JP3924426B2 - 光ファイバケーブル用スペーサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバケーブル用スペーサの製造方法に関し、特に、光ファイバを収納するラセン溝の反転部における溝傾斜を抑制する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
光ファイバケーブルの価格や布設コストを低減するため、ケーブルの細径化、軽量化、光高密度化の検討が進められており、光ファイバを収納担持するポリエチレン(PE)製光ファイバケーブル用スペーサに関しても細径化・深溝化の要求が厳しくなってきている。
一方、最近の架空光ファイバケーブルには、光高密度化に加えて光ファイバの中間後の分岐性能が必要とされはじめ、この要請に応えるために、光ファイバ収納溝の螺旋方向が、周期的に反転するPE製スペーサ(SZスペーサ)を使用し、かつ各溝に複数のテープ状光ファイバ或いは単心光ファイバを収納したSZ型光ファイバケーブルが多く使用されてきている。
【0003】
ここで、SZスペーサに剛直な光テープを収納する場合、収納溝の寸法としては必然的に光テープが稔れるだけのスペースを確保する必要がある。
【0004】
また、ラセン溝の側面を画成するリブのポリエチレン樹脂は、押出成形時に3次元的な成形収縮(固化時の再結晶化による収縮と樹脂温度が下がることによる体積収縮の和)を生じる。
【0005】
このような成形収縮が発生したときに、長手方向にリブの収縮する余裕がない一方向撚りスペーサと異なり、SZスペーサの場合には、反転部においてのみ、反転カーブをショートカットする形でのリブの長手収縮が可能であって、この結果、反転カーブの内側に対するリブの倒れ込みが生じてしまう。
【0006】
この現象は、リブの高さが高い(溝深さが深い)場合に助長されるため、先に述べた溝スペース確保の問題と相俟って、SZスペーサを深溝化する場合の阻害要因となっていた。
【0007】
ちなみに、このリブ倒れ込みについては、樹脂の成形収縮以外として、口金から押出被覆する際、樹脂の引き落とし条件等の違いによって、被覆樹脂同士に引っ張り合いが生じる場合もあるものと思われる。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、光ファイバケーブル用SZ螺旋溝付スペーサの反転部における溝傾斜を抑制し、伝送損失を悪化させることなしにSZスペーサの深溝化を実現することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、中心抗張力体の周囲にポリエチレンと相溶性を有する熱可塑性樹脂で中間被覆層を施し、長手方向に沿って周期的に方向が反転し、かつ、長手方向に連続する光ファイバ収納用のラセン溝を有するスペーサ本体被覆層が、前記中間被覆層の外周に設けられた光ファイバケーブル用スペーサの製造方法において、前記スペーサ本体被覆層を形成した後に、所定速度で走行するスペーサに対し、前記スペーサの走行方向に沿って、所定間隔を隔てて複数の冷却用エアーノズルを多段状に設置し、前記スペーサの外周から所定間隔離れた位置から前記エアーノズルを介して、乾燥エアーを前記スペーサの外周に全周に渡ってほぼ垂直に吹き付けて、前記ラセン溝の側面を画成するリブの略根元部分を、中間部分よりも早期にかつ優先的に冷却する製造方法であって、前記エアーノズルは、ノズル支持部内に設けられた環状空間部と、前記環状空間部の内周に周回するように全周に渡ってスリット状に開口し、先端開口部がリング状に内方に突出する冷却ノズル部を有し、前記冷却ノズル部内に前記スペーサを挿通するようにした。
【0010】
ここで、本発明のラセン進行角について説明すると、図5に示すように、スペーサには、複数条のラセン溝が設けられている。このようなラセン溝に対して、スペーサの長手軸ないしはこれに平行な軸に対する進入角度θを本発明では、ラセン進行角と定義し、この角度がもっとも大きいものを最大ラセン進行角度としている。
【0011】
以上のように構成した光ファイバケーブル用スペーサの製造方法によれば、スペーサ本体被覆層を形成した後に、所定速度で走行するスペーサに対し、スペーサの走行方向に沿って、所定間隔を隔てて複数の冷却用エアーノズルを多段状に設置し、スペーサの外周から所定間隔離れた位置からエアーノズルを介して、乾燥エアーをスペーサの外周にほぼ垂直に吹き付けて、ラセン溝の側面を画成するリブの略根元部分を、中間部分よりも早期にかつ優先的に冷却する。
【0012】
このような冷却状態においては、乾燥エアーがスペーサのラセン溝の溝底に直接吹き付けられて、ラセン溝の側面を画成するリブの根元部分が、中間部分よりも早期にかつ優先的に冷却される。
【0013】
このため、ラセン溝の側面を画成するリブが、反転カーブの内側に対する倒れ込みを効果的に防止することができ、リブの最小リブ厚みが1.0mm以上、溝深さが2.0mm以上、最大ラセン進行角が8度以上で、かつ、反転部のスペーサ断面における溝傾斜角度を18度以下とする細径化したスペーサが得られる。
【0014】
また、溝傾斜角度が18度以下になると、ラセン溝内に光ファイバを収納して光ファイバケーブルとしたた際に、その伝送損失も低く抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について、実施例とともに説明する。
(実施例1)
外径φ1.4mmの鋼線を7本撚り合わせた鋼撚線を抗張力体1としてクロスヘッドに導入し、この抗張力体1の外周にエチレン−エチルアクルート共重合体樹脂(GA−006:日本ユニカー製)を予備被覆内層2、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCG5350:日本ユニカー製)を予備被覆外層3として200℃で共押出被覆して、エチレン−エチルアクルート共重合体樹脂層外径がφ4.8mm、その外周の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂被覆外径がφ9.7mmの被覆抗張力線4を得た。
【0016】
この被覆抗張力線4は、図1に示すように、加熱槽5を通過させることで、その表面温度が60℃になるように予熱し、その後に、スペーサの断面形状に対応した回転ダイ6を備えた押出機7に導入し、スペーサ本体樹脂層8の形成用樹脂として、MI=0.03(g/10min)の高密度ポリエチレン樹脂(Hizex6600M:三井化学製)を6m/minの速度で回転押出被覆した後、冷却ゾーン9に導いて冷却し、外径φ15.7mmのPEスペーサ10を得た。
【0017】
冷却ゾーン10には、図2にその詳細を示したリング状エアーノズル11が、300mmずつ間隔をあけ、スペーサ10の走行方向に沿って3段設置されている。
【0018】
実施例で用いたエアーノズル11は、ノズル支持部11aと、このノズル支持部11a内に設けられた環状空間部11bと、環状空間部11bの内周に、周回するようにしてスリット状に開口し、先端開口部がリング状に内方に突出する冷却ノズル部11cとを備え、環状空間部11bの外周側から冷却媒体としての乾燥エアーが供給される。
【0019】
スペーサ10は、冷却ノズル11cの中央に挿通され、矢印方向に所定の引き取り速度で走行する。環状空間部11b内に供給された乾燥エアーは、冷却ノズル11cから、スペーサ10に対してほぼ垂直に(直交して)20m 3 /HRの風量で吹き出し、スペーサ10のラセン溝12の溝底に吹き付けられて、ラセン溝12の側面を画成するリブ13の根元部分が、中間部分よりも早期にかつ優先的に冷却される。
【0020】
なお、この場合、3段状に配置された各エアーノズル11の乾燥エアーの吹き出し量は、上記実施例では、同一条件に設定したが、例えば、後段側になるに従って、吹き出し量を減少させたり、あるいは、中間段のみ吹き出し量を減少させることも可能である。
【0021】
また、回転ダイ6の樹脂吐出ノズルは、穴断面積が、目標とするPEスペーサ10の断面積Ssから被覆抗張力線4の断面積Stを差し引いた断面積Sbを、ノズル穴断面積Snから被覆抗張力線4の断面積Stを差し引いた断面積Snbで除した値Sb/Snbが0.95になるよう設計されたものを使用した。
【0022】
得られたEPスペーサ10は、図3にその断面形状を示すように、スペーサ本体被覆層8の外周に8ヶのラセン溝12が設けられている。各ラセン溝12の溝深さは、2.8mm、溝幅が2.8mmであって、略U字状をなし、円周方向に8ケ均等に配置されている。
【0023】
これらのラセン溝12は、反転ピッチが235mm、反転角度が360°でSZ状に撚られたラセン構造を有しており、目標の寸法形状を備えていて、各種の仕様を満足するものであった。
【0024】
このPEスペーサ10は、ラセン溝12を画成するリブ13の根本における最小リブ厚みが約1.5mmのものであり、最大ラセン進行角度は、11.9度であった。
【0025】
また、溝傾斜角αを測定したところ、約15°と溝傾斜を十分に抑制することができていた。この溝傾斜角αは、図4に示すように定義される。
【0026】
いまここで、PEスペーサ10の反転部断面における、スペーサ中心Oと溝底中心部Aを結んだ直線L1と、溝底中心部Aと溝外幅中心部Bを結んだ直線L2とすると、溝傾斜角αは、これらの直線L1,L2の狭角で表される。
【0027】
さらに、スペーサ本体樹脂層8で形成されたSZスペーサ10の1つのリブ13を切り取り、図3に示すように、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aで、0.9497、リブ中央(根本側)bで、0.9505、リブ中央cで、0.9505、リブ先端dで、0.9503であった。
【0028】
次に、このSZスペーサ10の各溝12内に、厚さ0.4mm、幅0.6mmの2心テープ状光ファイバを各8枚ずつ収納し、(心線移動防止及び水侵入防止のため)ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、128心のSZ型光ファイバケーブルを得た。
【0029】
この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.21〜0.22dB/kmと良好な性能を確認することができた。
(実施例2)
外径φ1.0mmの鋼線を7本撚り合わせた鋼撚線を抗張力体1としてクロスヘッドに導入し、この抗張力体の外周にエチレン−エチルアクルート共重合体樹脂(GA−006:日本ユニカー製)を予備被覆内層2、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCG5350:日本ユニカー製)を予備被覆外層3として200℃で共押出被覆して、エチレン−エチルアクルート共重合体樹脂層外径がφ3.6mm、その外周の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂被覆外径がφ5.8mmの被覆抗張力線4を得た。
【0030】
この被覆抗張力線4は、実施例1と同様に、加熱槽5を通過させることで、60℃に予熱し、その後に、スペーサの断面形状に対応した回転ダイ6を備えた押出機7に導入し、スペーサ本体樹脂層8に形成用樹脂として、MI=0.03(g/10min)の高密度ポリエチレン樹脂(Hizex6600M:三井化学製)を7.5m/minの速度で回転押出被覆した後、冷却ゾーン9に導いて冷却し、外径φ11.2mmのPEスペーサ10aを得た。
【0031】
冷却ゾーン9には、実施例1と同様に3段状にエアーノズル11を配置した。なお、回転ダイ6の樹脂吐出ノズルは、上記実施例1で説明した、Sb/Snb値が0.93になるよう設計されたものを使用した。
【0032】
得られたPEスペーサ10aは、溝深さ2.5mm、溝幅2.5mmの略U状のラセン溝12を円周方向に6ケ均等配置し、さらにこれらのラセン溝12が反転ピッチ240mm、反転角度360°でSZ状に撚られたラセン構造を有しており、目標の寸法形状を有しこ各種の仕様を満足するものであった。
【0033】
このPEスペーサ10aのリブ根本における最小リブ厚みは約1.85mmのものであり、最大ラセン進行角度は8.3度であった。
【0034】
また、このPEスペーサ10aの反転部断面における、溝傾斜角αを測定したところ、約12°と溝傾斜を十分に抑制することができていた。
【0035】
さらに、本体樹脂で形成されたSZスペーサ10aの1つのリブを切り取り、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aが0.9496、リブ中央(根)bが0.9503、リブ中央cが0.9504、リブ先端dが0.9502であった。
【0036】
次いで、実施例1と同様に、各溝に厚さ0.4mm、幅0.6mmの2心テープ状光ファイバを各4枚ずつ収納し、ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、48心のSZ型光ファイバケーブルを得た。この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.20〜0.22dB/kmと良好な性能を示した。
(実施例3)
外径φ2.6mmの単鋼線を抗張力体としてクロスヘッドに導入し、この抗張力体の外周にエチレン−エチルアクルート共重合体樹脂(GA−006:日本ユニカー製)を予備被覆内層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCG5350:日本ユニカー製)を予備被覆外層として200℃で共押出被覆して、エチレン−エチルアクルート共重合体樹脂層外径がφ3.2mm、その外周の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂被覆外径がφ4.5mmの被覆抗張力線4aを得た。
【0037】
この被覆抗張力線4aは、実施例1と同様に、加熱槽5を通過させることで、60℃に予熱し、その後に、スペーサの断面形状に対応した回転ダイ6を備えた押出機7に導入し、スペーサ本体樹脂層8に形成用樹脂として、MI=0.03(g/10min)の高密度ポリエチレン樹脂(Hizex6600M:三井化学製)を7m/minの速度で回転押出被覆した後、冷却ゾーン9に導いて冷却し、外径φ10.2mmのPEスペーサ10bを得た。
【0038】
冷却ゾーン9には、実施例1と同様に3段状にエアーノズル11を配置した。なお、回転ダイ6の樹脂吐出ノズルは、上記実施例1で説明した、Sb/Snb値が0.94になるよう設計されたものを使用した。
【0039】
得られたPEスペーサ10bは、溝深さ2.5mm、溝幅3.0mmの略U状のラセン溝12を円周方向に5ケ均等配置し、さらにこれらのラセン溝12が反転ピッチ150mm、反転角度270°でSZ状に撚られたラセン構造を有しており、目標の寸法形状を有しこ各種の仕様を満足するものであった。
【0040】
このPEスペーサ10bのリブ根本における最小リブ厚みは約1.85mmのものであり、最大ラセン進行角度は8.3度であった。
【0041】
また、このPEスペーサ10bの反転部断面における、溝傾斜角αを測定したところ、約13°と溝傾斜を十分に抑制することができていた。
【0042】
さらに、本体樹脂で形成されたSZスペーサ10bの1つのリブを切り取り、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aが0.9498、リブ中央(根)bが0.9505、リブ中央cが0.9504、リブ先端dが0.9503であった。
【0043】
次いで、実施例1と同様に、各溝に厚さ0.40mm、幅1.1mmの4心テープ状光ファイバを各5枚ずつ収納し、ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、100心のSZ型光ファイバケーブルを得た。この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.22dB/kmと良好な性能を示した。
(実施例4)
アラミド繊維(ケブラー3120dtex:東レデュポン社製)を補強繊維とし、これにビニルエステル樹脂(エスタ一H−6400:三井化学製)を含浸して外径φ4.5mmに絞り成形し、これをクロスヘッドダイに導入し、LLDPE樹脂(NUCG5350:日本ユニカー製)を押出被覆し、表面の被覆樹脂を冷却した後、145℃の蒸気硬化槽中で、内部のビニルエステル樹脂を硬化させて、外径がφ5.8mmの被覆抗張力線4bを得た。
【0044】
この被覆抗張力線4bは、実施例1と同様に、加熱槽5を通過させることで、60℃に予熱し、その後に、スペーサの断面形状に対応した回転ダイ6を備えた押出機7に導入し、スペーサ本体樹脂層8に形成用樹脂として、MI=0.03(g/10min)の高密度ポリエチレン樹脂(Hizex6600M:三井化学製)を7.5m/minの速度で回転押出被覆した後、冷却ゾーン9に導いて冷却し、外径φ11.2mmのPEスペーサ10cを得た。
【0045】
冷却ゾーン9には、実施例1と同様に3段状にエアーノズル11を配置した。なお、回転ダイ6の樹脂吐出ノズルは、上記実施例1で説明した、Sb/Snb値が0.93になるよう設計されたものを使用した。
【0046】
得られたPEスペーサ10cは、溝深さ2.5mm、溝幅2.5mmの略U状のラセン溝12を円周方向に6ケ均等配置し、さらにこれらのラセン溝12が反転ピッチ240mm、反転角度360°でSZ状に撚られたラセン構造を有しており、目標の寸法形状を有しこ各種の仕様を満足するものであった。
【0047】
このPEスペーサ10cのリブ根本における最小リブ厚みは約1.85mmのものであり、最大ラセン進行角度は8.3度であった。
【0048】
また、このPEスペーサ10cの反転部断面における、溝傾斜角αを測定したところ、約12°と溝傾斜を十分に抑制することができていた。
【0049】
さらに、本体樹脂で形成されたSZスペーサ10cの1つのリブを切り取り、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aが0.9497、リブ中央(根)bが0.9504、リブ中央cが0.9505、リブ先端dが0.9503であった。
【0050】
次いで、実施例1と同様に、各溝に厚さ0.4mm、幅0.6mmの2心テープ状光ファイバを各4枚ずつ収納し、ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、48心のSZ型光ファイバケーブルを得た。この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.22dB/kmと良好な性能を示した。
(実施例5)
外径φ1.4mmの鋼線を7本撚り合わせた鋼撚線を抗張力体1としてクロスヘッドに導入し、この抗張力体1の外周にエチレン−エチルアクルート共重合体樹脂(GA−006:日本ユニカー製)を予備被覆内層2、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCG5350:日本ユニカー製)を予備被覆外層3として200℃で共押出被覆して、エチレン−エチルアクルート共重合体樹脂層外径がφ4.8mm、その外周の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂被覆外径がφ9.7mmの被覆抗張力線4を得た。
【0051】
この被覆抗張力線4は、実施例1と同様に、加熱槽5を通過させることで、60℃に予熱し、その後に、スペーサの断面形状に対応した回転ダイ6を備えた押出機7に導入し、スペーサ本体樹脂層8に形成用樹脂として、MI=0.03(g/10min)の高密度ポリエチレン樹脂(Hizex6600M:三井化学製)を6m/minの速度で回転押出被覆した後、冷却ゾーン9aに導いて冷却し、外径φ15.7mmのPEスペーサ10dを得た。
【0052】
冷却ゾーン9aには、実施例1と同様な構成のエアーノズル11が、300mmずつ間隔をあけ、スペーサ10dの走行方向に沿って4段設置されている。
【0053】
本実施例の場合には、環状空間部11b内に供給された乾燥エアーは、各冷却ノズル11cから、スペーサ10dに対してほぼ垂直に(直交して)20m3/HRの風速で吹き出して冷却した。
【0054】
なお、回転ダイ6の樹脂吐出ノズルは、上記実施例1で説明した、Sb/Snb値が0.95になるよう設計されたものを使用した。
【0055】
得られたPEスペーサ10dは、溝深さ2.8mm、溝幅2.8mmの略U状のラセン溝12を円周方向に8ケ均等配置し、さらにこれらのラセン溝12が反転ピッチ235mm、反転角度360°でSZ状に撚られたラセン構造を有しており、目標の寸法形状を有しこ各種の仕様を満足するものであった。
【0056】
このPEスペーサ10dのリブ根本における最小リブ厚みは約1.5mmのものであり、最大ラセン進行角度は11.9度であった。
【0057】
また、このPEスペーサ10dの反転部断面における、溝傾斜角αを測定したところ、約14°と溝傾斜を十分に抑制することができていた。
【0058】
さらに、本体樹脂で形成されたSZスペーサ10cの1つのリブを切り取り、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aが0.9498、リブ中央(根)bが0.9505、リブ中央cが0.9506、リブ先端dが0.9504であった。
【0059】
次いで、実施例1と同様に、各溝に厚さ0.4mm、幅0.6mmの2心テープ状光ファイバを各8枚ずつ収納し、ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、128心のSZ型光ファイバケーブルを得た。この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.21dB/kmと良好な性能を示した。
(比較例1)
スペーサ本体樹脂の冷却方法として、出口側に穴径φ16.5mmのパッキンを有する内径φ75mm、長さ1mのSUSパイプに挿通させながら、パイプ内に界面活性剤(マーポンFL−30:松本油脂製)を0.1%濃度になるように添加した40℃の温水を下方から導入し、上方よりオーバーフローさせることにより冷却固化したこと以外は、実施例1と同様な方法で外径φ15.7mmのPEスペーサを得た。
【0060】
このSZスペーサの断面寸法、反転ピッチ、反転角度などは実施例1と同等であったが、反転部断面における溝傾斜角度αを測定したところ約25°と大きく傾斜していた。
【0061】
さらに、本体樹脂で形成されたSZスペーサの1つのリブを切り取り、根本から先端にかけて4分割した後、密度勾配管により樹脂密度を測定したところ、リブ根本aが0.9512、リブ中央(根本側)bが0.9511、リブ中央cが0.9508、リブ先端dが0.9503であった。
【0062】
次いで、実施例1と同様に、各溝に2心テープ状光ファイバを各8枚ずつ収納し、ジェリーを充填した後、押さえ巻きを介してシース被覆を行い、128心のSZ型光ファイバケーブルを得た。この光ファイバケーブルについて光伝送性能を測定したところ、0.25〜0.55dB/kmと性能にバラツキが生じていた。
【0063】
【発明の効果】
以上、実施例で説明したように、本発明にかかる光ファイバケーブル用スペーサの製造方法によれば、反転部における溝傾斜を抑制し、伝送損失を悪化させることなしにSZスペーサの深溝化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光ファイバケーブル用スペーサの製造方法の製造工程の要部説明図である。
【図2】図1の製造方法で用いるエアーノズルの詳細説明図である。
【図3】図1の製造方法で得られる光ファイバケーブル用スペーサの断面図である。
【図4】光ファイバケーブル用スペーサの溝傾斜角度αの説明図である。
【図5】スペーサのラセン溝の進行角の説明図である。
【符号の説明】
1 抗張力体
2 予備被覆内層
3 予備被覆外層
4 被覆抗張力線
5 加熱槽
6 回転ダイ
7 押出機
9 冷却ゾーン
10 光ファイバケーブル用スペーサ
11 エアーノズル
12 ラセン溝
13 リブ
Claims (1)
- 中心抗張力体の周囲にポリエチレンと相溶性を有する熱可塑性樹脂で中間被覆層を施し、
長手方向に沿って周期的に方向が反転し、かつ、長手方向に連続する光ファイバ収納用のラセン溝を有するスペーサ本体被覆層が、前記中間被覆層の外周に設けられた光ファイバケーブル用スペーサの製造方法において、
前記スペーサ本体被覆層を形成した後に、所定速度で走行するスペーサに対し、前記スペーサの走行方向に沿って、所定間隔を隔てて複数の冷却用エアーノズルを多段状に設置し、
前記スペーサの外周から所定間隔離れた位置から前記エアーノズルを介して、乾燥エアーを前記スペーサの外周に全周に渡ってほぼ垂直に吹き付けて、前記ラセン溝の側面を画成するリブの略根元部分を、中間部分よりも早期にかつ優先的に冷却する製造方法であって、
前記エアーノズルは、ノズル支持部内に設けられた環状空間部と、前記環状空間部の内周に周回するように全周に渡ってスリット状に開口し、先端開口部がリング状に内方に突出する冷却ノズル部を有し、前記冷却ノズル部内に前記スペーサを挿通することを特徴とする光ファイバケーブル用スペーサの製造方法。
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