4)を満たすことが好ましい。
0.5<η(B)/η(A)≦1 式(4)
η(A):樹脂Aの溶融粘度
η(B):樹脂Bの溶融粘度
η(B)/η(A)が0.5以下となると、溶融粘度の低い樹脂Bが樹脂Aのレンズ表面を包み込むように回り込んだ形状となりやすく、A層に入射する光が集光されずにレンズ界面で反射し、集光機能が低下する。また、η(B)/η(A)が1よりも大きくなると、B層とA層の界面が乱れるため、レンチキュラーフィルムとして十分な機能が発揮されないおそれがある。より好ましくは0.55<η(B)/η(A)≦0.95である。さらに好ましくは0.6η(B)/η(A)≦0.9である。η(B)/η(A)が0.6よりも大きい、もしくは0.9以下であると、樹脂の回り込みが発生せず、またA層およびB層の界面に乱れの少ないレンチキュラーフィルムを得ることが可能となる。
また、本発明に用いられる樹脂Bは、結晶性樹脂であることが好ましい。樹脂Bが結晶性樹脂であると、結晶性樹脂は溶融状態と常温での密度の差が大きいためレンズ形状の形成が容易となるだけでなく、曲げ応力に対する耐性が出るため、ハンドリングに有利なレンチキュラーフィルムを得ることが可能となる。
また、本発明のフィルムでは、少なくとも一方の表面に光拡散層を有することが好ましい。光拡散層を有することにより、フィルムを透過する光が拡散され、視野角性に優れたフィルムを得ることができる。光拡散層は、マルチマニホールドダイを用いて樹脂Aおよび樹脂Bよりなる積層体の表面に積層したり、コーティングにより積層することが可能である。光拡散層に用いる樹脂の屈折率は、樹脂Aの屈折率以上である必要がある。樹脂Aの屈折率よりも小さい場合、光が光拡散層/樹脂A界面で反射し、光が透過しないためである。積層体との接着性の観点から、光拡散層に用いる樹脂は樹脂Aであることが好ましい。また、光拡散剤としては、光を拡散するものであれば特に制限はなく、酸化チタンや炭酸カルシウムといった無機粒子や、ポリメチルメタクリレート粒子やポリスチレン粒子といった有機粒子があげられる。
本発明のフィルムは、垂直方向に対する光の広がりを改善することができるので、少なくとも一方の面に光拡散層を有するものであることが好ましい。光拡散層は、光拡散剤を含む樹脂をコーティングしたり、また光拡散剤を含んだフィルムを貼り合わせたりすることにより設けることが可能である。好ましい態様としては、押出機から光拡散剤を含有する樹脂を押し出し、マルチマニホールドダイを用いて溶融状態で樹脂Aと樹脂Bと共に積層して光拡散層を設ける方法を挙げることができる。光拡散剤には、無機粒子と有機粒子に大別することができ、無機粒子としては、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、またはこれらの混合物を用いることができる。また、有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、またはこれらの混合物を用いることができる。係る有機粒子あるいは無機粒子の粒子径は0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。粒子径が0.1μmに満たないと、光拡散効果が不十分となるおそれがあり、また、粒子径が50μmより大きくなると、A層とB層の界面が粒子により乱れ、入射する光が散乱するために集光機能が低下するおそれがある。また、光拡散粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、これらのうち光拡散性に優れる球状が好ましい。
また、本発明のフィルムは、フィルム中央部における前記A層の厚みを基準としたとき、各A層の厚みのばらつきが3%以下であることが好ましい。厚みのばらつきが3%以下であると、輝度ムラの少ないレンチキュラーフィルムを得ることが可能となる。より好ましくは1%以下である。
A層の厚みのばらつきを低減するためには、樹脂Aとして非晶性樹脂を用いることが好ましい。樹脂Aとして非晶性樹脂を用いると、非晶性樹脂は溶融状態とフィルム状態の密度差が小さいため、冷却ムラによる厚みのばらつきを低減することが可能となる。
また、本発明のフィルムの全光線透過率は60%以上であることが好ましい。全光線透過率を60%以上とすることで、さらに、光の利用効率の高く、また視野角の広いレンチキュラーフィルムを得ることができる。より好ましくは70%以上である。このようなフィルムを得る方法としては、B層の幅が狭くなるようフィードブロックを設計し、さらに樹脂Bに結晶性樹脂を用いて溶融状態からの収縮を大きくすることにより、達成することが可能である。
本発明のフィルムの前記略球面状の突出部のピッチのばらつきは、フィルム中央部における前記略球面状の突出部のピッチを基準としたときの5%以下であることが好ましい。該ピッチのばらつきを5%以下とすることで、視野角特性に一層優れたフィルムとすることができる。より好ましくは3%以下である。さらに好ましくは1%以下である。略球面上の突出部のピッチのばらつきを1%以下とすることで、視野角特性として均一なレンチキュラーフィルムを得ることができる。ここで、ピッチとは、図5に示すように、A層の断面積が最小となるフィルムの垂直断面においてA層の最大幅の中点間の水平距離16を示し、該ピッチのばらつきが5%以下とは、任意の隣接するレンズにおけるピッチをL、フィルム中央部に位置するレンズのピッチをLcとしたとき、次の式を満たすことを表す。
100×|1−L/Lc|≦5
ここで、レンズ数が奇数の場合、Lcは中央部に位置するレンズに隣接する2つのレンズとの間の距離の平均値をとる。偶数の場合は、中央に位置する二つのレンズの中心間の距離とする。
このようなフィルムを得る手法としては、フィルムキャスト時のネックインを低減することが好ましい。
また、本発明のフィルムにおけるA層のフィルム長手方向における断面積のばらつきは5%以下であることが好ましい。フィルム長手方向における断面積のばらつきが5%以下となると、フィルム長手方向に均一な形状をもつレンズとすることが可能であり、この結果輝度ムラのない均一なレンチキュラーフィルムを得ることが可能となる。該断面積のばらつきはより好ましくは3%以下である。さらに好ましくは1%以下である。
このようなフィルムを得る方法としては、樹脂Aおよび樹脂Bに、溶融粘度の低い樹脂を用いることが好ましい。溶融粘度の低い樹脂を用いると、ポリマーと壁面の界面での応力が小さくなり、フィルム厚み方向の乱れが低減されるため、その結果フィルム長手方向におけるコアの断面積のばらつきが少なくなる。
本発明のフィルムは、視野角特性が良好であり、また高い全光線透過率を有するため、レンチキュラーレンズとしてフレネルレンズと組み合わせて用いることにより、背面投射型のスクリーンに代表される表示装置に用いるのに最適である。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。なお、評価法(1)〜(6)においては、フィルム断面を研磨紙を用いて研磨することにより、平均粗さが500nm以下の平滑面を得てから測定を行った。
(物性の評価方法)
(1)A層とB層の厚みの測定
まず、試料となるフィルムシートを幅方向に10等分に分割し、分割したフィルムそれぞれについて、カッターもしくはミクロトームを用いて断面(幅方向−厚み方向断面)を切り出した。この切り出した断面のフィルムの幅方向中央部における部分の画像を、CCDカメラ(Zeiss社製 AxioCam HRc)を搭載した光学顕微鏡(Leica社製 DMLM)を用いて観察し、その画像データをコンピュータに取り込んだ。観察倍率は、観察面内にA層とB層のそれぞれが最低5個写るよう50〜200倍の間で調節した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、取り込んだ画像データについて、必要に応じて、画像処理を行った。画像処理は、断面の形状を鮮明にするために行うものであり、ソフト付属の2値化およびローパスフィルタ処理などを行った。
続いて、画像解析にて画像内のA層およびB層の厚みを計測し、A層およびB層のそれぞれについて、厚みの平均値を求めた。この測定を上記10分割した全てのフィルムについて行って各フィルムのA層とB層の厚みの平均値を求めた。h(a)はA層に係る10個の平均値を平均して、h(b)はB層に係る10個の平均値を平均して求められる。
(2)溶融粘度の測定法
溶融粘度はフローテスター(島津製作所製 CFT−5000)を用いて測定を行った。まず、使用する樹脂を真空乾燥機にて、8時間以上減圧加熱乾燥を行った。乾燥温度は各樹脂のガラス転移温度よりも10℃低い温度にて行った。その後、計測する温度まで加熱したシリンダ内に測定する樹脂を3g程度入れ、3分間加熱したのち測定を開始する。装置の重りの重量を変化させて3回測定を行いその平均値を計算し、剪断速度に対する溶融粘度のグラフを求め、剪断速度が100sec−1における樹脂の溶融粘度をグラフより求めた。
(3)頂点部のばらつき測定方法
上記(1)と同様の方法を用い、フィルム幅方向に10等分に分割した各フィルム中の全てのA層の厚みを求めた。次に、以下の式の最大値を求め、その値をばらつきの値として採用した。
100×|1−h(a)/hc(a)|
h(a) :(1)の方法にて求めた各A層の厚み
hc(a) :フィルム中央部のA層の厚み
なお、A層が偶数個存在する場合、フィルム中央部のA層の厚みは中央に位置する2つのA層の厚みの平均をhc(a)に用いた。
(4)全光線透過率
各フィルムの全光線透過率は、JIS K7105に準拠して測定した。フィルム幅方向中央部を適当な大きさに切り出し、ヘイズメータ(NDH5000 日本電飾工業社製)を用いて測定した。
(5)突出部のピッチの測定方法
上記(1)の測定と同様に、10分割したフィルムの幅方向中央部における断面画像を、CCDカメラを搭載した光学顕微鏡を用いて観察し、そのデータをコンピュータに取り込んだ。観察倍率は、観察面内にA層とB層のそれぞれが最低5個写るよう50〜200倍の間で調節した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、取り込んだ画像データについて、必要に応じて、画像処理を行った。画像処理は、断面の形状を鮮明にするために行うものであり、ソフト付属の2値化およびローパスフィルタ処理などを行った。
続いて、画像解析にて、ラインプロファイルモードにてA層内を通りフィルム面に水平であるベースラインを引き、該ベースラインからフィルム縁部への距離を切断面幅方向の位置に対応させて刻み幅1μmで読み取った。このデータを表計算ソフト(Excel2000)を用いて、ベースラインからフィルム縁部への距離について3点移動平均の数値処理を施してデータを更新し、次いで、VBAプログラムによって、切断面幅方向の位置をX軸に、該更新した距離をY軸にプロット−補間して得られる曲線について微分し、該微分曲線の極大値と極小値を求め、次いで、レンズの両端部に対応する極値2つの中点をもってA層の中心位置とした。この操作を全てのA層について行い、この中心位置の間隔をピッチとして算出した。
(6)断面積の測定
上記(1)と同様の方法で得た10分割のフィルムについて、その断面の全てについて、画像データをコンピュータにとりこみ、次いで、(1)と同様の画像解析ソフトを用い、該データについて2値化処理を行ってA層とB層の界面が分かるよう処理を行った。こうして求めた画像データから、A層(突出部を有する層)の断面積を求めた。すわなち、前記画像解析ソフトのCount/Sizeダイアログボックスの測定メニューから、測定項目のうち、“Area(面積)”を選択し、Countボタンを押し、自動測定を行った。こうして10分割したフィルムのそれぞれについて、全てのA層の断面積を求めた。次に、本測定の最初にA層の断面積を求めたフィルム位置から、フィルム長手方向に10cm以上離れた位置において、上記と同様の手法により各A層の断面積を求めた。この操作を9回繰り返すことで、各A層に対してフィルム長手方向に10点の断面積を算出した。
次に、各A層について、フィルム長手方向における断面積のばらつきを求めた。つまり、ある一つのA層について、はじめに切り出した断面における面積をS(0)とし、これを基準として、同じA層のフィルム長手方向9点における断面積Sについて以下の式を計算し、その最大値からばらつきを求める。
100×|1−S/S(0)|
S(0) :はじめに切り出した断面におけるある一つのA層の断面積
S :フィルム長手方向におけるA層の断面積
これをすべてのA層について行い、各A層におけるフィルム長手方向での断面積のばらつきを求め、その最大値をフィルムの長手方向における断面積のばらつきとして採用した。
(実施例1)
樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート、樹脂Bとしてポリフッ化ビニリデンを用い、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して1重量%の割合で混合した。また、樹脂Aおよび光吸収剤を含んだ樹脂Bは、それぞれの単軸押出機にて240℃で溶融させ、濾過精度20μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が樹脂A/光吸収剤を含んだ樹脂B=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が6°のスリット板を用いて301層のフィードブロック(幅方向圧縮比0.8)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に各層が配列された構造とした。その内訳は、樹脂Aが151層、光吸収剤を含んだ樹脂Bが150層幅方向に交互に積層された構造の有する積層体であった。さらに、光拡散層として、3台目の単軸押出機から、240℃で溶融した酸化チタンを添加した樹脂Aが、吐出フィルムのドラム面にくるように、ギアポンプを用いて、前記積層体に対する吐出比が1/7となるようにマルチマニホールドダイ部(樹脂A/301層の積層体=1/7)で合流させた。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上にキャストし、次いで急冷固化して未延伸フィルムを得た。突出した部分を有するA層は、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例2)
実施例1の樹脂Aをポリカーボネート、樹脂Bをポリブチレンテレフタレートに変更し、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して0.2重量%の割合で混合した。押出温度を280℃に設定し、フィードブロックのスリット傾斜角度を8°、幅方向圧縮比0.3のものを用い、光拡散層として酸化チタンを有する樹脂Aを用い、それ以外の条件は、実施例1と同様にして樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層は、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例3)
実施例1の樹脂Aをポリカーボネート、樹脂Bをポリプロピレンに変更し、光吸収剤として、酸化チタン粒子を樹脂Bに対して1重量%の割合で混合した。押出温度を280℃に設定し、601層のフィードブロックを用いて実験を行った。フィードブロックのスリット傾斜角度を8°、幅方向圧縮比0.6のものを用い、マルチマニホールドダイに拡幅比0.9のものを使用し、また、光拡散層を積層せずに、それ以外の条件は、実施例1と同様にして樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。さらに、その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例4)
実施例3の樹脂Aをシクロオレフィンコポリマー(APEL 6509T 三井化学社製)、樹脂Bをエチレン4mol%、プロピレン96mol%のエチレン・プロピレンランダム共重合体に変更し、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して3重量%の割合で混合した。押出温度を270℃に設定し、フィードブロックのスリット傾斜角度を3°、幅方向圧縮比0.6のものを用い、マルチマニホールドダイに拡幅比2.1のものを使用し、それ以外の条件は、実施例3と同様にして樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートとし、その後、インラインコーティングによりシクロオレフィンコポリマーをバインダーとしてポリスチレンビーズを非凹凸面に積層した。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例5)
実施例4の樹脂Bをポリブチレンテレフタレートに変更し、押出温度を270℃に設定し、フィードブロックのスリット傾斜角度を5°、幅方向圧縮比0.8のものを用い、マルチマニホールドダイに拡幅比2.1のものを使用し、それ以外の条件は、実施例4と同様にして樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例6)
樹脂Aとしてポリスチレン、樹脂Bとしてポリプロピレンを用い、光吸収剤として、シリカ粒子を樹脂Bに対して15重量%の割合で混合した。樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、濾過精度5μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が樹脂A組成物/樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリット長の傾斜角度が3°のスリット板を用いて601層のフィードブロック(幅方向圧縮比0.8)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが301層、熱可塑性樹脂Bが300層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。その後、ワイヤーで9kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例7)
実施例6の樹脂Aをポリエチレンナフタレート、樹脂Bをポリブチレンテレフタレート、押出温度を280℃に変更し、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して15重量%の割合で混合した。フィードブロックのスリット傾斜角度を5°、幅方向圧縮比0.3のものを用い、それ以外の条件は、実施例6と同様にして、樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例8)
実施例6の樹脂Aをポリエチレンナフタレート、樹脂Bをエチレン90mol%、プロピレン10mol%のエチレン・プロピレンランダム共重合体に変更し、光吸収剤として、シリカ粒子を樹脂Bに対して8重量%の割合で混合した。フィードブロックのスリット傾斜角度を5°、幅方向圧縮比0.3のものを用い、それ以外の条件は、実施例6と同様にして、樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は301個であった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(実施例9)
実施例6の樹脂Aをポリエチレンテレフタレートに変更し、301層積層用フィードブロックを用い、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して3重量%の割合で混合した。フィードブロックのスリット傾斜角度を4°、幅方向圧縮比0.2のものを用い、それ以外の条件は、実施例6と同様にして、樹脂Aおよび樹脂Bがフィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。レンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層はフィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は151個であった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(比較例1)
樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート、樹脂Bとしてポリスチレンを用い、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して0.03重量%の割合で混合した。た。それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを2枚介した後、ギアポンプにて吐出比が樹脂A組成物/樹脂B組成物=0.125/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が4°のスリット板を用いて301層のフィードブロック(幅方向圧縮比0.3)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、樹脂Aが151層、樹脂Bが150層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。積層された樹脂はフィードブロック下に取り付けられた短管を通った後、マルチマニホールドダイへ流入する装置構成とした。さらに、3台目の単軸押出機から、250℃で溶融させられた光拡散剤として酸化チタンを含有した樹脂Aが、吐出フィルムのドラム面にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が1/5となるようにフィードブロック下のマルチマニホールドダイ(樹脂A/151層積層体1/5)で合流させた。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、また、良好なレンズ形状を発現しなかった。また、レンズピッチのばらつきが大きかった。なお、採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向に乱れながら整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(比較例2)
樹脂Aとしてポリスチレン、樹脂Bとしてポリエチレンを用い、光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して1重量%の割合で混合した。樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて260℃で溶融させ、濾過精度10μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が樹脂A組成物/樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が0°のスリット板を用いて601層のフィードブロック(幅方向圧縮比0.8)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、樹脂Aが301層、樹脂Bが300層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、また、良好なレンズ形状を発現しなかった。また、レンズピッチのばらつきが大きなものであった。なお、フィルム幅方向に乱れながら整列しているレンズ部は301個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(比較例3)
樹脂Aとしてポリカーボネート、樹脂Bとしてエチレン4mol%、プロピレン96mol%のエチレン・プロピレンランダム共重合体を用い、光吸収剤として、酸化チタンを樹脂Bに対して3重量%の割合で混合した。樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて280℃で溶融させ、濾過精度10μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が樹脂A組成物/樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が3°のスリット板を用いて601層のフィードブロック(幅方向圧縮比0.4)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、樹脂Aが301層、樹脂Bが300層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートであるレンチキュラーフィルムを得た。採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、また、良好なレンズ形状を発現しなかった。また、レンズピッチのばらつきが大きなものであった。なお、フィルム幅方向に乱れながら整列しているレンズは301個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(比較例4)
比較例3の樹脂Aをポリビニルアルコール樹脂Bをポリ−L−乳酸に変更し、樹脂Bには光吸収剤として、カーボンブラックを樹脂Bに対して20重量%の割合で混合した。301層のフィードブロックを用いて実験を行った。フィードブロックのスリット傾斜角度を4°、幅方向圧縮比0.3のものを用い、それ以外は、比較例3と同様にして、レンチキュラーフィルムを得た。採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、また、レンズピッチのばらつきが大きなものであった。なお、採取したレンチキュラーフィルムのレンズ部は、フィルム幅方向に乱れながら整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
(比較例5)
実施例2のフィルムについて、樹脂Bに光吸収剤を添加せず、その他の条件は同様にして実験を行った。作成したレンチキュラーフィルム内のレンズ層であるA層は、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数十m以上も続くものであったが、外光吸収層がないためにコントラスト比の悪いレンチキュラーフィルムとなった。得られたレンチキュラーフィルムの物性結果を表1または表2に示す。
Figure 2009294563
Figure 2009294563
本発明は、溶融押出プロセスを用いることにより、大面積で微細かつ均一なピッチを有し、かつコントラスト比改善のための光吸収層を有するレンチキュラーフィルムを低コストで提供するものである
本発明に係るフィルムの断面模式図およびその部分拡大図 本発明のフィルムの製造に用いるフィードブロックの上断面の模式図 スリット板の正面図 口金加工部の説明用の図 レンズピッチの説明用の図
符号の説明
1: 樹脂Aからなる層(A層)
1−1:樹脂Aの流れ
2: 光吸収剤を含んだ樹脂Bからなる層(B層)
2−1:光吸収剤を含んだ樹脂Bの流れ
3: A層の厚み
4: B層の厚み
5: 積層装置(フィードブロック)
6: マニホールド
7: スリット板
8: スリット板の中央部に位置するスリット
9: スリット板の最端部に位置するスリット
10: 中央スリットと端部スリットがなす角度
11: フィードブロック出口の幅(マルチマニホールドダイのポリマー流入部の幅)
12: スリット板両壁面間の幅
13: 口金吐出部
14: 口金吐出部から溝加工開始位置までの距離
15: 吐出部における溝の深さ
16: レンズピッチ

Claims (10)

  1. 樹脂(樹脂A)からなる層(A層)と、光吸収剤を含んだ樹脂Aとは異なる樹脂(便宜上樹脂Bと称する)からなる層(B層)がフィルム厚み方向に対して垂直な方向に交互に配列された構造を有し、A層の厚みをh(a)、B層の厚みをh(b)としたとき、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするフィルム。
    1.2≦h(a)/h(b)≦10 式(1)
  2. 前記A層は略球面状に突出した部分を端部に有している請求項1記載のフィルム。
  3. 前記A層の厚みのばらつきが3%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 略球面状の突出部のピッチのばらつきが5%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 樹脂Aおよび樹脂Bが熱可塑性樹脂からなり、かつ樹脂Aおよび樹脂Bの溶融粘度が下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィルム。
    0.5<η(B)/η(A)≦1 式(2)
    η(A):熱可塑性樹脂Aの溶融粘度
    η(B):熱可塑性樹脂Bの溶融粘度
  6. 樹脂Bが結晶性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. さらに、その少なくとも一方の表面に光拡散層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 全光線透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
  9. 樹脂Aが延在する方向に対する垂直断面の断面積のばらつきが5%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のフィルムを用いた表示装置。
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JP2017134163A (ja) * 2016-01-26 2017-08-03 大日本印刷株式会社 レンズシート、撮像モジュール、撮像装置
CN108572506A (zh) * 2018-07-06 2018-09-25 深圳市光科全息技术有限公司 超短焦投影光线膜

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