JP2009293274A - 折損架線柱の仮復旧用スペーサ、折損架線柱の仮復旧方法及び折損架線柱の仮復旧体 - Google Patents
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Abstract
【課題】折損電柱の仮復旧作業で、地際残存部の孔部に補強管を挿入し、該補強管に折損地上部を固定する際に、補強管とこれに固定された折損地上部が傾斜するのを防止して、通行人、近隣者の不安を取り除くと共に、近隣の景観への影響にも配慮し、更に作業の安全を向上させる。
【解決手段】折損電柱11の地際残存部12の孔部13内に補強管14を挿入し、孔部13と補強管14との隙間15のうち折損架電柱11の傾倒しやすい側に、該隙間15内に装着したときに鉛直方向に沿って延びる支持面2を有するスペーサ1を差し込んで、スペーサ1の支持面2を補強管14に当接させた後、補強管14に折損電柱11の折損地上部16を固定し、孔部13と補強管14の隙間15のうちスペーサ1が差し込まれた残余の隙間15に、補強管14を囲むように複数のスペーサ1を差し込み、これらのスペーサ1の支持面2で補強管14を支持する。
【選択図】図10
【解決手段】折損電柱11の地際残存部12の孔部13内に補強管14を挿入し、孔部13と補強管14との隙間15のうち折損架電柱11の傾倒しやすい側に、該隙間15内に装着したときに鉛直方向に沿って延びる支持面2を有するスペーサ1を差し込んで、スペーサ1の支持面2を補強管14に当接させた後、補強管14に折損電柱11の折損地上部16を固定し、孔部13と補強管14の隙間15のうちスペーサ1が差し込まれた残余の隙間15に、補強管14を囲むように複数のスペーサ1を差し込み、これらのスペーサ1の支持面2で補強管14を支持する。
【選択図】図10
Description
この発明は、電柱等の地面から立設した架線柱が車両の追突等の人的事故や地震等の天変地異によって根元付近である地際において折損した場合に、この折損した架線柱を仮復旧するために用いられるスペーサとこのスペーサを利用した折損架線柱の仮復旧方法、並びにこの仮復旧方法で組み付けられた折損架線柱の仮復旧体に関する。
電柱が車両の追突等によりその根元付近である地際において折損した場合の仮復旧装置及び仮復旧方法としては、例えば、特許文献1に示される折損電柱仮支持方法及び仮支柱や、特許文献2に示される折損電柱の仮復旧装置及び折損電柱の仮復旧方法が既に公知となっている。
かかる特許文献1及び特許文献2に示される仮支柱及び折損電柱の仮復旧装置は、折損電柱の地中から地表にかけて残存、露出した地際残存部の円形孔内に当該円形孔の内径寸法よりも小さな外径寸法の補強管(特許文献1の「仮支柱」及び特許文献2の「支柱」と同義。)を挿入し、この補強管に折損電柱の折損により前記地際残存部から移動した折損地上部を固定する構成となっている。
特開平6−323040号公報
特開2007−31954号公報
もっとも、折損電柱の地際残存部の円形孔の内径寸法と補強管の外径寸法とに所定寸法(電柱の種別にも拠るがおよそ5cm前後)の差異があるので、折損電柱の折損地上部を引き起こして補強管に固定した場合に、補強官が折損電柱の地際残存部の円形孔との隙間により傾斜してしまい、これに伴い、電柱の折損地上部の基部を始点として鉛直方向に沿った基準線を採った場合に、折損電柱の折損地上部の頂上部分はその長手方向に沿った寸法に応じてこの基準線に対しさらに大きく傾斜する。
折損電柱の折損地上部の頂上部分がこのように傾斜しても折損電柱の折損地上部及びこれが固定された補強管が傾倒しないように処置されているものの、この仮復旧後の折損電柱を見た通行人や近隣者はこのような折損電柱の折損地上部が傾斜した状態に不安を感じてしまい、当該仮復旧状態の折損電柱の傾倒のおそれを本願出願人等に通報して来ることがあるので、通報者等の不安を取り除くために折損電柱に対し改めて復旧作業を行う等の事態を招いていた。また、かかる折損地上部の頂上部分が大きく傾斜した状態の仮復旧電柱は近隣の景観を損ねることにもなりかねない。更に、折損架線柱の仮復旧作業中に補強管ひいては折損地上部が傾倒する危険も回避する必要がある。
そこで、本発明は、折損架線柱の仮復旧にあたり、地際残存部の円形孔に補強管を装着し、該補強管に折損電柱の折損地上部を固定する際に、補強管ひいてはこれに固定された折損地上部が大きく傾斜するのを防止して、通行人、近隣者の不安を予め取り除き、近隣の景観に与える影響にも配慮し、更に折損架線柱の復旧作業の安全の向上を図った折損架線柱の仮復旧用スペーサ及びこのスペーサを用いた折損架線柱の仮復旧方法、並びに折損架線柱の仮復旧体を提供することを目的とする。
この発明に係る折損架線柱の仮復旧用スペーサは、鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する折損架線柱の地際残存部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に折損架線柱の折損地上部が固定される補強管とに対し、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在される固形体状のもので、前記隙間内に装着したときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有し、この支持面が前記補強管の側面と当接して支持することにより、前記補強管の長手方向を鉛直方向に沿った状態にすることを特徴としている(請求項1)。
そして、この発明に係る折損架線柱の仮復旧方法は、鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する地際残存部と、この地際残存部より軸方向に沿って上部側のもので、前記地際残存部の位置から折損により移動し、傾斜した折損地上部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に前記折損地上部が固定される補強管と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在されたときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有する複数のスペーサとを用いて、前記折損地上部を引き起して鉛直方向に沿って延びた状態とする折損架線柱の仮復旧方法であって、前記地際残存部の孔部内に前記補強管を挿入する工程と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間のうち前記折損地上部を前記補強管側に引き寄せる時に当該補強管が傾倒しやすい側に一のスペーサを差し込み、当該一のスペーサの支持面を前記補強管の外側面に当接させる工程との後に、前記補強管に前記折損地上部を固定する工程と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間のうち前記一のスペーサが差し込まれた以外の箇所で当該一のスペーサとの均衡が取れる位置に他のスペーサを差し込み、この他のスペーサの支持面を前記補強管の外側面に当接させる工程とを経ることで、前記一のスペーサの支持面と前記他のスペーサの支持面とで前記折損地上部を鉛直方向に沿って延びた状態とに支持することを特徴としている(請求項4)。
この折損架線柱の仮復旧方法により組み付けられた折損架線柱の仮復旧体は、鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する地際残存部と、この地際残存部より軸方向に沿って上部側のもので、前記地際残存部の位置から折損により移動し、傾斜した折損地上部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に前記折損地上部が固定される補強管と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在されたときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有する複数のスペーサとを有して構成された折損架線柱の仮復旧体であって、前記地際残存部の孔部内に前記補強管が挿入され、これにより前記孔部の内側面と前記補強管の外側面とに生じた隙間に、前記折損地上部を前記補強管側に引き寄せる時に当該補強管が傾倒しやすい側に一のスペーサが差し込まれていると共に、前記一のスペーサが差し込まれた以外の箇所で当該一のスペーサとの均衡が取れる位置に他のスペーサが差し込まれ、更に、前記補強管に前記折損地上部が固定されており、前記一及び他のスペーサの支持面により前記折損地上部を鉛直方向に沿って延びた状態となるように支持されていることを特徴としたものとなる(請求項5)。
ここで、架線柱は、円柱状又は円錐台状を成すもので、例えばコンクリート製の電力供給用の電力柱が挙げられるところ、内部に所定の寸法の空洞があり、架線を空中に渡らせるためのものであれば、鉄道架線柱、通信用の電信柱、通信と電力供給との共用柱等であっても良いものである。また、孔部は、例えば開口側から見て円形状をなしていると共に補強管を挿入した際にその安定を得るのに十分な深度を有している。補強管は孔部の形状に応じた形状、例えば円柱状又は円筒状をなしている。スペーサは、例えば鉄等の金属製のものであり、さらに言えば内部が空洞で密封された箱体形状のもので、軽量化が図られている一方で周囲から押圧にも耐えられる強度も有している。そして、一のスペーサも他のスペーサも同じものであり、他のスペーサの数は1つでも2つ以上であっても良い。
これにより、鉛直方向に沿って延びる補強管に固定される架線柱の折損地上部も鉛直方向に沿って延びる配置構成で仮復旧作業が仕上がり、架線柱の頂上部分が大きく傾斜した状態のままに置かれないので、仮復旧された架線柱の側を通行する通行人や当該架線柱の近隣に住居や店舗、事業所等を有する近隣者に不安を与えることもなくなり、しかも、仮復旧した状態の見映えも相対的に良くなる。また、一のスペーサを折損残存部の孔部の内側面と補強管の外側面との隙間のうち折損地上部の引き起し時に補強管が傾倒しやすい側に差し込むことで、補強管側に向けて折損架線柱の折損地上部を引き起す際に、補強管が折損残存部の孔部の内側面と補強管の外側面との隙間のために傾倒してしまうことを回避することができる。
そして、この発明に係る折損架線柱の仮復旧用スペーサにあっては、前記支持面と対峙する傾斜面は、前記隙間に差し込んだ際に、前記孔部の最深部側では最も前記支持面に近接し、前記孔部の開口側では前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間の寸法と同じか当該隙間の寸法よりも大きな幅で前記支持面から離れていることを特徴としている(請求項2)。これにより、スペーサは、その径方向側から見て先細りの略楔型形状となるので、架線柱の地際残存部の孔部内側面とこの孔部内に挿入された補強管の外側面との隙間に、支持面が架線柱の側面と確実に当接するまでスペーサを差し込むことが可能となる。
更に、この発明に係る折損架線柱の仮復旧用スペーサにあっては、前記支持面と前記傾斜面とを連接する連接面は、前記隙間に差し込んだ際に前記孔部の開口側となる部位において係合手段が装着されていることを特徴としている(請求項3)。この係合手段とは、例えばアイボルト等が該当する。これにより、仮復旧用スペーサを隙間から引き抜く場合には、予めスペーサの貫通孔に係合手段を装着し、或いは、引き抜き作業時に係合手段を装着し、かかる係合手段の頭部等の係合部位にフックを引き掛ける等してスペーサを隙間から引き抜くことができる。また、複数の仮復旧用スペーサを差し込んで補強管が鉛直方向になるように調整する場合にも、予めスペーサの貫通孔に係合手段を装着し、或いは、引き抜き作業時に係合手段を装着し、かかる係合手段の頭部等の係合部位にフックを引き掛けて少しだけ引っ張る等してスペーサの差し込まれた深度を浅くして、他のスペーサの差込みの深度との調整を図ることができる。
以上のように、本願の発明によれば、鉛直方向に沿って延びる補強管に固定される架線柱の折損地上部も鉛直方向に沿って延びる配置構成で仮復旧作業が仕上がり、架線柱の頂上部分が大きく傾斜した状態のままとはならないので、仮復旧された架線柱の側を通行する通行人や当該架線柱の近隣に住居や店舗、事業所等を有する近隣者に不安を与えることもなくなり、しかも、仮復旧した状態の見映えも相対的に良くなるので近隣に対する景観上の美観を損なうことが少なくなる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、隙間の大きさにバラツキがあっても、架線柱の地際残存部の孔部内側面とこの孔部内に挿入された補強管の外側面との隙間に、支持面が架線柱の側面と確実に当接するまでスペーサを差し込むことが可能となるため、スペーサの形態は単一化することができ、しかもスペーサの寸法精度も厳密に採る必要がないので、スペーサの製造コストを抑制することができる。
特に、請求項3に記載の発明によれば、仮復旧用スペーサを隙間から引き抜く作業をするにあたり、予めスペーサの貫通孔に係合手段を装着し、或いは、引き抜き作業時に係合手段を装着しておくことで、かかる係合手段の頭部等の係合部位にフックを引き掛ける等してスペーサを隙間から引き抜くことが可能となる。また、複数の仮復旧用スペーサを差し込んで補強管が鉛直方向になるように調整する作業をするにあたっても、予めスペーサの貫通孔に係合手段を装着し、或いは、引き抜き作業時に係合手段を装着しておくことで、かかる係合手段の頭部等の係合部位にフックを引き掛けて少しだけ引っ張る等してスペーサの差し込まれた深度を適宜に浅くし、他のスペーサの差込みの深度との調整を図ることが可能となる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、スペーサを折損残存部の孔部の内側面と補強管の外側面との隙間のうち折損地上部を補強管側に引き寄せる時に補強管が傾倒しやすい側に差し込むことにより、スペーサが補強管の支持手段となって補強管側に向けて折損架線柱の折損地上部を引き起す際に、補強管が折損残存部の孔部の内側面と補強管の外側面との隙間のために傾倒してしまうことを回避することが可能となり、折損架線柱の復旧作業の安全性を向上させることができる。
以下、この発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1において示されるスペーサ1は、この実施例では、内部が空洞の鉄製のもので、6つの面を有する楔型形状をなしている。すなわち、このスペーサ1は、後述する折損電柱11のうちの地際残存部12の孔部13と補強管14との隙間15に差し込んだ際に鉛直方向に沿うかたちで当接する支持面2と、かかる隙間15に差し込んだ際に孔部13の内側に進むに従い支持面2側に徐々に近接する傾斜面3と、支持面2と傾斜面3とを連接する1対の連接面4、4と、かかる隙間15に差し込んだ際に孔部13の開口側に位置する頂上面5と、頂上面5とは対峙して孔部13の奥側に位置する底面6とを有して構成されている。
そして、スペーサ1の連接面4、4のうち頂上面5の近傍側において同軸線上の位置に、図1(a)に示されるように螺子切りされた通孔7が形成されており、この通孔7に螺合されることにより、アイボルト8がスペーサ1に装着されている。このアイボルト8は、通孔7の内径寸法よりも大きな環状の頭部9、9を有しており、この頭部9は図示しない引上げ装置のフック等を係合させることが可能である。また、スペーサ1の頂上面5は、隙間15に差し込む際にハンマー等で叩いても支障がないように他の面よりも厚みが大きくなっていることが好適である。更に、スペーサ1の底面6は、この実施例では開口部を蓋体で塞ぐことで構成されている。
そして、このスペーサ1は、図2に示されるように、折損電柱11の地際残存部12が有している、上方に向けて開口した孔部13と補強管14との隙間15に介在されて使用されるものであり、これに伴い、スペーサ1は、底面6側の電柱11の径方向に沿った厚みW1が隙間15よりも小さく、頂上面5側の電柱11の径方向に沿った厚みW2が隙間15と同じか隙間15よりも大きくなるように設定されている。
次に、図3から図6を用いて、折損電柱11の仮復旧の方法の基本的な一例について説明する。まず、図3に示されるように、車両17が追突することで、地際で折損した折損電柱11となり、この折損電柱11は、地際残存部12と折損地上部16とが鉄筋18により辛うじて連結された状態となっているところ、鉄筋18のうち地際残存部12の孔部13の軸方向上方を覆うものを折損地上部16が落下しない程度に切断、排除し、図4に示されるように、補強管14をこの地際残存部12の孔部13内に挿入する。
この補強管14は、図2に示されるように、地際残存部12の孔部13の内径寸法よりも小さな外径寸法を有する円柱状のもので、その寸法差は電柱の種別にもよるが5cm程度となっている。そして、補強管14は、図4から図6に示されるように、電柱当接部材19、ワイヤ固定部材20、及びチェーン固定部材21を有しているもので、ワイヤ固定具20は、電柱固定用ワイヤ22の両端が連結されると共にこのワイヤ22は締め付け工具23で締め付け可能となっており、チェーン固定部材21はチェーン24の両端と連結される。
これにより、図5に示されるように、電柱当接部19を折損地上部16側にスライドさせ、更に、折損地上部16の相対的に上部側に対しワイヤ22を巻き付けると共に折損地上部16の相対的に下部側に対してもワイヤ22を巻き付けて、締め付け工具23を利用してこれらのワイヤ22を適宜な強さで締め付ける。これにより、図6に示されるように、折損地上部16は補強管14側に近接してゆき、最終的には電柱当接部19に当接し立設した状態となる。そこで、図6に示されるように、チェーン固定部材21を利用してチェーン24を折損地上部16に巻き付けて固定する。
次に、上記した図3から図6までの折損電柱11の仮復旧の方法の過程で図1に示されるスペーサ1を使用する実施例1について、図7から図10を用いて説明する。
図3に示す車両17の追突にあたり、図7の白抜き矢印の方向(電線26の延伸方向に略沿った方向)にて追突した場合には、折損電柱11の折損地上部16は、他の健全な電柱25とアーム27に設けられた碍子28を介して電線26にて連結された状態にあるので、図7に示されるように、その長手方向の基部側では折損電柱11の地際残存部12の位置から電線26の延伸方向に略沿った方向に移動しつつ、その長手方向の先端側では車両の追突による力の方向と電線26の張力の方向との関係で、例えば図上右斜め上方に傾斜した状態となる。
この場合に、図8(a)に示されるように、地際残存部12の孔部13の軸方向上方を覆う鉄筋18を取り除いた後、この孔部13内に補強管14を挿入して、前述の図5に示されるようにワイヤ22で折損地上部16と連結して、図8(b)に示される矢印の方向に折損地上部16を引き起こしつつ地際残存部12側に引き寄せる。このとき、図9に示されるように、前記図8(b)の矢印の方向に折損地上部16を引き起こす時に補強管14が傾倒すると判断される側(この場合は、電線26と直交する側)の隙間15に、スペーサ1を差し込む。このスペーサ1の差し込み作業は、隙間15に対し、スペーサ1の底面6側を、支持面2が折損電柱11の地際残存部12側に向くように挿入した後、スペーサ1の頂上面5をハンマー等で叩くことにより行われる。ここで、前記図8(b)の矢印の方向に折損地上部16を引き起し且つ引き寄せると、地損地上部16と連結された補強管14は図9(a)に示されるように折損地上部16側からの反発力で孔部13内において折損地上部16側に引き寄せられる。
これにより、補強管14が折損地上部16の補強管14側への引き起し・引き寄せにより傾斜し、ひいては補強管14が倒れて地際残存部12の孔部13から誤って抜け落ちるのを抑止することが可能となる。
そして、図9(b)に示される地損地上部16が幾分引き起こされた状態から更に引き起こして、地損地上部16をできるだけ鉛直方向に立設した状態とした後、図10(a)に示されるように、隙間15に対し、支持面2が折損電柱11の地際残存部12側に向くように他のスペーサ1、1の底面6側を挿入する。この場合に、他のスペーサ1、15の差し込み位置や差し込み深度の好適化を図るべく、最初に差し込んだスペーサ1の孔部13の差し込み深度を、アイボルト8の頭部9に引上げ装置のフック(図示せず)を引き掛けて若干引き上げる等して調整し、これらのスペーサ1の支持面2で支持された折損電柱11の折損地上部16が鉛直方向に立設した状態のまま保持されるようにする。
最後に、図10並びに前述の図6に示されるように、折損地上部1と補強管14とをチェーン24で連結して両者を固定して折損電柱の仮復旧作業が完了する。
また、上記した図3から図6までの折損電柱11の仮復旧の方法の過程で図1に示されるスペーサ1を使用する実施例2について、図11から図14を用いて説明する。
図3に示す車両17の追突にあたり、図11の白抜き矢印の方向(電線26の延伸方向と略直交する方向)にて追突した場合には、折損電柱11の折損地上部16は、他の健全な電柱25とアーム27に設けられた碍子28を介して電線26にて連結された状態にあるところ、図11に示されるように、その長手方向の基部側及び先端側の双方において、車両の追突による力の方向と電線26の張力の方向との関係で、例えば電線26と直交する方向に傾斜した状態となる。
この場合に、図12(a)に示されるように、地際残存部12の孔部13の軸方向上方を覆う鉄筋18を取り除いた後、この孔部13内に補強管14を挿入して、前述の図5に示されるようにワイヤ22で折損地上部16と連結して、図12(b)に示される矢印の方向に折損地上部16を引き起しつつ地際残存部12側に引き寄せる。このとき、図13に示されるように、前記図12(b)の矢印の方向に折損地上部16を引き起こす時に補強管14が傾倒すると判断される側(この場合には電線26と直交する側)の隙間15に、スペーサ1を差し込む。このスペーサ1の差し込み作業も、実施例1と同様に、隙間15に対し、スペーサ1の底面6側を、支持面2が折損電柱11の地際残存部12側に向くように挿入した後、スペーサ1の頂上面5をハンマー等で叩くことにより行われる。ここで、前記図12(b)の矢印の方向に折損地上部16を引き起し且つ引き寄せると、地損地上部16と連結された補強管14は図13(a)に示されるように折損地上部16側からの反発力で孔部13内において折損地上部16側に引き寄せられる。
これにより、実施例2においても、補強管14が折損地上部16の補強管14側への引き起し・引き寄せにより傾斜し、ひいては補強管14が倒れて地際残存部12の孔部13から誤って抜け落ちるのを抑止することが可能となる。
そして、図13(b)に示される地損地上部16が幾分引き起こされた状態から更に引き起こして、地損地上部16をできるだけ鉛直方向に立設した状態とした後、図14(a)に示されるように、隙間15に対し、支持面2が折損電柱11の地際残存部12側に向くように他のスペーサ1、1の底面6側を挿入する。この場合にも、他のスペーサ1、1の差し込み位置や差し込み深度の好適化を図るべく、最初に差し込んだスペーサ1の孔部13の差し込み深度を、アイボルト8の頭部9に引上げ装置のフック(図示せず)を引き掛けて若干引き上げる等して調整し、これらのスペーサ1の支持面2で支持された折損電柱11の折損地上部16が鉛直方向に立設した状態のまま保持されるようにする。
最後に、図14並びに前述の図6に示されるように、折損地上部1と補強管14とをチェーン24で連結して両者を固定して折損電柱の仮復旧作業が完了する。
1 スペーサ(折損架線柱用スペーサ)
2 支持面
3 傾斜面
4 連接面
5 頂上面
6 底面
7 通孔
8 アイボルト(係合手段)
11 折損電柱(折損架線柱)
12 地際残存部
13 孔部
14 補強管
15 隙間
16 折損地上部
26 電線(架線)
2 支持面
3 傾斜面
4 連接面
5 頂上面
6 底面
7 通孔
8 アイボルト(係合手段)
11 折損電柱(折損架線柱)
12 地際残存部
13 孔部
14 補強管
15 隙間
16 折損地上部
26 電線(架線)
Claims (5)
- 鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する折損架線柱の地際残存部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に折損架線柱の折損地上部が固定される補強管とに対し、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在される固形体状のもので、
前記隙間内に装着したときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有し、この支持面が前記補強管の側面と当接して支持することにより、前記補強管の長手方向を鉛直方向に沿った状態にすることを特徴とする折損架線柱の仮復旧用スペーサ。 - 前記支持面と対峙する傾斜面は、前記隙間に差し込んだ際に、前記孔部の最深部側では最も前記支持面に近接し、前記孔部の開口側では前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間の寸法と同じか当該隙間の寸法よりも大きな幅で前記支持面から離れていることを特徴とする請求項1に記載の折損架線柱の仮復旧用スペーサ。
- 前記支持面と前記傾斜面とを連接する連接面は、前記隙間に差し込んだ際に前記孔部の開口側となる部位において係合手段が装着されていることを特徴とする請求項2に記載の折損架線柱の仮復旧用スペーサ。
- 鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する地際残存部と、この地際残存部より軸方向に沿って上部側のもので、前記地際残存部の位置から折損により移動し、傾斜した折損地上部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に前記折損地上部が固定される補強管と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在されたときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有する複数のスペーサとを用いて、前記折損地上部を引き起して鉛直方向に沿って延びた状態とする折損架線柱の仮復旧方法であって、
前記地際残存部の孔部内に前記補強管を挿入する工程と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間のうち前記折損地上部を前記補強管側に引き寄せ、引き起こす時に当該補強管が傾倒しやすい側に一のスペーサを差し込み、当該一のスペーサの支持面を前記補強管の外側面に当接させる工程との後に、前記補強管に前記折損地上部を固定する工程と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間のうち前記一のスペーサが差し込まれた以外の箇所で当該一のスペーサとの均衡が取れる位置に他のスペーサを差し込み、この他のスペーサの支持面を前記補強管の外側面に当接させる工程とを経ることで、前記一のスペーサの支持面と前記他のスペーサの支持面とで前記折損地上部を鉛直方向に沿って延びた状態とに支持することを特徴とする折損架線柱の仮復旧方法。 - 鉛直方向に沿って延び且つ地上側に開口した孔部を有する地際残存部と、この地際残存部より軸方向に沿って上部側のもので、前記地際残存部の位置から折損により移動し、傾斜した折損地上部と、前記孔部内に挿入可能な外径寸法を有すると共に前記折損地上部が固定される補強管と、前記孔部の内側面と前記補強管の外側面との隙間に介在されたときに鉛直方向に沿って延びる支持面を有する複数のスペーサとを有して構成された折損架線柱の仮復旧体であって、
前記地際残存部の孔部内に前記補強管が挿入され、これにより前記孔部の内側面と前記補強管の外側面とに生じた隙間に、前記折損地上部を前記補強管側に引き寄せ、引き起こす時に当該補強管が傾倒しやすい側に一のスペーサが差し込まれていると共に、前記一のスペーサが差し込まれた以外の箇所で当該一のスペーサとの均衡が取れる位置に他のスペーサが差し込まれ、更に、前記補強管に前記折損地上部が固定されており、前記一及び他のスペーサの支持面により前記折損地上部を鉛直方向に沿って延びた状態となるように支持されていることを特徴とする折損架線柱の仮復旧体。
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---|---|---|---|
JP2008147817A JP2009293274A (ja) | 2008-06-05 | 2008-06-05 | 折損架線柱の仮復旧用スペーサ、折損架線柱の仮復旧方法及び折損架線柱の仮復旧体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101761264B (zh) * | 2010-02-07 | 2013-04-10 | 浙江省电力公司舟山电力局 | 水泥电线杆 |
JP5897694B1 (ja) * | 2014-12-15 | 2016-03-30 | 中国電力株式会社 | 折損電柱仮支持装置及び折損電柱仮支持工法 |
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2008
- 2008-06-05 JP JP2008147817A patent/JP2009293274A/ja active Pending
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