JP2009294322A - 光ケーブル用スペーサ、光ケーブル、該スペーサ用中芯及びスペーサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化された光ケーブルを得ることができる光ケーブル用スペーサ、該スペーサに用いる軽量化された中芯及び光ケーブル用スペーサの製造方法を提供する。
【解決手段】(1)中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする光ケーブル用スペーサである。
【選択図】図1
【解決手段】(1)中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする光ケーブル用スペーサである。
【選択図】図1
Description
本発明は、軽量化された光ケーブルを得ることができる光ケーブル用スペーサ、光ケーブル、該スペーサに用いる中芯、及び該中芯を用いた光ケーブル用スペーサの製造方法に関するものである。
光ケーブルの布設コスト低減を目的として、一回の布設可能長を長くしたり、布設時の作業性を改善するため、ケーブルの可撓性の改良や軽量化の検討が進められている。
これらを目的として中間被覆層が低弾性率の発泡ポリエチレンであり、光ファイバ収納用の溝部を構成する最外層のスペーサ本体被覆層が高密度ポリエチレンである可撓性、軽量性に優れるスペーサの提案がなされている(特許文献1参照)。
しかしながら、この特許文献1に開示されているスペーサには、以下に説明する技術的な課題があった。すなわち、上記特許文献1に開示されているスペーサでは、確かに、スペーサの可撓性及び、特に軽量性を改善する効果に優れているが、これらの効果を更に発現させるためポリエチレンの発泡倍率を上げた場合、中間被覆層の表面が凹凸状になり、その後被覆したスペーサ本体被覆層の光ファイバ収納溝形状が乱れる場合があった。
また、ポリエチレンの発泡状態によっては、その後、スペーサ本体被覆層の溶融ポリエチレンから与えられる熱量により発泡が助長され、溝部にさらに大きな凹凸が生じる場合もあった。
しかしながら、この特許文献1に開示されているスペーサには、以下に説明する技術的な課題があった。すなわち、上記特許文献1に開示されているスペーサでは、確かに、スペーサの可撓性及び、特に軽量性を改善する効果に優れているが、これらの効果を更に発現させるためポリエチレンの発泡倍率を上げた場合、中間被覆層の表面が凹凸状になり、その後被覆したスペーサ本体被覆層の光ファイバ収納溝形状が乱れる場合があった。
また、ポリエチレンの発泡状態によっては、その後、スペーサ本体被覆層の溶融ポリエチレンから与えられる熱量により発泡が助長され、溝部にさらに大きな凹凸が生じる場合もあった。
この問題を解決するため、本出願人は、主体部を発泡ポリエチレンで構成する中間被覆層の発泡倍率を上げてもスペーサ本体被覆層の溝形状に変動が生じない、すなわち可撓性、軽量性に加えて信頼性に優れた光ファイバケーブル用スペーサの構成およびその製造方法を特許文献2で提案した。
この特許文献2に記載の製造方法は、中間被覆層の主体部分を発泡倍率が30%以上の発泡ポリエチレンで構成し、かつ、前記中間被覆層の表層部に、0.1〜2.0mmの厚みで非発泡又は発泡倍率20%以下のスキン層を設けるものであるが、スキン層を施すことによる総発泡率の低下や、更にはスキン層を施す工程が面倒であることや、発泡樹脂を使用した後の溶融押出機の分解掃除に手間がかかるなどの問題があった。
この特許文献2に記載の製造方法は、中間被覆層の主体部分を発泡倍率が30%以上の発泡ポリエチレンで構成し、かつ、前記中間被覆層の表層部に、0.1〜2.0mmの厚みで非発泡又は発泡倍率20%以下のスキン層を設けるものであるが、スキン層を施すことによる総発泡率の低下や、更にはスキン層を施す工程が面倒であることや、発泡樹脂を使用した後の溶融押出機の分解掃除に手間がかかるなどの問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、軽量化された光ケーブルを得ることができる光ケーブル用スペーサ、該スペーサに用いる軽量化された中芯及び光ケーブル用スペーサの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、スペーサの中芯に連続した中空部を形成することで、一回の押出工程で、発泡層と、その表面にスキン層を形成した場合と同程度あるいはそれ以上の軽量化を実現しつつ、真円性に優れ、かつ長手方向に安定した中芯とできることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする光ケーブル用スペーサ、
(2)前記中芯は、抗張力体の外周面に少なくとも3個以上の前記中空部を備え、かつ、前記中空部が、長手方向に亘って直線状、一方向螺旋状、及びSZ螺旋状の何れかに形成されてなる前記(1)に記載の光ケーブル用スペーサ、
(3)前記中空部による中芯の中空率が20〜60容積%である前記(1)又は(2)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの光ファイバ収納用の溝に、光ファイバを収納してなることを特徴とする光ケーブル、
(5)さらに、光ファイバ収納用溝又は中芯の中空部に、金属線又はコードを収納してなる前記4に記載の光ケーブル、
(6)抗張力体を被覆する内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された中空部とを有する光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法であって、前記抗張力体の挿通用中心孔と、前記中心孔の外周に隣接設置される内環状孔と、前記内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、前記直線状孔の外端間を連結する外環状孔とを有し、かつ、外環状孔外周面積S0が、得ようとする中芯の外周断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用い、前記中心孔内に前記抗張力体を挿通させながら、記内,外環状孔および直線状孔から溶融した樹脂を概略垂直下方に押出しつつ、前記中空部内に内圧調整用エアを導入し、かつ、外周を、風冷、空冷などにより徐冷しながら、冷却槽に導くことを特徴とする光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、
(7)前記内圧調整用エアは、前記ダイスの前記内,外環状孔と直線状孔とで囲まれた部分に前記冷却エアの導入用の貫通孔から、所定の加圧状態で導入する前記(6)に記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、
(8)前記中芯ダイスを抗張力体の周りに一方向又は交互方向に回転させて、前記リブ及び中空部を、長手方向に対して一方向螺旋状又は交互反転螺旋状に形成する前記(6)又は(7)に記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、及び
(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の製造方法で得られた中芯の外周面に、溶融状の熱可塑性樹脂をスペーサ本体被覆ダイスから溶融押出しして、中芯の外周面に一方向螺旋状又は交互反転螺旋状の光ファイバ収納用の溝を形成することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法、
を提供するものである。
(1)中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする光ケーブル用スペーサ、
(2)前記中芯は、抗張力体の外周面に少なくとも3個以上の前記中空部を備え、かつ、前記中空部が、長手方向に亘って直線状、一方向螺旋状、及びSZ螺旋状の何れかに形成されてなる前記(1)に記載の光ケーブル用スペーサ、
(3)前記中空部による中芯の中空率が20〜60容積%である前記(1)又は(2)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの光ファイバ収納用の溝に、光ファイバを収納してなることを特徴とする光ケーブル、
(5)さらに、光ファイバ収納用溝又は中芯の中空部に、金属線又はコードを収納してなる前記4に記載の光ケーブル、
(6)抗張力体を被覆する内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された中空部とを有する光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法であって、前記抗張力体の挿通用中心孔と、前記中心孔の外周に隣接設置される内環状孔と、前記内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、前記直線状孔の外端間を連結する外環状孔とを有し、かつ、外環状孔外周面積S0が、得ようとする中芯の外周断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用い、前記中心孔内に前記抗張力体を挿通させながら、記内,外環状孔および直線状孔から溶融した樹脂を概略垂直下方に押出しつつ、前記中空部内に内圧調整用エアを導入し、かつ、外周を、風冷、空冷などにより徐冷しながら、冷却槽に導くことを特徴とする光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、
(7)前記内圧調整用エアは、前記ダイスの前記内,外環状孔と直線状孔とで囲まれた部分に前記冷却エアの導入用の貫通孔から、所定の加圧状態で導入する前記(6)に記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、
(8)前記中芯ダイスを抗張力体の周りに一方向又は交互方向に回転させて、前記リブ及び中空部を、長手方向に対して一方向螺旋状又は交互反転螺旋状に形成する前記(6)又は(7)に記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法、及び
(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記載の製造方法で得られた中芯の外周面に、溶融状の熱可塑性樹脂をスペーサ本体被覆ダイスから溶融押出しして、中芯の外周面に一方向螺旋状又は交互反転螺旋状の光ファイバ収納用の溝を形成することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法、
を提供するものである。
本発明の光ケーブル用スペーサを用いることにより軽量で可撓性を有する光ケーブルを得ることができる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法は、中芯に連続した中空部を形成することで、一回の押出工程のみで、発泡層の第一の被覆と、その表面にスキン層を形成するための第二の被覆の2回の被覆工程を経たものと同程度かそれ以上の軽量化を実現しつつ、真円性に優れ、かつ長手方向に安定し、表面粗度などの問題のない中芯とできる。
さらに、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法により、前記の本発明の製造方法で得られた中芯の外周面にスペーサ本体被覆を施して、発泡系中芯を用いる場合よりも、溶融押出し温度等のスペーサ本体被覆条件の緩和下に、軽量で可撓性を有するスペーサを得ることができる。
また、本発明の光ケーブルは、軽量で、かつ可撓性に富むので、一回の布設可能長を長くしたり、布設時の作業性を改善でき、光ケーブルの布設コストを低減できる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法は、中芯に連続した中空部を形成することで、一回の押出工程のみで、発泡層の第一の被覆と、その表面にスキン層を形成するための第二の被覆の2回の被覆工程を経たものと同程度かそれ以上の軽量化を実現しつつ、真円性に優れ、かつ長手方向に安定し、表面粗度などの問題のない中芯とできる。
さらに、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法により、前記の本発明の製造方法で得られた中芯の外周面にスペーサ本体被覆を施して、発泡系中芯を用いる場合よりも、溶融押出し温度等のスペーサ本体被覆条件の緩和下に、軽量で可撓性を有するスペーサを得ることができる。
また、本発明の光ケーブルは、軽量で、かつ可撓性に富むので、一回の布設可能長を長くしたり、布設時の作業性を改善でき、光ケーブルの布設コストを低減できる。
本発明の光ケーブル用スペーサは、中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする。
本発明の光ケーブル用スペーサの実施の形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。図1(A)は、本発明の光ケーブル用スペーサ10として、6本のリブ部により画成された中空部を有する中芯1を用い、その外周面に5つの角溝が螺旋状に形成された、スペーサ本体被覆11が施された光ケーブル用スペーサの一実施例を示している。
同図(A)に示した光ケーブル用スペーサ10の中芯1は、図1(B)に示すように、抗張力体2を被覆する内環状部3と、前記内環状部3から放射状に延びる6本のリブ部4と、前記リブ部4の外端を連結する外環状部5と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された6つの中空部6とを備えている。
同図(A)に示した光ケーブル用スペーサ10の中芯1は、図1(B)に示すように、抗張力体2を被覆する内環状部3と、前記内環状部3から放射状に延びる6本のリブ部4と、前記リブ部4の外端を連結する外環状部5と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された6つの中空部6とを備えている。
本実施例の場合には、6本のリブ部4を周方向に沿って、等角度間隔で配置することにより、内,外環状部3,5とリブ部4とで外周を囲まれて、かつ、長手方向に連続した6個の中空部6が、抗張力体2を中心にして、周方向に均等配置されており、リブ部4により中空部6を小空間に区画している。
本実施例において、リブ部4は6本で構成しているが、長手方向の曲げの耐性(側圧特性)等の観点から、少なくとも3本のリブ部で外環状部5を支える構造であることが望ましい。
抗張力体を含めた中芯全体の面積に対する、中空部の面積の割合としての中空率は、側圧特性や、曲げやすさ、軽量化などを考慮して20〜60%で設計される。中空率の度合いは、リブの本数、高さ、厚み等によって調整できる。
本実施例において、リブ部4は6本で構成しているが、長手方向の曲げの耐性(側圧特性)等の観点から、少なくとも3本のリブ部で外環状部5を支える構造であることが望ましい。
抗張力体を含めた中芯全体の面積に対する、中空部の面積の割合としての中空率は、側圧特性や、曲げやすさ、軽量化などを考慮して20〜60%で設計される。中空率の度合いは、リブの本数、高さ、厚み等によって調整できる。
本発明の光ファイバケーブル用スペーサ10の中芯1に使用される抗張力線2は、単鋼線、撚鋼線、各種補強繊維により強化されたFRP線状物、これらの撚線等で光ファイバ集合時や光ファイバケーブルの布設時あるいは使用時に印加される張力に抗し得る引張強力を有するものであれば良い。
また、抗張力線2が単鋼線の場合には、該抗張力線2の外周を接着性樹脂で一旦被覆し、あるいは、中芯1の形成時に、内環状部3の内層に接着性樹脂を配して共押出被覆する等して抗張力線2との接着性を考慮する必要があるが、撚鋼線等の撚線は、撚構造により内環状部3とアンカー構造的接合が得られる場合には、必ずしも接着性樹脂層を要しない。
また、抗張力線2が単鋼線の場合には、該抗張力線2の外周を接着性樹脂で一旦被覆し、あるいは、中芯1の形成時に、内環状部3の内層に接着性樹脂を配して共押出被覆する等して抗張力線2との接着性を考慮する必要があるが、撚鋼線等の撚線は、撚構造により内環状部3とアンカー構造的接合が得られる場合には、必ずしも接着性樹脂層を要しない。
また、中芯の外径D1は、スペーサの収納溝の底部により形成されるみなし内接円D2との関係において、1<D1/D2<0.5の関係にすることが、スペーサ本体被覆部の螺旋リブ12の傾斜を防ぎ、溝寸法精度を向上できる点から望ましい。
スペーサ本体被覆部の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等や、これらの各種変性樹脂、共重合樹脂などがポリエチレン系の樹脂が、耐低温脆性、可撓性の点から好ましいが、本発明において、熱可塑性樹脂は特に限定されない。
熱可塑性樹脂の選定に当たっては、光ケーブル用スペーサとして要求される性能、例えば機械的物性や耐低温脆性、可撓性等に応じて選択される。
抗張力線を被覆する中芯1の熱可塑樹脂としては、前記スペーサ本体被覆部の樹脂と相溶性を有する樹脂を用いると、中芯の外周にスペーサ本体被覆を施すに際して、これらの接触界面で、熱融着できるので、好ましい。
また、中芯の最外周又はスペーサ本体被覆の内周のいずれか又は双方に接着性樹脂を共押出しして、接着樹脂層を介在させて、中芯とスペーサ本体被覆との接着を図ってもよい。
スペーサ本体被覆部の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等や、これらの各種変性樹脂、共重合樹脂などがポリエチレン系の樹脂が、耐低温脆性、可撓性の点から好ましいが、本発明において、熱可塑性樹脂は特に限定されない。
熱可塑性樹脂の選定に当たっては、光ケーブル用スペーサとして要求される性能、例えば機械的物性や耐低温脆性、可撓性等に応じて選択される。
抗張力線を被覆する中芯1の熱可塑樹脂としては、前記スペーサ本体被覆部の樹脂と相溶性を有する樹脂を用いると、中芯の外周にスペーサ本体被覆を施すに際して、これらの接触界面で、熱融着できるので、好ましい。
また、中芯の最外周又はスペーサ本体被覆の内周のいずれか又は双方に接着性樹脂を共押出しして、接着樹脂層を介在させて、中芯とスペーサ本体被覆との接着を図ってもよい。
以下、本発明の光ケーブル用スペーサに用いる中芯の製造について説明する。
本発明の中芯の製造方法は、抗張力体の挿通用中心孔と、前記中心孔の外周に隣接設置される内環状孔と、前記内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、前記直線状孔の外端間を連結する外環状孔とを有し、かつ、外環状孔外周面積S0が、得ようとする中芯の外周断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用い、前記中心孔内に前記抗張力体を挿通させながら、記内,外環状孔および直線状孔から溶融した樹脂を概略垂直下方に押出しつつ、前記中空部内に内圧調整用エアを導入し、かつ、外周を、風冷、空冷などにより徐冷しながら、冷却槽に導くことを特徴とする製造方法である。
本発明の中芯の製造方法は、抗張力体の挿通用中心孔と、前記中心孔の外周に隣接設置される内環状孔と、前記内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、前記直線状孔の外端間を連結する外環状孔とを有し、かつ、外環状孔外周面積S0が、得ようとする中芯の外周断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用い、前記中心孔内に前記抗張力体を挿通させながら、記内,外環状孔および直線状孔から溶融した樹脂を概略垂直下方に押出しつつ、前記中空部内に内圧調整用エアを導入し、かつ、外周を、風冷、空冷などにより徐冷しながら、冷却槽に導くことを特徴とする製造方法である。
以下、本発明の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法について、図面を用いて説明する。
図1(B)に示す中芯1は、図2〜図4に示すダイス20を用いることで製造することができる。これらの図に示したダイス20は、断面が概略凸状に形成され、円盤状のフランジ22と、先端凸部24とを備えている。
図1(B)に示す中芯1は、図2〜図4に示すダイス20を用いることで製造することができる。これらの図に示したダイス20は、断面が概略凸状に形成され、円盤状のフランジ22と、先端凸部24とを備えている。
図3は、先端凸部24の拡大図であり、図4は、図3の先端側平面図である。
これらの図に示した先端凸部24には、軸芯にパイプ26を挿入倣着することにより、抗張力体2の挿通用中心孔24aが設けられている。
この中心孔24aの外周には、内環状孔24bが隣接設置されると共に、内環状孔24bの外周から、当角度間隔で外方に向けて放射状に延びる6本の直線状孔24cが設けられている。
さらに、6本の直線状孔24cの外端間には、これらを連結する外環状孔24dが設けられている。このようなダイス24を用い、中心孔24a内に抗張力線2を挿通させながら、内,外環状孔24b,24dおよび直線状孔24cから溶融した樹脂を概略垂直下方に押出して、溶融樹脂を冷却固化させると、図1(B)に示した断面形状の中空コア体1が得られる。
これらの図に示した先端凸部24には、軸芯にパイプ26を挿入倣着することにより、抗張力体2の挿通用中心孔24aが設けられている。
この中心孔24aの外周には、内環状孔24bが隣接設置されると共に、内環状孔24bの外周から、当角度間隔で外方に向けて放射状に延びる6本の直線状孔24cが設けられている。
さらに、6本の直線状孔24cの外端間には、これらを連結する外環状孔24dが設けられている。このようなダイス24を用い、中心孔24a内に抗張力線2を挿通させながら、内,外環状孔24b,24dおよび直線状孔24cから溶融した樹脂を概略垂直下方に押出して、溶融樹脂を冷却固化させると、図1(B)に示した断面形状の中空コア体1が得られる。
この場合、抗張力体2を被覆する内環状部3は、内環状孔24bから押出され樹脂で形成され、内環状部3から放射状に延びる6本のリブ部4は、直線状孔24cから押出され樹脂で形成され、リブ部4の外端を連結する外環状部5は、外環状孔24dから押出され樹脂で形成される。
このような製造方法において、本実施例1の場合、内,外環状部3,5とリブ部4とで囲まれた複数の中空部6内には、内圧調整用エアを導入し、徐冷しながら引き落とし、面積引き落とし倍率を1〜22倍とする。このような引き落とし倍率とするには、図4に示したダイの総面積S0を、得ようとする中芯総断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用いればよい。
内圧調整用エアの導入は、ダイス24の貫通孔24eを介して導入される。
貫通孔24eは、本実施例1の場合、内,外環状孔3,5と直線状孔4とで囲まれた部分にそれぞれ1個ずつ配置されていて、抗張力体2を中心孔24a内に挿通して、これを所定速度で引き取る際に、これに伴って外部のエアが、貫通孔24eの後端側(図2においては左端に相当する)から前方に向かう空気流に伴って、中空部6内に導入されて、それぞれの中空部6の内圧を均一化することになる。
なお、このような内圧調整用エアは、抗張力体2の引き取りに伴って自然発生する空気流で中空部6内に導入することだけでなく、所定の圧力に加圧した内圧調整用エアを中空部6内に積極的に注入することも可能である。
貫通孔24eは、本実施例1の場合、内,外環状孔3,5と直線状孔4とで囲まれた部分にそれぞれ1個ずつ配置されていて、抗張力体2を中心孔24a内に挿通して、これを所定速度で引き取る際に、これに伴って外部のエアが、貫通孔24eの後端側(図2においては左端に相当する)から前方に向かう空気流に伴って、中空部6内に導入されて、それぞれの中空部6の内圧を均一化することになる。
なお、このような内圧調整用エアは、抗張力体2の引き取りに伴って自然発生する空気流で中空部6内に導入することだけでなく、所定の圧力に加圧した内圧調整用エアを中空部6内に積極的に注入することも可能である。
なお、中芯を製造するに当たり、樹脂を中芯ダイス24から概略垂直下方に押出すのは、中芯の断面において、抗張力体2を中心として、内環状部、外環状部が同心円状に、リブ部、中空部が抗張力体を中心として均等の角度で配置されるようにするためである。
概略垂直下方に押出すのではなく、水平方向に押出す、いわゆる横引きの場合には、内圧調整エアの代わりに減圧水槽を用いることで、ダイスから押出された溶融樹脂が、自重で垂れ下がることや、その後に導く、冷却水槽等での周方向の均一冷却が難しいことなどから、真円度の高い中芯を得ることが難しいという問題を、克服できる。減圧度は1〜15kPaに調整する。
概略垂直下方に押出すのではなく、水平方向に押出す、いわゆる横引きの場合には、内圧調整エアの代わりに減圧水槽を用いることで、ダイスから押出された溶融樹脂が、自重で垂れ下がることや、その後に導く、冷却水槽等での周方向の均一冷却が難しいことなどから、真円度の高い中芯を得ることが難しいという問題を、克服できる。減圧度は1〜15kPaに調整する。
また、中芯を製造するに当たり、中芯ダイス24を抗張力体2の周りに一方向又は交互方向に回転させて、前記リブ4及び中空部6を、長手方向に対して一方向螺旋状又は交互反転螺旋状に形成することができる。螺旋又は、交互反転螺旋のピッチは、リブ4の本数と中芯1が曲げられたときの方向性の緩和などの観点から決定される。
さらに、上記の製造方法で得られた中芯は、その外径を均一にするため、例えば、表面を所定の内径を有する加熱ダイスに導いて、整径することができる。
さらに、上記の製造方法で得られた中芯は、その外径を均一にするため、例えば、表面を所定の内径を有する加熱ダイスに導いて、整径することができる。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、上記に記載の製造方法で得られた中芯の外周面に、溶融状の熱可塑性樹脂をスペーサ本体被覆ダイスから溶融押出しして、中芯の外周面に一方向螺旋状又は交互反転螺旋状の光ファイバ収納用の溝を形成することを特徴とする。
スペーサ本体被覆は、中芯の外周表面に、得ようとする溝形状に対応した孔(開口)を有する回転ダイスから溶融樹脂を押出し、これを冷却・固化する、公知の方法で施せばよい。
スペーサ本体被覆は、中芯の外周表面に、得ようとする溝形状に対応した孔(開口)を有する回転ダイスから溶融樹脂を押出し、これを冷却・固化する、公知の方法で施せばよい。
さらに、本発明は、前記の光ケーブル用スペーサの光収納用溝に光ファイバを収納した光ケーブル及び、中芯の中空部に金属線又はコードを収納した光ケーブルをも提供する。
中芯の中空部には、補強や通信などの目的の線材を挿通して光ファイバとの複合ケーブルとすることができる。中芯の中空部に線材を挿通するには、中芯の製造時に挿入してもよいし、光ケーブル製造後の配線時に後挿入してもよい。
中芯の中空部には、補強や通信などの目的の線材を挿通して光ファイバとの複合ケーブルとすることができる。中芯の中空部に線材を挿通するには、中芯の製造時に挿入してもよいし、光ケーブル製造後の配線時に後挿入してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
中芯の製造
抗張力体として外径1.2mmの単鋼線を用い、図1(B)に示すように、抗張力体2の外周に、6個の中空部6を有する中芯1を得た。
本実施例について、図5を引用して説明する。図5は、本実施例1における製造装置の配置状態を示す図である。同図において、符号20がダイスであり、このダイス20は、図2に示したものと実質的に同じ構造になっており、このダイス20には、ターンシープ30を介して、抗張力体2が導入される。ダイス20の後流側には、徐冷用の風冷筒32が配置され、風冷筒32には、ブロアー付き熱風発生器34が付設されている。
風冷筒32の後流側には、水冷却槽36が設置され、その下方には、水受用水槽37が設けられている。風冷筒32と水冷却槽36との間には、ダイス20から導出され、風冷筒32を通過することにより徐冷された中芯1の温度を測定する非接触温度計38が配置されている。
中芯の製造
抗張力体として外径1.2mmの単鋼線を用い、図1(B)に示すように、抗張力体2の外周に、6個の中空部6を有する中芯1を得た。
本実施例について、図5を引用して説明する。図5は、本実施例1における製造装置の配置状態を示す図である。同図において、符号20がダイスであり、このダイス20は、図2に示したものと実質的に同じ構造になっており、このダイス20には、ターンシープ30を介して、抗張力体2が導入される。ダイス20の後流側には、徐冷用の風冷筒32が配置され、風冷筒32には、ブロアー付き熱風発生器34が付設されている。
風冷筒32の後流側には、水冷却槽36が設置され、その下方には、水受用水槽37が設けられている。風冷筒32と水冷却槽36との間には、ダイス20から導出され、風冷筒32を通過することにより徐冷された中芯1の温度を測定する非接触温度計38が配置されている。
上述したダイス20,風冷筒32,非接触温度計38,水冷却槽36は、この順に垂直方向に配列されて、架台40に固定されているレール42に上下移動自在で、かつ、任意の位置に固定することができるように支持されている。
一方、水冷却槽36で冷却された中芯は、水受用水槽47内に設けられたシーブ44で方向転換されて、ベルト式引取機46に導かれた後に、図示省略の巻き取り機に送られる。ベルト式引取機46から導出された中芯1は、その直後に揺動式外径測定器48(タキカワ社製、品番:LDM303HSP)により、その外径が測定される。
一方、水冷却槽36で冷却された中芯は、水受用水槽47内に設けられたシーブ44で方向転換されて、ベルト式引取機46に導かれた後に、図示省略の巻き取り機に送られる。ベルト式引取機46から導出された中芯1は、その直後に揺動式外径測定器48(タキカワ社製、品番:LDM303HSP)により、その外径が測定される。
揺動式外径測定器48は、連続ないしは間欠的に中芯10の外径測定が可能であり、測定器自体を180°往復揺動回転させつつ測定するものであって、オンライン上で中空コア体の全周方向で外径の測定が可能である。実施例1では、水冷却槽36をダイス20に対して上下方向に移動させて、両者間の距離に関する外径測定を行い、その距離がダイス面より50mmの場合に、真円率が最も大きくなっていた。そこで、試験製造を終了して、それ以後の製造は、距離をこの間隔に固定した製造を行った。
得られた中芯は、単位重量が13.7g/m、外径が3.4mm、外環状部の厚みが0.35〜0.39mm、リブ部の厚みが0.41〜0.50mmで、中空部6の中空率が52%、軽量化率13.3%、また、後述する計算により求めた真円度が97.0%であった。
真円度は、外環状部5の外径において、最長径をa、最短径をb、平均外径
をc、すなわちc=(a+b)/2とした場合、真円度(%)=〔(1−(a−b)/c)〕×100で求められる値であり、どれだけ真円に近いかを現わす指標となる。
得られた中芯は、単位重量が13.7g/m、外径が3.4mm、外環状部の厚みが0.35〜0.39mm、リブ部の厚みが0.41〜0.50mmで、中空部6の中空率が52%、軽量化率13.3%、また、後述する計算により求めた真円度が97.0%であった。
真円度は、外環状部5の外径において、最長径をa、最短径をb、平均外径
をc、すなわちc=(a+b)/2とした場合、真円度(%)=〔(1−(a−b)/c)〕×100で求められる値であり、どれだけ真円に近いかを現わす指標となる。
スペーサの製造
前記で得られた中芯1を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製、グレード名:6300M、MI=0.1g/10分)を用いて、外径が7.7mmで、溝幅1.45mm、溝深さ2.00mmの角溝を5個有し、単位重量が33.9g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部6の存在による軽量化率は5.8%であった。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
前記で得られた中芯1を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製、グレード名:6300M、MI=0.1g/10分)を用いて、外径が7.7mmで、溝幅1.45mm、溝深さ2.00mmの角溝を5個有し、単位重量が33.9g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部6の存在による軽量化率は5.8%であった。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
比較例1
実施例1の中空部を有する中芯を用いることなく、抗張力体として外径1.2mmの単鋼線を用い、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)で外径3.4mmに被覆して、単位重量が15.8g/mで、中空部を有しない中実の中芯を得た。
この中実の中芯を実施例1と同じ、スペーサ本体被覆のダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEによりスペーサ本体被覆を施し、実施例1と同じ溝形状を有し、単位重量が36.0g/mの光ケーブル用スペーサを得た。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
実施例1の中空部を有する中芯を用いることなく、抗張力体として外径1.2mmの単鋼線を用い、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)で外径3.4mmに被覆して、単位重量が15.8g/mで、中空部を有しない中実の中芯を得た。
この中実の中芯を実施例1と同じ、スペーサ本体被覆のダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEによりスペーサ本体被覆を施し、実施例1と同じ溝形状を有し、単位重量が36.0g/mの光ケーブル用スペーサを得た。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
実施例2
中芯の製造
抗張力体52として外径2.6mmの単鋼線を用い、図6(B)に示すように、抗張力体52の外周に、8個の中空部56を有する中芯51を得た。
得られた中芯は、単位重量が105.9g/m、外径が12.3mm、外環状部の厚みが0.84〜0.96mm、リブ部の厚みが0.92〜1.08mmで、中空部56の中空率が40%、軽量化率29.1%、また、真円度が94.7%であった。
中芯の製造
抗張力体52として外径2.6mmの単鋼線を用い、図6(B)に示すように、抗張力体52の外周に、8個の中空部56を有する中芯51を得た。
得られた中芯は、単位重量が105.9g/m、外径が12.3mm、外環状部の厚みが0.84〜0.96mm、リブ部の厚みが0.92〜1.08mmで、中空部56の中空率が40%、軽量化率29.1%、また、真円度が94.7%であった。
スペーサの製造
前記で得られた中芯51を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEを用いて、外径が19.1mmで、溝幅2.3mm、溝深さ3.3mmの角溝を12個と溝幅2.3mm、深さ1.9mmの介在溝を有し、単位重量が161.4g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの1000心用光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部56の存在による軽量化率は21.1%であった。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
前記で得られた中芯51を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEを用いて、外径が19.1mmで、溝幅2.3mm、溝深さ3.3mmの角溝を12個と溝幅2.3mm、深さ1.9mmの介在溝を有し、単位重量が161.4g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの1000心用光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部56の存在による軽量化率は21.1%であった。
これらの中芯及びスペーサの性状をまとめて表1に示す。
比較例2
外径2.6mmの単鋼線を、内周に接着性LLDPE(日本ユニカー社製、GA006)が配置され、外周に高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(ハイゼックス5305E:三井化学(株)製)に化学的発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成(株)製)を1wt%配合した原料の被覆ができる二層被覆ダイスを有する溶融押出機に導入して、φ10.3mmの発泡ポリエチレン被覆による中間被覆層を有する線状体63を得た。この時のポリエチレン発泡倍率を比重測定により算出したところ、42%であった。
外径2.6mmの単鋼線を、内周に接着性LLDPE(日本ユニカー社製、GA006)が配置され、外周に高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(ハイゼックス5305E:三井化学(株)製)に化学的発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成(株)製)を1wt%配合した原料の被覆ができる二層被覆ダイスを有する溶融押出機に導入して、φ10.3mmの発泡ポリエチレン被覆による中間被覆層を有する線状体63を得た。この時のポリエチレン発泡倍率を比重測定により算出したところ、42%であった。
次にこの線状体63を溶融押出機に導入し、HDPE(日本ポリエチレン社製、HE321E)で厚み1mmの被覆をして、表層部に1mm厚みの非発泡スキン層64を有する外径φ12.3mmの中芯61を得た。この中芯は、単位重量が119.6g/m、発泡被覆部に起因する軽量化率が19.9%であった。
この非発泡スキン層を有する中芯61を、実施例2と同一の条件でスペーサ本体被覆を施して、実施例1と同じ寸法の螺旋溝を有し、単位重量が175.6g/m、中芯の発泡層の存在による軽量化率は14.4%の光ケーブル用スペーサ70を得た。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
比較例3
比較例2の発泡樹脂及び、非発泡スキン層を形成するための樹脂に代えて、比較例1と同じLLDPEとした他は、比較例2と同様の寸法比で2回被覆して、外径12.3mmの中芯を得て、これにスペーサ本体被覆を施して、光ケーブル用スペーサを得た。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
比較例2の発泡樹脂及び、非発泡スキン層を形成するための樹脂に代えて、比較例1と同じLLDPEとした他は、比較例2と同様の寸法比で2回被覆して、外径12.3mmの中芯を得て、これにスペーサ本体被覆を施して、光ケーブル用スペーサを得た。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
実施例3
中芯の製造
抗張力体52として外径2.6mmの単鋼線を用い、図6(B)に示すように、抗張力体52の外周に、ピッチ500mmでZ方向に螺旋回転している8個の中空部56を有する中芯51を得た。
得られた中芯は、単位重量117.8g/m、外径が12.3mm、外環状部の厚みが0.84〜0.96mm、リブ部の厚みが0.92〜1.08mmで、中空部56の中空率が29%、軽量化率21.0%、また、真円度が95.5%であった。
中芯の製造
抗張力体52として外径2.6mmの単鋼線を用い、図6(B)に示すように、抗張力体52の外周に、ピッチ500mmでZ方向に螺旋回転している8個の中空部56を有する中芯51を得た。
得られた中芯は、単位重量117.8g/m、外径が12.3mm、外環状部の厚みが0.84〜0.96mm、リブ部の厚みが0.92〜1.08mmで、中空部56の中空率が29%、軽量化率21.0%、また、真円度が95.5%であった。
スペーサの製造
前記で得られた中芯51を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEを用いて、外径が19.1mmで、溝幅2.3mm、溝深さ3.3mmの角溝を12個と溝幅2.3mm、深さ1.9mmの介在溝を有し、単位重量が173.3g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの1000心用光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部56の存在による軽量化率は15.3%であった。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
前記で得られた中芯51を、スペーサ本体被覆用の回転ダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例1と同じHDPEを用いて、外径が19.1mmで、溝幅2.3mm、溝深さ3.3mmの角溝を12個と溝幅2.3mm、深さ1.9mmの介在溝を有し、単位重量が173.3g/m、Z撚り方向の螺旋ピッチが500mmの1000心用光ケーブル用スペーサを得た。中芯の中空部56の存在による軽量化率は15.3%であった。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
比較例4
実施例3の中空部を有する中芯を用いることなく、抗張力体として外径2.6mmの単鋼線を用い、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)で外径6.3mmに被覆して、単位重量が66.0g/mで、中空部を有しない中実の中芯を得た。さらにこの中実の中芯を溶融押出機に導入し、HDPE(日本ポリエチレン社製、HE321E)で厚み3mmの被覆を施して、単位重量149.8g/m、外径φ12.3mmの中実の中芯を得た。
実施例3の中空部を有する中芯を用いることなく、抗張力体として外径2.6mmの単鋼線を用い、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)で外径6.3mmに被覆して、単位重量が66.0g/mで、中空部を有しない中実の中芯を得た。さらにこの中実の中芯を溶融押出機に導入し、HDPE(日本ポリエチレン社製、HE321E)で厚み3mmの被覆を施して、単位重量149.8g/m、外径φ12.3mmの中実の中芯を得た。
この2回被覆の中実の中芯を実施例3と同じ、スペーサ本体被覆のダイスを備えた溶融押出機に導入して、実施例3と同じHDPEによりスペーサ本体被覆を施し、実施例3と同じ溝形状を有し、単位重量が205.5g/mの光ケーブル用スペーサを得た。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
中芯及びスペーサの性状をまとめて、表1に示す。
表1より、本発明の実施例1による光ケーブル用スペーサでは、6個の中空部を有する中芯とすることによって、中空部を有しない比較例1のスペーサと比較して5.8%の軽量化を図ることができる。また、本発明の実施例2のスペーサでは、8個の中空部を有する中芯とすることによって、中空部を有しない比較例3のスペーサと比較して、21.1%の軽量化を図ることができる。
さらに、実施例2と同じ8個の中空部を有する断面形状ではあるが、ピッチ500mmでZ方向に螺旋回転している中芯を用いた実施例3のスペーサでは、中実の中芯を用いた比較例4のスペーサと比較して、15.3%の軽量化を図ることができる。
また、本発明の中空部を有する中芯は、抗張力体へ1工程の被覆で可能であるが、比較例2、3及び4では2段階の被覆工程を要し、設備費や、工数が嵩む。
さらに、実施例2と同じ8個の中空部を有する断面形状ではあるが、ピッチ500mmでZ方向に螺旋回転している中芯を用いた実施例3のスペーサでは、中実の中芯を用いた比較例4のスペーサと比較して、15.3%の軽量化を図ることができる。
また、本発明の中空部を有する中芯は、抗張力体へ1工程の被覆で可能であるが、比較例2、3及び4では2段階の被覆工程を要し、設備費や、工数が嵩む。
本発明の光ケーブル用スペーサは、軽量で可撓性が求められる光ケーブルに利用できる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法は、軽量なスペーサ用の中芯の製造方法として利用できる。
さらに、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、発泡系中芯を用いる場合よりも、溶融押出し温度等のスペーサ本体被覆条件の緩和下に、軽量で可撓性を有するスペーサを製造する方法として利用できる。
また、本発明の光ケーブルは、軽量で、かつ可撓性に富むので、一回の布設可能長を長くしたり、布設時の作業性を改善でき、光ケーブルの布設コストを低減できるケーブルとして利用できる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法は、軽量なスペーサ用の中芯の製造方法として利用できる。
さらに、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、発泡系中芯を用いる場合よりも、溶融押出し温度等のスペーサ本体被覆条件の緩和下に、軽量で可撓性を有するスペーサを製造する方法として利用できる。
また、本発明の光ケーブルは、軽量で、かつ可撓性に富むので、一回の布設可能長を長くしたり、布設時の作業性を改善でき、光ケーブルの布設コストを低減できるケーブルとして利用できる。
1、51、61 中芯
2、52、62 抗張力体
3、53 内環状部
4、54 直線部
5、55 外環状部
6、56 中空部
7、57、67 スペーサ本体被覆
8、58、68 スペーサリブ部
9、59、69 溝
10、60、70 光ケーブル用スペーサ
20 ダイス
24 先端凸部
2、52、62 抗張力体
3、53 内環状部
4、54 直線部
5、55 外環状部
6、56 中空部
7、57、67 スペーサ本体被覆
8、58、68 スペーサリブ部
9、59、69 溝
10、60、70 光ケーブル用スペーサ
20 ダイス
24 先端凸部
Claims (9)
- 中央の抗張力体の外周面に中空部が画成された中芯と、前記中芯の外周面に光ファイバ収納用の溝が形成された光ケーブル用スペーサであって、前記中芯は、抗張力体を内包する熱可塑性樹脂による内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された複数の前記中空部とを備えていることを特徴とする光ケーブル用スペーサ。
- 前記中芯は、抗張力体の外周面に少なくとも3個以上の前記中空部を備え、かつ、前記中空部が、長手方向に亘って直線状、一方向螺旋状、及びSZ螺旋状の何れかに形成されてなる請求項1に記載の光ケーブル用スペーサ。
- 前記中空部による中芯の中空率が20〜60容積%である請求項1又は2に記載光ケーブル用スペーサ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの光ファイバ収納用溝に、光ファイバを収納してなることを特徴とする光ケーブル。
- さらに、光ファイバ収納用溝及び/又は中芯の中空部に、金属線又はコードを収納してなる請求項4に記載の光ケーブル。
- 抗張力体を被覆する内環状部と、前記内環状部から放射状に延びる複数のリブ部と、前記リブ部の外端を連結する外環状部と、前記内,外環状部とリブ部とで画成された中空部とを有する光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法であって、前記抗張力体の挿通用中心孔と、前記中心孔の外周に隣接設置される内環状孔と、前記内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、前記直線状孔の外端間を連結する外環状孔とを有し、かつ、外環状孔の外周面積S0が、得ようとする中芯の外周断面積S1とするとき、S0/S1が1〜22である中芯ダイスを用い、前記中心孔内に前記抗張力体を挿通させながら、前記内,外環状孔および直線状孔から溶融した樹脂を概略垂直下方に押出しつつ、前記中空部内に内圧調整用エアを導入し、かつ、外周を、風冷、空冷などにより徐冷しながら、冷却槽に導くことを特徴とする光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法。
- 前記内圧調整用エアは、前記ダイスの前記内,外環状孔と直線状孔とで囲まれた部分に前記冷却エアの導入用の貫通孔から、所定の加圧状態で導入する請求項6記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法。
- 前記中芯ダイスを抗張力体の周りに一方向又は交互方向に回転させて、前記リブ及び中空部を、長手方向に対して一方向螺旋状又は交互反転螺旋状に形成する請求項6又は7に記載の光ケーブル用スペーサの中芯の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法で得られた中芯の外周面に、溶融状の熱可塑性樹脂をスペーサ本体被覆ダイスから溶融押出しして、中芯の外周面に一方向螺旋状又は交互反転螺旋状の光ファイバ収納用の溝を形成することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
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JP2008146106A JP2009294322A (ja) | 2008-06-03 | 2008-06-03 | 光ケーブル用スペーサ、光ケーブル、該スペーサ用中芯及びスペーサの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9977207B2 (en) | 2015-06-03 | 2018-05-22 | Corning Optical Communications LLC | Optical fiber cable with bonded core elements |
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- 2008-06-03 JP JP2008146106A patent/JP2009294322A/ja active Pending
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