JP2017067935A - レンズシート、撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
しかし、赤外線カットフィルタを用いることは、撮像装置の薄型化や組み立て作業の簡略化等への妨げとなっていた。
請求項1の発明は、撮像モジュールにおいて撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシートであって、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状(112)を有する光透過部(111)と、前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、該レンズシートの厚み方向に沿って、前記単位レンズ形状側から反対側である該レンズシートの裏面(11b)側へ延びる光吸収部(113)と、該レンズシートの厚み方向において、前記光透過部よりも裏面側に設けられ、700〜1100nmの波長域の光を遮蔽する赤外線遮蔽層(115)と、を備えること、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズシートにおいて、前記光透過部(111)の屈折率N1と前記光吸収部(113)の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、前記光吸収部(113)と前記光透過部(111)との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の撮像モジュールにおいて、前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とする撮像モジュール(10)である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、前記レンズシートは、前記レンズシートユニット内において撮像素子部(14)側に配置され、前記赤外線遮蔽層は、前記撮像素子部と前記レンズシートユニットとを接合する接合層としての機能を有し、前記レンズシートユニット(13)と前記撮像素子部とを一体に接合していること、を特徴とする撮像モジュール(10)である。
請求項7の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の撮像モジュール(10)を備える撮像装置(1)である。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、本実施形態の撮像モジュール10を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、XYZ直交座標系を適宜設けて示している。この座標系では、撮影者が、撮像装置を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、携帯端末本体の筐体に相当する。このカメラ1は、さらに、不図示の制御部、記憶部等を備えている。
また、カメラ1は、筐体30をカメラ本体の筐体として備える、一般的な撮像装置としてもよい。この場合、カメラ1は、制御部、記憶部等に加えて、不図示のシャッタ部、シャッタ駆動部等を備える。
開口部20は、被写体側からの光を、カメラ1の撮像モジュール10へ取り込む開口である。この開口部20には、撮像モジュール10への埃やゴミ等の異物の侵入を防止する等の観点から、開口部20を覆うようにカバーガラス21が配置されている。
レンズシートユニット13及びイメージセンサ14は、矩形状の平板状の部材であり、その幾何学的中心に光軸Oが直交している。
図4は、本実施形態の第1レンズシート11を説明する図である。図4(a)は第1レンズシート11の光透過部111の配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示し、図4(b)では、図4(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。
図5は、本実施形態の第2レンズシート12を説明する図である。図5(a)は第2レンズシート12の光透過部121の配列方向及び第2レンズシート12の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示し、図5(b)では、図5(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。
レンズシートユニット13は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12が一体に積層されて不図示の支持部材により支持されており、イメージセンサ14に対する左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)、光軸O方向(Z方向)における位置等が決められている。
光透過部111は、光を透過する部分であり、イメージセンサ14側(−Z側)に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。第1レンズシート11のイメージセンサ14側(−Z側)の面は、単位レンズ形状112が複数配列されたレンズ形状面11aとなっている。また、第1レンズシート11の被写体側(+Z側)の面(レンズ形状面11aとは反対側の面)である裏面11bは、略平面状となっている。
光透過部111の裏面11b側(+Z側)には、光透過部111がシート面に平行な方向に連続しているランド部114が形成されている。ランド部114は、その厚みができる限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さが0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光等を防止し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
本実施形態の光透過部111は、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法等により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラスにより形成されてもよい。
また、単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
この赤外線遮蔽層115は、赤外線、特に波長が700〜1100nmの領域である近赤外線を遮蔽し、それ以外の光を透過する機能を有する。本実施形態の赤外線遮蔽層115は、第1レンズシート11の厚み方向において、光透過部111及び光吸収部113よりも被写体側(+Z側)に位置している。
赤外線遮蔽層115は、例えば、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽する層としてもよいし、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を反射することにより遮蔽する層としてもよい。
また、赤外線遮蔽層115が、所定の波長域の赤外線を反射することにより遮蔽する層である場合、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO、ATO等のスパッタリング膜、蒸着膜等(高屈折率層と低屈折率層の多層誘電膜等)により形成される。
本実施形態では、第1レンズシート11の裏面11bは、レンズシートユニット13への光の入射面である。従って、裏面11bの表面(赤外線遮蔽層115よりも被写体側)に、反射防止層を形成することにより、第1レンズシート11と空気との界面となる裏面11bでの反射を抑制し、入射光量の増加を図っている。
光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20〜230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1は、光透過部111の配列方向において、光透過部111のレンズ形状面11a側の寸法(光透過部111と光吸収部113の最もレンズ形状面11a側の端部との境界となる点t1〜点t2間の寸法)であり、約20〜200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ高さH1は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光吸収部113のレンズ形状面11a側の面から単位レンズ形状112の最も凸となる点t3までの寸法であり、約2〜40μmとすることが好ましい。
光透過部111の厚さT1は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光透過部111と赤外線遮蔽層115との界面から点t3までの寸法であり、約30〜480μmである。
光吸収部113の高さH2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法であり、約20〜470μmとすることが好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
第1レンズシート11の総厚T2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、裏面11bの表面から点t3までの寸法であり、約30〜600μmとすることが好ましい。
赤外線遮蔽層115の厚さD4は、約1〜100μmである。厚さD4が、これよりも薄いと、赤外線遮蔽層115形成時に、赤外線遮蔽層115の厚さにムラが生じやすく、また、赤外線を遮蔽する機能も不十分になる。厚さD4が、これよりも厚いと、画像の赤色系の色の彩度が低下したり、画像の明るさが全体的に低下したりする。従って、厚さD4は、上記の範囲が好ましい。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と略同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有しているが、レンズ形状面12aの位置、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向が、第1レンズシート11とは異なる。
また、第2レンズシート12は、赤外線遮蔽層を有しておらず、その総厚は、光透過部121の厚さT1に等しく、約30〜480μmである。
また、図3(b)に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向が左右方向(X方向)であり、長手方向が上下方向(Y方向)に延在している。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成される。
第1レンズシート11の製造方法の一例は、以下の通りである。
まず、図6(a)に示すように、PET樹脂製等の基材用のシート状の部材(以下、基材層という)51を用意し、図6(b)に示すように、その片面にメラミン樹脂やアクリル樹脂等を塗布して硬化させ、剥離層52を形成する。
次に、図6(c)に示すように、基材層51の剥離層52の上に、前述の赤外線遮蔽層115を形成する材料を塗布もしくは蒸着することにより、赤外線遮蔽層115を形成する。
次に、図6(e)に示すように、光透過部111間の溝部分に、光吸収部113を形成する材料をワイピング(スキージング)して充填し、硬化させて、光吸収部113を形成する。
その後、所定の大きさに裁断して整え、図6(f)に示すように、剥離層52ごと基材層51を剥離する。そして、不図示の反射防止層を単位レンズ形状112表面や裏面11b表面に形成する等し、図6(g)に示すように、第1レンズシート11が形成される。
例えば、基材層51及び剥離層52は、基材層51に予め剥離層が形成されている汎用の部材を使用してもよい。また、基材層51は、上記の材料に限らず、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等を用いて形成してもよいし、剥離層52は、上記の材料に限らず、シリコーン系材料やフッ素化合物系材料等を用いて形成してもよい。
また、例えば、基材層51が剥離層52を有しておらず、光透過部111,121及び光吸収部113,123を形成後に、基材層51に相当する部分を削る等により、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を形成してもよい。
また、例えば、光吸収部113,123は、光透過部111間の溝部分に光吸収部113,123を形成する材料を、真空充填等により充填して形成してもよいし、毛細管現象を利用して充填して形成してもよい。
接合層15は、粘着剤又は接着剤により形成され、光透過性を有している。この接合層15の屈折率N3は、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N2と等しいことが好ましい。
また、イメージセンサ14は、駆動時に発熱し、約40℃前後まで表面温度が上昇する。そのため、イメージセンサ14の発熱によるレンズシートユニット13の反り等の変形を抑制する観点から、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層15としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
なお、接合層15は、その屈折率N3が光透過部121の屈折率N2よりも小さいものも適用可能である。このような接合層15としては、例えば、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、単位レンズ形状112,122がその頂点(点t3)で互いに接した状態、又は、近接した状態で配置されており、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の隙間部分には、空気が位置する形態となっている。
イメージセンサ14を構成する複数の画素は、イメージセンサ14の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ14の画素は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されているものとする。
このようなイメージセンサ14としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態では、このイメージセンサ14として、CMOSが用いられている。
そして、イメージセンサ14の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される。
撮影時、撮像モジュール10により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶され、また、制御部により各種演算等が行われることにより、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して所定の領域内に位置する複数個の画素141が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、例えば、図7(a)に示すように、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図7(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
さらに、従来のライトフィールドカメラは、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が必要である。しかし、本実施形態によれば、いずれも不要であるので、ライトフィールドカメラとしても、薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
以下に、レンズシートユニット13の他の実施形態について説明する。
<各レンズシートのレンズ形状面11a,12aの向きについて>
図8は、第1レンズシート11のレンズ形状面11a、第2レンズシート12のレンズ形状面12aの向きを説明する図である。なお、図8では、理解を容易にするために、レンズシートユニット13を構成する第1レンズシート11及び第2レンズシート12のみを示し、接合層15等は省略して示している、また、図8において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、Z方向において離間している形態を示しているが、実際には、接しているもしくは近接している。
図8に示すように、レンズシートユニット13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ14側(−Z側)であるかは、適宜選択できる。
また、図8(b)に示すように、レンズシートユニット13を構成する第1レンズシート11、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aがいずれもイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。この形態の場合、クロストークを抑制し、良好な画像を得る観点から、赤外線遮蔽層115は、第1レンズシート11の光透過部111よりも裏面11b側(被写体側,+Z側)に形成されることが好ましい。
この形態の場合、クロストークを抑制し、良好な画像を得る観点から、赤外線遮蔽層115は、図8(c)に示すように、第1レンズシート11の光透過部111よりも裏面11b側(イメージセンサ14側、−Z側)、もしくは、図示しないが第2レンズシート12の光透過部121よりも裏面12b側(被写体側,+Z側)に形成されることが好ましい。
図8(c)ように、第1レンズシート11の第2レンズシート12側(−Z側)の面が、単位レンズ形状112が形成されていない裏面11bであり、第2レンズシート12の第1レンズシート11側の面も裏面12bである場合、光学密着による迷光の発生を抑制する観点から、第1レンズシート11及び第2レンズシート12との間に、不図示のスペーサを配置してもよい。また、このとき、光学密着による迷光の発生を抑制する効果を高める観点から、双方の裏面11b,12bを、微細凹凸形状が形成されたマット面としてもよい。
このような形態のレンズシートユニット13を使用した場合にも、良好な画質で撮像することができる。
レンズシートユニット13において、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11を左右方向(X方向)とし、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12を上下方向(Y方向)としてもよい。
また、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R11と、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R12とがなす角度αは、90°±10°の範囲、即ち、80°〜100°の範囲内であれば、レンズシートユニット13として所望される光学的機能は維持される。従って、角度αは、90°に限定されず、80°〜100°の範囲内としてもよい。
従って、第1レンズシート11及び第2レンズシート12をレンズシートユニット13として撮像モジュール10を組み立てる際に、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12とのなす角度αを厳密に90°として配置しなくともよく、レンズシートユニット13及び撮像モジュール10の組み立て作業の容易化、作業効率の向上、歩留りの向上を図ることができる。
図3等に示す実施形態では、赤外線遮蔽層115は、第1レンズシート11の光透過部111よりも裏面11b側に形成される例を示しているが、これに限らず、レンズシートユニット13内、及び、イメージセンサ14よりも被写体側であれば、特にその位置を限定しない。
図3等に示す実施形態であれば、例えば、第2レンズシート12の光透過部121よりも裏面12b側に配置される形態も可能である。しかし、クロストークを抑制し、良好な画像を表示する観点から、光軸O方向におけるイメージセンサ14の受光面と第2レンズシートの光吸収部113の最もイメージセンサ14側(−Z側)となる端部との間の距離が大きくなることは好ましくない。
従って、図3等に示す実施形態においては、第1レンズシート11の裏面11bに赤外線遮蔽部を形成する形態が、クロストーク等を低減し、かつ、画像にノイズを生じさせる赤外線(特に近赤外線)を遮蔽する観点から、最も好適である。
また、図3等に示す実施形態や、図8(a)に示す他の実施形態において、第2レンズシート12の裏面12bに赤外線遮蔽層を形成することも可能であるが、その場合には、ランド部124及び赤外線遮蔽層を合わせた厚みをできる限り薄くすることが、クロストーク等を抑制する観点から望ましい。
さらに、図3等に示す実施形態や、図8(a)に示す他の実施形態において、レンズシートユニット13とイメージセンサ14とを接合する接合層15が、波長域700〜1100nmの光を吸収する赤外線吸収剤等を含有する形態としてもよい。即ち、赤外線遮蔽層が、接合層としての機能を有する形態としてもよい。
図9は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の他の層構成の一例を示す図である。図9(a),(c)は、前述の図4(a)に、図9(b)は、前述の図5(a)に示す断面に相当する断面をぞれぞれ示している。
図9(a)に示すように、第1レンズシート11は、赤外線遮蔽層115よりも裏面12b側に基材層51が一体に積層された形態としてもよい。また、図9(b)に示すように、第2レンズシート12は、光透過部121の裏面12b側に基材層51が一体に積層された形態としてもよい。
第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、クロストーク等を抑制する観点から、ランド部114等のようなシート面に平行であって連続する領域(光吸収部113,123が形成されていない部分)の厚さが小さい方が好ましい。従って、クロストーク等が十分抑制できる程度に基材層51が薄い場合等には、上述のように基材層51を積層した形態のままレンズシートとして使用してもよい。このような基材層51を備える形態とすることにより、第1レンズシート11及び第2レンズシート12のハンドリングが容易になる。
なお、このように基材層51の裏面11bに赤外線遮蔽層115を備える形態は、前述の図3や図8(b)に示すように、第1レンズシート11の裏面11bが被写体側(+Z側)に位置する形態で適用することが、クロストーク等を低減する観点から好ましい。
また、図8(a),(c)のように第1レンズシート11の裏面11bがイメージセンサ14側(−Z側)に位置する形態等において、基材層51の裏面11b側に赤外線遮蔽層115を設ける場合には、基材層51の厚みは可能な限り薄いことが、クロストーク低減等の観点から好ましい。
赤外線遮蔽層115としての機能を有する基材層51としては、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、メルカプトナフトール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の700〜1100nmの波長域の光を吸収する赤外線吸収剤を含有するPET樹脂等により作製されたシート状の部材を用いることができる。
このように、第1レンズシート11及び第2レンズシート12が基材層51を備えている場合には、厚み方向(Z方向)における光吸収部113,123から裏面11b,12bまでの寸法D5は、約1〜180μmとすることが、迷光やクロストークを抑制する観点等から好ましい。
撮像モジュール10は、レンズシートユニット13とイメージセンサ14とを接合する接合層15を備えず、第2レンズシート12がイメージセンサ14の受光面上に接して配置され、レンズシートユニット13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12、イメージセンサ14は、それぞれ不図示の支持部材で支持され、所定の位置で固定される形態としてもよい。
このとき、図2,図3及び図8(a)に示す形態のように、第2レンズシート12のイメージセンサ14側(−Z側)の面が、単位レンズ形状122が形成されていない裏面12bである場合、イメージセンサ14の受光面の傷つきを防止したり、イメージセンサ14と第2レンズシート12との光学密着を防止したりする観点から、裏面12bを微細凹凸形状が形成されたマット面とすることが好ましい。
また、接合層15を設けない場合、第2レンズシート12とイメージセンサ14との間にスペーサを配置する等して、イメージセンサ14と第2レンズシート12との光学密着やイメージセンサ14の受光面の傷付き等を防止してもよい。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)単位レンズ形状112,122は、例えば、光透過部111,121の配列方向及び各レンズシートの厚さ方向(Z方向)における断面形状が、シート面に長軸が直交する楕円の一部形状や、多角形形状等としてもよし、頂部が円弧等の曲線であり、単位レンズ形状の谷部側が直線からなる形状としてもよい。
図10は、レンズシートユニット13の変形形態を示す図である。
変形形態のレンズシートユニット13は、図10に示すように、1枚のシート状の基材層131の両面に、単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121及び光吸収部113,123が形成されている。これは、基材層131の両面に前述の第1レンズシート11及び第2レンズシート12を一体に成形した形状に等しい。
この基材層131は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有し、かつ、赤外線遮蔽層としての機能を有している。このような基材層131としては、赤外線吸収剤等を含有するPET樹脂製のシート状の部材等が挙げられる。
また、この基材層131は、この基材層131の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
なお、上述の形態に限らず、基材層131が赤外線遮蔽層としての機能を有しておらず、光透過部111と基材層131との間に赤外線遮蔽層を有する形態としてもよい。
このとき、例えば、3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向に対して、45°±10°をなしているものとすることが好ましい。
また、第3レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ14側(−Z側)であってもよい。
また、第4レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ14側(−Z側)であってもよい。
なお、レンズシートユニット13内の第3レンズシート、第4レンズシートの光軸O方向(Z方向)おける位置については、特に限定しないが、赤外線遮蔽層115よりもイメージセンサ14側に位置していることが望ましい。
前述の実施形態では、図11(a)に示すように、イメージセンサ14の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度β、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γは、いずれも0°である。
なお、図11(b)では、画素の配列方向G1,G2は、Y方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R11,R12がY方向及びX方向に平行であり、画素の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、画素の配列方向G1,G2及び光透過部111,121の配列方向R11,R12が、角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
また、レンズシートユニット13の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ14を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラの性能向上を図ってもよい。
10 撮像モジュール
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
13 レンズシートユニット
14 イメージセンサ
20 開口部
30 筐体
Claims (7)
- 撮像モジュールにおいて撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシートであって、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、
前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、該レンズシートの厚み方向に沿って、前記単位レンズ形状側から反対側である該レンズシートの裏面側へ延びる光吸収部と、
該レンズシートの厚み方向において、前記光透過部よりも裏面側に設けられ、700〜1100nmの波長域の光を遮蔽する赤外線遮蔽層と、
を備えること、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1に記載のレンズシートにおいて、
前記光透過部の屈折率N1と前記光吸収部の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、
前記光吸収部と前記光透過部との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、
を特徴とするレンズシート。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも光の入射側に配置され、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートを備えるレンズシートユニットと、
を備える撮像モジュールであり、
前記レンズシートユニットは、光軸方向に沿って前記レンズシートの被写体側又は撮像素子部側に第2のレンズシートを有し、
前記第2のレンズシートは、
柱状であり、シート面に沿って一方向に配列され、一方の面側に凸状の第2の単位レンズ形状を有する第2の光透過部と、
前記第2の光透過部の配列方向において前記第2の光透過部と交互に配置され、前記第2の光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2のレンズシートの厚み方向に沿って、前記第2の単位レンズ形状側から反対側である前記第2のレンズシートの裏面側へ延びる第2の光吸収部と、
を有し、
光軸方向から見て、前記光透過部の配列方向と、前記第2の光透過部の配列方向とは、角度αをなして交差すること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4に記載の撮像モジュールにおいて、
前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4又は請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、
前記レンズシートは、前記レンズシートユニット内において撮像素子部側に配置され、
前記赤外線遮蔽層は、前記撮像素子部と前記レンズシートユニットとを接合する接合層としての機能を有し、前記レンズシートユニットと前記撮像素子部とを一体に接合していること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
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